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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】攪拌装置および攪拌方法
(51)【国際特許分類】
   D21B 1/06 20060101AFI20240806BHJP
   B01F 27/80 20220101ALI20240806BHJP
   B01F 27/90 20220101ALI20240806BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20240806BHJP
【FI】
D21B1/06
B01F27/80
B01F27/90
B01F35/71
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020129166
(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公開番号】P2022025954
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】本橋 弘次
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】阿部 隆
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-241497(JP,A)
【文献】特表2010-512470(JP,A)
【文献】特開2011-195983(JP,A)
【文献】特開2016-028811(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0008574(US,A1)
【文献】特開2019-119959(JP,A)
【文献】特開平07-126995(JP,A)
【文献】特開2020-015027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B 1/00- 1/38
B01F27/00-27/96
B01F35/00-35/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを帯状に粗砕する粗砕部と、
前記粗砕部により粗砕されたシート片を収容し、底面と内側面とを有するケースと、
前記ケースの前記底面に配置され、回転により前記シート片を攪拌する羽根を有する回転体と、
を備え、
前記ケースおよび前記回転体は、
前記回転体の半径方向における前記羽根の外端と前記内側面との距離が最も長い最長部と、
前記距離が最も短い最短部と、
前記距離が、前記最長部から前記最短部に向かって連続的に短くなるように変化している距離変化部と、
が形成されるように構成され、
前記ケースおよび前記回転体は、前記シート片を、前記最長部、前記距離変化部および前記最短部に通すことにより、前記シート片を圧縮した後、圧縮された前記シート片を解放する機能を有し、
前記最短部の前記距離をL1とし、前記最長部の前記距離をL2とし、前記シート片の平均長径をL3としたとき、L1<L3<L2を満たすことを特徴とする攪拌装置。
【請求項2】
前記粗砕部は、
前記シートを、幅Laの帯片に裁断する第1裁断部と、
前記帯片を、長さLbの前記シート片に裁断する第2裁断部と、
を備え、
L1<(La+Lb0.5<L2を満たす請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記回転体は、前記底面に配置された駆動軸と、前記駆動軸に取り付けられた前記羽根と、を有し、
前記底面の中心および前記駆動軸は、互いに位置が異なっている請求項1または2に記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記底面の中心から前記内側面に向かう方向のうち、前記駆動軸に向かう方向以外の方向に位置し、前記内側面に取り付けられている内壁部材を備える請求項3に記載の攪拌装置。
【請求項5】
前記ケースの内部と外部とに連通する筒体を備え、
前記筒体は、前記底面の中心から前記駆動軸に向かう方向とは反対側の前記内側面に接続されている請求項3または4に記載の攪拌装置。
【請求項6】
前記回転体の半径方向における前記羽根の外端と前記内側面との距離が、前記回転体の周方向において連続的に変化している請求項1ないし5のいずれか1項に記載の攪拌装置。
【請求項7】
前記回転体は、前記底面に沿って広がる板状をなす回転部を有し、
前記羽根は、前記回転部に立設されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の攪拌装置。
【請求項8】
前記ケースの前記内側面の水平断面は、楕円形状または波打ち形状をなしている請求項1ないし7のいずれか1項に記載の攪拌装置。
【請求項9】
前記距離L2および前記平均長径L3は、L2<(3×L3)を満たす請求項1ないし8のいずれか1項に記載の攪拌装置。
【請求項10】
帯状をなすシート片を収容し、底面と内側面とを有するケースと、
前記ケースの前記底面に配置され、羽根を有する回転体と、
を備える装置を用いて、前記シート片を攪拌する方法であって、
前記回転体の半径方向における前記羽根の外端と前記内側面との距離が最も長い部分を最長部とし、前記距離が最も短い部分を最短部とし、前記距離が前記最長部から前記最短部に向かって連続的に短くなるように変化している部分を距離変化部とするとき、前記回転体の回転により、前記シート片を、前記最長部、前記距離変化部および前記最短部に通すことにより、前記シート片を圧縮した後、圧縮された前記シート片を解放する処理を含み、
前記最短部の前記距離をL1とし、前記最長部の前記距離をL2とし、前記シート片の平均長径をL3としたとき、L1<L3<L2を満たすことを特徴とする攪拌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、攪拌装置および攪拌方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、古紙を再生処理する古紙再生処理装置が開示されている。この古紙再生処理装置は、裁断された紙材を貯留する紙材貯留装置を有する給紙部と、給紙部から供給された紙材を計量する計量部と、計量部で計量された紙材からパルプ懸濁液を製造するパルパー装置と、を備えている。また、紙材貯留装置は、裁断された紙材を貯留する貯留容器と、貯留容器内に貯留されている紙材を攪拌する撹拌装置と、を備えている。
【0003】
攪拌装置は、貯留容器の底板に設けられた回転軸と、回転軸の上端に設けられた回転自在な攪拌部材と、を有している。攪拌部材が回転すると、貯留容器内の紙材が撹拌され、遠心力によって回転軸の径方向外側へ移動させる。そして、紙材を貯留容器の排出口から排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-241497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている攪拌部材は、シート片(紙材)の量によっては、ケース(貯留容器)に貯留されているシート片を十分に攪拌することができないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の攪拌装置は、
シートを帯状に粗砕する粗砕部と、
前記粗砕部により粗砕されたシート片を収容し、底面と内側面とを有するケースと、
前記ケースの前記底面に配置され、回転により前記シート片を攪拌する羽根を有する回転体と、
を備え、
前記ケースおよび前記回転体は、
前記回転体の半径方向における前記羽根の外端と前記内側面との距離が最も長い最長部と、
前記距離が最も短い最短部と、
前記距離が、前記最長部から前記最短部に向かって連続的に短くなるように変化している距離変化部と、
が形成されるように構成され、
前記ケースおよび前記回転体は、前記シート片を、前記最長部、前記距離変化部および前記最短部に通すことにより、前記シート片を圧縮した後、圧縮された前記シート片を解放する機能を有し、
前記最短部の前記距離をL1とし、前記最長部の前記距離をL2とし、前記シート片の平均長径をL3としたとき、L1<L3<L2を満たす。
【0007】
本発明の攪拌方法は、
帯状をなすシート片を収容し、底面と内側面とを有するケースと、
前記ケースの前記底面に配置され、羽根を有する回転体と、
を備える装置を用いて、前記シート片を攪拌する方法であって、
