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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】積層フィルムおよび容器
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/30 20060101AFI20240806BHJP
   B32B 27/08 20060101ALI20240806BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240806BHJP
   B65D 81/34 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B32B3/30
B32B27/08
B65D65/40 A
B65D81/34 U
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020102061
(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公開番号】P2021194832
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下野 貴裕
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-068981(JP,A)
【文献】特開2002-059982(JP,A)
【文献】特開2019-064642(JP,A)
【文献】特開平11-147559(JP,A)
【文献】特開2017-095107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B65D 65/00-65/46,
81/32-81/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱融着可能な第1樹脂層と、
前記第1樹脂層上に積層された第2樹脂層とを備え、
前記第2樹脂層には、前記第2樹脂層の少なくとも一部が部分的に除去された第1線状傷加工部が形成され、
前記第1線状傷加工部は第1仮想線に沿って延在し、
前記第2樹脂層には、前記第2樹脂層の少なくとも一部が部分的に除去された第2線状傷加工部が形成され、
前記第2線状傷加工部は、前記第1仮想線に沿った方向において前記第1線状傷加工部と並ぶように配置され、
前記第2線状傷加工部の少なくとも一部は、前記第1仮想線と重ならないように配置され、
前記第2線状傷加工部は、前記第1線状傷加工部側に位置する第1端と、前記第1端と反対側に位置する第2端とを含み、
前記第2端と前記第1仮想線との間の距離は、前記第1端と前記第1仮想線との間の距離以上であり、
前記第1線状傷加工部および前記第2線状傷加工部は直線状であって、互いに離れて形成されており、
前記第2線状傷加工部は、前記第1仮想線に対して傾斜するように形成され、
前記第1仮想線に対する前記第2線状傷加工部の傾斜確度は60°以上90°以下であり、
前記第2線状傷加工部の前記第1端から前記第1線状傷加工部までの距離は0.05mm以上2mm以下である、積層フィルム。
【請求項2】
前記第2線状傷加工部の前記第1端は前記第1仮想線と重ならない位置に配置されている、請求項に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記第2線状傷加工部の前記第1端は前記第1仮想線と重なる位置に配置されている、請求項に記載の積層フィルム。
【請求項4】
内容物を内部に保持する内部空間を有する容器であって、
前記内部空間と外部とを区画する隔壁部を備え、
前記隔壁部が請求項1に記載の積層フィルムを含む、容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層フィルムおよび容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品などを内部に保持する容器が知られている(たとえば、国際公開第2001/81201号参照)。国際公開第2001/81201号では、合成樹脂製延伸フィルムに低融点のヒートシール剤を塗布し、当該ヒートシール剤を塗布した箇所を通過するように合成樹脂製延伸フィルムに直線状の線状傷加工部を形成後、当該合成樹脂製延伸フィルムにヒートシール性を有する合成樹脂製未延伸フィルムを貼り合わせた積層フィルムが開示されている。国際公開第2001/81201号では、当該積層フィルムを、電子レンジなどにより加熱される包装袋または容器の蓋材の材料として用いることで、ヒートシール部分に特別な加工を施すこと無く、適宜な場所に小穴が開き、かつ包装袋などの内圧を常圧以上に安定的に保持することが可能であるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2001/81201号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の積層フィルムを包装袋または容器の蓋材などに用いた場合、当該包装袋または容器を用いた商品の流通時または店舗での陳列時などに、線状傷加工部において穴あきが発生する場合があった。これは、商品の流通時などの衝撃により、周囲より相対的に強度が低い線状傷加工部に応力が加えられることで、線状傷加工部において積層フィルムが局所的に破断するためである。このような流通時などでの積層フィルムの破断は、包装袋または容器の内容物の漏洩といった問題の原因となる。