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特許7532946捺染用インクジェットインクセット、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
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  • 特許-捺染用インクジェットインクセット、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 図1
  • 特許-捺染用インクジェットインクセット、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 図2
  • 特許-捺染用インクジェットインクセット、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 図3
  • 特許-捺染用インクジェットインクセット、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】捺染用インクジェットインクセット、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/40 20140101AFI20240806BHJP
   C09D 11/328 20140101ALI20240806BHJP
   C09D 11/38 20140101ALI20240806BHJP
   D06P 5/30 20060101ALI20240806BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20240806BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
C09D11/40
C09D11/328
C09D11/38
D06P5/30
B41M5/00 120
B41M5/00 114
B41J2/01 501
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020110250
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2022007334
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】志村 一樹
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-132756(JP,A)
【文献】特開2017-020139(JP,A)
【文献】特開2008-137221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/10
D06P 5/30
B41M 5/00
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シアンインクと、マゼンタインクと、イエローインクと、ブラックインクと、第1のインク、第2のインク及び第3のインクから選択される1種以上と、を備えた捺染用インクジェットインクセットであって、
前記捺染用インクジェットインクセットを構成する全てのインクが、それぞれ昇華染料と、水とを含み、
前記第1のインクは、捺染後の捺染物上のCIELAB色空間で定義される色相角∠H°が295°以上310°以下の範囲であり、かつ明度L*が5以上25以下の範囲であり、
前記第2のインクは、捺染後の捺染物上のCIELAB色空間で定義される色相角∠H°が130°以上180°以下の範囲であり、かつ明度L*が15以上30以下の範囲であり、
前記第3のインクは、捺染後の捺染物上のCIELAB色空間で定義される色相角∠H°が0°以上45°以下の範囲であり、かつ明度L*が15以上30以下の範囲であり、
前記ブラックインクが、C.I.ソルベントブルー36、105、C.I.ディスパースブルー19、26、26:1、35、56、58、64、72、81、91、95、108、359及びC.I.ディスパースブルー360から選択される1種以上と、
C.I.ディスパースレッド4、11、53、55、59、60、65、70、75、146、154、190、191、207、239及びC.I.バットレッド41から選択される1種以上と、
C.I.ソルベントイエロー145、C.I.ディスパースイエロー3、7、8、23、39、51、54、60、71、82、86、232及びC.I.ディスパースイエロー241から選択される1種以上と、を含み、
前記ブラックインクに含まれる前記昇華染料の合計の含有量は、前記ブラックインクの全質量に対して、4質量%以上10質量%であり、
前記第1のインクが、前記昇華染料として、C.I.ソルベントバイオレット13及びC.I.ディスパースバイオレット28から選択される1種以上と、
C.I.ディスパースイエロー54、C.I.ディスパースイエロー232、C.I.ソルベントイエロー145、C.I.ディスパースオレンジ25、C.I.ソルベントオレンジ60及びC.I.ディスパースブラウン27から選択される1種以上と、を含み、
前記第1のインクに含まれる前記昇華染料の合計の含有量は、前記第1のインクの全質量に対して、3質量%以上8質量%以下であり、
前記第2のインクが、前記昇華染料として、C.I.ソルベントバイオレット13及びC.I.ディスパースバイオレット28から選択される1種以上と、
C.I.ディスパースイエロー54、C.I.ディスパースイエロー232及びC.I.ソルベントイエロー145から選択される1種以上と、を含み、
前記第2のインクに含まれる前記昇華染料の合計の含有量は、前記第2のインクの全質量に対して、3質量%以上10質量%以下であり、
前記第3のインクが、前記昇華染料として、C.I.ソルベントバイオレット13及びC.I.ディスパースバイオレット28から選択される1種以上と、
C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースレッド154、C.I.ディスパースレッド191、C.I.ディスパースブラウン27、C.I.ディスパースオレンジ25及びC.I.ソルベントオレンジ60から選択される1種以上と、を含み、
前記第3のインクに含まれる前記昇華染料の合計の含有量は、前記第3のインクの全質量に対して、3質量%以上10質量%以下である、
捺染用インクジェットインクセット。
【請求項2】
前記捺染用インクジェットインクセットを構成する全てのインクが、アニオン系分散剤、グリセリン、グリコール類及び界面活性剤を含む、請求項1に記載の捺染用インクジェットインクセット。
【請求項3】
前記アニオン系分散剤が、ナフタレンスルホン酸縮合物またはリグニンスルホン酸ナトリウムである、請求項に記載の捺染用インクジェットインクセット。
【請求項4】
前記界面活性剤が、アセチレングリコール系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤から選択される1種以上である、請求項または請求項に記載の捺染用インクジェットインクセット。
【請求項5】
前記界面活性剤の含有量が、インクの全質量に対して、0.1質量%以上2.0質量以下の範囲である、請求項ないし請求項のいずれか一項に記載の捺染用インクジェットインクセット。
【請求項6】
請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の捺染用インクジェットインクセットを、インクジェット法により吐出して被記録媒体に対して記録を行う、インクジェット記録方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の捺染用インクジェットインクセットを構成するインクをそれぞれ収容するインク容器を備える、インクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捺染用インクジェットインクセット、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット記録方法を用いて、布帛等に捺染することが行われている。従来、布帛に対する捺染方法としては、スクリーン捺染法、ローラー捺染法等が用いられてきたが、多種少量生産性ならびに即時プリント性等の観点から、インクジェット記録方法を適用することが有利であるため種々検討されている。
【0003】
捺染インクジェット記録に用いるインクに対しても各種の性能が求められるが、布帛を染色するという観点から、通常のインクでは求められない性能が求められることもある。そのため、捺染用インクジェットインクやそのセットにおいても多くの検討要素がある。
【0004】
例えば、分散染料を含有した分散染料インクにおいて、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)のプロセスカラーインクとは別に、特色インクを備えるインクセットが知られている。例えば、特許文献1には、画像形成部位に着弾するインクの液量を少なくし、画像の滲みを抑制させる目的で、プロセスカラーインクの他に、レッド、オレンジ、グリーン、ブルー、ピンク及びバイオレットの各特色インクを備えるインクセットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-20139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されているインクセットでは、比較的明度の高い画像を形成する際には、プロセスカラーインクを用いたときに比べて画像形成部位に着弾するインクの液量を低減できるものの、明度の低い特定の有彩色画像を形成する際には液量低減の効果が十分でなかった。したがって、画像形成部位に着弾するインクの液量が多いことによる悪影響を低減しながら明度の低い有彩色画像を形成することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る捺染用インクジェットインクセットの一態様は、
