(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】制御装置及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/436 20060101AFI20240806BHJP
H04M 1/667 20060101ALI20240806BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20240806BHJP
H04M 3/42 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H04M3/436
H04M1/667
H04M1/00 U
H04M3/42 E
(21)【出願番号】P 2020149832
(22)【出願日】2020-09-07
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】下島野 英雄
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 一郎
【審査官】永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-129797(JP,A)
【文献】特開2008-271002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末装置それぞれについてロック状態であるかロック解除状態であるかを示すロック情報、および前記複数の端末装置のうち一の端末装置を宛先とする通信を受信する受信部と、
前記ロック情報において前記一の端末装置がロック状態である場合、ロック状態が設定されてからの第1経過時間を算出し、前記第1経過時間が第1所定値以下である場合に、ロック解除を決定する制御部と、
前記制御部がロック解除を決定した場合に、ロック解除を示す制御情報を前記一の端末装置に送信した後に、前記受信部で受信した通信を前記一の端末装置に送信する送信部と、
を備える、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ロック情報において前記一の端末装置がロック解除状態である場合、ロック状態が解除されてからの第2経過時間を算出し、前記第2経過時間が第2所定値より長い場合に、ロック状態設定を決定し、
前記送信部は、前記制御部がロック状態設定を決定した場合に、ロック状態設定を示す制御情報を前記一の端末装置に送信した後に、前記受信部で受信した通信を前記一の端末装置に送信し、
前記第2所定値は、前記第1所定値よりも大きな値である、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、ロック解除を決定しない場合に、前記第1経過時間に基づいて、前記一の端末装置における前記受信した通信の通信内容の出力形態を選択し、
前記出力形態は、
通信を受信した旨のみを出力し、通信内容を出力しない第1モード、
通信の発信元情報を出力し、通信内容を出力しない第2モード、
通信内容を出力する第3モード、
を少なくとも含み、
前記制御部は、前記第1経過時間が長いほど、前記出力形態のうち番号の小さなモードを選択し、
前記送信部は、前記制御部が選択した出力形態を示す制御情報を前記一の端末装置に送信した後に、前記受信部で受信した通信を前記一の端末装置に送信する、
請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記一の端末装置で収集された周囲の音声情報または画像情報または近距離無線情報をもとに推定された、前記一の端末装置から周囲の第三者までの距離の程度を示す接近指標を取得する取得部をさらに備え、
前記制御部は、ロック解除を決定しない場合に、前記接近指標に基づいて、前記一の端末装置における前記受信した通信の出力形態を選択し、
前記出力形態は、
通信を受信した旨のみを出力し、通信内容を出力しない第1モード、
通信の発信元情報を出力し、通信内容を出力しない第2モード、
通信内容を出力する第3モード、
を少なくとも含み、
前記制御部は、前記接近指標が近い距離を示すほど、前記出力形態のうち番号の小さなモードを選択し、
前記送信部は、前記制御部が選択した出力形態を示す制御情報を前記一の端末装置に送信した後に、前記受信部で受信した通信を前記一の端末装置に送信する、
請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項5】
複数の端末装置それぞれについてロック状態であるかロック解除状態であるかを示すロック情報、および前記複数の端末装置のうち一の端末装置を宛先とする通信を受信し、
前記ロック情報において前記一の端末装置がロック状態である場合、ロック状態が設定されてからの第1経過時間を算出し、前記第1経過時間が第1所定値以下である場合に、ロック解除を決定
し、
前記ロック解除を決定した場合に、ロック解除を示す制御情報を前記一の端末装置に送信した後に、前記受信した通信を前記一の端末装置に送信する、
処理をコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン等の携帯端末装置が普及している。携帯端末装置の多くは、セキュリティ対策等のため、所定の場合にロック状態に遷移することで、ユーザ操作や通信情報の出力を制限するロック機能を有する。関連する技術として、例えば、特許文献1が知られている。特許文献1には、端末装置にロック機能が設定されている場合においても、地震等の緊急時に迅速に端末装置を利用可能とする方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術によれば、大きな地震等の災害が発生した場合に配信サーバから端末装置へ緊急情報が送信され、緊急情報を受信した端末装置は一定期間ロック機能を無効化する。これにより、通常時にはセキュリティを確保しつつ、緊急事態が生じた場合には、ユーザがロック解除操作を行うことなく端末装置を利用できる。一方、地震等の緊急時に限らず、端末装置のロック状態を制御することが望ましい場合がある。例えば、端末装置が他の端末装置からの通信を受信した場合に、状況に応じて端末装置のロック状態を解除することにより、ユーザが通信内容を迅速に把握できる等、ユーザの利便性が向上する場合がある。しかしながら、特許文献1に記載された技術では、地震等の緊急時以外の場合にロック機能を制御することが考慮されていない。このため、端末装置への通信を受信した際に、セキュリティ確保とユーザの利便性の両面を考慮した適切な制御を行うことが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、端末装置への通信を受信する受信部と、前記端末装置の操作状況情報または前記端末装置の周囲の環境情報に基づいて、前記端末装置における前記受信した通信の情報の出力形態を決定する制御部と、を備える、制御装置を提供する。
【0006】
本発明は、端末装置への通信を受信し、前記端末装置の操作状況情報または前記端末装置の周囲の環境情報に基づいて、前記端末装置における前記受信した通信の情報の出力形態を決定する、処理をコンピュータに実行させるための制御プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、端末装置への通信を受信した際に、セキュリティ確保とユーザの利便性の両面を考慮した適切な制御を行うことが可能な制御装置及び制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る無線通信システムの構成例を示す構成図である。
【
図2A】実施の形態1に係るロック時動作モードの例を示す図である。
【
図2B】実施の形態1に係るロック時動作モードの例を示す図である。
【
図2C】実施の形態1に係るロック時動作モードの例を示す図である。
【
図2D】実施の形態1に係るロック時動作モードの例を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る端末装置の構成例を示す構成図である。
【
図4】実施の形態1に係る管理装置の構成例を示す構成図である。
【
図5】実施の形態1に係るロック時及びロック解除時の処理例を示すシーケンス図である。
【
図6】実施の形態1に係るロック情報テーブルのデータ例を示す図である。
【
図7A】実施の形態1に係る通話発信時の処理例を示すシーケンス図である。
【
図7B】実施の形態1に係るメッセージ発信時の処理例を示すシーケンス図である。
【
図8】実施の形態1に係るロック解除判定処理の例を示すフローチャートである。
【
図9A】実施の形態1の変形例1に係るロック情報履歴テーブルのデータ例を示す図である。
【
図9B】実施の形態1の変形例1に係るロック情報履歴テーブルのデータ例を示す図である。
【
図10A】実施の形態2に係る通話発信時の処理例を示すシーケンス図である。
【
図10B】実施の形態2に係るメッセージ発信時の処理例を示すシーケンス図である。
【
図11A】実施の形態2に係るモード変更判定処理の例を示すフローチャートである。
【
図11B】実施の形態2に係るモード変更判定処理の例を示すフローチャートである。
【
図12】実施の形態3に係る発信時の処理例を示すシーケンス図である。
【
図13】実施の形態3に係る送信中止情報の表示例を示す図である。
【
図14】実施の形態3に係る送信判定処理の例を示すフローチャートである。
【
図15A】実施の形態4に係る通話発信時の処理例を示すシーケンス図である。
【
図15B】実施の形態4に係るメッセージ発信時の処理例を示すシーケンス図である。
【
図16】実施の形態4に係るロック設定判定処理の例を示すフローチャートである。
【
図17】実施の形態5に係る端末装置の構成例を示す構成図である。
【
図18】実施の形態5に係る管理装置の構成例を示す構成図である。
【
図19A】実施の形態5に係る音声情報テーブルのデータ例を示す図である。
【
図19B】実施の形態5に係る音声情報テーブルのデータ例を示す図である。
【
図20A】実施の形態5に係るモード変更判定処理の例を示すフローチャートである。
【
図20B】実施の形態5に係るモード変更判定処理の例を示すフローチャートである。
【
図21】実施の形態5に係るロック時動作モードの選択イメージを示す図である。
【
図22】実施の形態6に係る端末装置の構成例を示す構成図である。
【
図23】実施の形態6に係る管理装置の構成例を示す構成図である。
【
図24】実施の形態6に係る地図情報DBのデータ例を示す図である。
【
図25】実施の形態6に係る存在スコアテーブルのデータ例を示す図である。
【
図26A】実施の形態6に係るモード変更判定処理の例を示すフローチャートである。
【
図26B】実施の形態6に係るモード変更判定処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図面においては、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
【0010】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について説明する。本実施の形態では、端末装置の出力形態の制御として、端末装置のロック状態を解除する例について説明する。
【0011】
<無線通信システムの構成>
図1は、本実施の形態に係る無線通信システム100の構成例を示している。無線通信システム100は、ユーザが使用する複数の端末装置に対し、例えば携帯電話網等を利用して無線通信サービスを提供する無線通信システムである。例えば、携帯電話網等のデータ通信機能を使用し、端末装置間で、デジタルデータや音声、映像を伝送することが可能である。
図1に示すように、無線通信システム100は、端末装置10-1~10-7(いずれかを端末装置10と称する)、管理装置20、ネットワーク40、複数の基地局30-1~30-3(いずれかを基地局30と称する)、を備える。ネットワーク40は、有線ネットワークであっても、無線ネットワークであっても、それらの組み合わせであってもよい。また、ネットワーク40は、携帯電話網やインターネットであってもよい。
【0012】
基地局30は、端末装置10との間で無線通信を行い、ネットワーク40を介して、端末装置10の通信を中継する中継装置である。管理装置20は、端末装置10間で通話やメッセージなどの通信を行うための処理を実行する。例えば、管理装置20は、通話を制御するためのSIP(Session Initiation Protocol)シーケンス処理等に関する処理を実行するSIPサーバ等である。なお、
図1において、基地局30の数や端末装置10の数は、あくまでも一例であり、本図の数に限定されるものではない。
【0013】
端末装置10は、他の端末装置10と無線通信を行う無線通信装置である。端末装置10は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末装置である。端末装置10は、基地局30を介して通話やメッセージ等を送受信するが、使用する通信プロトコルは限定されない。端末装置10は、任意の通信プロトコルにより、携帯電話の通話、インターネットを用いた音声通話やビデオ通話、メール、テキストや画像を含むメッセージの送受信等を行うことができる。
【0014】
一例として、端末装置10は、IPトランシーバやPoC(Push-to-Talk over Cellular)トランシーバなどのIP無線通信を行うIP無線端末でもよい。この場合、端末装置10は、プッシュ・ツー・トーク(PTT)方式で音声や映像を送受信し、個別呼出、グループ呼出、一斉呼出、近隣呼出も可能である。例えば、ある端末装置10からグループ呼出を行った場合、発信元の端末装置10と同一のグループに所属している全ての端末装置10へ通信が発信される。また、ある端末装置10から一斉呼出を行った場合、無線通信システム100で利用されている全ての端末装置10へ通信が発信される。ただし、端末装置10は、通信方式として、プッシュ・ツー・トーク方式を含む半二重通信に限らず、全二重通信を行ってもよい。
【0015】
端末装置10は、通話の発信(発呼)のための通話ボタンを有しており、ユーザが端末装置10の通話ボタンを押下することにより、他の端末装置10へ通話を発信し、他の端末装置10のユーザと音声や映像による通話を行う。なお、プッシュ・ツー・トーク方式の半二重通信では、ユーザが通話ボタンを押下している間、発信側の端末装置10からのみ音声や映像の送信が可能である。このため、いずれかの端末装置10でユーザが通話ボタンを押下し発話している間、同一グループに属する他の端末装置10でユーザが通話ボタンを押しても発話することはできない。また、端末装置10は、音声認識機能により発話した内容を文字列に変換した後、他の端末装置10へテキスト情報としてメッセージ送信することも可能である。
【0016】
なお、IP無線通信を行う場合、スマートフォン等の端末装置10にIP無線通信用アプリケーションのインストールすることにより、端末装置10をIP無線端末として使用してもよい。これにより、他のIP無線端末や他のIP無線通信用アプリケーションがインストールされた端末装置10とプッシュ・ツー・トーク方式での通話が可能となる。以下、IP無線通信に限定されない無線通信用アプリケーションをスマートフォン等の端末装置へインストールし、端末装置がインストールされた無線通信用アプリケーションを使用して通話またはメッセージを送受信する例について説明する。端末装置の無線通信用アプリケーションは、通話やメッセージを交換可能な通話アプリケーションやメッセージアプリケーションであり、SMS(Short Message Service)アプリケーション、メールアプリケーション、SNS(Social Networking Service)アプリケーション、ビデオ通話アプリケーション、ビデオ会議アプリケーション等でもよい。また、管理装置20には、端末装置の無線通信用アプリケーションに対応したサーバプログラムが実装される。
【0017】
<ロック時動作モードの例>
端末装置10は、ユーザが所定の期間(例えば1分間)操作を行わなかった場合、セキュリティ対策及びバッテリー消費を抑制する為、自動的にロック状態となるロック機能を備えている。ロック状態となっている端末装置10は、表示画面が消灯状態となり、通常のキー操作等は受け付けない状態(無効化する状態)となる。ロック状態となっている端末装置10を操作する場合、暗証番号の入力、パターン描画、指紋認証または顔認証等の操作を行い、ロック状態を解除する必要がある。
【0018】
端末装置10が他の端末装置10から発信された通話、あるいはメッセージを受信した際に、通信情報をどのように出力するかという「出力形態」を予め端末装置10に設定しておくことが可能である。「出力形態」は、通信情報の出力の有無、出力内容(出力の程度)、出力方法等を含む。例えば、出力形態は、「通信情報を全く出力しない」、「通信情報の一部を画面に表示する」、「通信情報の全部を画面に表示する」、「通信情報の一部を音声で出力する」、「通信情報の全部を音声で出力する」といった形態(出力方法)である。一般的には、表示や音声による出力方法であるが、振動等のその他の出力方法を含んでもよい。端末装置10がロック解除状態(非ロック状態、通常状態)で通信を受信した場合、基本的にはその通信情報が全て出力される。一方、端末装置10がロック状態で通信を受信した場合、基本的にはロック解除状態に比べて、出力される通信情報の量が少なく制限される。例えば、ロック状態で通信を受信した場合、通信の送信元(送信ユーザ等)の情報は表示されるが、通信メッセージ(通信内容そのもの)は表示されないように設定可能である。このため、端末装置10が通信を受信した際に、当該端末装置10のロック状態を制御することは、出力形態の制御の1つである。また、端末装置10がロック状態で通信を受信した場合、ロック状態を解除せずに、予め設定された出力形態で通信情報を出力することも可能である。以後、ロック状態における通信情報の「出力形態」をロック時動作モードと呼称する。ロック時動作モードを変更することにより、出力される通信情報が変化するため、ロック時動作モードを制御することは、出力形態の制御の1つである。
