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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】流体圧力制御装置、およびポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/10 20060101AFI20240806BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
F04C2/10 341E
F04C15/00 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020144477
(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公開番号】P2022039454
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】橋本 裕
(72)【発明者】
【氏名】小林 喜幸
(72)【発明者】
【氏名】樋口 孔二
【審査官】森 秀太
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-026588(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なインナーロータ、および前記インナーロータを囲み前記インナーロータと噛み合うアウターロータを有するポンプ機構と、
前記ポンプ機構を収容するポンプ室を有するハウジングと、
を備え、
前記ハウジングは、
前記ポンプ室の軸方向一方側に位置し、前記ポンプ室に繋がる吸入ポートおよび吐出ポートと、
前記吸入ポートに繋がる第1流路と、
前記吐出ポートに繋がる第2流路と、
を有し、
前記吸入ポートは、前記中心軸回りの周方向に延び、
前記吸入ポートのうち軸方向の前記ポンプ室側を向く底面は、
前記ポンプ室との間の軸方向の距離が一様な平坦部と、
前記平坦部の周方向一方側に繋がり、前記平坦部から周方向一方側に離れるに従って前記ポンプ室に軸方向に近づく傾斜部と、
を有し、
前記第1流路は、前記吸入ポートのうち前記底面が前記平坦部になっている部分および前記吸入ポートのうち前記中心軸を中心とする径方向の外縁部に繋がり、
前記外縁部は、周方向に延び、
前記第1流路は、
軸方向に見て、前記第1流路の周方向の縁部のうち前記傾斜部に近い側の第1周方向縁部と、
軸方向に見て、前記第1流路の周方向の縁部のうち前記傾斜部から遠い側の第2周方向縁部と、有し、
前記第1周方向縁部と前記外縁部とが接続されて構成された第1角部を有し、
前記第2周方向縁部と前記外縁部とが接続されて構成された第2角部を有し、
前記第2角部の角度は、鈍角であり、
前記第1周方向縁部は、軸方向に見て直線状に延びて前記第1角部に繋がる第1直線部を有し、
軸方向に見て、前記第1直線部を径方向の内側に延長した第1延長線は、前記吸入ポートのうち前記底面が前記平坦部になっている部分における径方向の内縁部と交差し、
前記第2周方向縁部は、軸方向に見て直線状に延びて前記第2角部に繋がる第2直線部を有し、
軸方向に見て、前記第2直線部を径方向の内側に延長した第2延長線は、前記吸入ポートの周方向他方側と交差し、
前記底面のうち、前記第1延長線と、前記第2延長線と、前記内縁部と、によって囲まれる領域は、前記平坦部を含み且つ前記傾斜部を含まない、体圧力制御装置。
【請求項2】
前記第2流路は、吐出流路である、請求項1に記載の流体圧力制御装置。
【請求項3】
前記第1角部は、丸みを帯びている、請求項に記載の流体圧力制御装置。
【請求項4】
前記第1流路は、前記外縁部の前記周方向の両端部から前記周方向に離れた位置において前記外縁部に繋がり、
前記第2角部の角度は、90°以上、180°未満である、請求項またはに記載の流体圧力制御装置。
【請求項5】
軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なインナーロータ、および前記インナーロータを囲み前記インナーロータと噛み合うアウターロータを有するポンプ機構と、
前記ポンプ機構を収容するポンプ室を有するハウジングと、
を備え、
前記ハウジングは、
前記ポンプ室の軸方向一方側に位置し、前記ポンプ室に繋がる吸入ポートおよび吐出ポートと、
前記吸入ポートに繋がる第1流路と、
前記吐出ポートに繋がる第2流路と、
を有し、
前記吸入ポートは、前記中心軸回りの周方向に延び、
前記吸入ポートのうち軸方向の前記ポンプ室側を向く底面は、
前記ポンプ室との間の軸方向の距離が一様な平坦部と、
前記平坦部の周方向一方側に繋がり、前記平坦部から周方向一方側に離れるに従って前記ポンプ室に軸方向に近づく傾斜部と、
を有し、
前記第1流路は、前記吸入ポートのうち前記底面が前記平坦部になっている部分および前記吸入ポートのうち前記中心軸を中心とする径方向の外縁部に繋がり、
前記外縁部は、周方向に延び、
前記第1流路は、
軸方向に見て、前記第1流路の周方向の縁部のうち前記傾斜部に近い側の第1周方向縁部と、
軸方向に見て、前記第1流路の周方向の縁部のうち前記傾斜部から遠い側の第2周方向縁部と、有し、
前記第1周方向縁部と前記外縁部とが接続されて構成された第1角部を有し、
前記第2周方向縁部と前記外縁部とが接続されて構成された第2角部を有し、
前記第2角部の角度は、鈍角であり、
前記第1周方向縁部は、軸方向に見て直線状に延びて前記第1角部に繋がる第1直線部を有し、
軸方向に見て、前記第1直線部を径方向の内側に延長した第1延長線は、前記吸入ポートのうち前記底面が前記平坦部になっている部分における径方向の内縁部と交差し、
前記第2周方向縁部は、軸方向に見て直線状に延びて前記第2角部に繋がる第2直線部を有し、
軸方向に見て、前記第2直線部を径方向の内側に延長した第2延長線は、前記吸入ポートの周方向他方側と交差し、
前記底面のうち、前記第1延長線と、前記第2延長線と、前記内縁部と、によって囲まれる領域は、前記平坦部を含み且つ前記傾斜部を含まない、ポンプ。
【請求項6】
前記第1流路は、吸入流路であり、
前記第2流路は、吐出流路である、請求項に記載のポンプ。
【請求項7】
前記第1角部は、丸みを帯びている、請求項に記載のポンプ。
【請求項8】
前記第1流路は、前記外縁部の周方向の両端部から周方向に離れた位置において前記外縁部に繋がり、
前記第2角部の角度は、90°以上、180°未満である、請求項またはに記載のポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体圧力制御装置、およびポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプ室と、ポンプ室に繋がる吸入ポートおよび吐出ポートと、吸入ポートに繋がる吸入流路と、吐出ポートに繋がる吐出流路とが設けられたポンプが知られている。例えば、特許文献1には、そのようなポンプとして、車両用の駆動装置に搭載されるオイルポンプが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-89636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなポンプにおいては、吸入流路から吸入ポートに流入した流体がポンプ室内に吸入され、ポンプ室内から吐出ポートを介して吐出流路に流体が吐出される。このようにして吸入流路から吐出流路まで流体が流れる間において、流体が滑らかに流れにくい場合がある。この場合、流体の圧力に生じる脈動が大きくなる場合がある。