(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】物品センシングシステムおよびリーダ装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240806BHJP
G06K 19/07 20060101ALN20240806BHJP
G06K 7/10 20060101ALN20240806BHJP
G06K 19/077 20060101ALN20240806BHJP
【FI】
B65G1/137 A
G06K19/07 170
G06K7/10 244
G06K19/077 252
(21)【出願番号】P 2020173586
(22)【出願日】2020-10-14
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】緒方 哲治
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/188653(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/087559(WO,A1)
【文献】特表2007-525393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 - 1/20
G06K 7/00 - 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置する什器の棚に載せて用いるセンサシートと,前記センサシートと電波を用いて通信するリーダ装置を含み,
前記センサシートは,アンテナとこれに接続したICチップを有するRFIDインレイと,棚における物品の載置範囲をカバーする導電性プレートを備え,前記導電性プレートと前記アンテナは電気的に接続し,前記ICチップは,前記リーダ装置から読み取り信号を受信すると,受信電波のRSSI値(RSSI: Received Signal Strength Indicator)を送信する処理を実行し,
前記リーダ装置は,物品の占有面積率を複数段階に分割して得られた占有面積レベルごとに占有面積レベルとこれに対応したRSSI値の範囲を記憶し,読み取り信号を発信して前記センサシートからRSSI値を受信すると,このRSSI値に対応する占有面積レベルを特定する処理を実行する,
ことを特徴とする物品センシングシステム。
【請求項2】
前記ICチップは,前記RFIDインレイの識別に用いるRFIDデータを記憶し,前記リーダ装置から読み取り信号を受信すると,受信電波のRSSI値に加えて,前記RFIDデータを送信する処理を実行し,前記リーダ装置は,前記センサシートの前記RFIDインレイから受信したRSSI値に対応する占有面積レベルを特定する処理を前記RFIDデータごとに実行することを特徴とする,請求項1に記載した物品センシングシステム。
【請求項3】
アンテナとこれに接続したICチップを有するRFIDインレイと,棚における物品の載置範囲をカバーする導電性プレートを備え,前記導電性プレートと前記アンテナは電気的に接続し,前記ICチップは,読み取り信号を受信すると,受信電波のRSSI値(RSSI: Received Signal Strength Indicator)を送信する処理を実行するように構成したことを特徴とするセンサシートと電波を用いて通信するリーダ装置であって,
物品の占有面積率を複数段階に分割して得られた占有面積レベルごとに占有面積レベルとこれに対応したRSSI値の範囲を記憶し,読み取り信号を発信して前記センサシートからRSSI値を受信すると,このRSSI値に対応する占有面積レベルを特定する処理を実行することを特徴とするリーダ装置。
【請求項4】
前記センサシートが備える前記RFIDインレイの前記ICチップは,前記RFIDインレイの識別に用いるRFIDデータを記憶し,前記リーダ装置から読み取り信号を受信すると,読み取り信号を受信したときのRSSI値に加えて前記RFIDデータを送信する処理を実行し,
前記リーダ装置は,RSSI値に対応する占有面積レベルを特定する処理を前記RFIDデータごとに実行することを特徴とする,請求項
3に記載したリーダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,RFID(RFID: Radio Frequency Identifier)を利用して,什器に載置した物品の在庫を自動的に管理する発明である。
【背景技術】
【0002】
什器に載置した物品の在庫を自動的に管理する様々な発明が提案されている。例えば,特許文献1で開示された発明では,電波を用いて通信するRFタグ(RF: Radio Frequency)を利用して,什器に載置した物品の棚卸作業を無人化する装置が開示されている。特許文献1で開示された装置は,少なくとも什器の前面に係る2次元方向にリーダライタのアンテナを走査させて読み取ったRFタグのデータから棚卸に係るデータを生成する。
【0003】
