(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
A47C 7/16 20060101AFI20240806BHJP
A47C 7/02 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
A47C7/16
A47C7/02 A
(21)【出願番号】P 2020129792
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】北條 英
(72)【発明者】
【氏名】上田 伸行
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-050928(JP,A)
【文献】特開2017-113491(JP,A)
【文献】特開2019-063177(JP,A)
【文献】特開2012-090790(JP,A)
【文献】特開2016-131730(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0001464(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/16
A47C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に貫通する複数の孔が設けられた座板本体を有してなる椅子であって、
前記座板本体が、前記複数の孔の内、前後方向及び左右方向の中央部領域に設けられた孔が最も大きく形成されたものであり、
前記複数の孔の大きさが、前記中央部領域から外方に向かって漸次小さくなるように形成されている
ものであり、
前記座板本体の外周縁に前記孔を有さない周縁部を設けたものであり、
前記座板本体及び前記周縁部により、上面を着座面とした座板が構成されたものであり、
前記周縁部の下面側が、前記椅子を構成するフレームによって支持されるものであり、
前記座板本体が、平面視において略矩形状をなすものである椅子。
【請求項2】
前記中央部領域から外方は、前記中央部領域から前方、後方、左右両側方、斜め前方、及び、斜め後方を含んだものである請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記複数の孔の内、前記周縁部の近傍領域に設けられた孔が最も小さく形成されており、前記中央部領域から前記周縁部に至る過程において前記孔が次第に小さくなりつつ消失するように形成されている請求項1
又は2記載の椅子。
【請求項4】
前記複数の孔を形成する開口縁が、平面視において、前後方向及び左右方向の中心点を基準にして略対称形状をなしている請求項1、2
又は3記載の椅子。
【請求項5】
前記開口縁が、平面視において、角のない形状をなしたものである請求項
4記載の椅子。
【請求項6】
前記開口縁が、平面視において、正方形を構成する四辺をそれぞれ外方に凸をなすように湾曲させた形状をなしている請求項
4又は
5記載の椅子。
【請求項7】
前記椅子を構成するフレームが、脚フレームを含み金属製のパイプ材及び金属製の板材により構成された支持フレーム、又は、前記座板本体及び
前記周縁部により構成された
前記座板とともに座を構成する枠フレーム部である請求項
1、2
、3、4、5又は6記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等において好適に使用される椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上下方向に貫通する複数の孔が設けられた座板を有してなる椅子が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
従来の座板は、均一の大きさをなした複数の孔を座板の後部に偏らせて設けている。このため複数の孔を有する後部と複数の孔を有さない前部との弾性変形度合いの差が大きく、使用者に違和感を与え得るものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたもので、少なくとも、座板本体が、全体として偏りなく好適に弾性変形し得るように構成された椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0007】
