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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】通信装置及び設定情報受渡方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 61/5069 20220101AFI20240806BHJP
   H04L 61/5092 20220101ALI20240806BHJP
【FI】
H04L61/5069
H04L61/5092
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020163869
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022056075
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】東條 臣行
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-086763(JP,A)
【文献】特開2014-216691(JP,A)
【文献】特開2012-027820(JP,A)
【文献】特開2008-236531(JP,A)
【文献】特開2010-068110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
41/00-101/695
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
提供側として設定された場合に設定情報を送信し、取得側として設定された場合に前記設定情報を受信する通信装置であって、
他の前記通信装置に接続される通信部と、
他の前記通信装置と接続された場合に、当該他の前記通信装置と同一のネットワークに属する一意の識別情報を前記通信部に設定する識別情報設定部と、
ユーザに操作される操作部と、
前記提供側又は前記取得側として設定する指示を受け付ける指示受付部と、
前記指示により前記取得側として設定された場合に、前記ネットワークに対しマルチキャストにより前記設定情報の要求を表す取得要求を当該取得側の前記識別情報と共に送信する取得要求送信部と、
前記指示により前記取得側として設定された場合に、前記提供側の前記通信装置から前記取得要求に応じて提供される前記設定情報を取得する設定情報取得部と
を具え、
前記指示受付部は、前記操作部に対する操作の種類に応じて、当該操作を、前記提供側又は前記取得側として設定する指示として受け付ける
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記指示により前記提供側として設定された場合に、前記取得要求に応じて、前記取得側の前記通信装置に対し、前記設定情報を提供するための提供応答を送信する提供応答送信部と、
前記指示により前記取得側として設定された場合に、前記提供側の前記通信装置に対し、前記提供応答を基に前記設定情報の送信を要求する送信要求を送信する送信要求送信部と
を具え、
前記設定情報取得部は、前記送信要求に応じて前記提供側の前記通信装置から送信される前記設定情報を受信して取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記設定情報取得部は、前記提供側の前記通信装置から暗号化された状態で送信される前記設定情報を受信して取得する
ことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記指示により前記提供側として設定された場合に、前記取得要求に応じて、前記取得側の前記通信装置に対し、前記設定情報を送信する設定情報送信部と
を具え、
前記設定情報取得部は、前記提供側の前記通信装置から送信される前記設定情報を受信して取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記通信部は、IPv6(Internet Protocol version 6)をプロトコルとする通信を行い、
前記識別情報設定部は、リンクローカルアドレスを前記識別情報として前記通信部に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通信装置は、外部ネットワークと内部ネットワークとを接続するゲートウェイ装置であり、
前記通信部は、前記外部ネットワークに接続するための外部接続端子と、前記内部ネットワークに接続するための内部接続端子とを具え、
前記識別情報設定部は、前記通信部の前記内部接続端子と、他の前記通信装置の前記内部接続端子とが接続された場合に、前記識別情報を当該通信装置の前記内部接続端子に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
提供側の通信装置から取得側の通信装置へ設定情報を受け渡す設定情報受渡方法であって、
前記通信装置の通信部同士が接続された場合に、各当該通信装置の各当該通信部に対し一意の識別情報をそれぞれ設定すると共に双方の当該通信部を同一のネットワークに属させる識別情報設定ステップと、
一方の前記通信装置に対し、ユーザに操作される操作部により前記提供側として設定する指示を受け付ける提供側指示受付ステップと、
他方の前記通信装置に対し、前記操作部により前記取得側として設定する指示を受け付ける取得側指示受付ステップと、
前記取得側の前記通信装置からマルチキャストにより前記識別情報と共に前記設定情報の取得を要求する取得要求を送信する取得要求送信ステップと、
前記提供側の前記通信装置から前記取得要求に応じて供給される前記設定情報を前記取得側の前記通信装置が取得する設定情報取得ステップと
を有し、
前記提供側指示受付ステップ及び前記取得側指示受付ステップでは、前記操作部に対する操作の種類に応じて、当該操作を、前記提供側又は前記取得側として設定する指示としてそれぞれ受け付ける
