(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】現像装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240806BHJP
G03G 15/09 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G03G15/08 366
G03G15/08 362
G03G15/09 101
(21)【出願番号】P 2020120984
(22)【出願日】2020-07-14
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉本 新一
(72)【発明者】
【氏名】吉井 朋幸
(72)【発明者】
【氏名】玉澤 紀洋
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 善史
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-072176(JP,A)
【文献】特許第7314580(JP,B2)
【文献】特開2000-181231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 15/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転しながら軸方向に現像剤を搬送する搬送部材と、
静電潜像が形成された像保持体に回転しながら現像剤を渡し、静電潜像を現像する現像手段と、
周方向に回転する回転部材を有し、前記搬送部材によって搬送される現像剤を磁力により汲み上げ、汲み上げた現像剤を回転する前記回転部材の接線方向へ放出して前記現像手段に供給する汲上手段と、
回転する前記回転部材の接線方向に放出され、前記現像手段に供給される現像剤の流れ方向を変える変更手段と、
を備え
、
前記変更手段は、回転する前記回転部材の接線方向に放出され、前記現像手段に供給される現像剤の流れ方向を変えるように現像剤を前記現像手段へ案内する案内路を有し、
前記軸方向から見て、水平方向において、前記汲上手段は、前記現像手段に対して異なる位置に配置されており、
前記案内路は、回転する前記回転部材の接線方向に放出された現像剤を前記現像手段の下方に案内し、前記現像手段の下方に案内された現像剤の流れ方向を変えて現像剤を前記現像手段の下方側の部分に案内する現像装置。
【請求項2】
回転しながら軸方向に現像剤を搬送する搬送部材と、
静電潜像が形成された像保持体に回転しながら現像剤を渡し、静電潜像を現像する現像手段と、
周方向に回転する回転部材を有し、前記搬送部材によって搬送される現像剤を磁力により汲み上げ、汲み上げた現像剤を回転する前記回転部材の接線方向へ放出して前記現像手段に供給する汲上手段と、
回転する前記回転部材の接線方向に放出され、前記現像手段に供給される現像剤の流れ方向を変える変更手段と、
を備え、
前記変更手段は、
前記現像手段に供給される現像剤が通過する通過領域と、
回転する前記回転部材の接線方向に放出された現像剤を前記通過領域に受け入れる受入口と、
前記軸方向から見て、前記通過領域が前記受入口によって開放されている方向に対して交差する交差方向に前記通過領域を開放し、前記通過領域から前記現像手段へ供給される現像剤が通過する供給口と、
を更に備える現像装置。
【請求項3】
前記受入口の開口幅は、前記供給口の開口幅と比して広い請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記軸方向から見て、水平方向において、前記汲上手段は、前記現像手段に対して異なる位置に配置されており、
前記供給口は、前記現像手段の下方に形成されている請求項2又は3に記載の現像装置。
【請求項5】
回転する前記現像手段は、前記汲上手段から供給された現像剤を前記汲上手段側へ折り返すことなく離れる方向に搬送する請求項1又は4に記載の現像装置。
【請求項6】
静電潜像が形成される像保持体と、
前記像保持体に形成された静電潜像を現像する請求項1~5の何れか1項に記載の現像装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の現像装置は、現像剤を撹拌しつつ搬送する撹拌搬送部と、像担持体に対向して配置され、現像剤を担持して現像領域に搬送する現像ロールと、撹拌搬送部からの現像剤を現像ロールに供給する現像剤供給ロールと、現像剤供給ロール表面に対して所定距離を保つ曲面を有し、該曲面と現像剤供給ロール表面との間の所定距離の隙間の空間を現像剤供給空間とする現像剤供給空間形成部と、現像剤供給ロールからの現像剤を現像ロールに案内すると共に所定量の現像剤を収容する現像剤整流空間を設ける案内部材とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現像装置は、回転しながら軸方向に現像剤を搬送する搬送オーガと、静電潜像が形成された像保持体に現像剤を渡し、静電潜像を現像する現像ロールと、搬送オーガによって搬送される現像剤を汲み上げ現像ロールに供給する汲上ロールとを備えている。この汲上ロールは、円柱状の磁石ロールと、磁石ロールが挿入されて周方向に回転する回転部材とを有している。
【0005】
従来、回転する汲上ロールの回転部材から回転部材の接線方向に放出された現像剤が、その流れ方向を強制的に変えられること無く、現像ロールの表面に供給される。しかし、このような構成では、現像ロールの軸方向において、汲上ロールによって汲み上げられた現像剤の量がばらついていると、汲上ロール(汲上手段)から現像ロール(現像手段)に供給される現像剤の量も軸方向でばらついてしまう。このため、静電潜像を現像した場合に、現像ロールの軸方向に現像むらが生じてしまうことがある。
【0006】
本発明の課題は、回転する汲上手段の回転部材から回転部材の接線方向に放出された現像剤が、流れ方向を強制的に変えられること無く、現像手段に供給される場合と比して、現像手段の軸方向に生じる現像むらを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様に係る現像装置は、回転しながら軸方向に現像剤を搬送する搬送部材と、静電潜像が形成された像保持体に回転しながら現像剤を渡し、静電潜像を現像する現像手段と、周方向に回転する回転部材を有し、前記搬送部材によって搬送される現像剤を磁力により汲み上げ、汲み上げた現像剤を回転する前記回転部材の接線方向へ放出して前記現像手段に供給する汲上手段と、回転する前記回転部材の接線方向に放出され、前記現像手段に供給される現像剤の流れ方向を変える変更手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本開示の第2態様に係る現像装置は、第1態様に記載の現像装置において、前記変更手段は、回転する前記回転部材の接線方向に放出され、前記現像手段に供給される現像剤の流れ方向を変えるように現像剤を前記現像手段へ案内する案内路を有していることを特徴とする。
