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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】歯車装置およびロボット
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/32 20060101AFI20240806BHJP
   F16C 33/78 20060101ALI20240806BHJP
   F16C 19/36 20060101ALI20240806BHJP
   F16J 15/06 20060101ALI20240806BHJP
   B25J 17/02 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
F16H1/32 B
F16C33/78 Z
F16C19/36
F16J15/06 E
B25J17/02 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020136976
(22)【出願日】2020-08-14
(65)【公開番号】P2022032789
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】片岡 祐哉
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/189798(WO,A1)
【文献】特開2013-167267(JP,A)
【文献】特開2007-85530(JP,A)
【文献】特開2011-200027(JP,A)
【文献】実開平4-78328(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
F16C 33/78
F16C 19/36
F16J 15/06
B25J 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内歯歯車と、
前記内歯歯車に部分的に噛み合って前記内歯歯車に対して回転軸まわりに相対的に回転し、可撓性を有する外歯歯車と、
前記外歯歯車の内周面に接触し、前記内歯歯車と前記外歯歯車との噛み合い位置を前記回転軸まわりの周方向に移動させる波動発生器と、
外輪と内輪とコロとを有するクロスローラーベアリングと、
前記外輪に固定されている第1シールおよび第2シールと、
を有し、
前記外歯歯車は、
前記波動発生器が接触している第1端部、および、前記第1端部とは反対側の第2端部、を有する円筒状の胴部と、
前記第1端部の外周面に設けられている外歯と、
前記第2端部の外側に設けられている円環状のダイヤフラム部と、
前記ダイヤフラム部の外側に設けられているボス部と、
を備え、
前記第1シールは、前記ボス部と前記外輪との間に挟まれ、
前記第2シールは、前記コロの前記ボス部側に位置し、基端および先端を有し、前記基端は、前記第1シールを介して前記外輪に固定され、前記先端は、前記内輪の外周面に接触し
前記第2シールの前記先端の前記内輪の前記外周面に対する接触方向は、前記内輪の前記外周面の法線と平行であることを特徴とする歯車装置。
【請求項2】
前記回転軸の方向における前記第2シールの厚さは、前記第1シールより薄い請求項1に記載の歯車装置。
【請求項3】
前記回転軸の方向における前記第2シールの厚さは、0.1mm以上3.0mm以下である請求項2に記載の歯車装置。
【請求項4】
第1部材と、
前記第1部材に対して回動する第2部材と、
前記第1部材に対して前記第2部材を相対的に回動させる駆動力を伝達する請求項1ないしのいずれか1項に記載の歯車装置と、
前記歯車装置に向けて前記駆動力を出力する駆動源と、
を備えることを特徴とするロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車装置およびロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロボットアームを備えるロボットでは、例えば、ロボットアームの関節部をモーターにより駆動する。モーターの回転は、一般に、減速機を介して減速され、アームに伝達される。このような減速機として、例えば、特許文献1に記載された波動歯車装置が知られている。
【0003】
特許文献1に記載の波動歯車装置は、内歯が形成された環状の内歯歯車と、内歯に噛み合う外歯が形成された可撓性の外歯歯車と、外歯歯車の内側に配置される波動発生器と、を備えている。また、内歯歯車の半径方向の外側位置には、片側シールまたは両側シールが付いたクロスローラーベアリングが配置されている。このようなシール部材を設けることにより、他の部材にオイルシールを設ける必要がなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-16838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシール付きクロスローラーベアリングは、回転を妨げることがないように、シール性が低くなっている場合がある。このため、外歯歯車とクロスローラーベアリングとの隙間と、クロスローラーベアリングの内部と、の間でグリースが移動しやすくなる。そうすると、グリースを行き渡らせるべき範囲のうち、一部のみにグリースが偏りやすくなり、波動歯車装置の寿命が短くなる。このため、クロスローラーベアリング周辺のシール性を高めることで、グリースの移動量を抑制することが課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の適用例に係る歯車装置は、
