(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】マスクおよびマスクの製造方法
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20240806BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
A41D13/11 A
A62B18/02 C
(21)【出願番号】P 2020142180
(22)【出願日】2020-08-26
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】藤田 愛子
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 宗一郎
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-023767(JP,A)
【文献】登録実用新案第3045995(JP,U)
【文献】特開2012-135598(JP,A)
【文献】国際公開第2014/024805(WO,A1)
【文献】特開2019-183343(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1814327(CN,A)
【文献】特開昭63-281666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A62B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1不織布と第2不織布を重ねて所定の搬送方向に搬送する工程と、
前記第1不織布と前記第2不織布の間において、前記搬送方向と交差する方向の両端から、それぞれ所定の距離内に形状保持部材を挿入して重ねる工程と、
2つの前記形状保持部材を前記第1不織布と前記第2不織布に接合し、2つの前記形状保持部材の配置位置から等距離となる位置において、前記搬送方向に沿って延びるように下縁部シール部を形成する工程と、
前記搬送方向と交差する方向に沿って延びるように、側縁部シール部を形成する工程と、
前記搬送方向に沿って、前記下縁部シール部を2つに分離する工程と、
前記搬送方向と交差する方向に沿って、前記側縁部シール部を第1側縁部シール部と、第2側縁部シール部に分離する工程と、を有するマスクの製造方法。
【請求項2】
各前記側縁部シール部に2列で計8個の貫通孔を形成する工程をさらに有し、
前記搬送方向に沿って、前記下縁部シール部を2つに分離する工程により、各前記側縁部シール部が前記貫通孔を4個ずつ備えるように分離し、
前記搬送方向に沿って、前記側縁部シール部を第1側縁部シール部と、第2側縁部シール部に分離する工程により、前記第1側縁部シール部、前記第2側縁部シール部がそれぞれ前記貫通孔を2個ずつ備えるように分離する、請求項
1に記載のマスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易な構造で効率的に製造可能なマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風邪対策や花粉症対策などとして、鼻と口を覆って顔に装着するマスクが用いられている。近年では、特に、不織布からなるマスク本体に、弾性を有する紐状の固定部を有する使い捨てマスクが広く利用されている。また、マスクの機能も益々向上しており、個人個人の顔に合わせたマスクも提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使い捨てマスクは、一度使用されると廃棄されることが想定されており、繰り返し使われることが少ない。このため、汚染されたマスクが再利用されず、衛生的である。しかしながら、感染症などが急速に広まった場合に、製造が追い付かなくなり、市場に十分な供給ができなくなるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、簡易な構造で効率的に製造することが可能なマスク、およびこのようなマスクの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、
対向する第1不織布と第2不織布を有し、上縁部と、当該上縁部と対向する下縁部と、前記上縁部と前記下縁部との間に延びる第1側縁部と第2側縁部とを備えたマスクであって、
前記第1側縁部に沿って形成された第1側縁部シール部と、
前記第2側縁部に沿って形成された第2側縁部シール部と、
前記下縁部に沿って形成された下縁部シール部と、
前記上縁部寄りにおいて、前記上縁部に沿う方向に、前記第1側縁部から前記第2側縁部に亘って延びる形状保持部材と、を有し、
前記形状保持部材の上端と前記上縁部の距離は10mm以下であるマスクを提供する。
【0007】
また、本発明のマスクは、