【0009】
本開示の第3態様に係る現像装置は、第2態様に記載の現像装置において、前記軸方向から見て、水平方向において、前記汲上手段は、前記現像手段に対して異なる位置に配置されており、前記案内路は、回転する前記回転部材の接線方向に放出された現像剤を前記現像手段の下方に案内し、前記現像手段の下方に案内された現像剤の流れ方向を変えて現像剤を前記現像手段の下方側の部分に案内することを特徴とする。
【0010】
本開示の第4態様に係る現像装置は、第1態様に記載の現像装置において、前記変更手段は、前記現像手段に供給される現像剤が通過する通過領域と、回転する前記回転部材の接線方向に放出された現像剤を前記通過領域に受け入れる受入口と、前記軸方向から見て、前記通過領域が前記受入口によって開放されている方向に対して交差する交差方向に前記通過領域を開放し、前記通過領域から前記現像手段へ供給される現像剤が通過する供給口と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本開示の第5態様に係る現像装置は、第4態様に記載の現像装置において、前記受入口の開口幅は、前記供給口の開口幅と比して広いことを特徴とする。
【0012】
本開示の第6態様に係る現像装置は、第4態様又は第5態様に記載の現像装置において、前記軸方向から見て、水平方向において、前記汲上手段は、前記現像手段に対して異なる位置に配置されており、前記供給口は、前記現像手段の下方に形成されていることを特徴とする。
【0013】
本開示の第7態様に係る現像装置は、第3態様又は第6態様に記載の現像装置において、回転する前記現像手段は、前記汲上手段から供給された現像剤を前記汲上手段側へ折り返すことなく離れる方向に搬送することを特徴とする。
【0014】
本開示の第8態様に係る画像形成装置は、静電潜像が形成される像保持体と、前記像保持体に形成された静電潜像を現像する第1態様~第7態様の何れか1態様に記載の現像装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本開示の第1態様の現像装置によれば、回転する汲上手段の回転部材から回転部材の接線方向に放出された現像剤が、流れ方向を強制的に変えられること無く、現像手段に供給される場合と比して、現像手段の軸方向に生じる現像むらを抑制することができる。
【0016】
本開示の第2態様の現像装置によれば、動力を用いることなく回転部材から放出した後の現像剤の流れ方向を変えることができる。
【0017】
本開示の第3態様の現像装置によれば、回転部材から放出した後の現像剤が重力に逆らうことなく移動して現像手段へ供給される場合と比して、現像手段の軸方向に生じる現像むらを抑制することができる。
【0018】
本開示の第4態様の現像装置によれば、動力を用いることなく回転部材から放出した後の現像剤の流れ方向を変えることができる。
【0019】
本開示の第5態様の現像装置によれば、受入口の開口幅が供給口の開口幅に対して狭い場合と比して、現像手段の軸方向に生じる現像むらを抑制することができる。
【0020】
本開示の第6態様の現像装置によれば、回転部材から放出した後の現像剤が重力に逆らうことなく移動して現像手段へ供給される場合と比して、現像手段の軸方向に生じる現像むらを抑制することができる。
【0021】
本開示の第7態様の現像装置によれば、回転する現像手段が、汲上手段から供給された現像剤を汲上手段へ近接する方向に搬送する場合と比して、現像手段の軸方向に生じる現像むらを抑制することができる。
【0022】
本開示の第8態様の画像形成装置によれば、第1態様~第7態様の何れか1態様に記載の現像装置を備えていない場合と比して、出力画像の品質低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る現像装置を示した拡大断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る現像装置を示した拡大断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る現像装置を示した断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る現像装置の汲上ロール、及び供給オーガを示した断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る現像装置の供給オーガ、及び撹拌オーガを示した断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置のトナー画像形成部等を示した構成図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る画像形成装置の定着装置等を示した構成図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置のチェーングリッパ等を示した構成図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【
図10】本発明の実施形態に対する変形形態に係る現像装置を示した拡大断面図である。
【
図11】本発明の実施形態に対する比較形態に係る現像装置を示した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態に係る現像装置、及び画像形成装置の一例について
図1~
図11に従って説明する。なお、図中に示す矢印Hは装置上下方向(鉛直方向)を示し、矢印Wは装置幅方向(水平方向)を示し、矢印Dは装置奥行方向(水平方向)を示す。
【0025】
(画像形成装置10)
本実施形態に係る画像形成装置10は、記録媒体としてのシート部材Pに画像を形成する画像形成装置の一例である。具体的には、画像形成装置10は、シート部材Pにトナー画像を形成する電子写真式の画像形成装置である。画像形成装置10は、
図9に示されるように、収容部50と、排出部52と、画像形成部12と、搬送機構60と、反転機構80と、定着装置100と、冷却部90と、を備えている。
【0026】
〔収容部50〕
収容部50は、シート部材Pを収容する機能を有している。画像形成装置10では、収容部50は、
図9に示されるように、複数(例えば2つ)備えられている。この複数の収容部50から選択的にシート部材Pが送り出される構成とされている。
【0027】
〔排出部52〕
排出部52は、
