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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】遠心圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20240806BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
F04D29/44 P
F04D29/44 W
F04D29/66 N
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020132431
(22)【出願日】2020-08-04
(65)【公開番号】P2022029203
(43)【公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】時枝 克典
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-125633(JP,U)
【文献】国際公開第2018/198879(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/198808(WO,A1)
【文献】特開2013-224584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/00-13/16、
17/00-19/02、
21/00-25/16、
29/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラが配される主流路と、
前記主流路より前記インペラの径方向外側に形成される副流路と、
前記主流路と前記副流路とを連通させる上流連通路と、
前記上流連通路よりも前記インペラに近接し、前記インペラと径方向に対向する内側開口から前記副流路に開口する外側開口まで延在する下流連通路と、
前記インペラの径方向において前記主流路および前記副流路を区画し、前記インペラの回転軸方向において前記上流連通路および前記下流連通路を区画し、前記下流連通路の上流側の内壁面が形成される区画壁と、
前記下流連通路の下流側の内壁面が形成される下流壁と、
前記副流路のうち、前記下流壁に設けられた第1リブと、
前記副流路のうち、前記区画壁に設けられ、前記第1リブと前記インペラの回転軸方向に対向する第2リブと、
前記下流連通路の前記内側開口の上流端と前記外側開口の上流端を直線的に結ぶ上流側仮想面と、前記内側開口の下流端と前記外側開口の下流端を直線的に結ぶ下流側仮想面との間の領域に位置し、前記下流連通路に面する突出部と、
を備え
前記第1リブは、前記下流連通路の前記外側開口の径方向外側の位置において、前記第2リブと連結される、
遠心圧縮機。
【請求項2】
前記下流連通路は、
前記外側開口から前記径方向に沿って径方向内側に延在する第1延在部と、
前記内側開口から前記径方向に沿って径方向外側に延在する第2延在部と、
前記第1延在部と前記第2延在部を接続し、前記インペラの回転軸方向に延在する第3延在部と、
を有する、請求項に記載の遠心圧縮機。
【請求項3】
前記下流連通路は、前記インペラの回転中心軸を含む断面がS字形状である、請求項に記載の遠心圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠心圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遠心圧縮機は、コンプレッサハウジングを備える。特許文献1には、主流路と、副流路とが形成されたコンプレッサハウジングについて開示がある。主流路には、コンプレッサインペラが配される。副流路は、主流路よりも径方向外側に配される。主流路と副流路は、上流スリットおよび下流スリットを介して連通する。副流路には、主流路と副流路との間を区画する区画壁を保持するためのリブが配される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-180198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンプレッサインペラに流入する流体(例えば,空気)の流量によって、コンプレッサインペラにより圧縮された圧縮流体が、下流スリットを介して主流路と副流路を流出入する。ここで、副流路にリブが配される場合、圧縮流体とリブが干渉し、下流スリットと主流路の連通部で周方向に圧力が高い領域と低い領域が形成される。このような周方向に圧力の高低差がある流れ場は、コンプレッサインペラを励起する加振力を生み、この中を通過するコンプレッサインペラは共振し、振動応力が生じる場合がある。
【0005】
