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特許7533179スクランブル装置およびスクランブル方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】スクランブル装置およびスクランブル方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/2347 20110101AFI20240806BHJP
   H04N 21/266 20110101ALI20240806BHJP
   G06F 21/60 20130101ALI20240806BHJP
   H04L 9/00 20220101ALI20240806BHJP
【FI】
H04N21/2347
H04N21/266
G06F21/60 320
H04L9/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020200727
(22)【出願日】2020-12-03
(65)【公開番号】P2022088740
(43)【公開日】2022-06-15
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】池田 拓真
(72)【発明者】
【氏名】岩本 昌也
(72)【発明者】
【氏名】山田 正寿
(72)【発明者】
【氏名】浅井 真二
(72)【発明者】
【氏名】海野 光晴
【審査官】醍醐 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-235326(JP,A)
【文献】特開2008-124529(JP,A)
【文献】特開2016-116065(JP,A)
【文献】特開2015-133573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
G06F 21/60-21/88
H04L 9/00-9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ECM送信装置から繰り返し送信される、スクランブル鍵を含むECM(Entitlement Control Message)を受信し、コンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置であって、
前記ECMは、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含み、前記偶数鍵および前記奇数鍵は交互に更新されるものであり、
前記ECMを受信して記憶部に保存するECM管理部と、
前記ECM管理部により受信された前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化するスクランブル部と、
前記スクランブル部により暗号化された前記コンテンツ情報、および前記スクランブル部において前記コンテンツ情報の暗号化に用いられた前記スクランブル鍵を含む前記ECMを出力する出力部とを備え、
前記スクランブル部は、前記ECM管理部による前記ECMの受信が途絶えた場合、前記受信が途絶えている期間における少なくとも一部の期間において、前記記憶部における前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化する、スクランブル装置。
【請求項2】
前記ECM管理部は、前記偶数鍵または前記奇数鍵が異なる複数種類の前記ECMを前記偶数鍵または前記奇数鍵の更新に伴って連続して前記記憶部に保存し、
前記スクランブル部は、前記ECM管理部による前記ECMの受信が途絶えた場合、前記記憶部における前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を、前記記憶部に保存された順が最新の前記ECMから逆順に用いて前記コンテンツ情報を暗号化する、請求項1に記載のスクランブル装置。
【請求項3】
前記スクランブル部は、前記記憶部における前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を、前記ECMが前記記憶部に保存された順と逆順または同順に、かつ前記逆順と前記同順との切り替えにおいて同じ前記ECMが連続するように用いて前記コンテンツ情報を暗号化する、請求項1または請求項2に記載のスクランブル装置。
【請求項4】
前記ECMは、更新周期に従う更新タイミングごとに前記偶数鍵および前記奇数鍵が交互に更新されるものであり、
前記スクランブル部は、前記ECM管理部による前記ECMの受信が途絶えた場合、前記記憶部に保存された順が最新の前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を複数の前記更新周期にわたって継続して用いて前記コンテンツ情報を暗号化する、請求項1に記載のスクランブル装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記ECM管理部による前記ECM送信装置からの前記ECMの受信が再開された再開タイミングの後、前記スクランブル部において前記ECM管理部により前記再開タイミング以降に受信された前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いた前記コンテンツ情報の暗号化が開始されるまでの期間において、暗号化されていない前記コンテンツ情報を出力する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のスクランブル装置。
【請求項6】
ECM送信装置から繰り返し送信される、スクランブル鍵を含むECMを受信し、コンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置であって、
前記ECMは、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含み、前記偶数鍵および前記奇数鍵は交互に更新されるものであり、
前記ECMを受信するECM管理部と、
前記ECM管理部により受信された前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化するスクランブル部と、
前記スクランブル部により暗号化された前記コンテンツ情報、および前記スクランブル部において前記コンテンツ情報の暗号化に用いられた前記スクランブル鍵を含む前記ECMを出力する出力部とを備え、
前記出力部は、前記ECM管理部による前記ECMの受信が途絶えた場合、暗号化されていない前記コンテンツ情報の出力を開始する、スクランブル装置。
【請求項7】
ECM送信装置から繰り返し送信される、スクランブル鍵を含むECMを受信し、コンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置におけるスクランブル方法であって、
前記ECMは、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含み、前記偶数鍵および前記奇数鍵は交互に更新されるものであり、
前記ECMを受信して記憶部に保存するステップと、
受信した前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化するステップと、
暗号化した前記コンテンツ情報、および前記コンテンツ情報の暗号化に用いた前記スクランブル鍵を含む前記ECMを出力するステップとを含み、
前記コンテンツ情報を暗号化するステップにおいては、前記ECM送信装置からの前記ECMの受信が途絶えた場合、前記受信が途絶えている期間における少なくとも一部の期間において、前記記憶部における前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化する、スクランブル方法。
【請求項8】
ECM送信装置から繰り返し送信される、スクランブル鍵を含むECMを受信し、コンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置におけるスクランブル方法であって、
前記ECMは、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含み、前記偶数鍵および前記奇数鍵は交互に更新されるものであり、
前記ECMを受信するステップと、
受信した前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化するステップと、
暗号化した前記コンテンツ情報、および前記コンテンツ情報の暗号化に用いた前記スクランブル鍵を含む前記ECMを出力するステップとを含み、
前記コンテンツ情報および前記ECMを出力するステップにおいては、前記ECM送信装置からの前記ECMの受信が途絶えた場合、暗号化されていない前記コンテンツ情報の出力を開始する、スクランブル方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スクランブル装置およびスクランブル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル放送により配信されるコンテンツを管理するためのCAS(Conditional Access System)に関する技術が開発されている。
【0003】
たとえば、JLabs SPEC-035 2.1版、“高度ケーブル自主放送運用仕様”、一般社団法人 日本ケーブルラボ(Japan Cable Laboratories)、2018年12月25日(非特許文献1)には、CASに関する各種規格が開示されている。すなわち、非特許文献1には、ECM(Entitlement Control Message)が適用されるES(Elementary Stream)のスクランブル鍵が変更される場合には、スクランブル鍵の変更に先だってECMが更新される旨が開示されている。また、非特許文献1には、スクランブル鍵の変更において、偶数鍵から奇数鍵、そして奇数鍵から偶数鍵の順に変更され、同一鍵が続けて変更されることはない旨が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】JLabs SPEC-035 2.1版、“高度ケーブル自主放送運用仕様”、一般社団法人 日本ケーブルラボ(Japan Cable Laboratories)、2018年12月25日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外部装置において生成されたECMを用いてコンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置において、外部装置からのECMの受信が途絶えた場合においてもコンテンツ情報の送信を継続して行うことが可能な技術が望まれる。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、外部装置において生成されたECMを用いてコンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置において、外部装置からのECMの受信が途絶えた場合においてもコンテンツ情報の送信を継続して行うことが可能なスクランブル装置およびスクランブル方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のスクランブル装置は、ECM送信装置から繰り返し送信される、スクランブル鍵を含むECMを受信し、コンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置であって、前記ECMは、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含み、前記偶数鍵および前記奇数鍵は交互に更新されるものであり、前記ECMを受信して記憶部に保存するECM管理部と、前記ECM管理部により受信された前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化するスクランブル部と、前記スクランブル部により暗号化された前記コンテンツ情報、および前記スクランブル部において前記コンテンツ情報の暗号化に用いられた前記スクランブル鍵を含む前記ECMを出力する出力部とを備え、前記スクランブル部は、前記ECM管理部による前記ECMの受信が途絶えた場合、前記受信が途絶えている期間における少なくとも一部の期間において、前記記憶部における前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化する。