図9に示されるように、画像が形成されたシート部材Pが排出される部分である。具体的には、定着装置100で画像が定着された後に、冷却部90で冷却されたシート部材Pが排出部52へ排出される構成とされている。
【0028】
〔画像形成部12〕
画像形成部12は、シート部材Pに画像を形成する画像形成部の一例である。具体的には、画像形成部12は、
図9に示されるように、電子写真方式によりシート部材Pに画像を形成する機能を有している。さらに具体的には、画像形成部12は、トナー画像を形成するトナー画像形成部20と、トナー画像形成部20で形成されたトナー画像をシート部材Pに転写する転写装置30と、を備えている。
【0029】
トナー画像形成部20は、色ごとにトナー画像を形成するように複数備えられている。画像形成装置10では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー画像形成部20が備えられている。
図9に示す(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。
【0030】
-トナー画像形成部20-
各色のトナー画像形成部20は、用いるトナーを除き基本的に同様に構成されている。具体的には、各色のトナー画像形成部20は、
図6に示されるように、
図6の矢印A方向に回転する像保持体21(感光体)と、像保持体21を帯電させる帯電器22と、を備えている。さらに、各色のトナー画像形成部20は、帯電器22によって帯電された像保持体21を露光して像保持体21に静電潜像を形成する露光装置23と、露光装置23によって像保持体21に形成された静電潜像を、トナーを用いて現像する現像装置24と、を備えている。なお、現像装置24については、詳細を後述する。
【0031】
-転写装置30-
転写装置30は、各色の像保持体21のトナー画像を、中間転写体に重畳して一次転写し、該重畳されたトナー画像をシート部材Pに二次転写する機能を有している。具体的には、転写装置30は、
図9に示されるように、中間転写体としての転写ベルト31と、一次転写ロール33と、転写部35と、を備えている。
【0032】
一次転写ロール33は、像保持体21に形成されたトナー画像を、像保持体21と一次転写ロール33との間の一次転写位置T(
図6参照)で転写ベルト31に転写する機能を有している。
【0033】
転写ベルト31は、無端状を成し、複数のロール32に巻き掛けられて姿勢が決められている。転写ベルト31は、複数のロール32の少なくとも1つが回転駆動されることで、矢印B方向へ周回し、一次転写された画像を二次転写位置NTへ搬送する。
【0034】
転写部35は、転写ベルト31に転写されたトナー画像をシート部材Pに転写する機能を有している。転写部35は、具体的には、二次転写部34と、対向ロール36と、を備えている。
【0035】
対向ロール36は、転写ベルト31に対向するように、転写ベルト31の下側に配置されている。二次転写部34は、対向ロール36との間に転写ベルト31が配置されるように、転写ベルト31の内側に配置されている。二次転写部34は、具体的には、コロトロンで構成されている。転写部35では、転写ベルト31に転写されたトナー画像が、二次転写部34の放電により発生された静電力により、二次転写位置NTを通過するシート部材Pに転写される。
【0036】
〔搬送機構60〕
搬送機構60は、シート部材Pを搬送する機構である。具体的には、搬送機構60は、
図9に示されるように、収容部50に収容されたシート部材Pを二次転写位置NTへ搬送する機能を有している。さらに、搬送機構60は、二次転写位置NTから後述の定着ユニット120(後述の加圧ロール140と加熱ロール130)へ搬送する機能を有している。換言すれば、搬送機構60は、トナー画像が転写されたシート部材Pを定着ユニット120に向けて搬送する機能を有している。
【0037】
具体的には、搬送機構60は、送出ロール62と、複数の搬送ロール64と、チェーングリッパ66と、を備えている。
【0038】
送出ロール62は、収容部50に収容されたシート部材Pを送り出すロールである。複数の搬送ロール64は、送出ロール62が送り出したシート部材Pをチェーングリッパ66へ搬送するロール、又はチェーングリッパ66が搬送したシート部材Pを冷却部90へ搬送するロールである。
【0039】
チェーングリッパ66は、シート部材Pの前端側を保持してシート部材Pを搬送する機能を有している。具体的には、チェーングリッパ66は、
図8に示されるように、一対のチェーン72と、シート部材Pの前端側の部分を保持する複数のグリッパ76と、を有している。
【0040】
一対のチェーン72は、対向ロール36に対する軸方向の一端側及び他端側に配置された一対のスプロケット(図示省略)と、後述の加圧ロール140に対する軸方向の一端側及び他端側に配置された一対のスプロケット(図示省略)と、装置奥行方向に間隔をおいて配置された一対のスプロケット74(
図9参照)とに巻き掛けられている。これらの一対のスプロケットのいずれかが回転することで、チェーン72が矢印C方向へ周回する構成とされている。
【0041】
一対のチェーン72には、グリッパ76が取り付けられた取付部材75が装置奥行方向に沿って掛け渡されている。取付部材75は、複数設けられ、チェーン72の周方向(周回方向)に沿って予め定められた間隔で一対のチェーン72に固定されている。グリッパ76は、複数設けられ、取付部材75に装置奥行方向に沿って予め定められた間隔で取り付けられている。
【0042】
そして、グリッパ76がシート部材Pの前端部を保持した状態で、チェーン72が矢印C方向へ周回することで、シート部材Pが搬送される。
【0043】
〔反転機構80〕
反転機構80は、シート部材Pの表裏を反転させる機構である。具体的には、反転機構80は、
図9に示されるように、複数(例えば、2つ)の搬送ロール82と、反転装置84と、複数(例えば、7つ)の搬送ロール86と、を備えている。
【0044】
複数の搬送ロール82は、定着装置100から送られたシート部材Pを反転装置84へ搬送するロールである。反転装置84は、一例として、シート部材Pの搬送方向が例えば90度ずつ変化するように、シート部材Pを複数回折り返しながら搬送することで、メビウスの帯のようにシート部材Pを捻って、シート部材Pの表裏を反転させる装置である。
【0045】
複数の搬送ロール86は、反転装置84で表裏が反転させたシート部材Pをチェーングリッパ66へ搬送するロールである。
【0046】
なお、反転機構80においてシート部材Pが搬送される搬送経路の一部が、一点鎖線にて示されている。また、反転機構80としては、シート部材Pをスイッチバックさせることで反転させる機構であってもよい。
【0047】
〔定着装置100〕
定着装置100は、転写装置30によってシート部材Pに転写されたトナー画像をシート部材Pに定着する機能を有している。定着装置100は、
