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特許7532993搬送案内装置、シート状物処理装置および粉体使用装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】搬送案内装置、シート状物処理装置および粉体使用装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/36 20060101AFI20240806BHJP
   B65H 5/00 20060101ALI20240806BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B65H5/36
B65H5/00 B
G03G21/16 195
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020130721
(22)【出願日】2020-07-31
(65)【公開番号】P2022026985
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】金子 敦士
(72)【発明者】
【氏名】橋本 敬太
(72)【発明者】
【氏名】市原 寛一
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-293263(JP,A)
【文献】特開2015-087440(JP,A)
【文献】特開2018-025658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00,5/04,5/08-5/20,
5/24-5/38,29/52
G03G 15/02,21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物を搬送経路に沿って案内する部分を有する搬送案内手段と、
固定される一端部とは反対側の非固定の他端部が、前記案内する部分にシート状物の搬送方向の下流側になるにつれて接近した後に接触又は接近するよう配置されて、シート状物を当該案内する部分に接触させるよう誘導する誘導手段と、
を備え、
前記誘導手段は、前記他端部の末端に、前記案内する部分から離れる方向に突出する末端突出部が設けられており、
かつ、前記誘導手段は、シート状物の搬送時の幅方向における側方端の少なくとも一部に、前記案内する部分から離れる方向に突出する側方突出部が、前記末端突出部と連続した状態で設けられている搬送案内装置。
【請求項2】
前記末端突出部は、少なくとも前記案内する部分から離れる方向に立ち上がる面を有する形状からなる部分である請求項1に記載の搬送案内装置。
【請求項3】
前記末端突出部は、前記誘導手段の前記一端部から前記他端部に至る本体の当該他端部を屈曲させた部分として構成されている請求項2に記載の搬送案内装置。
【請求項4】
前記末端突出部は、前記誘導手段の前記一端部から前記他端部に至る本体の当該他端部に取り付ける別の部材で構成されている請求項2に記載の搬送案内装置。
【請求項5】
前記誘導手段は、前記一端部から前記他端部に至る本体を有し、前記本体がシート状の弾性部材で構成されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の搬送案内装置。
【請求項6】
前記誘導手段は、前記一端部が、前記搬送案内手段と前記搬送経路を挟んで向き合う部分を有して所要の時期に交換される部品に固定されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の搬送案内装置。
【請求項7】
前記搬送案内手段は、シート状物を搬送方向に沿って搬送して案内するよう回転する回転部材で構成されている請求項1に記載の搬送案内装置。
【請求項8】
シート状物に所要の処理を施す処理部を有する処理装置と、
前記処理部に送り込む搬送経路に沿ってシート状物を案内する搬送案内装置と、
を備え、
前記搬送案内装置は、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の搬送案内装置を含めて構成されているシート状物処理装置。
【請求項9】
粉体をシート状物に付着させる粉体付着部を有する粉体付着装置と、
前記粉体付着部に送り込む搬送経路に沿ってシート状物を案内する搬送案内装置と、
を備え、
前記搬送案内装置は、請求項1ないしのいずれか1項に記載の搬送案内装置を含めて構成されている粉体使用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、搬送案内装置、シート状物処理装置および粉体使用装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体等が含まれる粉塵に起因して発生する不具合の対策を施した装置としては、例えば、下記特許文献1に記載されている装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、感光体、転写装置、定着器、キャリア回収部材を有する現像機を備え、二成分現像剤を用いて現像を行う電子写真記録装置において、落下キャリア捕集部材を、キャリア回収部材の下流である現像機の下部又は両面印刷搬送系の上部に設けた電子写真記録装置が記載されている。
また特許文献1には、その落下キャリア捕集部材が上記キャリア回収部材で回収できずに落下する飛散キャリアを捕集するため、転写前の用紙上に飛散キャリアが落下することがないことや両面印刷搬送系に落下して堆積した飛散キャリアを幅広の用紙が拾うことがないことが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-34657号公報(請求項1,2、段落0025、図1-3等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、シート状物を搬送経路に沿って案内する部分に接触させるよう誘導する誘導手段のうち前記案内する部分とは反対側の部分に付着して堆積する粉塵が剥落してシート状物を汚すことを、その誘導手段の非固定の端部の末端に前記案内する部分から離れる方向に突出する末端突出部を設けない場合に比べて抑制することができる搬送案内装置、シート状物処理装置および粉体使用装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(1)の搬送案内装置は、請求項1に記載している通り、
シート状物を搬送経路に沿って案内する部分を有する搬送案内手段と、
固定される一端部とは反対側の非固定の他端部が、前記案内する部分にシート状物の搬送方向の下流側になるにつれて接近した後に接触又は接近するよう配置されて、シート状物を当該案内する部分に接触させるよう誘導する誘導手段と、
を備え、
前記誘導手段は、前記他端部の末端に、前記案内する部分から離れる方向に突出する末端突出部が設けられており、
かつ、前記誘導手段は、シート状物の搬送時の幅方向における側方端の少なくとも一部に、前記案内する部分から離れる方向に突出する側方突出部が、前記末端突出部と連続した状態で設けられているものである。
【0007】
この発明(2)の搬送案内装置は、上記発明(1)の搬送案内装置において、前記末端突出部は、前記案内する部分から離れる方向に立ち上がる面を少なくとも有する形状で構成されているものである。
この発明(3)の搬送案内装置は、上記発明(2)の搬送案内装置において、前記末端突出部は、前記誘導部材の前記一端部から前記他端部に至る本体の当該他端部を屈曲させた部分として構成されているものである。
この発明(4)の搬送案内装置は、上記発明(2)の搬送案内装置において、前記末端突出部は、前記誘導手段の前記一端部から前記他端部に至る本体の当該他端部に取り付ける別の部材で構成されているものである。
【0008】
この発明(5)の搬送案内装置は、上記発明(1)から(4)のいずれかの搬送案内装置において、前記誘導手段は、前記一端部から前記他端部に至る本体を有し、前記本体がシート状の弾性部材で構成されているものである。
この発明(6)の搬送案内装置は、上記発明(1)から(5)のいずれかの搬送案内装置において、前記誘導手段は、前記一端部が、前記搬送案内手段と前記搬送経路を挟んで向き合う部分を有して所要の時期に交換される部品に固定されているものである
【0009】
この発明()の搬送案内装置は、上記発明(1)の搬送案内装置において、前記搬送案内手段は、シート状物を搬送方向に沿って搬送して案内するよう回転する回転部材で構成されているものである。
【0010】
また、この発明()のシート状物処理装置は、シート状物に所要の処理を施す処理部を有する処理装置と、前記処理部に送り込む搬送経路に沿ってシート状物を案内する搬送案内装置と、を備え、
前記搬送案内装置は、上記発明(1)から()のいずれかの搬送案内装置を含めて構成されているものである。
【0011】
さらに、この発明()の粉体使用装置は、粉体をシート状物に付着させる粉体付着部を有する粉体付着装置と、前記粉体付着部に送り込む搬送経路に沿ってシート状物を案内する搬送案内装置と、を備え、
前記搬送案内装置は、上記発明(1)から()のいずれかの搬送案内装置を含めて構成されているものである。
【発明の効果】
【0012】
上記発明(1)の搬送案内装置によれば、シート状物を搬送経路に沿って案内する部分に接触させるよう誘導する誘導手段のうち前記案内する部分とは反対側の部分に付着して堆積する粉塵が剥落してシート状物を汚すことを、その誘導手段の非固定の端部の末端に前記案内する部分から離れる方向に突出する末端突出部を設けない場合に比べて抑制することができる。