【0008】
本開示のスクランブル装置は、ECM送信装置から繰り返し送信される、スクランブル鍵を含むECMを受信し、コンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置であって、前記ECMは、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含み、前記偶数鍵および前記奇数鍵は交互に更新されるものであり、前記ECMを受信するECM管理部と、前記ECM管理部により受信された前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化するスクランブル部と、前記スクランブル部により暗号化された前記コンテンツ情報、および前記スクランブル部において前記コンテンツ情報の暗号化に用いられた前記スクランブル鍵を含む前記ECMを出力する出力部とを備え、前記出力部は、前記ECM管理部による前記ECMの受信が途絶えた場合、暗号化されていない前記コンテンツ情報の出力を開始する。
【0009】
本開示のスクランブル方法は、ECM送信装置から繰り返し送信される、スクランブル鍵を含むECMを受信し、コンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置におけるスクランブル方法であって、前記ECMは、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含み、前記偶数鍵および前記奇数鍵は交互に更新されるものであり、前記ECMを受信して記憶部に保存するステップと、受信した前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化するステップと、暗号化した前記コンテンツ情報、および前記コンテンツ情報の暗号化に用いた前記スクランブル鍵を含む前記ECMを出力するステップとを含み、前記コンテンツ情報を暗号化するステップにおいては、前記ECM送信装置からの前記ECMの受信が途絶えた場合、前記受信が途絶えている期間における少なくとも一部の期間において、記記憶部における前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化する。
【0010】
本開示のスクランブル方法は、ECM送信装置から繰り返し送信される、スクランブル鍵を含むECMを受信し、コンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置におけるスクランブル方法であって、前記ECMは、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含み、前記偶数鍵および前記奇数鍵は交互に更新されるものであり、前記ECMを受信するステップと、受信した前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化するステップと、暗号化した前記コンテンツ情報、および前記コンテンツ情報の暗号化に用いた前記スクランブル鍵を含む前記ECMを出力するステップとを含み、前記コンテンツ情報および前記ECMを出力するステップにおいては、前記ECM送信装置からの前記ECMの受信が途絶えた場合、暗号化されていない前記コンテンツ情報の出力を開始する。
【0011】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備えるスクランブル装置として実現され得るだけでなく、スクランブル装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、スクランブル装置における処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得たり、スクランブル装置を備える放送システムとして実現され得たり、放送システムの一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、放送システムにおける処理をステップとする方法として実現され得たり、放送システムにおける処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、外部装置において生成されたECMを用いてコンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置において、外部装置からのECMの受信が途絶えた場合においてもコンテンツ情報の送信を継続して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示の第1の実施の形態に係る放送システムの構成を示す図である。
図2図2は、本開示の第1の実施の形態に係るECM送信装置により送信されるECMに含まれるスクランブル鍵の一例を示す図である。
図3図3は、本開示の第1の実施の形態に係る放送システムにおけるTSパケットのフォーマットを示す図である。
図4図4は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置の構成を示す図である。
図5図5は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置におけるECM検出部によるフォーマット変換の一例を示す図である。
図6図6は、本開示の第1の実施の形態に係る放送システムにおけるセクションデータのフォーマットを示す図である。
図7図7は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置におけるスクランブル部がTSパケットの暗号化に用いるスクランブル鍵を示す図である。
図8図8は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置におけるECMの受信タイミングおよびコンテンツ情報の暗号化に用いるスクランブル鍵を示すタイミングチャートの一例を示す図である。
図9図9は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置における記憶部に保存されたECMの一例を示す図である。
図10図10は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置におけるスクランブル部がTSパケットの暗号化に用いるスクランブル鍵の一例を示す図である。
図11図11は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置におけるスクランブル部がTSパケットの暗号化に用いるスクランブル鍵の一例を示す図である。
図12図12は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置におけるスクランブル部がTSパケットの暗号化に用いるスクランブル鍵の他の例を示す図である。
図13図13は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置がスクランブル処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図14図14は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置がスクランブル処理を行う際の動作手順の他の例を定めたフローチャートである。
図15図15は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置がスクランブル処理を行う際の動作手順の他の例を定めたフローチャートである。
図16図16は、本開示の第1の実施の形態に係るECM送信装置における出力部により出力されるコンテンツ情報の一例を示す図である。
図17図17は、本開示の第2の実施の形態に係るスクランブル装置の構成を示す図である。
図18図18は、本開示の第2の実施の形態に係るスクランブル装置がスクランブル処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0015】
(1)本開示の実施の形態に係るスクランブル装置は、ECM送信装置から繰り返し送信される、スクランブル鍵を含むECMを受信し、コンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置であって、前記ECMは、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含み、前記偶数鍵および前記奇数鍵は交互に更新されるものであり、前記ECMを受信して記憶部に保存するECM管理部と、前記ECM管理部により受信された前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化するスクランブル部と、前記スクランブル部により暗号化された前記コンテンツ情報、および前記スクランブル部において前記コンテンツ情報の暗号化に用いられた前記スクランブル鍵を含む前記ECMを出力する出力部とを備え、前記スクランブル部は、前記ECM管理部による前記ECMの受信が途絶えた場合、前記受信が途絶えている期間における少なくとも一部の期間において、前記記憶部における前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化する。
【0016】
このように、受信したECMを記憶部に保存し、ECMの受信が途絶えた場合、記憶部におけるECMに含まれるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化する構成により、たとえばECM送信装置の故障、保守作業によるECM送信装置の停止およびECM送信装置とスクランブル装置との間の伝送経路における不具合等によりECMの受信が途絶えた場合においても、コンテンツ情報の暗号化および暗号化されたコンテンツ情報の出力を継続することができる。したがって、外部装置において生成されたECMを用いてコンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置において、外部装置からのECMの受信が途絶えた場合においてもコンテンツ情報の送信を継続して行うことができる。
【0017】
(2)好ましくは、前記ECM管理部は、前記偶数鍵または前記奇数鍵が異なる複数種類の前記ECMを前記偶数鍵または前記奇数鍵の更新に伴って連続して前記記憶部に保存し、前記スクランブル部は、前記ECM管理部による前記ECMの受信が途絶えた場合、前記記憶部における前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を、前記記憶部に保存された順が最新の前記ECMから逆順に用いて前記コンテンツ情報を暗号化する。
【0018】
このような構成により、記憶部における複数種類のECMを用いて、暗号化に用いるスクランブル鍵を更新することができるので、ECMの受信が途絶えた状況におけるコンテンツ情報のセキュリティ性を向上させることができる。
【0019】
(3)好ましくは、前記スクランブル部は、前記記憶部における前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を、前記ECMが前記記憶部に保存された順と逆順または同順に、かつ前記逆順と前記同順との切り替えにおいて同じ前記ECMが連続するように用いて前記コンテンツ情報を暗号化する。
【0020】
このような構成により、暗号化に用いるスクランブル鍵をより長期間にわたって更新し続けることができるので、ECMの受信が途絶えた状況におけるコンテンツ情報のセキュリティ性をさらに向上させることができる。
【0021】
(4)好ましくは、前記スクランブル部は、前記ECM管理部による前記ECMの受信が途絶えた場合、前記記憶部に保存された順が最新の前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を複数の前記更新周期にわたって継続して用いて前記コンテンツ情報を暗号化する。
【0022】