前記回転体の半径方向における前記羽根の外端と前記内側面との距離が最も長い部分を最長部とし、前記距離が最も短い部分を最短部とし、前記距離が前記最長部から前記最短部に向かって連続的に短くなるように変化している部分を距離変化部とするとき、前記回転体の回転により、前記シート片を、前記最長部、前記距離変化部および前記最短部に通すことにより、前記シート片を圧縮した後、圧縮された前記シート片を解放する処理を含み、
前記最短部の前記距離をL1とし、前記最長部の前記距離をL2とし、前記シート片の平均長径をL3としたとき、L1<L3<L2を満たす。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】シート製造装置の構成を示す図である。
図2図1の粗砕部を示す斜視図である。
図3図2の粗砕部の主要部を矢印A方向から見たときの動作状態を順に示す図である。
図4図3に示す動作に伴って原料シートが粗砕される様子を説明するための概念図である。
図5図1の貯留部を示す斜視図である。
図6図5のIII-III線における縦断面斜視図である。
図7図5のV-V線における縦断面図である。
図8図5の攪拌部を模式的に示す平面図である。
図9図8に示す攪拌部における攪拌の原理を説明するための模式図である。
図10図8に示す攪拌部の縦断面を示す模式図である。
図11】第1変形例に係る攪拌装置の貯留部を示す平面図である。
図12】第2変形例に係る攪拌装置の貯留部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の攪拌装置および攪拌方法を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0010】
1.シート製造装置
まず、攪拌装置を備えるシート製造装置について説明する。
図1は、シート製造装置100の構成を示す図である。
【0011】
シート製造装置100は、木質系パルプ材料やクラフトパルプ、古紙、合成パルプ等の繊維を含む原料シートMAを繊維化して、シートSを製造する。
【0012】
シート製造装置100は、供給部10、粗砕部12、貯留部13、解繊部20、選別部40、第1ウェブ形成部45、回転体49、混合部50、分散部60、第2ウェブ形成部70、ウェブ搬送部79、加工部80、および、切断部90を備える。
【0013】
供給部10は、粗砕部12に原料シートMAを供給する。粗砕部12は、粗砕刃14により原料シートMAを裁断するシュレッダーである。原料シートMAは、粗砕部12により紙片状に裁断され、シート片MA2となる。シート片MA2は、ホッパー9により集められ、貯留部13に搬送される。
【0014】
貯留部13は、粗砕部12から供給されたシート片MA2を一時的に貯留し、所定量を解繊部20に供給する。これによって、シートSの製造工程に供給されるシート片MA2を所定量に保つことが可能となる。
【0015】
解繊部20は、粗砕部12で裁断された細片を乾式で解繊して解繊物MBにする。解繊とは、複数の繊維が結着した状態のシート片MA2を、1本または少数の繊維に解きほぐす加工である。乾式とは、液体中ではなく、空気中等の気中において、解繊等の処理を行うことを指す。解繊物MBは、例えば、シート片MA2に含まれた繊維や、樹脂粒、インクやトナー等の色剤、にじみ防止材、紙力増強剤等のシート片MA2に由来する成分を含む。
【0016】
解繊部20は、例えば、筒状の固定子22と、固定子22の内部で回転するローター24とを備えるミルであり、粗砕片を固定子22とローター24との間に挟んで解繊する。解繊物MBは、配管を通じて選別部40に送られる。
【0017】
選別部40は、ドラム部41と、ドラム部41を収容するハウジング部43と、を有する。ドラム部41は、網、フィルター、スクリーン等の開口を有する篩であり、図示しないモーターの動力により回転する。解繊物MBは、回転するドラム部41の内部でほぐされて、ドラム部41の開口を通過して下降する。解繊物MBの成分のうち、ドラム部41の開口を通過しないものは、管8を通じてホッパー9に搬送される。
【0018】
第1ウェブ形成部45は、多数の開口を有する無端形状のメッシュベルト46を備える。第1ウェブ形成部45は、ドラム部41から下降する繊維等をメッシュベルト46に堆積させることにより、第1ウェブW1を製造する。ドラム部41から下降した成分のうち、メッシュベルト46の開口より小さいものは、メッシュベルト46を通過して吸引部48により吸引除去される。これにより、解繊物MBの成分のうち、シートSの製造に適しない短い繊維や、樹脂粒、インク、トナー、にじみ防止剤等が除去される。
【0019】
メッシュベルト46の移動経路には加湿器77が配置され、ミスト状の水または高湿度の空気により、メッシュベルト46に堆積した第1ウェブW1が加湿される。
【0020】
第1ウェブW1は、メッシュベルト46により搬送され、回転体49に接触する。回転体49は、複数の羽根によって第1ウェブW1を分断し、材料MCとする。材料MCは管54を通じて混合部50に搬送される。
【0021】
混合部50は、材料MCに添加材料ADを添加する添加物供給部52、および、材料MCと添加材料ADとを混合する混合ブロアー56を備える。添加材料ADは、複数の繊維を結着させるための樹脂等の結合材料を含み、着色剤、凝集抑制剤、難燃剤等を含んでもよい。混合ブロアー56は、材料MCおよび添加材料ADが搬送される管54に気流を発生させて材料MCと添加材料ADとを混合し、混合物MXを分散部60に輸送する。
【0022】
分散部60は、ドラム部61と、ドラム部61を収容するハウジング63と、を有する。ドラム部61は、ドラム部41と同様に構成される円筒形状の篩であり、図示しないモーターにより駆動されて回転する。ドラム部61の回転により、混合物MXは解きほぐされてハウジング63の内部を下降する。
【0023】
第2ウェブ形成部70は、多数の開口を有する無端形状のメッシュベルト72を備える。第2ウェブ形成部70は、ドラム部61から下降する混合物MXをメッシュベルト72に堆積させて第2ウェブW2を製造する。混合物MXの成分のうち、メッシュベルト72の開口より小さいものは、メッシュベルト72を通過して吸引部76により吸引される。
【0024】
メッシュベルト72の移動経路には加湿器78が配置され、ミスト状の水または高湿度の空気により、メッシュベルト72に堆積した第2ウェブW2が加湿される。
【0025】
第2ウェブW2は、ウェブ搬送部79によってメッシュベルト72から剥がされ、加工部80に搬送される。加工部80は、加圧部82、および、加熱部84を備える。加圧部82は、一対の加圧ローラーにより第2ウェブW2を挟み、所定のニップ圧で加圧して、加圧後シートSS1を形成する。加熱部84は、一対の加熱ローラーによって加圧後シートSS1を挟んで熱を加える。これにより、加圧後シートSS1に含まれる繊維が、添加材料ADに含まれる樹脂により結着し、加熱後シートSS2が形成される。加熱後シートSS2は、切断部90に搬送される。
【0026】
切断部90は、加熱後シートSS2を、搬送方向Fと交差する方向および搬送方向Fに沿う方向の少なくとも一方に切断し、所定サイズのシートSを製造する。シートSは、排出部96に貯留される。
【0027】
シート製造装置100は、制御装置110を備える。制御装置110は、解繊部20、添加物供給部52、混合ブロアー56、分散部60、第2ウェブ形成部70、加工部80および切断部90を含むシート製造装置100の各部の動作を制御して、シートSの製造方法を実行させる。また、制御装置110は、供給部10、選別部40、第1ウェブ形成部45、および、回転体49の動作を制御するものであってもよい。
【0028】
2.攪拌装置
次に、本実施形態に係る攪拌装置1について説明する。
【0029】
図1に示す攪拌装置1は、粗砕部12と、貯留部13と、を備えている。攪拌装置1は、粗砕部12により原料シートMAをシート片MA2に裁断し、貯留部13に搬送する。貯留部13では、シート片MA2を一時的に貯留し、攪拌しつつ、所定量を解繊部20に供給する。以下、各部について順次説明する。
【0030】
2.1.粗砕部
粗砕部12は、粗砕刃14により原料シートMAを裁断するシュレッダーである。
【0031】
図2は、図1の粗砕部12を示す斜視図である。図3は、図2の粗砕部12の主要部を矢印A方向から見たときの動作状態を順に示す図である。図4は、図3に示す動作に伴って原料シートMAが粗砕される様子を説明するための概念図である。なお、図2および図3では、互いに直交するx軸、y軸およびz軸を設定している。そして、各軸の矢印が向いた方向を「+」、その反対方向を「-」という。