請求項1に記載の発明は、上下方向に貫通する複数の孔が設けられた座板本体を有してなる椅子であって、前記座板本体が、前記複数の孔の内、前後方向及び左右方向の中央部領域に設けられた孔が最も大きく形成されたものであり、前記複数の孔の大きさが、前記中央部領域から外方に向かって漸次小さくなるように形成されているものであり、前記座板本体の外周縁に前記孔を有さない周縁部を設けたものであり、前記座板本体及び前記周縁部により、上面を着座面とした座板が構成されたものであり、前記周縁部の下面側が、前記椅子を構成するフレームによって支持されるものであり、前記座板本体が、平面視において略矩形状をなすものである椅子である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記中央部領域から外方は、前記中央部領域から前方、後方、左右両側方、斜め前方、及び、斜め後方を含んだものである請求項1記載の椅子である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記複数の孔の内、前記周縁部の近傍領域に設けられた孔が最も小さく形成されており、前記中央部領域から前記周縁部に至る過程において前記孔が次第に小さくなりつつ消失するように形成されている請求項1又は2記載の椅子である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記複数の孔を形成する開口縁が、平面視において、前後方向及び左右方向の中心点を基準にして略対称形状をなしている請求項1、2又は3記載の椅子である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記開口縁が、平面視において、角のない形状をなしたものである請求項4記載の椅子である。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記開口縁が、平面視において、正方形を構成する四辺をそれぞれ外方に凸をなすように湾曲させた形状をなしている請求項4又は5記載の椅子である。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記椅子を構成するフレームが、脚フレームを含み金属製のパイプ材及び金属製の板材により構成された支持フレーム、又は、前記座板本体及び前記周縁部により構成された前記座板とともに座を構成する枠フレーム部である請求項1、2、3、4、5又は6記載の椅子である。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、座板本体が、全体として偏りなく好適に弾性変形し得るように構成された椅子を提供することができる。
ある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図9】同実施形態におけるスタッキング状態を示す右側面図。
【
図18】同実施形態における孔を説明するための拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、椅子の実施形態について説明する。
【0019】
本発明を構成する座板E、Hを備えた椅子の具体例については、
図16~22に示されている。なお、
図16に示された椅子の支持体Aや、当該支持体Aに取り付けられた背板Cやメモ台Dについての詳細は、
図1~15に示されたクッションタイプの座B1を備えてなる椅子の実施形態に基づいて説明するものとする。
【0020】
図1~15に示された実施形態は、同一構造をなす他の椅子を床面上において前後方向にスタッキング可能に構成した椅子である。椅子は、アルミダイキャストにより形成された脚構成部材1を有した支持体Aと、支持体Aに回動可能に支持されたクッションタイプの座B1と、支持体Aに支持された背板Cと、支持体Aに支持されたオプションたるメモ台Dとを備えている。
【0021】
以下、椅子の各構成について詳述する。
【0022】
<<支持体A>>
支持体Aは、左右に対をなし射出成型であるアルミダイキャストにより形成された左右の脚構成部材1と、左右の脚構成部材1とは別体の部材により構成され当該左右の脚構成部材1間に介在して両者を連結するジョイント材2とを備えている。
【0023】
<脚構成部材1>
左右の脚構成部材1は、略対称形状をなしている。左右の脚構成部材1は、それぞれアルミダイキャストにより一体的に形成されている。左右の脚構成部材1は、後脚11と、後脚11の上端部から前側に向かって一体的に延設された前脚12と、前脚12の長手方向中間部に延設され先端部がジョイント材2の側端部に連結するジョイント部13とを備えている。
