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特許7533195画像処理装置、過積載検知システム、画像処理方法および画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】画像処理装置、過積載検知システム、画像処理方法および画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/60 20170101AFI20240806BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240806BHJP
【FI】
G06T7/60 200C
G06T7/00 650B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020209602
(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公開番号】P2022096477
(43)【公開日】2022-06-29
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(72)【発明者】
【氏名】鳥山 秀之
【審査官】稲垣 良一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-28967(JP,A)
【文献】特開2019-158489(JP,A)
【文献】特開2017-219366(JP,A)
【文献】国際公開第2015/052896(WO,A1)
【文献】特開2019-211223(JP,A)
【文献】特開2019-196982(JP,A)
【文献】特開2019-194542(JP,A)
【文献】特開2018-49568(JP,A)
【文献】特開平7-21381(JP,A)
【文献】特開平3-239902(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101699217(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105172494(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/60
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の側方を撮影して得られる撮像画像を取得する取得手段と、
前記撮像画像に含まれるエッジをハフ変換することにより円または楕円を抽出する形状抽出手段と、
前記形状抽出手段により抽出された複数の円または楕円のうちから中心座標間の距離が閾値以下となる2つの円または楕円の組を決定する組検出手段と、
前記組に決定された2つの円または楕円に基づいて前記撮像画像における前記車両のタイヤに対応するタイヤ部分を特定する特定手段と、を備え、
前記組検出手段は、さらに半径比率が所定範囲にある2つの円または楕円の組を決定する、画像処理装置。
【請求項2】
車両の側方を撮影して得られる撮像画像を取得する取得手段と、
前記撮像画像に含まれるエッジをハフ変換することにより円または楕円を抽出する形状抽出手段と、
前記形状抽出手段により抽出された複数の円または楕円のうちから中心座標間の距離が閾値以下となる2つの円または楕円の組を決定する組検出手段と、
前記組に決定された2つの円または楕円に基づいて前記撮像画像における前記車両のタイヤに対応するタイヤ部分を特定する特定手段と、
前記撮像画像に第1画像処理を実行する第1処理手段と、
前記撮像画像に前記第1画像処理と異なる第2画像処理を実行する第2処理手段と、備え、
前記形状抽出手段は、前記第1画像処理が実行された第1画像に含まれるエッジをハフ変換することにより第1の円または楕円を抽出する第1抽出手段と、
前記第2画像処理が実行された第2画像に含まれるエッジをハフ変換することにより第2の円または楕円を抽出する第2抽出手段と、を含み、
前記組検出手段は、さらに、前記第1抽出手段により抽出された前記第1の円または楕円と前記第2抽出手段により抽出された前記第2の円または楕円との組を決定する、画像処理装置。
【請求項3】
前記所定範囲は、前記車両に装着されたタイヤとリムそれぞれの半径に基づき定められる、請求項に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記特定手段により特定されたタイヤ部分に基づいて前記車両が過積載か否かを判断する判断手段を、さらに備えた請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の画像処理装置と、
前記車両を撮像して得られる画像を前記撮像画像として前記画像処理装置に出力する撮像手段と、を備えた過積載検知システム。
【請求項6】
車両の側方を撮影して得られる撮像画像を取得する取得ステップと、
前記撮像画像に含まれるエッジをハフ変換することにより円または楕円を抽出する形状抽出ステップと、
