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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】蓄電セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20240806BHJP
   H01G 11/26 20130101ALI20240806BHJP
   H01G 11/52 20130101ALI20240806BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240806BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20240806BHJP
   H01M 4/02 20060101ALI20240806BHJP
   H01M 50/457 20210101ALI20240806BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20240806BHJP
   H01G 11/80 20130101ALI20240806BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20240806BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20240806BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01G11/26
H01G11/52
H01M10/04 Z
H01M4/13
H01M4/02 Z
H01M50/457
H01M10/0566
H01G11/80
H01M50/184 A
H01M10/052
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020129014
(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公開番号】P2022025869
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100186761
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】秋山 泰有
【審査官】森 透
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-024871(JP,A)
【文献】特開2007-059271(JP,A)
【文献】特開2019-016493(JP,A)
【文献】特開2020-061270(JP,A)
【文献】特開2018-098211(JP,A)
【文献】特開2013-229300(JP,A)
【文献】特開2019-079614(JP,A)
【文献】特開2014-026944(JP,A)
【文献】国際公開第2018/055858(WO,A1)
【文献】特開2020-030955(JP,A)
【文献】国際公開第2018/221669(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0585
H01G 11/26
H01G 11/52
H01M 10/04
H01M 4/13
H01M 4/02
H01M 50/449
H01M 10/0566
H01G 11/80
H01M 10/052
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1集電体と、前記第1集電体の一方面に設けられた正極活物質層と、を有する正極と、
第2集電体と、前記第2集電体の一方面に設けられた負極活物質層と、を有し、第1方向において前記正極に積層される負極と、
前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、
前記第1方向から見て前記正極活物質層、前記負極活物質層及び前記セパレータを囲むと共に、前記第1集電体及び前記第2集電体に接着する封止部と、
を備える蓄電セルであって、
前記負極活物質層は、前記第1方向において前記正極活物質層と対向するように配置され、
前記第1集電体と、前記第2集電体と、前記封止部とによって前記蓄電セルの内部空間が設けられ、
前記セパレータは、基材層、前記基材層の第1面に設けられた第1接着層、及び前記基材層の第2面に設けられた第2接着層を有し、
前記正極活物質層及び前記負極活物質層のそれぞれは、前記第1方向に直交する第2方向に沿った一端及び他端を有し、
前記正極活物質層及び前記負極活物質層の一方は、前記第1方向において前記セパレータに対向する表面と、前記第1方向において前記表面から窪む溝とを有し、
前記溝は、前記一端から前記他端まで延在し、
前記第1接着層は、前記第1方向において前記溝を有する前記表面を向いており、前記表面と前記溝とによってなされる角部に接着し、
前記第2接着層は、前記正極活物質層及び前記負極活物質層の他方に接着し、
前記セパレータは、前記第1集電体及び前記第2集電体のいずれかの集電体に接着し、
前記集電体には、前記正極活物質層及び前記負極活物質層のうち硬度が低い方の活物質層が設けられ、
前記正極活物質層及び前記負極活物質層の他方は、前記第1方向において前記セパレータに対向する別の表面と、前記第1方向において前記別の表面から窪む別の溝とを有し、
前記別の溝は、前記一端から前記他端まで延在し、
前記第2接着層は、前記別の表面と前記別の溝とによってなされる別の角部に接着する、
蓄電セル。
【請求項2】
前記内部空間に収容されると共に前記溝を流通可能な電解液をさらに備え、