シアンインクと、マゼンタインクと、イエローインクと、ブラックインクと、第1のインク、第2のインク及び第3のインクから選択される1種以上と、を備えた捺染用インクジェットインクセットであって、前記捺染用インクジェットインクセットを構成する全てのインクが、それぞれ昇華染料を含み、前記第1のインクは、捺染後の捺染物上のCIELAB色空間で定義される色相角∠H°が295°以上310°以下の範囲であり、かつ明度Lが5以上25以下の範囲であり、前記第2のインクは、捺染後の捺染物上のCIELAB色空間で定義される色相角∠H°が130°以上180°以下の範囲であり、かつ明度Lが15以上30以下の範囲であり、前記第3のインクは、捺染後の捺染物上のCIELAB色空間で定義される色相角∠H°が0°以上45°以下の範囲であり、かつ明度Lが15以上30以下の範囲である。
【0008】
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
前記態様の捺染用インクジェットインクセットを、インクジェット法により吐出して被記録媒体に対して記録を行う工程を含む。
【0009】
本発明に係るインクジェット記録装置の一態様は、
前記態様の捺染用インクジェットインクセットを構成するインクをそれぞれ収容するインク容器を備えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るインクジェット記録装置の概略を示す模式図。
図2】インクジェット記録装置のインク容器の周辺の一例を示す外観斜視図。
図3】インクジェット記録装置のインク容器の周辺の大まかな内部構造を示す概略図。
図4】インク容器の状態を表す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の幾つかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
【0012】
1.捺染用インクジェットインクセット
本発明の一実施形態に係る捺染用インクジェットインクセット(以下、単に「インクセット」ともいう。)は、インクジェット法により被記録媒体に対して記録を行うことに使用される。
【0013】
被記録媒体としては、特に限定されないが、各種の布帛が挙げられる。布帛を構成する素材としては、特に限定されず、例えば、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、ポリプロピレン、ポリエステル、アセテート、トリアセテート、ポリアミド、ポリウレタン等の合成繊維、ポリ乳酸等の生分解性繊維などが挙げられ、これらの混紡繊維であってもよい。布帛としては、上記に挙げた繊維を、織物、編物、不織布等いずれの形態にしたものでもよい。本実施形態で使用する布帛は、ポリエステル、アセテートなどを含む繊維で形成されたものがより好ましい。このような布帛を用いることで、捺染インクジェットインクのよりすぐれた染着性を得ることができる。
【0014】
本実施形態に係る捺染用インクジェットインクセットは、シアンインクと、マゼンタインクと、イエローインクと、ブラックインクと、第1のインク、第2のインク及び第3のインクから選択される1種以上と、を備えた捺染用インクジェットインクセットであって、前記捺染用インクジェットインクセットを構成する全てのインクが、それぞれ昇華染料を含み、前記第1のインクは、捺染後の捺染物上のCIELAB色空間で定義される色相角∠H°が295°以上310°以下の範囲であり、かつ明度Lが5以上25以下の範囲であり、前記第2のインクは、捺染後の捺染物上のCIELAB色空間で定義される色相角∠H°が130°以上180°以下の範囲であり、かつ明度Lが15以上30以下の範囲であり、前記第3のインクは、捺染後の捺染物上のCIELAB色空間で定義される色相角∠H°が0°以上45°以下の範囲であり、かつ明度Lが15以上30以下の範囲である。
【0015】
すなわち、本実施形態に係る捺染用インクジェットインクセットは、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)のプロセスカラーインクの他に、色彩が各々異なる、明度が低いインクを1種以上備えているものである。
【0016】
本実施形態に係る捺染用インクジェットインクセットは、色彩が各々異なる、明度が低いインクを1種以上備えているので、明度の低い有彩色画像を形成する場合において、ブラックインクの使用量を低減することができる。したがって、プロセスカラーインクのみのインクセットや、従来の特色インク及びブラックインクを備えたインクセットと比較して、本実施形態に係るインクセットは、明度の低い有彩色画像を形成する際に画像形成部位に着弾するインクの液量を低減することができる。
【0017】
ここで、CIELAB色空間とは、国際照明委員会(Commission Internationale de l’Eclairage:略称CIE)が1976年に推奨した近似的な均等色空間のことであり、同委員会では、これをCIE1976(L***)と呼ぶものである。
【0018】
また、色相角∠H°は、∠H°=tan-1(b/a)+180(a<0の場合)、又は∠H°=tan-1(b/a)+360(a>0の場合)により求められる。a及びbは、CIELAB色空間において定義される知覚色度指数を表す。
【0019】
本発明において「捺染後の捺染物上のCIELAB色空間で定義される」色相角∠H°及び明度Lとは、被記録媒体に白色度L値が85~95のポリエステル布帛を用いて、乾熱方式により180~210℃の温度で30~120秒間の熱転写を行うことで捺染した被記録媒体上の色から測定された色相角∠H°及び明度Lである。より具体的には、以下の試験方法によって測定される数値である。
【0020】
インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、商品名「PX-G930」)にインクを充填して、転写紙(Sappi社製、商品名「Transjet Sportsline」)に画像を形成させる。具体的には、横720dpi、縦720dpiの解像度で、100%Dutyのインク吐出量の場合にインク打ち込み量12mg/inchの条件で記録できる塗り潰しパターンを作製しこれを用いる。
【0021】
次に、画像が形成された転写紙の記録面と白色のポリエステル布帛(東レ株式会社製、商品名「SS-755 K-1」、白色度L値85~95)とを対向させ、ヒートプレス機(太陽精機株式会社製、商品名「TP-608M」)を用いて180~210℃の温度で30~120秒間、4.2N/cmの圧力で熱転写する。
【0022】
得られた評価サンプルを、分光測色器(商品名「FD-7」、コニカミノルタ株式会社製、測定条件:光源D65、フィルターD65、φ2度)を用いて求めたa値、b値から色相角∠H°、明度Lを算出する。なお、前記ポリエステル布帛の白色度Lについても同様に、分光測色器(商品名「FD-7」、コニカミノルタ株式会社製、測定条件:光源D65、フィルターD65、φ2度)を用いて測定する。
【0023】
本発明において「明度が低い」とは、捺染後の捺染物上のCIELAB色空間で定義される明度Lが30以下であることをいう。
【0024】
本発明において「色彩が異なる」とは、捺染後の捺染物上のCIELAB色空間で定義される色相角∠H°が20°以上異なることをいう。
【0025】
以下、本実施形態に係る捺染用インクジェットインクセットを構成する各インクの組成について説明する。
【0026】
1.1.第1のインク
本実施形態に係る捺染用インクジェットインクセットを構成する第1のインクは、捺染後の捺染物上のCIELAB色空間で定義される色相角∠H°が295°以上310°以下の範囲であり、かつ明度Lが5以上25以下の範囲であるインクである。第1のインクは、いわゆる濃紺色を呈するインクである。
【0027】
1.1.1.昇華染料
第1のインクは、昇華染料を含有する。第1のインクに含まれる昇華染料としては、例えば、C.I.ソルベントブルー36、105、C.I.ディスパースブルー19、26、26:1、35、56、58、64、72、81、91、95、108、359、360;C.I.ディスパースレッド4、11、53、55、59、60、65、70、75、146、154、190、191、207、239、C.I.バットレッド41;C.I.ソルベントイエロー145、C.I.ディスパースイエロー3、7、8、23、39、51、54、60、71、82、86、232、241;C.I.ソルベントオレンジ60、C.I.ディスパースオレンジ1、5、20、25、33、56、60、76;C.I.ソルベントバイオレット13、C.I.ディスパースバイオレット8、13、17、23、27、28、36、57;C.I.ディスパースブラウン27等が挙げられる。
【0028】
これらの昇華染料の中でも、C.I.ディスパースブルー72、C.I.ディスパースブルー359、C.I.ディスパースブルー360、C.I.ソルベントバイオレット13及びC.I.ディスパースバイオレット28から選択される1種以上と、C.I.ディスパースイエロー54、C.I.ディスパースイエロー232、C.I.ソルベントイエロー145、C.I.ディスパースオレンジ25、C.I.ソルベントオレンジ60及びC.I.ディスパースブラウン27から選択される1種以上と、を含むことが好ましい。これにより、捺染した捺染物上における色相角∠H°が295°以上310°以下の範囲であり、かつ明度Lが5以上25以下の範囲となる色を品質よく再現することができる。
【0029】
昇華染料の含有量は、第1のインク全体に対して、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは4質量%以上であり、特に好ましくは5質量%以上である。昇華染料の含有量は、第1インク全体に対して、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは9質量%以下であり、特に好ましくは8質量%以下である。昇華染料の含有量が前記範囲内にあると、捺染した捺染物上における色相角∠H°が295°以上310°以下の範囲であり、かつ明度Lが5以上25以下の範囲となる色を品質よく再現することができる傾向にある。