前記形状抽出ステップにおいて抽出された複数の円または楕円のうちから中心座標間の距離が閾値以下となる2つの円または楕円の組を決定する組検出ステップと、
前記組に決定された2つの円または楕円に基づいて前記撮像画像における前記車両のタイヤに対応するタイヤ部分を特定する特定ステップと、を画像処理装置に実行させ、
前記組検出ステップは、さらに半径比率が所定範囲にある2つの円または楕円の組を決定することを含む、画像処理方法。
【請求項7】
車両の側方を撮影して得られる撮像画像を取得する取得ステップと、
前記撮像画像に含まれるエッジをハフ変換することにより円または楕円を抽出する形状抽出ステップと、
前記形状抽出ステップにおいて抽出された複数の円または楕円のうちから中心座標間の距離が閾値以下となる2つの円または楕円の組を決定する組検出ステップと、
前記組に決定された2つの円または楕円に基づいて前記撮像画像における前記車両のタイヤに対応するタイヤ部分を特定する特定ステップと、
前記撮像画像に第1画像処理を実行する第1処理ステップと、
前記撮像画像に前記第1画像処理と異なる第2画像処理を実行する第2処理ステップと、を画像処理装置に実行させ、
前記形状抽出ステップは、前記第1画像処理が実行された第1画像に含まれるエッジをハフ変換することにより第1の円または楕円を抽出する第1抽出ステップと、
前記第2画像処理が実行された第2画像に含まれるエッジをハフ変換することにより第2の円または楕円を抽出する第2抽出ステップと、を含み、
前記組検出ステップは、さらに、前記第1抽出ステップにおいて抽出された前記第1の円または楕円と前記第2抽出ステップにおいて抽出された前記第2の円または楕円との組を決定することを含む、画像処理方法。
【請求項8】
車両の側方を撮影して得られる撮像画像を取得する取得ステップと、
前記撮像画像に含まれるエッジをハフ変換することにより円または楕円を抽出する形状抽出ステップと、
前記形状抽出ステップにおいて抽出された複数の円または楕円のうちから中心座標間の距離が閾値以下となる2つの円または楕円の組を決定する組検出ステップと、
前記組に決定された2つの円または楕円に基づいて前記撮像画像における前記車両のタイヤに対応するタイヤ部分を特定する特定ステップと、をコンピューターに実行させ、
前記組検出ステップは、さらに半径比率が所定範囲にある2つの円または楕円の組を決定することを含む、画像処理プログラム。
【請求項9】
車両の側方を撮影して得られる撮像画像を取得する取得ステップと、
前記撮像画像に含まれるエッジをハフ変換することにより円または楕円を抽出する形状抽出ステップと、
前記形状抽出ステップにおいて抽出された複数の円または楕円のうちから中心座標間の距離が閾値以下となる2つの円または楕円の組を決定する組検出ステップと、
前記組に決定された2つの円または楕円に基づいて前記撮像画像における前記車両のタイヤに対応するタイヤ部分を特定する特定ステップと、
前記撮像画像に第1画像処理を実行する第1処理ステップと、
前記撮像画像に前記第1画像処理と異なる第2画像処理を実行する第2処理ステップと、をコンピューターに実行させ、
前記形状抽出ステップは、前記第1画像処理が実行された第1画像に含まれるエッジをハフ変換することにより第1の円または楕円を抽出する第1抽出ステップと、
前記第2画像処理が実行された第2画像に含まれるエッジをハフ変換することにより第2の円または楕円を抽出する第2抽出ステップと、を含み、
前記組検出ステップは、さらに、前記第1抽出ステップにおいて抽出された前記第1の円または楕円と前記第2抽出ステップにおいて抽出された前記第2の円または楕円との組を決定することを含む、画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置、過積載検知システム、画像処理方法および画像処理プログラムに関し、特に、車両を撮像して得られる撮像画像中で車両のタイヤに対応するタイヤ部分を特定する画像処理装置、その画像処理装置を備えた過積載検知システムおよびその画像処理装置で実行される画像処理方法およびその画像処理方法をコンピューターに実行させる画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通行する車両のタイヤの形状に基づいて、タイヤの変形量から車両の過積載を判定する技術が知られている。例えば、特開2002-228423号公報には、通行車両のタイヤ付近を横斜め上から撮像装置で撮像し、得られた画像をエッジ検出してタイヤの輪郭情報を検出し、検出された前記タイヤの輪郭情報に対して楕円を検出する擬似ハフ変換処理を定義し、エッジ検出画像のエッジ点において、ハフ変換のパラメータ空間での投票処理を行ってタイヤの検出を行うことを特徴とするタイヤ検出方法が知られている。
【0003】
