(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】便蓋装置
(51)【国際特許分類】
A47K 13/24 20060101AFI20240806BHJP
E03D 9/08 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
A47K13/24
E03D9/08 A
(21)【出願番号】P 2020158625
(22)【出願日】2020-09-23
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】持田 真之
(72)【発明者】
【氏名】平 憲作
(72)【発明者】
【氏名】川田 賢志
(72)【発明者】
【氏名】前田 克史
(72)【発明者】
【氏名】大塚 航生
(72)【発明者】
【氏名】下田 博史
(72)【発明者】
【氏名】神 祐紀
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-052032(JP,A)
【文献】米国特許第08776278(US,B1)
【文献】特開2011-156131(JP,A)
【文献】特開2020-110474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/24
E03D 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシングに対して回動可能に支持された便座および便蓋と
を備え、
前記便蓋は、
前記便蓋が閉じた状態において、前記ケーシングおよび前記便座の上面を覆う天板部と、
前記天板部の縁部に設けられ、前記便蓋が閉じた状態において、前記便座の側面を覆うとともに、
下端面の一部が前記ケーシングの上面と対向する側板部と
を備え、
前記ケーシングの上面のうち少なくとも前記側板部の前記下端
面と対向する面に設けられたカバー部
をさらに備える、便蓋装置。
【請求項2】
前記カバー部は、
前記ケーシングに対して着脱可能である、請求項1に記載の便蓋装置。
【請求項3】
前記ケーシングは、
前記便蓋を回動可能に支持する支持部を有し、
前記カバー部は、
前記支持部よりも前方において、前記ケーシングの側面をさらに覆う、請求項1または2に記載の便蓋装置。
【請求項4】
前記ケーシングは、
側面が下方に向けて内側へ傾斜する便器本体の上面に設置され、
前記ケーシングの側面は、
前記便器本体の側面の上方に位置し、下端から上方に向けて外側へ傾斜する、請求項1~3の何れか1つに記載の便蓋装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、便蓋装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーシングに対して回動可能に取り付けられた便座および便蓋を有する便蓋装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、便蓋が閉じた状態において、便蓋の側面とケーシングの側面とが面一となる便蓋装置が開示されている。かかる構成とすることにより、閉じた状態における便蓋装置の意匠性を高めることができる。
【0004】
特許文献1に記載の便蓋装置は、閉じられた状態の便蓋がケーシングとなるべく接触しないように、便蓋の下端とケーシングの上面との間に隙間が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、たとえば意匠性の観点から、上述した隙間は比較的小さく形成される場合がある。このような場合、たとえば便蓋が勢いよく閉じられたり便蓋の上に人が乗るなどして上から荷重がかけられたりしたときに、便蓋がケーシングと接触してケーシングに傷がついてしまうおそれがある。
【0007】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、便蓋との接触によるケーシングの傷付きを抑制することができる便蓋装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一態様に係る便蓋装置は、ケーシングと、前記ケーシングに対して回動可能に支持された便座および便蓋とを備え、前記便蓋は、前記便蓋が閉じた状態において、前記ケーシングおよび前記便座の上面を覆う天板部と、前記天板部の縁部に設けられ、前記便蓋が閉じた状態において、前記便座の側面を覆うとともに、下端が前記ケーシングの上面の上方に位置する側板部とを備え、前記ケーシングの上面のうち少なくとも前記側板部の前記下端と対向する面に設けられたカバー部をさらに備える。
