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  • 特許-印刷制御サーバーおよび印刷制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】印刷制御サーバーおよび印刷制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240806BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240806BHJP
   H04L 67/00 20220101ALI20240806BHJP
【FI】
G06F3/12 339
G06F3/12 303
G06F3/12 378
G06F3/12 388
B41J29/38 203
B41J29/38 202
H04L67/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020158304
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052113
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】垣尾 良輔
(72)【発明者】
【氏名】世良 隆
(72)【発明者】
【氏名】河上 陽介
(72)【発明者】
【氏名】北原 佑真
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-164652(JP,A)
【文献】特開2003-330653(JP,A)
【文献】特開平10-161823(JP,A)
【文献】特開2020-010256(JP,A)
【文献】特開2018-165924(JP,A)
【文献】特開2014-021949(JP,A)
【文献】特開2020-047028(JP,A)
【文献】特開2015-212893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/38
H04L 67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)により提供されるチャットシステムに対してユーザーから入力された印刷指示または設定指示を検知する検知部と、
前記印刷指示に従ったプリンターによる印刷または前記設定指示に従った前記プリンターに関する設定を行う印刷制御部と、
ユーザーの識別情報と前記チャットシステムにおけるユーザーの権限とを対応付けて記憶する管理部と、を備え、
前記管理部は、前記SNSを管理するSNSサーバーが記憶する前記識別情報と権限との対応関係を前記SNSサーバーから取得して記憶し、
前記印刷制御部は、前記印刷指示または前記設定指示の指示元のユーザーの識別情報に対応する権限を、前記管理部が記憶する情報を参照して特定し、特定した権限に応じて、前記印刷指示に従う印刷または前記設定指示に従う設定を制限する、ことを特徴とする印刷制御サーバー。
【請求項2】
前記権限とは、前記チャットシステムにおいてグループチャットを生成する権限である、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御サーバー。
【請求項3】
前記権限とは、前記チャットシステムにおいてグループチャットを管理する権限である、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷制御サーバー。
【請求項4】
前記印刷の制限とは印刷の禁止である、ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の印刷制御サーバー。
【請求項5】
前記印刷の制限とは印刷枚数の制限である、ことを特徴とする請求項1請求項4のいずれかに記載の印刷制御サーバー。
【請求項6】
前記設定の制限とは、前記プリンターに関する設定の変更禁止である、ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の印刷制御サーバー。
【請求項7】
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)により提供されるチャットシステムに対してユーザーから入力された印刷指示または設定指示を検知する検知工程と、
前記印刷指示に従ったプリンターによる印刷または前記設定指示に従った前記プリンターに関する設定を行う印刷制御工程と、