図7に示されるように、搬送されるシート部材Pと非接触状態でシート部材Pを加熱する加熱部102と、空気を吹き出すことでシート部材Pを支持してシート部材Pの姿勢を安定させる送風ユニット170とを備えている。さらに、定着装置100は、シート部材Pと接触して加熱、加圧する定着ユニット120を備えている。
【0048】
この定着ユニット120は、搬送されるシート部材Pと接触してシート部材Pを加熱する加熱ロール130と、加熱ロール130に向けてシート部材Pを加圧する加圧ロール140とを備えている。
【0049】
〔冷却部90〕
冷却部90は、定着装置100で加熱されたシート部材Pを冷却する機能を有している。冷却部90は、
図9に示されるように、装置幅方向に並んでいる2個の冷却ロール92を備えている。2個の冷却ロール92は、同様の構成とされているため、一方の冷却ロール92について説明する。
【0050】
図示せぬ送風機構によって生じた空気の流れが、冷却ロール92の内部に生じるようになっている。この空気の流れによって、冷却ロール92の表面の温度は、この空気の流れが生じない場合の温度と比して低下する。
【0051】
(画像形成装置の作用)
画像形成装置10では、次のようにして画像が形成される。
【0052】
先ず、電圧が印加された各色の帯電器22(
図6参照)は、各色の像保持体21の表面を予定の電位で一様にマイナス帯電する。続いて、外部から入力された画像データに基づいて露光装置23は、帯電した各色の像保持体21の表面に露光光を照射して静電潜像を形成する。
【0053】
これにより、画像データに対応した静電潜像が夫々の像保持体21の表面に形成される。さらに、各色の現像装置24は、この静電潜像を現像し、トナー画像として可視化する。また、転写装置30は、各色の像保持体21の表面に形成されたトナー画像を、転写ベルト31に転写する。
【0054】
そこで、
図9に示す収容部50から送出ロール62によってシート部材Pの搬送経路へ送り出され、チェーングリッパ66によって搬送されるシート部材Pは、転写ベルト31と対向ロール36とが接触する二次転写位置NTへ送り出される。二次転写位置NTでは、シート部材Pが転写ベルト31と対向ロール36とに挟持搬送されることで、転写ベルト31の表面のトナー画像は、シート部材Pの表面に転写される。
【0055】
さらに、定着装置100は、シート部材Pの表面に転写されたトナー画像をシート部材Pに定着し、シート部材Pは、冷却部90へ搬送される。冷却部90は、トナー画像が定着されたシート部材Pを冷却して排出部52へ排出する。
【0056】
一方、シート部材Pの裏面にトナー画像を形成する場合には、チェーングリッパ66によって搬送されることで定着装置100を通過したシート部材Pが、反転機構80の搬送ロール82へ搬送され、搬送ロール82によって搬送されたシート部材Pは、反転装置84によって表裏が反転される。さらに、搬送ロール86は、表裏が反転したシート部材Pをチェーングリッパ66へ搬送する。チェーングリッパ66は、シート部材Pを搬送する。そして、シート部材Pの裏面にトナー画像を形成するために、前述した工程が再度行われる。
【0057】
(要部構成)
次に、現像装置24について説明する。
【0058】
現像装置24は、
図3に示されるように、筐体210と、現像ロール240と、掻取ブレード248と、供給オーガ250と、撹拌オーガ260と、汲上ロール270とを備えている。また、筐体210の内部には、トナーT及びキャリアCを含む現像剤Gが収容されている。現像ロール240は、現像手段の一例であって、供給オーガ250は、搬送部材の一例であって、汲上ロール270は、汲上手段の一例である。
【0059】
〔筐体210〕
筐体210の上方側の部分には、
図3に示されるように、像保持体21側に向かって開口する開口部210aが形成されている。この開口部210aから一部が露出するようにして、装置奥行方向を軸方向として、現像剤Gを像保持体21に渡す現像ロール240が筐体210の内部に収容されている。
【0060】
さらに、筐体210の下方側の部分には、汲上ロール270を介して現像ロール240に供給される現像剤Gが搬送される供給路212と、現像剤Gが撹拌されながら搬送される撹拌路214とが形成されている。
【0061】
この供給路212、及び撹拌路214は、装置奥行方向に延びてとり、現像ロール240に近接する側から、供給路212と撹拌路214とが、この順番で装置幅方向に並んでいる。
【0062】
具体的には、筐体210には、供給路212及び撹拌路214の装置奥行方向における両端部分を除いて、供給路212と撹拌路214とを仕切る仕切部材216が、装置奥行方向に延びて形成されている。
【0063】
そして、供給路212は、上方が開放されており、この供給路212には、回転しながら現像剤Gを装置奥行方向の手前側から装置奥行方向の奥側へ搬送する供給オーガ250が、装置奥行方向に延びて配置されている。また、撹拌路214は、上方が開放されており、この撹拌路214には、回転しながら現像剤Gを装置奥行方向の奥側から装置奥行方向の手前側へ搬送する撹拌オーガ260が、装置奥行方向に延びて配置されている。
【0064】
さらに、
図5に示されるように、仕切部材216に対して装置奥行方向の奥側には、供給路212と撹拌路214との間で現像剤Gの移動を可能とする移動路216aが形成されている。また、この仕切部材216に対して装置奥行方向の手前側には、供給路212と撹拌路214との間で現像剤Gの移動を可能とする移動路216bが形成されている。
【0065】
さらに、
図3に示されるように、筐体210において上下方向の中央側の部分で、かつ、供給路212の上方の部分には、供給オーガ250から現像ロール240へ供給される現像剤Gを中継する中継空間220が形成されている。この中継空間220には、装置奥行方向を軸方向とする汲上ロール270が装置奥行方向に延びて配置されている。また、この中継空間220には、汲上ロール270から放出された現像剤Gを現像ロール240へ案内する案内路228が形成されている。なお、案内路228については、詳細を後述する。
【0066】
さらに、筐体210において撹拌路214の上方の部分には、現像ロール240から掻き落とされた現像剤Gを撹拌路214に回収する回収路222が装置奥行方向に延びて形成されている。この回収路222は、仕切部材216の上端に基端が接続された区画壁218によって、中継空間220と区画されている。
【0067】
この区画壁218は、仕切部材216の先端から上方へ延び、中間部分で屈曲している。そして、区画壁218の先端は、装置幅方向で、現像ロール240の外周面と対向している。さらに、区画壁218には、汲上ロール270によって搬送される現像剤Gの層厚を規制する層厚規制部材238が、汲上ロール270の後述する現像剤規制極S2側に突出して形成されている。そして、層厚規制部材238の先端238aと、汲上ロール270の外周面との距離は、装置奥行方向で同様とされている。