前記第1側縁部シール部、前記第2側縁部シール部には、それぞれ互いに対向する位置に、2つの貫通孔が形成されていてもよい。
【0008】
また、本発明は、
第1不織布と第2不織布を重ねて所定の搬送方向に搬送する工程と、
前記第1不織布と前記第2不織布の間において、前記搬送方向と交差する方向の両端から、それぞれ所定の距離内に形状保持部材を挿入して重ねる工程と、
2つの前記形状保持部材を前記第1不織布と前記第2不織布に接合し、2つの前記形状保持部材の配置位置から等距離となる位置において、前記搬送方向に沿って延びるように下縁部シール部を形成する工程と、
前記搬送方向と交差する方向に沿って延びるように、側縁部シール部を形成する工程と、
前記搬送方向に沿って、前記下縁部シール部を2つに分離する工程と、
前記搬送方向と交差する方向に沿って、前記側縁部シール部を第1側縁部シール部と、第2側縁部シール部に分離する工程と、を有するマスクの製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明のマスクの製造方法は、
各前記側縁部シール部に2列で計8個の貫通孔を形成する工程をさらに有し、
前記搬送方向に沿って、前記下縁部シール部を2つに分離する工程により、各前記側縁部シール部が前記貫通孔を4個ずつ備えるように分離し、
前記搬送方向に沿って、前記側縁部シール部を第1側縁部シール部と、第2側縁部シール部に分離する工程により、前記第1側縁部シール部、前記第2側縁部シール部がそれぞれ前記貫通孔を2個ずつ備えるように分離するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構造で効率的に製造することが可能なマスクおよびマスクの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るマスクを示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るマスクを構成する部材を示す分解図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るマスクの製造方法を示す図である。
【
図5】クリップ付紐を用いた、本実施形態に係るマスクの使用例を示す図である。
【
図7】変形例に係るマスクの製造方法を示す図である。
【
図8】固定紐を用いた、変形例に係るマスクの使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るマスクを示す正面図である。また、
図2は、本発明の一実施形態に係るマスクを構成する部材を示す分解図である。
図3は、
図1に示したマスクの断面図である。このうち、
図3(a)は、
図1のA-A線に対応した断面図であり、
図3(b)は、
図1のB-B線に対応した断面図である。本実施形態のマスクは、正面視において長方形状である。本実施形態において、長方形とは、四隅が直角の長方形だけでなく、長方形の四隅が面取りされて、外に凸の円弧状となったものも含む概念である。したがって、
図1に示した平面視において、マスクの4隅が曲線状であってもよい。
【0013】
<<構成部材>>
本実施形態のマスク10は、
図2に示すように、略長方形状の第1不織布1と、第1不織布1と同一形状の第2不織布2と、平面視で帯状の形状保持部材20の3つの部材で構成されている。本実施形態のマスクは、第1不織布1、第2不織布2、形状保持部材20の3つの部材が所定の箇所においてヒートシール(熱融着)されることにより形成される。
【0014】
図2に示すように、平面視で帯状の形状保持部材20は、第1不織布1と同一形状の第2不織布2に挟まれている。第1不織布1と第2不織布2は、同一形状であるため、第1不織布1側から見ても第2不織布2側から見ても同様である。そのため、マスクの背面図は省略しているが、
図1に示した正面図と同様である。
【0015】
<<各シール部>>
本実施形態のマスク10は、
図1に示すように、第1側縁部シール部16と、第2側縁部シール部17と、下縁部シール部15を備えている。
図1においては、各シール部を斜線のハッチングで示している。第1側縁部シール部16、第2側縁部シール部17、下縁部シール部15は、第1不織布1と第2不織布2がシールされて接合されたものである。
【0016】
第1側縁部シール部16は、第1側縁部6に沿うようにして、第1側縁部6(
図1における左端)を含むように形成されており、第2側縁部シール部17は、第2側縁部7に沿うようにして、第2側縁部7(
図1における右端)を含むように形成されている。下縁部シール部15は、下縁部5に沿うようにして、下縁部5(
図1における下端)を含むように形成されている。第1側縁部シール部16、第2側縁部シール部17、下縁部シール部15のシール幅は、任意に設定することができるが、5mm以上15mm以下とすることが好ましい。なお、シール幅は、シール部が延びる方向と直交する方向における幅である。第1側縁部シール部16、第2側縁部シール部17、下縁部シール部15のいずれも各縁部の端まで形成されている。これにより、後述するように、効率的なマスクの製造を行うことが可能となる。
