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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20240806BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240806BHJP
   G06Q 10/00 20230101ALI20240806BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240806BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G16H10/00
B41J29/38 401
B41J29/38 801
G06Q10/00
G08B21/02
G08B25/04 K
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020139047
(22)【出願日】2020-08-20
(65)【公開番号】P2022035016
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松原 慶祐
【審査官】鹿谷 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-070642(JP,A)
【文献】特開2019-161304(JP,A)
【文献】特開2019-197382(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0154524(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
B41J 29/38
G06Q 10/00-99/00
G08B 21/02
G08B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを含み、
前記プロセッサは、
ユーザが通常いる場所に対応する中継装置を経由して、前記ユーザが携帯する端末からの情報の収集を試行し、
前記端末から前記情報が収集できなかった場合、前記情報が収集できるように対処を求める通知を前記ユーザに送るが、その場合において、予定管理システムに登録されている前記ユーザの予定情報が、前記ユーザが終日欠席であること、または、前記ユーザが前記通常の場所とは別の場所にいること、を示していれば、前記通知を前記ユーザに対して送らない、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
プロセッサを含む情報処理装置であって、
前記プロセッサは、
ユーザが通常いる場所に対応する中継装置を経由して、前記ユーザが携帯する端末からの情報の収集を試行し、
前記端末から前記情報が収集できなかった場合、前記情報が収集できるように対処を求める通知を前記ユーザに送るが、その場合において、予定管理システムに登録されている前記ユーザの予定情報が、前記ユーザが前記通常の場所とは別の場所にいること、を示していれば、前記通知として、当該別の場所の付近にある、前記端末と前記情報処理装置との間の通信の中継が可能な中継装置を特定する情報を含む通知を送る、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
機器に内蔵された情報処理装置であって、
プロセッサを含み、
前記プロセッサは、
ユーザが携帯する端末からの情報の収集を試行し、
前記機器の使用履歴を参照し、
前記端末から前記情報が収集できなかった場合、前記情報の収集が試行される期間に、前記ユーザが前記機器の直接の操作を伴う種類の処理を前記機器に実行させるタイプの使用をしたことを前記使用履歴が示している場合、前記端末の状態の確認を求める内容の通知を前記ユーザに送る、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
コンピュータに、
ユーザが通常いる場所に対応する中継装置を経由して、前記ユーザが携帯する端末からの情報の収集を試行し、
前記端末から前記情報が収集できなかった場合、前記情報が収集できるように対処を求める通知を前記ユーザに送るが、その場合において、予定管理システムに登録されている前記ユーザの予定情報が、前記ユーザが終日欠席であること、または、前記ユーザが前記通常の場所とは別の場所にいること、を示していれば、前記通知を前記ユーザに対して送らない、
処理を実行させるためのプログラム。
【請求項5】
コンピュータに、
ユーザが通常いる場所に対応する中継装置を経由して、前記ユーザが携帯する端末からの情報の収集を試行し、
前記端末から前記情報が収集できなかった場合、前記情報が収集できるように対処を求める通知を前記ユーザに送るが、その場合において、予定管理システムに登録されている前記ユーザの予定情報が、前記ユーザが前記通常の場所とは別の場所にいること、を示していれば、前記通知として、当該別の場所の付近にある、前記端末と前記コンピュータとの間の通信の中継が可能な中継装置を特定する情報を含む通知を送る、
処理を実行させるためのプログラム
【請求項6】
機器に内蔵されたコンピュータに、
ユーザが携帯する端末からの情報の収集を試行し、
前記機器の使用履歴を参照し、
前記端末から前記情報が収集できなかった場合、前記情報の収集が試行される期間に、前記ユーザが前記機器の直接の操作を伴う種類の処理を前記機器に実行させるタイプの使用をしたことを前記使用履歴が示している場合、前記端末の状態の確認を求める内容の通知を前記ユーザに送る、
処理を実行させるためのプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
IoT(物のインターネット)技術の発展に伴い、様々な場所にあるセンサ等の端末からネットワーク経由で情報を収集し、解析するシステムが普及している。また、移動する端末から、携帯電話網その他の広域ネットワークを介して情報を収集するシステムもある。
【0003】