【0068】
また、筐体210において現像ロール240の下端と上下方向で対向する部分には、現像ロール240によって搬送される現像剤Gの層厚を規制する規制板224が形成されている。規制板224は、板面が装置幅方向を向く板状で、装置奥行方向に延びている。そして、規制板224の先端224aと、現像ロール240の外周面との距離は、装置奥行方向で同様とされている。
【0069】
〔現像ロール240、掻取ブレード248〕
現像ロール240は、軸方向を装置奥行方向として装置奥行方向に延びて配置されており、
図3に示されるように、筐体210に回転可能に支持された導電性を有する円筒状のスリーブ240aと、筐体210に固定された円柱状の磁石ロール240bとを備えている。スリーブ240aの端部には、ギア(図示省略)が固定されており、駆動源から回転力がギアへ伝達され、このギアを介してスリーブ240aが図中矢印R1方向へ回転するようになっている。
【0070】
掻取ブレード248は、板状とされ、装置奥行方向に延びて配置されている。そして、掻取ブレード248の端部は、現像ロール240において回収路222を臨む部分に接触している。
【0071】
この構成において、現像ロール240は、現像剤G中に含まれたキャリアCを磁力で吸着して搬送する。また、規制板224は、現像ロール240によって搬送される現像剤Gの層厚を規制する。さらに、現像ロール240は、層厚が規制された現像剤Gを像保持体21と対向する位置へ搬送する。そして、像保持体21に形成された静電潜像が、現像ロール240の現像剤Gによってトナー画像として可視化される。
【0072】
さらに、掻取ブレード248は、像保持体21に形成された静電潜像に渡されずに現像ロール240に残留した現像剤Gを現像ロール240から掻き取る。そして、掻取ブレード248によって掻き取られた現像剤Gは、回収路222を通って撹拌路214に回収される。
【0073】
〔供給オーガ250〕
供給オーガ250は、
図5に示されるように、供給路212に配置されている。そして、供給オーガ250は、装置奥行方向に延びている供給軸250aと、供給軸250aの周面に形成されている螺旋状の供給羽根250bとを有している。また、供給軸250aの両端部は、筐体210の壁部に回転可能に支持されており、供給軸250aの一方の端部には、駆動源から回転力が伝達されるギア(図示省略)が固定されている。
【0074】
〔撹拌オーガ260〕
撹拌オーガ260は、
図5に示されるように、撹拌路214に配置されている。そして、撹拌オーガ260は、装置奥行方向に延びている撹拌軸260aと、撹拌軸260aの周面に形成されている螺旋状の撹拌羽根260bとを有している。また、撹拌軸260aの両端部は、筐体210の壁部に回転可能に支持されており、撹拌軸260aの一方の端部には、駆動源から回転力が伝達されるギア(図示省略)が固定されている。
【0075】
この構成において、回転する供給オーガ250は、供給路212の現像剤Gを装置奥行方向の手前側から装置奥行方向の奥側へ搬送する。さらに、回転する供給オーガ250は、装置奥行方向の奥側に形成された移動路216aを通して現像剤Gを撹拌路214に配置された撹拌オーガ260へ渡す。
【0076】
回転する撹拌オーガ260は、移動路216aを通して供給オーガ250から渡された現像剤Gを撹拌しながら装置奥行方向の奥側から装置奥行方向の手前側へ搬送する。さらに、回転する撹拌オーガ260は、装置奥行方向の奥側に形成された移動路216bを通して現像剤Gを供給路212に配置された供給オーガ250へ渡す。このようにして、現像剤Gは、供給路212と撹拌路214との間で循環する(図中矢印参照)。
【0077】
〔汲上ロール270〕
汲上ロール270は、
図3に示されるように、供給路212の上方に形成された中継空間220に配置されている。具体的には、汲上ロール270は、装置奥行方向から見て、供給路212に配置された供給オーガ250の上方で、かつ、装置幅方向において現像ロール240を挟んで像保持体21の反対側に配置されている。そして、上下方向において、汲上ロール270の上端は、現像ロール240の下端と比して上方に位置している。さらに、上下方向において、汲上ロール270の軸中心C1は、現像ロール240の下端と比して下方に位置している。
【0078】
この汲上ロール270は、軸方向を装置奥行方向として装置奥行方向に延びており、筐体210に回転可能に支持された導電性を有する円筒状のスリーブ270aと、筐体210に固定された円柱状の磁石ロール270bとを備えている。スリーブ270aの端部には、ギア(図示省略)が固定されており、駆動源からの回転力がギアへ伝達され、このギアを介してスリーブ270aが図中矢印R2方向(回転するスリーブ270aの上方側の部分が現像ロール240に近づく方向)へ回転するようになっている。スリーブ270aは、回転部材の一例である。
【0079】
図1に示されるように、磁石ロール270bの内部には、スリーブ270aの周方向に沿って表面側にS極又はN極が形成される5個の磁極が間隔を空けて配置されている。
【0080】
現像剤Gを供給路212から汲み上げる汲上極S1は、上下方向で供給オーガ250と対向する位置に配置されている。また、スリーブ270aの回転方向に沿って汲上極S1の隣に現像剤Gを搬送する搬送極N1、現像剤Gの層厚を規制する現像剤規制極S2、現像剤Gを搬送する搬送極N2、現像剤Gをスリーブ270aから剥離させる剥離極S3がこの順番で配置されている。なお、汲上極S1、現像剤規制極S2、及び剥離極S3がS極であり、搬送極N1、及び搬送極N2がN極である。
【0081】
現像剤規制極S2は、汲上ロール270の軸中心C1に対して、装置幅方向で区画壁218側で、かつ、層厚規制部材238と対向して配置されている。また、剥離極S3は軸中心C1に対して、現像ロール240側に配置されている。
【0082】
この構成において、スリーブ270aが矢印R2方向に回転すると、
図2に示されるように、汲上極S1は、供給路212で供給オーガ250によって搬送されている現像剤Gを、磁力によってスリーブ270aに汲み上げる。汲上極S1によって汲み上げられて現像剤Gは、スリーブ270aが矢印R2方向に回転するのに伴い、搬送極N1、現像剤規制極S2、搬送極N2、及び剥離極S3へとこの順番で搬送される。
【0083】
現像剤Gが現像剤規制極S2を通過する際に、区画壁218に形成された層厚規制部材238が、現像剤Gと接触して現像剤Gの層厚を規制する。さらに、剥離極S3は、層厚が規制された現像剤Gをスリーブ270aから剥離させて放出する。具体的には、汲上ロール270は、現像ロール240に供給される現像剤Gを回転するスリーブ270aの接線方向へ放出する。
