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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】液体供給装置及び液体供給システム
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20240806BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20240806BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B05C11/10
B41J2/175 131
B05C5/00 101
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020111044
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022010440
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冠城 光男
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-034336(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0016510(US,A1)
【文献】特開2002-355989(JP,A)
【文献】特開平10-129003(JP,A)
【文献】特開平09-123473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00 -21/00
B41J 2/01,
2/165- 2/20,
2/21 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出装置に液体を供給する液体供給装置において、
前記液体を貯留する液体タンクと、
前記液体タンクの補充位置に人が手に持って取り扱うことが可能な補充容器を装填し、前記液体を補充する搬送部と
前記補充容器を受け取り位置から前記補充位置に搬送し、前記補充位置において、排出口を下方に向けて前記補充容器を装填するように前記搬送部を制御する制御装置とを備え、
前記補充位置に前記補充容器の排出口を開口させる開口処理部を備えることを特徴とする液体供給装置。
【請求項2】
複数の補充容器を保管する保管部を備え、
前記搬送部は、前記保管部の前記補充容器を前記液体タンクに搬送することを特徴とする請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記液体タンクの液体残量に応じて、前記搬送部が前記保管部の前記補充容器を前記補充位置に装填するように制御することを特徴とする請求項2に記載の液体供給装置。
【請求項4】
前記補充容器の排出口は、前記搬送部による前記補充位置への装填時に生じる押圧力を受けて開口可能な構造を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の液体供給装置。
【請求項5】
前記搬送部は、前記補充容器の運搬経路中のいずれかの位置で撹拌動作を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の液体供給装置。
【請求項6】
前記液体タンクは、第一の液体タンクと第二の液体タンクとを有し、
前記補充容器を保管する保管部は、第一の保管部と第二の保管部とを有し、
一つの前記搬送部が、前記第一の保管部の前記補充容器の前記第一の液体タンクの補充位置への運搬と、前記第二の保管部の前記補充容器の前記第二の液体タンクの補充位置への運搬とを行うことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の液体供給装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の液体供給装置を複数の前記液体の種別ごとに個別に備えることを特徴とする液体供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に液体を供給する液体供給装置及び液体供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のインクジェット記録装置のような液体吐出装置は、大量のインク吐出作業に対応するために、装置本体の外部に設けられた大型のインクタンクを備えるインク供給装置からインクの供給が行われていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-214160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の装置は、大型のインクタンクを備えるため、当該インクタンクに対するインクの補充作業負担が大きいことが問題となっていた。
【0005】
本発明は、補充作業負担を低減し、適正に液体の補充を行うことをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の液体供給装置は、液体吐出装置に液体を供給する液体供給装置において、前記液体を貯留する液体タンクと、前記液体タンクの補充位置に人が手に持って取り扱うことが可能な補充容器を装填し、前記液体を補充する搬送部と、前記補充容器を受け取り位置から前記補充位置に搬送し、前記補充位置において、排出口を下方に向けて前記補充容器を装填するように前記搬送部を制御する制御装置とを備え、前記補充位置に前記補充容器の排出口を開口させる開口処理部を備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記液体供給装置は、複数の補充容器を保管する保管部を備え備え、前記搬送部は、前記保管部の前記補充容器を前記液体タンクに搬送する構成としても良い。
【0008】
また、上記液体供給装置は、前記制御装置が、前記液体タンクの液体残量に応じて、前記搬送部が前記保管部の前記補充容器を前記補充位置に装填するように制御する構成としても良い。
【0011】
また、上記液体供給装置は、前記補充容器の排出口は、前記搬送部による前記補充位置への装填時に生じる押圧力を受けて開口可能な構造を有する構成としても良い。
【0012】
また、上記液体供給装置は、前記搬送部は、前記補充容器の運搬経路中のいずれかの位置で撹拌動作を行う構成としても良い。
【0013】
また、上記液体供給装置は、前記液体タンクは、第一の液体タンクと第二の液体タンクとを有し、前記補充容器を保管する保管部は、第一の保管部と第二の保管部とを有し、一つの前記搬送部が、前記第一の保管部の前記補充容器の前記第一の液体タンクの補充位置への運搬と、前記第二の保管部の前記補充容器の前記第二の液体タンクの補充位置への運搬とを行う構成としても良い。
【0014】
また、本発明の液体供給システムは、上記液体供給装置を前記液体の異なる種類ごとに個別に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、補充作業負担を低減し、適正に液体の補充を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態であるインク供給装置の補充容器が格納された状態の斜視図である。
図2】インク供給装置の搬送部が補充容器の受け取り位置で待機した状態の斜視図である。
図3】インク供給装置のリフト機構が搬送部に補充容器を受け渡した状態の斜視図である。
図4】インク供給装置の搬送部が補充容器を廃棄している状態の斜視図である。
図5図5(A)はインク供給装置の正面図、図5(B)は平面図、図5(C)は左側面図である。
図6】補充容器の正面図である。
図7】補充容器の取手位置を変更した他の例の正面図である。
図8図8(A)は補充容器の蓋部材の平面図、図8(B)は蓋部材の図8(A)のW-W線に沿った断面図、図8(C)は図8(B)の領域Fの拡大断面図である。
図9】保管部を左斜め前から見た斜視図である。
図10】保管部を右斜め前から見た斜視図である。
図11】規制枠を右方から見た側面図である。
図12】搬送部における補充容器の受け取り動作を示した斜視図である。
図13】搬送部における補充容器の受け取り後の旋回動作を示した斜視図である。
図14】搬送部における補充容器の撹拌動作を示した斜視図である。
図15】搬送部における補充容器のインクタンクに対する装填動作を示した斜視図である。
図16】搬送部における補充容器のインクタンクに対する装填の解除動作を示した斜視図である。
図17】搬送部における補充容器の廃棄動作を示した斜視図である。
図18】補充容器の長手方向を水平方向に沿わせた状態の補充容器内部のインクの状態を示す断面図である。
