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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】機電一体ユニット
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240806BHJP
   H02K 5/24 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02K5/24 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020200073
(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公開番号】P2022087928
(43)【公開日】2022-06-14
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】結城 啓介
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-126035(JP,A)
【文献】特開2019-146431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02M 3/00
H05K 5/02
H02K 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを内蔵するモータモジュールと、
前記モータに接続された第1電力変換回路と、
前記第1電力変換回路を収容するとともに前記モータモジュールに取り付けられた第1ケースと、
前記第1電力変換回路に接続された第2電力変換回路と、
前記第2電力変換回路を収容するとともに前記第1ケースに取り付けられた第2ケースと、備え、
前記第1ケースは、第1面を有し、
前記第2ケースは、前記第1ケースの前記第1面と対向する第2面を有し、
前記第1ケースの前記第1面と前記第2ケースの前記第2面との間には、前記第1面と前記第2面との間の空間の少なくとも一部を取り囲む壁が設けられており
前記壁は、前記第1面に設けられた第1部分と、前記第2ケースの前記第2面に設けられているとともに、前記第1部分と対向する第2部分とを有する、機電一体ユニット。
【請求項2】
前記壁は、前記第1ケースの前記第1面と前記第2ケースの前記第2面との間で一巡する周壁と、前記周壁に取り囲まれた空間を第1空間と第2空間とに分割する分割壁とを有する、請求項1に記載の機電一体ユニット。
【請求項3】
モータを内蔵するモータモジュールと、
前記モータに接続された第1電力変換回路と、
前記第1電力変換回路を収容するとともに前記モータモジュールに取り付けられた第1ケースと、
前記第1電力変換回路に接続された第2電力変換回路と、
前記第2電力変換回路を収容するとともに前記第1ケースに取り付けられた第2ケースと、備え、
前記第1ケースは、第1面を有し、
前記第2ケースは、前記第1ケースの前記第1面と対向する第2面を有し、
前記第1ケースの前記第1面と前記第2ケースの前記第2面との間には、前記第1面と前記第2面との間の空間の少なくとも一部を取り囲む壁が設けられており
前記壁は、前記第1ケースの前記第1面と前記第2ケースの前記第2面との間で一巡する周壁と、前記周壁に取り囲まれた空間を第1空間と第2空間とに分割する分割壁とを有する、機電一体ユニット。
【請求項4】
前記第1ケースの前記第1面と前記第2ケースの前記第2面が対向する方向において、前記第1空間の寸法は、前記第2空間の寸法よりも小さい、請求項2又は3に記載の機電一体ユニット。
【請求項5】
前記第1ケース及び前記第2ケースの一方には、前記第1ケースの前記第1面と前記第2ケースの前記第2面との間に介在するカバーが設けられており、
前記第1空間の前記寸法は、前記カバーと、前記第1ケース及び前記第2ケースの他方とによって画定される、請求項に記載の機電一体ユニット。
【請求項6】
前記カバーは、前記第1空間に面する面において、凹凸形状を有する、請求項に記載の機電一体ユニット。
【請求項7】
前記カバーは、前記第2ケースに設けられており、
前記カバーと前記第2ケースの前記第2面との間には、前記第2電力変換回路を冷却するための冷却水路が画定されている、請求項又はに記載の機電一体ユニット。
【請求項8】
前記カバーは、その周縁において前記第2ケースに固定される複数の固定部を有し、前記複数の固定部は、前記第1空間の外部に位置している、請求項からのいずれか一項に記載の機電一体ユニット。
【請求項9】
前記壁は、前記第1ケースの前記第1面と前記第2ケースの前記第2面との少なくとも一方に設けられている、請求項1から8のいずれか一項に記載の機電一体ユニット。
【請求項10】
