(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240806BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240806BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H04N1/00 838
H04N1/00 127Z
B41J29/38 401
B41J29/38 201
B41J29/00 Z
(21)【出願番号】P 2020114984
(22)【出願日】2020-07-02
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鴨井 悠介
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-042636(JP,A)
【文献】特開2008-006778(JP,A)
【文献】特開2008-046793(JP,A)
【文献】特開2014-040025(JP,A)
【文献】特開2011-043909(JP,A)
【文献】特開2010-262639(JP,A)
【文献】特開2016-112756(JP,A)
【文献】特開2007-183743(JP,A)
【文献】特開2014-044638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/00-29/70
G06F 3/09- 3/12
G06F 12/14
G06F 21/00-21/10
G06F 21/30-21/46
G06F 21/60-21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
処理の対象となる画像及び当該画像に関する情報を取得し、
取得された前記画像に関する情報が条件を満たす場合、前記画像の出力の可否を決められた宛先に問い合わせ、
前記宛先から前記画像の出力が可能と通知された場合、当該画像を出力
し、
前記通知を受け取るまでは、前記画像を出力する処理のうちの一部を実行するとともに、該一部以外の処理の代わりに暫定処理を実行する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記通知がされた場合、前記画像を出力する操作がなくとも前記画像を出力する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報は、前記画像に含まれる文字、記号又はマークを示す情報である
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
自装置の位置が決められた範囲に含まれる場合、前記問い合わせを行わず前記画像を出力する
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
現在時刻が決められた範囲に含まれる場合、前記問い合わせを行わず前記画像を出力する
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
自装置への操作に基づき前記問い合わせの宛先を変更する
請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記処理の対象となる画像が過去に出力されている場合、前記問い合わせを行わず当該画像を出力する
請求項1から
6までのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、入力文書を解析して登録された出力禁止ルールのどれかに該当するか否かを判定し、判定したルールに対応するメッセージとして、入力文書が出力不可能なものか否か、出力できるとすればどのような方法を用いればよいか、等を示したメッセージを含む文書を出力させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術のように画像の出力を制限する技術において登録された出力禁止ルールを用いると、例えば状況が変化して出力を制限する対象が変わった場合に、再度登録を行うという手間が生じる。
そこで、本発明は、画像の出力を制限する技術において登録された出力禁止ルールを用いる場合に比べて、画像の出力を制限する対象が変化した場合の手間を少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、処理の対象となる画像及び当該画像に関する情報を取得し、取得された前記画像に関する情報が条件を満たす場合、前記画像の出力の可否を決められた宛先に問い合わせ、前記宛先から前記画像の出力が可能と通知された場合、当該画像を出力し、前記通知を受け取るまでは、前記画像を出力する処理のうちの一部を実行するとともに、該一部以外の処理の代わりに暫定処理を実行することを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