【0017】
マスク10の大きさについては、特に限定はないが、第1側縁部6と第2側縁部7の距離であるマスク10の幅(
図1における左右方向の幅)は100mm~200mm、上縁部4と下縁部5の距離であるマスク10の高さ(
図1における上下方向の長さ)は80mm~140mmであることが好ましい。当然ながら、大人用と子供用で大きさも異なる。
【0018】
<<不織布の詳細>>
マスク10を構成する第1不織布1、第2不織布2としては、ヒートシールにより接合可能な不織布を用いることができる。通気性を有し、飛沫の通過を防ぐことの可能な大きさの間隙を有している不織布であれば、様々なものを用いることができる。
【0019】
ヒートシールにより接合可能な不織布としては、例えば、二成分複合型スパンボンド不織布や高密度ポリエチレン不織布を好適に用いることができる。二成分複合型スパンボンド不織布とは、繊維の芯がポリエステル、鞘がポリエチレンの芯鞘構造を有する不織布である。また、高密度ポリエチレン不織布とは、0.5μm~10μmのポリエチレンの極細長繊維をランダムに積層して熱と圧力だけで結合した不織布である。二成分複合型スパンボンド不織布としては、例えば、ユニチカ社製「エルベス T0303WD0」を用いることができる。高密度ポリエチレン不織布としては、例えば、三井デュポン社製「タイベック 1059B」を用いることができる。第1不織布1、第2不織布2としては、異なるものを用いてもよいが、同一のものを用いる方が製造効率の観点から好ましい。
【0020】
<<形状保持部材>>
次に、形状保持部材20について説明する。
図1~
図3に示すように、本実施形態のマスク10では、上縁部4寄りの位置に、上縁部4に沿って、マスク10を鼻に固定し易くするための形状保持部材20が形成されている。本実施形態では、形状保持部材20は、平面視で帯状の形状となっている。
図1に示すように、形状保持部材20は、上縁部4寄りにおいて、上縁部4に沿う方向に、第1側縁部6から第2側縁部7に亘って設けられている。本実施形態では、形状保持部材20の長手方向が、上縁部4に平行になるように設けられている。
【0021】
図3に示すように、形状保持部材20は第1不織布1の内面、第2不織布2の内面に、それぞれ接合されている。なお、
図1、
図3(b)において、形状保持部材20が第1側縁部シール部16、第2側縁部シール部17と重なる部分においては、形状保持部材20は、熱溶着されて第1側縁部シール部16、第2側縁部シール部17と一体に固着されている。なお、
図1においては、第1側縁部シール部16、第2側縁部シール部17と重なる部分を含めて、形状保持部材20の全体を同一のハッチングで示している。
【0022】
図1に示すように形状保持部材20は、その上縁部4寄りの端部である上端20aが上縁部4から距離Laだけ第2縁部5寄りの位置に形成されている。すなわち、距離Laは、上縁部4から形状保持部材20の上端20aまでの距離である。距離Laとしては、1mm以上10mm以下であることが好ましく、2mm以上8mm以下であることがより好ましい。例えば、La=5mmとすることができる。距離Laが小さ過ぎると、製造上の誤差により形状保持部材20が上縁部4からはみ出してしまう恐れがある。ただし、完成した製品において、距離La=0mmとなる場合もある。距離Laが大き過ぎると、形状保持部材20を鼻に固定した際に、上縁部4が目の下方に掛かってしまう恐れがある。
【0023】
図1に示すLbは、平面視で帯状となる形状保持部材20の幅である。すなわち、Lbは上縁部4と下縁部5を結ぶ方向における形状保持部材20の幅であり、形状保持部材20の上端20aと下端20bとの距離である。形状保持部材20の幅Lbとしては、特に制限はないが、1mm以上7mm以下であることが好ましく、2mm以上6mm以下であることがより好ましい。例えば、Lb=4mmとすることができる。幅Lbが小さ過ぎると、長時間の装着により、形状保持部材20の当たる鼻の部分に痛みを与えてしまう恐れがある。また、幅Lbが大き過ぎると、マスクを鼻に固定し難くなる恐れがある。
【0024】
形状保持機能を備え、鼻に対応した形状に一度変形させると、その形状を保持する形状保持部材20の素材としては、鼻にフィットし易い形状を保形できる程度に形状保持機能を発揮できるものであれば、様々なものを用いることができる。形状保持部材20としては、例えば、高密度ポリエチレン樹脂100質量部に対して無機充填物0.1~40質量部を添加した樹脂組成物を用いることができる。無機充填物としては、タルク、造核剤、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムからなる群の中から一又は二以上選択して用いることが好ましい。形状保持部材20が上記のような素材を含んでいることにより、延伸工程を介在させることなく、押出成形工程のみで形状保持部材20の形成が可能となる。