また,特許文献2で開示された発明では,重量を利用して物品の在庫を管理するシステムが開示されている。特許文献2で開示されたシステムは,重量を利用して物品の在庫を管理するために,物品を載置可能な棚の重量を測定する重量測定部と,重量測定部で測定された重量に関する情報を含む無線信号をリーダライタからの読み取り要求に応じて送信するRFタグを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-30712号公報
【文献】特開2019-26419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2で開示された発明のように,物品を載置する什器に重量を計測するセンサを備えさせ,什器に載置する物品の在庫管理にこのセンサを用いることで,什器に載置する物品の在庫管理を物品単位で厳密に行える。
【0006】
しかし,什器に載置する物品の在庫管理を物品単位ではなく大雑把(例えば,物品が少なくなったなど)に在庫管理したい場合,重量を計測するセンサは高価でかつ電源も必要になってしまう。このため,重量を計測するセンサを備えた什器の設置には費用的にも作業的な負荷が大きく,什器に載置する物品の在庫管理を物品単位ではなく大雑把に在庫管理したい場合,重量を計測するセンサを用いて物品の在庫を管理する手法は実施しづらい。
【0007】
そこで,本発明では,簡単な構成で什器に載置する物品の簡易的な在庫管理を行うことができるシステムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決する第1発明は,物品を載置する什器の棚に載せて用いるセンサシートと,前記センサシートと電波を用いて通信するリーダ装置を含む物品センシングシステムである。
第1発明に係る前記センサシートは,アンテナとこれに接続したICチップを有するRFIDインレイと,棚における物品の載置範囲をカバーする導電性プレートを備え,前記導電性プレートと前記アンテナは電気的に接続し,前記ICチップは,前記リーダ装置から読み取り信号を受信すると,受信電波のRSSI値(RSSI: Received Signal Strength Indicator)を送信する処理を実行する。
第1発明に係る前記リーダ装置は,物品の占有面積率を複数段階に分割して得られた占有面積レベルごとに占有面積レベルとこれに対応したRSSI値の範囲を記憶し,読み取り信号を発信して前記センサシートからRSSI値を受信すると,このRSSI値に対応する占有面積レベルを特定する処理を実行する。
【0009】
第2発明は,第1発明に係る物品センシングシステムにおいて,前記センサシートごとに占有面積レベルを特定できるようにした発明である。第2発明に係る物品センシングシステムにおいて,前記ICチップは,前記RFIDインレイの識別に用いるRFIDデータを記憶し,前記リーダ装置から読み取り信号を受信すると,受信電波のRSSI値に加えて,前記RFIDデータを送信する処理を実行し,前記リーダ装置は,前記センサシートの前記RFIDインレイから受信したRSSI値に対応する占有面積レベルを特定する処理を前記RFIDデータごとに実行する。
【0012】
第3発明は,アンテナとこれに接続したICチップを有するRFIDインレイと,棚における物品の載置範囲をカバーする導電性プレートを備え,前記導電性プレートと前記アンテナは電気的に接続し,前記ICチップは,読み取り信号を受信すると,受信電波のRSSI値(RSSI: Received Signal Strength Indicator)を送信する処理を実行するように構成したことを特徴とするセンサシートと電波を用いて通信するリーダ装置であって,物品の占有面積率を複数段階に分割して得られた占有面積レベルごとに占有面積レベルとこれに対応したRSSI値の範囲を記憶し,読み取り信号を発信して前記センサシートの前記RFIDインレイからRSSI値を受信すると,このRSSI値に対応する占有面積レベルを特定する処理を実行することを特徴とするリーダ装置である。第3発明は,第1発明に係る物品センシングシステムを構成するリーダ装置に係る発明である。
【0013】
第4発明は,第3発明に係るリーダ装置において,前記センサシートが備える前記RFIDインレイの前記ICチップは,前記RFIDインレイの識別に用いるRFIDデータを記憶し,前記リーダ装置から読み取り信号を受信すると,読み取り信号を受信したときのRSSI値に加えて前記RFIDデータを送信する処理を実行し,前記リーダ装置は,RSSI値に対応する占有面積レベルを特定する処理を前記RFIDデータごとに実行することを特徴とする。第4発明は,第2発明に係る物品センシングシステムを構成するリーダ装置に係る発明である。
【発明の効果】
【0014】
上述した本発明によれば,重量を計測するセンサを用いない簡単な構成で什器に載置する物品の簡易的な在庫管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係る物品センシングシステムの構成を説明する図。
【
図2】本実施形態に係るセンサシートの構造を説明する図。
【
図3】本実施形態に係る物品センシングシステムの作用効果を説明する図。
【