前記表面と前記溝とを有する前記正極活物質層の外縁は、前記第1方向から見て、前記負極活物質層の外縁よりも内側に位置し、
前記第1接着層は、前記第1方向から見た前記表面の外縁に接着する、請求項1に記載の蓄電セル。
【請求項3】
前記第1方向から見た前記セパレータの縁部には、前記第1接着層の第1端部と、前記第2接着層の第2端部とが含まれ、
前記縁部は、前記封止部に接着する、請求項1または2に記載の蓄電セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電セルに関する。
【背景技術】
【0002】
電池を製造する際には、活性化工程が実施される。このとき、電池内部にて発生する副反応等に起因して、ガスが発生することがある。当該ガスが電池内部に留まることは、電池性能の低下の要因となる。下記特許文献1には、電極活物質を含む電極層が、その表面及び/又は内部に配設されたガス流路を有する二次電池用電極が開示される。これにより、下記特許文献1では、ガス等の流体の流動性向上を図っている。下記特許文献1において、電極層は、セパレータに電解質が保持されてなる電解質層と接している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-98211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セパレータは、通常、樹脂製の多孔質シート、不織布製のシート等である。例えば、電池の内部及び/又は外部に起因した振動等によって、セパレータと、当該セパレータに接触する部材とが互いに擦れることがある。これにより、セパレータにピンホール、破れ等が形成されることがある。この場合、セパレータにおいて破損した箇所にて、正極と負極とが短絡するおそれがある。
【0005】
例えば上記特許文献1のように、電極層にガス流路が設けられる場合、当該電極層には複数の角が設けられる。このようにセパレータに接触する部材に複数の角が設けられる場合、セパレータが破損しやすくなってしまう。
【0006】
本開示の目的は、内部における流体の流動性向上と、セパレータの破損抑制とを両立可能な蓄電セルの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る蓄電セルは、第1集電体と、第1集電体の一方面に設けられた正極活物質層と、を有する正極と、第2集電体と、第2集電体の一方面に設けられた負極活物質層と、を有し、第1方向において正極に積層される負極と、正極と負極との間に配置されたセパレータと、第1方向から見て正極活物質層、負極活物質層及びセパレータを囲むと共に、第1集電体及び第2集電体に接着する封止部と、を備える。負極活物質層は、第1方向において正極活物質層と対向するように配置され、第1集電体と、第2集電体と、封止部とによって蓄電セルの内部空間が設けられ、セパレータは、基材層、基材層の第1面に設けられた第1接着層、及び基材層の第2面に設けられた第2接着層を有し、正極活物質層及び負極活物質層のそれぞれは、第1方向に直交する第2方向における一端及び他端を有し、正極活物質層及び負極活物質層の一方は、第1方向においてセパレータに対向する表面と、第1方向において表面から窪む溝とを有し、溝は、一端から他端まで延在し、第1接着層は、第1方向において溝を有する表面を向いており、表面と溝とによってなされる角部に接着し、第2接着層は、正極活物質層及び負極活物質層の他方に接着する。
【0008】
上記蓄電セルでは、正極活物質層及び負極活物質層の一方は、第1方向において表面から窪む溝を有している。溝は、正極活物質層及び負極活物質層の一方における一端から他端まで延在する。これにより、蓄電セルの内部空間における電解液及びガス等の流体が溝を流通できるので、当該流体の流動性を向上できる。加えて、セパレータの第1接着層は、第1方向において溝を有する表面を向いており、表面と溝とによってなされる角部に接着し、セパレータの第2接着層は、正極活物質層及び負極活物質層の他方に接着する。これにより、セパレータと、正極活物質層と、負極活物質層とが、蓄電セルの内部にて一体化される。ここで上述したように第1接着層は、表面と溝とによってなされる角部にも接着する。このため、蓄電セルの内部及び/又は外部に起因した振動等が発生したときであっても、セパレータと正極活物質層との擦れ、及びセパレータと負極活物質層との擦れだけでなく、セパレータと上記角部との擦れも抑制できる。したがって、上記蓄電セルによれば、その内部における流体の流動性向上と、セパレータの破損抑制とが両立可能である。
【0009】
上記蓄電セルは、内部空間に収容されると共に溝を流通可能な電解液をさらに備え、表面と溝とを有する正極活物質層の外縁は、第1方向から見て、負極活物質層の外縁よりも内側に位置し、第1接着層は、第1方向から見た表面の外縁に接着してもよい。この場合、上記表面の外縁に位置する正極活物質層の角と、セパレータとの擦れも抑制できる。このため、セパレータの破損を良好に抑制できる。
【0010】
セパレータは、第1集電体及び第2集電体のいずれかの集電体に接着し、集電体には、正極活物質層及び負極活物質層のうち硬度が低い方の活物質層が設けられてもよい。この場合、活物質層の角に起因するセパレータの破損を良好に抑制できる。
【0011】
正極活物質層及び負極活物質層の他方は、第1方向においてセパレータに対向する別の表面と、第1方向において別の表面から窪む別の溝とを有し、別の溝は、一端から他端まで延在し、第2接着層は、別の表面と別の溝とによってなされる別の角部に接着してもよい。この場合、流体の流動性をより向上できる。加えて、セパレータと上記別の角部との擦れも抑制できる。
【0012】
