(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
B65H 29/70 20060101AFI20240806BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240806BHJP
B41J 11/02 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B65H29/70
B41J2/01 305
B41J11/02
(21)【出願番号】P 2020131888
(22)【出願日】2020-08-03
【審査請求日】2023-06-16
(31)【優先権主張番号】P 2019238605
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】古澤 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】吉野 哲史
(72)【発明者】
【氏名】玉井 健介
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-355131(JP,A)
【文献】特開2009-203041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/70
B41J 2/01
B41J 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を給送する給送部と、
給送された前記媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部が搬送する前記媒体に記録を行う記録部と、
前記記録部が記録する部分の前記媒体を支持する支持面を有する支持部材と、
前記記録部の記録位置よりも前記搬送方向の上流の位置で、前記支持部材に向かって前記媒体を押さえる押さえ部材と、を備え、
前記押さえ部材は
、前記媒体を押さえるときに当該媒体と当接する当接部と、前記搬送方向に搬送される前記媒体の先端を前記当接部へ誘導する第1誘導面と、前記搬送方向の上流に向かって逆搬送される前記媒体の後端を前記当接部へ誘導する第2誘導面と、を有し、前記支持面と交差する方向に移動可能に設けられる、ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
媒体を給送する給送部と、
給送された前記媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部が搬送する前記媒体に記録を行う記録部と、
前記記録部が記録する部分の前記媒体を支持する支持面を有する支持部材と、
前記記録部の記録位置よりも前記搬送方向の上流の位置で、前記支持部材に向かって前記媒体を押さえる押さえ部材と、を備え、
前記押さえ部材は
、前記媒体を押さえるときに当該媒体と当接する当接部と、前記搬送方向の上流に向かって逆搬送される前記媒体の後端を前記当接部へ誘導する第2誘導面と、を有し、前記支持面と交差する方向に移動可能に設けられる、ことを特徴とする記録装置。
【請求項3】
前記押さえ部材は、前記当接部よりも前記搬送方向の上流に位置する回動支
点を備え、
前記第2誘導面は、当該第2誘導面上の所定の位置と前記回動支点とを結ぶ仮想線よりも、前記所定の位置において前記媒体の後端が前記第2誘導面に当接したときに受ける前記第2誘導面と直交する方向の力の向きが上側となる、上向きの力を受ける角度に設定されている、ことを特徴とする請求項
1または請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記押さえ部材は、前記第2誘導面に対して上側に隣接する位置に、前記第2誘導面と同じ向きに傾く第1面を有することを特徴とする請求項
1~請求項3のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項5】
媒体を給送する給送部と、
給送された前記媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部が搬送する前記媒体に記録を行う記録部と、
前記記録部が記録する部分の前記媒体を支持する支持面を有する支持部材と、
前記記録部の記録位置よりも前記搬送方向の上流の位置で、前記支持部材に向かって前記媒体を押さえる押さえ部材と、を備え、
ディスクのレーベル面に記録するレーベル記録の対象となる前記ディスクがセットされるディスク用トレイが前記搬送方向の下流から上流に向かって前記搬送部により逆搬送される構成であり、
前記ディスク用トレイは、前記搬送方向の上流に向かって延出する延出部を有し、
前記押さえ部材は
、前記媒体を押さえるときに当該媒体と当接する当接部と、前記搬送方向に搬送される前記媒体の先端を前記当接部へ誘導する第1誘導面と、前記ディスク用トレイが前記搬送部により逆搬送されるときに前記延出部に当たる高さ位置を含む高さの範囲に亘って形成され、前記搬送方向の下流ほどかつ下方ほど前記押さえ部材の幅中心に近づく向きに傾く第2面と、を有し、前記支持面と交差する方向に移動可能に設けられる、ことを特徴とする記録装置。
【請求項6】
媒体を給送する給送部と、
給送された前記媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部が搬送する前記媒体に記録を行う記録部と、
前記記録部が記録する部分の前記媒体を支持する支持面を有する支持部材と、
前記記録部の記録位置よりも前記搬送方向の上流の位置で、前記支持部材に向かって前記媒体を押さえる押さえ部材と、を備え、
ディスクのレーベル面に記録するレーベル記録の対象となる前記ディスクがセットされるディスク用トレイが前記搬送方向の下流から上流に向かって前記搬送部により逆搬送される構成であり、
前記ディスク用トレイは、前記搬送方向の上流に向かって延出する延出部を有し、
前記押さえ部材は
、前記媒体を押さえるときに当該媒体と当接する当接部と、前記ディスク用トレイが前記搬送部により逆搬送されるときに前記延出部に当たる高さ位置を含む高さの範囲に亘って形成され、前記搬送方向の下流ほどかつ下方ほど前記押さえ部材の幅中心に近づく向きに傾く第2面と、を有し、前記支持面と交差する方向に移動可能に設けられる、ことを特徴とする記録装置。
【請求項7】
媒体を給送する給送部と、
給送された前記媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部が搬送する前記媒体に記録を行う記録部と、
前記記録部が記録する部分の前記媒体を支持する支持面を有する支持部材と、
前記記録部の記録位置よりも前記搬送方向の上流の位置で、前記支持部材に向かって前記媒体を押さえる押さえ部材と、を備え、
前記押さえ部材は
、前記媒体を押さえるときに当該媒体と当接する当接部と、前記搬送方向に搬送される前記媒体の先端を前記当接部へ誘導する第1誘導面と、前記第1誘導面と幅方向に隣接する側部には、前記媒体が搬送されるときの高さ位置を含む高さ範囲に亘って形成され、下方ほど前記押さえ部材の幅中心に近づく向きに傾く第3面と、を有し、前記支持面と交差する方向に移動可能に設けられる、ことを特徴とする記録装置。
【請求項8】
媒体を給送する給送部と、
駆動ローラーと従動ローラーとで対をなす搬送ローラー対を有し、かつ、給送された前記媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部が搬送する前記媒体に記録を行う記録部と、
前記記録部が記録する部分の前記媒体を支持する支持面を有する支持部材と、
前記記録部の記録位置よりも前記搬送方向の上流の位置で、前記支持部材に向かって前記媒体を押さえる押さえ部材と
、
前記従動ローラーを前記搬送方向の下流端部に支持するとともに回動可能に支持された回動部材と、
前記従動ローラーが前記駆動ローラーに近づく方向に前記回動部材を付勢する付勢部材と、を備え、
前記押さえ部材は
、前記回動部材の前記搬送方向の下流端部から延出し、かつ、前記支持面と交差する方向に移動可能に設けられる、ことを特徴とする記録装置。
【請求項9】
媒体を給送する給送部と、
給送された前記媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部が搬送する前記媒体に記録を行う記録部と、
前記記録部が記録する部分の前記媒体を支持する支持面を有する支持部材と、
前記記録部の記録位置よりも前記搬送方向の上流の位置で、前記支持部材に向かって前記媒体を押さえる押さえ部材と、を備え、
前記押さえ部材は、アームと、前記アームの先端部に前記媒体を押さえるときに当該媒体に当接する当接部とを有し、
前記当接部は、前記アームに対して前記搬送方向と交差する幅方向に突設された幅広な形状を有し、
前記押さえ部材は
、前記支持面と交差する方向に移動可能に設けられる、ことを特徴とする記録装置。
【請求項10】
前記押さえ部材を前記支持部材に近づく方向である押さえ方向に付勢する弾性部材を備えることを特徴とする請求項1
~請求項9のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項11】
前記搬送部は、駆動ローラーと従動ローラーとで対をなす搬送ローラー対を備え、
前記従動ローラーを前記搬送方向の下流端部に支持する
とともに回動可能に支持された回動部材と、
前記従動ローラーが前記駆動ローラーに近づく方向に前記回動部材を付勢する付勢部材と、を備え、
前記押さえ部材は、前記回動部材の前記搬送方向の下流端部に前記弾性部材により前記押さえ方向に付勢された状態で設けられていることを特徴とする請求項
10に記載の記録装置。
【請求項12】
前記支持部材は、前記搬送方向と交差する幅方向に間隔をおいて位置する前記支持面を端面に有する複数のリブと、
前記複数
のリブよりも高さの低い領域である複数の凹領域とを備え、
前記押さえ部材は、前記媒体を押さえるときに当該媒体と当接する当接部を有し、前記当接部が前記支持部材の前記凹領域と対向する位置に配置されることを特徴とする請求項1~請求項
11のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項13】
前記押さえ部材が押さえ方向に最も移動した位置にあるとき、前記当接部は、前記
複数のリブの前記支持面に対して、前記支持面と直交する直交方向と前記搬送方向でオーバーラップしていることを特徴とする請求項
12に記載の記録装置。
【請求項14】
前記押さえ部材は、
前記複数のリブのうち、最大幅の
前記媒体の前記幅方向の両端部を支持する最も外側のリブと、当該リブの前記幅方向の内側の隣に位置するリブとの間となる位置に少なくとも設けられていることを特徴とする請求項
12または請求項
13に記載の記録装置。
【請求項15】
前記押さえ部材は、前記媒体を押さえる部分に回転可能なローラーを備えることを特徴とする請求項1~請求項
14のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項16】
前記押さえ部材は、回動可能なフラップであることを特徴とする請求項1~請求項
14のいずれか一項に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を搬送する搬送部と、媒体を支持する支持部と、支持部に支持された媒体に記録する記録ヘッドとを備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、搬送路に沿って媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、搬送される媒体に画像を記録するためにノズルからインク等の液体を吐出する記録ヘッドと、搬送路において記録部と対向する位置で媒体を支持する支持部材とを備える記録装置が開示されている。
【0003】
搬送部は、記録部より搬送方向の上流に配置された搬送ローラー対と、記録部より搬送方向の下流に配置された排出ローラー対とを備える。支持部材は、第1位置と第1位置よりノズル面を含む仮想平面から遠い第2位置とに移動可能である。支持部材は、第1当接部材と、当接部と、第1付勢部材とを備える。第1当接部材は、幅方向において、隣り合う排出ローラーの間に配置されている。支持部材が第1位置にある状態において、搬送路へ突出する突出端が、排出ローラー対が媒体を挟持するニップ位置より、記録ヘッドのノズル面を含む仮想平面に近くに位置する。当接部は、支持部材が第1位置にある状態において、排出ローラー軸に当接する。第1付勢部材は、支持部材を第1位置へ向かって付勢する。