このような構成により、1種類のECMを用いて、暗号化に用いるスクランブル鍵をより長期間にわたって更新し続けることができるので、ECMの受信が途絶えた状況において、コンテンツ情報の暗号化のための処理を簡易化しながらコンテンツ情報のセキュリティ性を向上させることができる。
【0023】
(5)好ましくは、前記出力部は、前記ECM管理部による前記ECM送信装置からの前記ECMの受信が再開された再開タイミングの後、前記スクランブル部において前記ECM管理部により前記再開タイミング以降に受信された前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いた前記コンテンツ情報の暗号化が開始されるまでの期間において、暗号化されていない前記コンテンツ情報を出力する。
【0024】
このような構成により、ECM送信装置からのECMの受信が再開された再開タイミングの後、コンテンツ情報のCASに関する規格に従う暗号化が開始されるまでの期間において、コンテンツ情報の出力を継続することができるので、加入者宅においてより確実に番組の再生を継続することができる。
【0025】
(6)本開示の実施の形態に係るスクランブル装置は、ECM送信装置から繰り返し送信される、スクランブル鍵を含むECMを受信し、コンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置であって、前記ECMは、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含み、前記偶数鍵および前記奇数鍵は交互に更新されるものであり、前記ECMを受信するECM管理部と、前記ECM管理部により受信された前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化するスクランブル部と、前記スクランブル部により暗号化された前記コンテンツ情報、および前記スクランブル部において前記コンテンツ情報の暗号化に用いられた前記スクランブル鍵を含む前記ECMを出力する出力部とを備え、前記出力部は、前記ECM管理部による前記ECMの受信が途絶えた場合、暗号化されていない前記コンテンツ情報の出力を開始する。
【0026】
このように、ECMの受信が途絶えた場合、暗号化されていないコンテンツ情報を出力する構成により、たとえばECM送信装置の故障、保守作業によるECM送信装置の停止およびECM送信装置とスクランブル装置との間の伝送経路における不具合等によりECMの受信が途絶えた場合においても、コンテンツ情報の出力を継続することができる。したがって、外部装置において生成されたECMを用いてコンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置において、外部装置からのECMの受信が途絶えた場合においてもコンテンツ情報の送信を継続して行うことができる。
【0027】
(7)本開示の実施の形態に係るスクランブル方法は、ECM送信装置から繰り返し送信される、スクランブル鍵を含むECMを受信し、コンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置におけるスクランブル方法であって、前記ECMは、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含み、前記偶数鍵および前記奇数鍵は交互に更新されるものであり、前記ECMを受信して記憶部に保存するステップと、受信した前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化するステップと、暗号化した前記コンテンツ情報、および前記コンテンツ情報の暗号化に用いた前記スクランブル鍵を含む前記ECMを出力するステップとを含み、前記コンテンツ情報を暗号化するステップにおいては、前記ECM送信装置からの前記ECMの受信が途絶えた場合、前記受信が途絶えている期間における少なくとも一部の期間において、前記記憶部における前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化する。
【0028】
このように、受信したECMを記憶部に保存し、ECMの受信が途絶えた場合、記憶部におけるECMに含まれるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化する方法により、たとえばECM送信装置の故障、保守作業によるECM送信装置の停止およびECM送信装置とスクランブル装置との間の伝送経路における不具合等によりECMの受信が途絶えた場合においても、コンテンツ情報の暗号化および暗号化されたコンテンツ情報の出力を継続することができる。したがって、外部装置において生成されたECMを用いてコンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置において、外部装置からのECMの受信が途絶えた場合においてもコンテンツ情報の送信を継続して行うことができる。
【0029】
(8)本開示の実施の形態に係るスクランブル方法は、ECM送信装置から繰り返し送信される、スクランブル鍵を含むECMを受信し、コンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置におけるスクランブル方法であって、前記ECMは、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含み、前記偶数鍵および前記奇数鍵は交互に更新されるものであり、前記ECMを受信するステップと、受信した前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化するステップと、暗号化した前記コンテンツ情報、および前記コンテンツ情報の暗号化に用いた前記スクランブル鍵を含む前記ECMを出力するステップとを含み、前記コンテンツ情報および前記ECMを出力するステップにおいては、前記ECM送信装置からの前記ECMの受信が途絶えた場合、暗号化されていない前記コンテンツ情報の出力を開始する。
【0030】
このように、ECMの受信が途絶えた場合、暗号化されていないコンテンツ情報を出力する方法により、たとえばECM送信装置の故障、保守作業によるECM送信装置の停止およびECM送信装置とスクランブル装置との間の伝送経路における不具合等によりECMの受信が途絶えた場合においても、コンテンツ情報の出力を継続することができる。したがって、外部装置において生成されたECMを用いてコンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置において、外部装置からのECMの受信が途絶えた場合においてもコンテンツ情報の送信を継続して行うことができる。
【0031】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0032】
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る放送システムの構成を示す図である。図1を参照して、放送システム401は、ECM送信装置201と、EMM(Entitlement Management Message)送信装置202と、スクランブル装置101と、エンコーダ装置111と、リマックス装置121と、複数のSTB(Set Top Box)301とを備える。STB301には、図示しないCASモジュールが接続されている。
【0033】
たとえば、ECM送信装置201およびエンコーダ装置111は、互いに異なる場所に設けられる。より詳細には、ECM送信装置201およびEMM送信装置202は、番組配信センタ251に設けられる。エンコーダ装置111、スクランブル装置101およびリマックス装置121は、ケーブルテレビ局151に設けられる。STB301は、加入者宅351に設けられる。STB301は、図示しないケーブルテレビ放送受信装置を含む。
【0034】
番組配信センタ251は、コンテンツをケーブルテレビ局151経由で加入者宅351へ配信する。番組配信センタ251は、コンテンツと、加入者宅351ごとの契約情報とを一括して管理する。
【0035】
ECM送信装置201は、コンテンツの一例である番組に関する情報と、映像情報および音声情報等のコンテンツ情報を暗号化するためのスクランブル鍵と、各種制御情報とを含むECMを生成する。当該ECMは、スクランブル鍵として偶数鍵KEおよび奇数鍵KOを含み、かつ偶数鍵KEおよび奇数鍵KOが交互に更新される。たとえば、偶数鍵KEおよび奇数鍵KOは、更新周期UCに従う更新タイミングUTごとに交互に更新される。更新周期UCは、たとえば8秒である。
【0036】
ECM送信装置201は、生成したECMを、ワーク鍵を用いて暗号化し、暗号化したECMをスクランブル装置101へ送信する。より詳細には、ECM送信装置201は、暗号化したECMを含むセクションデータを生成し、生成したセクションデータが複数に分割された情報を含む複数のTSパケットを、たとえば1または複数のIP(Internet Protocol)パケットに含めてIP伝送網211経由でスクランブル装置101へ送信する。IP伝送網211では、IPプロトコルに従って、IPパケットが伝送される。
【0037】
図2は、本開示の第1の実施の形態に係るECM送信装置により送信されるECMに含まれるスクランブル鍵の一例を示す図である。
【0038】
図2を参照して、たとえば、ECM送信装置201は、ECMを所定周期PCで繰り返しスクランブル装置101へ送信する。具体的には、ECM送信装置201は、更新タイミングUT1から次の更新タイミングUT2までの期間において、奇数鍵KO1および偶数鍵KE2を含むECM_E1を所定周期PCで繰り返し送信し、更新タイミングUT2から次の更新タイミングUT3までの期間において、偶数鍵KE2および奇数鍵KO3を含むECM_E2を所定周期PCで繰り返し送信し、更新タイミングUT3から次の更新タイミングUT4までの期間において、奇数鍵KO3および偶数鍵KE4を含むECM_E3を所定周期PCで繰り返し送信する。所定周期PCは、たとえば100ミリ秒である。なお、ECM送信装置201は、ECMをスクランブル装置101へ不定期に繰り返し送信する構成であってもよい。このように、更新タイミングUTの直前のECMに含まれる奇数鍵KOおよび偶数鍵KEのいずれか一方は、当該更新タイミングUTの直後のECMに含まれる奇数鍵KOおよび偶数鍵KEのいずれか一方と同じである。以下、あるECMにおける奇数鍵KOおよび偶数鍵KEのいずれか一方と、他のECMにおける奇数鍵KOおよび偶数鍵KEのいずれか一方とが同一である場合、当該2つのECMに含まれるスクランブル鍵の間には連続性がある、と表現する場合がある。
【0039】
再び図1を参照して、EMM送信装置202は、加入者宅351ごとの契約情報と、暗号化されたECMを復号するためのワーク鍵とを含むEMMを生成する。EMM送信装置202は、生成したEMMを、番組の視聴契約を行った加入者宅351におけるCASモジュールにより復号することができるように設定されたマスタ鍵を用いて暗号化する。EMM送信装置202は、マスタ鍵を用いて暗号化したEMMをスクランブル装置101へ送信する。より詳細には、EMM送信装置202は、暗号化したEMMを含むセクションデータを生成し、生成したセクションデータが複数に分割された情報を含む複数のTSパケットを、たとえば1または複数のIPパケットに含めてIP伝送網211経由でスクランブル装置101およびリマックス装置121へ送信する。
【0040】
ケーブルテレビ局151は、コンテンツ情報をスクランブルすなわち暗号化し、暗号化されたコンテンツ情報を加入者宅351のSTB301へ送信する。
【0041】
より詳細には、エンコーダ装置111は、コンテンツ事業者としての番組配信センタ251からコンテンツ情報を取得し、取得したコンテンツ情報を符号化することによりコンテンツ情報が複数に分割された情報を含む複数のTSパケットを生成する。エンコーダ装置111は、生成した複数のTSパケットを、たとえば1または複数のIPパケットに含めてスクランブル装置101へ送信する。
【0042】
スクランブル装置101は、ECM送信装置201から繰り返し送信される、スクランブル鍵を含むECMを受信し、コンテンツ情報を暗号化する。より詳細には、スクランブル装置101は、エンコーダ装置111からIPパケットを受信し、受信したIPパケットからTSパケットを取得する。
【0043】