第1方向から見たセパレータの縁部には、第1接着層の第1端部と、第2接着層の第2端部とが含まれ、縁部は、封止部に接触してもよい。この場合、縁部に含まれる第1端部と第2端部との少なくとも何れかが封止部に接着できる。このため、セパレータの収縮を抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、内部における流体の流動性向上と、セパレータの破損抑制とを両立可能な蓄電セルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、一実施形態の蓄電装置を示す概略的な断面図である。
図2図2の(a)~(d)は、一実施形態の蓄電装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
図3図3は、一実施形態の蓄電装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
図4図5は、第1変形例に係る蓄電装置を示す概略的な断面図である。
図5図5は、第2変形例に係る蓄電装置を示す概略的な断面図である。
図6図6は、第2変形例に係る蓄電装置を示す概略的な断面図である。
図7図7は、第2変形例に係る蓄電装置を示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
【0016】
図1は、一実施形態の蓄電装置を示す概略的な断面図である。図1に示す蓄電装置1は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリに用いられる蓄電モジュールである。蓄電装置1は、例えばニッケル水素二次電池又はリチウムイオン二次電池等の二次電池である。蓄電装置1は、電気二重層キャパシタであってもよいし、全固体電池であってもよい。本実施形態では、蓄電装置1がリチウムイオン二次電池である場合を例示する。
【0017】
蓄電装置1は、複数の蓄電セル2が積層方向(第1方向)にスタック(積層)されたセルスタック5(積層体)を含んで構成されている。各蓄電セル2は、図1に示すように、正極11と、負極12と、セパレータ13と、封止部14とを備える。正極11は、第1集電体20と、第1集電体20の一方面20aに設けられた正極活物質層22とを備える。正極11は、例えば積層方向から見て矩形状の電極である。負極12は、第2集電体21と、第2集電体21の一方面21aに設けられた負極活物質層23とを備える。負極12は、例えば積層方向から見て矩形状の電極である。負極12は、負極活物質層23が積層方向において正極活物質層22と対向するように配置されている。本実施形態では、正極活物質層22及び負極活物質層23は、いずれも積層方向から見て矩形状に塗工されている。負極活物質層23は、正極活物質層22よりも一回り大きく形成されている。積層方向から見て、正極活物質層22の塗工領域の全体が負極活物質層23の塗工領域内に位置している。換言すると、正極活物質層22の外縁22fは、第1方向から見て、負極活物質層23の外縁23bよりも内側に位置する。
【0018】
第1集電体20は、一方面20aとは反対側の面である他方面20bを有する。他方面20bには、正極活物質層22が塗工されていない。第2集電体21は、一方面21aとは反対側の面である他方面21bを有する。他方面21bには、負極活物質層23が塗工されていない。第1集電体20の他方面20bと第2集電体21の他方面21bとが互いに接するように、蓄電セル2がスタックされることによって、セルスタック5が構成される。これにより、複数の蓄電セル2が電気的に直列に接続される。セルスタック5では、積層方向に沿って互いに隣り合う蓄電セル2,2においては、一方の蓄電セル2の第1集電体20と、他方の蓄電セル2の第2集電体21とが互いに接する。セルスタック5では、これらの第1集電体20及び第2集電体21を電極体とする疑似的なバイポーラ電極10が形成される。積層方向の一端には、終端電極として第1集電体20が配置される。積層方向の他端には、終端電極として第2集電体21が配置される。
【0019】
第1集電体20及び第2集電体21のそれぞれは、導電性を示す板状部材である。第1集電体20及び第2集電体21のそれぞれは、例えば、金属、合金、導電性樹脂、及び導電性セラミックスの少なくとも一つを含む。金属を含む板状部材の一種である金属箔は、例えば、銅箔、アルミニウム箔、チタン箔、もしくはニッケル箔である。機械的強度を確保する観点から、第1集電体20及び第2集電体21のそれぞれは、ステンレス鋼箔(例えばJIS G 4305:2015にて規定されるSUS304、SUS316、SUS301、SUS304等)であってもよい。第1集電体20及び第2集電体21のそれぞれは、上記金属の合金箔であってもよい。第1集電体20が合金箔である場合(すなわち、第1集電体20がアルミニウム箔ではない場合)、その表面にアルミニウムが被覆されていてもよい。第2集電体21が合金箔である場合(すなわち、第2集電体21が銅箔ではない場合)、その表面に銅等の金属が被覆されていてもよい。すなわち、第2集電体21の表面は、銅等の金属を含んでもよい。第1集電体20及び/または第2集電体21として箔状の集電体を用いる場合、その厚みは、例えば、1μm~100μmとしてよい。
【0020】
正極活物質層22は、リチウムイオン等の電荷担体を吸蔵及び放出し得る正極活物質を含む。正極活物質としては、リチウム複合金属酸化物、金属酸化物、ポリアニオン系化合物など、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用可能なものを採用すればよい。また、2種以上の正極活物質を併用してもよい。本実施形態において、正極活物質層22は複合酸化物としてのオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO)を含む。