しかしながら、撮像装置で撮像して得られた画像からエッジとして抽出される部分は、タイヤの輪郭に限らず、タイヤ以外の部分、例えば、ボディーや他の部品の輪郭が含まれる場合がある。このため、車両のボディーや他の部品がタイヤと誤って抽出されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-228423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、車両を撮像して得られる撮像画像から車両のタイヤに対応するタイヤ部分を正確に抽出することが可能な画像処理装置を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、車両を撮像して得られる撮像画像から車両の過積載を検知可能な過積載検知システムを提供することである。
【0007】
この発明のさらに他の目的は、車両を撮像して得られる撮像画像から車両のタイヤに対応するタイヤ部分を正確に抽出することが可能な画像処理方法を提供することである。
【0008】
この発明のさらに他の目的は、車両を撮像して得られる撮像画像から車両のタイヤに対応するタイヤ部分を正確に抽出することが可能な画像処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、画像処理装置は、車両の側方を撮影して得られる撮像画像を取得する取得手段と、撮像画像に含まれるエッジをハフ変換することにより円または楕円を抽出する形状抽出手段と、形状抽出手段により抽出された複数の円または楕円のうちから中心座標間の距離が閾値以下となる2つの円または楕円の組を決定する組検出手段と、組に決定された2つの円または楕円に基づいて撮像画像における車両のタイヤに対応するタイヤ部分を特定する特定手段と、を備え、組検出手段は、さらに半径比率が所定範囲にある2つの円または楕円の組を決定する。
【0010】
この局面に従えば、車両の側方を撮影して得られる撮像画像に含まれるエッジをハフ変換することにより抽出される複数の円または楕円のうちから中心座標間の距離が閾値以下となる2つの円または楕円の組が決定され、2つの円または楕円に基づいて撮像画像における車両のタイヤに対応するタイヤ部分が特定される。タイヤは、車両に装着されるリムに装着される。タイヤとリムとは回転中心が同じなので、タイヤの輪郭とリムの輪郭とは撮像画像中に中心座標間の距離が閾値以下となる2つの円または楕円として表される。このため、車両を撮像して得られる撮像画像から車両のタイヤに対応するタイヤ部分を正確に抽出することが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0012】
また、タイヤとリムとの半径比率は車両によって定まるので、車両が特定される場合にタイヤ部分をより正確に抽出することができる。
この発明の他の局面によれば、画像処理装置は、車両の側方を撮影して得られる撮像画像を取得する取得手段と、撮像画像に含まれるエッジをハフ変換することにより円または楕円を抽出する形状抽出手段と、形状抽出手段により抽出された複数の円または楕円のうちから中心座標間の距離が閾値以下となる2つの円または楕円の組を決定する組検出手段と、組に決定された2つの円または楕円に基づいて撮像画像における車両のタイヤに対応するタイヤ部分を特定する特定手段と、撮像画像に第1画像処理を実行する第1処理手段と、撮像画像に第1画像処理と異なる第2画像処理を実行する第2処理手段と、を備え、形状抽出手段は、第1画像処理が実行された第1画像に含まれるエッジをハフ変換することにより第1の円または楕円を抽出する第1抽出手段と、第2画像処理が実行された第2画像に含まれるエッジをハフ変換することにより第2の円または楕円を抽出する第2抽出手段と、を含み、組検出手段は、さらに第1の円または楕円と第2の円または楕円との組を決定する。
この局面に従えば、撮像画像に第1画像処理が実行された画像から抽出されるエッジをハフ変換することにより第1の円または楕円が抽出され、撮像画像に第2画像処理が実行された画像から抽出されるエッジをハフ変換することにより第2の円または楕円が抽出される。そして、第1の円または楕円と第2の円または楕円との組に基づいて撮像画像における車両のタイヤに対応するタイヤ部分が特定される。第1画像処理と第2画像処理とは異なるので、撮像画像に第1画像処理が実行された画像から抽出されるエッジと撮像画像に第2画像処理が実行された画像から抽出されるエッジとは、同じエッジもあれば異なるエッジもある。第1画像処理を撮像画像中で車両のタイヤの輪郭に対応する部分がエッジとして現れやすい処理とすれば、タイヤの輪郭に対応する部分を含む第1の円または楕円が抽出され易くなる。また、第2画像処理を撮像画像中で車両のリムの輪郭に対応する部分がエッジとして現れやすい処理とすれば、リムの輪郭に対応する部分を含む第2の円または楕円が抽出され易くなる。このため、車両を撮像して得られる撮像画像から車両のタイヤに対応するタイヤ部分を正確に抽出することが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0013】
好ましくは、所定範囲は、車両に装着されたタイヤとリムそれぞれの半径に基づき定められる。
【0014】
この局面に従えば、タイヤとリムそれぞれの半径は車両によって定まるので、車両が特定される場合に、半径比率を正確に決定され、タイヤ部分がより正確に抽出される。