【0004】
支持部材が第1付勢部材の付勢力に抗して第1位置から第2位置へ移動することによって、ニップ位置と第1当接部材の突出端との相対的な位置関係が変動する。これにより、媒体の剛性に応じた波形状を付与することができる。他方、支持部材は、排出ローラー軸を基準として第1位置に位置決めされるので、第1位置におけるニップ位置と第1当接部材の突出端とが精度よく位置決めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された記録装置では、支持部材が上下する機構であるため、媒体と記録ヘッドとの距離が安定せず、記録品質が低下する可能性がある、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する記録装置は、記録装置は、媒体を給送する給送部と、給送された前記媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送部が搬送する前記媒体に記録を行う記録部と、前記記録部が記録する部分の前記媒体を支持する支持面を有する支持部材と、前記記録部の記録位置よりも前記搬送方向の上流の位置で、前記支持部材に向かって前記媒体を押さえる押さえ部材と、を備え、前記押さえ部材が前記支持面と交差する方向に移動可能に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】カバーを開けた状態にある記録装置を示す斜視図。
【
図3】筐体を取り外した状態にある記録装置を示す斜視図。
【
図4】筐体を取り外した状態にある記録装置の一部を示す斜視図。
【
図12】媒体ガイド機構および押さえ部材を示す側断面図。
【
図15】第2実施形態においてディスク用トレイが挿入される過程を示す搬送部の一部を示す平面図。
【
図17】押さえ部材の押圧ヘッドを示す拡大斜視図。
【
図18】第1実施形態の記録装置にディスク用トレイを挿入したときの押さえ部材の課題を説明する斜視図。
【
図19】ディスク用トレイを挿入したときの第2実施形態の押さえ部材の作用を示す斜視図。
【
図20】媒体がスキューしたときの第1実施形態の押さえ部材の課題を説明する正面図。
【
図21】媒体がスキューしたときの第2実施形態の押さえ部材の作用を示す正面図。
【
図22】両面記録時に媒体が逆搬送されるときの第1実施形態の押さえ部材の課題を説明する側面図。
【
図23】両面記録時に媒体が逆搬送されるときの第2実施形態の押さえ部材の作用を示す側面図。
【
図24】変更例における押さえ部材を示す側断面図。
【
図25】
図24と異なる変更例における押さえ部材を示す側断面図。
【
図26】
図25と異なる変更例における押さえ部材を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、記録装置の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1では、記録装置11が水平面上に置かれているものとして、互いに直交する3つの仮想軸を、X軸、Y軸及びZ軸とする。X軸は後述する記録ヘッドの走査方向と平行な仮想軸であり、Y軸は記録時の媒体の搬送方向と平行な仮想軸である。また、Z軸は鉛直方向Z1と平行な仮想軸である。Y軸と平行な一方向が、記録ヘッドが媒体に記録する記録位置における媒体の搬送方向を指す。記録ヘッド25が媒体に記録するときの媒体の搬送方向を第1搬送方向Y1とし、第1搬送方向Y1と反対の方向を第2搬送方向Y2とする。なお、Y軸において記録装置11における後述する操作パネル15が配置される面側を前とし、前とは反対側を後ともいう。また、媒体Mが搬送される搬送経路は全域においてY軸と平行である訳ではなく、搬送経路上の媒体Mの位置に応じて搬送方向Y0は変化する。
【0010】
<記録装置の構成>
図1に示す記録装置11は、シリアル記録方式のインクジェットプリンターである。
図1に示すように、記録装置11は、装置本体12と、装置本体12の上部に開閉可能に設けられたカバー13とを備える。記録装置11は、全体として略直方体状をなしている。
【0011】
記録装置11は、前面に操作パネル15を備える。操作パネル15は、記録装置11に対する各種の指示を与えるときに操作される操作ボタンなどを含む操作部と、各種メニューおよび記録装置11の動作状況などを表示する表示部(いずれも図示略)とを有する。また、装置本体12の前面には、電源ボタン16が設けられている。なお、表示部をタッチパネルで構成し、タッチパネルで操作される操作機能をもって操作部を構成することも可能である。
【0012】
また、装置本体12の前部右側には、少なくとも1つ(本実施形態では6つ)の液体供給源17(
図2参照)を収容する収容部18が設けられている。収容部18は、各液体供給源17と対応する少なくとも1つ(本実施形態では6つ)の窓部19を有する。窓部19は、透明もしくは半透明の樹脂製であり、ユーザーは窓部19を通じて液体供給源17に収容された液体の液面レベルを外部から視認可能である。
【0013】
また、記録装置11の後部上側には、給送カバー20が開閉可能に設けられている。給送カバー20は後端を中心に回動することで開閉される。装置本体12において
図1に示す閉位置にある給送カバー20の内方には、給送部21が収容されている。給送部21は、用紙等の媒体Mを給送する。給送部21は、媒体Mを載置するための給送トレイ22(
図2参照)を有する。ユーザーは、給送カバー20が開位置にあるときに露出する給送トレイ22(
図2参照)に媒体Mを載置する。
【0014】
装置本体12内には、給送トレイ22から給送された媒体Mに記録を行うための記録部23が収容されている。記録部23は、例えば、シリアル記録方式である。シリアル記録方式の記録部23は、走査方向Xに往復移動可能なキャリッジ24と、キャリッジ24の下部に保持された記録ヘッド25とを備える。記録ヘッド25が、搬送経路に沿って搬送される媒体Mと対向する面が、複数のノズル(図示略)が開口するノズル面(
図6参照)となっている。液体供給源17と記録部23とは液体供給チューブ(図示略)を通じて接続されており、液体供給源17から液体供給チューブを通じて記録ヘッド25へ液体が供給される。
【0015】
記録ヘッド25は、キャリッジ24と共に移動しながら複数のノズルから媒体Mに向かって液体を吐出する。このキャリッジ24が1回移動して記録ヘッド25が1パス分の記録を行う記録動作と、媒体Mを次の記録位置まで搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、媒体Mに文字または画像が記録される。なお、記録部23は、ライン記録方式でもよい。ライン記録方式の記録部23は、最大幅の媒体の幅全域に一斉に液体を吐出可能な複数のノズルを有するラインヘッドよりなる記録ヘッド25を備える。一定速度で搬送される媒体Mに対して媒体Mの幅全域を吐出対象としてラインヘッドよりなる記録ヘッド25のノズルから液体を吐出するため、画像等の高速な記録が実現される。
【0016】
また、記録装置11の前面下部には、排出カバー26が開閉可能に設けられている。排出カバー26は下端を中心に回動する。装置本体12において
図1に示す閉位置にある排出カバー26の奥には、記録後の媒体Mを受けるために使用されるスタッカー27(
図4参照)が収納されている。排出カバー26を開位置に開けた状態では、スタッカー27を搬送方向Y0にスライドさせて媒体Mを受ける受け位置に延出させることが可能である。
【0017】
記録装置11は、各種の制御を司る制御部100を備える。制御部100は、キャリッジ24および記録ヘッド25の制御や、媒体Mの搬送制御、操作パネル15の表示制御、電源制御などを司る。
【0018】
次に、
図2、
図3を参照して記録装置11の内部の詳細な構成について説明する。
図2に示すように、装置本体12内には、メインフレーム30が幅方向Xに延設されている。メインフレーム30は、キャリッジ24を案内する一対のガイドレール30A(
図3も参照)を有する。一対のガイドレール30Aは、走査方向に沿って互いに平行に延びている。キャリッジ24は、一対のガイドレール30Aにより鉛直方向Z1に2箇所で走査方向(幅方向X)に移動可能に支持される。キャリッジ24は、一対のガイドレール30Aに案内されることで走査方向に往復移動する。メインフレーム30とキャリッジ24との間には、キャリッジ24を走査方向に移動させる移動機構31が設けられている。移動機構31は、例えばベルト駆動方式であり、キャリッジ24の駆動源であるキャリッジモーター32と、走査方向に沿って張られた無端状のタイミングベルト33とを備える。キャリッジ24はタイミングベルト33の一部に固定されている。キャリッジモーター32が正逆回転することでタイミングベルト33を介してキャリッジ24は走査方向に往復移動する。
【0019】
また、メインフレーム30には、走査方向に沿って延びるリニアエンコーダー34が設けられている。リニアエンコーダー34は、走査方向に沿って延びるリニアスケールと、キャリッジ24に取着されたセンサー(図示略)とを備える。センサーはリニアスケールを検出し、キャリッジ24の移動量と比例する数のパルスを含むパルス信号を出力する。
【0020】
収容部18には、その上部を開閉する供給カバー18aが設けられている。本例では、液体供給源17は、液体が収容されるタンクである。ユーザーは、窓部19を通じて残量が少なくなった液体供給源17があると、カバー13および供給カバー18aを開け、液体ボトルから液体供給源17の注入口(図示略)へ液体を注入する。なお、液体供給源17は、ユーザーが液体ボトルから液体を補充する液体補充方式のタンクに限らず、液体が収容される液体パック(例えばインクパック)または液体カートリッジ(例えばインクカートリッジ)でもよい。また、液体供給源17は、装置本体12に設けられるオフキャリッジタイプであるが、キャリッジ24に搭載されるオンキャリッジタイプでもよい。
【0021】
図3に示すように、媒体Mが載置される給送トレイ22には、一対のエッジガイド22Aが設けられている。給送トレイ22に載置された媒体Mは、一対のエッジガイド22Aで挟むことで、幅方向Xに位置決めされる。給送部21は、駆動源として給送モーター35を備える。給送部21は、給送トレイ22に載置された媒体Mを搬送経路に沿って第1搬送方向Y1に給送する。第1搬送方向Y1は、媒体Mに記録するときの搬送方向である。
【0022】
図3に示すように、記録装置11は、給送部21から給送された媒体Mを搬送方向Y0に搬送する搬送部40を備える。また、記録装置11は、記録部23が記録する部分の媒体Mを支持する支持部材50を備える。支持部材50は、幅方向Xに延びる長尺状の部材であり、最大幅の媒体Mの幅方向全域を支持可能な長さを有する。記録部23は、搬送された媒体Mのうち支持部材50に支持された部分に記録を行う。
【0023】
記録装置11は、記録部23と支持部材50との間のギャップを調整するギャップ調整機構37を備える。ギャップ調整機構37は、記録ヘッド25の高さ位置を変化させる機構である。ギャップ調整機構37は、記録ヘッド25の高さ位置を変化させることによってギャップを調整する。制御部100は、ギャップ調整機構37を制御し、媒体Mの種類に応じたギャップに調整する。媒体Mが例えば用紙である場合、媒体Mの種類には、普通紙(薄紙、厚紙)、写真紙、封筒、CDR(CD-Recordable)等のディスクなどがある。なお、普通紙等の媒体Mは、剛性の小さい第1媒体であり、写真紙等の媒体Mは、第1媒体よりも剛性の大きい第2媒体である。
【0024】
図3に二点鎖線で示すキャリッジ24は、記録が行われないときの待機位置であるホーム位置HPに位置する。支持部材50に対して幅方向Xの隣の位置には、ホーム位置HPにあるキャリッジ24と対向する下方位置に、記録ヘッド25のメンテナンスを行うメンテナンス装置60が配置されている。メンテナンス装置60は、キャリッジ24がホーム位置HPにあるときの記録ヘッド25をキャッピングするキャップ61と、記録ヘッド25のノズル面を払拭するワイパー62とを備える。記録ヘッド25がキャップ61によりキャッピングされることで、記録ヘッド25のノズル内のインク等の液体の増粘や乾燥が抑制される。ノズル内の液体が増粘したり、ノズル内の液体に気泡があったり、ノズルが紙粉等の異物により塞がれたりした場合、ノズルの目詰まりによってノズルから液体を正常に吐出できない吐出不良が発生する。
【0025】