【0030】
1.1.2.分散剤
第1のインクは、昇華染料の分散安定性をより向上させ、インクの保存安定性、長期にわたる吐出安定性等を向上させる目的で、分散剤を含有することが好ましい。分散剤としては、例えば、アニオン系分散剤、ノニオン系分散剤、高分子分散剤が挙げられる。このなかでも、第1のインクは、アニオン系分散剤を含有することが好ましい。アニオン系分散剤を用いることにより、保存安定性がより向上し、被記録媒体として布帛を用いた場合の染着効率がより向上する傾向にある。
【0031】
アニオン系分散剤としては、特に限定されないが、例えば、ナフタレンスルホン酸縮合物、リグニンスルホン酸塩が挙げられる。なお、本実施形態において、「ナフタレンスルホン酸縮合物」には、ナフタレンスルホン酸縮合物の塩が含まれているものとする。上記ナフタレンスルホン酸縮合物としては、特に限定されないが、例えば、β-ナフトールスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸等のアルキルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物;β-ナフタレンスルホン酸、β-ナフトールスルホン酸のホルマリン縮合物;クレゾールスルホン酸と2-ナフトール-6-スルホン酸のホルマリン縮合物;及びこれらの塩が挙げられる。
【0032】
ナフタレンスルホン酸縮合物及びリグニンスルホン酸塩と塩を形成し得る、アニオンとしては、特に限定されないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属が挙げられる。このなかでも、ナトリウムが好ましい。このような塩を用いることにより、分散安定性がより向上する傾向にある。
【0033】
ノニオン系分散剤としては、特に限定されないが、例えば、フィトステロールのエチレンオキサイド付加物、コレスタノールのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0034】
高分子分散剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリアクリル酸部分アルキルエステル、ポリアルキレンポリアミン、ポリアクリル酸塩、スチレン-アクリル酸共重合物、ビニルナフタレン-マレイン酸共重合物等が挙げられる。
【0035】
これらの分散剤の中でも、第1のインクは、ナフタレンスルホン酸縮合物またはリグニンスルホン酸ナトリウムを含むことがより好ましい。このような分散剤を用いることにより、分散安定性がより優れ、被記録媒体として布帛を用いた場合の染着効率がより優れる傾向にある。
【0036】
分散剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0037】
分散剤の含有量は、第1のインクに含まれる昇華染料100質量部に対して、好ましくは50質量部以上150質量部以下であり、より好ましくは75質量部以上125質量部以下である。分散剤の含有量が前記範囲内であると、昇華染料の分散安定性がより向上する傾向にある。
【0038】
1.1.3.界面活性剤
第1のインクは、第1のインクの浸透性や濡れ性を調整し、捺染物の滲みを抑制させる目的で、界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、及びシリコン系界面活性剤が挙げられる。
【0039】
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール及び2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールのアルキレンオキサイド付加物、並びに2,4-ジメチル-5-デシン-4-オール及び2,4-ジメチル-5-デシン-4-オールのアルキレンオキサイド付加物から選択される1種以上が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、オルフィン104シリーズやオルフィンE1010等のEシリーズ(エアプロダクツ社(Air Products Japan, Inc.)製商品名)、サーフィノール465やサーフィノール61(日信化学工業社(Nissin Chemical Industry CO.,Ltd.)製商品名)などが挙げられる。
【0040】
アニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキルスルホカルボン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N-アシルアミノ酸及びその塩、N-アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。アニオン系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、ペレックスSS-H、ペレックスSS-L(以上商品名、花王株式会社製)などが挙げられる。
【0041】
シリコン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。シリコン系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、具体的には、BYK-306、BYK-307、BYK-333、BYK-341、BYK-345、BYK-346、BYK-347、BYK-348、BYK-349(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF-351A、KF-352A、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、KF-6020、X-22-4515、KF-6011、KF-6012、KF-6015、KF-6017(以上商品名、信越化学株式会社製)等が挙げられる。
【0042】
界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0043】
これらの界面活性剤の中でも、第1のインクは、アセチレングリコール系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤から選択される1種以上を含むことがより好ましい。このような界面活性剤を用いることで、第1のインクの浸透性や濡れ性をより適切に調整することができ、捺染物の滲みをより抑制させることができる場合がある。
【0044】
界面活性剤の含有量は、第1のインクの全体に対して、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以上であり、特に好ましくは0.5質量%以上である。界面活性剤の含有量は、第1のインクの全体に対して、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは1.5質量%以下であり、特に好ましくは1.0質量%以下である。界面活性剤の含有量が前記範囲内にあると、第1のインクの浸透性や濡れ性をより適切に調整することができ、捺染物の滲みをより抑制させることができる場合がある。
【0045】
1.1.4.水溶性有機溶剤
第1のインクは、水溶性有機溶剤を含むことが好ましい。水溶性有機溶剤を含むことにより、長期放置時によるインクジェットヘッドからの水分蒸発を効果的に抑制しつつ、第1のインクの浸透性を向上させ、捺染物の滲みを抑制できる場合がある。
【0046】
水溶性有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキシレングリコールのグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルのグリコールの低級アルキルエーテル類;グリセリン、2-ピロリドン、N-メチルピロリドン、などが挙げられる。このなかでも、グリセリン及びグリコール類からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。これにより、捺染物の滲みをより抑制できる傾向がある。
【0047】
水溶性有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0048】
水溶性有機溶剤の含有量は、第1のインクの全体に対して、好ましくは20質量%以上30質量%以下である。
【0049】
1.1.5.その他の成分
第1のインクは、上記成分以外の添加剤を含有してもよい。そのような添加剤の例を以下に示す。
<水>
第1のインクは、水を含有してもよい。水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。特に、紫外線照射又は過酸化水素の添加等によって滅菌した水を用いると、インクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができる。これにより貯蔵安定性がより向上する傾向にある。
【0050】
<防腐剤、防かび剤>
第1のインクは、防腐剤、防かび剤を含有してもよい。防腐剤、防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2-ジベンゾイソチアゾリン-3-オン(ゼネカ社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL.2、プロキセルTN、プロキセルLV)、4-クロロ-3-メチルフェノール(バイエル社のプリベントールCMK等)などが挙げられる。
【0051】
<その他>
さらに上記以外の成分として、例えば、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、溶解助剤など、インクジェット用のインクにおいて通常用いることができる添加剤を含有してもよい。
【0052】
1.2.第2のインク