また、スクランブル装置101は、IP伝送網211経由でEMM送信装置202からIPパケットを受信し、受信したIPパケットに含まれるTSパケットからEMMを取得する。スクランブル装置101は、取得したEMMを、マスタ鍵を用いて復号することにより、EMMからワーク鍵を取得する。スクランブル装置101は、後述するCASモジュールに格納されたワーク鍵を、EMMから取得したワーク鍵に更新する。
【0044】
また、スクランブル装置101は、IP伝送網211経由でECM送信装置201からIPパケットを受信し、受信したIPパケットに含まれるTSパケットからECMを取得する。スクランブル装置101は、取得したECMを、CASモジュールに格納されたワーク鍵を用いて復号することにより、ECMからスクランブル鍵を取得する。
【0045】
スクランブル装置101は、エンコーダ装置111から受信したIPパケットから取得したTSパケットを、スクランブル処理して出力する。より詳細には、スクランブル装置101は、TSパケットを、取得したスクランブル鍵を用いて暗号化する。スクランブル装置101は、暗号化したTSパケットおよびTSパケットの暗号化に用いたECMが複数に分割された情報を含む複数のTSパケットを、たとえば1または複数のIPパケットに含めてリマックス装置121へ送信する。
【0046】
図3は、本開示の第1の実施の形態に係る放送システムにおけるTSパケットのフォーマットを示す図である。図3を参照して、TSパケットは、データ長が188バイトであり、ヘッダと、アダプテーションフィールドと、ペイロードとを含む。ヘッダは、同期バイトと、トランスポートエラーインジケータと、ペイロードユニット開始インジケータと、トランスポート優先度と、PID(Packet Identification)と、トランスポートスクランブル制御と、アダプテーションフィールド制御と、連続性指標すなわちCC(Continuity Counter)値とを含む。
【0047】
PIDは、TSパケットの識別子である。PIDは、13ビットで表現される識別子であり、TSパケットのペイロードの内容に応じた値に設定される。ペイロードユニット開始インジケータは、ペイロードに含まれる情報等が、当該ペイロードから開始されるか否かを示す1ビットのデータである。CC値は、TSパケットの連続性を示す、同じPIDのTSパケットごとにインクリメントされる4ビットのカウンタ値である。トランスポートスクランブル制御は、ペイロードに含まれる情報が暗号化されているか否か、およびペイロードに含まれる情報が偶数鍵KEおよび奇数鍵KOのいずれを用いて暗号化されているか等を示す2ビットのデータである。
【0048】
再び図1を参照して、リマックス装置121は、IP伝送網211経由でEMM送信装置202からIPパケットを受信する。また、リマックス装置121は、スクランブル装置101からIPパケットを受信する。
【0049】
リマックス装置121は、受信したIPパケットを所定の変調方式により変調することによりRF(Radio Frequency)帯の放送信号を生成する。リマックス装置121は、生成した放送信号をケーブルテレビ網311経由で加入者宅351へ送信する。
【0050】
加入者宅351におけるSTB301は、リマックス装置121から送信された放送信号をケーブルテレビ網311経由で受信する。STB301は、受信した放送信号を複調することにより、暗号化されたコンテンツ情報、ECMおよびEMMを取得する。STB301は、CASモジュールを用いてEMMを復号することによりワーク鍵を取得し、取得したワーク鍵を用いてECMを復号することによりスクランブル鍵を取得し、取得したスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報をデスクランブルすなわち復号する。STB301は、復号したコンテンツ情報を図示しないTVモニタへ送信する。当該TVモニタは、STB301から受信したコンテンツ情報に基づいて番組を再生する。
【0051】
[スクランブル装置]
図4は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置の構成を示す図である。図4を参照して、スクランブル装置101は、ECM管理部10と、EMM管理部20と、スクランブル部40と、出力部50と、記憶部60と、CASモジュール70とを備える。ECM管理部10は、ECM検出部11と、出力切替部12と、ECM復号部13とを含む。CASモジュール70には、ワーク鍵が格納されている。なお、記憶部60は、スクランブル装置101の外部に設けられてもよい。
【0052】
(ECM管理部)
ECM管理部10は、ECM送信装置201から送信されるECMを受信する。ECM管理部10は、受信したECMを記憶部60に保存する。また、ECM管理部10は、受信したECMに含まれるスクランブル鍵をスクランブル部40へ出力する。上述したように、ECMは、スクランブル鍵として偶数鍵KEおよび奇数鍵KOを含み、かつ偶数鍵KEおよび奇数鍵KOがたとえば更新タイミングUTごとに交互に更新されるものである。
【0053】
より詳細には、ECM管理部10におけるECM検出部11は、IP伝送網211経由でECM送信装置201からIPパケットを受信し、受信したIPパケットからTSパケットを取得する。ECM検出部11は、取得したTSパケットにおけるPID等を参照することにより、当該TSパケットのペイロードに、ECMを含むセクションデータの一部が格納されていると判断した場合、当該TSパケットを出力切替部12へ出力する。
【0054】
出力切替部12は、ECM検出部11からTSパケットを受けて、受けたTSパケットを出力部50へ出力する。
【0055】
また、ECM検出部11は、当該TSパケットのデータフォーマットからセクションデータのデータフォーマットへの変換を行う。
【0056】
図5は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置におけるECM検出部によるフォーマット変換の一例を示す図である。図5を参照して、セクションデータは、たとえば最大1024バイトまたは最大4096バイトのデータ長を有する。セクションデータは、ECM送信装置201において生成され、データ長がたとえば188バイトの複数のTSパケットに分割され、IPパケットに含めて伝送される。セクションデータは、ヘッダ部のフィールドと、データ部のフィールドと、CRC(Cyclic Redundancy Check)32のフィールドとを含む。
【0057】
ECM検出部11は、TSパケットのペイロードに格納されたデータを結合することにより、ECM送信装置201において生成された、暗号化されたECMを含むセクションデータを再構成する。
【0058】
図6は、本開示の第1の実施の形態に係る放送システムにおけるセクションデータのフォーマットを示す図である。図6を参照して、セクションデータにおけるヘッダ部は、テーブル識別子と、セクションシンタクス指示と、セクション長と、テーブル識別子拡張と、バージョン番号と、カレントネクスト指示と、セクション番号と、最終セクション番号とを含む。
【0059】
テーブル識別子は、セクションデータが属するテーブルを示す。テーブル識別子の値は、セクションデータが属するテーブルがECMである場合、すなわちデータ部にECMが格納される場合、「0x82」または「0x83」である。ここで、「0x」で始まる数字は、「0x」以降の数字が16進数で表されていることを意味する。バージョン番号は、テーブルのバージョン番号を示す。バージョン番号の値は、データ部に格納されるECMに含まれるスクランブル鍵の更新に伴って更新される。
【0060】
ECM検出部11は、再構成したセクションデータのデータ部から、暗号化されたECMを取得し、取得したECMを出力切替部12へ出力する。
【0061】
また、たとえば、ECM管理部10は、偶数鍵KEまたは奇数鍵KOが異なる複数種類のECMを偶数鍵KEまたは奇数鍵KOの更新に伴って連続して記憶部60に保存する。より詳細には、たとえば、ECM検出部11は、当該セクションデータのヘッダ部におけるバージョン番号の値が更新されたことを検知した場合、当該セクションデータのデータ部から取得した、暗号化されたECMと、当該セクションデータの再構成に用いた複数のTSパケットとを対応付けて記憶部60に保存する。以下、ECMを含むセクションデータの再構成に用いられた複数のTSパケットを「ECM用TSパケット」とも称する。たとえば、ECM検出部11は、記憶部60におけるECMの数が所定数以下となるように、新たなECMおよび対応のECM用TSパケットを記憶部60に保存する際に、最も古いECMおよび対応のECM用TSパケットを記憶部60から消去する。
【0062】
なお、ECM検出部11は、セクションデータを再構成するたびに、当該セクションデータのデータ部から取得した、暗号化されたECMと、当該セクションデータの再構成に用いた複数のTSパケットとを対応付けて記憶部60に逐一保存する構成であってもよい。ただし、セクションデータのバージョン番号の値が更新された場合に限って当該セクションデータにおける暗号化されたECMを記憶部60に保存する構成により、スクランブル鍵に変化のあったECMのみを記憶部60に保存することができるので、すべてのセクションデータにおける暗号化されたECMを記憶部60に逐一保存する構成と比べて、記憶部60における記憶領域の使用量を節約することができる。一方、すべてのセクションデータにおける暗号化されたECMを記憶部60に逐一保存する構成により、ECMの受信間隔を示す情報も併せて記憶部60に保存することができる。
【0063】
出力切替部12は、ECM検出部11からECMを受けて、受けたECMをECM復号部13へ出力する。
【0064】
ECM復号部13は、出力切替部12からECMを受けて、受けたECMを、CASモジュール70に格納されたワーク鍵を用いて復号する。ECM復号部13は、復号したECMに含まれるスクランブル鍵をスクランブル部40へ出力する。
【0065】
(EMM管理部)
EMM管理部20は、IP伝送網211経由でEMM送信装置202からIPパケットを受信し、受信したIPパケットからTSパケットを取得する。EMM管理部20は、取得したTSパケットにおけるPID等を参照することにより、当該TSパケットのペイロードに、EMMを含むセクションデータの一部が格納されていると判断した場合、ECM復号部13と同様に、当該TSパケットのデータフォーマットからセクションデータのデータフォーマットへの変換を行う。
【0066】
EMM管理部20は、TSパケットのペイロードに格納されたデータを結合することにより、EMM送信装置202において生成された、暗号化されたEMMを含むセクションデータを再構成する。
【0067】
EMM管理部20は、再構成したセクションデータのデータ部のフィールドから、暗号化されたEMMを取得し、取得したEMMを、たとえば予め番組配信センタ251から付与されたマスタ鍵を用いて復号することにより、EMMからワーク鍵を取得する。EMM管理部20は、CASモジュール70に格納されたワーク鍵を、EMMから取得したワーク鍵に更新する。
【0068】
(スクランブル部)
スクランブル部40は、ECM管理部10により受信されたECMに含まれるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化する。
【0069】
より詳細には、スクランブル部40は、エンコーダ装置111からIPパケットを受信し、受信したIPパケットに含まれるTSパケットを、ECM復号部13から受けたスクランブル鍵を用いて暗号化する。
【0070】
図7は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置におけるスクランブル部がTSパケットの暗号化に用いるスクランブル鍵を示す図である。図7は、非特許文献1に記載の規格に定められている、ECMの更新タイミングと暗号化に用いるスクランブル鍵の切り替えタイミングとを示している。
【0071】
図7を参照して、上記規格において、更新周期UCを、n回目の更新タイミングUTnから始まる期間T1と、期間T1の終了時刻から(n+1)回目の更新タイミングUT(n+1)までの期間T2とに分けたときに、期間T2および更新タイミングUT(n+1)から始まる期間において同一のスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報の暗号化を行うことが定められている。ここで、nは1以上の整数である。また、上記規格において、期間T1は7600ミリ秒より大きく、期間T2はゼロ秒より大きく、かつ期間T1と期間T2との和は8000ミリ秒より大きく設定することが定められている。
