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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】クリーニング装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240806BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G03G21/00 318
G03G15/16
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020120995
(22)【出願日】2020-07-15
(65)【公開番号】P2022018129
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 圭
(72)【発明者】
【氏名】木村 丈信
(72)【発明者】
【氏名】石川 哲也
(72)【発明者】
【氏名】桜井 翔太
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-095454(JP,A)
【文献】特開2009-288643(JP,A)
【文献】特開2008-304729(JP,A)
【文献】特開2020-012992(JP,A)
【文献】特開2002-162885(JP,A)
【文献】特開平05-066706(JP,A)
【文献】特開2014-182362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/16
G03G 15/02
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に動作する被清掃部材の表面に対し、前記所定方向と交差する交差方向に沿って所定幅に亘り当接して、当該表面を清掃するブレード状の清掃部材と、
前記被清掃部材と前記清掃部材との間に挟持されるスペーサー部材と、
を備え、
前記スペーサー部材は、前記被清掃部材と前記清掃部材との当接部のうち、前記交差方向における端部よりも内側に配置され、かつ、前記当接部の前記端部よりも強く前記被清掃部材と当接する、
ことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記スペーサー部材は、前記清掃部材に設けられたシート状の部材である、
ことを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記スペーサー部材は、前記被清掃部材に設けられたシート状の部材である、
ことを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記スペーサー部材は、前記清掃部材及び前記被清掃部材のいずれとも異なる部材に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記スペーサー部材は、前記被清掃部材に一体成形されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記スペーサー部材は、前記交差方向における位置及び厚さが、以下の条件式を満たす、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
d>a×x/E ・・・(1)
70<a<120 ・・・(2)
ただし、
x:前記交差方向における前記当接部の端部から前記スペーサー部材までの距離[mm]
d:前記スペーサー部材の厚さ[μm]
E:前記清掃部材のヤング率[MPa]
【請求項7】
前記スペーサー部材の厚さが、以下の条件式を満たす、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
d<b/E ・・・(3)
540<b<560 ・・・(4)
ただし、
d:前記スペーサー部材の厚さ[μm]
E:前記清掃部材のヤング率[MPa]
【請求項8】
前記被清掃部材は画像を担持する像担持体であり、
前記スペーサー部材は、前記像担持体における現像可能領域よりも前記交差方向の外側に配置されている、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記スペーサー部材は、前記交差方向における位置が、以下の条件式を満たす、
ことを特徴とする請求項8に記載のクリーニング装置。
x<L-w ・・・(5)
ただし、
x:前記交差方向における前記当接部の端部から前記スペーサー部材までの距離[mm]
L:前記交差方向における前記当接部の端部から前記現像可能領域までの距離[mm]
w:前記交差方向における前記スペーサー部材の幅[mm]
【請求項10】
画像を担持する像担持体である前記被清掃部材と、