内歯歯車と、
前記内歯歯車に部分的に噛み合って前記内歯歯車に対して回転軸まわりに相対的に回転し、可撓性を有する外歯歯車と、
前記外歯歯車の内周面に接触し、前記内歯歯車と前記外歯歯車との噛み合い位置を前記回転軸まわりの周方向に移動させる波動発生器と、
外輪と内輪とコロとを有するクロスローラーベアリングと、
前記外輪に固定されている第1シールおよび第2シールと、
を有し、
前記外歯歯車は、
前記波動発生器が接触している第1端部、および、前記第1端部とは反対側の第2端部、を有する円筒状の胴部と、
前記第1端部の外周面に設けられている外歯と、
前記第2端部の外側に設けられている円環状のダイヤフラム部と、
前記ダイヤフラム部の外側に設けられているボス部と、
を備え、
前記第1シールは、前記ボス部と前記外輪との間に挟まれ、
前記第2シールは、前記コロの前記ボス部側に位置し、基端および先端を有し、前記基端は、前記第1シールを介して前記外輪に固定され、前記先端は、前記内輪の外周面に接触し
前記第2シールの前記先端の前記内輪の前記外周面に対する接触方向は、前記内輪の前記外周面の法線と平行である
【0007】
本発明の適用例に係るロボットは、
第1部材と、
前記第1部材に対して回動する第2部材と、
前記第1部材に対して前記第2部材を相対的に回動させる駆動力を伝達する本発明の適用例に係る歯車装置と、
前記歯車装置に向けて前記駆動力を出力する駆動源と、
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るロボットの概略構成を示す側面図である。
図2】第1実施形態に係る歯車装置を示す分解斜視図である。
図3図2に示す歯車装置の縦断面図である。
図4図2に示す歯車装置の正面図である。
図5図3に示す歯車装置の部分拡大断面図である。
図6図5の部分拡大図である。
図7】第2実施形態に係る歯車装置を示す部分拡大断面図である。
図8】第3実施形態に係る歯車装置を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の歯車装置およびロボットを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0010】
1.ロボット
まず、ロボットについて簡単に説明する。
【0011】
図1は、実施形態に係るロボットの概略構成を示す側面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図1中の基台側を「基端側」、その反対側、すなわちエンドエフェクター側を「先端側」と言う。なお、本明細書における「方向」は、軸に沿う一方側の方向とその反対方向の双方を含む。
【0012】
図1に示すロボット100は、例えば、精密機器やこれを構成する部品の給材、除材、搬送および組立等の作業に用いられるロボットである。このロボット100は、図1に示すように、基台110と、第1アーム120と、第2アーム130と、作業ヘッド140と、エンドエフェクター150と、配管160と、を有している。以下、ロボット100の各部を順次簡単に説明する。なお、「回動」とは、ある中心点に対して一方向またはその反対方向を含めた双方向に動くこと、および、ある中心点に対して回転することを含むものである。
【0013】
基台110は、例えば、図示しない床面にボルト等によって固定されている。基台110の内部には、ロボット100を統括制御する制御装置190が設置されている。また、基台110には、基台110に対して鉛直方向に沿う第1軸J1まわりに回動可能に第1アーム120が連結している。すなわち、基台110に対して第1アーム120が相対的に回動している。
【0014】
基台110内には、第1駆動部170が設置されている。この第1駆動部170は、第1アーム120を回動させる駆動力を発生させるサーボモーター等の第1モーターであるモーター171(駆動源)と、モーター171の回転を減速する第1減速機である歯車装置1と、を有する。歯車装置1の入力軸は、モーター171の回転軸に連結され、歯車装置1の出力軸は、第1アーム120に連結されている。そのため、モーター171が駆動し、その駆動力が歯車装置1を介して第1アーム120に伝達されると、第1アーム120が第1軸J1まわりに水平面内で回動する。
【0015】
第1アーム120の先端部には、第1アーム120に対して第2軸J2まわりに回動可能な第2アーム130が連結している。第2アーム130内には、図示しないが、第2アーム130を回動させる駆動力を発生させる第2モーターと、第2モーターの回転を減速する第2減速機と、を有する第2駆動部が設置されている。そして、第2モーターの駆動力が第2減速機を介して第2アーム130に伝達されることにより、第2アーム130が第1アーム120に対して第2軸J2まわりに水平面内で回動する。
【0016】