ユーザーの識別情報と前記チャットシステムにおけるユーザーの権限とを対応付けて記憶する管理工程と、を備え、
前記管理工程は、前記SNSを管理するSNSサーバーが記憶する前記識別情報と権限との対応関係を前記SNSサーバーから取得して記憶し、
前記印刷制御工程は、前記印刷指示または前記設定指示の指示元のユーザーの識別情報に対応する権限を、前記管理工程により記憶された情報を参照して特定し、特定した権限に応じて、前記印刷指示に従う印刷または前記設定指示に従う設定を制限する、ことを特徴とする印刷制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御サーバーおよび印刷制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーシャルネットワーキングサービス(以下、SNS)を利用するユーザーは、SNSが提供するチャットシステムにテキストや写真等のファイルを投稿して、同じグループチャットに参加するユーザーに対して公開することができる。また、ユーザーは、SNSとネットワークで通じた印刷システムを利用し、SNSに投稿したファイルを、印刷システムに予め登録したプリンターにより印刷することも可能である。
【0003】
また、プリンターが登録されていないユーザーからチャットルームに印刷指示の投稿がなされた場合、プリンターの登録を求めるメッセージをチャットルームに投稿し、この投稿に応じて当該ユーザーがプリンターIDをチャットルームに投稿すると、当該プリンターIDを当該ユーザーに対応付けて登録し、登録したプリンターで印刷を実行する情報処理装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020‐71598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術においては、グループチャットのメンバーである各ユーザーは一律に、プリンターを使用することが可能であった。そのため、印刷コストが増大したり、印刷に関する設定変更が各ユーザーの任意の下で自由に行われたりすることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
印刷制御サーバーは、SNSにより提供されるチャットシステムに対してユーザーから入力された印刷指示または設定指示を検知する検知部と、前記印刷指示に従ったプリンターによる印刷または前記設定指示に従った前記プリンターに関する設定を行う印刷制御部と、ユーザーの識別情報と前記チャットシステムにおけるユーザーの権限とを対応付けて記憶する管理部と、を備え、前記印刷制御部は、前記印刷指示または前記設定指示の指示元のユーザーの識別情報に対応する権限を、前記管理部が記憶する情報を参照して特定し、特定した権限に応じて、前記印刷指示に従う印刷または前記設定指示に従う設定を制限する。
【0007】
印刷制御方法は、SNSにより提供されるチャットシステムに対してユーザーから入力された印刷指示または設定指示を検知する検知工程と、前記印刷指示に従ったプリンターによる印刷または前記設定指示に従った前記プリンターに関する設定を行う印刷制御工程と、ユーザーの識別情報と前記チャットシステムにおけるユーザーの権限とを対応付けて記憶する管理工程と、を備え、前記印刷制御工程は、前記印刷指示または前記設定指示の指示元のユーザーの識別情報に対応する権限を、前記管理工程により記憶された情報を参照して特定し、特定した権限に応じて、前記印刷指示に従う印刷または前記設定指示に従う設定を制限する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】システムを簡易的に示すブロック図。
図2図2AはSNSサーバーが記憶するユーザーDBを示す図、図2Bは印刷制御サーバーが記憶するユーザーDBを示す図。
図3】印刷制御処理を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、比率や形状が正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。
【0010】
1.システム構成:
図1は、本実施形態にかかるシステム70の構成をブロック図により簡易的に示している。システム70の少なくとも一部を、印刷システムと呼んでもよい。図1によれば、システム70は、複数の端末装置30や、複数のサーバー40,50や、プリンター60を含む。端末装置30や、サーバー40,50や、プリンター60は、図1に示すように必要に応じ、インターネットを通じて互いに通信可能に接続されている。