【0032】
図2に示す粗砕部12は、2つの粗砕刃14と、これらを駆動する駆動部29と、を備えている。このうち、一方の粗砕刃14は、複数の第1回転刃35と、y軸と平行に配置された第1軸34Aと、を備えている。他方の粗砕刃14は、複数の第2回転刃36と、y軸と平行に配置された第2軸34Bと、を備えている。
【0033】
複数の第1回転刃35は、第1軸34Aに回転可能に支持されている。複数の第2回転刃36は、第2軸34Bに回転可能に支持されている。
【0034】
第1軸34Aおよび第2軸34Bは、両持ち支持されており、一端側が駆動部29に連結されている。駆動部29は、図3に示すように、第1軸34Aおよび第2軸34Bを、互いに反対方向に回転させる。これにより、第1回転刃35および第2回転刃36も、互いに反対方向に回転する。
【0035】
第1軸34Aには、複数の第1回転刃35がy軸に沿って等間隔に配置されている。各第1回転刃35は、板部材で構成され、その中心部に第1軸34Aが挿通されている。
【0036】
第2軸34Bには、複数の第2回転刃36がy軸に沿って等間隔に配置されている。各第2回転刃36は、板部材で構成され、その中心部に第2軸34Bが挿通されている。
【0037】
第1回転刃35および第2回転刃36は、y軸に沿って交互に重なるよう配置されている。各第1回転刃35と各第2回転刃36とが回転すると、隣り合う第1回転刃35と第2回転刃36との間で、原料シートMAをy軸と直交する方向の複数箇所で裁断することができる。その結果、原料シートMAは、図4に示すように、第1回転刃35および第2回転刃36の厚さに相当する幅Laの帯片MA1に分割される。すなわち、原料シートMAから複数の帯片MA1が得られる。なお、帯片MA1の幅Laとは、帯片MA1の長軸に直交する短軸の長さのことをいう。
【0038】
第1回転刃35および第2回転刃36の配置数は、複数であれば、特に限定されない。また、第1回転刃35の厚さおよび第2回転刃36の厚さは、互いに同じであっても、異なっていてもよい。
【0039】
第1回転刃35および第2回転刃36の厚さは、特に限定されないが、例えば、1mm以上10mm以下であるのが好ましく、2mm以上5mm以下であるのがより好ましい。
【0040】
y軸方向から見たときの第1回転刃35および第2回転刃36の形状は、例えば多角形とされ、特に限定されないが、図3では、略三角形をなしている。このような形状の第1回転刃35および第2回転刃36が回転すると、回転に伴って交差点O3が繰り返し出現する。交差点O3とは、y軸方向から見たときに第1回転刃35の外縁と第2回転刃36の外縁とが見かけ上交差する点のうち、原料シートMAが投入される方向に位置する点のことをいう。交差点O3は、第1回転刃35および第2回転刃36の回転に伴って、すなわち、図3の左図の状態から右図の状態への変化に伴って、+x軸方向に移動し、原料シートMAを引き込む。
【0041】
略三角形をなす第1回転刃35の頂点付近には、鋭利な第1爪351が設けられている。したがって、1つの第1回転刃35には、3つの第1爪351が設けられている。
【0042】
同様に、略三角形をなす第2回転刃36の頂点付近には、鋭利な第2爪361が設けられている。したがって、1つの第2回転刃36には、3つの第2爪361が設けられている。
【0043】
これらの第1爪351および第2爪361は、それぞれ、図4に示す帯片MA1に衝突するたびに、帯片MA1の長手方向と交差する方向に裁断する。これにより、図4に示すように、短冊状のシート片MA2が得られる。シート片MA2の長さLbは、第1爪351同士の距離、または、第2爪361同士の距離にほぼ等しい。したがって、シート片MA2は、幅La、長さLbの略長方形をなすものとなる。このようなシート片MA2は、攪拌部130での攪拌に適した形状、寸法となっている。なお、シート片MA2の長さLbとは、図4に示す帯片MA1の長軸方向と同じ方向におけるシート片MA2の長さのことをいう。
【0044】
したがって、本実施形態に係る粗砕部12は、図3に示すように、原料シートMAを、幅Laの帯片MA1に裁断する第1裁断部15A、および、帯片MA1を、長さLbのシート片MA2に裁断する第2裁断部15B、を有する。
【0045】
第1裁断部15Aは、図3の紙面奥行き方向の長さである第1回転刃35の厚さまたは第2回転刃36の厚さのいずれかに相当する幅で、原料シートMAを裁断する。これにより、原料シートMAから幅Laの帯片MA1を得る。
【0046】
第2裁断部15Bは、図3の第1爪351同士の距離または第2爪361同士の距離に相当する長さで、原料シートMAを裁断する。これにより、帯片MA1から長さLbのシート片MA2を得る。
【0047】
駆動部29の構成としては、特に限定されず、例えば、モーターと、互いに噛み合う複数の歯車を有する減速機と、を備える構成とすることができる。なお、駆動部29は、第1軸34Aおよび第2軸34Bを一括して同じ回転数で回転させるよう構成されていてもよいし、異なる回転数で回転させるよう構成されていてもよい。
【0048】
以上、粗砕部12について説明したが、第1裁断部15Aおよび第2裁断部15Bを備えていれば、粗砕部12の構成は上記の構成に限定されない。例えば、粗砕部12は、定形のシート片MA2を作製するのではなく、不定形のシート片を作製するものであってもよい。具体的には、原料シートを引きちぎるように裁断する引きちぎり機構を備えたシュレッダーが例として挙げられる。これにより、シート片に含まれる繊維を残しつつ、裁断することができる。したがって、引きちぎり機構を備えたシュレッダーで作製されたシート片を用いることにより、再生後のシートSの強度を高めることができる。
【0049】
2.2.貯留部
次いで、貯留部13の構成について説明する。
【0050】
図5は、図1の貯留部13を示す斜視図である。図6は、図5のIII-III線における縦断面斜視図である。なお、図5において、支持部材122については、一部のみを示し、その他の図示を省略している。
【0051】
2.2.1.構成の概要
本実施形態に係る貯留部13は、攪拌部130と、排出パイプ132と、計量部134と、を備える。
【0052】
攪拌部130は、載置台136の上面に設けられ、粗砕部12からホッパー9を介して搬送されたシート片MA2を内部に一時的に貯留し、攪拌する。攪拌部130は、図6に示すように、ケース170と、回転体172と、駆動機構174と、を備える。
【0053】
ケース170は、ホッパー9から投入されたシート片MA2を収容する円筒形状の部材であり、ケース170は、側壁180を載置台136に載置することで形成される。
【0054】
側壁180は、複数の支持部材122によって支持されることで載置台136に固定される。支持部材122は、図6に示すように、平板部材が3面を備えるように成形された部材である。各支持部材122は、載置台136の上面に配置され、いずれも側壁180に沿って上下方向に延在する。なお、図6において、支持部材122は、一部のみを示し、その他の図示を省略している。
【0055】
各支持部材122は、上端に爪部124を備えており、各爪部124は、側壁180の上端に係合し、これによって、側壁180は、載置台136に固定される。
【0056】
側壁180の内側面181には、周方向全体にわたって、張り出し部230が設けられる。張り出し部230は、環状の平板部材であり、張り出し部230は、側壁180の外側面に沿って設けられた複数の支持部材122に支持される。
【0057】
張り出し部230は、側壁180を介して、各支持部材122にねじ部材によって固定される。すなわち、側壁180は、張り出し部230とともにねじ部材によって各支持部材122に固定される。
【0058】
本実施形態では、張り出し部230は、側壁180の高さ寸法に対して半分程度の高さ寸法に位置するように固定される。
【0059】
この張り出し部230が設けられることによって、攪拌部130の内部に投入されたシート片MA2が攪拌されたときに、シート片MA2が張り出し部230によって上方に巻き上げられることが抑制され、開口部184からあふれ出ることを抑制することができる。
【0060】
なお、側壁180と、張り出し部230とは、一体に形成されてもよい。また、張り出し部230が設けられる高さや、張り出し長さは、攪拌部130の形状や大きさ、処理速度に応じて調整してよい。なお、張り出し部230は、必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。