前記第1電力変換回路は、インバータ回路であり、前記第2電力変換回路は、コンバータ回路である、請求項1から9のいずれか一項に記載の機電一体ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、機電一体ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、機電一体ユニットが開示されている。この機電一体ユニットは、モータを内蔵するモータモジュールと、モータに電気的に接続された電力変換装置とを備える。電力変換装置は、インバータ回路といった電力変換回路と、それを収容するケースとを有しており、そのケースがモータモジュールのハウジングに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-115903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機電一体ユニットでは、例えばDC-DCコンバータ回路とインバータ回路との組み合わせといった、二以上の電力変換回路が設けられてもよい。この場合、二つの電力変換回路がそれぞれ別個のケースに収容され、それらのケースがモータモジュール上へ重畳的に取り付けられることがある。しかしながら、このような構成であると、モータモジュールからの振動は、二つのケースへ順に伝搬して、二つのケースをそれぞれ振動させる。このとき、二つのケースの間に空間が存在していると、その空間において空間共鳴が生じるおそれがあり、モータモジュールからの振動に起因するノイズ音が、過度に増幅されてしまう。以上を鑑み、本明細書は、機電一体ユニットから発生するノイズ音を抑制し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する機電一体ユニットは、モータを内蔵するモータモジュールと、モータに接続された第1電力変換回路と、第1電力変換回路を収容するとともにモータモジュールに取り付けられた第1ケースと、第1電力変換回路に接続された第2電力変換回路と、第2電力変換回路を収容するとともに第1ケースに取り付けられた第2ケースと備える。第1ケースは、第1面を有し、第2ケースは、第1ケースの第1面と対向する第2面を有し、第1ケースの第1面と第2ケースの第2面との間には、第1面と第2面との間の空間の少なくとも一部を取り囲む壁が設けられている。
【0006】
上記した機電一体ユニットでは、第1電力変換回路を収容する第1ケースの第1面(例えば上面)と、第2電力変換回路を収納する第2ケースの第2面(例えば下面)とが、互いに対向している。従って、第1ケースの第1面と第2ケースの第2面との間において、上述したような空間共鳴が生じるおそれがある。しかしながら、第1ケースの第1面と第2ケースの第2面との間には、第1面と第2面との間の空間の少なくとも一部を取り囲む壁が設けられている。このような構成によると、二つのケースの間で空間共鳴が生じたとしても、そのノイズ音が外部へ漏洩することを壁によって抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例の機電一体ユニット10の模式図を示す。
図2】機電一体ユニット10の電気回路図を示す。
図3】インバータモジュール30とコンバータモジュール40との間の構造を示す。
図4】機電一体ユニット10の平面図を示す。図4では、流路カバー46以外のコンバータモジュール40の図示が省略されている。
図5図4のV-V線における端面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本技術の一実施形態において、壁は、第1ケースの第1面と第2ケースの第2面との少なくとも一方に設けられてもよい。例えば、壁の少なくとも一部が、第1ケースの第1面に設けられていると、当該第1面の剛性が高まることによって、当該第1面に生じる振動が抑止される。これにより、第1ケースと第2ケースとの間における空間共鳴を抑制することができる。同様に、壁の少なくとも一部が、第2ケースの第2面に設けられている場合でも、第1ケースと第2ケースとの間における空間共鳴を抑制することができる。しかしながら、他の実施形態として、壁は、第1ケース及び第2ケースとは独立した部材で構成されてもよい。
【0009】
本技術の一実施形態において、壁は、第1面に設けられた第1部分と、第2ケースの第2面に設けられているとともに、第1部分と対向する第2部分とを有してもよい。このような構成によると、第1ケースの第1面及び第2ケースの第2面の各剛性がそれぞれ高められ、それらの間における空間共鳴をより効果的に抑制することができる。
【0010】
本技術の一実施形態において、壁は、第1ケースの第1面と第2ケースの第2面との間で一巡する周壁と、周壁に取り囲まれた空間を第1空間と第2空間とに分割する分割壁とを有してもよい。このような構成によると、壁に囲まれた空間が細分化されることで、二つのケースの間で生じる空間共鳴や、それに起因するノイズ音の漏洩を、効果的に抑制することができる。