ことを特徴とする設定情報受渡方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信装置及び設定情報受渡方法に関し、例えば主に家庭で使用されるホームゲートウェイ装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ホームゲートウェイ装置のような通信装置においては、インターネットやWAN(Wide Area Network)のような外部ネットワークと、家庭内に構築されるLAN(Local Area Network)のような内部ネットワークとの間に接続され、両方のネットワークを相互に接続するものが広く普及している。
【0003】
このホームゲートウェイ装置では、その導入時に、例えばインターネットに接続するためのアカウントやパスワード等の入力など、種々の設定を行う必要があり、ユーザにとって繁雑な作業となっていた。ただし、多くのホームゲートウェイ装置では、各種作業の効率化等の目的で、設定された内容をファイル等の形式に変換し、LANを介して接続されたコンピュータ装置等に保存することや、当該ファイル等をコンピュータ装置等から取得して設定を書き戻すこと等が可能となっている。
【0004】
そこで、例えばホームゲートウェイ装置を互換性のある機種と交換する場合に、既存のホームゲートウェイ装置と新たなホームゲートウェイ装置とを接続し、両者の間で設定情報を受け渡す設定引継方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この設定引継方法では、既存のホームゲートウェイ装置をDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバとし、新たなホームゲートウェイ装置をDHCPクライアントとすることにより、両者を同一のネットワークに属させ、且つ互いに異なるIP(Internet Protocol)アドレスを持たせて、通信を確立させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-86763号公報(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで上述した設定引継方法では、既存のホームゲートウェイ装置に設けられた内部ネットワーク用の端子(LAN端子とも呼ばれる)と、新たなホームゲートウェイ装置に設けられた外部ネットワーク用の端子(WAN端子とも呼ばれる)とを接続させている。
【0007】
一方、ホームゲートウェイ装置では、初期設定として、内部ネットワークに対し、プライベートネットワークのIPアドレス、例えば192.168.1.0/24等が割り当てられている場合が多い。また多くの場合、既存のホームゲートウェイ装置では、ユーザが初期設定のままIPアドレスを変更せずに使用している可能性が高い。
【0008】
そうすると、新たなホームゲートウェイ装置では、LAN側のネットワークアドレスとWAN側のネットワークアドレスとが同一となってしまい、既存のホームゲートウェイ装置との間で正常に通信を確立し得なくなる可能性がある。また新たなホームゲートウェイ装置では、このような状態を回避するべく、例えばLAN側のネットワークアドレスを一時的に変更する等の対処も考えられるが、ユーザに煩雑な操作を強いることになり、また再起動を複数回行うことになる等、内部の処理も複雑になり、手間や時間を要するという問題があった。
【0009】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、設定情報を容易に受け渡すことができる通信装置及び設定情報受渡方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するため本発明の通信装置においては、提供側として設定された場合に設定情報を送信し、取得側として設定された場合に設定情報を受信する通信装置であって、他の通信装置に接続される通信部と、他の通信装置と接続された場合に、当該他の通信装置と同一のネットワークに属する一意の識別情報を通信部に設定する識別情報設定部と、ユーザに操作される操作部と、提供側又は取得側として設定する指示を受け付ける指示受付部と、指示により取得側として設定された場合に、ネットワークに対しマルチキャストにより設定情報の要求を表す取得要求を当該取得側の識別情報と共に送信する取得要求送信部と、指示により取得側として設定された場合に、提供側の通信装置から取得要求に応じて提供される設定情報を取得する設定情報取得部とを設け、指示受付部は、操作部に対する操作の種類に応じて、当該操作を、提供側又は取得側として設定する指示として受け付けるようにした。
【0011】
また本発明の設定情報受渡方法においては、提供側の通信装置から取得側の通信装置へ設定情報を受け渡す設定情報受渡方法であって、通信装置の通信部同士が接続された場合に、各当該通信装置の各当該通信部に対し一意の識別情報をそれぞれ設定すると共に双方の当該通信部を同一のネットワークに属させる識別情報設定ステップと、一方の通信装置に対し、ユーザに操作される操作部により提供側として設定する指示を受け付ける提供側指示受付ステップと、他方の通信装置に対し、操作部により取得側として設定する指示を受け付ける取得側指示受付ステップと、取得側の通信装置からマルチキャストにより識別情報と共に設定情報の取得を要求する取得要求を送信する取得要求送信ステップと、提供側の通信装置から取得要求に応じて供給される設定情報を取得側の通信装置が取得する設定情報取得ステップとを有し、提供側指示受付ステップ及び取得側指示受付ステップでは、操作部に対する操作の種類に応じて、当該操作を、提供側又は取得側として設定する指示としてそれぞれ受け付けるようにした。
【0012】