【0061】
ケース170の底面182は、側壁180に囲まれた載置台136の上面である。底面182の上面視において、後述する回転部190の中心に相当する箇所には、貫通孔である底面孔183が設けられる。なお、ケース170の底面182は、載置台136の上面とは別に設けられた部材によって構成されていてもよい。
【0062】
ケース170の上端には、開口部184が設けられる。開口部184の上方、すなわちケース170の底面182から遠ざかる方向には、ホッパー9が配置される。開口部184を通して、ホッパー9からケース170の内部にシート片MA2を投入することができる。
【0063】
ケース170の側壁180には、排出部186が設けられる。排出部186は、計量部134に面した側壁180の下方から、外方に向かって張り出すように設けられた箱状部材である。また、排出部186は、側壁180の内側面181から、内方にも向かって張り出すように設けられている。この張り出している部分を「内壁部材187」とする。内壁部材187が張り出しているため、ケース170の内径は、内壁部材187が張り出している分だけ短くなっている。なお、内壁部材187は、排出部186の一部であってもよいし、別部材であってもよい。後者の場合、内壁部材187をケース170の任意の位置に取り付けられるようになっていてもよい。なお、内壁部187の形状は、図示した形状に限定されない。
【0064】
排出部186には、計量部134に対向する位置に傾斜面188が設けられる。傾斜面188は、上方に向かうにつれて計量部134に接近するように傾斜して設けられる。
【0065】
排出部186には、ケース170の内部と外部とを連通させる排出口189が設けられる。ケース170の内部に貯留されたシート片MA2は、この排出口189を介してケース170の外部に排出される。
【0066】
回転体172は、底面182に対して回転可能に設けられた部材であり、回転体172は、ケース170の内部に投入されたシート片MA2を攪拌する。回転体172は、回転部190と、シーリング部材192と、複数の羽根196と、突起部材198と、を備える。
【0067】
回転部190は、底面182より小径の円板状の部材であり、回転部190は、周縁が側壁180に接触しない程度に、側壁180から所定の間隔を空けた状態で、底面182に対して平行となるように配置される。
【0068】
回転部190の上面視における中心は、底面182の上面視における中心とは異なる位置に配置される。具体的には、回転部190の上面視における中心は、底面182の上面視における中心に対して、排出部186から回転部190の半径方向に遠ざかった位置に配置される。
【0069】
回転部190の回転中心には、貫通孔である中心孔191が設けられる。回転部190は、後述する駆動機構174に回転可能に支持される。
【0070】
シーリング部材192は、回転部190と底面182との間を閉塞する部材であり、シーリング部材192は、回転部190の周縁全体にわたって設けられる。これによって、シート片MA2がケース170の内部に投入された場合に、シート片MA2が回転部190と底面182との間に入り込むことが抑制される。このため、シート片MA2が回転部190と底面182との間で圧縮されて塊状になることが抑制される。
【0071】
本実施形態では、シーリング部材192は、例えば、ポリアセタール等の樹脂によって形成される。
【0072】
複数の羽根196は、回転体172の回転に伴って、シート片MA2を攪拌する部材であり、これらの羽根196は、回転部190の上面において、いずれも回転部190の回転中心から放射状に延びる仮想線上に配置される。本実施形態では、回転体172には、4つの羽根196が回転部190の周方向において所定の間隔を空けて設けられる。
【0073】
各羽根196の下端縁には、羽根196に対して略直交するフランジ200が形成される。各羽根196は、フランジ200が回転部190の上面に面接触して、ねじ部材によってねじ止めされること等によって固定される。
【0074】
各羽根196の高さ寸法は、排出口189の口径の寸法よりも小さくなるように形成される。これによって、ケース170の内部において、回転体172の上方に十分なスペースが設けられ、回転体172の回転によってシート片MA2が十分に攪拌される。
【0075】
本実施形態では、羽根196は、略垂直に立設されるが、これに限らず、羽根196と回転部190の上面とが成す角度は、垂直に限らず、鋭角、または鈍角であってもよい。
【0076】
各羽根196の回転体172の中心側に位置する端部は、接続部材194に近接した位置に配置されており、各羽根196の回転体172の外周側に位置する端部は、回転部190の周縁に配置される。すなわち、各羽根196の長手方向は、回転部190の回転中心付近から周縁まで延びている。これによって、回転体172が回転すると、ケース170の径方向のより広範囲にわたって、ケース170の内部に投入されたシート片MA2を攪拌することができる。
【0077】
図7は、図5のV-V線における縦断面図である。
図7に示すように、羽根196の外周側端縁には、回転部190の径方向における外方に突出する突出片204が設けられる。突出片204は、羽根196の外周側端縁の上方に設けられており、突出片204の少なくとも一部は、ケース170の高さ方向において、ケース170の側面視で、排出口189に重なる位置に配置される。
【0078】
これによって、羽根196がシート片MA2を攪拌したときに、羽根196は、図5および図6に示す排出口189にシート片MA2を押し込むことができ、シート片MA2をより効率よく排出口189から排出パイプ132に送り出すことができる。
【0079】
突起部材198は、図6に示すように、回転部190の上面の回転中心に配置された部材であり、本実施形態に係る突起部材198は、半楕円球の形状を有する。突起部材198は、接続部材194を覆い、各羽根196の回転体172の中心側に位置する端部に隙間なく接続される。
【0080】
突起部材198の高さ寸法は、各羽根196の高さ寸法よりも高く、本実施形態では、側壁180の高さ寸法の半分程度である。なお、突起部材198は、必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。
【0081】
駆動機構174は、回転体172を回転駆動させる部材であり、載置台136の下方に配置される。駆動機構174は、攪拌モーター210と、収容部材214と、駆動軸216と、接続部材194と、を備える。収容部材214は、駆動軸216を収容する円筒形の筐体であり、収容部材214の一方の端部は、底面孔183を覆うように載置台136の下面に接続される。
【0082】
駆動軸216は、収容部材214の内部に収められた棒状の部材であり、駆動軸216の長手方向における一方の端部は、底面孔183に挿通され、回転部190の下面に接続される。駆動軸216の長手方向における一方の端部には、他方の端部に向かって窪む凹部218が設けられる。凹部218は、中心孔191と略同径となるように形成される。
【0083】
駆動軸216は、2つの軸受220を介して収容部材214に支持される。駆動軸216の長手方向における他方の端部は、収容部材214から突出し、連結部材222を介して攪拌モーター210に接続される。攪拌モーター210は、固定部材224を介して載置台136に固定される。
【0084】
次いで、排出パイプ132について説明する。
図5に示すように、排出パイプ132は、排出口189に一方の端部が接続され、ケース170に貯留されたシート片MA2を計量部134に送り出す管状部材である。
【0085】
排出パイプ132は、所定の長さ寸法を有し、両端が開放された管状をなしている。排出パイプ132の一方の端部は、ケース170に回転自在に接続され、他方の端部は、計量部134に接近した位置に配置される。本実施形態では、他方の端部は、載置台136の上面よりも下方に配置される。すなわち、排出パイプ132は、側面視で、長手方向において、下方に向かって傾斜して設けられる。
【0086】
排出パイプ132の内側面には、スパイラル部材140が設けられる。スパイラル部材140は、排出パイプ132の長手方向における中心軸に向かって所定の高さ寸法で立設される。排出パイプ132の外側面には、従動ギア142が周方向全体にわたって設けられる。