【0015】
好ましくは、特定手段により特定されたタイヤ部分に基づいて車両が過積載か否かを判断する判断手段を、さらに備える。
【0016】
この局面に従えば、撮像画像から容易に車両の過積載を判断することができる。
【0019】
この発明の他の局面によれば、過積載検知システムは、上述の画像処理装置と、車両を撮像して得られる画像を撮像画像として画像処理装置に出力する撮像手段と、を備える。
【0020】
この局面に従えば、車両の車重を容易に予測可能な過積載検知システムを提供することができる。
【0021】
この発明のさらに他の局面によれば、画像処理方法は、車両の側方を撮影して得られる撮像画像を取得する取得ステップと、撮像画像に含まれるエッジをハフ変換することにより円または楕円を抽出する形状抽出ステップと、形状抽出ステップにおいて抽出された複数の円または楕円のうちから中心座標間の距離が閾値以下となる2つの円または楕円の組を決定する組検出ステップと、組に決定された2つの円または楕円に基づいて撮像画像における車両のタイヤに対応するタイヤ部分を特定する特定ステップと、を画像処理装置に実行させ、組検出ステップは、さらに半径比率が所定範囲にある2つの円または楕円の組を決定することを含む
この発明のさらに他の局面によれば、画像処理方法は、車両の側方を撮影して得られる撮像画像を取得する取得ステップと、撮像画像に含まれるエッジをハフ変換することにより円または楕円を抽出する形状抽出ステップと、形状抽出ステップにおいて抽出された複数の円または楕円のうちから中心座標間の距離が閾値以下となる2つの円または楕円の組を決定する組検出ステップと、組に決定された2つの円または楕円に基づいて撮像画像における車両のタイヤに対応するタイヤ部分を特定する特定ステップと、撮像画像に第1画像処理を実行する第1処理ステップと、撮像画像に第1画像処理と異なる第2画像処理を実行する第2処理ステップと、を画像処理装置に実行させ、形状抽出ステップは、第1画像処理が実行された第1画像に含まれるエッジをハフ変換することにより第1の円または楕円を抽出する第1抽出ステップと、第2画像処理が実行された第2画像に含まれるエッジをハフ変換することにより第2の円または楕円を抽出する第2抽出ステップと、を含み、組検出ステップは、さらに、第1抽出ステップにおいて抽出された第1の円または楕円と第2抽出ステップにおいて抽出された第2の円または楕円との組を決定することを含む。
【0022】
この局面に従えば、車両を撮像して得られる撮像画像から車両のタイヤに対応するタイヤ部分を正確に抽出することが可能な画像処理方法を提供することができる。
【0023】
この発明のさらに他の局面によれば、画像処理プログラムは、車両の側方を撮影して得られる撮像画像を取得する取得ステップと、撮像画像に含まれるエッジをハフ変換することにより円または楕円を抽出する形状抽出ステップと、形状抽出ステップにおいて抽出された複数の円または楕円のうちから中心座標間の距離が閾値以下となる2つの円または楕円の組を決定する組検出ステップと、組に決定された2つの円または楕円に基づいて撮像画像における車両のタイヤに対応するタイヤ部分を特定する特定ステップと、をコンピューターに実行させ、組検出ステップは、さらに半径比率が所定範囲にある2つの円または楕円の組を決定することを含む
この発明のさらに他の局面によれば、画像処理プログラムは、車両の側方を撮影して得られる撮像画像を取得する取得ステップと、撮像画像に含まれるエッジをハフ変換することにより円または楕円を抽出する形状抽出ステップと、形状抽出ステップにおいて抽出された複数の円または楕円のうちから中心座標間の距離が閾値以下となる2つの円または楕円の組を決定する組検出ステップと、組に決定された2つの円または楕円に基づいて撮像画像における車両のタイヤに対応するタイヤ部分を特定する特定ステップと、撮像画像に第1画像処理を実行する第1処理ステップと、撮像画像に第1画像処理と異なる第2画像処理を実行する第2処理ステップと、をコンピューターに実行させ、形状抽出ステップは、第1画像処理が実行された第1画像に含まれるエッジをハフ変換することにより第1の円または楕円を抽出する第1抽出ステップと、第2画像処理が実行された第2画像に含まれるエッジをハフ変換することにより第2の円または楕円を抽出する第2抽出ステップと、を含み、組検出ステップは、さらに、第1抽出ステップにおいて抽出された第1の円または楕円と第2抽出ステップにおいて抽出された第2の円または楕円との組を決定することを含む。
【0024】
この局面に従えば、車両を撮像して得られる撮像画像から車両のタイヤに対応するタイヤ部分を正確に抽出することが可能な画像処理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施の形態における過積載検知システムの全体概要の一例を示す図である。
図2】撮像装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】画像処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】本実施の形態における画像処理装置が備えるCPUが有する機能の一例を示す図である。