【0084】
〔案内路228〕
次に、汲上ロール270から放出された現像剤Gを現像ロール240へ案内する案内路228について説明する。案内路228は、
図1に示されるように、仕切面230a、底面232a、及び側面232b等によって、筐体210の中継空間220に形成されている。
【0085】
仕切面230aは、仕切板230に形成されている。仕切板230は、装置奥行方向から見て、汲上ロール270と現像ロール240との間に配置され、現像ロール240の外周面に沿った円弧状とされている。また、仕切板230の下端は、上下方向において現像ロール240の下端の位置に一致するまで延びており、かつ、規制板224の先端224aと装置幅方向で離間している。さらに、仕切板230の上端は、区画壁218の上端まで延びている。そして、仕切板230において、汲上ロール270側を向いた面が、仕切面230aとされている。さらに、仕切板230の下端には、下方を向いた下面230bが形成されている。
【0086】
この仕切板230が配置されていることで、スリーブ270aの接線方向へ放出された現像剤Gは、仕切板230の仕切面230aに接触して現像ロール240へ直接供給されないようになっている。このように、仕切板230は、スリーブ270aの接線方向へ放出された現像剤Gが現像ロール240へ直接供給されるのを阻止する阻止部材として機能している。
【0087】
底面232aは、現像ロール240の下方に配置されており、上下方向で現像ロール240と対向して上方を向いている。また、底面232aは、上方から見て装置奥行方向に延びる矩形状とされている。さらに、底面232aは、仕切板230の下面230bと上下方向で離間し、かつ、底面232aにおいて汲上ロール270側の縁部233は、装置幅方向で汲上ロール270と離間している。また、上方から見て、底面232aの一部は、下面230bと重なっている。そして、縁部233と、仕切板230の下面230bとの間は、汲上ロール270の上方側の部分と装置幅方向で対向しており、後述する通過領域232に現像剤Gを受け入れる受入口232cとされている。
【0088】
この底面232aが配置されることで、スリーブ270aの接線方向へ放出された現像剤Gの一部は、受入口232cを通過して底面232aに当たる。そして、底面232aに載った現像剤Gの一部は、一度止まって、上下方向で現像ロール240と対向する。このように、底面232aは、受入口232cを通過した現像剤Gを上下方向で現像ロール240と対向させる対向部材として機能している。
【0089】
側面232bは、板状の規制板224に形成されている。具体的には、規制板224において汲上ロール270側を向いた面が、側面232bとされており、側面232bは、装置幅方向から見て、装置奥行方向に延びる矩形状とされている。さらに、側面232bの下端は、底面232aにおいて縁部233に対して反対側の縁部と接続されている。
【0090】
そして、装置奥行方向から見て、底面232aに対して上方で、かつ、側面232bに対して側方の矩形状の領域は、現像ロール240に供給される現像剤Gが通過する通過領域232とされている。また、側面232bの上端と、仕切板230の下面230bとの間が、通過領域232から現像ロール240へ供給される現像剤Gが通過する供給口232dとされている。換言すると、供給口232dは、装置奥行方向から見て、通過領域232が受入口232cによって開放されている方向に対して交差する交差方向に通過領域232を開放している。
【0091】
ここで、本実施形態では、供給口232dの開口幅(
図2のL01)は、受入口232cの開口幅(
図2のL02)と比して狭くなっている。換言すると、受入口232cの開口幅L02は、供給口232dの開口幅L01と比して広くなっている。
【0092】
この側面232bが配置されることで、底面232aに載った現像剤Gが堰き止められ、現像ロール240側へ案内される。このように、側面232bは、底面232aに載った現像剤Gを堰き止める堰止部材として機能している。
【0093】
この構成において、回転するスリーブ270aの接線方向に放出された現像剤Gは、
図2に示されるように、受入口232cを通過して通過領域232へ流れ込む。通過領域232へ流れ込んだ現像剤Gは、供給口232dを通過して現像ロール240へ供給される。このようにして、回転するスリーブ270aの接線方向に放出された現像剤Gは、流れ方向を変えて現像ロール240に供給される。
【0094】
つまり、案内路228は、回転するスリーブ270aの接線方向に放出された現像剤Gを現像ロール240の下方に案内し、現像ロール240の下方に案内された現像剤Gの流れ方向を変えて現像剤Gを現像ロール240の下方側の部分に案内する。このように、現像剤Gの流れ方向を変える変更手段226は、案内路228を含んで形成されている。
【0095】
(要部構成の作用)
次に、要部構成の作用について、比較形態に係る現像装置424と比較しつつ説明する。先ず、比較形態に係る現像装置424の構成について、現像装置24と異なる部分を主に説明する。
【0096】
〔現像装置424〕
現像装置424に備えられた汲上ロール470は、
図11に示されるように、装置奥行方向から見て、供給路212に配置された供給オーガ250の上方で、かつ、装置幅方向において現像ロール240を挟んで像保持体21の反対側に配置されている。そして、上下方向において、汲上ロール470の上端は、現像ロール240の下端と比して上方に位置している。さらに、上下方向において、汲上ロール470の軸中心C2は、現像ロール240の下端と比して上方に位置している。
【0097】
そして、汲上ロール470は、現像ロール240の下方側の部分と装置幅方向で対向しており、スリーブ470aと、磁石ロールスリーブ470bとを備えている。なお、汲上ロール470ついては、配置されている位置のみ汲上ロール270と異なり、他の構成については汲上ロール270と同様である。
【0098】
汲上ロール470から放出された現像剤Gを現像ロール240へ案内する案内路428は、仕切面430a、及び案内面440aを含んで形成されている。
【0099】
仕切面430aは、仕切板430に形成されている。仕切板430は、汲上ロール470の上方で、案内路428と回収路222との間を上下方向に仕切るように配置されており、仕切板430において汲上ロール470側を向いた面が、仕切面430aとされている。
【0100】
案内面440aは、案内板440に形成されている。案内板440は、装置奥行方向から見て、現像ロール240と汲上ロール470との間に配置されており、装置奥行方向に延びている。具体的には、案内板440は、装置奥行方向から見て、現像ロール240側が汲上ロール470側と比して下方に位置するように傾斜している。また、上下方向において、案内板440の汲上ロール470側の縁部は、汲上ロール470の上端と比して下方で、かつ、汲上ロール470の軸中心C2と比して上方に位置している。そして、案内板440において上方を向いた面が、案内面440aとされている。