メンテナンス装置60は、この種の吐出不良を解消または予防するために、記録ヘッド25のノズルをクリーニングする。メンテナンス装置60は、キャップ61と連通する吸引ポンプ63を備える。メンテナンス装置60は、キャップ61が記録ヘッド25のノズル面にノズルを囲む状態で接触するキャッピング状態の下で、吸引ポンプ63を駆動する。吸引ポンプ63が駆動されると、ノズル面とキャップ61との間の閉空間に導入された負圧により、ノズルから液体が強制的に吸引排出される。ノズルから増粘した液体、気泡、紙粉等の異物が強制的に吸引排出されることで、ノズルは吐出不良から回復する。
【0026】
また、記録部は、媒体Mに記録する記録動作の途中に定期的または不定期にホーム位置HPに移動し、全てのノズルからキャップ61に向かって記録とは関係のない液滴を吐出する空吐出(「フラッシング」ともいう。)を行うことで、記録中の吐出不良を予防する。クリーニングおよび空吐出によってノズルから排出された液体(廃液)は、吸引ポンプ63の駆動により廃液チューブ64を通じて廃液タンク65に送られる。廃液タンク65は、搬送部40よりも搬送方向Y0の下流の領域の上方に位置する。ユーザーが、カバー13を開けると、廃液タンク65は手前側に位置するので、ユーザーは記録装置11の前側から廃液タンク65の交換が可能となっている。
【0027】
図4~
図6に示すように、搬送部40は、搬送方向Y0において支持部材50を挟む両側のうち上流側の位置に配置された搬送ローラー対41と、下流側の位置に配置された排出ローラー対42とを備える。
図5、
図6に示すように、搬送ローラー対41は、搬送駆動ローラー410と従動ローラー43とで対をなす構成である。詳しくは、搬送ローラー対41は、1本の搬送駆動ローラー410と、搬送駆動ローラー410と当接する複数の従動ローラー43との対よりなる。排出ローラー対42は、複数の排出駆動ローラー420(
図6参照)と、複数の従動ローラー44との対よりなる。従動ローラー44は、例えば、その外周に沿って複数の歯を有するスターホイールである。
【0028】
図4、
図5に示すように、搬送部40は、給送された媒体Mの裏面を支持する板状の媒体ガイド部材45と、媒体ガイド部材45の上方に配置される媒体ガイド機構46とを備える。
図5に示すように、媒体ガイド機構46は、搬送経路に沿って媒体Mを案内する回動可能な回動部材の一例としてのガイド部材47と、搬送方向Y0においてガイド部材47の下流端部に支持される複数の従動ローラー43と、従動ローラー43が搬送駆動ローラー410に近づく方向にガイド部材47を付勢する付勢部材48とを有する。
【0029】
図4に示すように、記録装置11は、搬送部40の駆動源である搬送モーター71と、搬送モーター71の動力を駆動ローラー410,420(
図6参照)に伝達する動力伝達機構72とを備える。動力伝達機構72は、搬送モーター71の動力を搬送駆動ローラー410に伝達する歯車列と、搬送駆動ローラー410の回転を排出駆動ローラー420に伝達するタイミングベルト等を含む。記録装置11には、搬送駆動ローラー410の回転を検出するロータリーエンコーダー74が設けられている。ロータリーエンコーダー74は、搬送駆動ローラー410の回転軸の端部に固定された回転スケール741と、回転スケール741の回転を検出する光学センサー742とを備える。ロータリーエンコーダー74は、搬送駆動ローラー410の回転量と比例する数のパルスを含むパルス信号を出力する。
【0030】
図4に示すように、スタッカー27は、四角板状の載置部271を有する。スタッカー27は、
図4に示す退避位置と、退避位置から搬送方向Y0の下流へスライドした受け位置との間で移動する。スタッカー27の上方に排出口75が開口しており、記録後の媒体Mは排出口75から排出される。排出口75から排出された記録済みの媒体Mは、受け位置にあるスタッカー27上に載置される。スタッカー27は、電動モーターの動力で駆動される電動式でもよいし、ユーザーが手動でスライドさせる手動式でもよい。
【0031】
本実施形態の記録装置11は、CDR等のディスクのレーベル面に記録するレーベル記録機能を有する。ディスクを媒体Mとし、そのレーベル面に記録するレーベル記録を行うとき、ユーザーはディスクを板状の専用トレイ(図示略)にセットし、その専用トレイを排出口75から挿入する。専用トレイは搬送ローラー対41および排出ローラー対42にニップされる。これにより、ディスクは記録部23による記録が可能な記録位置に搬送される。記録部23はディスクのレーベル面に画像等を記録する。
【0032】
図5、
図6に示すように、支持部材50は、搬送方向Y0の上流端部に位置する第1支持部51と、第1支持部51よりも搬送方向Y0の下流に位置するメインの第2支持部52と、第2支持部52よりも搬送方向Y0の下流に位置する第3支持部53とを備える。第1支持部51は、搬送ローラー対41から送り出された直後の部分の媒体Mを支持する。第2支持部52は、記録ヘッド25の移動領域と対向する領域に配置されている。第2支持部52は、記録ヘッド25がノズルから吐出される液体が着弾する記録領域の媒体Mを支持する。第1支持部51は、記録領域よりも搬送方向Y0の上流に位置する領域の媒体Mを支持する。第3支持部53は、記録が済んだ部分の媒体Mを支持する。第1支持部51、第2支持部52および第3支持部53は、幅方向Xに最大幅の媒体Mが搬送される領域よりも少し広い領域に亘って延在している。
【0033】
第1支持部51は、幅方向Xに間隔をおいて配列された状態で上方に突出する複数の第1リブ54を備える。第2支持部52は、幅方向Xに間隔をおいて配列された状態で上方に突出する複数の第2リブ55を備える。第3支持部53は、幅方向Xに間隔をおいて配列された状態で上方に突出する複数の第3リブ56を備える。第1リブ54と第2リブ55と第3リブ56は、幅方向Xに同じ位置に配置されている。このため、第1リブ54に対して搬送方向Y0の下流位置には第2リブ55が位置し、第3リブ56に対して搬送方向Y0の上流位置には第2リブ55が位置する。第2リブ55は、第1リブ54が配列される範囲よりも外方となる両側に1つずつ余分に設けられている。このため、第2リブ55の数は、第1リブ54の数よりも2つ多い。なお、各リブ54~56の幅方向Xにおける位置は、規定サイズの媒体Mを支持するときに、その媒体Mの幅方向Xの両端部を支持可能に、媒体Mの幅サイズに応じて設定されている。このため、規定サイズであればどのサイズの媒体Mも、搬送過程で幅方向Xの両端部がリブ54~56によって支持される。
【0034】
図5、
図7に示すように、第2支持部52は、1つまたは2つの第2リブ55が突出する基板部57と、基板部57を囲むように配置された液体吸収体58とを備える。液体吸収体58は、多孔質の合成樹脂材料により形成されており、インク等の液体を吸収する。液体吸収体58は、規定サイズの媒体Mが第2リブ55に支持されたときに、記録ヘッド25のノズルから、媒体Mの幅方向Xの両端部から外側にはみ出して吐出された液体を吸収可能に、媒体Mの幅サイズに応じた位置に配置されている。このため、記録装置11が対応できる規定サイズの媒体Mに周縁部に余白を作らず画像を記録する縁無し記録を行うとき、媒体Mの幅方向Xの両端部からはみ出した液体は液体吸収体58によって吸収される。すなわち、縁無し記録時に媒体Mの外側にはみ出して吐出された液体が第2リブ55に付着することが回避される。このため、第2リブ55に付着した液体が搬送中の媒体Mの裏面に転写されて媒体Mを液体で汚すことが回避される。
【0035】
図5、
図7に示すように、ガイド部材47は、第1ガイド部材47Aと第2ガイド部材47Bとにより構成される。本例では、ガイド部材47は、2つの第1ガイド部材47Aと、2つの第2ガイド部材47Bとにより構成される。2つの第1ガイド部材47Aは幅方向Xの両側に配置され、2つの第2ガイド部材47Bは、幅方向Xに2つの第1ガイド部材47Aの間に2つ並んで配置されている。本実施形態では、2つの第1ガイド部材47Aは同じ部品であり、部品の共通化が図られている。なお、ガイド部材47を構成する部品数は、4つに限らず適宜な複数であってもよい。
【0036】
図5、
図7に示すように、ガイド部材47には、幅方向Xの中央部に媒体Mを検知する媒体検出器76が取り付けられている。媒体検出器76は、搬送ローラー対41よりも搬送方向Y0の上流位置で媒体Mの有無を検知する。
【0037】
図6、
図7に示すように、記録部23の移動領域と排出ローラー対42との間には、搬送経路の上方となる位置に、媒体Mが当たると回転する従動ローラー49が設けられている。従動ローラー49は、例えばスターホイールよりなる。
【0038】
図5~
図7に示すように、媒体ガイド機構46には、搬送中の媒体Mを支持部材50に向かって押さえる複数の押さえ部材81が、幅方向Xに間隔をおいた複数箇所に設けられている。
図6に示すように、押さえ部材81は、媒体Mを押さえるときに媒体Mと当接する当接部815と、当接部815よりも搬送方向Y0の上流に位置する回動支点である支軸471とを備える。押さえ部材81は、媒体ガイド機構46を構成するガイド部材47の支軸471に後端部が支持された状態で、支軸471を中心に所定角度範囲で回動可能に設けられる。押さえ部材81は、支持面54A(
図13参照)と交差する方向に移動可能に設けられる。押さえ部材81は、付勢機構82を構成する弾性部材83(
図9、
図12参照)によって、その先端部の当接部815が搬送中の媒体Mの表面を押さえることが可能な押さえ方向に付勢されている。本例の押さえ部材81が媒体Mを押さえる押さえ方向PDは、媒体Mを、支持部材50の支持面54Aに押さえ付けることが可能な方向である。
図6において、押さえ方向PDは、支軸471を中心とする当接部815の円弧軌跡のうち搬送ローラー対41のニップ点N1を含む水平面と交差する交点におけるこの円弧軌跡の接線と平行な方向である。なお、押さえ方向PDは、搬送中の媒体Mを支持面54Aに押し付けられる方向であればよい。
【0039】
図6に示すように、押さえ部材81は、その先端部に押さえる対象の媒体Mの表面に当接する当接部815を有する。本実施形態では、当接部815は、搬送方向Y0に記録ヘッド25よりも上流かつ搬送ローラー対41のニップ位置N1よりも下流となる範囲内に位置する。すなわち、押さえ部材81は、搬送ローラー対41のニップ位置N1よりも搬送方向Y0の下流において記録が行われる前となる部分の媒体Mの表面を押さえる。例えば、媒体Mのうち記録が行われた部分を押さえると、押さえ部材にインクが転写され、その転写されたインクが媒体Mに付着して画像や媒体Mを汚す原因になる。これに対して、本例では、押さえ部材81は媒体Mの記録前の部分の表面を押さえるので、押さえたときにインク等の汚れ押さえ部材81に転写されることがないので、媒体Mを汚す心配がない。このように、本実施形態の押さえ部材81は、当接部815を上記範囲内に位置させることが可能な位置に配置されることが、押さえ部材81の配置位置条件となる。
【0040】
図7、
図8に示すように、押さえ部材81は、支持部材50の幅方向Xにおいてリブ54間の凹領域59に、当接部815が対向する位置に配置されている。つまり、押さえ部材81は、幅方向Xに凹凸形状を有する支持部材50の凸部となるリブ54でない凹領域59と鉛直方向Z1に対向する位置に配置されるこのため、幅方向Xにおいて、隣合う2つの当接部815の間にリブ54が位置する。複数の押さえ部材81は、当接部815が幅方向Xにリブ54を挟む両側の位置で媒体Mの表面を押さえることで、搬送中の媒体Mを
図14に示す幅方向Xに波打つ波形状に湾曲させる。
【0041】
ここで、媒体Mを波形状に湾曲させるために必要な力は、媒体Mの自由端となる幅方向Xの側端部に近い部分では小さく済む。一方、媒体Mの自由端から離れた幅方向Xの中央部では、媒体Mを湾曲させるために大きな力が必要となる。換言すれば、媒体Mの幅方向Xの中央部は、押さえ部材81で湾曲させることが困難な位置である。また、
図7に示すように、ガイド部材47の幅方向Xの中央部には媒体検出器76が配設されている。この媒体検出器76の周辺領域は、押さえ部材81を配置するスペースを確保しにくい。そのため、本実施形態では、複数の押さえ部材81を、媒体ガイド機構46の幅方向Xの中央部を除く領域に配置している。
【0042】
複数の押さえ部材81のうち幅方向Xに最も外側に位置する一対の押さえ部材81は、
図14に示す最大幅の媒体Mの幅方向Xの両端部を押さえる。つまり、