特許文献1に開示された状態通知装置は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等の近距離無線通信で印刷装置等のデバイスの状態を収集し、収集した状態からデバイスのエラー発生(例えば消耗品不足)の有無を判定する。そして、エラーが発生したと判定した場合、その旨を報知する。
【0004】
特許文献2には、IoT(物のインターネット)端末から中継端末を介してセンサデータを収集するシステムにおいて、中継端末が正常に動作しているか監視し、異常発生を検出する仕組みが開示されている。この仕組みでは、監視用端末が、中継端末からの取得要求を検出し、取得要求に応じた中継端末における取得動作に関する正常性が確認された場合、センサデータと同様にして中継端末から上位装置へ中継転送される監視用データを、通信回線を介して中継端末へ送信し、外形監視装置が、上位装置で収集された監視用データの受信状況に基づいて、センサデータが中継端末を含む通信経路で正常に収集されていることを外形監視する。
【0005】
またウェアラブルデバイス等の移動可能な端末から情報を収集するケースもある。このようなケースでは、情報を収集する装置からBLE等の通信方式で通信可能な範囲の外に端末が出てしまうと、その端末から情報が収集できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-34310号公報
【文献】特開2019-114935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
端末から情報が収集できなかった場合に、対処を求める通知をその端末のユーザに対して送ることが考えられる。しかし、ユーザの事情を考慮せずに一律に通知を行うのでは、ユーザを不必要に煩わせたり、ユーザにとって分かりにくい内容の通知になったりするなど、通知によりユーザが不便を被るおそれがある。
【0008】
本発明は、情報を収集できなかった端末のユーザに対して一律に通知を行う方式よりも、端末のユーザが通知により被る不便を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、プロセッサを含み、前記プロセッサは、ユーザが通常いる場所に対応する中継装置を経由して、前記ユーザが携帯する端末からの情報の収集を試行し、前記端末から前記情報が収集できなかった場合、前記情報が収集できるように対処を求める通知を前記ユーザに送るが、その場合において、予定管理システムに登録されている前記ユーザの予定情報が、前記ユーザが終日欠席であること、または、前記ユーザが前記通常の場所とは別の場所にいること、を示していれば、前記通知を前記ユーザに対して送らない、ことを特徴とする情報処理装置である。
請求項2に係る発明は、プロセッサを含む情報処理装置であって、前記プロセッサは、ユーザが通常いる場所に対応する中継装置を経由して、前記ユーザが携帯する端末からの情報の収集を試行し、前記端末から前記情報が収集できなかった場合、前記情報が収集できるように対処を求める通知を前記ユーザに送るが、その場合において、予定管理システムに登録されている前記ユーザの予定情報が、前記ユーザが前記通常の場所とは別の場所にいること、を示していれば、前記通知として、当該別の場所の付近にある、前記端末と前記情報処理装置との間の通信の中継が可能な中継装置を特定する情報を含む通知を送る、ことを特徴とする情報処理装置である。
請求項3に係る発明は、機器に内蔵された情報処理装置であって、プロセッサを含み、前記プロセッサは、ユーザが携帯する端末からの情報の収集を試行し、前記機器の使用履歴を参照し、前記端末から前記情報が収集できなかった場合、前記情報の収集が試行される期間に、前記ユーザが前記機器の直接の操作を伴う種類の処理を前記機器に実行させるタイプの使用をしたことを前記使用履歴が示している場合、前記端末の状態の確認を求める内容の通知を前記ユーザに送る、ことを特徴とする情報処理装置である。
請求項4に係る発明は、コンピュータに、ユーザが通常いる場所に対応する中継装置を経由して、前記ユーザが携帯する端末からの情報の収集を試行し、前記端末から前記情報が収集できなかった場合、前記情報が収集できるように対処を求める通知を前記ユーザに送るが、その場合において、予定管理システムに登録されている前記ユーザの予定情報が、前記ユーザが終日欠席であること、または、前記ユーザが前記通常の場所とは別の場所にいること、を示していれば、前記通知を前記ユーザに対して送らない、処理を実行させるためのプログラムである。
請求項5に係る発明は、コンピュータに、ユーザが通常いる場所に対応する中継装置を経由して、前記ユーザが携帯する端末からの情報の収集を試行し、前記端末から前記情報が収集できなかった場合、前記情報が収集できるように対処を求める通知を前記ユーザに送るが、その場合において、予定管理システムに登録されている前記ユーザの予定情報が、前記ユーザが前記通常の場所とは別の場所にいること、を示していれば、前記通知として、当該別の場所の付近にある、前記端末と前記コンピュータとの間の通信の中継が可能な中継装置を特定する情報を含む通知を送る、処理を実行させるためのプログラムである。
請求項6に係る発明は、機器に内蔵されたコンピュータに、ユーザが携帯する端末からの情報の収集を試行し、前記機器の使用履歴を参照し、前記端末から前記情報が収集できなかった場合、前記情報の収集が試行される期間に、前記ユーザが前記機器の直接の操作を伴う種類の処理を前記機器に実行させるタイプの使用をしたことを前記使用履歴が示している場合、前記端末の状態の確認を求める内容の通知を前記ユーザに送る、処理を実行させるためのプログラムである。
参考例1の構成は、プロセッサを含み、前記プロセッサは、ユーザが携帯する端末からの情報の収集を試行し、前記端末から前記情報が収集できなかった場合、前記ユーザの行動に関する情報に基づいて前記ユーザへの通知を制御する、ことを特徴とする情報処理装置である。
【0010】
参考例2の構成は、前記行動に関する情報には、予定管理システムが管理する前記ユーザの予定情報が含まれる、参考例1に記載の情報処理装置である。
【0011】
参考例3の構成は、前記プロセッサは、前記端末から前記情報を収集できない場所に現在前記ユーザがいる予定であること、を前記予定情報が示している場合には、前記通知を前記ユーザに送らない、ことを特徴とする参考例2に記載の情報処理装置である。