【0011】
端末装置30は、ユーザーUによって操作される通信機器であり、例えば、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピューター(PC)等である。端末装置30には、幾つかのアプリケーションがインストールされている。図1の例では、端末装置30には、アプリケーションの例として、ある一つのSNSを利用するためのSNSアプリケーション31がインストールされている。以下では、ある一つのSNSを、単にSNSと呼ぶ。図3では、アプリケーションを、アプリと略している。
【0012】
つまり、ユーザーUは、SNSのユーザーである。ユーザーUは、SNSの自身のアカウントを予め有している。アカウントは、SNS内においてユーザーを識別するための識別情報であり、ユーザーIDやパスワードやその他の個人情報を含んでいる。図1では便宜上、複数の端末装置30の夫々を、端末装置301,302,303…というように区別して記載している。また、図1では、端末装置301,302,303…の夫々を操作する各ユーザーUを、ユーザーU1,U2,U3…というように区別して記載している。ユーザーUは、端末装置30において起動するSNSアプリケーション31へアカウントでログインすることによりSNSを利用する。
【0013】
SNSサーバー40は、インターネット上でSNSを提供するための一つあるいは複数のサーバーである。SNSサーバー40とSNSアプリケーション31との協働により、アカウントを有するユーザーUに対してSNSが提供される。本実施形態では、SNSサーバー40は、サービスの一つとしてチャットシステムをユーザーUに提供する。ユーザーUは、チャットシステムにおける、あるグループチャットに入ることで、共通のグループチャットに属する他のユーザーUとチャットを行うことができる。グループチャットを、チャットのためのチャンネルと呼んだり、ワークスペースと呼んだりしてもよい。
【0014】
印刷制御サーバー50は、SNSを介した印刷を制御可能である。印刷制御サーバー50は、ユーザーUからのチャットシステムへの印刷指示や設定指示の入力に応じて、このユーザーUに紐付けているプリンター60に印刷を実行させたり、当該プリンター60に関する設定を行ったりする、一つあるいは複数のサーバーである。印刷制御サーバー50は、印刷制御方法を実現する。SNSアプリケーション31は、SNSサーバー40が提供するAPI(Application Programming Interface)を介して、印刷制御サーバー50と印刷に関して必要な情報のやり取りを行う。印刷制御サーバー50を制御するプロセッサー51は、検知部52、印刷制御部53、管理部54等として機能する。
【0015】
図1ではプリンター60を一台記載している。しかし、言うまでもなく、印刷制御サーバー50がインターネットを通じて利用可能なプリンターは複数台存在し得る。
【0016】
2.ユーザー権限に応じた制限を伴う印刷制御処理:
ユーザーUは、SNSアプリケーション31を起動させて端末装置30を操作し、SNSサーバー40が提供するチャットシステムにおける所定の規則に従った入力処理をして、チャットシステム内にグループチャットを生成することができる。以下では、グループチャットを生成したユーザーUを、グループチャットを管理する立場のユーザーという意味で「管理ユーザー」と呼ぶ。例えば、ユーザーU1が管理ユーザーである。
【0017】
管理ユーザーU1は、チャットシステムにおける所定の規則に従って他のユーザーUをグループチャットへ招待し、メンバーとして登録することができる。このとき、管理ユーザーU1は、ユーザーU毎に権限を付与することができる。ここでは、グループチャットに登録するユーザーUとして、チャットシステムの利用に際して管理ユーザーU1と同等の権限が付与される「通常ユーザー」と、通常ユーザーよりも弱い権限が付与される「ゲストユーザー」とを想定する。
【0018】
通常ユーザーとしては、例えば、会社や家庭において管理ユーザーU1と近しい関係にあるユーザーUが想定される。ゲストユーザーとしては、例えば、管理ユーザーU1から見て通常ユーザーほどの近しい関係に無いが、一時的にグループチャットに参加する必要性が生じたユーザーUが想定される。以下では、ユーザーU2を通常ユーザーの一人と想定し、ユーザーU3をゲストユーザーの一人と想定する。
【0019】