そのため、例えば、ポンプが流体圧力制御装置に搭載される場合には、流体圧力制御装置による流体の圧力の制御に不具合が生じる虞がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、流体の圧力の脈動を抑制できる構造を有する流体圧力制御装置、およびポンプを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の流体圧力制御装置の一つの態様は、軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なインナーロータ、および前記インナーロータを囲み前記インナーロータと噛み合うアウターロータを有するポンプ機構と、前記ポンプ機構を収容するポンプ室を有するハウジングと、を備える。前記ハウジングは、前記ポンプ室の軸方向一方側に位置し、前記ポンプ室に繋がる第1ポートおよび第2ポートと、前記第1ポートに繋がる第1流路と、前記第2ポートに繋がる第2流路と、を有する。前記第1ポートは、前記中心軸回りの周方向に延びている。前記第1ポートのうち軸方向の前記ポンプ室側を向く底面は、前記ポンプ室との間の軸方向の距離が一様な平坦部と、前記平坦部の周方向一方側に繋がり、前記平坦部から周方向一方側に離れるに従って前記ポンプ室に軸方向に近づく傾斜部と、を有する。前記第1流路は、前記第1ポートのうち前記底面が前記平坦部になっている部分に繋がっている。
【0007】
本発明のポンプの一つの態様は、軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なインナーロータ、および前記インナーロータを囲み前記インナーロータと噛み合うアウターロータを有するポンプ機構と、前記ポンプ機構を収容するポンプ室を有するハウジングと、を備える。前記ハウジングは、前記ポンプ室の軸方向一方側に位置し、前記ポンプ室に繋がる第1ポートおよび第2ポートと、前記第1ポートに繋がる第1流路と、前記第2ポートに繋がる第2流路と、を有する。前記第1ポートは、前記中心軸回りの周方向に延びている。前記第1ポートのうち軸方向の前記ポンプ室側を向く底面は、前記ポンプ室との間の軸方向の距離が一様な平坦部と、前記平坦部の周方向一方側に繋がり、前記平坦部から周方向に離れるに従って前記ポンプ室に軸方向に近づく傾斜部と、を有する。前記第1流路は、前記第1ポートのうち前記底面が前記平坦部になっている部分に繋がっている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、流体圧力制御装置およびポンプにおいて、流体の圧力の脈動を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態の流体圧力制御装置を模式的に示す図であって、バルブが閉じた状態を示す図である。
図2図2は、本実施形態の流体圧力制御装置を模式的に示す図であって、バルブが開いた状態を示す図である。
図3図3は、本実施形態のポンプの一部を示す断面図である。
図4図4は、本実施形態のポンプ機構を上側から見た図である。
図5図5は、本実施形態の第1ハウジングの一部を下側から見た図である。
図6図6は、本実施形態の第2ハウジングの一部を示す斜視図である。
図7図7は、本実施形態の第2ハウジングの一部を上側から見た図である。
図8図8は、本実施形態のポンプの一部を示す断面図であって、図4におけるVIII-VIII断面図である。
図9図9は、本実施形態の吸入孔、吐出孔、吸入ポート、および吐出ポートを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明においては、図に適宜示す中心軸J1が延びる方向と平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。中心軸J1は、後述するインナーロータ50の回転軸である。特に断りのない限り、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1回りの周方向を単に「周方向」と呼ぶ。軸方向は、図においてZ軸で示す。軸方向のうちZ軸の正の側を「上側」と呼び、軸方向のうちZ軸の負の側を「下側」と呼ぶ。本実施形態において「下側」は、「軸方向一方側」に相当する。周方向は、図において矢印θで示す。矢印θは、上側から見て、中心軸J1を中心とする反時計回りに進む向きを向いている。周方向のうち矢印θが向く側を「周方向一方側」と呼び、周方向のうち矢印θが向く側と逆側を「周方向他方側」と呼ぶ。なお、上側および下側とは、単に各部の配置関係等を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
図1および図2に示す本実施形態の流体圧力制御装置1は、例えば、車両に搭載される。流体圧力制御装置1は、ポンプ10と、バルブ80と、を備える。本実施形態においてポンプ10は、流体としてのオイルOを送るオイルポンプである。つまり、本実施形態において流体圧力制御装置1は、油圧制御装置である。
【0012】
図3に示すように、ポンプ10は、ハウジング2と、ポンプ機構70と、を備える。つまり、流体圧力制御装置1は、ハウジング2と、ポンプ機構70と、を備える。ハウジング2は、第1ハウジング20と、第2ハウジング30と、セパレートプレート40と、を有する。
【0013】
第1ハウジング20と第2ハウジング30とセパレートプレート40とは、例えば、流体圧力制御装置1のハウジングも構成している。第1ハウジング20と第2ハウジング30とは、セパレートプレート40を軸方向に挟んで配置されている。第1ハウジング20は、例えば、セパレートプレート40の上側に位置する。第2ハウジング30は、例えば、セパレートプレート40の下側に位置する。第1ハウジング20と第2ハウジング30とは、例えば、それぞれオイルOが流れる流路を内部に有する部材である。以下の説明においては、各ハウジングに設けられる流路において、オイルOが流れる方向の上流側を単に「上流側」と呼び、オイルOが流れる方向の下流側を単に「下流側」と呼ぶ。
【0014】
図3に示すように、第1ハウジング20は、本体部21と、取付部22と、を有する。取付部22は、本体部21から上側に突出している。取付部22は、例えば、上側に開口する筒状である。取付部22には、ポンプ機構70を駆動する駆動装置90が取り付けられる。
【0015】
駆動装置90は、例えば、モータやエンジンである。駆動装置90は、筒状部91と、シャフト92と、Oリング93と、を備える。筒状部91は、駆動装置90のハウジングの一部である。筒状部91は、下側に底部を有する筒状である。筒状部91は、取付部22の内側に嵌め合わされる。筒状部91の外周面には、Oリング93が嵌め込まれる溝が設けられている。Oリング93は、筒状部91の外周面と取付部22の内周面との間を封止する。筒状部91の底部は、孔部91aを有する。シャフト92は、中心軸J1回りに回転可能である。中心軸J1は、軸方向に延びる仮想線である。シャフト92は、孔部91aを介して、筒状部91よりも下側に突出している。シャフト92の下側の端部は、ポンプ機構70に連結される。
【0016】
第1ハウジング20は、ポンプ室23と、吸入側凹部25と、吐出側凹部26と、を有する。つまり、ハウジング2は、ポンプ室23と、吸入側凹部25と、吐出側凹部26と、を有する。ポンプ室23と吸入側凹部25と吐出側凹部26とは、例えば、本体部21に設けられている。
【0017】
ポンプ室23は、内部にポンプ機構70を収容する部分である。ポンプ室23は、第1ハウジング20の下側の面から上側に窪んでいる。ポンプ室23は、下側に開口している。図4に示すように、ポンプ室23は、軸方向に見て、偏心軸J2を中心とする円形状である。偏心軸J2は、中心軸J1と平行に延び、中心軸J1に対して中心軸J1の径方向に偏心した仮想軸である。図3に示すように、ポンプ室23における下側の開口の一部は、セパレートプレート40によって塞がれている。ポンプ室23の内部は、孔部24を介して、取付部22の内部に繋がっている。