また上記発明(1)によれば、誘導手段が側方突出部を設けていない場合に比べて、堆積する粉塵の剥落をより確実に抑制することができる。これは特に、誘導手段がシート状物の搬送時の幅方向に相当する方向において複数に分割されて間隔をあけて配置される場合に有効である。
【0013】
上記発明(2)によれば、誘導手段の末端突出部が立ち上がる面を有する形状でない場合に比べて、誘導手段に付着して堆積する粉塵が剥落することを抑制することができる。
上記発明(3)によれば、誘導手段の末端突出部が別の部材で構成されている場合に比べて、少ない部品点数で誘導手段に堆積する粉塵の剥落を抑制することができる。
上記発明(4)によれば、誘導手段の末端突出部が本体の他端部に取り付ける別の部材で構成されていない場合に比べて、任意に選択した物性や形状等からなる末端突出部により堆積する粉塵の剥落を適切に抑制することができる。
【0014】
上記発明(5)によれば、誘導手段にシート状物が当たることにより発生する弾性力(弾性変形)によって剥落する粉塵がシート状物を汚すことを、誘導手段に末端突出部を設けない場合に比べて抑制することができる。
上記発明(6)によれば、誘導手段が所要の時期に交換される部品に固定されていない場合に比べて、誘導手段に粉塵が大量に堆積するおそれを交換される部品の交換により防ぐことができる
【0015】
上記発明()によれば、シート状物を、誘導手段に堆積して剥落する粉塵により汚されることを抑制しつつ、誘導手段により回転部材で構成される搬送案内手段の案内する部分に接触させるよう誘導することができる。
【0016】
上記発明()のシート状物処理装置によれば、搬送案内装置が、上記発明(1)から()のいずれかの搬送案内装置を含めて構成されていない場合に比べて、シート状物を、搬送案内装置における誘導手段に堆積して剥落する粉塵により汚されることを抑制しつつ、搬送経路に沿わせて処理装置に送り込むことができる。
【0017】
上記発明()の粉体使用装置によれば、搬送案内装置が、上記発明(1)から()のいずれかの搬送案内装置を含めて構成されていない場合に比べて、シート状物を、搬送案内装置における誘導手段に堆積して剥落する粉体を含む粉塵により汚されることを抑制しつつ、搬送経路に沿わせて粉体付着装置に送り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(A)は実施の形態1に係る搬送案内装置を概念的に示す側面図、(B)はその搬送案内装置を概念的に示す平面図である。
図2】(A)は図1の搬送案内装置における誘導手段を示す斜視図、(B)はその誘導手段のB-B線に沿う概略断面図である。
図3】(A)は図2の誘導手段の末端突出部を拡大して示す概略断面図、(B)はその誘導手段を搬送案内手段の案内する部分に接触させた状態を示す要部概要図である。
図4】(A)は図1の搬送案内装置による搬送案内の状態を示す概念図、(B)はその搬送案内装置による搬送案内の別の状態を示す概念図である。
図5】(A)は比較例の誘導手段における粉塵の堆積の状態例を示す要部概要図、(B)は比較例の誘導手段に堆積した粉塵の剥落によるシート状物の汚れの発生例を示す要部概要図である。
図6】(A)は実施の形態1の変形例における誘導手段を示す概略断面図、(B)はその誘導手段を搬送案内手段の案内する部分に接触させた状態を示す要部概要図である。
図7】(A)は実施の形態1の変形例における誘導手段を示す概略平面図、(B)はその誘導手段を搬送案内手段の案内する部分に接触させた状態を示す要部概要図である。
図8】(A)は実施の形態2に係る搬送案内装置を概念的に示す側面図、(B)はその搬送案内装置を概念的に示す平面図である。
図9】(A)は実施の形態2の変形例に係る搬送案内装置を概念的に示す側面図、(B)はその搬送案内装置を概念的に示す平面図である。
図10】実施の形態3に係る粉体使用装置の一例である画像形成装置を示す概要図である。
図11図10の画像形成装置における像形成装置および搬送案内装置を拡大して示す概要図である。
図12図10の画像形成装置における搬送案内装置の誘導手段に堆積する粉塵の発生状態とその抑制効果等を拡大して示す概要図である。
図13】実施の形態4に係るシート状物処理装置の一例を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
実施の形態1.
図1には、この発明の実施の形態1に係る搬送案内装置1Aが示されている。
搬送案内装置1Aは、シート状物9を搬送経路Rtに沿って案内する部分2gを有する搬送案内手段2Aと、シート状物9を搬送案内手段2Aにおける案内する部分2gに接触させるよう誘導する誘導手段3Aとを備えている。
【0021】
搬送案内手段2Aは、シート状物9を搬送する搬送経路Rt内における所要の位置に固定して配置される不動の部材で構成されており、いわば不動型の搬送案内手段である。不動の部材とは、配置された位置でそれ自体が動くことがない部材である。
【0022】
この搬送案内手段2Aは、所要の形状からなる本体2aと、本体2aの上部に設けられる案内する部分2gを有している。
本体2aは、搬送案内装置1Aを採用して設置する対象の図示しない装置内における所要の部材(支持部材等)に固定された状態で配置される。案内する部分2gは、この本体2aの上部における所要の位置に固定された状態で設けられる。この本体2aおよび案内する部分2gは、固定して配置される部材の一部であり、例えば不動の部材の一部になる。また、本体2aおよび案内する部分2gは、例えば、合成樹脂等の材料で製作される。本体2aについては、固定して配置される他の部材の一部に追加されるよう形成された一体物として構成されたものであってもよい。
【0023】
シート状物9は、搬送案内装置1Aによる搬送案内が必要であって適用することが可能なものであればよい。この搬送案内装置1Aでは、シート状物9として、例えば、所望の寸法に裁断された用紙、シート、厚紙等が適用される。また、シート状物9は、搬送案内装置1Aを適用する装置に設置される図示しない搬送装置により、搬送経路Rtの一部に沿って搬送案内装置1Aに達するよう搬送される。
【0024】
案内する部分2gは、シート状物9を搬送経路Rtに沿って搬送案内する機能を発揮するように形成される部分である。
この案内する部分2gは、シート状物9の搬送を案内する領域を含む面として構成されているが、その面の一部にシート状物9の搬送方向Jに沿って平行して細長く延びるリブ等の細長い突起部2grを設けている。図1(A)の符号2hは、符号2gで示す部分を細長い突起部2grとみなした場合におけるその細長い突起部2grが形成された面(の高さ)を示す。
【0025】
案内する部分2gを構成する面は、平面で形成されている。また、案内する部分2gを構成する細長い突起部についても、その上端(面)部が直線状に延びる形状で形成されている。
また、案内する部分2gは、シート状物9の搬送方向Jの下流側にむけて所要の傾斜角β(図3(B)等)で徐々に上昇するよう傾斜する部分として構成されている。
さらに、案内する部分2gは、シート状物9の搬送方向Jに沿う長さやその搬送方向Jと交差した方向であってシート状物9の搬送時の幅方向Kの長さ(幅)等について、例えば、搬送するシート状物9の寸法や、搬送経路Rtに沿って搬送案内するために必要な寸法等に応じて設定される。
【0026】
誘導手段3Aは、図1図2等に示されるように、平面がほぼ矩形からなる板状の本体3aを有するものである。
【0027】
また、誘導手段3Aは、本体3aの一端部3bが所要の取付け対象物11に固定手段4により固定される一方で、その固定される一端部3bとは反対側の固定されていない非固定の他端部3cが、搬送案内手段2Aにおける案内する部分2gにシート状物9の搬送方向Jの下流側になるにつれて接近した後に接触するよう配置されるものでもある。非固定の他端部3cは、自由端になる。
【0028】
本体3aは、案内する部分2gの領域に対向させるべき所要の平面形状や面積からなるものであればよい。
実施の形態1における本体3aは、図1(B)や図2(A)に示されるように、平面形状が幅方向Kに長い長方形状からなり、また案内する部分2gの搬送方向Jの上流側の端部領域を除きその下流側にむかうほぼ全域と対向する面積からなるものを使用している。
また、実施の形態1における本体3aは、その他端部3cを案内する部分2gに接触させた際や搬送されるシート状物9が接触して通過する際に、少なくとも他端部3c側の領域部分が撓むように弾性変形し得る程度の弾性を有するシート状の弾性部材で構成されている。このシート状の弾性部材からなる本体3aを構成する部材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂材料からなるシートが使用される。このシート状の弾性部材からなる本体3aを有する形態の誘導手段3Aは、例えば誘導シートと表現することも可能である。
【0029】
誘導手段3Aの一端部3bを固定して取り付ける取付け対象物11としては、例えば、搬送案内装置1Aの近傍に配置されて誘導手段3Aと向き合う部分を有する構造物や、誘導手段3Aの一端部3bを固定するために専用に設ける支持部材が適用される。実施の形態1における取付け対象物11Aは、固定して配置されるタイプのものである。なお取付け対象物11としては、後述するように所要の時期に交換される部品(装置を含む)等からなる取付け対象物11Bであればより好ましい。
