(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20240806BHJP
【FI】
A63B53/04 C
(21)【出願番号】P 2020181267
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【氏名又は名称】住友 教郎
(72)【発明者】
【氏名】水谷 成宏
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-017585(JP,A)
【文献】特開2001-095958(JP,A)
【文献】特開2011-125723(JP,A)
【文献】特開昭59-131378(JP,A)
【文献】特開2002-239042(JP,A)
【文献】特開2001-321467(JP,A)
【文献】特開2012-139323(JP,A)
【文献】特表2004-501688(JP,A)
【文献】特開2002-239041(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0381370(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0171219(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 49/00 - 60/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェース部と、クラウン部と、ソール部とを有しており、
前記フェース部が、バルジ及びロールを備えたフェース面を有しており、
前記フェース面が、
フェースセンターである点Fcと、前記点Fcからトウ側に20mm隔てた点Ftと、前記点Fcからヒール側に20mm隔てた点Fhと、
前記点Fcから上側に15mm隔てた点Ucと、前記点Ucからトウ側に20mm隔てた点Utと、前記点Ucからヒール側に20mm隔てた点Uhと、
前記点Fcから下側に15mm隔てた点Lcと、前記点Lcからトウ側に20mm隔てた点Ltと、前記点Lcからヒール側に20mm隔てた点Lhと、
を有しており、
トウ-ヒール方向に沿った断面において、前記点Fcでのフェース法線と前記点Ftでのフェース法線との成す角度がθt1とされ、前記点Fcでのフェース法線と前記点Fhでのフェース法線との成す角度がθh1とされるとき、角度θh1が角度θt1よりも大きく、
トウ-ヒール方向に沿った断面において、前記点Ucでのフェース法線と前記点Utでのフェース法線との成す角度がθt2とされ、前記点Ucでのフェース法線と前記点Uhでのフェース法線との成す角度がθh2とされ、前記点Lcでのフェース法線と前記点Ltでのフェース法線との成す角度がθt3とされ、前記点Lcでのフェース法線と前記点Lhでのフェース法線との成す角度がθh3とされるとき、
差(θh2-θt2)が、差(θh3-θt3)よりも大きいゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
比〔(θh2-θt2)/(θh3-θt3)〕が1.2以上である請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記点Ftにおけるバルジ半径Bt1が、前記点Fcにおけるバルジ半径Bc1よりも大きく、
前記点Fcにおける前記バルジ半径Bc1が、前記点Fhにおけるバルジ半径Bh1よりも大きい請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記点Utにおけるバルジ半径がBt2とされ、前記点Uhにおけるバルジ半径がBh2とされ、前記点Ltにおけるバルジ半径がBt3とされ、前記点Lhにおけるバルジ半径がBh3とされるとき、差(Bt2-Bh2)が差(Bt3-Bh3)よりも大きい請求項1から3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記点Ucにおけるロール半径が、前記点Lcにおけるロール半径よりも小さい請求項1から4のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のヘッドと、シャフトと、グリップとを備えたゴルフクラブであって、
クラブ重量が280g以下であり、
クラブ長さが45.75インチ以上であり、
前記シャフトの逆式フレックスが140mm以上であり、
ライ角が59度以上であるゴルフクラブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
フェース面がバルジを有するヘッドが知られている。バルジは、ホリゾンタルフェースバルジとも称される。ウッド型ゴルフクラブヘッドのフェース面は、通常、バルジを有する。
【0003】
スイートスポットよりもトウ側で打撃したとき、ギア効果(横のギア効果)によって、ボールにフック回転のサイドスピンが付与される。このサイドスピンによりボールは目標方向よりも左側に外れる。しかし、バルジにより、ギア効果が減少すると共に、ボールが目標方向よりも右側に打ち出される。この結果、打球の到達点を目標方向に近づけることができる。また、スイートスポットよりもヒール側で打撃したとき、ギア効果(横のギア効果)によって、ボールにスライス回転のサイドスピンが付与される。このサイドスピンにより、ボールは目標方向よりも右側に外れる。しかし、バルジにより、ギア効果が減少すると共に、ボールが目標方向よりも左側に打ち出される。この結果、打球の到達点を目標方向に近づけることができる。
【0004】
なお本願では、右利きゴルファーを対象とした説明がなされるが、左利きゴルファーに対しては、これらの説明は、左右を逆にして解釈される。
【0005】
特開2001-95958号公報は、距離xが20mm以上であるとき、θtx<θhxであるゴルフクラブヘッドを開示する(
図4参照)。特開2001-17585号公報は、トウ側バルジ面のバルジ半径が、ヒール側バルジ面のバルジ半径の1.2~4倍であるゴルフクラブヘッドを開示する(
図2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-95958号公報
【文献】特開2001-17585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、アベレージゴルファーは、スライス等、打球がターゲットよりも右に行くミスに悩まされている。アベレージゴルファーの中でも、非力なゴルファーでは、この傾向が顕著である。大きく右に行くミスは、OB(アウトオブバウンズ)となったり、トラブルの原因となったりして、スコアを悪くする原因となる。本願において、非力なゴルファーとは、ドライバーでのヘッドスピードが28m/s以上38m/s以下のゴルファーを意味する。
【0008】
非力なゴルファーは、飛距離の低下にも悩まされている。シャフトを柔らかく、クラブ長を長く、且つ、クラブ重量を軽くすることで、非力なゴルファーであっても、飛距離が向上しうる。
【0009】
ところが、非力なゴルファーが飛距離を伸ばすのに適したクラブは、ターゲットよりも打球が右に行くミスを助長しうることが分かった。
【0010】
