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特許7533134情報処理装置、照明装置および照明システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、照明装置および照明システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240806BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20240806BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240806BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20240806BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240806BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240806BHJP
【FI】
G06T7/00 660B
H04N23/56
H04N23/60 300
G06T7/70 A
F21S2/00 230
F21V23/00 110
F21V23/00 140
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020183633
(22)【出願日】2020-11-02
(65)【公開番号】P2022073569
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 俊也
(72)【発明者】
【氏名】井上 優
(72)【発明者】
【氏名】平松 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】西垣 英則
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 琢也
(72)【発明者】
【氏名】中尾 瑠衣
(72)【発明者】
【氏名】石川 琢視
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 良和
(72)【発明者】
【氏名】宮島 健一
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 知寛
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-145817(JP,A)
【文献】特開2018-165893(JP,A)
【文献】特開2011-028981(JP,A)
【文献】特開2019-191736(JP,A)
【文献】樋口啓太 外2名,手の動作に基づく複数一人称視点作業映像のアライメント,電子情報通信学会技術研究報告,一般社団法人電子情報通信学会,2016年01月14日,第115巻 第414号,pp.9~14
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00 - 9/90
F21S 2/00 - 45/70
F21V 23/00 - 99/00
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
H04N 23/00
H04N 23/40 - 23/76
H04N 23/90 - 23/959
CSDB(日本国特許庁)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部によって撮像された撮像画像を取得する取得部と;
前記取得部によって取得された前記撮像画像から作業者の体の特定部位の位置を検出する検出部と;
前記検出部によって検出された前記特定部位の位置に基づいて、前記作業者が有効作業を実施しているか無効作業を実施しているかを判別する判別部と;
を具備し、
前記検出部は、前記撮像画像から前記作業者の体の別の特定部位の位置を検出し、
前記判別部は、前記別の特定部位が所与の作業領域内に位置している場合に、前記作業者が前記無効作業を実施していると判別する
情報処理装置。
【請求項2】
前記特定部位は、前記作業者の両手である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判別部は、前記特定部位が所与の作業領域内に位置している場合に、前記作業者が前記有効作業を実施していると判別する
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判別部は、前記作業者が作業の対象物を保持していない場合に、前記作業者が前記無効作業を実施していると判別する