図14に示すように、幅方向Xに最も外側に位置する一対の押さえ部材81は、幅方向Xにおいて、最大幅の媒体Mを支持する複数のリブ54のうち最も外側に位置するリブ54と、最大幅の媒体Mの側端Msとの間に位置する。押さえ部材81は、最大幅の媒体Mの幅方向Xの両端部を支持する最も外側のリブ54と、このリブ54の幅方向Xの内側の隣に位置するリブ54との間となる位置に少なくとも設けられている。
【0043】
図7、
図8に示すように、媒体ガイド機構46は、幅方向Xの両側に配置された一対の第1ガイド機構46Aと、幅方向Xの中央部に配置された第2ガイド機構46Bとを備える。ガイド部材47は、一対の第1ガイド機構46Aを構成する一対の第1ガイド部材47Aと、第2ガイド機構46Bを構成する第2ガイド部材47Bとで構成される。一対の第1ガイド部材47Aは、共通の部品よりなる。なお、ガイド部材47は媒体Mの搬送経路と対向する下面が、媒体Mを案内するガイド面47C(
図6、
図9参照)となっている。
【0044】
図9に示すように、1つの第1ガイド機構46Aは、幅方向Xに半分ずつの2つの領域GAが略同じ構造を有する。第1ガイド部材47Aは、幅方向Xに半分ずつの2つの領域GAが略同じ構造を有する。第1ガイド部材47Aの2つの領域GAには、搬送方向Y0の下流端部に回転可能に支持された2つの従動ローラー43と、搬送方向Y0の上流端部を鉛直方向Z1の上方に向かって引っ張ることで2つの従動ローラー43を鉛直方向Z1の下方に向かって付勢するコイルばねよりなる2つの付勢部材48とが組み付けられている。第1ガイド部材47Aの2つの領域GAには、2つの付勢機構82が、搬送方向Y0に従動ローラー43と付勢部材48との間に挟まれた位置に配置されている。また、第1ガイド部材47Aには、2つの従動ローラー43を幅方向Xの間に挟む位置に3つの押さえ部材81が支持されている。
【0045】
図10に示すように、付勢機構82は、搬送方向Y0に二分した両側の部分が180度回転対称の構造を有している。すなわち、付勢機構82は、第1ガイド部材47Aに形成された搬送方向Y0に面対称な構造の一対のばね支持部84と、一対のばね支持部84にそれぞれ装着された捻りコイルばねよりなる2つの弾性部材83とを備える。一対のばね支持部84は、搬送方向Y0に互いに反対の方向に向かって突出している。2つの弾性部材83は、それぞれのコイル部に2つのばね支持部84が挿入する状態で装着されている。2つの弾性部材83は、2本のばね脚のうち一方が第1ガイド部材47Aの所定箇所に掛止され、他方のそれぞれ1本ずつのばね脚83Aが幅方向Xに互いに反対方向に延びている。各ばね脚83Aの端部が付勢機構82を幅方向Xに挟む両側に位置する2つの押さえ部材81のアーム811を鉛直方向Z1の下方に押圧する状態でその凹部813に掛止されている。このような構造の第1ガイド機構46Aは、本実施形態では、幅方向Xに第2ガイド機構46Bを挟む両側に2つ配置されているが、大型の記録装置11では、3つ以上の複数個を幅方向Xに並べて配置することで、媒体ガイド機構46を構成する部品の共通化が図られる。また、1つの第1ガイド機構46Aは、略同じ構造の領域GAを3つ以上の複数有してもよい。
【0046】
図11に示すように、押さえ部材81は、長尺状のアーム811と、アーム811の先端部に突設された押圧ヘッド812とを備える。アーム811は、その上面の所定位置に、弾性部材83のばね脚83A(
図10参照)の端部が掛止される凹部813を有する。アーム811は、その後端部下面に支軸471が挿着される内周面が円弧面状に凹設された凹部814を有する。アーム811の長手方向において、ばね掛止用の凹部813は、支軸挿着用の凹部814よりも先端側に位置する。
図11に示す例では、ばね掛止用の凹部813は、アーム811の長手方向において支軸挿着用の凹部814と押圧ヘッド812との間のほぼ中央部に位置する。
【0047】
押圧ヘッド812は、アーム811の先端部に幅方向Xの両側に突設されたハンマーヘッド形状を有する。押圧ヘッド812は、その下端部が媒体Mを押さえるために媒体Mの表面に当接する当接部815を有する。つまり、押さえ部材81は、アーム811の先端部に媒体Mを押さえるときに媒体Mに当接する当接部815を有する。当接部815は、アーム811に対して幅方向Xに突設された幅広な形状を有する。当接部815を搬送方向Y0に挟んだ両側に押さえ方向PDに対して傾く斜面が形成され、この斜面によって、媒体Mの先端を当接部815へ誘導する第1誘導面816と、媒体Mの後端を当接部815へ誘導する第2誘導面817とが形成されている。なお、アーム811の下面には、ばね掛止用の凹部813と押圧ヘッド812との間の位置にストッパー部818が設けられている。ストッパー部818は、押さえ部材81が
図12に示す待機位置にあるとき、押圧ヘッド812のそれ以上の押さえ方向PDへの移動を規制可能にストッパー472に当接する。ストッパー472は、押さえ部材81のストッパー部818と対応するガイド部材47の部分に設けられている。
【0048】
図12に示すように、押さえ部材81は、支軸471を中心に回動可能に支持されている。押さえ部材81は、搬送方向Y0に搬送される媒体Mの先端を当接部815へ誘導する第1誘導面816と、搬送方向Y0の上流に向かって逆搬送される媒体Mの後端を当接部815へ誘導する第2誘導面817とを有する。媒体Mの先端が第1誘導面816に当たったときに第1誘導面816が媒体Mから受ける力の向きが押さえ部材81を上向きに回動させる向きになるように、押さえ部材81が
図12に示す待機位置にあるときの第1誘導面816の角度が設定されている。
【0049】
押さえ部材81が
図12に示す待機位置にあるとき、回動支点である支軸471と第2誘導面817上の所定位置の点とを結んだ仮想線SLよりも、媒体Mの後端が第2誘導面817に当たったときに第2誘導面817が媒体Mから受ける力F1の向きが上向きになるように、第2誘導面817の搬送方向Y0に対する傾き角が設定されている。つまり、押さえ部材81が
図12に示す待機位置にあるとき、媒体Mの後端が第2誘導面817に当たったときに第2誘導面817が媒体Mから受ける力F1の向きが、押さえ部材81を上向きに回動させられる向きになるように、第2誘導面817の傾き角が設定されている。
【0050】
図13に示すように、押さえ部材81が押さえ方向PDに最も移動した待機位置にあるとき、押さえ部材81の当接部815は、リブ54の支持面54Aに対して、搬送方向Y0にはオーバーラップ距離Lyだけ重なり、支持面54Aと直交する鉛直方向Z1にはオーバーラップ距離Lzだけ重なる。つまり、搬送方向Y0と交差する幅方向Xから見た
図13に示す側面視において、押さえ部材81が待機位置にあるとき、当接部815は、リブ54に対して支持面54Aの部分で搬送方向Y0および鉛直方向Z1の両方向でオーバーラップする部分を有している。このオーバーラップ条件を満たすため、例えば、普通紙など比較的剛性の小さい媒体Mは、押さえ部材81に当たる部分が押さえ部材81によって下方へ押さえられる。剛性が小さいので媒体Mが撓み、押さえ部材を持ち上げる力は比較的小さい。この結果、
図14に示すように、媒体Mは幅方向Xに波打つ波形状に湾曲する。この幅方向Xに波打つ波形状は、媒体Mに搬送方向Y0の張りを付与する。この張りによって媒体Mは先端部が浮き上がる方向に湾曲しにくくなる。つまり、媒体Mの先端部の浮き上がりが抑制される。
【0051】
<記録装置の電気的構成>
制御部100は、記録装置11に対する記録制御を含む各種の制御を行う。制御部100は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサーを備える。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。制御部100は、ソフトウェア処理を行うものに限られない。例えば、制御部100は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行う専用のハードウェア回路(たとえば特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。
【0052】
制御部100には、出力系として、給送モーター35、搬送モーター71、キャリッジモーター32、記録ヘッド25及びギャップ調整機構37が、電気的に接続されている。制御部100は、給送モーター35、搬送モーター71、キャリッジモーター32、記録ヘッド25及びギャップ調整機構37を制御する。また、制御部100には、入力系として、媒体検出器76、リニアエンコーダー34およびロータリーエンコーダー74が電気的に接続されている。
【0053】
リニアエンコーダー34は、図示しないリニアスケールと、キャリッジ24に設けられた光学センサーとを備え、光学センサーがリニアスケールを光学的に読み取ることで、キャリッジ24の移動量に比例する数のパルスを含む検出信号を出力する。また、ロータリーエンコーダー74は、搬送ローラー対41の回転量に比例する数のパルスを含む検出信号を出力する。
【0054】
制御部100は、給送部21により給送された媒体Mの先端が媒体検出器76により検知されたときの媒体Mの位置を原点位置とし、媒体Mの先端又は後端の位置に相当する値を計数する。制御部100は、媒体Mの先端又は後端の計数された位置を基に搬送系のモーター35,71を制御し、媒体Mの給送、搬送および排出を制御する。
【0055】
制御部100は、例えば、両面記録が指示された場合、まず媒体Mの第1面の記録を行うときは、搬送モーター71を正転駆動させて搬送ローラー対41および排出ローラー対42を正転駆動させることで、媒体Mを第1搬送方向Y1に搬送させる。この搬送中に媒体Mの第1面に画像等が記録される。制御部100は、媒体Mの第1面の記録を終えると、搬送モーター71を逆転駆動させて搬送ローラー対41および排出ローラー対42を逆転駆動させることで、媒体Mを第2搬送方向Y2に逆搬送させる。逆搬送された媒体Mは、不図示の反転経路を通って第1面と反対側の第2面が記録対象の記録面となる向きに反転され、反転の後の媒体Mが第1搬送方向Y1に再給送される。このように、両面記録が行われる場合、制御部100は、搬送モーター71を正転駆動させて媒体Mを第1搬送方向Y1に搬送して記録部23による第1面への記録を行わせ、第1面の記録終了後に搬送モーター71を逆転駆動させ、媒体Mを第2搬送方向Y2に逆搬送させることで反転させる。そして、第1搬送方向Y1へ再給送された媒体Mの第2面に記録部23による記録が行われる。両面記録がなされた媒体Mは、排出口75から排出され、スタッカー27に載置される。
【0056】
制御部100は、キャリッジ24がホーム位置HP側のエンド位置に接触して原点位置に達した時を原点とし、リニアエンコーダー34から入力する検出信号のパルスエッジの数を計数することで、キャリッジ24の原点位置を基準とする走査方向Xにおけるキャリッジ位置を取得する。制御部100は、キャリッジ位置の計数値を基にキャリッジモーター32を制御することにより、キャリッジ24の速度制御および位置制御を行う。
【0057】
制御部100は、現在のギャップをメモリーに記憶する。また、メモリーには、媒体種とギャップとの対応関係を示す参照データが記憶されている。制御部100は、記録データを受信すると、その記録データに含まれる媒体種情報を取得する。制御部100は、取得した媒体種情報を基に参照データを参照することで、設定すべきギャップを取得する。制御部100は、設定すべきギャップに調整するギャップ調整制御を行うときは、キャリッジ24を制御し、キャリッジ24にギャップ切替制御を行わせる。記録ヘッド25のノズル面25Aと、支持部材50のリブ54,55との間のギャップを目標ギャップに調整する。
【0058】
次に、記録装置11の作用について説明する。
例えば、両面記録が行われる場合、給送部21が給送した媒体Mは、
図6に示すように、搬送ローラー対41によって第1搬送方向Y1に搬送される。搬送ローラー対41を通過した媒体Mは、押さえ部材81の当接部815に当たり下方へ押さえられる。普通紙等の剛性の小さな媒体Mの先端は、
図13に示す第1誘導面816に沿って当接部815へ誘導される。剛性が小さい媒体Mは、幅方向Xに複数箇所で複数の押さえ部材81に押さえられる。複数の押さえ部材81は、幅方向Xにリブ54のない凹領域59に対応する位置に配置されているので、媒体Mは幅方向Xに間隔をおいた複数の箇所で押さえられる。
【0059】
図13に示すように、押さえ部材81の当接部815は、リブ54の支持面54Aに対して、搬送方向Y0にはオーバーラップ距離Lyだけ重なり、鉛直方向Z1にはオーバーラップ距離Lzだけ重なる。このため、例えば、普通紙等の剛性の小さい媒体Mは、押さえ部材81によって下方へ押さえられた部分が撓み、