【0011】
本技術の一実施形態において、第1ケースの第1面と第2ケースの第2面が対向する方向において、第1空間の寸法は、第2空間の寸法よりも小さくてもよい。即ち、第1空間と第2空間との間で高さが互いに異なってもよい。このような構成によると、第1空間と第2空間との間で共鳴周波数が互いに相違することで、空間共鳴の発生や、それに起因するノイズ音の増幅を抑制することができる。
【0012】
上記した実施形態では、第1ケース及び第2ケースの一方に、第1ケースの第1面と第2ケースの第2面との間に介在するカバーが設けられてもよい。この場合、第1空間の前述した寸法は、カバーと、第1ケース及び第2ケースの他方とによって画定されてもよい。
【0013】
本技術の一実施形態において、カバーは、第1空間に面する面において、凹凸形状を有してもよい。カバーが凹凸形状を有していると、カバーの剛性が高まり、それによってカバーの振動が抑制される。加えて、カバーの凹凸形状により、第1空間における共鳴周波数も様々に変化する。従って、空間共鳴の発生や、それに起因するノイズ音の増幅を効果的に抑制することができる。
【0014】
本技術の一実施形態において、カバーは、第2ケースに設けられてもよい。この場合、カバーと第2ケースの第2面との間には、第2電力変換回路を冷却するための冷却水路が画定されてもよい。
【0015】
本技術の一実施形態において、カバーは、その周縁において第2ケースに固定される複数の固定部を有してもよい。この場合、複数の固定部は、第1空間の外部に位置していてもよい。このような構成によると、複数の固定部よりも内側において、カバーを壁によって支持することができ、カバーに生じる振動を抑制することができる。
【0016】
本技術の一実施形態において、第1電力変換回路は、インバータ回路であってもよく、第2電力変換回路は、コンバータ回路であってもよい。
【実施例
【0017】
図面を参照して、実施例の機電一体ユニット10について説明する。機電一体ユニット10は、例えば電気自動車、燃料電池車、ハイブリッド自動車等の電動車両に採用することができる。図1図2に示すように、機電一体ユニット10は、モータモジュール20と、電力変換装置50とを備え、それらが一体に構成されている。モータモジュール20は、モータMと、モータMに接続された減速機Rとを内蔵する。モータMには、バッテリ16から電力変換装置50を介して電力が供給される。モータMが出力するトルクは、減速機Rを介して電動車両の車輪に伝達される。
【0018】
電力変換装置50は、インバータモジュール30と、コンバータモジュール40とを含む。インバータモジュール30は、インバータ回路12と、インバータ回路12を収容するインバータケース32とを備える。コンバータモジュール40は、コンバータ回路14とコンバータ回路14を収容するコンバータケース42とを備える。インバータケース32は、モータモジュール20上に取り付けられている。コンバータケース42は、インバータケース32上に取り付けられている。このように、インバータケース32とコンバータケース42とは、モータモジュール20上に重畳的に配置されている。ここで、本実施例におけるインバータケース32は、本技術における第1ケースの一例であり、本実施例におけるコンバータケース42は、本技術における第2ケースの一例である。
【0019】
モータMは、インバータ回路12及びコンバータ回路14を介して、バッテリ16に接続されている。コンバータ回路14は、DC-DCコンバータである。コンバータ回路14は、バッテリ16から供給された直流電力を昇圧して、インバータ回路12へ出力する。インバータ回路12は、三相交流のインバータ回路構造を有する。インバータ回路12は、コンバータ回路14から出力された直流電力を三相交流電力に変換して、モータMへ出力する。
【0020】
図3に示すように、インバータケース32は、例えば箱形状を有しており、コンバータケース42側に位置する上面32aを有する。コンバータケース42についても、例えば箱形状を有しており、インバータケース32側に位置する下面42bを有する。インバータケース32の上面32aと、コンバータケース42の下面42bとは、互いに対向している。ここで、本実施例におけるインバータケース32の上面32aは、本技術における第1ケースの第1面の一例であり、本実施例におけるコンバータケース42の下面42bは、本技術における第2ケースの第2面の一例である。
【0021】
インバータケース32の上面32aには、穴32hが設けられており、コンバータケース42の下面42bには、穴42hが設けられている。インバータ回路12とコンバータ回路14とを接続するケーブルは、それらの穴32h、42hを通過するように配置される。