第2アーム130の先端部には、作業ヘッド140が配置されている。作業ヘッド140は、第2アーム130の先端部に同軸的に配置された図示しないスプラインナットおよびボールネジナットに挿通されたスプラインシャフト141を有している。スプラインシャフト141は、第2アーム130に対して、図1に示す第3軸J3まわりに回転可能であり、かつ、上下方向に移動可能となっている。
【0017】
第2アーム130内には、図示しないが、回転モーターおよび昇降モーターが配置されている。回転モーターの駆動力は、図示しない駆動力伝達機構によってスプラインナットに伝達され、スプラインナットが正逆回転すると、スプラインシャフト141が鉛直方向に沿う第3軸J3まわりに正逆回転する。
【0018】
一方、昇降モーターの駆動力は、図示しない駆動力伝達機構によってボールネジナットに伝達され、ボールネジナットが正逆回転すると、スプラインシャフト141が上下に移動する。
【0019】
スプラインシャフト141の先端部には、エンドエフェクター150が連結されている。エンドエフェクター150としては、特に限定されず、例えば、被搬送物を把持するもの、被加工物を加工するもの等が挙げられる。
【0020】
第2アーム130内に配置された各電子部品、例えば第2モーター、回転モーター、昇降モーター等に接続される複数の配線は、第2アーム130と基台110とを連結する配管160内を通って基台110内まで引き回されている。さらに、かかる複数の配線は、基台110内でまとめられることによって、モーター171および図示しないエンコーダーに接続される配線とともに、基台110内に設置された制御装置190まで引き回される。
【0021】
以上のように、ロボット100は、第1部材である基台110と、基台110に対して回動可能に設けられている第2部材である第1アーム120と、基台110および第1アーム120の一方側から他方側へ駆動力を伝達する歯車装置1と、歯車装置1に向けて駆動力を出力する駆動源であるモーター171と、を備える。
【0022】
なお、第1アーム120および第2アーム130をまとめて「第2部材」と捉えてもよい。また、「第2部材」が、第1アーム120および第2アーム130に加え、さらに、作業ヘッド140およびエンドエフェクター150を含んでいてもよい。
【0023】
また、本実施形態では、第1減速機が歯車装置1で構成されているが、第2減速機が歯車装置1で構成されていてもよく、第1減速機および第2減速機の双方が歯車装置1で構成されていてもよい。第2減速機が歯車装置1で構成されている場合、第1アーム120を「第1部材」と捉え、第2アーム130を「第2部材」と捉えればよい。
【0024】
さらに、本実施形態では、モーター171および歯車装置1は基台110に設けられているが、モーター171および歯車装置1を第1アーム120に設けるようにしてもよい。この場合、歯車装置1の出力軸を基台110に連結すればよい。
【0025】
2.歯車装置
2.1.第1実施形態
次に、第1実施形態に係る歯車装置について説明する。
【0026】
図2は、第1実施形態に係る歯車装置を示す分解斜視図である。図3は、図2に示す歯車装置の縦断面図である。図4は、図2に示す歯車装置の正面図である。なお、各図では、説明の便宜上、必要に応じて各部の寸法を適宜誇張して図示しており、各部間の寸法比は実際の寸法比とは必ずしも一致しない。また、図2では、図示の便宜上、外歯歯車3の一部であるダイヤフラム部32およびボス部34を省略している。
【0027】
図2に示す歯車装置1は、波動歯車装置であり、例えば減速機として用いられる。この歯車装置1は、内歯歯車2と、内歯歯車2の内側に設けられている外歯歯車3と、外歯歯車3の内側に設けられ、ベアリング42を備える波動発生器4と、を有している。
【0028】
内歯歯車2、外歯歯車3および波動発生器4のうちの一つが前述したロボット100の基台110に接続され、他の一つが前述したロボット100の第1アーム120に接続される。本実施形態では、内歯歯車2が基台110に固定され、外歯歯車3が第1アーム120に接続され、波動発生器4がモーター171の回転軸に接続される。
【0029】
そのため、モーター171の回転軸が回転すると、波動発生器4は、モーター171の回転軸と同じ回転速度で回転する。そして、内歯歯車2および外歯歯車3は、互いに歯数が異なるため、互いの噛み合い位置が周方向に移動しながら、これらの歯数差に起因して回転軸aまわりに相対的に回転する。本実施形態では、内歯歯車2の歯数の方が外歯歯車3の歯数より多いため、モーター171の回転軸の回転速度よりも低い回転速度で外歯歯車3を回転させることができる。すなわち、波動発生器4を入力軸側、外歯歯車3を出力軸側とする減速機を実現することができる。
【0030】
なお、内歯歯車2、外歯歯車3および波動発生器4の接続形態は、前述した形態に限定されず、例えば、外歯歯車3を基台110に固定し、内歯歯車2を第1アーム120に接続しても、歯車装置1を減速機として用いることができる。また、外歯歯車3をモーター171の回転軸に接続しても、歯車装置1を減速機として用いることができ、この場合、波動発生器4を基台110に固定し、内歯歯車2を第1アーム120に接続すればよい。また、歯車装置1を増速機として用いる場合、すなわち、モーター171の回転軸の回転速度よりも高い回転速度で外歯歯車3を回転させる場合、前述した入力側と出力側との関係を反対にすればよい。
【0031】