【0018】
孔部24は、ポンプ室23の内側の面のうち上側に位置する面から本体部21の上側の面まで第1ハウジング20を軸方向に貫通している。図5に示すように、孔部24は、例えば、中心軸J1を中心とする円形状の孔である。図3に示すように、孔部24は、本体部21の上側の面のうち、取付部22によって囲まれた部分に開口している。孔部24の内径は、例えば、取付部22の内径よりも小さい。
【0019】
吸入側凹部25および吐出側凹部26は、ポンプ室23の内側面のうち上側に位置する面から上側に窪んでいる。吸入側凹部25と吐出側凹部26とは、中心軸J1を径方向に挟んで配置されている。図5に示すように、吸入側凹部25および吐出側凹部26は、周方向に延びている。吸入側凹部25は、例えば、軸方向に見て、後述する吸入ポート31と同じ形状であり、かつ、吸入ポート31と同じ大きさである。吸入側凹部25と吸入ポート31とは、例えば、軸方向に見て、互いに全体が重なり合っている。吐出側凹部26は、例えば、軸方向に見て、後述する吐出ポート32と同じ形状であり、かつ、吐出ポート32と同じ大きさである。吐出側凹部26と吐出ポート32とは、例えば、軸方向に見て、互いに全体が重なり合っている。
【0020】
図示は省略するが、第1ハウジング20には、ポンプ室23の他に、例えば、オイルOが流れる流路も設けられている。第1ハウジング20に設けられた流路は、例えば、軸方向と直交する平面に沿って延びている。第1ハウジング20に設けられた流路は、例えば、第1ハウジング20の下側の面から上側に窪み軸方向と直交する方向に延びる溝がセパレートプレート40によって下側から塞がれることで構成されている。
【0021】
図3に示すように、第2ハウジング30は、第1ハウジング20の下側に位置する。第2ハウジング30は、第1ハウジング20との間でセパレートプレート40を軸方向に挟んでいる。第2ハウジング30は、吸入ポート31と、吐出ポート32と、を有する。つまり、ハウジング2は、吸入ポート31と、吐出ポート32と、を有する。本実施形態において吸入ポート31は「第1ポート」に相当し、吐出ポート32は「第2ポート」に相当する。
【0022】
吸入ポート31および吐出ポート32は、軸方向に見て、ポンプ室23に重なっている。吸入ポート31および吐出ポート32は、ポンプ室23の下側に位置する。吸入ポート31および吐出ポート32は、ポンプ室23に繋がっている。吸入ポート31は、後述する吸入孔41を介してポンプ室23の内部に繋がっている。吐出ポート32は、後述する吐出孔42を介してポンプ室23の内部に繋がっている。吸入ポート31には、ポンプ室23に吸入されるオイルOが流入する。吐出ポート32には、ポンプ室23から吐出されるオイルOが流入する。
【0023】
吸入ポート31および吐出ポート32は、第2ハウジング30の上側の面から下側に窪んでいる。図4に示すように、吸入ポート31と吐出ポート32とは、周方向に延びている。より詳細には、吸入ポート31の径方向内側の縁部および吐出ポート32の径方向内側の縁部は、中心軸J1を中心とする周方向に延びている。吸入ポート31の径方向外側の縁部および吐出ポート32の径方向外側の縁部は、偏心軸J2を中心とする周方向に延びている。吸入ポート31と吐出ポート32とは、中心軸J1を径方向に挟んで配置されている。吸入ポート31と吐出ポート32とは、周方向に間隔を空けて配置されている。吐出ポート32は、吸入ポート31の周方向一方側(+θ側)に離れて位置する。
【0024】
吸入ポート31の径方向の寸法は、周方向一方側(+θ側)に向かうに従って大きくなっている。吐出ポート32の径方向の寸法は、周方向一方側に向かうに従って小さくなっている。吸入ポート31内および吐出ポート32内においてオイルOは、概ね周方向一方側向き(+θ向き)に流れる。つまり、吸入ポート31および吐出ポート32においては、周方向一方側が下流側であり、周方向他方側が上流側である。
【0025】
図6および図7に示すように、吸入ポート31の底面31aは、平坦部31fと、傾斜部31sと、を有する。底面31aは、吸入ポート31の内側面のうち下側に位置する面である。底面31aは、軸方向のポンプ室23側、すなわち上側を向いている。底面31aは、周方向に延びている。
【0026】
平坦部31fは、底面31aのうち周方向他方側(-θ側)寄りの部分である。図7に示すように、平坦部31fは、周方向に延びている。平坦部31fの周方向他方側の端部は、例えば、底面31aの周方向他方側の端部である。平坦部31fの周方向一方側(+θ側)の端部は、傾斜部31sの周方向他方側の端部と繋がっている。平坦部31fの径方向の寸法は、周方向一方側に向かうに従って大きくなっている。
【0027】
平坦部31fは、ポンプ室23との間の軸方向の距離が一様である。平坦部31fは、例えば、軸方向と直交する平坦な面である。本実施形態において平坦部31fとポンプ室23との間の軸方向の距離は、例えば、平坦部31fと第1ハウジング20の下側の端面との間の軸方向の距離である。
【0028】
なお、本明細書において「平坦部とポンプ室との間の軸方向の距離が一様である」とは、平坦部のいずれの箇所においてもポンプ室との間の軸方向の距離が厳密に同じである場合と、平坦部のいずれの箇所においてもポンプ室との間の軸方向の距離が略同じである場合と、を含む。平坦部のいずれの箇所においてもポンプ室との間の軸方向の距離が略同じである場合とは、例えば、製造時の公差などにより、平坦部とポンプ室との間の軸方向の距離に僅かなバラつきが生じる場合を含む。
【0029】
傾斜部31sは、平坦部31fの周方向一方側(+θ側)に繋がっている。傾斜部31sは、例えば、底面31aのうち周方向一方側寄りの部分である。傾斜部31sは、周方向に延びている。傾斜部31sの周方向一方側の端部は、例えば、底面31aの周方向一方側の端部である。図6および図8に示すように、傾斜部31sは、周方向一方側に向かうに従って上側に位置する。つまり、傾斜部31sは、平坦部31fから周方向一方側に離れるに従ってポンプ室23に軸方向に近づいている。言い換えれば、傾斜部31sは、吐出ポート32の周方向他方側(-θ側)の端部に近づくに従って吸入孔41に軸方向に近づいている。図7に示すように、傾斜部31sの径方向の寸法は、周方向一方側に向かうに従って大きくなっている。傾斜部31sの径方向の寸法は、例えば、平坦部31fの径方向の寸法よりも大きい。
【0030】
吐出ポート32の底面32aは、平坦部32fと、傾斜部32sと、を有する。底面32aは、吐出ポート32の内側面のうち下側に位置する面である。底面32aは、軸方向のポンプ室23側、すなわち上側を向いている。底面32aは、周方向に延びている。平坦部32fは、底面32aのうち周方向一方側(+θ側)寄りの部分である。平坦部32fは、周方向に延びている。平坦部32fの周方向一方側の端部は、例えば、底面32aの周方向一方側の端部である。平坦部32fの周方向他方側(-θ側)の端部は、傾斜部32sの周方向一方側の端部と繋がっている。平坦部32fの径方向の寸法は、周方向一方側に向かうに従って小さくなっている。
【0031】
平坦部32fは、ポンプ室23との間の軸方向の距離が一様である。平坦部32fは、例えば、軸方向と直交する平坦な面である。本実施形態において平坦部32fとポンプ室23との間の軸方向の距離は、例えば、平坦部32fと第1ハウジング20の下側の端面との間の軸方向の距離である。平坦部32fの軸方向位置は、例えば、平坦部31fの軸方向位置と同じである。平坦部31fと平坦部32fとは、例えば、互いに平行である。
【0032】