【0019】
図2A~
図2Dは、端末装置10において、他の端末装置10から通話、あるいはメッセージを受信した際の、ロック時動作モード毎の動作例を示している。この例では、ロック時動作モードとして、モードA、モードB、モードC、モードDの4つのモードが設定可能である。この例は、表示と音声の出力を組み合わせた出力形態の例である。なお、この4つのモードは一例であり、任意の数のモードとしてもよい。また、通話受信時のモードの数とメッセージ受信時のモードの数は、同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0020】
図2Aは、モードAの場合の表示画面及び音声の出力形態の具体例である。モードAでは、
図2A(1)および(2)に示すように、端末装置10は、通話、あるいはメッセージを受信した場合、表示画面D1の消灯状態を維持したままとし、通知音(例えば「ピコーン」などの報知音)により通話、あるいはメッセージを受信した旨のみをユーザへ通知する。つまり、通話の内容、あるいはメッセージの内容は一切出力されない。なお、通話受信時とメッセージ受信時とで、通知音を変えてもよい。
【0021】
図2Bは、モードBの場合の表示画面及び音声の出力形態の具体例である。モードBでは、
図2B(1)に示すように、端末装置10は、通話を受信した場合、通知音(報知音)により通話を受信した旨を出力するとともに、表示画面D1の点灯後に無線通信用アプリケーションの通話受信画面D10を表示し、通話受信画面D10には、受信した通話の発信元ユーザ名(発信元情報)のみを表示する。なお、通信の発信元(発信元ユーザ等)に応じて、通知音の種類を変えてもよい。例えば、ユーザAからの通信を受信した際に、高い周波数の通知音を出力し、ユーザBからの通信を受信した際に低い周波数の通知音を出力してもよい。また、モードBでは、
図2B(2)に示すように、端末装置10は、メッセージを受信した場合、通知音によりメッセージを受信した旨を出力するとともに、表示画面D1の点灯後に無線通信用アプリケーションのメッセージ受信画面D20を表示し、メッセージ受信画面D20には、メッセージの発信元ユーザ名のみを表示する。なお、モードBにおいて表示画面D1に通話受信画面D10またはメッセージ受信画面D20を表示する(点灯する)時間は、モードDの表示時間に比べて短い時間であり、表示後すぐに表示画面D1を消灯する。
【0022】
図2Cは、モードCの場合の表示画面及び音声の出力形態の具体例である。モードCでは、
図2C(1)に示すように、端末装置10は、通話を受信した場合、表示画面D1の点灯後に無線通信用アプリケーションの通話受信画面D10を表示し、受信した通話の発信元ユーザ名を表示するとともに、受信した通話情報(通話音声)をスピーカ等から出力する。なお、この時、通話受信画面D10には、新たな発信を行うための「PTT(Push To Talk)」ボタンは表示されない。また、モードCでは、
図2C(2)に示すように、端末装置10は、メッセージを受信した場合、通知音(報知音)によりメッセージを受信した旨を出力するとともに、表示画面D1の点灯後に無線通信用アプリケーションのメッセージ受信画面D20を表示する。このとき、メッセージ受信画面D20には、メッセージの発信元ユーザ名および受信したメッセージの内容を表示する。なお、この時、新たな発信を行うための「送信」ボタンは表示されない。モードCでは、モードBと同様に、表示画面D1に通話受信画面D10またはメッセージ受信画面D20を表示する(点灯する)時間は、モードDの表示時間に比べて短い時間であり、表示後すぐに表示画面D1を消灯する。
【0023】
図2Dは、モードDの場合の表示画面及び音声の出力形態の具体例である。モードDでは、
図2D(1)に示すように、端末装置10は、通話を受信した場合、表示画面D1の点灯後に無線通信用アプリケーションの通話受信画面D10を表示するとともに、受信した通話情報をスピーカから出力する。このとき、通話受信画面D10には、アプリケーションに登録されているユーザのリストを表示するとともに、新たな通話を発信するための「PTT」ボタンも表示する。また、モードDでは、
図2D(2)に示すように、端末装置10は、メッセージを受信した場合、通知音(報知音)によりメッセージを受信した旨を出力するとともに、表示画面D1の点灯後に無線通信用アプリケーションのメッセージ受信画面D20を表示する。このとき、メッセージ受信画面D20には、メッセージの発信元ユーザ名および受信したメッセージの内容を表示するとともに、新たなメッセージを発信するための「送信」ボタンも表示する。つまり、モードDでは、端末装置10がロックされていない状態(ロック解除状態)と同様に、無線通信用アプリケーションの全ての機能が使用可能となる。ただし、無線通信用アプリケーション以外の端末装置10の他の機能(例えばインターネットブラウザ機能)が、ロック解除状態と同様に使用可能になるとは限らない。モードDにおいて、他の機能を使用可能としてもよいし、ロック解除しない限り他の機能を使用できないようにしてもよい。なお、モードDでメッセージを受信した場合に、メッセージをメッセージ受信画面D20に表示するだけでなく、音声合成機能によりメッセージを音声に変換して出力(読み上げ処理)してもよい。
【0024】
なお、モードDにおいて表示画面D1に通話受信画面D10またはメッセージ受信画面D20を表示する(点灯する)時間は、任意に設定可能である。例えば、モードDでは、端末装置10は通話またはメッセージの受信が終了した後、所定の期間(例えば30秒間)が経過するまでの間、通話受信画面D10またはメッセージ受信画面D20を表示する。この所定の期間に、ユーザ操作が行われない場合は、表示画面D1を消灯し、ユーザ操作が行われた場合は、通話受信画面D10またはメッセージ受信画面D20の表示を継続する。
【0025】
<ロック時動作モードの検討>
端末装置10を利用しているユーザは、適切なロック時動作モードを設定することにより、周囲に人が多い状況(例えば、混雑した交通機関や公共施設等)において、機密性の高い通話、あるいはメッセージが無線通信システムを利用していない第三者へ漏洩する事態を防ぐ事が可能となる。
【0026】
ロック時動作モードがモードAの場合、端末装置10が通話、あるいはメッセージを受信した際、通知音のみを出力し、通信情報(通信内容)および発信元ユーザの情報は出力されない。このため、機密性の高い情報が第三者に漏洩する可能性が最も低い設定であると言える。しかしながら、受信した通話、あるいはメッセージ、あるいは発信元ユーザを確認する場合、端末装置10のロックを解除した後に無線通信用アプリケーションを操作する必要がある為、即時性の高い通話、あるいはメッセージを受信した場合に直ちにその内容を把握することができないという問題がある。また、直ちに返答する事が出来ないという問題がある。
【0027】
ロック時動作モードがモードBの場合、端末装置10が通話、あるいはメッセージを受信した際、通知音を出力し、発信元ユーザ名のみを含む受信画面を表示する。これにより、発信元ユーザ名のみが把握されるため、機密性の高い情報が第三者に漏洩する可能性がモードAに次いで低い設定であると言える。しかしながら、受信した通話、あるいはメッセージの詳細を確認する場合、端末装置10のロックを解除した後に無線通信用アプリケーションを操作する必要がある為、即時性の高い通話、あるいはメッセージを受信した場合に直ちにその内容を把握することができないという問題がある。また、直ちに返答する事が出来ないという問題がある。
【0028】
ロック時動作モードがモードCの場合、端末装置10が通話を受信した際、発信元ユーザ名のみを含む受信画面を表示するとともに、通話情報をスピーカから出力する。これにより、即時性の高い通話を直ちに聞くことが可能となる。しかしながら、公共施設等、ユーザの周囲に第三者が存在している場合、スピーカから出力された機密性の高い通話情報が第三者に漏洩する可能性がある。また、メッセージを受信した際、発信元ユーザ名およびメッセージの内容を表示するため、即時性の高いメッセージを直ちに把握することが可能である。しかしながら、短い時間だけ画面が表示されるという制御がされていても、混雑した電車内等、ユーザと第三者が非常に近距離にいる場合、第三者に無線通信用アプリケーションのメッセージ受信画面を盗視される事により機密性の高い情報が漏洩する可能性がある。またモードBと同様に、直ちに返答する事が出来ないという問題がある。
【0029】
ロック時動作モードがモードDの場合、端末装置10が通話、あるいはメッセージを受信した際、画面を点灯して無線通信用アプリケーションを表示し、通話情報、あるいはメッセージの内容を出力するとともに、「PTT」ボタン、あるいは「送信」ボタンを表示する。これにより、即時性の高い通話、あるいはメッセージの内容を直ちに把握し、必要であれば直ちに返答を行うことが可能となる。しかしながら、機密性の高い通話、あるいはメッセージが第三者に漏洩する可能性があり、また携帯電話端末が正規のユーザの手から離れている状態の場合、第三者により「PTT」ボタン、あるいは「送信」ボタンを操作され、不正な通信が行われる可能性がある。
【0030】
上記の4つのモードにおいて、情報漏洩リスクに関しては、モードDが最も高く、次いでモードC、モードB、モードAの順となり、モードAの情報漏洩リスクが最も低い。一方、即時性の高い通話、あるいはメッセージを受信した場合に、最も早くユーザへ内容を通知し、直ちに発信元の端末装置へ返答する事が可能な設定はモードDであり、次いでモードC、モードB、モードAの順となる。つまり、受信した通信に関して出力される情報の量(どの程度詳細な情報が出力されるか)は、モードDが最も多く、次いでモードC、モードB、モードAの順となる。このため、「ユーザが通信情報を素早く把握でき、素早く応答できる」といったユーザの利便性に関しては、モードDが最も高く、次いでモードC、モードB、モードAの順となる。なお、モードDとモードCに関しては、ほぼ同等の通信情報が出力されるが、モードCは出力される時間が短いため、出力情報量はモードDの方が多い。すなわち、情報漏洩リスクとユーザの利便性はトレードオフの関係にあり、ユーザが端末装置10を利用している状況に応じて、適切なモードが選択されることが望ましい。
【0031】
例えば、頻繁に端末装置10のロック状態を解除して操作を行っているユーザの場合、常にユーザの手元に端末装置10が存在している可能性が高いため、当該の端末装置10の情報漏洩リスクは相対的に低いと予想される。従って、当該の端末装置10では、ユーザの利便性がより高いモード(モードDやモードC)を選択する事が望ましい。
【0032】
一方、端末装置10のロック状態を解除していない、すなわち端末装置10をあまり操作していないユーザの場合、端末装置10は日常的にユーザの手元から離れている可能性が高く、当該の端末装置10の情報漏洩リスクは相対的に高いと予想される。従って、当該の端末装置10では、情報漏洩リスクがより低いモード(モードAやモードB)を選択する事が望ましい。このように、端末装置10の使用状況に応じて、適切なモードを選択することが重要である。しかしながら、端末装置10のユーザが状況に応じた適切なモードを判定することは容易ではない。また仮に適切なモードを判定できたとしても、手動でその都度設定するのは手間がかかり、ユーザの負担が大きい。
【0033】
そこで、本実施の形態では、通信情報が第三者に漏洩するリスクや端末装置が第三者に悪用されるリスクを十分抑制しながら、端末装置が受信した通信情報をユーザが迅速に把握できるようにし、ユーザの利便性を向上させることを可能とする。具体的には、無線通信システムにおいて、端末装置の出力形態を制御する制御装置を備える。例えば、端末装置のロック状態、使用状況(使用履歴や操作履歴)、ロック状態となってからの経過時間といった、端末装置の操作状況情報に基づいて出力形態を制御する。一般的に、ユーザが所定の時間以上、端末装置の操作を行わないことによりロック状態が設定され、ユーザが所定の操作を行うことによりロック状態が解除されるため、ロック状態が設定されている状況やロック状態が解除されている状況に関する情報は、操作状況情報であると言える。また、本実施の形態では、出力形態の制御の一例として、ロック状態を解除するか否かを制御(決定)する。すなわち、ロック状態を解除することによって、端末装置10により多くの通信情報を出力させる、といった制御を行う。また、ロック状態を解除しない(継続する)ことによって、端末装置10により少ない通信情報を出力させる、あるいは全く通信情報を出力させないように制御する。なお、後述の実施の形態のように、端末装置10のロック時動作モードを制御(決定)することにより、通信情報の出力形態を制御(決定)してもよい。
【0034】
出力形態を制御する制御装置は、管理装置20に含まれてもよいし、端末装置10に含まれてもよい。本実施の形態では、制御装置が管理装置20に含まれる例について説明する。具体的には、端末装置10は、現在のロック状態、ロック時動作モードを管理装置20へ送信し、管理装置20は、無線通信システムで利用されるすべての端末装置10のロック状態と、ロック時動作モードと、ロック状態及びロック時動作モードが確定した時刻とを記録する。さらに、管理装置20は、端末装置10へ音声、メッセージを送信する際、送信先端末装置のロック状態、ロック時動作モードおよび確定した時刻から、送信先端末装置のロック状態を解除するか否か(あるいはロック時動作モードを変更するか否か)判定し、端末装置10は、管理装置20での判定結果に基づいて、端末装置10のロック状態を制御(あるいはロック時動作モードを制御)する。
【0035】
これにより、無線通信システムにおいて、端末装置の使用状況(操作状況)に応じて、適切に通信情報を出力する事が可能となる。第三者に通信情報が漏洩するリスクが高い状況においては、端末装置がより少ない通信情報を出力し、第三者に通信情報が漏洩するリスクが低い状況においては、端末装置がより多い通信情報を出力する。このため、情報漏洩のリスクを抑えつつ、端末間の通信を迅速に行うことができる。
【0036】
<端末装置の構成>
図3は、本実施の形態に係る端末装置10の構成例を示している。端末装置10は、上記のように、例えば、無線通信用アプリケーションがインストールされたスマートフォン等の携帯電話端末であり、また、ロック時動作モードとしてモードA~Dが設定可能である。
図3に示すように、端末装置10は、制御部11、表示部12、入力部13、音声出力部14、音声入力部15、計時部16、通信部17、記憶部18を備える。なお、
図3の構成は、一例であり、本実施の形態に係る動作が可能であれば、その他の構成であってもよい。
【0037】
制御部11は、端末装置10の各部の動作を制御する制御部である。例えば、記憶部18に記憶されたプログラム(無線通信用アプリケーション)をCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで実行することにより、制御部11の機能が実現される。例えば、制御部11は、通話、あるいはメッセージの発信時、入力部13に入力されたユーザ操作に応じて、通信部17から他の端末装置10へ発信するよう制御し、また、通話、あるいはメッセージの受信時、通信部17が受信した通話、あるいはメッセージに応じて、表示部12の表示や音声出力部14の出力を制御する。さらに、制御部11は、記憶部18に設定されたロック時動作モードに応じて、表示部12や入力部13がロック状態となるよう制御し、また、入力部13に入力されたユーザ操作に応じて、ロック状態を解除するよう制御する。本実施の形態では、制御部11は、ロック状態に遷移した場合、またはロック状態を解除した場合(通常状態に遷移した場合)に、管理装置20へ現在の端末状態(ロック状態またはロック解除状態)とロック時動作モードを含むロック情報を通知する。また、制御部11は、管理装置20から受信するロック解除指示(制御情報、制御メッセージ)に応じて、ロック状態を解除する。
【0038】
表示部12は、表示画面D1を構成する液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等であり、GUI(Graphical User Interface)等を表示するインターフェースでもある。例えば、表示部12は、端末装置10の設定内容や通話状態等を表示し、通話、あるいはメッセージの受信時、ロック時動作モードに応じて通話受信画面D10やメッセージ受信画面D20に受信した情報を表示する。
【0039】
入力部13は、端末装置10のユーザが操作を行うための各種ボタン、タッチパネル等の入力デバイス(操作部)であり、入力デバイスの状態を制御部11に通知するためのインターフェースを含んでいる。タッチパネルを用いて、表示部12と入力部13を一体的に構成してもよい。例えば、入力部13は、通話の発信を行う際に押下されるPTTボタン(通話ボタン)、メッセージの発信を行う際に押下される送信ボタン、周辺機器の操作を行う際に押下される操作ボタン等を含む。また、入力部13は、通話ボタン、送信ボタン、操作ボタン等の押下状態を検出し、その検出結果を制御部11へ通知する。入力部13は、ロック状態において、ロック状態を解除するためのユーザ操作のみを受け付け、その他のユーザ操作を受け付けない。入力部13は、ロック状態において、通話、あるいはメッセージの受信時、ロック時動作モードに応じて、ユーザ操作が制限されている。
【0040】