請求項1~9のいずれか一項に記載のクリーニング装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式の画像形成装置では、トナー像を転写した後の感光体(又は転写ベルト)の表面に残ったトナーの残留物は、この表面に当接配置されたクリーニングブレードによって取り除かれる。トナーの残留物は、静電気によって感光体の表面に強く付着しており、剥離が困難である。そのため、クリーニングブレードは、先端を感光体の回転方向とは逆の方向へ向けた状態に配置されるとともに、感光体の表面に対して適度な圧力で押し当てられることが多い。
しかし、このようにクリーニングブレードを設けた場合、感光体表面との間に生じる摩擦力によって、クリーニングブレードの先端部が感光体の回転方向へ引き込まれ、部分的に捲れるおそれがある。特にクリーニングブレードの端部において、このような捲れが生じやすい。
【0003】
そこで、特許文献1に記載の技術では、クリーニングブレードの端部にトナー又は潤滑剤を塗布することで、捲れが生じやすいクリーニングブレードの端部における感光体との摩擦を低減している。
また、特許文献2では、クリーニングブレードの清掃対象である転写ベルトに溝を加工することにより、クリーニングブレードと転写ベルトとの当接部のうち、端部領域における動摩擦係数を、中央領域における動摩擦係数よりも小さくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-158900号公報
【文献】特開2019-184960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、クリーニングブレードの端部にトナーや潤滑剤を供給するための煩雑な構成が必要となる。また、比較的にシール性の低いクリーニングブレードの端部にトナーや潤滑剤を供給することは、むしろユニット端部の汚れを増長しかねない。
特許文献2に記載の技術では、清掃対象の転写ベルトに加工する必要があるため、製造工程や装置構成が煩雑化・高コスト化してしまう。これは清掃対象が感光体等の場合でも同様である。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、簡便な構成で好適に被清掃部材を清掃することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るクリーニング装置は、
所定方向に動作する被清掃部材の表面に対し、前記所定方向と交差する交差方向に沿って所定幅に亘り当接して、当該表面を清掃するブレード状の清掃部材と、
前記被清掃部材と前記清掃部材との間に挟持されるスペーサー部材と、
を備え、
前記スペーサー部材は、前記被清掃部材と前記清掃部材との当接部のうち、前記交差方向における端部よりも内側に配置され、かつ、前記当接部の前記端部よりも強く前記被清掃部材と当接することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る画像形成装置は、
画像を担持する像担持体である前記被清掃部材と、
上記のクリーニング装置と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡便な構成で好適に被清掃部材を清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2】実施形態に係るクリーニング装置周辺の概略断面図である。
図3】実施形態に係るクリーニングブレード及び支持部材の斜視図である。
図4】実施形態に係るクリーニングブレードの端部周辺における圧力分布及び変形可能量を説明するための図であって、(a)が本実施形態のもの、(b)がスペーサー部材の無い場合のものである。
図5】実施例の結果を示すグラフである。
図6】実施形態に係るスペーサー部材の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
[画像形成装置の概略構成]
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す図である。
この図に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、自動原稿搬送部10、スキャナー部20、画像形成部30、給紙部50等を備える。
【0013】
自動原稿搬送部10は、原稿トレイに置かれた原稿Dを一枚ずつ所定の搬送経路に搬送する。
スキャナー部20は、搬送される原稿Dに光源を照射し、原稿Dから反射される反射光を受光する。スキャナー部20は、受光した光信号を電気信号(画像データ)に変換して画像形成部30に出力する。
給紙部50は、記録材Pを収容する複数の給紙トレイ51~53を備え、所定の搬送路により記録材Pを画像形成部30に給紙する。
【0014】
画像形成部30は、イエロー作像部Yと、マゼンタ作像部Mと、シアン作像部Cと、ブラック作像部Kと、中間転写ベルト37と、二次転写ローラー38とを備える。