本開示の目的は、コンプレッサインペラに生じる振動応力を低減可能な遠心圧縮機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る遠心圧縮機は、インペラが配される主流路と、主流路よりインペラの径方向外側に形成される副流路と、主流路と副流路とを連通させる上流連通路と、上流連通路よりもインペラに近接し、インペラと径方向に対向する内側開口から副流路に開口する外側開口まで延在する下流連通路と、インペラの径方向において主流路および副流路を区画し、インペラの回転軸方向において上流連通路および下流連通路を区画し、下流連通路の上流側の内壁面が形成される区画壁と、下流連通路の下流側の内壁面が形成される下流壁と、副流路のうち、下流壁に設けられた第1リブと、副流路のうち、区画壁に設けられ、第1リブとインペラの回転軸方向に対向する第2リブと、下流連通路の内側開口の上流端と外側開口の上流端を直線的に結ぶ上流側仮想面と、内側開口の下流端と外側開口の下流端を直線的に結ぶ下流側仮想面との間の領域に位置し、下流連通路に面する突出部と、を備え、第1リブは、下流連通路の外側開口の径方向外側の位置において、第2リブと連結される。
【0008】
下流連通路は、外側開口から前記径方向に沿って径方向内側に延在する第1延在部と、内側開口から径方向に沿って径方向外側に延在する第2延在部と、第1延在部と第2延在部を接続し、インペラの回転軸方向に延在する第3延在部と、を有してもよい。
【0009】
下流連通路は、インペラの回転中心軸を含む断面がS字形状であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、コンプレッサインペラに生じる振動応力を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、過給機の概略断面図である。
図2図2は、図1の破線部分の抽出図である。
図3図3は、第1変形例の下流連通路を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、過給機TCの概略断面図である。図1に示す矢印L方向を過給機TCの左側として説明する。図1に示す矢印R方向を過給機TCの右側として説明する。図1に示すように、過給機TCは、過給機本体1を備える。
【0014】
過給機本体1は、ベアリングハウジング3と、タービンハウジング5と、コンプレッサハウジング7とを備える。ベアリングハウジング3の左側には、締結ボルト9によってタービンハウジング5が連結される。ベアリングハウジング3の右側には、締結ボルト11によってコンプレッサハウジング7が連結される。
【0015】
本実施形態の過給機TCは、タービンTと、遠心圧縮機Cとを備える。タービンTは、ベアリングハウジング3およびタービンハウジング5を含む。遠心圧縮機Cは、ベアリングハウジング3およびコンプレッサハウジング7を含む。以下では、遠心圧縮機Cの一例として、過給機TCについて説明する。ただし、遠心圧縮機Cは、過給機TCに限られない。遠心圧縮機Cは、過給機TC以外の装置に組み込まれてもよいし、単体であってもよい。
【0016】
ベアリングハウジング3には、軸受孔3aが形成されている。軸受孔3aは、過給機TCの左右方向に貫通する。軸受孔3aには、軸受13が設けられる。図1では、軸受13の一例としてフルフローティング軸受を示す。ただし、軸受13は、セミフローティング軸受や転がり軸受など、他のラジアル軸受であってもよい。軸受13によって、シャフト15が回転自在に軸支されている。シャフト15の左端部には、タービンインペラ17が設けられる。タービンインペラ17は、タービンハウジング5内に回転自在に収容される。シャフト15の右端部には、コンプレッサインペラ(インペラ)19が設けられる。コンプレッサインペラ19は、コンプレッサハウジング7内に回転自在に収容される。
【0017】
コンプレッサハウジング7には、ハウジング穴7aが形成される。ハウジング穴7aは、過給機TCの右側に開口する。ハウジング穴7aには、取付部材21が接続される。コンプレッサハウジング7および取付部材21の内部には、主流路23が形成される。主流路23は、過給機TCの右側に開口する。主流路23は、コンプレッサインペラ19の回転軸方向(以下、単に回転軸方向と称す)に延在する。主流路23は、不図示のエアクリーナに接続される。コンプレッサインペラ19は、主流路23に配される。
【0018】
コンプレッサハウジング7は、ハウジング本体7bを含む。ハウジング本体7bには、第1取付部材(下流壁)50および第2取付部材(区画壁)140(図2参照)が取り付けられる。第1取付部材50は、ハウジング本体7bと別部材で構成される。第2取付部材140は、第1取付部材50およびハウジング本体7bと別部材で構成される。第2取付部材140の詳細は、後述する。第1取付部材50は、ハウジング本体7bの径方向内側に配される。第1取付部材50は、コンプレッサインペラ19と径方向に対向するシュラウド部を含む。第1取付部材50は、主流路23の一部を形成する。第1取付部材50は、ハウジング本体7bに締結部材52により連結(締結)される。締結部材52は、例えば、ボルトである。ただし、これに限定されず、第1取付部材50は、例えば、接着剤によりハウジング本体7bに連結されてもよいし、溶接によりハウジング本体7bに連結されてもよい。
【0019】