図14に示すように、媒体Mは幅方向Xに波打つ波形状に湾曲する。この張りによって幅方向Xに波打つ波形状は、媒体Mに搬送方向Y0の張りを付与する。この張りによって、媒体Mは先端部が浮き上がり方向に湾曲しにくくなる。この結果、媒体Mの先端部の浮き上がりが抑制される。
【0060】
例えば、媒体Mの先端部が浮き上がると、その先端部が記録ヘッド25に接触する場合がある。媒体Mの先端部が記録ヘッド25のノズル面25Aに接触すると、媒体Mがインクで汚れる。また、媒体Mの先端部が浮き上がると、幅方向Xに移動中の記録ヘッド25が媒体Mの先端部と接触しこれが原因で媒体Mのジャムが発生する。これに対して、本実施形態では、媒体Mの先端部の浮き上がりが抑制されるので、媒体Mの先端部が記録ヘッド25のノズル面25Aに接触することに起因する媒体Mの汚れおよびジャムを回避できる。
【0061】
また、例えば、写真紙など比較的剛性の大きな媒体Mは、その先端が第1誘導面816に当たることで押圧ヘッド812を持ち上げる。この結果、押さえ部材81が弾性部材83の付勢力に抗して持ち上げられるので、剛性の大きな写真紙等の媒体Mの表面を傷付けない。この結果、写真紙に高精細な画像が記録される。
【0062】
一方、両面記録時は、第1面の記録が終わると、媒体Mは第2搬送方向Y2に逆搬送される。第2搬送方向Y2に搬送される媒体Mの後端は、
図13に示す第2誘導面817に当たる。例えば、普通紙など剛性の小さい媒体Mは、押さえ部材81に当たる部分が押さえ部材81によって下方へ押さえられる。剛性が小さいので媒体Mが撓み、押さえ部材81を持ち上げる力は比較的小さい。この結果、
図14に示すように、媒体Mは幅方向Xに波打つ波形状に湾曲する。この幅方向Xに波打つ波形状は、媒体Mに搬送方向Y0の張りを付与する。この張りによって媒体Mは後端部が浮き上がる方向に湾曲しにくくなる。つまり、媒体Mの後端部の浮き上がりが抑制される。
【0063】
例えば、写真紙など比較的剛性の大きな媒体Mは、その先端が第2誘導面817に当たることで、押さえ部材81が支軸471を中心に押圧ヘッド812を持ち上げる。この結果、第2搬送方向Y2へ逆搬送される媒体Mは押さえ部材81に引っ掛かることなくスムーズに逆搬送される。このとき、記録済みの記録面が傷付きにくい。
【0064】
そして、反転された媒体Mは、第1搬送方向Y1へ再給送される。第1面に記録されたときと同様に、例えば普通紙などの剛性の小さい媒体Mには押さえ部材81によって波形状が形成される。よって、第1面に記録するときと同様に媒体Mの先端部の浮き上がりが抑制される。また、例えば、写真紙などの剛性の大きな媒体Mについても、第1面の記録時と同様に押さえ部材81が持ち上げられることで、媒体Mの表面が傷付きにくい。よって、写真紙の第2面にも高精細な画像が記録される。
【0065】
上記第1実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)記録装置11は、記録部23が記録する部分の媒体Mを支持する支持面54Aを有する支持部材50と、記録部23の記録位置よりも搬送方向Y0の上流の位置で、支持部材50に向かって媒体Mを押さえる押さえ部材81とを備える。押さえ部材81が支持面54Aと交差する方向に移動可能に設けられる。よって、押さえ部材81が媒体Mを押さえることで、媒体Mの浮き上がりを抑制できるので、媒体Mの浮き上がりによる記録部23との接触を低減できる。また、媒体Mの記録位置よりも搬送方向Y0の上流の記録前の位置を押さえるので、記録された画像を傷付けない。また、押さえ部材81に記録用のインク等の汚れが転写されないので、押さえ部材81に転写された汚れが他の媒体Mに転写され、他の媒体Mが汚れることを回避できる。また、押さえ部材81は、支持面54Aと交差する方向に移動可能であるので、例えば、剛性の大きい媒体Mに対しては支持面54Aから離れる方向へ退避することで、媒体Mを傷めにくい。
【0066】
(2)押さえ部材81を支持部材50に近づく方向である押さえ方向PDに付勢する弾性部材83を備える。よって、支持面54Aと交差する方向に移動可能に設けられた押さえ部材81は、押さえ方向PDに付勢されているので、例えば、剛性の大きい媒体Mに対しては支持面54Aから離れる方向へ退避することで、媒体Mを傷めにくい。
【0067】
(3)搬送部40は、駆動ローラー410と従動ローラー43とで対をなす搬送ローラー対41を備える。従動ローラー43を搬送方向Y0の下流端部に支持する状態で回動可能に支持されたガイド部材47と、従動ローラー43を駆動ローラー410に近づく方向にガイド部材47を付勢する付勢部材48と、を備える。押さえ部材81は、ガイド部材47の搬送方向Y0の下流端部に弾性部材83により押さえ方向PDに付勢された状態で設けられている。よって、従動ローラー43を支持するガイド部材47を利用して押さえ部材81を支持部材50のリブ54と対応する位置に配置することができる。
【0068】
(4)押さえ部材81は、媒体Mを押さえるときに媒体Mと当接する当接部815と、搬送方向Y0に搬送される媒体Mの先端を当接部815へ誘導する第1誘導面816とを有する。よって、搬送方向Y0に搬送される媒体Mの先端部が浮き上がっても、その先端部は押さえ部材81の第1誘導面816に沿って当接部815へ誘導される。よって、媒体Mの先端部が浮き上がって記録部23と接触することを抑制できる。また、当接部815が、支持面54Aに対してノズル面25Aから離れる方向である鉛直方向Z1の下方に位置し鉛直方向Z1にリブ54とオーバーラップする構成では、当接部815がニップ位置N1よりもノズル面25Aよりも離れて位置する。この場合、普通紙等の剛性の小さな媒体Mの先端が第1誘導面816に沿って移動することで当接部815へ誘導され、媒体Mを波形状に湾曲させることができる。また、写真紙等の剛性の大きな媒体Mの先端が第1誘導面816に沿って移動することで当接部815を持ち上げるので、媒体Mが傷付きにくい。
【0069】
(5)押さえ部材81は、搬送方向Y0の上流に向かって逆搬送される媒体Mの後端を当接部815へ誘導する第2誘導面817を有する。よって、逆搬送される媒体Mの後端部が浮き上がっても、その後端部は押さえ部材81の第2誘導面817に沿って当接部815へ誘導される。よって、逆搬送される媒体Mの後端が浮き上がっても、媒体Mをスムーズに逆搬送させることができる。
【0070】
(6)第2誘導面817は、第2誘導面817上の所定位置と回動支点となる支軸471とを結ぶ仮想線SLよりも、所定位置において第2誘導面817と直交する上向きの方向が上側となる角度に設定されている。よって、逆搬送される剛性の大きい媒体Mの後端が第2誘導面817に沿って移動することで、押さえ部材81を持ち上げることができる。また、逆搬送される剛性の小さい媒体Mの後端が第2誘導面817に沿って移動することで、媒体Mの後端を当接部へ誘導することができる。よって、媒体Mをスムーズに逆搬送できる。また、当接部815よりも搬送方向Y0の下流の領域は、記録時の記録部23が位置し押さえ部材81の配置スペースを確保しにくい。押さえ部材81は、回動支点となる支軸471が、当接部815よりも搬送方向Y0の上流に位置する状態で配置されるので、押さえ部材81の配置スペースを確保し易い。
【0071】
(7)支持部材50は、幅方向Xに間隔をおいて位置する支持面54Aを端面に有する複数のリブ54と、複数のリブ54以外のリブ54よりも高さの低い領域である複数の凹領域59とを備える。押さえ部材81の当接部815は、支持部材50の凹領域59と対向する位置に配置されている。よって、押さえ部材81がリブ54と接触することを防止できる。例えば、リブ54がインク等で汚れていると、リブ54に接触した押さえ部材81に汚れが転写され、次に押さえ部材81から媒体Mに汚れが転写される。この種の原因で媒体Mが汚れることを防止できる。また、媒体Mをリブ54の支持面54Aよりも深く押さえることができる。例えば、媒体Mを波形状に湾曲させることができる。
【0072】
(8)押さえ部材81が押さえ方向PDに最も移動した位置にあるとき、当接部815は、リブ54の支持面54Aに対して、支持面54Aと直交する鉛直方向Z1と搬送方向Y0とでオーバーラップしている。よって、複数の押さえ部材81が凹領域59と対応する媒体Mの部分をリブ54の支持面54Aよりも深く押さえることで、媒体Mを波形状に湾曲させることができる。よって、搬送中の媒体Mが浮き上がることによる記録部23との接触を低減できる。
【0073】
(9)押さえ部材81は、最大幅の媒体Mの幅方向Xの両端部を支持する最も外側のリブ54と、このリブ54の幅方向X内側の隣に位置するリブ54との間となる位置に少なくとも設けられている。よって、媒体Mに波を形成しやすい端部に波を形成することができるので、媒体Mに過大な負荷を与えず適切な大きさの波を媒体Mに確実に形成し、搬送中の媒体Mの支持面からの浮き上がりを抑制できる。なお、媒体Mの幅方向X中央部は、媒体Mの幅方向X端部に比べて媒体Mを押さえたときに撓みにくい。媒体Mはその自由端である端部に近い部分を押さえた方が撓みやすく、波を形成しやすい。
【0074】
(10)押さえ部材81は、アーム811と、アーム811の先端部に媒体Mを押さえるときに媒体Mに当接する当接部815とを有する。当接部815は、幅方向Xに突設された幅広な形状を有する。よって、押さえ部材の当接部がアームと幅方向の寸法が同じである構成に比べ、媒体Mのより幅広い部分を押さえることができる。例えば、媒体Mに小さな折れや傷等の押圧痕を付けることなく、媒体Mを適切な波形状に湾曲させることができる。
【0075】
(11)例えば、押さえ部材81が媒体ガイド機構46と共に変位することができないフレーム等に固定されていると、厚い媒体Mほど押さえ部材81に押し込まれる押込量が深くなり、厚い媒体Mが傷付き易い。これに対して、押さえ部材81が媒体ガイド機構46に設けられているので、搬送ローラー対41がニップする媒体Mの厚さに応じて、媒体ガイド機構46が上方へ変位する。このため、押さえ部材81が媒体Mの表面を押し込む押込量が媒体Mの厚さに関係なく一定になる。よって、押さえ部材81がフレーム等に固定された構成に比べ、写真紙等の厚い媒体Mが傷付きにくい。
【0076】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、押さえ部材の先端部の押圧ヘッドの形状が、前記第1実施形態と異なる。以下、
図15~
図23を参照して第2実施形態について説明する。第2実施形態における押さえ部材81の配置位置は、基本的に前記第1実施形態と同様である。押さえ部材81は、支持部材50の支持面54Aと交差する方向に移動可能に設けられている。本例の押さえ部材81も、弾性部材83の付勢力により押さえ方向PDに付勢されている。本例の押さえ部材81も、前記第1実施形態と同様に回動することでその先端部の当接部815が媒体Mを押さえ方向PD(
図16参照)に押さえる。
【0077】
図15に示すように、複数の押さえ部材81は、支持部材50を構成する第1支持部51の上方位置に、押圧ヘッド812Nが位置する状態で、幅方向Xに間隔を空けて配置されている。押圧ヘッド812Nは、幅方向Xにリブ54間の凹領域59と対応して位置する。
【0078】
図15に示す押さえ部材81は、支軸471(
図12参照)を中心に回動可能に設けられている。押さえ部材81の当接部815は、その下側に押さえる対象の媒体Mが存在しないときは弾性部材83(
図9、
図10参照)の付勢力により下限まで回動し、リブ54の支持面54Aよりも低い高さ位置に位置する。このため、押さえ部材81は、支持面54Aに支持される媒体Mを、幅方向Xにおいてリブ54間の凹領域59の位置で上側から支持面54Aよりも下方の位置まで押さえる。
【0079】
本実施形態の押さえ部材81の特徴の1つは、CDRまたはDVD等のディスクLDにレーベル記録を行うときに、ディスクLDがセットされるディスク用トレイ28を、記録装置11にセットするときのディスク用トレイ28と押さえ部材81との干渉による課題を解決することにある。本例では、押さえ部材81の押圧ヘッド812Nの形状の工夫により、第1実施形態の押さえ部材81の押圧ヘッド812の形状である場合に発生する上記課題を解決する。
図15は、レーベル記録を行うときにディスクLDがセットされるディスク用トレイ28が、記録装置11の前方に開口する排出口75(