請求項1~3のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記作業者が1つの単位作業において前記有効作業を実施した時間と前記無効作業を実施した時間とをそれぞれ計測する計測部;
をさらに具備する請求項1~のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記作業者を撮像し、撮像画像を請求項1~のいずれか一つに記載の情報処理装置に送信する撮像部と;
前記作業者を照らす照明部と;
を具備する照明装置。
【請求項7】
照明装置と;
情報処理装置と;
を具備し、
前記照明装置は、
作業者を撮像する撮像部と;
前記作業者を照らす照明部と;
を有し、
前記情報処理装置は、
前記撮像部によって撮像された撮像画像を取得する取得部と;
前記取得部によって取得された前記撮像画像から前記作業者の体の特定部位の位置を検出する検出部と;
前記検出部によって検出された前記特定部位の位置に基づいて、前記作業者が有効作業を実施しているか無効作業を実施しているかを判別する判別部と;
を有し、
前記検出部は、前記撮像画像から前記作業者の体の別の特定部位の位置を検出し、
前記判別部は、前記別の特定部位が所与の作業領域内に位置している場合に、前記作業者が前記無効作業を実施していると判別する
照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、照明装置および照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空間に設置された複数の照明装置が照明するエリアをカメラで撮像する照明システムが導入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-162682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような照明システムでは、照明装置を作業者の作業エリアの上部に設け、作業者が不在の場合に照明装置を消灯状態とすることで、省電力化できる。しかし、従来の照明システムは、照明装置を設けた作業エリアにおける作業者の作業状況を把握することはできない。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、作業者の作業状況を把握することができる情報処理装置、照明装置および照明システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る情報処理装置は、取得部と、検出部と、判別部とを具備する。取得部は、撮像部によって撮像された撮像画像を取得する。検出部は、前記取得部によって取得された前記撮像画像から作業者の体の特定部位の位置を検出する。判別部は、前記検出部によって検出された前記特定部位の位置に基づいて、前記作業者が有効作業を実施しているか無効作業を実施しているかを判別する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、作業者の作業状況を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る照明システムが有する照明装置の外観例を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る照明システムの概要を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る撮像画像の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る撮像画像の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る撮像画像の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る撮像画像の一例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る撮像画像の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る撮像画像の一例を示す図である。
図10図10は、実施形態に係る情報処理によって得られた製造番号ごとの有効作業時間および無効作業時間の推移の一例について示す図である。
図11図11は、実施形態に係る情報処理によって得られた製造番号ごとの有効作業時間および無効作業時間の推移の一例について示す図である。
図12図12は、実施形態に係る情報処理装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下で説明する実施形態に係る情報処理装置20は、取得部23aと、検出部23bと、判別部23cとを具備する。取得部23aは、撮像部によって撮像された撮像画像を取得する。検出部23bは、取得部23aによって取得された撮像画像から作業者50の体の特定部位の位置を検出する。判別部23cは、検出部23bによって検出された特定部位の位置に基づいて、作業者50が有効作業を実施しているか無効作業を実施しているかを判別する。