音声出力部14は、他の端末装置10から受信した通話(通話情報)を音声出力する。また、音声出力部14は、通信を受信したことを示す報知音を出力する。例えば、通話を受信した際には所定の報知音(呼出音)を出力し、メッセージを受信した際に、別の報知音を出力する。音声出力部14は、通話、あるいはメッセージの受信時、ロック時動作モードに応じて報知音や通話音声を出力する。音声出力部14は、例えばスピーカで構成される。スピーカの他に端末装置10に接続されたイヤホンに対して音声を出力してもよい。イヤホンに対して音声を出力する場合、スピーカに対して音声を出力しない制御を行ってもよい。端末装置10は、イヤホンと接続するための、有線または無線のインターフェースを備えていてもよい。
【0041】
音声入力部15は、通話を行う際に、ユーザが発話した音声情報を集音する。また、音声入力部15は、端末装置10の周囲の環境音を集音してもよい。音声入力部15は、例えばマイクにより構成される。例えば、音声入力部15は、ユーザが通話受信画面D10の通話ボタンを押下した状態でユーザの音声を集音する。計時部16は、現時刻(現在の時刻)を取得する。計時部16は、制御部11から要求された際に現時刻を出力する。
【0042】
通信部17は、無線通信を行う無線通信部であり、無線通信システム100において管理装置20および他の端末装置10との通信を可能とする。通信部17は、制御部11の指示にしたがって他の端末装置10へ通話、あるいはメッセージを発信し、また、他の端末装置10から受信する通話、あるいはメッセージを制御部11へ通知する。例えば、無線通信システム100は、移動体通信事業者が提供する移動体通信システムにより実現され、通信部17は、移動体通信システムの基地局30と無線通信を行うことで、基地局30及びネットワーク40を介して、管理装置20や他の端末装置10と通信を行う。通信部17は、データを送信する送信部(不図示)と、データを受信する受信部(不図示)とを含む。なお、通信部17は、基地局30を介さずに、他の端末装置10と直接無線通信を行ってもよい。また、移動体通信システムに限らず、その他の通信システムやネットワークを介して通信を行ってもよい。例えば、業務用無線システムや無線LAN、Bluetooth(登録商標)等を使用してもよい。
【0043】
記憶部18は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリやハードディスク等の記憶装置であり、端末装置10の動作に必要なプログラムやデータを記憶する。記憶部18は、端末装置10に関する設定情報、例えばロック時動作モードの設定を示すロック時動作設定値181を記憶する。この例では、ロック時動作設定値181に、モードA~Dのいずれかが設定される。なお、モードA~Dのそれぞれの設定値として、「1」~「4」を記録してもよい。
【0044】
<管理装置の構成>
図4は、本実施の形態に係る管理装置20の構成例を示している。管理装置20は、端末装置10の発信シーケンスを制御するとともに、端末装置10のロック状態(出力形態)を制御する。
図4に示すように、管理装置20は、制御部21、計時部22、通信部23、記憶部24を備える。上述したように、本実施の形態では、管理装置20が制御装置としての機能を備えている。例えば、管理装置20において、端末装置への通信を受信する通信部(受信部)23と、受信した通信情報の端末装置の出力形態を制御(決定)する制御部21とが、本実施の形態に係る制御装置を構成してもよい。またさらに、端末装置へ出力形態を制御するための情報(制御情報)を送信する通信部(送信部)23を含めて制御装置を構成してもよい。なお、
図4の構成は、一例であり、本実施の形態に係る動作が可能であれば、その他の構成であってもよい。
【0045】
制御部21は、管理装置20の各部の動作を制御する制御部である。例えば、記憶部24に記憶されたプログラム(サーバプログラム)をCPU等のプロセッサで実行することにより、制御部21の機能が実現される。例えば、制御部21は、SIPプロトコルにしたがって、通信部23が送受信する端末装置10の通話あるいはメッセージの発信シーケンスを制御する。なお、SIPに限らず、その他のプロトコルにより、発信シーケンスを制御してもよい。また、制御部21は、端末装置10から受信したロック情報を、現時刻とともに記憶部24のロック情報テーブル241に記録する。制御部21は、発信元の端末装置10から発信先の端末装置10への通話、あるいはメッセージを受信した場合、記憶部24のロック情報テーブル241を参照し、発信先の端末装置10がロック状態となってからの経過時間に応じて、発信先の端末装置10のロック状態を解除する。
【0046】
計時部22は、現時刻を取得する。計時部22は、制御部21から要求された際に現時刻を出力する。通信部23は、移動体通信事業者が提供する無線通信システム100において、ネットワーク40及び基地局30を介して、端末装置10と通信を行う。通信部23は、発信元の端末装置10から通信情報を受信し、発信先の端末装置10へ通信情報を送信する。端末装置10と送受信する通信情報には、通話あるいはメッセージの発信用の通信制御情報や、ロック解除等のロック状態制御情報が含まれる。記憶部24は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリやハードディスク等の記憶装置であり、管理装置20の動作に必要なプログラムやデータを記憶する。記憶部24には、端末装置10のロック情報を管理するロック情報テーブル241を記憶する。
【0047】
<ロック時/ロック解除時の処理>
次に、本実施の形態の処理の詳細を説明する。
図5は、本実施の形態に係るロック時及びロック解除時の処理を示すシーケンス図である。前述の通り、端末装置10は、ユーザが所定の期間(例えば1分間)操作を行わなかった場合、セキュリティ対策及びバッテリー消費を抑制する為、自動的にロック状態に遷移する。また、ロック状態となっている端末装置10を操作する場合、正規のユーザが暗証番号の入力、パターン描画、指紋認証または顔認証等の操作を行う事によりロック状態を解除する。
【0048】
図5に示すように、端末装置10の制御部11は、端末装置10がロック状態に遷移した場合(S100)、管理装置20へロック情報を送信する(S110)。ロック情報は、具体的には端末装置の端末ID、ロック状態またはロック解除状態を示す端末状態、および端末装置10の記憶部18に記録されているロック時動作モード(ロック時動作設定値181)の情報を含む。管理装置20の制御部21は、端末装置10からロック情報を受信した場合、計時部22から現時刻を取得し、受信したロック情報と供に記憶部24のロック情報テーブル241へ記録する(S120)。また、同様に、端末装置10の制御部11は、端末装置10のロック状態が解除された場合(S130)、管理装置20へロック情報を送信し(S140)、管理装置20の制御部21は、端末装置10からロック情報を受信すると、現時刻と受信したロック情報を記憶部24のロック情報テーブル241へ記録する(S150)。
【0049】
<ロック情報テーブルの構成>
図6は、管理装置20の記憶部24に記憶されるロック情報テーブル241の構成例を示している。
図6に示すように、ロック情報テーブル241は、受信日時と、端末IDと、端末状態と、ロック時動作モードとを関連付けて記憶する。ロック情報テーブル241の受信日時には、管理装置20が端末装置10からロック情報を受信した際の日時(受信日付及び受信時刻)が記録される。なお、
図6における受信日時の記録である「2020/5/1 10:27:05」の表記は「2020年5月1日 10時27分05秒」であることを表す。なお、本実施の形態では、管理装置20が端末装置10からロック情報を受信した際の日時を受信日時とするが、これに限定されるものではない。例えば、端末装置10がロック状態に遷移した日時を端末装置10から受信し、それを受信日時としてもよい。また、端末装置10がロック状態に遷移する前に最後に操作された日時(最終操作日時)を端末装置10から受信し、それを受信日時としてもよい。また、端末装置10でロック状態が解除された日時を端末装置10から受信し、それを受信日時としてもよい。また、端末装置10において最後に操作がなされてからロック状態に遷移するまでの時間(ロック状態遷移時間)を端末装置10から受信し、それをロック情報テーブル241に記録してもよい。例えば、端末装置10ごとに、端末装置10に設定された「30秒」、「1分」等のロック状態遷移時間をロック情報テーブル241に記録してもよい。
【0050】
ロック情報テーブル241の端末IDには、ロック情報を送信した端末装置10のID(識別情報)が記録される。例えば、端末装置10-1の端末IDは「001」、端末装置10-2の端末IDは「002」、端末装置10-3の端末IDは「003」、端末装置10-4の端末IDは「004」、端末装置10-5の端末IDは「005」、端末装置10-6の端末IDは「006」、端末装置10-7の端末IDは「007」である。ロック情報テーブル241の端末状態には、ロック情報を送信した端末装置10の現在の状態を記録する。
図6では、端末装置10がロック状態の場合「1」が記録され、端末装置10がロック解除状態(ロック状態が解除されている状態)の場合は「0」が記録される。このため、「端末状態」は「ロック状態フラグ」とも呼ばれる。
【0051】
ロック情報テーブル241のロック時動作モードには、ロック情報を送信した端末装置10の記憶部18に設定されているロック時動作モードが記録される。端末装置10の記憶部18のロック時動作設定値181と同様、モードA~Dのいずれかが記録される。
【0052】
管理装置20の制御部21は、各端末装置10からロック情報を受信した際、ロック情報テーブル241に同一の端末IDのレコードが存在する場合、受信したロック情報の内容でレコードを更新(上書き)する。ロック情報テーブル241に同一の端末IDのレコードが存在しない場合、新たな端末IDのレコードを追加する。すなわち、ロック情報テーブル241には、端末装置毎の最新のロック情報が記録される。なお、本実施の形態では、端末装置10から管理装置20へ送信されるロック情報にロック時動作モードを含めて、管理装置20のロック情報テーブル241にロック時動作モードを記録する構成としたが、ロック情報にロック時動作モードを含めず、端末IDおよび端末状態(ロック状態フラグ)のみを記録する構成としてもよい。ロック情報テーブル241は、端末装置の操作状況情報の1つの形態である。
【0053】
<ロック解除判定処理>
発信元端末装置10a(端末装置10-1~10-7のうちいずれか)から発信先端末装置10b(端末装置10-1~10-7のうち発信元端末装置10aを除くいずれか)への通話、あるいはメッセージの送信が発生した場合、管理装置20の制御部21は、発信先端末装置10bのロック解除判定処理を実行する。ロック解除判定処理では、管理装置20の記憶部24のロック情報テーブル241を参照し、発信先端末装置10bのロック状態を解除するか否かを判定する。
【0054】
具体的には、ロック情報テーブル241から発信先端末装置10bのレコードを参照し、該当するレコードの端末状態が「1」、すなわち発信先端末装置10bがロック状態の場合、計時部22から現時刻を取得し、発信先端末装置10bよりロック情報を受信した時刻である受信時刻からの経過時間LTを計算する。すなわち、経過時間LTは、発信先端末装置10bがロック状態に遷移してから現時刻までの経過時間となる。経過時間LTが、所定時間PT(例えば10秒)以下の場合、管理装置20の制御部21は、発信先端末装置10bのロック状態を解除すると判定する。これは、発信先端末装置10bがロック状態に遷移してからの経過時間LTが所定時間PT以下の場合、発信先端末装置10bのユーザは直近まで端末装置を操作していた可能性が高く、端末装置はユーザの手元、あるいは手の届く範囲に存在している事が予想される事から、ロック状態を解除し、いち早く通話やメッセージを出力すべきであるという知見に基づく処理となる。経過時間LTは、端末装置の操作状況情報の1つの形態である。
【0055】
図6のロック情報テーブル241を参照しロック解除判定処理を行う例について説明する。例えば、発信先端末装置10bの端末IDが「001」(端末装置10-1)の場合、ロック情報テーブル241内で端末IDが「001」であるレコードの端末状態が「1」、すなわち発信先端末装置10bがロック状態であることから、管理装置20の制御部21は、計時部22から現時刻を取得する。取得した現時刻が「2020/5/1 10:27:10」であった場合、該当するレコードのロック情報の受信日時は「2020/5/1 10:27:05」である事から経過時間LTは5秒となり、所定時間PT(ここでは10秒)以下のため、端末IDが「001」の発信先端末装置10bのロック状態を解除すると判定する。
【0056】
また、発信先端末装置10bの端末IDが「002」(端末装置10-2)の場合、ロック情報テーブル241内で端末IDが「002」であるレコードの端末状態が「1」、すなわち発信先端末装置10bがロック状態であることから、管理装置20の制御部21は、計時部22から現時刻を取得する。取得した現時刻が「2020/5/1 10:27:10」であった場合、該当するレコードのロック情報の受信日時は「2020/5/1 10:26:20」である事から経過時間LTは50秒となり、所定時間PT(ここでは10秒)以下ではないため、端末IDが「002」の発信先端末装置10bのロック状態は解除しないと判定する。なお上述したように、端末装置10(発信先端末装置10b)において最後にユーザ操作がなされた日時をロック情報テーブル241に記録し、最後にユーザ操作がなされた日時から現時刻までの経過時間を用いて、ロック状態の解除を判定してもよい。また、ロック状態遷移時間をロック情報テーブル241に記録した上で、制御部21は、受信日時からロック状態遷移時間を差し引いた時刻を最終操作日時として算出(導出)し、最終操作日時から現時刻までの経過時間を用いて、ロック状態の解除を判定してもよい。すなわち、端末装置10において最後にユーザ操作がなされてからの経過時間が、所定時間以下である場合にロック状態を解除すると判定し、その経過時間が所定時間を超える場合にロック状態を解除しないと判定してもよい。
【0057】
管理装置20の制御部21は、ロック解除判定処理にて発信先端末装置10bのロック状態を解除すると判定された場合、通話、あるいはメッセージを送信する前に発信先端末装置10bへロック解除指示を送信する。端末装置10の制御部11は、管理装置20からロック解除指示を受信した場合、端末装置10のロック状態を解除する。ロック解除指示は、端末装置10における通信情報の出力形態を制御するための制御情報の1つである。
【0058】
<発信シーケンス>
図7A及び
図7Bは、本実施の形態に係る通話及びメッセージ発信時の処理を示すシーケンス図である。
図7Aは、発信元端末装置10aから発信先端末装置10bへ通話を発信する場合の処理を示している。なお、
図7Aは、SIPにおける通話発信時のシーケンスを示しているが、その他のプロトコルを用いて通話を発信する場合でも同様に本実施の形態を適用可能である。例えば、他の例として、管理装置20から通話発信要求(INVITE)とロック解除指示をまとめて送信してもよい。
【0059】
図7Aに示すように、発信元端末装置10aの制御部11は、ユーザの操作に応じて発信先端末装置10bへ通話を発信する場合(S200)、発信先端末装置10bへの通話の開始要求である「INVITE」を管理装置20へ送信する(S210)。管理装置20の制御部21は、発信元端末装置10aから「INVITE」を受信した場合、ロック解除判定処理を実行する(S220)。ロック解除判定処理にて発信先端末装置10bのロック状態を解除すると判定された場合、管理装置20の制御部21は、発信先端末装置10bへ「ロック解除指示」を送信する(S230)。発信先端末装置10bの制御部11は、管理装置20から「ロック解除指示」を受信した場合、端末装置のロック状態を解除する(S240)。発信先端末装置10bの制御部11は、端末装置のロック状態を解除した後、管理装置20へ「ロック解除応答」を送信する(S250)。
【0060】
管理装置20の制御部21は、発信先端末装置10bから「ロック解除応答」を受信後、発信先端末装置10bへS210で受信した「INVITE」を送信する(S260)。その後通話処理が実行される。具体的には、発信先端末装置10bは、「INVITE」を受信すると、「200 OK」を管理装置20へ送信し(S270)、管理装置20は、「200 OK」を発信元端末装置10aへ送信する(S280)。発信元端末装置10aは、「200 OK」を受信すると、「ACK」を管理装置20へ送信し(S290)、管理装置20は、「ACK」を発信先端末装置10bへ送信する(S300)。これにより、発信元端末装置10aと発信先端末装置10bとの間でセッションが確立するため、通話が開始され(S310)、発信元端末装置10aから発信先端末装置10bへRTP(Real-time Transport Protocol)により通話音声が送信される(S320、S330)。このように、管理装置20(制御装置)から端末装置10に対して、S230でロック解除指示(使用すべき出力形態を示す制御情報)を送信した後に、S330で通話音声(通信情報)を送信するため、端末装置10において出力される通信情報を適切に制御(管理)することができる。
【0061】
図7Bは、発信元端末装置10aから発信先端末装置10bへメッセージを発信する場合の処理を示している。なお、
図7Bは、SIPにおけるメッセージ発信時のシーケンスを示しているが、その他のプロトコルを用いてメッセージを発信する場合でも同様に本実施の形態を適用可能である。例えば、他の例として、管理装置20からメッセージ情報とロック解除指示をまとめて送信してもよい。