図4参照)の近傍から、スタッカー27の上面のガイドに沿って装置本体12内に挿入される過程の状態を示す。なお、ディスク用トレイ28の装置本体12への挿入は、ユーザーによる手動でもよいし、不図示のモーター等のアクチュエーターの動力により自動で行われてもよい。
【0080】
ディスク用トレイ28は、ディスクLDをセット可能な円形の被セット部281を有する四角板状の本体280と、本体280における装置本体12への挿入方向の先端部に延出する延出部282とを有する。
【0081】
図15に示すように、ディスクLDがセットされたディスク用トレイ28が装置本体12に挿入される過程で、延出部282が搬送部40を構成する搬送ローラー対41にニップされる。ディスク用トレイ28は、延出部282が搬送ローラー対41にニップされつつ第2搬送方向Y2に所定の記録開始位置まで挿入される。ディスク用トレイ28と共にディスクLDが所定の記録開始位置まで挿入されると、その記録開始位置からディスクLDへのレーベル面への記録が開始される。この記録中は、ディスク用トレイ28が、搬送ローラー対41および排出ローラー対42により第1搬送方向Y1に搬送される。この搬送過程で記録ヘッド25により液体が噴射されることでディスクLDのレーベル面に記録するレーベル記録が行われる。
【0082】
図15に示すように、ディスク用トレイ28の延出部282は、搬送ローラー対41にニップされ易い板状の形状を呈している。延出部282は、延出長さが異なる複数の延出部283~285等からなる。仮に、延出部282が幅方向Xの位置によらず延出長さが一定の単なる四角板状であるとすると、延出部282の幅全域が同時に搬送ローラー対41にニップされることになるため、複数の従動ローラー43を持ち上げる負荷が非常に大きくなる。この場合、ユーザーがディスク用トレイ28をセットのために押し込む負荷が大き過ぎたり、ディスク用トレイ28を自動挿入するときにその駆動源であるモーター等にかかる負荷が大き過ぎたりする。
【0083】
そのため、本実施形態では、ディスク用トレイ28の延出部282は、搬送ローラー対41に少しずつ段階的にニップされるように、延出長さの異なる複数の延出部283~285により構成される。すなわち、延出部282は、延出長の異なる、第1延出部283、第2延出部284および第3延出部285等を有する。第1延出部283は、幅方向Xの中央部に位置するとともに延出長さが最も長い。一対の第2延出部284は、第1延出部283の幅方向X両側に位置するとともに延出長さが第1延出部283よりも短い。一対の第3延出部285は、一対の第2延出部284の幅方向Xの外側に位置するとともに延出長さが第2延出部284よりも短い。なお、第1延出部283は、幅方向Xの異なる位置に複数の凹部を有している。複数の延出部283~285の幅方向Xの位置は、複数の従動ローラー43と概ね対応する位置となっている。ディスク用トレイ28が装置本体12に挿入されるときは、まず第1延出部283が搬送ローラー対41にニップされ、続いて第2延出部284が搬送ローラー対41にニップされ、最後に第3延出部285が搬送ローラー対41がニップされる。このため、ディスク用トレイ28が記録開始位置まで挿入されるときの負荷が軽減される。
【0084】
各延出部283~285は、段階的に延出長さが異なる形状を呈しているので、幅方向Xの外側端部に角部を有する。ディスク用トレイ28が挿入される過程で、第2延出部284の角部284Aが、2つの押さえ部材81の押圧ヘッド812Nと接触可能な位置にある。本例の角部284Aは、その外周面が円弧面状に形成されている。このため、2つの押さえ部材81の押圧ヘッド812Nが2つの角部284Aの円弧状の外周面に当たると、押圧ヘッド812Nは、ディスク用トレイ28の挿入が進むに連れて、角部284Aの外周面に沿って幅方向Xの外側に押される。
図15において、2つの角部284Aに対応する位置にある2つの押さえ部材81は、左側の一方が第1方向X1に押され、右側の他方が第2方向X2に押される。
【0085】
図16は、第2実施形態の押さえ部材81の全体を示す。
図16に示すように、第2実施形態の押さえ部材81は、アーム811と、アーム811の搬送方向Y0の先端部に突設された押圧ヘッド812Nとを有する。押圧ヘッド812Nは、前記第1実施形態の押圧ヘッド812と形状が異なる。押圧ヘッド812Nは、前記第1実施形態と同様に、アーム811に対して幅方向Xの両側に突出する突出形状を有する。押圧ヘッド812Nは、第1誘導面816と第2誘導面817とを有している。なお、アーム811は、第1実施形態と同様に、弾性部材83のばね脚83Aが掛止される凹部813と、支軸471が挿着される凹部814と、ストッパー472に当接可能なストッパー部818とを有する。
【0086】
図17に示すように、押圧ヘッド812は、幅中心WCに対して幅方向Xに対称な形状を有している。押圧ヘッド812Nは、前記第1実施形態の押圧ヘッド812にはない、第1面817A、第2面821および第3面822を有する。
【0087】
押さえ部材81は、第2誘導面817に対して上側に隣接する位置に、第2誘導面817と同じ向きに傾く第1面817Aを有する。本実施形態では、第1面817Aが水平に対してなす角度が、第2誘導面817が水平に対してなす角度よりも大きい。これは、第1面817Aの上端の位置をなるべく搬送方向Y0の上流へ離すことで、押圧ヘッド812Nと記録部23との接触を回避するために必要な間隔を確保するためである。なお、第1面817Aと第2誘導面817とを同じ傾き角にしてもよい。
【0088】
ここで、
図22に示す第1実施形態の押さえ部材81の押圧ヘッド812と、
図23に示す第2実施形態の押さえ部材81の押圧ヘッド812Nとを比較する。第1実施形態の押圧ヘッド812は、第2誘導面817の上側に隣接する上面812Aが、搬送方向Y0の下流ほど下降する向きに傾く斜面となっている。この上面812Aの水平に対する傾き角は、例えば、30度以上の所定角度である。このため、第2誘導面817の鉛直方向Z1の高さ寸法H1が、比較的短い。
【0089】
一方、
図23に示すように、第2実施形態の押さえ部材81の押圧ヘッド812Nの上面823が、ほぼ水平に延びている。上面823は、搬送方向Y0の下流ほど下降する向きに傾く斜面になっていてもよいが、その場合でも、上面823の水平に対する傾き角は、例えば、20度未満である。このため、第2誘導面817と上面823との間に、第2誘導面817の上側に隣接し、第2誘導面817と同じ向きに傾く面である第1面817Aが追加されている。この第1面817Aの追加により、第2誘導面817と第1面817Aとを合わせた誘導面の鉛直方向Z1の高さ寸法H2が、
図22における第2誘導面817の高さ寸法H1よりも長く確保されている。なお、押圧ヘッド812Nの上面823は、水平よりも上を向く傾きの面であってもよい。
【0090】
また、
図17に示すように、押さえ部材81は、押圧ヘッド812Nにおける幅方向Xに幅中心WCを挟んだ両側に一対の第2面821を有する。第2面821は、ディスク用トレイ28が搬送ローラー対41にニップされる延出部282の角部284Aに当たる高さ位置を含む高さの範囲に亘り形成され、搬送方向Y0の下流(第1搬送方向Y1)ほどかつ下方ほど、幅中心WCに近づく向きに傾く面である。
【0091】
さらに、
図17に示すように、押さえ部材81は、押圧ヘッド812Nにおける幅方向Xに幅中心WCを挟んだ両側の側面に、一対の第3面822を有する。第3面822は、第1誘導面816と幅方向Xに隣接し幅方向Xと交差する面である側面に位置し、媒体Mが搬送されるときの高さ位置を含む高さ範囲に亘り形成され、下方ほど押さえ部材81の幅中心WCに近づく向きに傾く面である。なお、第2面821と第3面822の形成位置を特定する「高さ位置を含む高さ範囲」とは、押さえ部材81が待機位置にあるときの状態を基準にして定められる。
【0092】
次に、上記のように構成された第2実施形態の押さえ部材81の作用について、第1実施形態の押さえ部材81と比較しながら説明する。
まず、ディスク用トレイ28を装置本体12に挿入するときの作用について説明する。
【0093】
図18に示すように、第1実施形態の押さえ部材81では、ディスク用トレイ28を第2搬送方向Y2に挿入する過程で、角部284Aの外周面が押圧ヘッド812の側面819に当たり、押圧ヘッド812が幅方向Xの力F2を受ける。このため、押さえ部材81にその回動方向と異なる無理な力が働く。
【0094】
一方、
図19に示すように、第2実施形態の押さえ部材81では、ディスク用トレイ28を第2搬送方向Y2に挿入する過程で、角部284Aの外周面が、押圧ヘッド812Nの第2面821に当たる。この結果、押圧ヘッド812Nは、第2面821に垂直な方向の力F3を受ける。この力F3によって押圧ヘッド812Nは上方へ逃げる。このため、第2実施形態の押さえ部材81には、その回動方向と異なる無理な力が働きにくい。
【0095】
次に、媒体Mに記録するときの作用について説明する。押さえ部材81は、媒体Mの側端Msが当たらない位置に位置設定されているが、媒体Mにスキューが発生すると、媒体Mの側端Msが、押さえ部材81の押圧ヘッド812の側面に当たる場合がある。特に、両面記録時は、表面の記録を終えた媒体Mが第2搬送方向Y2にスイッチバック搬送され、記録ヘッド25よりも上流位置で不図示のローラーに沿って反転した後、媒体Mは、裏面を上向きにして再給送される。この裏面を記録するときの媒体Mの再給送時は、表面を記録するときの媒体Mの給送時に比べ、媒体Mに大きなスキューが発生し易い。
【0096】
図20に示すように、第1実施形態の押さえ部材81では、媒体Mに記録するときに媒体Mがスキューすると、媒体Mの側端Msが幅方向Xに移動し、本体は当たらない位置にある押圧ヘッド812の側面819に当たる。押圧ヘッド812は、その側面819に幅方向X(
図20では第2方向X2)の力F4を受ける。このため、押さえ部材81にその回動方向と異なる無理な力が働く。また、媒体Mの側端Msが押圧ヘッド812の側面819に強く押されて変形する。
【0097】
一方、
図21に示すように、第2実施形態の押さえ部材81では、媒体Mに記録するときに媒体Mがスキューすると、媒体Mの側端Msが幅方向Xに移動する。このとき、押圧ヘッド812Nの第3面822は、記録中の媒体Mと同じ高さにあり、かつ下方ほど幅中心WCに近づく向きに傾く面になっているので、押圧ヘッド812Nは、媒体Mの側端Msから第3面822に垂直な方向の力F5を受ける。このため、押圧ヘッド812Nは上方へ逃げる。この結果、第2実施形態の押さえ部材81には、その回動方向と異なる無理な力が働きにくい。また、媒体Mの側端Msが変形することがない。
【0098】
次に、両面記録時に媒体Mがスイッチバック搬送されるときの作用について説明する。両面記録時に媒体Mの表面の記録が終わると、媒体Mの後端Mrは多くの場合、押さえ部材81の押圧ヘッド812よりも搬送方向Y0の下流に位置する。この状態から媒体Mを第2搬送方向Y2へ逆搬送されるスイッチバック搬送が開始される。この場合、媒体Mの後端Mrが、カールが原因で浮き上がる場合がある。
【0099】
図22に示すように、第1実施形態の押さえ部材81では、表面に記録された媒体Mが第2搬送方向Y2に逆搬送されるときに、媒体Mの後端Mrが、カールが原因で所定高さを超えて浮き上がると、押圧ヘッド812において第2誘導面817が形成されている高さ寸法が寸法H1しかないので、媒体Mの後端Mrが第2誘導面817の上側に当たる。この場合、媒体Mの後端Mrが第2誘導面817により下方へ誘導されなくなる。この結果、媒体Mの後端Mrが押さえ部材81の押圧ヘッド812に衝突したり、押圧ヘッド812の上側に乗り上げてしまったりする。この場合、媒体Mのジャムが発生する可能性がある。
【0100】
一方、
図23に示すように、第2実施形態の押さえ部材81では、両面記録において、表面に記録された媒体Mが第2搬送方向Y2に逆搬送されるときに、媒体Mの後端Mrが、カールが原因で所定高さを超えて浮き上がっても、媒体Mの後端Mrが第1面817Aに当たる。すなわち、押圧ヘッド812Nにおいて第2誘導面817と第1面817Aとを加えた高さ寸法H2が、寸法H1よりも大きいので、媒体Mの後端Mrは第1面817Aに当たる。そして、媒体Mの後端Mrは、第1面817Aに沿って第2誘導面817へ誘導され、さらに第2誘導面817から下方の当接部815へ誘導される。この結果、媒体Mは押圧ヘッド812の下側を通って搬送ローラー対41にニップされ、さらに搬送ローラー対41によって第2搬送方向Y2へ逆搬送される。そして、媒体Mは記録ヘッド25よりも上流の位置で不図示のローラーに沿って反転した後、裏面を上向きにする状態で搬送ローラー対41によって記録ヘッド25の走査域と対向する記録位置に向かって再給送される。よって、両面記録時に媒体Mの逆搬送に失敗することなく、両面記録を適切に行うことができる。
