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特許7533116運転評価装置およびこれを備えた運転評価システム、運転評価方法、運転評価プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】運転評価装置およびこれを備えた運転評価システム、運転評価方法、運転評価プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240806BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20240806BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20240806BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G09B29/10 A
G09B19/00 H
G07C5/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020176750
(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公開番号】P2022067891
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129012
【弁理士】
【氏名又は名称】元山 雅史
(72)【発明者】
【氏名】閑 絵里子
(72)【発明者】
【氏名】塚本 哲也
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-035387(JP,A)
【文献】特開2018-018423(JP,A)
【文献】特開2004-258956(JP,A)
【文献】特開2006-227905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を運転する運転者の運転行動の評価を行う運転評価装置であって、
前記車両の現在位置を示す現在位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部において取得された前記車両の現在位置情報に基づいて、前記運転行動の評価に必要な最小限の地図情報を取得する地図情報取得部と、
を備え
前記車両の過去の走行データを取得する走行データ取得部を、さらに備え、
前記地図情報取得部は、前記車両の過去の走行データから設定されるルート周辺の地図情報を取得する、
運転評価装置。
【請求項2】
前記地図情報取得部は、前記地図情報として、交差点情報および道路情報を取得する、
請求項1に記載の運転評価装置。
【請求項3】
前記地図情報取得部は、前記車両の前記現在位置から所定の距離範囲内の地図情報を取得する、
請求項1または2に記載の運転評価装置。
【請求項4】
前記車両の目的地の情報を取得する目的地情報取得部を、さらに備え、
前記地図情報取得部は、前記車両の現在位置から前記目的地までのルート周辺の地図情報を取得する、
請求項1または2に記載の運転評価装置。
【請求項5】
前記地図情報取得部は、前記車両の発車時に、前記地図情報を取得する、
請求項1からのいずれか1項に記載の運転評価装置。
【請求項6】
前記地図情報取得部は、所定時間が経過するごとに、前記地図情報を取得する、
請求項1からのいずれか1項に記載の運転評価装置。
【請求項7】
前記地図情報取得部において取得された地図情報を用いて、前記車両の運転者による運転行動を評価する運転評価部を、さらに備えている、
請求項1からのいずれか1項に記載の運転評価装置。
【請求項8】
前記地図情報取得部は、信号機が設置されていない無信号交差点を含む地図情報を取得する、
請求項1からのいずれか1項に記載の運転評価装置。
【請求項9】
前記地図情報取得部によって取得された前記地図情報を保存する記憶部を、さらに備え、
前記地図情報取得部は、前記記憶部に保存された前記地図情報と、取得予定の地図情報とを比較して差分の情報のみを取得する、
請求項1からのいずれか1項に記載の運転評価装置。
【請求項10】
前記車両に搭載されている、
請求項1からのいずれか1項に記載の運転評価装置。
【請求項11】
請求項1から1のいずれか1項に記載の運転評価装置と、
前記地図情報を保存する記憶装置と、
を備えた運転評価システム。
【請求項12】
車両を運転する運転者の運転行動の評価を行う運転評価方法であって、
前記車両の現在位置を示す現在位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報取得ステップにおいて取得された前記車両の現在位置情報に基づいて、前記運転行動の評価に必要な最小限の地図情報を取得する地図情報取得ステップと、
を備え
前記車両の過去の走行データを取得する走行データ取得ステップを、さらに備え、
前記地図情報取得ステップは、前記車両の過去の走行データから設定されるルート周辺の地図情報を取得する、
運転評価方法。
【請求項13】
車両を運転する運転者の運転行動の評価を行う運転評価プログラムであって、
前記車両の現在位置を示す現在位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報取得ステップにおいて取得された前記車両の現在位置情報に基づいて、前記運転行動の評価に必要な最小限の地図情報を取得する地図情報取得ステップと、
を備え
前記車両の過去の走行データを取得する走行データ取得ステップを、さらに備え、
前記地図情報取得ステップは、前記車両の過去の走行データから設定されるルート周辺の地図情報を取得する、
運転評価方法をコンピュータに実行させる運転評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者による車両の運転を評価する運転評価装置およびこれを備えた運転評価システム、運転評価方法、運転評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、サーバ装置やクラウド空間等からダウンロードされた地図情報を用いて、目的地までのナビゲーションを行うナビゲーション装置や、運転者の安全運転行動の評価を行う運転評価装置等が用いられている。
例えば、特許文献1には、ナビゲーション装置で用いられる大容量の地図データの更新をできるだけ短時間で行うために、ユーザの住所などの付近とそれ以外とで異なる圧縮率を使い分けるクライアント装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-241573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のクライアント装置では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された装置では、ユーザの自宅周辺とそれ以外とを異なる圧縮率を設定することで、よく使われる地図データを短時間で更新することができるものの、ナビゲーションに使用される地図データは膨大なデータ量であるため、ダウンロードする装置の記憶負荷、処理負荷が大きいという課題がある。
一方、地図データを用いて処理を行う装置としては、ナビゲーション装置以外に、運転者の運転行動を評価する運転評価装置がある。このような運転評価装置では、ナビゲーション装置のように目的地までのルート案内を行う必要がないため、運転行動の評価にはナビゲーション装置と比較して、膨大な地図データは必要とされていない。
本発明の課題は、運転行動の評価に用いられる地図情報の記憶負荷、処理負荷を軽減することが可能な運転評価装置およびこれを備えた運転評価システム、運転評価方法、運転評価プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明に係る運転評価装置は、車両を運転する運転者の運転行動の評価を行う運転評価装置であって、位置情報取得部と、地図情報取得部と、を備えている。位置情報取得部は、車両の現在位置を示す現在位置情報を取得する。地図情報取得部は、位置情報取得部において取得された車両の現在位置情報に基づいて、運転行動の評価に必要な最小限の地図情報を取得する。
【0006】
