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特許7533121鳥獣捕獲報告支援装置および鳥獣捕獲報告支援プログラム
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  • 特許-鳥獣捕獲報告支援装置および鳥獣捕獲報告支援プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】鳥獣捕獲報告支援装置および鳥獣捕獲報告支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240806BHJP
   A01M 23/00 20060101ALI20240806BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G06Q50/06
A01M23/00 Z
H02J13/00 301A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020179428
(22)【出願日】2020-10-27
(65)【公開番号】P2022070389
(43)【公開日】2022-05-13
【審査請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 浩二
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-142107(JP,A)
【文献】特開2008-261123(JP,A)
【文献】特開2019-076002(JP,A)
【文献】特開2017-176059(JP,A)
【文献】特開2020-086608(JP,A)
【文献】特開2011-204012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
A01M 23/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広域地域がメッシュ状に分割されて各網目である各保護区に識別情報が割り当てられた地図に対して、各電力設備がどの保護区に位置するかを示す保護区早見表を記憶した保護区早見表記憶手段と、
鳥獣の卵を含む捕獲物を捕獲した電力設備の識別情報が入力されると、前記保護区早見表に基づいて該電力設備が位置する保護区の識別情報を取得する支援手段と、
を備えることを特徴とする鳥獣捕獲報告支援装置。
【請求項2】
前記捕獲物を撮影する撮影手段を備え、
前記支援手段は、前記撮影手段による撮影画像を解析して前記捕獲物の種類と数を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の鳥獣捕獲報告支援装置。
【請求項3】
前記支援手段は、報告書の所定の位置に前記取得の対象を記入する、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の鳥獣捕獲報告支援装置。
【請求項4】
コンピュータを、
広域地域がメッシュ状に分割されて各網目である各保護区に識別情報が割り当てられた地図に対して、各電力設備がどの保護区に位置するかを示す保護区早見表を記憶した保護区早見表記憶手段と、
鳥獣の卵を含む捕獲物を捕獲した電力設備の識別情報が入力されると、前記保護区早見表に基づいて該電力設備が位置する保護区の識別情報を取得する支援手段、
として機能させることを特徴とする鳥獣捕獲報告支援プログラム。
【請求項5】
前記支援手段は、前記捕獲物が撮影された撮影画像を解析して前記捕獲物の種類と数を取得する、
ことを特徴とする請求項4に記載の鳥獣捕獲報告支援プログラム。
【請求項6】
前記支援手段は、報告書の所定の位置に前記取得の対象を記入する、
ことを特徴とする請求項4または5のいずれか1項に記載の鳥獣捕獲報告支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
鳥獣の子供や卵などを捕獲した場合に、都道府県などに提出すべき報告書の作成を支援する鳥獣捕獲報告支援装置および鳥獣捕獲報告支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電柱や送電鉄塔にカラスの営巣が見つかり、その除去に伴って雛や卵を捕獲する場合には、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の第9条第1項の規定に基づいて、管轄の都道府県から鳥獣捕獲等の許可を得て実施している。そして、捕獲実績については、日付や氏名、捕獲数量および捕獲場所を記載して都道府県に報告する必要がある。
【0003】