傾斜部32sは、平坦部32fの周方向他方側(-θ側)に繋がっている。傾斜部32sは、例えば、底面32aのうち周方向他方側寄りの部分である。傾斜部32sは、周方向に延びている。傾斜部32sの周方向他方側の端部は、例えば、底面32aの周方向他方側の端部である。図6および図8に示すように、傾斜部32sは、周方向一方側(+θ側)に向かうに従って下側に位置する。つまり、傾斜部32sは、平坦部32fに周方向に近づくに従ってポンプ室23から軸方向に離れている。言い換えれば、傾斜部32sは、吸入ポート31の周方向一方側の端部から周方向一方側に離れるに従って吐出孔42から軸方向に離れている。図7に示すように、傾斜部32sの径方向の寸法は、周方向一方側に向かうに従って小さくなっている。傾斜部32sの径方向の寸法は、例えば、平坦部32fの径方向の寸法よりも大きい。
【0033】
平坦部32fに対する傾斜部32sの傾斜角度は、例えば、平坦部31fに対する傾斜部31sの傾斜角度と同じである。なお、平坦部32fに対する傾斜部32sの傾斜角度は、平坦部31fに対する傾斜部31sの傾斜角度より大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0034】
第2ハウジング30は、吸入流路33と、吐出流路34と、を有する。つまり、ハウジング2は、吸入流路33と、吐出流路34と、を有する。本実施形態において、吸入流路33は第1流路に相当し、吐出流路34は第2流路に相当する。吸入流路33は、吸入ポート31に繋がっている。吸入流路33には、流体圧力制御装置1の外部からオイルOが吸入される。吸入流路33に吸入されたオイルOは、吸入ポート31に流入する。吐出流路34は、吐出ポート32に繋がっている。ポンプ機構70によってポンプ室23内から吐出ポート32に吐出されたオイルOは、吐出流路34に流入する。吐出流路34に流入したオイルOは、流体圧力制御装置1の外部に吐出される。
【0035】
吸入流路33は、例えば、軸方向と直交する方向に延びている。吸入流路33は、吸入ポート31のうち底面31aが平坦部31fになっている部分に繋がっている。吸入流路33は、例えば、吸入ポート31のうち周方向他方側(-θ側)寄りの部分に繋がっている。吸入流路33は、吸入ポート31のうち径方向の外縁部31dに繋がっている。吸入流路33のうち吸入ポート31に繋がる部分は、例えば、略径方向に延びている。吸入流路33のうち吸入ポート31に繋がる部分は、例えば、軸方向に見て、吸入ポート31に近づくに従って幅が大きくなっている。
【0036】
本実施形態において吸入流路33は、外縁部31dの周方向の両端部から周方向に離れた位置において外縁部31dに繋がっている。吸入流路33のうち外縁部31dに繋がる部分は、吸入ポート31の周方向他方側(-θ側)の端部よりも周方向一方側(+θ側)に離れて位置する。吸入流路33のうち外縁部31dに繋がる部分は、吸入ポート31の周方向一方側(+θ側)の端部よりも周方向他方側(-θ側)に離れて位置する。
【0037】
吸入流路33の内側面のうち下側に位置する面は、例えば、軸方向と直交する平坦な面である。吸入流路33の内側面のうち下側に位置する面の軸方向位置は、例えば、平坦部31fの軸方向位置と同じである。吸入流路33の内側面のうち下側に位置する面は、平坦部31fと滑らかに繋がっている。
【0038】
軸方向に見て、吸入流路33の周方向の縁部のうち傾斜部31sに近い側(+θ側)の第1周方向縁部33aと外縁部31dとが接続されて構成された第1角部35の角度φ1は、90°以上である。第1周方向縁部33aは、吸入流路33の周方向の縁部のうち周方向一方側(+θ側)の縁部である。第1周方向縁部33aは、軸方向に見て直線状に延びて第1角部35に繋がる第1直線部たる直線部33cを有する。直線部33cは、例えば、軸方向に見て、略径方向に延びている。軸方向に見て、直線部33cを径方向の内側に延長した第1延長線たる延長線EL1は、吸入ポート31のうち底面31aが平坦部31fになっている部分における径方向の内縁部31eと交差する。
【0039】
第1角部35の角度φ1は、例えば、軸方向に見て、延長線EL1と接線TL1との成す角度のうち大きい方の角度である。接線TL1は、軸方向に見て、外縁部31dのうち第1周方向縁部33aが繋がっている部分における接線である。第1角部35の角度φ1は、例えば、90°よりも大きく、180°よりも小さい。つまり、第1角部35の角度φ1は、例えば、鈍角である。本実施形態において第1角部35は、丸みを帯びている。第1周方向縁部33aは、丸みを帯びた第1角部35を構成する曲線部33eを有する。曲線部33eは、直線部33cの径方向内側の端部と外縁部31dとを繋いでいる。
【0040】
軸方向に見て、吸入流路33の周方向の縁部のうち傾斜部31sから遠い側(-θ側)の第2周方向縁部33bと外縁部31dとが接続されて構成された第2角部36の角度φ2は、90°以上、180°未満である。第2周方向縁部33bは、吸入流路33の周方向の縁部のうち周方向他方側(-θ側)の縁部である。第2周方向縁部33bは、第1周方向縁部33aの周方向他方側に対向して配置されている。
【0041】
第2周方向縁部33bは、軸方向に見て直線状に延びて第2角部36に繋がる第2直線部たる直線部33dを有する。直線部33dは、例えば、軸方向に見て、略径方向に延びている。直線部33dは、例えば、軸方向に見て、第1周方向縁部33aの直線部33cに対して傾いた方向に延びている。直線部33cと直線部33dとは、吸入ポート31に近づくに従って互いに周方向に離れる向きに延びている。軸方向に見て、直線部33dを径方向の内側に延長した第2延長線たる延長線EL2は、例えば、吸入ポート31のうち周方向他方側(-θ側)の縁部と交差する。
【0042】
第2角部36の角度φ2は、例えば、軸方向に見て、延長線EL2と接線TL2との成す角度のうち大きい方の角度である。接線TL2は、軸方向に見て、外縁部31dのうち第2周方向縁部33bが繋がっている部分における接線である。第2角部36の角度φ2は、例えば、90°よりも大きい。つまり、第2角部36の角度φ2は、例えば、鈍角である。本実施形態において第2角部36は、丸みを帯びている。第2周方向縁部33bは、丸みを帯びた第2角部36を構成する曲線部33fを有する。曲線部33fは、直線部33dの径方向内側の端部と外縁部31dとを繋いでいる。
【0043】
吐出流路34は、例えば、軸方向と直交する方向に延びている。吐出流路34は、吐出ポート32のうち底面32aが平坦部32fになっている部分に繋がっている。吐出流路34は、例えば、吐出ポート32のうち周方向一方側(+θ側)の端部に繋がっている。吐出流路34は、吐出ポート32のうち径方向の外縁部に繋がっている。
【0044】
吐出流路34の内側面のうち下側に位置する面は、例えば、軸方向と直交する平坦な面である。吐出流路34の内側面のうち下側に位置する面の軸方向位置は、例えば、平坦部32fの軸方向位置と同じである。吐出流路34の内側面のうち下側に位置する面は、平坦部32fと滑らかに繋がっている。
【0045】
第2ハウジング30に設けられた各流路は、例えば、軸方向と直交する平面に沿って延びている。第2ハウジング30に設けられた各流路は、例えば、第2ハウジング30の上側の面から下側に窪み軸方向と直交する方向に延びる溝がセパレートプレート40によって上側から塞がれることで構成されている。
【0046】
第2ハウジング30は、複数の雌ネジ穴37を有する。図7では、軸方向に見て吸入流路33を挟んで配置された2つの雌ネジ穴37が示されている。第2ハウジング30は、例えば、雌ネジ穴37に締め込まれるネジによって第1ハウジング20と固定されている。
【0047】
図8に示すように、セパレートプレート40は、第1ハウジング20と第2ハウジング30との軸方向の間に位置する。セパレートプレート40は、軸方向を向く板面を有する板状である。セパレートプレート40の板面は、例えば、軸方向と直交している。セパレートプレート40の上側の面は、第1ハウジング20の下側の端面に接触している。セパレートプレート40の下側の面は、第2ハウジング30の上側の端面に接触している。セパレートプレート40によって、第1ハウジング20に設けられた流路と第2ハウジング30に設けられた流路とが軸方向に隔てられている。