【0072】
以下、期間T1において用いるべきスクランブル鍵をカレント鍵とも称し、期間T2において用いるべきスクランブル鍵をネクスト鍵とも称する。
【0073】
スクランブル部40は、スクランブル鍵の切り替えに関する当該規格に従って、期間T1においてカレント鍵を用いてTSパケットを暗号化し、期間T2においてネクスト鍵を用いてTSパケットを暗号化する。
【0074】
図8は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置におけるECMの受信タイミングおよびコンテンツ情報の暗号化に用いるスクランブル鍵を示すタイミングチャートの一例を示す図である。
【0075】
図8を参照して、たとえば、スクランブル部40は、n回目の更新タイミングUTnよりも所定時間前の時刻tnから始まる対象期間TXnにおいて、ECM管理部10により受信されたECM_Eに含まれる偶数鍵KEおよび奇数鍵KOのいずれか一方を用いてコンテンツ情報を暗号化する。また、スクランブル部40は、(n+1)回目の更新タイミングUT(n+1)よりも所定時間前の時刻t(n+1)から始まる、対象期間Tnに続く対象期間TX(n+1)において、ECM管理部10により受信されたECM_Eに含まれる偶数鍵KEおよび奇数鍵KOのいずれか他方を用いてコンテンツ情報を暗号化する。対象期間TXnは第nの期間の一例であり、対象期間TX(n+1)は、第(n+1)の期間の一例である。
【0076】
具体的には、たとえば、スクランブル部40は、更新タイミングUT2を終了時刻とする期間T2の開始時刻t2から、更新タイミングUT3を終了時刻とする期間T2の開始時刻t3までの対象期間TX2において、偶数鍵KEを用いてTSパケットを暗号化する。
【0077】
より詳細には、ECM復号部13は、時刻t2から更新タイミングUT2までの期間T2において、出力切替部12から受けたECM_E1に含まれる偶数鍵KE2をスクランブル部40へ出力し、更新タイミングUT2から時刻t3までの期間T1において、出力切替部12から受けたECM_E2に含まれる偶数鍵KE2をスクランブル部40へ出力する。
【0078】
また、たとえば、スクランブル部40は、時刻t3から、更新タイミングUT4を終了時刻とする期間T2の開始時刻t4までの対象期間TX3において、奇数鍵KOを用いてTSパケットを暗号化する。
【0079】
より詳細には、ECM復号部13は、時刻t3から更新タイミングUT3までの期間T2において、出力切替部12から受けたECM_E2に含まれる奇数鍵KO3をスクランブル部40へ出力し、更新タイミングUT3から時刻t4までの期間T1において、出力切替部12から受けたECM_E3に含まれる奇数鍵KO3をスクランブル部40へ出力する。
【0080】
また、たとえば、スクランブル部40は、時刻t4から、更新タイミングUT5を終了時刻とする期間T2の開始時刻t5までの対象期間TX4において、偶数鍵KEを用いてTSパケットを暗号化する。
【0081】
より詳細には、ECM復号部13は、時刻t4から更新タイミングUT4までの期間T2において、出力切替部12から受けたECM_E3に含まれる偶数鍵KE4をスクランブル部40へ出力し、更新タイミングUT4から時刻t5までの期間T1において、出力切替部12から受けたECM_E4に含まれる偶数鍵KE4をスクランブル部40へ出力する。
【0082】
スクランブル部40は、ECM復号部13から受けた、たとえば最新のスクランブル鍵を用いてTSパケットを暗号化し、暗号化したTSパケットを出力部50へ出力する。
【0083】
上述のように、ECM復号部13は、時刻tn,t(n+1),t(n+2)・・・の切替タイミングにおいて、スクランブル部40へ出力するスクランブル鍵を奇数鍵KOと偶数鍵KEとの間で切り替える。
【0084】
スクランブル部40は、ECM復号部13から受けた最新のスクランブル鍵を用いてTSパケットの暗号化を行うことにより、当該切替タイミングにおいて、暗号化に用いるスクランブル鍵を奇数鍵KOと偶数鍵KEとの間で切り替える。
【0085】
(出力部)
出力部50は、スクランブル部40により暗号化されたコンテンツ情報、およびスクランブル部40においてコンテンツ情報の暗号化に用いられたスクランブル鍵を含むECMを出力する。
【0086】
より詳細には、出力部50は、スクランブル部40から受けた、暗号化されたTSパケットと、出力切替部12から受けた、ECMを含むセクションデータの一部が格納されたTSパケットとを時間軸方向に多重化し、多重化後の各TSパケットをリマックス装置121へ送信する。
【0087】
<ECMの受信が途絶えた場合の処理>
再び図4を参照して、スクランブル部40は、ECM管理部10によるECMの受信が途絶えた場合、ECM管理部10によるECMの受信が途絶えている期間における少なくとも一部の期間において、記憶部60におけるECMに含まれるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化する。
【0088】
たとえば、ECM管理部10におけるECM検出部11は、ECMが格納されたTSパケットを含むIPパケットが所定時間にわたって到着しない場合、ECM送信装置201からのECMの受信が途絶えた旨を示す受信停止情報を出力切替部12へ出力する。
【0089】
再び図8を参照して、出力切替部12は、たとえば更新タイミングUT4の後の時刻tcにおいて、ECM検出部11から受信停止情報を受けた場合、記憶部60からECMおよび対応のECM用TSパケットを取得し、取得したECMをECM復号部13へ出力するとともに、取得したECM用TSパケットを出力部50へ出力する。
【0090】
ECM復号部13は、出力切替部12からECMを受けて、受けたECMを、CASモジュール70に格納されたワーク鍵を用いて復号する。ECM復号部13は、復号したECMに含まれるスクランブル鍵をスクランブル部40へ出力する。
【0091】
スクランブル部40は、上述したように、エンコーダ装置111から受信したIPパケットに含まれるTSパケットを、ECM復号部13から受けたスクランブル鍵を用いて暗号化し、暗号化したTSパケットを出力部50へ出力する。
【0092】
出力部50は、スクランブル部40から受けた暗号化されたTSパケットと、出力切替部12から受けたECM用TSパケットとを時間軸方向に多重化し、多重化後の各TSパケットをリマックス装置121へ送信する。
【0093】
たとえば、スクランブル部40は、ECM管理部10によるECMの受信が途絶えた場合、記憶部60におけるECMに含まれるスクランブル鍵を、記憶部60に保存された順が最新のECMから逆順に用いてコンテンツ情報を暗号化する。
【0094】
図9は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置における記憶部に保存されたECMの一例を示す図である。図9を参照して、たとえば、記憶部60は、出力切替部12がECM検出部11から受信停止情報を受けた時刻tcにおいて、ECM_E1と、ECM_E2と、ECM_E3と、ECM_E4とを記憶している。
【0095】
また、たとえば、記憶部60は、予めECM送信装置201により設定された更新周期UCを示す周期情報を記憶している。
【0096】
出力切替部12は、ECM検出部11から受信停止情報を受けて、記憶部60における周期情報が示す更新周期UCに従うタイミングにおいて、ECMを、記憶部60に保存された順と逆順すなわちECM_E4、ECM_E3、ECM_E2およびECM_E1の順に記憶部60から取得してECM復号部13へ出力する。また、出力切替部12は、ECM復号部13へ出力するECMに対応するECM用TSパケットを記憶部60から取得して出力部50へ出力する。
【0097】
より詳細には、出力切替部12は、時刻tc以降、記憶部60における周期情報に基づく次の更新タイミングUT5までの期間において、所定周期PCに従うタイミングにおいて、記憶部60からECM_E4を取得してECM復号部13へ出力し、記憶部60からECM_E4に対応するECM用TSパケットを取得して出力部50へ出力する。また、出力切替部12は、当該周期情報に基づく更新タイミングUT5から当該周期情報に基づく次の更新タイミングUT6までの期間において、所定周期PCに従うタイミングにおいて、記憶部60からECM_E3を取得してECM復号部13へ出力し、記憶部60からECM_E3に対応するECM用TSパケットを取得して出力部50へ出力する。
【0098】
同様にして、出力切替部12は、当該周期情報に基づく更新タイミングUT6から当該周期情報に基づく次の更新タイミングUT7までの期間において、ECM_E2をECM復号部13へ出力するとともに、対応のECM用TSパケットを出力部50へ出力し、当該周期情報に基づく更新タイミングUT7から当該周期情報に基づく次の更新タイミングUT8までの期間において、ECM_E1をECM復号部13へ出力するとともに、対応のECM用TSパケットを出力部50へ出力する。
【0099】
ECM復号部13は、出力切替部12から受けたECMを、CASモジュール70に格納されたワーク鍵を用いて復号し、復号したECMに含まれるスクランブル鍵をスクランブル部40へ出力する。ECM復号部13は、時刻tc以降、時刻tcよりも前の期間と同様に、上述の切替タイミングにおいて、スクランブル部40へ出力するスクランブル鍵を奇数鍵KOと偶数鍵KEとの間で切り替える。
【0100】
スクランブル部40は、時刻tc以降、時刻tcよりも前の期間と同様に、ECM復号部13から受けたスクランブル鍵を用いてTSパケットを暗号化する。より詳細には、スクランブル部40は、時刻tc以降、非特許文献1に記載の、上述のスクランブル鍵の切り替えに関する規格に従って、期間T1においてカレント鍵を用いてTSパケットを暗号化し、期間T2においてネクスト鍵を用いてTSパケットを暗号化する。
【0101】
図10は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置におけるスクランブル部がTSパケットの暗号化に用いるスクランブル鍵の一例を示す図である。
【0102】
図10を参照して、スクランブル部40は、更新タイミングUT4から、記憶部60における周期情報に基づく次の更新タイミングUT5までの期間において、ECM_E4の偶数鍵KE4をカレント鍵として用いる一方で、ECM_E4の奇数鍵KO5をネクスト鍵として用いる。
【0103】
また、スクランブル部40は、当該周期情報に基づく更新タイミングUT5から、当該周期情報に基づく次の更新タイミングUT6までの期間において、ECM_E4の奇数鍵KO5をカレント鍵として用いる一方で、ECM_E4の偶数鍵KE4をネクスト鍵として用いる。
【0104】
また、スクランブル部40は、当該周期情報に基づく更新タイミングUT6から、当該周期情報に基づく次の更新タイミングUT7までの期間において、ECM_E3の偶数鍵KE4をカレント鍵として用いる一方で、ECM_E3の奇数鍵KO3をネクスト鍵として用いる。
【0105】
また、スクランブル部40は、当該周期情報に基づく更新タイミングUT7から、当該周期情報に基づく次の更新タイミングUT8までの期間において、ECM_E2の奇数鍵KO3をカレント鍵として用いる一方で、ECM_E2の偶数鍵KE2をネクスト鍵として用いる。
【0106】
また、スクランブル部40は、当該周期情報に基づく更新タイミングUT8から、当該周期情報に基づく次の更新タイミングUT9までの期間において、ECM_E1の偶数鍵KE2をカレント鍵として用いる一方で、ECM_E1の奇数鍵KO1をネクスト鍵として用いる。
【0107】
たとえば、スクランブル部40は、記憶部60におけるECMに含まれるスクランブル鍵を、ECMが記憶部60に保存された順と逆順または同順に、かつ逆順と同順との切り替えにおいて同じECMが連続するように用いてコンテンツ情報を暗号化する。具体的には、たとえば、スクランブル部40は、記憶部60における複数種類のECMのうち、対応の更新タイミングUTが最も古いECMに含まれるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化した後、記憶部60における複数種類のECMのうち、対応の更新タイミングUTが古いECMに含まれるスクランブル鍵から順に用いてコンテンツ情報を暗号化する。