【0021】
正極活物質層22は、積層方向においてセパレータ13に対向する表面22aと、積層方向において表面22aから窪む溝22bとを有する。溝22bは、積層方向に直交する所定方向(以下、「第2方向」と称する)における正極活物質層22の一端から他端(不図示)まで延在する。本実施形態では、溝22bの底面は、第1集電体20によって形成される。このため、正極活物質層22は、溝22bによって2つの部分22c,22d(第1正極活物質部分及び第2正極活物質部分)に分断される。積層方向において、溝22bは、第1集電体20の中心に重なっているが、これに限られない。また、積層方向において溝22bは、負極活物質層23に重なっている。第2方向から見て、溝22bは、略矩形状を呈するが、これに限られない。正極活物質層22の容量を確保する観点から、溝22bの幅は、正極活物質層22の幅の10%以下でもよいし、5%以下でもよいし、3%以下でもよい。なお、溝22bは、積層方向から見て直線状に延在しているが、これに限られない。溝22bは、例えば蛇行してもよいし、分岐してもよい。
【0022】
正極活物質層22には、正極活物質のほか、結着剤及び導電助剤が含まれ得る。結着剤は、活物質又は導電助剤を互いに繋ぎ、電極中の導電ネットワークを維持する役割を果たす。導電助剤は、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等である。
【0023】
負極活物質層23は、例えば黒鉛、人造黒鉛等のカーボン、金属化合物、リチウムと合金化可能な元素もしくはその化合物、ホウ素添加炭素等の負極活物質を含んで構成されている。本実施形態において、負極活物質層は炭素系材料としての黒鉛を含む。負極活物質層23は、積層方向においてセパレータ13に対向する表面23a(別の表面)を有する。
【0024】
本実施形態では、負極活物質層23の硬度は、正極活物質層22の硬度よりも低い。正極活物質層22及び負極活物質層23の硬度は、例えば、材料、目付量、空隙率等によって決まる。正極活物質層22及び負極活物質層23の硬度は、ビッカース硬さもしくはヌープ硬さであり、例えばJIS(日本産業規格)もしくはISO(国際標準化機構)に定められた手法に準じて測定される。
【0025】
セパレータ13は、対向する正極11と負極12とを隔離して両極の接触による短絡を防止しつつ、電荷担体を通過させる部材であり、例えばシート状に形成されている。セパレータ13は、蓄電セル2をスタックした際に隣り合うバイポーラ電極10,10間の短絡を防止する。セパレータ13は、基材層13aと、基材層13aの第1面13aaに設けられた第1接着層13bと、基材層13aの第2面13abに設けられた第2接着層13cとを有する。セパレータ13は、積層方向において正極活物質層22及び負極活物質層23の少なくとも一方に重なる本体部13dと、積層方向から見て正極活物質層22及び負極活物質層23に重ならない縁部13eとを有する。本体部13dは、積層方向から見て略矩形状を呈する。縁部13eは、積層方向から見て本体部13dを囲うように設けられ、略矩形枠形状を呈する。縁部13eは、第1集電体20に向かって湾曲し、第2集電体21に対して離間する。本実施形態では、セパレータ13は、積層方向に直交する水平方向において、封止部14まで延在する部材である。よって、縁部13eの少なくとも一部は、封止部14に接触する。
【0026】
基材層13aは、その内部に複数の孔が形成された多孔質体である。基材層13aを構成する材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)等の樹脂からなる多孔質フィルムが用いられる。本実施形態では、基材層13aを構成する材料は、ポリプロピレン或いはメチルセルロース等からなる織布又は不織布等である。
【0027】
第1接着層13bと第2接着層13cとのそれぞれは、第1集電体20、第2集電体21及び封止部14の少なくとも一つに接着する層である。第1接着層13bは、積層方向において正極活物質層22の表面22aを向いており、正極活物質層22に接着する。本実施形態では、第1接着層13bは、正極活物質層22の表面22a、当該表面22aと溝22bとによってなされる角部22e、並びに、積層方向から見た表面22aの外縁22fに接着する。上述したように、縁部13eは、第1集電体20に向かって湾曲する。このため、縁部13eは、外縁22fに位置する正極活物質層22の角に密着し得る。第2接着層13cは、負極活物質層23に接着される。本実施形態では、第2接着層13cは、負極活物質層23の表面23a、並びに、積層方向から見た表面23aの外縁23bに接着する。セパレータ13の縁部13eには、第1接着層13bの一部(第1端部13f)が含まれる。第1端部13fは、封止部14に接触及び接着する。
【0028】
封止部14は、正極11及び負極12との間の空間S(内部空間)を封止する樹脂製の部材であり、電気絶縁性を有している。封止部14は、積層方向から見て矩形の枠状をなしており、正極活物質層22、負極活物質層23、及びセパレータ13を囲んでいる。封止部14は、第1集電体20及び第2集電体21に接着することで空間Sを形成する。封止部14は、第2集電体21の縁部21eに溶着されている。封止部14は、第1集電体20の縁部20eに溶着されてもよい。本実施形態では、セルスタック5の積層方向に配列された複数の封止部14が一体化されて封止体14aを形成している。封止体14aは、セルスタック5の積層方向の一端に配置された第1集電体20から積層方向の他端に配置された第2集電体21まで積層方向に延在している。封止体14aは筒状の部材である。このような封止体14aは、後述するように、複数の樹脂枠25同士を溶着することによって形成される(図2参照)。