ここでは、車両の運転者の運転行動の評価を行う運転評価装置において、当該評価を行うために必要な最小限の地図情報が、取得された車両の現在位置情報に基づいて取得される。
ここで、運転評価装置による評価には、運転者の安全な運転行動の評価だけでなく、評価対象であるか否かの判定等も含まれる。また、運転評価装置による評価は、例えば、一時停止標識が設置された無信号交差点における車両の運転行動判定を行うか否かの判定、
制限速度情報を用いた速度超過の正確な評価、あるいは、道路種別・一方通行種別情報を用いた一般道路上、あるいは高速道路上における逆走か否かの判定、駐車場情報を用いた駐車場エリア内における車両の徐行および安全確認評価、踏切情報を用いた踏切前での一時停止の評価等を含む。
【0007】
車両の現在位置情報の取得は、例えば、車両が発車するタイミング(エンジンやモータの始動時)に行われてもよいし、所定時間が経過するごとに行われてもよい。
取得される必要最小限の地図情報は、運転行動の評価に必要な交差点や道路に関する情報のみ(例えば、ポイント(点)、ライン(線)の一部のデータ)であって、大容量となる道路リンク情報の全体(例えば、ライン(線)の全データ、ポリゴン(面)等)を含むマップ情報は含まない。そして、取得される地図情報は、例えば、車両の現在位置付近の地図情報、車両の現在位置から目的地までのルート付近の地図情報、車両の過去の走行データから特定されるルートの近傍の地図情報等を含む。
【0008】
これにより、車両の現在位置に関係する必要最小限の地図情報だけを取得して、車両の運転者の運転行動の評価を実施することができるため、評価に用いられる地図情報の記憶負荷、処理負荷を軽減することができる。
【0009】
第2の発明に係る運転評価装置は、第1の発明に係る運転評価装置であって、地図情報取得部は、地図情報として、交差点情報および道路情報を取得する。
これにより、例えば、ナビゲーション装置等で使用される道路リンクを含むマップ情報と比較して、車両の運転者の運転行動の評価を行うために必要な交差点や道路に関する情報だけを取得すればよい。
この結果、運転行動の評価に用いられる地図情報の記憶負荷、処理負荷を軽減することができる。
【0010】
第3の発明に係る運転評価装置は、第1または第2の発明に係る運転評価装置であって、地図情報取得部は、車両の現在位置から所定の距離範囲内の地図情報を取得する。
これにより、車両の現在位置の近傍の範囲のみの地図情報を取得すればよいため、取得すべき地図情報の容量を大幅に削減することができる。
よって、運転行動の評価に用いられる地図情報の記憶負荷、処理負荷を軽減することができる。
【0011】
第4の発明に係る運転評価装置は、第1または第2の発明に係る運転評価装置であって、車両の目的地の情報を取得する目的地情報取得部を、さらに備えている。地図情報取得部は、車両の現在位置から目的地までのルート周辺の地図情報を取得する。
これにより、車両の現在位置から目的地までのルート周辺のみの地図情報を取得すればよいため、取得すべき地図情報の容量を大幅に削減することができる。
よって、運転行動の評価に用いられる地図情報の記憶負荷、処理負荷を軽減することができる。
【0012】
第5の発明に係る運転評価装置は、第1または第2の発明に係る運転評価装置であって、車両の過去の走行データを取得する走行データ取得部を、さらに備えている。地図情報取得部は、車両の過去の走行データから設定されるルート周辺の地図情報を取得する。
これにより、車両が普段走行しているルート周辺のみの地図情報を取得すればよいため、取得すべき地図情報の容量を大幅に削減することができる。
よって、運転行動の評価に用いられる地図情報の記憶負荷、処理負荷を軽減することができる。
【0013】
第6の発明に係る運転評価装置は、第1から第5の発明のいずれか1つに係る運転評価装置であって、地図情報取得部は、車両の発車時に、地図情報を取得する。
これにより、例えば、エンジンやモータが始動した車両の発射時に、運転行動の評価に必要な地図情報を取得することができる。
【0014】
第7の発明に係る運転評価装置は、第1から第6の発明のいずれか1つに係る運転評価装置であって、地図情報取得部は、所定時間が経過するごとに、地図情報を取得する。
これにより、例えば、車両が移動して現在位置が大きく移動したと思われる所定時間が経過するごとに、運転行動の評価に必要な地図情報を取得することができる。
【0015】
第8の発明に係る運転評価装置は、第1から第7の発明のいずれか1つに係る運転評価装置であって、地図情報取得部において取得された地図情報を用いて、車両の運転者による運転行動を評価する運転評価部を、さらに備えている。
これにより、運転行動の評価に必要な最小限の地図情報を用いて、処理負荷を軽減しつつ、例えば、評価対象となる場面であるか否か、車両の運転者の運転行動が安全であるか否か等を評価することができる。
【0016】
第9の発明に係る運転評価装置は、第1から第8の発明のいずれか1つに係る運転評価装置であって、地図情報取得部は、信号機が設置されていない無信号交差点を含む地図情報を取得する。
これにより、信号機が設置されていない無信号交差点を含む地図情報を取得することで、例えば、出合頭の事故が発生しやすい無信号交差点における一時停止や安全確認等の運転行動の評価を行うことができる。
【0017】
第10の発明に係る運転評価装置は、第1から第9の発明のいずれか1つに係る運転評価装置であって、地図情報取得部によって取得された地図情報を保存する記憶部を、さらに備えている。地図情報取得部は、記憶部に保存された地図情報と、取得予定の地図情報とを比較して差分の情報のみを取得する。
これにより、記憶部にすでに保存されている地図情報との差分となる情報のみを上書きして保存することができるため、取得する必要最小限の地図情報の取得時の負荷を軽減することができる。
【0018】
第11の発明に係る運転評価装置は、第1から第10の発明のいずれか1つに係る運転評価装置であって、車両に搭載されている。
これにより、例えば、記憶容量が小さく、処理能力も低い車載器に対して本発明を適用した場合でも、記憶負荷および処理負荷を軽減して、安価な車載器によって上記の効果を得ることができる。
【0019】
第12の発明に係る運転評価システムは、第1から第11の発明のいずれか1つに係る運転評価装置と、地図情報を保存する記憶装置と、を備えている。
これにより、車両の運転者の運転行動の評価に必要な最小限の地図情報を記憶装置から取得して、上記と同様の効果を得ることができる。
【0020】
第13の発明に係る運転評価方法は、車両を運転する運転者の運転行動の評価を行う運転評価方法であって、位置情報取得ステップと、地図情報取得ステップと、を備えている。位置情報取得ステップは、車両の現在位置を示す現在位置情報を取得する。地図情報取得ステップは、位置情報取得ステップにおいて取得された車両の現在位置情報に基づいて、運転行動の評価に必要な最小限の地図情報を取得する。
ここでは、車両の運転者の運転行動の評価を行う運転評価装置において、当該評価を行うために必要な最小限の地図情報が、取得された車両の現在位置情報に基づいて取得される。
ここで、運転評価方法による評価には、運転者の安全な運転行動の評価だけでなく、評価対象であるか否かの判定等も含まれる。また、運転評価方法による評価は、例えば、一時停止標識が設置された無信号交差点における車両の運転行動判定を行うか否かの判定、制限速度情報を用いた速度超過の正確な評価、あるいは、道路種別・一方通行種別情報を用いた一般道路上、あるいは高速道路上における逆走か否かの判定、駐車場情報を用いた駐車場エリア内における車両の徐行および安全確認評価、踏切情報を用いた踏切前での一時停止の評価等を含む。
【0021】
車両の現在位置情報の取得は、例えば、車両が発車するタイミング(エンジンやモータの始動時)に行われてもよいし、所定時間が経過するごとに行われてもよい。
取得される必要最小限の地図情報は、運転行動の評価に必要な交差点や道路に関する情報のみ(例えば、ポイント(点)、ライン(線)の一部のデータ)であって、大容量となる道路リンク情報の全体(例えば、ライン(線)の全データ、ポリゴン(面)等)を含むマップ情報は含まない。そして、取得される地図情報は、例えば、車両の現在位置付近の地図情報、車両の現在位置から目的地までのルート付近の地図情報、車両の過去の走行データから特定されるルートの近傍の地図情報等を含む。