【0087】
排出パイプ132に隣接した箇所には、搬送モーター150が設けられる。搬送モーター150は、載置台136の側面に設けられた支持部材135の上面に取り付けられる。搬送モーター150には、円板状の駆動ギア152が設けられる。この駆動ギア152は、従動ギア142にかみ合う。これによって、搬送モーター150の駆動により、排出パイプ132を周方向に回転駆動する。
【0088】
計量部134は、排出パイプ132が有する他方の端部の下方に位置し、支持台138に支持され、排出パイプ132の他方の端部から排出されたシート片MA2を所定量に達するまで貯留する。計量部134は、受け部160と、閉塞部材162と、ロードセル164と、を備える。
【0089】
受け部160は、内部に所定量のシート片MA2を貯留可能な箱状部材であり、受け部160の上面には、上面開口部166が設けられる。この上面開口部166の上方には、排出パイプ132の他方の端部が配列される。受け部160の下面には、下面開口部168が設けられる。
【0090】
受け部160の外側面には、固定部169が設けられる。固定部169は、受け部160の外側面の所定箇所から外方に向かって突出する。この固定部169は、下面がロードセル164の上面に接した状態で、ロードセル164に固定される。
【0091】
閉塞部材162は、下面開口部168を閉塞する板状部材である。閉塞部材162は、受け部160に回動自在に固定されている。閉塞部材162は、下面開口部168を閉塞する閉塞位置と、下面開口部168を開放する開放位置と、の間で回動可能である。
【0092】
閉塞部材162は、制御装置110によって動作が制御される図示しない開閉モーターを備えている。閉塞部材162は、この開閉モーターによって駆動される。具体的には、閉塞部材162は、通常時には閉塞位置に配置され、開閉モーターで駆動されると開放位置に移動する。なお、閉塞部材162は、シャッターのようにスライドすることで、閉塞位置と開放位置とに移動するよう構成されていてもよい。
【0093】
ロードセル164は、重さやトルクといった力を検出するセンサーであり、検出された力に応じて所定の信号を出力する。ロードセル164は、支持台138に載置されて固定される。
【0094】
本実施形態では、ロードセル164が、受け部160の重量を計測しており、受け部160が規定の重さに達したときに所定の信号を制御装置110に出力する。これにより、制御装置110は、開閉モーターを動作させ、閉塞部材162が、閉塞位置から開放位置に移動する。
【0095】
なお、計量部134には、ロードセル164に限らず、重さを検出可能な他の検出器を用いてもよい。
【0096】
2.2.2.貯留部の動作
次いで、本実施形態の貯留部13の処理動作について説明する。
【0097】
シート製造装置100が起動されると、搬送モーター150と、攪拌モーター210とが駆動し、回転体172、および排出パイプ132が回転駆動する。
【0098】
シート片MA2は、ホッパー9からケース170の内部に投入されると、回転体172によって攪拌される。シート片MA2は、各羽根196に巻き上げられると同時に、回転体172の周縁方向、すなわち側壁180の方向に送り出される。このように攪拌されることによって、密度や厚さ、色などが異なる複数の種類の原料シートMAが投入された場合であっても、ケース170内部において均質化させ、また、シート片MA2が塊状になることを抑制ができる。
【0099】
攪拌されたシート片MA2は、各羽根196によって、排出口189から排出パイプ132に送り出される。回転する排出パイプ132の内部において、シート片MA2は、スパイラル部材140によって計量部134に送り出される。
【0100】
計量部134に送り出されたシート片MA2は、上面開口部166から受け部160の内部に投入される。受け部160の内部に所定量のシート片MA2が投入され、規定の重量に達したことをロードセル164が検出すると、制御装置110が開閉モーターを駆動させる。これによって、閉塞部材162を回動して閉塞位置から開放位置に移動し、受け部160の内部のシート片MA2が下方に落下し、解繊部20に搬送される。
【0101】
なお、回転体172および排出パイプ132は、シート製造装置100の処理状態に応じて、各々逆方向に回転することや、回転の停止、回転速度の変更をすることが可能である。このような動作を制御することにより、排出パイプ132によるシート片MA2の排出量を調整することができる。
【0102】
また、貯留部13におけるこれらの処理動作は、解繊部20と同様に、空気中等の気中において行われる。
【0103】
上述の通り、回転体172は、各羽根196と、底面182の一部を構成する回転部190とが共に回転する。これによって、各羽根196と、底面182との間でシート片MA2が圧縮され、塊状になることを抑制できる。このため、シート片MA2がケース170の内部に滞留することや、塊状になったシート片MA2が排出されることを抑制され、攪拌部130は、所定量のシート片MA2を安定して排出口189から排出することができる。
【0104】
2.2.3.ケースおよび回転体
図8は、図5の攪拌部130を模式的に示す平面図である。
【0105】
図8に示すケース170は、前述したように、底面182と内側面181とを有する。底面182には駆動軸216が挿通されている。駆動軸216には、回転体172の羽根196が取り付けられている。
【0106】
前述したように、本実施形態では、ケース170が円筒形状をなしているため、上面視したケース170の内側面181は真円形をなしている。一方、本実施形態では、回転体172の外縁形状も真円形をなしている。具体的には、回転体172は、円板状をなす回転部190と、その上面に配置された4つの羽根196と、を有しているため、回転部190の外縁形状が、そのまま、回転体172の外縁形状になっている。
【0107】
図8では、回転体172の上面視における中心O1が、底面182の上面視における中心O2とは異なる位置に配置されている。そして、図8では、上記のように、攪拌部130を上面視したとき、ケース170の内側面181の形状と、回転体172の外縁形状と、がそれぞれ真円形になっている。このため、両者の間には不均一な隙間が生じることになる。
【0108】
ここで、羽根196の外端と内側面181との間で、回転体172の半径方向において最も短い距離をL1とし、最も長い距離をL2とする。また、図示しないが、シート片MA2の平均長径をL3とする。本実施形態に係る攪拌装置1は、L1<L3<L2の関係を満たすように構成されている。
【0109】
具体的には、図8では、回転体172の上面視における中心O1、つまり駆動軸216の位置が、底面182の上面視における中心O2とは異なる位置に配置されている。このような位置関係をオフセットという。そして、オフセットによって広くなった隙間を埋めるように、内壁部材187が配置されている。このため、羽根196の外端と内壁部材187との隙間の距離が最も短い距離L1となる。ケース170におけるこの部位を、最短部91とする。一方、回転体172の周方向で内壁部材187に隣り合う2か所では、それぞれ、羽根196が移動してきたとき、羽根196の外端と内側面181との距離が最も長い距離L2となる。ケース170におけるこの部位を、最長部92とする。したがって、最長部92の距離が前述したL2となる。
【0110】
そして、距離L1、L2と、ケース170に収容するシート片MA2の平均長径L3とが、L1<L3<L2の関係を満たしている。
【0111】
このような関係を満たすことにより、攪拌装置1では、羽根196が、前述した最短部91と最長部92とを交互に通過することになる。これにより、シート片MA2の量によらず、シート片MA2を十分に攪拌することができる。
【0112】
図9は、図8に示す攪拌部130における攪拌の原理を説明するための模式図である。図9では、説明の便宜のため、ケース170に収容された多数のシート片MA2を、第1集合体MA21から第4集合体MA24までの4つに分けている。
【0113】
また、図9では、4つの羽根196を、第1羽根1961、第2羽根1962、第3羽根1963、第4羽根1964とする。さらに、図9では、第1羽根1961と第2羽根1962との間の領域を第1領域1971、第2羽根1962と第3羽根1963との間の領域を第2領域1972、第3羽根1963と第4羽根1964との間の領域を第3領域1973、第4羽根1964と第1羽根1961との間の領域を第4領域1974とする。