本実施形態に係る捺染用インクジェットインクセットを構成する第2のインクは、捺染後の捺染物上のCIELAB色空間で定義される色相角∠H°が130°以上180°以下の範囲であり、かつ明度Lが15以上30以下の範囲であるインクである。第2のインクは、いわゆる濃緑色を呈するインクである。
【0053】
第2のインクは、昇華染料を含有する。第2のインクに含まれる昇華染料としては、例えば、C.I.ソルベントブルー36、105、C.I.ディスパースブルー19、26、26:1、35、56、58、64、72、81、91、95、108、359、360;C.I.ディスパースレッド4、11、53、55、59、60、65、70、75、146、154、190、191、207、239、C.I.バットレッド41;C.I.ソルベントイエロー145、C.I.ディスパースイエロー3、7、8、23、39、51、54、60、71、82、86、232、241;C.I.ソルベントオレンジ60、C.I.ディスパースオレンジ1、5、20、25、33、56、60、76;C.I.ソルベントバイオレット13、C.I.ディスパースバイオレット8、13、17、23、27、28、36、57;C.I.ディスパースブラウン27等が挙げられる。
【0054】
これらの昇華染料の中でも、C.I.ディスパースブルー72、C.I.ディスパースブルー359、C.I.ディスパースブルー360、C.I.ソルベントバイオレット13及びC.I.ディスパースバイオレット28から選択される1種以上と、C.I.ディスパースイエロー54、C.I.ディスパースイエロー232及びC.I.ソルベントイエロー145から選択される1種以上と、を含むことが好ましい。これにより、捺染した捺染物上における色相角∠H°が130°以上180°以下の範囲であり、かつ明度Lが15以上30以下の範囲となる色を品質よく再現することができる。
【0055】
昇華染料の含有量は、第2のインク全体に対して、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは4質量%以上であり、特に好ましくは5質量%以上である。昇華染料の含有量は、第2のインク全体に対して、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは9質量%以下であり、特に好ましくは8質量%以下である。これにより、捺染した捺染物上における色相角∠H°が130°以上180°以下の範囲であり、かつ明度Lが15以上30以下の範囲となる色を品質よく再現することができる傾向にある。
【0056】
第2のインクに含まれる昇華染料以外の成分については、上記第1のインクと同様である。
【0057】
1.3.第3のインク
本実施形態に係る捺染用インクジェットインクセットを構成する第3のインクは、捺染後の捺染物上のCIELAB色空間で定義される色相角∠H°が0°以上45°以下の範囲であり、かつ明度Lが15以上30以下の範囲であるインクである。第3のインクは、いわゆる濃橙色を呈するインクである。
【0058】
第3のインクは、昇華染料を含有する。第3のインクに含まれる昇華染料としては、例えば、C.I.ソルベントブルー36、105、C.I.ディスパースブルー19、26、26:1、35、56、58、64、72、81、91、95、108、359、360;C.I.ディスパースレッド4、11、53、55、59、60、65、70、75、146、154、190、191、207、239、C.I.バットレッド41;C.I.ソルベントイエロー145、C.I.ディスパースイエロー3、7、8、23、39、51、54、60、71、82、86、232、241;C.I.ソルベントオレンジ60、C.I.ディスパースオレンジ1、5、20、25、33、56、60、76;C.I.ソルベントバイオレット13、C.I.ディスパースバイオレット8、13、17、23、27、28、36、57;C.I.ディスパースブラウン27等が挙げられる。
【0059】
これらの昇華染料の中でも、C.I.ディスパースブルー72、C.I.ディスパースブルー359、C.I.ディスパースブルー360、C.I.ソルベントバイオレット13及びC.I.ディスパースバイオレット28から選択される1種以上と、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースレッド154、C.I.ディスパースレッド191、C.I.ディスパースブラウン27、C.I.ディスパースオレンジ25及びC.I.ソルベントオレンジ60から選択される1種以上と、を含むことが好ましい。これにより、捺染した捺染物上における色相角∠H°が0°以上45°以下の範囲であり、かつ明度Lが15以上30以下の範囲となる色を品質よく再現することができる。
【0060】
昇華染料の含有量は、第3のインク全体に対して、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは4質量%以上であり、特に好ましくは5質量%以上である。昇華染料の含有量は、第3のインク全体に対して、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは9質量%以下であり、特に好ましくは8質量%以下である。これにより、捺染した捺染物上における色相角∠H°が0°以上45°以下の範囲であり、かつ明度Lが15以上30以下の範囲となる色を品質よく再現することができる傾向にある。
【0061】
第3のインクに含まれる昇華染料以外の成分については、上記第1のインクと同様である。
【0062】
1.4.シアンインク
1.4.1.染料
本実施形態に係る捺染用インクジェットインクセットを構成するシアンインクは、昇華染料を含有する。シアンインクに含まれる昇華染料としては、例えば、C.I.ソルベントブルー36、105、C.I.ディスパースブルー19、26、26:1、35、56、58、64、72、81、91、95、108、359、360;C.I.ディスパースレッド4、11、53、55、59、60、65、70、75、146、154、190、191、207、239、C.I.バットレッド41;C.I.ソルベントイエロー145、C.I.ディスパースイエロー3、7、8、23、39、51、54、60、71、82、86、232、241;C.I.ソルベントオレンジ60、C.I.ディスパースオレンジ1、5、20、25、33、56、60、76;C.I.ソルベントバイオレット13、C.I.ディスパースバイオレット8、13、17、23、27、28、36、57;C.I.ディスパースブラウン27等が挙げられる。
【0063】
これらの昇華染料の中でも、C.I.ソルベントブルー36、105、C.I.ディスパースブルー19、26、26:1、35、56、58、64、72、81、91、95、108、359及びC.I.ディスパースブルー360から選択される1種以上を含むことが好ましい。
【0064】
昇華染料の含有量は、シアンインク全体に対して、好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上であり、特に好ましくは4質量%以上である。昇華染料の含有量は、シアンインク全体に対して、好ましくは7質量%以下であり、より好ましくは6質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下である。
【0065】
シアンインクに含まれる昇華染料以外の成分については、上記第1のインクと同様である。
【0066】
1.5.マゼンタインク
本実施形態に係る捺染用インクジェットインクセットを構成するマゼンタインクは、昇華染料を含有する。マゼンタインクに含まれる昇華染料としては、例えば、C.I.ソルベントブルー36、105、C.I.ディスパースブルー19、26、26:1、35、56、58、64、72、81、91、95、108、359、360;C.I.ディスパースレッド4、11、53、55、59、60、65、70、75、146、154、190、191、207、239、C.I.バットレッド41;C.I.ソルベントイエロー145、C.I.ディスパースイエロー3、7、8、23、39、51、54、60、71、82、86、232、241;C.I.ソルベントオレンジ60、C.I.ディスパースオレンジ1、5、20、25、33、56、60、76;C.I.ソルベントバイオレット13、C.I.ディスパースバイオレット8、13、17、23、27、28、36、57;C.I.ディスパースブラウン27等が挙げられる。
【0067】
これらの昇華染料の中でも、C.I.ディスパースレッド4、11、53、55、59、60、65、70、75、146、154、190、191、207、239及びC.I.バットレッド41から選択される1種以上を含むことが好ましい。
【0068】
昇華染料の含有量は、マゼンタインク全体に対して、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは4質量%以上であり、特に好ましくは5質量%以上である。昇華染料の含有量は、マゼンタインク全体に対して、好ましくは9質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下であり、特に好ましくは7質量%以下である。
【0069】
マゼンタインクに含まれる昇華染料以外の成分については、上記第1のインクと同様である。
【0070】
1.6.イエローインク
本実施形態に係る捺染用インクジェットインクセットを構成するイエローインクは、昇華染料を含有する。イエローインクに含まれる昇華染料としては、例えば、C.I.ソルベントブルー36、105、C.I.ディスパースブルー19、26、26:1、35、56、58、64、72、81、91、95、108、359、360;C.I.ディスパースレッド4、11、53、55、59、60、65、70、75、146、154、190、191、207、239、C.I.バットレッド41;C.I.ソルベントイエロー145、C.I.ディスパースイエロー3、7、8、23、39、51、54、60、71、82、86、232、241;C.I.ソルベントオレンジ60、C.I.ディスパースオレンジ1、5、20、25、33、56、60、76;C.I.ソルベントバイオレット13、C.I.ディスパースバイオレット8、13、17、23、27、28、36、57;C.I.ディスパースブラウン27等が挙げられる。