【0010】
また、以下で説明する実施形態に係る情報処理装置20において、特定部位は、作業者50の両手51である。
【0011】
また、以下で説明する実施形態に係る情報処理装置20において、判別部23cは、特定部位が所与の作業領域A1内に位置している場合に、作業者50が有効作業を実施していると判別する。
【0012】
また、以下で説明する実施形態に係る情報処理装置20において、判別部23cは、作業者50が作業の対象物Xを保持していない場合に、作業者50が無効作業を実施していると判別する。
【0013】
また、以下で説明する実施形態に係る情報処理装置20において、検出部23bは、撮像画像から作業者50の体の別の特定部位の位置を検出し、判別部23cは、別の特定部位が所与の作業領域A1内に位置している場合に、作業者50が無効作業を実施していると判別する。
【0014】
また、以下で説明する実施形態に係る情報処理装置20は、作業者50が1つの単位作業において有効作業を実施した時間と無効作業を実施した時間とをそれぞれ計測する計測部23dをさらに具備する。
【0015】
また、以下で説明する実施形態に係る照明装置10は、作業者50を撮像し、撮像画像を上述の情報処理装置20に送信する撮像部と、作業者50を照らす照明部11とを具備する。
【0016】
また、以下で説明する実施形態に係る照明システム1は、照明装置10と、情報処理装置20とを具備する。照明装置10は、作業者50を撮像する撮像部と、作業者50を照らす照明部11とを有する。情報処理装置20は、撮像部によって撮像された撮像画像を取得する取得部23aと、取得部23aによって取得された撮像画像から作業者50の体の特定部位の位置を検出する検出部23bと、検出部23bによって検出された特定部位の位置に基づいて、作業者50が有効作業を実施しているか無効作業を実施しているかを判別する判別部23cと、を有する。
【0017】
以下、図面を参照して、実施形態に係る情報処理装置、照明装置および照明システムを説明する。実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0018】
[照明装置]
最初に、実施形態に係る照明装置10の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係る照明システム1が有する照明装置10の外観例を示す斜視図である。
【0019】
図1に示すように、照明装置10は、照明部11と、撮像ユニット12と、本体部13とを具備する。照明装置10は、たとえば、本体部13が天井面などに設置され、照明部11から出力される光が床面へと照射される天井直付けタイプの照明装置である。照明装置10は、たとえば工場での生産ラインの監視やオフィス内での従業員の状態監視などの用途で主に屋内で使用される。
【0020】
なお、説明を分かりやすくするために、図1には、鉛直下向きを正方向とし、鉛直上向きを負方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を図示している。また、X軸は照明装置10の長さ方向に、Y軸は照明装置10の幅方向に、それぞれ沿うように図示している。
【0021】
照明部11は、Y軸方向に沿うように配置された、長尺状のシャーシまたは基板(不図示)上に所定の間隔で配置された複数の発光素子(不図示)を有し、シャーシとの間に発光素子が収容されるよう床面側、すなわちZ軸正方向側に拡散カバー14が設けられた照明バーである。
【0022】
拡散カバー14は、たとえば、アクリルやポリカーボネートなどの透光性の材料から作られている。拡散カバー14は、フロスト処理が施されて複数の発光素子から出射される光を拡散する機能を有するようになっている。なお、拡散カバー14に適宜拡散材や着色剤を混入させてもよい。
【0023】
撮像ユニット12は、遮光カバー15と、カメラ16とを有する。カメラ16は、撮像部の一例である。撮像ユニット12は、照明部11のX軸負方向側に隣り合うように並んで配置される。
【0024】
本体部13は、照明部11および撮像ユニット12を保持する。また、本体部13は、照明装置10を天井その他の所定の位置に取り付けるための取付部材を兼ねる。
【0025】
遮光カバー15は、本体部13との間にカメラ16を覆うように本体部13のZ軸正方向側に配設される。また、遮光カバー15は、カメラ16のレンズと対向する位置に設けられた貫通口を有する。このような遮光カバー15を配設することで、照明部11の拡散カバー14から照射された光をカメラ16のレンズに入り込みにくくすることができる。