る情報処理装置は、請求項1に記載の態様において、前記通知がされた場合、前記画像を出力する操作がなくとも前記画像を出力することを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る情報処理装置は、請求項1又は2に記載の態様において、前記情報は、前記画像に含まれる文字、記号又はマークを示す情報であることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る情報処理装置は、請求項1から3のいずれか1項に記載の態様において、自装置の位置が決められた範囲に含まれる場合、前記通知を行わず前記画像を出力することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る情報処理装置は、請求項1から4のいずれか1項に記載の態様において、現在時刻が決められた範囲に含まれる場合、前記問い合わせを行わず前記画像を出力することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る情報処理装置は、請求項1から5のいずれか1項に記載の態様において、自装置への操作に基づき前記問い合わせの宛先を変更することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項7に係る情報処理装置は、請求項1から6のいずれか1項に記載の態様において、前記処理の対象となる画像が過去に出力されている場合、前記問い合わせを行わず当該画像を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、画像の出力を制限する技術において登録された出力禁止ルールを用いる場合に比べて、画像の出力を制限する対象が変化した場合の手間を少なくすることができる。また、この発明によれば、事前の処理を行わない場合に比べて、通知後の手間を少なくすることができ、かつ、実行を保留している処理の代わりにダミー頁の出力といった暫定処理を実行しておくことができる。
請求項2に係る発明によれば、画像を出力する操作が必要な場合に比べて、利用者の手間を減らすことができる。
請求項3に係る発明によれば、画像に特定の文字、特定の記号又は特定のマークが含まれていない場合に問い合わせの応答者の手を煩わせないようにすることができる。
請求項4、5に係る発明によれば、常に問い合わせを行う場合に比べて、問い合わせへの応答者の手間の低減と利用者の利便性の向上を図ることができる。
請求項6に係る発明によれば、画像の出力可否の問い合わせの宛先を利用者が自分の意思で選択することができる。
請求項7に係る発明によれば、常に問い合わせを行う場合に比べて、同じ画像に対する処理が繰り返し行われる場合の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例に係る画像処理システムの全体構成を表す図
【
図5】画像処理システムにおいて実現される機能構成を表す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
[1]実施例
図1は実施例に係る画像処理システム1の全体構成を表す。画像処理システム1は、通信回線2と、画像出力装置10と、管理者端末20と、画像処理装置30とを備える。画像処理システム1は、画像処理サービスを提供するシステムである。画像処理システム1は、例えば、プリント、コピー、スキャン、ファクシミリ、文字認識、翻訳及びデータ保存等の画像処理サービスを提供する。
【0016】
通信回線2は、移動体通信網及びインターネット等を含む通信システムであり、自システムと通信する装置等(=装置、端末及びシステム等)同士のデータのやり取りを中継する。通信回線2には、画像出力装置10及び画像処理装置30が有線通信で接続し、管理者端末20が無線通信で接続している。なお、各装置と通信回線2との通信は、
図1に例に限定されず、有線通信及び無線通信のどちらでもよい。
【0017】
画像出力装置10は、画像処理サービスを提供する装置であり、特に、画像を出力する機能を有する。画像出力装置10は、例えば、プリント機能及びコピー機能を有し、用紙等の媒体に画像を出力する。また、画像出力装置10は、ファクシミリ機能を有し、指定された宛先に画像を出力する。なお、画像出力装置10は、例えばスキャン機能のように、画像を出力しない機能を有していてもよい。
【0018】
画像処理装置30は、画像処理サービスを提供する装置であり、例えば、クラウドコンピューティングのリソースの一部を成す装置である。画像処理装置30は、例えば、OCR(Optical Character Recognition)機能を有し、画像に含まれている文字を認識する。なお、画像処理装置30は、認識された文字列を翻訳する機能又は画像処理により生成された画像データを保存する機能等を有していてもよい。また、
図1では画像処理装置30が1台だけ表されているが、2台以上の画像処理装置30がそれぞれ異なる画像処理サービスを提供してもよい。