一方、工事の進捗状況を容易に把握できると共に、工事の報告書を簡単に作成することができる、という工程管理システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このシステムは、工事箇所において撮影ユニットで、その位置と工事に関する情報とを表す識別コードを撮影し、工事箇所が写った画像データを特定の工程を表す情報と関連付けて記憶するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-30519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、捕獲実績を都道府県に報告する場合、捕獲場所については、各都道府県がその都道府県をメッシュ状に区画したどの保護区であるかを報告しなければならない。具体的には、都道府県をメッシュ状に分割し各網目である各保護区に識別番号が割り当てられた鳥獣保護区等概要図に基づいて、捕獲場所がどの保護区内に位置するかを確認し、その保護区の識別番号を報告書に記入する必要がある。
【0006】
しかしながら、電柱や送電鉄塔に営巣されたカラスの卵などを捕獲した場合、捕獲場所である電柱や送電鉄塔の位置・場所を認識することはできるが、鳥獣保護区等概要図には送電線情報などが含まれていないため、捕獲場所の保護区を特定するのに時間と労力を要していた。すなわち、送電線などが図示された地図(線路経過地図・平面図等)と鳥獣保護区等概要図とを照合して保護区を特定しなければならず、時間と労力を要していた。しかも、鳥獣保護区等概要図は、その都道府県全域が表示された広域な地図で細部を把握・確認しにくいため、保護区を間違って特定してしまうおそれがあった。このように、都道府県への報告書を作成するのに時間と労力を要するばかりでなく、誤った報告書を作成してしまうおそれがあった。
【0007】
一方、特許文献1に記載のシステムでは、識別コードの画像に基づいて工事箇所の位置を特定することはできるが、その位置がどの保護区に属するかなどを特定することはできない。
【0008】
そこでこの発明は、鳥獣の子供や卵などを捕獲した場合に必要な報告書を、容易かつ適正に作成することを支援可能な鳥獣捕獲報告支援装置および鳥獣捕獲報告支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、広域地域がメッシュ状に分割されて各網目である各保護区に識別情報が割り当てられた地図に対して、各電力設備がどの保護区に位置するかを示す保護区早見表を記憶した保護区早見表記憶手段と、鳥獣の卵を含む捕獲物を捕獲した電力設備の識別情報が入力されると、前記保護区早見表に基づいて該電力設備が位置する保護区の識別情報を取得する支援手段と、を備えることを特徴とする鳥獣捕獲報告支援装置である。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の鳥獣捕獲報告支援装置において、前記捕獲物を撮影する撮影手段を備え、前記支援手段は、前記撮影手段による撮影画像を解析して前記捕獲物の種類と数を取得する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の鳥獣捕獲報告支援装置において、前記支援手段は、報告書の所定の位置に前記取得の対象を記入する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、コンピュータを、広域地域がメッシュ状に分割されて各網目である各保護区に識別情報が割り当てられた地図に対して、各電力設備がどの保護区に位置するかを示す保護区早見表を記憶した保護区早見表記憶手段と、鳥獣の卵を含む捕獲物を捕獲した電力設備の識別情報が入力されると、前記保護区早見表に基づいて該電力設備が位置する保護区の識別情報を取得する支援手段、として機能させることを特徴とする鳥獣捕獲報告支援プログラムである。
【0013】
請求項5の発明は、請求項4に記載の鳥獣捕獲報告支援プログラムにおいて、前前記支援手段は、前記捕獲物が撮影された撮影画像を解析して前記捕獲物の種類と数を取得する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項4または5に記載の鳥獣捕獲報告支援プログラムにおいて、前記支援手段は、報告書の所定の位置に前記取得の対象を記入する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1および請求書4の発明によれば、電力設備で捕獲物を捕獲した場合、この電力設備の識別情報を入力すれば、電力設備つまり捕獲場所の保護区の識別情報が取得されるため、都道府県などに提出すべき報告書を容易かつ適正に作成することが可能となる。すなわち、各電力設備が図示された地図(線路経過地図・平面図等)と各保護区に識別情報が割り当てられた地図(鳥獣保護区等概要図)とを照合して保護区を特定する必要がなく、しかも、捕獲者である電力会社の関係者は、電力設備の識別情報(線路名など)については、よく記憶していたり容易に知得、把握したりすることができる。そして、容易かつ適正に入力できる電力設備の識別情報を入力するだけで捕獲場所の保護区の識別情報が取得されるため、捕獲した保護区の識別情報を容易かつ適正に記入して報告書を作成することが可能となる。