図19】補充容器の長手方向を鉛直上下方向に沿わせた状態の補充容器内部のインクの状態を示す断面図である。
図20】補充容器の長手方向を水平に向けて当該長手方向に沿って撹拌動作を行った場合の振幅と補充容器に生じた衝撃力との関係を示す線図である。
図21】インクタンクの上部の構成を示す断面図である。
図22】インクタンクの全体的な構成を示す断面図である。
図23】インク供給装置の制御構成を示すブロック図である。
図24】インク供給システムとインクジェット記録装置からなるインクジェット記録システムの構成及びそのレイアウトを示す平面図である。
図25】第2実施形態であるインク供給装置の斜視図である。
図26図26(A)は第2実施形態であるインク供給装置の正面図、図26(B)は平面図、図26(C)は左側面図である。
図27】第3実施形態であるインク供給装置の斜視図である。
図28図28(A)は第3実施形態であるインク供給装置の正面図、図28(B)は平面図、図28(C)は左側面図である。
図29】インク供給システムとインクジェット記録装置からなるインクジェット記録システムの構成及びそのレイアウトを示す平面図である。
図30】第4実施形態であるインク供給装置の斜視図である。
図31図31(A)は第4実施形態であるインク供給装置の正面図、図31(B)は平面図である。
図32図32(A)は図31(A)におけるV-V線に沿ったインク供給装置の断面図、図32(B)は左側面図である
図33】インク供給システムとインクジェット記録装置からなるインクジェット記録システムの構成及びそのレイアウトを示す平面図である。
図34】第5実施形態であるインク供給装置の斜視図である。
図35図35(A)は第5実施形態であるインク供給装置の正面図、図35(B)は平面図、図35(C)は左側面図である。
図36】インク供給システムとインクジェット記録装置からなるインクジェット記録システムの構成及びそのレイアウトを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態では、液体供給装置としてインク供給装置1を例示する。このインク供給装置1は、インク(液体)の吐出を行う液体吐出装置としてのインクジェット記録装置に対して、インクの供給を行うものである。
図1図4はインク供給装置1の斜視図、図5(A)は正面図、図5(B)は左側面図、図5(C)は平面図である。
【0018】
[インク供給装置の概略構成]
インク供給装置1は、インクジェット記録装置に対して図示しないポンプ及び管路を構成するホースや配管等によりインクの供給を行う大容量のインクタンク2と、インクタンク2に対してインクの補充を行う補充容器3と、複数の補充容器3を保管する保管部4と、保管部4の先頭の補充容器3を次工程に送り出すリフト機構5と、リフト機構5から所定の受け取り位置で補充容器3を保持し、インクタンク2に対する補充位置に運搬して装填する搬送部6と、これらの構成を支持するフレーム11と、インク供給装置1の動作制御を行う制御装置9とを備えている。
【0019】
なお、インク供給装置1において、上記フレーム11の高さ方向を上下方向又はZ軸方向、フレーム11の平面視における長手方向をX軸方向、短手方向をY軸方向とする。
また、インク供給装置1について、Y軸方向における一方を「前」、他方を「後」、X軸方向におけるインク供給装置1の前側に正対した状態で左手側を「左」、右手側を「右」と定義する。
【0020】
[補充容器]
上記インク供給装置1は、インクを貯留する大容量(例えば、90[L])の液体タンクとしてのインクタンク2を備えており、当該インクタンク2よりも小容量(例えば、10[L])の補充容器3からインクタンク2に対するインクの補充を行う。
図6は補充容器3の正面図である。
補充容器3は、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂製のボトル容器であり、内部にインクを入れる容器本体31と、当該容器本体31の長手方向BLの一端部(図6における上端部)に形成されたボトル開口部311に取り付けられた蓋部材32とを有する。
【0021】
容器本体31は、その長手方向BLに平行な軸を中心とする略円筒状であって、ボトル開口部311近傍には、当該ボトル開口側に向かうにつれてその軸垂直断面積が縮小するテーパ部312が形成されている。このテーパ部312の内部のテーパ面は、ボトル開口部311が下方を向くように容器本体31を傾倒させると、内部のインクをボトル開口部311に導いて良好にインクを排出することができる。
【0022】
また、容器本体31は、長手方向BLのボトル開口部311側の一端部であってテーパ部312の周方向の一部において凹状に凹んだ部分に取手313が形成されている。この取手313は、凹状に凹んだ部分に形成されているので、容器本体31の全体的な外周の外径から突出しないように設けられており、補充容器3が長手方向BLを中心として転動する際に妨げとならないようになっている。
【0023】
なお、補充容器3の容器本体31の取手313の配置は、長手方向BLの一端部に限らず、図7に示す取手313Aのように、長手方向BLの中間部に設けてもよい。この場合も、容器本体31の全体的な外周の外径から突出しないように設けることが好ましい。
詳細は後述するが、インク供給装置1の保管部4に補充容器3を投入する際には、補充容器3の長手方向BLを水平にして倒した状態で作業が行われる。この補充容器3のように、人が手に持って作業を行うにはある程度の負担が生じる程度に重量がある場合、補充容器3を水平にして投入作業を行うには、長手方向BLの一端部側に取手が設けられているよりも中間部に設けられている方がバランス良く持つことができ、作業性が向上する。
【0024】
図8(A)は補充容器3の蓋部材32の平面図、図8(B)は蓋部材32の軸方向断面図、図8(C)は図8(B)の領域Fの拡大断面図である。
蓋部材32は、一端部が閉塞された円筒体であり、その内周面には、容器本体31のボトル開口部311に形成された雄ネジに螺合する雌ネジが形成されている。つまり、蓋部材32は、容器本体31のボトル開口部311にねじ込まれて、補充容器3の内部を密閉する、いわゆるスクリューキャップである。
【0025】
蓋部材32の一端部側の閉塞面321の中心には、円形に凹部323が形成されている。この円形の凹部323は、図8(C)に示すように、その内縁部に沿って閉塞面321の他の部分よりも薄肉となっている脆弱部324が形成されている。従って、蓋部材32の閉塞面321の凹部323を外部からある程度の力で押圧すると、脆弱部324が破れて排出口としての円形の開口部322となり、当該開口部322から補充容器3内のインクを排出することができる。
なお、蓋部材32も、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂によって一体的に形成されている。そして、蓋部材32の凹部323の脆弱部324に沿って一周に渡って破ると、円形の切り取り片が補充容器3内に入り込んだ状態となるが、前述したような樹脂製の場合、開口部322の内縁部には、引きちぎりによってバリが生じるので、インクを外部に注ぎ出す場合に円形の切り取り片は、バリに引っかかって開口部322から排出されない。このため、インクタンク2内への円形の切り取り片の落下を防止することができる。
【0026】
インク供給装置1が供給するインクは、例えば、紫外線(UV)硬化型のインクである。このUV硬化型インクは、UVが照射されない状態では、温度に応じてゲル状態と液体(ゾル)状態との間で相変化する。このインクは、常温下では粘度が高くゲル状態となっており、高温下(例えば、60℃以上)では低粘度の液状となる。
このインクは、ゲル化した状態でも、徐々にインク成分と他の添加物等の成分との分離が進む性質を有している。
このように、補充容器3からインクタンク2にインクを補給する際には、常温であるために粘度が高い場合があるが、補充容器3は、上記構造により円滑にインクタンク2にインクを流入させることができる。
なお、インク供給装置1で供給するインクは、例示に過ぎず、他のいかなるインクの供給も行うことが可能である。
【0027】
[フレーム]
フレーム11は、図1に示すように、複数の骨材を連結してなる支持骨格状の構造体であり、X軸方向とZ軸方に比してY軸方向の幅が狭い略直方体形状を呈している。
フレーム11は、右から左に向かって、保管部4を支持する設置領域111、リフト機構5を支持する設置領域112、搬送部6を支持する設置領域113、インクタンク2を支持する設置領域114を有している。
【0028】
[保管部]
図9は保管部4を左斜め前から見た斜視図、図10は右斜め前から見た斜視図である。