【0062】
図7Bに示すように、発信元端末装置10aの制御部11は、ユーザの操作に応じて発信先端末装置10bへメッセージを発信する場合(S340)、ユーザが入力した発信先端末装置10bへの「メッセージ情報」を管理装置20へ送信する(S350)。通話発信時の
図7Aと同様に、管理装置20の制御部21は、発信元端末装置10aから「メッセージ情報」を受信すると、ロック解除判定処理を実行し(S220)、発信先端末装置10bのロック解除と判定された場合、発信先端末装置10bへ「ロック解除指示」を送信する(S230)。発信先端末装置10bの制御部11は、管理装置20から「ロック解除指示」を受信すると、端末装置のロック状態を解除し(S240)、管理装置20へ「ロック解除応答」を送信する(S250)。管理装置20の制御部21は、発信先端末装置10bから「ロック解除応答」を受信後、発信先端末装置10bへS350で受信した「メッセージ情報」を送信する(S360)。発信先端末装置10bは、「メッセージ情報」を受信すると「200 OK」を管理装置20へ送信し(S370)、管理装置20は、「200 OK」を発信元端末装置10aへ送信する(S380)。このように、管理装置20(制御装置)から端末装置10に対して、S230でロック解除指示(使用すべき出力形態を示す制御情報)を送信した後に、S360でメッセージ情報(通信情報)を送信するため、端末装置10において出力される通信情報を適切に制御(管理)することができる。
【0063】
<ロック解除判定フロー>
図8は、管理装置20の制御部21で実行されるロック解除判定処理のフローチャートである。まず、S400において、管理装置20の制御部21は、発信元端末装置10aから通話、あるいはメッセージを受信したか否かを判定する。制御部21は、通話、あるいはメッセージを受信した場合(S400:Yes)、S410に処理を進め、通話、あるいはメッセージを受信していない場合(S400:No)、S400に戻って処理を繰り返す。
【0064】
次に、S410において、制御部21は、ロック情報テーブル241内の発信先端末装置10bの端末状態が「1」であるか否かを判定する。具体的には、ロック情報テーブル241内から、通話、あるいはメッセージの発信先の端末IDに一致する発信先端末装置10bのレコードを取得し、該当するレコードの端末状態を判定する。制御部21は、発信先端末装置10bの端末状態が「1」の場合、すなわちロック状態の場合(S410:Yes)、S420に処理を進め、発信先端末装置10bの端末状態が「1」でない場合、すなわちロック状態が解除されている場合(S410:No)、処理を終了する。
【0065】
次に、S420において、制御部21は、計時部22より現時刻CTを取得する。続いて、S430において、制御部21は、ロック情報テーブル241内の発信先端末装置10bの受信日時の時刻と、現時刻CTの差分である経過時間LTを計算する。具体的には、S420で取得した現時刻CTから、S410で判定した発信先端末装置10bのレコードの受信日時(受信時刻)を引いた時間を求める。
【0066】
続いて、S440において、制御部21は、経過時間LTが所定時間(しきい値)PT(例えば10秒)以下であるか否かを判定する。制御部21は、経過時間LTが所定時間PT以下の場合(S440:Yes)は、処理をS450に進め、経過時間LTが所定時間PT以下でない場合(S440:No)は、処理を終了する。次に、S450において、制御部21は、発信先端末装置10bへロック解除指示を送信し、その後処理を終了する。
【0067】
<実施の形態1の効果>
以上のように、本実施の形態によれば、発信先端末装置がロック状態の場合においても、ロック状態に遷移してからの経過時間が短い場合には、発信先端末装置のロック状態を解除する。これにより、ユーザへ迅速に通話、あるいはメッセージを通知する事が可能となる。つまり、発信先端末装置のユーザは、通信情報(通信内容)を迅速に把握できる。また、発信先端末装置のユーザは通話、あるいはメッセージについて迅速に返答する事が可能となる。また、ロック状態に遷移してからの経過時間またはユーザ操作が最後になされてからの経過時間に応じて、ロック状態を解除するか否かを判定しているため、通信内容が第三者に漏洩するリスクや端末装置が第三者に利用されるリスクを低減できる。すなわち、そのようなリスクを低減しながら、ユーザ間のコミュニケーションを迅速に行うことが可能になり、ユーザの利便性が向上する。なお、IP無線通信を行う端末装置では、PTTボタンを使用した半二重通話を行うため、1つの通話の直後に別の通話(応答通話)を行う可能性(頻度)が高い。このため、本実施の形態のようなロック制御が特に有益である。
【0068】
(実施の形態1の変形例1)
実施の形態1では
図8の所定時間PTを固定値(例えば10秒)として説明したが、所定時間PTは発信先端末装置毎に個別の値を用いてもよい。その場合、管理装置20の記憶部24は、端末装置10から所定期間に受信した全てのロック情報の履歴をロック情報履歴テーブルとして記録する。
【0069】
図9A及び
図9Bは、
図6に示したロック情報テーブルの代わりに用いられるロック情報履歴テーブルの構成例を示している。ロック情報履歴テーブルには、端末装置10から受信したロック情報が追記される。なお、
図9A及び
図9Bでは便宜的に、ロック情報履歴テーブルを2つの図面に分割して示している。また、説明を簡潔にする為、端末IDで並び替えたテーブルを図示しているが、もちろん受信日時順に履歴を記録してもよい。ロック情報履歴テーブルは、少なくとも所定期間分の履歴を記憶する。例えば、この所定期間を24時間とすればよい。また、過去に端末装置10から受信した全てのロック情報を記憶してもよい。ロック情報履歴テーブルは、端末装置の操作状況情報の1つの形態である。
【0070】
管理装置20の制御部21は、ロック情報履歴テーブルを参照し、所定期間内で端末装置10のロック状態が解除されている解除時間UTを計算する。すなわち、端末装置10のロック状態を頻繁に解除して操作を行っているユーザほど、解除時間UTは大きくなり、あまり端末装置10の操作を行っていないユーザほど、解除時間UTは小さくなる。例えば、管理装置20の制御部21は、解除時間UTの大きさに従って所定時間PTを決定する。また、所定の期間(ここでは24時間)に占める解除時間UTの割合である解除率UR、つまり(解除率UR=解除時間UT÷所定期間×100)をもとに、所定時間PTを決定してもよい。
【0071】
例えば、解除時間UTが12時間(解除率URが50%)を超える場合は、所定時間PTを60秒にする。また、解除時間UTが8時間を超え、かつ12時間以下(解除率URが33%を超え、かつ50%以下)である場合は所定時間PTを40秒にする。また、解除時間UTが4時間を超え、かつ8時間以下(解除率URが17%を超え、かつ33%以下)である場合は所定時間PTを20秒とすればよい。つまり、解除時間UTあるいは解除率URが大きいほど、所定時間PTを大きな値に設定する。これは、解除時間UTや解除率URの大きい端末装置10のユーザは端末装置10がロック状態になった場合においても、日常的に端末装置10に近い位置に存在している可能性が高いと予想される事から、解除時間UTや解除率URが大きいほど、所定時間PTを長く設定すべきであるという知見に基づく処理となる。
【0072】
なお、複数の端末装置10の値を用いて所定時間PTを設定してもよい。例えば、ロック情報履歴テーブルにおいて求めた全ての端末装置10の解除時間や解除率の平均値をもとに、所定時間PTを決定してもよい。例えば、解除時間の平均値に所定の係数(倍率)を乗算した値を所定時間PTにしてもよい。また、グループ通話の場合に、グループに属する端末装置の平均値を用いてもよい。
【0073】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態1では、発信先端末装置がロック状態に遷移してからの経過時間、または発信先端末装置においてユーザ操作が最後になされてからの経過時間により、発信先端末装置のロック状態を解除するか否の判定を行った後、発信先端末装置へロック解除指示を送信する事により発信先端末装置のロック状態を解除する処理を説明した。本実施の形態では、発信先端末装置の出力形態の制御として、発信先端末装置がロック状態に遷移してからの経過時間、または発信先端末装置においてユーザ操作が最後になされてからの経過時間により、発信先端末装置のロック時動作モードを変更するか否かを判定する。すなわち、本実施の形態では、端末装置のロック時動作モードを制御(決定)することにより、通信情報の出力形態を制御(決定)する。なお、本実施の形態の端末装置内部のブロック図、管理装置内部のブロック図、及びロック情報テーブルの構成は実施の形態1と同じである。
【0074】
<モード変更判定処理>
発信元端末装置10aから発信先端末装置10bへの通話、あるいはメッセージの送信が発生した場合、管理装置20の制御部21は、発信先端末装置10bのモード変更判定処理を実行する。モード変更判定処理では、管理装置20の記憶部24のロック情報テーブル241を参照し、発信先端末装置10bのユーザの状況に適したロック時動作モードである推奨モードを決定する。なお、ここでは、ロック時動作モードをモードA~Dのいずれかに変更する例について説明するが、ロック時動作モードの変更に加えて、実施の形態1と同様にロック状態を解除してもよい。
【0075】
具体的には、実施の形態1と同様にロック情報テーブル241から発信先端末装置10bのレコードを参照し、該当するレコードの端末状態が「1」であった場合、発信先端末装置10bがロック状態に遷移してから現時刻までの経過時間LTを計算し、経過時間LTの大きさにより発信先端末装置10bで設定すべき推奨モードを決定する。例えば、経過時間LTが小さい場合、発信先端末装置10bのユーザは直近まで端末装置を操作していた可能性が高く、端末装置はユーザの手元、あるいは手の届く範囲に存在している事が予想される。この為、推奨モードは、速やかに受信した通話、あるいはメッセージを出力し、直ちに発信元端末装置10aへ返答可能なモードDに決定される。また、経過時間LTが大きい場合、発信先端末装置10bのユーザはしばらく端末装置を操作していない可能性が高く、端末装置はユーザの手元から離れた場所に存在している可能性がある。この為、推奨モードは情報漏洩リスクが低く、より安全性の高いモードAに決定される。本実施の形態では、経過時間LTが長いほど、端末装置が受信する通信に関して(受信した情報の内)、より少ない情報を端末装置に出力させるモード(出力形態)を決定する。
【0076】
なお、本実施の形態においては、推奨モードを経過時間LTの大きさに応じて段階的に決定する。具体的には、第1所定時間TDと、第1所定時間TDよりも長い第2所定時間TCと、第2所定時間TCよりも長い第3所定時間TBを用いて以下の処理を行う。以下の説明において、第1所定時間TDを10秒とし、第2所定時間TCを100秒とし、第3所定時間TBを1000秒とするが、もちろん、これらの値に限定される訳ではない。経過時間LTが第1所定時間TD以下の場合、推奨モードはモードDに決定される。また、経過時間LTが第1所定時間TDより長く、かつ第2所定時間TC以下の場合、推奨モードはモードCに決定される。また、経過時間LTが第2所定時間TCより長く、かつ第3所定時間TB以下の場合、推奨モードはモードBに決定される。また、経過時間LTが第3所定時間TBを上回る場合、推奨モードはモードAに決定される。モード変更判定処理では、ロック情報テーブル241に記憶されている発信先端末装置10bのロック時動作モードが上記で決定した推奨モードと異なっていた場合、発信先端末装置10bはロック時動作モードを推奨モードへ変更する必要が有ると判定する。また、発信先端末装置10bの推奨モードとロック情報テーブル241のロック時動作モードが一致した場合は、ロック時動作モードを変更する必要なしと判定される。
【0077】
図6のロック情報テーブル241を参照しモード変更判定処理を行う例について説明する。例えば、発信先端末装置10bの端末IDが「003」(端末装置10-3)の場合、ロック情報テーブル241内で端末IDが「003」であるレコードの端末状態が「1」、すなわち発信先端末装置10bがロック状態であることから、管理装置20の制御部21は、計時部22から現時刻を取得する。取得した現時刻が「2020/5/1 10:27:10」であった場合、該当するレコードのロック情報の受信日時は「2020/5/1 10:26:35」である事から経過時間LTは35秒であり、第1所定時間TD(ここでは10秒)を上回り、第2所定時間TC(ここでは100秒)以下となる。従って、端末IDが「003」の発信先端末装置10bの推奨モードはモードCに決定される。ロック情報テーブル241の該当するレコードのロック時動作モードはモードAに設定されており、推奨モードのモードCとは異なる為、端末IDが「003」の発信先端末装置10bはロック時動作モードを推奨モードであるモードCへ変更する必要が有ると判定する。
【0078】
また、発信先端末装置10bの端末IDが「004」(端末装置10-4)の場合、ロック情報テーブル241内で端末IDが「004」であるレコードの端末状態が「1」、すなわち発信先端末装置10bがロック状態であることから、管理装置20の制御部21は、計時部22から現時刻を取得する。取得した現時刻が「2020/5/1 10:27:10」であった場合、該当するレコードのロック情報の受信日時は「2020/5/1 10:17:10」である事から経過時間LTは600秒であり、第2所定時間TC(ここでは100秒)を上回り、第3所定時間TB(ここでは1000秒)以下となる。従って、端末IDが「004」の発信先端末装置10bの推奨モードはモードBに決定される。ロック情報テーブル241の該当するレコードのロック時動作モードはモードDに設定されており、推奨モードのモードBとは異なる為、端末IDが「004」の発信先端末装置10bはロック時動作モードを推奨モードであるモードBへ変更する必要が有ると判定する。
【0079】
管理装置20の制御部21は、モード変更判定処理にて発信先端末装置10bのロック時動作モードを変更する必要があると判定された場合、通話、あるいはメッセージを送信する前に発信先端末装置10bにモード変更指示を送信する。モード変更指示にはモード変更判定処理にて決定した推奨モード(モードA~Dのいずれか)が指定される。端末装置10の制御部11は、管理装置20からモード変更指示を受信した場合、端末装置10のロック時動作モード(ロック時動作設定値181)をモード変更指示に指定されたモードに変更する。モード変更指示は、端末装置10における通信情報の出力形態を制御するための制御情報の1つである。
【0080】
<発信シーケンス>
図10A及び
図10Bは、本実施の形態に係る通話及びメッセージ発信時の処理を示すシーケンス図である。
図10Aは、発信元端末装置10aから発信先端末装置10bへ通話を発信する場合の処理を示している。
【0081】
図10Aに示すように、実施の形態1の
図7Aと同様、発信元端末装置10aは、通話を発信する場合(S200)、「INVITE」を管理装置20へ送信する(S210)。管理装置20の制御部21は、発信元端末装置10aから「INVITE」を受信した場合、モード変更判定処理を実行する(S221)。モード変更判定処理において発信先端末装置10bのモードを変更すると判定された場合、管理装置20の制御部21は、発信先端末装置10bへ推奨モードが指定された「モード変更指示」を送信する(S231)。発信先端末装置10bの制御部11は、管理装置20から「モード変更指示」を受信した場合、端末装置のロック時動作モードをモード変更指示に指定されている推奨モードへ変更する(S241)。発信先端末装置10bの制御部11は、端末装置のロック時動作モードを推奨モードへ変更した後、管理装置20へ「モード変更応答」を送信する(S251)。管理装置20の制御部21は、発信先端末装置10bから「モード変更応答」を受信後、発信先端末装置10bへ「INVITE」を送信する(S260)。その後通話処理が実行される(S270~S330)。管理装置20(制御装置)から端末装置10に対して、S231でモード変更指示(使用すべき出力形態を示す制御情報)を送信した後に、S330で通話音声(通信情報)を送信するため、端末装置10において出力される通信情報を適切に制御(管理)することができる。
【0082】
図10Bは、発信元端末装置10aから発信先端末装置10bへメッセージを発信する場合の処理を示している。
図10Bに示すように、実施の形態1の
図7Bと同様、発信元端末装置10aは、メッセージを発信する場合(S340)、「メッセージ情報」を管理装置20へ送信する(S350)。通話発信時の
図10Aと同様に、管理装置20の制御部21は、発信元端末装置10aからメッセージ情報を受信すると、モード変更判定処理を実行し(S221)、発信先端末装置10bのモードを変更すると判定された場合、発信先端末装置10bへ推奨モードが指定された「モード変更指示」を送信する(S231)。発信先端末装置10bの制御部11は、管理装置20から「モード変更指示」を受信すると、端末装置のロック時動作モードを変更し(S241)、管理装置20へ「モード変更応答」を送信する(S251)。管理装置20の制御部21は、発信先端末装置10bから「モード変更応答」を受信後、発信先端末装置10bへ「メッセージ情報」を送信し(S360)、発信先端末装置10bから「200 OK」が送信される(S370、S380)。S231でモード変更指示(使用すべき出力形態を示す制御情報)を送信した後に、S360でメッセージ情報(通信情報)を送信するため、端末装置10において出力される通信情報を適切に制御(管理)することができる。
【0083】
<モード変更判定フロー>
図11A及び