【0114】
図9の第1状態S1は、攪拌開始前の状態である。このため、第1状態S1では、第1集合体MA21から第4集合体MA24は、互いに混ざり合うことなく、第1領域1971から第4領域1974に収容されているものとする。
【0115】
第1状態S1から回転体172が時計回りに回転して第2状態S2に移行すると、第1羽根1961は最短部91から最長部92に移動する。第1集合体MA21は、遠心力によって第1領域1971から外側に移動し、広いスペースを有する最長部92を介して周方向に移動しやすい状態となる。そうすると、第1羽根1961と一緒に移動するシート片と第1羽根1961が届かないシート片とが発生する。その結果、シート片の移動速度に差が生じ、移動が遅いシート片は、第1羽根1961の反対側に回り込むように移動する。その結果、第1集合体MA21は、第1羽根1961を挟んで両側に分割される。
【0116】
また、第2羽根1962も最長部92に移動するため、第2集合体MA22も、最長部92を介して移動しやすい状態となる。そうすると、第2羽根1962と一緒に移動するシート片と第2羽根1962が届かないシート片とが発生する。その結果、シート片の移動速度に差が生じ、移動が遅いシート片は、第2羽根1962の反対側に回り込むように移動する。その結果、第2集合体MA22も、第2羽根1962を挟んで両側に分割される。
【0117】
一方、最短部91では、円板状の回転部190が、内側面181との間で常に狭い隙間を形成している。第2状態S2では、第2領域1972が最短部91に移動するため、第2領域1972に収容されていた第2集合体MA22の一部は、この狭い隙間で圧縮される。このとき、圧力で塊を解すこともできる。
【0118】
なお、この際、第2集合体MA22は、最長部92と最短部91との間に設けられた、図8に示す距離変化部94を通過する。距離変化部94は、回転体172が時計回りに回るとき、羽根196の外端と内側面181との距離が連続的に狭くなるように設定されている部位である。この部位を第2集合体MA22が通過することにより、第2集合体MA22には、スムーズに圧縮力が加わることになる。これにより、第2集合体MA22を飛び散らすことなく、圧縮することができる。
【0119】
第2状態S2から第3状態S3に移行すると、第2領域1972に移動した第1集合体MA21の一部は、もともと第2領域1972に収容されていた第2集合体MA22と、が混ざり合う。このようにして、第1集合体MA21と第2集合体MA22との攪拌が行われる。
【0120】
また、同様に、第3領域1973に移動した第2集合体MA22の一部は、もともと第3領域1973に収容されていた第3集合体MA23と、が混ざり合う。このようにして、第2集合体MA22と第3集合体MA23との攪拌が行われる。
【0121】
さらに、第3状態S3には図示していないが、最短部91に移動した第2羽根1962と内側面181との間でも、シート片MA2が圧縮される。
【0122】
また、第2状態S2で最短部91により圧縮されていた第2集合体MA22の一部は、第3状態S3で最長部92に移動してくると、圧縮状態から解放され、シート片MA2同士を離散させやすくなる。このため、第3状態S3の後、第2羽根1962が最長部92に移動してきたとき、第2羽根1962の裏側に回り込む移動が促進される。その結果、第2集合体MA22と第3集合体MA23との攪拌がより促進される。
【0123】
なお、この際、第2集合体MA22は、最短部91と最長部92との間に設けられた、図8に示す距離変化部93を通過する。距離変化部93は、回転体172が時計回りに回るとき、羽根196の外端と内側面181との距離が連続的に広くなるように設定されている部位である。この部位を第2集合体MA22が通過することにより、第2集合体MA22からスムーズに圧縮力を解放することができる。これにより、第2集合体MA22を飛び散らすことなく、シート片MA2同士を離散させることができる。
【0124】
これ以降は、回転体172の回転に伴って、第2状態および第3状態と同様の状態が繰り返し出現する。このため、第3集合体MA23と第4集合体MA24との混合、第4集合体MA24と第1集合体MA21との混合、も行われる。
【0125】
以上のようにして、攪拌部130では、最長部92を介したシート片MA2の移動と、最短部91におけるシート片MA2の圧縮と、が行われる。その結果、シート片MA2の量が少なくとも、十分に攪拌を行うことができる。
【0126】
また、上記の原理では、回転体172を低速で回転させたときでも、滞留するシート片MA2の割合が少なくなる。このため、高速で回転させなくても十分な攪拌が可能となり、攪拌装置1の消費電力を削減することができる。
【0127】
ここで、従来の攪拌装置について説明する。従来の攪拌装置には、第1羽根1961と内側面181との隙間を一定にした上で、この隙間を介してシート片を移動させるのではなく、羽根196の上方を乗り越えさせるように構成されている装置が知られていた。このように羽根196の上方を乗り越えさせるためには、ケース170に十分な量のシート片が収容されている必要がある。このため、ケース170に収容されるシート片の量が少ない場合には、羽根196を乗り越えられないシート片の量が多くなる。その結果、攪拌効率が低下するという問題があった。
【0128】
また、シート片の平均長径が隙間より短い場合には、シート片が隙間に滞留してしまうという問題もあった。一方、シート片の平均長径が隙間より長い場合には、隙間を通過しにくくなるため、この場合も攪拌効率が低下するという問題も生じていた。
【0129】
そこで、本発明者は、これらの課題を解決する方策について、鋭意検討を重ねた。そして、最短部91の距離L1および最長部92の距離L2と、シート片MA2の平均長径L3と、の間に所定の関係が成り立つ場合、少量であっても十分な攪拌が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0130】
具体的には、本実施形態では、シート片MA2の平均長径L3が、距離L1と距離L2の間にあるように設定されている。つまり、距離L1、L2で規定される攪拌部130の構成と、平均長径L3で規定されるシート片MA2の形状と、の関係が最適化されている。
【0131】
これにより、シート片MA2は、距離L1の最短部91で圧縮され、距離L2の最長部92で圧力を解放される、という挙動を繰り返し受けることができる。このため、回転体172を高速で回転させなくても、十分な攪拌効率が得られる。また、ケース170に収容されるシート片MA2の量が少ない場合でも、十分な攪拌を行うことができる。さらに、シート片MA2が塊状になるのを抑制し、次の工程で良好に処理可能な状態のシート片MA2を、排出口189から安定して排出することができる。
【0132】
なお、平均長径L3が距離L1以下である場合、平均長径L3が短すぎるため、シート片MA2が最短部91で圧縮されにくくなる。また、シート片MA2の塊を十分に解すことができない場合がある。さらに、シート片MA2が羽根196の裏側に回り込む挙動が生じにくくなる。このため、シート片MA2が内側面181に滞留しやすくなり、攪拌効率が低下する。一方、平均長径L3が距離L2以上である場合、シート片MA2は、最長部92さえも通過しにくくなる。このため、シート片MA2の移動量が減少する。その結果、シート片MA2の混ざり合いが減少し、攪拌効率が低下する。
なお、シート片MA2の平均長径L3は、次のようにして求められる。
【0133】
まず、ケース170に収容されているシート片MA2を無作為に10個抽出し、平面に投影する。そして、投影像内で取り得る最長の線分の長さを長径とする。10個の長径を求め、その平均値を平均長径L3とする。なお、ケース170に収容されているシート片MA2の数が10個に満たない場合には、その全数について長径を測定し、その平均値を平均長径L3とする。
【0134】
以上のように、本実施形態に係る攪拌装置1は、粗砕部12と、底面182と内側面181とを有するケース170と、回転体172と、を備えている。粗砕部12は、原料シートMAを粗砕する。ケース170は、粗砕部12により粗砕されたシート片MA2を収容する。回転体172は、ケース170の底面182に配置され、回転によりシート片MA2を攪拌する羽根196を有する。
【0135】
そして、回転体172の半径方向における羽根196の外端と内側面181との間で、半径方向における最も短い距離L1、半径方向における最も長い距離L2、および、シート片MA2の平均長径L3が、L1<L3<L2を満たす。