【0108】
より詳細には、出力切替部12は、記憶部60における周期情報が示す更新周期UCに従うタイミングにおいて、ECMを、記憶部60に保存された順と逆順すなわちECM_E4、ECM_E3、ECM_E2およびECM_E1の順に記憶部60から取得してECM復号部13へ出力した後、当該更新周期UCに従うタイミングにおいて、ECMを、記憶部60に保存された順と同順すなわちECM_E1、ECM_E2、ECM_E3およびECM_E4の順に記憶部60から取得してECM復号部13へ出力する。
【0109】
スクランブル部40は、当該周期情報に基づく更新タイミングUT9から、当該周期情報に基づく次の更新タイミングUT10までの期間において、ECM_E1の奇数鍵KO1をカレント鍵として用いる一方で、ECM_E1の偶数鍵KE2をネクスト鍵として用いる。
【0110】
また、スクランブル部40は、当該周期情報に基づく更新タイミングUT10から、当該周期情報に基づく次の更新タイミングUT11までの期間において、ECM_E2の偶数鍵KE2をカレント鍵として用いる一方で、ECM_E2の奇数鍵KO3をネクスト鍵として用いる。
【0111】
以上のように、スクランブル部40は、ECMが記憶部60に保存された順と逆順に、ECM_E4からECM_E1まで順に用いてコンテンツ情報を暗号化した後、ECMが記憶部60に保存された順と同順に、ECM_E1からECM_E4まで順に用いてコンテンツ情報を暗号化する。その後も同様に、スクランブル部40は、ECM管理部10によるECMの受信が再開されるまで、記憶部60に保存された順と逆順にECMを用いたコンテンツ情報の暗号化、および記憶部60に保存された順と同順にECMを用いたコンテンツ情報の暗号化を繰り返す。このように、スクランブル部40は、ECM_E1およびECM_E4において、ECMの使用順を同順および逆順の間で切り替える。
【0112】
なお、スクランブル部40がECMの使用順を同順および逆順の間で切り替える際に使用するECMは、ECM_E1およびECM_E4のみに限定されない。スクランブル部40は、使用順を同順および逆順の間で切り替える際に使用するECMすなわち折り返しの際に使用するECMは、時折変更してもよい。
【0113】
また、スクランブル部40は、ECM管理部10によるECMの受信が途絶えた場合、記憶部60における複数のECMのうちの一部のECMに含まれるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化する構成であってもよい。より詳細には、スクランブル部40は、ECM管理部10によるECMの受信が途絶えた場合、ECM_E1、ECM_E2、ECM_E3およびECM_E4のうちの一部のみをコンテンツ情報の暗号化に用いる構成であってもよい。
【0114】
<ECMの受信を再開した場合の処理>
再び図4を参照して、ECM管理部10におけるECM検出部11は、受信停止情報を出力切替部12へ出力した後、ECMが格納されたTSパケットを含むIPパケットをIP伝送網211経由でECM送信装置201から受信した場合、受信再開情報を出力切替部12へ出力する。
【0115】
たとえば、出力切替部12は、記憶部60における周期情報に基づく更新タイミングUT11の後の時刻tdにおいて、ECM検出部11から受信再開情報を受けた場合、記憶部60におけるECMのECM復号部13への出力、および記憶部60におけるECM用TSパケットの出力部50への出力を停止する。
【0116】
ECM検出部11は、受信再開情報を出力切替部12へ出力した後、上述のように、ECM送信装置201から受信したIPパケットからTSパケットを取得して出力切替部12へ出力するとともに、当該TSパケットに基づいて再構成したセクションデータから暗号化されたECMを取得して出力切替部12へ出力する。
【0117】
出力切替部12は、ECM検出部11からECMを受けて、受けたECMをECM復号部13へ出力する。
【0118】
ECM復号部13は、出力切替部12からECMを受けて、受けたECMを、CASモジュール70に格納されたワーク鍵を用いて復号する。ECM復号部13は、復号したECMに含まれるスクランブル鍵をスクランブル部40へ出力する。
【0119】
図11は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置におけるスクランブル部がTSパケットの暗号化に用いるスクランブル鍵の一例を示す図である。図11を参照して、ECM復号部13は、時刻td以降、次の更新タイミングUT12までの期間において、所定周期PCに従うタイミングにおいて、出力切替部12から奇数鍵KO11および偶数鍵KE12を含むECM_E11を受ける。ECM復号部13は、ECM_E11に含まれる奇数鍵KO11および偶数鍵KE12と、スクランブル部40において用いるべきカレント鍵およびネクスト鍵との対応関係が不明であるので、スクランブル鍵をスクランブル部40へ出力することなく破棄する。
【0120】
次に、ECM復号部13は、更新タイミングUT12以降、所定周期PCに従うタイミングにおいて、出力切替部12から偶数鍵KE12および奇数鍵KO13を含むECM_E12を受ける。ECM復号部13は、ECM_E12とECM_E11とを比較し、ECM_E12に含まれるスクランブル鍵のうちの、ECM_E11に含まれるいずれかのスクランブル鍵と一致したスクランブル鍵をカレント鍵であると判断する。具体的には、ECM復号部13は、ECM_E12とECM_E11とを比較し、ECM_E12に含まれる偶数鍵KE12がECM_E11に含まれる偶数鍵KE12と一致するので、ECM_E12に含まれる偶数鍵KE12をカレント鍵であると判断する。
【0121】
そして、ECM復号部13は、更新タイミングUT12から次の更新タイミングUT13を終了時刻とする期間T2の開始時刻t13までの期間T1において、出力切替部12から受けた最新のECM_E12に含まれる偶数鍵KE12をスクランブル部40へ出力し、時刻t13から更新タイミングUT13までの期間T2において、出力切替部12から受けた最新のECM_E12に含まれる奇数鍵KO13をスクランブル部40へ出力する。
【0122】
スクランブル部40は、時刻td以降、更新タイミングUT12までの期間において、ECM復号部13からスクランブル鍵を受けないので、エンコーダ装置111から受信したIPパケットに含まれるTSパケットを、暗号化することなく出力部50へ出力する。
【0123】
一方、スクランブル部40は、更新タイミングUT12以降、ECM復号部13からスクランブル鍵を受けて、エンコーダ装置111から受信したIPパケットに含まれるTSパケットの暗号化、および暗号化したTSパケットの出力部50への出力を再開する。
【0124】
より詳細には、スクランブル部40は、更新タイミングUT12から更新タイミングUT13までの期間において、ECM_E12の偶数鍵KE12をカレント鍵として用いてTSパケットを暗号化する一方で、ECM_E12の奇数鍵KO13をネクスト鍵として用いてTSパケットを暗号化する。
【0125】
また、スクランブル部40は、更新タイミングUT13から更新タイミングUT14までの期間において、ECM_E13の奇数鍵KO13をカレント鍵として用いてTSパケットを暗号化する一方で、ECM_E13の偶数鍵KE14をネクスト鍵として用いてTSパケットを暗号化する。
【0126】
たとえば、出力部50は、ECM管理部10によるECM送信装置201からのECMの受信が再開された再開タイミングの後、スクランブル部40においてECM管理部10により再開タイミング以降に受信されたECMに含まれるスクランブル鍵を用いたコンテンツ情報の暗号化が開始されるまでの期間において、暗号化されていないコンテンツ情報を出力する。
【0127】
より詳細には、出力部50は、時刻td以降、更新タイミングUT12までの期間において、スクランブル部40から暗号化されていないTSパケットを受けて、スクランブル部40から受けたTSパケットをリマックス装置121へ送信する。
【0128】
また、出力部50は、更新タイミングUT12以降、スクランブル部40から暗号化されたTSパケットを受けて、スクランブル部40から受けたTSパケットと、出力切替部12から受けたTSパケットとを時間軸方向に多重化してリマックス装置121へ送信する。
【0129】
<ECMの受信が途絶えた場合の処理の他の例>
なお、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置101では、スクランブル部40は、ECM管理部10によるECMの受信が途絶えた場合、記憶部60におけるECMに含まれるスクランブル鍵を、記憶部60に保存された順が最新のECMから逆順に用いてコンテンツ情報を暗号化する構成であるとしたが、これに限定するものではない。
【0130】
再び図4を参照して、たとえば、スクランブル部40は、ECM管理部10によるECMの受信が途絶えた場合、記憶部60に保存された順が最新のECMに含まれるスクランブル鍵を複数の更新周期UCにわたって継続して用いてコンテンツ情報を暗号化する構成であってもよい。
【0131】
より詳細には、出力切替部12は、ECM検出部11から受信停止情報を受けて、直近の更新タイミングUT4において更新されたECM_E4を記憶部60から繰り返し取得してECM復号部13へ出力する。また、出力切替部12は、ECM_E4に対応するECM用TSパケットを記憶部60から繰り返し取得して出力部50へ出力する。
【0132】
より詳細には、出力切替部12は、時刻tc以降、所定周期PCに従うタイミングにおいて、記憶部60からECM_E4を取得してECM復号部13へ出力し、記憶部60からECM_E4に対応するECM用TSパケットを取得して出力部50へ出力する。
【0133】
ECM復号部13は、出力切替部12から受けたECM_E4を、CASモジュール70に格納されたワーク鍵を用いて復号し、復号したECM_E4に含まれるスクランブル鍵をスクランブル部40へ出力する。ECM復号部13は、時刻tc以降、時刻tcよりも前の期間と同様に、上述の切替タイミングにおいて、スクランブル部40へ出力するスクランブル鍵を奇数鍵KOと偶数鍵KEとの間で切り替える。
【0134】
スクランブル部40は、時刻tc以降、時刻tcよりも前の期間と同様に、ECM復号部13から受けたスクランブル鍵を用いてTSパケットを暗号化する。
【0135】
図12は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置におけるスクランブル部がTSパケットの暗号化に用いるスクランブル鍵の他の例を示す図である。
【0136】
図12を参照して、スクランブル部40は、更新タイミングUT4から、記憶部60における周期情報に基づく次の更新タイミングUT5までの期間において、ECM_E4の偶数鍵KE4をカレント鍵として用いる一方で、ECM_E4の奇数鍵KO5をネクスト鍵として用いる。
【0137】
また、スクランブル部40は、当該周期情報に基づく更新タイミングUT5から、当該周期情報に基づく次の更新タイミングUT6までの期間において、ECM_E4の奇数鍵KO5をカレント鍵として用いる一方で、ECM_E4の偶数鍵KE4をネクスト鍵として用いる。
【0138】
また、スクランブル部40は、当該更新タイミングUT6から、記憶部60における周期情報に基づく次の更新タイミングUT7までの期間において、ECM_E4の偶数鍵KE4をカレント鍵として用いる一方で、ECM_E4の奇数鍵KO5をネクスト鍵として用いる。スクランブル部40は、当該更新タイミングUT7以降も同様に、ECM_E4の偶数鍵KE4および奇数鍵KO5を用いてTSパケットを暗号化する。
【0139】
[動作の流れ]
本開示の第1の実施の形態に係る放送システムにおける各装置は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートおよびシーケンスの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリから読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0140】