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、包装袋または容器の蓋材として用いられた状態で加熱された場合に、適宜な場所に貫通孔が形成されることで容器等の内圧が過剰に上昇することを抑制するとともに、流通時などにおける破断の発生を抑制することが可能な積層フィルムおよび当該積層フィルムを用いた容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従った積層フィルムは、第1樹脂層と、第2樹脂層とを備える。第1樹脂層は熱融着可能である。第2樹脂層は、第1樹脂層上に積層される。第2樹脂層には、第2樹脂層の少なくとも一部が部分的に除去された第1線状傷加工部が形成される。第1線状傷加工部は第1仮想線に沿って延在する。第2樹脂層には、第2樹脂層の少なくとも一部が部分的に除去された第2線状傷加工部が形成される。第2線状傷加工部は、第1仮想線に沿った方向において第1線状傷加工部と並ぶように配置される。第2線状傷加工部の少なくとも一部は、第1仮想線と重ならないように配置される。第2線状傷加工部は、第1端と第2端とを含む。第1端は、第2線状傷加工部において第1線状傷加工部側に位置する。第2端は、第2線状傷加工部において第1端と反対側に位置する。第2端と第1仮想線との間の距離は、第1端と第1仮想線との間の距離以上である。
【0007】
本開示に従った容器は、内容物を内部に保持する内部空間を有する容器であって、内部空間と外部とを区画する隔壁部を備える。隔壁部は上記積層フィルムを含む。
【発明の効果】
【0008】
上記によれば、包装袋または容器の蓋材として用いられた状態で加熱された場合に、適宜な場所に貫通孔が形成されることで容器等の内圧が過剰に上昇することを抑制するとともに、流通時などにおける破断の発生を抑制することが可能な積層フィルムおよび当該積層フィルムを用いた容器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る容器の平面模式図である。
図2図1の線分II-IIにおける断面模式図である。
図3図1に示した容器の部分拡大模式図である。
図4図3の線分IV-IVにおける断面模式図である。
図5図1図4に示した容器の第1変形例を示す断面模式図である。
図6図1図4に示した容器の第2変形例を示す断面模式図である。
図7図1図4に示した容器の第3変形例を示す断面模式図である。
図8図1図4に示した容器の第4変形例を示す断面模式図である。
図9】実施の形態2に係る容器の部分拡大模式図である。
図10】実施の形態3に係る容器の部分拡大模式図である。
図11】実施の形態4に係る容器の部分拡大模式図である。
図12】実施の形態5に係る容器の部分拡大模式図である。
図13】試料とした容器の平面模式図である。
図14図13の線分XIV-XIVにおける断面模式図である。
図15】試料試験対象とした容器に形成された線状傷加工部の形状を示す部分拡大模式図である。
図16】試験とした容器に形成された線状傷加工部の形状を示す部分拡大模式図である。
図17】試料とした容器に形成された線状傷加工部の形状を示す部分拡大模式図である。
図18】試料とした容器に形成された線状傷加工部の形状を示す部分拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態を説明する。なお、同一の構成には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0011】
(実施の形態1)
<容器および積層フィルムの構成>
図1は、実施の形態1に係る容器の平面模式図である。図2は、図1の線分II-IIにおける断面模式図である。図3は、図1に示した容器の部分拡大模式図である。図4は、図3の線分IV-IVにおける断面模式図である。図1図4に示す容器10は、容器本体部2と蓋材1とを備える。容器本体部2の平面形状は任意の形状とすることができるが、たとえば四角形状である。容器本体部2は開口部を有する。容器本体部2の内部空間には食品などの内容物11が配置される。隔壁部としての蓋材1は、開口部を塞ぐように容器本体部2に接続される。蓋材1の平面形状は開口部を塞ぐことができれば任意の形状とすることができるが、たとえば図1に示すように四角形状である。蓋材1は本実施形態に係る積層フィルム30からなる。蓋材1には後述するように第1線状傷加工部21および第2線状傷加工部22が形成されている。
【0012】
積層フィルム30は、図4に示すように第1樹脂層31と、第2樹脂層32と、接着層33とを備える。第2樹脂層32は、接着層33を介して第1樹脂層31上に積層される。第1樹脂層31は接着層33により第2樹脂層32と接合されている。第1樹脂層31は熱融着可能な材料により構成されている。第1樹脂層31の材料としては、シーラント層として機能する任意の樹脂を採用できる。当該樹脂として、熱融着可能な熱可塑性樹脂、例えば公知の各種汎用ポリオレフィンおよび特殊ポリオレフィンを用いることができる。具体的には、当該樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンアクリル酸共重合体(EAA)、エチレンメタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレンメチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレンアクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレンプロピレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、及びアイオノマー(IO)などを用いることができるが、これらに限られない。