保管部4は、フレーム11の右側面上部において、保管部4に補充容器3を投入する投入口に向かって当該補充容器3を導くガイドスロープ41と、投入口において長手方向BLが横向き(水平)となる状態で補充容器3の通過を許容する規制枠42と、投入された補充容器3を下方に移動するように案内する第一ガイド43と、補充容器3の第一ガイド43の通過を検出する搬入センサ44と、補充容器3を緩やかな速度で移動させるダンパー部材45と、ダンパー部材45との協働により補充容器3の第一ガイド43から下方への移動を案内する第二ガイド46と、保管部4に保管している補充容器3の総重量を検出する重量センサ47と、保管部4から最下流の補充容器3をリフト機構5に送り出す送出アクチュエーター48とを備えている。
【0029】
ガイドスロープ41は、補充容器3を投入口へ導入するスロープを備えており、当該スロープは右から左に向かうに従って下降する勾配が設けられている。従って、ガイドスロープ41に横に倒した補充容器3を置くと、左方に設けられた規制枠42に向かって転動する。
【0030】
図11は規制枠42を右方から見た側面図である。
規制枠42は、補充容器3が通過する開口が形成された矩形平板状の枠である。この規制枠42は、Y-Z平面に平行に向けられて、フレーム11の右側面上部に取り付けられている。
規制枠42の開口は、長手方向が水平となる向きに傾倒させた状態(以下、横向きという)の補充容器3の中心線を通過する断面に沿った断面形状とほぼ等しい形状である。また、規制枠42の開口は、補充容器3の蓋部材32が後方を向いた状態の断面形状に形成されている。
このため、保管部4に補充容器3を投入する際には、この規制枠42の開口の向きに合わせて通過させる必要があり、保管部4内に保管される全ての補充容器3は、一律に蓋部材32を後方に向けて横向きの状態で保管される。
【0031】
第一ガイド43は、規制枠42を通過した補充容器3の外周面に摺接して補充容器3の進路を左方から下方に変更するように案内するガイドである。
この第一ガイド43は、補充容器3の外周面に摺接する際に、僅かに揺動する構造であり、当該第一ガイド43に併設された搬入センサ44は、第一ガイド43の揺動によって補充容器3の投入を検知することができる。搬入センサ44の検出信号は、制御装置9に入力され、制御装置9は、検出信号をカウントすることで保管部4内への補充容器3の投入数を取得する。
なお、第一ガイド43は、補充容器3の外周面に摺接する際に撓みを生じる構造とし、搬入センサ44は、第一ガイド43の撓みを検出する歪みゲージ等で構成してもよい。
【0032】
ダンパー部材45と第二ガイド46は、対をなしており、これらの間を下降移動する補充容器3が通過するように配置されている。
ダンパー部材45は、僅かに湾曲した板状体であり、その一端部がY軸回りに回動可能にフレーム11に支持されており、他端部が第二ガイド46側に延出されている。
第二ガイド46は、おおむねY-Z平面に沿った板状であって、ダンパー部材45に対して凹状となるように僅かに湾曲している。
【0033】
ダンパー部材45は、ダンパーやショックアブソーバーが連結されており、第二ガイド46側に延出された他端部の上に投入された補充容器3が載ると、その重量による荷重を受けてゆっくりと回動を行い、補充容器3が勢いよく落下することを抑制する。補充容器3は、他端部が下方に回動したダンパー部材45と第二ガイド46の間を通過して下方に移動する。なお、ダンパー部材45は、補充容器3の通過後は、他端部が第二ガイド46側を向いたもとの状態に復帰する。
保管部4は、上下に縦長の構造であり、複数の補充容器3を横向きで上下に並べた状態で保管する。
これに対応して、ダンパー部材45と第二ガイド46の対は、上下に複数並んで配置されている。また、上下に並んだ対をなすダンパー部材45と第二ガイド46とは、保管部4内で、左右の配置が上下方向に交互に互い違いとなるように配置されている。
また、補充容器3が横向きに投入されるが、第二ガイド46がダンパー部材45側に凹状に湾曲しているので、補充容器3を横向きの状態に維持しながら下方に移動させることができる。
また、保管部4内では複数の補充容器3をいずれも横向きの状態で保管することができる。
【0034】
重量センサ47は、保管部4の最下位置に配置されており、その上面に載置された補充容器3の重量を検出することができる。前述したように、保管部4には、複数の補充容器3が上下に並んだ状態で積み重ねられるので、最下部に位置する重量センサ47は、積み上げられた全ての補充容器3の総重量を検出することができる。
【0035】
送出アクチュエーター48は、平板状の重量センサ47の右端部を押し上げて左下がりの傾斜状態とすることができる。送出アクチュエーター48は、例えば、ソレノイド等の直動系のアクチュエーターが使用される。
重量センサ47上の補充容器3は、その上に他の補充容器3が存在しない場合には、重量センサ47の左下がりの傾斜状態により左方に転動してリフト機構5側に移動する。また、重量センサ47上の補充容器3の上に他の補充容器3が存在する場合には、重量センサ47の左下がりの傾斜状態により、上の補充容器3が下の補充容器3よりも右方にずれるので、上の補充容器3の重量荷重によって下の補充容器3が左方に押し出されてリフト機構5側に移動する。
【0036】
前述したように、制御装置9は、搬入センサ44の検出信号から保管部4内への補充容器3の投入数をカウントしている。そして、上記送出アクチュエーター48の駆動回数をカウントすると、保管部4からの補充容器3の搬出数を求めることができる。
従って、制御装置9は、搬入センサ44の検出信号でカウントアップし、送出アクチュエーター48の駆動でカウントダウンすることで、保管部4内の補充容器3の数量を取得することができる。
さらに、重量センサ47の検出信号が制御装置9に入力されるので、制御装置9は、補充容器3の数量に補充容器3の一本分の重量を乗じた数値と検出された保管部4内の補充容器3の総重量とが整合しているかを監視する。そして、これらの数値に規定値以上の開きが生じて、制御装置9が整合していないと判断した場合には、補充容器3からの液漏れ等の何らかの異常が発生していると判断して、制御装置9に接続された表示部95等に異常の発生の報知画面を表示する等の報知処理を実行する。
【0037】
[リフト機構]
リフト機構5は、図1図5に示すように、補充容器3を載置するリフト板51と、リフト板51に接続されたチェーン52と、チェーン52を巻き付けて搬送するチェーンスプロケット53と、チェーンスプロケット53に回転動作を付与するリフトモーター54と、リフト板51に載置された補充容器3に当接して左方への移動を規制する規制バー55とを備えている。
【0038】
リフト板51は、保管部4の送出アクチュエーター48による補充容器3の搬出先に待機しており、搬出された補充容器3を載置することができる。
リフト板51は、上面が幾分左下がりに傾斜しており、リフト板51に載置された補充容器3が右方に転動することを防止している。
一方、リフト板51の左側には、規制バー55が設けられており、補充容器3は、リフト板51上において、左下がりの傾斜により規制バー55に当接した状態で上方への移動が行われる。
【0039】
そして、規制バー55の上端部の左側は、搬送部6の補充容器3の受け取り位置となっている。即ち、リフト板51が規制バー55の上端部を超える高さまで上昇すると、リフト板51に載置されていた補充容器3は、左方への移動を規制するものがなくなるので、左方に転動を生じ、搬送部6の受け取り位置に移動する。
【0040】
[搬送部]
図12図17は搬送部6の動作を順番に示した斜視図である。
搬送部6は、一方が開放された箱状の補充容器3の保持枠61と、保持枠61を支持するアーム62と、アーム62の回動動作の駆動源であるボトル搬送モーター63と、ボトル搬送モーター63の出力軸に取り付けられた主動歯車65と、アーム62に取り付けられた従動歯車64と、フレーム11に固定され、アーム62を回動可能に支持する支持ブラケット66とを備えている。
【0041】
保持枠61は、内部中空の直方体形状の筐体であり、六面の内の長手方向に沿った一面側でアーム62により支持され、当該アーム62の支持面に対向する面に相当する部分が開放されている。この開放側が保持枠61における補充容器3の搬入搬出口611となっている。
搬入搬出口611の隣に位置する保持枠61の長手方向一端部側の面には、搬入搬出口611からアーム62側に向かって切り欠き612が形成されている。この切り欠き612は、保持枠61に補充容器3を格納したときに、蓋部材32を保持枠61の外部に露出させた状態で保持するためのものである。
【0042】
また、保持枠61の搬入搬出口611近傍には、ボトル保持アクチュエーター613が設けられている。このボトル保持アクチュエーター613は、保持枠61の長手方向に沿った面であってアーム62の支持面以外の面において、搬入搬出口611近傍に設けられている。ボトル保持アクチュエーター613は、保持枠61の内側に向かって突出するピンを備えており、ピンの突出時には、保持枠61に格納された補充容器3が搬入搬出口611から出られないように規制し、ピンの退避時には、補充容器3を搬入搬出口611から排出可能とする。