図5】撮像画像に含まれるタイヤ部分とハフ変換により抽出される円または楕円との関係の一例を示す図である。
図6】タイヤの変形判定量を説明する図である。
図7】過積載検知処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】タイヤ部分抽出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】エッジ抽出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10】第2の実施の形態における画像処理装置が備えるCPUが有する機能の一例を示す図である。
図11】第1画像処理および第2画像処理で用いられるパラメータの違いを示す図である。
図12】第1抽出条件と第2抽出条件との一例を示す図である。
図13】第2の実施の形態におけるタイヤ部分抽出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態における画像処理装置、その画像処理装置を備えた過積載検知システムについて図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0027】
<第1の実施の形態>
図1は、本実施の形態における過積載検知システムの全体概要の一例を示す図である。過積載検知システム1は、撮像装置10と、画像処理装置20とを含む。撮像装置10は、限定するものではないが、例えば、高速道路などの自動車専用道路の進入/退出レーンの脇の固定された位置に固定された向きで設けられて、当該自動車専用道路に進入または退出する車両を撮像する。撮像装置10は、カメラ11(図2参照)を備える。カメラ11は、走行路RWを走行する車両を撮影して得られる撮像画像を出力する。
【0028】
画像処理装置20は、撮像装置10から撮像画像を取得して画像処理し、車両のタイヤの変形量に基づく車両の過積載を判定する。画像処理装置20は、積載物の重量を含む車両の重量がその車両に応じた所定の基準を超過しているか否かを判断する。
【0029】
なお、図1においては、車両の片側だけが撮影される場合が示されているが、計測精度を向上するために車両の両側が撮影されてもよい。
【0030】
図2は、撮像装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2を参照して、撮像装置10は、カメラ11と、制御部12と、記憶部13と、通信部14と、を備える。制御部12は、撮像装置10の全体を制御する中央演算装置(CPU)である。記憶部13は、データを不揮発的に記憶可能なハードディスクドライブ(HDD)である。なお、記憶部13は、フラッシュメモリー等の半導体メモリであってもよい。通信部14は、画像処理装置20と通信するためのインターフェースである。通信部14は、画像処理装置20と有線で接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。また、通信部14は、インターネットなどのネットワークを介して画像処理装置20と接続されてもよい。
【0031】
カメラ11は、外部から入力された可視光を各画素位置に導く光学装置と、各画素位置でRGB各色の入射光量を検出する検出部などを備える。光学装置により集光された光は検出部に結像される。検出部は、光電変換素子が2次元に配列され、受光した光を光電変換して、2次元に配列された複数の画素の画素値からなる撮像画像を出力する。撮像画像は、RGBそれぞれの色の明度からなるカラーの画像であってもよいし、1色の明度からなるモノクロの画像であってもよい。光電変換素子は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー、CCD(Charge Coupled Device)センサー等である。
【0032】
カメラ11から出力される撮像画像は、記憶部13に格納される。制御部12は、記憶部13に一時的に格納された撮像画像を適切なタイミングで通信部14を介して画像処理装置20に出力する。撮像画像は、ある時点における車両を撮像して得られる静止画であってもよいし、継続した時間の間車両を撮像して得られる動画であってもよい。
【0033】
撮像画像を静止画とする場合、撮像装置10は、所定時間間隔で静止画を出力してもよい。撮像画像を動画とする場合におけるフレームレートや所定の時間間隔は、画角内を横切る各車両がそれぞれ少なくとも複数のフレーム(例えば、3~6枚など)が得られる程度であればよく、撮像装置10の設置位置やカメラ11の画角内で想定される車両の走行速度に応じて変更可能であってもよい。
【0034】