【0016】
また、各電力設備がどの保護区に位置するかを示す保護区早見表に基づいて、対象の電力設備が位置する保護区の識別情報を取得するため、線路経過地図と鳥獣保護区等概要図とを都度照合して保護区を特定する場合などに比べて、構成が簡易となる。すなわち、電力設備に対応する保護区の識別情報を保護区早見表から読み取るだけでよいため、構成が簡易で、より迅速かつ適正に保護区の識別情報を取得することが可能となる。
【0017】
請求項2および請求書5の発明によれば、捕獲物を撮影した撮影画像が解析されて自動的に捕獲物の種類と数が取得されるため、捕獲者が捕獲物の種類と数を確認しながら報告書を作成する必要がない。このため、捕獲物の種類と数を容易かつ適正に記入して報告書
を作成することが可能となる。
【0018】
請求項3および請求書6の発明によれば、取得された保護区の識別情報や捕獲物の種類と数が報告書の所定の位置に自動的に記入されるため、捕獲者がこれらの報告事項を確認しながら報告書を作成する必要がない。このため、都道府県などに提出すべき報告書をより容易かつ適正に作成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の実施の形態に係る鳥獣捕獲報告支援装置の使用状態を示す斜視図である。
図2図1の鳥獣捕獲報告支援装置を示す概略構成ブロックである。
図3】この発明の実施の形態における鳥獣保護区等概要図を示す図である。
図4】この発明の実施の形態における保護区早見表を示す図である。
図5図1の鳥獣捕獲報告支援装置で作成支援する報告書を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0021】
図1図5は、この発明の実施の形態を示し、図1は、この実施の形態に係る鳥獣捕獲報告支援装置1の使用状態を示す斜視図である。この鳥獣捕獲報告支援装置1は、電力設備やその周辺で鳥獣の子供や卵などを捕獲した場合に、都道府県などに提出すべき報告書200の作成を支援する装置であり、この実施の形態では、スマートフォン(多機能携帯電話)で構成されているが、汎用のパーソナルコンピュータや多機能携帯端末などで構成されてもよい。また、この実施の形態では、鳥獣がカラスで捕獲物がカラスの卵または雛の場合について、以下に主として説明するが、その他の鳥獣や捕獲物にも適用できることは勿論である。
【0022】
鳥獣捕獲報告支援装置1は、図2に示すように、タッチパネル2、カメラ(撮影手段)3、GPS部4、メモリ(保護区早見表記憶手段)5、音源6、これらを制御などする中央処理部8等を備える既製、既存のスマートフォンに、報告アプリケーション(支援手段、鳥獣捕獲報告支援プログラム)7がインストールされて構成されている。
【0023】
タッチパネル2は、各種情報や画像(静止画、動画)などを表示する表示手段と、各種情報や指令などを入力する入力手段とを兼ね備えたディスプレイである。この実施の形態では、主に、カメラ3で撮影した撮影画像や後述する報告アプリケーション7で作成する報告書200などを表示したり、電力設備の選択などを入力したりする。
【0024】
カメラ3は、映像・画像を撮影する装置であり、この実施の形態では、主に、捕獲対象であるカラスの卵や雛を撮影して撮影画像を生成する。GPS部4は、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)機能を備え、GPS衛星から時刻信号電波を受信して、鳥獣捕獲報告支援装置1の現在位置の緯度と経緯とを演算するものである。
【0025】
メモリ5は、各種情報・データを記憶する記憶装置であり、この実施の形態では、主に、広域地域がメッシュ状に分割されて各網目である各保護区に識別情報が割り当てられた地図に対して、各電力設備がどの保護区に位置するかを示す保護区早見表52を記憶する。すなわち、図3に示すように、対象の都道府県の全体を示す広域地域A0が当面積のメッシュ状に分割され、各網目である各保護区に保護区番号(識別情報)A-001、A-002…が割り当てられた地図が、鳥獣保護区等概要図51として当該都道府県から提示されている。そして、保護区早見表52は、各電力設備が鳥獣保護区等概要図51におけ
るどの保護区に位置するかを示す早見表である。
【0026】
具体的には、電力設備が送電線およびその関連設備(送電鉄塔や電柱など)の場合、保護区早見表52には、図4に示すように、送電線の電圧ごとに送電線の線路名が記され、さらに、各線路名の各区間がどの保護区に位置するかが記されている。つまり、各送電線の特定区間(特定の送電鉄塔間)ごとに、その区間が位置する保護区の保護区番号が記憶されている。ここで、保護区早見表52中の「区間」には、その区間の始点の送電鉄塔番号と終点の送電鉄塔番号が記憶されている。
【0027】