図11Bは、管理装置20の制御部21で実行されるモード変更判定処理のフローチャートである。まず、S500において、管理装置20の制御部21は、発信元端末装置10aから通話、あるいはメッセージを受信したか否かを判定する。制御部21は、通話、あるいはメッセージを受信した場合(S500:Yes)、S510に処理を進め、通話、あるいはメッセージを受信していない場合(S500:No)、S500に戻って処理を繰り返す。
【0084】
次に、S510において、制御部21は、ロック情報テーブル241内の発信先端末装置10bの端末状態が「1」であるか否かを判定する。制御部21は、発信先端末装置10bの端末状態が「1」の場合(S510:Yes)、S520に処理を進め、発信先端末装置10bの端末状態が「1」でない場合(S510:No)、処理を終了する。
【0085】
次に、S520において、制御部21は、計時部22より現時刻CTを取得する。続いて、S530において、制御部21は、ロック情報テーブル241内の発信先端末装置10bの受信日時の時刻と、現時刻CTの差分である経過時間LTを計算する。続いて、S540において、制御部21は、経過時間LTが第1所定時間TD以下であるか否かを判定する。制御部21は、経過時間LTが第1所定時間TD以下の場合(S540:Yes)、S550において、推奨モードをモードDに設定する。また、制御部21は、経過時間LTが第1所定時間TDを上回る場合(S540:No)、S560において、経過時間LTが第2所定時間TC以下であるか否かを判定する。制御部21は、経過時間LTが第2所定時間TC以下の場合(S560:Yes)、S570において、推奨モードをモードCに設定する。
【0086】
また、制御部21は、経過時間LTが第2所定時間TCを上回る場合(S560:No)、S580において、経過時間LTが第3所定時間TB以下であるか否かを判定する。制御部21は、経過時間LTが第3所定時間TB以下の場合(S580:Yes)、S590において、推奨モードをモードBに設定する。また、制御部21は、経過時間LTが第3所定時間TBを上回る場合(S580:No)、S600において、推奨モードをモードAに設定する。
【0087】
S550、S570、S590及びS600で推奨モードが設定された後、S610において、制御部21は、ロック情報テーブル241に記録されている発信先端末装置10bのロック時動作モードが推奨モードと異なっているか否かを判定する。制御部21は、発信先端末装置10bのロック時動作モードが推奨モードと異なっている場合(S610:Yes)、S620に処理を進め、発信先端末装置10bのロック時動作モードが推奨モードと同じ場合(S610:No)、処理を終了する。次に、S620において、制御部21は、モード変更指示に設定された推奨モードの情報を含めて、発信先端末装置10bへ送信し、その後処理を終了する。なお、経過時間LTの代わりに、端末装置10(発信先端末装置10b)においてユーザ操作が最後になされてからの経過時間を用いて、処理を行ってもよい。具体的には、実施の形態1で述べたように、端末装置10でユーザ操作が最後になされた日時(最終操作日時)をロック情報テーブル241に記録するか、あるいはロック状態遷移時間などの最終操作日時を導出可能な情報をロック情報テーブル241に記録した上で、最終操作日時からの経過時間を算出して、上述の説明と同様の処理を行えばよい。
【0088】
<実施の形態2の効果>
以上のように、本実施の形態によれば、発信先端末装置がロック状態に遷移してからの経過時間、または発信先端末装置においてユーザ操作が最後になされてからの経過時間により、端末装置のロック時動作モードを変更する。これにより、端末装置のユーザが設定したロック時動作モードが適切でない場合においても、最適なロック時動作モードで端末装置を利用する事が可能となる。すなわち、端末装置のユーザに負担をかけずに、情報漏洩リスク低減とユーザの利便性とのバランスを最適化することができる。
【0089】
(実施の形態2の変形例1)
実施の形態2では第1所定時間TD、第2所定時間TCおよび第3所定時間TBを固定値として説明したが、実施の形態1の変形例1と同様に、端末装置のロック状態が解除されている解除時間UTあるいは解除率URを計算し、解除時間UTあるいは解除率URをもとに、端末装置ごとに所定時間TD、所定時間TCおよび所定時間TBを設定してもよい。
【0090】
例えば、解除時間UTが12時間(解除率URが50%)を超える場合は第1所定時間TDを60秒、第2所定時間TCを600秒、第3所定時間TDを6000秒とする。また、解除時間UTが8時間を超え、かつ12時間以下(解除率URが33%を超え、かつ50%以下)である場合、第1所定時間TDを40秒、第2所定時間TCを400秒、第3所定時間PDを4000秒とする。また、解除時間UTが4時間を超え、かつ8時間以下(解除率URが17%を超え、かつ33%以下)である場合、第1所定時間TDを20秒、第2所定時間TCを200秒、第3所定時間TDを2000秒とすればよい。つまり、解除時間UTあるいは解除率URが大きいほど、第1所定時間から第3所定時間をそれぞれ大きな値にすればよい。
【0091】
(実施の形態2の変形例2)
実施の形態2のモード変更判定処理において、フローチャートのS610で発信先端末装置10bのロック時動作モードと推奨モードが異なっているか否かを判定し、異なっている場合のみ推奨モードへ変更する処理としたが、その判定を行わずに発信先端末装置10bに推奨モードを設定してもよい。この場合、S550、S570、S590、S600を実行した後、S610に進むのではなく、S620に進めばよい。つまり、S610を省略してもよい。
【0092】
S620が実行された後、モード変更指示を受信した発信先端末装置10bは、自装置に設定されたロック時動作モードとモード変更指示を比較し、両者が異なっている場合には、モード変更指示に従ってロック時動作モードを変更する。このような方法を用いることにより、端末装置から管理装置へ送信するロック情報からロック時動作モードを省略できる。また、管理装置の記憶部のロック情報テーブルにおいてもロック時動作モードを省略できる。
【0093】
(実施の形態2の変形例3)
実施の形態1および実施の形態2においては、管理装置20がロック解除判定処理あるいはモード変更判定処理を実行したが、これに限られものではない。本変形例では端末装置10、つまり発信先端末装置10bがモード変更判定処理を実行する。すなわち、本変形例では、端末装置10が制御装置としての機能を備えており、制御装置が端末装置10に含まれているといえる。例えば、端末装置10において、自端末装置への通信を受信する通信部(受信部)17と、受信した通信情報の自端末装置の出力形態を制御する制御部11とが、本変形例に係る制御装置を構成してもよい。本変形例では、各々の端末装置10は、ロック情報を管理装置20に送信しない。各々の端末装置10は、自端末装置のロック情報を記憶部18に記憶する。具体的には、
図6あるいは
図9A及び
図9Bに示すのと同様な形式でロック情報テーブルあるいはロック情報履歴テーブルを記憶部18に記憶する。ただし、1つの端末装置(自端末装置)のロック情報のみを記憶するため、端末IDを省略してもよい。
【0094】
本変形例では、
図10A及び
図10Bに示す管理装置20におけるモード変更判定処理および管理装置20から端末装置10へのモード変更指示送信処理を省略する。つまり、管理装置20は、発信元端末装置10aから「INVITE」を受信すると、発信先端末装置10bに対して「INVITE」を送信する。「INVITE(通信開始要求)」を受信した発信先端末装置10bは、
図11A及び
図11Bのフローチャートと同様な処理を実行する。
【0095】
具体的には、
図11A及び
図11Bにおいて、管理装置20の制御部21が実行主体である処理は全て、端末装置10の制御部11が実行主体となる。また、発信先端末装置10bとしている箇所は、発信先端末装置10bである自端末装置という意味になる。S510に相当するS510Aにおいて、端末装置10の制御部11は、記憶部18のロック情報テーブルを参照して自端末装置のロック状態を判定する。S620に相当するS620Aにおいて、端末装置10の制御部11は、それまでの処理で決定されたロック時動作モードを自端末装置に設定する。この動作は、制御部11内部において、推奨モードを決定する処理モジュール(推奨モード決定モジュール)から、自端末装置のロック時動作モードを設定するモジュール(設定モジュール)に制御信号(制御データ)を送信するともいえる。すなわち、本変形例では、管理装置20から端末装置10へ、使用すべき出力形態を示す制御情報を送信しないが、端末装置10(制御装置)の内部のモジュール間において、使用すべき出力形態を示す制御情報を送信しているともいえる。そして、端末装置10から管理装置20に「200 OK」を送信する。それ以降の処理は、
図10A及び
図10Bのシーケンスと同様である。
【0096】
本変形例では、端末装置が通信(通信開始要求あるいは通信情報)を受信した際に、自端末装置がロック状態になってからの経過時間に応じて、通信情報を出力する形態を選択し、それに従って通信情報を出力する。このため、実施の形態1および実施の形態2と同様に、情報漏洩のリスクを抑制しながら、端末装置のユーザが迅速に通信情報を把握することができ、ユーザの利便性が向上する。また、本変形例によれば、管理装置の処理を簡略化できるため、より多くの通信システムに本発明を適用することができる。また、本変形例と同様に、実施の形態1のロック解除判定処理を端末装置10が行ってもよい。つまり、端末装置10(発信先端末装置10b)が通信(通信開始要求あるいは通信情報)を受信した際に、自端末装置がロック状態になってからの経過時間に応じて、ロック状態を解除するか否かを判定してもよい。すなわち、管理装置20ではなく端末装置10が制御装置を含んでいてもよい。また、これまでの実施の形態と同様に、自端末装置においてユーザ操作が最後になされてからの経過時間に応じて、ロック状態を解除するか否かを判定してもよい。
【0097】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。本実施の形態では、発信先端末装置の出力形態の制御として、発信先端末装置がロック状態に遷移してからの経過時間、または発信先端末装置においてユーザ操作が最後になされてからの経過時間により、発信先端末装置へ通話、あるいはメッセージの送信を中止するか否かを判定する。なお、本実施の形態の端末装置内部のブロック図、管理装置内部のブロック図、及びロック情報テーブルの構成は実施の形態1と同じである。
【0098】
<送信判定処理>
端末装置10(発信先端末装置10b)がロック状態に遷移してからの経過時間LTが所定時間ET(例えば48時間)を上回っていた場合、すなわち端末装置が長期間に亘ってロック状態の解除が行われていない場合、端末装置は長期間操作されていないことを示している。なお、以下の説明では、所定時間ETを48時間とするが、もちろんこれに限定される訳ではない。この場合、当該の端末装置はユーザの手元を離れている、あるいは端末装置のロック状態を解除する事が出来ない第三者の手に渡っている可能性が高いと言える。上記の理由により、当該の端末装置へ通話、あるいはメッセージを送信した場合、情報内容は端末装置のユーザへ伝わらないことが予想される。また、端末装置が正規のユーザ以外の第三者の手元に存在する場合で、且つ端末装置のロック時動作モードがモードB、モードC、またはモードDに設定されていた場合、機密性の高い通話、あるいはメッセージが第三者に漏洩する可能性がある。
【0099】
上記の知見により、本実施の形態では、発信元端末装置10aから発信先端末装置10bへの通話、あるいはメッセージの送信が発生した場合、管理装置20の制御部21は、発信先端末装置10bの送信判定処理を実行する。送信判定処理では、管理装置20の記憶部24のロック情報テーブル241を参照し、発信先端末装置10bがロック状態に遷移してからの経過時間LTを計算し、経過時間LTが所定時間ETを上回っているか否かを判定する。経過時間LTが所定時間ETを上回っていた場合、管理装置20の制御部21は、発信先端末装置10bへの通話、あるいはメッセージの送信を中止し、発信元端末装置10aへ送信中止通知を送信する。送信中止通知を受信した発信元端末装置10aは、表示部12に通話、あるいはメッセージの送信を中止した旨を表示する。
【0100】
図6のロック情報テーブル241を参照し送信判定処理を行う例について説明する。例えば、発信先端末装置10bの端末IDが「005」(端末装置10-5)の場合、ロック情報テーブル241内で端末IDである「005」のレコードの端末状態が「1」、すなわち発信先端末装置10bがロック状態であることから、管理装置20の制御部21は、計時部22から現時刻を取得する。取得した現時刻が「2020/5/1 10:27:10」であった場合、該当するレコードのロック情報の受信日時は「2020/4/25 17:25:15」である事から、経過時間LTは所定時間ET(ここでは48時間)を上回っている。このため、端末IDが「005」の発信先端末装置10bへの通話、あるいはメッセージの送信は中止と判定される。
【0101】
<発信シーケンス>
図12は、本実施の形態に係る通話、あるいはメッセージ発信時の処理を示すシーケンス図である。
図12に示すように、発信元端末装置10aは、通話、あるいはメッセージを発信する場合(S700)、通話、あるいはメッセージである「通信情報(INVITEまたはメッセージ情報)」を管理装置20へ送信する(S710)。管理装置20の制御部21は、発信元端末装置10aから「通信情報」を受信した場合、送信判定処理を実行する(S720)。送信判定処理にて発信先端末装置10bへの通話、あるいはメッセージの送信を中止すると判定された場合、管理装置20の制御部21は、発信先端末装置10bへの通話、あるいはメッセージの送信を中止し、発信元端末装置10aへ「送信中止通知」を送信する(S730)。発信元端末装置10aの制御部11は、管理装置20から「送信中止通知」を受信した場合、表示部12に送信中止情報を表示し、ユーザへ通話、あるいはメッセージの送信を中止した旨を通知する(S740)。
【0102】
図13は、発信元端末装置10aの表示部12に表示される送信中止情報の構成例となる。
図13に示すように、表示画面D1に発信先端末装置への通信を中止した旨を示す送信中止情報を表示する。また、送信中止情報として、ロック状態に遷移した時間や、ロック状態に遷移してからの経過時間等を表示してもよい。なお、送信中止情報は
図13に示した以外の方法でユーザに通知してもよい。例えば、音声出力部14から音声により送信中止情報を通知してもよい。
【0103】
発信元端末装置10aの制御部11は、送信中止情報を表示した後、管理装置20へ「送信中止応答」を送信する(S750)。管理装置20の制御部21は、「送信中止応答」を受信した後、「BYE」を発信元端末装置10aへ送信し(S760)、さらに、発信元端末装置10aは、「ACK」を管理装置20へ送信し(S770)、シーケンスを終了する。
【0104】
<送信判定フロー>
図14は、管理装置20の制御部21で実行される送信判定処理のフローチャートである。まず、S800において、管理装置20の制御部21は、発信元端末装置10aから通話、あるいはメッセージを受信したか否かを判定する。制御部21は、通話、あるいはメッセージを受信した場合(S800:Yes)、S810に処理を進め、通話、あるいはメッセージを受信していない場合(S800:No)、S800に戻って処理を繰り返す。
【0105】
次に、S810において、制御部21は、ロック情報テーブル241内の発信先端末装置10bの端末状態が「1」であるか否かを判定する。制御部21は、発信先端末装置10bの端末状態が「1」の場合(S810:Yes)、S820において、計時部22より現時刻CTを取得する。続いて、S830において、制御部21は、ロック情報テーブル241内の発信先端末装置10bの受信日時の時刻と、現時刻CTの差分である経過時間LTを計算する。
【0106】
続いて、S840において、制御部21は、経過時間LTが所定時間ET(例えば24時間)を上回っているか否か(経過時間LTが所定時間ETより大きいか否か)を判定する。制御部21は、経過時間LTが所定時間ETを上回っている場合(S840:Yes)、S850において、発信元端末装置10aへ送信中止通知を送信し、その後処理を終了する。制御部21は、発信先端末装置10bの端末状態が「1」でない場合(S810:No)、あるいは、経過時間LTが所定時間ET以下である場合(S840:No)、S860において、制御部21は、発信先端末装置10bへ通話、あるいはメッセージを送信し、その後処理を終了する。なお、経過時間LTの代わりに、端末装置10(発信先端末装置10b)においてユーザ操作が最後になされてからの経過時間を用いて処理を行ってもよい。
【0107】
<実施の形態3の効果>
以上のように、本実施の形態によれば、発信先端末装置がロック状態に遷移してからの経過時間、または発信先端末装置においてユーザ操作が最後になされてからの経過時間をもとに、端末装置への通話、あるいはメッセージの送信を中止するか否かを判定する。そして、その経過時間が長い場合には、端末装置への通信を中止する。これにより、端末装置がユーザの手元を離れている、あるいは端末装置がロック状態を解除する事が出来ない第三者の手に渡っている場合においても、機密性の高い通話、あるいはメッセージの漏洩を防ぐ事が可能となる。また、発信元端末装置のユーザへ、発信先端末装置のユーザが通話、あるいはメッセージを正常に受信できる可能性が低い旨や送信中止の理由を通知するため、発信元端末装置のユーザの安心感や納得感が得られやすい。