【0025】
また、形状保持部材20の素材としては、第1不織布1、第2不織布2として用いられる不織布と相溶性を有する樹脂を用いることができる。具体的には、不織布と相溶性を有するポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。オレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン(RPP)、プロピレン-エチレン-ブテン1ランダム三元共重合体などが利用できる。
【0026】
<<製造方法>>
次に、本実施形態に係るマスク10の製造方法について説明する。
図4は、本実施形態に係るマスク10の製造装置の一部を上面から見た図である。まず、第1不織布1、第2不織布2となる連続状の2枚の不織布を用意する。そして、同一幅の連続状の2枚の不織布を、両端を揃えて重ね合わせた状態で搬送させる。後に、この両端が、それぞれマスクの上縁部4となる。
図4において、重ねられた連続状の2枚の第1不織布1、第2不織布2は、上から下に向かって搬送されている。そして、所定の位置において、両端(
図4における左右端)から重ね合わせた2枚の第1不織布1、第2不織布2の間にそれぞれ形状保持部材20を挟み込む。形状保持部材20は、両端部それぞれから距離Laとなる位置に配置されて搬送される。
【0027】
図4に示すように、形状保持部材20の挿入位置より下流側(
図4の下方側)には、上流から下流に向かう流れ方向を長手方向とする3つの熱加工部31a、31b、32が設置されている。このうち、熱加工部31a、31bは、形状保持部材20を挟んだ位置において第1不織布1、第2不織布2に対して熱加工を行い、第1不織布1、形状保持部材20、第2不織布2を接合する。そして、熱加工部32は、第1不織布1、第2不織布2に対して熱加工を行い、第1不織布1の内面と第2不織布2の内面を接合する。熱加工部32によりヒートシールされた部分は、後に下縁部シール部15となる。したがって、熱加工部32は、2つの形状保持部材20の配置位置から等距離となる位置において、搬送方向に沿って延びるように下縁部シール部15を形成している。
【0028】
熱加工部31a、31b、32よりさらに下流側(
図4の下方側)には、搬送方向と交差する方向を長手方向とする熱加工部33が設置されている。熱加工部33は、第1不織布1、第2不織布2に対して熱加工を行い、第1不織布1の内面と第2不織布2の内面を接合する。これにより、第1側縁部シール部16、第2側縁部シール部17の元になる側縁部シール部が形成される。熱加工部33によりヒートシールされた部分である側縁部シール部は、後に第1側縁部シール部16、第2側縁部シール部17となる。
【0029】
熱加工部33よりさらに下流側(
図4の下方側)には、搬送方向に沿って、スリット加工を行うスリット加工部34が設置されている。スリット加工部34は、第1不織布1、第2不織布2が重ねられた連続シートを搬送方向に沿ってスリットする。スリット加工の位置は、連続シートの両端(後に上縁部4となる。)からそれそれ等距離となる位置である。これにより、第1不織布1、第2不織布2が重ねられた連続シートは、搬送方向に沿って2つに分離される。スリット加工された位置は、下縁部5となる。
【0030】
図示は省略しているが、さらに下流側において、搬送方向と交差する方向に延びるカッターにより、熱加工部33でヒートシールされた部分を分離する。分離された端部は、それぞれのマスク10の第1側縁部6、第2側縁部7となる。これにより、各個体のマスク10に分離される。
【0031】
以上のような製造方法によってマスクを製造することにより、樹脂製の袋(パウチ)を構成する生産資源、生産手順により、効率的にマスクを製造することができる。このため、感染症の急激な流行が生じ、マスクの需要が急激に高まった場合でも、迅速に製造してマスクを供給することが可能となる。
【0032】
本実施形態に係るマスクを顔に装着するためには、別途クリップ付紐などの固定用紐を用意する。クリップ付紐は、紐の両端にクリップが接続されたものであり、市販されている。クリップ付紐としては、紐がゴム製であって弾性を有するものや、樹脂製で弾性を有していないものがある。
図5は、クリップ付紐を用いた、本実施形態に係るマスクの使用例を示す図である。
【0033】
図5(a)は、頭部に固定する場合に適した使用例である。
図5(a)の例では、両端にクリップ41a、41bを備えたクリップ付紐40を2本用意する。そして、一方のクリップ41aで第1側縁部シール部16を挟み、他方のクリップ41bで第2側縁部シール部17を挟む。2本のクリップ付紐40で上縁部4寄りと下縁部5寄りの位置を固定することにより、
図5(a)に示すような固定用紐付きのマスクが得られる。この2本のクリップ付紐40を頭に掛けることにより、マスクを装着することができる。