【0024】
後脚11の下端と前脚12の下端にはキャスタ14が設けられている。左右の後脚11の内面には、スタッキング時において後方から進入する他の椅子との緩衝機能及び他の椅子との位置決め機能を発揮し得る合成樹脂製の後ダンパーFが設けられている。
【0025】
後脚11は、上下方向に延びてなるものである。後脚11は、側面視において前傾した姿勢で上下方向に延びてなる。後脚11は、正面視及び背面視において下部が上部よりも外側に位置するように傾斜した姿勢をなしている。
【0026】
後脚11の上端部には、上方に突出した背板接続部11aが設けられている。背板接続部11aは、背板Cの延出部c2に下向きに形成された図示しない嵌合穴に内嵌する形状をなしている。背板Cの延出部c2は、脚構成部材1に設けられた背板接続部11aに外嵌する。そして、背板Cの延出部c2と背板接続部11aとが、ねじv1により固定されるようになっている。
【0027】
前脚12は、側面視において後傾した姿勢で直線状に延びてなる傾斜前脚部12aと、前後方向に延びてなり傾斜前脚部12aの上端部と後脚11の上端部との間を繋ぐ上前脚部12bとを備えている。前脚12において、傾斜前脚部12aは前部に位置し、上前脚部12bは後部に位置するものとなっている。
【0028】
前脚12は、正面視及び背面視において下部が上部よりも内側に位置するように傾斜した姿勢をなしている。側面視における傾斜前脚部12aの幅寸法は、側面視における上前脚部12bの幅寸法よりも短い寸法に設定されている。
【0029】
前脚12は、その上部に位置する上前脚部12bの内面側に、座B1を回動可能に支持し得る保持部12cを設けている。保持部12cは、内方に開放された有底の穴形状をなしている。保持部12cには、座B1を枢支するための軸部材Pが取り付けられるようになっている。
【0030】
ジョイント部13は、前脚12の長手方向中間部に前内方に向けて突設されたものである。ジョイント部13は、前脚12の長手方向中間部、より具体的に言えば、前脚12の傾斜前脚部12aにおける上部の内面側から突設されている。ジョイント部13は、側面視において傾斜前脚部12aから略水平に前方に延びてなる。ジョイント部13は、正面視において略水平に内方に向かって延びてなる。
【0031】
ジョイント部13は、底面視において斜め前方に向かって延びてなる。ジョイント部13は、その先端部分13bに左右方向に貫通したねじ挿通孔h2を備えている。ジョイント部13の先端部分13bは、ジョイント材2に嵌合し得る形状をなしている。ジョイント部13の先端部分13bは、ジョイント材2の端部に設けられた凹陥部21に内嵌めされる。そして、ジョイント部13を有した脚構成部材1は、当該ジョイント部13における先端部分13bのねじ挿通孔h1に挿通されたねじv2を用いて、ジョイント材2と連結するようになっている。
【0032】
なお、ジョイント材2と脚構成部材1とを連結するねじv2は、他の椅子との緩衝機能を兼ねた平面視略L字状をなすカバーGにより隠蔽されている。
【0033】
後ダンパーFは、脚構成部材1を構成する左右の後脚11の内面にそれぞれ取り付けられている。
【0034】
<ジョイント材2>
ジョイント材2は、左右方向に延びてなる角柱状をなすものである。ジョイント材2は、座B1を下から支持し得る座受として機能し得るものである。ジョイント材2は、左右方向に延びてなる略四角柱状をなしている。ジョイント材2は、略水平をなす上向面22と略水平をなす下向面23を有している。
【0035】
ジョイント材2の上向面22には、使用姿勢(S)における座B1の横架フレーム部7の下面が緩衝部材73を介して当接するようになっている。ジョイント材2は、左右両端部に外側方から挿通されたねじv2が螺合し得るナット部h2を備えている。ジョイント材2は、脚構成部材1に設けたジョイント部13に対してねじv2により取り付けられている。
【0036】
ジョイント材2には、メモ台Dが取り付けられている。ジョイント材2の下向面23には、アーム9の基端アーム構成部91が溶接により剛結されている。
【0037】
<<座B1(クッションタイプの座B1)>>