ボトル保持アクチュエーター613は、例えば、ソレノイド等の直動系のアクチュエーターを利用することができる。
【0043】
アーム62は、支持ブラケット66によりY軸回りに回動可能に支持されている。一方、アーム62は、その回動端部において、保持枠61を支持しており、前述した保持枠61の搬入搬出口611は、アーム62の回動半径方向外側に向かって開放されている。
また、アーム62は、回動半径方向に沿った軸回りに保持枠61を旋回可能に支持している。アーム62には、ボトル旋回モーター67が装備されており、アーム62の回動半径方向に沿った軸回りの旋回動作を保持枠61に付与すると共に、保持枠61の長手方向(補充容器3の長手方向と一致)を任意の方向に向けることができる(図13矢印参照)。
上記ボトル旋回モーター67は、制御装置9によって動作制御が行われる。
【0044】
支持ブラケット66は、前述したように、フレーム11に固定され、ボトル搬送モーター63、主動歯車65、アーム62等を支持している。
アーム62は、その回動中心と同軸で従動歯車64が固定装備されており、アーム62の回動と従動歯車64の回転とが一体的に行われる。
支持ブラケット66は、アーム62の近傍において、従動歯車64と噛合するように主動歯車65を支持している。従動歯車64に比べて主動歯車65は、歯数が少なく、ボトル搬送モーター63からの回転が減速されてアーム62に付与される。
ボトル搬送モーター63は、制御装置9により動作制御が行われ、主動歯車65及び従動歯車64を介して保持枠61及び補充容器3を任意の位置に回動して搬送することができる。
【0045】
搬送部6は、上記アーム62の回動動作及び保持枠61の旋回動作の協働により、図12に示す補充容器3の受け取り動作、図14に示す補充容器3の撹拌動作、図15に示すインクタンク2に対する補充容器3の装填動作、図16に示すインク供給後の空の補充容器3の装填解除動作、図17に示すインク供給後の空の補充容器3の廃棄動作等の各種動作を行うことができる。これらの各動作について順番に説明する。なお、以下の動作は全て制御装置9の動作制御によって実行される。
【0046】
搬送部6では、まず、図12に示すように、補充容器3の受け取り動作が行われる。
搬送部6は、リフト機構5の左側に配置されており、アーム62の回動端部を右方(厳密には、右方より僅かに上方に傾いた状態)に向けた状態での保持枠61の位置を搬送部6の受け取り位置とする。制御装置9は、保持枠61を受け取り位置に待機させ、リフト機構5により補充容器3を上方に搬送する。前述したように、リフト機構5の規制バー55を超える高さにまでリフト板51が上昇すると、補充容器3は規制バー55を超えて、左方に転動し、待機している保持枠61内に格納される。
補充容器3の格納により、保持枠61のボトル保持アクチュエーター613がピンを突出させて補充容器3をロックする。
そして、図13に示すように、ボトル旋回モーター67が制御装置9の制御により、保持枠61及び補充容器3の長手方向がアーム62の円弧状の回動軌跡の接線方向に沿った向きに保持枠61を旋回させる。
【0047】
補充容器3の受け取り動作後、アーム62は、上方に向かって回動し、最上位置を通過して下降に転じた後にインクタンク2の補充位置に到達する経路で補充容器3を搬送する。
撹拌動作は、図14に示すように、補充位置の手前であって、補充容器3が最上位置を通過する際に実行される。
アーム62による最上位置において回動軌跡の接線方向は、X軸方向に平行になる。従って、最上位置において、補充容器3は、その長手方向BLがX軸方向に平行な向きとなる。制御装置9は、アーム62の最上位置を通過する範囲で規定の振幅で複数回の往復回動を行うことで、補充容器3の撹拌動作を実行する。即ち、補充容器3の長手方向BLをX軸方向(横向き、水平方向)に沿わせた状態で当該長手方向BLに沿って往復動作を行い撹拌を行う。
【0048】
ここで、補充容器3の長手方向BLを横向き、さらには、水平方向に沿わせた状態で当該長手方向BLに沿って往復動作を行うことで撹拌することの意義について説明する。
図18は補充容器3の長手方向BLを水平方向に沿わせた状態の補充容器3内部のインクの状態を示す断面図、図19は補充容器3の長手方向BLを鉛直上下方向に沿わせた状態の補充容器3内部のインクの状態を示す断面図である。
【0049】
前述したように、補充容器3の内部の液体が、インク成分と他の添加物等の成分との分離が生じる性質を有するインク等の場合には、補充容器3の搬送時に、インク層Ibと分離層Iaとに分離が生じている場合がある。分離状態において、補充容器3の長手方向BLが水平方向を向いている場合と鉛直上下方向を向いている場合とを比較すると、ボトル状の補充容器3は、長手方向BLが鉛直上下方向を向いている場合に比べて、長手方向BLが水平方向を向いている場合の方が内部空間の断面積が大きくなる。従って、インク成分から分離した分離層Iaは、長手方向BLが水平方向を向いている場合の方が層厚が薄い状態となる。
【0050】
撹拌動作においては、このような分離層Iaの層厚が薄くなるほど、層の形成状態を破壊して撹拌が効果的に行われる傾向にある。また、分離層Iaに垂直な方向に対して往復動作(図19矢印S方向)を行うよりも分離層Iaに沿った方向に沿って往復動作(図18矢印S方向)を行う方が、層の形成状態を破壊して撹拌が効果的に行われる傾向にある。
従って、アーム62の最上位置を通過する範囲で往復回動を行うことで補充容器3の撹拌動作を実行することにより、分離層Iaが薄い状態で層に沿って撹拌することができ、効果的に内部のインクを撹拌することが可能となり、インク成分と他の添加物等の成分との分離を低減して十分に撹拌された状態でインクタンク2に供給することができる。
【0051】
なお、「横向き」とは、完全な水平でなくとも良く、補充容器3が鉛直上下方向を向いている場合の分離層Iaの層厚よりも横向きの補充容器3の分離層Iaの層厚が薄くなる範囲で横向きとなっていれば良い。前述した、保管部4における「横向き」も同様である。
なお、補充容器3の受け取り動作後、アーム62が下方に回動し、最下位置を通過してからインクタンク2に到達する経路で補充容器3を搬送する構成の場合には、最下位置を通過する範囲でのアーム62の往復回動により補充容器3の撹拌動作を行ってもよい。
【0052】
図20は補充容器3の長手方向BLを水平に向けて当該長手方向BLに沿って撹拌動作を行う試験で得られた、振幅と補充容器3に生じた衝撃力との関係を示す線図である。
この線図を得るための試験では、撹拌動作の振幅は全て移動速度を一定に揃えて撹拌を行っているので、それぞれの振幅が増えるとその振動周波数は反比例して低下している前提である。
また、この線図を得るための試験では、250[ml]、1000[ml]、10[l]の補充容器3に対して長手方向BLの一端部に衝撃力を検出するための歪みゲージ、加速度センサ等の検出素子を取り付けて測定を行った。
その結果、振幅が大きくなる程、衝撃力が大きくなるわけではなく、特定の振幅での撹拌により補充容器3に生じる衝撃力が大きくなる傾向が示された。また、補充容器3は、容量がある程度大きくなる程、振幅と衝撃力との関係が件著に現れることが分かった。なお、前述したように、この試験では、振幅と振動周波数に相関があるので、振動周波数と衝撃力とについても、特定の振動周波数で衝撃力が大きくなるという関係があることが分かる。
【0053】
このインク供給装置1では、上記振幅と衝撃力との関係又は振動周波数と衝撃力との関係を考慮して、制御装置9に併設された設定入力部94から、搬送部6において、行われる撹拌動作について、振幅、振動周波数又は動作速度(アーム62の回動による補充容器3の移動速度)の内の一つか二つ又は全てを設定することができるようになっている。
そして、制御装置9は、上記設定に従って撹拌動作が行われるようにボトル搬送モーター63の動作制御を実行する
なお、設定入力部94から撹拌を実行する往復動作の回数も設定可能としても良い。その場合、制御装置9は、設定された回数に従って補充容器3が往復動作を行うようにボトル搬送モーター63を制御する
【0054】
また、インクの撹拌動作は、補充容器3を横にして分離層Iaを薄くした状態で補充容器3の長手方向BLに沿って撹拌を行うだけでなく、図18の矢印Rに示すように、補充容器3の長手方向BLを中心とする往復回動動作を加えると、より効果的に撹拌を行うことができる。
このため、保持枠61の内部には、補充容器3の外周面に接する図示しない回動ローラと、当該回動ローラの回転駆動を行うボトル回転モーター68(図23参照)が設けられている。ボトル回転モーター68は、制御装置9によって動作制御が行われる。制御装置9は、ボトル搬送モーター63による撹拌動作時に、ボトル回転モーター68も駆動させて、補充容器3の長手方向BLを中心とする往復回動動作を補充容器3に付与する。