本発明は、提供側の通信装置の通信部及び取得側の通信装置の通信部に、同一のネットワークに属する一意の識別情報をそれぞれ持たせることができる。また本発明は、操作部に対する操作の種類に応じて、当該通信装置を提供側又は取得側として設定することができる。このため本発明は、通信装置同士の間で通信の確立のためにユーザに煩雑な操作を行わせること無く、提供側の通信装置から取得側の通信装置へ設定情報を受け渡すことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、設定情報を容易に受け渡すことができる通信装置及び設定情報受渡方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施の形態による設定情報受渡システムの構成を示す略線的斜視図である。
図2】ホームゲートウェイ装置2の構成を示す略線図である。
図3】制御部内に形成される機能ブロックの構成を示す略線図である。
図4】モード設定処理手順を示すフローチャートである。
図5】設定情報受渡シーケンスを示すシーケンスチャートである。
図6】取得要求パケットの構成を示す略線図である。
図7】提供応答パケットの構成を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0016】
[1.設定情報受渡システム及びホームゲートウェイ装置の構成]
図1に示すように、本実施の形態による設定情報受渡システム1は、2台のホームゲートウェイ装置2A及び2BがLANケーブル3により接続された構成となっている。このホームゲートウェイ装置2A及び2B(以下、両者をまとめてホームゲートウェイ装置2と呼ぶ)は、インターネット(WANとも呼ばれる)等の外部ネットワークと、LAN等の内部ネットワークとの間に位置するように接続され、双方のネットワークの間で情報をやりとりするようになっている。
【0017】
ホームゲートウェイ装置2は、概ね直方体に構成された筐体10に種々の部品が設けられている。具体的にホームゲートウェイ装置2は、図2に模式的なブロック図を示すように、制御部11、記憶部12、通信部13及びモード設定ボタン14等が設けられている。
【0018】
制御部11は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を有しており、記憶部12から所定のプログラムを読み出して実行することにより、その内部に種々の機能ブロックを形成する等して(詳しくは後述する)、ホームゲートウェイ装置2全体を統括的に制御する。
【0019】
記憶部12は、例えばフラッシュメモリであり、各種プログラムや各種設定情報等を記憶する。具体的に記憶部12は、設定情報格納部21、モード設定プログラム22、提供モードプログラム23及び取得モードプログラム24を有している。このうち設定情報格納部21は、ホームゲートウェイ装置2をユーザの環境に合わせて動作させるための各種設定値を設定情報として格納する部分である。
【0020】
モード設定プログラム22は、ホームゲートウェイ装置2の動作モードを、通常時の通常モードから、設定情報を他のホームゲートウェイ装置2へ提供する提供モード、又は設定情報を他のホームゲートウェイ装置2から取得する取得モードに設定する(切り替える)プログラムである。このモード設定プログラム22は、実行されると、図3(A)に示すように、制御部11の内部に、モード設定指示受付部31、提供モード設定部32、取得モード設定部33及びアドレス設定部34といった機能ブロックを形成した上で、ホームゲートウェイ装置2の動作モードを設定する。
【0021】
指示受付部としてのモード設定指示受付部31は、後述するモード設定ボタン14に対する操作を基に、ホームゲートウェイ装置2の動作モードを、通常モードから提供モード又は取得モードに設定する(すなわち切り替える)指示を受け付ける。提供モード設定部32は、モード設定指示受付部31により受け付けた指示を基に、ホームゲートウェイ装置2を提供モードで動作するように設定する。取得モード設定部33は、モード設定指示受付部31により受け付けた指示を基に、ホームゲートウェイ装置2を取得モードで動作するように設定する。識別情報設定部としてのアドレス設定部34は、LAN端子18に対しネットワークアドレスを設定する。
【0022】
提供モードプログラム23(図2)は、ホームゲートウェイ装置2を提供モードで動作させるプログラムである。この提供モードプログラム23は、実行されると、図3(B)に示すように、制御部11の内部に、取得要求待受部41、設定ファイル作成部42、設定ファイル配置部43、提供応答送信部44及び設定ファイル送信部45といった複数の機能ブロックを形成した上で、提供モードでの動作を順次行わせる(詳しくは後述する)。
【0023】
取得モードプログラム24(図2)は、ホームゲートウェイ装置2を取得モードで動作させるプログラムである。この取得モードプログラム24は、実行されると、図3(C)に示すように、制御部11の内部に、提供応答待受部51、取得要求送信部52、設定ファイル要求送信部53、設定ファイル受信部54及び設定情報復元部55といった複数の機能ブロックを形成した上で、取得モードでの動作を順次行わせる(詳しくは後述する)。
【0024】
通信部13(図2)は、通信制御部16、WAN端子17及びLAN端子18等を有しており、他の機器との間で種々の情報を送受信する。WAN端子17及びLAN端子18は、何れも筐体10(図1)の外側面にその一部を露出させており、RJ-45等の規格に準拠したLANケーブルを接続し得るようになっている。
【0025】
外部接続端子としてのWAN端子17は、例えば図示しない光回線終端装置(ONU:Optical Network Unit)やモデム装置等の通信装置と接続されることにより、インターネットやWAN等の外部ネットワークとの間で情報を送受信し得るようになっている。内部接続端子としてのLAN端子18は、例えば図示しないハブ装置を介する等してコンピュータ装置やプリンタ装置等の各種情報機器と接続されることにより、これらの情報機器との間で家庭内のLANを構成し、情報を送受信し得るようになっている。