座B1は、支持体Aに対して着座可能な使用姿勢(S)と床面に対して起立した起立姿勢(U)との間で回動可能に支持されたものである。座B1は、着座面m1が上側を向き着座者が着座可能な使用姿勢(S)と、床面に対して起立し前後方向のスタッキングを実施し得る起立姿勢(U)との間で姿勢変更可能に構成されたものである。座B1は、軸部材Pを介して支持体Aにおける前脚12の上前脚部12bに回動可能に支持されている。
【0038】
座B1は、下方に膨らんだ形状をなすシェル体3の上にクッション4を配してなるクッションタイプの座本体Jと、座本体Jを支持し得る座フレームKとを備えたものである。座B1は、使用姿勢(S)において、着座者の荷重が、張地5、クッション4、シェル体3、及び、横架フレーム部7を介してジョイント材2に伝達され得るものとなっている。
【0039】
<座本体J>
座本体Jは、座フレームKを介して支持体Aに支持されるものである。座本体Jは、下方に膨らんだ形状をなすシェル体3と、シェル体3に支持されたクッション4と、クッション4の外面を被覆する張地5とを有してなるものである。
【0040】
シェル体3は、主要部を構成するシェル体本体31と、シェル体本体31の下面から下方に突設されたフレーム添接部32とを備えたものである。シェル体3を構成するシェル体本体31及びフレーム添接部32は合成樹脂により一体に形成されている。
【0041】
シェル体本体31は、平面視において略矩形状をなしている。シェル体本体31は、上側が開放された容器状をなしている。換言すれば、シェル体本体31は、上側が開放され下側に向かって凹んだ形状をなしている。シェル体本体31には、下側に向かって凹んだ形状に基づいて、クッション4を収容し得るクッション収容空間spが形成されている。
【0042】
図10に示すように、シェル体本体31における左右方向中央部は、略S字状の断面形状をなしている。換言すれば、シェル体本体31は、フレーム添接部32が設けられた位置を境界にして前部分31aは上側に凹んだ形状をなしており、後部分31bは下側に向かって膨らんだ形状をなしている。
【0043】
すなわち、座フレームKは、左右の側枠フレーム部分61、前枠フレーム部分62、及び、横架フレーム部7によって、環状に連続した前環状部K1が形成されており、且つ、左右の側枠フレーム部分61、後枠フレーム部分63、及び、横架フレーム部7によって、環状に連続した後環状部K2が形成されたものとなっている。
【0044】
そして、シェル体3を構成するシェル体本体31の前環状部K1に囲まれた部分すなわち前部分31aが、上方に凹んだ形状をなしており、シェル体3を構成するシェル体本体31の後環状部K2に囲まれた部分すなわち後部分31bが、下方に膨出した形状をなしている。
【0045】
シェル体3は、座フレームKの横架フレーム部7に対して添接されている。より具体的に言えば、シェル体本体31における下面の前後方向中央部には、フレーム添接部32が下方に向けて突設されている。そして、フレーム添接部32は、座フレームKの横架フレーム部7の上面に常時添接するように構成されている。
【0046】
シェル体3の後部には、座フレームKに設けた爪部tmが係合し得る爪係合部kaが設けられている。
【0047】
フレーム添接部32は、左右方向に延びてなる起立壁状をなした前の横リブ32aと、当該前の横リブ32aよりも後に間隔をあけて略平行に配設され左右方向に延びてなる起立壁状をなした後の横リブ32bと、前の横リブ32aと後の横リブ32bとを繋ぐように左部、右部、及び、中央部の三箇所に配設された前後方向に延びてなる起立壁状をなした縦リブ32cとを備えたものである。
【0048】
クッション4は、発泡ウレタン材等の既知の素材により作られた一定の弾性反発力を有するものである。クッション4の下部は、シェル体本体31の凹み形状に対応した形状をなしている。すなわち、クッション4の下部は、シェル体本体31に設けられたクッション収容空間spを埋めるような形状をなしている。
【0049】
そして、シェル体本体31の後部分31bに支持されたクッション4の後部42の厚み寸法w2は、シェル体本体31の前部分31aに支持されたクッション4の前部41の厚み寸法w1よりも長く設定されている。このため、着座者の臀部を主として支持し得るクッション4の後部42には、好適なクッション性が付与されたものとなっている。
【0050】
張地5は、生地を主体に構成されクッション4の上面及び周縁部を被覆するとともにシェル体3の周縁部3eを被覆するものである。張地5の端縁5eは、シェル体3の周縁部3eにおける下面と座フレームKにおける枠フレーム部6の上面との間に適宜の方法により保持されるようになっている。