【0012】
参考例4の構成は、前記プロセッサは、前記端末から前記情報を収集できない場所に現在前記ユーザがいる予定であること、を前記予定情報が示している場合には、そうでない場合とは異なる内容の前記通知を前記ユーザに送る、ことを特徴とする参考例2に記載の情報処理装置である。
【0013】
参考例5の構成は、前記端末から前記情報を収集できない場所に現在前記ユーザがいる予定であること、を前記予定情報が示している場合に、前記プロセッサが前記ユーザに送る前記通知には、前記ユーザが現在いる予定である前記場所の付近にある、前記端末と前記情報処理装置との間の通信の中継が可能な装置を特定する情報を含む、ことを特徴とする参考例4に記載の情報処理装置である。
【0014】
参考例6の構成は、前記行動に関する情報には、前記ユーザによる機器の使用履歴が含まれる、参考例1に記載の情報処理装置である。
【0015】
参考例7の構成は、前記情報処理装置は前記機器に内蔵されており、前記プロセッサは、前記端末から前記情報が収集できなかった場合において、前記情報の収集が試行される期間に、前記ユーザが前記機器の直接の操作を伴う種類の処理を前記機器に実行させるタイプの使用をしたことを前記使用履歴が示している場合、前記端末の状態の確認を求める内容の通知を前記ユーザに送る、ことを特徴とする参考例6に記載の情報処理装置である。
【0016】
参考例8の構成は、前記行動に関する情報には、在席管理システムが管理する前記ユーザの在席又は不在の情報が含まれる、参考例1に記載の情報処理装置である。
【0017】
参考例9の構成は、コンピュータに、ユーザが携帯する端末からの情報の収集を試行し、前記端末から前記情報が収集できなかった場合、前記ユーザの行動に関する情報に基づいて前記ユーザへの通知を制御する、処理を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1又はに係る発明によれば、情報を収集できなかった端末のユーザに対して一律に通知を行う方式よりも、端末のユーザが通知により被る不便を低減することができる。更にユーザの予定情報に基づき、端末の情報を情報処理装置に収集可能にするための処置をユーザがとりにくいときに通知を送るという無駄を省くことができる。
【0022】
請求項2又は5に係る発明によれば、情報を収集できなかった端末のユーザに対して一律に通知を行う方式よりも、端末のユーザが通知により被る不便を低減することができる。更にユーザの予定情報に基づき、ユーザがいる予定の場所の付近の、中継が可能な装置をユーザに知らせることができる。
【0023】
請求項3又は6に係る発明によれば、ユーザが機器を使用したかどうかで分かるユーザの在・不在に応じて通知を制御することができる。
【0024】
更に、端末から情報を収集する情報処理装置を内蔵する機器の近くにユーザがいたにもかかわらずその端末から情報を収集できなかったことから端末の異常と推定し、ユーザに端末の状態の確認を求めることができる。
【0025】
参考例8によれば、在席管理システムが管理しているユーザの在・不在の情報に応じて通知を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態のシステム構成を例示する図である。
図2】エッジデバイスの機能を持つ複合機のハードウエア構成を例示する図である。
図3】エッジデバイスが管理している管理情報の例を示す図である。
図4】エッジデバイスの処理手順の例を示す図である。
図5】センサ端末から情報収集ができない原因を判定するルールを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<システムの全体構成>
図1に、本実施形態のシステム構成を例示する。図1のシステムは、ユーザが携帯するセンサ端末102が検知したデータすなわち情報を収集するためのものである。あくまで一例であるが、このシステムは、オフィスで働く従業員の健康を管理するためのシステムであるとする。
【0028】
また図1の例では、個々のユーザすなわちそのオフィスの従業員は、それぞれセンサ端末102を携帯している。この例では、センサ端末102は、例えば、腕や耳等といった身体の一部に装着するウェアラブル端末として構成されている。センサ端末102は、心拍センサ、体温センサ、脳波センサ、心電センサ等といった身体の状態を検出する1以上のセンサを搭載している。センサ端末102が内蔵するそれらセンサは、装着しているユーザの心拍数や体温等といった身体状態を例えば定期的に計測し、計測結果を示すデータを生成する。またセンサ端末102は、内蔵するセンサの検出結果のデータから、ユーザの集中力やストレス等を表す二次的な指標値を算出してもよい。
【0029】
オフィス内には複合機104が設置されている。複合機104は、プリンタ、スキャナ、コピー機、ファクシミリ、情報処理機能及びネットワーク通信機能を備えた多機能装置である。複合機104は、分析サーバ106にとって、エッジコンピューティングのエッジデバイスとしての機能を果たす部分を有する。以下、この機能部分のことをエッジデバイスと呼ぶ。エッジデバイスは、そのオフィス内の各ユーザのセンサ端末102の検出したデータ又は算出したデータを収集する。また、エッジデバイスは、収集したデータに対して所定の処理を実行し、処理の結果得られた処理結果データを分析サーバ106に送る。分析サーバ106は、複数の複合機104内のエッジデバイスから、各ユーザのセンサ端末102から収集したデータ、又はそのデータの処理結果を受け取り、それらデータを分析し、その分析の結果に応じて様々なサービスを提供する。分析サーバ106は、例えばインターネット上に設けられている。この場合エッジデバイスは、収集したデータをインターネット経由で分析サーバ106に送信する。
【0030】
エッジデバイスによるセンサ端末102からのデータの収集は、オフィス内のLAN(ローカルエリアネットワーク)経由で、又はBLE等の近接無線通信経由で行われる。例えば、省電力のためにBLEプロトコルは搭載しているがWi-Fi等の無線LAN機能は搭載していない、或いは無線LAN機能は常用しない設定となっているセンサ端末102からのデータは、BLE経由で収集される。一方、無線LAN機能でオフィス内のLANに接続されているセンサ端末102からのデータは、LAN経由で収集される。