ベアリングハウジング3とコンプレッサハウジング7の間には、ディフューザ流路25が形成される。ディフューザ流路25は、ベアリングハウジング3とコンプレッサハウジング7の回転軸方向における対向面によって形成される。ディフューザ流路25は、シャフト15の径方向内側から外側に向けて環状に形成されている。ディフューザ流路25は、シャフト15の径方向内側において主流路23に連通している。ディフューザ流路25は、コンプレッサインペラ19を流通した空気を昇圧する。
【0020】
コンプレッサハウジング7には、コンプレッサスクロール流路27が形成される。コンプレッサスクロール流路27は、環状に形成される。コンプレッサスクロール流路27は、例えばディフューザ流路25よりもシャフト15の径方向外側に位置する。コンプレッサスクロール流路27は、不図示のエンジンの吸気口およびディフューザ流路25と連通している。コンプレッサインペラ19が回転すると、主流路23からコンプレッサハウジング7内に流体(例えば、空気)が吸気される。吸気された流体は、コンプレッサインペラ19の翼間を流通する過程において、加圧加速される。加圧加速された流体は、ディフューザ流路25およびコンプレッサスクロール流路27で昇圧される。昇圧された流体(圧縮流体)は、エンジンの吸気口に導かれる。
【0021】
タービンハウジング5には、吐出口29が形成されている。吐出口29は、過給機TCの左側に開口する。吐出口29は、不図示の排気ガス浄化装置に接続される。また、タービンハウジング5には、連通路31と、タービンスクロール流路33とが形成される。連通路31は、タービンインペラ17よりも径方向外側に位置する。連通路31は、タービンインペラ17を介してタービンスクロール流路33と吐出口29とを連通させる。
【0022】
タービンスクロール流路33は、環状に形成される。タービンスクロール流路33は、例えば連通路31よりもタービンインペラ17の径方向外側に位置する。タービンスクロール流路33は、不図示のガス流入口と連通する。ガス流入口には、不図示のエンジンの排気マニホールドから排出される排気ガスが導かれる。ガス流入口からタービンスクロール流路33に導かれた排気ガスは、連通路31およびタービンインペラ17の翼間を介して吐出口29に導かれる。吐出口29に導かれた排気ガスは、その流通過程においてタービンインペラ17を回転させる。
【0023】
タービンインペラ17の回転力は、シャフト15を介してコンプレッサインペラ19に伝達される。上記のとおりに、空気は、コンプレッサインペラ19の回転力によって昇圧されて、エンジンの吸気口に導かれる。
【0024】
図2は、図1の破線部分の抽出図である。図2に示すように、コンプレッサハウジング7には、循環流路100が形成される。循環流路100は、副流路110と、上流連通路120と、下流連通路130とを含む。以下、図2に示す矢印R方向を主流路23の吸気の上流側として説明する。図2に示す矢印L方向を主流路23の吸気の下流側として説明する。
【0025】
副流路110は、主流路23よりコンプレッサインペラ19の径方向外側に形成される。副流路110は、コンプレッサインペラ19の径方向(以下、単に径方向ともいう)において、主流路23から離隔して形成される。副流路110は、コンプレッサインペラ19の周方向(以下、単に周方向、回転方向ともいう)に延在し、大凡円筒形状に形成される。
【0026】
上流連通路120および下流連通路130は、副流路110と主流路23との間に形成される。上流連通路120および下流連通路130は、主流路23と副流路110とを連通させる。上流連通路120は、コンプレッサインペラ19の前縁端であるリーディングエッジLEよりも主流路23の吸気の上流側(図2中、右側)に位置する。上流連通路120は、大凡円環形状に形成される。
【0027】
下流連通路130は、上流連通路120よりもコンプレッサインペラ19に近接する側に位置する。下流連通路130は、コンプレッサインペラ19のリーディングエッジLEよりも吸気の下流側(図2中、左側)に位置する。下流連通路130は、コンプレッサインペラ19と径方向に対向して配される。下流連通路130は、大凡円環形状に形成される。下流連通路130の詳細な形状については後述する。
【0028】
主流路23、副流路110、上流連通路120、および、下流連通路130の間には、第2取付部材140が形成される。第2取付部材140は、径方向において、主流路23と副流路110の間に設けられる。第2取付部材140は、主流路23と副流路110とを区画する。第2取付部材140は、回転軸方向において、上流連通路120と下流連通路130の間に設けられる。第2取付部材140は、上流連通路120と下流連通路130とを区画する。第2取付部材140は、ハウジング本体7b、第1取付部材50と別体により構成される。ただし、これに限定されず、第2取付部材140は、ハウジング本体7bと一体に形成されてもよいし、第1取付部材50と一体に形成されてもよい。
【0029】
副流路110には、リブ150が設けられる。リブ150は、例えば板状に形成される。リブ150は、回転軸方向に延在する。本実施形態では、副流路110に複数のリブ150が設けられる。複数のリブ150は、互いに離隔して周方向に等間隔に配される。ただし、複数のリブ150は、周方向に不等間隔に配されてもよい。リブ150は、第1取付部材50と、第2取付部材140とに接続される。リブ150は、第1取付部材50から脱落しないように、第2取付部材140を支持(保持)する。