また、誘導手段3Aの一端部3bを取付け対象物11Aに固定する固定手段4は、特に限定されるものではなく、例えば、両面粘着テープ、接着剤等が適用される。
【0030】
そして、搬送案内装置1Aにおける誘導手段3Aは、図1図2等に示されるように、その他端部3cの末端に、搬送案内手段2Aにおける案内する部分2gから離れる方向に突出する末端突出部3tが設けられている。
ここで、他端部3cの末端は、他端部3cのうち搬送方向Jの最下流になる端である。また図1等では末端突出部に符号3t1を付しているが、これは実施の形態1における構成からなる末端突出部であることを識別できるよう示すためであり、以下では単に概念的な末端突出部を示すときは符号3tを付すこととする。
【0031】
末端突出部3tは、図3等に示されるように、少なくとも案内する部分2gから離れる方向に立ち上がる面3kを有する形状からなる部分である。この立ち上がる面3kは、誘導手段3Aの一端部3bから視認することができる面であり、また換言すると、末端突出部3tのうちシート状物9の搬送方向Jの上流側に存在する面でもある。この立ち上がる面3kは、ほぼ平面であるが、湾曲面や屈曲面であっても構わない。
【0032】
実施の形態1における末端突出部3t1は、誘導手段3Aの一端部3bから他端部3cに至る本体3aの他端部3cを屈曲させた部分として構成されている。このような末端突出部3t1は、本体3aの他端部3cを曲げ加工により形成するか、又は真空成形、射出成形等の製法により形成される。
【0033】
また、末端突出部3t1は、図3(A)に示されるように、上記立ち上がる面3kの立ち上がる角度α1が種々の観点から好適な値に設定される。このときの立ち上がる角度α1は、平らな場所に置いたときの誘導手段3Aのうちシート状物9を誘導する側の誘導面(下面)3fとは反対側の面(上面)3dとなす角度である。
この立ち上がる角度α1は、少なくとも後述する堆積した粉塵101(図5)が剥落して落下することを防ぐために有効な値に設定される。
【0034】
立ち上がる面3kの立ち上がる角度α1については、図3(B)に例示されるように、誘導手段3Aをその非固定の他端部3cが案内する部分2gに接触するように取り付けたときに立ち上がる面3kが適切な状態になるようにする等の観点から設定するとよい。
ちなみに、末端突出部3t1は、誘導手段3Aを取り付けた段階において立ち上がる面3kの重力方向Gに対する交差角が例えば±45°の範囲内になるように構成するとよい。図3等における符号3mは、末端突出部3t1の立ち上がる面3kとは反対側の面(シート状物9の搬送方向Jの下流側に存在する面)を示す。
【0035】
さらに、末端突出部3t1は、その突出する高さh1が種々の観点から好適な値に設定される。この突出する高さh1は、本体3aの誘導面3fと反対側の上面3dから突出する部分の高さ寸法である。また突出する高さh1は、少なくとも1mm以上の値であることが好ましい。この突出する高さh1については、例えば、後述する堆積した粉塵101(図5参照)が剥落して落下することを防ぐために必要な量や、重量の増加による誘導機能の低下を防ぐこと等の観点から適宜設定される。
【0036】
上記末端突出部3t1を設けた誘導手段3Aは、図1(A)、図3(B)等に示されるように、搬送案内手段2Aの傾斜角βの傾斜をなす案内する部分2gに対して、その一端部3bがシート状物9を導入するに必要な間隙を確保できる位置に固定手段4により固定して配置される一方で、その他端部3cがシート状物9の搬送方向Jの下流側にむけて徐々に接近してから鋭角の交差角度で接触した状態になるよう配置されている。
【0037】
この際、誘導手段3Aは、図3(B)に示されるように、他端部3cが、その途中の部分3sで案内する部分2gに接触し始めてから、案内する部分2gの搬送方向Jの下流側端部2geまで接触し続けた後、その末端突出部3t1を含む末端3ceの部分が、案内する部分2gの下流側端部2geと同じか又はその下流側端部2geよりも搬送方向Jの上流側にずれた状態で配置されている。
また、このときの誘導手段3Aは、その本体3aがシート状の弾性部材で構成されているので、図1(A)等に示されるように、下方に膨らむよう弾性変形して少し撓んだ状態になっている。誘導手段3Aは、自重で撓むことを除けば下方に撓んだ状態になるよう配置することは必ずしも必要でない。
【0038】
以上説明した搬送案内装置1Aでは、以下に説明するように、搬送されるシート状物9の搬送案内が行われる。
【0039】
まず、搬送案内装置1Aでは、図1(A)に示されるように、シート状物9が搬送経路Rtの上流側から搬送方向Jに搬送されると、そのシート状物9の先端9aが搬送案内手段2Aの案内する部分2gと誘導手段3Aの一端部3bと間の空間内に導入される。
【0040】
続いて、搬送案内装置1Aでは、図4(A)に示されるように、その導入されたシート状物9の先端9a等の一部が案内する部分2gの一部に接触した後か又は最初から誘導手段3Aの下面になる誘導面3fの一部に接触する。しかる後、誘導手段3Aが、その先端9a等の一部を誘導面3fに沿わせて進ませた後、最後に図4(A)に二点鎖線で例示されるように案内する部分2gに接触させるよう誘導する。
【0041】
しかる後、搬送案内装置1Aでは、誘導手段3Aが所要の力Fでシート状物9を案内する部分2gにむけて押し続ける。これにより、シート状物9は、誘導手段3Aから押し付ける力Fを受けながら案内する部分2gに接触させられる状態になって進む。この際、誘導手段3Aにおける押し付ける力Fは、例えば、誘導手段3Aの弾性を有する本体3aを案内する部分2gから離れる方向に弾性変形させるために必要な力にほぼ相当する。
【0042】
このように搬送案内装置1Aにおいては、シート状物9が誘導手段3Aの少なくとも他端部3cを通過する位置で案内する部分2gにほぼ接触する状態になるよう誘導されて進むようになる。これにより、シート状物9は、案内する部分2gに接触した状態で通過することより搬送経路Rtにほぼ沿った状態で搬送される。
【0043】
一方、このような搬送案内装置1Aにおいては、図5(A)に例示されるよう、搬送案内装置1Aの周囲等に存在する粉体等の粉塵100が浮遊し、その粉塵100の一部101が重力で落下して誘導手段3Aの誘導面3fと反対側の上面3dに付着し、次第に堆積するようになる。
しかも、その堆積した粉塵101の一部は、搬送されるシート状物9の先端9a等の部分が誘導手段3Aの誘導面3fに接触したときの衝撃を受けて剥落することがある。
【0044】
ここで、搬送案内装置1Aにおいて、上記誘導手段3Aに代えて、図5(A)に例示されるように他端部3cに誘導手段3Aにおける末端突出部3t1を設けない構成からなる比較用の誘導手段300を適用した場合は、以下のようにシート状物9が汚されることがある。
すなわち、この誘導手段300を適用した搬送案内装置1Aでは、図5(B)に例示されるよう、シート状物9の搬送時にその先端9a等の一部が誘導手段300の誘導面3fに接触したときの衝撃を受けて誘導手段3Aの上面3dに堆積した粉塵101の一部が剥がれると、その剥がれた粉塵101aが誘導手段300の上面3dから下方に落下し、そのときの誘導手段3Aの下方を通過するシート状物9の上に落下して汚すことがある。また誘導手段3Aが弾性を有する部材で構成されている場合は、その弾性を有する誘導手段3Aに堆積した粉塵が剥がれやすくなり、かかる誘導手段3Aから落下もしやすくなる。
【0045】
なおこの際、剥がれた粉塵101aの一部は、誘導手段300の幅方向Kにおける側方端部に移動して落下することもある。しかし、その剥がれた粉塵101aの一部は、誘導手段300の幅方向Kにおける寸法がシート状物9の幅よりも広い関係になっているので、シート状物9の上に落下するおそれがない。
【0046】
これに対して、実施の形態1における搬送案内装置1Aでは、末端突出部3t1を設けた誘導手段3Aを適用しているので、シート状物9の搬送時に上記したように誘導手段3Aの上面3dに堆積した粉塵101の一部が剥がれることがあっても、その剥がれた粉塵101aが誘導手段3Aにおける他端部3cの末端3ceの側に移動した際に末端突出部3t1(の立ち上がる面3k)によりせき止められる。
【0047】
したがって、この搬送案内装置1Aによれば、誘導手段3Aの上面3dに堆積した粉塵101の一部が剥落してシート状物9を汚すことが、末端突出部3t1を設けない誘導手段300を適用した場合に比べて抑制される。
【0048】
また、この搬送案内装置1Aでは、誘導手段3Aにおける末端突出部3t1が本体3aの他端部3cを屈曲させた部分として構成されているので、末端突出部3tがそのように屈曲させた部分として構成されていない場合に比べると、簡易で軽量な構造からなる末端突出部3t1により誘導手段3Aの誘導機能を損ねることなく堆積する粉塵101の剥落が容易に抑制される。
【0049】
さらに、この搬送案内装置1Aでは、誘導手段3Aの本体3aがシート状の弾性部材で構成されているので、誘導手段3Aの本体3aがシート状の弾性部材で構成されていない場合に比べると、誘導手段3Aにおける誘導面3fに対するシート状物9の接触による衝撃の発生が抑えられつつ、シート状物9が誘導手段3Aとの接触により不要な搬送抵抗を受けることもなく良好に通過しやすくなる。
【0050】
この他、この搬送案内装置1Aでは、搬送案内手段2Aが固定して配置される不動の部材で構成されているので、シート状物9が、誘導手段3Aに堆積して剥落する粉塵101で汚されることが抑制されつつ、誘導手段3Aにより不動型の搬送案内手段2Aの案内する部分2gに接触するよう誘導される。
【0051】
実施の形態1の変形例.