【0026】
操作部としてのモード設定ボタン14は、図1に示したように、筐体10の外側面に配置されており、ユーザに押下されると、押下されたことを制御部11に通知する。
【0027】
LANケーブル3(図1)は、例えばTIA(Telecommunication Industries Association)/EIA(Electronic Industries Association)-568等の規格に準拠したネットワーク接続用のケーブルである。このLANケーブル3は、一端が既存のホームゲートウェイ装置2AのLAN端子18に接続されると共に、他端が新たなホームゲートウェイ装置2BのLAN端子18に接続される。
【0028】
ところでホームゲートウェイ装置2は、通常の使用状態であれば、例えば一般家庭に1台が設置され、WAN端子17に光回線終端装置やモデム等が接続され、LAN端子18にハブ等を介してコンピュータ装置が接続された構成となる。
【0029】
一方、図1に示した設定情報受渡システム1は、例えば既存のホームゲートウェイ装置2Aを、新たなホームゲートウェイ装置2Bに置き換える場合に、既存のホームゲートウェイ装置2Aから新たなホームゲートウェイ装置2Bに設定情報を受け渡す目的で、一時的に構築される。
【0030】
[2.ローカルネットワークの形成]
次に、設定情報受渡システム1において、既存のホームゲートウェイ装置2A及び新たなホームゲートウェイ装置2Bにより形成されるローカルネットワークについて説明する。
【0031】
ホームゲートウェイ装置2(2A及び2B)は、通信部13(図2)のWAN端子17及びLAN端子18それぞれに対し、MAC(Media Access Control)アドレスと呼ばれる一意の識別情報が割り当てられている。またホームゲートウェイ装置2の通信部13は、通信用のプロトコルであるIPv6(Internet Protocol version 6)に対応している。
【0032】
このIPv6では、アドレスの割り当てに関して、リンクローカルアドレスと呼ばれる仕組みが採用されている。リンクローカルアドレスは、ブロックFE80::/10として定義されており、MACアドレスを利用して生成され、また同一のリンク上でのみ有効なアドレス(すなわち識別情報)となっている。またIPv6では、各ノード(すなわちLAN端子18等)が少なくとも一つのリンクローカルアドレスを持つことが規定されている。
【0033】
このため設定情報受渡システム1では、既存のホームゲートウェイ装置2AのLAN端子18と新たなホームゲートウェイ装置2BのLAN端子18同士とがLANケーブル3によって接続されるだけで、両者が同一のネットワークに属する一意のネットワークアドレスをそれぞれ持つことになる。
【0034】
これにより設定情報受渡システム1では、既存のホームゲートウェイ装置2Aと新たなホームゲートウェイ装置2Bとの間でローカルのネットワークが形成され、すなわち通信を確立した状態となり、相互に情報を受け渡すことが可能となっている。
【0035】
[3.設定内容の移行]
次に、設定情報受渡システム1において既存のホームゲートウェイ装置2Aから新たなホームゲートウェイ装置2Bに設定内容を移行するべく設定情報を受け渡す場合の処理について、前段のモード設定処理と後段の設定情報受渡シーケンスに分けて、それぞれ説明する。
【0036】
[3-1.モード設定処理]
モード設定処理は、既存のホームゲートウェイ装置2Aを通常モードから提供モードに切り替えるよう設定すると共に、新たなホームゲートウェイ装置2Bを通常モードから取得モードに切り替えるよう設定する処理である。ここでは、図4に示すモード設定処理手順RT1を参照しながら、既存のホームゲートウェイ装置2A及び新たなホームゲートウェイ装置2Bそれぞれにおいて実行されるモード設定処理について、詳細に説明する。
【0037】
ホームゲートウェイ装置2(2A及び2B)の制御部11(図2)は、電源が投入されると、記憶部12からモード設定プログラム22を読み出して実行することにより、図3(A)に示した各機能ブロックを形成した上で、モード設定処理手順RT1(図4)を開始して最初のステップSP1に移る。
【0038】
ステップSP1において制御部11は、モード設定指示受付部31(図3(A))により、モード設定ボタン14(図1)が押下されたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、この時点ではユーザに当該ホームゲートウェイ装置2の動作モードを切り替える意思が無いため、現在の通常モードを継続すべきことを表している。このとき制御部11は、このステップSP1を繰り返すことにより、モード設定ボタン14に対する押下操作を待ち受ける。
【0039】
一方、ステップSP1において肯定結果が得られると、このことはユーザがホームゲートウェイ装置2の動作モードを通常モードから提供モード又は取得モードの何れかに切り替える意思を有していることを表している。このとき制御部11は、次のステップSP2に移る。
【0040】
ステップSP2において制御部11は、モード設定指示受付部31により、モード設定ボタン14の押下時間が3秒以上であったか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことはユーザが当該ホームゲートウェイ装置2を提供モードに設定する意思を有していることを表している。このとき制御部11は、次のステップSP3に移る。
【0041】
ステップSP3において制御部11は、提供モード設定部32(図3(A))により、提供モードで動作するように設定し、次のステップSP5に移る。これにより制御部11は、その内部に、図3(B)に示した各機能ブロックを形成した上で、記憶部12(図2)から提供モードプログラム23を読み出して実行する(詳しくは後述する)。