以下、歯車装置1の構成を簡単に説明する。図2ないし図4に示すように、内歯歯車2は、径方向に実質的に撓まない剛体で構成された歯車であって、内歯23を有するリング状の歯車である。本実施形態では、内歯歯車2は、平歯車である。したがって、内歯23は、回転軸aに対して平行な歯すじを有する。なお、内歯23の歯すじは、回転軸aに対して傾斜していてもよい。すなわち、内歯歯車2は、はすば歯車またはやまば歯車であってもよい。
【0032】
外歯歯車3は、内歯歯車2の内側に挿通されている。この外歯歯車3は、径方向に撓み変形可能な可撓性を有する歯車であって、内歯歯車2の内歯23に噛み合う外歯33を有する外歯歯車である。また、外歯歯車3の歯数は、内歯歯車2の歯数よりも少ない。このように外歯歯車3および内歯歯車2の歯数が互いに異なることにより、減速機を実現することができる。
【0033】
本実施形態では、外歯歯車3は、図3の上端に開口38a、下端に開口38bを有するハット状、つまり縁つき帽子型をなし、その外周面に設けられた外歯33を有している。具体的には、外歯歯車3は、回転軸aまわりの円筒状をなす胴部31と、胴部31に設けられた外歯33と、胴部31から外側に向かって延在するリング状のダイヤフラム部32と、ダイヤフラム部32の外側に接続されたボス部34と、を備えている。
【0034】
このうち、胴部31は、開口38a側の部位である第1端部31aと、第1端部31aとは反対側の部位、すなわち開口38b側の部位である第2端部31bと、を有している。第1端部31aの内周面には波動発生器4が接触し、第2端部31bからは外側に向かってダイヤフラム部32が延在している。
【0035】
回転軸aの軸方向における胴部31の長さと、胴部31の外径と、の比は、図示した比に限定されず、例えば図示した比よりも胴部31の長さが短くなっていてもよい。
【0036】
図3に示すダイヤフラム部32は、第2端部31bから外側に向かって、すなわち、回転軸aから遠ざかる方向に向かって延在している。このダイヤフラム部32は、円環状をなし、かつ、板状をなしている。
【0037】
図3に示すボス部34は、このダイヤフラム部32を介して胴部31とは反対側、つまり、ダイヤフラム部32の外側に設けられている。ボス部34も、円環状をなしているが、ボス部34の厚さは、ダイヤフラム部32の厚さよりも厚くなっている。つまり、図3に示すボス部34は、回転軸aに沿う長さが、ダイヤフラム部32よりも長い部位である。さらに、図3に示すボス部34は、厚さ方向に貫通する貫通孔341を有している。ボス部34は、この貫通孔341に挿通されたボルト35等の固定具により、図示しない出力軸に対して固定される。ボス部34を設けたことにより、固定に伴う負荷の増大に耐え得る外歯歯車3を実現することができる。なお、出力軸とボス部34との接続方法は、これに限定されない。
【0038】
図3および図4に示すように、波動発生器4は、外歯歯車3の内側に配置され、回転軸aまわりに回転可能である。そして、波動発生器4は、外歯歯車3の横断面を、図4に示すように、長軸Laおよび短軸Lbとする楕円形または長円形に変形させることにより、外歯33を内歯歯車2の内歯23に噛み合わせる。外歯歯車3および内歯歯車2は、互いに同一の回転軸aまわりに回転可能になっており、互いに内外で噛み合っている。
【0039】
波動発生器4は、外歯歯車3の第1端部31aに嵌め込まれている。波動発生器4は、カム41と、カム41の外周に装着されているベアリング42と、を有している。カム41は、回転軸aまわりに回転する軸部411と、軸部411の一端部から外側に突出しているカム部412と、を有している。カム部412の外周面は、回転軸aに沿った方向から見たときに、図4中の上下方向を長軸Laとする楕円形または長円形をなしている。ベアリング42は、カム41に嵌め込まれており、可撓性を有する内輪421および外輪423と、これらの間に配置されている複数のボール422と、を有している。
【0040】
内輪421は、カム41のカム部412の外周面に嵌め込まれ、カム部412の外周面に沿って楕円形または長円形に弾性変形している。それに伴って、外輪423も楕円形または長円形に弾性変形している。外輪423の外周面は、図3に示すように、胴部31の内周面に当接している。また、複数のボール422は、内輪421の周方向における互いの間隔を一定に保つように、図示しない保持器により保持されている。
【0041】
このような波動発生器4では、カム41が回転軸aまわりに回転することに伴って、カム部412も向きを変え、それに伴って、外輪423を変形させる。これにより、内歯歯車2および外歯歯車3の互いの噛み合い位置を周方向に移動させる。このとき、内輪421は、カム部412の外周面に対して固定的に設置されているため、変形状態は変わらない。
【0042】
内歯歯車2、外歯歯車3および波動発生器4は、それぞれ、例えば、鋳鉄、ニッケルクロムモリブデン鋼、クロムモリブデン鋼(SCM)、マルエージング鋼、析出硬化型ステンレス鋼等の鉄系材料等の金属材料で構成されている。
【0043】
特に、外歯歯車3は、好ましくはニッケルクロムモリブデン鋼を主材料として構成されている。ニッケルクロムモリブデン鋼は、適切な熱処理によって強靭な鋼となり、疲労強度等の機械的特性が優れているため、繰返し応力が作用する外歯歯車3の構成材料として適している。