【0034】
図5(b)は、耳に固定する場合に適した使用例である。
図5(b)の例でも、両端にクリップ41a、41bを備えたクリップ付紐40を2本用意する。そして、一方のクリップ41aで第1側縁部シール部16の上縁部4寄りを挟み、他方のクリップ41bで第1側縁部シール部16の下縁部5寄りを挟む。2本のクリップ付紐40をそれぞれ第1側縁部シール部16側と第2側縁部シール部17側に固定することにより、
図5(b)に示すような固定用紐付きのマスクが得られる。この2本のクリップ付紐40を両耳にそれぞれ掛けることにより、マスクを装着することができる。
【0035】
次に本発明のマスクの変形例について説明する。
図6は、マスクの変形例を示す正面図である。変形例のマスク10Aは、基本的な構成は、
図1に示したマスク10と同様であるが、挿通孔9を備える点が異なっている。そのため、上記実施形態と同一の箇所については、同一符号を付して説明を省略する。変形例のマスク10Aでは、第1側縁部シール部16、第2側縁部シール部17には、それぞれ互いに対向する位置に、2つの挿通孔9が形成されている。挿通孔9は、マスク10Aを顔に装着する際の紐を通すための貫通孔である。
【0036】
挿通孔9の形成位置は、マスク10Aを顔に装着し易い位置であれば特に限定されないが、上縁部4寄りの挿通孔9と上縁部4の距離と、下縁部5寄りの挿通孔9と下縁部5の距離が同一または同一に近いことが好ましい。マスク10Aの上下のバランスをとるためである。
【0037】
変形例に係るマスク10Aの製造方法について説明する。
図7は、
図4に対応しており、変形例に係るマスク10Aの製造装置の一部を上面から見た図である。
図7と
図4を比較すると、
図7においては、熱加工部33の下流にさらに孔形成部35を備える点が異なっている。孔形成部35は、1列あたり4個の挿通孔9を2列、計8個を一度に形成する。
【0038】
そして、スリット加工部34によりスリット加工が行われた後、さらに下流側において、搬送方向と交差する方向に延びるカッター(図示省略)により、熱加工部33でヒートシールされた部分を、2列の挿通孔9の各列の間の位置で分離する。これにより、挿通孔9を備えた各個体のマスク10に分離される。
【0039】
変形例に係るマスク10Aを顔に装着するためには、別途固定用紐を用意する。変形例に係るマスク10Aは、挿通孔9を4個備えているため、紐を挿通孔9に通して先端部を結んで挿通孔9を通らない形状にすることにより固定することができる。変形例に係るマスク10Aに用いる紐としては、紐がゴム製であって弾性を有するものや、樹脂製で弾性を有していないもの等、どのような紐であってもよい。
図8は、固定紐を用いた、変形例に係るマスクの使用例を示す図である。
【0040】
図8(a)は、頭部に固定する場合に適した使用例である。
図8(a)の例では、単純な紐である固定用紐50を2本用意する。そして、一方の端部を第1側縁部シール部16の挿通孔9に通して固定し、他方の端部を第2側縁部シール部17の挿通孔9に通して固定する。2本の固定用紐50で上縁部4寄りと下縁部5寄りの位置を固定することにより、
図8(a)に示すような固定用紐付きのマスクが得られる。この2本の固定用紐50を頭に掛けることにより、マスクを装着することができる。
【0041】
図8(b)は、耳に固定する場合に適した使用例である。
図8(b)の例でも、単純な紐である固定用紐50を2本用意する。そして、一方の端部を第1側縁部シール部16の上縁部4寄りの挿通孔9に通して固定し、他方の端部を第1側縁部シール部16の下縁部5寄りの挿通孔9に通して固定する。2本の固定用紐50をそれぞれ第1側縁部シール部16側と第2側縁部シール部17側に固定することにより、
図8(b)に示すような固定用紐付きのマスクが得られる。この2本の固定用紐50を両耳にそれぞれ掛けることにより、マスクを装着することができる。
【0042】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、対向する第1不織布、第2不織布を、それぞれ1枚構成としたが、それぞれ不織布を複数枚重ねた構成としてもよい。不織布を複数枚重ねた構成であっても、第1側縁部シール部、第2側縁部シール部、下縁部シール部を形成し、形状保持部材を接合することにより、複数枚の不織布が縁部において一体化されたマスクを得ることができる。
【符号の説明】
【0043】
1・・・第1不織布
2・・・第2不織布
4・・・上縁部
5・・・下縁部
6・・・第1側縁部
7・・・第2側縁部
9・・・挿通孔
10、10A・・・マスク
15・・・下縁部シール部
16・・・第1側縁部シール部
17・・・第2側縁部シール部
20・・・形状保持部材
20a・・・上端
20b・・・下端
La・・・上縁部4から形状保持部材20の上端20aまでの距離
Lb・・・上縁部4と下縁部5を結ぶ方向における形状保持部材20の幅