【0031】
また、センサ端末102が検出したデータの収集が、中継装置108経由で行われる場合もある。例えば、センサ端末102を携帯するユーザの席が複合機104から遠く、かつそのセンサ端末102がLANに接続されていない場合、そのセンサ端末102のデータはまずBLE経由で中継装置108に渡され、中継装置108から複合機104へとBLE又はLAN経由で送信される。中継装置108を用いる場合、ユーザは、BLE通信を可能にするために、予め自分のセンサ端末102と中継装置108とのペアリングを行っておく。中継装置108は、例えば、ユーザのPC(パーソナルコンピュータ)やスマートフォン、タブレット端末等である。
【0032】
エッジデバイスは、オフィス内のLAN等のネットワーク上にあるグループウェアサーバ110や在席管理システム112等のサーバにアクセス可能である。グループウェアサーバ110には、オフィス内の各ユーザの予定を管理するシステムであり、各ユーザの予定情報が登録されている。また在席管理システム112は、ユーザが自席にいるか、又は自室にいるか、又はユーザがオフィス内のどの場所にいるかを検出し、管理するシステムである。在席管理システム112は、オフィスの各場所の出入口に設けられたセンサやIDカードリーダの読み取り結果に応じて各場所へのユーザの出入りを管理する入退室管理システムであってもよい。また、在席管理システム112は、ユーザの席やPCに設けられたセンサによりユーザが自席にいるか否かを検知するものであってもよい。また在席管理システム112は、ユーザが携帯する無線タグや赤外線タグ等を読み取ることによりユーザの所在場所を検知するシステムであってもよい。エッジデバイスは、ユーザがオフィス内にいるか、又はオフィス内のどこにいるかを判断するために、それらサーバが管理している情報を参照することができる。
【0033】
<複合機のハードウエア構成>
複合機104のハードウエア構成の主要部の一例を図2に示す。図2に例示するように、複合機104は、内蔵するコンピュータを構成するハードウエアとして、プロセッサ202、ランダムアクセスメモリ(RAM)等のメモリ(主記憶装置)204、フラッシュメモリやSSD(ソリッドステートドライブ)、HDD(ハードディスクドライブ)等の不揮発性記憶装置である補助記憶装置206を制御するコントローラ、各種の入出力装置208とのインタフェース、ローカルエリアネットワークなどのネットワークとの接続のための制御を行うネットワークインタフェース210等が、例えばバス212等のデータ伝送路を介して接続された回路構成を有する。ネットワークインタフェース210は、Wi-Fi等の無線LAN規格の通信のための回路を含んでいてもよい。入出力装置208の中には、例えば、タッチパネル等の表示装置兼入力装置やスピーカ等の音声出力装置等が含まれる。以上に説明した部分の回路構成は、汎用のコンピュータと同様のものでよい。
【0034】
また、複合機104は、バス212等を介してそのコンピュータハードウエアに接続されたBLEモジュール214、プリンタ216及びスキャナ218等を備える。BLEモジュール214は、BLEプロトコルに準拠した近距離無線通信のための無線通信モジュールである。プリンタ216及びスキャナ218は、複合機104のコピー、プリント、及びスキャンの機能のための機構である。
【0035】
複合機104のコンピュータハードウエアの部分が、UI(ユーザインタフェース)のための処理、ネットワーク等を介した情報通信の制御、スキャナ、プリンタ及びファクシミリ装置等の各種機能要素の制御、エッジデバイス機能のための情報処理等を実行する。これら各種の処理や制御の内容が記述されたプログラムが、ネットワーク等を経由してそのコンピュータハードウエアにインストールされ、補助記憶装置206に保存される。補助記憶装置206に記憶されたプログラムが、プロセッサ202によりメモリ204を用いて実行されることにより、この実施形態の情報処理装置が実現される。
【0036】
ここでプロセッサ202とは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0037】
また、プロセッサ202の動作は、1つのプロセッサ202によってなすのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサ202が協働してなすものであってもよい。また、プロセッサ202の各動作は、以下の実施形態において説明する順序のみに限定されるものではなく、適宜に変更してもよい。
【0038】
複合機104内のエッジデバイスは、データ収集の対象である各センサ端末102の管理情報を保持している。この管理情報の一例を図3に示す。
【0039】
図3に例示する管理情報は、従業員ID、センサ端末識別子、前回のデータ通信方式、前回のデータ受信時刻、通知先、予定情報等の各項目を含んでいる。
【0040】
従業員IDは、センサ端末102を携帯しているユーザの識別情報である。センサ端末識別子は、そのセンサ端末102の識別情報であり、図示例ではBDアドレスである。BDアドレスは、Bluetooth対応デバイスの識別情報であり、MAC(Media Access Control)アドレスと同形式の情報である。
【0041】
前回のデータ通信方式は、そのセンサ端末102から前回データを収集した際に用いた通信方式である。このデータ通信方式には、例えば、「LAN(直接)」、「BLE(直接)」、「LAN(中継)」、「BLE(中継)」の4つがある。「LAN(直接)」は、エッジデバイスがLAN経由で直接(すなわち中継装置108を介さずに)そのセンサ端末102からデータを収集したことを示す。この方式の場合、前回のデータ通信方式の欄には、その収集時のセンサ端末102のIPアドレスの情報も記録される。「BLE(直接)」は、エッジデバイスがBLE接続で直接そのセンサ端末102からデータ収集を行ったことを示す。「LAN(中継)」は、エッジデバイスが中継装置108を介してそのセンサ端末102からデータを収集し、その際エッジデバイスは中継装置108とLAN経由で通信したことを示す。この方式の場合、前回のデータ通信方式の欄には、その収集時の中継装置108のIPアドレスの情報も記録される。「BLE(中継)」は、エッジデバイスが中継装置108を介してそのセンサ端末102からデータを収集し、その際エッジデバイスは中継装置108とBLE経由で通信したことを示す。