図13は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置がスクランブル処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0141】
図13を参照して、まず、スクランブル装置101は、ECM送信装置201から送信されるECMを受信する。より詳細には、スクランブル装置101は、IP伝送網211経由でECM送信装置201からIPパケットを受信し、受信したIPパケットからECMが格納されたTSパケットを取得する。そして、スクランブル装置101は、TSパケットのペイロードに格納されたデータを結合することにより、暗号化されたECMを含むセクションデータを再構成し、再構成したセクションデータから暗号化されたECMを取得する(ステップS102)。
【0142】
次に、スクランブル装置101は、取得したECMを記憶部60に保存する(ステップS104)。
【0143】
次に、スクランブル装置101は、取得したECMに含まれるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化する。より詳細には、スクランブル装置101は、取得したECMを、CASモジュール70に格納されたワーク鍵を用いて復号する。そして、スクランブル装置101は、エンコーダ装置111からIPパケットを受信し、受信したIPパケットに含まれる、コンテンツ情報を含むTSパケットを、復号したECMに含まれるスクランブル鍵を用いて暗号化する(ステップS106)。
【0144】
次に、スクランブル装置101は、暗号化したコンテンツ情報、およびコンテンツ情報の暗号化に用いたスクランブル鍵を含むECMを出力する。より詳細には、スクランブル装置101は、暗号化されたTSパケットと、暗号化に用いたECMが格納されたTSパケットとを時間軸方向に多重化し、多重化後の各TSパケットをリマックス装置121へ送信する(ステップS108)。
【0145】
図14は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置がスクランブル処理を行う際の動作手順の他の例を定めたフローチャートである。図14は、スクランブル装置101が、ECMの受信が途絶えた場合に行う処理を示している。
【0146】
図14を参照して、まず、スクランブル装置101は、ECM送信装置201からのECMの受信が途絶えた場合すなわちECMが格納されたTSパケットを含むIPパケットが所定時間にわたって到着しない場合、記憶部60からECMおよび対応のECM用TSパケットを取得する(ステップS202)。
【0147】
次に、スクランブル装置101は、記憶部60におけるECMに含まれるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化する。より詳細には、スクランブル装置101は、記憶部60から取得したECMを、CASモジュール70に格納されたワーク鍵を用いて復号する。そして、スクランブル装置101は、エンコーダ装置111からIPパケットを受信し、受信したIPパケットに含まれる、コンテンツ情報を含むTSパケットを、復号したECMに含まれるスクランブル鍵を用いて暗号化する(ステップS204)。
【0148】
次に、スクランブル装置101は、暗号化したコンテンツ情報、およびコンテンツ情報の暗号化に用いたスクランブル鍵を含むECMを出力する。より詳細には、スクランブル装置101は、暗号化されたTSパケットと、ECM用TSパケットとを時間軸方向に多重化し、多重化後の各TSパケットをリマックス装置121へ送信する(ステップS206)。
【0149】
図15は、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置がスクランブル処理を行う際の動作手順の他の例を定めたフローチャートである。図15は、スクランブル装置101が、ECMの受信を再開した場合に行う処理を示している。
【0150】
図15を参照して、まず、スクランブル装置101は、ECMの受信が再開されたことを検知する(ステップS302)。
【0151】
次に、スクランブル装置101は、ECMの受信の再開タイミング以降に受信したECMに含まれるスクランブル鍵を用いたコンテンツ情報の暗号化を開始するまでの期間において(ステップS304でNO)、暗号化されていないコンテンツ情報を出力する。より詳細には、スクランブル装置101は、再開タイミング以降に受信したECMに含まれる奇数鍵KOおよび偶数鍵KEと、暗号化に用いるべきカレント鍵およびネクスト鍵との対応関係が不明である場合、暗号化されていないコンテンツ情報を出力する(ステップS306)。
【0152】
一方、スクランブル装置101は、ECMの受信の再開タイミング以降に受信したECMに含まれるスクランブル鍵を用いたコンテンツ情報の暗号化を開始した場合(ステップS304でYES)、暗号化したコンテンツ情報の出力を再開する(ステップS308)。
【0153】
なお、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置101では、スクランブル部40は、記憶部60における複数種類のECMのうちの対応の更新タイミングUTが最も古いECMに含まれるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化した後、記憶部60における複数種類のECMのうちの対応の更新タイミングUTが古いECMに含まれるスクランブル鍵から順に用いてコンテンツ情報を暗号化する構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、記憶部60における複数種類のECMのうちの対応の更新タイミングUTが最も古いECMに含まれるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化した後、記憶部60における対応の更新タイミングUTが最も古いECMに含まれるスクランブル鍵を複数の更新周期UCにわたって継続して用いてコンテンツ情報を暗号化する構成であってもよい。
【0154】
より詳細には、再び図10を参照して、スクランブル部40は、記憶部60における周期情報に基づく更新タイミングUT9から、当該周期情報に基づく次の更新タイミングUT10までの期間において、ECM_E1の奇数鍵KO1をカレント鍵として用いてTSパケットを暗号化し、ECM_E1の偶数鍵KE2をネクスト鍵として用いてTSパケットを暗号化する。その後、スクランブル部40は、当該周期情報に基づく更新タイミングUT10から、当該周期情報に基づく次の更新タイミングUT11までの期間において、ECM_E1の偶数鍵KE2をカレント鍵として用いてTSパケットを暗号化し、ECM_E1の奇数鍵KO1をネクスト鍵として用いてTSパケットを暗号化する。スクランブル部40は、当該更新タイミングUT11以降も同様に、ECM_E1の偶数鍵KE2および奇数鍵KO1を用いてTSパケットを暗号化する。
【0155】
また、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置101では、出力部50は、時刻td以降、更新タイミングUT12までの期間において、スクランブル部40から暗号化されていないTSパケットを受けて、スクランブル部40から受けたTSパケットと、出力切替部12から受けたTSパケットとを時間軸方向に多重化してリマックス装置121へ送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。出力部50は、時刻td以降、更新タイミングUT12までの期間において、リマックス装置121へのTSパケットの送信を行わない構成であってもよい。
【0156】
また、本開示の第1の実施の形態に係る放送システム401では、ECM送信装置201、EMM送信装置202およびエンコーダ装置111は、TSパケットを1または複数のIPパケットに含めてIP伝送網211経由でスクランブル装置101へ送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。ECM送信装置201、EMM送信装置202およびエンコーダ装置111のうちの少なくともいずれか1つは、TSパケットをASI(Asynchronous Serial Interface)方式の信号であるASI信号に含めてスクランブル装置101へ送信する構成であってもよい。
【0157】
また、スクランブル部40は、対象期間TXnにおいて、ECM管理部10により受信された最新のECM_Eに含まれる偶数鍵KEおよび奇数鍵KOのいずれか一方を用いてコンテンツ情報を暗号化し、対象期間TX(n+1)において、ECM管理部10により受信された最新のECM_Eに含まれる偶数鍵KEおよび奇数鍵KOのいずれか他方を用いてコンテンツ情報を暗号化する構成であるとしたが、これに限定するものではない。スクランブル部40は、対象期間TXnにおいて、ECM管理部10により対象期間TXnに受信されたいずれかのECM_Eに含まれる偶数鍵KEおよび奇数鍵KOのいずれか一方を用いてコンテンツ情報を暗号化し、対象期間TX(n+1)において、ECM管理部10により対象期間TX(n+1)に受信されたいずれかのECM_Eに含まれる偶数鍵KEおよび奇数鍵KOのいずれか他方を用いてコンテンツ情報を暗号化する構成であってもよい。
【0158】
また、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置101では、出力部50は、ECM管理部10によるECMの受信が途絶えている期間における一部の期間において、暗号化されていないコンテンツ情報を出力する構成であってもよい。
【0159】
図16は、本開示の第1の実施の形態に係るECM送信装置における出力部により出力されるコンテンツ情報の一例を示す図である。図16を参照して、スクランブル部40は、ECM管理部10によるECM送信装置201からのECMの受信が途絶える時刻tcまでの期間TCにおいて、ECM管理部10により受信されたECMに含まれるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化する。出力部50は、当該期間TCにおいて、スクランブル部40により暗号化されたコンテンツ情報を出力する。
【0160】
一方、スクランブル部40は、時刻tcから、ECM管理部10によるECM送信装置201からのECMの受信が再開される時刻tdまでの期間において、記憶部60におけるECMに含まれるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化する期間TAと、コンテンツ情報の暗号化を行わない期間TBとを切り替えてもよい。この場合、出力部50は、期間TAにおいて、スクランブル部40により暗号化されたコンテンツ情報を出力する一方で、期間TBにおいて、暗号化されていないコンテンツ情報を出力する。
【0161】
より詳細には、再び図9を参照して、スクランブル部40は、ECM管理部10によるECMの受信が途絶えた後、記憶部60におけるECMに含まれるスクランブル鍵を、ECM_E4、ECM_E3、ECM_E2およびECM_E1の順に用いてコンテンツ情報を暗号化する。その後、スクランブル部40は、再び、記憶部60におけるECMに含まれるスクランブル鍵を、ECM_E4、ECM_E3、ECM_E2およびECM_E1の順に用いてコンテンツ情報を暗号化する。すなわち、スクランブル部40は、ECM_E1に含まれるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化した後、ECM_E4に含まれるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化する。
【0162】