本開示の目的の一つは、打球がターゲットよりも大きく右に行くミスショットを抑制しうるゴルフクラブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一つの態様では、ゴルフクラブは、フェース部と、クラウン部と、ソール部とを有している。前記フェース部が、バルジ及びロールを備えたフェース面を有している。前記フェース面が、フェースセンターである点Fcと、前記点Fcからトウ側に20mm隔てた点Ftと、前記点Fcからヒール側に20mm隔てた点Fhと、前記点Fcから上側に15mm隔てた点Ucと、前記点Ucからトウ側に20mm隔てた点Utと、前記点Ucからヒール側に20mm隔てた点Uhと、前記点Fcから下側に15mm隔てた点Lcと、前記点Lcからトウ側に20mm隔てた点Ltと、前記点Lcからヒール側に20mm隔てた点Lhと、を有している。トウ-ヒール方向に沿った断面において、前記点Fcでのフェース法線と前記点Ftでのフェース法線との成す角度がθt1とされ、前記点Fcでのフェース法線と前記点Fhでのフェース法線との成す角度がθh1とされる。角度θh1は、角度θt1よりも大きい。トウ-ヒール方向に沿った断面において、前記点Ucでのフェース法線と前記点Utでのフェース法線との成す角度がθt2とされ、前記点Ucでのフェース法線と前記点Uhでのフェース法線との成す角度がθh2とされ、前記点Lcでのフェース法線と前記点Ltでのフェース法線との成す角度がθt3とされ、前記点Lcでのフェース法線と前記点Lhでのフェース法線との成す角度がθh3とされる。差(θh2-θt2)が、差(θh3-θt3)よりも大きい。
【発明の効果】
【0012】
一つの側面として、打球がターゲットよりも大きく右に飛ぶミスショットを抑制しうるゴルフクラブが提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るゴルフクラブヘッドの平面図である。
【
図3】
図3は、
図1のゴルフクラブヘッドをヒール側から見た側面図である。
【
図4】
図4は、
図1のヘッドにおけるフェース面のトウ-ヒール方向に沿った断面線であり、フェースセンターの15mm上側における断面線である。
【
図5】
図5は、
図1のヘッドにおけるフェース面のトウ-ヒール方向に沿った断面線であり、フェースセンターにおける断面線である。
【
図6】
図6は、
図1のヘッドにおけるフェース面のトウ-ヒール方向に沿った断面線であり、フェースセンターの15mm下側における断面線である。
【
図7】
図7(a)、(b)及び(c)は、
図1のヘッドにおけるフェース面の上下方向に沿った断面線である。
図7(a)は、フェースセンターの20mmトウ側における断面線である。
図7(b)は、フェースセンターにおける断面線である。
図7(c)は、フェースセンターの20mmヒール側における断面線である。
【
図8】
図8は、比較例のヘッドにおけるフェース面のトウ-ヒール方向に沿った断面線であり、フェースセンターの15mm上側における断面線である。
【
図9】
図9は、比較例のヘッドにおけるフェース面のトウ-ヒール方向に沿った断面線であり、フェースセンターにおける断面線である。
【
図10】
図10は、比較例のヘッドにおけるフェース面のトウ-ヒール方向に沿った断面線であり、フェースセンターの15mm下側における断面線である。
【
図11】
図11(a)、(b)及び(c)は、比較例におけるヘッドのフェース面の上下方向に沿った断面線である。
図11(a)は、フェースセンターの20mmトウ側における断面線である。
図11(b)は、フェースセンターにおける断面線である。
図11(c)は、フェースセンターの20mmヒール側における断面線である。
【
図12】
図12は、一実施形態に係るゴルフクラブの全体図である。
【
図13】
図13(a)はシャフトの順式フレックスの測定方法を示す概略図であり、
図13(b)はシャフトの逆式フレックスの測定方法を示す概略図である。
【
図14】
図14は、トウ-ヒール方向及びフェース-バック方向について説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、適宜図面が参照されつつ、実施形態が詳細に説明される。
【0015】
本願では、基準状態、基準垂直面、フェース-バック方向、トウ-ヒール方向、上下方向及びフェース上下方向が定義される。所定のライ角及びリアルロフト角で水平面HP上にヘッド2が載置された状態が、基準状態とされる。
図14が示すように、この基準状態では、水平面HPに対して垂直な平面VPに、ホーゼル孔の中心線Zが含まれている。前記平面VPが、基準垂直面とされる。所定のライ角及びリアルロフト角は、例えば製品カタログに掲載されている。
【0016】
本願においてトウ-ヒール方向とは、前記基準垂直面VPと前記水平面HPとの交線NLの方向である(
図14参照)。
【0017】
本願においてフェース-バック方向とは、前記トウ-ヒール方向に対して垂直であり且つ前記水平面HPに対して平行な方向である。
【0018】
本願において上下方向とは、前記トウ-ヒール方向に対して垂直であり且つ前記フェース-バック方向に対して垂直な方向である。換言すれば、本願において上下方向とは、前記水平面HPに対して垂直な方向である。
【0019】
本願においてフェース上下方向とは、フェース面の縦断面におけるフェースセンターでの接線の方向である。この縦断面とは、フェースセンターを含み上下方向及びフェース-バック方向に沿った平面による断面である。
【0020】
本願において、フェースセンターが定義される。フェースセンターは、次のように決定される。まず、上下方向およびトウ-ヒール方向において、フェース面の概ね中央付近の任意の点Prが選択される。次に、この点Prを通り、当該点Prにおけるフェース面のフェース法線方向に沿って延び、かつトウ-ヒール方向に平行な平面が決定される。この平面とフェース面との交線を引き、その中点Pxが決定される。次に、この中点Pxを通り、当該点Pxにおけるフェース面のフェース法線方向に沿って延び、かつ上下方向に平行な平面が決定される。この平面とフェース面との交線を引き、その中点Pyが決定される。次に、この中点Pyを通り、当該点Pyにおけるフェース面のフェース法線方向に沿って延び、かつトウ-ヒール方向に平行な平面が決定される。この平面とフェース面との交線を引き、その中点Pxが新たに決定される。次に、この新たな中点Pxを通り、当該点Pxにおけるフェース面のフェース法線方向に沿って延び、かつ上下方向に平行な平面が決定される。この平面とフェース面との交線を引き、その中点Pyが新たに決定される。この工程を繰り返して、Px及びPyが順次決定される。この工程の繰り返しの中で、新たな中点Pyとその直前の中点Pyとの間の距離が最初に0.5mm以下となったときの当該新たな位置Py(最後の位置Py)が、フェースセンターである。
【0021】
図1は、一実施形態のゴルフクラブヘッド2の平面図であり、
図2はヘッド2の正面図であり、
図3はヘッド2をヒール側から見た側面図である。
【0022】
ヘッド2は、フェース部4、クラウン部6、ソール部8及びホーゼル部10を有する。フェース部4は、フェース面4aを有する。フェース面4aは、フェース部4の外面である。フェース面4aはボールを打撃する面である。フェース面4aは、フェースセンターFcを有する。ホーゼル部10は、ホーゼル孔12を有する。ホーゼル孔12は、中心線Zを有する。ヘッド2は中空である。ヘッド2は、ウッド型のゴルフクラブヘッドである。ヘッド2は、ドライバーヘッドである。典型的なドライバーヘッドの体積は、400cc以上470cc以下である。
【0023】
フェース面4aは、スイートスポットSSを有する。スイートスポットSSは、フェース面4aに垂直で且つヘッド重心を通る直線とフェース面4aとの交点である。スイートスポットSSは、フェースセンターFcよりもヒール側に位置する。