このように、各送電線の区間ごとに保護区番号が記憶されているため、例えば、捕獲場所が送電鉄塔や電柱などの場合に、その送電鉄塔や電柱などが属する送電線の区間に対応する保護区番号が、その送電鉄塔や電柱などの保護区番号となる。つまり、送電線の区間がわかれば、この保護区早見表52によって当該送電線区間およびその関連設備の保護区番号がわかることになる。これに対して、送電鉄塔ごとや電柱ごと、さらには、その他の電力設備ごとに個々に保護区番号を記憶してもよい。例えば、各電柱の識別情報である各電柱番号に対応して保護区番号を記憶してもよい。
【0028】
音源6は、各種の音、音声などを収録してスピーカ(図示せず)から発する音の発生源であり、この実施の形態では、主に、報告アプリケーション7における音声ガイダンスを収録してスピーカから発する。
【0029】
報告アプリケーション7は、都道府県などに提出すべき報告書200の作成を支援するプログラムであり、コンピュータつまりスマートフォンを、上記のような保護区早見表52を記憶したメモリ5として機能させるとともに、鳥獣の卵を含む捕獲物を捕獲した電力設備の識別情報が入力されると、保護区早見表52に基づいてこの電力設備が位置する保護区の識別情報を取得し、また、捕獲物が撮影された撮影画像を解析して捕獲物の種類と数を取得し、さらに、報告書200の所定の位置に取得の対象を記入する支援手段、として機能させる。
【0030】
すなわち、報告アプリケーション7が起動されると、まず、スピーカから「捕獲する卵や雛などがすべて映るようにカメラで撮影してください。」などという音声ガイダンスを出力する。次に、捕獲物がカメラ3で撮影されると、その撮影画像を解析して捕獲物の種類と数を抽出・取得する。例えば、捕獲物の種類ごとにそのサンプル画像を予め記憶し、撮影画像とサンプル画像とを比較、照合して捕獲物の種類と数を抽出し、抽出結果と撮影画像をメモリ5に記憶する。ここで、抽出・取得する捕獲物の種類は複数であってもよく、複数の場合には、捕獲物の種類ごとに捕獲数を抽出・取得する。例えば、卵を2つ、雛を1羽などと抽出・取得する。
【0031】
続いて、保護区早見表52をタッチパネル2に表示し、スピーカから「卵などを捕獲した送電線の区間を選択してください。」などという音声ガイダンスを出力する。ここで、上記のように、特定の送電線の区間とその関連・周辺設備(送電鉄塔や電柱など)は、同じ保護区に属するため、送電鉄塔や電柱などが捕獲場所であっても、送電線の区間を電力設備の識別情報として入力させるようにしている。つまり、この実施の形態では、各送電線の区間が電力設備の識別情報に該当し、送電線の区間を選択することで電力設備の識別情報を入力することになる。例えば、図4に示す保護区早見表52において、ある区間をタッチすると送電線の区間を選択することになる。ここで、タッチパネル2には、保護区早見表52から保護区番号を除いた表を表示してもよい。
【0032】
そして、送電線の区間が選択されると、保護区早見表52に基づいてこの送電線の区間が位置する保護区の識別情報を取得する。つまり、選択された送電線の区間に対応する保
護区番号を保護区早見表52から読み取ってメモリ5に記憶する。
【0033】
次に、報告書200の所定の位置に取得の対象を記入する。ここで、各提出先(各都道府県)に応じて複数のフォーム・書式の報告書200がメモリ5に記憶され、提出先を指定することで提出先の報告書200が選択される。また、提出先の指定は、予め行って提出先を固定にしてもよいし、報告アプリケーション7の起動ごとに指定・入力するようにしてもよい。
【0034】
そして、取得の対象、つまり、メモリ5に記憶された捕獲物の種類と数および保護区番号を報告書200の該当欄(所定の位置)に記入する。すなわち、予め報告書200のフォーム・書式に応じて、捕獲物の種類と数および保護区番号を記入すべき記入欄201~203が設定され、それぞれ該当する記入欄201~203に記入する。例えば、図5に示すような報告書200の場合、捕獲物が卵の場合には、記入欄201に捕獲した卵の数を記入し、捕獲物が雛の場合には、記入欄202に捕獲した雛の数を記入する。同様に、記入欄203に保護区番号を記入する。
【0035】
続いて、日付を記入する記入欄204に所定の年月日を記入する。この実施の形態では、報告アプリケーション7を起動した年月日であって捕獲物をカメラ3で撮影した年月日、つまり、卵などを捕獲した年月日を、所定の年月日として記入欄204に記入する。これに対して、任意の年月日を記入できるようにしてもよい。また、氏名を記入する記入欄205に、報告書200の提出者の氏名・名称を記入する。この実施の形態では、予め設定・登録された氏名・名称(例えば、電力設備の所有者や保守者)を記入欄205に記入する。これに対して、任意の氏名・名称を記入できるようにしてもよい。
【0036】