【0048】
セパレートプレート40は、吸入孔41と、吐出孔42と、を有する。吸入孔41および吐出孔42は、セパレートプレート40を軸方向に貫通している。吸入孔41および吐出孔42は、ポンプ室23の内部に繋がっている。吸入孔41および吐出孔42は、軸方向に見て、ポンプ室23に重なっている。吸入孔41および吐出孔42は、例えば、ポンプ室23の下側に位置する。吸入孔41は、ポンプ室23と吸入ポート31との軸方向の間に位置する。吐出孔42は、ポンプ室23と吐出ポート32との軸方向の間に位置する。
【0049】
図4および図9に示すように、本実施形態において吸入孔41は、周方向に延びている。吸入孔41の径方向の寸法は、周方向一方側(+θ側)に向かうに従って大きくなっている。吸入孔41のうち周方向一方側の端部は、吸入孔41のうちで、後述する突出部42bに最も周方向に近い部分である。つまり、本実施形態において吸入孔41の径方向の寸法は、周方向において突出部42bに近づくに従って大きくなっている。以下の説明においては、吸入孔41の周方向一方側の端部を、下流側端部41cと呼ぶ。吸入孔41は、例えば、軸方向に見て、吸入ポート31と同じ形状であり、かつ、吸入ポート31と同じ大きさである。本実施形態では、軸方向に見て、吸入孔41の全体は、吸入ポート31の全体と重なり合っている。
【0050】
なお、本明細書において「軸方向に見て、或る対象の全体が、他の対象の全体と重なり合う」とは、軸方向に見た際に、或る対象が他の対象と重ならない部分を有さず、かつ、他の対象が或る対象と重ならない部分を有しないことを含む。
【0051】
吐出孔42は、吸入孔41の中心軸J1回りの周方向一方側(+θ側)に離れて位置する。吐出孔42は、吐出孔本体部42aと、突出部42bと、を有する。本実施形態において吐出孔本体部42aは、周方向に延びている。吐出孔本体部42aの径方向の寸法は、周方向一方側(+θ側)に向かうに従って小さくなっている。吐出孔本体部42aのうち周方向一方側の端部は、吐出孔42のうちで、突出部42bから最も周方向に離れた部分である。つまり、本実施形態において吐出孔本体部42aの径方向の寸法は、周方向において突出部42bから離れるに従って小さくなっている。吐出孔本体部42aは、例えば、軸方向に見て、吐出ポート32と同じ形状であり、かつ、吐出ポート32と同じ大きさである。本実施形態では、軸方向に見て、吐出孔本体部42aの全体は、吐出ポート32の全体と重なり合っている。
【0052】
突出部42bは、吐出孔本体部42aの周方向他方側(-θ側)の端部から周方向他方側に突出している。以下の説明においては、吐出孔本体部42aの周方向他方側の端部を、上流側端部42cと呼ぶ。突出部42bは、上流側端部42cから吸入孔41の下流側端部41cに向かって周方向他方側に突出している。突出部42bは、吐出孔本体部42aの内側面のうち周方向他方側の縁部に周方向他方側に窪む凹部が設けられることで作られている。
【0053】
本実施形態において突出部42bは、軸方向に見て吐出ポート32の外側で、かつ、周方向において吐出ポート32よりも吸入孔41の周方向一方側(+θ側)の端部、すなわち下流側端部41cに近い位置に位置する。つまり、本実施形態において突出部42bは、軸方向に見て、吐出ポート32と重なっていない。突出部42bは、軸方向に見て、第2ハウジング30の上側の端面と重なっている。第2ハウジング30の上側の端面のうち、軸方向に見て突出部42bと重なる部分は、セパレートプレート40の上側に露出する露出部30aである。図8に示すように、露出部30aは、突出部42bの内部を介して、ポンプ室23の内部に露出している。これにより、露出部30aは、ポンプ室23内に収容されたポンプ機構70と軸方向に対向している。
【0054】
図9に示すように、本実施形態において、突出部42bにおける径方向の寸法は、吐出孔本体部42aの上流側端部42cにおける径方向の寸法よりも小さい。突出部42bの径方向の寸法は、例えば、周方向他方側(-θ側)に向かうに従って小さくなっている。つまり、本実施形態において突出部42bの径方向の寸法は、吐出孔本体部42aから吸入孔41に近づくに従って小さくなっている。
【0055】
突出部42bは、例えば、吐出孔本体部42aの径方向内縁部および吐出孔本体部42aの径方向外縁部から径方向に離れて配置されている。本実施形態において突出部42bは、上流側端部42cの径方向の中央部から周方向他方側(-θ側)に突出している。つまり、本実施形態において突出部42bは、吐出孔本体部42aの径方向の中央部に設けられている。
【0056】
なお、本明細書において「或る対象が他の対象の径方向の中央部に設けられている」とは、或る対象が、他の対象の径方向両縁部から径方向に離れており、かつ、或る対象の径方向位置が他の対象の径方向の中心における径方向位置を含んでいればよい。
【0057】
本実施形態では、軸方向に見て、突出部42bの内縁は、曲線状である。軸方向に見て、突出部42bの内縁は、例えば、周方向他方側(-θ側)に凸となる略半円弧状の部分を含む。突出部42bの内縁のうち吐出孔本体部42aの内縁との接続部分は、丸みを帯びており、吐出孔本体部42aの内縁と滑らかに繋がっている。なお、本明細書において「或る対象が曲線状である」とは、或る対象の形状が尖った角を有しない形状であればよい。
【0058】
図1および図2に示すように、ハウジング2は、バルブ80が収容されるスプール穴81を有する。スプール穴81は、例えば、第1ハウジング20に設けられている。スプール穴81は、一方向に延びている。バルブ80は、例えば、スプールバルブである。バルブ80は、スプール穴81内に、スプール穴81が延びる一方向に移動可能に収容されている。スプール穴81内には、弾性部材82が収容されている。弾性部材82は、例えば、スプール穴81が延びる方向に延びるコイルスプリングである。弾性部材82は、バルブ80に対して、スプール穴81が延びる一方向に弾性力を加えている。
【0059】
ハウジング2は、リリーフ流路83を有する。リリーフ流路83は、例えば、第1ハウジング20と第2ハウジング30とに跨って設けられている。リリーフ流路83は、吐出流路34と吸入流路33とを繋ぐ流路である。リリーフ流路83は、吐出流路34からスプール穴81を通って吸入流路33まで延びている。リリーフ流路83のうちスプール穴81よりも吐出流路34に近い側の第1部分83aと、リリーフ流路83のうちスプール穴81よりも吸入流路33に近い側の第2部分83bとは、バルブ80によって接続と遮断とが切り替えられる。
【0060】
図1は、バルブ80が閉じた状態となり、第1部分83aと第2部分83bとが遮断された状態を示している。図2は、バルブ80が開いた状態となり、第1部分83aと第2部分83bとが接続された状態を示している。図2に示すように、第1部分83aと第2部分83bとが接続された状態においては、吐出流路34内のオイルOの一部がリリーフ流路83を通って、吸入流路33に流入する。
【0061】
ハウジング2は、接続流路84を有する。接続流路84は、例えば、第1ハウジング20に設けられている。接続流路84は、例えば、第1部分83aとスプール穴81とを繋いでいる。スプール穴81内には、第1部分83aおよび接続流路84を介して、吐出流路34内のオイルOが流入する。接続流路84を介してスプール穴81内に流入したオイルOは、バルブ80に対して、弾性部材82がバルブ80に弾性力を加える向きと逆向きに力を加える。
【0062】