なお、実施の形態1に係る搬送案内装置1Aでは、図6に例示される誘導手段3Bを適用することも可能である。
【0052】
誘導手段3Bは、末端突出部3tとして、本体3aの他端部3cに案内する部分2gから離れる方向に突出する状態で取り付ける別の部材にて構成される末端突出部3t2を採用したものである。別の部材とは、本体3aとは独立した別の(後付けの)部材をいう。
末端突出部3t2は、本体3aの他端部3cの幅方向Kにほぼ直線状に連続する形状であり、かつ、案内する部分2gから離れる方向に立ち上がる面3kを有する形状であればよい。図6では、末端突出部3t2として、断面形状が直角三角形からなるものを例示しているが、末端突出部3t2の断面形状についてはこれに限定されない。このような末端突出部3t2は、例えば、本体3aの形成材料と異なる材料からなる成形品、本体3aと異なる物性の発泡体等にて構成されるものが適用できる。なお、末端突出部3t2は、本体3aの形成材料と同じ材料からなる部材にて構成することも可能である。
【0053】
このような末端突出部3t2を設けた誘導手段3Bを適用した場合は、誘導手段の末端突出部が本体3aの他端部3cに取り付ける別の部材で構成されていない場合に比べると、任意に選択した物性や形状等からなる末端突出部3t2により堆積する粉塵101の剥落を適切に抑制することができる。
【0054】
また、実施の形態1に係る搬送案内装置1Aでは、図7に例示される誘導手段3Cを適用することも可能である。
【0055】
誘導手段3Cは、シート状物9の幅方向Kに相当する方向において複数(例えば4つ)に分割された分割誘導手段3C1,3C2,3C3,3C4として構成し、その分割誘導手段3C1,3C2,3C3,3C4を所要の間隔をあけて配置したものである。
【0056】
また、分割誘導手段3C1,3C2,3C3,3C4は、その各他端部3cの末端に末端突出部3t1をそれぞれ設けるとともに、その各幅方向Kにおける側方端3Ci,3Crの少なくとも一部に、案内する部分2gから離れる方向に突出する側方突出部3p1,3p2を各末端突出部3t1と連続させた状態でそれぞれ設けている。
側方端3Ci,3Crの少なくとも一部は、例えば、各分割誘導手段3C1,3C2,3C3,3C4における本体3aの少なくとも下方に最も撓んだ部分とその搬送方向Jの前後の一部分を含む部分である。側方突出部3p1,3p2は、末端突出部3t1と同じ高さまで突出させたものでも、異なる高さまで突出させたものであってもよい。
【0057】
この場合、各分割誘導手段3C1,3C2,3C3,3C4においては、その末端突出部3t1を上記した別の部材からなる末端突出部3t2に変更することや、その側方突出部3p1,3p2を上記した本体3aの側方端3Ci,3Crの一部を屈曲して構成することや上記した別の部材で構成することも可能である。
【0058】
このような末端突出部3t2に加えて側方突出部3p1,3p2も設けた分割誘導手段3C1,3C2,3C3,3C4を適用した場合は、その側方突出部3p1,3p2を設けない場合に比べると、各分割誘導手段3C1,3C2,3C3,3C4で剥がれた粉塵101aが側方端3Ci,3Crに移動して落ちることが各側方突出部3p1,3p2でせき止められる。
これにより、分割誘導手段3C1,3C2,3C3,3C4では、堆積する粉塵101が各本体3aの他端部3cに加えて各本体3aの側方端3Ci,3Crからそれぞれ剥落することが確実に抑制される。
【0059】
実施の形態2.
図8には、この発明の実施の形態2に係る搬送案内装置1Bが示されている。
搬送案内装置1Bは、不動型の搬送案内手段2Aに代えて、シート状物9を搬送経路Rtに沿って搬送して案内するよう回転する回転部材で構成される搬送案内手段2Bを適用した以外は実施の形態1に係る搬送案内装置1Aと同じ構成からなるものである。
【0060】
搬送案内手段2Bは、シート状物9を搬送する搬送経路Rt内における所要の位置に配置されて回転する回転部材で構成されており、いわば可動型の搬送案内手段である。回転部材としては、複数の支持ロール2cに掛け回されてシート状物9の搬送方向Jに沿う方向に回転するとともに、シート状物9を外周面に保持して搬送する無端状の搬送ベルト2dが使用されている。この回転部材の一例である搬送ベルト2dにおける案内する部分2gは、搬送ベルトのうち複数の支持ロール2cに支持されて上方にむいた状態で搬送経路Rtに沿って移動する外周面の部分になる。
【0061】
この搬送案内装置1Bにおける末端突出部3t1が設けられた誘導手段3Aは、図8に示されるように、その他端部3cが、回転部材のうちシート状物9が導入される位置に相当する部分に搬送方向Jの下流側になるにつれて接近した後に接触するよう配置される。回転部材のうちシート状物9が導入される位置に相当する部分は、例えば、搬送方向Jの上流側に配置された支持ロール2cの最上部に掛け回されている搬送ベルト2dの部分(外周面部分)である。また、この搬送案内装置1Bでは、シート状物9を回転部材の搬送ベルト2dと誘導手段3Aとの間の空間内に案内するための導入案内部材2fが設けられる。この導入案内部材2fは、例えば、シート状物9の搬送時の先端9aが誘導手段3Aの誘導面3fの一部に接触させるよう案内する構成になっている。
【0062】
この搬送案内装置1Bでは、以下に説明するように、搬送されるシート状物9の搬送案内が行われる。
【0063】
まず、搬送案内装置1Bでは、図8(A)に示されるように、シート状物9が搬送経路Rtの上流側から図示しない搬送装置の搬送力により搬送方向Jに搬送されると、そのシート状物9の先端9aが導入案内部材2fに案内されつつ搬送案内手段2Bにおける回転部材である搬送ベルト2dの案内する部分2gと誘導手段3Aの一端部3bと間の空間内に導入される。
【0064】
続いて、搬送案内装置1Bでは、その導入されたシート状物9の先端9a等の一部が誘導手段3Aの下面になる誘導面3fの一部に接触する。しかる後、誘導手段3Aが、その先端9a等の一部を誘導面3fに沿わせて進ませた後、最後に回転部材である搬送ベルト2dの案内する部分2gに接触させるよう誘導する。
【0065】
しかる後、搬送案内装置1Bでは、誘導手段3Aが所要の力Fでシート状物9を回転する支持ロール2cに掛け回されるよう支持されて移動する搬送ベルト2dの外周面である案内する部分2gにむけて押し続ける。これにより、シート状物9は、誘導手段3Aから押し付ける力Fを受けながら搬送ベルト2dの外周面である案内する部分2gに接触させられる状態になって進む。
【0066】
このように搬送案内装置1Bにおいては、シート状物9が誘導手段3Aの少なくとも他端部3cを通過する位置で搬送案内手段2Bにおける回転部材である搬送ベルト2dの案内する部分(外周面)2gにほぼ接触する状態になるよう誘導されて進むようになる。これにより、シート状物9は、その搬送ベルト2dの案内する部分2gに接触した状態で通過することより搬送ベルト2dの外周面に保持されて搬送経路Rtにほぼ沿った状態で搬送される。
【0067】
また、この搬送案内装置1Bにおいては、シート状物9の搬送時に上記したように誘導手段3Aの上面3dに堆積した粉塵101の一部が剥がれることがあっても、その剥がれた粉塵101aが誘導手段3Aにおける他端部3cの末端3ceの側に移動した際に末端突出部3t1(の立ち上がる面3k)によりせき止められる。
【0068】
したがって、この搬送案内装置1Bによっても、誘導手段3Aの上面3dに堆積した粉塵101の一部が剥落してシート状物9を汚すことが、上記した末端突出部3t1を設けない誘導手段300を適用した場合に比べて抑制される。しかも、この搬送案内装置1Bにおいては、誘導手段3Aの上面3dに堆積した粉塵101の一部が剥落して回転部材である搬送ベルト2dの外周面を汚すことも抑制される。
【0069】
実施の形態2の変形例.