【0024】
フェース面4aは、バルジを有する。バルジは、ホリゾンダルフェースバルジとも称される。バルジは、トウ-ヒール方向に沿った断面における丸みである。フェース面4aは、ロールを有する。ロールは、バーチカルフェースロールとも称される。ロールは、上下方向に沿った断面における丸みである。バルジ及びロールに起因して、フェース面4aは、全体として凸曲面である。
【0025】
なお、本願において、トウ-ヒール方向に沿った断面とは、トウ-ヒール方向に沿っており且つ水平面HPに平行な断面を意味する。また、上下方向に沿った断面とは、上下方向に沿っており且つフェース-バック方向に沿った断面を意味する。
【0026】
図2が示すように、フェース面4aにおいて、9個の点が定義される。9個の点は、それぞれ、Fc、Ft、Fh、Uc、Ut、Uh、Lc、Lt及びLhと称される。これらは、各点の称呼として用いられ、且つ、図面における各点の符号としても用いられる。点Fcは、前述したフェースセンターである。
【0027】
フェース面4aは、点Ftを有する。点Ftは、フェースセンターFcからトウ側に20mm隔てた点である。この「20mm」は、トウ-ヒール方向に沿った距離である。
【0028】
フェース面4aは、点Fhを有する。点Fhは、フェースセンターFcからヒール側に20mm隔てた点である。この「20mm」は、トウ-ヒール方向に沿った距離である。
【0029】
フェース面4aは、点Ucを有する。点Ucは、フェースセンターFcから上側に15mm隔てた点である。この「15mm」は、フェース上下方向に沿った距離である。
【0030】
フェース面4aは、点Utを有する。点Utは、点Ucからトウ側に20mm隔てた点である。この「20mm」は、トウ-ヒール方向に沿った距離である。
【0031】
フェース面4aは、点Uhを有する。点Uhは、点Ucからヒール側に20mm隔てた点である。この「20mm」は、トウ-ヒール方向に沿った距離である。
【0032】
フェース面4aは、点Lcを有する。点Lcは、フェースセンターFcから下側に15mm隔てた点である。この「15mm」は、フェース上下方向に沿った距離である。
【0033】
フェース面4aは、点Ltを有する。点Ltは、点Lcからトウ側に20mm隔てた点である。この「20mm」は、トウ-ヒール方向に沿った距離である。
【0034】
フェース面4aは、点Lhを有する。点Lhは、点Lcからヒール側に20mm隔てた点である。この「20mm」は、トウ-ヒール方向に沿った距離である。
【0035】
フェース面4aの平面視において、点Fc、点Ft及び点Fhは、トウ-ヒール方向に沿った直線L1上にある。フェース面4aの平面視において、点Uc、点Ut及び点Uhは、トウ-ヒール方向に沿った直線L2上にある。フェース面4aの平面視において、点Lc、点Lt及び点Lhは、トウ-ヒール方向に沿った直線L3上にある。フェース面4aの平面視において、点Fc、点Uc及び点Lcは、フェース上下方向に沿った直線L4上にある。フェース面4aの平面視において、点Ft、点Ut及び点Ltは、フェース上下方向に沿った直線L5上にある。フェース面4aの平面視において、点Fh、点Uh及び点Lhは、フェース上下方向に沿った直線L6上にある。平面視とは、フェースセンターFcにおけるフェース面4aの法線に垂直な平面への投影図である。
【0036】
図4は、
図2のA-A線に沿った断面における、ヘッド外面の断面線を示す。
図5は、
図2のB-B線に沿った断面における、ヘッド外面の断面線を示す。
図6は、
図2のC-C線に沿った断面における、ヘッド外面の断面線を示す。
図4から
図6では、フェース面4a及びその周辺部の断面線のみが示されている。
【0037】
図4,
図5及び
図6が示すように、上記バルジに起因して、上下方向のいずれの位置においても、トウ-ヒール方向に沿った断面におけるフェース面4aの断面線は、ヘッドの外側に向かって凸の曲線である。
【0038】
図4が示すように、点Ucは、トウ-ヒール方向に沿った断面におけるフェース法線Uc1を有する。フェース法線Uc1は実線で示されている。点Utは、トウ-ヒール方向に沿った断面におけるフェース法線Ut1を有する。フェース法線Ut1は破線で示されている。点Uhは、トウ-ヒール方向に沿った断面におけるフェース法線Uh1を有する。フェース法線Uh1は一点鎖線で示されている。
【0039】
図4において両矢印θt2で示されるのは、フェース法線Ut1とフェース法線Uc1との成す角度である。
図4において両矢印θh2で示されるのは、フェース法線Uh1とフェース法線Uc1との成す角度である。
【0040】
図5が示すように、点Fcは、トウ-ヒール方向に沿った断面におけるフェース法線Fc1を有する。フェース法線Fc1は実線で示されている。点Ftは、トウ-ヒール方向に沿った断面におけるフェース法線Ft1を有する。フェース法線Ft1は破線で示されている。点Fhは、トウ-ヒール方向に沿った断面におけるフェース法線Fh1を有する。フェース法線Fh1は一点鎖線で示されている。
【0041】
図5において両矢印θt1で示されるのは、フェース法線Ft1とフェース法線Fc1との成す角度である。
図5において両矢印θh1で示されるのは、フェース法線Fh1とフェース法線Fc1との成す角度である。
【0042】
図6が示すように、点Lcは、トウ-ヒール方向に沿った断面におけるフェース法線Lc1を有する。フェース法線Lc1は実線で示されている。点Ltは、トウ-ヒール方向に沿った断面におけるフェース法線Lt1を有する。フェース法線Lt1は破線で示されている。点Lhは、トウ-ヒール方向に沿った断面におけるフェース法線Lh1を有する。フェース法線Lh1は一点鎖線で示されている。
【0043】
図6において両矢印θt3で示されるのは、フェース法線Lt1とフェース法線Lc1との成す角度である。
図6において両矢印θh3で示されるのは、フェース法線Lh1とフェース法線Lc1との成す角度である。
【0044】
上述した各フェース法線は、トウ-ヒール方向に沿った断面において決定される。ある点におけるフェース法線は、その点と、その点からトウ側に5mm隔てた点と、その点からヒール側に5mm隔てた点との、3点を通る円に基づいて決定される。例えば、
図4の点Ucのフェース法線Uc1は、点Ucからトウ側に5mm隔てた点P1と、点Ucからヒール側に5mm隔てた点P2と、点Ucとの3点を通る円により定まる。この円の中心と点Ucとを通る直線が、フェース法線Uc1である。なお、これらの「5mm」は、トウ-ヒール方向における距離である。上述した各角度は、トウ-ヒール方向に沿った断面における角度である。
【0045】
図5が示すように、フェース法線Fc1とフェース法線Fh1との成す角度θh1は、フェース法線Fc1とフェース法線Ft1との成す角度θt1よりも大きい。
【0046】
図4が示すように、フェース法線Uc1とフェース法線Uh1との成す角度θh2は、フェース法線Uc1とフェース法線Ut1との成す角度θt2よりも大きい。
【0047】
図6が示すように、フェース法線Lc1とフェース法線Lh1との成す角度θh3は、フェース法線Lc1とフェース法線Lt1との成す角度θt3よりも大きい。
【0048】
フェース面4aでは、差(θh2-θt2)は、差(θh3-θt3)よりも大きい。差(θh2-θt2)は、差(θh1-θt1)よりも大きい。差(θh1-θt1)は、差(θh3-θt3)よりも大きい。
【0049】
図7(a)は、
図2のD-D線に沿った断面における、ヘッド外面の断面線を示す。