【0051】
<座フレームK>
座フレームKは、合成樹脂により形成され座本体Jの周縁部を支持し得る枠フレーム部6を有してなるものである。座フレームKは、支持体Aに対して軸部材Pを介して回動可能に支持されている。座B1に枢支された座フレームKは、座本体Jを下から支持し得るものである。座フレームKは、外部から視認可能に配されたものである。換言すれば、座フレームKは、外部に露出するものとなっている。
【0052】
座フレームKは、座本体Jにおける周縁部の下面に添接する枠フレーム部6と、枠フレーム部6に架設された横架フレーム部7とを備えている。座フレームKは、枠フレーム部6と横架フレーム部7とを合成樹脂により一体的に形成したものである。
【0053】
枠フレーム部6は、左右の側枠フレーム部分61と、左右の側枠フレーム部分61の前端部間を繋ぐ前枠フレーム部分62と、左右の側枠フレーム部分61の後端部間を繋ぐ後枠フレーム部分63とを備えている。
【0054】
左右の側枠フレーム部分61には、座B1を回転可能に支持するための軸部材Pが挿通し得る軸挿通孔61aが設けられている。軸部材Pの内方端には鍔部p1が形成されている。軸部材Pの鍔部p1は側枠フレーム部分61の内面側に添接するようになっている。枠フレーム部6は、例えば、強化ナイロン等を使用してなる剛性の高いものであり、左右の脚構成部材1に直接的に取り付けられる軸部材Pと協働して、左右の脚構成部材1が互いに離れないようにしている。
【0055】
横架フレーム部7は、正面視において下方に向けて凸をなすように湾曲した形状をなすものである。横架フレーム部7は、枠フレーム部6における左右の側枠フレーム部分61間に架設されている。横架フレーム部7は、左右の側枠フレーム部分61の内側面から斜め下方に向かって突出した傾斜延出部分71と、左右の傾斜延出部分71の先端部間を左右方向の略水平に延びてなる水平横架部分72とを備えている。水平横架部分72の下面には、矩形板状の緩衝部材73が設けられ、緩衝部材73がジョイント材2に対して接触するようになっている。
【0056】
<<背板C>>
背板Cは、着座者の背中に添接し得る背凭れ面を有した背板本体c1と、背板本体c1における左右の下端部から下方に向かって延出した左右の延出部c2とを備えてなる。
【0057】
背板Cは、左右の延出部c2に設けられた図示しない嵌合穴が、支持体Aに設けられた背板接続部11aに外嵌するようになっている。左右の延出部c2には、ねじ挿通孔h1が設けられている。そして、ねじ挿通孔h1を挿通したねじv1を背板接続部11aに設けたナットn1に螺着することにより背板Cが支持体Aに取り付けられるようになっている。
【0058】
<<メモ台D>>
オプションたるメモ台Dは、オプション本体たる天板8と、天板8を支持するアーム9と、天板8とアーム9との間に介設され天板8を姿勢変更可能に支持し得る天板支持機構Lを備えたものである。
【0059】
天板8は、略矩形板状をなすものである。天板8は、略水平をなす使用姿勢(M)と当該使用姿勢(M)から退避した退避姿勢(T)との間でアーム9に対して姿勢変更可能なものである。すなわち、天板8は、天板支持機構Lにより、上面に種々の物品を載置可能な使用姿勢(M)と上下方向に垂下する退避姿勢(T)との間で位置変更可能に構成されている。
【0060】
アーム9は、金属製のパイプ材により作られたものである。アーム9は、左右方向に略直線状に延びてなる基端部たる基端アーム構成部91と、基端アーム構成部91の一端部たる左端部から屈曲部たる下屈曲部92を介して連設されジョイント部13の下に位置し当該ジョイント部13の長手方向に沿って延びてなる直線状の部位たる中間アーム構成部93と、中間アーム構成部93の一端部たる左端部から屈曲部たる後屈曲部94を介して連設され基端から先端に向かって斜め上方且つ前方に直線状に延びてなる主アーム構成部95と、主アーム構成部95の前端部から屈曲部たる前屈曲部96を介して連設され前方に向かって直線状に延びてなる前端アーム構成部97を備えたものである。
【0061】
基端アーム構成部91は、ジョイント材2に一体的に連結されている。すなわち、基端アーム構成部91は、ジョイント材2の長手方向に沿って配設されており、当該ジョイント材2の下面側すなわち下向面23に溶接により固定されている。
【0062】