図4】リーダ装置に事前登録する占有面積レベルを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここから,本発明に係る実施形態について記載する。本実施形態は,本発明の理解を容易にするためのものであり,本発明は,本実施形態に限定されるものではない。また,特に断りのない限り,図面は,本発明の理解を容易にするために描かれた模式的な図である。
【0017】
図1は,本実施形態に係る物品センシングシステム1の構成を説明する図である。
図2は,本実施形態に係るセンサシート10の構造を説明する図である。
図3は,本実施形態に係る物品センシングシステム1の作用効果を説明する図である。
【0018】
本実施形態に係る物品センシングシステム1は,RFID(RFID: Radio Frequency Identifier)を利用して什器2に載置する物品21の簡易的な在庫管理を行えるように発案されたシステムである。
図1で図示した如く,本実施形態に係る物品センシングシステム1は,物品21を載置する什器2の棚20に載せて用いるセンサシート10と,センサシート10と電波を用いて通信するリーダ装置11を含む。
【0019】
まず,物品センシングシステム1を構成するセンサシート10について説明する。センサシート10は,什器2の棚20に載せて使用するシート状のデバイスである。センサシート10により,棚20に載置された物品21の占有面積率を判定できるように,センサシート10は,棚20における物品21の載置範囲をカバーできるサイズになっている。例えば,什器2の棚20とできるだけ近いサイズにセンサシート10のサイズをすると,センサシート10は,棚20における物品21の載置範囲をカバーできる。また,物品21の載置範囲を棚20に設定し,センサシート10のサイズをこれに合わせてもよい。センサシート10を棚20に載せることで,什器2に載置する物品21は,什器2の棚20の表面ではなく,センサシート10の上に載置されことになる。
図1では,什器2の一つの棚20の部分のみを図示しているが,什器2が有する全ての棚20にセンサシート10を載せることができる。
【0020】
図1,
図2で図示した通り,センサシート10は,アンテナ101とこれに接続したICチップ104を有するRFIDインレイ100と,棚20における物品21の載置範囲をカバーする導電性プレート107を備え,RFIDインレイ100と導電性プレート107を電気的に接続させた構造になっている。
【0021】
図2(a)では,センサシート10の外観を図示している。
図2(a)で図示したごとく,本実施形態に係るRFIDインレイ100のアンテナ101は,ICチップ104を接続させたループ状の整合回路103と,整合回路103と接続する放射素子102と,整合回路103を挟んで放射素子102と対向する結合素子105を有し,RFIDインレイ100は,アンテナ101とICチップ104をアンテナ基材106に実装した形態になっている。
【0022】
RFIDインレイ100と導電性プレート107を電気的に接続させる様々な手法が考えられるが,本実施形態に係るセンサシート10では,結合素子105のみが導電性プレート107と重なるようにRFIDインレイ100を配置し,RFIDインレイ100のアンテナ101が有する結合素子105と導電性プレート107を電気的に接続させている。結合素子105のみが導電性プレート107と重なるようにRFIDインレイ100を配置することで,
図2(a)において,放射素子102とループ状の整合回路103は,導電性プレート107が実装されないセンサシート10の端部に配置されている。
【0023】
図2(b)では,センサシート10の層構成を図示している。
図2(b)で図示した通り,センサシート10の層構成は,表面材108,アンテナ基材106,アンテナ101,アンテナ101が有する整合回路103と電気的に接続したICチップ104,導電性プレート107および裏面材109になっている。
【0024】
表面材108および裏面材109には,ポリエチレンテレフタレート,ポリプロピレンまたはポリエチレンなどのプラスチック材料を用いることができる。
【0025】
表面材108は,センサシート10の表面側を保護するシート材である。センサシート10の表面側に物品21を載置することを考慮すると,表面材108が破損しないように表面材108の厚みを数mm程度にすることが好適である。
【0026】
裏面材109は,センサシート10の裏面側を保護するシート材である。什器2に金属が用いられることを考慮すると,RFIDインレイ100が金属の影響を受けないように,裏面材109の厚みを10mm以上にすることが好適である。
【0027】
アンテナ基材106は,ICチップ104とインピーダンス整合を取るための回路である整合回路103,リーダ装置11が発振する電波の受信やデータの送信などに用いる放射素子102,導電性プレート107と電気的に結合するための素子である結合素子105を有するアンテナ101とICチップ104が実装されるシート材である。アンテナ基材106には,ポリエチレンテレフタレート,ポリプロピレンまたはポリエチレンなどのプラスチック材料を用いることができる。
【0028】