ここで、ECM_E1に含まれるスクランブル鍵と、ECM_E4に含まれるスクランブル鍵との間には連続性がない。言い換えると、ECM_E1に含まれる偶数鍵KEと、ECM_E4に含まれる偶数鍵KEとは互いに異なり、かつECM_E1に含まれる奇数鍵KOと、ECM_E4に含まれる奇数鍵KOとは互いに異なる。したがって、スクランブル部40は、ECM_E1に含まれるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化した後、ECM_E4に含まれるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化する際、ECM_E4に含まれるスクランブル鍵をカレント鍵として用いることができないので上述の期間T1においてコンテンツ情報を暗号化しない一方で、上述の期間T2においてECM_E4に含まれる偶数鍵KE4をネクスト鍵として用いてコンテンツ情報を暗号化する。
【0163】
このように、スクランブル部40は、スクランブル鍵が連続しない期間は、コンテンツ情報の暗号化を行わない。より詳細には、スクランブル部40は、記憶部60におけるECMに含まれるスクランブル鍵を、ECM_E4、ECM_E3、ECM_E2およびECM_E1の順に用いてコンテンツ情報を暗号化する期間TAの後、再びECM_E4、ECM_E3、ECM_E2およびECM_E1の順に用いてコンテンツ情報を暗号化する期間TAの前に、コンテンツ情報を暗号化しない期間TBを間に挟む。ここで、スクランブル部40が、記憶部60におけるECMを、保存された順と逆順または同順に用いてコンテンツ情報を暗号化できる期間の長さは、有限である。したがって、スクランブル部40が記憶部60におけるECMを順に用いてコンテンツ情報を暗号化できる期間はとぎれとぎれとなり、コンテンツ情報の暗号化を行わない期間を間に挟み、期間TAおよび期間TBは交互に繰り返される。このように、スクランブル部40は、ECM管理部10によるECMの受信が途絶えている期間のうちの、一部の期間TAにおいてコンテンツ情報の暗号化を行えばよく、一部の期間TBにおいてコンテンツ情報を暗号化しなくてもよい。
【0164】
また、スクランブル部40は、ECM管理部10によるECM送信装置201からのECMの受信が再開された時刻tdの直後は、上述したようにECM復号部13からスクランブル鍵を受けないので、時刻tdの直後の期間TBにおいてコンテンツ情報を暗号化することなく出力部50へ出力する。そして、出力部50は、時刻tdの後、スクランブル部40においてコンテンツ情報の暗号化が開始されるまでの期間TBにおいて、暗号化されていないコンテンツ情報を出力する。
【0165】
その後、スクランブル部40は、コンテンツ情報の暗号化を開始する。そして、出力部50は、時刻tdの直後の期間TBに続く期間TCにおいて、スクランブル部40により暗号化されたコンテンツ情報を出力する。
【0166】
なお、本開示の第1の実施の形態に係るスクランブル装置101では、スクランブル部40は、ECM管理部10によるECMの受信が途絶えた場合、記憶部60におけるECMに含まれるスクランブル鍵を、記憶部60に保存された順が最新のECMから逆順に用いてコンテンツ情報を暗号化する構成であるとしたが、これに限定するものではない。スクランブル部40は、ECM管理部10によるECMの受信が途絶えた場合、記憶部60におけるECMに含まれるスクランブル鍵を、記憶部60に保存された順が最新のECM以外のECMから順に用いてコンテンツ情報を暗号化する構成、たとえば最古のECMから同順に用いてコンテンツ情報を暗号化する構成であってもよい。より詳細には、再び図9を参照して、スクランブル部40は、ECM管理部10によるECMの受信が途絶えた時刻tcの後、記憶部60におけるECMに含まれるスクランブル鍵を、ECM_E1、ECM_E2、ECM_E3およびECM_E4の順に用いてコンテンツ情報を暗号化する。この場合、スクランブル部40が時刻tcの直前に暗号化に用いていたECM_E4に含まれるスクランブル鍵と、ECM_E1に含まれるスクランブル鍵との間には連続性がないので、時刻tcの直後にコンテンツ情報の暗号化を行わない期間TBが存在してもよい。この場合、スクランブル部40は、当該期間TBの後に続く期間TAにおいて、記憶部60におけるECM_E1に含まれるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化する。
【0167】
次に、本開示の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0168】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係るスクランブル装置101と比べて、ECM送信装置201からのECMの受信が途絶えた場合、暗号化されていないコンテンツ情報を出力するスクランブル装置102に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係るスクランブル装置101と同様である。
【0169】
[構成および基本動作]
図17は、本開示の第2の実施の形態に係るスクランブル装置の構成を示す図である。図17を参照して、スクランブル装置102は、第1の実施の形態に係るスクランブル装置101と比べて、ECM管理部10およびスクランブル部40の代わりにECM管理部80およびスクランブル部90を備える。ECM管理部80は、ECM検出部11と、ECM復号部13とを含む。
【0170】
ECM管理部80におけるECM検出部11は、IP伝送網211経由でECM送信装置201からIPパケットを受信し、受信したIPパケットからTSパケットを取得する。ECM検出部11は、取得したTSパケットにおけるPID等を参照することにより当該TSパケットのペイロードにECMが格納されていると判断した場合、当該TSパケットを出力部50へ出力する。
【0171】
また、ECM検出部11は、当該TSパケットのペイロードに格納されたデータを結合することにより、ECM送信装置201において生成された、暗号化されたECMを含むセクションデータを再構成する。ECM検出部11は、再構成したセクションデータのデータ部から、暗号化されたECMを取得し、取得したECMをECM復号部13へ出力する。
【0172】
ECM復号部13は、ECM検出部11からECMを受けて、受けたECMを、CASモジュール70に格納されたワーク鍵を用いて復号する。ECM復号部13は、復号したECMに含まれるスクランブル鍵をスクランブル部90へ出力する。
【0173】
スクランブル部90は、エンコーダ装置111からIPパケットを受信し、受信したIPパケットに含まれるTSパケットを、ECM復号部13から受けたスクランブル鍵を用いて暗号化し、暗号化したTSパケットを出力部50へ出力する。
【0174】
出力部50は、スクランブル部90から受けた暗号化されたTSパケットと、ECM検出部11から受けた、ECMが格納されたTSパケットとを時間軸方向に多重化し、多重化後の各TSパケットをリマックス装置121へ送信する。
【0175】
<ECMの受信が途絶えた場合の処理>
ECM管理部80におけるECM検出部11は、ECMが格納されたTSパケットを含むIPパケットが所定時間にわたって到着しない場合、ECM送信装置201からのECMの受信が途絶えた旨を示す受信停止情報をスクランブル部90へ出力する。
【0176】
スクランブル部90は、ECM検出部11から受信停止情報を受けて、再びECM復号部13からスクランブル鍵を受けるまでの期間において、エンコーダ装置111から受信したIPパケットに含まれるTSパケットを、暗号化することなく出力部50へ出力する。
【0177】
出力部50は、ECM管理部80によるECMの受信が途絶えた場合、暗号化されていないコンテンツ情報の出力を開始する。より詳細には、出力部50は、スクランブル部90から暗号化されていないTSパケットを受けて、スクランブル部90から受けたTSパケットをリマックス装置121へ送信する。
【0178】
ECM検出部11は、受信停止情報をスクランブル部90へ出力した後、ECMが格納されたTSパケットを含むIPパケットをIP伝送網211経由でECM送信装置201から受信した場合、出力部50へのTSパケットの出力、およびECM復号部13へのECMの出力を再開する。
【0179】
出力部50は、ECM検出部11によるECM復号部13へのECMの出力が再開された後、スクランブル部90から暗号化されたTSパケットを受けて、スクランブル部90から受けたTSパケットと、ECM検出部11から受けたTSパケットとを時間軸方向に多重化し、多重化後の各TSパケットをリマックス装置121へ送信する。
【0180】
図18は、本開示の第2の実施の形態に係るスクランブル装置がスクランブル処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0181】
図18を参照して、まず、スクランブル装置102は、ECM送信装置201から送信されるECMを受信する(ステップS402)。
【0182】
次に、スクランブル装置102は、取得したECMに含まれるスクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化する(ステップS404)。
【0183】
次に、スクランブル装置102は、暗号化したコンテンツ情報、およびコンテンツ情報の暗号化に用いたスクランブル鍵を含むECMを出力する(ステップS406)。
【0184】
次に、スクランブル装置102は、ECM送信装置201から送信されるECMの受信が継続している場合(ステップS408でNO)、ECMの受信、コンテンツ情報の暗号化、ならびに暗号化したコンテンツ情報およびECMの出力を継続する(ステップS402,S404,S406)。
【0185】
一方、スクランブル装置102は、ECM送信装置201から送信されるECMの受信が途絶えた場合(ステップS408でYES)、暗号化されていないコンテンツ情報の出力を開始する。より詳細には、スクランブル装置102は、エンコーダ装置111からIPパケットを受信し、受信したIPパケットに含まれる、コンテンツ情報を含むTSパケットを暗号化することなくリマックス装置121へ送信する(ステップS410)。
【0186】
次に、スクランブル装置102は、ECM送信装置201から送信されるECMの受信再開を待ち受け(ステップS412でNO)、ECM送信装置201から送信されるECMの受信が再開された場合(ステップS412でYES)、ECMの受信、コンテンツ情報の暗号化、ならびに暗号化したコンテンツ情報およびECMの出力を再開する(ステップS402,S404,S406)。
【0187】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0188】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
ECM送信装置から繰り返し送信される、スクランブル鍵を含むECMを受信し、コンテンツ情報を暗号化するスクランブル装置であって、
前記ECMは、前記スクランブル鍵として偶数鍵および奇数鍵を含み、前記偶数鍵および前記奇数鍵は交互に更新されるものであり、
前記ECMを受信して記憶部に保存するECM管理部と、
前記ECM管理部により受信された前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いてコンテンツ情報を暗号化するスクランブル部と、
前記スクランブル部により暗号化された前記コンテンツ情報、および前記スクランブル部において前記コンテンツ情報の暗号化に用いられた前記スクランブル鍵を含む前記ECMを出力する出力部とを備え、
前記スクランブル部は、前記ECM管理部による前記ECMの受信が途絶えた場合、前記記憶部における前記ECMに含まれる前記スクランブル鍵を用いて前記コンテンツ情報を暗号化し、
前記スクランブル部は、前記ECM送信装置が設けられた場所とは異なる場所に設けられたエンコーダ装置から取得した前記コンテンツ情報を暗号化する、スクランブル装置。
【符号の説明】
【0189】
10、80 ECM管理部
11 ECM検出部
12 出力切替部
13 ECM復号部
20 EMM管理部
40、90 スクランブル部
50 出力部
60 記憶部
70 CASモジュール
101、102 スクランブル装置
111 エンコーダ装置
121 リマックス装置
151 ケーブルテレビ局
211 IP伝送網
201 ECM送信装置
202 EMM送信装置
251 番組配信センタ
301 STB
311 ケーブルテレビ網
351 加入者宅
401 放送システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図18