【0022】
図3図5に示すように、コンバータケース42の下面42bには、流路カバー46が設けられている。流路カバー46は、概して板部材である。特に限定されないが、流路カバー46は、複数の固定部48において、コンバータケース42に取り付けられている。複数の固定部48は、流路カバー46の周縁46eに沿って配置されている。各々の固定部48は、例えばボルト等の締結部材を用いて、コンバータケース42に固定されている。
【0023】
流路カバー46の上面46aは、コンバータケース42の下面42bに対向している。流路カバー46の上面46aと、コンバータケース42の下面42bとの間には、コンバータ回路14を冷却するための冷却水路47が画定されている。一方、流路カバー46の下面46bは、インバータケース32の上面32aに対向している。流路カバー46の下面46bは、凹凸形状46cを有する。これにより、流路カバー46の剛性が高められている。
【0024】
コンバータケース42の下面42bには、複数の凸部42cが設けられている。複数の凸部42cは、流路カバー46と対向する範囲に設けられており、冷却水路47を複数に分割している。これにより、冷却水路47を流れる冷媒が、冷却水路47の全体に亘って広がりやすく、コンバータ回路14を冷却する冷却性能が高められる。また、凸部42cが存在することで、コンバータケース42の剛性も高められている。
【0025】
インバータケース32の上面32aと、コンバータケース42の下面42bとの間には、防音壁54が設けられている。防音壁54は、インバータケース32の上面32aとコンバータケース42の下面42bとの間の空間を、取り囲むように設けられている。インバータケース32の上面32aと、コンバータケース42の下面42bとが対向する方向(以降、高さ方向と称する)において、該空間の寸法は、防音壁54の寸法と略等しい。但し、防音壁54の寸法は、その製造誤差の範囲において、該空間の寸法よりも小さくてもよい。
【0026】
防音壁54は、インバータケース32に設けられた下側部分34と、コンバータケース42に設けられた上側部分44とを含む。防音壁54の下側部分34は、インバータケース32の上面32aへ一体に形成されており、コンバータケース42に向けて上方に突出している。防音壁54の上側部分44は、コンバータケース42の下面42bへ一体に形成されており、インバータケース32に向けて下方に突出している。インバータケース32に設けられた防音壁54の下側部分34は、コンバータケース42に設けられた上側部分44又は流路カバー46に対向している。なお、他の実施形態として、防音壁54の少なくとも一部が、インバータケース32及びコンバータケース42から独立した別部材で構成されてもよい。あるいは、防音壁54の少なくとも一部が、流路カバー46の下面46bへ一体に形成されてもよい。
【0027】
防音壁54は、周壁34a、44aと、分割壁34bとを有する。周壁34a、44aは枠形状を有しており、一巡するように設けられている。分割壁34bは、周壁34a、44aの内側に設けられており、周壁34aに取り囲まれた空間を、第1空間S1と第2空間S2とに分割している。一例ではあるが、本実施例における分割壁34bは、インバータケース32の上面32aに設けられており、特に、流路カバー46に対向する範囲に設けられている。従って、第1空間S1については、インバータケース32の上面32aと、流路カバー46の下面46bとの間に画定されている。一方、第2空間S2については、流路カバー46の外側に位置しており、インバータケース32の上面32aと、コンバータケース42の下面42bとの間に画定されている。
【0028】
本実施例の機電一体ユニット10では、インバータ回路12を収容するインバータケース32と、コンバータ回路14を収容するコンバータケース42とが、モータモジュール20上へ重畳的に取り付けられている。これにより、インバータケース32の上面32aと、コンバータケース42の下面42bとが、互いに対向する構造となっている。このような構造であると、インバータケース32の上面32aと、コンバータケース42の下面42bとの間において、空間共鳴が生じるおそれがある。この場合、モータモジュール20からの振動に起因するノイズ音が、空間共鳴によって過度に増幅されることがある。
【0029】
上記の点に関して、本実施例の機電一体ユニット10では、インバータケース32の上面32aと、コンバータケース42の下面42bとの間に、防音壁54が設けられている。防音壁54は、インバータケース32の上面32aとコンバータケース42の下面42bとの間の空間の少なくとも一部を、取り囲むように設けられている。このような構成によると、二つのケース32、42の間で空間共鳴が生じたとしても、そのノイズ音が外部へ漏洩することを防音壁54によって抑制することができる。これにより、機電一体ユニット10から発生するノイズ音を、有意に低減することができる。