図7(b)は、
図2のE-E線に沿った断面における、ヘッド外面の断面線を示す。
図7(c)は、
図2のF-F線に沿った断面における、ヘッド外面の断面線を示す。
図7(a)から(c)では、フェース面4a及びその周辺部の断面線のみが示されている。
【0050】
図7(a)、
図7(b)及び
図7(c)が示すように、上記ロールに起因して、トウ-ヒール方向のいずれの位置においても、上下方向に沿った断面におけるフェース面4aの断面線は、ヘッドの外側に向かって凸の曲線である。
【0051】
フェース面4aは、フェース面4a上の各点において、バルジ半径及びロール半径を有する。
【0052】
図4を参照して、フェース面4aは、点Ucにおいて、バルジ半径Bc2を有する。フェース面4aは、点Utにおいて、バルジ半径Bt2を有する。フェース面4aは、点Uhにおいて、バルジ半径Bh2を有する。
図5を参照して、フェース面4aは、点Fcにおいて、バルジ半径Bc1を有する。フェース面4aは、点Ftにおいて、バルジ半径Bt1を有する。フェース面4aは、点Fhにおいて、バルジ半径Bh1を有する。
図6を参照して、フェース面4aは、点Lcにおいて、バルジ半径Bc3を有する。フェース面4aは、点Ltにおいて、バルジ半径Bt3を有する。フェース面4aは、点Lhにおいて、バルジ半径Bh3を有する。これらのバルジ半径の符号は、各バルジ半径の称呼としても用いられる。
【0053】
バルジ半径Bc2、バルジ半径Bt2及びバルジ半径Bh2の平均値が、上バルジ半径と定義され、半径B2とも称呼される。バルジ半径Bc1、バルジ半径Bt1及びバルジ半径Bh1の平均値が、センターバルジ半径と定義され、半径B1とも称呼される。バルジ半径Bc3、バルジ半径Bt3及びバルジ半径Bh3の平均値が、下バルジ半径と定義され、半径B3とも称呼される。
【0054】
図7(a)を参照して、フェース面4aは、点Ftにおいて、ロール半径Rt1を有する。フェース面4aは、点Utにおいて、ロール半径Rt2を有する。フェース面4aは、点Ltにおいて、ロール半径Rt3を有する。
図7(b)を参照して、フェース面4aは、点Fcにおいて、ロール半径Rc1を有する。フェース面4aは、点Ucにおいて、ロール半径Rc2を有する。フェース面4aは、点Lcにおいて、ロール半径Rc3を有する。
図7(c)を参照して、フェース面4aは、点Fhにおいて、ロール半径Rh1を有する。フェース面4aは、点Uhにおいて、ロール半径Rh2を有する。フェース面4aは、点Lhにおいて、ロール半径Rh3を有する。これらのロール半径の符号は、各ロール半径の称呼としても用いられる。
【0055】
バルジ半径のそれぞれは、トウ-ヒール方向に沿った断面において定まる。ロール半径のそれぞれは、上下方向に沿った断面において定まる。
【0056】
ある点のバルジ半径は、その点と、その点からトウ側に5mm隔てた点と、その点からヒール側に5mm隔てた点との、3点を通る円に基づいて決定される。例えば、
図4の点Ucのバルジ半径Bc2は、点Ucからトウ側に5mm隔てた点P1と、点Ucからヒール側に5mm隔てた点P2と、点Ucとの3点を通る円の半径である。これらの「5mm」は、トウ-ヒール方向における距離である。
【0057】
ある点のロール半径は、その点と、その点から上側に5mm隔てた点と、その点から下側に5mm隔てた点との、3点を通る円に基づいて決定される。例えば、
図7(b)の点Fcのロール半径Rc1は、点Fcから上側に5mm隔てた点P3と、点Fcから下側に5mm隔てた点P4と、点Fcとの3点を通る円の半径である。これらの「5mm」は、フェース上下方向における距離である。
【0058】
フェースセンターFcから上側に15mmの位置において、バルジ半径Bt2はバルジ半径Bc2よりも大きい。バルジ半径Bt2はバルジ半径Bh2よりも大きい。バルジ半径Bc2は、バルジ半径Bh2よりも大きい。フェース面4aは、次の関係(a)を満たす。フェース面4aは、次の関係(b)を満たす。
(a)Bt2>Bh2
(b)Bt2>Bc2>Bh2
【0059】
フェースセンターFcの位置において、バルジ半径Bt1はバルジ半径Bc1よりも大きい。バルジ半径Bt1はバルジ半径Bh1よりも大きい。バルジ半径Bc1は、バルジ半径Bh1よりも大きい。フェース面4aは、次の関係(c)を満たす。フェース面4aは、次の関係(d)を満たす。
(c)Bt1>Bh1
(d)Bt1>Bc1>Bh1
【0060】
フェースセンターFcから下側に15mmの位置において、バルジ半径Bt3はバルジ半径Bc3よりも大きい。バルジ半径Bt3はバルジ半径Bh3よりも大きい。バルジ半径Bc3は、バルジ半径Bh3よりも大きい。フェース面4aは、次の関係(e)を満たす。フェース面4aは、次の関係(f)を満たす。
(e)Bt3>Bh3
(f)Bt3>Bc3>Bh3
【0061】
フェース面4aの上側におけるトウとヒールとの間のバルジ半径の差は、フェース面4aの下側におけるそれよりも小さい。ただし、フェース面4aの上側におけるトウとヒールとの間のバルジ半径の差は、フェース面4aの下側におけるそれよりも大きいのが好ましい。すなわち、差(Bt2-Bh2)は、差(Bt3-Bh3)よりも大きいのが好ましい。後述の実施例2は、この関係を満たす。
【0062】
フェースセンターFcからトウ側に20mmの位置において、ロール半径Rt2はロール半径Rt1よりも小さい。ロール半径Rt2はロール半径Rt3よりも小さい。ロール半径Rt1はロール半径Rt3よりも小さい。フェース面4aは、次の関係(g)を満たす。フェース面4aは、次の関係(h)を満たす。
(g)Rt2<Rt3
(h)Rt2<Rt1<Rt3
【0063】
フェースセンターFcの位置において、ロール半径Rc2はロール半径Rc1よりも小さい。ロール半径Rc2はロール半径Rc3よりも小さい。ロール半径Rc1はロール半径Rc3よりも小さい。フェース面4aは、次の関係(i)を満たす。フェース面4aは、次の関係(j)を満たす。
(i)Rc2<Rc3
(j)Rc2<Rc1<Rc3
【0064】
フェースセンターFcからヒール側に20mmの位置において、ロール半径Rh2はロール半径Rh1よりも小さい。ロール半径Rh2はロール半径Rh3よりも小さい。ロール半径Rh1はロール半径Rh3よりも小さい。フェース面4aは、次の関係(k)を満たす。フェース面4aは、次の関係(l)を満たす。
(k)Rh2<Rh3
(l)Rh2<Rh1<Rh3
【0065】
図8から10及び
図11(a)から(c)は、比較例のヘッドにおけるヘッド外面の断面線を示している。
図8は、
図4と同じく、フェースセンターFcから上側に15mmの位置における断面線を示す。
図9は、
図5と同じく、フェースセンターFcの位置における断面線を示す。
図10は、
図6と同じく、フェースセンターFcから下側に15mmの位置における断面線を示す。
図11(a)は、
図7(a)と同じく、フェースセンターFcからトウ側に20mmの位置における断面線を示す。
図11(b)は、
図7(b)と同じく、フェースセンターFcの位置における断面線を示す。
図11(c)は、
図7(c)と同じく、フェースセンターFcからヒール側に20mmの位置における断面線を示す。
【0066】
図9が示すように、フェース法線Fc1とフェース法線Fh1との成す角度θh1は、フェース法線Fc1とフェース法線Ft1との成す角度θt1よりも小さい。
【0067】
図8が示すように、フェース法線Uc1とフェース法線Uh1との成す角度θh2は、フェース法線Uc1とフェース法線Ut1との成す角度θt2よりも小さい。