なお、この搬送案内装置1Bは、搬送案内手段2Bにおける回転部材である搬送ベルト2dに代えて、図9に示されるように、シート状物9を搬送する搬送経路Rt内における所要の位置に配置されてシート状物9を搬送するように回転する搬送ロール2rからなる回転部材を適用してもよい。
【0070】
この回転部材の一例である搬送ロール2rは、シート状物9の搬送方向Jに沿う方向に回転するとともに、シート状物9を外周面に保持して搬送するように回転駆動するロールが使用されている。この回転部材の搬送ロール2rにおける案内する部分2gは、例えば、搬送ロール2rの外周面のうち最上の部分になる。
【0071】
また、この回転部材である搬送ロール2rを適用する搬送案内装置1Bにおける末端突出部3t1が設けられた誘導手段3Aは、図9に示されるように、その他端部3cが、回転部材の搬送ロール2rのうちシート状物9が導入される位置に相当する部分に搬送方向Jの下流側になるにつれて接近した後に接触するよう配置される。搬送ロール2rのうちシート状物9が導入される位置に相当する部分は、例えば、搬送ロール2rの外周面のうち最上になる部分である。
【0072】
また、この搬送案内装置1Bでは、導入案内部材2fを設けることに加えて、回転部材の搬送ロール2rから搬出されるシート状物9を案内する排出案内部材2kが設けられる。この排出案内部材2kとしては、例えば、シート状物9を搬送ロール2rから排出された後の搬送経路Rtに沿う案内空間を形成するよう上下に間隔をあけて配置される上下一対の排出案内部材2k1,2k2が設けられる。
【0073】
この搬送ロール2rからなる回転部材を適用した搬送案内装置1Bでは、搬送されるシート状物9の搬送案内が上記した搬送案内装置1Bの場合とほぼ同様に行われる。
【0074】
つまり、搬送案内装置1Bにおいても、シート状物9が誘導手段3Aの少なくとも他端部3cを通過する位置で搬送案内手段2Bにおける回転部材である搬送ロール2rの案内する部分(最上の外周面部分)2gにほぼ接触する状態になるよう誘導されて進むようになる。これにより、シート状物9は、搬送ロール2rの案内する部分2gに接触した状態で通過するとともに保持されて搬送経路Rtにほぼ沿った状態で搬送される。また、シート状物9は、搬送ロール2rから排出された後においても、排出案内部材2k1,2k2に案内されて搬送経路Rtにほぼ沿った状態で搬送され続ける。
【0075】
また、この搬送案内装置1Bにおいても、シート状物9の搬送時に上記したように誘導手段3Aの上面3dに堆積した粉塵101の一部が剥がれることがあっても、その剥がれた粉塵101aが誘導手段3Aにおける他端部3cの末端3ceの側に移動した際に末端突出部3t1(の立ち上がる面3k)によりせき止められる。
【0076】
したがって、この搬送案内装置1Bによっても、誘導手段3Aの上面3dに堆積した粉塵101の一部が剥落してシート状物9を汚すことが、上記した末端突出部3t1を設けない誘導手段300を適用した場合に比べて抑制される。しかも、この搬送案内装置1Bにおいては、誘導手段3Aの上面3dに堆積した粉塵101の一部が剥落して回転部材である搬送ロール2rの外周面を汚すことも抑制される。
【0077】
さらに、上記した2種類の可動型の搬送案内手段2Bを採用した搬送案内装置1Bのいずれも、誘導手段3Aに代えて、実施の形態1の変形例で示された末端突出部3t2が設けられた誘導手段3Bを適用することや、その変形例で示された末端突出部3tと側方突出部3p1,3p2とが設けられた複数の分割された分割誘導手段3C1,3C2,3C3,3C4を適用することも可能である。
【0078】
実施の形態3.
図10には、この発明の実施の形態3に係る粉体使用装置10が示されている。
粉体使用装置10は、粉体をシート状物9に付着させる粉体付着部7sを有する粉体付着装置7と、粉体付着装置7の粉体付着部7sに送り込む搬送経路Rtに沿ってシート状物9を案内する搬送案内装置13とを少なくとも備えている。
【0079】
実施の形態3に係る粉体使用装置10は、図10図11に示されるように、シート状物9に粉体の一例である現像剤を付着させて定着してなる画像を形成する画像形成装置10Aとして構成されている。
この画像形成装置10Aでは、粉体付着装置7として、電子写真方式により現像剤で現像した現像剤像をシート状物9に転写して付着させる粉体付着部7sを有する像形成装置20を適用している。また、画像形成装置10Aでは、搬送案内装置13として、シート状物9を像形成装置20の粉体付着部7sに送り込む部位に配置される装置であって、後述するように実施の形態1に係る搬送案内装置1Aを含んで構成された搬送案内装置13Aを適用している。
【0080】
粉体使用装置10の一例である画像形成装置10Aは、図10に示されるように、所要の外観形状からなる筐体14を有しており、その筐体14の内部空間に、粉体付着装置7の一例である像形成装置20、シート状物供給装置40、定着装置50等の装置を配置して構成されている。
図10における一点鎖線は、筐体14内でシート状物9が搬送されるときの主な搬送経路を示している。シート状物9は、筐体14内での搬送が可能であって現像剤像の転写付着および熱定着が可能なシート状の記録媒体であればよく、その材質、形態等については特に制約されるものでない。シート状物9としては、例えば、所定のサイズに裁断又は形成した記録用紙、厚紙、封筒等が適用される。
【0081】
像形成装置20は、矢印で示す方向に回転する感光ドラム21を有し、その感光ドラム21の周囲に、帯電装置22、露光装置23、現像装置24、転写装置25、清掃装置26等の機器を配置して構成されている。
【0082】
このうち、感光ドラム21は、像保持手段の一例であり、感光層を有するドラム形態からなる感光体である。帯電装置22は、感光ドラム21の外周面(像形成面)を所要の表面電位に帯電させる装置である。この帯電装置22としては、例えば、感光ドラム21の外周面の像形成面に接触させるとともに所要の帯電電流が図示しない給電装置から供給されるロール形態等からなる帯電部材を備えた接触方式の帯電装置が適用される。
【0083】
露光装置23は、感光ドラム21の帯電後の外周面に画像情報に基づく露光をして静電潜像を形成する装置である。この露光装置23としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)を主走査方向にほぼ沿って列状に並べてなるLED式記録ヘッドが適用される。この露光装置23は、外部から入力される画像情報が図示しない画像処理回路等の構成部分で所要の処理が施されて生成される画像信号を受けながら作動する。画像情報とは、例えば、文字、図形、写真、模様等の形成すべき画像に関係する情報である。
【0084】
現像装置24は、感光ドラム21の外周面に形成された静電潜像を対応する所定の色(例えばブラック)の現像剤(トナー)により現像して単色のトナー像として顕像化する装置である。この現像装置24は、図11に示されるように、容器状の本体24a内に、現像剤を保持して現像を行う現像ロール24b、本体24a内に収容された現像剤を撹拌して搬送する撹拌搬送部材24c,24d、現像ロール24b上に保持する現像剤の量(層厚)を調整する調整部材24e等が配置されている。現像剤としては、例えば、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。感光ドラム21のうち現像ロール24bが接近して対向する部位は、現像領域DPになる。
この現像装置24は、本体24aの下面部にエアーフローの空気を通過させる通気空間を形成する通気路板24fが設けられている。また、現像装置24は、筐体14内に着脱交換可能に装着された補給容器28に収容されている補給用の現像剤(トナー)が、補給搬送装置29を通して所要の時期に所要の量だけ本体24a内に補給される。
【0085】
転写装置25は、感光ドラム21の外周面に現像で形成された現像剤像(トナー像)をシート状物9に静電的に転写させる装置である。この転写装置25としては、例えば、感光ドラム21の外周面に接触するとともに所要の転写電流が図示しない給電装置から供給されるロール形態等からなる転写部材を備えた接触方式の転写装置が適用される。
清掃装置26は、感光ドラム21の外周面に付着する不要なトナー、紙粉等の不要物を除去して感光ドラム21の外周面を清掃する装置である。この清掃装置26としては、例えば、感光ドラム21の外周面に接触して不要物をかき取る清掃ブレード、その清掃ブレードでかき取った付着物を図示しない回収容器等の回収部分に回収するよう搬送する搬送部材等を備えたブレード方式の清掃装置が適用される。
【0086】
像形成装置20においては、感光ドラム21と転写装置25が対向する部位が、現像剤像の転写を行う転写位置になるとともに、粉体の一例である現像剤をシート状物9に付着させる粉体付着部7sにもなる。
【0087】
シート状物供給装置40は、像形成装置20における転写位置でもある粉体付着部7sに供給すべきシート状物9を収容して送り出す装置である。このシート状物供給装置40は、例えば、シート状物9を収容する単数又は複数の収容体41と、シート状物9を送り出す単数又は複数の送出装置43等の機器を配置して構成されている。