【0029】
封止部14を構成する樹脂材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン、ABS樹脂、変性ポリプロピレン(変性PP)、及びアクリロニトリルスチレン(AS)樹脂が挙げられる。第1集電体20と、第2集電体21と、封止部14とによって設けられる空間Sには、図示しない電解液が収容されている。電解液は、例えばカーボネート系又はポリカーボネート系の電解液である。電解液に含まれる支持塩は、例えばリチウム塩である。リチウム塩は、例えば、LiBF、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SO、若しくは、これらの混合物である。本実施形態では、電解液は、正極活物質層22の溝22bを流通可能である。
【0030】
封止部14の表面(外周面)には金属層15が形成されてもよい。金属層15は、セルスタック5の積層方向の一端に配置された第1集電体20から積層方向の他端に配置された第2集電体21まで積層方向に延在している。金属層15は、例えば接着層16により封止部14の表面にラミネートされてもよいし、接着層16を介さずに封止部14の表面に接触するように形成されてもよい。その場合、例えば蒸着により金属層15を形成してもよいし、金属箔を封止部14の表面に溶着することによって金属層15を形成してもよい。金属層15の表面に樹脂層17を更に形成してもよい。
【0031】
本実施形態では、第1集電体20の一方面20aが、セパレータ13の第1接着層13bに接着された接着面20aaを有する。より具体的には、一方面20aは、第1接着層13bの第1端部13fに接着される接着面20aaを有する。第1集電体20の一方面20aは、正極活物質層22が塗工された塗工領域と、正極活物質層22が塗工されていない非塗工領域とを含む。非塗工領域は、塗工領域の周囲に設けられ、接着面20aaを含む。一方、セパレータ13の縁部13eは、第2集電体21に対して離間している。封止部14は、セパレータ13の縁部13eにおける第2接着層13cに接着されてもよい。セパレータ13の縁部13eは、接着面20aaと封止部14との間に挟まれている。また、セパレータ13の縁部13eは、封止部14に埋め込まれている。この場合、セパレータ13の縁部13eが第1集電体20と封止部14とによって固定されるので、セパレータ13の収縮が良好に抑制される。また、セパレータ13の縁部13eと第2集電体21との離間状態が、良好に維持される。
【0032】
図2の(a)~(d)及び図3は、一実施形態の蓄電装置の製造方法の各工程を示す断面図である。蓄電装置1は例えば以下のようにして製造され得る。
【0033】
(正極ユニットの準備)
まず、図2の(a)に示されるように、正極ユニットU1を準備する。正極ユニットU1は、第1集電体20と第1集電体20の一方面20aに設けられた正極活物質層22とを有する正極11を有する。正極活物質層22は、例えばローラ等により一方面20aに正極活物質を塗工することによって形成される。例えば、分散液にて分散されるスラリー状もしくは粘土状の正極活物質が用いられる。本実施形態では、正極活物質層22の形成を促進する観点から、正極活物質は、粘土状である。正極活物質層22に含まれる部分22c,22dは、同時に形成されてもよいし、異なるタイミングにて形成されてもよい。前者の場合、例えば、凹部が設けられたローラ等を用いる。このとき、ローラ表面のうち凹部上に正極活物質が配置されない状態にて、正極活物質を一方面20aに間欠塗工する。これにより、一方面20a上に部分22c,22cを同時に塗工する。もしくは、連続した1つの正極活物質層22の一部を除去することによって、部分22c,22dを形成してもよい。後者の場合、例えば、部分22c,22dの一方を塗工した後、部分22c,22dの他方を塗工する。
【0034】
本実施形態では、正極ユニットU1は、第1集電体20の一方面20a上に設けられたセパレータ13を有する。セパレータ13は、正極活物質層22を覆うように配置される。セパレータ13は、基材層13aと、基材層13aの第1面13aaに設けられた第1接着層13bと、基材層13aの第2面13abに設けられた第2接着層13cとを有する。セパレータ13の縁部13eにおける第1接着層13bは、第1集電体20の一方面20aに対向するように配置される。セパレータ13の縁部13eにおける第1接着層13bの第1端部13fは、第1集電体20の一方面20aに接着されてもよい。本工程において、セパレータ13の第1接着層13b及び第2接着層13cに熱硬化性接着剤が含まれる場合、熱硬化性接着剤は未硬化であるが、第1集電体20の一方面20aに対して接着性を有する。なお、第1端部13fの全体が一方面20aに接着されてもよいし、第1端部13fの一部が一方面20aに接着されてもよい。後者の場合、例えばスポット溶着等にて第1端部13fの一部が一方面20aに接着されてもよい。
【0035】
(負極ユニットの準備)
また、図2の(b)に示されるように、負極ユニットU2(第2電極ユニット)を準備する。負極ユニットU2は、第2集電体21と第2集電体21の一方面21aに設けられた負極活物質層23(第2活物質層)とを有する負極12(第1電極と異なる極性を有する第2電極)と、第2集電体21の縁部21eに溶着された樹脂枠25とを有する。
【0036】
負極ユニットU2の準備は、正極ユニットU1の準備前に行われてもよいし、正極ユニットU1の準備後に行われてもよいし、正極ユニットU1の準備と同時に行われてもよい。
【0037】
正極ユニットU1はセパレータ13を有していなくてもよい。その場合、セパレータ13は、後述の正極ユニット及び負極ユニットの積層工程において、正極ユニットU1と負極ユニットU2との間に配置されてもよい。