【0071】
これらの昇華染料の中でも、C.I.ソルベントイエロー145、C.I.ディスパースイエロー3、7、8、23、39、51、54、60、71、82、86、232及びC.I.ディスパースイエロー241から選択される1種以上を含むことが好ましい。
【0072】
昇華染料の含有量は、イエローインク全体に対して、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、特に好ましくは2.5質量%以上である。昇華染料の含有量は、イエローインク全体に対して、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは4質量%以下であり、特に好ましくは3質量%以下である。
【0073】
イエローインクに含まれる昇華染料以外の成分については、上記第1のインクと同様である。
【0074】
1.7.ブラックインク
本実施形態に係る捺染用インクジェットインクセットを構成するブラックインクは、昇華染料を含有する。ブラックインクに含まれる昇華染料としては、例えば、C.I.ソルベントブルー36、105、C.I.ディスパースブルー19、26、26:1、35、56、58、64、72、81、91、95、108、359、360;C.I.ディスパースレッド4、11、53、55、59、60、65、70、75、146、154、190、191、207、239、C.I.バットレッド41;C.I.ソルベントイエロー145、C.I.ディスパースイエロー3、7、8、23、39、51、54、60、71、82、86、232、241;C.I.ソルベントオレンジ60、C.I.ディスパースオレンジ1、5、20、25、33、56、60、76;C.I.ソルベントバイオレット13、C.I.ディスパースバイオレット8、13、17、23、27、28、36、57;C.I.ディスパースブラウン27等が挙げられる。
【0075】
これらの昇華染料の中でも、C.I.ソルベントブルー36、105、C.I.ディスパースブルー19、26、26:1、35、56、58、64、72、81、91、95、108、359及びC.I.ディスパースブルー360から選択される1種以上と、C.I.ディスパースレッド4、11、53、55、59、60、65、70、75、146、154、190、191、207、239及びC.I.バットレッド41から選択される1種以上と、C.I.ソルベントイエロー145、C.I.ディスパースイエロー3、7、8、23、39、51、54、60、71、82、86、232及びC.I.ディスパースイエロー241から選択される1種以上と、を含むことが好ましい。
【0076】
昇華染料の含有量は、ブラックインク全体に対して、好ましくは4質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、特に好ましくは6質量%以上である。昇華染料の含有量は、ブラックインク全体に対して、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは9質量%以下であり、特に好ましくは8質量%以下である。
【0077】
ブラックインクに含まれる昇華染料以外の成分については、上記第1のインクと同様である。
【0078】
1.8.インクの製造方法及び物性
本実施形態に係る捺染用インクジェットインクセットを構成する上記インクは、上記した各成分を、任意な順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。
【0079】
本実施形態に係る捺染用インクジェットインクセットを構成する上記インクは、捺染品質とインクジェット用インクとしての信頼性とのバランスの観点から、表面張力が20mN/m以上40mN/m以下であることが好ましく、より好ましくは22mN/m以上35mN/m以下である。また、同様の観点から、インクの20℃における粘度は、1.5mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2mPa・s以上8mPa・s以下である。表面張力及び粘度を前記範囲内とするには、上記した水溶性有機溶剤や界面活性剤の種類、及びこれらと水の添加量等を適宜調整すればよい。
【0080】
2.記録方法
上述の捺染用インクジェットインクセットは、被記録媒体を布帛等として直接に染色する方法であるダイレクト昇華捺染法や、昇華転写を利用した布帛等に対する染色方法である昇華転写捺染法に好適に適用することができる。本発明の一実施形態に係る記録方法は、上述の捺染用インクジェットインクセットを、インクジェット法により吐出して被記録媒体に対して記録を行う工程を含む。
【0081】
以下、本発明の上述の捺染用インクジェットインクセットを用いた記録方法の一例として、昇華転写を利用した染色方法について説明する。
【0082】
昇華転写を利用した染色方法としては、例えば、紙等のシート状の中間転写媒体(転写紙)に、昇華染料を含むインクを用いてインクジェット方式による印刷を行った後、布帛等の被記録媒体に中間転写媒体を重ねて、加熱により昇華転写する方法がある。
【0083】
2.1.付着工程
本実施形態に係る記録方法は、インクジェット法を用いて、上述の捺染用インクジェットインクを記録ヘッドから吐出して中間転写媒体(転写紙)の記録面に付着させる付着工程を含むことが好ましい。インクジェット法によるインクの吐出は、液滴吐出装置(例えば後述のインクジェット記録装置)を用いて行うことができる。
【0084】
中間転写媒体(転写紙)としては、例えば、普通紙等の紙、インク受容層が設けられた記録媒体(インクジェット用専用紙、コート紙等で呼称される)等を用いることができるが、シリカ等の無機粒子でインク受容層が設けられた紙がより好ましい。これにより、中間転写媒体に付与されたインクが乾燥する過程で、記録面に滲み等が抑制された中間記録物を得ることができる。また、このような中間転写媒体であれば、さらに記録面の表面に昇華染料を留めやすく、後の転写工程において、昇華染料の昇華をより効率的に行うことができる。
【0085】
なお、厚みの薄い中間転写媒体(転写紙)は、インクの受容量が少ないため、そのような転写紙を用いた場合には、画像形成部位に着弾するインクの液量が多いことによる弊害が顕著となる。しかしながら、本実施形態に係る記録方法によれば、上述の捺染用インクジェットインクセットを用いるので、明度の低い特定の有彩色画像を形成する場合であっても画像形成部位に着弾するインクの液量を低減することができる。そのため、厚みの薄い転写紙を用いた場合でも、好適に明度の低い特定の有彩色画像を形成することができる。また、厚みの薄い転写紙を用いることで、転写紙にかかる資源を節約でき、コストも削減することができる。
【0086】
本工程では、それぞれ複数種の上述した捺染用インクジェットインクを用いてもよい。
【0087】
2.2.加熱工程
本実施形態に係る記録方法は、付着工程の後に転写紙を加熱する加熱工程を含むことが好ましい。加熱工程は、上述した捺染用インクジェットインクを転写紙(中間記録媒体)へ吐出した後に加熱する工程である。加熱工程を行うことにより、付着工程で付着されたインクの乾燥が促進され、画像の滲みが抑制されるとともに、裏移りも抑制される場合がある。なお、「裏移り」とは、例えば、転写紙がロールで巻き取られる等、重ねられる場合に、記録面に接した裏面に対してインクの成分が移動する現象を指す。
【0088】
加熱工程における転写紙の到達温度は、好ましくは60℃以上であり、より好ましくは70℃以上120℃以下であり、特に好ましくは70℃以上110℃以下である。このような範囲であれば、昇華染料が昇華しにくく、かつ良好な乾燥速度を得ることができる。
【0089】
2.3.その他の工程
本実施形態に係る記録方法は、付着工程で、記録ヘッド及び転写紙の少なくとも一方を加熱する前加熱工程を含んでもよい。さらに、本実施形態に係る記録方法は、転写紙の記録面に布帛を配置する工程、及び、転写紙及び布帛を加熱する工程、を含んでもよい。
【0090】
前加熱工程としては、例えば、輻射熱により記録ヘッドを加温する工程である。上述の捺染用インクジェットインクセットによれば、記録ヘッドが加温されるような場合においてもノズル目詰まりを抑制することができ、吐出安定性を確保することができる。インクを吐出させる際の加熱温度は、例えば、30~60℃が好ましく、より好ましくは40~60℃である。
【0091】
前加熱工程において、転写紙を加熱してもよい。このようにすれば、上述のような捺染用インクジェットインクが加温された転写紙に付着することになるため、付着後、すみやかに乾燥しやすくなり画像の滲みや裏移りをさらに抑制することができる。転写紙の表面温度は、例えば、30~60℃が好ましく、より好ましくは35~50℃であり、特に好ましくは35~45℃である。
【0092】
本実施形態に係る記録方法は、インクが付与された中間転写媒体(転写紙)の記録面を、被染色物(被記録媒体:布帛等)と対向させた状態、すなわち転写紙の記録面に布帛等を配置した状態、で加熱し、上述の捺染用インクジェットインクに含まれる昇華染料を被染色物に転写させる工程を含んでもよい。これにより、布帛等を被染色物とした染色物が得られる。
【0093】
転写工程での加熱温度は、特に規定されるものではないが、160℃以上220℃以下、好ましくは170℃以上200℃以下である。これにより、昇華染料を被染色物に転写させるのに十分なエネルギーを与えることができ、染色物の生産性を優れたものとすることができる。
【0094】
転写工程での加熱時間は、加熱温度にもよるが、30秒以上90秒以下、好ましくは45秒以上60秒以下である。これにより、昇華染料を被染色物に転写させるのに十分なエネルギーを得ることができ、染色物の生産性を特に優れたものとすることができる。
【0095】
また、転写工程は、上述の捺染用インクジェットインクが付与された中間転写媒体を、被染色物と対向させた状態で加熱することにより行えばよいが、中間転写媒体と被染色物とを密着させた状態で加熱することにより行うことがより好ましい。これにより、例えば、より鮮明な画像を布帛等に記録する(染色する)ことができる。