【0088】
定着装置50は、像形成装置20の粉体付着部7sで転写付着された未定着の現像剤像をシート状物9に定着させるために加熱および加圧の処理をする装置である。この定着装置50は、シート状物9の導入口や排出口が設けられた筐体51の内部空間に、加熱用回転体52、加圧用回転体53等の機器を配置して構成されている。
また、定着装置50では、加熱用回転体52と加圧用回転体53が接触して回転するよう配置されており、その接触する部分(定着処理部FN)において通過するシート状物9等を加熱および加圧するようになっている。加熱用回転体52と加圧用回転体53は、ロール形態、ベルトニップ形態等の所要の形態で構成されている。
【0089】
この画像形成装置10Aでは、図10に示されるように、シート状物供給装置40から送出されるシート状物9を像形成装置20の粉体付着部7sにまで搬送して供給する供給搬送経路Rt1が設けられている。供給搬送経路Rt1は、シート状物9を挟持して搬送する複数の搬送ロール45a,45b,45cや、シート状物9の搬送空間を確保してシート状物9の搬送を案内する複数の案内部材47a,47b、上記搬送案内装置13A等を配置して構成されている。搬送ロール45cは、シート状物9を一旦停止させた後に所要のタイミングで粉体付着部7sにむけて送り込むよう作動する。
また、画像形成装置10では、像形成装置20の粉体付着部7sから現像剤像が転写付着されたシート状物9を定着装置50の定着処理部FNにまで搬送する中継搬送経路Rt2が設けられている。中継搬送経路Rt2は、シート状物9の搬送をその下方から案内する案内部材48等を配置して構成されている。
【0090】
また、画像形成装置10では、定着装置50から定着後に排出されるシート状物9を筐体14の一部に設けられた排出口15にある排出ロールである搬送ロール45eまで搬送して筐体14の上部に設けられた排出収容部16に排出させる排出搬送経路Rt3が設けられている。排出搬送経路Rt3は、シート状物9を挟持して搬送する複数の搬送ロール45d,45eや、シート状物9の搬送空間を確保してシート状物9の搬送を案内する図示しない複数の案内部材等を配置して構成されている。
また、画像形成装置10では、シート状物9の表裏の両面に画像を形成する場合、第1面(表面又は裏面)に画像を形成したシート状物9を、排出搬送経路Rt3の途中の位置から図示しない進路変更部材を含むスイッチバック方式によりその後端から筐体14の内部下方に引き込んで搬送した後に供給搬送経路Rt1の途中の位置で合流させて像形成装置20の粉体付着部7sに再び送り込むよう再送する再送搬送経路Rt4が設けられている。再送搬送経路Rt4は、シート状物9を挟持して搬送する複数の搬送ロール46a~46fや、シート状物9の搬送空間を確保してシート状物9の搬送を案内する図示しない複数の案内部材等を配置して構成されている。
【0091】
さらに、この画像形成装置10Aでは、現像装置24が筐体14における現像装置24の図示しない装着部に対して着脱可能に装着されるようになっている。なお、この画像形成装置10Aでは、現像装置24に感光ドラム21、帯電装置22、清掃装置26等の他の機器を加えて一体化したものを着脱可能に装着するよう構成してもよい。
【0092】
また、この画像形成装置10Aにおいては、図11等に示されるように、供給搬送経路Rt1の最下流の位置でかつ像形成装置20の粉体付着部7sの手前側の位置に、シート状物9を像形成装置20の粉体付着部7sに送り込む供給搬送経路Rt1に沿って案内する搬送案内装置13Aが設けられている。また、画像形成装置10Aでは、その搬送案内装置13Aが実施の形態1に係る搬送案内装置1A(図1等)を含んで構成されている。
【0093】
搬送案内装置13Aは、図11に示されるように、供給搬送経路Rt1における搬送ロール45cと像形成装置20の粉体付着部7sとの間に、実施の形態1に係る搬送案内装置1Aのシート状物9を供給搬送経路Rt1に沿って案内する部分2gを有する搬送案内手段2Aを固定して配置し、その搬送案内手段2Aにおける案内する部分2gにシート状物9を接触させるよう誘導する実施の形態1に係る搬送案内装置1Aの誘導手段3Aを配置している。
【0094】
搬送案内装置13Aにおける搬送案内手段2Aは、その本体2aが例えば転写装置25等を配置して支持する支持部材17に固定して配置されており、案内する部分2gが現像装置24の下方に間隔をあけて対向した状態で存在するよう設けられている。
案内する部分2gは、例えば、感光ドラム21の粉体付着部7sよりも回転方向の少し上流側の外周面に突き当たるよう設定された供給搬送経路Rt1に沿ってシート状物9を搬送案内するよう、シート状物9の搬送方向Jの下流側にむけて傾斜角β(図3(B))で徐々に上昇する傾斜面とその傾斜面に形成された上記した複数の細長い突起部2gr(図1(B))とで構成されている。
【0095】
搬送案内装置13Aにおける誘導手段3Aは、本体3aの一端部3bが現像装置24における通気路板24fに固定手段4により固定される一方、その他端部3cが搬送案内手段2Aの案内する部分2gに搬送方向Jの下流側になるにつれて徐々に接近して鋭角の交差角度で接触するよう配置されている。
また、誘導手段3Aは、他端部3cの末端突出部3t1が設けられた末端3ceが、案内する部分2gの下流側端部2geから突出した状態になるよう配置されている(図3(B))。さらに、誘導手段3Aは、その末端突出部3t1が、現像装置24の現像ロール24bが感光ドラム21と対向する現像領域DPから重力方向Gに沿う真下の位置より粉体付着部7sに少し接近した位置に存在するよう配置されている。
【0096】
ちなみに、この誘導手段3Aの一端部3bを固定する現像装置24は、誘導手段3Aの取付け対象物11になるが、特にこの現像装置24が上記したように筐体14に対して着脱可能に装着されるよう構成されているので、所要の時期に交換される部品(装置を含む)に相当する交換式の取付け対象物11Bになる。
【0097】
この画像形成装置10Aでは、例えば、次のようにして画像の形成が行われる。
【0098】
すなわち、画像形成装置10Aでは、図示しない制御手段が画像を形成する動作の指令を受けると、電子写真方式の像形成装置20において帯電動作、露光動作、現像動作および転写動作が実行される一方で、シート状物供給装置40においてシート状物9を送り出すとともに供給搬送経路Rt1と搬送案内装置13Aを経由させて搬送して像形成装置20の粉体付着部7sに送り込むよう供給する動作が実行される。
【0099】
これにより、感光ドラム21上に画像情報に応じた現像剤像が形成される一方で、その現像剤像が感光ドラム21と転写装置25との間になる粉体付着部7sに供給されたシート状物9に転写して付着される。またこの際、現像剤像が転写付着されたシート状物9は、回転する感光ドラム21と転写装置25に挟まれた状態で感光ドラム21から剥離されて中継搬送経路Rt2を経由して定着装置50にむけて送り出される。
【0100】
続いて、画像形成装置10Aでは、定着装置50において、現像剤像が転写付着されたシート状物9を定着処理部FNに導入して通過させる際に加熱および加圧する定着動作が実行される。
定着後のシート状物9は、排出搬送経路Rt3を経由して排出口15まで搬送され、最後に排出ロールである搬送ロール45eにより筐体14の上部における排出収容部16に送り出されて収容される。
【0101】
以上により、1つのシート状物9の片面に単色の現像剤からなる画像を形成する画像形成装置10Aの基本的な画像形成動作が完了する。
また、この画像形成装置10Aでは、シート状物9の両面への画像形成を行う場合、片面に画像が形成されたシート状物9が、再送搬送経路Rt4を経由して供給搬送経路Rt1に再び搬送された後に像形成装置20の粉体付着部7sに送り込まれ、これにより、そのシート状物9の他面への画像形成が行われる。
【0102】
また、この画像形成装置10Aでは、搬送案内装置13Aにより上記実施の形態1の場合と同様にシート状物9の搬送案内が行われるが、最終的には、シート状物9が誘導手段3Aの少なくとも他端部3cを通過する位置で搬送案内手段2Aにおける案内する部分2gにほぼ接触する状態になるよう誘導されて進むようになる。
これにより、シート状物9は、案内する部分2gに接触した状態で通過することより供給搬送経路Rt1にほぼ沿った状態で像形成装置20の転写位置でもある粉体付着部7sにむけて良好に搬送される。
【0103】
一方、このような搬送案内装置13A(1A)を適用した画像形成装置10Aにおいては、図12に例示されるよう、搬送案内装置13Aの近傍で感光ドラム21における現像装置24の現像領域DPに存在する粉体の一例である現像剤を含む粉塵100が浮遊し、その粉塵100の一部101が重力で落下して誘導手段3aの上面3dに付着し、次第に堆積するようになる(図5(A)参照)。
また、この画像形成装置10Aにおいても、その堆積した粉塵101の一部は、搬送されるシート状物9の先端9a等の部分が誘導手段3Aの誘導面3fに接触したときの衝撃を受けて剥がれることがある(図5(B)参照)。
【0104】