【0038】
(正極ユニット及び負極ユニットの積層)
次に、図2の(c)に示されるように、負極活物質層23がセパレータ13を挟んで正極活物質層22と対向するように正極ユニットU1と負極ユニットU2とを交互に積層する。セパレータ13の縁部13eは、第1集電体20の一方面20aと樹脂枠25との間に配置される。セパレータ13の縁部13eにおける第1接着層13bは第1集電体20の一方面20aに対向する。セパレータ13の縁部13eにおける第2接着層13cは樹脂枠25に対向する。複数の樹脂枠25は、正極ユニットU1及び負極ユニットU2の積層方向において互いに離間して配列される。
【0039】
(封止部の形成)
次に、図2の(d)に示されるように、正極ユニットU1及び負極ユニットU2の積層方向において隣り合う樹脂枠25同士を溶着することによって、正極11と負極12との間の空間Sを封止する樹脂製の封止部14を形成する。例えば、各樹脂枠25の外周面25sに熱板を押し当てる、もしくは、一方の終端電極に相当する第1集電体20の縁部と他方の終端電極に相当する第2集電体21の縁部とに熱板を押し当てることによって、隣り合う樹脂枠25同士を溶着する。このとき、図示しないが、封止部14には、各蓄電セル2に対応する開口部が設けられる。開口部は、対応する蓄電セル2の空間Sに連通する部分であり、電解液及びガス等の流体の流路として機能する。空間S内にて流体を良好に流通させる観点から、開口部は、第2方向において溝22bに重なってもよい。封止部14の形成後、各蓄電セル2に電解液を注液する。例えば、減圧下にて各蓄電セル2の正極活物質層22、負極活物質層23及びセパレータ13に電解液を含浸させる。
【0040】
(蓄電装置の充放電)
次に、図3に示されるように、正極11と負極12とセパレータ13とを含む蓄電装置1の充放電を行う(活性化工程)。本実施形態では、正極11と負極12とセパレータ13とを積層方向において拘束した状態で、充放電を行うが、拘束を行わずに充放電を行ってもよい。積層方向において、一対の拘束部材30間に蓄電装置1を挟むことによって蓄電装置1を拘束する。一方の拘束部材30と積層方向の一端に配置された第1集電体20との間には、第1集電体20に電気的に接続された正極集電板40が配置される。正極集電板40と一方の拘束部材30との間には絶縁板41が配置される。他方の拘束部材30と積層方向の他端に配置された第2集電体21との間には、第2集電体21に電気的に接続された負極集電板50が配置される。負極集電板50と他方の拘束部材30との間には絶縁板51が配置される。
【0041】
蓄電装置1の充放電(初期充放電)は、例えば一対の拘束部材30によって拘束された蓄電装置1を恒温槽内に配置し、正極集電板40と負極集電板50との間に電流を流すことによって行われる。このとき、電解液の流出を抑制する観点から、封止部14に形成される開口部(不図示)は上側に配置される。蓄電装置1の充放電中における副反応等によって、蓄電セル2の空間Sにガスが発生することがある。このガスは、上記開口部を介して空間Sから排出される。
【0042】
活性化工程の後、一対の拘束部材30による拘束を解除し、蓄電装置1を取り出す。そして、封止部14の開口部を塞ぐ。その後、金属層15を、例えば接着層16により封止部14の表面にラミネートしてもよい。さらに、金属層15の表面に樹脂層17を形成してもよい。上記開口部は、接着層16に埋められることによって封止されてもよい。このようにして、蓄電装置1を製造することができる。
【0043】
以上に説明した本実施形態の蓄電セル2では、正極活物質層22は、積層方向においてその表面22aから窪む溝22bを有している。この溝22bは、第2方向における正極活物質層22の一端から他端まで延在する。これにより、蓄電セル2の空間Sにおける電解液及びガス等の流体が溝22bを流通できるので、当該流体の流動性を向上できる。加えて、セパレータ13の第1接着層13bは正極活物質層22に接着し、セパレータ13の第2接着層13cは負極活物質層23に接着する。これにより、セパレータ13と、正極活物質層22と、負極活物質層23とが、蓄電セル2の内部にて一体化される。ここで第1接着層13bは、正極活物質層22の表面22aと、積層方向において表面22aから窪む溝22bとによってなされる角部22eにも接着する。このため、蓄電セル2の内部及び/又は外部に起因した振動が発生したときであっても、セパレータ13と正極活物質層22との擦れ、及び、セパレータ13と負極活物質層23との擦れに加えて、セパレータ13と角部22eとの擦れも抑制できる。したがって、蓄電セル2によれば、内部の流体の流動性向上と、セパレータ13の破損抑制とが両立可能である。
【0044】
本実施形態では、蓄電セル2は、空間Sに収容されると共に溝22bを流通可能な電解液を備え、表面22aと溝22bとを有する正極活物質層22の外縁22fは、積層方向から見て、負極活物質層23の外縁23bよりも内側に位置し、第1接着層13bは、積層方向から見た正極活物質層22の表面22aの外縁22fに接着する。このため、表面22aの外縁22fに位置する正極活物質層22の角と、セパレータ13との擦れも抑制できる。よって、セパレータ13の破損を良好に抑制できる。
【0045】
本実施形態では、積層方向から見たセパレータ13の縁部13eには、第1接着層13bの第1端部13fが含まれ、縁部13eは、封止部14に接触する。このため、縁部13eに含まれる第1端部13fが封止部に接着できる。よって、セパレータ13の収縮を抑制できる。
【0046】
本実施形態では、負極活物質層23の硬度は、正極活物質層22の硬度よりも低く、セパレータ13の縁部13eは、第1集電体20に接触する。このため、正極活物質層22の外縁22fにセパレータ13が密着できるので、正極活物質層22に起因したセパレータ13の破損を良好に抑制できる。