これにより、車両の現在位置に関係する必要最小限の地図情報だけを取得して、車両の運転者の運転行動の評価を実施することができるため、評価に用いられる地図情報の記憶負荷、処理負荷を軽減することができる。
【0022】
第14の発明に係る運転評価プログラムは、車両を運転する運転者の運転行動の評価を行う運転評価プログラムであって、位置情報取得ステップと、地図情報取得ステップと、を備えている運転評価方法をコンピュータに実行させる。位置情報取得ステップは、車両の現在位置を示す現在位置情報を取得する。地図情報取得ステップは、位置情報取得ステップにおいて取得された車両の現在位置情報に基づいて、運転行動の評価に必要な最小限の地図情報を取得する。
【0023】
ここでは、車両の運転者の運転行動の評価を行う運転評価装置において、当該評価を行うために必要な最小限の地図情報が、取得された車両の現在位置情報に基づいて取得される。
ここで、運転評価プログラムによる評価には、運転者の安全な運転行動の評価だけでなく、評価対象であるか否かの判定等も含まれる。また、運転評価プログラムによる評価は、例えば、一時停止標識が設置された無信号交差点における車両の運転行動判定を行うか否かの判定、制限速度情報を用いた速度超過の正確な評価、あるいは、道路種別・一方通行種別情報を用いた一般道路上、あるいは高速道路上における逆走か否かの判定、駐車場情報を用いた駐車場エリア内における車両の徐行および安全確認評価、踏切情報を用いた踏切前での一時停止の評価等を含む。
【0024】
車両の現在位置情報の取得は、例えば、車両が発車するタイミング(エンジンやモータの始動時)に行われてもよいし、所定時間が経過するごとに行われてもよい。
取得される必要最小限の地図情報は、運転行動の評価に必要な交差点や道路に関する情報のみ(例えば、ポイント(点)、ライン(線)の一部のデータ)であって、大容量となる道路リンク情報の全体(例えば、ライン(線)の全データ、ポリゴン(面)等)を含むマップ情報は含まない。そして、取得される地図情報は、例えば、車両の現在位置付近の地図情報、車両の現在位置から目的地までのルート付近の地図情報、車両の過去の走行データから特定されるルートの近傍の地図情報等を含む。
【0025】
これにより、車両の現在位置に関係する必要最小限の地図情報だけを取得して、車両の運転者の運転行動の評価を実施することができるため、評価に用いられる地図情報の記憶負荷、処理負荷を軽減することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る運転評価装置によれば、評価に用いられる地図情報の記憶負荷、処理負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係る運転評価装置を含む車載器を備えた運転評価システムの構成を示す図。
図2図1の運転評価システムに含まれる車載器の構成を示す図。
図3図2の車載器の運転評価装置内に形成される制御ブロックを示す図。
図4図1の運転評価システムに含まれる運転評価管理装置の構成を示す図。
図5】一時停止義務のある生活道路と主要道路とが交差する無信号交差点を含む地図示す図。
図6】車両が無信号交差点に進入した際の進入角度と道路の方角との関係を示す図。
図7】地図上における方位角と方向角との関係を示す図。
図8】一時停止交差点情報DBの作成処理の流れを示すフローチャート。
図9】無信号交差点における一時停止および安全確認の実施評価の対象であるか否かの判定処理の流れを示すフローチャート。
図10図9における判定処理の結果に応じて実施される運転評価方法の処理の流れを示すフローチャート。
図11図9のステップS21における近傍交差点情報のダウンロードの処理の詳細な流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の一実施形態に係る運転評価装置およびこれを備えた運転評価システム、運転評価方法について、図1図11を用いて説明すれば以下の通りである。
(1)運転評価システム1
本実施形態に係る運転評価システム1は、車両2の運転者3の運転行動を評価するシステムであって、図1に示すように、運転評価管理装置10と、1台あるいは複数台の車両2に搭載された車載器20と、を備えている。
【0029】
ここで、評価対象である運転者3が運転する車両には、例えば、運送業者が管理するトラック、バス事業者が管理するバス、タクシー事業者が管理するタクシー、レンタカー事業者が管理するレンタカー、カーシェアリング事業者が管理するカーシェア車両、自動車教習所が管理する教習所車両、会社が管理する社有車等、事業者によって管理される各種車両が含まれる。
【0030】
なお、評価対象である運転者3が運転する車両には、一般のドライバーによって運転される一般車両が含まれていてもよい。
そして、運転評価システム1では、車載器20において特定の運転行動(一時停止や安全確認等)に関する安全運転行動の実施の有無を判定し、運転者3に対してリアルタイムで警告等の注意喚起を行う。さらに、運転評価システム1では、管理者端末6および運転評価管理装置10に対して、その判定結果が送信されることで、管理者によって運転者3の安全運転行動の実施状況の管理が行われる。
【0031】
運転評価システム1では、図1に示すように、複数の車両2に搭載された車載器20と、管理者端末6と、運転評価管理装置10とが、通信ネットワーク5を介して互いに接続されている。
管理者端末6は、PC(Personal Computer)やスマートフォン、タブレット端末等であって、車両2を管理する事業者等によって使用される。そして、管理者端末6は、後述する運転評価管理装置10の運転行動評価部(運転評価部)12aにおいて評価された車両2の運転者3の運転行動を評価した結果を表示する。
【0032】
これにより、管理者端末6を使用する管理者は、運転評価管理装置10の運転行動評価部12aによる運転評価の結果に基づいて、管理下にある車両2の運転者3に対して、安全運転を促す等、事故発生を抑制するために適切な指導を行うことができる。
運転評価管理装置10は、図1に示すように、通信ネットワーク5を介して、車両2に搭載された車載器20と、管理者端末6と、接続されている。なお、通信ネットワーク5は、例えば、無線LAN(Local Area Network)等の無線通信であってもよいし、通信ケーブルを介した線通信であってもよい。
【0033】
運転評価管理装置10は、図1に示すように、通信ユニット11、制御ユニット12、記憶ユニット(記憶装置)13を有している。なお、運転評価管理装置10の詳細な構成については、後段にて詳述する。
車載器20は、図1に示すように、車両2に搭載されており、カメラ21によって撮影された画像を用いて、車両2の運転者3の状態を判定する。なお、車載器20の詳細な構成については、後段にて詳述する。
【0034】
(2)車載器20
車載器20は、図2に示すように、カメラ21、運転評価装置22、加速度センサ23、角速度センサ24、GPS(Global Positioning System)受信部25、通信部26および報知部27を有している。
カメラ21は、図1に示すように、車両2の運転席の前方に設置されており、主に、運転者3の上半身を含む画像を撮影し、運転評価装置22へ送信する。また、カメラ21は、車両2の外部環境(信号、標識、前方走行車との車間距離、天候、地域等の外部環境)の画像を撮影するために使用されてもよい。これにより、撮影された外部環境の画像を用いて、運転評価装置22が法令違反等の判定を実施することができる。
【0035】
運転評価装置22は、図2に示すように、カメラ21等と接続されており、カメラ21から受信した運転者3を含む画像等を用いて、車両2の運転者3の状態を判定する。また、運転評価装置22は、車両2に設けられた加速度センサ23、角速度センサ24等と接続されており、検出された車両2の加速度、角速度を用いて、車両2の状態を判定する。
ここで、運転評価装置22によって判定される車両2の運転者3の状態には、運転者3の顔向きの変化、視線方向の変化、眼の開閉度、閉眼率・開眼率の変動特徴量、所定の顔向き事象(わき見等)等が含まれる。また、運転評価装置22によって判定される車両2の状態には、急加速、急減速、速度超過、急ハンドル、交差点通過、走行中の道路の種別(一般道、高速道路等)、車両2への衝撃等が含まれる。