しかし、この画像形成装置10Aでは、搬送案内装置13Aが末端突出部3t1を設けた誘導手段3Aを適用しているので、シート状物9の搬送時に上記したように誘導手段3Aの上面3dに堆積した粉塵101の一部が剥がれることがあっても、その剥がれた粉塵101aが誘導手段3Aにおける他端部3cの末端3ceの側に移動した際に末端突出部3t1(の立ち上げ面3k)によりせき止められる。
【0105】
したがって、この粉体使用装置10の一例である画像形成装置10Aによれば、搬送案内装置13Aにおける誘導手段3Aの上面3dに堆積した粉塵101の一部が剥落してシート状物9を汚すことが、末端突出部3t1を設けない誘導手段300(図5参照)を適用した場合に比べて抑制される。この結果、この画像形成装置10Aでは、搬送案内装置13Aを適用しない場合に比べると、シート状物9の汚れによる画像不良が発生することも抑制される。
【0106】
また、この画像形成装置10Aでは、搬送案内装置13Aにおける誘導手段3Aが交換式の取付け対象物11Bの一例である現像装置24の供給搬送経路Rt1を挟んで誘導手段3Aと向き合う部分(通気路板24f)に固定して配置されているので、図12に二点鎖線で示されるように、現像装置24が交換されて筐体14から取り外されるときに、誘導手段3Aも現像装置24と共に画像形成装置10Aから取り除かれる。
これにより、画像形成装置10Aでは、その誘導手段3Aが交換式の取付け対象物11Bに固定されていない場合に比べると、誘導手段3Aに粉塵101が大量に堆積するおそれを現像装置24の交換により防ぐことができる。
【0107】
実施の形態3の変形例.
なお、この画像形成装置10Aでは、搬送案内装置13として、誘導手段3Aを用いる搬送案内装置13Aに代えて、実施の形態1の変形例で示された末端突出部3t2が設けられた誘導手段3Bを用いる搬送案内装置13Aを適用することや、その変形例で示された末端突出部3tと側方突出部3p1,3p2とが設けられた複数の分割された分割誘導手段3C1,3C2,3C3,3C4を用いる搬送案内装置13Aを適用することも可能である。
【0108】
また、この画像形成装置10Aでは、搬送案内装置13として、固定型の搬送案内手段2Aを用いる搬送案内装置13Aに代えて、実施の形態2における可動型の搬送案内手段2B(図8図9参照)を用いる搬送案内装置13(B)を適用してもよい。図8に例示した搬送ベルト2dを用いる可動型の搬送案内手段2Bを採用した搬送案内装置13(B)は、シート状物9を搬送ベルト2dにより像形成装置20の粉体付着部7sまで搬送する転写搬送ベルト装置におけるシート状物9の搬送ベルト2dへの保持開始部を構成することになる。
【0109】
さらに、粉体使用装置10の一例である画像形成装置10Aは、搬送案内装置13A,13Bを適用することが可能な画像形成装置であれば特に制約されるものでなく、例えば、複数色の現像剤からなる多色(カラー)画像を形成する画像形成装置であってもよい。
【0110】
実施の形態4.
図13には、この発明の実施の形態4に係るシート状物処理装置6が示されている。
シート状物処理装置6は、シート状物9に処理を施す処理部5sを有する処理装置5と、処理装置5の処理部5sに送り込む搬送経路Rtに沿ってシート状物9を案内する搬送案内装置12とを少なくとも備えている。
【0111】
実施の形態4に係るシート状物処理装置6は、シート状物9にインクを付着させて画像を形成する画像記録装置として構成されている。
このシート状物処理装置6の一例である画像記録装置では、処理装置5として、例えば外部から入力される画像情報に対応してインク滴をシート状物9に噴射させる記録ヘッドからなる処理部5sを有するインク噴射装置を適用している。また、この画像記録装置では、搬送案内装置12として、シート状物9を処理装置5の一例であるインク噴射装置の処理部5sに送り込む部位に配置される装置であって、実施の形態2に係る可動型の搬送案内装置1Bを含んで構成された搬送案内装置12Bを適用している。
【0112】
また、この画像記録装置においては、図13に示されるように、シート状物9の搬送経路Rtの最下流の位置でかつ像形成装置20の粉体付着部7sの手前側の位置に、シート状物9をインク噴射装置の処理部5sに送り込む搬送経路Rtに沿って案内する搬送案内装置12Bが設けられている。また、この画像記録装置では、その搬送案内装置12Bが実施の形態2に係る搬送案内装置2B(図8等)を含んで構成されている。
【0113】
搬送案内装置12Bは、図13に示されるように、搬送経路Rtにおいてシート状物9を所定のタイミングで送り出すよう搬送する搬送ロール45cとインク噴射装置の処理部5sとの間に、実施の形態2に係る搬送案内装置1Bのシート状物9を搬送経路Rtに沿って案内する部分2gを有する可動型の搬送案内手段2Bを配置し、その搬送案内手段2Bにおける案内する部分2gにシート状物9を接触させるよう誘導する実施の形態2に係る搬送案内装置1Bの誘導手段3A(図8等)を配置している。
【0114】
搬送案内装置12Bにおける可動型の搬送案内手段2Bは、例えば、搬送ベルト2dがインク噴射装置の処理部5sの下方を通過するよう2つの支持ロール2c,2cに掛け回されてシート状物9の搬送方向Jに沿う方向に回転するよう構成されたベルト搬送装置である。
案内する部分2gは、搬送ベルト2dの上方をむく外周面部分であり、シート状物9をインク噴射装置の処理部5sの下方に送り込んで通過させる搬送経路Rtに沿って搬送案内するよう構成されている。
【0115】
搬送案内装置12Bにおける誘導手段3Aは、本体3aの一端部3bが搬送案内装置12Bの近くに配置される固定型又は交換型の取付け対象物11A,11Bに固定手段4により固定される一方、その他端部3cが搬送案内手段2Bの案内する部分2gである搬送ベルト2dの外周面に搬送方向Jの下流側になるにつれて徐々に接近して鋭角の交差角度で接触するよう配置されている。
【0116】
このシート状物処理装置6の一例としての画像記録装置では、例えば、次のようにして画像の記録が行われる。
【0117】
すなわち、画像記録装置では、図示しない制御手段が画像を記録する動作の指令を受けると、図示しないシート状物9を収容して供給する装置から送り出されるシート状物9が搬送経路Rtに沿って搬送された後、そのシート状物9が搬送ロール45cにより所定のタイミングで送り出されるとともに搬送案内装置12Bによる搬送案内を受けた後、可動型の搬送案内手段2Bにおける搬送ベルト2dに保持された状態で搬送される。これにより、シート状物9が、処理装置5の一例であるインク噴射装置の印刷ヘッドからなる処理部5sに送り込まれる。
その一方で、画像記録装置では、インク噴射装置の印刷ヘッドからなる処理部5sから画像情報に対応したインク滴が送り込まれるシート状物9にむけて噴射される。
続いて、画像記録装置では、インク噴射装置においてインク滴からなる画像が記録されたシート状物9が搬送案内手段2Bにおける搬送ベルト2dにより搬送された後、最後に図示しない排出収容部に排出される。
【0118】
以上により、1つのシート状物9の片面にインク滴からなる画像を形成する画像記録装置の基本的な画像記録動作が完了する。
【0119】
また、この画像記録装置では、搬送案内装置12Bにより上記実施の形態2の場合と同様にシート状物9の搬送案内が行われるが、最終的には、シート状物9が誘導手段3Aの少なくとも他端部3cを通過する位置で搬送案内手段2Bにおける案内する部分2gである搬送ベルト2dの外周面にほぼ接触する状態になるよう誘導されて進むようになる。
これにより、シート状物9は、案内する部分2gに接触した状態で通過することより搬送経路Rtにほぼ沿った状態でインク噴射装置の印刷ヘッドからなる処理部5sに送り込まれるよう良好に搬送される。
【0120】
一方、このような搬送案内装置12B(1B)を適用したシート状物処理装置6の一例である画像記録装置においては、搬送案内装置12Bの近傍に存在する粉体を含む粉塵100が浮遊し、その粉塵100の一部101が重力で落下して誘導手段3aの上面3dに付着し、次第に堆積するようになる(図5(A)参照)。
また、この画像記録装置においても、その堆積した粉塵101の一部は、搬送されるシート状物9の先端9a等の部分が誘導手段3Aの誘導面3fに接触したときの衝撃を受けて剥がれることがある(図5(B)参照)。
【0121】
しかし、この画像記録装置では、搬送案内装置12Bが末端突出部3t1を設けた誘導手段3Aを適用しているので、シート状物9の搬送時に上記したように誘導手段3Aの上面3dに堆積した粉塵101の一部が剥がれることがあっても、その剥がれた粉塵101aが誘導手段3Aにおける他端部3cの末端3ceの側に移動した際に末端突出部3t1(の立ち上げ面3k)によりせき止められる。
【0122】
したがって、この画像記録装置によれば、搬送案内装置12Bにおける誘導手段3Aの上面3dに堆積した粉塵101の一部が剥落してシート状物9を汚すことが、末端突出部3t1を設けない誘導手段300(図5参照)を適用した場合に比べて抑制される。この結果、この画像記録装置では、搬送案内装置12Bを適用しない場合に比べると、シート状物9の汚れによる画像不良が発生することも抑制される。
【0123】
実施の形態4の変形例.