【0101】
〔現像装置24、424の作用〕
回転する供給オーガ250、撹拌オーガ260は、
図5に示されるように、現像剤Gを撹拌しながら搬送する。これにより、現像剤Gは、供給路212と撹拌路214との間を循環する。ここで、供給オーガ250によって搬送される現像剤Gは、装置奥行方向の奥側で折り返して撹拌オーガ260に渡される。
【0102】
このため、供給路212の現像剤Gにおいて装置奥行方向の奥側の部分には、装置奥行方向への移動を制限する力が作用する。そこで、
図4に示されるように、供給路212における現像剤Gの高さは、装置奥行方向の手前側から奥側に向かう従って高くなる。換言すれば、供給路212における現像剤Gの剤面は、装置奥行方向の手前側から奥側に向かう従って汲上ロール270、470に近接する。
【0103】
また、
図2、
図11に示されるように、汲上ロール270、470は、供給オーガ250によって攪拌されながら搬送される現像剤Gを汲上極S1によってスリーブ270a、470aに汲み上げる。ここで、前述したように、供給路212における現像剤Gの剤面は、装置奥行方向の手前側から奥側に向かう従って汲上ロール270、470に近接している。このため、スリーブ270a、470aにおいて装置奥行方向の奥側の部分に汲み上げる現像剤Gの量は、装置奥行方向の手前側の部分に汲み上げる現像剤Gの量と比して多くなる。つまり、スリーブ270a、470aに汲み上げられる現像剤Gの量は、装置奥行方向でばらついている。
【0104】
そして、矢印R2方向に回転するスリーブ270a、470aに汲み上げられた現像剤Gは、搬送極N1、現像剤規制極S2、搬送極N2、及び剥離極S3へとこの順番で搬送される。現像剤Gが現像剤規制極S2を通過する際に、層厚規制部材238が、現像剤Gと接触して現像剤Gの層厚を規制する。さらに、剥離極S3は、層厚が規制された現像剤Gをスリーブ270a、470aから剥離させて放出する。具体的には、汲上ロール270、470は、現像ロール240に供給される現像剤Gを回転するスリーブ270a、470aの接線方向へ放出する。
【0105】
以下、スリーブ270a、470aの接線方向に放出される現像剤Gが現像ロール240に供給される過程について、現像装置424と、現像装置24とに分けて夫々説明する。
【0106】
-現像装置424-
図11に示されるように、現像装置424に備えられた汲上ロール470の軸中心C2は、前述したように、上下方向において、現像ロール240の下端と比して上方に位置している。また、汲上ロール470は、現像ロール240の下方側の部分と装置幅方向で対向している。さらに、汲上ロール470から放出された現像剤Gを現像ロール240へ案内する案内路428は、案内面440aを含んで形成されている。
【0107】
このため、スリーブ470aの接線方向に放出された現像剤Gは、その流れ方向を強制的に変えられること無く、案内面440aによって案内されて、現像ロール240へ供給される。なお、案内面440aによって案内されたが現像ロール240に供給されなかった余剰の現像剤は、案内面440aと現像ロール240との隙間から下方へ落下して供給路212へ戻される。
【0108】
現像ロール240は、磁石ロール240bの磁力によって、汲上ロール470から供給された現像剤Gを受け取り、回転するスリーブ240aによって現像剤Gを搬送する。搬送される現像剤Gは規制板224に接触して層厚が規制され、像保持体21に渡される。これにより、像保持体21に形成された静電潜像が現像される。また、像保持体21に渡されずにスリーブ240aに残留した現像剤Gは、掻取ブレード248によってスリーブ240aから掻き取られ、回収路222を通って撹拌路214に回収される。
【0109】
-現像装置24-
図1に示されるように、現像装置24に備えられた汲上ロール270の軸中心C1は、前述したように、上下方向において、現像ロール240の下端と比して下方に位置している。また、汲上ロール70から放出された現像剤Gを現像ロール240へ案内する案内路228は、仕切面230a、底面232a、及び側面232bを含んで形成されている。
【0110】
このため、
図2に示されるように、スリーブ270aの接線方向に放出された現像剤Gの一部は、仕切面230aと接触して流れ方向を強制的に変えられ、受入口232cを通過して通過領域232へ流れ込む。一方、スリーブ270aの接線方向に放出される現像剤Gの他の一部は、流れ方向を強制的に変えられること無く、受入口232cから通過領域232へ流れ込む。なお、スリーブ270aの接線方向に放出されたが受入口232cを通過しなかった余剰の現像剤Gは、底面232aと汲上ロール270との隙間から下方へ落下して供給路212へ戻される。
【0111】
通過領域232へ流れ込んだ現像剤Gは、側面232bによって堰き止められ、底面232aに当たる。底面232aに載った現像剤Gは、側面232bによって、上方に配置されている現像ロール240側へ案内される。このように、現像剤Gが側面232bによって堰き止められることで、現像剤Gの流れ方向が強制的に変えられる。
【0112】
そして、現像ロール240側へ案内された現像剤Gは、現像ロール240の磁石ロール240bの磁力にアシストされて、供給口232dを通過して現像ロール240へ供給される。なお、受入口232cを通過して通過領域232へ流れ込んだが現像ロール240へ供給されなかった余剰の現像剤Gは、受入口232cを逆に通過して、底面232aと汲上ロール270との隙間から下方へ落下して供給路212へ戻される。または、余剰の現像剤Gは、通過領域232に滞留する。
【0113】
このように、回転するスリーブ270aの接線方向に放出され現像剤Gは、流れ方向が変えられて、上方に配置されている現像ロール240側へ供給される。換言すれば、案内路228は、回転するスリーブ270aの接線方向に放出された現像剤Gを現像ロール240の下方に案内し、現像ロール240の下方に案内された現像剤Gの流れ方向を変えて現像剤Gを現像ロール240の下方側の部分に供給する。さらに、換言すれば、回転するスリーブ270aの接線方向に放出され現像剤Gは、受入口232cを通過して通過領域232へ流れ込み、受入口232cとは異なる方向に通過領域232を開放する供給口232dを通過して現像ロール240へ供給される。
【0114】