【0026】
[照明システム]
つづいて、実施形態に係る照明システム1の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、実施形態に係る照明システム1の概要を示す図である。なお、以下では、照明システム1が工場に導入される場合を例に挙げて説明する。
【0027】
図2に示すように、実施形態に係る照明システム1は、複数の照明装置10と、情報処理装置20とを備える。また、図2に示す例では、各照明装置10が工場の作業現場(たとえば、製造ラインなど)に設置される場合を示す。
【0028】
複数の照明装置10は、たとえば、生産ラインの各作業者50の作業エリア40(図4参照)の上部にそれぞれ設けられ、カメラ16により、各作業エリア40を上部から撮像する。
【0029】
情報処理装置20は、作業現場に設置された各照明装置10を管理する装置である。たとえば、情報処理装置20は、ネットワークNを介して、各照明装置10の照明部11の照明態様や、カメラ16の撮像処理などを遠隔で制御する。
【0030】
また、情報処理装置20は、各照明装置10のカメラ16で撮像された撮像画像を収集し、記憶する。たとえば、情報処理装置20によって収集された撮像画像は、作業現場の監視などに用いられる。なお、本開示において、照明装置10のカメラ16で撮像された撮像画像には、撮像映像が含まれる。
【0031】
[情報処理装置]
つづいて、実施形態に係る情報処理装置20の構成について、図3を参照しながら説明する。図3は、実施形態に係る情報処理装置20の構成を示すブロック図である。図3に示すように、情報処理装置20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを具備する。
【0032】
通信部21は、たとえば、NIC(Network Interface Card)などによって実現される。通信部21は、たとえば、ネットワークNを介して、複数の照明装置10(図2参照)との間で情報の送受信を行う。
【0033】
記憶部22は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。
【0034】
図3に示すように、記憶部22は、撮像画像記憶部22aと、作業時間記憶部22bとを具備する。撮像画像記憶部22aは、各照明装置10で撮像された撮像画像を記憶する。
【0035】
作業時間記憶部22bは、作業者50(図4参照)が1つの単位作業において有効作業を実施した時間(以下、有効作業時間とも呼称する。)と無効作業を実施した時間(以下、無効作業時間とも呼称する。)とを記憶する。
【0036】
なお、本開示において、有効作業とは、作業の対象物X(図4参照)に対して付加価値を付ける作業のことであり、たとえば、対象物Xに部品P(図4参照)やネジを取り付ける作業などである。
【0037】
また、本開示において、無効作業とは、作業の対象物Xに対して付加価値を付けない作業のことであり、たとえば、部品Pや作業用の道具を取る作業などである。さらに、本開示において、1つの単位作業とは、たとえば、1つの対象物Xに対する作業のことである。
【0038】
制御部23は、コントローラ(controller)であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などによって、情報処理装置20内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部23は、たとえば、コントローラであり、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により実現される。
【0039】
図3に示すように、制御部23は、取得部23aと、検出部23bと、判別部23cと、計測部23dとを具備し、以下に説明する制御処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部23の内部構成は、図3に示した構成に限られず、後述する制御処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0040】
取得部23aは、照明装置10のカメラ16によって撮像された撮像画像を取得する。たとえば、取得部23aは、リアルタイムで各照明装置10のカメラ16から撮像画像を取得し、取得した撮像画像を作業エリア40ごとに撮像画像記憶部22aに格納する。
【0041】
検出部23bは、各種の検出を行う。たとえば、検出部23bは、取得部23aによって取得され、撮像画像記憶部22aに格納された撮像画像から作業者50の両手51(図4参照)の位置を検出する。作業者50の両手51は、作業者50の体の特定部位の一例である。
【0042】