図2Aは、あるグループチャットに登録されたユーザーUと権限との対応関係を規定したユーザーデータベース41の例を示している。データベースを、DBと略す。ユーザーDB41は、SNSサーバー40に記憶されている。ユーザーDB41によれば、ユーザーUの識別情報と、チャットシステムにおける権限との対応関係が規定されている。ユーザーDB41に規定された識別情報は、例えば、SNSにおいてユーザーU毎に割り当てられたユーザーIDである。ここでは、ユーザーID“U1******”は、ユーザーU1に該当し、ユーザーID“U2******”は、ユーザーU2に該当し、ユーザーID“U3******”は、ユーザーU3に該当するものとする。
【0020】
権限“1”は、管理ユーザーであることを意味し、権限“2”は、通常ユーザーであることを意味し、権限“3”は、ゲストユーザーであることを意味する。ここでは、権限“1”と権限“2”とに、権限の強さに差は無いが、権限“1”の方が、より強い権限と考えてもよい。例えば、管理ユーザーU1による端末装置301を介したチャットシステムに対する入力に基づいて、このようなユーザーDB41が生成されSNSサーバー40に記憶される。
【0021】
管理ユーザーU1は、ユーザーDB41を随時更新することができる。つまり、管理ユーザーU1は、グループチャットにおける通常ユーザーやゲストユーザーの増減や変更を、SNSサーバー40へ随時通知し、SNSサーバー40は、この通知に従ってユーザーDB41の状態を更新することができる。ユーザーDB41の更新は、通常ユーザーU2やゲストユーザーU3の操作によっても可能としてもよい。
【0022】
印刷制御サーバー50の管理部54は、グループチャットにおけるユーザーUと権限との対応関係を、印刷制御サーバー50の記憶領域へ記憶させる。具体的には、管理部54は、SNSサーバー40が記憶するユーザーDB41を、SNSサーバー40から取得し、ユーザーDB55として記憶する。図2Bは、印刷制御サーバー50が記憶するユーザーDB55の例を示している。図2Bの例によれば、ユーザーDB55は、ユーザーDB41に、ユーザーU毎のプリンター識別情報を加えたDBとなっている。プリンター識別情報とは、印刷制御サーバー50がネットワークを通じて認識しているプリンター60毎に固有の識別情報であり、例えば、プリンター60毎に割り当てた電子メールアドレスである。
【0023】
図2Bの例では、同じグループチャットに属する各ユーザーUに対しては、共通のプリンター識別情報が対応付けられている。このようなグループチャットとプリンターとは、管理ユーザーU1がチャットシステムにおいてグループチャットを生成したときに、管理ユーザーU1がプリンター60を任意に指定することにより対応付けられる。つまり、印刷制御サーバー50は、管理ユーザーU1が指定したグループチャットとプリンター60との対応関係を、SNSサーバー40を介して取得することにより、当該グループチャットのユーザーDB55に、プリンター60の識別情報を対応付けて登録する。
【0024】
上述したように、ユーザーDB41は更新され得る。従って、SNSサーバー40は、ユーザーDB41が更新される度に、更新の内容を印刷制御サーバー50へ通知し、ユーザーDB41の更新と同期して、印刷制御サーバー50が記憶するユーザーDB55を更新させればよい。
【0025】
次に、ユーザーDB55が印刷制御サーバー50に記憶されていることを前提として、本実施形態にかかる印刷制御処理を説明する。
図3は、印刷制御処理に関するシステム70内の各構成による処理を、シーケンス図により示している。図3において、通常ユーザーU2による処理は、通常ユーザーU2がSNSアプリケーション31を起動した状態の端末装置302を操作して自身のアカウントにより行う処理である。同様に、図3においてゲストユーザーU3による処理は、ゲストユーザーU3がSNSアプリケーション31を起動した状態の端末装置303を操作して自身のアカウントにより行う処理である。
【0026】
通常ユーザーU2は、チャットシステムの自身が属するグループチャットへ、任意のファイルについての印刷指示を入力する(「1.印刷指示」)。つまり、通常ユーザーU2によりチャットシステムへ印刷指示が投稿され、この印刷指示をSNSサーバー40が受信する。
次に、「2.印刷指示」の記載から解るように、SNSサーバー40が受信した印刷指示は、SNSサーバー40から印刷制御サーバー50へ送信される。SNSサーバー40は、ユーザーUからの印刷指示を印刷制御サーバー50へ送信する際、当該印刷指示の指示元のユーザーUの識別情報の少なくとも一部、ここではユーザーIDを、併せて送信する。
【0027】