【0036】
そして、運転評価装置22は、図2に示すように、制御部22a、記憶部22b、入出力I/F22cを有している。
制御部22aは、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)22aa、RAM(Random Access Memory)22ab、ROM(Read Only Memory)22acを含むマイクロコンピュータによって構成されている。制御部22aは、カメラ21によって撮影された画像、加速度センサ23、角速度センサ24によって検出された車両2の加速度および角速度を受信して各種処理を実施するとともに、それらのデータを記憶部22bへ保存させる。そして、制御部22aは、記憶部22bに保存されたプログラム22baをRAM22abに展開し、記憶部22bに保存された各種データを読み出して、プログラム22baをCPU22aaによって実行することで、後述する車両2の運転者3による一時停止または安全確認の義務を履行しているか否かの安全運転行動の評価を行う。
【0037】
具体的には、制御部22aは、カメラ21から受信した画像データおよび加速度センサ23から受信した車両2の加速度等のデータを参照して、出合い頭の事故が発生しやすい無信号交差点において、車両2の運転者3が一時停止、安全確認を実施したか否かを判定する。
ここで、無信号交差点における一時停止または安全確認の義務は、例えば、主要道路(優先道路)R0に対して生活道路R1が交差する信号機が設置されていない交差点(図5参照)において、生活道路R1側を走行する車両2に対して課される。
【0038】
なお、生活道路とは、例えば、幅員が5.5m未満の道路であって、その地域の住民らが自宅から大通りなど主要道路に出るまでに使う細街路を意味している。
本実施形態の運転評価装置22では、後述する無信号交差点を構成する道路の方角と、無信号交差点への車両2の進入角度とに応じて、一時停止または安全確認の義務のある無信号交差点における車両2の一時停止または安全確認の義務の有無を判定する。
【0039】
そして、運転評価装置22では、後述する運転行動評価部12aが、例えば、車速センサ等の検出結果を用いて無信号交差点における一時停止の実施の有無、カメラ21によって撮影された運転者3の画像を用いて運転者3による左右の安全確認の実施の有無に応じて、運転者3の安全運転行動の評価を行う。
なお、運転評価装置22は、上記の評価に加えて、進行方向確認不足、わき見、画像中から運転者3の顔の部分が消える顔ロスト、携帯電話等での通話、スマートフォン操作、飲食、眠気・居眠り・漫然について、カメラ21によって撮影された運転者3を含む画像を用いて、該当するか否かの判定を行ってもよい。
【0040】
また、あおり運転、信号無視、徐行義務違反、左折・右折違反、踏切不停止等の他の違反行為についても、車両2の前方等の外部環境を撮影した画像およびGPS受信部25において検出された車両2の現在位置情報、地図情報等を用いて、該当するか否かの判定が行われてもよい。
さらに、連続運転、急ハンドル、急ブレーキ、急加速、急発進、速度超過、衝撃については、加速度センサ23および角速度センサ24における検出結果に基づいて、該当するか否かの判定が行われてもよい。
【0041】
記憶部22bは、例えば、半導体メモリ等の記憶手段であって、プログラム22ba、カメラ21によって撮影された画像、加速度センサ23、角速度センサ24によって検出された加速度および角速度のデータ、車両2の過去の走行データ等を保存する。
なお、プログラム22baは、制御部22a側のROM22acに保存されていてもよい。
【0042】
入出力I/F22cは、カメラ21、加速度センサ23、角速度センサ24等の各種機器との間でデータや各種信号の送受信を行う。
加速度センサ23は、車両2の加速度を検出するセンサであって、例えば、XYZの3軸方向における加速度を検出する。そして、加速度センサ23は、検出した車両2の加速度のデータを、運転評価装置22へ送信する。
【0043】
角速度センサ24は、例えば、車両2の回転角速度を検出するジャイロセンサであって、車両2が曲がる際の左右方向における回転(旋回)角速度を検出する。そして、角速度センサ24は、検出した車両2の角速度のデータを、運転評価装置22へ送信する。なお、角速度センサ24にジャイロセンサが用いられる場合には、振動式ジャイロセンサであってもよいし、光学式または機械式のジャイロセンサであってもよい。
【0044】
GPS受信部25は、図2に示すように、アンテナ25aを有しており、アンテナ25aを介して人工衛星からGPS信号を受信して、車両2の現在位置(緯度・経度等)を検出する。そして、GPS受信部25において検出された車両2の現在位置情報は、運転評価装置22の記憶部22bへと送信され、記憶部22bに保存される。
通信部26は、図2に示すように、アンテナ26aを有しており、アンテナ26aから発せられる電波を用いて、通信ネットワーク5を介して、外部との間で電波を送受信する。すなわち、通信部26は、運転評価装置22において判定された車両2の運転者3による安全運転行動の評価結果、車両2の状態等を含む各種データを、運転評価管理装置10へと送信する。
【0045】
報知部27は、図2に示すように、運転評価装置22と接続されており、運転評価装置22において判定された車両2の運転者3の安全運転行動の評価結果に応じて、例えば、所定の警告音を車両2のスピーカから発出したり、車両2に搭載された表示装置に安全運転を促すメッセージ等の文字情報を表示させたりする。
より詳細には、運転評価装置22は、制御部22aのCPU22aaが、記憶部22bに保存されたプログラムを読み込んで、図3に示す制御ブロックを形成する。
【0046】
具体的には、運転評価装置22は、図3に示すように、位置情報取得部31、交差点情報取得部(取得部、地図情報取得部)32、走行判定部33、交差点抽出部34、通過交差点判定部35、距離算出部36、交差点進入判定部(進入検知部)37、GPS誤計測判定部38、進入角度算出部(進入角度検出部)39、判定部40、一時停止標識判定部41、安全確認要否判定部42、目的地情報取得部43および走行データ取得部44を備えている。
【0047】
位置情報取得部31は、GPS受信部25を介して、例えば、車両2のエンジン(モータ)始動から停止までの間の車両2の現在位置情報(緯度・経度等)を取得する。
交差点情報取得部32は、図1の運転評価管理装置10の記憶ユニット13に保存された無信号交差点を含む地図情報を、通信ネットワーク5を介してダウンロード(取得)する。
【0048】
ここで取得される無信号交差点を含む地図情報は、例えば、位置情報取得部31において取得された車両2の現在位置から所定の距離範囲内における信号機が設置されていない無信号交差点を含む地図情報である。
そして、この地図情報は、例えば、車両2の運転開始時(エンジン(モータ)が始動し車載器20が起動された時)のタイミングで取得される。
【0049】
走行判定部33は、車両2に搭載された加速度センサ23および角速度センサ24等を用いて、車両2が走行しているか否かを判定する。
交差点抽出部34は、走行判定部33において走行していると判定された車両2が接近している複数の交差点を、交差点情報取得部32において取得された地図情報から抽出する。
【0050】
なお、交差点抽出部34における車両2が接近している交差点の抽出は、所定時間経過ごとに行われる。
通過交差点判定部35は、交差点抽出部34において抽出された複数の交差点の中で、所定の距離範囲(例えば、半径50m以内)内であるか否かに応じて、車両2が通過する見込みの交差点であるか否かを判定する。
【0051】
距離算出部36は、進入する見込みの交差点と判定された交差点と車両2との間の距離を算出する。
交差点進入判定部37は、距離算出部36において算出された車両2と進入見込み交差点との間の距離が所定の距離(例えば、10m)以内になったか否かに応じて、当該交差点に車両2が進入したことを検知する。すなわち、交差点進入判定部37は、距離算出部36において算出された車両2と進入見込み交差点との間の距離が所定の距離(例えば、10m)以内になると、当該交差点が車両2が進入した交差点であると判定する。