放射素子102,整合回路103および結合素子105は,導電性インキや金属箔を利用してアンテナ基材106の上に形成できる。導電性プレート107の上側には物品21が載置されるので,導電性プレート107の破損を考慮すると,導電性インキや金属箔を利用して導電性プレート107を形成するよりも,金属板や導電性フィルムを導電性プレート107に用いるのが好適である。
【0029】
アンテナ基材106に実装した結合素子105と導電性プレート107が電気的に接続することで,導電性プレート107は,放射素子102と同様な素子として機能する。なお,電気的な接続には,異方性導電フィルムや異方性導電ペーストを利用できる。
【0030】
RFIDインレイ100が有するICチップ104は,受信電波の受信信号強度(RSSI: Received Signal Strength Indicator)に対応する。RFIDインレイ100のICチップ104は,アンテナ101を利用して,リーダ装置11が発信した読み取り信号を受信した際,ICチップ104が格納しているRFIDデータに加えて,受信電波のRSSI値をリーダ装置11へ送信する。
【0031】
RFIDインレイ100のICチップ104をRSSIに対応したものにしているのは,RSSI値を利用して,センサシート10の上における物品21の載置状況を簡易的に判定できるようにするためである。
【0032】
上述した通り,センサシート10を什器2で利用する際,センサシート10の上には物品21が載置される。センサシート10は,什器2の棚20の表面をほぼ覆うサイズになる導電性プレート107を内蔵するため,棚20の面積に対して棚20に載置された物品21が占めている面積の割合を示す占有面積率に応じて,RFIDインレイ100のICチップ104が送信するRSSI値は変動する。
【0033】
センサシート10の上に載置された物品21の占有面積率に応じて,RFIDインレイ100のRSSI値が変動する理由としては,以下の理由が考えられる。
・RFIDインレイ100のアンテナ101が接続する導電性プレート107と物品21が近接することで,物品21の電気特性によりアンテナ101の共振特性が変化し,RFIDインレイ100のRSSI値が変動する。
・センサシート10の上に載置された物品21によってリーダ装置11の電波が遮られることで,アンテナ101が受信する電波の強度が低下し,RFIDインレイ100のRSSI値が変動する。
【0034】
本実施形態に係る物品センシングシステム1の作用効果を説明するために,
図3では,物品21の占有面積率とRFIDインレイ100のRSSI値の関係を示すグラフを図示している。なお,
図3において,物品21の占有面積率が0%とは,一つの物品21も棚20に載置されていない状態を意味する。また,物品21の占有面積率が100%とは,可能な限り物品21が棚20に載置されている状態を意味する。なお,
図3において,RSSI値を連続型のグラフで図示しているが,実際は,1個を単位とする離散型のグラフになる。
【0035】
図3で図示したごとく,物品21の占有面積率が高くなるに連れてRFIDインレイ100のRSSI値は低くなる傾向にある。よって,RSSI値の範囲がそれぞれ異なる複数段落に占有面積率を分割して得られた占有面積レベルごとにRSSI値の範囲を設定することで,RFIDインレイ100が出力するRSSI値から占有面積レベルを特定できる。例えば,RFIDインレイ100が出力したRSSI値が,物品21の補充が必要になる占有面積レベルに対応するRSSI値の範囲に含まれているか否かで,物品21の補充が必要であるか否かを判定できる。
【0036】
なお,
図3で図示したグラフは,導電性プレート107における物品21の占面積有率とRFIDインレイ100が出力するRSSI値の関係を模式的に説明するためだけの図である。センサシート10を実際に使用する際,占有面積レベルの設定には,実際に物品21をセンサシート10に載せたときに得られたグラフが利用される。
【0037】
ここから,物品センシングシステム1を構成するリーダ装置11について説明する。リーダ装置11は,什器2の前に設けたリーダアンテナ110を利用して,センサシート10が備えたRFIDインレイ100と電波を用いて通信する装置である。リーダ装置11は,リーダアンテナ110から読み取り信号を発信し,RFIDインレイ100から受信したRSSI値を利用して,物品21の占有面積レベルを棚20ごとに判定する処理を実行する。
【0038】
図4は,リーダ装置11に事前登録する占有面積レベルを説明する図である。
図5は,リーダ装置11の動作を説明する図である。
【0039】
リーダ装置11には,物品21の占有面積率を複数段階に分割して得られた占有面積レベルごとに占有面積レベルとこれに対応したRSSI値の範囲が事前登録される。棚20に載置する物品21は棚20ごとに異なるため,リーダ装置11には,センサシート10ごとに占有面積レベルとこれに対応するRSSI値の範囲が事前登録される。
【0040】
什器2の棚20ごとにセンサシート10を設置すると,各々のセンサシート10を識別できることが必要になる。