【0055】
補充容器3の撹拌動作後、アーム62は、下方に向かって回動し、回動端部が左方を向いた状態でインクタンク2の補充位置に到達して装填動作が行われる。
図21に示すように、インクタンク2の上部における補充位置には、インクタンク2の内部に導通する円筒状の補充口21が設けられている。この補充口21は、その内径が補充容器3の蓋部材の32の外径よりも大きく設定されており、補充容器3の蓋部材32を内側に挿入することができる。
さらに、補充口21の内側中心には、上方に向かって尖鋭な形状となっている開口処理部としての開封用針歯22が設けられている。この開封用針歯22は、例えば、竹槍状に形成されており、補充容器3の蓋部材32が補充口21内に上から挿入されると、蓋部材32の閉塞面321の凹部323に当接する。開封用針歯22は、その先端形状により、凹部323に当接すると先端の一点に押圧荷重が集中し、脆弱部324が一箇所から破断を生じると共に全体に広がって凹部323全体が内側に押し込まれ、開口部322全体が開口した状態となる。そして、この開口部322から流出する補充容器3内のインクが全て補充口21を通じてインクタンク2内に流入する。
補充容器3内のインクを全てインクタンク2内に注入するために、上記装填状態は十分な時間維持される。
【0056】
補充容器3のインクの補給が完了すると、図16に示すように、アーム62が上方に向かって回動し、インクタンク2の補充口21から補充容器3の蓋部材32を引き抜く装填解除動作が行われる。この回動動作量は、特に制限はないが、少なくとも、補充口21から補充容器3の蓋部材32が引き抜かれる十分な量であれば良い。また、後述する廃棄動作はアーム62が下降勾配を生じた状態で行われるので、装填解除動作の回動動作量は、少ないことが好ましい。
【0057】
補充容器3の装填解除動作が完了すると、図17に示すように、インク供給後の空となった補充容器3の廃棄動作が実行される。
上記廃棄動作は、保持枠61の搬入搬出口611から補充容器3が排出されるので、保持枠61は、ボトル旋回モーター67により90°の旋回動作を行い、アーム62の回動端部に下降勾配が生じようにアーム62の回動が行われる。また、これに伴い、ボトル保持アクチュエーター613のピンが退避せしめられ、保持状態が解除される。
これにより、保持枠61内の補充容器3は外部に向かって転動し、その先にある排出箇所に廃棄される。
【0058】
なお、補充容器3の廃棄動作は、アーム62に下降勾配が生じる角度に制限されてしまうので、これに回避するために、保持枠61から補充容器3を押し出すためのアクチュエーターを別途装備しても良い。このようなアクチュエーターを装備すれば、アーム62が下降勾配を生じた状態ではなくとも、補充容器3を排出できるので、アーム62の角度の制限を少なくすることができる。
【0059】
[インクタンク]
図21はインクタンク2の上部の構成を示す断面図、図22はインクタンク2の全体的な構成を示す断面図である。
インクタンク2は、前述したようにその上部に補充口21を備え、上部中央には、タンク内部に設けられた撹拌スクリュー24の回転駆動を行うインク撹拌モーター23が設けられている。
また、インクタンク2の内部には、内部のインク量を検出する、例えば、フロートセンサからなる液量センサ25が設けられている。なお、液量センサ25は、フロートセンサに限らず、インクタンク2内の規定量以下となる状態や液量そのものを検出可能なあらゆるセンサが利用可能である。
【0060】
インク撹拌モーター23は、制御装置9により動作制御が行われる。例えば、インク撹拌モーター23は、定期的に規定時間の撹拌を行っても良いし、補充容器3によるインクの補給時に行っても良いし、インク残量が規定量以上又は規定量以下となる時に行っても良いし、これらの一部又は全てを組み合わせて実行しても良い。
【0061】
また、上記インクタンク2には、内部のインクをインクジェット記録装置に送るための図示しない供給管が取り付けられ、また、供給管のインクに供給圧を付与する送液ポンプ26(図23参照)が併設されている。
【0062】
[インク供給装置の制御構成]
図23はインク供給装置1の制御構成を示すブロック図である。
図示のように、インク供給装置1は、インク供給装置1の各部の動作を制御する制御装置9が、CPU91(Central Processing Unit)、ROM92(Read Only Memory)、RAM93(Random Access Memory)等を備えている。
制御装置9は、CPU91によりROM92から読み出されたプログラムがRAM93に展開されて実行され、種々の動作制御が実行される。
なお、インクジェット記録装置の制御装置がインク供給装置1の制御装置9として機能する構成としても良い。
【0063】
制御装置9には、バスを介して搬入センサ44、重量センサ47、送出アクチュエーター48、リフトモーター54、インク撹拌モーター23、液量センサ25、送液ポンプ26、ボトル保持アクチュエーター613、ボトル搬送モーター63、ボトル旋回モーター67、ボトル回転モーター68、設定入力部94、表示部95等に接続されている。
【0064】
制御装置9は、CPU91が、ROM92等の記憶装置から処理内容に応じた各種のプログラムやデータ等を読み出して実行し、実行された処理内容に応じてインク供給装置1の各部の動作を制御する。
制御装置9が行う動作制御について以下に説明する。なお、上記各構成の説明中に既に説明した動作制御については省略する。
【0065】
制御装置9が実行するインクタンク2へのインクの補充制御について説明する。
上記制御においては、インクタンク2の液量センサ25によって、インクタンク2内のインク量の所定の低下が検出されると、保管部4における補充容器3が投入時期の古いもの(以下、先頭の補充容器3という)から順番にインクタンク2の補充位置まで搬送され、インクの補充を行う補充制御が行われる。
インクタンク2内のインク量の所定の低下は、インクタンク2のインク量が満タン状態から補充容器3の一本分の液量低下が検出された場合でも良いし、インクタンク2のインクが残り少ない状態を示す規定量が検出された場合でも良い。前者の場合には、制御装置9は、一本の補充容器3をインクタンク2の補充位置まで搬送してインクの補充を行う。また、後者の場合には、一本の補充容器3をインクタンク2の補充位置まで搬送して、次回のインクが残り少ない状態を示す規定量が検出されるまで補充を行わない制御を実行しても良いし、補充容器3の搬送によるインク補充を複数回繰り返して行い、インクタンク2内をほぼ満タン状態にする制御を実行してもよい。
【0066】
なお、各補充容器3をインクタンク2の補充位置まで搬送する際には、前述した、保管部4の送出アクチュエーター48による先頭の補充容器3のリフト機構5側への搬出動作、リフト機構5のリフトモーター54による搬送部6の受け取り位置に対する搬送、搬送部6の補充容器3の受け取り動作(図12)、搬送部6の補充容器3の撹拌動作(図14)、搬送部6のインクタンク2に対する補充容器3の装填動作(図15)、搬送部6のインク供給後の空の補充容器3の装填解除動作(図16)、搬送部6のインク供給後の空の補充容器3の廃棄動作(図17)の全ての動作が順番に実行される。
また、複数本の補充容器3の供給を行う場合には、上記動作が繰り返し実行される。
【0067】
[インク供給システムの例]
インクジェット記録装置に対してインクの供給を行う、複数のインク供給装置1から構成される液体供給システムとしてのインク供給システムの例について説明する。
図24はインク供給システム100とインクジェット記録装置1001からなるインクジェット記録システム1000の構成及びそのレイアウトを示す平面図である。
例えば、インクジェット記録装置1001が、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色についてインクを必要とする場合、インクジェット記録システム1000では、Y(イエロー)に対応するインク供給装置1Y、M(マゼンタ)に対応するインク供給装置1M、C(シアン)に対応するインク供給装置1C、K(ブラック)に対応するインク供給装置1Kを含むインク供給システム100が構成される。なお、各インク供給装置1Y,1M,1C,1Kの構成は、前述したインク供給装置1と同一であり、インクジェット記録装置1001に供給するインクが各々に対応する色彩となっている。
【0068】
上記インクジェット記録システム1000では、インクジェット記録装置1001の隣にインク供給システム100を配置する。
また、各インク供給装置1Y,1M,1C,1Kは、いずれも平面視形状がX軸方向に沿って長尺な略矩形状であるため、各インク供給装置1Y,1M,1C,1Kを平面視の短尺方向に並べて配置することで省スペース化を図ることができる。その場合、各インク供給装置1Y,1M,1C,1Kのインクタンク2側の端部には、空の補充容器3を廃棄する廃棄箱101を設置する構成とすることが好ましい。