【0044】
ニッケルクロムモリブデン鋼としては、例えば、JIS G 4053:2016に規定されている種類の鋼材が挙げられる。具体的には、JIS規格に規定されている記号として、SNCM220、SNCM240、SNCM415、SNCM420、SNCM431、SNCM439、SNCM447、SNCM616、SNCM625、SNCM630、SNCM815等の鋼材が挙げられる。このうち、外歯歯車3の構成材料として用いるニッケルクロムモリブデン鋼としては、機械的特性に優れるという観点から、特にSNCM439を用いることが好ましい。
【0045】
なお、外歯歯車3の構成材料は、ニッケルクロムモリブデン鋼以外の材料を含んでいてもよい。すなわち、外歯歯車3は、ニッケルクロムモリブデン鋼とそれ以外の材料とが複合してなる複合材料で構成されていてもよい。
【0046】
一方、内歯歯車2は、好ましくは球状黒鉛鋳鉄で構成される。球状黒鉛鋳鉄は、含まれる黒鉛粒子が潤滑剤の働きをするため、内歯歯車2の内歯23が凝着しにくくなる。このため、内歯歯車2の低摩耗化を図ることができ、内歯歯車2の長寿命化を図ることができる。
【0047】
球状黒鉛鋳鉄としては、例えば、JIS G 5502:2001に規定されている種類の材料が挙げられる。具体的には、JIS規格に規定されている記号として、FCD350-22、FCD350-22L、FCD400-18、FCD400-18L、FCD400-15、FCD400-10、FCD450-10、FCD500-7、FCD600-3、FCD700-2、FCD800-2、FCD900等が挙げられる。
【0048】
図3に示す歯車装置1は、ケース5を有する。ケース5は、軸受13を介して、例えば入力軸となる軸61を支持している。また、内歯歯車2は、ケース5を介して図1に示す基台110に接続されている。具体的には、ケース5は、内歯歯車2に対して、例えばネジ止め等により固定されている。
【0049】
図3に示す歯車装置1は、クロスローラーベアリング8を有する。クロスローラーベアリング8は、内輪81と、外輪82と、これらの間に配置されている複数のコロ83と、を有している。内輪81は、外歯歯車3の胴部31から離間して設けられ、内歯歯車2に対して、例えばネジ止め等により固定されている。外輪82は、外歯歯車3のボス部34に対して、例えばネジ止め等により固定されている。
【0050】
また、外輪82は、例えば図示しない出力軸に固定されている。これにより、歯車装置1を介して入力軸と出力軸とを接続することができる。
【0051】
歯車装置1の各部、具体的には、内歯歯車2と外歯歯車3との噛み合い部、外歯歯車3と波動発生器4との嵌め合い部等には、図3に示すように、あらかじめ、潤滑剤であるグリースG1が適宜配置されている。
【0052】
図5は、図3に示す歯車装置1の部分拡大断面図である。図6は、図5の部分拡大図である。
【0053】
グリースG1は、図3に示す内歯23と外歯33との噛み合い部に潤滑性を付与しているが、その一部は、歯車装置1の稼働とともに、図5に示す領域にも流れてくる。図5では、胴部31とクロスローラーベアリング8の内輪81との隙間310にグリースG1が流れてきている様子を図示している。
【0054】
このグリースG1は、隙間310を通過し、ダイヤフラム部32と内輪81との隙間320にも流れる可能性がある。そして、隙間320も通過した場合、さらに、クロスローラーベアリング8の内輪81と外輪82との隙間810にも流れる可能性がある。
【0055】
一方、クロスローラーベアリング8の内輪81と外輪82との隙間810には、あらかじめ、潤滑剤であるグリースG2が配置されている。グリースG2は、内輪81とコロ83との間、および、内輪81とコロ83との間に、それぞれ潤滑性を付与している。
【0056】
このグリースG2は、歯車装置1の稼働とともに、隙間810から隙間320に流れ出る可能性がある。
【0057】
このようにして、歯車装置1では、グリースG1、G2の流動が生じる可能性がある。このようなグリースG1、G2の流動が頻繁に起こると、グリースG1の偏在やグリースG2の偏在が発生し、潤滑性が不足する可能性がある。
【0058】
そこで、本実施形態では、外歯歯車3とクロスローラーベアリング8との間にシール部7を設けている。図5に示すシール部7は、外歯歯車3のボス部34とクロスローラーベアリング8の外輪82との間に挟まれた第1シール71と、第1シール71から突出し、内輪81の外周面811に接触する第2シール72と、を備えている。本実施形態では、第1シール71と第2シール72とが一体になっている。
【0059】
第1シール71は、回転軸aを中心とする環状をなしており、ボス部34と外輪82との間に挟まれて固定されている。このため、シール部7は、外歯歯車3や外輪82と一緒に、内輪81に対して回転する。
【0060】
一方、第2シール72も、回転軸aを中心とする環状をなしており、回転軸aに沿った厚さは、第1シール71より薄くなっている。第2シール72は、その基端が第1シール71に接続され、先端は内輪81の外周面811に接している。このため、第2シール72は、図5に示す隙間320と隙間810との境界付近に対し、外輪82側から内輪81側に向かって突出し、シールしている。その結果、隙間320のグリースG1および隙間810のグリースG2が、互いに行き来するのを抑制することができる。すなわち、第2シール72は、隙間320から隙間810へのグリースG1の流れと、隙間810から隙間320へのグリースG2の流れの双方を抑制することができる。