図4で図示したごとく,リーダ装置11は,RFIDインレイ100が送信するRFIDデータをセンサシート10の識別に利用する。RFIDデータは,センサシート10に内蔵させるRFIDインレイ100ごとに異なるデータで,占有面積レベルは,RFIDデータに紐づけられた状態でリーダ装置11に登録される。ICチップ104の固有番号をRFIDデータに利用できるが,センサシート10を識別するデータ(例えば,棚番号)をRFIDデータとしてICチップ104に記憶させることもできる。
【0041】
図4では,3つのセンサシート10それぞれについて占有面積レベルが設定されている。名称が「センサシートA」のセンサシート10のRFIDデータは「RFIDデータA」で,このセンサシート10には,RSSI値の範囲がそれぞれ異なる3つの占有面積レベルが設定されている。名称が「センサシートB」のセンサシート10のRFIDデータは「RFIDデータB」で,このセンサシート10には,RSSI値の範囲がそれぞれ異なる3つの占有面積レベルが設定されている。名称が「センサシートC」のセンサシート10のRFIDデータは「RFIDデータC」で,このセンサシート10には,RSSI値の範囲がそれぞれ異なる2つの占有面積レベルが設定されている。
【0042】
このように,占有面積率の範囲がそれぞれ異なる複数段階に分割して得られた占有面積レベルごとに,占有面積レベルとこれに対応するRSSI値の範囲を設定すれば,センサシート10が出力するRSSI値を利用して,RFIDデータを用いて特定される棚20の占有面積レベルを判定できる。なお,センサシート10に設定する占有面積レベルの数や占有面積レベルが対応するRSSI値の範囲は,センサシート10ごとに異なっていてもよい。
【0043】
図5で図示したように,リーダ装置11は,物品センシングシステム1を利用して什器2に載置する物品21の在庫管理を行う際,まず,リーダアンテナ110を利用して読み取り信号を発信する(S1)。読み取り信号を受信したセンサシート10のRFIDインレイ100のICチップ104は,ICチップ104が記憶しているRFIDデータとICチップ104が計測したRSSI値の対を送信し,リーダ装置11は,RFIDデータとRSSI値の対をセンサシート10ごとに受信する(S2)。
【0044】
什器2が有する棚20ごとにセンサシート10を設置する場合,リーダ装置11は,RFIDデータとRSSI値の対をセンサシート10の数だけ受信する。このため,リーダ装置11は,RFIDデータとRSSI値の対ごとに,RSSI値に対応する占有面積レベルを特定するループ処理(S3)を実行する。
【0045】
ループ処理(S3)において,まず,リーダ装置11は,RFIDデータを用いてセンサシート10を特定する(S4)。次に,リーダ装置11は,RFIDデータに対応するセンサシート10に設定された占有面積レベルの中から,RFIDデータと共に受信したRSSI値をその範囲に含む占有面積レベルを特定して(S5),ループ処理(S3)は終了する。
【0046】
例えば,
図4に従えば,RFIDデータが「RFIDデータA」の場合,「RFIDデータA」に対応するセンサシート10に設定された占有面積レベルA1~A3の中から,センサシート10から受信したRSSI値をその範囲に含む占有面積レベルが検索されることになる。RSSI値が占有面積レベルA1に対応したRSSI値の範囲であれば,RFIDデータが「RFIDデータA」であるセンサシート10が載せられた棚20の占有面積レベルは占有面積レベルA1に特定される。
【0047】
図6は,変形例に係るセンサシート30を説明する図である。変形例に係るセンサシート30では,変形例に係るRFIDインレイ300と変形例に係る導電性プレート307を電気的に接続させる手法が,上述した実施形態とは異なる。
【0048】
図6(a)では,変形例に係るセンサシート30の外観を図示している。
図6(a)で図示したごとく,変形例に係るアンテナ301は,ICチップ304とインピーダンス整合を取るための回路である整合回路303と,リーダ装置11が発振する電波の受信やデータの送信などに用いる放射素子302のみを有し,変形例に係るアンテナ301と変形例に係る導電性プレート307を一体化して形成した構造になっている。
【0049】
図6(b)では,変形例に係るセンサシート30の層構成を図示している。
図6(b)で図示したごとく,変形例に係るセンサシート30の層構成は,表面材308,変形例に係る導電性プレート307が電気的に接続している変形例に係るアンテナ301,変形例に係る整合回路303と電気的に接続したICチップ304,および裏面材309になっている。
【0050】
なお,上述した実施形態において,放射素子102,ICチップ104を接続させた整合回路103および結合素子105を有するアンテナ101をアンテナ基材106に実装したRFIDインレイ100と導電性プレート107を別にしているのは,導電性プレート107のサイズが大きくなるため,RFIDインレイ100と導電性プレート107を個別にした方がセンサシート10の製造が変形例に係るセンサシート30より容易になるからである。
【符号の説明】
【0051】
1 物品センシングシステム
10 センサシート
100 RFIDインレイ
101 アンテナ
102 放射素子
103 整合回路
104 ICチップ
105 結合素子
107 導電性プレート
11 リーダ装置
2 什器
20 棚
21 物品