【0019】
管理者端末20は、画像処理サービスの運営を管理する管理者が使用する端末である。管理者は、特に、処理される画像に含まれる機密情報の漏洩を防ぐために管理者端末20を使用する。機密情報の漏洩防止のための具体的な機能等についてはのちほど詳しく説明する。
【0020】
図2は画像出力装置10のハードウェア構成を表す。画像出力装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信装置14と、UI(=User Interface)装置15と、画像読取装置16と、画像形成装置17とを備えるコンピュータである。プロセッサ11は、例えば、CPU(=Central Processing Unit)等の演算装置、レジスタ及び周辺回路等を有する。メモリ12は、プロセッサ11が読み取り可能な記録媒体であり、RAM(=Random Access Memory)及びROM(=Read Only Memory)等を有する。
【0021】
ストレージ13は、プロセッサ11が読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ハードディスクドライブ又はフラッシュメモリ等を有する。プロセッサ11は、RAMをワークエリアとして用いてROMやストレージ13に記憶されているプログラムを実行することで各ハードウェアの動作を制御する。通信装置14は、アンテナ及び通信回路等を有し、通信回線2を介した通信を行う通信手段である。
【0022】
UI装置15は、自装置を利用するユーザに対して提供されるインターフェースである。UI装置15は、例えば、表示手段であるディスプレイと、ディスプレイの表面に設けられたタッチパネルとを有するタッチスクリーンを有し、画像を表示すると共に、ユーザからの操作を受け付ける。また、UI装置15は、タッチスクリーン以外にも、キーボード等の操作子を有し、それらの操作子への操作を受け付ける。
【0023】
画像読取装置16は、用紙等の媒体に表されている画像を読み取るハードウェア(いわゆるスキャナ)であり、自装置にセットされた媒体から画像を読み取る画像読取手段である。画像形成装置17は、用紙等の媒体に画像を形成するいわゆるプリンタであり、自装置にセットされた媒体を搬送しながら例えば電子写真方式で画像を転写して定着させることでその媒体に画像を形成する画像形成手段である。
【0024】
図3は管理者端末20のハードウェア構成を表す。管理者端末20は、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、通信装置24と、UI装置25とを備えるコンピュータである。プロセッサ21からUI装置25までは、
図2に表すプロセッサ11からUI装置15までと同種のハードウェアである。
【0025】
図4は画像処理装置30のハードウェア構成を表す。画像処理装置30は、プロセッサ31と、メモリ32と、ストレージ33と、通信装置34とを備えるコンピュータである。プロセッサ31から通信装置34までは、
図2に表すプロセッサ11から通信装置14までと同種のハードウェアである。
【0026】
画像処理システム1においては、上記の各装置のプロセッサがプログラムを実行して各部を制御することで、以下に述べる各機能が実現される。各機能が行う動作は、その機能を実現する装置のプロセッサが行う動作としても表される。
【0027】
図5は画像処理システム1において実現される機能構成を表す。画像出力装置10は、画像処理部101と、画像処理指示部102と、画像情報取得部103と、条件判断部104と、出力問合せ部105とを備える。管理者端末20は、問合せ表示部201と、指示送信部202とを備える。画像処理装置30は、画像処理部301を備える。
【0028】
画像出力装置10の画像処理部101は、自装置が提供する画像処理サービスに関する画像処理を行う。画像処理部101は、本実施例の場合、プリント処理、コピー処理、スキャン処理及びファクシミリ処理等の画像処理を行う。画像処理装置30の画像処理部301も、自装置が提供する画像処理サービスに関する画像処理を行う。画像処理部301は、本実施例の場合、文字認識処理、翻訳処理及びデータ保存処理等の画像処理を行う。
【0029】
画像出力装置10の画像処理指示部102は、ユーザによる操作を受け付け、受け付けた操作が示す画像処理の実行を画像処理部101及び画像処理部301に指示する。画像処理指示部102は、例えば、自装置が提供する画像処理サービスと画像処理装置30が提供する画像処理サービスの一覧をメニュー画面として表示し、メニュー画面で選択された画像処理サービスに関する画像処理の実行を指示する。
【0030】