【0042】
なお、前回のデータ通信方式の代わりに、又はこれに加えて、通常のデータ通信方式を管理情報に含めてもよい。オフィスにユーザの席が固定的に設けられている場合等、ユーザがオフィス内で通常いる場所が決まっている場合が少なくない。通常いる場所が決まっている場合、その場所にいるユーザのセンサ端末102からのデータ収集に用いることができるデータ通信方式は自ずと決まってくる。通常のデータ通信方式とは、このように、通常いる場所にいるユーザのセンサ端末102とデータ通信するために予め定めたデータ通信方式のことである。
【0043】
例えば、その通常いる場所がエッジデバイスに十分近ければ、データ通信方式として「BLE(直接)」を用いるのが簡便且つ省電力であり、そのためにセンサ端末102は複合機104とペアリングしておくのが便利である。また、その場所がエッジデバイスから遠い(すなわちBLEで直接通信できない)場合、センサ端末102が無線LANを利用可能であり、無線LANの電力消費も許容されるならば、データ通信方式として「LAN(直接)」を用いるのが簡便である。この場合、エッジデバイスには、そのセンサ端末102のIPアドレスを登録しておくことが便利である。また、その場所がエッジデバイスから遠く、センサ端末102が装置構成上又は電力消費の観点で無線LAN利用不可の場合には、データ通信方式は「LAN(中継)」、「BLE(中継)」のどちらかになる。この場合、ユーザが通常いる場所の近傍にある装置(例えばそのユーザの席のPC)が中継装置108として選択され、その中継装置108とエッジデバイスとの通信接続形態がLAN、BLEのいずれであるかに応じて「LAN(中継)」、「BLE(中継)」のどちらかが決まる。
【0044】
前回のデータ受信時刻は、そのセンサ端末102から前回データを収集したときの、そのデータの受信時刻である。
【0045】
通知先は、当該センサ端末102を携帯しているユーザに通知する場合の通知先を示す情報である。図示例では、通知先としてそのユーザの電子メールアドレスが登録されている。
【0046】
予定情報は、当該センサ端末102を携帯しているユーザの現在の予定を示す情報である。この情報は、グループウェアサーバ110から取得される。エッジデバイスは、例えば所定時間ごとに定期的に、そのユーザのその時点での予定をグループウェアサーバ110から読み出し、管理情報に登録する。なお、エッジデバイスは、そのユーザの現在の予定の情報が必要になった時点で、グループウェアサーバ110からその時点のそのユーザの予定を読み出してもよく、この場合は管理情報内に予定情報を持つ必要なはい。
【0047】
エッジデバイスは、自らが管理している各センサ端末102について、図3に例示した情報を保持し、管理している。
【0048】
エッジデバイスは、例えば定期的(例えば1時間ごと等)に、管理対象の各センサ端末102からデータの収集を行う。エッジデバイスは、あるセンサ端末102からデータを収集する場合、管理情報(図3参照)内のそのセンサ端末102の「前回のデータ通信方式」と同じ方式でそのセンサ端末102からのデータ収集を試みる。例えば、前回のデータ通信方式が「BLE(直接)」である場合、エッジデバイスは、そのセンサ端末102に対してBLEでの通信を試み、通信が成功したらデータを収集する。また例えば前回のデータ通信方式が「LAN(中継)」の場合、エッジデバイスは、その方式のパラメータとして管理情報に記録されているIPアドレスとの通信を試み、通信が成功した場合、そのIPアドレスの装置(すなわち前回用いられた中継装置108)に対して、そのセンサ端末102のBDアドレスを通知し、そのBDアドレスからのデータの収集を依頼する。そして、その依頼に応じてその中継装置108から応答されたデータを収集する。
【0049】
前回のデータ通信方式での通信でセンサ端末102からデータを収集できない場合には、2つのケースがある。1つはセンサ端末102に通信接続できない場合(中継装置108と通信できない場合も含む)であり、もう1つはセンサ端末102と通信接続はできたがそのセンサ端末102が今回の収集時刻に対応する最新データを持っていない場合である。後者の場合は、センサ端末102の異常が考えられるので、エッジデバイスはそのセンサ端末102に異常が発生している可能性がある旨、自装置内のデータベースに記録してもよい。
【0050】
前者の場合、エッジデバイスは、必須ではないが、更に別の通信方式でそのセンサ端末102からのデータ収集を試みてもよい。この場合、エッジデバイスは、例えば、「BLE(直接)」、「LAN(直接)」、「BLE(中継)」、「LAN(中継)」の4つの方式を所定の順序で試行してもよい。このときの「BLE(中継)」方式の試行では、エッジデバイスとBLEでペアリング済みの各中継装置108に対してそのセンサ端末102からのデータ収集を依頼する。また「LAN(中継)」方式の試行では、エッジデバイスは、例えばマルチキャストで、LAN上の各中継装置108に対してそのセンサ端末102からのデータ収集を依頼する。
【0051】
前回のデータ通信方式でも、追加で行った他の通信方式での試行でも、センサ端末102からデータを収集できなかった場合、そのセンサ端末102については、管理情報内の前回のデータ受信時刻は更新されないままとなる。
【0052】
エッジデバイスは、図示は省略するが、センサ端末102から収集したデータを、従業員ID又はセンサ端末識別子に対応付けて、かつ収集を行った時刻とも対応付けて、エッジデバイス内のデータベースに保存する。またエッジデバイスは、管理情報(図3参照)内のそのセンサ端末102についての「前回のデータ受信時刻」に、今回データを収集した時刻を上書きする。また、エッジデバイスは、保存したそのデータを用いて所定の分析処理を実行し、その処理結果を、例えば収集したデータと共に、分析サーバ106に送信する。