【0047】
本実施形態では、正極活物質層22は、溝22bによって分断される部分22c,22dを有する。このため、溝22bの断面積を確保できるので、蓄電セル2の内部における流体の流動性を良好に向上できる。
【0048】
本実施形態では、第1接着層13bと第2接着層13cとのそれぞれは、第1集電体220、第2集電体21及び封止部14の少なくとも一つに接着する。このため、セパレータ13の収縮を抑制できる。
【0049】
本実施形態では、第2集電体21の表面は、金属を含み、セパレータ13は、積層方向において正極活物質層22及び負極活物質層23に重ならない縁部13eを有し、縁部13eは、第2集電体21に対して離間し、第1接着層13bにおいて縁部13eに含まれる第1端部13fは、第1集電体20に接着し得る。この場合、第2集電体21の表面に含まれる金属に起因するセパレータ13の性能劣化等を抑制できる。例えば、第2集電体21の表面に銅(Cu)が含まれる場合、銅(Cu)がセパレータ13に含まれる樹脂に拡散しやすい。この場合、セパレータ13の性能が劣化しやすくなる。これに対して本実施形態では、セパレータ13が第2集電体21に離間することによって、上述した作用効果が奏される。
【0050】
以下では、上記実施形態の変形例について説明する。以下の変形例において、上記実施形態と重複する箇所の説明は省略する。したがって以下では、上記実施形態と異なる箇所を主に説明する。
【0051】
図4は、第1変形例に係る蓄電装置を示す概略的な断面図である。図4に示されるように、第1変形例に係る蓄電装置1Aに含まれる正極活物質層22Aは、溝22gによって分断されていない。このため、溝22gは、正極活物質層22Aによって画成される。すなわち、溝22gの両側面及び底面は、正極活物質層22Aによって形成される。溝22gは、積層方向において正極活物質層22Aの表面22aから窪み、且つ、第2方向における正極活物質層22Bの一端から他端まで延在する。溝22gは、積層方向において負極活物質層23に重なる。第2方向から見て、溝22gは、略矩形状を呈するが、これに限られない。溝22gの幅は、正極活物質層22Aの幅の10%以下でもよいし、5%以下でもよいし、3%以下でもよい。積層方向における溝22gの深さは、例えば、積層方向における正極活物質層22Aの厚さの50%以上90%以下である。
【0052】
以上に説明した第1変形例においても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。加えて、第1変形例においては、溝22gが設けられることによる正極活物質層22Aの容量低下を抑制できる。
【0053】
図5は、第2変形例に係る蓄電装置を示す概略的な断面図である。図5に示されるように、蓄電装置1Bは、セパレータ13の縁部13eが、第1集電体20の一方面20aではなく、第2集電体21の一方面21aに接着されている。このため、セパレータ13の縁部13eは、第1集電体20に対して離間し、第2集電体21に向かって湾曲する。すなわち、蓄電装置1Bは、図1の蓄電装置1において正極11と負極12とを入れ替えた構成を備える。蓄電装置1Bでは、第2集電体21の一方面21aが、セパレータ13の縁部13eにおける第2接着層13cに接着された接着面21aaを有する。換言すると、セパレータ13の縁部13eには、第2接着層13cの一部(第2端部13g)が含まれ、且つ、一方面21aは、第2端部13gに接着される接着面21aaを有する。セパレータ13の縁部13eにおける第1接着層13bは、封止部14に接着されてもよい。
【0054】
以上に説明した第2変形例においても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。加えて第2変形例においては、縁部13eの一部が、積層方向から見た負極活物質層23の表面23aの外縁23bに接触する。ここで、第2変形例では上記実施形態と同様に、負極活物質層23の硬度は、正極活物質層22の硬度よりも低い。このため第2変形例では、セパレータ13は、第1集電体20及び第2集電体21のうち、硬度が低い方の活物質層である負極活物質層23が設けられる第2集電体21に接着する。これにより、縁部13eにおいて外縁23bに接触する部分には、応力が集中しにくくなる。したがって、当該一部が破損しにくくなる。
【0055】
第2変形例において、蓄電装置1Bは、蓄電装置1と同様の方法により製造され得る。例えば、正極ユニットの準備工程では、正極11と樹脂枠25とを含む正極ユニットを準備する。負極ユニットの準備工程では、負極12とセパレータ13とを含む負極ユニットを準備する。その後、正極ユニット及び負極ユニットの積層を行う。
【0056】
図6は、第3変形例に係る蓄電装置を示す概略的な断面図である。図6に示されるように、蓄電装置1Cは、セパレータ13の縁部13eが、第1集電体20及び第2集電体21に対して離間し、且つ、封止部14に接着する。蓄電装置1Cでは、セパレータ13の第1接着層13bと第2接着層13cとのそれぞれが、封止部14に接着する。具体的には、第1接着層13bのうち縁部13eに含まれる第1端部13fと、第2接着層13cのうち縁部13eに含まれる第2端部13gとのそれぞれが、封止部14に接着する。
【0057】
以上に説明した第3変形例においても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。加えて、セパレータ13が正極活物質層22及び負極活物質層23の角に押し付けられにくくなるので、セパレータ13の破損を良好に抑制できる。
【0058】