画像処理部101及び画像処理部301は、画像処理指示部102からの指示を受け取ると、指示された画像処理を実行する。画像処理部101は、スキャン処理のように画像を出力しない処理を行う場合は、その画像処理の実行を完了する。一方、画像処理部101は、プリント処理、コピー処理及びファクシミリ処理のように画像を出力する処理を行う場合、その画像処理を実行する前に、処理の対象となる画像と、その画像に関する情報(以下「画像関連情報」と言う)とを画像情報取得部103に供給する。
【0031】
処理の対象となる画像とは、例えば、プリント処理が実行される場合はプリントされる画像であり、スキャン処理が実行される場合はスキャンされた画像である。画像関連情報とは、本実施例では、画像に含まれる文字、記号又はマークを示す情報である。画像に含まれる文字、記号又はマークは、例えば、画像認識処理で用いられるHOG(Histograms of Oriented Gradients)又はSIFT(Scaled Invariance Feature Transform)等の周知の特徴量によって示される。
【0032】
画像処理部101は、処理の対象となる画像の特徴量を算出し、処理対象の画像と共に、算出した特徴量を画像関連情報として画像情報取得部103に供給する。画像情報取得部103は、供給された画像の特徴量を、画像関連情報として取得する。また、画像情報取得部103は、画像関連情報と共に供給された画像、すなわち処理の対象となる画像を取得する。
【0033】
画像情報取得部103は、画像処理部101が画像処理を実行した場合は画像処理部101から画像及び画像関連情報を取得する。また、画像情報取得部103は、画像処理部301が画像処理を実行した場合は画像処理部301から画像及び画像関連情報を取得する。画像情報取得部103は、取得した画像及び画像関連情報を条件判断部104に供給する。
【0034】
条件判断部104は、供給された画像関連情報、すなわち画像情報取得部103により取得された画像関連情報が予め定められた条件を満たすか否かを判断する。条件判断部104は、本実施例では、取得された画像関連情報が特定の文字、特定の記号及び特定のマークを示す情報である場合に、条件が満たされたと判断する。
【0035】
特定の文字とは、例えば、「機密」、「社内資料」、「社外秘」及び「コンフィデンシャル」等の第三者への漏洩を厳重に防止しなければならない情報であることを示す文字である。なお、特定の文字は、例えば、発表前の製品名、氏名、住所及び連絡先等の、第三者への漏洩を厳重に防止しなければならない情報そのものであってもよい。
【0036】
特定の記号とは、例えば、特定の文字と同様に、第三者への漏洩を厳重に防止しなければならない情報であることを示す記号である。その場合の特定の記号は、例えば「秘」又は「TOP SECRET」を丸で囲った記号である。特定のマークとは、例えば、情報の出所が明らかになるマークである。その場合の特定のマークは、企業のロゴ及び社章等のマークである。
【0037】
条件判断部104は、条件が満たされたと判断した場合は、その旨を出力問合せ部105に通知する。出力問合せ部105は、この通知を受け取った場合、すなわち、画像情報取得部103により取得された画像関連情報が予め定められた条件を満たすと判断された場合、その画像関連情報と共に取得された画像の出力の可否を決められた宛先に問い合わせる。
【0038】
出力問合せ部105は、本実施例では、管理者端末20のIP(Internet Protocol)アドレスを問い合わせの宛先として記憶しておく。出力問合せ部105は、前述した問い合わせを示す問い合わせデータを生成し、記憶しておいた宛先に送信することで上記の問い合わせを行う。管理者端末20の問合せ表示部201は、送信されてきた問い合わせデータが示す問い合わせの内容を表示する。
【0039】
図6は表示された問い合わせ内容の一例を表す。
図6の例では、問合せ表示部201は、問い合わせ画面として、処理の対象画像A1と、「対象画像を出力してもよろしいですか?」という文字列と、許可ボタンB1及び不許可ボタンB2とを表示している。問合せ表示部201は、
図6に表す問い合わせ画面を、問い合わせデータを受け取ったときに表示してもよいし、管理者端末20を利用する管理者が問い合わせ画面を開く操作を行ったときに表示してもよい。
【0040】
管理者は、対象画像A1を見て、その対象画像A1を出力してもよいかどうかを判断する。管理者は、例えば、「社内資料」と書かれているが公開済みの情報しか含まれていない場合は、対象画像A1を出力してもよい(=許可)と判断する。また、管理者は、「社外秘」と書かれていて非公開の情報が含まれている場合には、対象画像A1は出力してはいけない(=不許可)と判断する。
【0041】
管理者は、許可と判断した場合は許可ボタンB1を押す操作を行い、不許可と判断した場合は許可ボタンB1を押す操作を行う。問合せ表示部201は、操作されたボタンを指示送信部202に通知する。指示送信部202は、受け取った通知に基づき、対象画像A1の出力を許可する、又は、対象画像A1の出力を許可しない、という管理者からの指示を示す指示データを画像出力装置10に送信する。
【0042】