【0136】
このような攪拌装置1は、貯留容器であるケース170に貯留されているシート片MA2を十分に攪拌することができる。これにより、次の工程で良好に処理可能な状態のシート片MA2を、排出口189から安定して排出することができる。
【0137】
また、攪拌装置1では、シート片MA2の量によらず、換言すれば、シート片MA2の量が少なくても十分に攪拌することができる。このため、シート片MA2の量を抑えることが可能になり、ケース170の高さを必要以上に高くする必要がなくなる。よって、貯留部13の小型化を図ることができる。
【0138】
さらに、攪拌装置1では、回転体172の回転数を下げても攪拌効率が低下しにくくなる。このため、攪拌装置1の省電力化が図られる。換言すれば、回転体172の周速度を下げても攪拌効率が低下しにくくなるので、回転数を維持して消費電力を抑えつつ、貯留部13の大型化を図ることができる。
【0139】
また、本実施形態に係る攪拌方法は、底面182と内側面181とを有するケース170と、羽根196を有する回転体172と、を備える装置を用いてシート片MA2を攪拌する方法である。この方法では、回転体172の半径方向における羽根196の外端と内側面181との間で、半径方向における最も短い距離L1、半径方向における最も長い距離L2、および、シート片MA2の平均長径L3が、L1<L3<L2を満たしている。
【0140】
このような攪拌方法によれば、シート片MA2の量が少なくても、ケース170に貯留されているシート片MA2を十分に攪拌することができる。これにより、次の工程で良好に処理可能な状態のシート片MA2を得ることができる。
【0141】
また、粗砕部12は、原料シートMAを、幅Laの帯片MA1に裁断する第1裁断部15Aと、帯片MA1を、長さLbのシート片MA2に裁断する第2裁断部15Bと、を備えている。このような粗砕部12および貯留部13を備える攪拌装置1は、L1<(La+Lb0.5<L2を満たす。
【0142】
上記のような粗砕部12で形成されるシート片MA2は、幅La、長さLbの略長方形をなす。このため、このようなシート片MA2の長径は、対角線の長さとなる。対角線の長さは、三平方の定理により、(La+Lb0.5で求められる。したがって、攪拌装置1がL1<(La+Lb0.5<L2を満たすことにより、結果的には、前述したL1<L3<L2が満たされることになる。よって、L1<(La+Lb0.5<L2を満たす攪拌装置1は、シート片MA2の量が少なくても、貯留容器であるケース170に貯留されているシート片MA2を十分に攪拌し得るものとなる。
【0143】
また、回転体172は、ケース170の底面182に配置された駆動軸216と、駆動軸216に取り付けられた羽根196と、を有している。そして、底面182の中心および駆動軸216は、互いに位置が異なっている。このようなオフセットが設定されていることにより、回転体172の外縁形状とケース170の内側面181の形状の双方が真円形であったとしても、前述した最短部91および最長部92を容易に形成することができる。このため、製造しやすい攪拌装置1を実現することができる。
【0144】
また、本実施形態では、攪拌装置1が内壁部材187を備えている。この内壁部材187は、オフセットによって広くなった隙間に設けられている。内壁部材187を設ける位置は、特に限定されないが、底面182の中心から内側面181に向かう方向、つまり、底面182の中心から全方向のうち、底面182の中心から駆動軸216に向かう方向以外の方向、すなわち、駆動軸216がオフセットされた方向以外の方向に位置する内側面181に設けられているのが好ましい。本実施形態では、この方向の一例として、オフセットされた方向とは反対側、つまり、図8の下方の内側面181に内壁部材187が設けられている。
【0145】
内壁部材187をこのような位置に設けることで、オフセットで広くなった隙間にも、前述した最短部91を形成することができる。つまり、内壁部材187を適宜追加することによって、最短部91を追加することができる。これにより、所望の位置に、所望の数の最短部91を配置することができ、より効率よくシート片MA2を攪拌することができる。また、事後的に最短部91を追加したり移動したりすることができる点でも有用である。
【0146】
また、本実施形態に係る攪拌装置1は、ケース170の内部と外部とに連通する筒体である排出パイプ132を備えている。この排出パイプ132は、底面182の中心から駆動軸216に向かう方向とは反対側の内側面181に接続されている。
【0147】
これにより、回転体172と排出パイプ132との間が狭くなりすぎず、ある程度の隙間が設けられる。つまり、狭い隙間にシート片MA2が留まってしまうのを抑制する。これにより、排出パイプ132の接続部近傍において、シート片MA2の移動が許容される。その結果、回転体172の回転に伴って、シート片MA2を排出パイプ132に送り込む動きを促すことができ、シート片MA2をより安定して供給することができる。
【0148】
また、本実施形態に係る攪拌装置1は、回転体172の半径方向における羽根196の外端と内側面181との距離が、回転体172の周方向において連続的に変化している部位を含んでいる。具体的には、図8に示す距離変化部93は、回転体172が時計回りに回ると、羽根196の外端と内側面181との距離が、連続的に広くなるように設定されている。一方、図8に示す距離変化部94は、回転体172が時計回りに回ると、羽根196の外端と内側面181との距離が、連続的に狭くなるように設定されている。
【0149】
このような距離変化部93、94を設けることにより、シート片MA2をスムーズに圧縮したり、解放したりすることができ、かつ、シート片MA2の滞留を抑制することができる。
【0150】
なお、連続的に変化しているとは、例えば、図8に示すように、回転体172の外縁の曲率等に応じて、距離が変化している状態のことをいう。したがって、例えば、内側面181から突出する突起物等は、距離が連続的に変化している部位には当たらない。このように距離が不連続的に変化している部位は、シート片MA2の流れを妨げるため、滞留を招きやすい。
【0151】
また、本実施形態に係る回転体172は、底面182に沿って広がる板状をなす回転部190を有している。そして、羽根196は、この回転部190に立設するように設けられている。
【0152】
このような構成によれば、羽根196と底面182との間でシート片MA2が圧縮され、塊状になってしまうのを抑制することができる。これにより、シート片MA2を十分に攪拌することができ、より安定して供給することができる。また、羽根196だけでなく、回転部190と内側面181との距離が変化することに伴う圧力変化を、シート片MA2に与えることができる。これにより、シート片MA2を解しつつ、十分に攪拌することができ、攪拌後のシート片MA2の均質性を高めることができる。
【0153】
なお、距離L1、距離L2、および、シート片MA2の平均長径L3は、前述したL1<L3<L2を満たしていればよいが、好ましくはL2<(3×L3)を満たしているのが好ましい。つまり、L1<L3<L2<(3×L3)を満たしているのが好ましい。
【0154】
このような構成によれば、距離L2が広すぎることの弊害が発生するのを抑制することができる。距離L2が広すぎると、回転体172の影響が届かない空間ができてしまい、そこにシート片MA2が滞留するおそれがある。そこで、距離L2に前記上限値を設定することにより、このような弊害の発生を抑制することができ、攪拌効率をより高めることができる。
【0155】
一方、距離L1と距離L2との関係は、L1<L2が成り立っていればよいが、好ましくは、(1.5×L1)<L2<(100×L1)とされる。これにより、前述した圧縮と解放がシート片MA2に対して十分に作用する。つまり、圧縮と解放における圧力の差が十分に大きくなるため、攪拌効率をより高めることができる。
【0156】
シート片MA2のサイズは、特に限定されないが、例えば、平均長径L3が5mm以上50mm以下とされる。より具体的な例として、距離L1が10mmであるとき、距離L2は40mmとされ、シート片MA2の平均長径L3が20mmとされる。
【0157】
図10は、図8に示す攪拌部130の縦断面を示す模式図である。なお、図10では、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を設定している。底面182は、X-Y面に平行な面である。