【0068】
図10が示すように、フェース法線Lc1とフェース法線Lh1との成す角度θh3は、フェース法線Lc1とフェース法線Lt1との成す角度θt3よりも小さい。
【0069】
図11(a)から(c)を参照して、ロール半径Rt2は、ロール半径Rt1及びロール半径Rt3に等しい。ロール半径Rc2は、ロール半径Rc1及びロール半径Rc3に等しい。ロール半径Rh2は、ロール半径Rh1及びロール半径Rh3に等しい。
【0070】
図1から
図8で示される実施形態は、以下のような作用効果を奏する。
【0071】
ヘッド2では、角度θh1が、角度θt1よりも大きい(
図5参照)。この構成では、トウ側の点Ftでは、フェース法線Ft1が右を向く度合いを小さくすることができる。また、ヒール側の点Fhでは、フェース法線Fh1が左を向く度合いを大きくすることができる。よって、打球が左に飛びやすくなり、右へのミスショットが抑制される(打球方向矯正効果)。
【0072】
フェースセンターFcから15mm上側において、角度θh2が角度θt2よりも大きい(
図4参照)。このため、上述の打球方向矯正効果が更に高まる。
【0073】
フェースセンターFcから15mm下側において、角度θh3が角度θt3よりも大きい(
図6参照)。このため、上述の打球方向矯正効果が更に高まる。
【0074】
フェース面4aの上側と下側との比較において、差(θh2-θt2)が差(θh3-θt3)よりも大きい。この構成により、打球がターゲットよりも大きく右に飛ぶミスショットが抑制される。フェース面4aの上側での打撃では、ギア効果によりバックスピン量が減少し、飛距離が増加する。飛距離が大きいほど、右へのミスショットはより右にいくことになる。差(θh2-θt2)を差(θh3-θt3)よりも大きくすることで、フェース面4aの上側での打球が右側に飛びにくい。このため、飛距離が出る上打ちにおいて、大きく右に飛ぶミスショットが効果的に抑制される。
【0075】
アマチュアゴルファーでは、打球がターゲットよりも右に飛ぶミスショットが出やすい。特に非力なゴルファーでは、飛距離が小さいため、打球がターゲットよりも右に飛んだ場合でも、OB又はトラブルとなるような位置までボールが到達しないことがある。しかし、上打ちでは、飛距離が大きくなり、非力なゴルファーであっても、OB又はトラブルとなる位置までボールが飛びやすいことが判明した。差(θh2-θt2)を比較的大きくすることで、打球がターゲットよりも大きく右に飛ぶミスショットが抑制される。この結果、OB又はトラブルなど、スコアを大きく崩す原因となるミスショットを抑制することができる。この効果が、右OB抑制効果とも称される。一方、下打ちでは、飛距離が小さいため、打球が大きく右に飛ぶことは起こりにくい。このため、フェース面4aの下側は左に飛びやすくする必要性は小さく、差(θh3-θt3)を比較的小さくするのが好ましい。
【0076】
ヘッド2では、差(θh2-θt2)が差(θh1-θt1)よりも大きい。また、差(θh1-θt1)が差(θh3-θt3)よりも大きい。これらの構成も、フェース面4aの上側ほど左に飛びやすい構成であり、上述の右OB抑制効果を高めうる。
【0077】
右OB抑制効果を高める観点から、差〔(θh2-θt2)-(θh3-θt3)〕は、0.01°以上が好ましく、0.02°以上がより好ましく、0.03°以上がより好ましい。フェース面4aの形状の連続性を考慮すると、差〔(θh2-θt2)-(θh3-θt3)〕は、1.0°以下が好ましく、0.9°以下がより好ましく、0.8°以下がより好ましい。
【0078】
右OB抑制効果を高める観点から、比〔(θh2-θt2)/(θh3-θt3)〕は、1.2以上が好ましく、1.3以上がより好ましく、1.4以上がより好ましい。フェース面4aの形状の連続性を考慮すると、比〔(θh2-θt2)/(θh3-θt3)〕は、5.0以下が好ましく、4.0以下がより好ましく、3.0以下がより好ましい。
【0079】
右OB抑制効果を高める観点から、差(θh2-θt2)は、0.03°以上が好ましく、0.04°以上がより好ましく、0.05°以上がより好ましく、0.1°以上がより好ましく、0.2°以上がより好ましい。過度な矯正を防止する観点から、差(θh2-θt2)は、1.0°以下が好ましく、0.9°以下がより好ましく、0.8°以下がより好ましい。
【0080】
下打ちでターゲット方向に飛びやすくする観点から、差(θh3-θt3)は、0.5°以下が好ましく、0.4°以下がより好ましく、0.3°以下がより好ましく、0.2°以下がより好ましく、0.1°以下がより好ましく、0.05°以下がより好ましい。下打ちでターゲット方向に飛びやすくする観点から、差(θh3-θt3)は、-0.3°以上が好ましく、-0.2°以上がより好ましく、-0.1°以上がより好ましく、-0.05°以上がより好ましい。
【0081】
右OB抑制効果の観点から、点Utでの角度θt2は、点Ltでの角度θt3よりも小さいのが好ましい。下打ちでの打球方向性の観点から、点Lhでの角度θh3は、点Uhでの角度θh2よりも小さいのが好ましい。
【0082】
打球方向矯正効果の観点から、角度θt1は、5.5°以下が好ましく、4.5°以下がより好ましく、3.5°以下がより好ましく、3.2°以下がより好ましく、3.0°以下がより好ましい。過度な矯正を防止する観点から、角度θt1は、1.0°以上が好ましく、1.5°以上がより好ましく、2.0°以上がより好ましい。
【0083】
打球方向矯正効果の観点から、角度θh1は、1.0°以上が好ましく、1.5°以上がより好ましく、2.0°以上がより好ましい。過度な矯正を防止する観点から、角度θh1は、5.5°以下が好ましく、4.5°以下がより好ましく、3.5°以下がより好ましい。
【0084】
打球方向矯正効果及び右OB抑制効果の観点から、角度θt2は、5.5°以下が好ましく、4.5°以下がより好ましく、3.5°以下がより好ましく、3.2°以下がより好ましく、3.0°以下がより好ましい。い。過度な矯正を防止する観点から、角度θt2は、1.0°以上が好ましく、1.5°以上がより好ましく、2.0°以上がより好ましい。
【0085】
打球方向矯正効果の観点から、角度θh2は、1.0°以上が好ましく、1.5°以上がより好ましく、2.0°以上がより好ましい。過度な矯正を防止する観点から、角度θh2は、5.5°以下が好ましく、4.5°以下がより好ましく、3.5°以下がより好ましい。
【0086】
打球方向矯正効果の観点から、角度θt3は、5.5°以下が好ましく、4.5°以下がより好ましく、3.5°以下がより好ましく、3.2°以下がより好ましく、3.0°以下がより好ましい。過度な矯正を防止する観点から、角度θt3は、1.0°以上が好ましく、1.5°以上がより好ましく、2.0°以上がより好ましい。
【0087】
打球方向矯正効果の観点から、角度θh3は、1.0°以上が好ましく、1.5°以上がより好ましく、2.0°以上がより好ましい。過度な矯正を防止する観点から、角度θh3は、5.5°以下が好ましく、4.5°以下がより好ましく、3.5°以下がより好ましい。
【0088】
バルジ半径に関して、ヘッド2では、フェースセンターFcの位置において、次の関係(c)が成立している。
(c)Bt1>Bh1
トウ側はバルジの曲率半径を大きくすることで、トウ側のフェース法線が右を向く度合いを小さくすることができる。また、ヒール側はバルジの曲率半径を小さくすることで、ヒール側のフェース法線が左を向く度合いを大きくすることができる。よって、トウ側及びヒール側において打球が左に飛びやすくなり、右へのミスショットが抑制される。即ち、打球方向矯正効果が高まる。この効果は、次の関係(d)より一層高められうる。