送信された指示データは画像出力装置10の画像処理部101が受け取る。画像処理部101は、受け取った指示データが対象画像A1の出力を許可するという管理者からの指示を示す場合、対象画像A1を出力する処理を行う。上述したように画像処理部101が画像を出力する処理を実行する前に上記の問い合わせが行われているので、画像処理部101は、その処理によって対象画像A1を出力する。
【0043】
画像処理部101は、例えば、プリント処理又はコピー処理を行う場合であれば用紙等の媒体に対象画像A1を出力し、ファクシミリ処理を行う場合であれば、ファクシミリの宛先に対して対象画像A1を出力する。このように、画像処理部101は、指示を問い合わせる宛先から対象画像の出力が可能と通知された場合、その対象画像を出力する。
【0044】
また、画像処理部101は、本実施例では、問い合わせがされた場合、画像を出力する操作がなくとも対象画像を出力する。これにより、画像を出力する操作が必要な場合に比べて、画像処理サービスの利用者の手間を減らすことができる。また、画像処理部101は、受け取った指示データが対象画像A1の出力を許可しないという管理者からの指示を示す場合は、対象画像A1の出力を実行しない。
【0045】
画像処理システム1が備える各装置は、上記の構成により、画像出力の可否を制御する制御処理を行う。
図7は制御処理における動作手順の一例を表す。まず、画像出力装置10(画像処理指示部102)は、利用者による画像処理を指示する操作を受け付ける(ステップS11)。
図7の例では、画像処理装置30が処理した画像を画像出力装置10が出力する画像処理の指示の操作が受け付けられたものとする。
【0046】
次に、画像出力装置10(画像処理指示部102)は、指示された画像処理の実行を指示する指示データを画像処理装置30に送信する(ステップS12)。画像処理装置30(画像処理部301)は、送信されてきた指示データが示す画像処理を実行し(ステップS13)、処理の対象画像及び画像関連情報を画像出力装置10に送信する(ステップS14)。
【0047】
次に、画像出力装置10(画像処理部101)は、送信されてきた対象画像を出力する指示がされているが、その対象画像を出力せずに待機する(ステップS15)。続いて、画像出力装置10(画像情報取得部103)は、ステップS14で送信されてきた画像関連情報を取得する(ステップS16)。次に、画像出力装置10(条件判断部104)は、取得された画像関連情報が予め定められた条件を満たすか否かを判断する(ステップS21)。
【0048】
図7の例では、上記の条件が満たされたものとする。その場合、画像出力装置10(出力問合せ部105)は、画像関連情報と共に取得された対象画像の出力の可否を問い合わせる問い合わせデータを管理者端末20に送信する(ステップS22)。管理者端末20(問合せ表示部201)は、送信されてきた問い合わせデータが示す問い合わせの内容を表示する(ステップS23)。
【0049】
次に、管理者端末20(指示送信部202)は、対象画像の出力を許可する、又は、対象画像の出力を許可しない、という管理者からの指示を受け付け(ステップS24)、その指示を示す指示データを画像出力装置10に送信する(ステップS25)。
図7の例では、対象画像の出力を許可する指示が受け付けられたものとする。その場合、画像出力装置10(画像処理部101)は、ステップS15で開始した画像出力の待機を解除し、対象画像を出力する(ステップS26)。
【0050】
本実施例では、上記のとおり画像の出力が制限されている。画像の出力を制限する技術としては、例えば登録された出力禁止ルールを用いる方法がある。しかし、この方法では、例えば状況が変化して出力を制限する対象が変わった場合に、再度登録を行うという手間が生じる。本実施例では、出力の可否を決められた宛先に問い合わせてその指示に従うことで、登録された出力禁止ルールを用いる場合に比べて、画像の出力を制限する対象が変化した場合の手間が少なくなる。
【0051】
また、本実施例では、画像に含まれる文字、記号又はマークを示す情報が画像関連情報として用いられた。これにより、画像に特定の文字、特定の記号又は特定のマークが含まれていない場合には、問い合わせの応答者(本実施例では管理者)の手を煩わせないようになっている。
【0052】
[2]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、実施例及び各変形例は、必要に応じて組み合わせて実施してもよい。
【0053】
[2-1]画像関連情報
画像関連情報は、実施例では、画像に含まれる文字、記号又はマークを示す情報であったが、これに限らない。例えば、画像処理としてファクシミリ処理が行われる場合、ファクシミリの送り先の番号又は宛名が画像関連情報として用いられてもよい。その場合、条件判断部104は、取得された画像関連情報が、画像の出力先として適当でないものとして登録された番号又は宛名である場合に、条件が満たされたと判断する。