そして、現像ロール240は、汲み上げた現像剤Gを、回転するスリーブ240aによって搬送する。具体的には、回転するスリーブ240aは、汲上ロール270から供給された現像剤Gを汲上ロール270から離れる方向に搬送する。さらに、搬送される現像剤Gはが規制板224に接触して層厚が規制され、像保持体21に渡される。これにより、像保持体21に形成された静電潜像が現像される。また、像保持体21に渡されずにスリーブ240aに残留した現像剤Gは、掻取ブレード248によってスリーブ240aから掻き取られ、回収路222を通って撹拌路214に回収される。
【0115】
(まとめ)
以上説明したように、
図1に示す現像装置24では、スリーブ270aの接線方向に放出された現像剤Gが、その流れ方向を重力方向に逆らって強制的に変えられて現像ロール240に供給される。これに対して、
図11に示す現像装置424では、スリーブ470aの接線方向に放出された現像剤Gが、その流れ方向を重力方向に逆らって強制的に変えられること無く、現像ロール240に供給される。
【0116】
ここで、前述したように、スリーブ270a、470aに汲み上げられる現像剤Gの量は、装置奥行方向でばらついている。そこで、現像装置24では、スリーブ270aの接線方向に放出された現像剤Gが、その流れ方向を重力方向に逆らって強制的に変えられてから現像ロール240に供給される。このように現像剤Gの流れ方向が重力方向に逆らって強制的に変えられることで、現像装置24では、現像装置424を用いる場合と比して、装置奥行方向における現像剤Gのばらつきが緩和された状態で、現像剤Gが現像ロール240に供給される。このため、現像装置24では、現像装置424を用いる場合と比して、装置奥行方向に生じる現像むらが抑制される。
【0117】
また、現像装置24は、スリーブ270aの接線方向に放出され、現像ロール240に供給される現像剤Gの流れ方向を変えるように現像剤Gを現像ロール240へ案内する案内路228を有している。このため、例えば、現像剤Gの流れ方向を風圧によって強制的に変える場合と異なり、動力を用いることなく現像剤Gの流れ方向が重力方向に逆らって強制的に変えられる。
【0118】
また、現像装置24では、案内路228は、回転するスリーブ270aの接線方向に放出された現像剤Gを現像ロール240の下方に案内し、この現像剤Gの流れ方向を変えて現像剤Gを現像ロール240の下方側の部分に案内する。これにより、現像ロール240の下方側の部分に案内される現像剤Gは、重力に逆らって上方へ移動しなければならい。
【0119】
このため、現像装置424のように現像剤Gが重力に逆らうことなく移動して現像ロール240へ案内される場合と比して、現像剤Gが装置奥行方向で移動して、現像ロール240へ案内される現像剤Gにおいて装置奥行方向のばらつきが緩和される。これにより、現像装置24では、現像装置424のように現像剤Gが重力に逆らうことなく移動して現像ロール240へ案内される場合と比して、装置奥行方向に生じる現像むらが抑制される。
【0120】
また、現像装置24では、回転するスリーブ240aは、汲上ロール270から供給された現像剤Gを汲上ロール270から離れる方向(
図2の矢印F01)に搬送する。このため、例えば、スリーブが逆方向に回転して、汲上ロール270から供給された現像剤Gを汲上ロール270へ近接する方向(
図10の矢印F02方向)に搬送する場合と比して、現像剤GがU字状に折り返すことが無いため、装置奥行方向において、現像ロール240に供給された現像剤Gのばらつきが緩和される。これにより、現像ロールが、汲上ロール270から供給された現像剤Gを汲上ロール270へ近接する方向に搬送する場合と比して、装置奥行方向に生じる現像むらが抑制される。
【0121】
また、現像装置24では、回転するスリーブ270aの接線方向に放出され現像剤Gは、受入口232cを通過して通過領域232へ流れ込み、受入口232cとは異なる方向に通過領域232を開放する供給口232dを通過して現像ロール240へ供給される。このため、例えば、現像剤Gの流れ方向を風圧によって強制的に変える場合と異なり、動力を用いることなく現像剤Gの流れ方向が強制的に変えられる。
【0122】
また、現像装置24では、受入口232cの開口幅L02は、供給口232dの開口幅L01と比して広い。このため、受入口の開口幅が供給口の開口幅に対して狭い場合と比して、供給口232dを通過させて現像ロール240へ供給される現像剤Gの不足が抑制される。これにより、現像装置24では、受入口の開口幅が供給口の開口幅に対して狭い場合と比して、装置奥行方向に生じる現像むらが抑制される。
【0123】
また、現像装置24では、供給口232dは、現像ロール240の下方に形成されている。このため、供給口232dを通過して現像ロール240の下方側の部分に案内される現像剤Gは、重力に逆らって上方へ移動しなければならい。
【0124】
このため、現像装置424のように現像剤Gが重力に逆らうことなく移動して現像ロール240へ案内される場合と比して、現像ロール240へ案内される現像剤Gにおいて装置奥行方向のばらつきが緩和される。これにより、現像装置24では、現像装置424のように現像剤Gが重力に逆らうことなく移動して現像ロール240へ案内される場合と比して、装置奥行方向に生じる現像むらが抑制される。
【0125】
また、画像形成装置10では、現像装置24を備えることで、現像装置424を備える場合と比して、出力画像の品質低下が抑制される。
【0126】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、現像剤Gが案内路228を流れることで、現像剤Gの流れ方向が変えられたが、風圧、又は磁力等によって現像剤Gの流れ方向を変えてもよい。しかし、この場合には、現像剤Gが案内路228を流れることで、現像剤Gの流れ方向が変えられることで生じる作用は生じない。
【0127】
また、上記実施形態では、現像ロール240の下方側の部分に案内される現像剤Gは、重力に逆らって上方へ移動したが、現像ロール240に供給される現像剤Gの流れ方向が変えられればよく、重力に逆らわなくてもよい。しかし、この場合には、現像剤Gが重力に逆らって上方へ移動することで生じる作用は生じない。
【0128】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、底面232aを装置奥行方向に延びる凹凸状として、通過領域232に流れ込んだ現像剤Gと底面232aとの間に摩擦力を生じさせることで、現像剤Gを装置奥行方向で移動させて、装置奥行方向における現像剤Gのばらつきが緩和してもよい。
【符号の説明】
【0129】
10 画像形成装置
21 像保持体
24 現像装置
226 変更手段
228 案内路
232 通過領域
232c受入口
232d供給口
240 現像ロール(現像手段の一例)
250 供給オーガ(搬送部材の一例)
270 汲上ロール(汲上手段の一例)
270a スリーブ(回転部材の一例)
270b 磁石ロール