【0013】
第2樹脂層32の材料としては、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリプロピレン、セロハン、ポリブチレンテレフタレート、エチレンビニルアルコール共重合体などを用いることができるが、これらに限られない。また、第2樹脂層32の材料として、上述した樹脂の膜表面に被覆層を形成した積層膜を用いてもよい。被覆層としては、たとえばポリ塩化ビニリデン(PVDC)またはポリビニルアルコール(PVA)のコーティング層、あるいはアルミナ、シリカ、アルミニウム、錫などの蒸着層を用いることができるが、これらに限られない。このような被覆層を形成することで、第2樹脂層32にガスバリア性を付与することができる。
【0014】
接着層33の材料としては、たとえば第1樹脂層31と第2樹脂層32とを接合できれば任意の材料を用いることができるが、一般的な食品包装向けに用いられる接着剤を用いることができる。具体的には、エーテル系またはエステル系のポリオール種(主剤)と、芳香族系または脂肪族系のポリイソシアネート種(硬化剤)からなる、いわゆる2液反応型ラミネート用ウレタン接着剤を用いることができるが、これに限られない。
【0015】
なお、積層フィルム30をドライラミネート法で形成する場合に上述のような接着層33を用いることができる。一方、たとえばサンドイッチラミネート法を用いて積層フィルム30を形成する場合、第1樹脂層31と第2樹脂層32との間に配置されるアンカーコート(AC)剤と押出樹脂(たとえばポリエチレンまたはポリプロピレンなどの樹脂)とが、上記接着層33に相当する。
【0016】
なお、上述した積層フィルム30の構造として第1樹脂層31と第2樹脂層32とを直接接合した2層構造としてもよい。あるいは、積層フィルム30の構造として、第1樹脂層31および第2樹脂層32に加えて複数の層を積層した4層以上の多層構造としてもよい。
【0017】
図3および図4に示すように、第2樹脂層32には、第2樹脂層32の少なくとも一部が部分的に除去された第1線状傷加工部21が形成される。第1線状傷加工部21は、第2樹脂層32において他の領域における厚さより相対的に厚さが薄くなっている部分を意味する。また、第1線状傷加工部21は、平面視において相対的に厚さが薄くなっている部分が線状に連なった部分と言うこともできる。図4に示した構成では、第1線状傷加工部21は第2樹脂層32および接着層33を貫通し、第1樹脂層31にまで到達している。図3に示す平面視において、第1線状傷加工部21は第1仮想線23に沿って延在する。図3に示すように第1線状傷加工部21が直線状である場合、第1仮想線23は第1線状傷加工部21の延長線として規定できる。また、第1線状傷加工部21が直線状ではなく、たとえば曲線状である場合、第1線状傷加工部21の両端を結ぶ直線を第1仮想線23としてもよい。
【0018】
第2樹脂層32には、第2樹脂層32の少なくとも一部が部分的に除去された第2線状傷加工部22が形成される。第2線状傷加工部22の断面形状は、基本的には第1線状傷加工部21の断面形状と同様である。図3に示す平面視において、第2線状傷加工部22は、第1仮想線23に沿った方向において第1線状傷加工部21と並ぶように配置される。第2線状傷加工部22の少なくとも一部は、第1仮想線23と重ならないように配置される。図3では、第2線状傷加工部22の全体が第1仮想線23と重ならず、かつ第1仮想線23に沿って延びるように形成されている。第2線状傷加工部22は、実質的に第1仮想線23と並行に延びるように形成されている。第1線状傷加工部21および第2線状傷加工部22を形成する方法は、刃物を用いた機械加工またはレーザ加工など、従来周知の任意の方法を用いることができる。
【0019】
第2線状傷加工部22は、第1端22aと第2端22bとを含む。第1端22aは、第2線状傷加工部22において第1線状傷加工部21側に位置する。第2端22bは、第2線状傷加工部22において第1端22aと反対側に位置する。第2端22bと第1仮想線23との間の距離L12は、第1端22aと第1仮想線23との間の距離L11以上である。図3に示す構成では、上記距離L11と距離L12とは等しい。
【0020】
第1線状傷加工部21の長さL2と第2線状傷加工部22の長さL3とは等しくてもよいが、互いに異なっていてもよい。また、図3に示すように、第2線状傷加工部22側に位置する第1線状傷加工部21の端部と第2線状傷加工部22の第1端22aとは、第1仮想線23に沿った方向における位置が同じになっている。そのため、第2線状傷加工部22の第1端22aから第1線状傷加工部21までの距離は上記距離L11と一致する。第2線状傷加工部22の第1端22aから第1線状傷加工部21までの距離L11は0.05mm以上2mm以下であってもよい。第2線状傷加工部22の第1端22aから第1線状傷加工部21までの距離L11は、0.7mm以上1.5mm以下であってもよく、0.9mm以上1.2mm以下であってもよく、1mmであってもよい。
【0021】
また、第1線状傷加工部21および第2線状傷加工部22の延在方向に直交する方向での幅は、たとえば50μm以上300μm以下としてもよい。当該幅は、100μm以上250μm以下としてもよく、130μm以上170μm以下としてもよい。第1線状傷加工部21および第2線状傷加工部22の深さは、たとえば上記幅より深くなっている。