【0096】
被染色物としては、例えば、布帛(疎水性繊維布帛等)、樹脂(プラスチック)フィルム等のシート状の物が好適に用いられるが、シート状以外の球状、直方体形状等の立体的な形状を有する物を用いてもよい。
【0097】
また、被染色物としては、例えば、樹脂、プラスチックで構成されたもののほか、ガラス、金属、陶磁器を用いてもよい。被染色物としての布帛を構成する繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維、ポリアミド繊維及びこれらの繊維を2種以上用いた混紡品等が挙げられる。また、これらとレーヨン等の再生繊維あるいは木綿、絹、羊毛等の天然繊維との混紡品を用いてもよい。
【0098】
また、被染色物としての樹脂(プラスチック)フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム等が挙げられる。樹脂(プラスチック)フィルムは、複数の層が積層された積層体であってもよいし、材料の組成が傾斜的に変化する傾斜材料で構成されたものであってもよい。
【0099】
3.記録装置
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置は、上述の捺染用インクジェットインクセットを構成するインクをそれぞれ収容するインク容器を備えるものである。本実施形態に係るインクジェット記録装置は、上述の捺染用インクジェットインクを収容するインク容器(カートリッジ、タンク等)及びこれに接続される記録ヘッドを少なくとも有し、インクを記録ヘッドから吐出して中間転写媒体(転写紙等)または被記録媒体に画像を形成することができれば、特に限定されない。
【0100】
3.1.装置構成
本実施形態に係るインクジェット記録装置としては、シリアル型及びライン型のいずれでも使用することができる。これらの型のインクジェット記録装置には、記録ヘッドが搭載されており、転写紙と記録ヘッドとの相対的な位置関係を変化させながら、記録ヘッドのノズル孔からインクの液滴を所定のタイミングで(間欠的に)かつ所定の体積(質量)で吐出させ、転写紙にインクを付着させて所定の画像を形成することができる。
【0101】
ここで一般に、シリアル型のインクジェット記録装置では、中間転写媒体(転写紙)の搬送方向と、記録ヘッドの往復動作の方向が交差しており、記録ヘッドの往復動作と中間転写媒体の搬送動作(往復動作も含む)との組み合わせによって、中間転写媒体と記録ヘッドとの相対的な位置関係を変化させる。またこの場合、一般的には、記録ヘッドには複数のノズル孔(インクを吐出する孔)が配置され、中間転写媒体の搬送方向に沿ってノズル孔の列(ノズル列)が形成されている。また、記録ヘッドには、インクの種類や数に応じて、複数のノズル列が形成される場合もある。
【0102】
また、一般に、ライン型のインクジェット記録装置では、記録ヘッドは往復動作を行わず、中間転写媒体の搬送によって中間転写媒体と記録ヘッドとの相対的な位置関係を変化させて、中間転写媒体と記録ヘッドとの相対的な位置関係を変化させる。この場合においても、一般的には、記録ヘッドには、ノズル孔が複数配置され、中間転写媒体の搬送方向に交差する方向に沿って該ノズル孔の列(ノズル列)が形成されている。
【0103】
インクジェット記録方式は、シリアル型又はライン型のインクジェット記録装置を用いるものであるが、方式としては、インクを微細なノズル孔より液滴として吐出して該液滴を中間転写媒体に付着させることができれば、特に制限されない。例えば、液滴吐出方式(インクジェット法の方式)としては、ピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式等を用いることができるが、インクの変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
【0104】
本実施形態に係るインクジェット記録装置には、例えば、加熱ユニット、乾燥ユニット、ロールユニット、巻き取り装置などの公知の構成を制限無く採用することができる。
【0105】
以下に、本実施形態に係る記録装置の一例を述べる。図1に、一実施形態に係るインクジェット記録装置の概略断面図を示す。図1に示すように、記録装置1は、記録ヘッド2と、IRヒーター3と、プラテンヒーター4と、アフターヒーター5と、冷却ファン6と、プレヒーター7と、通気ファン8と、を備えている。
【0106】
記録ヘッド2は転写紙に対しインクを吐出するものである。記録ヘッド2としては、従来公知の方式を使用できる。公知の方式の一例としては、例えば、圧電素子の振動を利用して液滴を吐出するもの、即ち電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するヘッドが挙げられる。記録ヘッド2は、例えば、一つのノズルからインクのドットをマルチサイズに吐出出来るものである。
【0107】
上述の加熱工程では、付着工程の後に転写紙を加熱するが、かかる工程は、記録装置1では、アフターヒーター5によって行うことができる。また、図示しないが、温風機構(不図示)、及び恒温槽(不図示)などの手段を用いてもよい。アフターヒーター5は、インクが付着した転写紙を、加熱して乾燥するものである。アフターヒーター5は、画像が記録された転写紙を加熱することにより、インク中に含まれる水分などがより速やかに蒸発飛散させ、これにより滲み等が抑制される。アフターヒーター5は、好ましくは70℃以上であり、さらに好ましくは70℃以上110℃以下に転写紙を加熱する。
【0108】
上述の前加熱工程では、記録ヘッド及び転写紙の少なくとも一方を加熱するが、かかる工程は、記録装置1では、記録ヘッド2を直接加熱するIRヒーター3や、転写紙及び転写紙を介して記録ヘッド2を加熱するプラテンヒーター4によって行うことができる。
【0109】
IRヒーター3を用いると、記録ヘッド2側から転写紙を加熱することもできる。これにより、記録ヘッド2も同時に加熱されやすいが、プラテンヒーター4など転写紙の裏面から加熱される場合と比べて、転写紙の厚みの影響を受けずに昇温することができる。また、プラテンヒーター4を用いると、記録ヘッド2側と反対側から転写紙を加熱することができる。これにより、記録ヘッド2が比較的加熱されにくくなる。
【0110】
記録装置1は、転写紙に対しインクが吐出される際に、転写紙の表面温度は30~60℃程度となるように加熱する転写紙加熱手段をさらに備えることが好ましい。より好ましい温度は35~50℃であり、特に好ましくは35~45℃である。転写紙加熱手段としては、特に限定されないが、例えば、IRヒーター3、プラテンヒーター4が挙げられる。転写紙加熱手段を有することにより、転写紙に付着したインクをより速やかに乾燥し、画像のにじみを一層抑制することができる。
【0111】
なお、上記の「転写紙を加熱」するとは、転写紙の温度を所望の温度まで上昇させることを言い、転写紙を直接加熱することに限られない。記録装置1は、冷却ファン6を有していてもよい。乾燥後、冷却ファン6により転写紙上のインクを冷却することにより、転写紙上に密着性よく被膜を形成することができる傾向にある。
【0112】
また、記録装置1は、転写紙に対しインクが吐出される前に、転写紙を予め加熱する(プレ加熱する)プレヒーター7を備えていてもよい。さらに、記録装置1は、転写紙に付着したインクがより効率的に乾燥するように通気ファン8を備えていてもよい。
【0113】
3.2.インク容器の配列
以下に、本実施形態に係る記録装置が有する、上述の捺染用インクジェットインクを収容するインク容器の一例を述べる。図2図4に、本実施形態の一例に係るインクジェット記録装置の概略図を示す。図2図4に示すように、記録装置1は、液体収容ユニット9と、インク容器10と、上蓋11と、キャップ部材12と、インク注入口13と、を備えている。
【0114】
図2に示すように、液体収容ユニット9は、上述の捺染用インクジェットインクのうちいずれかのインクを収容するインク容器10を有する。
【0115】
インク容器10は、箱型形状の中空容器である。インク容器10のZ(+)方向側には、インク注入口13とキャップ部材12とが設けられている。キャップ部材12は、インク注入口13に挿入され、インク容器10の中に収容されるインクへの異物侵入やインクの乾燥を防止する。さらに、インク容器10には大気連通孔(図示省略)が設けられ、インク容器10の中は大気圧に維持されている。ユーザーは、インク容器10に収容されるインクが少なくなると、キャップ部材12を取り外し、インク容器10の中にインクを補充する。
【0116】
図2図4に示すインクジェット記録装置のように、インク容器は、インクを補充するためのインク注入口を有するものであることが好ましい。インク注入口を有するものであれば、インク容器に直接インクを補充することができるので経済的であり、消耗品や包装材に関わる資源消費量を低減できるので低環境負荷となる。その一方で、インク注入口を有するインク容器にインクを補充する際、ユーザーが誤った容器に補充してしまったり、インクが飛び散ったり、容器から溢れたりする恐れがある。そのため、本実施形態に係るインクジェット記録装置は、上述の捺染用インクジェットインクを収容するインク容器が以下に示すような特定の配列であることが好ましい。
【0117】
本実施形態に係るインクジェット記録装置が有するインク容器の配列としては、第1のインクを収容するインク容器とブラックインクを収容するインク容器とが隣り合う位置に配置される配列、第1のインクを収容するインク容器とシアンインクを収容するインク容器とが隣り合う位置に配置される配列、第1のインクを収容するインク容器とイエローインクを収容するインク容器とが隣り合う位置に配置される配列、の少なくとも何れかであることが好ましい。
【0118】