また、検出部23bは、取得部23aによって取得された撮像画像から作業エリア40内の対象物Xの位置を検出する。
【0043】
判別部23cは、検出部23bで検出された作業者50の両手51の位置や対象物Xの位置などに基づいて、作業者50が有効作業を実施しているか、または無効作業を実施しているかを判別する。かかる判別処理の詳細については後述する。
【0044】
計測部23dは、作業者50が1つの単位作業において有効作業を実施した時間(有効作業時間)と無効作業を実施した時間(無効作業時間)とをそれぞれ計測する。また、計測部23dは、作業者50が実施した1つの単位作業における有効作業時間と無効作業時間とを、記憶部22の作業時間記憶部22bに記憶する。
【0045】
[情報処理の詳細]
つづいて、情報処理装置20が実施する情報処理の詳細について、図4図11を参照しながら説明する。図4図9は、実施形態に係る撮像画像の一例を示す図である。
【0046】
照明装置10(図1参照)は、作業者50の作業エリア40の上部に設けられる。そして、カメラ16(図1参照)は、図4に示すように、作業エリア40を上部から撮像する。これにより、取得部23a(図3参照)によって取得された撮像画像には、上部から見た作業エリア40が含まれる。
【0047】
実施形態に係る照明装置10は、図1に示したように、照明部11とカメラ16とが近接して配置されることから、カメラ16は、照明部11からの光を遮るものが無いような撮像画像を撮像することができる。したがって、実施形態によれば、作業エリア40全体を良好に撮像することができる。
【0048】
また、図4図9の例では、複数の作業者50が、作業エリア40に配置された作業台41に沿って並んで位置し、対象物Xに対してそれぞれ別の流れ作業を実施している(たとえば、対象物Xにそれぞれ異なる部品Pを組み付ける)場合を示している。
【0049】
作業エリア40には、たとえば、複数の作業者50が共有して使用する作業台41と、個別の作業者50がそれぞれ使用する複数のサイドテーブル42とが配置される。作業台41は、たとえば、複数の作業者50が共有して実施する流れ作業などに用いられる。
【0050】
また、撮像画像において、作業台41には、作業者50ごとに作業領域A1と、搬入領域A2と、搬出領域A3とが設けられる。
【0051】
作業領域A1は、作業者50が対象物Xに対する作業を実施する領域であり、たとえば、作業者50の正面に位置する。なお、作業領域A1は、作業者50が担当する作業ごとにそれぞれ個別の範囲が指定される。
【0052】
搬入領域A2は、上流側の作業者50Aでの作業が終了した対象物Xを、かかる作業者50Aから作業者50に受け渡すために用いられる領域である。搬入領域A2は、たとえば、作業者50と上流側の作業者50Aとの間(図4では、作業者50の左手側)に位置する。
【0053】
搬出領域A3は、作業者50での作業が終了した対象物Xを、かかる作業者50から下流側の作業者50Bに受け渡すために用いられる領域である。搬出領域A3は、たとえば、作業者50と下流側の作業者50Bとの間(図4では、作業者50の右手側)に位置する。
【0054】
すなわち、作業者50の搬入領域A2は、上流側の作業者50Aの搬出領域A3となり、作業者50の搬出領域A3は、下流側の作業者50Bの搬入領域A2となる。
【0055】
そして、検出部23b(図3参照)は、図4に示すような撮像画像から、作業者50の両手51の位置を検出する。すなわち、検出部23bは、撮像画像から作業者50の右手51aの位置と左手51bの位置とをそれぞれ検出する。
【0056】
さらに、検出部23bは、取得部23aによって取得された撮像画像から、作業エリア40内の対象物Xの位置を検出する。
【0057】
ここで、実施形態では、検出部23bによって検出された作業者50の両手51の位置と、対象物Xの位置とに基づいて、作業者50が有効作業を実施しているか無効作業を実施しているかを判別部23c(図3参照)が判別する。この判別処理の詳細について、以下に説明する。
【0058】
まず、判別部23cは、作業者50が作業の対象物Xを保持しているか否かについて判定する。たとえば、作業者50が1つ以上の対象物Xの作業を仕掛かっている場合、すなわち、1つ以上の対象物Xが作業領域A1内または搬入領域A2内に位置している場合、判別部23cは、作業者50が作業の対象物Xを保持していると判定する。
【0059】
なお、本開示において、対象物Xが作業領域A1内または搬入領域A2内に位置しているとは、対象物Xの一部が作業領域A1内または搬入領域A2内に位置する場合でもよいし、対象物Xの全体が作業領域A1内または搬入領域A2内に位置する場合でもよい。
【0060】
図4の例では、上流側の作業者50Aから渡された対象物Xが搬入領域A2内に位置していることから、判別部23cは、作業者50が作業の対象物Xを保持していると判定する。