【0061】
第2シール72は、図6に示すように、第1シール71を介して基端721を外輪82側に固定し、先端722を内輪81の外周面811に当てることにより、シール性を確保している。このような形態によれば、第2シール72と内輪81の外周面811との接触面積を小さく抑えることができる。このため、第2シール72が内輪81に与える摩擦力も小さく抑えることができ、シール部7が接触しても歯車装置1のトルク伝達効率が低下しにくくなる。また、外周面811に対する第2シール72の摩耗量が少なくて済むため、シール部7の長寿命化にも寄与する。
【0062】
回転軸aを含む平面で切断されたときの第2シール72の断面形状は、特に限定されないが、図5に示すように、外歯歯車3の半径方向に長軸を持つ形状になるのが好ましい。このような形状では、隙間320と隙間810との境界を塞ぎつつ、第2シール72と内輪81との接触面積を特に小さく抑えることができる。
【0063】
また、第2シール72は、可撓性を有しているのが好ましい。特に、可撓性に加えて原形に回復する性質を併せ持った弾性を有しているのがより好ましい。これらの性質を有していることにより、第2シール72は、内輪81との間に発生する摩擦力を小さく抑えること、および、隙間320と隙間810との間のシール性を確保することの両立を図ることができる。
【0064】
第1シール71は、前述したように、ボス部34と外輪82との間に挟まれている。これにより、ボス部34と外輪82との隙間340をシールしている。これにより、グリースG1、G2が隙間340を介して外部に流出するのを抑制することができる。
【0065】
ボス部34および外輪82は、ボルト35により互いに固定されている。ボルト35の締結により、第1シール71を図5の上下方向に圧縮することができる。これにより、第1シール71によるシール性をより高めることができる。
【0066】
第1シール71の構成材料および第2シール72の構成材料としては、それぞれ、例えば、熱可塑性エラストマー材料、ゴム材料のような各種エラストマーが挙げられる。このうち、熱可塑性エラストマー材料としては、例えば、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。また、ゴム材料としては、例えば、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム等が挙げられる。
【0067】
第1シール71の構成材料および第2シール72の構成材料は、互いに同じであっても、異なっていてもよい。また、上記材料には、必要に応じて、任意の添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、例えば、耐摩耗性を高める添加剤、潤滑性を高める添加剤、機械的強度を高める添加剤等が挙げられる。
【0068】
図5に示す第1シール71の回転軸aに沿う厚さt1は、特に限定されないが、0.3mm以上5.0mm以下程度であるのが好ましい。
【0069】
また、第2シール72の回転軸aに沿う厚さt2は、特に限定されないが、0.1mm以上3.0mm以下程度であるのが好ましく、0.2mm以上2.0mm以下程度であるのがより好ましい。これにより、シール性を高める十分な機械的強度と、内輪81に対する接触面積の抑制と、を両立させることができる。
【0070】
以上のように、本実施形態に係る歯車装置1は、内歯歯車2と、外歯歯車3と、波動発生器4と、クロスローラーベアリング8と、第1シール71と、第2シール72と、を有している。外歯歯車3は、可撓性を有し、内歯歯車2に部分的に噛み合って内歯歯車2に対して回転軸aまわりに相対的に回転する。また、外歯歯車3は、胴部31と、外歯33と、ダイヤフラム部32と、ボス部34と、を備えている。胴部31は、円筒状をなし、波動発生器4が接触している第1端部31a、および、第1端部31aとは反対側の第2端部31bを有している。外歯33は、第1端部31aの外周面に設けられている。ダイヤフラム部32は、円環状をなし、第2端部31bの外側に設けられている。ボス部34は、ダイヤフラム部32の外側に設けられている。クロスローラーベアリング8は、外輪82と、内輪81と、を有している。
【0071】
また、第1シール71および第2シール72は、それぞれ外輪82に固定されている。さらに、第1シール71は、ボス部34と外輪82との間に挟まれ、第2シール72は、基端721および先端722を有し、基端721は外輪82に固定され、先端722は内輪81の外周面811に接触している。
【0072】
このような構成によれば、第1シール71がボス部34と外輪82との隙間340をシールし、第2シール72が隙間320と隙間810との境界をシールしている。これにより、クロスローラーベアリング8周辺のシール性を高めることができ、歯車装置1においてグリースG1、G2が偏在するのを抑制することができる。その結果、歯車装置1の長寿命化を図ることができる。
【0073】