【0009】
かかる構成によれば、仮に、便蓋が勢いよく閉じられたり便蓋の上に人が乗るなどして上から荷重がかかったりした場合であっても、側板部の下端はケーシングではなくカバー部に接触する。このため、ケーシングの傷付きを抑制することができる。
【0010】
また、上記便蓋装置では、前記カバー部は、前記ケーシングに対して着脱可能である。かかる構成によれば、カバー部が傷付いた場合に、カバー部のみを取り替えることができる。
【0011】
また、上記便蓋装置では、前記ケーシングは、前記便蓋を回動可能に支持する支持部を有し、前記カバー部は、前記支持部よりも前方において、前記ケーシングの側面をさらに覆う。
【0012】
便蓋の側板部は、便蓋に上方から荷重が掛かってカバー部に接触した際に撓んで(変形して)ケーシングの側面に接触するおそれがある。このときの側板部の撓みは、便蓋の支点となる支持部から離れるほど大きくなる。実施形態に係る便蓋装置では、ケーシングの上面だけでなく、支持部よりも前方に位置するケーシングの側面もカバー部で覆うことで、ケーシングの傷付きをさらに抑制することができる。
【0013】
また、上記便蓋装置では、前記ケーシングは、側面が下方に向けて内側へ傾斜する便器本体の上面に設置され、前記ケーシングの側面は、前記便器本体の側面の上方に位置し、下端から上方に向けて外側へ傾斜する。
【0014】
このように、ケーシングの側面を下端から上方に向けて外側へ傾斜させることで、ケーシングの上面の面積を広く取ることができる。これにより、便蓋が閉じる時に、ケーシングの上面に設けたカバー部に便蓋の側板部の下端が確実に接触するように構成しつつ、便蓋装置全体が大型化することを抑制することができる。また、ケーシングの側面を便器本体の側面と同じ方向に傾斜させることで、デザイン性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
実施形態の一態様によれば、便蓋との接触によるケーシングの傷付きを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態に係るトイレ装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るトイレ装置の正面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るトイレ装置の背面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る便蓋装置の平面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る便蓋装置のうち便蓋を除いた平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る便蓋装置のうち便座および便蓋を除いた平面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るカバー部の平面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るカバー部の斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係るトイレ装置の側面の一部を拡大して示した図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るトイレ装置の背面の一部を拡大して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する便蓋装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0018】
<トイレ装置の全体構成>
まず、
図1を参照して実施形態に係るトイレ装置の構成について
図1~
図5を参照して説明する。
図1は、実施形態に係るトイレ装置の斜視図である。また、
図2は、実施形態に係るトイレ装置の正面図であり、
図3は、実施形態に係るトイレ装置の背面図である。また、
図4は、実施形態に係る便蓋装置の平面図であり、
図5は、実施形態に係る便蓋装置のうち便蓋を除いた平面図であり、
図6は、実施形態に係る便蓋装置のうち便座および便蓋を除いた平面図である。
【0019】
なお、