【0061】
そして、作業者50が作業の対象物Xを保持している場合、判別部23cは、作業者50の両手51が作業領域A1内に位置しているか否かについて判定する。
【0062】
なお、本開示において、両手51が作業領域A1内に位置しているとは、右手51aの一部および左手51bの一部が作業領域A1内に位置する場合でもよいし、右手51aの全体および左手51bの全体が作業領域A1内に位置する場合でもよい。
【0063】
さらに、本開示において、両手51が作業領域A1内に位置しているとは、右手51aの一部および左手51bの全体が作業領域A1内に位置する場合でもよいし、右手51aの全体および左手51bの一部が作業領域A1内に位置する場合でもよい。
【0064】
図4の例では、搬入領域A2内にある対象物Xを作業者50の左手51bが取ろうとしていることから、作業者50の左手51bは作業領域A1内に位置していない。そのため、本開示において、図4に示す作業は対象物Xに対して付加価値を付けない作業であるとみなすことができる。
【0065】
そこで、実施形態では、作業者50の両手51が作業領域A1内に位置していない場合に、判別部23cは、作業者50が無効作業を実施していると判別する。そして、図4の例に示すような状態が維持されている時間を、計測部23d(図3参照)は、作業者50の無効作業時間として積算する。
【0066】
つづいて、図5の例では、作業のために作業者50によって動かされた対象物Xが作業領域A1内に位置していることから、判別部23cは、作業者50が作業の対象物Xを保持していると判定する。
【0067】
そして、作業者50が作業の対象物Xを保持している場合、判別部23cは、作業者50の両手51が作業領域A1内に位置しているか否かについて判定する。
【0068】
図5の例では、作業領域A1内にある対象物Xに対して、作業者50が右手51aおよび左手51bを用いて作業をしていることから、作業者50の両手51が作業領域A1内に位置している。そのため、本開示において、図5に示す作業は対象物Xに対して付加価値を付ける作業であるとみなすことができる。
【0069】
そこで、実施形態では、作業者50の両手51が作業領域A1内に位置している場合に、判別部23cは、作業者50が有効作業を実施していると判別する。そして、図5の例に示すような状態が維持されている時間を、計測部23dは、作業者50の有効作業時間として積算する。
【0070】
つづいて、図6の例では、対象物Xが引き続き作業領域A1内に位置していることから、判別部23cは、作業者50が作業の対象物Xを保持していると判定する。
【0071】
そして、作業者50が作業の対象物Xを保持している場合、判別部23cは、作業者50の両手51が作業領域A1内に位置しているか否かについて判定する。
【0072】
図6の例では、サイドテーブル42にある部品Pを作業者50の右手51aが取ろうとしていることから、作業者50の右手51aは作業領域A1内に位置していない。そのため、本開示において、図6に示す作業は対象物Xに対して付加価値を付けない作業であるとみなすことができる。
【0073】
そこで、実施形態では、図4の例と同様に、作業者50の両手51が作業領域A1内に位置していない場合に、判別部23cは、作業者50が無効作業を実施していると判別する。そして、図6の例に示すような状態が維持されている時間を、計測部23dは、作業者50の無効作業時間として積算する。
【0074】
つづいて、図7の例では、作業が終了した対象物Xを作業者50が搬出領域A3に動かしている。このように、1つの対象物Xが搬出領域A3に移動した時点で、計測部23dは、かかる対象物Xに対する作業が終了したとみなし、有効作業時間および無効作業時間の計測を終了する。
【0075】
そして、計測部23dは、積算された有効作業時間および無効作業時間を作業時間記憶部22bに記憶する。さらに、計測部23dは、次の対象物Xに対する有効作業時間および無効作業時間の計測を開始する。
【0076】
これにより、計測部23dは、作業者50が実施した1つの対象物Xに対する作業(すなわち、1つの単位作業)において、有効作業を実施した時間(有効作業時間)と無効作業を実施した時間(無効作業時間)とをそれぞれ計測することができる。
【0077】
つづいて、図8の例では、1つの対象物Xが搬出領域A3に移動し、次の対象物Xに対する有効作業時間および無効作業時間の計測を開始した後に、かかる次の対象物Xがまだ作業者50の搬入領域A2内に届いていない状態を示している。
【0078】
このような場合、判別部23cは、作業者50が作業の対象物Xを保持していないと判定する。そして、本開示において、図8に示す作業は次の対象物Xに対して付加価値を付けない作業であるとみなすことができる。
【0079】