【0069】
[第1実施形態の技術的効果]
上記インク供給装置1は、インクタンク2の補充位置に補充容器3を装填し、インクを補充する搬送部6を備えるので、作業者がインクタンク2に対して補充容器3を取り付ける作業や作業者が補充容器3からインクタンク2にインクを注ぎ込む作業から解放することができ、作業負担を大幅に低減することが可能となる。
また、上記の理由により、インクタンク2や補充容器3の大容量化を進めることが可能となる。
【0070】
また、インク供給装置1は、複数の補充容器3を保管する保管部4を備えているので、一度に複数の補充容器3を補充することで作業の頻度を低減し、作業負担の低減を図ることが可能となる。
【0071】
また、インク供給装置1は、リフト機構5を備えるので、補充容器3を上方に搬送することができ、インクタンク2の大型化により補充位置が高位置となる場合でも、搬送を容易に行うことが可能となる。
【0072】
また、インク供給装置1は、インクタンク2のインク残量に応じて、搬送部6が保管部4の補充容器3を補充位置に装填するように制御する制御装置9を備えているので、インク残量の監視負担を低減し、さらなる作業負担の低減を図ることが可能となる。
【0073】
また、インク供給装置1は、搬送部6がインクタンク2の補充位置において排出口322を下方に向けて補充容器3を装填するので、補充容器3からインクタンク2へのインクの供給を装置側で行うことができ、さらなる作業負担の低減を図ることが可能となる。
【0074】
また、インク供給装置1は、インクタンク2の補充位置で補充容器3の排出口322を開口させる開封用針歯22を備えているので、補充容器3の開封作業を装置側で行うことができ、さらなる作業負担の低減を図ることが可能となる。
【0075】
また、補充容器3の排出口322は、搬送部6による補充位置への装填時に生じる開封用針歯22からの相対的な押圧力を受けて開口可能な構造である脆弱部324を有するので、装填作業に伴い開封作業が実行され、効率的にインクの補充作業を行うことが可能となる。
【0076】
また、搬送部6は、受け取り位置から補充位置までの運搬経路中のいずれかの位置で撹拌動作を行うので、運搬の途中で撹拌作業が完了し、効率的にインクの補充作業を行うことが可能となる。
【0077】
また、搬送部6は、補充容器3の長手方向BLが横向き(水平)となる姿勢で当該長手方向BLに沿った往復動作で撹拌動作を行うので、補充容器3内の断面積を拡大し、インクの分離層Iaを薄くした状態でインクの分離層Iaに沿って撹拌を行うことができるため、より効果的に撹拌された状態でインクタンク2に対してインクを補充することが可能となる。
【0078】
また、インク供給装置1は、補充容器3の長手方向BLに沿った往復動作の振幅、動作速度、振動周波数等を設定する設定入力部94を備え、制御装置9が設定入力部94の設定に従って補充容器3の長手方向BLに沿った往復動作で撹拌動作を行うように搬送部6を制御するので、補充容器3の形状、容量、インクの粘度等の諸条件に対して、より適正な振幅、動作速度又は振動周波数を選択することができ、より効果的な撹拌動作を行うことが可能となる。
【0079】
また、搬送部6は、インクタンク2の補充位置の手前で撹拌動作を行うので、撹拌後、速やかに補充容器3をインクタンク2の補充位置に装填することができ、撹拌後すぐの良好な状態でインクを補充することが可能となる。
【0080】
また、搬送部6は、補充位置への補充容器3の装填動作に加えて、インク供給後の補充容器3を廃棄する廃棄動作を行うことができ、さらなる作業負担の低減を図ることが可能となる。
【0081】
また、搬送部6は、ボトル旋回モーター67の駆動により、保持した補充容器3の向きの変更動作を行うことができるので、補充容器3の受け取り動作、補充容器3の撹拌動作、インクタンク2に対する補充容器3の装填動作、インク供給後の空の補充容器3の装填解除動作、インク供給後の空の補充容器3の廃棄動作等の各種の動作において、補充容器3を適正な向きに調整して各種の作業を効果的かつ適正に行うことが可能となる。
【0082】
また、インク供給装置1の保管部4は、補充容器3の長手方向BLが横向きとなる姿勢で補充容器3を保管している。
このため、保管中において、補充容器3内の断面積を拡大し、インクの分離層Iaを薄くした状態で保管することができるため(図18参照)、インクの分離層Iaが厚い状態で保管された場合に比べて、補充容器3に撹拌動作を付与する際に、良好な撹拌を行うことができ、インクタンク2に対して良好に撹拌されたインクを補充することが可能となる。
【0083】
また、保管部4に補充容器3を投入する投入口に、長手方向が横向きとなる姿勢で補充容器3が通過することを許容する規制枠42が設けられているので、保管部4内で補充容器3の向きを横向きとするための構成を不要とすることが可能となる。
【0084】
また、保管部4は、補充容器3を投入する投入口側から投入された順番に並んだ状態で複数の補充容器3を保管し、保管部4に先に投入された補充容器3から順番に搬送部6に送られる。
このため、補充容器3は、保管部4に投入された順番でインクタンク2に装填され、各補充容器3の保管期間の不均衡を抑制し、インクタンク2に補充されるインクの分離を抑制することが可能となる。
【0085】
また、補充容器3の長手方向BLの中間部に取手313Aを設けた場合には、長手方向BLが横向きとなる姿勢で補充容器3を投入する作業をより容易に行うことが可能となる。
また、補充容器3は、その長手方向BLの一端部側のインクの排出口322に向かって断面積が縮小するテーパ部312を有するので、補充容器3の内部のインクの残留を低減し、無駄を抑制してインクの補充を行うことが可能となる。
【0086】
また、複数のインクの種別ごとにインク供給装置1Y,1M,1C,1Kを個別に備えるインク供給システム100は、複数種のインクを必要とするインクジェット記録装置1001に対して、各種のインクを適正に供給することが可能である。
【0087】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態では、液体供給装置としてのインク供給装置1Aを例示する。このインク供給装置1Aは、インク(液体)の吐出を行う液体吐出装置としてのインクジェット記録装置に対して、インクの供給を行うものである。
図25はインク供給装置1Aの斜視図、図26(A)はインク供給装置1Aの正面図、図26(B)は左側面図、図26(C)は平面図である。
インク供給装置1Aについて、前述したインク供給装置1と同一の構成については、同符号を付して重複する説明は省略するものとし、インク供給装置1と異なる点について主に説明する。
【0088】
前述したインク供給装置1は、保管部4がZ軸方向に沿って補充容器3を並べて保管していたが、インク供給装置1Aは、保管部4AがZ軸方向に沿って補充容器3を並べる部分とX軸方向に対して僅かに左方が下降勾配となる方向に沿ってX軸方向に補充容器3を並べる部分とを有する点が異なっている。
【0089】
保管部4Aは、X軸方向に対して僅かに左方が下降勾配となるスロープ49Aを有し、その終端部には、リフト機構5A側への補充容器3の進入を規制する送出アクチュエーター48Aが設けられている。送出アクチュエーター48Aは、補充容器3の通過の許容と規制とを行うことができればいかなるものを使用しても良いが、ここでは、ピンの突出と退避とにより転動する補充容器3の停止と通過を可能とするソレノイド等の直動系のアクチュエーターを例示する。
【0090】
保管部4Aの形状に応じて、インク供給装置1Aのフレーム11Aにおける保管部4Aを支持する設置領域111Aは、フレーム11Aの右端部から底部に沿って左端部近傍まで延在している。
また、リフト機構5A及びこれを支持する設置領域112Aは、保管部4Aの設置領域111Aの左端部の上側に位置し、搬送部6及びこれを支持する設置領域113Aはさらにその上に位置している。なお、インクタンク2を支持する設置領域114Aは、前述した設置領域114と殆ど同一である。
【0091】
リフト機構5Aは、保管部4Aのスロープ49Aの左端部において待機し、上方に移動可能なフック状のリフト板51Aと、当該リフト板51Aの昇降動作を行う直動系のアクチュエーター54Aとを備えている。
前述した保管部4Aの送出アクチュエーター48Aは、リフト機構5Aのリフト板51Aがスロープ49Aの左端部に位置しているときには、補充容器3の通過を許容し、リフト板51Aが上昇している間は、補充容器3の通過を規制する。
【0092】
搬送部6は、前述した搬送部6と同一の構成だが、リフト機構5Aからの補充容器3の受け取り位置が異なっている。