【0030】
リブ150は、第1リブ151と、第2リブ153とに分割される。第1リブ151は、第1取付部材50に設けられ、副流路110のうちコンプレッサインペラ19に近接する側の端部に配される。第2リブ153は、第2取付部材140に設けられ、第2取付部材140のうちコンプレッサインペラ19に近接する側の端部に配される。第2リブ153は、第1リブ151と回転軸方向に対向して配される。
【0031】
第2リブ153は、締結部材155により、第1リブ151に連結(締結)される。締結部材155は、例えば、ボルトである。ただし、これに限定されず、第2リブ153は、例えば、接着剤により第1リブ151に連結されてもよいし、溶接により第1リブ151に連結されてもよい。第1リブ151と第2リブ153との連結位置は、下流連通路130の外側開口130aの径方向外側に位置する。第1リブ151と第2リブ153が連結されることで、第2取付部材140が第1取付部材50に支持される。第1取付部材50は、ハウジング本体7bに支持される。
【0032】
下流連通路130は、外側開口130aと、内側開口130bとを含む。外側開口130aは、副流路110に開口する。外側開口130aは、副流路110に面し、下流連通路130と副流路110とを連通させる。
【0033】
内側開口130bは、主流路23に開口する。内側開口130bは、外側開口130aよりも径方向内側に位置する。内側開口130bは、コンプレッサインペラ19と径方向に対向する。内側開口130bは、主流路23に面し、下流連通路130と主流路23とを連通させる。
【0034】
本実施形態では、外側開口130aは、コンプレッサインペラ19の回転軸方向(以下、単に回転軸方向という)において、内側開口130bよりも吸気の上流側に位置する。ただし、これに限定されず、外側開口130aは、回転軸方向において、内側開口130bよりも吸気の下流側に位置してもよいし、内側開口130bと同じ位置であってもよい。
【0035】
内側開口130bは、吸気の上流側の端部に上流端P1を有し、吸気の下流側の端部に下流端P3を有する。外側開口130aは、吸気の上流側の端部に上流端P2を有し、吸気の下流側の端部に下流端P4を有する。以下、内側開口130bの上流端P1と外側開口130aの上流端P2を直線的に結ぶ面を、上流側仮想面S1とする。内側開口130bの下流端P3と外側開口130aの下流端P4を直線的に結ぶ面を、下流側仮想面S2とする。上述したように、下流連通路130は、周方向の全周に亘って延在する円環形状を有する。そのため、上流側仮想面S1および下流側仮想面S2は、円錐の側面のような面形状を有する。上流側仮想面S1と下流側仮想面S2との間の空間を、領域Rとする。
【0036】
本実施形態の下流連通路130は、内側開口130bから外側開口130aまで直線状に延在せず、2段階に折れ曲がった折れ曲がり形状を有する。具体的に、下流連通路130は、第1延在部131と、第2延在部133と、第3延在部135とを含む。第1延在部131は、外側開口130aから径方向に沿って径方向内側に延在する。第2延在部133は、内側開口130bから径方向に沿って径方向外側に延在する。第3延在部135は、第1延在部131と第2延在部133を接続し、回転軸方向に延在する。第1延在部131、第2延在部133、第3延在部135は、それぞれ上流側仮想面S1および下流側仮想面S2が延在する方向と異なる方向に延在している。
【0037】
下流連通路130は、第1取付部材50と第2取付部材140との間に形成される。第1取付部材50および第2取付部材140は、下流連通路130を挟んで回転軸方向に対向する対向面160a、160bを有する。対向面160aは、第1取付部材50に形成され、下流連通路130の下流側の内壁面を形成する。対向面160bは、第2取付部材140に形成され、下流連通路130上流側の内壁面を形成する。対向面160a、160bにより、下流連通路130が形成される。対向面160a、160bは、上流側仮想面S1と、下流側仮想面S2との間の領域Rに位置する突出部170、170を有する。突出部170、170は、下流連通路130に面する。突出部170は、下流側仮想面S2に対し、上流側仮想面S1に近接する側に位置する。突出部170は、上流側仮想面S1に対し、下流側仮想面S2に近接する側に位置する。
【0038】
次に、図2を参照して本実施形態の循環流路100の作用について説明する。コンプレッサインペラ19に流入する流体(空気)の流量が小さくなると、コンプレッサインペラ19により圧縮された圧縮流体が、下流連通路130を介して副流路110に流入し、上流連通路120から主流路23に還流する。こうして、コンプレッサインペラ19に流入する見かけ上の流量が増加するため、遠心圧縮機Cの小流量側の作動領域が拡大する。
【0039】
ここで、副流路110にリブ150が配される場合、圧縮流体とリブ150が干渉し、下流連通路130と主流路23の連通部で周方向に圧力が高い領域と低い領域が形成される。このような周方向に圧力の高低差がある流れ場は、コンプレッサインペラ19を励起する加振力を生み、この中を通過するコンプレッサインペラ19は共振し、損傷に至るような振動応力が生じる場合がある。