【0052】
なお、交差点進入判定部37における判定は、例えば、1秒経過するごとに行われる。
GPS誤計測判定部38は、無信号交差点における一時停止または安全確認の義務の有無の判定を行う前に、車両2の位置情報に誤差がないかを判定する。具体的には、GPS誤計測判定部38は、GPS受信部25においてアンテナ25aを介して人工衛星からGPS信号を所定時間経過ごとに適切に受信しているか否かを判定する。
【0053】
そして、GPS誤計測判定部38は、GPS信号を所定時間経過ごとに受信していない場合には、例えば、高層ビル等に遮られてGPS信号の受信が適切に行われていないため、誤計測有りと判定する。
進入角度算出部39は、無信号交差点へ進入していく車両2の進入角度を算出する。具体的には、進入角度算出部39は、例えば、無信号交差点の手前から所定の距離、例えば、10~30mの範囲における進入角度の平均値を、進入角度として算出する。
【0054】
ここで、進入角度の平均値を算出する範囲は、10~30mに限定されるものではなく、より近い範囲であってもよいし、より遠い範囲であってもよい。
ただし、所定の距離が無信号交差点から近い範囲に設定されると、右左折時、道路の幅員、路上駐車の車両の回避によって車両2の向きが変わってしまうため、進入角度に誤差が生じてしまうおそれがある。一方、所定の距離が無信号交差点から遠い範囲に設定されると、隣接する交差点を基準に進入角度を算出してしまうおそれがある。
【0055】
このため、走行中の道路の状況(幅員、路上駐車等)に応じて、進入角度の平均値を算出するための無信号交差点からの範囲が適切に設定されることが好ましい。
なお、所定の距離が一律の範囲に設定され、かつ隣接する交差点において右左折した後やUターンした後から、進入角度の算出が行われてもよい。
これにより、隣接交差点が近い(範囲内に隣接交差点がある)場合でも、精度良く判定を行うことができる。
【0056】
なお、進入角度算出部39は、所定範囲における進入角度の平均値の代わりに、車両2の現在位置の軌跡から最小二乗法によって求められる回帰直線を用いて、無信号交差点への車両2の進入角度を算出してもよい。
進入角度算出部39による車両2の無信号交差点への進入角度の算出処理については、後段にて詳述する。
【0057】
判定部40は、地図情報に含まれる一時停止または安全確認の義務のある道路の方角と、進入角度算出部39において検出された車両2の無信号交差点への進入角度とを比較して、その差が所定の角度(例えば、±20度)範囲であるか否かに応じて、車両2の一時停止または安全確認の義務の有無を判定する。
一時停止標識判定部41は、例えば、ダウンロードされた近傍交差点情報に含まれる一時停止の標識RS(図5,6参照)が設置されている道路の情報を用いて、車両2が進入していく道路側に一時停止の標識RSがあるか否かを判定する。
【0058】
安全確認要否判定部42は、一時停止標識判定部41において一時停止の標識RSなし(優先道路)と判定された場合において、一時停止の標識RSのない側の優先道路を走行中の車両2の運転者3に安全確認が必要か否かの判定を行う。
目的地情報取得部43は、例えば、車両2に搭載された運行管理情報から、車両2の目的地となる情報を取得する。
【0059】
走行データ取得部44は、例えば、車載器20に含まれる運転評価装置22の記憶部22bから、車両2が過去に走行したルート等の情報を含む走行データを取得する。
ここで、記憶部22bに保存される走行データは、例えば、車両2の走行のたびに上書きされ、保存してから所定期間が経過すると消去されるように設定されていてもよい。
なお、本実施形態の運転評価管理装置10によって実施される運転評価方法については、後段にて詳述する。
【0060】
(3)運転評価管理装置10
運転評価管理装置10は、図1に示すように、通信ネットワーク5を介して車両2に搭載された車載器20と接続されている。そして、運転評価管理装置10は、車載器20から受信した車両2の走行データ、運転者3の情報、無信号交差点へ進入した車両2の一時停止/安全確認の必要性の判定結果等に基づいて、運転者3による運転行動の評価を行う。さらに、運転評価管理装置10は、図4に示すように、通信ユニット11と、制御ユニット12と、記憶ユニット13とを備えている。
【0061】
通信ユニット11は、通信ネットワーク5を介して、車両2の運転者3の情報、車両2の走行データ、運転者3および車両2の属性に関するデータ等を取得する。そして、通信ユニット11は、図4に示すように、通信バス14を介して制御ユニット12と接続されており、車載器20から受信した判定結果、各種データ等の情報を、制御ユニット12へ送信する。
【0062】
制御ユニット12は、通信ユニット11を介して、車両2の運転者3の情報、車両2の走行データ、運転者3および車両2の属性に関するデータ等を車載器20から受信して、記憶ユニット13に保存させる。そして、制御ユニット12は、車載器20側において一時停止あるいは安全確認を行う必要があると判定された無信号交差点における運転者3の運転行動について評価を行う。
【0063】
具体的には、制御ユニット12は、図4に示すように、運転行動評価部(運転評価部)12a、表示部12bを有している。
運転行動評価部12aは、車載器20側において、一時停止あるいは安全確認を行う必要があると判定された無信号交差点を通過する際に、運転者3の運転行動について評価を行う。つまり、運転行動評価部12aは、運転評価装置22の一部として、運転者3の運転行動の評価を行う。
【0064】
より詳細には、運転行動評価部12aは、車両2が無信号交差点へ進入していく際に、一時停止または安全確認の義務のある非優先道路を走行中である場合、あるいは優先道路を走行中で安全確認が必要である場合に、車両2が一時停止したか否か、車両2の運転者3が安全確認を実施したか否かを判定して、運転者の安全運転行動の評価を行う。
そして、運転行動評価部12aは、無信号交差点を通過する際の運転者3の運転行動について、例えば、一時停止をしていない、あるいは、安全確認を行っていないと判定した場合には、表示部12bにその判定結果を表示させる。さらに、運転行動評価部12aは、その判定結果を管理者端末6へ送信するとともに、車載器20へ送信する。
【0065】
これにより、車載器20は、受信した判定結果に基づいて、運転者3に対して警告を行うことができる。
ここで、運転者3に対する警告は、効果音やアナウンス等を発することによって行われてもよいし、ナビゲーション用の画面等に文字情報として表示されてもよい。
また、判定結果を受信した管理者端末6では、管理者が管理下にある車両2の運転者3の運転行動を適切に評価することができる。よって、管理下の車両2の運転者3の運転行動の蛍光を把握することができるとともに、安全な運転行動を行っていないと判定された運転者3に対して、注意喚起を促す、指導を行う等の対策を採ることができる。
【0066】
記憶ユニット13は、図4に示すように、一時停止交差点情報記憶部13a、交差点通過データ記憶部13b、評価結果記憶部13cを有している。
一時停止交差点情報記憶部13aは、例えば、クラウド空間に保存された一時停止交差点情報DB(データベース)から車載器20へダウンロードされた無信号交差点を含む一時停止交差点情報を保存する。
【0067】
ここで、無信号交差点を含む一時停止交差点情報は、図5に示すように、主要道路R0と生活道路R1とが交差する信号機の設置されていない交差点の情報であって、例えば、地図DBより一時停止の標識RSのある交差点を抽出することで得られる。
また、優先道路(主要道路R0)と非優先道路(生活道路R1)とを含む一時停止交差点情報を用いて、道路の幅員情報に基づいて、優先道路(主要道路R0)の中の生活道路だけを抽出することができる。
【0068】
交差点通過データ記憶部13bは、例えば、一時停止または安全確認の義務のある無信号交差点に進入した車両2が交差点を通過した際の通過時刻、車両2の位置情報、交差点ID等を車載器20から受信して保存する。
評価結果記憶部13cは、上述した運転行動評価部12aにおいて評価された結果について、運転者3ごとに整理して保存する。これにより、車両2の運転者3ごとに、運転行動の傾向を把握することができる。
【0069】