【0022】
<作用効果>
本開示に従った積層フィルム30は、第1樹脂層31と、第2樹脂層32とを備える。第1樹脂層31は熱融着可能である。第2樹脂層32は、第1樹脂層31上に積層される。第2樹脂層32には、第2樹脂層32の少なくとも一部が部分的に除去された第1線状傷加工部21が形成される。第1線状傷加工部21は第1仮想線23に沿って延在する。第2樹脂層32には、第2樹脂層32の少なくとも一部が部分的に除去された第2線状傷加工部22が形成される。第2線状傷加工部22は、第1仮想線23に沿った方向において第1線状傷加工部21と並ぶように配置される。第2線状傷加工部22の少なくとも一部は、第1仮想線23と重ならないように配置される。第2線状傷加工部22は、第1端22aと第2端22bとを含む。第1端22aは、第2線状傷加工部22において第1線状傷加工部21側に位置する。第2端22bは、第2線状傷加工部22において第1端22aと反対側に位置する。第2端22bと第1仮想線23との間の距離L12は、第1端22aと第1仮想線23との間の距離L11以上である。
【0023】
このようにすれば、従来のように1つの直線に沿った傷加工部のみが形成された積層フィルムを用いて容器を形成した場合と同様に、容器10が電子レンジなどで加熱された場合に第1線状傷加工部21および第2線状傷加工部22の少なくともいずれかで積層フィルム30に貫通孔が形成され、容器10内部から蒸気などが外部に放出されることで容器10内部の圧力の過剰な上昇を抑制できる。さらに、第1線状傷加工部21の長さL2と第2線状傷加工部22の長さL3の合計と同じ長さを有する直線状の傷加工部が1つだけ形成されている場合と比較して、容器の流通時などにおける衝撃に起因する積層フィルム30の破断の発生を抑制できる。つまり積層フィルム30の耐久性を向上させることができる。
【0024】
上記積層フィルム30において、第2線状傷加工部22は、前記第1仮想線23と重ならず、かつ第1仮想線23に沿って延びるように形成されてもよい。このような構成によっても、従来と同様に積層フィルム30を用いた容器10内部の圧力の過剰な上昇を抑制できるとともに、積層フィルム30の耐久性を向上させることができる。
【0025】
上記積層フィルム30において、第2線状傷加工部22の第1端22aから第1線状傷加工部21までの距離L11は0.05mm以上2mm以下であってもよい。この場合、積層フィルム30を用いた容器10に対し流通時などに衝撃が加えられたときに、第2線状傷加工部22の第1端22aと第1線状傷加工部21との間の領域が当該衝撃に起因して破断することを抑制できる。
【0026】
本開示に従った容器10は、内容物11を内部に保持する内部空間を有する容器10であって、内部空間と外部とを区画する隔壁部としての蓋材1を備える。隔壁部としての蓋材1は上記積層フィルム30を含む。
【0027】
本開示に従った容器10は、容器本体部2と蓋材1とを備える。容器本体部2は開口部を有する。隔壁部としての蓋材1は、開口部を塞ぐように容器本体部2に接続される。蓋材1は上記積層フィルム30を含む。
【0028】
このように本開示に従った積層フィルム30を容器10の隔壁部である蓋材1として用いることで、容器10内部の圧力の過剰な上昇を抑制できるとともに、容器10の耐久性を向上させることができる。
【0029】
<変形例>
図5は、図1図4に示した容器の第1変形例を示す断面模式図である。なお、図5図4に対応する。図5に示した容器は、基本的には図1図4に示した容器10と同様の構成を備えるが、第1線状傷加工部21の断面形状が図1図4に示した容器と異なっている。具体的には、図5に示した容器では、第1線状傷加工部21が蓋材1を構成する積層フィルム30の第2樹脂層32および接着層33のみを貫通している。異なる観点から言えば、第1線状傷加工部21の側壁は第2樹脂層32および接着層33によって構成されている。第1線状傷加工部21の底面は第1樹脂層31の上部表面(接着層33と対向する表面)により構成されている。なお、第2線状傷加工部22の断面形状も上述した第1線状傷加工部21の断面形状と同様であってもよい。このような構成であっても、図1図4に示した容器10と同様の効果を得ることができる。
【0030】
図6は、図1図4に示した容器の第2変形例を示す断面模式図である。なお、図6図4に対応する。図6に示した容器は、基本的には図1図4に示した容器10と同様の構成を備えるが、第1線状傷加工部21の断面形状が図1図4に示した容器と異なっている。具体的には、図6に示した容器では、第1線状傷加工部21が蓋材1を構成する積層フィルム30の第2樹脂層32を貫通するとともに接着層33の一部を除去するように形成されている。異なる観点から言えば、第1線状傷加工部21の側壁は第2樹脂層32および接着層33によって構成されている。第1線状傷加工部21の底面は接着層33の表面により構成されている。なお、第2線状傷加工部22の断面形状も上述した第1線状傷加工部21の断面形状と同様であってもよい。このような構成であっても、図1図4に示した容器10と同様の効果を得ることができる。
【0031】