図1には、説明を分かりやすくするために、鉛直上向きを正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系が図示されている。かかる直交座標系は、他の図においても図示される場合がある。また、かかる直交座標系は、X軸の負方向視をトイレ装置の正面と規定し、Z軸の負方向視をトレイ装置の平面(「上面」ともいう)と規定している。このため、以下の説明では、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向(あるいは高さ方向)という場合がある。
【0020】
図1に示すように、実施形態に係るトイレ装置1は、陶器製の便器本体2と、便蓋装置3とを備える。
【0021】
便器本体2は、たとえば、汚物を受けるボウル部、ボウル部の後方(上流側)に形成される導水路と、ボウル部の下部と連通するトラップ管路等を備える。ボウル部の上縁には、リムが形成され、このリムの後方側には、導水路から供給される洗浄水を吐水するリム吐水口が形成される。リム吐水口から吐水された洗浄水は、旋回しながら下降してボウル部を洗浄する。
【0022】
図2および
図3に示すように、便器本体2の側面2bは、下方に向けて内側へ傾斜している。この点については後述する。
【0023】
便蓋装置3は、ケーシング10と、使用者が着座する便座20(
図5参照)と、便蓋30と、カバー部40とを備える。
【0024】
ケーシング10は、便器本体2の上面に設置される。また、ケーシング10は、便器本体2のボウル部の後方に設置される。ケーシング10の内部には、便座20に座った使用者の人体局部(「おしり」など)の洗浄を実現する身体洗浄機能部などが内蔵されている。たとえば、ケーシング10の内部には、洗浄ノズルや、洗浄ノズルの動作を制御する制御回路などが設けられる。洗浄ノズルは、使用者が便座20に座っているときに、ケーシング10の内部から前方へ進出した状態で、使用者の局部に向けて洗浄水を吐出する。また、ケーシング10には、便座20に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる「温風乾燥機能」や「脱臭ユニット」や「室内暖房ユニット」などの各種の機構が適宜設けられていてもよい。
【0025】
図5および
図6に示すように、ケーシング10は、便器本体2の上面に設置される第1の部位10aと、第1の部位10aの上面から上方にせり上がった第2の部位10bとを有する。第2の部位10bには、便座20をケーシング10に取り付けるための左右一対の第1取付部11,11が設けられる。第1取付部11,11は、たとえば挿通孔であり、便座20に設けられた左右一対の回動軸(図示せず)が挿通される。これにより、便座20は、ケーシング10に対して回動可能に軸支される。なお、第1取付部11,11は、回動軸であってもよい。この場合、便座20には、左右一対の挿通孔が設けられていればよい。
【0026】
また、第2の部位10bには、第1取付部11,11よりも後方に左右一対の第2取付部12,12が設けられる。第2取付部12,12は、たとえば回動軸であり、便蓋30に設けられた左右一対の挿通孔に挿通される。これにより、便蓋30は、ケーシング10に対して回動可能に軸支される。このように、第2取付部12,12は、便蓋30を回動可能に支持する支持部の一例である。なお、第2取付部12,12は、挿通孔であってもよい。この場合、便蓋30には、左右一対の回動軸が設けられていればよい。
【0027】
第1の部位10aは、第2の部位10bよりも左右方向および後方に幅広に形成されている。言い換えれば、第2の部位10bよりも左右方向および後方には、第1の部位10aの上面が位置している。
【0028】
便座20および便蓋30は、ケーシング10に対して回動可能に軸支される。具体的には、便座20は、ケーシング10の第1取付部11,11に対して回動可能に軸支され、便蓋30は、ケーシング10の第2取付部12,12に対して回動可能に軸支される。
【0029】
図1~
図4には、便座20および便蓋30が閉じられた状態を示している。この状態から便座20および便蓋30を回動させることにより、便座20および便蓋30が起立した状態、すなわち、便座20および便蓋30が開いた状態となる。
【0030】
図5に示すように、便座20は、ケーシング10の前方に設けられ、閉じた状態において、便器本体2のボウル部の上面に位置する。
【0031】
便蓋30は、たとえばユリア樹脂で形成される。便蓋30は、天板部31と側板部32とを備える。天板部31および側板部32は、たとえば一体的に形成される。
【0032】