<無信号交差点への進入角度の算出処理>
本実施形態では、上述したように、車載器20側の運転評価装置22が、無信号交差点へ進入してきた車両2の進入角度に応じて、運転者3が一時停止・安全確認を行う対象となる道路を車両2が走行しているか否かを判定する。すなわち、運転評価装置22は、無信号交差点へ進入してきた車両2の進入角度に応じて、交差点に進入してきた車両2が運転者3の運転行動の評価を行う対象であるか否かを決定する。
【0070】
ここで、車両2の無信号交差点への進入角度は、図6に示すように、
(a)一時停止標識が設置された道路ノード(交差点)と、
(b)一時停止標識が設置された無信号交差点へ進入する道路リンクと、
に基づいて決定された一時停止の標識RSが設置された無信号交差点へ交差する道路の方角と比較される。
【0071】
このとき、(a)および(b)を用いて決定された車両2が走行中の道路の方角から、車両2が無信号交差点へ進入する際の進入角度との差が、例えば、±20度以内である場合には、当該車両2が無信号交差点の一時停止または安全確認の義務のある側の道路(生活道路R1)を走行していると判断し、運転者3の運転行動の評価を行う対象であると判定する。
【0072】
なお、車両2の無信号交差点への進入角度の算出では、地点Aから地点Bに向かう方角は、地点A,B2地点の緯度・経度を指定して最短距離とその方位角を計算することで表される。
このとき、地球を赤道半径r=6378.137kmを半径とする球体(球面三角法)とし、方位角:北0度、東:90度、南:180度、西:270度として、最短距離とその方位角とが計算される。
【0073】
なお、「地球を回転楕円体と仮定する方法」等、他の方法を採用してもよいが、交差点DB(交差点の方角)と走行データ(車両の進入角)との算出方法が統一されていればよい。
このため、地点A(経度x,y)から地点B(x,y)に向かう方位角φおよびその間の距離dは、以下の関係式によって表される。
【0074】
【数1】
【0075】
なお、図7に示すように、測点から目標に向かう方位角とは、真北(北極)方向(子午線北方向)を基準にして右回り(時計回り)で測定した角度であって、方向角とは、座標の北軸を基準にして右回り(時計回り)で測定した角度を意味している。
よって、方位角は、図7に示すように、方向角と子午線収差角γとを加算した角度である。
【0076】
<一時停止交差点情報DBの作成>
本実施形態の運転評価システム1では、図8に示すフローチャートに従って、一時停止交差点情報DBが作成され、運転評価管理装置10の記憶ユニット13に保存される。そして、記憶ユニット13に保存された一時停止交差点情報DBから、車両2の現在位置等に応じて必要とされる地図情報が、車載器20にダウンロードされる。
【0077】
具体的には、ステップS11では、一時停止ポイントDBから一時停止ポイントが、一時停止ポイントDBから道路ノードIDおよび道路リンクID、オブジェクトID、緯度・経度、信号機フラグがそれぞれダウンロードされ、一時停止交差点位置情報として紐づけされる。
次に、ステップS12では、道路リンクDBからオブジェクトIDを取得して、ダウンロードされた道路ノードID(一時停止交差点)ごとに、ステップS13,S14の処理が行われる。
【0078】
次に、ステップS13では、道路リンクDBから、道路ノードID(一時停止交差点)ごとに対象道路リンクIDが抽出される。
次に、ステップS14では、抽出された対象道路リンクIDが、一時停止ポイントDBに保存されているか否かに応じて、一時停止の標識RSが設置されているか否かを判定する。
【0079】
ここで、抽出された対象道路リンクIDが、一時停止ポイントDBに保存されている場合には、一時停止の標識RSが設置されている無信号交差点と判定し、保存されていない場合には、一時停止の標識RSが設置されていないと判定する。
次に、ステップS15では、道路リンクDBからオブジェクトIDを取得して、対象道路リンクIDごとに、ステップS16,S17,S18の処理が行われる。
【0080】
次に、ステップS16では、対応道路リンクIDごとに、対応道路リンクデータを抽出する。
次に、ステップS17では、交差点進入角度を算出する。
ここで、進入道路が直線の場合には、道路ポイント(1点)からの進入角度を算出し、進入道路がカーブの場合には、無信号交差点の手前から所定の距離範囲(例えば、10~30m)における進入角度の平均値または回帰直線の進入角度を算出する。
【0081】
次に、ステップS18では、対応道路リンクIDごとに、道路情報が紐づけされる。
なお、紐づけされる道路情報には、例えば、道路幅員区分、リンク種別コード、上下線分離情報、車線数、信号機フラグ、通行禁止種別コード、一方通行種別コード、最高速度等の情報が含まれる。
そして、ステップS12~ステップS18までの処理を、道路ノードIDごと、対象道路リンクIDごとにそれぞれ行うことで、一時停止交差点情報DBが作成される。
【0082】
<一時停止交差点の検出および安全確認の要否判定処理>
本実施形態の運転評価システム1では、図9に示すフローチャートに従って、車載器20側(運転評価装置22)において、走行中の車両2の運転者3の安全確認の要否の判定を行う。
ステップS21では、車載器20では、運転評価装置22の交差点情報取得部32が、車両2のエンジン(モータ)が始動して車載器が起動した時に、位置情報取得部31が取得した車両2の現在位置情報(起動時位置情報)に基づいて、図8のフローチャートに従って作成された一時停止交差点情報DBから無信号交差点を含む一時停止交差点情報を、近傍交差点情報としてダウンロードする。
【0083】
一時停止交差点情報DBには、例えば、一時停止交差点の緯度・経度、進入角度、交差点を構成する道路の幅員等の情報が含まれている。
ここでダウンロードされる近傍交差点情報は、例えば、車両2の現在位置付近における無信号交差点を含む交差点の情報、あるいは、車両2の過去の走行データから得られる頻繁に走行する道路における無信号交差点の情報である。
【0084】
次に、ステップS22では、運転評価装置22の走行判定部33において走行中と判定された車両2について、ステップS23以降の処理を繰り返し実施する。
次に、ステップS23では、運転評価装置22の交差点抽出部34が、ステップS21においてダウンロードされた近傍交差点情報の中から、走行中の車両2が接近している1または複数の交差点を抽出する。
【0085】
次に、ステップS24では、運転評価装置22の通過交差点判定部35が、ステップS23において抽出された接近交差点について、所定の距離範囲(例えば、50m)内となった通過見込み交差点であるか否かを判定する。
なお、ステップS23,S24の処理は、一定時間が経過するごとに更新される。
次に、ステップS25では、運転評価装置22の距離算出部36が、通過見込み交差点と判定された交差点と車両2の現在位置との間の距離を算出する。
【0086】
より具体的には、距離算出部36は、例えば、通過見込み交差点と判定された交差点の緯度・経度情報と、車両2の現在位置を示す緯度・経度の情報から、上述した関係式を用いて両者の間の距離dを算出する。
次に、ステップS26では、運転評価装置22の交差点進入判定部37が、通過見込み交差点と車両2の現在位置との距離dが50mより長い場合には、ステップS23へ戻る。そして、通過見込み交差点と車両2の現在位置との距離dが50m以下であって10mより長い場合には、所定の時間(例えば、1秒)経過ごとに、通過見込み交差点と車両2の現在位置との距離が所定の距離(例えば、10m)以内になるまで、ステップS25における距離算出を繰り返す。さらに、通過見込み交差点から車両2の現在位置までの距離dが10m以内になると、車両2が通過見込み交差点へ進入したと判断し、ステップS27へ進む。
【0087】
次に、ステップS27では、運転評価装置22において、進入した交差点の通過時刻および進入した交差点IDのチェックが行われる。
ここで、チェックされた交差点通過時刻および交差点IDは、交差点まで車両2が最短距離にある時刻および交差点の中心位置を含む情報として、後述するステップS29の交差点への進入角度の算出に使用される。
【0088】