【0101】
よって、第2実施形態によれば、第1実施形態における効果(1)~(11)に加え、以下の効果(12)~(14)を得ることができる。
(12)押さえ部材81は、第2誘導面817に対して上側に隣接する位置に、第2誘導面817と同じ向きに傾く第1面817Aを有する。このため、両面記録時に表面の記録を終えた後、裏面の記録を行う前に、逆搬送される媒体Mの後端Mrが、カール等で第2誘導面817よりも高く浮き上がっても、第1面817Aに沿って第2誘導面817へ誘導された後、さらに第2誘導面817に沿って当接部815へ誘導される。よって、逆搬送される媒体Mの後端Mrがカール等で過度に浮き上がっても、媒体Mを押さえ部材81の下側を通る正規の経路で逆搬送させることができる。
【0102】
(13)レーベル記録の対象となるディスクLDがセットされたディスク用トレイ28が搬送方向Y0の下流から上流に向かって搬送部40により逆搬送されることで挿入される構成である。ディスク用トレイ28は搬送方向Y0の上流に向かって延出する延出部282を有する。押さえ部材81は、ディスク用トレイ28が搬送ローラー対41に挿入される延出部282に当たる高さ位置を含む高さの範囲に亘って形成され、搬送方向Y0の下流ほどかつ下方ほど押さえ部材81の幅中心WCに近づく向きに傾く第2面821を有する。このため、レーベル記録を行うためにディスク用トレイ28の延出部282が搬送ローラー対41にニップされる過程で、延出部282の角部284Aの外周面が押さえ部材81の第2面821に当たることで、押さえ部材81は上方へ逃げる。よって、押さえ部材81に無理な力が加わることを回避できる。
【0103】
(14)押さえ部材81の第1誘導面816と幅方向Xに隣接する側部には、媒体Mが搬送されるときの高さ位置を含む高さ範囲に亘って形成され、下方ほど押さえ部材81の幅中心WCに近づく向きに傾く第3面822を有する。このため、媒体Mのスキューにより幅方向Xに変位しながら搬送された媒体Mの側端Msが押さえ部材81の第3面822に接触する。この結果、押さえ部材81は上方へ逃げる。よって、押さえ部材81は媒体Mから無理な向きの力が加えられないうえ、媒体Mの側端Msの変形を抑制できる。
【0104】
なお、上記実施形態は以下に示す変更例のような形態に変更することもできる。さらに、上記実施形態および以下に示す変更例を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできるし、以下に示す変更例同士を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできる。
【0105】
・
図24に示すように、押さえ部材は、回動部材の一例であるガイド部材47の搬送方向Y0の下流端部に回動可能に設けられたフラップ91でもよい。フラップ91はガイド部材47の先端部に回動軸92を中心に回動可能に支持されている。フラップ91は先端部が当接部93となっている。本例のフラップ91は、例えば自重で鉛直方向Z1に垂下する
図24に実線で示す姿勢で待機する。フラップ91は、
図24に実線で示す待機位置から同図における時計回り方向にはそれ以上の回転が不能に規制されている。また、フラップ91は、
図24に実線で示す待機位置から同図における反時計回り方向への回動が許容される。押さえ部材の幅方向Xの配置位置条件、およびリブ54に対する当接部93のオーバーラップ条件は、前記実施形態と同様である。第1搬送方向Y1に搬送される媒体Mは、幅方向Xに複数箇所で複数のフラップ91の当接部93に押さえられ、幅方向Xに波打つ波形状に湾曲する。この結果、媒体Mの浮き上がりが抑制され、媒体Mのヘッド擦れに起因するインク汚れおよびジャムを回避できる。また、両面記録時に第2搬送方向Y2に逆搬送される媒体Mの後端がフラップ91を押して
図24に二点鎖線で示す退避位置を最大位置として同図の反時計回り方向に回動させるので、媒体Mを第2搬送方向Y2へ妨げなく搬送することができる。なお、第1搬送方向Y1へ搬送されるときに、普通紙等の剛性の小さな第1媒体はフラップ91を待機位置から押しても変位させることができず、写真紙等の剛性の大きな第2媒体はフラップ91を待機位置から押して変位させることができる強さの弾性部材(図示略)によって、フラップ91を
図24における反時計回り方向へ付勢してもよい。
【0106】
・
図25に示すように、押さえ部材81は、媒体Mを押さえる部分に回転可能なローラー95を備える構成でもよい。すなわち、押さえ部材81のアーム811の先端部に前記実施形態の押圧ヘッド812に替え、回転可能なローラー95を取り付ける。ローラー95は搬送方向Y0に搬送される媒体Mの表面との摩擦によって回転する。前記実施形態の押さえ部材81は当接部815が媒体Mの表面を摺動するため、媒体Mの表面が傷付き易い。これに対して、ローラー95が媒体Mの表面を転動するので、媒体Mの表面が傷付きにくい。ここで、
図25に示す押さえ部材81の幅方向Xの配置位置条件、およびリブ54に対するローラー95のオーバーラップ条件は、前記実施形態における当接部815と同様である。よって、媒体Mを幅方向Xに複数のローラー95で押さえ、媒体Mを傷付けることなく波形状に湾曲させることで、媒体Mの浮き上がりを抑制できる。なお、ローラー95に替えて、アーム811の先端部に転動可能に支持されるボールとしてもよい。
【0107】
・
図26に示すように、押さえ部材97が、媒体ガイド機構46を構成する回動部材の一例であるガイド部材47の搬送方向Y0の下流端部から延出する構成でもよい。詳しくは、押さえ部材97は、ガイド部材47の搬送方向Y0の下流端部から延出するアーム98と、アーム98の先端部に幅方向Xに突設された前記実施形態と同様の押圧ヘッド812を有する。押圧ヘッド812の鉛直方向Z1の下部には、アーム98の幅方向Xに突設された幅広な形状の当接部815(
図11参照)を有する。この構成によれば、従動ローラー43を支持するガイド部材47を利用し、押さえ部材81を支持部材50のリブ54と対応する位置に支持することができる。また、押さえ部材97をガイド部材47と一体に成形できる。また、押さえ部材97の移動は、ガイド部材47の回動機構が兼ねるうえ、押さえ部材97の押さえ方向への付勢力は、媒体ガイド機構46の付勢部材48によって与えられるので、弾性部材83が不要となり部品を低減できる。また、押さえ部材97をガイド部材47に組み付ける組付作業が不要である。よって、部品数の低減および押さえ部材97を含む媒体ガイド機構46の製造コストを低減できる。
【0108】
・前記実施形態及び
図24~
図26に示す変更例において、全ての凹領域59に対向する位置に、1つまたは複数の押さえ部材を設けてもよい。
・
図26において、押圧ヘッド812に替え、
図25に示すローラー95を設けてもよい。
【0109】
・押さえ部材81は、回動部材の一例であるガイド部材に設けられる構成に限定されず、例えば、フレームに支持されてもよい。この場合、押さえ部材81は、フレームに対して移動可能に支持される。また、押さえ部材81を押さえ方向に付勢する弾性部材83を設けてもよい。
【0110】
・押さえ部材81が待機位置にあるときの当接部815の高さ位置は、媒体Mが支持されるリブ54の支持面54Aよりも上方の位置でもよい。押さえ部材81の当接部815が、記録ヘッド25よりも支持部材50に近い側の位置にあればよい。この場合、媒体Mが記録ヘッド25に接触する位置まで浮き上がることを規制できる。
【0111】
・押さえ方向PDは、媒体Mを支持面54Aに押し付ける方向に限らず、搬送中の媒体Mの浮き上がりを押さえられる方向であってもよい。
・押さえ部材の配置位置は、当接部815が支持部材50と対向する位置に限定されない。例えば、搬送ローラー対41のニップ位置N1よりも搬送方向Y0の下流かつ記録ヘッド25よりも上流の範囲に支持部材が存在しない領域があれば、その領域に当接部815が対向する位置でもよい。
【0112】
・前記実施形態において、弾性部材83の付勢力を幅方向Xの中央部に近いものほど強くしてもよい。この構成によれば、媒体を幅方向Xの中央部付近も適切な波形状に湾曲させることができる。
【0113】
・押さえ部材81を制御部100により制御してもよい。例えば、剛性の大きな媒体Mについては、押さえ部材81を支持面54Aよりも上方の退避位置へ退避させてもよい。例えば、駆動源としての電動モーターの動力で押さえ部材81を駆動する。制御部100は、電動モーターを制御して押さえ部材81を退避位置と押さえ位置とに移動させる。制御部100は、印刷データに含まれる媒体種情報を取得し、押さえ部材を退避位置と押さえ位置とのうち媒体種情報に基づき特定される媒体種に応じた一方に移動させる。例えば、制御部100は、媒体種が写真紙であれば、押さえ部材81を退避位置に退避させる。この結果、押さえ部材が写真紙を擦らないので、写真紙が傷付きにくい。媒体種が普通紙であれば、押さえ部材81を押さえ位置に配置する。この結果、媒体Mの浮き上がりを抑制できる。
【0114】
・第1実施形態において、第1誘導面816を備え、第2誘導面817を備えない構成でもよい。例えば、両面記録時に媒体Mを逆搬送させる逆搬送経路が、記録時の搬送経路と別の経路である構成の記録装置11では、第1誘導面816のみ備えれば足りる。また、両面記録機能を有しない記録装置においては、第1誘導面816のみ備えれば足りる。ここで、逆搬送経路は、搬送経路よりも上方を経由する経路、または、搬送経路よりも下方を経由する経路が挙げられる。
【0115】
・第2実施形態において、一対の第2面821のうち一方を無くしてもよい。第2面821を延出部282の一方の角部284Aが当たる側の1つのみとしてもよいし、当たる角部284Aが一方のみの構成では第2面821は1つのみでもよい。
【0116】
・第2実施形態において、一対の第3面822のうち一方を無くしてもよい。第3面822を媒体Mの側端Msが当たる側の1つのみとしてもよいし、当たる側端Msが一方のみの構成では第3面822は1つのみでもよい。
【0117】
・第2実施形態において、押さえ部材81は、第1面817A、第2面821および第3面822のうち1つのみ備えた構成、2つのみ備えた構成でもよい。例えば、押さえ部材81は、第1面817Aのみ備えた構成でもよい。また、複数の押さえ部材81は、第1面817Aのみ有する押さえ部材81、第2面821のみ有する押さえ部材81、第3面822のみ有する押さえ部材81が混在していてもよい。
【0118】
・支持部材50はリブがない構成でもよい。この場合、待機位置にあるときの押さえ部材81の当接部815が、媒体Mが支持される支持面よりも上方かつ記録ヘッド25よりも下方に位置すればよい。
【0119】
・押さえ部材81は、幅方向Xに凹凸形状を有する支持部材50の凸部でない凹領域と鉛直方向Z1に対向する位置に配置されることに限定されない。押さえ部材81は、当接部815が支持部材50のリブ54と対向する位置に配置してもよい。
【0120】
・押さえ部材は1つでもよい。例えば、当接部815が支持面54Aよりも高い待機位置に配置される構成とし、押圧ヘッド812を幅方向Xに1本に連結した構成としてもよい。また、幅方向Xの中央部に1つの押さえ部材81を設けた構成でもよい。これらの構成でも、媒体Mの浮き上がりを抑制できる。
【0121】
・搬送部40は、ローラー搬送方式に替え、ベルト搬送方式でもよい。
・記録装置11は、記録部23が走査方向Xに往復移動するシリアルプリンターに限定されず、記録部23が主走査方向と副走査方向との2方向に移動可能なラテラル式プリンターでもよい。さらに、記録装置11は、ラインプリンターでもよい。
【0122】
・記録装置11は、読取ユニットを搭載する複合機でもよい。
・媒体Mは、用紙に限らず、可撓性のプラスチックフィルムや、布帛、不織布などであってもよいし、ラミネートでもよい。
【0123】
・記録装置11は、用紙等の媒体に印刷する記録装置に限定されず、布に印刷する捺染機でもよい。
・記録装置11は、インクジェット方式に限定されず、ワイヤインパクト式の記録装置、熱転写式の記録装置であってもよい。これらの記録装置においても、支持面から浮き上がった媒体と記録ヘッドとの接触を低減できる。
【0124】