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置が有するインク容器の配列としては、第2のインクを収容するインク容器とブラックインクを収容するインク容器とが隣り合う位置に配置される配列、第2のインクを収容するインク容器とシアンインクを収容するインク容器とが隣り合う位置に配置される配列、第2のインクを収容するインク容器とイエローインクを収容するインク容器とが隣り合う位置に配置される配列、の少なくとも何れかであることが好ましい。
【0119】
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置が有するインク容器の配列としては、第3のインクを収容するインク容器とブラックインクを収容するインク容器とが隣り合う位置に配置される配列、第3のインクを収容するインク容器とシアンインクを収容するインク容器とが隣り合う位置に配置される配列、第3のインクを収容するインク容器とマゼンタインクを収容するインク容器とが隣り合う位置に配置される配列、の少なくとも何れかであることが好ましい。
【0120】
このような、インク容器に収容される、互いに類似する色のインク同士を隣り合う位置に配置させる配列であると、インク注入口を有するインク容器にインクを補充する際、インクが飛び散ったり、容器から溢れたりし、隣りあう位置に配置された容器に少量混入してしまい容器内で混色してしまう場合であっても、インク色の変動を低減することができる。
【0121】
また、本実施形態のインクジェット記録装置が有するインク容器の配列としては、第1のインクを収容するインク容器とマゼンタインクを収容するインク容器とが隣り合わない位置に配置される配列、第2のインクを収容するインク容器とマゼンタインクを収容するインク容器とが隣り合わない位置に配置される配列、第3のインクを収容するインク容器とイエローインクを収容するインク容器とが隣り合わない位置に配置される配列、の少なくとも何れかであることが好ましい。
【0122】
このような、インク容器に収容される、互いに混色すると色の変動が大きいインク同士を隣り合わない位置に配置させる配列であると、インク注入口を有するインク容器にインクを補充する際、インクが飛び散ったり、容器から溢れたりし、隣りあう位置に配置された容器に混入してしまう場合であったとしても、色の変動が大きい混色の可能性を低減することができる。
【0123】
さらに、本実施形態のインクジェット記録装置が有するインク容器の配列として、第1のインクを収容するインク容器とブラックインクを収容するインク容器とが隣り合わない位置に配置される配列、第2のインクを収容するインク容器とブラックインクを収容するインク容器とが隣り合わない位置に配置される配列、第3のインクを収容するインク容器とブラックインクを収容するインク容器とが隣り合わない位置に配置される配列、の少なくとも何れかであることが好ましい。
【0124】
このような、インク容器に収容される、互いに類似する色のインク同士を隣り合わない位置に配置させる配列であると、インクを補充する際に誤った容器に補充してしまう可能性を低減することができる。
【0125】
4.実施例
以下、本発明を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【0126】
4.1.捺染用インクジェットインクの調製
表1の組成になるように各成分を容器に入れて、マグネチックスターラーで2時間混合及び攪拌した後、孔径1μmのメンブランフィルターで濾過することで、実施例1~8及び比較例に用いるC、M、Y,Kの各捺染用インクジェットインクを得た。なお、表1中の数値は、質量%を示し、イオン交換水は捺染用インクジェットインクの全質量が100質量%となるように添加した。また、表1中、「C」はシアンインク、「M」はマゼンタインク、「Y」はイエローインク、「K」はブラックインクをそれぞれ表す。
【0127】
【表1】
【0128】
表1中、化合物名以外で記載した物質は以下の通りである。
・BYK348(商品名、ビックケミージャパン社製、ポリエーテル変性オルガノシロキサン)
・プロキセルXL2(商品名、Lonza社製、防腐剤、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン)
【0129】
4.2.評価方法
4.2.1.印捺物の色相角及び明度の評価
表1に記載のインクを用いて、捺染物の色相角∠H°及び明度Lを以下の通り評価した。インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、商品名「PX-G930」)に表1に記載のインクを充填して、転写紙(Sappi社製、商品名「Transjet Sportsline」)に画像を形成した。具体的には、横720dpi、縦720dpiの解像度で、100%Dutyのインク吐出量の場合にインク打ち込み量12mg/inchの条件で記録できる塗り潰しパターンを作製しこれを用いた。
【0130】
次に、画像が形成された転写紙の記録面と白色のポリエステル布帛(東レ株式会社製、商品名「SS-755 K-1」、白色度L値89)とを対向させ、ヒートプレス機(太陽精機株式会社製 商品名「TP-608M」)を用いて200℃の温度で60秒間、4.2N/cmの圧力で熱転写した。
【0131】
得られた評価サンプルを、分光測色器(商品名「FD-7」、コニカミノルタ株式会社製、測定条件:光源D65、フィルターD65、φ2度)を用いて求めたa値、b値から色相角∠H°、明度Lを算出した。なお、各布帛の白色度Lについても同様に、分光測色器(商品名「FD-7」、コニカミノルタ株式会社製、測定条件:光源D65、フィルターD65、φ2度)を用いて測定した。表2に、各例において測定された色相角∠H°及び明度Lの値を示す。
【0132】
4.2.2.耐擦性評価
上記「4.2.1.印捺物の色相角及び明度の評価」と同様の方法で、同様パターンの印捺物を得た。その後、室温(25℃)条件下の実験室にて1時間放置した記録物の記録面を学振型摩擦堅牢度試験機「AB-301」(商品名、テスター産業株式会社製)を用いて、荷重200g下、綿布にて20回擦ったときの記録面の剥がれ状態や綿布へのインク移り状態を確認することにより、耐擦性を評価した。その評価基準を以下に示す。評価結果を表2に示す。
(評価基準)
A:色移り、剥離が認められなかった。
B:色移り、剥離が若干認められた。
C:色移り、剥離がかなり認められた。
【0133】
4.2.3.にじみ評価
上記「4.2.1.印捺物の色相角及び明度の評価」と同様の方法で、各色ベタパターンを隣接するように印捺し、境界部のにじみを目視で観察することで、にじみを評価した。なお、この評価は室温(25℃)条件下の実験室で行った。その評価基準を以下に示す。評価結果を表2に示す。
(評価基準)
A:境界部のにじみが認められなかった。
B:境界部のにじみが若干認められた。
C:境界部のにじみがかなり認められた。
【0134】
4.2.4.転写ムラ評価
インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、商品名「PX-G930」)にインクを充填して、転写紙(Sappi社製、商品名「Transjet Sportsline」)に画像を形成した。具体的には、横720dpi、縦720dpiの解像度で、100%Dutyのインク吐出量の場合にインク打ち込み量12mg/inchの条件で記録できる塗り潰しパターンをA4サイズで作製しこれを用いた。
【0135】
次に、画像が形成された転写紙の記録面と白色のポリエステル布帛(東レ株式会社製、商品名「SS-755 K-1」、白色度L値89)とを対向させ、ヒートプレス機(太陽精機株式会社製 商品名「TP-608M」)を用いて200℃の温度で60秒間、4.2N/cmの圧力で熱転写した。
【0136】
このとき、転写ムラの発生度合いを目視で観察することで、転写ムラを評価した。その評価基準を以下に示す。評価結果を表2に示す。
(評価基準)
A:転写後の色ムラが認められなかった。
B:転写後の色ムラが若干認められた。
C:転写後の色ムラがかなり認められた。
【0137】
4.2.5.裏移り性評価
上記「4.2.1.印捺物の色相角及び明度の評価」と同様の方法で、同様パターンの印捺物を得た。そして、印捺後10秒後に、記録メディアと同じメディアを印刷物の上に載せて500gの荷重をかけ10分静置した。静置後に上に乗せたメディアの色移りを目視で観察することで、裏移り性を評価した。その評価基準を以下に示す。評価結果を表2に示す。
(評価基準)
A:裏移りなかった。
B:わずかに色移りがあった。
C:色移りがかなり認められた。
【0138】
4.3.評価結果
各実施例及び各比較例で使用したインク種及び評価結果を表2に示す。
【0139】
【表2】
【0140】
上記評価結果から、以下のことが判明した。
【0141】
(1)実施例1~4のインク(第1のインク)は、当該インクを単独で使用した場合であっても、色相角∠H°を295°以上310°以下の範囲、かつ明度Lを5以上25以下の範囲とすることができた。
【0142】
また、実施例5,6のインク(第2のインク)は、当該インクを単独で使用した場合であっても、色相角∠H°を130°以上180°以下の範囲、かつ明度Lを15以上30以下の範囲とすることができた。
【0143】
さらに、実施例7,8のインク(第3のインク)は、当該インクを単独で使用した場合であっても、色相角∠H°を0°以上45°以下の範囲、かつ明度Lを15以上30以下の範囲とすることができた。
【0144】
これらのことから、実施例のインクセットは、色相角∠H°が295°以上310°以下の範囲で明度Lが5以上25以下の範囲の色、及び、色相角∠H°が130°以上180°以下の範囲で明度Lが15以上30の範囲の色、及び、色相角∠H°が0°以上45°以下の範囲で明度Lが15以上30以下の範囲の色、をそれぞれ単独のインクで容易に表現できることが分かった。そして、単独のインクで上記のような暗色を表現できることにより、明度の低い有彩色画像を印捺する際に、プロセスカラーのみの場合と比較して、インクの吐出量を少なくできることが判明した。
【0145】
そのため、各実施例の捺染物は、いずれも耐擦性、にじみ、転写ムラ及び裏移り性に優れることが判明した。
【0146】