【0108】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。本実施の形態では、発信先端末装置の出力形態の制御として、発信先端末装置がロック状態を解除してからの経過時間により、発信先端末装置をロック状態に設定するか否かを判定する。なお、本実施の形態の端末装置内部のブロック図、管理装置内部のブロック図、及びロック情報テーブルの構成は実施の形態1と同じである。
【0109】
<ロック設定判定処理>
端末装置においてロック状態が解除されてからの経過時間RTが所定時間(例えば48時間)を上回っていた場合、すなわち端末装置において長期間に亘ってロック状態が解除されている場合、ユーザが端末装置のロックに関する設定を誤って行っている、あるいは端末装置の設定方法を理解していないユーザが適切なロック設定を行っていない可能性が高いと言える。ロック設定が正しく行われていない端末装置へ通話、あるいはメッセージを送信した場合、当該の端末装置は無条件で通話、あるいはメッセージを出力してしまう。この為、ユーザが本来意図していない場所、例えば公共交通機関等のユーザの周囲に第三者が大勢存在している環境において通話、あるいはメッセージが出力されることになり、ユーザ以外の第三者へ機密性の高い通話やメッセージが漏洩する可能性がある。
【0110】
上記の知見により、本実施の形態では、発信元端末装置10aから発信先端末装置10bへの通話、あるいはメッセージの送信が発生した場合、管理装置20の制御部21は、発信先端末装置10bのロック設定判定処理を実行する。ロック設定判定処理では、管理装置20の記憶部24のロック情報テーブル241を参照し、発信先端末装置10bにおいてロック状態が解除されてからの経過時間RTを計算し、経過時間RTが所定時間NT(例えば48時間)を上回っているか否か(経過時間RTが所定時間NTより大きいか否か)を判定する。経過時間RTは、端末装置の操作状況情報の1つの形態である。なお、以下の説明では、所定時間NTを例えば48時間とするが、もちろんこの値に限定される訳ではない。経過時間RTが所定時間NTを上回っていた場合、管理装置20の制御部21は、発信先端末装置10bへロック設定指示を送信する。ロック設定指示を受信した発信先端末装置10bの制御部11は、端末装置をロック状態へ遷移させる。管理装置20の制御部21は、発信先端末装置10bへロック設定指示を送信した後、通話、あるいはメッセージ情報を送信する。
【0111】
図6のロック情報テーブル241を参照しロック設定判定処理を行う例について説明する。例えば、発信先端末装置10bの端末IDが「006」(端末装置10-6)の場合、ロック情報テーブル241内で端末IDが「006」であるレコードの端末状態が「0」、すなわち発信先端末装置10bはロック状態を解除されている事から、管理装置20の制御部21は、計時部22から現時刻を取得する。取得した現時刻が「2020/5/1 10:27:10」であった場合、該当するレコードのロック情報の受信日時は「2020/4/26 22:10:07」である事から、経過時間RTは所定時間NT(ここでは48時間)を上回っている。このため、端末IDが「006」の発信先端末装置10bをロック状態へ設定すると判定される。
【0112】
<発信シーケンス>
図15A及び
図15Bは、本実施の形態に係る通話及びメッセージ発信時の処理を示すシーケンス図である。
図15Aは、発信元端末装置10aから発信先端末装置10bへ通話を発信する場合の処理を示している。
図15Aに示すように、実施の形態1の
図7Aと同様、発信元端末装置10aは、通話を発信する場合(S200)、「INVITE」を管理装置20へ送信する(S210)。管理装置20の制御部21は、発信元端末装置10aから「INVITE」を受信した場合、ロック設定判定処理を実行する(S222)。ロック設定判定処理にて発信先端末装置10bをロック状態に設定すると判定された場合、管理装置20の制御部21は、発信先端末装置10bへ「ロック設定指示」を送信する(S232)。発信先端末装置10bの制御部11は、管理装置20から「ロック設定指示」を受信した場合、端末装置をロック状態に設定する(S242)。発信先端末装置10bの制御部11は、端末装置をロック状態に設定した後、管理装置20へ「ロック設定応答」を送信する(S252)。管理装置20の制御部21は、発信先端末装置10bから「ロック設定応答」を受信後、発信先端末装置10bへ「INVITE」を送信する(S260)。その後通話処理が実行される(S270~S330)。
【0113】
図15Bは、発信元端末装置10aから発信先端末装置10bへメッセージを発信する場合の処理を示している。
図15Bに示すように、実施の形態1の
図7Bと同様、発信元端末装置10aは、メッセージを発信する場合(S340)、「メッセージ情報」を管理装置20へ送信する(S350)。通話発信時の
図15Aと同様に、管理装置20の制御部21は、発信元端末装置10aから「メッセージ情報」を受信すると、ロック設定判定処理を実行し(S222)、発信先端末装置10bをロック状態に設定すると判定された場合、発信先端末装置10bへ「ロック設定指示」を送信する(S232)。発信先端末装置10bの制御部11は、管理装置20から「ロック設定指示」を受信すると、端末装置をロック状態に設定し(S242)、管理装置20へ「ロック設定応答」を送信する(S252)。管理装置20の制御部21は、発信先端末装置10bから「ロック設定応答」を受信後、発信先端末装置10bへ「メッセージ情報」を送信し(S360)、発信先端末装置10bから「200 OK」が送信される(S370、S380)。
【0114】
<ロック設定判定フロー>
図16は、管理装置20の制御部21で実行されるロック設定判定処理のフローチャートである。まず、S900において、管理装置20の制御部21は、発信元端末装置10aから通話、あるいはメッセージを受信したか否かを判定する。制御部21は、通話、あるいはメッセージを受信した場合(S900:Yes)、S910に処理を進め、通話、あるいはメッセージを受信していない場合(S900:No)、S900に戻って処理を繰り返す。
【0115】
次に、S910において、制御部21は、ロック情報テーブル241内の発信先端末装置10bの端末状態が「0」であるか否かを判定する。制御部21は、発信先端末装置10bの端末状態が「0」の場合(S910:Yes)、S920に処理を進め、発信先端末装置10bの端末状態が「0」でない場合(S910:No)、処理を終了する。
【0116】
次に、S920において、制御部21は、計時部22より現時刻CTを取得する。続いて、S930において、制御部21は、ロック情報テーブル241内の発信先端末装置10bの受信日時の時刻と、現時刻CTの差分である経過時間RTを計算する。続いて、S940において、制御部21は、経過時間RTが所定時間NTを上回っているか(経過時間RTが所定時間NTより大きいか)否かを判定する。制御部21は、経過時間RTが所定時間NTを上回っている場合(S940:Yes)、S950に処理を進め、経過時間RTが所定時間NT以下である場合(S940:No)、処理を終了する。次に、S950において、制御部21は、発信先端末装置10bへロック設定指示を送信し、その後処理を終了する。ロック設定指示を受信した発信先端末装置10bの制御部11は、自端末装置をそれまでのロック解除状態からロック状態に遷移させる。
【0117】
<実施の形態4の効果>
以上のように、本実施の形態によれば、発信先端末装置のロック状態が解除されてからの経過時間をもとに、端末装置をロック状態へ遷移させるか否かを判定する。そして、その経過時間が長い場合には、端末装置をロック状態に遷移させる。これにより、ユーザが端末装置のロックに関する設定を誤って行っている、あるいは端末装置の設定方法を理解していないユーザが適切なロック設定を行っていない場合においても、機密性の高い通話、あるいはメッセージの漏洩を防ぐ事が可能となる。
【0118】
(実施の形態4の変形例1)
実施の形態4では、発信先端末装置へロック設定指示を送信し、端末装置をロック状態へ遷移させたが、ロック設定指示ではなく本人確認指示を送信してもよい。管理装置から本人確認指示を受信した際、端末装置10の制御部11は、表示部12に本人認証画面を表示する。本人確認画面とは、端末装置のロック状態を解除させる画面であり、例えば顔認証、指紋認証、暗証番号、PINコード、パターン描画等である。端末装置10の制御部11は、本人確認画面により現在端末を使用しているユーザが正規のユーザであるか否かを判定し、本人確認判定結果を管理装置20へ送信する。
【0119】
本人確認判定結果は、本人確認画面にて確認が取れた(認証された)場合、すなわち正規のユーザにより本人確認が行われた場合はTrueが設定される。本人確認画面にて確認が取れなかった場合、すなわち正規のユーザ以外の第三者が端末装置を操作していた場合や、本人確認画面がタイムアウトした場合はFalseが設定される。管理装置20の制御部21は、本人確認判定結果を受信後、本人確認判定結果がTrueだった場合、発信先端末装置への通話、あるいはメッセージの送信を行う。本人確認判定結果がFalseだった場合、発信先端末装置への通話、あるいはメッセージの送信を中止する。なお、実施の形態3においても本変形例と同様に、本人確認指示を送信してもよい。具体的には、経過時間LTが所定時間ETを上回っている場合に、管理装置20は発信先端末装置10bに本人確認指示を送信し、発信先端末装置10bから本人確認判定結果を受信する。そして、本人確認結果がTrueの場合に、S860と同様に通話やメッセージを送信し、本人確認結果がFalseの場合に、通話やメッセージの送信中止を決定し、S850と同様に発信元端末装置10aへ送信中止通知を送信してもよい。
【0120】
(実施の形態4の変形例2)
実施の形態4では、管理装置が通話、あるいはメッセージを受信した際に、ロック設定判定処理を行っているが、これに限定されるものではない。例えば、管理装置20の制御部21は、所定の周期(例えば、5分毎の周期)でロック情報テーブル241を参照し、各々の端末装置10においてロック状態が解除されてからの経過時間RTを算出し、経過時間RTが所定時間NTを上回っている端末装置10を特定してもよい。そして、特定した端末装置10に対して、ロック設定指示を送信してもよい。すなわち、管理装置20は、ロック状態に関する所定条件を満たす端末装置10を特定し、特定した端末装置10に対して任意のタイミングでロック状態を制御する情報を送信してもよい。
【0121】
(実施の形態5)
実施の形態2では、端末装置がロック状態に遷移してからの経過時間をもとに、発信先端末装置のロック時動作モードを制御した。本実施の形態では、端末装置の出力形態の制御として、端末装置の周囲の環境情報をもとに、発信先端末装置のロック時動作モードを制御する。具体的には、端末装置の周囲の環境情報として、端末装置の周囲の音の情報を用いる。端末装置の周囲の音の情報により、端末装置の周囲におけるユーザ以外の第三者に関する情報を把握する。
【0122】
<端末装置の構成>
図17は、本実施の形態に係る端末装置10の構成例を示している。
図17に示すように、端末装置10は、
図3に示した実施の形態1の構成と比べて、制御部11に音声認識部111が含まれている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。また、本実施の形態では、音声入力部15は、ユーザが発話した音声情報のほか、端末装置10の周囲の環境音を集音する。音声入力部15は、例えばマイクにより構成される。ユーザの発話音声を集音するためのマイクと、端末装置10の周囲の環境音を集音するためのマイクが別であってもよい。
【0123】
音声入力部15は、端末装置10の周囲の環境音を集音し、音声認識部111(制御部11)は、音声入力部15から取得した音響信号を継続的に解析する。例えば、音声認識部111は、所定の周期(例えば1秒)で音響信号を解析し、音声認識部111の解析結果を、通信部17を介して所定の周期で管理装置20に送信する。なお、音声認識部111は、端末装置10が音声通話を行っていない期間において音響信号を解析してもよいし、音声通話を行っている期間を含めて解析してもよい。
【0124】
<管理装置の構成>
図18は、本実施の形態に係る管理装置20の構成例を示している。
図18に示すように、管理装置20は、
図4に示した実施の形態1の構成と比べて、さらに、端末装置10の音声認識部111から得られる解析結果を管理する音声情報テーブル242を、記憶部24に記憶する。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0125】
<音声認識処理>
端末装置10の音声認識部111は、音声入力部15から取得した音響信号に対して、公知の「話者クラスタリング技術」を適用し、端末装置10の周囲の人の数(異なる人声の種類)を推定する。ここで、端末装置10の周囲とは、端末装置10の音声出力部14から出力される通話音声が聞こえる可能性のある範囲であり、端末装置10から所定距離(例えば、10m)以内の範囲である。音声入力部15は、所定距離以内の人声を検出し、解析可能な信号レベルで出力する。
【0126】
また、音声認識部111は、端末装置10のユーザを除外して、他の人(第三者)の人数をカウントする。具体的には、ユーザ本人の声に関する情報(話者認識で使用するパラメータ)を事前に端末装置10の記憶部18に登録し、音声認識部111では記憶部18に登録されたユーザ本人の声を除外して推定人数を算出する。また、測定時刻から所定期間(例えば、20秒間、第1の所定期間)だけ前の時点から測定時刻までの音響信号をもとに、推定人数を算出してもよい。なお、音声認識部111は、音響信号に含まれる人声の成分と、それ以外の成分である環境音成分とを抽出し、環境音成分の大きさに応じて、音声入力部15の特性(感度など)を設定し、上記の所定距離を調整してもよい。例えば、環境音成分が大きい場合には、環境音成分が小さい場合に比べて、音声出力部から出力される通話音声が聞こえる範囲は狭くなるため、上記の所定距離を短くする制御をしてもよい。
【0127】
また、音声認識部111は、音声入力部15から取得した音響信号をもとに、発話した人(端末装置の周囲の人)と端末装置10との距離(ここでは接近度合い)を示す接近指標を算出する。接近指標は、数値が大きいほど、端末装置10の周囲の人と端末装置10との距離が短いことを示す。なお、ここで、端末装置10の周囲の人とは、端末装置10から所定距離(例えば、10m)以内の範囲で発話し、かつ端末装置10のユーザ以外の人のことである。本実施の形態では、接近指標は0~100の範囲の数値となる。「100」は、発話者と端末装置10との位置が最も近いことを示し、接近指標が小さくなるにつれて、発話者と端末装置10との距離が遠いことを示し、「0」は、発話(発声)がされていないことを示す。ただし、接近指標はこれに限定される訳ではない。
【0128】
音声認識部111は、以下の方法1~4のうち少なくとも1つの方法を用いて、接近指標を算出する。なお、複数の方法を組み合わせて算出してもよい。
【0129】
(方法1)人声に特有な音声成分のレベル
音声認識部111は、音声入力部15から取得した音声信号のうち、人声と関連性の高い周波数成分(例えば100Hz~3000Hz)を抽出し、その信号レベル(音圧)をもとに接近指標を算出する。人声に適した特性の周波数フィルタを用いて信号レベルを検出してもよい。また、例えば、人声に特有なフォルマント周波数を検出し、その周波数の信号レベルをもとに接近指標を算出してもよい。音声認識部111は、例えば、その周波数の信号レベルに所定値を乗算した値を接近指標としてもよい。また、例えば、複数のしきい値(第1しきい値と、第1しきい値より小さい第2しきい値など)を用意し、所定の周波数帯域の信号レベルが第1しきい値以上である場合に、接近指標を「100」とし、所定の周波数帯域の信号レベルが第2しきい値以上かつ第1しきい値未満であれば、接近指標を「80」などとしてもよい。
【0130】
(方法2)音響信号に占める人声に特有な成分の割合
音声認識部111は、音響信号全体に占める人声に特有な成分の割合を算出し、この割合を接近指標とする。例えば、人声に特有な成分として、上述の人声と関連性の高い周波数成分や、フォルマント周波数の成分、発話時の声帯や声道に特有な周波数成分を検出し、音響信号全体のレベルに対する人声に特有な成分の割合を算出する。一般的に、端末装置10(音声入力部15)と発話者との距離が近いほど、音響信号全体のレベルに対する人声に特有な成分の割合が大きくなるため、この割合は、端末装置10と発話者との近さ(接近度合い)を示す指標となる。例えば、端末装置10と発話者との距離が遠い場合、人声以外の周囲の音(環境音)が音声入力部15に入りやすいため、特有な成分の割合が小さくなる。音声認識部111は、例えば、この割合に所定値(例えば、「100」)を乗算した値を接近指標としてもよい。また、例えば、複数のしきい値(第1しきい値と、第1しきい値より小さい第2しきい値など)を用意し、人声に特有な成分の割合が第1しきい値以上である場合に、接近指標を「100」とし、人声に特有な成分の割合が第2しきい値以上かつ第1しきい値未満であれば、接近指標を「80」などとしてもよい。
【0131】
(方法3)距離と音響特徴量との関係を学習した分類器による推定
あらかじめ端末装置10と発話者との距離を変えて、端末装置10で取得される音響信号の周波数成分や周波数成分の時間変化を学習データとして格納しておき、音声認識部111は、音声入力部15から取得した音響信号がどの距離の学習データに近いかを判定する。そして、距離が近いほど大きな値となる接近指標を算出する。例えば、発話者と端末装置10との距離を数段階(例えば、0.5m、1m、2m、3m、5m、10mなど)に変えて音響信号を測定し、MFCC(Mel-Frequency Cepstrum Coefficient)係数やMFCCの時間変化量等の音響特徴量を算出する。