また、隙間320と隙間810との間で、グリースの双方向の流れを抑制することにより、例えば、グリースG1とグリースG2とで成分を異ならせている場合、双方の成分が変化してしまうのを抑制することができる。また、グリースG1に異物が混入している場合、あるいは、その反対に、グリースG2に異物が混入している場合、それらの異物が広い範囲に広がるのを抑制することもできる。
【0074】
また、本実施形態に係るシール部7では、第1シール71と第2シール72とが一体になっている。このような構成によれば、シール部7を歯車装置1に組み付けるときの作業性が高くなる。また、相対的に薄い第2シール72に加わる外力を、第1シール71側に逃がすことができるので、シール部7自体の長寿命化を図ることもできる。
【0075】
図6では、第2シール72の先端722が、内輪81の外周面811に対して接触する方向(接触方向D)を矢印で示している。接触方向Dは、シール部7が外周面811に接触しているとき、第2シール72の基端721と先端722とを結ぶ方向であるが、この接触方向Dは、内輪81の外周面811の法線Nに対して±45°以下の角度をなす方向であるのが好ましい。図6では、一例として、接触方向Dと法線Nとが平行であるため、双方がなす角度は0°になっている。
【0076】
このような構成によれば、前述したような、グリースG1、G2の双方が流出するのを抑制するという効果がより顕著になる。つまり、接触方向Dを上記のように設定することで、グリースG1、G2のいずれか一方の流れによって第2シール72が開いてしまうのを抑制することができる。また、本実施形態のように、接触方向Dと第2シール72の長軸とが平行である場合には、先端722の接触によって第2シール72が接触方向Dに圧縮されるため、第2シール72の剛性を高めることができる。これにより、第2シール72がより開きにくくなる。
【0077】
また、ロボット100は、第1部材である基台110と、基台110に対して回動する第2部材である第1アーム120と、基台110に対して第1アーム120を相対的に回動させる駆動力を伝達する歯車装置1と、歯車装置1に向けて駆動力を出力する駆動源であるモーター171と、を備えている。
【0078】
このような構成によれば、歯車装置1の長寿命化が図られているため、メンテナンスの手間が抑えられたロボット100を実現することができる。
【0079】
2.2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係る歯車装置について説明する。
図7は、第2実施形態に係る歯車装置を示す部分拡大断面図である。
【0080】
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0081】
図7に示す歯車装置1Aは、シール部7の構成が異なる以外、図5に示す歯車装置1と同様である。
【0082】
図7に示すシール部7は、第1シール71および第2シール72に加え、第3シール73を備えている。第3シール73は、第1シール71から突出し、内輪81の底面812に接触している。具体的には、第3シール73の基端731は、第1シール71に固定され、先端732は、内輪81の底面812に接触している。このような第3シール73を設けたことにより、第2シール72とともに、隙間320と隙間810との境界を、より確実にシールすることができる。
【0083】
また、第3シール73は、内輪81の底面812に接触している。このため、グリースG1が隙間320から隙間810へ流出しようとするときに、第3シール73は特に開きにくい構造になっている。
【0084】
一方、本実施形態に係る第2シール72は、基端721が第1シール71に固定され、先端722が内輪81の外周面811に接触している。このため、グリースG2が隙間810から隙間320へ流出しようとするときに、第2シール72は特に開きにくい構造になっている。
【0085】
したがって、本実施形態に係るシール部7は、内輪81の外周面811に接触している第2シール72と、底面812に接触している第3シール73の双方を備えていることから、グリースG1、G2が互いに行き来するのをより確実に抑制することができる。
【0086】
また、本実施形態では、第2シール72の基端721が、先端722よりもダイヤフラム部32側に位置するように、第2シール72が保持されている。つまり、図7に示す第2シール72は、基端721よりも先端722の方が、隙間810側に入り込んでいる。このような第2シール72は、グリースG2が隙間810から隙間320へ流出しようとするときに、とりわけ開きにくいものとなる。
【0087】
以上のように、本実施形態に係るシール部7は、基端731および先端732を有する第3シール73を有する。そして、第3シール73の基端731は、クロスローラーベアリング8の外輪82に固定され、第3シール73の先端732は、内輪81の底面812、すなわちダイヤフラム部32と対向する面に接触している。
【0088】
前述したように、第3シール73は、グリースG1が隙間320から隙間810へ流出しようとするときに、特に開きにくい。このため、第3シール73が追加されていることにより、第2シール72と併せて、隙間320と隙間810との境界を、より確実にシールすることができる。
以上のような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0089】