各作像部YMCKは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像(トナー像)を感光体32に形成し、感光体32に形成されたYMCK各色のトナー像を中間転写ベルト37に一次転写する。各作像部YMCKは、感光体32と、帯電装置33と、露光装置34と、現像装置35と、一次転写ローラー36と、クリーニング装置40とを備える。
なお、各作像部YMCKの構成及び動作はいずれも同様であるため、以下、イエロー作像部Yを例に挙げて説明する。
【0015】
感光体32は、表面に画像(トナー像)を担持するドラム状の像担持体である。この感光体32は、ドラム状の金属基体の外周面に有機光導電体を含有させた樹脂からなる感光層が形成された有機感光体により構成され、図中の反時計回りに回転駆動される。感光層を構成する樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
【0016】
帯電装置33は、感光体32の表面を一定の電位に均一に帯電させる。
露光装置34は、スキャナー部20からの画像データに基づいて感光体32の非画像領域を露光し、露光した部分の電荷を除去することで感光体32の画像領域に静電潜像を形成する。
現像装置35は、感光体32に形成された静電潜像上に現像剤であるトナーを供給し、感光体32にトナー像を形成する。
【0017】
一次転写ローラー36は、感光体32に形成されたトナー像を中間転写ベルト37に一次転写する。
中間転写ベルト37は、複数のローラーに張架され、表面に画像(トナー像)を担持して搬送するベルト状の像担持体であり、ローラーの回転に伴って回転駆動される。中間転写ベルト37は、一次転写ローラー36により、対向するそれぞれの感光体32に圧着され、当該感光体32の表面に現像されたトナー像が一次転写される。
【0018】
二次転写ローラー38は、中間転写ベルト37を介して二次転写対向ローラー381に当接して配置され、二次転写ローラー38と二次転写対向ローラー381との間で形成される転写ニップを記録材Pが通過することにより、中間転写ベルト37上のトナー像が、記録材Pに二次転写される。
二次転写ローラー38における記録材Pの排出側には、定着装置39が配置されている。定着装置39は、搬送されてきた記録材P上に形成されたトナー像を加熱及び加圧し、当該記録材Pにトナー像を定着させる。
【0019】
[クリーニング装置]
図2は、クリーニング装置40周辺の概略断面図である。
クリーニング装置40は、被清掃部材としての感光体32を清掃するものであり、中間転写ベルト37に転写されずに感光体32に付着している残留トナー等を除去する。
具体的には、図2に示すように、クリーニング装置40は、クリーニングブレード41と、滑剤塗布機構42と、均しブレード43とを備え、これらをケーシング45内に収容している。
なお、以下では、感光体32の回転軸に沿った方向(図2の紙面垂直方向)を「軸方向X」という。また、感光体32の回転方向Rにおける下流側を単に「下流側」、回転方向Rにおける上流側を単に「上流側」という場合がある。
【0020】
滑剤塗布機構42は、ブラシローラー421と固形滑剤422と加圧部材423を備えており、クリーニングブレード41よりも回転方向Rの下流側に設けられている。
ブラシローラー421は、感光体32表面と固形滑剤422とに当接するように設けられ、回転することで固形滑剤422から滑剤を掻き取って感光体32表面に供給する。ブラシローラー421は、図示しないモーターにより、感光体32の回転方向Rに対してカウンター方向に回転する。ただし、その逆方向に回転しても構わない。ブラシローラー421が感光体32に供給する滑剤量の増減は、ブラシローラー421の回転数を調整することで制御される。
固形滑剤422は、ステアリン酸亜鉛(ZnSt)などの脂肪酸金属塩類からなり、軸方向Xに延在した直方体形状に形成されている。
加圧部材423は、コイルばね等の弾性部材であり、固形滑剤422をブラシローラー421に押圧する。
【0021】
均しブレード43は、滑剤塗布機構42よりも回転方向Rの下流側に配置されて先端を感光体32に当接させており、滑剤塗布機構42により感光体32に塗布された滑剤を延展して感光体32の表面に均一に薄膜化させる。均しブレード43は、例えばウレタンなどの弾性材料からなり、ケーシング45に固定された支持部材431に接着剤等で貼り付けられている。
【0022】
クリーニングブレード41は、本発明に係る清掃部材の一例であり、転写後の感光体32と当接して当該感光体32の表面に残留するトナーや外添剤等を除去する。クリーニングブレード41は、例えばウレタンなどの弾性材料からなり、軸方向Xに長尺な所定厚さの短冊状に形成されている。そして、クリーニングブレード41は、軸方向Xに直交する自由長F(図4(a)参照)が所定の長さとなるように支持部材411に接着剤等で固定され、先端(自由端)が回転方向Rに対してカウンター方向に感光体32に当接するように設けられている。このクリーニングブレード41は、感光体32の表面よりも軸方向Xの長さが短く、軸方向Xの全長に亘って(後述のスペーサー部材412が貼られた部分を除く)感光体32の表面と当接している。