【0042】
一方、ステップSP2において否定結果が得られると、このことはユーザが当該ホームゲートウェイ装置2を取得モードに設定する意思を有していることを表している。このとき制御部11は、次のステップSP4に移る。
【0043】
ステップSP4において制御部11は、取得モード設定部33(図3(A))により、取得モードで動作するように設定し、次のステップSP5に移る。これにより制御部11は、その内部に、図3(C)に示した各機能ブロックを形成した上で、記憶部12(図2)から取得モードプログラム24を読み出して実行する(詳しくは後述する)。
【0044】
ステップSP5において制御部11は、アドレス設定部34(図3(A))により、LAN端子18に対してネットワークアドレスを設定し、次のステップSP6に移る。このとき制御部11は、IPv6のリンクローカルアドレス(例えばFE80::200:FF:FE00:1234等)、該LAN端子18にあらかじめ設定されている一意のMACアドレスを基に、一意のネットワークアドレスを設定する。
【0045】
ステップSP6において制御部11は、モード設定処理手順RT1を終了する。この結果、既存のホームゲートウェイ装置2Aは提供モードに設定されてその動作を開始し、また新たなホームゲートウェイ装置2Bは取得モードに設定されてその動作を開始する。説明の都合上、以下では、提供モードに設定された既存のホームゲートウェイ装置2Aを、提供側の通信装置とも呼ぶ。また以下では、取得モードに設定された新たなホームゲートウェイ装置2Bを、取得側の通信装置とも呼ぶ。
【0046】
[3-2.設定情報受渡シーケンス]
次に、提供側のホームゲートウェイ装置2Aと、取得側のホームゲートウェイ装置2Bとの間で設定情報を受け渡す際の設定情報受渡シーケンスについて、図5のシーケンスチャートを参照しながら説明する。
【0047】
まず提供側のホームゲートウェイ装置2Aにおける制御部11(以下これを提供側制御部11Aとも呼ぶ)は、記憶部12(図2)から提供モードプログラム23を読み出して実行することにより、提供モードでの動作を開始する。これにより提供側制御部11Aは、図5の左側に示す設定情報提供処理手順RT11を開始し、最初のステップSP11に移る。
【0048】
ステップSP11において提供側制御部11Aは、取得要求待受部41(図3(B))により、取得側のホームゲートウェイ装置2Bから送信される取得要求の待受を開始する。このとき提供側制御部11Aは、予め設定された所定の宛先アドレス及び所定の宛先ポート番号のパケットを待ち受ける。このうち宛先アドレスは、事前に設定されたマルチキャストのアドレス(例えばFF02::1111)となっている。また宛先ポート番号は、事前に設定されたポート番号(例えば10000)となっている。
【0049】
一方、取得側のホームゲートウェイ装置2Bにおける制御部11(以下これを取得側制御部11Bとも呼ぶ)は、記憶部12(図2)から取得モードプログラム24を読み出して実行することにより、取得モードでの動作を開始する。これにより取得側制御部11Bは、図5の右側に示す設定情報取得処理手順RT12を開始し、最初のステップSP21に移ると、提供応答待受部51(図3(C))により、提供側のホームゲートウェイ装置2Aから送信される提供応答の待受を開始し、次のステップSP22に移る。
【0050】
ステップSP22において取得側制御部11Bは、取得要求送信部52(図3(C))により、取得要求パケットPK1を生成し、これをLAN端子18(図1及び図2)からUDP(User Datagram Protocol)のマルチキャストによりネットワーク全体に対して送信される。
【0051】
取得要求としての取得要求パケットPK1は、図6に表T1として構成を示すように、宛先アドレス、送信元アドレス、プロトコル、宛先ポート番号及びペイロード等が設けられている。このうち宛先アドレス及び宛先ポート番号には、提供側のホームゲートウェイ装置2Aが待ち受けているアドレス(例えばFF02::1111)及びポート番号(例えば10000)が格納される。また送信元アドレスには、取得側のホームゲートウェイ装置2BにおけるLAN端子18のリンクローカルアドレスが格納される。さらにペイロードには、提供側のホームゲートウェイ装置2Aからの応答を待ち受けるポート番号(例えば20000)が格納される。
【0052】
この取得要求パケットPK1がネットワークに送信されると、提供側のホームゲートウェイ装置2Aでは、ステップSP12において、通信部13(図2)及び取得要求待受部41(図3(B))により当該取得要求パケットPK1を受信する。このとき提供側制御部11Aは、取得要求待受部41により、この取得要求パケットPK1の宛先となっているマルチキャストアドレス及びポート番号が、待ち受けているアドレス及びポート番号と一致することを確認した上で、格納されている各情報を読み出し、次のステップSP13に移る。
【0053】
ステップSP13において提供側制御部11Aは、設定ファイル作成部42(図3(B))により、記憶部12の設定情報格納部21(図2)に格納されている設定情報を読み出し、これを基にファイル形式の設定ファイルを作成して、次のステップSP14に移る。ステップSP14において提供側制御部11Aは、設定ファイル配置部43(図3(B))により、所定のファイルパス(ファイルシステム内における位置)に設定ファイルを配置して、次のステップSP15に移る。
【0054】
ステップSP15において提供側制御部11Aは、SSH(Secure Shell)サーバを起動し、次のステップSP16に移る。ステップSP16において提供側制御部11Aは、提供応答送信部44(図3(B))により、提供応答パケットPK2を生成し、これをLAN端子18(図1及び図2)から、取得側のホームゲートウェイ装置2Bへ送信させる。
【0055】