次に、このような構成の鳥獣捕獲報告支援装置1の使用方法、作用などについて説明する。ここで、図1に示すように、電力設備である電柱101にカラスの巣102が営巣され、巣102の除去に伴って卵103を捕獲し、捕獲した旨の報告書200を管轄の都道府県庁Gに提出するものとする。また、卵103を捕獲する捕獲者Mは、電力設備を保守、点検などする電力会社の関係者であり、電力設備について所定の知識、技能などを有する者とする。
【0037】
まず、捕獲者Mが鳥獣捕獲報告支援装置1の報告アプリケーション7を起動させ、音声ガイダンスに従って全捕獲物である全卵103が映るようにカメラ3で撮影すると、その撮影画像が解析されて捕獲物の種類と数が抽出・取得される。このとき、巣102と卵103を電柱101から撤去する前に撮影してもよいし、撤去してから撮影してもよい。続いて、音声ガイダンスに従ってこの電柱101が属する送電線の区間を選択すると、その区間に対応する保護区番号が保護区早見表52から取得される。そして、報告書200の記入欄201~205に、捕獲物の種類と数、保護区番号、日付、氏名が記入される。その後、捕獲者Mが必要に応じてその他の事項を報告書200に記入することで報告書200が完成され、管轄の都道府県庁Gに送信することで、報告書200の提出が完了するものである。
【0038】
以上のように、この鳥獣捕獲報告支援装置1および報告アプリケーション7によれば、電柱101などの電力設備で卵103などの捕獲物を捕獲した場合、この電力設備が属する送電線の区間を選択すれば、電力設備つまり捕獲場所の保護区の保護区番号が取得される。このため、都道府県などに提出すべき報告書200を容易かつ適正に作成することが可能となる。すなわち、各電力設備が図示された地図(線路経過地図・平面図等)と各保護区に保護区番号が割り当てられた地図(鳥獣保護区等概要図51)とを照合して保護区を特定する必要がなく、しかも、捕獲者Mである電力会社の関係者は、電力設備が属する送電線の区間(電力設備の識別情報)については、よく記憶していたり容易に知得、把握
したりすることができる。そして、容易かつ適正に入力できる送電線の区間を選択・入力するだけで捕獲場所の保護区の保護区番号が取得されるため、捕獲した保護区の保護区番号を容易かつ適正に記入して報告書200を作成することが可能となる。
【0039】
また、各送電線の区間(各電力設備)がどの保護区に位置するかを示す保護区早見表52に基づいて、対象の電力設備が位置する保護区の保護区番号を取得するため、線路経過地図と鳥獣保護区等概要図51とを都度照合して保護区を特定する場合などに比べて、構成が簡易となる。すなわち、捕獲した送電線の区間に対応する保護区の保護区番号を保護区早見表52から読み取るだけでよいため、構成が簡易で、より迅速かつ適正に保護区の保護区番号を取得することが可能となる。
【0040】
また、捕獲物を撮影した撮影画像が解析されて自動的に捕獲物の種類と数が取得されるため、捕獲者Mが捕獲物の種類と数を確認しながら報告書200を作成する必要がない。このため、捕獲物の種類と数を容易かつ適正に記入して報告書200を作成することが可能となる。
【0041】
さらに、取得された保護区の保護区番号および捕獲物の種類と数、さらには、日付や氏名が報告書200の所定の位置に自動的に記入されるため、捕獲者Mがこれらの報告事項を確認しながら報告書200を作成する必要がない。このため、都道府県などに提出すべき報告書200をより容易かつ適正に作成することが可能となる。
【0042】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、報告アプリケーション7によって保護区の保護区番号や捕獲物の種類と数などを取得して報告書200に自動記入しているが、保護区番号や捕獲物の種類と数などをタッチパネル2に表示するだけでもよい。
【0043】
また、報告アプリケーション7において捕獲者Mが送電線の区間を選択するようになっているが、GPS部4で取得した位置情報に基づいて送電線の区間を自動選択するようにしてもよい。例えば、送電線を含む各電力設備の位置(緯度、経度)と系統関係が図示された系統図に基づいて、GPS部4で取得された現在位置つまり捕獲位置が、どの送電線のどの区間に属するかを自動的に割り出して選択してもよい。これにより、電柱101などがどの送電線のどの区間に属するかを捕獲者Mが知得できない場合でも、適正かつ円滑に送電線の区間を選択することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 鳥獣捕獲報告支援装置
2 タッチパネル
3 カメラ(撮影手段)
4 GPS部
5 メモリ(保護区早見表記憶手段)
51 鳥獣保護区等概要図(各保護区に識別情報が割り当てられた地図)
52 保護区早見表
6 音源
7 報告アプリケーション(支援手段、鳥獣捕獲報告支援プログラム)
101 電柱(電力設備)
102 カラスの巣
103 カラスの卵(捕獲物)
200 報告書
M 捕獲者
G 都道府県庁
図1
図2
図3
図4
図5