印刷制御サーバー50の検知部52は、通常ユーザーU2から入力された印刷指示を、SNSサーバー40を介して受信することにより、印刷指示を検知する。印刷制御サーバー50の印刷制御部53は、検知部52が検知した印刷指示にかかるユーザーIDに基づいて、「3.権限判定」を行う。具体的には、印刷制御部53は、ユーザーIDに対応する権限を、ユーザーDB55を参照して特定し、この特定した権限が、ゲストユーザーを示す権限“3”であるか否かを判定する。ユーザーDB55によれば、通常ユーザーU2のユーザーIDに対応する権限は、権限“2”であるため、印刷制御部53は、「3.権限判定」では、ゲストユーザーの権限ではない、つまり制限が必要無い権限と判定し、「4.印刷制御」を行う。
【0028】
「4.印刷制御」では、印刷制御部53は、印刷指示の指示元である通常ユーザーU2に紐付けたプリンター60を、ユーザーDB55を参照してプリンター識別情報により特定し、この特定したプリンター60に、印刷指示に従ったファイルの印刷を実行させる。
このような図3を用いた、通常ユーザーU2による印刷指示を発端とする処理については、通常ユーザーU2および権限“2”を、管理ユーザーU1および権限“1”と読み替えて同様に解釈してもよい。
【0029】
ゲストユーザーU3が、チャットシステムの自身が属するグループチャットへ、任意のファイルについての印刷指示を入力すると(「5.印刷指示」)、「6.印刷指示」の記載から解るように、ゲストユーザーU3からSNSサーバー40が受信した印刷指示が、SNSサーバー40から印刷制御サーバー50へ送信される。
【0030】
印刷制御サーバー50の検知部52は、ゲストユーザーU3から入力された印刷指示を、SNSサーバー40を介して受信することにより、印刷指示を検知する。印刷制御サーバー50の印刷制御部53は、検知部52が検知した印刷指示にかかるユーザーIDに基づいて「7.権限判定」を行う。「7.権限判定」では、「3.権限判定」とは異なる判定結果が出る。ユーザーDB55によれば、ゲストユーザーU3のユーザーIDに対応する権限は、権限“3”であるため、印刷制御部53は、ゲストユーザーの権限つまり制限が必要な権限と判定する。
【0031】
このような判定をした場合、印刷制御部53は、印刷指示に従う印刷を制限する。ここで言う、印刷の制限とは印刷の禁止である。つまり、印刷制御部53は、印刷指示にかかるユーザーIDに基づいて、ゲストユーザーの権限と判定した場合は、この印刷指示に従った印刷をプリンター60に実行させない。印刷制御部53は、印刷指示に従う印刷を制限した場合に、図3の破線の矢印で示すように、「8.制限通知」を行ってもよい。制限通知とは、印刷指示に応じた印刷を制限した旨を、印刷指示の指示元のユーザーUへ知らせるための通知である。図3によれば、「8.制限通知」および「9.制限通知」の記載から解るように、制限通知は、印刷制御サーバー50からSNSサーバー40を介してゲストユーザーU3へ通知される。ゲストユーザーU3は、端末装置303が表示するグループチャットの画面を通じて、例えば、自身の印刷指示が拒否されたことを知る。
【0032】
印刷の制限は、印刷枚数の制限であってもよい。印刷制御部53は、印刷指示の指示元のユーザーIDに対応する権限が、権限“3”であれば、権限“1”や権限“2”であるときよりも、例えば1か月あたりに許容する印刷枚数や1回の印刷指示あたりに許容する印刷枚数を少なく設定し、枚数制限を超える印刷を禁止する。
さらに、印刷制御部53は、印刷指示の指示元のユーザーIDに対応する権限が、権限“3”であれば、権限“1”や権限“2”であるときは許容するカラー印刷を禁止し、モノクロ印刷のみ実行するとしてもよい。
【0033】
さらに、これまでの図3に関する説明において、“印刷指示”を“設定指示”と読み替え、“印刷指示に従う印刷”を“設定指示に従う設定”と読み替えて解釈してもよい。設定指示とは、プリンター60に関する様々な設定の指示である。ユーザーUは、グループチャットへ印刷指示を投稿するのと同様に、設定指示を任意に投稿することができる。印刷制御部53は、設定指示の指示元のユーザーIDに対応する権限が権限“1”や権限“2”であれば、その設定指示に従って、当該ユーザーIDに対応するプリンター60に関する設定を行う。プリンター60に関する設定とは、例えば、印刷品質の設定、用紙サイズの設定、プリンター60が有する一部機能の停止や停止解除の設定、ユーザーDB55からのプリンター識別情報の削除等、多岐に亘る。
【0034】