図7は、第4変形例に係る蓄電装置を示す概略的な断面図である。図7に示されるように、蓄電装置1Dに含まれる負極活物質層23Aには、積層方向において溝22bに重なる溝23e(別の溝)が設けられる。溝23eは、第2方向における負極活物質層23Aの一端から他端まで延在する。溝23eの底面は、第2集電体21によって形成される。このため、負極活物質層23Aは、溝23eによって2つの部分23c,23dに分断される。積層方向において、溝23eは、第2集電体21の中心に重なっているが、これに限られない。第2方向から見て、溝23eは、略矩形状を呈するが、これに限られない。溝23eは、積層方向において溝22bに完全に重なる。このため、積層方向において、溝23eは、正極活物質層22に重ならない。第2接着層13cは、負極活物質層23Aの表面23aと溝23eとによってなされる角部23f(別の角部)に接着する。
【0059】
以上に説明した第4変形例においても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。また、溝22b,23eが設けられるので、流体の流動性をより向上できる。加えて、第2接着層13cが角部23fに接着することによって、セパレータ13と角部23fとの擦れも抑制できる。
【0060】
以上、本開示の好適な実施形態及び各変形例について詳細に説明されたが、本開示は上記実施形態及び上記変形例に限定されない。上記実施形態と上記変形例とは、適宜組み合わされてもよい。例えば、上記第1変形例と上記第2変形例もしくは上記第3変形例とは、互いに組み合わされてもよい。また、上記実施形態と上記第1変形例と上記第4変形例とは、互いに組み合わされてもよい。この場合、例えば、負極活物質層に設けられる溝の底面が負極活物質層によって形成されてもよい。
【0061】
上記実施形態及び上記変形例では、セパレータの第1面の全体に第1接着層が形成されるが、これに限られない。例えば、第1接着層は、少なくともセパレータの第1面と正極活物質層の角との間に設けられてもよい。この場合であっても、セパレータと正極活物質層の角との擦れを良好に抑制できる。同様に、第2接着層は、少なくともセパレータの第2面と負極活物質層の角との間に設けられてもよい。この場合であっても、セパレータと負極活物質層の角との擦れを良好に抑制できる。
【0062】
上記実施形態及び上記変形例では、正極活物質層には1つの溝が設けられるが、これに限られない。例えば、正極活物質層には、複数の溝が設けられてもよい。この場合、蓄電セルの内部空間における流体の流動性を良好に向上できる。
【0063】
上記実施形態及び上記変形例では、第1接着層は、基材層の第1面の全面に設けられてもよい。同様に、第2接着層は、基材層の第2面の全面に設けられる。また上記実施形態及び上記変形例では、セパレータの基材層は樹脂から構成されるが、これに限られない。基材層は、例えば、多孔質セラミックス層等でもよい。すなわち、基材層は、樹脂以外の物質によって形成されてもよい。
【0064】
上記実施形態及び上記変形例では、封止部の外周面には金属層が形成されるが、これに限られない。例えば、封止部の外周面には絶縁層の最外膜が設けられてもよい。最外膜は、各封止部の外表面を覆う部材である。これにより、当該外側面における絶縁性を向上可能である。最外膜は、例えば、上記外側面に塗料を塗布した後に当該塗料を乾燥することによって、形成される。当該塗料は、例えば絶縁性の合成樹脂が有機溶媒に溶解されたもの等である。
【0065】
上記実施形態、上記第1変形例及び上記第4変形例では、第1集電体はセパレータの第1接着層に接着しているが、これに限られない。例えば、第1集電体は、セパレータの第1面に接触してもよい。また、封止部はセパレータの第2接着層に接着しているが、これに限られない。例えば、封止部は、セパレータの第2面に接触してもよい。
【0066】
上記第2変形例では、第2集電体はセパレータの第2接着層に接着しているが、これに限られない。例えば、第2集電体は、セパレータの第2面に接触してもよい。また、封止部はセパレータの第1接着層に接着しているが、これに限られない。例えば、封止部は、セパレータの第1面に接触してもよい。
【0067】
上記第3変形例では、第1接着層及び第2接着層が封止部に接着しているが、これに限られない。例えば、第1接着層及び第2接着層の一方が封止部に接着してもよい。また、セパレータと封止部とは、接着層を介さずに接着してもよい。例えば、セパレータと封止部とが相溶してもよいし、セパレータが封止部に対して溶着してもよいし、封止部がセパレータに対して溶着してもよい。このとき、セパレータの縁部が、封止部に埋め込まれてもよい。これらの場合、セパレータの収縮を良好に抑制できる。加えて、上記第3変形例にて、セパレータの縁部には余剰部分が存在してもよい。この場合であっても、縁部は、第1集電体及び第2集電体に対して離間することが好ましい。
【符号の説明】
【0068】
1,1A~1D…蓄電装置、2…蓄電セル、5…セルスタック、11…正極、12…負極、13…セパレータ、13a…基材層、13aa…第1面、13ab…第2面、13b…第1接着層、13c…第2接着層、13e,20e,21e…縁部、13f…第1端部、13g…第2端部、14…封止部、15…金属層、20…第1集電体、20a,21a…一方面、20b,21b…他方面、20aa,21aa…接着面、21…第2集電体、22,22A…正極活物質層、22a…表面、22b,22g…溝、22c,22d…部分、22e…角部、22f…外縁、23,23A…負極活物質層、23a…表面(別の表面)、23b…外縁、23e…溝(別の溝)、23f…角部(別の角部)、25…樹脂枠、30…拘束部材、S…空間、U1…正極ユニット、U2…負極ユニット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7