そこで、実施形態では、作業者50が作業の対象物Xを保持していない場合に、判別部23cは、作業者50が無効作業を実施していると判別する。そして、図8の例に示すような状態が維持されている時間を、計測部23dは、次の対象物Xに対する作業者50の無効作業時間として積算する。
【0080】
ここまで説明したように、実施形態では、検出部23bによって検出された作業者50の両手51の位置と、対象物Xの位置とに基づいて、作業者50が有効作業を実施しているか無効作業を実施しているかを判別することができる。したがって、実施形態によれば、作業者50の作業状況を把握することができる。
【0081】
また、実施形態では、作業者50の両手51の位置に基づいて、作業者50が有効作業を実施しているか無効作業を実施しているかを判別するとよい。これにより、作業者50が有効作業を実施しているか無効作業を実施しているかを高い精度で判別することができる。
【0082】
また、実施形態では、作業者50の両手51が作業領域A1内に位置している場合に、作業者50が有効作業を実施していると判別するとよい。これにより、作業者50が有効作業を実施しているか無効作業を実施しているかをさらに高い精度で判別することができる。
【0083】
なお、実施形態において、作業者50が有効作業を実施しているか無効作業を実施しているかを判別する体の部位は、両手51に限られない。たとえば、作業者50が両手51以外の体の部位で有効作業を実施する場合には、かかる体の部位の位置に基づいて有効作業を実施しているか無効作業を実施しているかを判別するとよい。
【0084】
また、実施形態では、作業者50が対象物Xを保持していない場合に、作業者50が無効作業を実施していると判別するとよい。これにより、作業者50が対象物Xを保持していないにも関わらず両手51が作業領域A1内に位置している場合に、作業者50が有効作業を実施していると誤って認識されることを抑制することができる。
【0085】
したがって、実施形態によれば、作業者50が有効作業を実施しているか無効作業を実施しているかをさらに高い精度で判別することができる。
【0086】
また、実施形態では、作業者50の両手51以外の体の部位の位置をさらに用いて、判別処理を実施してもよい。図9の例では、検出部23bが、作業者50の両手51の位置に加えて、作業者50の頭52の位置を検出する。作業者50の頭52は、作業者50の体の別の特定部位の一例である。
【0087】
そして、本開示では、作業者50が担当する作業において、頭52が作業領域A1内に位置することは考えにくいにも関わらず、頭52が作業領域A1内に位置する場合に、図9に示す作業は対象物Xに対して付加価値を付けない作業であるとみなすことができる。なぜなら、頭52が作業領域A1内に位置している場合、作業者50が居眠りして作業台41に突っ伏している可能性があるからである。
【0088】
このように、作業領域A1内に位置することは考えにくい別の特定部位(頭52など)が作業領域A1内に位置している場合に、判別部23cは、作業者50が無効作業を実施していると判別することができる。
【0089】
これにより、作業者50が居眠りしているにも関わらず両手51および対象物Xが作業領域A1内に位置している場合に、作業者50が有効作業を実施していると誤って認識されることを抑制することができる。
【0090】
したがって、実施形態によれば、作業者50が有効作業を実施しているか無効作業を実施しているかをさらに高い精度で判別することができる。
【0091】
なお、実施形態において、作業領域A1内に位置することは考えにくい別の特定部位は、頭52に限られず、作業者50が担当する作業の内容に応じて適宜設定することができる。
【0092】
図10および図11は、実施形態に係る情報処理によって得られた製造番号ごとの有効作業時間および無効作業時間の推移の一例について示す図である。
【0093】
図10の例では、ある工程Aにおける製造番号ごとの有効作業時間および無効作業時間の推移について示している。そして、図10の例では、一部の製造番号(ここでは、製造番号003)において、有効作業時間が所与の閾値よりも長くなっている。
【0094】
このように、有効作業時間が所与の閾値よりも長くなっている場合、工程Aの工程自体や、かかる工程Aを流れる対象物Xの設計などに問題がある可能性がある。したがって、このような場合には、工程Aの工程自体の見直しや、工程Aを流れる対象物Xの設計の見直しなどが示唆される。
【0095】
また、図11の例では、別の工程Bにおける製造番号ごとの有効作業時間および無効作業時間の推移について示している。そして、図11の例では、一部の製造番号(ここでは、製造番号004)において、無効作業時間が所与の閾値よりも長くなっている。
【0096】
このように、無効作業時間が所与の閾値よりも長くなっている場合、工程Bのラインバランスなどに問題がある可能性がある。したがって、このような場合には、工程Bのラインバランスの見直しなどが示唆される。