この提供応答パケットPK2は、図7に表T2として構成を示すように、宛先アドレス、送信元アドレス、プロトコル、宛先ポート番号及びペイロード等が設けられている。このうち宛先アドレス及び宛先ポート番号には、取得側のホームゲートウェイ装置2Bから通知されたリンクローカルアドレス及びポート番号(例えば20000)が格納される。また送信元アドレスには、提供側のホームゲートウェイ装置2AにおけるLAN端子18のリンクローカルアドレスが格納される。さらにペイロードには、提供側のリンクローカルアドレス及びSSHサーバにおけるアクセス用のポート番号と、設定ファイルのファイルパスとが格納される。
【0056】
これに応じて取得側のホームゲートウェイ装置2Bにおける取得側制御部11Bは、ステップSP23において、通信部13(図2)及び提供応答待受部51(図3(C))によりこの提供応答パケットPK2を受信する。続いて取得側制御部11Bは、提供応答待受部51により、提供応答パケットPK2の宛先となっているアドレス及びポート番号が、待ち受けているアドレス及びポート番号と一致することを確認した上で、格納されている各情報を読み出し、次のステップSP24に移る。
【0057】
ステップSP24において取得側制御部11Bは、送信要求送信部としての設定ファイル要求送信部53(図3(C))により設定ファイル要求を生成し、これを通信部13(図2)から提供側のホームゲートウェイ装置2Aに送信する。この設定ファイル要求は、提供応答パケットPK2(図7)のペイロードに格納されていた情報を基に、SSHプロトコルのSCPコマンドとして生成される。
【0058】
これに応じて提供側のホームゲートウェイ装置2Aにおける提供側制御部11Aは、ステップSP17において、通信部13(図2)により、SCPコマンドでなる設定ファイル要求を受信し、次のステップSP18に移る。ステップSP18において提供側制御部11Aは、設定情報送信部としての設定ファイル送信部45(図3(B))により、設定情報としての設定ファイルを取得側のホームゲートウェイ装置2Bへ送信した後、次のステップSP19に移って設定情報提供処理手順RT11を終了する。このとき設定ファイルは、暗号化された状態で送信されることになる。
【0059】
これに応じて取得側のホームゲートウェイ装置2Bにおける取得側制御部11Bは、ステップSP25に移り、設定情報取得部としての設定ファイル受信部54(図3(C))により、提供側のホームゲートウェイ装置2Aから送信された設定ファイルを受信し、次のステップSP26に移る。
【0060】
ステップSP26において取得側制御部11Bは、設定情報復元部55(図3(C))により、受信した設定ファイルから設定情報を読み出し、設定情報格納部21(図2)に格納することにより該設定情報を復元する。その後、取得側制御部11Bは、次のステップSP27に移って設定情報取得処理手順RT12を終了する。
【0061】
かくして取得側のホームゲートウェイ装置2Bは、記憶部12の設定情報格納部21(図2)に、提供側のホームゲートウェイ装置2Aに格納されていた設定情報と同じものを格納した状態とすることができる。その後、取得側のホームゲートウェイ装置2Bは、例えばユーザの操作に基づいた再起動等の処理を行うことにより、設定情報格納部21に格納されている設定情報に基づき、通常モードで動作することができる。
【0062】
[4.効果等]
以上の構成において、本実施の形態による設定情報受渡システム1では、既存のホームゲートウェイ装置2Aを提供モード(提供側)に設定すると共に、新たなホームゲートウェイ装置2Bを取得モード(取得側)に設定し、両者のLAN端子18同士をLANケーブル3により接続する。
【0063】
このとき提供側のホームゲートウェイ装置2A及び取得側のホームゲートウェイ装置2Bは、それぞれのLAN端子18を介して、IPv6のリンクローカルアドレスによりローカルネットワークを形成し、同一のネットワークに属する互いに一意のアドレス(識別子や識別情報とも呼ぶ)を有する状態となる。
【0064】
すなわち設定情報受渡システム1では、提供側のホームゲートウェイ装置2A及び取得側のホームゲートウェイ装置2Bについて、ユーザにLAN端子18同士をLANケーブル3により接続させ、モード設定ボタン14をそれぞれ押下させるだけで、設定情報を移行することができる。
【0065】
このとき設定情報受渡システム1では、ユーザに対し、LANケーブル3の接続やモード設定ボタン14の押下操作といった極めて容易な作業のみを行わせれば良く、例えばネットワークの設定に関する一時的な変更や復旧を行わせる場合のように、通信装置に関する知識を要求することや煩雑な操作を行わせることが無い。
【0066】
また設定情報受渡システム1では、IPv6の規格において規定されているリンクローカルアドレスを利用するため、提供側のホームゲートウェイ装置2A及び取得側のホームゲートウェイ装置2Bに対し、それぞれ一意であり且つ互いに同一のネットワークに属するアドレスを設定できる。これにより設定情報受渡システム1では、IPv4におけるDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)のような仕組みを利用する場合と比較して、DHCPサーバを用意する必要やIPアドレスの割り当てに関するやり取りを省略でき、処理負荷の軽減や処理時間の短縮を図ることができる。また設定情報受渡システム1では、例えばインターネット上に所定のサーバ装置(図示せず)を設けて該サーバ装置に対するアップロード及びダウンロードにより設定ファイルを受け渡す手法と比較して、当該サーバ装置を用意する必要や維持管理する必要が無く、またインターネットに接続可能な環境を用意する必要も無い。
【0067】
さらに設定情報受渡システム1では、複数の設定項目の集合である設定情報を、1つのファイルに格納して設定ファイルとし、これを提供側のホームゲートウェイ装置2Aから取得側のホームゲートウェイ装置2Bへ受け渡すようにした。これにより設定情報受渡システム1では、全ての設定情報を1回のファイルの受渡により移行させることができ、短時間で効率良く完了させることができる。