次に、ステップS28では、運転評価装置22のGPS誤計測判定部38が、車両2の位置情報に誤差がないかを判定する。具体的には、GPS誤計測判定部38は、GPS受信部25においてアンテナ25aを介して人工衛星からGPS信号を所定時間経過ごとに適切に受信していない場合には、例えば、高層ビル等に遮られてGPS信号の受信が適切に行われていないため、誤計測有りと判定する。
【0089】
そして、車両2の現在位置が正確に受信できていないおそれがある場合には、無信号交差点における一時停止・安全確認の要否判定を行う前に、要否判定を行うことなく処理を終了する。
これにより、誤った位置情報によって誤った判定が行われることを回避することができる。
【0090】
次に、ステップS29では、運転評価装置22の進入角度算出部39が、進入した交差点への車両2の進入角度を算出する。
具体的には、進入角度算出部39は、無信号交差点への進入角度の算出処理において説明した通り、車両2が走行している道路の方角に対する車両2の進入角度(主要道路R0に対する道路の進入角度と車両2の進入角度との誤差)を算出する。
【0091】
次に、ステップS30では、算出された道路の方角に対する車両2の進入角度が、所定の角度(例えば、±20度)範囲内であるか否かを判定する。
すなわち、道路の方角に対する車両2の進入角度が、所定の角度(例えば、±20度)範囲内である場合には、車両2は無信号交差点に進入してきていると判断し、後述のステップS31の一時停止の標識RSの有無の判定を経て、判定部40が一時停止・安全確認要と判定する。そして、安全確認を実施したか否かを判定するフロー(図10参照)へ進む。
【0092】
一方、道路の方角に対する車両2の進入角度が、所定の角度(例えば、±20度)範囲内ではない場合には、車両2は無信号交差点に進入してきていないおそれがあると判断し、一時停止、安全確認の要否判定を実施せずに判定の対象外として処理する。
次に、ステップS31では、運転評価装置22の一時停止標識判定部41が、車両2が走行している道路が、一時停止の標識RSが設置されていない優先道路(主要道路R0)側であるか否かを判定する。
【0093】
すなわち、本実施形態では、ステップS30において判定部40が一時停止・安全確認要と判定した場合でも、一時停止の標識RSの有無によって、車両2が無信号交差点を構成する優先道路側を走行しているか、非優先道路側を走行しているかを判定する。
ここで、走行している道路が優先道路側である場合には、ステップS32へ進む。一方、非優先道路側である場合には、判定部40が一時停止・安全確認要と判定し、一時停止交差点通過時刻データDBへ、通過時刻、位置情報、交差点IDを保存させる。そして、安全確認を実施したか否かを判定するフロー(図10参照)へ進む。
【0094】
次に、ステップS32では、運転評価装置22の安全確認要否判定部42が、ステップS31において車両2が優先道路側を走行中と判定されたため、走行中の道路の幅員、分割路の有無に関する情報を用いて、安全確認の要否判定を行う。
すなわち、ステップS32では、優先道路を走行中と判定された場合でも、道路の幅員や分割路の有無に応じて安全確認が必要な場合があることを想定し、一時停止は不要であっても安全確認を行うべき無信号交差点であるか否かを判定する。
【0095】
ここで、道路の幅員、分割路に関する情報に基づいて安全確認が必要と判定されると、
一時停止交差点通過時刻データDBへ、通過時刻、位置情報、交差点IDを保存させるとともに、安全確認を実施したか否かを判定するフロー(図10参照)へ進む。
そして、ステップS22~ステップS31までの要否判定処理は、車両2が走行中である間は繰り返し実施される。
【0096】
これにより、無信号交差点における一時停止または安全確認の義務がある道路を車両2が走行中であるか否かを、取得された地図情報と車両2の無信号交差点への進入角度とを用いて容易に判定することができる。
この結果、詳細な道路リンクを用いることなく、信号機が設置されていない無信号交差点における車両2の運転者3の一時停止義務、安全確認義務の有無を容易に判定することができる。
【0097】
<一時停止および安全確認の実施判定処理>
本実施形態の運転評価システム1では、運転評価管理装置10が、図10に示すフローチャートに従って、車載器20(運転評価装置22)から受信した「一時停止・安全確認要」と判定された結果に基づいて、走行中の車両2の運転者3の一時停止および/または安全確認の実施判定を行う。
【0098】
すなわち、本実施形態では、運転評価管理装置10の制御ユニット12内の運転行動評価部12aが、車載器20側において一時停止・安全確認の要否判定において要と判定されると、その交差点の情報と車載器20から取得した情報とを用いて、車両2の運転者3の運転行動の評価を実施する。
具体的には、ステップS31では、一時停止・安全確認が必要な車両2の運転者3の状態を確認するために、GPS受信部25において受信したGPS信号を用いて車両2の車速情報を取得する。
【0099】
次に、ステップS32では、ステップS31で取得した車速情報から、車両2が交差点の手前において車速が0になっているか否かを検出することで、車両2の運転者3の一時停止または安全確認の義務違反か否かを判定する。
次に、ステップS33では、例えば、車両2に搭載された運転者3の上半身を撮影するカメラ21によって撮影された運転者3の上半身を含む画像を用いて、車両2が交差点の手前における運転者3の顔または視線の向きの変化を取得する。
【0100】
次に、ステップS34では、ステップS33において取得した運転者3の顔の向きの情報に基づいて、安全確認を行うべき交差点の手前において、運転者3の顔の向きが左右に動いているか否かに応じて、左右の安全確認の実施の有無を判定する。
次に、ステップS35では、ステップS32およびステップS34における判定の結果を、運転評価管理装置10から車載器20および管理者端末6へと送信する。
【0101】
これにより、車載器20では、判定された運転行動の評価結果を、車両2に搭載された報知部27を介して、音声情報等によってリアルタイムで運転者3に報知することができる。
具体的には、運転評価管理装置10において、交差点の手前において一時停止・安全確認を実施していないと判定されると、車載器20では、運転者3に対して、例えば、「一時停止してください」、「一時停止していません」、「左右の安全確認を行ってください」等の警告を音声で行うことができる。
【0102】
また、管理者端末6では、管理下にある車両2の運転者3ごとに、出合い頭の事故が発生しやすい無信号交差点における一時停止・安全確認の実施状況が明確になるため、管理者は運転者3毎の運転行動の傾向を認識することができる。
<運転行動の評価に必要な地図情報の取得処理>
本実施形態の運転評価システム1では、上述したように、車載器20が、運転評価管理装置10の記憶ユニット13から、一時停止・安全確認等の要否判定に必要な最小限の地図情報を取得する。
【0103】
ここでは、上述した図9のフローチャートにおけるステップS21の地図情報の取得処理について、図11に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
ステップS41では、車両2が発車したか否かを判定する。ここで、車両2が発車すると、ステップS42へ進む。
なお、車両2の発車は、例えば、車両2に搭載されたエンジンやモータの始動によって検知することができる。
【0104】
次に、ステップS42では、車両2に搭載された車載器20のGPS受信部25が受信したGPS信号に基づいて、位置情報取得部31が、車両2の現在位置情報を取得する。
次に、ステップS43では、ステップS42において取得された車両2の現在位置情報に基づいて、交差点情報取得部32が、記憶ユニット13からダウンロード(取得)される地図情報の範囲を設定する。
【0105】
具体的には、交差点情報取得部32は、車両2の現在位置から所定の距離範囲内にある交差点や道路の情報を取得する。
なお、交差点情報取得部32は、例えば、車両2に搭載されたナビゲーション装置(図示せず)から目的地情報取得部43が取得した目的地情報を用いて、車両2の現在位置から目的地までのルート周辺の地図情報のみを取得してもよい。
【0106】
あるいは、交差点情報取得部32は、例えば、車載器20の記憶部22bに保存され走行データ取得部44が取得した車両2の過去の走行データを用いて、車両2が普段走行しているルート周辺の地図情報のみを取得してもよい。