【0053】
このようなデータ収集処理とは別に、エッジデバイスは、フォローアップ処理を実行する。フォローアップ処理は、最新時点のデータを収集できなかったセンサ端末102のユーザに対して、そのセンサ端末102からデータ収集ができるようにするための対処を求めるアクションを行う。フォローアップ処理は、例えば、定期的なデータ収集のタイミング同士の間の所定のタイミングで実行される。またフォローアップ処理では、まず最新データを収集できていないセンサ端末102に対して再度データ収集を試行し、その再度の試行でもデータを収集できない場合に、前述のアクションを実行してもよい。
【0054】
図4に、フォローアップ処理のタイミングが到来したときに実行されるそのフォローアップ処理の手順の例を示す。この手順では、エッジデバイスは、管理情報を調べ(402)、最新のデータが未収集であるセンサ端末102があるかどうかを判定する(404)。例えば、データ収集は毎正時に実行され、このフォローアップ処理が実行される12月17日15時30分の時点では、管理情報が図3に例示するものであったとする。この場合、エッジデバイスはユーザ「Aさん」及び「Dさん」のセンサ端末102については最新データが収集済みであり、ユーザ「Bさん」と「Cさん」のセンサ端末102については最新データが未収集であると判定する。
【0055】
ステップ404の判定の結果がNo、すなわち管理対象のセンサ端末102の全てについて最新データの収集が完了している場合には、この処理は終了する。
【0056】
ステップ404の判定結果がYesの場合、エッジデバイスは、最新データが未収集のセンサ端末102ごとにステップ406~416の処理を実行する。すなわちエッジデバイスは、そのセンサ端末102からデータの再収集を試みる(406)。この再収集は、データ収集処理における収集と同様の方法で行えばよい。次にエッジデバイスは、その再収集が成功したかどうかを判定し(408)、成功の場合は収集したデータをデータベースに記録し、そのデータを用いて分析を行い、その分析結果や収集したデータを分析サーバ106に送る(410)。
【0057】
ステップ408でデータの収集が失敗した場合、エッジデバイスは、その失敗の原因を推定する(412)。
【0058】
収集失敗には、大きく分けて3つのケースがある。(a)センサ端末102と通信できたが最新のデータを取得できないケース、(b)そのセンサ端末102からの前回のデータ収集の際に中継にもちいた中継装置108と通信できないケース、(c)センサ端末102と通信できないケースの3つである。ケース(a)では、センサ端末102の通信機能以外の部分に何らかの異常が発生していることが考えられる。ケース(c)には、中継装置108と通信できない結果、その先のセンサ端末102からデータが収集できない場合は含まれない。すなわちケース(c)には、次の2つの場合が含まれる。1つは、前回エッジデバイスから中継装置108を介さずにデータを収集したセンサ端末102について前回と同じ通信方式でデータを収集できなかった場合である。もう1つは、前回エッジデバイスから中継装置108経由でデータを収集したセンサ端末102について、前回と同じ中継装置108とは通信できたが、その中継装置108がそのセンサ端末102と通信できなかった場合である。
【0059】
本実施形態では、これらのうちケース(c)については、データ収集の失敗の原因が、ユーザの行動に応じていくつか考えられる。これに対してケース(a)及び(b)については、前者の原因はセンサ端末102の異常、後者の原因は中継装置108の異常、と明らかなので、ユーザの行動による更なる原因の分類は行わなくてよい。
【0060】
ケース(c)については、例えば、ユーザの行動に関する情報を参照して、図5に示すルールに従ってその原因を分類する。なお、ケース(c)内での詳細な原因の分類は、ケース(a)及び(b)には該当しないとわかっている場合に行われる。
【0061】
図5の例では、ユーザの行動に関する情報として、「本日のセンサ情報収集履歴」、「本日の複合機ジョブ履歴」、及び「予定情報」を考慮に入れている。
【0062】
「本日のセンサ情報収集履歴」は、判定の対象であるセンサ端末102からの本日内でのデータ収集の履歴であり、この履歴の情報はエッジデバイス自身が保持している。ユーザが携帯しているセンサ端末102から本日中にデータを収集した履歴があるということは、そのユーザがデータ収集可能な場所に本日いたというユーザの行動を示す。
【0063】
「本日の複合機ジョブ履歴」は、そのセンサ端末102を携帯するユーザについての、本日内での複合機104の使用履歴であり、複合機104自身、又はオフィスのネットワーク上にある複合機使用履歴の管理システムから取得できる。複合機104の使用には、複合機104のローカルでの使用と、リモートからの使用の両方が含まれる。ローカルでの使用とは、複合機104に対する直接の操作を伴う種類のジョブを複合機104に実行させるタイプの使用である。複合機104に対する直接の操作は、例えば複合機104のローカルのユーザインタフェース(例えばタッチパネル)に対するユーザの操作である。例えばコピーやスキャン等が、そのような「直接の操作を伴う種類のジョブ」の一例である。リモートからの使用は、複合機104に対してネットワーク経由で使用の指示を行うものであり、例えばPCからプリントジョブを複合機104に送る場合がその例である。センサ端末102を携帯しているユーザが複合機104を本日中に使用した履歴があるということは、本日オフィスにいたというユーザの行動を示している。
【0064】
「予定情報」は、データ収集の失敗の時点を含む時間枠についてのユーザの予定であり、グループウェアサーバ110に登録されているそのユーザの予定から求められる。この予定情報も、ユーザの行動を示している。
【0065】
図5の例では、ケース(c)に該当するデータ収集失敗の原因として「欠席」、「一時的な不在」、「通常勤務中だが取得できない」との3つを挙げている。
【0066】