【0132】
一般的に、音源と測定点との距離が遠くなるについて、測定点での音量(音圧)レベルは小さくなる。また、音源との距離が遠くなるにつれて、高域の減衰が大きくなる。また、音源との距離がある程度遠くなると、音源から測定点までに到達する経路が増えるため、反射音による影響が強くなる。例えば、距離に応じて、音響信号におけるエコーやリバーブの程度が変わる。このような距離と音響信号あるいは音響特徴量との関係を機械学習により学習し、分類器(学習モデル)を構築する。この分類器は、音声入力部15から取得した音響信号あるいは音響信号をもとに生成された音響特徴量を入力とし、数段階の距離(0.5m、1m、2m、3m、5m、10mなど)を出力とする分類器である。また、例えば、この分類器として、MFCC等の音響特徴量を入力とし、数段階の距離に対する確率値を出力とするニューラルネットワークを用いればよい。例えば、0.5m、1m、2m、3m、5m、10mの6段階の距離を判定する場合、ニューラルネットワークの出力層として6つの素子を用意する。各素子の中で出力値が最大となり、かつその出力値が所定値(例えば、0.5)以上である素子に対応する距離を有効と判定する。いずれの素子の出力値も所定値未満である場合には、判定不能とする。そして、0.5mが有効である場合に接近指標を「100」、1mが有効である場合に接近指標を「80」、2mが有効である場合に接近指標を「50」、3mが有効である場合に接近指標を「30」、5mが有効である場合に接近指標を「20」、10m有効な場合に接近指標を「10」、有効な距離が存在しない場合に接近指標を「0」などと設定する。
【0133】
(方法4)マイクロフォンアレイによる距離の推定
この場合、音声入力部15は、4つ以上のマイクを配置(同一平面以外の位置に配置)したマイクロフォンアレイを備える。音声認識部111は、各マイクで変換された音響信号の時間差をもとに、端末装置と発話者との距離を推定する。そして、推定した距離に応じて、接近指標を設定する。
【0134】
接近指標は、発話者(端末装置のユーザ本人以外の第三者)と端末装置10との正確な距離を示す数値ではないが、概略の(相対的な)距離の長短を示す。また、第三者が複数存在する場合には、端末装置10に最も近い第三者との距離が設計指標に反映される。
【0135】
本実施の形態では、接近指標「50」は、発話者が端末装置10からおおよそ2m離れた位置にいる可能性が高いことを示し、接近指標「10」は、発話者が端末装置からおおよそ10m離れた位置にいる可能性が高いことを示す。
【0136】
つまり、接近指標が「50」以上であれば、端末装置10の表示部12に表示された情報が周囲の人に読まれる可能性がある(無視できない)が、接近指標が「50」未満であれば、端末装置10の表示部12に表示された情報が周囲の人に読まれる可能性が非常に小さい(無視できる)と言える。また、接近指標が「10」以上であれば、端末装置10の音声出力部14で出力された情報が周囲の人に聞かれる可能性がある(無視できない)が、接近指標が「10」未満であれば、端末装置10の音声出力部14で出力された情報が周囲の人に聞かれる可能性が非常に小さい(無視できる)と言える。推定人数および接近指標はともに、端末装置の周囲の音の情報をもとに算出された指標であり、それぞれの指標の値が高い(大きい)ほど、端末装置の周囲に端末装置のユーザ以外の第三者が存在する可能性が高いといえる。
【0137】
<音声情報テーブルの構成>
本実施の形態では、端末装置10の制御部11は、音声認識部111が算出した推定人数および接近指標に加えて、端末IDと測定時刻(測定日時)とを、通信部17を介して所定の周期で管理装置20に送信する。管理装置20の制御部21は、通信部23を介して受信したデータを記憶部24の音声情報テーブル242に記憶する。
【0138】
図19A及び
図19Bは、管理装置20の記憶部24に記録される音声情報テーブル242の構成例を示している。ここでは便宜的に、音声情報テーブル242を2つの図面に分けて示している。
図19A及び
図19Bに示すように、音声情報テーブル242は、端末IDと、測定日時と、推定人数と、接近指標とを関連付けて記憶する。音声情報テーブル242の端末IDは、ロック情報テーブル241の端末IDと同様であり、推定人数及び接近指標を送信した端末装置10のIDが記録される。
【0139】
音声情報テーブル242の測定日時には、端末装置10の音声認識部111により測定が行われた日付と時刻が記録される。なお、
図19A及び
図19Bにおける測定日時の記載例である「2020/5/1 10:27:16.000」の表記は「2020年5月1日 10時27分16.000秒」であることを表す(ミリ秒単位までを示す)。
【0140】
音声情報テーブル242の推定人数及び接近指標には、端末装置10の音声認識部111により測定された推定人数及び接近指標が記録される。推定人数における「1」、「0」等の数値は、端末装置10から所定距離以内において所定期間に発話した人(ただし、端末装置のユーザ本人を除く)の数を示す。このため、端末装置10から所定距離以内に人が存在しても、測定日時より前の所定期間に発話していない場合には推定人数は「0」となる。
【0141】
<モード変更判定処理>
次に、本実施の形態に係るモード変更判定処理について説明する。なお、通話及びメッセージ発信時のシーケンスは、実施の形態2と同様である。
【0142】
図20A及び
図20Bは、本実施の形態において管理装置20の制御部21で実行されるモード変更判定処理を示すフローチャートである。まず、S1000において、管理装置20の制御部21は、発信元端末装置10aから通話、あるいはメッセージを受信したか否かを判定する。制御部21は、通話、あるいはメッセージを受信した場合(S1000:Yes)、S1010に処理を進め、通話、あるいはメッセージを受信していない場合(S1000:No)、S1000に戻って処理を繰り返す。
【0143】
次に、S1010において、制御部21は、ロック情報テーブル241内の発信先端末装置10bの端末状態が「1」であるか否かを判定する。制御部21は、発信先端末装置10bの端末状態が「1」の場合(S1010:Yes)、S1020に処理を進め、発信先端末装置10bの端末状態が「1」でない場合(S1010:No)、処理を終了する。
【0144】
次に、S1020において、制御部21は、計時部22より現時刻CTを取得する。続いて、S1030において、制御部21は、記憶部24の音声情報テーブル242から、端末IDが発信先端末装置10bの端末IDに一致し、かつ測定日時が現時刻CTから所定の期間(第3の所定期間)以内の全レコードを取得し、取得した全レコードの内容をリストLに設定する。例えば、この所定の期間が10秒であり、現時刻が「2020/5/1 10:27:40.514」であり、発信先端末装置10bの端末IDが「001」であるとすると、
図19A及び
図19Bの例では、測定日時が「2020/5/1 10:27:31.000」から「2020/5/1 10:27:40.000」までの10レコードをリストLに設定する。
【0145】
続いて、S1040において、制御部21は、リストL内の全レコードの推定人数を参照し、推定人数が最大値のレコードを特定する。その後、特定したレコード内の推定人数を変数MPに設定する。すなわち、変数MPには発信先端末装置10bの周囲に存在する第三者の最大数が設定される。
図19A及び
図19Bの例において上述した条件でリストLを作成した場合、測定日時が「2020/5/1 10:27:36.000」のレコードの推定人数である「3」が最大推定人数として特定される。
【0146】
続いて、S1050において、制御部21は、リストL内の全レコードの接近指標を参照し、接近指標が最大のレコードを特定する。その後、特定したレコード内の接近指標を変数MVに設定する。すなわち、変数MVには発信先端末装置10bの周囲に存在する第三者が端末装置に最も近づいた際の接近指標が記録される。
図19A及び
図19Bの例において上述した条件でリストLを作成した場合、測定日時が「2020/5/1 10:27:38.000」のレコードの接近指標である「62」が最大接近指標として特定される。
【0147】
続いて、S1060において、制御部21は、S1040で設定した変数MPが1以上であるか否かを判定する。変数MP、すなわち最大推定人数が1以上の場合、発信先端末装置の周囲にはユーザ以外で少なくとも1人以上の第三者が存在している事を示している。制御部21は、変数MPが1より小さい場合(S1060:No)、つまり変数MPが0である場合、S1120において、推奨モードをモードDに設定する。本ステップに進んだ場合、端末装置の周囲に第三者は存在しておらず、機密性の高い通話やメッセージ情報が第三者に漏洩する可能性は極めて低い。この為、ロック時動作モードは通話が音声出力部より通話音声が出力され、表示部にメッセージを表示し、また即時で通話への返答が可能なモードDが選択される。
【0148】
また、制御部21は、変数MPが1以上の場合(S1060:Yes)、S1070において、S1050で設定した変数MVが第1の所定値CV1未満であるか否かを判定する。ここで変数MVが第1の所定値CV1未満である場合に、端末装置10の音声出力部14で出力された情報が周囲の人に聞かれる可能性が少ない(無視できる)ように第1の所定値を設定すればよく、例えば、第1の所定値を「10」とすればよい。すなわち最大接近指標が第1の所定値未満の時、端末装置10の周囲にユーザ以外の第三者が存在している場合においても、当該の第三者は端末装置10の音声出力部14から発話される通話を聞き取る事が出来ず、また端末装置10の表示部12も目視出来ない距離に存在していることを示している。なお、本ステップでは例として第1の所定値CV1を10としたが、これに限定される訳ではない。
【0149】
制御部21は、変数MVが第1の所定値CV1未満の場合(S1070:Yes)、S1110において、推奨モードをモードCに設定する。本ステップに進むのは、変数MVが第1の所定値CV1未満である場合である。端末装置の周囲にユーザ以外の第三者が存在している一方、端末装置から発話される通話の音声を聞き取れない程度の遠距離に位置している可能性が高い。この為、ロック時動作モードは音声出力部より通話を発話するモードCが選択される。
【0150】
また、制御部21は、変数MVが第1の所定値CV1以上の場合(S1070:No)、S1080において、S1050で設定した変数MVが第2の所定値CV2以上であるか否かを判定する。第2の所定値CV2は、第1の所定値CV1よりも大きな値である。変数MVが第2の所定値CV2以上である場合に、端末装置10の表示部12で表示された情報が周囲の人に見られる可能性があるように、第2の所定値を設定すればよく、例えば、第2の所定値CV2を「50」とすればよい。変数MV、すなわち最大接近指標が第2の所定値CV(ここでは50)以上の時、端末装置の周囲にユーザ以外の第三者が存在している場合において、当該の第三者は端末装置10の音声出力部14から発話される通話を聞き取る事が可能であり、かつ端末装置10の表示部12を目視出来する事が可能な距離に存在していることを示している。なお、本ステップでは例として第2の所定値を50としたが、これに限定される訳ではない。
【0151】
制御部21は、変数MVが第2の所定値CV2未満の場合(S1080:No)、S1100において、推奨モードをモードBに設定する。本ステップに進むのは、変数MVが第1の所定値CV1以上であり、かつ第2の所定値CV2未満である場合である。この場合、端末装置の周囲にユーザ以外の第三者が存在している一方、端末装置の表示部は目視出来ない場所に位置している可能性が高い。この為、ロック時動作モードは表示部に送信元の情報を表示するモードBが選択される。上述したように、モードBにおいて通話を受信した場合、通知音のみが出力され、通話音声そのものは出力されない。ただし、これに限定される訳ではなく、音声認識部111が音声認識技術を用いて通話音声をテキストメッセージ(文字列)に変換し、そのテキストメッセージを表示部12に表示してもよい。
【0152】
また、制御部21は、変数MVが第2の所定値CV2以上の場合(S1080:Yes)、S1090において、推奨モードをモードAに設定する。本ステップに進んだ場合、端末装置の周囲にユーザ以外の第三者が近距離で存在している可能性が高い。機密性の高い通話やメッセージ情報が第三者に漏洩する事を防ぐ為、ロック時動作モードはモードAが選択される。
【0153】
S1090、S1100、S1110及びS1120で推奨モードが設定された後、S1130において、制御部21は、ロック情報テーブル241に記録されている発信先端末装置10bのロック時動作モードが推奨モードと異なっているか否かを判定する。制御部21は、発信先端末装置10bのロック時動作モードが推奨モードと異なっている場合(S1130:Yes)、S1140に処理を進め、発信先端末装置10bのロック時動作モードが推奨モードと同じ場合(S1130:No)、処理を終了する。次に、S1140において、制御部21は、モード変更指示に設定された推奨モードの情報を含めて、発信先端末装置10bへ送信し、その後処理を終了する。なお、実施の形態2の変形例2と同様に、S1130を省略してもよい。
【0154】
図21は、変数MVとロック時動作モードとの関係を示す図である。つまり
図21は、端末装置(発信先端末装置)と第三者との概略距離と、ロック時動作モードとの関係を示す。変数MVが大きい場合(第2所定値CV2以上の場合)に、情報漏洩リスクが最大となるため、モードAを選択する。変数MVが中程度である場合(第1所定値CV1以上かつ第2所定値CV2未満の場合)に、情報漏洩リスクは中程度であるため、ユーザの利便性をある程度考慮して、モードBを選択する。所定距離以内に第三者がいるが変数MVが小さい場合(第1所定値CV1未満の場合)には、情報漏洩リスクは小さいため、ユーザの利便性をより程度考慮して、モードCを選択する。所定距離以内に第三者がいない場合には、情報漏洩リスクは非常に小さいため、ユーザの利便性を最も考慮して、モードDを選択する。すなわち、本実施の形態では、端末装置の周囲に端末装置のユーザ以外の第三者が存在する可能性を示す指標を算出し、その指標が高い(第三者が存在する可能性が高い)ほど、端末装置が受信する通信に関して、より少ない情報(限定された情報)を出力するように端末装置を制御する。
【0155】
<実施の形態5の効果>
以上のように、本実施の形態によれば、端末装置の周囲の環境情報として、端末装置の周囲の音の情報をもとに、発信先端末装置のロック時動作モードを制御するため、端末装置がロック時に通話、あるいはメッセージを受信した際に、機密性の高い情報が第三者に漏洩する可能性を低減できる。また、端末装置の周囲に第三者が存在する可能性が低く、通信情報が第三者に漏洩する可能性が低い場合には、端末装置のユーザは通信情報を迅速に把握することができる。また受信した通話/メッセージに応答する通話/メッセージを迅速に行うことができる。このため、ユーザの利便性が向上する。すなわち、情報漏洩リスクの低減とユーザの利便性とを両立することができる。
【0156】
(実施の形態5の変形例1)
実施の形態5では、端末装置が推定人数と接近指標を算出したが、これに限らず、管理装置が推定人数と接近指標を算出してもよい。例えば、端末装置10が音声入力部15で収音した音響信号(音響データ)を管理装置20に送信し、管理装置20の制御部21に含まれるが音声認識部が、上述の説明と同様な処理を行って、推定人数および接近指標を算出し、音声情報テーブル242に記憶してもよい。
【0157】
また、端末装置10あるいは管理装置20は、推定人数および接近指標を用いずに、ロック解除判定を行ってもよい。例えば、端末装置10が音声入力部15で収音した音響信号(音響データ)を管理装置20に送信し、管理装置20の制御部21がその音響信号から所定の周波数成分(所定の周波数帯域)のレベルを検出し、音声情報テーブル242に記憶し、ロック解除判定処理に用いてもよい。
【0158】
例えば、所定の周波数成分としては、上述したように、人声と関連性の高い所定の周波数成分(例えば100Hz~3000Hz)を用いればよい。そして、
図20A及び
図20Bのフローチャートの処理を変形させた以下の処理を行えばよい。S1040に相当するS1040A(不図示)において、制御部21は、リストLに含まれる所定の周波数成分のレベルの最大値(最大レベル)を特定する。S1040AからS1150(不図示)に進む。S1150において、制御部21は、最大レベルが第1の所定値以上であるいか否かを判定する。
【0159】
第1の所定値以上であれば(S1150:Yes)、S1090に進み、モードAを設定する。第1の所定値未満であれば(S1150:No)、S1160(不図示)に進む。S1160において、制御部21は、最大レベルが第1の所定値よりも小さい第2の所定値以上であるいか否かを判定する。第2の所定値以上であれば(S1160:Yes)、S1100に進み、モードBを設定する。第2の所定値未満であれば(S1160:No)、S1170(不図示)に進む。S1170において、制御部21は、最大レベルが第2の所定値よりも小さい第3の所定値以上であるいか否かを判定する。第3の所定値以上であれば(S1170:Yes)、S1110に進み、モードCを設定する。第3の所定値未満であれば(S1170:No)、S1120に進み、モードDを設定する。このような方法を用いれば、端末装置および管理装置の処理が、より簡略化されるので、より多くのシステムに本実施の形態を適用することができる。
【0160】
(実施の形態5の変形例2)