【0040】
そこで、本実施形態は、下流連通路130を形成する対向面160a、160bに、突出部170、170を備える。突出部170、170は、下流側仮想面S2から上流側仮想面S1に向かって、あるいは、上流側仮想面S1から下流側仮想面S2に向かって突出する。
【0041】
これにより、内側開口130bから外側開口130aに向かう直線経路(領域R)上には、障害物としての突出部170、170が配される。内側開口130bのいずれの点と、外側開口130aのいずれの点とを結ぶ直線上に突出部170、170の一部が配される。例えば、内側開口130bの下流端P3と外側開口130aの上流端P2とを結ぶ直線上に突出部170、170が配される。
【0042】
そのため、下流連通路130の内側開口130bから流入した圧縮流体は、外側開口130aおよびリブ150に向かって直線的に移動した場合、突出部170、170と衝突する。圧縮流体は、突出部170、170により移動方向が変更されながら、下流連通路130内を流通する。これにより、下流連通路130を流通する圧縮流体とリブ150との直接的(直線的)な干渉を避けることができる。圧縮流体とリブ150との直接的な干渉を避けることにより、圧縮流体とリブ150との干渉により生じる圧力(励振力)を低減することができる。その結果、コンプレッサインペラ19に生じる振動応力を低減することができる。
【0043】
また、分割された第2リブ153を第1リブ151に連結することで、第2取付部材140を第1取付部材50取り付けることができる。そのため、下流連通路130の吸気の下流側の面を形成する第1取付部材50の対向面160aの形状を容易に加工することができる。また、下流連通路130の吸気の上流側の面を形成する第2取付部材140の対向面160bの形状を容易に加工することができる。
【0044】
また、第1取付部材50は、ハウジング本体7bと別体で構成され、ハウジング本体7bに対し第1取付部材50が着脱可能に構成される。そのため、ハウジング本体7bと第1取付部材50が一体である場合よりも、下流連通路130の吸気の下流側の面を形成する第1取付部材50の対向面160aの形状を容易に加工することができる。
【0045】
(第1変形例)
図3は、第1変形例の下流連通路230を示す概略断面図である。上記実施形態の過給機TCと実質的に等しい構成要素については、同一符号を付して説明を省略する。第1変形例は、下流連通路230の形状が上記実施形態の下流連通路130と異なっている。
【0046】
図3に示すように、下流連通路230は、コンプレッサインペラ19の回転中心軸を含む断面がS字形状である。下流連通路230は、第1取付部材50と第2取付部材140との間に形成される。第1取付部材50および第2取付部材140は、下流連通路230を挟んで回転軸方向に対向する対向面260a、260bを有する。対向面260aは、第1取付部材50に形成され、下流連通路230の下流側の内壁面を形成する。対向面260bは、第2取付部材140に形成され、下流連通路230上流側の内壁面に形成される。対向面260a、260bは、曲面形状で構成される。
【0047】
対向面260a、260bにより、下流連通路230が形成される。対向面260a、260bは、上流側仮想面S1と、下流側仮想面S2との間の領域Rに位置する突出部270、270を有する。突出部270、270は、下流連通路230に面する。突出部270は、下流側仮想面S2に対し、上流側仮想面S1に近接する側に突出する曲面形状を有する。突出部270は、上流側仮想面S1に対し、下流側仮想面S2に近接する側に突出する曲面形状を有する。
【0048】
第1変形例によれば、上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。また、第1変形例では、対向面260a、260b(突出部270、270)が曲面形状を有することから、上記実施形態に比べ、圧縮流体が下流連通路230を流通する際の圧損を低減することができる。
【0049】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本開示は、遠心圧縮機Cに利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
C 遠心圧縮機
P1 上流端
P2 上流端
P3 下流端
P4 下流端
R 領域
S1 上流側仮想面
S2 下流側仮想面
7 コンプレッサハウジング
7b ハウジング本体
19 コンプレッサインペラ(インペラ)
23 主流路
50 第1取付部材(下流壁)
100 循環流路
110 副流路
120 上流連通路
130 下流連通路
130a 外側開口
130b 内側開口
131 第1延在部
133 第2延在部
135 第3延在部
140 第2取付部材(区画壁)
150 リブ
151 第1リブ
153 第2リブ
160a 対向面(内壁面)
160b 対向面(内壁面)
170 突出部
230 下流連通路
260a 対向面(内壁面)
260b 対向面(内壁面)
270 突出部
図1
図2
図3