(2)これに対して、特色インクを使用しない比較例では、色相角∠H°が295°以上310°以下の範囲で明度Lが5以上25以下の範囲の色、及び、色相角∠H°が130°以上180°以下の範囲で明度Lが15以上30の範囲の色、及び、色相角∠H°が0°以上45°以下の範囲で明度Lが15以上30以下の範囲の色、を表現する場合には、インクの混色が必要であることが分かった。すなわち、明度の低い有彩色画像を印捺する際には、実施例のインクを用いない場合と比較して、インクの吐出量が多くなっている。そのため、各比較例の印捺物は、いずれも耐擦性、にじみ、転写ムラ及び裏移り性に劣っていた。
【0147】
上述した実施形態から以下の内容が導き出される。
【0148】
捺染用インクジェットインクセットの一態様は、
シアンインクと、マゼンタインクと、イエローインクと、ブラックインクと、第1のインク、第2のインク及び第3のインクから選択される1種以上と、を備えた捺染用インクジェットインクセットであって、前記捺染用インクジェットインクセットを構成する全てのインクが、それぞれ昇華染料を含み、前記第1のインクは、捺染後の捺染物上のCIELAB色空間で定義される色相角∠H°が295°以上310°以下の範囲であり、かつ明度Lが5以上25以下の範囲であり、前記第2のインクは、捺染後の捺染物上のCIELAB色空間で定義される色相角∠H°が130°以上180°以下の範囲であり、かつ明度Lが15以上30以下の範囲であり、前記第3のインクは、捺染後の捺染物上のCIELAB色空間で定義される色相角∠H°が0°以上45°以下の範囲であり、かつ明度Lが15以上30以下の範囲である。
【0149】
前記捺染用インクジェットインクセットの一態様において、
前記第1のインクが、前記昇華染料として、C.I.ディスパースブルー72、C.I.ディスパースブルー359、C.I.ディスパースブルー360、C.I.ソルベントバイオレット13及びC.I.ディスパースバイオレット28から選択される1種以上と、C.I.ディスパースイエロー54、C.I.ディスパースイエロー232、C.I.ソルベントイエロー145、C.I.ディスパースオレンジ25、C.I.ソルベントオレンジ60及びC.I.ディスパースブラウン27から選択される1種以上と、を含んでもよい。
【0150】
前記捺染用インクジェットインクセットのいずれかの態様において、
前記第1のインクに含まれる前記昇華染料の合計の含有量は、前記第1のインクの全質量に対して、3質量%以上8質量%以下であってもよい。
【0151】
前記捺染用インクジェットインクセットのいずれかの態様において、
前記第2のインクが、前記昇華染料として、C.I.ディスパースブルー72、C.I.ディスパースブルー359、C.I.ディスパースブルー360、C.I.ソルベントバイオレット13及びC.I.ディスパースバイオレット28から選択される1種以上と、C.I.ディスパースイエロー54、C.I.ディスパースイエロー232及びC.I.ソルベントイエロー145から選択される1種以上と、を含んでもよい。
【0152】
前記捺染用インクジェットインクセットのいずれかの態様において、
前記第2のインクに含まれる前記昇華染料の合計の含有量は、前記第2のインクの全質量に対して、3質量%以上10質量%以下であってもよい。
【0153】
前記捺染用インクジェットインクセットのいずれかの態様において、
前記第3のインクが、前記昇華染料として、C.I.ディスパースブルー72、C.I.ディスパースブルー359、C.I.ディスパースブルー360、C.I.ソルベントバイオレット13及びC.I.ディスパースバイオレット28から選択される1種以上と、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースレッド154、C.I.ディスパースレッド191、C.I.ディスパースブラウン27、C.I.ディスパースオレンジ25及びC.I.ソルベントオレンジ60から選択される1種以上と、を含んでもよい。
【0154】
前記捺染用インクジェットインクセットのいずれかの態様において、
前記第3のインクに含まれる前記昇華染料の合計の含有量は、前記第3のインクの全質量に対して、3質量%以上10質量%以下であってもよい。
【0155】
前記捺染用インクジェットインクセットのいずれかの態様において、
前記捺染用インクジェットインクセットを構成する全てのインクが、アニオン系分散剤、グリセリン、グリコール類及び界面活性剤を含んでもよい。
【0156】
前記捺染用インクジェットインクセットのいずれかの態様において、
前記アニオン系分散剤が、ナフタレンスルホン酸縮合物またはリグニンスルホン酸ナトリウムであってもよい。
【0157】
前記捺染用インクジェットインクセットのいずれかの態様において、
前記界面活性剤が、アセチレングリコール系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤から選択される1種以上であってもよい。
【0158】
前記捺染用インクジェットインクセットのいずれかの態様において、
前記界面活性剤の含有量が、インクの全質量に対して、0.1質量%以上2.0質量%以下の範囲であってもよい。
【0159】
インクジェット記録方法の一態様は、
上述の捺染用インクジェットインクセットを、インクジェット法により吐出して被記録媒体に対して記録を行う。
【0160】
インクジェット記録装置の一態様は、
上述の捺染用インクジェットインクセットを構成するインクをそれぞれ収容するインク容器を備える。
【0161】
前記インクジェット記録装置の一態様において、
前記インク容器が、インクを補充するためのインク注入口を有し、前記第1のインクを収容するインク容器と、前記ブラックインクを収容するインク容器とが、隣り合う位置に配置されてもよい。
【0162】
前記インクジェット記録装置のいずれかの一態様において、
前記インク容器が、インクを補充するためのインク注入口を有し、前記第1のインクを収容するインク容器と、前記シアンインクを収容するインク容器とが、隣り合う位置に配置されてもよい。
【0163】
前記インクジェット記録装置のいずれかの一態様において、
前記インク容器が、インクを補充するためのインク注入口を有し、前記第1のインクを収容するインク容器と、前記イエローインクを収容するインク容器とが、隣り合う位置に配置されてもよい。
【0164】
前記インクジェット記録装置のいずれかの一態様において、
前記インク容器が、インクを補充するためのインク注入口を有し、前記第1のインクを収容するインク容器と、前記マゼンタインクを収容するインク容器とが、隣り合わない位置に配置されてもよい。
【0165】
前記インクジェット記録装置のいずれかの一態様において、
前記インク容器が、インクを補充するためのインク注入口を有し、前記第2のインクを収容するインク容器と、前記ブラックインクを収容するインク容器とが、隣り合う位置に配置されてもよい。
【0166】
前記インクジェット記録装置のいずれかの一態様において、
前記インク容器が、インクを補充するためのインク注入口を有し、前記第2のインクを収容するインク容器と、前記シアンインクを収容するインク容器とが、隣り合う位置に配置されてもよい。
【0167】
前記インクジェット記録装置のいずれかの一態様において、
前記インク容器が、インクを補充するためのインク注入口を有し、前記第2のインクを収容するインク容器と、前記イエローインクを収容するインク容器とが、隣り合う位置に配置されてもよい。
【0168】
前記インクジェット記録装置のいずれかの一態様において、
前記インク容器が、インクを補充するためのインク注入口を有し、前記第2のインクを収容するインク容器と、前記マゼンタインクを収容するインク容器とが、隣り合わない位置に配置されてもよい。
【0169】
前記インクジェット記録装置のいずれかの一態様において、
前記インク容器が、インクを補充するためのインク注入口を有し、前記第3のインクを収容するインク容器と、前記ブラックインクを収容するインク容器とが、隣り合う位置に配置されてもよい。
【0170】
前記インクジェット記録装置のいずれかの一態様において、
前記インク容器が、インクを補充するためのインク注入口を有し、前記第3のインクを収容するインク容器と、前記シアンインクを収容するインク容器とが、隣り合う位置に配置されてもよい。
【0171】
前記インクジェット記録装置のいずれかの一態様において、
前記インク容器が、インクを補充するためのインク注入口を有し、前記第3のインクを収容するインク容器と、前記マゼンタインクを収容するインク容器とが、隣り合う位置に配置されてもよい。
【0172】
前記インクジェット記録装置のいずれかの一態様において、
前記インク容器が、インクを補充するためのインク注入口を有し、前記第3のインクを収容するインク容器と、前記イエローインクを収容するインク容器とが、隣り合わない位置に配置されてもよい。
【0173】
前記インクジェット記録装置のいずれかの一態様において、
前記インク容器が、インクを補充するためのインク注入口を有し、前記第1のインクを収容するインク容器と、前記ブラックインクを収容するインク容器とが、隣り合わない位置に配置されてもよい。
【0174】
前記インクジェット記録装置のいずれかの一態様において、
前記インク容器が、インクを補充するためのインク注入口を有し、前記第2のインクを収容するインク容器と、前記ブラックインクを収容するインク容器とが、隣り合わない位置に配置されてもよい。
【0175】
前記インクジェット記録装置のいずれかの一態様において、
前記インク容器が、インクを補充するためのインク注入口を有し、前記第3のインクを収容するインク容器と、前記ブラックインクを収容するインク容器とが、隣り合わない位置に配置されてもよい。
【0176】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0177】
1…記録装置、2…記録ヘッド、3…IRヒーター、4…プラテンヒーター、5…アフターヒーター、6…冷却ファン、7…プレヒーター、8…通気ファン、9…液体収容ユニット、10…インク容器、11…上蓋、12…キャップ部材、13…インク注入口
図1
図2
図3
図4