本変形例では、端末装置10の音声出力部14は、イヤホン(ヘッドホン、ヘッドセット等を含む)と接続可能である。端末装置10とイヤホンとは、有線インターフェースまたは無線インターフェースを介して接続される。また、イヤホンが接続された状態では、スピーカから音声は出力されないように制御される。端末装置10の制御部11は、音声出力部14を介して、イヤホンの接続状態を検出する。端末装置10は、端末IDと測定日時と推定人数と接近指標とイヤホンの接続情報とを管理装置20に送信する。管理装置20は、受信したデータを関連づけて記憶部24の音声情報テーブル242に記録する。すなわち、
図19A及び
図19Bに示す音声情報テーブルにイヤホン接続情報というフィールドが追加される。
【0161】
図20A及び
図20Bのフローチャートにおいて、S1080でNoと判定された場合、S1100に進む前にS1085(不図示)を実行する。S1085において、制御部21は、端末装置10にイヤホンが接続されているか否かを判定する。イヤホンが接続されている場合(S1085:Yes)、S1085からS1110に進み、モードCを設定する。イヤホンが接続されていない場合(S1085:No)、S1085からS1100に進み、モードBを設定する。つまり、変数MVが第1の所定値CV1以上であり、かつ第2の所定値CV2未満である場合、イヤホンが接続されていれば、イヤホンから出力された音声(音漏れ等)により情報が漏洩するリスクは、極めて小さいため、モードCを選択し、ユーザの利便性を向上させる。
【0162】
(実施の形態5の変形例3)
実施の形態5では、端末装置10の音声入力部15に入力された音響信号を解析して、推定人数および接近指標を算出したが、これに限定される訳ではない。例えば、遠赤外線サーモグラフィーカメラを使用して端末装置周囲の推定人数や接近指標を算出してもよい。また、電車のシートや施設内の椅子等に設置されたセンサ(着座センサ)や電車のつり革等に設置されたセンサにより、端末装置の周囲の人の状況を検出し、端末装置が周囲のセンサからデータを受信して、ユーザの周囲に着座している人の推定人数や接近指標を算出してもよい。また、本端末装置と、周囲の人が所持する他の端末装置あるいは周囲のセンサ等とが、近距離無線通信(無線LAN、Bluetooth、赤外線通信、NFCなど)により通信し、お互いの情報を交換するなどして、本端末装置(本ユーザ)と他の端末装置(他のユーザ)との距離を推定し、接近指標を算出してもよい。また、近距離無線通信で通信可能な範囲にいる端末装置(他のユーザ)の数をカウントして推定人数にしてもよい。また、端末装置がメガネ型ウェアラブルデバイス(スマートグラス)である場合、あるいは端末装置とメガネ型ウェアラブルデバイスが通信可能である場合に、メガネ型ウェアラブルデバイスで撮影された周囲の画像をもとに、端末装置の周囲の人の数を推定してもよい。
【0163】
(実施の形態6)
実施の形態5では、端末装置の周囲の音(音響情報)を測定し、音響情報をもとにロック時動作モードを決定する処理を説明した。本実施の形態では、端末装置の周囲の環境情報として、端末装置が位置する場所の種別情報(施設種別)を用いる。そして、施設種別をもとに、端末装置のユーザ以外の第三者が端末装置の周囲に存在する可能性の高さを示す指標を算出し、その指標をもとにロック時動作モードを決定する。
【0164】
<端末装置の構成>
図22は、本実施の形態に係る端末装置10の構成例を示している。
図22に示すように、端末装置10は、
図3に示した実施の形態1の構成と比べて、制御部11に位置情報特定部112が含まれている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。位置情報特定部112は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機などで構成され、端末装置10の現在の位置情報(緯度、経度など)を取得する際に使用される。また、端末装置10は、定期的に自端末装置の端末IDと、測定日時と、位置情報を管理装置20に送信する。
【0165】
<管理装置の構成>
図23は、本実施の形態に係る管理装置20の構成例を示している。
図23に示すように、管理装置20は、
図4に示した実施の形態1の構成と比べて、さらに、端末装置10の位置情報特定部112から得られる位置情報を記憶する位置情報テーブル243と、施設ごとに施設の位置情報と施設種別を記憶する地図情報DB244と、施設種別に対応する存在スコアを記憶する存在スコアテーブル245とを記憶部24に記憶する。その他の構成は、実施の形態1と同様である。管理装置20の制御部21は、通信部23を介して、端末装置10から位置情報を受信すると、端末IDと、測定日時と、位置情報とを関連付けて、記憶部24の位置情報テーブル243に記憶する。
【0166】
<地図情報DBの構成>
図24は、管理装置20の記憶部24に記憶される地図情報DB244の構成例を示している。
図24に示すように、地図情報DB244は、公共施設、商業施設、道路、鉄道などの公共交通機関などの施設名と、その位置情報(緯度、経度など)と、施設種別とを関連付けた情報である。施設種別とは、施設を所定のカテゴリに分類した情報であり、例えば、駅、電車内、デパート、商店街、公園などである。なお、端末装置10のユーザに対応させて地図情報DB244を記憶してもよく、その場合には、ユーザの自宅などユーザ毎に異なる施設を地図情報DB244に登録してもよい。
【0167】
<存在スコアテーブルの構成>
図25は、管理装置20の記憶部24に記憶される存在スコアテーブル245の構成例を示している。
図25に示すように、存在スコアテーブル245は、地図情報DBと同様の施設種別と、その施設種別において端末装置のユーザの周囲に第三者が存在する可能性の高さを示す存在スコアとを関連付けたテーブルである。存在スコアは施設種別毎に、端末装置のユーザの周囲に第三者が存在する可能性を示す値が記載される。本図では、端末装置のユーザの周囲に第三者が存在する可能性が高いほど大きい値が設定され、可能性が低いほど小さい値が設定される。また、本図の例では、存在スコアの最大値は「10」、最小値は「0」となっている。存在スコアは、端末装置が位置する場所の種別情報(施設種別)に応じた指標であり、この指標の値が高い(大きい)ほど、端末装置の周囲に端末装置のユーザ以外の第三者が存在する可能性が高いといえる。
【0168】
<モード変更判定処理>
次に、本実施の形態に係るモード変更判定処理について説明する。なお、通話及びメッセージ発信時のシーケンスは、実施の形態2と同様である。
【0169】
管理装置20の制御部21は、端末装置10がロック状態の時に他の端末装置10からの通話、あるいはメッセージを受信した際、当該端末装置10の位置情報、地図情報DB244、および存在スコアテーブル245をもとに、端末装置10に設定されているロック時動作モードを自動で適切なモードに設定する。具体的には、管理装置20の制御部21は、端末装置10がロック状態時に通話を受信した場合、端末装置10の位置情報特定部112あるいは位置情報テーブル243から端末装置の現在あるいは直近の位置情報を取得し、記憶部24の地図情報DB244から、その位置情報がどの施設内に属しているかを特定する。
図25の例の場合、例えば端末装置の現在位置が施設種別「商店街」に該当する場合、記憶部24の存在スコアテーブル245から、スコアは「7」と特定される。管理装置20の制御部21は、スコアが「7」の場合に最適なロック時動作モードを決定する。
【0170】
図26A及び
図26Bは、本実施の形態において管理装置20の制御部21で実行されるモード変更判定処理を示すフローチャートである。まず、S1200において、管理装置20の制御部21は、発信元端末装置10aから通話、あるいはメッセージを受信したか否かを判定する。制御部21は、通話、あるいはメッセージを受信した場合(S1200:Yes)、S1210に処理を進め、通話、あるいはメッセージを受信していない場合(S1200:No)、S1200に戻って処理を繰り返す。
【0171】
次に、S1210において、制御部21は、ロック情報テーブル241内の発信先端末装置10bの端末状態が「1」であるか否かを判定する。制御部21は、発信先端末装置10bの端末状態が「1」の場合(S1210:Yes)、S1220に処理を進め、発信先端末装置10bの端末状態が「1」でない場合(S1210:No)、処理を終了する。
【0172】
次に、S1220において、制御部21は、位置情報テーブル243を参照し、発信先端末装置10bの端末IDに対応する最新の位置情報である位置P(現在位置P)を取得する。なお、制御部21は、位置情報テーブル243から位置Pを取得する代わりに、発信先端末装置10bに対して位置情報を要求し、発信先端末装置10bから直接位置Pを取得してもよい。続いて、S1230において、制御部21は、S1220で取得した位置Pと、記憶部24の地図情報DB244から、発信先端末装置10bが存在している施設種別Fを特定する。続いて、S1240において、制御部21は、S1230で特定した施設種別Fと記憶部24の存在スコアテーブル245から、施設種別Fに対応したスコアSを特定する。なお、地図情報DB244において位置Pに対応するに施設種別が存在しない場合、あるいは存在スコアテーブル245において施設種別Fに対応するスコアSが存在しない場合、スコアSに本実施の形態でのスコアの最大値である「10」を設定する。なお、本実施の形態では、端末装置10の現在位置PをもとにスコアSを特定するが、これに限られるものではない。例えば、端末装置10が現在までの所定時間(直近の所定時間)に位置した複数の場所の施設種別Fをそれぞれ特定し、各々の施設種別Fに対応する各スコアSを特定し、それらの平均値をS1240において特定するスコアSとし、以下の処理を行ってもよい。また、端末装置10の過去の位置情報をもとに今後の位置を予測し、今後の位置に対応する施設情報FおよびスコアSを特定してもよい。例えば、端末装置10の移動速度と移動方向を推定し、通話が持続する可能性のある時間(例えば、3分間)が経過した後の端末装置10の位置を予測し、それに対応する施設種別FおよびスコアSを特定(算出)し、それを用いて以下の処理を行ってもよい。
【0173】
続いて、S1250において、制御部21は、スコアSが第1の所定値(しきい値)CS1以上であるか否かを判定する。例えば、本実施の形態で用いる存在スコアテーブル245の最大値である「10」、最小値である「0」の範囲において、端末装置のごく近くに多数の第三者が存在すると可能性が高いといえる「8」を第1の所定値CS1に用いるが、この値に限定されるものではない。
【0174】
制御部21は、スコアSが第1の所定値CS1以上場合(S1250:Yes)、S1260において、推奨モードをモードAに設定する。本ステップに進んだ場合、端末装置の周囲にユーザ以外の複数の第三者が近距離で存在している可能性が高い事から、ロック時動作モードはモードAが選択される。
【0175】
また、制御部21は、スコアSが第1の所定値CS1未満である場合(S1250:No)、S1270において、スコアSが第1の所定値CS1よりも小さな第2の所定値CS2以上であるか否かを判定する。例えば、第2の所定値CS2として「6」を用いればよいが、この値に限定されるわけではない。スコアSが第2の所定値CS2以上かつ第1の所定値CS1未満である場合には、端末装置の近くの通話内容を聞くことのできる距離に第三者が存在する可能性が高いが、第三者が端末装置の画面の内容を認識できる可能性はあまり高くないといえる。
【0176】
制御部21は、スコアSが第2の所定値CS2以上場合(S1270:Yes)、S1280において、推奨モードをモードBに設定する。本ステップに進んだ場合、端末装置の周囲の通話内容を聞くことのできる距離に第三者が存在している可能性が高い。この為、ロック時動作モードは表示部に送信元の情報のみを表示するモードBが選択される。
【0177】
また、制御部21は、スコアSが第2の所定値CS2未満である場合(S1270:No)、S1290において、スコアSが第2の所定値CS2よりも小さい第3の所定値CS3以上であるか否かを判定する。例えば、第3の所定値CS3として「3」を用いればよいが、この値に限定されるものではない。スコアSが第3の所定値CS3以上かつ第2の所定値CS2未満である場合には、端末装置の周辺に第三者が存在する可能性はあるが、通話内容を聞かれる距離に存在する可能性は低いといえる。
【0178】
制御部21は、スコアSが第3の所定値CS3以上の場合(S1290:Yes)、S1300において、推奨モードをモードCに設定する。本ステップに進んだ場合、端末装置の周囲の通話内容を聞くことのできる距離に第三者が存在している可能性が小さいといえる。この為、ロック時動作モードは音声出力部より通話を発話し、表示部にメッセージ情報を表示するモードCが選択される。
【0179】
また、制御部21は、スコアSが第3の所定値CS3未満である場合(S1290:No)、S1310において、推奨モードをモードDに設定する。本ステップに進んだ場合、端末装置の周囲に第三者が存在している可能性が極めて低く、機密性の高い通話やメッセージ情報が第三者に漏洩する可能性は極めて低いといえる。この為、ロック時動作モードは通話が音声出力部より通話を発話され、表示部にメッセージを表示し、また即時で通話への返答が可能なモードDが選択される。
【0180】
S1260、S1280、S1300及びS1310で推奨モードが設定された後、S1320において、制御部21は、ロック情報テーブル241に記録されている発信先端末装置10bのロック時動作モードが推奨モードと異なっているか否かを判定する。制御部21は、発信先端末装置10bのロック時動作モードが推奨モードと異なっている場合(S1320:Yes)、S1330に処理を進め、発信先端末装置10bのロック時動作モードが推奨モードと同じ場合(S1320:No)、処理を終了する。次に、S1330において、制御部21は、モード変更指示に設定された推奨モードの情報を含めて、発信先端末装置10bへ送信し、その後処理を終了する。すなわち、本実施の形態では、端末装置の周囲に端末装置のユーザ以外の第三者が存在する可能性を示す指標を算出し、その指標が高い(第三者が存在する可能性が高い)ほど、端末装置が受信する通信に関して、より少ない情報(限定された情報)を出力するように端末装置を制御する。なお、実施の形態2の変形例2と同様に、S1320を省略してもよい。
【0181】
<実施の形態6の効果>
以上のように、本実施の形態によれば、端末装置の周囲の環境情報として、端末装置の位置情報に基づく施設情報から、発信先端末装置のロック時動作モードを制御するため、端末装置がロック時に通話、あるいはメッセージを受信した際、機密性の高い情報が第三者に漏洩する可能性を低減できる。また、端末装置の周囲に第三者が存在する可能性が低く、通信情報が第三者に漏洩する可能性が低い場合には、端末装置のユーザは通信情報を迅速に把握することができる。また受信した通話/メッセージに応答する通話/メッセージを迅速に行うことができる。このため、ユーザの利便性が向上する。すなわち、情報漏洩リスクの低減とユーザの利便性とを両立することができる。
【0182】
(実施の形態6の変形例1)
実施の形態5と実施の形態6を組み合わせてもよい。例えば、接近指標が大きいほど、かつスコアSが大きいほど大きな値となるスコアXを算出し、実施の形態6で説明したスコアSの代わりにスコアXを用いて処理を行えばよい。また、実施の形態5および実施の形態6では、管理装置において発信先端末装置のロック時動作モードを制御したが、実施の形態2の変形例3と同様に、端末装置において自端末装置のロック時動作モードを制御してもよい。すなわち、制御装置は、管理装置に含まれていてもよいし、端末装置に含まれていてもよい。
【0183】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。実施の形態1から実施の形態4では、操作状況情報に基づいて端末装置の出力形態を制御し、実施の形態5および実施の形態6では、端末装置の周囲の環境情報に基づいて端末装置の出力形態を制御したが、実施の形態1から実施の形態4のいずれかと、実施の形態5および実施の形態6のいずれかとを組み合わせてもよい。例えば、実施の形態1から実施の形態4のいずれかの制御を、管理装置と端末装置のうちの一方で行い、実施の形態5および実施の形態6のいずれかの制御を、管理装置と端末装置のうちの他方で行ってもよい。
【0184】
上述の実施形態における各構成は、ハードウェア又はソフトウェア、もしくはその両方によって構成され、1つのハードウェア又はソフトウェアから構成してもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアから構成してもよい。端末装置、管理装置、端末装置または管理装置に適用される制御装置等の機能(処理)を、CPUやメモリ等を有するコンピュータにより実現してもよい。例えば、記憶装置に実施形態における方法を行うためのプログラムを格納し、各機能を、記憶装置に格納されたプログラムをCPUで実行することにより実現してもよい。
【0185】
これらのプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0186】
10 端末装置
10a 発信元端末装置
10b 発信先端末装置
11 制御部
111 音声認識部
112 位置情報特定部
12 表示部
13 入力部
14 音声出力部
15 音声入力部
16 計時部
17 通信部
18 記憶部
181 ロック時動作設定値
20 管理装置
21 制御部
22 計時部
23 通信部
24 記憶部
241 ロック情報テーブル
242 音声情報テーブル
243 位置情報テーブル
244 地図情報DB
245 存在スコアテーブル
30 基地局
40 ネットワーク
100 無線通信システム