【0023】
図3は、クリーニングブレード41及び支持部材411の斜視図である。図4は、クリーニングブレード41の端部周辺における圧力分布及び変形可能量を説明するための図であって、(a)がスペーサー部材412のある本実施形態のもの、(b)がスペーサー部材412の無い場合のものである。なお、図4では、感光体32及びクリーニングブレード41のうち軸方向Xの一方の端部周辺のみを示しているが、他方の端部周辺も同様に構成されている。
図3に示すように、クリーニングブレード41には、スペーサー部材412が貼り付けられている。
スペーサー部材412は、クリーニングブレード41のうち軸方向Xの両端部周辺にそれぞれ設けられている。スペーサー部材412は、本実施形態では薄いシート状のテフロン(登録商標)テープであり、軸方向Xと直交する面内でスペーサー部材412の略全周に巻回されてさらに支持部材411にまで亘って貼付されている。これにより、スペーサー部材412は、感光体32とクリーニングブレード41との間に挟持されている(図2参照)。
なお、スペーサー部材412は、テフロンテープに限定されず、被清掃部材である感光体32の表面と同程度、又はそれよりも滑らかな表面性を有するものであればよい。ここで、表面性とは、表面粗さ又は摩擦係数で特定される面の性質をいう。例えば、表面粗さRz0.2[μm]程度、ネル摩擦係数0.23のフランネル布を用いた場合でもテフロンテープと同等の効果が得られた。摩擦係数は、摩擦係数測定器:ポータブル摩擦計TYPE:94i-II(新東科学株式会社製)で測定した。
【0024】
また、スペーサー部材412は、感光体32とクリーニングブレード41との当接部のうち、軸方向Xにおける端部(最端部)よりも内側に配置されており、本実施形態では、クリーニングブレード41の軸方向Xにおける端部よりも内側に配置されている。
そのため、図4(a)に示すように、装置駆動時(感光体32回転時)にクリーニングブレード41と感光体32との間に生じる圧力(押圧力)は、軸方向Xの端部よりも内側のスペーサー部材412の部分において、より高くなる。すなわち、軸方向Xに垂直な面内でのクリーニングブレード41の変形可能量(すなわち変形しやすさ)は、支持部材411に拘束されていない軸方向Xの端部(最端部)で最大となるところ、このクリーニングブレード41が最も変形しやすい軸方向X位置と、クリーニングブレード41の押圧力が最大となる軸方向X位置とが、異なっている。
これに対し、スペーサー部材412を設けずにクリーニングブレード41をそのまま感光体32に当接させた場合、図4(b)に示すように、クリーニングブレード41の押圧力と変形可能量とのいずれもが軸方向Xの端部(最端部)において最大となる。この場合には、感光体32との間の摩擦力によりクリーニングブレード41が感光体32の回転方向Rに引き込まれやすく、クリーニングブレード41が支持部材411から捲れやすくなる。
したがって、クリーニングブレード41への押圧力が最大となる位置と、クリーニングブレード41の変形可能量が最大となる位置とが軸方向Xにずれることにより、これらの軸方向X位置が一致する場合に比べ、クリーニングブレード41の捲れが抑制される。
【0025】
[実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、感光体32とクリーニングブレード41との間に挟持されるスペーサー部材412が、感光体32とクリーニングブレード41との当接部のうち、軸方向Xにおける端部よりも内側に配置されている。
これにより、クリーニングブレード41に作用する押圧力がスペーサー部材412の位置で最大となる結果、当該押圧力が最大となる位置と、クリーニングブレード41の変形可能量が最大となる位置(端部)とが、軸方向Xにずれる。そのため、スペーサー部材412を設けずにクリーニングブレード41をそのまま感光体32に当接させた場合に比べ、クリーニングブレード41の捲れを抑制することができる。
したがって、感光体32とクリーニングブレード41との間にスペーサー部材412を挟持させるだけの簡便な構成で、クリーニングブレード41の捲れを抑制して好適に感光体32を清掃することができる。
【実施例
【0026】
以下に、本発明の実施例を挙げることにより、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0027】
本実施例では、スペーサー部材412の適正な軸方向X位置や厚さ等を見出すために、スペーサー部材412の厚さd[μm]、クリーニングブレード41の端部からスペーサー部材412までの距離x[mm]、クリーニングブレード41のヤング率E[MPa]及び自由長F[mm]をパラメータとし(図4(a)参照)、画像形成装置1を駆動してクリーニングブレード41の捲れ発生有無等を確認した。ここで、距離xは、正確には、軸方向Xにおけるクリーニングブレード41の端部(すなわちクリーニングブレード41と感光体32との当接部の端部)からスペーサー部材412までの距離である。