吐出流路34内のオイルOの圧力が大きくなると、接続流路84を介してスプール穴81内に流入するオイルOの圧力も大きくなる。例えば、図1に示すバルブ80が閉じた状態において、吐出流路34内のオイルOの圧力が所定の圧力よりも大きくなると、接続流路84からスプール穴81内に流入するオイルOによってバルブ80に加えられる力が、弾性部材82によってバルブ80に加えられる力よりも大きくなる。そのため、バルブ80が弾性部材82の弾性力に抗して移動し、図2に示すバルブ80が開いた状態となる。これにより、リリーフ流路83を介して吐出流路34内からオイルOの一部が排出され、吐出流路34内のオイルOの圧力が低下する。
【0063】
吐出流路34内のオイルOの圧力が所定の圧力よりも小さくなると、接続流路84からスプール穴81内に流入するオイルOによってバルブ80に加えられる力が、弾性部材82によってバルブ80に加えられる力よりも小さくなる。そのため、バルブ80が弾性部材82の弾性力によって移動させられ、再び図1に示すバルブ80が閉じた状態になる。このようにして、吐出流路34内のオイルOの圧力によってバルブ80が開閉されることで、吐出流路34内のオイルOの圧力が所定の圧力より大きくなることを抑制できる。
【0064】
図4に示すように、ポンプ機構70は、インナーロータ50と、アウターロータ60と、を有する。インナーロータ50およびアウターロータ60は、ポンプ室23内に収容されている。インナーロータ50は、中心軸J1を中心として回転可能である。インナーロータ50は、環状部51と、複数の外歯部52と、を有する。環状部51は、例えば、中心軸J1を中心とする円環状である。環状部51の外縁は、例えば、軸方向に見て、吸入孔41の径方向内縁部、吸入ポート31の径方向内縁部、吐出孔本体部42aの径方向内縁部、および吐出ポート32の径方向内縁部と重なっている。環状部51の外縁は、軸方向に見た際におけるインナーロータ50の外縁のうち中心軸J1からの距離が最小となる部分である。
【0065】
複数の外歯部52は、環状部51の外周面から径方向外側に突出している。複数の外歯部52は、中心軸J1回りの周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。複数の外歯部52によって構成されるインナーロータ50の歯形は、例えば、トロコイド歯形である。軸方向に見たインナーロータ50の外縁の形状は、例えば、トロコイド曲線からなる。
【0066】
図3に示すように、インナーロータ50は、環状部51の径方向内縁部から上側に突出する突出筒部53を有する。突出筒部53は、例えば、中心軸J1を中心とする円筒状である。突出筒部53は、上側に開口している。突出筒部53は、孔部24の内部に下側から嵌め合わされている。
【0067】
環状部51の内部と突出筒部53の内部とによって、インナーロータ50を軸方向に貫通する連結孔部54が構成されている。図4に示すように、連結孔部54の内周面には、中心軸J1を径方向に挟んで対向して配置された一対の平面部54aが設けられている。平面部54aは、例えば、径方向と直交する平坦な面である。
【0068】
図3に示すように、インナーロータ50には、駆動装置90のシャフト92が連結される。シャフト92は、インナーロータ50の上側から連結孔部54に挿入される。図示は省略するが、シャフト92の外周面には、一対の平面部54aと対向して配置される平面部が設けられている。インナーロータ50の平面部54aとシャフト92の平面部とが対向して配置されることで、シャフト92がインナーロータ50に対して周方向に引っ掛かる。これにより、シャフト92が中心軸J1回りに回転することで、インナーロータ50も中心軸J1回りに回転する。
【0069】
図4に示すように、アウターロータ60は、インナーロータ50を囲む環状である。アウターロータ60は、例えば、偏心軸J2を中心とする円環状である。アウターロータ60は、ポンプ室23の内部に嵌め合わされている。アウターロータ60は、環状部61と、複数の内歯部62と、を有する。環状部61は、例えば、偏心軸J2を中心とする円環状である。環状部61の内縁は、例えば、軸方向に見て、吸入孔41の径方向外縁部、吸入ポート31の径方向外縁部、吐出孔本体部42aの径方向外縁部、および吐出ポート32の径方向外縁部と重なっている。環状部61の内縁は、軸方向に見た際におけるアウターロータ60の内縁のうち偏心軸J2からの距離が最大となる部分である。
【0070】
複数の内歯部62は、環状部61の内周面から、偏心軸J2を中心とする径方向の内側に突出している。複数の内歯部62は、偏心軸J2回りの周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。複数の内歯部62によって構成されるアウターロータ60の歯形は、例えば、トロコイド歯形である。軸方向に見たアウターロータ60の内縁の形状は、例えば、トロコイド曲線からなる。
【0071】
内歯部62が外歯部52に噛み合うことで、アウターロータ60は、インナーロータ50と噛み合っている。インナーロータ50とアウターロータ60とは、周方向の一部において噛み合っている。インナーロータ50が駆動装置90によって中心軸J1回りに回転させられることで、インナーロータ50と噛み合うアウターロータ60が偏心軸J2回りに回転させられる。本実施形態においてインナーロータ50およびアウターロータ60は、周方向一方側向き(+θ向き)に回転させられる。
【0072】
駆動装置90によってインナーロータ50が中心軸J1回りに回転させられると、流体圧力制御装置1の外部から、吸入流路33内にオイルOが吸入される。図8に示すように、吸入流路33に吸入されたオイルOは、吸入ポート31および吸入孔41を介して、ポンプ室23内に吸入される。ポンプ室23内に吸入されたオイルOは、インナーロータ50の外歯部52とアウターロータ60の内歯部62との隙間に入り、インナーロータ50およびアウターロータ60の回転に伴ってポンプ室23内を周方向一方側(+θ側)に移動させられる。外歯部52と内歯部62との隙間内のオイルOは、周方向一方側に移動させられた後、吐出孔42および吐出ポート32を介して、吐出流路34に吐出される。
【0073】
本実施形態によれば、第1ポートとしての吸入ポート31の底面31aは、平坦部31fと、傾斜部31sと、を有する。第1流路としての吸入流路33は、吸入ポート31のうち底面31aが平坦部31fになっている部分に繋がっている。そのため、吸入流路33が吸入ポート31のうち底面31aが傾斜部31sになっている部分に繋がっている場合に比べて、吸入流路33の内側面のうち下側に位置する面を底面31aに滑らかに繋げやすい。これにより、吸入流路33から吸入ポート31へと、オイルOを滑らかに流すことができる。したがって、吸入流路33から吸入ポート31にオイルOが流れる際に、オイルOの圧力が変動することを抑制できる。そのため、オイルOの圧力の脈動を抑制できる。これにより、流体圧力制御装置1によるオイルOの圧力の制御に不具合が生じることを抑制できる。
【0074】
また、平坦部31fから傾斜部31sに流れたオイルOは、傾斜部31sに沿って周方向一方側に流れることで、ポンプ室23に軸方向に近づく。そのため、吸入ポート31からポンプ室23内にオイルOを吸入させやすくできる。これにより、吸入ポート31からポンプ室23内に滑らかにオイルOを吸入させやすくできる。したがって、オイルOの圧力の脈動をより抑制できる。
【0075】
また、本実施形態によれば、軸方向に見て、吸入流路33の周方向の縁部のうち傾斜部31sに近い側の第1周方向縁部33aと外縁部31dとが接続されて構成された第1角部35の角度φ1は、90°以上である。そのため、吸入流路33から吸入ポート31に流入したオイルOが周方向一方側に向かう際に、オイルOの流れる向きが大きく変化することを抑制できる。これにより、吸入ポート31に流入したオイルOを滑らかに周方向一方側へと流しやすくでき、傾斜部31sを介してオイルOをポンプ室23内に導きやすくできる。したがって、オイルOの圧力の脈動をより抑制できる。上記のようにして吸入流路33を吸入ポート31に繋ぐことで、例えば、雌ネジ穴37などによって吸入流路33の吸入ポート31に対する接続構成に制限がある場合であっても、吸入流路33から吸入ポート31へのオイルOの流れを滑らかにできる。