図7は、図1図4に示した容器の第3変形例を示す断面模式図である。なお、図7図4に対応する。図7に示した容器は、基本的には図1図4に示した容器10と同様の構成を備えるが、第1線状傷加工部21の断面形状が図1図4に示した容器と異なっている。具体的には、図7に示した容器では、第1線状傷加工部21が蓋材1を構成する積層フィルム30の第2樹脂層32のみを貫通している。異なる観点から言えば、第1線状傷加工部21の側壁は第2樹脂層32によって構成されている。第1線状傷加工部21の底面は接着層33の上部表面(第2樹脂層32と対向する表面)により構成されている。なお、第2線状傷加工部22の断面形状も上述した第1線状傷加工部21の断面形状と同様であってもよい。このような構成であっても、図1図4に示した容器10と同様の効果を得ることができる。
【0032】
図8は、図1図4に示した容器の第4変形例を示す断面模式図である。なお、図8図4に対応する。図8に示した容器は、基本的には図1図4に示した容器10と同様の構成を備えるが、第1線状傷加工部21の断面形状が図1図4に示した容器と異なっている。具体的には、図8に示した容器では、第1線状傷加工部21が蓋材1を構成する積層フィルム30の第2樹脂層32および第1樹脂層31のみを貫通している。異なる観点から言えば、第1線状傷加工部21の側壁は第2樹脂層32および第1樹脂層31によって構成されている。第1線状傷加工部21は、接着層33を挟むように形成されている。なお、第2線状傷加工部22の断面形状も上述した第1線状傷加工部21の断面形状と同様であってもよい。このような構成であっても、図1図4に示した容器10と同様の効果を得ることができる。
【0033】
(実施の形態2)
<容器および積層フィルムの構成>
図9は、実施の形態2に係る容器の部分拡大模式図である。図9図3に対応する。図9に示した容器は、基本的には図1図4に示した容器10と同様の構成を備えるが、第2線状傷加工部22の平面形状が図1図4に示した容器10と異なっている。具体的には、蓋材1を構成する積層フィルム30において、第2線状傷加工部22は、平面視で第1仮想線23に対して傾斜するように形成されている。第2線状傷加工部22の第2端22bと第1仮想線23との間の距離L12は、第2線状傷加工部22の第1端22aと第1仮想線23との間の距離L11より大きくなっている。第1仮想線23に対する第2線状傷加工部22の傾斜角度θ1は、たとえば30°以上100°以下であってもよい。傾斜角度θ1の上限は90°でもよく、60°でもよい。傾斜角度θ1の下限は35°でもよく、40°でもよく、45°でもよい。
【0034】
積層フィルム30において、第2線状傷加工部22の第1端22aは第1仮想線23と重ならない位置に配置されている。第2線状傷加工部22の第1端22aから第1仮想線23までの距離L11は0.05mm以上2mm以下であってもよい。第2線状傷加工部22の第1端22aから第1仮想線23までの距離L11は、0.7mm以上1.5mm以下であってもよく、0.9mm以上1.2mm以下であってもよく、1mmであってもよい。図9に示すように、第2線状傷加工部22側に位置する第1線状傷加工部21の端部と第2線状傷加工部22の第1端22aとは、第1仮想線23に沿った方向における位置が同じになっている。そのため、第2線状傷加工部22の第1端22aから第1線状傷加工部21までの距離は上記距離L11と一致する。
【0035】
なお、第2線状傷加工部22側に位置する第1線状傷加工部21の端部と第2線状傷加工部22の第1端22aとは、第1仮想線23に沿った方向における位置が異なっていてもよい。
【0036】
<作用効果>
上記積層フィルム30において、第2線状傷加工部22は、第1仮想線23に対して傾斜するように形成されてもよい。この場合、積層フィルム30が用いられた容器に衝撃が加えられた場合に、当該第1線状傷加工部21の延在方向と当該衝撃に起因する応力の方向との角度と、第2線状傷加工部22の延在方向と当該応力の方向との角度とを異ならせることができる。このため、結果的に第1線状傷加工部21および第2線状傷加工部22のそれぞれを開く方向に作用する応力の成分を、第1線状傷加工部21および第2線状傷加工部22が1本の直線上の傷加工部となっている場合より小さくできる。このような構成によっても、図1図4に示した積層フィルム30と同様に、積層フィルム30を用いた容器内部の圧力の過剰な上昇を抑制できるとともに、積層フィルム30の耐久性を向上させることができる。
【0037】
上記積層フィルム30において、第1仮想線23に対する第2線状傷加工部22の傾斜角度θ1は30°以上100°以下であってもよい。この場合、傾斜角度θ1を変更することで容器を加熱した場合の傷加工部における貫通孔の形成されやすさと、積層フィルム30の耐久性とのバランスを変更できる。
【0038】
上記積層フィルム30において、第2線状傷加工部22の第1端22aは第1仮想線23と重ならない位置に配置されてもよい。この場合、積層フィルム30の耐久性を向上させることができる。
【0039】
上記積層フィルム30において、第2線状傷加工部22の第1端22aから第1線状傷加工部21までの距離L1は0.05mm以上2mm以下であってもよい。この場合、積層フィルム30を用いた容器10に対し流通時などに衝撃が加えられたときに、第2線状傷加工部22の第1端22aと第1線状傷加工部21との間の領域が当該衝撃に起因して破断することを抑制できる。
【0040】
(実施の形態3)
<容器および積層フィルムの構成>
図10は、実施の形態3に係る容器の部分拡大模式図である。図10図3に対応する。図10に示した容器は、基本的には図9に示した容器と同様の構成を備えるが、第1線状傷加工部21に対する第2線状傷加工部22の相対的な位置が図9に示した容器と異なっている。具体的には、蓋材1を構成する積層フィルム30において、第1仮想線23に対して傾斜するように延在する第2線状傷加工部22では、第1端22aが第1仮想線23と重なる位置に配置されている。このため、図10に示した構成では、第2線状傷加工部22の第1端22aと第1仮想線23との間の距離L11(図9参照)はゼロである。