【0158】
ケース170は、図10に示すように、z軸方向で内側面181の径φ1が一定である。この場合、攪拌部130の製造やメンテナンスが容易になる。
【0159】
なお、上記の場合、底面182と内側面181とのなす角度θは、90°となる。ただし、内側面181の全周にわたって90°になっているのではなく、一部で90°以外になっていてもよい。
【0160】
一方、図示しないが、Z軸方向において径φ1が変化していてもよい。一例として、攪拌部130は、+Z軸方向に向かって径φ1が減少するように構成されていてもよい。この場合、回転体172の回転に伴ってシート片MA2が+Z軸方向に上昇したとしても、内側面181に沿って上昇することになるため、ある程度上昇した時点で回転体172上に落下することになる。このため、Z軸方向でもシート片MA2を攪拌することができ、より攪拌効率を高めることができる。
【0161】
3.変形例
次に、前記実施形態に係る攪拌装置の変形例について説明する。
図11は、第1変形例に係る攪拌装置の貯留部を示す平面図である。
【0162】
以下、第1変形例について説明するが、以下の説明では、前記実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図11において前記実施形態と同一の構成については、同一の符号を付している。
【0163】
図11に示す攪拌装置1の攪拌部130では、ケース170の内側面181Aの水平断面が楕円形をなしている。一方、回転体172の外縁形状は、真円形である。
【0164】
また、図11に示す攪拌部130では、回転体172の上面視における中心、つまり駆動軸216の位置が、底面182の上面視における中心と重なっている。すなわち、図11に示す攪拌部130では、オフセットが設定されていない。
【0165】
このように、攪拌部130ではオフセットされていないものの、内側面181Aと回転体172の外縁とで形状が異なるため、前述した最短部91および最長部92が形成される。したがって、前述した距離L1、L2およびシート片MA2の平均長径L3の間で、L1<L3<L2が成り立つようにすれば、前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0166】
さらに、図11に示す攪拌部130は、2つの最短部91と、2つの最長部92と、を有している。そして、距離L1と距離L2との間で、回転体172の半径方向における羽根196の外端と内側面181Aとの距離が連続的に(滑らかに)変化している。このため、シート片MA2の滞留が抑制されやすくなっている。
【0167】
図12は、第2変形例に係る攪拌装置の貯留部を示す平面図である。
以下、第2変形例について説明するが、以下の説明では、前記実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図12において前記実施形態と同一の構成については、同一の符号を付している。
【0168】
図12に示す攪拌装置1の攪拌部130では、ケース170の内側面181Bの水平断面が波打ち形状をなしている。波打ち形状とは、中心が異なる円弧同士を繋げて環状にした形状のことをいう。一方、回転体172の外縁形状は、真円形である。
【0169】
また、図12に示す攪拌部130では、回転体172の上面視における中心、つまり駆動軸216の位置が、底面182の上面視における中心と重なっている。すなわち、図12に示す攪拌部130では、オフセットが設定されていない。
【0170】
このように、攪拌部130ではオフセットされていないものの、内側面181Bと回転体172の外縁とで形状が異なるため、前述した最短部91および最長部92が形成される。したがって、前述した距離L1、L2およびシート片MA2の平均長径L3の間で、L1<L3<L2が成り立つようにすれば、前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0171】
さらに、図12に示す攪拌部130は、3つ以上の最短部91と、3つ以上の最長部92と、を有している。このため、回転体172が1回転する間に、シート片MA2には、それぞれ複数回の圧縮と解放が作用することになり、攪拌効率を特に高めることができる。
【0172】
以上のように、本変形例に係る攪拌装置1では、ケース170の内側面181の水平断面が、楕円形状または波打ち形状をなしている。
【0173】
このような構成によれば、オフセットを設定することなく、最短部91および最長部92を形成することができる。このため、攪拌装置1の製造が容易になる。
以上のような変形例においても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0174】
なお、上記変形例では、内側面181が楕円形状または波打ち形状をなしているが、これとは反対に、回転体172の外縁形状が楕円形状または波打ち形状をなしていて、内側面181は真円形であってもよい。
【0175】
また、内側面181の形状は、上記の各形状に限定されず、例えば、六角形、八角形のような多角形や、長円形、またはその他の形状であってもよい。
【0176】
同様に、回転体172の外縁形状も、上記の各形状に限定されず、例えば、六角形、八角形のような多角形や、長円形、またはその他の形状であってもよい。
【0177】
以上、本発明の攪拌装置および攪拌方法を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、攪拌装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0178】
また、本発明の攪拌方法は、前記実施形態に係る粗砕部で作製されたシート片以外のシート片を攪拌することもできる。
【符号の説明】
【0179】
1…攪拌装置、8…管、9…ホッパー、10…供給部、12…粗砕部、13…貯留部、14…粗砕刃、15A…第1裁断部、15B…第2裁断部、20…解繊部、22…固定子、24…ローター、29…駆動部、34A…第1軸、34B…第2軸、35…第1回転刃、36…第2回転刃、40…選別部、41…ドラム部、43…ハウジング部、45…第1ウェブ形成部、46…メッシュベルト、48…吸引部、49…回転体、50…混合部、52…添加物供給部、54…管、56…混合ブロアー、60…分散部、61…ドラム部、63…ハウジング、70…第2ウェブ形成部、72…メッシュベルト、76…吸引部、77…加湿器、78…加湿器、79…ウェブ搬送部、80…加工部、82…加圧部、84…加熱部、90…切断部、91…最短部、92…最長部、93…距離変化部、94…距離変化部、96…排出部、100…シート製造装置、110…制御装置、122…支持部材、124…爪部、130…攪拌部、132…排出パイプ、134…計量部、135…支持部材、136…載置台、138…支持台、140…スパイラル部材、142…従動ギア、150…搬送モーター、152…駆動ギア、160…受け部、162…閉塞部材、164…ロードセル、166…上面開口部、168…下面開口部、169…固定部、170…ケース、172…回転体、174…駆動機構、180…側壁、181…内側面、181A…内側面、181B…内側面、182…底面、183…底面孔、184…開口部、186…排出部、187…内壁部材、188…傾斜面、189…排出口、190…回転部、191…中心孔、192…シーリング部材、194…接続部材、196…羽根、198…突起部材、200…フランジ、204…突出片、210…攪拌モーター、214…収容部材、216…駆動軸、218…凹部、220…軸受、222…連結部材、224…固定部材、230…張り出し部、351…第1爪、361…第2爪、1961…第1羽根、1962…第2羽根、1963…第3羽根、1964…第4羽根、1971…第1領域、1972…第2領域、1973…第3領域、1974…第4領域、AD…添加材料、F…搬送方向、L1…距離、L2…距離、La…幅、Lb…長さ、MA…原料シート、MA1…帯片、MA2…シート片、MA21…第1集合体、MA22…第2集合体、MA23…第3集合体、MA24…第4集合体、MB…解繊物、MC…材料、MX…混合物、O1…中心、O2…中心、O3…交差点、S…シート、S1…第1状態、S2…第2状態、S3…第3状態、SS1…加圧後シート、SS2…加熱後シート、W1…第1ウェブ、W2…第2ウェブ、θ…角度、φ1…径
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