・記録装置は、印刷用のプリンターに限定されない。例えば、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体を吐出し、媒体の一例である基板に電気配線パターン、又は、液晶、EL(エレクトロルミネッセンス)及び面発光などの各種の方式のディスプレイの画素を製造するものでもよい。
【0125】
前記実施形態および変更例から把握される技術思想を、その作用効果と共に以下に記載する。
(A)記録装置は、媒体を給送する給送部と、給送された前記媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送部が搬送する前記媒体に記録を行う記録部と、前記記録部が記録する部分の前記媒体を支持する支持面を有する支持部材と、前記記録部の記録位置よりも前記搬送方向の上流の位置で、前記支持部材に向かって前記媒体を押さえる押さえ部材と、を備え、前記押さえ部材が前記支持面と交差する方向に移動可能に設けられる。
【0126】
この構成によれば、押さえ部材が媒体を押さえることで、媒体の浮き上がりを抑制できるので、媒体の浮き上がりによる記録部との接触を低減できる。また、媒体の記録位置よりも搬送方向の上流の記録前の位置を押さえるので、記録された画像を傷付けない。また、押さえ部材に記録用のインク等の汚れが転写されないので、押さえ部材に転写された汚れが他の媒体に転写され、他の媒体が汚れることを回避できる。また、押さえ部材は、媒体の浮き上がり方向である支持面と交差する方向に移動可能であるので、例えば、剛性の大きい媒体に対しては支持面から離れる方向へ退避することで、媒体を傷めにくい。
【0127】
(B)上記記録装置は、前記押さえ部材を前記支持部材に近づく方向である押さえ方向に付勢する弾性部材を備えてもよい。
この構成によれば、支持面と交差する方向に移動可能に設けられた押さえ部材は、押さえ方向に付勢されているので、例えば、剛性の大きい媒体に対しては支持面から離れる方向へ退避することで、媒体を傷めにくい。
【0128】
(C)上記記録装置において、前記搬送部は、駆動ローラーと従動ローラーとで対をなす搬送ローラー対を備え、前記従動ローラーを前記搬送方向の下流端部に支持する状態で回動可能に支持された回動部材と、前記従動ローラーを前記駆動ローラーに近づく方向に前記回動部材を付勢する付勢部材と、を備え、前記押さえ部材は、前記回動部材の前記搬送方向の下流端部に前記弾性部材により前記押さえ方向に付勢された状態で設けられてもよい。
【0129】
この構成によれば、従動ローラーを支持する回動部材を利用して押さえ部材を支持部材のリブと対応する位置に配置することができる。
(D)上記記録装置は、前記押さえ部材は、前記媒体を押さえるときに当該媒体と当接する当接部と、前記搬送方向に搬送される前記媒体の先端を前記当接部へ誘導する第1誘導面と、を有してもよい。
【0130】
この構成によれば、搬送方向に搬送される媒体の先端部が浮き上がっても、その先端部は押さえ部材の第1誘導面に沿って当接部へ誘導される。よって、媒体の先端部が浮き上がって記録部と接触することを抑制できる。
【0131】
(E)上記記録装置において、前記押さえ部材は、前記搬送方向の上流に向かって逆搬送される前記媒体の後端を前記当接部へ誘導する第2誘導面を有してもよい。
この構成によれば、逆搬送される媒体の後端部が浮き上がっても、その後端部は押さえ部材の第2誘導面に沿って当接部へ誘導される。よって、逆搬送される媒体の後端が浮き上がっても、媒体をスムーズに逆搬送させることができる。
【0132】
(F)上記記録装置において、前記押さえ部材は、前記媒体を押さえるときに当該媒体と当接する当接部と、前記当接部よりも前記搬送方向の上流に位置する回動支点と、を備え、前記第2誘導面は、当該第2誘導面上の所定位置と前記回動支点とを結ぶ仮想線よりも、前記所定位置において前記第2誘導面と直交する上向きの方向が上側となる角度に設定されてもよい。
【0133】
この構成によれば、媒体が逆搬送されるときに、逆搬送される剛性の大きい媒体の後端が第2誘導面に沿って移動することで、押さえ部材を持ち上げることができる。また、逆搬送される剛性の小さい媒体Mの後端が第2誘導面に沿って移動することで、媒体の後端を当接部へ誘導することができる。よって、媒体Mをスムーズに逆搬送できる。
【0134】
(G)上記記録装置において、前記押さえ部材は、前記第2誘導面に対して上側に隣接する位置に、前記第2誘導面と同じ向きに傾く第1面を有してもよい。
この構成によれば、両面記録時に表面の記録を終えた後、裏面の記録を行う前に、逆搬送される媒体の後端が、カール等で第2誘導面よりも高く浮き上がっても、第2誘導面の上側に隣接する第1面に沿って第2誘導面へ誘導された後、さらに第2誘導面に沿って当接部へ誘導される。よって、逆搬送される媒体の後端がカール等で過度に浮き上がっても、媒体を押さえ部材の下側を通る正規の経路で逆搬送させることができる。
【0135】
(H)上記記録装置において、ディスクのレーベル面に記録するレーベル記録の対象となる前記ディスクがセットされるディスク用トレイが前記搬送方向の下流から上流に向かって前記搬送部により逆搬送される構成であり、前記ディスク用トレイは、前記搬送方向の上流に向かって延出する延出部を有し、前記押さえ部材は、前記ディスク用トレイが前記搬送部により逆搬送されるときに前記延出部に当たる高さ位置を含む高さの範囲に亘って形成され、前記搬送方向の下流ほどかつ下方ほど前記押さえ部材の幅中心に近づく向きに傾く第2面を有してもよい。
【0136】
この構成によれば、レーベル記録を行うために、ディスクがセットされたディスク用トレイを挿入するときに、そのディスク用トレイの延出部を搬送ローラー対にニップさせる過程で、延出部の角部が押さえ部材の第2面に当たることで、押さえ部材は上方へ逃げる。
【0137】
(I)上記記録装置において、前記押さえ部材の前記第1誘導面と幅方向に隣接する側部には、前記媒体が搬送されるときの高さ位置を含む高さ範囲に亘って形成され、下方ほど前記押さえ部材の幅中心に近づく向きに傾く第3面を有してもよい。
【0138】
この構成によれば、媒体のスキューにより幅方向に変位しながら搬送された媒体の側端が押さえ部材の第3面に接触する。この結果、押さえ部材は上方へ逃げる。よって、押さえ部材は媒体から無理な向きの力が加えられないうえ、媒体の側端の変形を抑制できる。
【0139】
(J)上記記録装置において、前記支持部材は、前記搬送方向と交差する幅方向に間隔をおいて位置する前記支持面を端面に有する複数のリブと、複数の前記リブ以外の当該リブよりも高さの低い領域である複数の凹領域とを備え、複数の前記押さえ部材は、前記媒体を押さえるときに当該媒体と当接する当接部を有し、前記当接部が前記支持部材の前記凹領域と対向する位置に配置されてもよい。
【0140】
この構成によれば、押さえ部材がリブと接触することを防止できる。例えば、リブがインク等で汚れていると、リブに接触した押さえ部材に汚れが転写され、次に押さえ部材から媒体に汚れが転写される。この種の原因で媒体が汚れることを防止できる。また、媒体をリブの支持面よりも深く押さえることが可能になる。例えば、媒体を波形状に湾曲させることができる。
【0141】
(K)上記記録装置において、前記支持部材は、前記支持面を端面に有する複数のリブを備え、前記押さえ部材が前記押さえ方向に最も移動した位置にあるとき、前記当接部は、前記リブの前記支持面に対して、前記支持面と直交する直交方向と前記搬送方向とでオーバーラップしてもよい。
【0142】
この構成によれば、複数の押さえ部材が支持部材のリブ以外の凹領域と対向するので、媒体を支持面よりも深く押さえることで、媒体を波形状に湾曲させることができる。よって、搬送中の媒体が浮き上がることによる記録部との接触を低減できる。
【0143】
(L)上記記録装置において、前記押さえ部材は、最大幅の媒体の前記幅方向の両端部を支持する最も外側のリブと、当該リブの前記幅方向の内側の隣に位置するリブとの間となる位置に少なくとも設けられてもよい。
【0144】
この構成によれば、媒体に波を形成しやすい端部に波を形成することができるので、媒体に過大な負荷を与えず適切な大きさの波を媒体に確実に形成し、搬送中の媒体の支持面からの浮き上がりを抑制できる。なお、媒体の幅方向中央部は、媒体の幅方向端部に比べて媒体を押さえたときに撓みにくい。媒体は自由端である端部に近い部分を押さえた方が撓みやすく、媒体を波形状に湾曲させやすい。
【0145】
(M)上記記録装置において、前記搬送部は、駆動ローラーと従動ローラーとで対をなす搬送ローラー対を備え、前記従動ローラーを前記搬送方向の下流端部に支持するとともに回動可能に支持された回動部材と、前記従動ローラーを前記駆動ローラーに近づく方向に前記回動部材を付勢する付勢部材と、を備え、前記押さえ部材は、前記回動部材の前記搬送方向の下流端部から延出してもよい。
【0146】
この構成によれば、従動ローラーを支持する回動部材を利用し、押さえ部材を支持部材のリブと対応する位置に支持することができる。また、押さえ部材の付勢力は付勢部材によって与えられるので、弾性部材が不要となり部品を低減できる。
【0147】
(N)上記記録装置において、前記押さえ部材は、アームと、前記アームの先端部に前記媒体を押さえるときに当該媒体に当接する当接部とを有し、前記当接部は、前記アームに対して前記搬送方向と交差する幅方向に突設された幅広な形状を有してもよい。
【0148】
この構成によれば、押さえ部材の当接部がアームに対して幅方向に突設されているので、押さえ部材の当接部がアームと幅方向の寸法が同じである構成に比べ、媒体のより幅広い部分を押さえることができる。例えば、媒体に小さな折れや傷等の押圧痕を付けることなく、媒体を適切な波形状に湾曲させることができる。
【0149】
(O)上記記録装置は、前記押さえ部材は、前記媒体を押さえる部分に回転可能なローラーを備えてもよい。
この構成によれば、媒体をローラーで押さえるので、媒体を傷付けにくい。
【0150】
(P)上記記録装置において、前記押さえ部材は、回動可能なフラップであってもよい。
この構成によれば、媒体はフラップに押さえられるうえ、媒体に強く押されるとフラップが回動するので、媒体を傷付けにくい。
【符号の説明】
【0151】
11…記録装置、12…装置本体、13…カバー、15…操作パネル、16…電源ボタン、17…液体供給源、18…収容部、18a…供給カバー、19…窓部、20…給送カバー、21…給送部、22…給送トレイ、22A…エッジガイド、23…記録部、24…キャリッジ、25…記録ヘッド、26…排出カバー、27…スタッカー、28…ディスク用トレイ、280…本体、281…被セット部、282…延出部、283…第1延出部、284…第2延出部、284A…角部、285…第3延出部、30…メインフレーム、30A…ガイドレール、31…移動機構、32…キャリッジモーター、33…タイミングベルト、34…リニアエンコーダー、37…ギャップ調整機構、40…搬送部、41…搬送ローラー対、410…駆動ローラーの一例としての搬送駆動ローラー、42…排出ローラー対、420…排出駆動ローラー、43…従動ローラー、44…従動ローラー、45…媒体ガイド部材、46…媒体ガイド機構、47…ガイド部材、471…支軸、48…付勢部材、50…支持部材、51…第1支持部、52…第2支持部、53…第3支持部、54…第1リブ、54A…支持面、55…第2リブ、56…第3リブ、57…基板部、58…液体吸収体、59…凹領域、60…メンテナンス装置、61…キャップ、62…ワイパー、63…吸引ポンプ、64…廃液チューブ、65…廃液ボックス、71…搬送モーター、72…動力伝達機構、74…ロータリーエンコーダー、741…回転スケール、742…光学センサー、75…排出口、76…媒体検出器、81…押さえ部材、811…アーム、812…押圧ヘッド、812A…上面、812N…押圧ヘッド、813…凹部、814…凹部、815…当接部、816…第1誘導面、817…第2誘導面、817A…第1面、818…ストッパー部、819…側面、821…第2面、822…第3面、823…上面、82…付勢機構、83…弾性部材、91…押さえ部材の一例としてのフラップ、92…回動軸、93…当接部、95…押さえ部材の一例を構成するローラー、97…押さえ部材、98…アーム、100…制御部、M…媒体、Ms…側端、Mr…後端、HP…ホーム位置、AH…反ホーム位置、Y0…搬送方向、Y1…第1搬送方向、Y2…第2搬送方向、Z1…鉛直方向、PD…押さえ方向、N1…ニップ位置、GA…領域、LD…ディスク、SL…仮想線、F1,F2,F3,F4,F5…力、H1…高さ寸法、H2…高さ寸法、WC…幅中心。