図3は、画像処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図3を参照して、画像処理装置20は、演算処理を行うコンピューターであり、画像処理装置20の全体を制御するためのCPU201と、CPU201が実行するためのプログラムを記憶するROM(Read Only Memory)202と、CPU201の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)203と、データを不揮発的に記憶するHDD204と、CPU201をネットワークに接続する通信部205と、情報を表示する表示部206と、ユーザーの操作の入力を受け付ける操作部207と、外部記憶装置210と、を含む。
【0035】
通信部205は、画像処理装置20をネットワークに接続するためのインターフェースである。ネットワークは、インターネットを含む。このため、CPU201は、通信部205を介して、インターネットに接続されたコンピューターと通信可能である。また、通信部205は、外部機器と通信するためのインターフェースでもある。通信部205が通信可能に接続される外部機器としては、撮像装置10の他、例えば、過積載の車両の運転手に対して報知動作を行う報知装置、過積載の車両の通行を遮断する遮断機の動作制御装置、過積載の車両の監視員による監視装置であってもよい。
【0036】
CPU201は、インターネット等のネットワークに接続されたコンピューターからプログラムをダウンロードしてHDD204に記憶する。また、ネットワークに接続されたコンピューターがプログラムをHDD204に書込みする場合に、HDD204にプログラムが記憶される。CPU201は、HDD204に記憶されたプログラムをRAM203にロードして実行する。
【0037】
外部記憶装置210は、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)211が装着される。本実施の形態においては、CPU201は、ROM202またはHDD204に記憶されたプログラムを実行する例を説明する。CPU201は、外部記憶装置210を制御して、CD-ROM211からCPU201が実行するためのプログラムを読出し、読み出したプログラムをRAM203に記憶して実行してもよい。
【0038】
なお、CPU201が実行するためのプログラムを記憶する記録媒体としては、CD-ROM211に限られず、フレキシブルディスク、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)等の半導体メモリ等の媒体でもよい。ここでいうプログラムは、CPU201により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0039】
HDD204は、CPU201が実行するプログラムの他、車両情報を記憶する。HDD204に記憶されるプログラムには、過積載検知プログラムが含まれる。HDD204に代えて、フラッシュメモリーなどの不揮発性メモリが用いられてもよい。また、プログラムおよび車両情報は、ROM202に記憶されていてもよい。
【0040】
車両情報は、諸元データベースと、判定基準値と、を含む。諸元データベースは、タイヤの種別や車両の種別を特定するために用いられるデータを含む。具体的には、諸元データベースは、車両に装着されているタイヤの径、車両に装着されているリムの径、を含む。諸元データベースは、車両の軸数、タイヤ数、タイヤの種類、車両の乾燥重量などを含んでもよい。判定基準値は、例えば、車両に対して予め定められた最大の車重に対する変形判定量である。変形判定量は、車重の違いによりタイヤが変形する度合いを示す値である。判定基準値は、過積載の有無の判定に用いられる閾値であり、車両およびタイヤの種別ごとに定めた値である。変形判定量および判定基準値の詳細は、後述する。
【0041】
HDD204は、さらに、撮像画像やその解析結果を記憶してもよい。撮像画像やその解析結果は、所定の容量内で古いデータから順番に上書き更新される。また、撮像画像やその解析結果は、HDD204に記憶されてから所定の時間が経過後に消去され、空いた領域に新たな撮像画像やその解析結果が記憶されてもよい。特に、過積載であると判定された撮像画像は、別途通信部23などを介して外部から取得されるまで保持されてもよい。
【0042】
図4は、本実施の形態における画像処理装置が備えるCPUが有する機能の一例を示す図である。図4に示す機能は、画像処理装置20が備えるCPU201が、ROM202、HDD204またはCD-ROM211に記憶された過積載検知プログラムを実行することにより、CPU201により実現される機能である。図4を参照して、CPU201は、撮像装置10からカメラ11が被写体を撮像して出力する撮像画像を取得する取得部251と、被写体である車両に関する情報を検出する車両情報検出部253と、撮像画像からエッジ画像を生成するエッジ画像生成部265と、エッジ画像から円または楕円の形状を抽出する形状抽出部261と、組検出部263と、撮像画像中で被写体である車両のタイヤに対応するタイヤ部分を特定する特定部255と、車両の状態が過積載であるか否かを判断する判断部257と、過積載と判断される場合に通知する出力部259と、を含む。
【0043】