(d)Bt1>Bc1>Bh1
【0089】
フェースセンターFcから上側に15mmの位置では、次の関係(a)及び(b)が成立している。これらの構成により、打球方向矯正効果がより一層向上しうる。
(a)Bt2>Bh2
(b)Bt2>Bc2>Bh2
【0090】
フェースセンターFcから下側に15mmの位置では、次の関係(e)及び(f)が成立している。これらの構成により、打球方向矯正効果がより一層向上しうる。
(e)Bt3>Bh3
(f)Bt3>Bc3>Bh3
【0091】
打球方向矯正効果の観点から、点Ftのバルジ半径Bt1は、12インチ以上が好ましく、14インチ以上がより好ましく、16インチ以上がより好ましい。過度な矯正を防止する観点から、点Ftのバルジ半径Bt1は、22インチ以下が好ましく、21インチ以下がより好ましく、20インチ以下がより好ましい。
【0092】
打球方向矯正効果の観点から、点Fhのバルジ半径Bh1は、17インチ以下が好ましく、16インチ以下がより好ましく、15インチ以下がより好ましい。過度な矯正を防止する観点から、点Fhのバルジ半径Bh1は、8インチ以上が好ましく、10インチ以上がより好ましく、12インチ以上がより好ましい。
【0093】
フェース面4a全体でバルジを構成する観点から、点Fcでのバルジ半径は、点Fhのバルジ半径と点Ftのバルジ半径との間とされるのが好ましい。この観点から、点Fcのバルジ半径Bc1は、10インチ以上が好ましく、12インチ以上がより好ましく、14インチ以上がより好ましい。この観点から、点Fcのバルジ半径Bc1は、18インチ以下が好ましく、17インチ以下がより好ましく、16インチ以下がより好ましい。
【0094】
打球方向矯正効果の観点から、点Utのバルジ半径Bt2は、12インチ以上が好ましく、14インチ以上がより好ましく、16インチ以上がより好ましい。過度な矯正を防止する観点から、点Utのバルジ半径Bt2は、22インチ以下が好ましく、21インチ以下がより好ましく、20インチ以下がより好ましい。
【0095】
打球方向矯正効果の観点から、点Uhのバルジ半径Bh2は、17インチ以下が好ましく、16インチ以下がより好ましく、15インチ以下がより好ましい。過度な矯正を防止する観点から、点Uhのバルジ半径Bh2は、8インチ以上が好ましく、10インチ以上がより好ましく、12インチ以上がより好ましい。
【0096】
点Ucでのバルジ半径は、点Uhのバルジ半径と点Utのバルジ半径との間とされるのが好ましい。この観点から、点Ucのバルジ半径Bc2は、10インチ以上が好ましく、12インチ以上がより好ましく、14インチ以上がより好ましい。この観点から、点Ucのバルジ半径Bc2は、18インチ以下が好ましく、17インチ以下がより好ましく、16インチ以下がより好ましい。
【0097】
打球方向矯正効果の観点から、点Ltのバルジ半径Bt3は、12インチ以上が好ましく、14インチ以上がより好ましく、16インチ以上がより好ましい。過度な矯正を防止する観点から、点Ltのバルジ半径Bt3は、22インチ以下が好ましく、21インチ以下がより好ましく、20インチ以下がより好ましい。
【0098】
打球方向矯正効果の観点から、点Lhのバルジ半径Bh3は、17インチ以下が好ましく、16インチ以下がより好ましく、15インチ以下がより好ましい。過度な矯正を防止する観点から、点Lhのバルジ半径Bh3は、8インチ以上が好ましく、10インチ以上がより好ましく、12インチ以上がより好ましい。
【0099】
フェース面4a全体でバルジを形成する観点から、点Lcでのバルジ半径は、点Lhのバルジ半径と点Ltのバルジ半径との間とされるのが好ましい。この観点から、点Lcのバルジ半径Bc3は、10インチ以上が好ましく、12インチ以上がより好ましく、14インチ以上がより好ましい。この観点から、点Lcのバルジ半径Bc3は、18インチ以下が好ましく、17インチ以下がより好ましく、16インチ以下がより好ましい。
【0100】
フェース面4aの上側におけるトウとヒールとの間のバルジ半径の差は、フェース面4aの下側におけるそれよりも大きいのが好ましい。すなわち、差(Bt2-Bh2)は、差(Bt3-Bh3)よりも大きいのが好ましい。この構成により、打球の到達点の左右のバラツキが抑制されうる。上打ちでは、ギア効果によりバックスピン量が減少し、飛距離が増加する。飛距離が大きいほど、右へのミスショットはより右にいくことになる。差(Bt2-Bh2)を差(Bt3-Bh3)よりも大きくすることで、飛距離が大きくなる上打ちにおいて、右へのミスショットが効果的に抑制される。この結果、大きく右に飛ぶミスショットが抑制される。すなわち、上述の右OB抑制効果がより一層高まる。
【0101】
下打ち(フェースセンターFcよりも下側での打撃)では、縦のギア効果によりバックスピンが増加するが、サイドスピンも増加しやすい。下打ちに起因するヘッド回転は完全な縦方向ではない。また、下打ちでも打点がトウ側又はヒール側にズレると横のギア効果が生ずる。これらに起因して、下打ちに起因するスピンの増加は、サイドスピンの増加を伴う。同様に、上打ち(フェースセンターFcよりも上側での打撃)でのスピンの減少は、サイドスピンの減少を伴う。なお下打ちとは、フェースセンターFcよりも下側での打撃であり、上打ちとは、フェースセンターFcよりも上側での打撃である。
【0102】
上バルジ半径B2は、下バルジ半径B3よりも大きいのが好ましい。上バルジ半径B2を大きくすることで、飛距離が出る上打ちにおいて、トウ側で打撃したときに、大きく右へ飛ぶミスショットを効果的に抑制することができる。また、飛距離が出る上打ちにおいて、ヒール側で打撃したときに、過度に左へ飛ぶショットを抑制することができる。一方、下打ちでは、飛距離が比較的少ないため、大きく右に飛ぶミスショットは生じにくい。下打ちでは、下バルジ半径B3を小さくすることで、サイドスピンにより打球をターゲットの方向に戻りやすくすることができる。トウ側での上打ちで大きく右に飛ぶミスショットを抑制し、ヒール側での上打ちで左に飛びすぎるのを抑制し、且つ、下打ちではターゲットの方向に飛びやすくすることで、打球の到達点の左右バラツキを抑制することができる(左右バラツキ抑制効果)。
【0103】
フェース面4aの連続性の観点から、センターバルジ半径B1は上バルジ半径B2より小さいのが好ましく、センターバルジ半径B1は下バルジ半径B3より大きいのが好ましい。
【0104】
左右バラツキ抑制効果の観点から、差(B2-B3)は、0.1°以上が好ましく、0.3°以上がより好ましく、0.5°以上がより好ましく、0.7°以上がより好ましい。過度な矯正を防ぐ観点から、差(B2-B3)は、3.0°以下が好ましく、2.5°以下がより好ましく、2.0°以下がより好ましい。
【0105】
左右バラツキ抑制効果の観点から、上バルジ半径B2は、14.0°以上が好ましく、14.5°以上がより好ましく、15.0°以上がより好ましい。過度な矯正を防ぐ観点から、上バルジ半径B2は、21.0°以下が好ましく、20.0°以下がより好ましく、19.0°以下がより好ましい。
【0106】
ロール半径に関して、ヘッド2では、フェースセンターFcの位置において、次の関係(i)が成立している。
(i)Rc2<Rc3
【0107】