次に、ステップS44では、交差点情報取得部32が、記憶部22bに保存された地図情報と、ステップS43において設定された地図情報との差分があるか否かを判定する。
【0107】
ここで、差分があると判定されると、ステップS45へ進む。一方、差分がないと判定されると、すでに必要な地図情報を取得済と判断し、地図情報の取得処理を終了して、図9のステップS22へ進む。
次に、ステップS45では、ステップS44において差分有りと判定されているため、その差分となる地図情報のみを取得して、車載器20の記憶部22bに保存されている地図情報を上書き保存する。そして、地図情報の取得処理を終了して、図9のステップS22へ進む。
【0108】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、図9図11に示す運転評価方法を実施する運転評価装置22およびこれを備えた運転評価システム1として、本発明を実現した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図9図11に示す運転評価方法をコンピュータに実行させる運転評価プログラムとして、本発明を実現してもよい。
【0109】
(B)
上記実施形態では、車載器20が、一時停止あるいは安全確認を行う必要があるか否かを判定し、その判定結果に基づいて、運転評価管理装置10が、必要有りと判定された無信号交差点を通過する車両2が一時停止したか、運転者3が左右の確認を行ったか等の運転行動の評価を行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、車載器側において、一時停止あるいは安全確認を行う必要があるか否かの判定から、必要有りと判定された無信号交差点を通過する車両が一時停止したか、運転者が左右の確認を行ったか等の運転行動の評価を行うまでの処理を行う構成であってもよい。
【0110】
(C)
上記実施形態では、無信号交差点通過時における車両2の運転者3の左右確認の実施の有無を判定するために、カメラ21によって撮影された運転者3の上半身を撮影された画像が用いられる例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、カメラの代わりに、運転者の顔の向きを検出する顔向きセンサによって、無信号交差点の手前における運転者の顔の向きの変化を検出し、左右確認の実施の有無を判定してもよい。
【0111】
(D)
上記実施形態では、運転評価装置22において行われる車両の一時停止または安全確認義務の有無の判定に用いられる地図情報を、運転評価管理装置10の記憶ユニット13からダウンロードして取得する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、判定に用いられる地図情報は、クラウド空間や外部サーバ等からダウンロードして取得されてもよい。
【0112】
(E)
上記実施形態では、車両2のエンジン(モータ)が始動し車載器20が起動した時に、運転評価管理装置10の記憶ユニット13から地図情報がダウンロードされて取得される例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、地図情報の取得タイミングとしては、車両のエンジン(モータ)始動時以外に、所定時間経過ごとに繰り返し行われてもよいし、車両が取得済の地図情報の範囲から外れるタイミングで行われてもよい。
【0113】
(F)
上記実施形態では、交差点情報取得部32が、車両2の現在位置情報に基づいて、交差点や道路に関する情報を取得する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、運転行動の評価に使用される地図情報として、交差点や道路に関する情報に加えて、信号機の情報等、他の情報が取得されてもよい。
【0114】
(G)
上記実施形態では、交差点情報取得部32が、車両2の発車時に、運転行動の評価に必要な最小限の地図情報を取得する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、運転行動の評価に必要な最小限の地図情報を取得するタイミングとしては、車両の発車時以外に、発車から所定時間が経過するごとに、地図情報を取得してもよい。
これにより、車両2の現在位置が発車時点から大きく移動している場合でも、最新の現在位置情報に基づいて、必要最小限の地図情報を取得することができる。
【0115】
(H)
上記実施形態では、目的地情報取得部43が、車両2に搭載されたナビゲーション装置(図示せず)から、車両2の目的地となる情報を取得する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、運転者が車載器に直接、その日の目的地を入力した情報が、目的地情報として取得されてもよい。
【0116】
(I)
上記実施形態では、運転評価装置22が、車両に搭載されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、運転評価装置が、管理者が管理するPC(Personal Computer)等に搭載されており、運転評価の結果に応じて運転者に対して注意喚起を行う報知部のみが、車両に搭載されていてもよい。
【0117】
(J)
上記実施形態では、自動車の運転者の運転行動の評価を行う対象となる車両として、乗用車(一般車両、トラック、レンタカー、カーシェアリング車両、社有車を含む)等を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、対象となる車両としては、乗用車以外に、バス、タクシー、自転車、セグウェイ等の他の車両であってもよい。
【0118】
(K)
上記実施形態では、本発明の適用場面として、一時停止標識が設置された無信号交差点における車両の運転行動判定を行うか否かを判定する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0119】
例えば、制限速度情報を用いて、速度超過の正確な評価、リアルタイム評価を実施してもよい。
また、道路種別・一方通行種別情報を用いて、一般道路上、あるいは高速道路上における逆走か否かを判定してもよい。
さらに、駐車場情報を用いて、駐車場エリア内における車両の徐行および安全確認評価を行ってもよい。
【0120】
また、踏切情報を用いて、踏切前での一時停止を評価してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明の運転評価装置は、詳細な道路リンクを用いることなく、信号機が設置されていない無信号交差点における運転者の一時停止または安全確認の義務の有無を判定することができるという効果を奏することから、各種車両の運転者の評価を行う装置に対して広く適用可能である。
【符号の説明】
【0122】
1 運転評価システム
2 車両
3 運転者
5 通信ネットワーク
6 管理者端末
10 運転評価管理装置
11 通信ユニット
12 制御ユニット
12a 運転行動評価部(運転評価部)
12b 表示部
13 記憶ユニット(記憶装置)
13a 交差点通過データ記憶部
13b 一時停止交差点情報記憶部
13c 評価結果記憶部
14 通信バス
20 車載器
21 カメラ
22 運転評価装置(運転評価装置)
22a 制御部
22aa CPU
22ab RAM
22ac ROM
22b 記憶部
22ba プログラム
22c 入出力I/F
23 加速度センサ
24 角速度センサ
25 GPS受信部
25a アンテナ
26 通信部
26a アンテナ
27 報知部
31 位置情報取得部
32 交差点情報取得部(取得部、地図情報取得部)
33 走行判定部
34 交差点抽出部
35 通過交差点判定部
36 距離算出部
37 交差点進入判定部(進入検知部)
38 GPS誤計測判定部
39 進入角度算出部(進入角度検出部)
40 判定部
41 一時停止標識判定部
42 安全確認要否判定部
43 目的地情報取得部
44 走行データ取得部
R0 主要道路
R1 生活道路
RS 標識
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11