【0097】
[情報処理の手順]
つづいて、実施形態に係る情報処理装置20の制御処理の手順について、図12を参照しながら説明する。図12は、実施形態に係る情報処理装置20の制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0098】
図12に示すように、まず、情報処理装置20は、照明装置10のカメラ16から撮像画像を取得する(ステップS101)。そして、情報処理装置20は、前の対象物Xが搬出領域A3に移動した時点から、1つの対象物Xに対する作業時間(有効作業時間および無効作業時間)の計測を開始する(ステップS102)。
【0099】
次に、情報処理装置20は、撮像画像における対象物Xおよび作業者50の両手51の位置を検出する(ステップS103)。そして、情報処理装置20は、作業者50が対象物Xを保持しているか否かを判定する(ステップS104)。
【0100】
そして、作業者50が対象物Xを保持している場合(ステップS104,Yes)、情報処理装置20は、作業者50の両手51が作業領域A1内に位置しているか否かを判定する(ステップS105)。
【0101】
そして、作業者50の両手51が作業領域A1内に位置している場合(ステップS105,Yes)、情報処理装置20は、作業者50が有効作業を実施していると判別し(ステップS106)、作業者50の作業時間を有効作業時間として積算する(ステップS107)。
【0102】
次に、情報処理装置20は、1つの単位作業が終了したか否かを判定する(ステップS108)。そして、1つの単位作業が終了した場合(ステップS108,Yes)、情報処理装置20は、対象物Xの作業時間の計測を終了する(ステップS109)。
【0103】
最後に、情報処理装置20は、計測された対象物Xの作業時間(有効作業時間および無効作業時間)を作業時間記憶部22bに記憶して(ステップS110)、一連の処理を終了する。
【0104】
一方、ステップS104の処理において、作業者50が対象物Xを保持していない場合(ステップS104,No)、情報処理装置20は、作業者50が無効作業を実施していると判別し(ステップS111)、作業者50の作業時間を無効作業時間として積算する(ステップS112)。そして、情報処理装置20は、ステップS108の処理に移行する。
【0105】
また、ステップS105の処理において、作業者50の両手51が作業領域A1内に位置していない場合(ステップS105,No)、情報処理装置20は、ステップS111の処理に移行する。
【0106】
[実施形態の効果]
上述してきたように、実施形態に係る情報処理装置20は、カメラ16で撮像された撮像画像における作業者50の両手51の位置に基づいて、かかる作業者50が有効作業を実施しているか無効作業を実施しているかを判別する。このため、実施形態に係る情報処理装置20は、作業者50の作業状況を把握することができる。
【0107】
[変形例]
上記した実施形態では、工場内で同じ高さに設置される複数の照明装置10を用いて、複数の作業者50の作業内容を把握していたが、より高い位置に設けられる別の照明装置をさらに用いてもよい。かかる別の照明装置は、照明装置10と同様に、照明部とカメラとを有する。
【0108】
そして、この別の照明装置によって、工場内におけるさらに広い範囲を撮像する。これにより、たとえば、工程のラインバランスに問題があると判断された場合に、ラインバランスが悪くなる原因(たとえば、対象物Xの流れの詳細など)についても推測することができる。
【0109】
また、上記した実施形態では、作業者50の両手51の位置と、対象物Xの位置とに基づいて作業者50が有効作業を実施しているか無効作業を実施しているかを判別していたが、作業者50の両手51の位置だけに基づいて、作業者50が有効作業を実施しているか無効作業を実施しているかを判別してもよい。
【0110】
これにより、対象物Xの位置を検出する工程を省略することができることから、作業者50が有効作業を実施しているか無効作業を実施しているかを簡便に判別することができる。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0112】
1 照明システム
10 照明装置
11 照明部
16 カメラ(撮像部の一例)
20 情報処理装置
21 通信部
22 記憶部
22a 撮像画像記憶部
22b 作業時間記憶部
23 制御部
23a 取得部
23b 検出部
23c 判別部
23d 計測部
50 作業者
51 両手(体の特定部位の一例)
52 頭(体の別の特定部位の一例)
A1 作業領域
X 対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12