即ち、リフト機構5Aからの補充容器3の受け取り動作を実行する際には、アーム62を下方に向けた状態での保持枠61の位置を搬送部6の受け取り位置とする。これにより、保持枠61の搬入搬出口611が下方を向いた状態となるので、リフト板51Aが補充容器3を載せて上昇してきたときに、搬入搬出口611から補充容器3を格納することができる。
また、アーム62を下方に向けた状態での保持枠61の位置を搬送部6の受け取り位置とするため、アーム62は、当該受け取り位置からおよそ180°回動して撹拌を行う最上位置まで移動する必要がある。搬送部6による撹拌以降の動作は、前述したインク供給装置1と同じである。
【0093】
上記インク供給装置1Aは、インク供給装置1と同じ技術的効果を有すると共に、保管部4AがZ軸方向に沿って補充容器3を並べる部分とX軸方向に対して僅かに左方が下降勾配となる方向に沿ってX軸方向に補充容器3を並べる部分とを有するので、より多くの補充容器3を保管することが可能である。
また、これに伴い、リフト機構5Aが搬送部6の下方に配置されたことから、保管部4Aと搬送部6との間のリフト機構5Aの設置スペースが不要となり、インク供給装置1AのX軸方向の小型化を図ることが可能となる。
【0094】
なお、インク供給装置1Aは、前述したインク供給装置1と同様に、平面視形状がX軸方向に沿った略矩形なので、インク供給装置1Aを複数備えるインク供給システム及びインクジェット記録システムを構成する場合には、複数のインク供給装置1Aを前述したインク供給システム100と同じ配置とすることが好ましい。
【0095】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態では、液体供給装置としてのインク供給装置1Bを例示する。このインク供給装置1Bは、インク(液体)の吐出を行う液体吐出装置としてのインクジェット記録装置に対して、インクの供給を行うものである。
図27はインク供給装置1Bの斜視図、図28(A)はインク供給装置1Bの正面図、図28(B)は左側面図、図28(C)は平面図である。
インク供給装置1Bについて、前述したインク供給装置1と同一の構成については、同符号を付して重複する説明は省略するものとし、インク供給装置1と異なる点について主に説明する。
【0096】
上記インク供給装置1Bは、フレーム11Bの下部に、空の補充容器3を並べて収容する廃棄部115Bが設けられている。
そして、これに伴い、インクタンク2及びその設置領域114Bはフレーム11Bの後部に配置され、リフト機構5は省略されて、保管部4Bの設置領域111Bと搬送部6Bの設置領域113Bとが左右に隣接して配置されている。
また、搬送部6Bは、アーム62をX軸回りに回動可能としており、保持枠61Bは、アーム62の回動半径方向外側の面ではなく、アーム62の回動半径に沿った四面の内、保持枠61Bの長手方向に沿った面の一つが開放されて補充容器3の搬入搬出口となっている。
従って、アーム62を下方に向けた状態で、保持枠61Bの搬入搬出口が右方に向くようにボトル旋回モーター67により旋回させることで、保管部4Bからリフト機構を介さずに、直接的に補充容器3を受け取ることができるようになっている。
さらに、アーム62は、X軸回りに回動可能であるため、上記補充容器3の受け取り位置から、アーム62を左方から見て反時計方向に270°回動させることで、フレーム11Bの後部に配置されたインクタンク2の補充位置に補充容器3を搬送することができる。
また、このインク供給装置1Bの場合も、補充容器3の受け取り位置からインクタンク2の補充位置に至る搬送経路の途中である最上位置において、補充容器3の撹拌動作を行うことができる。
【0097】
さらに、インク供給装置1Bでは、インクタンク2に対してインクを供給して補充容器3が空になると、保持枠61Bを180°旋回させた状態で、アーム62を前回とは逆方向(左方から見て時計方向)に270回動させて受け取り位置に戻す。受け取り位置では、保持枠61Bは搬入搬出口が左方を向いた状態となるので、保管部4Bとは逆側となる左方に向かって保持枠61から空の補充容器3を排出する。保持枠61Bからの排出動作については、補充容器3を外部に押し出すアクチュエーターを内蔵することが好ましい。
上記排出方向により、その下側に設けられた廃棄部115Bに空の補充容器3が保管される。この廃棄部115Bは、X軸方向に沿って延在し、その左端部から右端部に向かって下降勾配が形成されているので、廃棄された複数の補充容器3をX軸方向に並んだ状態で保管することができる。
【0098】
上記インク供給装置1Bは、インク供給装置1と同じ技術的効果を有すると共に、廃棄部115Bを備え、空の補充容器3を複数保管することが可能である。
さらに、保管部4Bから直接的に搬送部6Bに補充容器3を受け渡すので、リフト機構を不要とすることができ、省スペース化を図ることができる。このため、廃棄部115Bを新たな構成として加えているにも拘わらず、装置の大型化を回避することができる。
【0099】
図29は、YMCKのインクを個別に供給するインク供給装置1Bと同じ構成のインク供給装置1BY、1BM、1BC、1BKからなるインク供給システムとインクジェット記録装置1001とによるインクジェット記録システム1000Bの構成及びそのレイアウトを示す平面図である。
各インク供給装置1BY、1BM、1BC、1BKは、平面視形状が、X軸方向に沿った矩形に対してY軸方向に向かって凸となる配置でインクタンク2が配置されているので、四つのインク供給装置1BY、1BM、1BC、1BKをY軸方向に並べて配置すると、当該Y軸方向に多大なスペースが必要となる。
このため、インク供給装置1BY、1BM、1BC、1BKの内の二つずつに分けて二列に並べて配置すると共に、Y軸方向に凸となる部分をX軸方向についてずらす配置とすることで、二列に並べられたインク供給装置1BY、1BM、1BC、1BKをY軸方向に近接配置することができ、これによる省スペース化を図っている。
また、各インク供給装置1BY、1BM、1BC、1BKは、廃棄部115Bを備えているので、上記インク供給システムには廃棄箱を不要とすることができる。
【0100】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態では、液体供給装置としてのインク供給装置1Cを例示する。このインク供給装置1Cは、インク(液体)の吐出を行う液体吐出装置としてのインクジェット記録装置に対して、インクの供給を行うものである。
図30はインク供給装置1Cの斜視図、図31(A)はインク供給装置1Cの正面図、図31(B)は平面図、図32(A)は図31(A)におけるV-V線に沿った断面図、図32(B)はインク供給装置1Cの左側面図である。
インク供給装置1Cについて、前述したインク供給装置1と同一の構成については、同符号を付して重複する説明は省略するものとし、インク供給装置1と異なる点について主に説明する。
【0101】
上記インク供給装置1Cは、インクタンクとして第一のインクタンク2aと第二のインクタンク2bとを備え、保管部として第一の保管部4aと第二の保管部4bを備え、リフト機構として第一のリフト機構5aと第二のリフト機構5bとを備えている。
そして、単一の搬送部6Cが、第一の保管部4aから第一のリフト機構5aを介して補充容器3を受け取り、第一のインクタンク2aの補充位置に装填すると共に、第二の保管部4bから第二のリフト機構5bを介して補充容器3を受け取り、第二のインクタンク2bの補充位置に装填する。
この構成の場合、例えば、二色のインクについて補充容器3が用意され、色彩ごとに個別に第一の保管部4aと第二の保管部4bとに保管され、各色に対応するインクを貯留する第一のインクタンク2aと第二のインクタンク2bとに各色ごとの補充容器3を搬送し、インクの補充を行うことができる。
【0102】
フレーム11Cにおいて、中央に搬送部6Cを配置する設置領域113Cが設けられ、その右側に第一のリフト機構5aが配置される設置領域112Ca、さらにその右側に、第一の保管部4aが配置される設置領域111Caが設けられている。
また、設置領域113Cの左側には、第二のリフト機構5bが配置される設置領域112Cb、さらにその左側に、第二の保管部4bが配置される設置領域111Cbが設けられている。
さらに、設置領域113Cの後側には、第一のインクタンク2aが配置される設置領域114Caが設けられ、設置領域113Cの前側には、第二のインクタンク2bが配置される設置領域114Cbが設けられている。
【0103】
上記第一の保管部4aと第二の保管部4bとは、いずれも前述した保管部4と同一の構成である。また、第一のリフト機構5aと第二のリフト機構5bとは、前述したリフト機構5と同一の構成である。
さらに、第一のインクタンク2aと第二のインクタンク2bとは、前述したインクタンク2と同一の構成である。
【0104】
搬送部6Cは、アームをX軸回りに回動可能としており、保持枠61Cは、アームの回動半径方向外側の面ではなく、アームの回動半径に沿った四面の内、保持枠61Cの長手方向に沿った面の一つが開放されて補充容器3の搬入搬出口となっている。