2.3.第3実施形態
次に、第3実施形態に係る歯車装置について説明する。
図8は、第3実施形態に係る歯車装置を示す部分拡大断面図である。
【0090】
以下、第3実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0091】
図8に示す歯車装置1Bは、シール部7の構成が異なる以外、図5に示す歯車装置1と同様である。
【0092】
図8に示すシール部7は、第1シール71と第2シール72が別体になっている。
図8に示す第1シール71は、横断面形状が円形をなすリング状をなしている。つまり、第1シール71は、いわゆるOリングである。第1シール71は、ボス部34と外輪82との隙間340に挟まれ、図8の上下方向に圧縮されている。これにより、グリースG1、G2が隙間340を介して外部に流出するのを抑制することができる。
【0093】
図8に示す第2シール72は、基端721がクロスローラーベアリング8の外輪82に直接固定され、先端722が内輪81の外周面811に接触している。この場合も、第2シール72の接触方向は、外周面811の法線に対して±45°以下の角度をなす方向であるのが好ましい。
【0094】
また、図8に示すように、基端721よりも先端722がダイヤフラム部32側に位置する姿勢で、第2シール72が保持されていてもよい。この姿勢では、特に、隙間320から隙間810へのグリースG1の流れを抑制することができる。これは、歯車装置1の稼働状況によって、グリースG2の流れに比べてグリースG1の流れの方が優勢になるような場合でも、双方の流出を効果的に抑制するという観点で有用である。
【0095】
また、本実施形態では、第1シール71と第2シール72が別体になっている。このような構成のシール部7では、汎用な形状の第1シール71および第2シール72を組み合わせてシール部7を構成することができる。このため、シール部7の低コスト化を図ることができる。
【0096】
さらに、第1シール71と第2シール72とで、構成材料を異ならせることができる。これにより、例えば、第1シール71の構成材料には、圧縮に対する反発力に優れた材料を使用し、第2シール72の構成材料には、耐摩耗性に優れた材料を使用する、といった使い分けが可能になる。その結果、シール部7の高機能化を図ることができる。
以上のような第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0097】
以上、本発明の歯車装置およびロボットを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、前記実施形態の各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、前記実施形態に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0098】
また、前述した実施形態では、ロボットが備える基台が「第1部材」、第1アームが「第2部材」であり、第1部材から第2部材へ駆動力を伝達する歯車装置について説明したが、本発明は、これに限定されず、第nアームが「第1部材」、第(n+1)アームが「第2部材」であり、第nアームおよび第(n+1)アームの一方から他方へ駆動力を伝達する歯車装置についても適用可能である。なお、nは1以上の整数である。また、第2部材から第1部材へ駆動力を伝達する歯車装置についても適用可能である。
【0099】
また、前述した実施形態では、水平多関節ロボットについて説明したが、本発明のロボットは、これに限定されず、例えば、ロボットの関節数は任意であり、また、垂直多関節ロボットにも適用可能である。
【0100】
さらに、前述した実施形態では、歯車装置をロボットに組み込む場合を例に説明したが、本発明の歯車装置は、互いに回動する第1部材から第2部材へ駆動力を伝達する構成を有する各種機器に組み込んで用いることもできる。
【符号の説明】
【0101】
1…歯車装置、1A…歯車装置、1B…歯車装置、2…内歯歯車、3…外歯歯車、4…波動発生器、5…ケース、7…シール部、8…クロスローラーベアリング、13…軸受、23…内歯、31…胴部、31a…第1端部、31b…第2端部、32…ダイヤフラム部、33…外歯、34…ボス部、35…ボルト、38a…開口、38b…開口、41…カム、42…ベアリング、61…軸、71…第1シール、72…第2シール、73…第3シール、81…内輪、82…外輪、83…コロ、100…ロボット、110…基台、120…第1アーム、130…第2アーム、140…作業ヘッド、141…スプラインシャフト、150…エンドエフェクター、160…配管、170…第1駆動部、171…モーター、190…制御装置、310…隙間、320…隙間、340…隙間、341…貫通孔、411…軸部、412…カム部、421…内輪、422…ボール、423…外輪、721…基端、722…先端、731…基端、732…先端、810…隙間、811…外周面、812…底面、D…接触方向、G1…グリース、G2…グリース、J1…第1軸、J2…第2軸、J3…第3軸、La…長軸、Lb…短軸、N…法線、a…回転軸、t1…厚さ、t2…厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8