【0076】
また、本実施形態によれば、第1周方向縁部33aは、軸方向に見て直線状に延びて第1角部35に繋がる直線部33cを有する。軸方向に見て、直線部33cを径方向の内側に延長した延長線EL1は、吸入ポート31のうち底面31aが平坦部31fになっている部分における径方向の内縁部31eと交差する。そのため、延長線EL1が吸入ポート31のうち底面31aが傾斜部31sになっている部分における径方向の内縁部と交差する場合に比べて、直線部33cを周方向一方側に配置できる。これにより、第2周方向縁部33bの直線部33dをより周方向一方側に配置しやすくでき、第2角部36の角度φ2を大きくしやすい。したがって、第1角部35の角度φ1および第2角部36の角度φ2を共に大きくしやすい。
【0077】
また、本実施形態によれば、第1角部35は、丸みを帯びている。そのため、吸入流路33から吸入ポート31に流入するオイルOを、丸みを帯びた第1角部35に沿って、より滑らかに流しやすくできる。これにより、オイルOの圧力の脈動をより抑制できる。
【0078】
また、本実施形態によれば、吸入流路33は、外縁部31dの周方向の両端部から周方向に離れた位置において外縁部31dに繋がっている。軸方向に見て、吸入流路33の周方向の縁部のうち傾斜部31sから遠い側の第2周方向縁部33bと外縁部31dとが接続されて構成された第2角部36の角度φ2は、90°以上、180°未満である。そのため、吸入流路33から吸入ポート31に流入したオイルOが周方向他方側に向かう際に、オイルOの流れる向きが大きく変化することを抑制できる。これにより、吸入ポート31に流入したオイルOを滑らかに周方向他方側へと流しやすくできる。このように、吸入流路33から吸入ポート31に流入したオイルOを周方向の両側に分岐して流すことができ、かつ、分岐したオイルOの流れを滑らかにできることで、オイルOの圧力の脈動を抑制しつつ、吸入ポート31内を好適にオイルOで満たすことができる。したがって、吸入ポート31内からポンプ室23内へとオイルOを好適に吸入させやすい。上記のようにして吸入流路33を吸入ポート31に繋ぐことで、例えば、雌ネジ穴37などによって吸入流路33を吸入ポート31の周方向他方側の端部に接続できない場合であっても、吸入流路33から吸入ポート31へのオイルOの流れを滑らかにできる。
【0079】
また、本実施形態によれば、吐出孔42は、吐出孔本体部42aと、吐出孔本体部42aの周方向他方側の端部、すなわち上流側端部42cから周方向他方側に突出する突出部42bと、を有する。突出部42bは、軸方向に見て吐出ポート32の外側で、かつ、周方向において吐出ポート32よりも吸入孔41の周方向一方側の端部、すなわち下流側端部41cに近い位置に位置する。そのため、図8に示すように、ポンプ室23内において周方向一方側に送られたオイルOは、吐出孔本体部42aよりも先に突出部42bに流入する。また、突出部42bは軸方向に見て吐出ポート32の外側に位置するため、突出部42bの下側の開口は第2ハウジング30の上側の端面によって塞がれている。これにより、突出部42bと第2ハウジング30との上側の端面とによって、吐出孔本体部42aと吐出ポート32の底面32aとによって構成された凹部よりも軸方向の深さが浅い凹部が作られている。したがって、突出部42bに流入するオイルOの量は、吐出孔本体部42aに流入するオイルOの量よりも少なくなる。突出部42bに流入したオイルOは、露出部30a上を周方向一方側に流れて吐出ポート32に流入する。
【0080】
以上のように、吐出孔42のうちポンプ室23内からオイルOが流入し始める部分に、オイルOの流入量を吐出孔本体部42aよりも小さくできる突出部42bを設けることで、ポンプ機構70の周方向の回転に伴ってポンプ室23内から吐出ポート32に流入し始める際のオイルOの流量を少なくできる。そのため、ポンプ室23内から吐出ポート32へと急激にオイルOが流れることを抑制できる。これにより、ポンプ室23内から吐出された際にオイルOの圧力が大きく変動することを抑制できる。したがって、ポンプ10において、ポンプ室23内から吐出されるオイルOの圧力の脈動を抑制できる。
【0081】
また、突出部42bはセパレートプレート40に設けられているため、セパレートプレート40の一部をプレス加工などによって打ち抜くことで容易に突出部42bを作ることができる。これにより、例えば、第2ハウジング30に設けられた吐出ポート32に突出部42bのような凹部または溝などを設ける場合に比べて、吐出ポート32に流入し始める際のオイルOの流量を少なくできる部分を容易に設けることができる。したがって、ハウジング2の製造を容易にしつつ、ポンプ室23内から吐出されるオイルOの圧力の脈動を抑制できる。また、セパレートプレート40に突出部42bを設けることで、第1ハウジング20および第2ハウジング30を変更せずにセパレートプレート40のみを変えることで、突出部42bの形状を容易に変更できる。
【0082】
また、本実施形態によれば、突出部42bにおける径方向の寸法は、吐出孔本体部42aの周方向他方側の端部、すなわち上流側端部42cにおける径方向の寸法よりも小さい。そのため、ポンプ室23内から突出部42bを介して吐出ポート32に流入するオイルOの流量をより好適に少なくしやすい。これにより、ポンプ室23内から吐出ポート32内にオイルOが流入し始める際のオイルOの流量をより好適に少なくしやすい。したがって、ポンプ室23内から吐出された際にオイルOの圧力が大きく変動することをより抑制でき、ポンプ室23内から吐出されるオイルOの圧力の脈動をより抑制できる。
【0083】
また、本実施形態によれば、突出部42bの径方向の寸法は、吐出孔本体部42aから吸入孔41に近づくに従って小さくなっている。そのため、周方向一方側向きに回転するインナーロータ50とアウターロータ60との隙間に対向する突出部42bの径方向の寸法は、インナーロータ50およびアウターロータ60が周方向一方側に回転するに従って大きくなっていく。これにより、ポンプ室23内から突出部42b内に流入するオイルOの量を、インナーロータ50およびアウターロータ60が周方向一方側に回転するに従って徐々に増加させていくことができる。したがって、突出部42bを介して吐出ポート32に流入するオイルOの量を徐々に増加させることができる。そのため、ポンプ室23内から吐出ポート32に急激にオイルOが流入することをより抑制できる。これにより、ポンプ室23内から吐出された際にオイルOの圧力が大きく変動することをより抑制できる。したがって、ポンプ室23内から吐出されるオイルOの圧力の脈動をより抑制できる。
【0084】
また、本実施形態によれば、突出部42bは、吐出孔本体部42aの径方向の中央部に設けられている。ここで、図4に示すように、インナーロータ50の外歯部52とアウターロータ60の内歯部62との隙間と吐出孔42の周方向他方側の端部とが軸方向に重なり始める際、外歯部52と内歯部62との隙間のうち吐出孔42と軸方向に重なる部分における径方向の寸法は、吐出孔本体部42aの上流側端部42cにおける径方向の寸法よりも小さい。また、外歯部52と内歯部62との隙間と吐出孔42の周方向他方側の端部とが軸方向に重なり始める際、外歯部52と内歯部62との隙間のうち吐出孔42と軸方向に重なる部分における径方向位置は、吐出孔本体部42aの上流側端部42cにおける径方向中央部の径方向位置と同じになりやすい。そのため、突出部42bを吐出孔本体部42aの径方向の中央部に設けることで、突出部42bの大きさを小さくしつつ、外歯部52と内歯部62との隙間が吐出孔42と軸方向に重なり始めた際に突出部42bを好適に外歯部52と内歯部62との隙間と対向させることができる。したがって、セパレートプレート40に設ける孔の面積を小さくでき、セパレートプレート40の強度が低下することを抑制できる。