従って、アームを上方に向けた状態で、保持枠61Cの搬入搬出口が右方又は左方に向くようにボトル旋回モーター67により旋回させることで、リフト機構5a又は5bを介して保管部4a又は保管部4bとから補充容器3を選択的に受け取ることができるようになっている。
また、補充容器3の撹拌動作は、上記補充容器3の受け取り位置を含む範囲でのアームの往復回動動作により行うことができる。
【0105】
さらに、アームは、X軸回りに回動可能であるため、保管部4aの補充容器3を受け取った場合には、上記補充容器3の受け取り位置から、アームを左方から見て反時計方向に90°回動させることで、フレーム11Cの後部に配置された第一のインクタンク2aの補充位置に補充容器3を搬送することができる。
また、保管部4bの補充容器3を受け取った場合には、上記補充容器3の受け取り位置から、アームを左方から見て時計方向に90°回動させることで、フレーム11Cの前部に配置された第二のインクタンク2bの補充位置に補充容器3を搬送することができる。
【0106】
さらに、インク供給装置1Cでは、第一又は第二のインクタンク2a,2bに対してインクを供給して空になった補充容器3は、装填解除状態から保持枠61Cの搬入搬出口から空の補充容器3を排出する。保持枠61Cからの排出動作については、補充容器3を外部に押し出すアクチュエーターを内蔵することが好ましい。
【0107】
上記インク供給装置1Cは、インク供給装置1と同じ技術的効果を有すると共に、二種類のインクを第一のインクタンク2aと第二のインクタンク2bとに保有して外部に供給すると共に、第一のインクタンク2aと第二のインクタンク2bに対して、第一の保管部4aと第二の保管部4bとから供給される補充容器3により、対応する色彩のインクの補充を適正に行うことができる。
【0108】
さらに、インク供給装置1Cは、一つの搬送部6Cにより二種類のインクの補充容器3の搬送動作を選択的に行うので、搬送部を一つとすることにより、二台のインク供給装置を用意するよりも小型、省スペース化を図ることが可能となる。
【0109】
図33は、YとMの二種類のインクとCとKの二種類のインクとを個別に供給するインク供給装置1Cと同じ構成のインク供給装置1CYM、1CCKとからなるインク供給システムとインクジェット記録装置1001とによるインクジェット記録システム1000Cの構成及びそのレイアウトを示す平面図である。
各インク供給装置1CYM、1CCKは、平面視形状が、X軸方向に沿った矩形に対してY軸方向に向かって凸となる配置でインクタンク2a,2bが配置されているので、二つのインク供給装置1CYM、1CCKをY軸方向に並べて配置すると、各インクタンク2a,2bの隣に空きスペースが生じる。
従って、これらの空きスペースに空の補充容器3を廃棄する廃棄箱101Cを四つ配置することでスペースの有効利用を図っている。
【0110】
[第5実施形態]
以下、本発明の第5実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態では、液体供給装置としてのインク供給装置1Dを例示する。このインク供給装置1Dは、インク(液体)の吐出を行う液体吐出装置としてのインクジェット記録装置に対して、インクの供給を行うものである。
図34はインク供給装置1Dの斜視図、図35(A)はインク供給装置1Dの正面図、図35(B)は左側面図、図35(C)は平面図である。
インク供給装置1Dについて、前述したインク供給装置1と同一の構成については、同符号を付して重複する説明は省略するものとし、インク供給装置1と異なる点について主に説明する。
【0111】
上記インク供給装置1Dは、保管部4Dにおいて、補充容器3が長手方向BLをZ軸方向に沿わせた状態で保管される点がインク供給装置1と大きく異なっている。以下、補充容器3が長手方向BLをZ軸方向に沿わせた状態を「縦状態」という。
【0112】
フレーム11Dには、保管部4Dの設置領域111D、リフト機構5Dの設置領域112D、搬送部6Dの設置領域113D、インクタンク2の設置領域114が右から左に向かって順番に配置されている。
【0113】
保管部4Dには、補充容器3が縦状態に積載されるので、転動させてリフト機構5D側に移動させることが困難であるため、保管部4Dからリフト機構5D側への補充容器3の搬出は、例えば、図示しない直動系のアクチュエーターにより押し出すことにより行われる。
【0114】
リフト機構5Dは、前述したリフト機構5と同様に、補充容器3を載置するリフト板51Dをチェーンの巻き取りにより昇降させる。
但し、補充容器3は転動させられないので、搬送部6Dに対する受け取り位置における受け渡し動作も、図示しない直動系のアクチュエーターにより押し出すことにより行われる。
【0115】
搬送部6Dは、搬送部6と同一の構成からなるが、受け取り位置では、アームの先端側の保持枠の長手方向がZ軸方向に平行となる姿勢に旋回した状態で、待機する。そして、リフト機構5Dから保持枠の搬入搬出口に補充容器3が押し込まれると、ボトル保持アクチュエーターにより補充容器3を保持する。
これ以降の搬送部6Dの動作は、インク供給装置1の搬送部6と同一である。
【0116】
上記インク供給装置1Dは、インク供給装置1と同じ技術的効果を有すると共に、補充容器3が縦状態で保管され、搬送されるので、フレーム11Dは、Y軸方向について幅を狭くすることができ、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0117】
図36は、YMCKのインクを個別に供給するインク供給装置1Dと同じ構成のインク供給装置1DY、1DM、1DC、1DKからなるインク供給システムとインクジェット記録装置1001とによるインクジェット記録システム1000Dの構成及びそのレイアウトを示す平面図である。
各インク供給装置1DY、1DM、1DC、1DKは、いずれも平面視形状がX軸方向に沿って長尺な略矩形状であるため、各インク供給装置1DY、1DM、1DC、1DKを平面視の短尺方向に並べて配置することで省スペース化を図ることができる。その場合、各インク供給装置1DY、1DM、1DC、1DKのインクタンク2側の端部には、空の補充容器3を廃棄する廃棄箱101を設置する構成とすることが好ましい。
【0118】
[その他]
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明の範囲を逸脱しない限りは、上記実施形態に対する適宜の変更が可能である。
例えば、液体供給装置や液体供給システムとして、インクの供給を行うインク供給装置及びインク供給システムを例示したが、供給の対象はインクに限定されない。
例えば、金属ペーストを吐出する液体吐出装置に液体を供給する場合には、液体供給装置や液体供給システムは、供給する液体として金属ペーストを適用することが可能である。
また、液体吐出装置が3Dプリンタ等である場合には、液体供給装置や液体供給システムは、供給する液体として所定の条件下で硬化する液体材料を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0119】
1,1A,1B,1C,1D,1BY,1BM,1CYM,1CCK,1DY,1DM,1Y,1M,1C,1K インク供給装置(液体供給装置)
2 インクタンク(液体タンク)
2a 第一のインクタンク(第一の液体タンク)
2b 第二のインクタンク(第二の液体タンク)
3 補充容器
4,4A,4B,4D 保管部
4a 第一の保管部
4b 第二の保管部
5,5A,5D リフト機構
5a 第一のリフト機構
5b 第二のリフト機構
6,6B,6C,6D 搬送部
9 制御装置
11,11A,11B,11C,11D フレーム
21 補充口
22 開封用針歯(開口処理部)
25 液量センサ
26 送液ポンプ
31 容器本体
312 テーパ部
313,313A 取手
32 蓋部材
322 開口部(排出口)
323 凹部
324 脆弱部
42 規制枠(制約部)
47 重量センサ
61,61B,61C 保持枠
62 アーム
91 CPU
94 設定入力部
611 搬入搬出口
100 インク供給システム
1000,1000B,1000C,1000D インクジェット記録システム
1001 インクジェット記録装置
BL 長手方向
Ia 分離層
Ib インク層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図22
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図24
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図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36