【0068】
またホームゲートウェイ装置2は、一般的なホームゲートウェイ装置と同様、設定情報を格納した設定ファイルを作成し、これをネットワーク上のコンピュータ装置やサーバ等に保存する(すなわちバックアップする)機能や、この設定ファイルから設定情報を書き戻す(すなわち復元する)機能等を有している。このためホームゲートウェイ装置2では、設定情報の受渡(移行)において、このような設定情報の保存及び復元のための仕組みを有効に活用でき、開発時におけるソフトウェアの作成や動作試験に要する工数を少なく抑えることができる。
【0069】
また設定情報受渡システム1では、提供側のホームゲートウェイ装置2が取得側のホームゲートウェイ装置2Bから取得要求パケットPK1を受信してから、設定情報を基に設定ファイルを作成するようにした(図5、ステップSP12及びSP13)。このため設定情報受渡システム1では、最新の設定内容が反映された設定情報に基づく設定ファイルを作成でき、これを提供側のホームゲートウェイ装置2から取得側のホームゲートウェイ装置2Bへ受け渡すことができる。
【0070】
さらに設定情報受渡システム1では、提供側のホームゲートウェイ装置2においてSSHサーバを起動し、取得側のホームゲートウェイ装置2BにおいてSCPコマンドにより暗号化された状態で設定ファイルを取得するようにした(図5、ステップSP15、SP18及びSP25)。このため設定情報受渡システム1では、例えば提供側のホームゲートウェイ装置2及び取得側のホームゲートウェイ装置2Bが図示しないハブを介して図示しない他の通信装置とも接続されていたとしても、設定ファイルが傍受される危険性を排除できる。これにより設定情報受渡システム1では、例えば設定情報にプロバイダに接続するためのアカウント名及びパスワードが含まれていたとしても、これらが外部に漏洩することを未然に防止できる。
【0071】
以上の構成によれば、本実施の形態による設定情報受渡システム1では、提供側のホームゲートウェイ装置2A及び取得側のホームゲートウェイ装置2BのLAN端子18同士をLANケーブル3により接続し、モード設定ボタン14をそれぞれ押下させると、IPv6のリンクローカルアドレスによりローカルネットワークを形成させる。これにより設定情報受渡システム1では、提供側のホームゲートウェイ装置2A及び取得側のホームゲートウェイ装置2Bが、同一のネットワークに属する互いに一意のアドレスを有するため、設定情報を格納した設定ファイルを受け渡すことができ、設定内容を極めて容易に移行させることができる。
【0072】
[5.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、提供側のホームゲートウェイ装置2において、取得側のホームゲートウェイ装置2Bから取得要求パケットPK1を受信した後に設定ファイルを作成する場合について述べた(図5、ステップSP13)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば予め設定情報を基に設定ファイルを作成しておき、これを記憶部12(図2)に記憶させておくようにしても良い。この場合、例えばユーザの操作等に基づいて設定内容が変更される度に、設定ファイルを更新するようにすれば良い。
【0073】
また上述した実施の形態においては、取得側のホームゲートウェイ装置2Bから取得要求パケットPK1を送信した後、提供側のホームゲートウェイ装置2Aから提供応答パケットPK2により設定ファイルのファイルパスを通知し、取得側のホームゲートウェイ装置2BがSCPコマンドにより該設定ファイルを要求する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば取得側のホームゲートウェイ装置2Bから取得要求パケットPK1を送信した後、提供側のホームゲートウェイ装置2Aが提供応答パケットPK2に設定ファイルそのものを格納した状態で送信しても良い。この場合、例えば提供応答パケットPK2(図7)のペイロードに設定ファイルを格納することができる。
【0074】
さらに上述した実施の形態においては、提供側のホームゲートウェイ装置2AにおいてSSHサーバを起動し、取得側のホームゲートウェイ装置2BからSCPコマンドにより設定ファイルを取得する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばSFTP(SSH File Transfer Protocol)等のような他の種々のプロトコルやコマンド等を利用して設定ファイルを送受信しても良い。或いは、例えば設定ファイルが傍受される可能性が無い、若しくは極めて低いことが判明している場合等に、FTP(File Transfer Protocol)を利用する等、暗号化処理を利用せずに平文のまま設定ファイルを送受信しても良い。これにより、暗号化や複合化の処理が不要となるため、処理負荷を軽減できると共に受け渡しに要する時間を短縮することができる。
【0075】
さらに上述した実施の形態においては、モード設定処理手順RT1(図4)において、モード設定ボタン14が3秒以上押下された場合に提供モードに切り替え、該モード設定ボタン14が3秒未満押下された場合に取得モードに切り替える場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば提供モードに切り替えるための提供モード設定ボタンと、取得モードに切り替えるための取得モード設定ボタンをそれぞれ設けても良い。或いは、例えばLAN端子18にLANケーブル3等を介して接続されたコンピュータ装置(図示せず)から、CLI(Command Line Interface)により所定のコマンドを受け付けることにより、動作モードを切り替えても良い。又は、例えばホームゲートウェイ装置2においてHTTP(Hyper Text Transfer protocol)サーバを起動しておき、LAN端子18にLANケーブル3等を介して接続されたコンピュータ装置(図示せず)等から所定のブラウザを介して表示されるWeb画面において、動作モードを切り替える指示を受け付けるようにしても良い。