【0085】
また、本実施形態によれば、吸入孔41の径方向の寸法は、周方向において突出部42bに近づくに従って大きくなっている。ここで、図4に示すように、インナーロータ50の環状部51の外縁とアウターロータ60の環状部61の内縁との径方向の距離は、吸入孔41と軸方向に重なる部分において周方向一方側に向かうに従って大きくなっている。また、吸入孔41と軸方向に重なる位置において、外歯部52と内歯部62との径方向の隙間も周方向一方側に向かうに従って大きくなっていく。そのため、吸入孔41の径方向の寸法を周方向において突出部42bに近づくに従って大きくすることで、外歯部52と内歯部62との隙間が大きくなるのに合わせて、吸入孔41の径方向の寸法を大きくできる。これにより、吸入孔41からポンプ室23内へとオイルOを好適に吸入しやすくしつつ、吸入孔41の大きさを比較的小さくしやすい。
【0086】
また、本実施形態によれば、吐出孔本体部42aの径方向の寸法は、周方向において突出部42bから離れるに従って小さくなっている。ここで、図4に示すように、インナーロータ50の環状部51の外縁とアウターロータ60の環状部61の内縁との径方向の距離は、吐出孔本体部42aと軸方向に重なる部分において周方向一方側に向かうに従って小さくなっている。また、吐出孔本体部42aと軸方向に重なる位置において、外歯部52と内歯部62との径方向の隙間も周方向一方側に向かうに従って小さくなっていく。そのため、吐出孔本体部42aの径方向の寸法を周方向において突出部42bから離れるに従って小さくすることで、外歯部52と内歯部62との隙間が小さくなるのに合わせて、吐出孔本体部42aの径方向の寸法を小さくできる。これにより、ポンプ室23内から吐出孔本体部42aへとオイルOを好適に吐出しやすくしつつ、吐出孔本体部42aの大きさを比較的小さくしやすい。
【0087】
また、本実施形態によれば、吐出ポート32のうち軸方向における吐出孔42側を向く底面32aは、吸入ポート31の周方向一方側の端部、すなわち下流側端部41cから周方向一方側に離れるに従って吐出孔42から軸方向に離れる傾斜部32sを有する。そのため、傾斜部32sが設けられている部分において、吐出ポート32の軸方向の深さを、周方向一方側に向かうに従って徐々に深くすることができる。これにより、吐出孔本体部42aから吐出ポート32に流入するオイルOの量を、インナーロータ50およびアウターロータ60が周方向一方側に回転するに従って徐々に増加させていくことができる。したがって、オイルOが吐出孔本体部42aから吐出ポート32に流入し始めた際においても、吐出ポート32に流入するオイルOの流量が急激に増大することを抑制できる。そのため、ポンプ室23内から吐出された際にオイルOの圧力が大きく変動することをより抑制できる。これにより、ポンプ室23内から吐出されるオイルOの圧力の脈動をより抑制できる。
【0088】
また、本実施形態によれば、軸方向に見て、吸入孔41の全体は、吸入ポート31の全体と重なり合っている。そのため、吸入ポート31から吸入孔41を介してポンプ室23内へとオイルOを好適に吸入できる。また、本実施形態によれば、軸方向に見て、吐出孔本体部42aの全体は、吐出ポート32の全体と重なり合っている。そのため、ポンプ室23内から吐出孔本体部42aを介して吐出ポート32へとオイルOを好適に吐出できる。
【0089】
また、本実施形態によれば、軸方向に見て、突出部42bの内縁は、曲線状である。そのため、例えば、セパレートプレート40の一部を金型によって打ち抜いて突出部42bを作る場合において、軸方向に見て突出部42bの内縁が尖った角を有する形状である場合に比べて、金型が摩耗することを抑制できる。
【0090】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。上述した実施形態では、第1ポートが吸入ポートであり、第1流路が吸入流路であり、第2ポートが吐出ポートであり、かつ、第2流路が吐出流路である場合について説明したが、これに限られない。第1ポートが吐出ポートであり、第1流路が吐出流路であり、第2ポートが吸入ポートであり、かつ、第2流路が吸入流路であってもよい。この場合、ポンプ室内から吐出ポートに吐出された流体を傾斜部に沿って平坦部に流しやすくでき、かつ、平坦部から吐出ポートへと流体を滑らかに流すことができる。そのため、この場合であっても、流体の圧力の脈動を抑制できる。
【0091】
第1角部の角度および第2角部の角度は、特に限定されない。第1角部の角度および第2角部の角度は、90°より小さくてもよい。第1角部および第2角部は、丸みを帯びない鋭角な形状であってもよい。第1流路は、第1ポートの径方向の外縁部における周方向端部に繋がっていてもよい。
【0092】
吐出孔の突出部は、軸方向に見て吐出ポートの外側で、かつ、周方向において吐出ポートよりも吸入孔の周方向一方側の端部に近い位置に位置するならば、どのような形状であってもよいし、どのような大きさであってもよい。
【0093】
軸方向に見て、突出部の内縁は、尖った角を有する形状であってもよい。突出部は、吐出孔本体部を周方向他方側に延長させた形状であってもよい。この場合、突出部の径方向の寸法は、例えば、吐出孔本体部の周方向他方側の端部における径方向の寸法よりも大きい。突出部は、周方向他方側に丸みを帯びた頂部を有する略三角形状であってもよい。
【0094】
吐出孔の突出部は、突出部における径方向の寸法が吐出孔本体部の周方向他方側の端部における径方向の寸法よりも小さければ、軸方向に見て吐出ポートと重なる位置に設けられてもよい。つまり、例えば、上述した実施形態における突出部42bがより周方向一方側に位置して軸方向に見て吐出ポート32と重なってもよい。このような場合であっても、突出部の径方向の寸法が吐出孔本体部の周方向他方側の端部における径方向の寸法よりも小さいため、吐出孔から吐出ポートに流体が吐出され始める際における流体の流量を少なくできる。これにより、吐出ポートに急激に流体が流入することを抑制できる。したがって、ポンプ室内から吐出される流体の圧力の脈動を抑制できる。
【0095】
吸入孔の形状および吐出孔本体部の形状は、特に限定されない。軸方向に見て、吸入孔の一部は、吸入ポートと重ならなくてもよい。軸方向に見て、吐出孔本体部の一部は、吐出ポートと重ならなくてもよい。
【0096】
本発明が適用される流体圧力制御装置およびポンプの用途は、特に限定されない。流体圧力制御装置は、車両以外の機器に搭載されてもよい。ポンプは、流体圧力制御装置以外の機器に搭載されてもよい。ポンプは、車両に搭載される機器以外の機器に搭載されてもよい。ポンプ機構によって送られる流体は、特に限定されず、例えば、水等であってもよい。以上に本明細書において説明した各構成および各方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0097】
1…流体圧力制御装置、2…ハウジング、10…ポンプ、23…ポンプ室、31…吸入ポート(第1ポート)、31a…底面、31d…外縁部、31e…内縁部、31f…平坦部、31s…傾斜部、32…吐出ポート(第2ポート)、33…吸入流路(第1流路)、33a…第1周方向縁部、33b…第2周方向縁部、33c…直線部、34…吐出流路(第2流路)、35…第1角部、36…第2角部、50…インナーロータ、60…アウターロータ、70…ポンプ機構、EL1…延長線、J1…中心軸、φ1,φ2…角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9