【0030】
本実施例の機電一体ユニット10では、防音壁54の下側部分34が、インバータケース32の上面32aへ一体に設けられており、防音壁54の上側部分44が、コンバータケース42の下面42bへ一体に設けられている。このような構成によると、インバータケース32の上面32a及びコンバータケース42の下面42bの各剛性がそれぞれ高められ、それらの間における空間共鳴をより効果的に抑制することができる。
【0031】
本実施例の機電一体ユニット10では、防音壁54が、インバータケース32とコンバータケース42との間で一巡する周壁34a、44aと、周壁34a、44aに取り囲まれた空間S1、S2を第1空間S1と第2空間S2とに分割する分割壁34bとを有する。このような構成によると、防音壁54に囲まれた空間S1、S2が細分化されることで、二つのケース32、42の間で生じる空間共鳴や、それに起因するノイズ音の漏洩を、効果的に抑制することができる。
【0032】
本実施例の機電一体ユニット10では、第1空間S1の高さ寸法(高さ方向における寸法)が、第2空間S2の高さ寸法よりも小さい。即ち、第1空間S1の高さ寸法は、インバータケース32の上面32aから、流路カバー46の下面46bまでの距離に等しい。一方、第2空間S2の高さ寸法は、インバータケース32の上面32aから、コンバータケース42の下面42bまでの距離に等しい。これまでの説明から明らかなように、流路カバー46の下面46bから、流路カバー46の下面46bまでの距離は、インバータケース32の上面32aから、コンバータケース42の下面42bまでの距離よりも小さい。従って、第1空間S1の高さ寸法は、第2空間S2の高さ寸法よりも小さくなる。このように、第1空間S1と第2空間S2との間で高さ寸法が互いに異なると、第1空間S1と第2空間S2との間で共鳴周波数が互いに相違する。これにより、空間共鳴の発生や、それに起因するノイズ音の増幅を抑制することができる。
【0033】
本実施例の機電一体ユニット10では、流路カバー46の下面46bが、凹凸形状46cを有している。前述したように、流路カバー46が凹凸形状46cを有していると、流路カバー46の剛性が高まることから、流路カバー46の振動が抑制される。加えて、流路カバー46の凹凸形状46cにより、第1空間S1における高さ寸法が様々に変化することで、第1空間S1における共鳴周波数も様々に変化する。これにより、空間共鳴の発生や、それに起因するノイズ音の増幅を効果的に抑制することができる。但し、流路カバー46の下面46bは、凹凸形状46cを有さなくてもよい。
【0034】
本実施例の機電一体ユニット10では、流路カバー46が、複数の固定部48において、コンバータケース42に取り付けられている。そして、複数の固定部48は、第1空間S1の外部に位置している。このような構成によると、複数の固定部48よりも内側において、流路カバー46を壁34bによって支持することができ、流路カバー46に生じる変形や振動を抑制することができる。但し、他の実施形態として、複数の固定部48の少なくとも一部が、第1空間S1の内部に位置してもよい。
【0035】
本実施例の機電一体ユニット10では、防音壁54が、多重に設けられてもよい。これにより、機電一体ユニット10が発生するノイズ音をさらに抑制することができる。
【0036】
但し、第1空間S1及び第2空間S2は、上記した構成に限定されず、高さ方向において、第1空間S1の寸法と第2空間S2の寸法が略等しくてもよい。この場合、コンバータケース42の流路カバー46は、第1空間S1と第2空間S2とに亘って延びていてもよいし、機電一体ユニット10に流路カバー46が設けられていなくてもよい。あるいは、流路カバーは、インバータケース32の上面32aに設けられていてもよい。
【0037】
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書、又は、図面に説明した技術要素は、単独で、あるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。本明細書又は図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0038】
10:機電一体ユニット
12:インバータ回路
14:コンバータ回路
20:モータモジュール
30:インバータモジュール
32:インバータケース
32a:上面
34:下側部分
34a:周壁
34b:分割壁
40:コンバータモジュール
42:コンバータケース
42b:下面
44:上側部分
44a:周壁
46:流路カバー
46c:凹凸形状
46e:周縁
47:冷却水路
48:固定部
50:電力変換装置
54:防音壁
M:モータ
R:減速機
S1:第1空間
S2:第2空間
図1
図2
図3
図4
図5