天板部31は、屈曲した一枚板状の部位である。便蓋30が閉じた状態において、天板部31は、ケーシング10および便座20の上面を覆う。言い換えれば、便蓋30が閉じた状態において、天板部31の下面は、ケーシング10および便座20の上面と対向する。なお、天板部31のうち、ケーシング10の上面と対向する後部は、概ね上凸状に湾曲しており、便座20の上面と対向する前部は、概ね下凸状に湾曲している。
【0033】
側板部32は、天板部31の縁部に設けられ、便蓋30が閉じた状態において、便座20の側面を覆う。具体的には、側板部32は、便蓋30が閉じた状態において、天板部31の縁部から下方に垂下するように延びており、側板部32の内面は、便座20の側面21と対向する。
【0034】
また、側板部32の下端は、ケーシング10の上面の上方に位置する。具体的には、側板部32の下端面32a(
図9参照)は、ケーシング10における第1の部位10aの上面のうち、第2の部位10bの左右方向に位置する上面15(
図9参照)と対向する。
【0035】
このように、実施形態に係る便蓋装置3は、便蓋30における側板部32の下端がケーシング10の上面(具体的には、上述した上面15)の上方に位置する構成を有する。
【0036】
ここで、便蓋30における側板部32の下端とケーシング10の上面(上面15)との間には、便蓋30がケーシング10と接触しないように、隙間が設けられている。
【0037】
しかしながら、たとえば便蓋30が勢いよく閉じられたり便蓋30の上に人が乗るなどして上から荷重がかけられたりしたときに、便蓋30における側板部32の下端がケーシング10の上面(上面15)と接触してケーシング10に傷がついてしまうおそれがある。
【0038】
そこで、実施形態に係る便蓋装置3では、ケーシング10の上面にカバー部40を設けることとした。これにより、便蓋30との接触によるケーシング10の傷付きを抑制することができる。
【0039】
以下、カバー部40の構成について
図7~
図9をさらに参照して説明する。
図7は、実施形態に係るカバー部40の平面図であり、
図8は、実施形態に係るカバー部40の斜視図である。また、
図9は、実施形態に係るトイレ装置1の側面の一部を拡大して示した図である。
【0040】
図7および
図8に示すように、カバー部40は、ケーシング10とは別の部材として構成され、ケーシング10に対して着脱自在である。このように、カバー部40をケーシング10に対して着脱自在に構成することで、たとえば便蓋30との接触によってカバー部40が傷付いた場合に、カバー部40のみを取り替えることができる。なお、カバー部40は、必ずしもケーシング10に対して着脱自在であることを要しない。
【0041】
カバー部40は、ケーシング10の上面のうち、第1の部位10aの上面を覆う(
図6参照)。具体的には、カバー部40は、第1カバー部材41と、2つの第2カバー部材42とを備える。第1カバー部材41は、第1の部位10aの上面のうち、第2の部位10bの後方に位置する部分を覆う部材である。また、第2カバー部材42は、第1の部位10aの上面のうち、第2の部位10bの側方に位置する部分(
図9に示す上面15に相当)を覆う部材である。
【0042】
図9に示すように、カバー部40の第2カバー部材42の上面42aは、ケーシング10の上面のうち側板部32の下端面32aと対向する面、具体的には、第2の部位10bの側方に位置する第1の部位10aの上面15を覆う。
【0043】
これにより、仮に、便蓋30が勢いよく閉じられたり便蓋30の上に人が乗るなどして上から荷重がかかったりした場合であっても、側板部32の下端面32aはケーシング10ではなくカバー部40の第2カバー部材42に接触することとなる。したがって、実施形態に係る便蓋装置3によれば、ケーシング10の傷付きを抑制することができる。
【0044】
また、カバー部40の第2カバー部材42は、少なくとも第2取付部12よりも前方において、ケーシング10の側面13をさらに覆っている。言い換えれば、第2カバー部材42がケーシング10の側面13を覆う面積は、第2取付部12の後方または下方よりも第2取付部12の前方の方が大きい。
【0045】
便蓋30の側板部32は、便蓋30に上方から荷重が掛かってカバー部40に接触した際に撓んで(変形して)ケーシング10の側面13に接触するおそれがある。側板部32の撓みは、便蓋30の支点となる第2取付部12から離れるほど大きくなる。そこで、実施形態に係る便蓋装置3では、ケーシング10の上面だけでなく、第2取付部12よりも前方に位置するケーシング10の側面13も第2カバー部材42で覆うこととした。これにより、ケーシング10の傷付きをさらに抑制することができる。