メモ台Dの天板8は、支持体Aのジョイント材2よりも左側に偏って配設されたものとなっている。一方で、メモ台Dのアーム9を構成する基端アーム構成部91の終端部分91eは、ジョイント材2における左右方向中央部よりも右側に配設されたものとなっている。
【0063】
中間アーム構成部93は、左側のジョイント部13の下に位置するように設定されている。中間アーム構成部93は、ジョイント部13の長手方向に沿って配設されている。中間アーム構成部93とジョイント部13とは、ブラケットbrを介して相互に連結されている。中間アーム構成部93は、ジョイント部13の下に沿うように位置しているため、外観を損ね難いものとなっている。
【0064】
この実施形態では、ブラケットbrは中間アーム構成部93に対してあらかじめ溶接により固定されている。中間アーム構成部93は、ブラケットbrのねじ挿通孔h3に挿通されたねじv3をジョイント部13に設けた図示しないナットに螺着することにより、ジョイント部13に対して安定的に支持されるものとなっている。
【0065】
天板支持機構Lは、アーム9における先端部の軸心回り、すなわち前端アーム構成部97に当該前端アーム構成部97の軸心回りに回転可能に設けられた第一の回転支持部L1と、第一の回転支持部L1に対して回転可能に設けられ天板8の裏面にねじ止めされた取付板L21を有した第二の回転支持部L2とを具備してなる既知の構成のものである。
【0066】
座B1及びメモ台Dを備えてなる椅子は、
図9に示すように、座B1を起立姿勢(U)に保持した状態、及び、メモ台Dの天板8を退避姿勢(T)に保持した状態で、同一構造をなす他の椅子と前後方向にネスティングし得るように構成されている。
【0067】
<<二タイプの座B1、B2を柔軟に製造し得る構成>>
この実施形態に示された椅子は、特に、
図13~15に示すように、枠状部分たる枠フレーム部6を有した座フレームKに対して、構造が異なる二タイプの座本体J、Eから選択された一の座本体(座本体J又は座本体Eの何れか一方)を取り付けることにより、座(座B1又は座B2)を製造し得るようになっている。二タイプの座本体J、Eは、座フレームKに対して止着具たるねじv4を用いて着脱可能に構成されている。
【0068】
図13では、二タイプの座本体J、Eが示されている。
図13、及び、
図14に示された座本体Jは、クッション4の上面に張地5が張設され当該張地5の上面を着座面m1としたクッションタイプのものである。
図13、及び、
図15に示された座本体Eは、板状体の上面を着座面m2とした座板タイプのものである。
【0069】
二タイプの座本体J、Eは、それぞれ、支持体Aに枢支された状態の座フレームKに対して着脱可能に構成されている。すなわち、座フレームKの枠フレーム部6に設けたねじ挿通孔h4に挿通したねじv4を座本体J、Eに設けたナットn4に螺着することにより、支持体Aに取り付けられた状態の座フレームKに対して二タイプの座本体J、Eの内の何れか一方の座本体を取り付けることができるようになっている。
【0070】
なお、クッションタイプの座本体Jは、軸部材Pを介して支持体Aに回転可能に支持された状態の座フレームKに対して取り付けない限り、支持体Aに枢支された座B1を構成することができないようになっている。つまり、座本体Jが座フレームKに装着されると、シェル体3におけるシェル体本体31の後部分31bが支持体Aと座フレームKとを繋ぐ軸部材Pの挿脱を阻止し得る箇所に位置するようになっている。
【0071】
なお、仮に、クッションタイプの座本体Jを座フレームKに取り付けて座B1を構成した後に、当該座B1を支持体Aに対して取り付けようとしても、座本体Jを構成するシェル体3に邪魔されて軸部材Pを座フレームK及び支持体Aに挿通することができないため、座B1を支持体Aに取り付けることが不可能なものとなっている。
【0072】
<<座板タイプの座B2>>
椅子は、
図16に示すように、支持体Aに対して枢支された座フレームKに対して、座板タイプの座本体Eを装着することにより、座フレームK及び座板タイプの座本体Eを具備してなる座板タイプの座B2を構築することができるようになっている。座板タイプの座B2は、クッションタイプの座B1と同様に、支持体Aに対して着座可能な使用姿勢(S)と床面に対して起立した起立姿勢(U)との間で回動可能に構成されている。
【0073】