一方、設定指示の指示元のユーザーIDに対応する権限が権限“3”であれば、印刷制御部53は、その設定指示に従うプリンター60に関する設定を制限する。設定の制限とは、プリンター60に関する少なくとも一部の設定に対する変更禁止である。例えば、印刷制御部53は、SNSサーバー40を介して受信した設定指示が、プリンター60の一部機能の停止や停止解除、ユーザーDB55からのプリンター識別情報の削除等の指示であった場合、設定指示の指示元のユーザーIDに対応する権限が権限“3”であれば、このような指示を拒否し、現在のプリンター60の設定を維持する。
【0035】
言うまでもなく、印刷制御部53は、設定指示に従う設定を制限した場合、図3の破線の矢印で示すように、設定指示に応じた設定を制限した旨を、設定指示の指示元のゲストユーザーU3へ通知してもよい。
【0036】
さらに、印刷制御部53は、印刷指示や設定指示の指示元のユーザーIDに対応する権限が、権限“2”であるとき、権限“1”であるときよりも印刷や設定に関する制限を強めてもよい。
【0037】
3.まとめ:
このように本実施形態によれば、印刷制御サーバー50は、SNSにより提供されるチャットシステムに対してユーザーUから入力された印刷指示または設定指示を検知する検知部52と、印刷指示に従ったプリンター60による印刷または設定指示に従ったプリンター60に関する設定を行う印刷制御部53と、ユーザーUの識別情報とチャットシステムにおけるユーザーの権限とを対応付けて記憶する管理部54と、を備える。そして、印刷制御部53は、印刷指示または設定指示の指示元のユーザーUの識別情報に対応する権限を、管理部54が記憶する情報を参照して特定し、特定した権限に応じて、印刷指示に従う印刷または設定指示に従う設定を制限する。
【0038】
前記構成によれば、印刷制御部53は、チャットシステムに参加するユーザーU個々の権限に応じて、ユーザーUによる印刷指示や設定指示に従う印刷や設定を制限する。これにより、例えば、一時的にチャットに参加するゲストユーザーが自由に印刷をしたりプリンター60の設定を変更したりすることを制限し、無秩序な印刷コスト増大や設定変更を抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、管理部54は、SNSを管理するSNSサーバー40が記憶する、ユーザーUの識別情報と権限との対応関係をSNSサーバー40から取得して記憶する。
前記構成によれば、管理部54は、ユーザーUの識別情報と権限との対応関係を、容易に取得することができる。
ただし、管理部54は、ユーザーUの識別情報と権限との対応関係を、SNSサーバー40ではないサーバーを介する等して、SNSサーバー40から直接に取得しない態様で取得するとしてもよい。
【0040】
また、本実施形態によれば、印刷の制限とは、印刷の禁止や印刷枚数の制限である。
このような構成によれば、印刷制御部53は、ユーザーUの権限に応じ、一部のユーザーUに対してチャットを通じた印刷を禁止したり印刷枚数を限定したりすることができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、設定の制限とは、プリンター60に関する設定の変更禁止である。
このような構成によれば、印刷制御部53は、ユーザーUの権限に応じ、一部のユーザーUに対して、チャットを通じたプリンター60に関する設定変更を禁止することができる。
【0042】
本実施形態は、印刷制御サーバー以外にも、システム、方法、プログラムといった様々なカテゴリーの発明を開示する。
これまでの、印刷制御サーバー50に関する説明によれば、SNSにより提供されるチャットシステムに対してユーザーUから入力された印刷指示または設定指示を検知する検知工程と、印刷指示に従ったプリンター60による印刷または設定指示に従ったプリンター60に関する設定を行う印刷制御工程と、ユーザーUの識別情報とチャットシステムにおけるユーザーの権限とを対応付けて記憶する管理工程と、を含む印刷制御方法が開示されている。印刷制御工程は、印刷指示または設定指示の指示元のユーザーUの識別情報に対応する権限を、管理工程により記憶された情報を参照して特定し、特定した権限に応じて、印刷指示に従う印刷または設定指示に従う設定を制限する。
【符号の説明】
【0043】
30,301,302,303…端末装置、31…SNSアプリケーション、40…SNSサーバー、41,55…ユーザーDB、50…印刷制御サーバー、51…プロセッサー、52…検知部、53…印刷制御部、54…管理部、60…プリンター、70…システム、U,U1,U2,U3…ユーザー
図1
図2
図3