なお、実施の形態4では、可動型の搬送案内装置12Bに代えて、実施の形態1における不動型の搬送案内手段2Aを含めて構成される搬送案内装置12(A)を適用することもできる。この場合は、搬送案内手段2Aは、例えば、その案内する部分2gがインク噴射装置の処理部5sに達して通過するまで延びるよう構成すればよい。
【0124】
また、搬送案内装置12Bを適用するシート状物処理装置6は、上記画像記録装置以外にも、例えば、以下のような装置であってもよい。
すなわち、搬送案内装置12Bを適用するシート状物処理装置6は、処理装置5としてシート状物9を乾燥させる熱風を吹き付ける処理部5sを有する乾燥装置を備えた乾燥装置や、処理装置5としてシート状物9に感熱記録を行う処理部5aを有する感熱記録装置を備えた画像記録装置や、処理装置5としてシート状物9にインク印刷を行う処理部5sを有する輪転装置を備えた印刷装置や、処理装置5としてシート状物9に液体塗料を塗布する処理部5sを有する塗布装置を備えた塗装装置であってもよい。
【0125】
上記各変形例以外の変形例
実施の形態1に係る搬送案内装置1Aにおける不動型の搬送案内手段2Aの案内する部分2gを構成する面として平面で形成した構成例を示したが、例えば湾曲面であってもよい。また、その案内する部分2gを構成する細長い突起部についても、その上端(面)部が直線状に延びる形状で形成した構成例を示したが、例えば搬送方向Jにおいて湾曲する形状で形成されていてもよい。
また、不動型の搬送案内手段2Aの案内する部分2gは、実施の形態1では所要の傾斜角βで徐々に上昇するよう傾斜する部分として構成した場合を例示したが、その案内する部分2gについては、それ以外にもほぼ水平方向に延びる部分や、下降するよう傾斜する部分として構成しても構わない。
【0126】
搬送案内装置1A,1Bにおける誘導手段3A,3Bとしては、その本体3aがシート状の弾性部材で構成された誘導手段を適用する場合を示したが、例えばシート状物9として金属シートのように剛性の高いものを適用する場合には、本体3aが板状の剛性部材(例えば取り付けた際に撓むように弾性変形しない程度の剛性を有する部材)からなる誘導手段を適用してもよい。この板状の剛性部材からなる本体3aを有する誘導手段は、その本体3aの一端部3bを回動可能に固定して使用すればよい。
【0127】
また、上記各誘導手段3A,3B,3C等に代表される誘導手段3としては、非固定の他端部3cが案内する部分2gに接触するよう配置される場合を例示したが、誘導手段3は、その他端部3cが案内する部分2gに接近するよう配置してもよい。この場合、誘導手段3の他端部3cと案内する部分2gとの間の隙間は、例えば、シート状物9に対する誘導手段3による誘導作用が及ぶ範囲内になる隙間であればよい。
この他にも、上記各誘導手段3A,3B,3C等に代表される誘導手段3においては、その誘導面3fに粗面処理を施してもよい。誘導面3fが粗面処理されている誘導手段3を適用した場合は、誘導面3fが粗面処理されていない誘導手段3を適用した場合に比べると、その誘導面3fに接触して移動するシート状物9との接触面積が少なくなり、摩擦帯電の発生も軽減されて円滑な誘導が実現されやすくなる。
【0128】
また、実施の形態3に係る粉体使用装置10は、例えば、上記実施の形態3における現像剤を塗装用粉体として利用する粉体塗装装置であってもよい。
【0129】
その粉体塗装装置は、具体的には、例えば以下のように塗装用粉体を利用することで塗装を行うよう構成すればよい。まず、粉体塗装装置は、上記実施の形態3における現像装置24を静電粉体塗装法における粉体付着装置7の一例である粉体塗装ヘッドとして利用し、この粉体塗装ヘッドに近接させて導電性のシート状物9を搬送案内装置13による搬送案内もしながら搬送させる。次に、その粉体塗装ヘッドと導電性のシート状物9との間にバイアス電圧を供給し、これにより粉体塗布ヘッドから帯電した塗装用粉体(例えば、熱硬化性トナー)をシート状物9上に塗布する。その後、シート状物9を加熱することでシート状物9の表面を塗装する。
【0130】
また、この粉体塗装装置では、上記実施の形態3における補給容器28を塗装用粉体が収容される粉体容器として構成する。また、この粉体塗装装置では、搬送案内装置13によりシート状物9を粉体付着装置7における粉体付着部7sになる粉体塗装ヘッドに送り込むよう搬送案内するが、その搬送案内手段は搬送ベルト2dや搬送ロール2rを用いる可動型の搬送案内手段2Bを適用すればよい。搬送案内装置13における誘導手段3としては、実施の形態1,2における形態の誘導手段3A,3Bが適用できる。さらに、この粉体塗装装置においては、導電性を有するシート状物9が適用されるが、具体的には金属シートが適用される。
【0131】
また、実施の形態3に係る粉体使用装置10は、粉体として、炭素粉体、磁性粉体、金属粉体、薬品用粉体、食品用粉体等を使用して、その粉体をシート状物9に付着する粉体付着装置7と、その粉体付着装置7の粉体付着部7sにシート状物9を送り込む搬送経路Rtに沿って案内する搬送案内装置13を備えたものであってもよい。
【符号の説明】
【0132】
1A,1B…搬送案内装置
2A…不動型の搬送案内手段(搬送案内手段の一例)
2B…回転型の搬送案内手段(搬送案内手段の一例)
2g…案内する部分
2d…搬送ベルト(回転部材の一例)
2r…搬送ロール(回転部材の一例)
3A,3B,3C…誘導手段
3a…本体
3b…一端部
3c…他端部
3t…末端突出部
3t1…屈曲させた部分として構成される末端突出部
3t2…別の部材で構成される末端突出部
3k…立ち上がる面
3p…側方突出部
5 …処理装置
5s…処理部
6 …シート状物処理装置
7 …粉体付着装置
7s…粉体付着部
9 …シート状物
10…粉体使用装置
10A…画像形成装置(粉体使用装置の一例)
11B…交換式の取付け対象物(交換される部品の一例)
12…搬送案内装置(処理部に送り込むための搬送案内装置の一例)
13…搬送案内装置(粉体付着部に送り込むための搬送案内装置の一例)
20…像形成装置(粉体付着装置の一例)
24…現像装置(交換される部品の一例)
Rt…搬送経路
J …搬送方向
K …幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13