「欠席」は、センサ端末102のユーザが本日欠席していることである。この場合、ユーザは本日オフィスにいない。「欠席」が原因であると判定するのは、次の3つの事項が全て成立した場合である。すなわち、第1の事項は、あるユーザのセンサ端末102から本日データを収集した履歴がないことである。第2の事項は、そのユーザが本日複合機104を使用した履歴がないことである。第3の事項は、グループウェアサーバ110に対して登録されているそのユーザの本日の予定が、終日欠席であることである。
【0067】
なお、グループウェアサーバ110に登録されているユーザの予定が終日欠席であっても、そのユーザのセンサ端末102から本日データを収集した履歴がある場合や、そのユーザが本日複合機104を使用した履歴がある場合には、「欠席」と判定しないようにしてもよい。
【0068】
また図5のルールに原因としてあげられている「一時的な不在」とは、ユーザの予定に従った行動により、ユーザが通常いる場所とは異なった場所にいるため、ユーザのセンサ端末102からデータが収集できないという状態である。ユーザが通常いる場所にいれば、そのユーザのセンサ端末102からは前回のデータ通信方式(又は通常のデータ通信方式)でデータを収集できるはずであるが、予定に従って別の場所にいる場合には、前回又は通常のデータ通信方式ではデータを収集できない。「一時的な不在」がデータ収集失敗の原因であると判定するのは、次の3つの事項が全て成立した場合である。すなわち、第1の事項は、あるユーザのセンサ端末102から本日データを収集した履歴があることである。第2の事項は、そのユーザが本日複合機104を使用した履歴があることである。第3の事項は、データ収集を失敗した時点を含む時間枠についてのそのユーザが通常の場所とは別の場所にいることを示す予定がグループウェアサーバ110に登録されていることである。なお、ここでは第1~第3の事項の全てが成立した場合に「一時的な不在」と判定したが、第1及び第2の事項のうちの少なくとも一方が成立し、かつ第3の事項が成立した場合に、「一時的な不在」と判定してもよい。
【0069】
また図5のルールに原因としてあげられている「通常勤務中だが取得できない」とは、ユーザが通常いる場所にいると推定されるのに、ユーザのセンサ端末102からデータが収集できないという状態である。データ収集失敗の原因が「通常勤務中だが取得できない」であると判定するのは、次の3つの事項が全て成立した場合である。すなわち、第1の事項は、あるユーザのセンサ端末102から本日データを収集した履歴があることである。第2の事項は、そのユーザが本日複合機104を使用した履歴があることである。第3の事項は、データ収集を失敗した時点を含む時間枠についてのそのユーザの予定がグループウェアサーバ110に登録されていないか、又はその時間枠についてのそのユーザの予定が登録されていてもその予定はユーザの通常いる場所にいることを示していることである。なお、ここでは第1~第3の事項の全てが成立した場合に「通常勤務中だが取得できない」と判定したが、第1及び第2の事項のうちの少なくとも一方が成立し、かつ第3の事項が成立した場合に、「通常勤務中だが取得できない」と判定してもよい。
【0070】
また、「本日のセンサ情報収集履歴」、「本日の複合機ジョブ履歴」、及び「予定情報」の3つの組合せが、図5に例示した「欠席」、「一時的な不在」、「通常勤務中だが取得できない」のいずれにも該当しない場合は、収集失敗の原因を「その他」に分類してもよい。
【0071】
図4の手順のステップ412では、エッジデバイスは、ステップ406でのセンサ端末102又は中継装置108との通信接続状態から、上述のケース(a)又は(b)に該当するか判定する。そして、ケース(a)及び(b)のいずれにも該当しない場合は、エッジデバイスのデータ収集履歴、複合機104のジョブ履歴、及びグループウェアサーバ110の予定情報を参照して、例えば図5のルールに従って、ケース(c)における詳細な原因を推定する。
【0072】
次にエッジデバイスは、推定した原因に応じて、センサ端末102に対してエッジデバイスが実行するアクションを決定する(414)。エッジデバイスが実行するアクションには、センサ端末102のユーザへの通知がある。この通知は、センサ端末102からデータが収集できないという状況への対処をユーザに促す内容のものである。データ収集が失敗した原因に応じて対処の内容は変わってくるので、ユーザへの通知の内容は、推定した原因に応じたものとなる。
【0073】
また、ユーザに通知することを基本のアクションと捉えた場合、「通知しない」ことも1つのアクションと捉えることができる。
【0074】
例えば、推定した原因が「欠席」である場合、これに対応するアクションは「通知しない」である。欠席の場合、ユーザが本日中に対処することは無理であり、また本日はそのユーザのセンサ端末102からデータが収集できないことが当然だからである。
【0075】
また原因が「一時的な不在」である場合、これに対応するアクションは、ユーザへ通知を送ることである。このとき送る通知は、「一時的な不在」の原因である予定との関連で、データ収集のためにユーザにとってもらう行動を説明する内容のメッセージを含む。このメッセージは、例えば「センサの情報が収集できていないため、打ち合わせ終了後に情報の送信をお願いします。」(以下、メッセージ1と呼ぶ)というもの、又は「センサの情報が収集できないため、会議室付近の複合機(IPアドレス=192.168..)又は中継装置(BDアドレス=11:22:33:…)に接続してください。」(以下、メッセージ2と呼ぶ)というもの、などである。メッセージ1は、「一時的な不在」の原因である予定(この場合は「打ち合わせ」)が終了したら、センサ端末102のデータを送信するようユーザに要請する内容である。また、メッセージ2は、センサ端末102をその「打ち合わせ」が開催されている会議室内又はその近傍の装置(例えば複合機や中継装置)に接続することを求める内容である。メッセージ2には、会議室内やその近傍の複合機や中継装置を特定する情報(上述の例ではIPアドレスやBDアドレス)が含まれる。メッセージ1及び2に含まれる予定の名称「打ち合わせ」やその予定の行事の開催場所「会議室」の情報は、グループウェアサーバ110から取得すればよい。また、「会議室」又はその近傍の複合機又は中継装置の情報は、オフィス内の機器の配置の情報を管理するデータベース(図示省略)から取得すればよい。
【0076】