【0054】
また、画像関連情報は、出力される画像の枚数であってもよい。その場合、条件判断部104は、取得された画像関連情報が示す枚数が閾値以上である場合に、条件が満たされたと判断する。これにより、枚数が少なく情報漏洩時の被害が比較的少ないうちは利便性を重視し、枚数が多くなり情報漏洩時の被害が多くなると問い合わせを行って安全を重視することになる。
【0055】
[2-2]問い合わせの省略
実施例では、画像関連情報が条件を満たす場合は常に出力可否の問い合わせが行われたが、これに限らず、状況によっては問い合わせが省略されてもよい。出力問合せ部105は、例えば、自装置(=画像出力装置10)の位置が決められた範囲に含まれる場合に、画像の出力の可否の問い合わせを行わない。
【0056】
つまり、出力問合せ部105は、自装置の位置が決められた範囲に含まれない場合には、画像の出力の可否の問い合わせを行う。例えば、チェーン店を運営する事業者が画像出力装置10を全国の拠点にそれぞれ設置するものとする。拠点には、不特定多数の人が出入りする店舗と、社員等の素性が明らかな者しか出入しない事業所とがある。その場合、例えば、事業所の範囲を決められた範囲として設定する。
【0057】
出力問合せ部105は、自装置の位置が事業所の範囲に含まれる場合には、画像の出力の可否の問い合わせを行わない。また、出力問合せ部105は、自装置の位置が事業所の範囲に含まれない場合、すなわち、自装置の位置が店舗の範囲に含まれる場合には、画像の出力の可否の問い合わせを行う。その結果、画像処理部101は、自装置(=画像出力装置10)の位置が決められた範囲に含まれる場合には、出力問合せ部105による問い合わせが行われることなく、対象画像を出力する。
【0058】
また、画像処理部101は、自装置の位置が決められた範囲に含まれない場合には、出力問合せ部105による問い合わせが行われてから、対象画像を出力する。これにより、常に問い合わせを行う場合に比べると、出力された画像が不特定多数の人に見られる可能性のある店舗では必ず問い合わせを行って情報漏洩の危険を低減させつつ、出力された画像が見られても構わない人しかいない環境では問い合わせを行わないようにして管理者の手間の低減と利用者の利便性の向上とが図られる。
【0059】
また、出力問合せ部105は、現在時刻が決められた範囲に含まれる場合に、画像の出力の可否の問い合わせを行わないようにしてもよい。つまり、出力問合せ部105は、現在時刻が決められた範囲に含まれない場合には、画像の出力の可否の問い合わせを行う。この場合の決められた範囲は、例えば、就業時間(9時から17時など)である。
【0060】
その場合、出力問合せ部105は、現在時刻が就業時間に含まれる場合には、画像の出力の可否の問い合わせを行わない。また、出力問合せ部105は、現在時刻が就業時間に含まれない場合、すなわち、現在時刻が就業時間外に含まれる場合には、画像の出力の可否の問い合わせを行う。その結果、画像処理部101は、現在時刻が就業時間に含まれる場合には、出力問合せ部105による問い合わせが行われることなく、対象画像を出力する。
【0061】
また、画像処理部101は、現在時刻が就業時間に含まれない場合には、出力問合せ部105による問い合わせが行われてから、対象画像を出力する。これにより、常に問い合わせを行う場合に比べると、就業時間中は社員が大勢いて監視の目があるので問い合わせを行わないようにして管理者の手間の低減と利用者の利便性の向上を図り、就業時間外には必ず問い合わせを行って情報漏洩の危険が低減させられている。
【0062】
また、出力問合せ部105は、処理の対象となる画像が過去に出力されている場合に、画像の出力の可否の問い合わせを行わないようにしてもよい。つまり、出力問合せ部105は、処理の対象となる画像が過去に出力されていない場合には、画像の出力の可否の問い合わせを行う。その場合、画像処理部101は、処理の対象となる画像が過去に出力されている場合には、出力問合せ部105による問い合わせが行われることなく、対象画像を出力する。
【0063】
また、画像処理部101は、処理の対象となる画像が過去に出力されていない場合には、出力問合せ部105による問い合わせが行われてから、対象画像を出力する。これにより、常に問い合わせを行う場合に比べて、同じ画像に対する処理が繰り返し行われる場合の利便性が高められる。
【0064】
[2-3]問い合わせの宛先の変更
出力問合せ部105は、実施例では、問い合わせの宛先が固定されていたが、問い合わせの宛先が変更されてもよい。例えば、出力問合せ部105は、自装置(=画像出力装置10)への操作に基づき問い合わせの宛先を変更する。この場合、出力問合せ部105は、問い合わせの宛先を確認する画面を表示する。
【0065】
図8は表示された確認画面の一例を表す。出力問合せ部105は、