フェース面4aの上側ではロールの曲率半径を小さくすることで、フェース法線を上に向けることができる。フェース面4aの下側ではロールの曲率半径を大きくすることで、フェース法線を上に向けることができる。結果として、上打ち及び下打ちにおいて打球の打ち出し角を高くすることができる(打ち出し角矯正効果)。非力なゴルファーでは、高い打ち出し角により安定した飛距離が得られる。非力なゴルファーでは、特に下打ち(フェース面4aの下側での打撃)において低い弾道になり飛距離が低下しやすい。しかし、フェース面4aの下側でロールの曲率半径を大きくすることで、下打ちでも安定した飛距離が得られる。
【0108】
更に、フェースセンターFcの位置において、次の関係(j)が成立している。この構成は、打ち出し角矯正効果をより一層高めうる。
(j)Rc2<Rc1<Rc3
【0109】
フェースセンターFcからトウ側に20mmの位置において、次の関係(g)及び(h)が成立している。これらの構成により、打ち出し角矯正効果がより一層向上しうる。
(g)Rt2<Rt3
(h)Rt2<Rt1<Rt3
【0110】
フェースセンターFcからヒール側に20mmの位置において、次の関係(k)及び(l)が成立している。これらの構成は、打ち出し角矯正効果をより一層高めうる。
(k)Rh2<Rh3
(l)Rh2<Rh1<Rh3
【0111】
図12は、一実施形態のゴルフクラブ20を示す。ゴルフクラブ20は、上述のヘッド2と、シャフト22と、グリップ24とを有する。ヘッド2は、シャフト22のチップ部に取り付けられている。グリップ24は、シャフト22のバット部に取り付けられている。
【0112】
図12において両矢印E1で示されているのは、クラブ長さである。クラブ長さE1が長くされることで、シャフトをしならせることができ、捕まりが向上する。非力なゴルファーにおいて飛距離を増大させつつ右へのミスショットを抑制する観点から、クラブ長さE1は、45.75インチ以上が好ましく、46.0インチ以上がより好ましく、46.25インチ以上がより好ましい。非力なゴルファーが振り切れるクラブとする観点から、クラブ長さE1は、48.0インチ以下が好ましく、47.5インチ以下がより好ましく、47.0インチ以下がより好ましく、46.75インチ以下がより好ましく、46.5インチ以下がより好ましい。クラブ長さE1は、R&A(Royal and Ancient Golf Club of Saint Andrews;全英ゴルフ協会)の規定に準拠して測定される。この規定は、R&Aが発行する最新のゴルフ規則において、「付属規則II クラブのデザイン」の「1 クラブ」における「1c 長さ」に記載されている。この測定方法は、クラブを水平面に置き、水平面に対する角度が60度の面にソールを当てて実施されることから、60度測定法とも称されている。
【0113】
なお、捕まりとは、インパクトにおいてフェース面が開かない度合いを意味する。捕まりが良好であると、右へのミスショットが軽減され、飛距離が向上する。右へのミスショットとは、打球が目標よりも右側に飛ぶミスショットを意味する。
【0114】
非力なゴルファーが振り切れるクラブとする観点から、クラブ重量は、280g以下が好ましく、275g以下がより好ましく、270g以下がより好ましく、265g以下がより好ましい。シャフト及びヘッドの強度の観点から、クラブ重量は、240g以上が好ましく、245g以上がより好ましく、250g以上がより好ましい。
【0115】
非力なゴルファーが振り切れるクラブとする観点から、ヘッド重量は、192g以下が好ましく、191g以下がより好ましく、190g以下がより好ましい。反発性能の観点から、ヘッド重量は、183g以上が好ましく、184g以上がより好ましく、185g以上がより好ましい。
【0116】
非力なゴルファーによる右へのミスショットを抑制する観点から、フェース角はフック側であるのが好ましい。すなわち、上記基準状態において、フェースセンターFcのフェース法線Fc1が、フェースセンターFcを通りフェース-バック方向に沿った直線よりも左側(フック側)を向いているのが好ましい。前述の通り、この説明は右利きゴルファーを対象としており、左利きゴルファーでは左右が逆となる。
【0117】
スイートスポットSSは、フェースセンターFcよりもヒール側に位置するのが好ましい。ヘッド重心がヒール側に位置することで、ホーゼル孔の中心線Z回りのヘッドの慣性モーメントが小さくなり、インパクトでフェース面が開きにくい。このため、右へのミスショットが抑制される。
【0118】
シャフトの逆式フレックスは大きいのが好ましい。逆式フレックスを軟らかくすることで、ヘッドが返りやすくなり、捕まりが向上しうる。この観点から、シャフトの逆式フレックスは、140mm以上が好ましく、145mm以上がより好ましく、150mm以上がより好ましい。振りやすさの観点から、シャフトの逆式フレックスは、190mm以下が好ましく、180mm以下がより好ましく、170mm以下がより好ましい。
【0119】
クラブが長く、シャフトが柔らかい場合、ヘッドスピードが増加し、飛距離が向上しうる。ところがこの場合、トウダウンが大きくなり、フェースが開きやすいことが判明した。本開示では、フェース面4aの仕様により、このフェースの開きを抑制することができる。この結果、非力なゴルファーにおいて、ヘッドスピードを高めつつ、右へのミスショットを抑制しうる。この観点から、順式フレックスと逆式フレックスとの合計は、300mm以上が好ましく、310mm以上がより好ましく、320mm以上がより好ましい。振りやすさの観点から、順式フレックスと逆式フレックスとの合計は、400mm以下が好ましく、390mm以下がより好ましく、380mm以下がより好ましい。
【0120】
図13(a)は順式フレックスの測定方法を示す概略図である。この測定では、チップ端Tpから1093mmの位置に、第一支持点S1が設定される。更に、チップ端Tpから953mmの位置に、第二支持点S2が設定される。第一支持点S1には、シャフト22を上方から支持する支持体R1が設けられる。第二支持点S2には、シャフト22を下方から支持する支持体R2が設けられる。荷重のない状態において、シャフト22のシャフト軸線は水平とされる。チップ端Tpから129mm隔てた荷重点m1に、2.7kgfの荷重を鉛直下向きに作用させる。荷重のない状態と、荷重をかけて安定した状態との間の荷重点m1の距離(mm)が、順式フレックスである。この距離は、鉛直方向に沿って測定される。
【0121】
なお、支持体R1の、シャフトと当接する部分(以下、当接部分という)の断面形状は、次の通りである。シャフト軸方向に対して平行な断面において、支持体R1の当接部分の断面形状は、凸状の丸みを有する。この丸みの曲率半径は、15mmである。シャフト軸方向に対して垂直な断面において、支持体R1の当接部分の断面形状は、凹状の丸みを有する。この凹状の丸みの曲率半径は、40mmである。シャフト軸方向に対して垂直な断面において、支持体R1の当接部分の水平方向長さ(
図13(a)における奥行き方向長さ)は、15mmである。支持体R2の当接部分の断面形状は、支持体R1のそれと同一である。荷重点m1において2.7kgfの荷重を与える荷重圧子(図示省略)の当接部分の断面形状は、シャフト軸方向に対して平行な断面において、凸状の丸みを有する。この丸みの曲率半径は、10mmである。荷重点m1において2.7kgfの荷重を与える荷重圧子(図示省略)の当接部分の断面形状は、シャフト軸方向に対して垂直な断面において、直線である。この直線の長さは、18mmである。この荷重圧子を含む重りが、荷重点m1にぶら下げられる。
【0122】