座板タイプの座本体(以下、「座板E」という。)は、平面視において略矩形状をなしており上下方向に貫通する複数の孔Nが設けられた座板本体E1と、座板本体E1の外周縁に設けられた周縁部E2とを備えている。
【0074】
座板Eを構成する座板本体E1は、複数の孔Nの内、前後方向及び左右方向の中央部領域Rに設けられた孔Nが座板本体E1に設けられた複数の孔Nの内で最も大きく形成されたものとなっている。座板本体E1に設けられた複数の孔Nの大きさは、中央部領域Rから外方すなわち座板本体E1の外周縁を取り囲む周縁部E2側に向かって漸次小さくなるように形成されている。
【0075】
換言すれば、中央部領域Rから外方とは、中央部領域Rから前方、後方、左右両側方、斜め前方、及び、斜め後方を含んだものである。
【0076】
座板本体Eの厚み寸法は、全体として略均一に設定されている。そのため、孔Nの容積は、中央部領域Rから外方に向かって漸次少なくなるように設定されたものとなっている。
【0077】
座板本体E1において上下方向に穿設された複数の孔Nの内、周縁部E2の近傍領域に設けられた孔Nが最も小さく形成されている。そして、座板本体E1は、中央部領域Rから周縁部E2に至る過程において孔Nが次第に小さくなりつつ消失するように形成されている。
【0078】
特定の孔Nの周囲には、略等距離をなして六つの孔Nが取り囲むように配されている。
【0079】
図18の拡大図に示すように、複数の孔Nを形成する開口縁Neは、平面視において、前後方向及び左右方向の中心点ctを基準にして略対称形状をなしている。換言すれば、複数の孔Nを形成する開口縁Neは仮想中心点ctを基準にして点対称の形状をなしている。
【0080】
複数の孔Nの開口縁Neは、平面視において、90°以下の鋭利な角のない形状をなしたものである。より具体的に言えば、開口縁Neは、
図18に示すように、平面視において、二点鎖線により示された正方形を構成する四辺をそれぞれ外方に凸をなすように湾曲させた形状をなしている。
【0081】
座板Eは、座板本体E1の外周縁に孔を有さない領域である周縁部E2を有したものである。そして、周縁部E2の下面側が、椅子を構成するフレームすなわち、支持体Aに支持された座フレームKの枠フレーム部6によって支持されるものとなっている。すなわち、椅子を構成するフレームたる枠フレーム部6は、座板本体E1及び周縁部E2により構成された座板Eとともに座板タイプの座B2を構成するものとなっている。
【0082】
なお、座板の周縁部を支持し得るフレームは、
図16に示されるような座を構成するものに限られるものではなく、例えば、
図20に示すものが挙げられる。
【0083】
図20に示す椅子は、支持フレームIに対して、座板H、及び、背板Qを支持させたものである。同図における椅子を構成するフレームは、脚フレームであるベースフレーム部i1、前脚フレーム部i2、及び、後脚フレーム部i3を含み金属製のパイプ材、及び、金属製の板材により構成された支持フレームIを指している。
【0084】
座板Hの具体的構成については、支持フレームIに支持させるための具体的な構造を除き、座板タイプの座本体(座板E)と同様であるため同一の符号を付して説明し、詳細な説明を省略するものとする。
【0085】
座板Hを支持する支持フレームIは、左右に対をなし床面と略平行に前後方向に延びてなるベースフレーム部i1と、ベースフレーム部i1の前端部に立設された前脚フレーム部i2と、ベースフレーム部i1の後端部に立設された後脚フレーム部i3と、前脚フレーム部i2の上端部と後脚フレーム部i3の上端部間に架設された側座受フレーム部i4と、側座受フレーム部i4の前端部間を繋ぐ前横架フレーム部i5と、側座受フレーム部i4の後端部間を繋ぐ後横架フレーム部i6と、後脚フレーム部i3の上端部及び側座受フレーム部i4の後端部から上方に延設された図示しない背支持フレーム部を備えてなるものである。
【0086】
後脚フレーム部i3、ベースフレーム部i4、前脚フレーム部i2、側座受フレーム部i4、及び、背支持フレーム部は、一本の金属製パイプ材により連続して形成されている。
【0087】
前横架フレーム部i5、及び、後横架フレーム部i6は、金属板により形成されている。
【0088】
金属板により形成された前横架フレーム部i5、及び、後横架フレーム部i6と、金属製のパイプ材により形成された左右の側座受フレーム部i4とによって、座板Hの周縁部Eを支持し得る四角枠状の座受フレームIWが構成されたものとなっている。