なお、「一時的な不在」の場合、その原因となった予定が終了した後、ユーザは、通常いるはずの場所に戻る蓋然性が高く、ユーザがその場所に戻ればエッジデバイスはセンサ端末102からデータが収集できる。そこで、上述とは別の例として、「一時的な不在」の場合のエッジデバイスのアクションを「通知しない」としてもよい。
【0077】
また原因が「通常勤務中だが取得できない」である場合、これに対応するアクションは、ユーザへ通知を送ることである。このときの通知は、「通常勤務中だが取得できない」という原因状況に沿った内容のものである。この場合、センサ端末102や中継装置108の異常ではなく、ユーザの予定もない。考えられるのは、ユーザが一時的に自席から離れていたり、中継装置108を何らかの事情でいつもの場所から移動させていたり等の理由で、センサ端末102が中継装置108又は複合機104とBLE通信できないという事態である。この場合の通知に含まれるメッセージは、このような事態を解消するための行動をユーザに促す内容である。例えば「センサの情報が収集できないため、中継装置(BDアドレス=11:22:33…)に接続するか、複合機のWi-Fi(登録商標) Direct(SSID=・・・・・・・)に接続してデータを送信してください。」というもの、又は「センサの情報が収集できないため複合機に接近してください。」というもの、などのメッセージである。
【0078】
また、ケース(a)と判定した場合のアクションは、センサ端末102に生じている可能性がある異常に対処することを求めるメッセージをユーザに通知することである。メッセージの内容は、例えば「センサに異常が発生している可能性があります。センサの状態を確認してください。」といったものでよい。
【0079】
ケース(b)と判定した場合のアクションは、中継装置108に生じている可能性がある異常に対処することを求めるメッセージをユーザに通知することである。メッセージの内容は、例えば「中継装置に異常が発生している可能性があります。中継装置を確認するか、別の中継装置(BDアドレス=11:22:33…)に接続してください。」といったものでよい。このメッセージに含まれる「別の中継装置」としては、前回の又は通常のデータ通信方式において用いる中継装置108以外でそのセンサ端末102とペアリング済みのもの
を提案してもよい。
【0080】
図4の説明に戻ると、ステップ414でアクションが決まると、エッジデバイスは、そのアクションを実行する(416)。これで、1つのセンサ端末102についての処理が完了する。
【0081】
また、図5に例示したルールでは、原因の判定のために複合機104が本日使用されたか否かの履歴情報を参照したが、更に詳しい履歴内容を参照してもよい。更に詳しい履歴内容としては、例えばジョブの種類がある。複合機104が実行可能なジョブには、コピー、スキャンのようにユーザが複合機104を直接操作するローカルのジョブと、プリントのようにネットワーク経由で複合機104に指示を与えるリモートのジョブとがある。
【0082】
最新のデータ収集タイミングから現在までの間に、あるセンサ端末102のユーザが複合機104でローカルのジョブを実行したことを示す履歴情報があれば、複合機104内のエッジデバイスはその間にそのセンサ端末102からデータを収集できたはずである。それにもかかわらず、そのセンサ端末102からの最新のデータが未収集であり、ユーザに欠席や別の場所での予定がないならば、その未収集の原因はセンサ端末102の異常であると判定できる。この場合、ケース(a)の場合と同様、センサ端末102の状態の確認を求める通知をユーザに送ればよい。
【0083】
また最新のデータ収集タイミングから現在までの間に、あるセンサ端末102のユーザが複合機104でリモートのジョブを実行したことを示す履歴情報があれば、ユーザはその間にオフィスにいたはずであり、現在もオフィスにいる蓋然性が高い。したがってこの場合、センサ端末102からの最新のデータが未収集であり、ユーザに欠席や別の場所での予定がないならば、その未収集の原因は前述した「通常勤務中だが取得できない」であると判定できる。この場合、エッジデバイスは、その原因に対応する上で例示した通知をユーザに送ればよい。
【0084】
以上の例において、データが収集できない原因の判定に、在席管理システム112の情報を利用してもよい。在席管理システム112の情報からユーザが自席にいるはずであるにもかかわらず(更に中継装置108の異常も無いにもかかわらず)、そのユーザのセンサ端末102からデータを収集できない場合には、センサ端末102に異常が生じていると判断できる。この場合エッジデバイスは、センサ端末102の状態の確認を求める通知をユーザに送る。また、在席管理システム112が管理している情報からユーザがオフィス内にいないことが分かる場合には、そのユーザのセンサ端末102からデータが収集できないときには、そのユーザの予定が終日欠席である場合と同様、通知を送らないようにしてもよい。またデータを収集できないセンサ端末102のユーザがオフィス内にいることが在席管理システム112から分かる場合かつ予定もない場合には、データ未収集の原因は前述した「通常勤務中だが取得できない」であると判定できる。またデータを収集できないセンサ端末102のユーザがオフィス内のどこにいるかが在席管理システム112から分かる場合、そのユーザにはその場所の近くの中継装置108や複合機に近づいてセンサ端末102の情報を送信することを求める内容とすればよい。
【0085】
また、上記実施形態では、定期的なデータ収集の後に行われる図4の処理にて、データ未収集のセンサ端末102に対してその原因に応じたアクションを行ったが、データ収集を行わず、図4の処理を定期的に行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0086】
102 :センサ端末
104 :複合機
106 :分析サーバ
108 :中継装置
110 :グループウェアサーバ
112 :在席管理システム
202 :プロセッサ
204 :メモリ
206 :補助記憶装置
208 :入出力装置
210 :ネットワークインタフェース
212 :バス
214 :BLEモジュール
図1
図2
図3
図4
図5