【0028】
図5(a)~(c)は、本実施例の結果を示すグラフである。グラフ中にプロットした記号は、それぞれ以下の内容を示す。
〇:クリーニングブレード41に捲れなく、良好な状態。
△:クリーニングブレード41に軽微な捲れが発生。
×:クリーニングブレード41に捲れあり。又はトナーのすり抜けや汚れが発生。
なお、「すり抜け」とは、スペーサー部材412によるクリーニングブレード41の段差(隙間)からトナーがすり抜けることをいう。
【0029】
図5(a)~(c)から、以下のことが言える。
・クリーニングブレード41の自由長Fのみが異なる(a)と(b)の結果がほぼ同様であることから、適正なスペーサー部材412の厚さdや位置(距離x)の範囲は、クリーニングブレード41の自由長Fにはほぼ依存しない。
・好ましいスペーサー部材412の厚さdや距離xの範囲として、以下の条件式(1)、(2)が成り立つ。
d>a×x/E ・・・(1)
70<a<120 ・・・(2)
・好ましいスペーサー部材412の厚さdの範囲として、以下の条件式(3)、(4)が成り立つ。
d<b/E ・・・(3)
540<b<560 ・・・(4)
【0030】
さらに、本実施例では、スペーサー部材412の適正な軸方向X位置を見出すために、感光体32における現像可能領域32a(図4(a)参照)に対するスペーサー部材412の軸方向X位置をパラメータとし、画像形成装置1を駆動してトナーのすり抜けや汚れを確認した。
その結果、好ましいスペーサー部材412の距離xの範囲として、以下の条件式(5)が成り立つことが分かった。
x<L-w ・・・(5)
ここで、Lは、軸方向Xにおけるクリーニングブレード41の端部(すなわちクリーニングブレード41と感光体32との当接部の端部)から現像可能領域32aまでの距離[mm]であり、wは、軸方向Xにおけるスペーサー部材412の幅[mm]である(図4(a)参照)。
条件式(5)は、すなわち、スペーサー部材412が現像可能領域32aに重なると、スペーサー部材412の軸方向X両側に生じるクリーニングブレード41の段差(隙間)からのトナーのすり抜けがNGレベルに達することを意味する。したがって、スペーサー部材412は、感光体32における現像可能領域32aよりも軸方向Xの外側に配置されることが好ましい。
【0031】
[その他]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0032】
例えば、上記実施形態では、スペーサー部材412がクリーニングブレード41(清掃部材)に貼付されていることとしたが、当該スペーサー部材は、感光体32(被清掃部材)とクリーニングブレード41との間に挟持されていればよい。
したがって、スペーサー部材を感光体32に設けてもよい。例えば、感光体32の周面上にスペーサー部材としてのテフロンテープを貼り付けてもよい。また、スペーサー部材としてクリーニングブレード41を押圧する凸部を感光体32に一体成形してもよい。
あるいは、スペーサー部材を、クリーニングブレード41及び感光体32のいずれとも異なる部材に設けてもよい。例えば図6に示すように、クリーニング装置40のケーシング45のうち、クリーニングブレード41よりも回転方向Rの上流側に位置する部分にスペーサー部材412Aの一端を取り付け、その他端側がクリーニングブレード41と感光体32との間に挟持されるように、当該スペーサー部材412Aを上流側から垂らしてもよい。
【0033】
また、上記実施形態では、クリーニングブレード41の清掃対象が感光体32であることとした。しかし、本発明に係る被清掃部材は、所定方向に動作するものであれば特に限定されず、例えば転写ベルトなどであってもよい。
また、本発明に係る清掃部材は、被清掃部材の表面に対し、当該被清掃部材の動作方向と交差する交差方向に沿って所定幅に亘り当接して当該表面を清掃するものであればよく、例えばブレード状のものなどに限定されない。
【符号の説明】
【0034】
1 画像形成装置
32 感光体(被清掃部材)
32a 現像可能領域
37 中間転写ベルト
40 クリーニング装置
41 クリーニングブレード(清掃部材)
411 支持部材
412、412A スペーサー部材
45 ケーシング
d スペーサー部材の厚さ
E クリーニングブレードのヤング率
F クリーニングブレードの自由長
L 軸方向におけるクリーニングブレードの端部から現像可能領域までの距離
x 軸方向におけるクリーニングブレードの端部からスペーサー部材までの距離
w 軸方向におけるスペーサー部材の幅
R 感光体の回転方向
X 軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6