【0089】
以上説明したように、本実施形態に係る椅子は、上下方向に貫通する複数の孔Nが設けられた座板本体E1を有してなるものである。そして、座板本体E1が、複数の孔Nの内、前後方向及び左右方向の中央部領域Rに設けられた孔Nが最も大きく形成されたものであり、複数の孔Nの大きさが、中央部領域Rから外方に向かって漸次小さくなるように形成されている。
【0090】
このため、本実施形態に係る椅子であれば、座板本体E1が、全体として偏りなく好適に弾性変形し得るように構成されたものとなる。
【0091】
座板本体E1の外周縁に孔Nを有さない領域である周縁部E2を有したものであり、周縁部E2の下面側が、椅子を構成するフレームによって支持されるものとなっている。
【0092】
このため、座板本体E1は、周縁部E2を介して椅子を構成するフレームによって好適に支持されたものとなっている。
【0093】
また、座板本体E1の中央部領域Rは、孔Nに基づいた弾性惹起作用による適度な座り心地を提供し得るものとなっている。また、座板本体Eは、中央部領域Rから周縁部E2に向かうにしたがって漸次孔Nが小さくなることにより支持強度が滑らかに変化するものとなり、座板E全体の耐久性の向上にも寄与するものとなっている。
【0094】
複数の孔Nの内、周縁部E2の近傍領域に設けられた孔Nが最も小さく形成されており、中央部領域Rから周縁部E2に至る過程において孔Nが次第に小さくなりつつ消失するように形成されている。
【0095】
このため、座板本体E1に形成された複数の孔Nが全体として中心部領域Rから外方に向かって漸次淡くなるグラデーションを表出させ得るものとなり、孔Nの無い周縁部E2の下側にフレームを配置したので、孔Nのグラデーションと相まって上からフレームが視認しにくくなり、使用者に対して視覚的に好適な印象を与え得るものとなっている。
【0096】
座板本体E1が、平面視において略矩形状をなすものである。このため、複数の孔Nを有しつつ着座者が着座し得る好適な形態をなしたものとなっている。
【0097】
複数の孔Nを形成する開口縁Neが、平面視において、前後方向及び左右方向の中心点ctを基準にして略対称形状をなしている。
【0098】
このため、複数の孔Nは、それぞれが全体としてのバランスを損ね難いものとなっており、全体として好適な外観を形成し得るものとなっている。
【0099】
開口縁Neが、平面視において、角のない形状をなしたものである。このため、使用者に対して、鋭利な印象を与えない孔Nの形状に関連した軟らかな印象を与え得るものとなっている。
【0100】
開口縁Neが、平面視において、正方形を構成する四辺をそれぞれ外方に凸をなすように湾曲させた形状をなしている。
【0101】
このため孔Nの形状が、ありふれた単純な丸孔形状とは異なり、見る者の目に留まり得る一定の個性ないし独創性を発揮し得る好適な形態をなしたものとなっている。
【0102】
椅子を構成するフレームが、脚フレームたるベースフレーム部i1、前脚フレーム部i2、及び、後脚フレーム部i3を含み金属製のパイプ材及び金属製の板材により構成された支持フレームI、又は、座板本体E1及び周縁部E2により構成された座板Eとともに座B2を構成する枠フレーム部6である。
【0103】
このため、多様な椅子を構成するフレームにより座板E、Hを支持することができるようになっている。
【0104】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0105】
上下方向に貫通する複数の孔の数は、種々の数に設定され得るものであることはいうまでもない。
【0106】
また、複数の孔の形状についても、種々の形状のものを適用し得るものである。
【0107】
座板の周縁部の下面側に添接して支持し得るフレームは、座板とともに座を構成する部位であってもよいし、座とは別異の構成部(例えば、支持体など)における部位であってもよい。
【0108】
支持体を構成する左右に対をなす脚構成部材はアルミダイキャストにより形成されたものに限られるものではない。例えば、鋳物成型や合成樹脂を用いた射出成型により形成したものであってもよい。
【0109】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0110】
A…支持体
B1…座(クッションタイプ)
B2…座(座板タイプ)
C…背板
D…メモ台(オプション)
E…座板(座本体)
H…座板