【0046】
実施形態に係るカバー部40は、第1カバー部材41と、2つの第2カバー部材42とに分割可能に構成される。カバー部40のうち便蓋30との接触によって傷付き易い部位は、第2カバー部材42である。実施形態に係るカバー部40のように、第1カバー部材41と、2つの第2カバー部材42とを分割可能に構成することで、傷付きやすい第2カバー部材42のみを交換することが可能となる。
【0047】
また、実施形態に係るカバー部40は、第1カバー部材41を有することで、第2の部位10bの後方に位置する第1の部位10aの上面を保護することができる。第2の部位10bの後方に位置する第1の部位10aの上面は、たとえば、便蓋30が開いた状態のときに、便蓋30に負荷がかかる場合に、便蓋30と接触するおそれがある。
【0048】
また、たとえば、カバー部40が2つの第2カバー部材42のみで構成される場合、作業者は、ケーシング10に第2カバー部材42を取り付ける作業を2回繰り返す必要がある。これに対し、実施形態に係るカバー部40は、2つの第2カバー部材42が第1カバー部材41によって連続的に繋がっているため、上記と比べてケーシング10にカバー部40を取り付ける作業が簡便である。
【0049】
なお、第1カバー部材41と2つの第2カバー部材42とは必ずしも分割可能であることを要さず、一体的に形成されてもよい。
【0050】
また、カバー部40には、ケーシング10と異なる色が付されてもよい。このように、カバー部40の色をケーシング10の色と異ならせることで、カバー部40が取り替え可能であることをユーザに対して容易に把握させることができる。また、たとえば、ケーシング10の色と比較して傷が目立ちにくい色をカバー部40に付すことで、カバー部40が見た目上きれいな状態をより長期間維持することができる。
【0051】
図10は、実施形態に係るトイレ装置1の背面の一部を拡大して示した図である。上述したように、便器本体2の側面2bは、下方に向けて内側へ傾斜している。そして、
図10に示すように、ケーシング10の側面、具体的には、第1の部位10aの側面13は、便器本体2の側面2bの上方に位置し、便器本体2側の端部である下端から上方に向けて外側へ傾斜している。
【0052】
このように、ケーシング10の側面13を下端から上方に向けて外側へ傾斜させることで、ケーシング10の上面の面積を広く取ることができる。これにより、便蓋30が閉じる時に、ケーシング10の上面に設けたカバー部40に便蓋30の側板部32の下端が確実に接触するように構成しつつ、便蓋装置3全体が大型化することを抑制することができる。また、ケーシング10の側面13を便器本体2の側面2bと同じ方向に傾斜させることで、デザイン性を向上させることができる。
【0053】
上述した実施形態では、カバー部40が第1の部位10aの上面の略全体を覆うこととしたが、カバー部40は、第1の部位10aのうち、少なくとも便蓋30における側板部32の下端と対向する面を覆っていればよい。
【0054】
上述してきたように、実施形態に係る便蓋装置(一例として、便蓋装置3)は、ケーシング(一例として、ケーシング10)と、ケーシングに対して回動可能に支持された便座(一例として、便座20)および便蓋(一例として、便蓋30)とを備える。便蓋は、便蓋が閉じた状態において、ケーシングおよび便座の上面を覆う天板部(一例として、天板部31)と、天板部の縁部に設けられ、便蓋が閉じた状態において、便座の側面を覆うとともに、下端がケーシングの上面の上方に位置する側板部(一例として、側板部32)とを備える。また、実施形態に係る便蓋装置は、ケーシングの上面のうち少なくとも側板部の下端と対向する面に設けられたカバー部(一例として、カバー部40)をさらに備える。
【0055】
したがって、実施形態に係る便蓋装置によれば、便蓋との接触によるケーシングの傷付きを抑制することができる。
【0056】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 :トイレ装置
2 :便器本体
2b :側面
3 :便蓋装置
10 :ケーシング
10a :第1の部位
10b :第2の部位
11 :第1取付部
12 :第2取付部
13 :側面
15 :上面
20 :便座
21 :側面
30 :便蓋
31 :天板部
32 :側板部
32a :下端面
40 :カバー部
41 :第1カバー部材
42 :第2カバー部材
42a :上面