図13(b)は、逆式フレックスの測定方法を示す。第一支持点S1がチップ端Tpから12mm隔てた点とされ、第二支持点S2がチップ端Tpから152mm隔てた点とされ、荷重点m2がチップ端Tpから924mm隔てた点とされ、荷重が1.3kgfとされた他は順式フレックスと同様にして、逆式フレックスが測定される。
【0123】
特にシャフトが柔らかい場合、トウダウンが大きくなり、インパクトでフェースが右を向きやすくなる。このトウダウンの影響を抑制する観点から、クラブのライ角は、59度以上が好ましく、59.5度以上がより好ましく、60度以上がより好ましい。ライ角が過大であると、アドレスしにくい。この観点から、ライ角は、64度以下が好ましく、63度以下がより好ましく、62度以下がより好ましい。ライ角は、前記基準状態における、中心線Zと水平面HPとの成す角度である。
【0124】
右へのミスショットを抑制しつつ、打球の方向安定性を高める観点から、ヘッドの左右慣性モーメントは、4000(g・cm2)以上が好ましく、4100(g・cm2)以上がより好ましく、4200(g・cm2)以上がより好ましい。ルールにおけるヘッド体積の制約を考慮すると、ヘッドの左右慣性モーメントは、5500(g・cm2)以下が好ましく、5400(g・cm2)以下がより好ましく、5300(g・cm2)以下がより好ましい。ヘッドの左右慣性モーメントは、ヘッドの重心を通り上下方向に沿った直線回りの慣性モーメントである。この慣性モーメントは、例えば、INERTIA DYNAMICS社製のMODEL NUMBER RK/005-002を用いて測定されうる。
【実施例】
【0125】
以下、実施例によって本開示の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本開示が限定的に解釈されるべきではない。
【0126】
[実施例1]
鍛造されたフェース部材と、鋳造されたボディ部材とを溶接することで、チタン合金製のドライバーヘッドを得た。ヘッドのフェース面の仕様は、上述したフェース面4aと同じとされた。ヘッド重量は184gであった。複数のプリプレグシートを用いて、シートワインディング製法により、シャフトを得た。ゴム組成物を金型内で加熱及び加圧することにより、グリップを得た。シャフトにヘッド及びグリップを装着して、
図12に示されるゴルフクラブを得た。このゴルフクラブは、クラブ長さが47インチとされ、クラブ重量が255gとされ、ライ角が60度とされ、シャフトの逆式フレックスが150mmとされ、シャフトの順式フレックスが170mmとされた。実施例1のヘッドの仕様が、下記の表1から3に示されている。
【0127】
[実施例2]
研磨加工によりフェース面の形状を変えて表1から3に示される仕様とした他は実施例1と同じにして、実施例2のヘッド及びゴルフクラブを得た。
【0128】
[比較例]
研磨加工によりフェース面の形状を変えて表1から3に示される仕様とした他は実施例1と同じにして、比較例のヘッド及びゴルフクラブを得た。比較例のヘッドは、前述のフェース面4bと同じである。
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
ドライバーでのヘッドスピードが28m/s以上38m/s以下であり、右へのミスショットが多い5名のゴルファーが、実打テストを行った。各テスターが各クラブで5球ずつ打撃し、各クラブ毎に25の打撃データを得た。この25のショットのうち、打球の最終到達点がターゲット方向より20ヤード以上右側であったショットの数は、実施例1で3であり、実施例2で2であり、比較例で7であった。また、打球の左右ズレ幅は、実施例1で14ヤードであり、実施例2で11ヤードであり、比較例で21ヤードであった。左右ズレ幅とは、ターゲット方向からのズレ幅の平均値である。右にズレても左にズレても、このズレ幅はプラスの値とされた。
【0133】
このように、実施例は、比較例に比べて評価が高い。
【0134】
以下の付記は、本開示に含まれる発明の一部である。
[付記1]
フェース部と、クラウン部と、ソール部とを有しており、
前記フェース部が、バルジ及びロールを備えたフェース面を有しており、
前記フェース面が、
フェースセンターである点Fcと、前記点Fcからトウ側に20mm隔てた点Ftと、前記点Fcからヒール側に20mm隔てた点Fhと、
前記点Fcから上側に15mm隔てた点Ucと、前記点Ucからトウ側に20mm隔てた点Utと、前記点Ucからヒール側に20mm隔てた点Uhと、
前記点Fcから下側に15mm隔てた点Lcと、前記点Lcからトウ側に20mm隔てた点Ltと、前記点Lcからヒール側に20mm隔てた点Lhと、
を有しており、
トウ-ヒール方向に沿った断面において、前記点Fcでのフェース法線と前記点Ftでのフェース法線との成す角度がθt1とされ、前記点Fcでのフェース法線と前記点Fhでのフェース法線との成す角度がθh1とされるとき、角度θh1が角度θt1よりも大きく、
トウ-ヒール方向に沿った断面において、前記点Ucでのフェース法線と前記点Utでのフェース法線との成す角度がθt2とされ、前記点Ucでのフェース法線と前記点Uhでのフェース法線との成す角度がθh2とされ、前記点Lcでのフェース法線と前記点Ltでのフェース法線との成す角度がθt3とされ、前記点Lcでのフェース法線と前記点Lhでのフェース法線との成す角度がθh3とされるとき、
差(θh2-θt2)が、差(θh3-θt3)よりも大きいゴルフクラブヘッド。
[付記2]
比〔(θh2-θt2)/(θh3-θt3)〕が1.2以上である付記1に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記3]
前記点Ftにおけるバルジ半径Bt1が、前記点Fcにおけるバルジ半径Bc1よりも大きく、
前記点Fcにおける前記バルジ半径Bc1が、前記点Fhにおけるバルジ半径Bh1よりも大きい付記1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記4]
前記点Utにおけるバルジ半径がBt2とされ、前記点Uhにおけるバルジ半径がBh2とされ、前記点Ltにおけるバルジ半径がBt3とされ、前記点Lhにおけるバルジ半径がBh3とされるとき、差(Bt2-Bh2)が差(Bt3-Bh3)よりも大きい付記1から3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記5]
前記点Ucにおけるロール半径が、前記点Lcにおけるロール半径よりも小さい付記1から4のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記6]
付記1から5のいずれか1項に記載のヘッドと、シャフトと、グリップとを備えたゴルフクラブであって、
クラブ重量が280g以下であり、
クラブ長さが45.75インチ以上であり、
前記シャフトの逆式フレックスが140mm以上であり、
ライ角が59度以上であるゴルフクラブ。
【符号の説明】
【0135】
2・・・ゴルフクラブヘッド
4・・・フェース部
4a・・・フェース面
6・・・クラウン部
8・・・ソール部
10・・・ホーゼル部
20・・・ゴルフクラブ
22・・・シャフト
24・・・グリップ
SS・・・スイートスポット
Fc・・・フェースセンター
Ft・・・点Fcからトウ側に20mm隔てた点
Fh・・・点Fcからヒール側に20mm隔てた点
Uc・・・点Fcから上側に15mm隔てた点
Ut・・・点Ucからトウ側に20mm隔てた点
Uh・・・点Ucからヒール側に20mm隔てた点
Lc・・・点Fcから下側に15mm隔てた点
Lt・・・点Lcからトウ側に20mm隔てた点
Lh・・・点Lcからヒール側に20mm隔てた点