【0041】
第2線状傷加工部22の第1端22aと第1線状傷加工部21の端部との間は距離L4だけ離れている。第2線状傷加工部22の第1端22aから第1線状傷加工部21までの距離L4は0.05mm以上2mm以下であってもよい。当該距離L4は、0.7mm以上1.5mm以下であってもよく、0.9mm以上1.2mm以下であってもよく、1mmであってもよい。
【0042】
<作用効果>
上記積層フィルム30において、第2線状傷加工部22は、第1仮想線23に対して傾斜するように形成されてもよい。このような構成によっても、図9に示した積層フィルム30と同様に、積層フィルム30を用いた容器内部の圧力の過剰な上昇を抑制できるとともに、積層フィルム30の耐久性を向上させることができる。
【0043】
上記積層フィルム30において、第2線状傷加工部22の第1端22aは第1仮想線23と重なる位置に配置されてもよい。この場合でも、第2線状傷加工部22が第1仮想線23に対して傾斜しているので、第2線状傷加工部22の第1端22a以外の領域は第1仮想線23と重ならない領域に配置されている。そのため、積層フィルム30が用いられた容器に衝撃が加えられた場合に、第1線状傷加工部21および第2線状傷加工部22を開く方向に作用する応力の成分を、第1線状傷加工部21および第2線状傷加工部22が1本の直線上の傷加工部となっている場合より小さくできる。この結果、積層フィルム30の耐久性を向上させることができる。
【0044】
上記積層フィルム30において、第2線状傷加工部22の第1端22aから第1線状傷加工部21までの距離L4は0.05mm以上2mm以下であってもよい。この場合、積層フィルム30を用いた容器に対し流通時などに衝撃が加えられたときに、第2線状傷加工部22の第1端22aと第1線状傷加工部21との間の領域が当該衝撃に起因して破断することを抑制できる。
【0045】
(実施の形態4)
<容器および積層フィルムの構成>
図11は、実施の形態4に係る容器の部分拡大模式図である。図11図3に対応する。図11に示した容器は、基本的には図10に示した容器と同様の構成を備えるが、第1線状傷加工部21に対する第2線状傷加工部22の相対的な位置が図10に示した容器と異なっている。具体的には、蓋材1を構成する積層フィルム30において、第1仮想線23に対して傾斜している第2線状傷加工部22の第1端22aは、第1線状傷加工部21の端部と接続されている。
【0046】
<作用効果>
上記積層フィルム30において、第2線状傷加工部22は、第1仮想線23に対して傾斜するように形成されてもよい。第2線状傷加工部22の第1端22aは第1線状傷加工部21と接続されてもよい。このような構成によっても、図10に示した積層フィルム30と同様に、積層フィルム30を用いた容器内部の圧力の過剰な上昇を抑制できるとともに、積層フィルム30の耐久性を向上させることができる。
【0047】
(実施の形態5)
<容器および積層フィルムの構成>
図12は、実施の形態5に係る容器の部分拡大模式図である。図12図3に対応する。図12に示した容器は、基本的には図9に示した容器と同様の構成を備えるが、第1線状傷加工部21の平面形状が図9に示した容器と異なっている。具体的には、蓋材1を構成する積層フィルム30において、第1線状傷加工部21の平面形状が直線状ではなく曲線状となっている。曲線状である第1線状傷加工部21の第1仮想線23は、たとえば第1線状傷加工部21の両端を結ぶ仮想直線として規定することができる。
【0048】
なお、第2線状傷加工部22の平面形状を曲線状としてもよい。この場合、第2線状傷加工部22の第1仮想線23に対する傾斜角度θ1は、第2線状傷加工部22の第2仮想線と第1仮想線23とのなす角度として規定できる。第2線状傷加工部22の第2仮想線は、上述した第1仮想線23と同様に規定することができる。すなわち、第2線状傷加工部22の第1端22aと第2端22bとを結ぶ仮想直線を第2仮想線とすることができる。
【0049】
なお、図12に示した構成において、第2線状傷加工部22の第1端22aを図10に示すように第1仮想線23上に配置してもよい。あるいは、第1端22aを第1線状傷加工部21の端部と重なるように配置してもよい。
【0050】
<作用効果>
上記積層フィルム30において、第1線状傷加工部21の平面形状は曲線状であってもよい。第2線状傷加工部22は、第1仮想線23に対して傾斜するように形成されてもよい。このような構成によっても、図9に示した積層フィルム30と同様に、積層フィルム30を用いた容器内部の圧力の過剰な上昇を抑制できるとともに、積層フィルム30の耐久性を向上させることができる。
【0051】
なお、上述した実施の形態では、容器10として容器本体部2と蓋材1とからなる構成を例として説明したが、容器としては積層フィルム30を袋状に成形した構成など、内容物を内部に保持できるような任意の構成を採用できる。
【0052】
(実験例)
本開示に係るようきの効果を確認するため、以下のような実験を行った。
【0053】
<試料の構成>
以下の実験では、20種類の試料(ID1~ID20)を準備した。2種類の実験を行うため、1つの種類の試料につき、試料数を20とした。つまり、合計試料数は400である。
【0054】
(試料の形状)