【0076】
さらに上述した実施の形態においては、ホームゲートウェイ装置2のLAN端子18同士をLANケーブル3により接続する場合について述べた(図1)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばホームゲートウェイ装置2のWAN端子17同士をLANケーブル3により接続しても良く、或いは一方のホームゲートウェイ装置2のWAN端子17と他方のホームゲートウェイ装置2のLAN端子18とをLANケーブル3により接続しても良い。この場合、例えばLAN端子18に接続されたホームゲートウェイ装置2を提供モードに切り替え、WAN端子17に接続されたホームゲートウェイ装置2を取得モードに切り替えても良い。
【0077】
さらに上述した実施の形態においては、ホームゲートウェイ装置2同士の接続にLANケーブル3を用いる場合、すなわちいわゆる有線LANによる接続を利用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばホームゲートウェイ装置2が無線LANの機能を実装している場合に、無線LANによる接続を利用しても良い。
【0078】
さらに上述した実施の形態においては、提供側のホームゲートウェイ装置2Aと取得側のホームゲートウェイ装置2Bとを接続する際に、プロトコルとしてIPv6を利用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、他の種々のプロトコルを利用しても良い。この場合、利用するプロトコルにリンクローカルアドレスと同様の仕組み、すなわち同一のネットワークに属する一意のアドレス(識別情報)を割り当てるような仕組みが設けられていれば良い。
【0079】
さらに上述した実施の形態においては、モード設定指示受付部31(図3(A))等の機能ブロックを、モード設定プログラム22等の実行によりソフトウェアとして構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば各機能ブロックの一部又は全部を、ハードウェアにより構成しても良い。
【0080】
さらに上述した実施の形態においては、通信部13に通信制御部16を設ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば制御部11内においてソフトウェアにより構成しても良い。
【0081】
さらに上述した実施の形態においては、モード設定プログラム22等のプログラムを記憶部12に予め記憶させておく場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばWAN端子17を介して接続された外部ネットワーク上の所定のサーバ装置(図示せず)等から各プログラムをダウンロードして実行しても良い。或いは、例えばホームゲートウェイ装置2にUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを設け、このインタフェースに着脱可能なUSBメモリ等の記憶媒体を介して、各プログラムを取得しても良い。
【0082】
さらに上述した実施の形態においては、家庭用の通信装置であるホームゲートウェイ装置2を用いて設定情報受渡システム1を構成し、該ホームゲートウェイ装置2同士の間で設定情報を受け渡す場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、業務用のゲートウェイ装置やルータ等、種々の通信装置を用いて設定情報受渡システム1を構成し、該通信装置同士の間で設定情報を受け渡す場合に適用しても良い。
【0083】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0084】
さらに上述した実施の形態においては、通信部としての通信部13と、識別情報設定部としてのアドレス設定部34と、指示受付部としてのモード設定指示受付部31と、取得要求送信部としての取得要求送信部52と、設定情報取得部としての設定ファイル受信部54とによって通信装置としてのホームゲートウェイ装置2を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる通信部と、識別情報設定部と、指示受付部と、取得要求送信部と、設定情報取得部とによって通信装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、例えば家庭用のホームゲートウェイ装置同士の間で設定情報を受け渡す場合に利用できる。
【符号の説明】
【0086】
1……設定情報受渡システム、2、2A、2B……ホームゲートウェイ装置、3……LANケーブル、11……制御部、11A……提供側制御部、11B……取得側制御部、12……記憶部、13……通信部、14……モード設定ボタン、16……通信制御部、17……WAN端子、18……LAN端子、21……設定情報格納部、22……モード切替プログラム、23……提供モードプログラム、24……取得モードプログラム、31……モード設定指示受付部、32……提供モード設定部、33……取得モード設定部、34……アドレス設定部、41……取得要求待受部、42……設定ファイル作成部、43……設定ファイル配置部、44……提供応答送信部、45……設定ファイル送信部、51……提供応答待受部、52……取得要求送信部、53……設定ファイル要求送信部、54……設定ファイル受信部、55……設定情報復元部、PK1……取得要求パケット、PK2……提供応答パケット。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7