図8(a)に表すように、確認画面として、「対象画像の出力可否を以下の宛先に問い合わせますか?」という文字列と、初期の宛先である「画像処理システムの管理者」と、問い合わせボタンB3及び宛先変更ボタンB4とを表示している。問い合わせボタンB3を押す操作が行われると、表示されている宛先に対して出力問合せ部105が問い合わせを行う。
【0066】
宛先変更ボタンB4を押す操作が行われると、出力問合せ部105は、
図8(b)に表すように、確認画面として、「問い合わせの宛先を選択してください」という文字列と、変更する宛先のリストC1とを表示する。リストC1には、画像処理システムの管理者以外の宛先として、「画像処理システムの副管理者」、「利用者の上司」及び「利用者のグループリーダー」が含まれている。
【0067】
リストC1からいずれかの宛先が選択されると、出力問合せ部105は、
図8(a)に表す確認画面を選択された宛先に変更した状態で表示し、問い合わせボタンB3を押す操作が行われると、表示されている宛先、すなわち利用者が選択した宛先に対して問い合わせを行う。本変形例では、上記のとおり対象画像の出力可否の問い合わせの宛先を利用者が自分の意思で選択することになる。
【0068】
[2-4]暫定処理
画像処理部101は、実施例では、指示を問い合わせる宛先から対象画像の出力が可能と通知されるまでは、対象画像の出力を行わなかったが、これに限らない。本変形例では、画像処理部101は、出力可能との通知を受け取るまでは、対象画像を出力する処理のうちの一部を実行する。
【0069】
画像処理部101は、例えば、対象画像のプレビューを表示する処理を一部の処理として、出力可否の通知よりも前に実行する。これにより、通知後にプレビューを見る必要がなくなるので、事前の処理を行わない場合に比べて、画像出力が迅速に行われることになる。
【0070】
なお、画像処理部101は、機密でない頁を出力する処理を一部の処理として、出力可否の通知よりも前に実行してもよい。その場合、画像処理部101は、出力可能を示す通知を受け取ったときに、機密の頁を含めた全画像を出力してもよいし、事前処理で出力しなかった機密の頁のみを出力してもよい。これにより、通知前に機密でない頁を見ることができるので、事前の処理を行わない場合に比べて、通知後に出力された画像を確認する手間が少なくなる。
【0071】
また、画像処理部101は、ダミー頁を出力する処理を一部の処理として、出力可否の通知よりも前に実行してもよい。その場合、画像処理部101は、出力可能を示す通知を受け取ったときに、ダミー頁を本来の頁に代えて全画像を出力してもよいし、ダミー頁の本来の頁のみを出力してもよい。この場合も、通知前に機密でない頁を見ることができるので、事前の処理を行わない場合に比べて、通知後に出力された画像を確認する手間が少なくなる。また、上記のいずれの場合も、事前の処理を行わない場合に比べて、通知後の手間が少なくなる。
【0072】
[2-5]機能構成
画像処理システム1において実現される機能の構成は、
図5等に表すものに限らない。例えば、実施例では画像出力装置10の画像処理部101が、各種の画像処理を実行する動作と、画像の特徴量を算出する動作と、画像の出力が許可された場合にその画像を出力する動作とを行ったが、これらの動作を別々の機能が行ってもよい。
【0073】
また、例えば条件判断部104及び出力問合せ部105が行う動作を、1つの機能が行ってもよい。また、画像出力装置10が実現する機能を2以上の情報処理装置又はクラウドサービスで提供されるコンピュータリソースが実現してもよい。要するに、画像処理システム全体として
図5等に表された機能が実現されていれば、各機能が行う動作の範囲及び各機能を実現する装置は自由に定められてよい。
【0074】
[2-6]プロセッサ
上記各実施例において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0075】
また上記各実施例におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施例において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0076】
[2-7]発明のカテゴリ
本発明は、認証装置、画像処理装置及びユーザ端末等の情報処理装置の他、各情報処理装置を備える情報処理システム(画像処理システム1はその一例)としても捉えられる。また、本発明は、各情報処理装置が実施する処理を実現するための情報処理方法としても捉えられるし、各情報処理装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等の通信回線を介してコンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…画像処理システム、10…画像出力装置、20…管理者端末、30…画像処理装置、101…画像処理部、102…画像処理指示部、103…画像情報取得部、104…条件判断部、105…出力問合せ部、201…問合せ表示部、202…指示送信部、301…画像処理部。