図13は、試料とした容器の平面模式図である。図14は、図13の線分XIV-XIVにおける断面模式図である。試料としては、底面の形状が四角形状であって、側壁の高さT1が40mmである箱型の容器本体部2と、蓋材1とを備える容器10を準備した。蓋材1の平面形状は図13に示すように四角形状である。蓋材1の幅W1は160mm、高さW2も160mmとした。容器本体部2において蓋材1が接続される開口部を囲む縁部の外形は、蓋材1の外形と同様である。蓋材1の中央部には線状傷加工部が形成された。当該線状傷加工部の詳細については後述する。蓋材1は容器本体部2の開口部を塞ぐように、容器本体部2に接続された。容器10の内部には内容物として無菌米飯が300g封入された。
【0055】
(試料の材質)
試料ID1~ID10について、蓋材1を構成する積層フィルム(以下、積層フィルムAとも呼ぶ)は、外側からPET(Polyethylene terephthalate)層/ドライラミネート用接着剤/イージーピールシーラントA層、という3層構造とした。なお、上記積層フィルムAはPET層とイージーピールシーラントA層とをドライラミネーションにより接合して得られる。
【0056】
上記PET層としては、東洋紡製E5102(厚み12μm)を用いた。ドライラミネート用接着剤としては三井化学製A626/A50(塗布量3.5g/m2)を用いた。イージーピールシーラントA層としては東レフィルム加工株式会社製CF9501KF(厚み30μm)を用いた。
【0057】
試料ID11~ID20について、蓋材1を構成する積層フィルム(以下、積層フィルムBとも呼ぶ)は、外側からPET層/押出ラミネート用AC剤/LDPE(Low Density Polyethylene)層/イージーピールシーラントB層、という4層構造とした。なお、上記積層フィルムBは押出ラミネート成形によって得られる。
【0058】
上記PET層としては、東洋紡製E5102(厚み12μm)を用いた。押出ラミネート用AC(アンカーカート)剤としては、日本曹達株式会社製T125/T160(塗布量1.0g/m2)を用いた。LDPE層としては、住友化学株式会社製L705(厚み20μm)を用いた。イージーピールシーラントB層としては東レフィルム加工株式会社製CF7601A(厚み30μm)を用いた。
【0059】
試料ID1~ID20について、容器本体部を構成する材料としてはフィラー入りのPP(ポリプロピレン)樹脂を用いた。
【0060】
(線状傷加工部の形状)
図15図18は、試料とした容器に形成された線状傷加工部の形状を示す部分拡大模式図である。以下、図面を参照しながら各試料の線状傷加工部の形状を説明する。なお、以下説明する線状傷加工部はいずれも積層フィルムAおよび積層フィルムBのPET層側から炭酸ガスレーザを照射することで形成されている。
【0061】
試料ID1およびID11:
試料ID1およびID11においては、図15に示すように直線上の線状傷加工部20が1本だけ形成された。線状傷加工部20の長さL5は50mmとした。
【0062】
試料ID2およびID12:
試料ID2およびID12においては、図16に示すように、第1仮想線23上に第1線状傷加工部21と第2線状傷加工部22とが並ぶように形成された。第1線状傷加工部21と第2線状傷加工部22との間の距離L4は1mmとした。第1線状傷加工部21の長さL2は25mmとした。第2線状傷加工部22の長さL3も25mmとした。
【0063】
試料ID3およびID13:
試料ID3およびID13においては、図3に示すように、第1仮想線23に対して第2線状傷加工部22がずれた位置に配置された。第2線状傷加工部22は第1仮想線23と並行に並ぶように配置された。第1線状傷加工部21と第2線状傷加工部22との間の距離L11は1mmとした。第1線状傷加工部21の長さL2は25mmとした。第2線状傷加工部22の長さL3も25mmとした。
【0064】
試料ID4およびID14:
試料ID4およびID14においては、図17に示すように、第1仮想線23に対して第2線状傷加工部22がずれた位置に配置された。第2線状傷加工部22は第1仮想線23と並行に並ぶように配置された。第1仮想線23に沿った方向における第1線状傷加工部21と第2線状傷加工部22との間の距離L4は1mmとした。第1仮想線23と第2線状傷加工部22との間の距離L1も1mmとした。第1線状傷加工部21の長さL2は25mmとした。第2線状傷加工部22の長さL3も25mmとした。
【0065】
試料ID5およびID15:
試料ID5およびID15においては、図9に示すように、第1仮想線23に対して第2線状傷加工部22がずれた位置に配置された。第2線状傷加工部22は第1仮想線23に対して傾斜角θ1だけ傾斜するように配置された。第1仮想線23と第2線状傷加工部22の第1端22aとの間の距離L11(あるいは距離L1)は1mmとした。第1線状傷加工部21の長さL2は25mmとした。第2線状傷加工部22の長さL3も25mmとした。
【0066】
試料ID6およびID16:
試料ID6およびID16においては、試料ID5およびID15と同様の線状傷加工部が形成されている。ただし、試料ID6およびID16においては、第2線状傷加工部22の第1仮想線23に対する傾斜角θ1が60°となっている。試料ID6およびID16において、当該傾斜角θ1以外の構成は、試料ID5およびID15における線状傷加工部の構成と同様である。
【0067】
試料ID7およびID17:
試料ID7およびID17においては、試料ID5およびID15と同様の線状傷加工部が形成されている。ただし、試料ID7およびID17においては、第2線状傷加工部22の第1仮想線23に対する傾斜角θ1が90°となっている。つまり、第2線状傷加工部22は第1仮想線23に対して垂直に配置されている。試料ID7およびID17において、当該傾斜角θ1以外の構成は、試料ID5およびID15における線状傷加工部の構成と同様である。
【0068】
試料ID8およびID18:
試料ID8およびID18においては、試料ID5およびID15と同様の線状傷加工部が形成されている。ただし、試料ID8およびID18においては、第2線状傷加工部22の第1仮想線23に対する傾斜角θ1が100°となっている。つまり、第2線状傷加工部22は第1仮想線23に対して直交する方向より第1線状傷加工部21側に傾くように配置されている。試料ID8およびID18において、当該傾斜角θ1以外の構成は、試料ID5およびID15における線状傷加工部の構成と同様である。
【0069】
試料ID9およびID19:
試料ID9およびID19においては、図10に示すように、第2線状傷加工部22の第1端22aが第1仮想線23と重なるように配置された。第2線状傷加工部22は第1仮想線23に対して傾斜角θ1だけ傾斜するように配置された。第1線状傷加工部21と第2線状傷加工部22の第1端22aとの間の距離L4は1mmとした。第1仮想線23に対する第2線状傷加工部22の傾斜角θ1は60°とした。第1線状傷加工部21の長さL2は25mmとした。第2線状傷加工部22の長さL3も25mmとした。
【0070】
試料ID10およびID20:
試料ID10およびID20においては、図18に示すように、第2線状傷加工部22の第2端22bが第1仮想線23と重なるように配置された。第2線状傷加工部22は第1仮想線23に対して傾斜角θ1だけ傾斜するように配置された。傾斜角θ1は80°とした。第2線状傷加工部22は、第2端22bよりも第1端22aの方が第1仮想線23から離れた位置となるように配置された。第1仮想線23に沿った方向における第1線状傷加工部21と第2線状傷加工部22の第1端22aとの間の距離L4は1mmとした。第1線状傷加工部21の長さL2は25mmとした。第2線状傷加工部22の長さL3も25mmとした。
【0071】
<実験方法>
上述の線状傷加工部が形成された積層フィルムからなる蓋材を、内容物としての無菌米飯300gが内部に保持されている容器本体に熱融着する。この時の条件は、加熱温度が170℃、加圧圧力が0.2MPa、加圧時間が1秒であった。その後、各試料を雰囲気温度5℃の環境で24時間保管した後、下記の実験を行った。
【0072】
(落下試験)
試料ID1~ID20のそれぞれについて、10個の試料を用いて落下試験を行った。具体的には、床面から高さ120cmの位置から、試料の容器本体部を床面に面した状態で、試料を床面に落下させた。また、試料の蓋剤側を床面に面した状態で、試料を床面に落下させた。このような2回の落下試験を1セットとし、1つの試料に対して3セットの落下試験を実施した。このような落下試験において、線状傷加工部での蓋剤の破損の有無を確認した。各試料ID1~ID20のそれぞれについて、10個の試料のうち破損が発生しなかった試料の個数の割合を落下生存率(%)として算出した。つまり、10個の試料すべてが破損した場合は、落下生存率が0%であり、すべての試料において破損が発生しなかった場合は落下生存率が100%であるとした。
【0073】
(加熱試験)
試料ID1~ID20のそれぞれについて、10個の試料を用いて加熱試験を行った。具体的には、出力1000Wで1分間、電子レンジにより加熱した。このときに、線状傷加工部に貫通孔が形成され、当該貫通孔から外部に蒸気が噴出した場合を正常とした。一方、蓋材と容器本体部との接続部である蓋材の外周部(フランジ部)が破損し当該破損部から蒸気が外部に噴出した場合を異常とした。各試料ID1~ID20のそれぞれについて、10個の試料のうち正常と判断された試料の個数の割合をレンジ通蒸率(%)として算出した。つまり、10個の試料すべてにおいて蓋材の外周部に破損が発生した場合は、レンジ通蒸率が0%であり、すべての試料において、蓋材の外周部ではなく線状傷加工部に貫通孔が形成された場合はレンジ通蒸率が100%であるとした。
【0074】
<結果>
上述した落下試験および加熱試験の結果を以下に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
上記の表1から分かるように、落下生存率が50%以上、レンジ通蒸率が100%である場合を合格基準と考えると、試料ID3、ID4、ID5,ID6、ID7、ID9、ID13、ID14,ID15、ID16、ID17、ID19が、落下生存率とレンジ通蒸率との両方が合格基準を満たし、これらの2つの特性のバランスがよいことが分かる。
【0077】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態の少なくとも2つを組み合わせてもよい。本開示の基本的な範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0078】
1 蓋材、2 容器本体部、10 容器、11 内容物、20 線状傷加工部、21 第1線状傷加工部、22 第2線状傷加工部、22a 第1端、22b 第2端、23 第1仮想線、30 積層フィルム、31 第1樹脂層、32 第2樹脂層、33 接着層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18