取得部251は、撮像装置10が備えるカメラ11が被写体を撮像し、出力する撮像画像を撮像装置10から取得する。撮像装置10は、撮像範囲を車両が通過する間に車両を被写体として撮像する。撮像装置10は、被写体としての車両を撮像するので、撮像画像は被写体である車両に対応する部分を含む。取得部251は、撮像装置10から取得された撮像画像を車両情報検出部253、特定部255およびエッジ画像生成部265に出力する。撮像画像は、動画であってもよいし、静止画であってもよい。取得部251は、撮像画像が動画の場合、動画に含まれる複数のフレームのうちから選択された1以上の静止画を出力する。
【0044】
車両情報検出部253は、車両に関する車両情報を検出する。例えば、車両情報検出部253は、撮像画像に含まれる車両のナンバープレートに対応する部分を抽出し、抽出された部分を文字認識することによりナンバープレートに記載されている情報を抽出する。そして、車両情報検出部253は、ナンバープレートに記載されている情報を用いて、HDD204に予め記憶されている車両情報を検索し、撮像画像に被写体として含まれる車両の車両情報を取得する。また、撮像画像に含まれる車両の部分から車種が検出されてもよい。車両情報は、諸元データベースと、判定基準値と、を含む。諸元データベースは、車両に装着されているタイヤの径、車両に装着されているリムの径、を含む。判定基準値は、車両に対して予め定められた最大の車重に対する変形判定量である。車両情報検出部253は、検出された車両情報を条件決定部267および判断部257に出力する。
【0045】
なお、本実施の形態においては、車両情報をHDD204に記憶する例を説明するが、車両情報は、画像処理装置20とは別のコンピューターに記憶されてもよい。例えば、画像処理装置20と通信可能にネットワークで接続されたサーバーに車両情報が記憶される場合、車両情報検出部253は、そのサーバーにナンバープレートに記されている情報を送信し、サーバーから被写体となった車両の車両情報を取得する。車両情報の諸元データベースおよび判定基準値が別のコンピューターに記憶されてもよい。例えば、諸元データベースがサーバーに記憶され、判定基準値が画像処理装置20に記憶されてもよい。
【0046】
エッジ画像生成部265は、取得部251から入力される撮像画像を画像処理することによりエッジ画像を生成する。エッジ画像は、撮像画像に含まれるエッジを含む画像である。エッジ画像生成部265は、撮像画像に画像処理を実行することによりエッジ画像を生成する。エッジ画像生成部265は、エッジ画像を形状抽出部261に出力する。
【0047】
エッジ画像生成部265が実行する画像処理は、撮像画像をスムージングするスムージング処理、スムージング処理された画像を微分した微分画像を生成する微分画像生成処理、微分画像を2値化する2値化処理と、を含む。スムージング処理は、画像中の複数の画素それぞれについて、隣接する画素との画素値の差を小さくする処理である。例えば、スムージング処理は、平滑化フィルタを用いて、処理対象画像を畳み込み演算する処理である。異なる平滑化フィルタが用いられる場合、スムージングの程度が異なる。
【0048】
微分画像生成処理は、画像中の複数の画素それぞれについて、隣接する画素との画素値の差を示す微分画像を生成する処理である。例えば、微分画像生成処理は、微分フィルタを用いて、処理対象画像を畳み込み演算する処理である。微分フィルタは、1次微分フィルタであってもよいし、2次微分フィルタであってもよい。
【0049】
2値化処理は、微分画像生成処理により生成された微分画像を2値化する処理である。例えば、2値化処理は、微分画像の複数の画素の画素値を2値化の閾値と比較し、エッジ画素とエッジでない画素とに区別する処理である。2値化の閾値が異なる場合、2値化の程度が異なる。
【0050】
なお、ここでは、エッジ画像生成部265が、スムージング処理を実行する場合を例に説明するが、スムージング処理に代えて、または、スムージング処理に加えて縮小処理を実行してよい。縮小処理によって、スムージング処理と同様の効果が得られる。
【0051】
形状抽出部261は、エッジ画像から円または楕円の形状を抽出する。形状抽出部261は、エッジ画像に含まれるすべての円または楕円を抽出してもよい。また、車両情報により、車両に装着されるタイヤの径およびリムの径が分かっているので、形状抽出部261は、タイヤの径およびリムの径に相当する円または楕円を抽出してもよい。車両情報により定められる車両の基準となる部分の長さと車両のタイヤおよびリムそれぞれの径との比率から、第1径情報および第2径情報が決定される。第1径情報は、撮像画像における車両のタイヤ部分の径から所定の範囲の径であり、第2径情報は、撮像画像におけるリム部分の径から所定の範囲の径である。第1径情報が、タイヤ部分の外縁に相当する円または楕円を抽出するための条件として設定され、第2径情報がリム部分の外縁に相当する円または楕円を抽出するための条件として設定される。
【0052】
車両の基準となる部分は、撮像画像からの抽出が容易な部分として予め定めておけばよい。例えば、車両の基準となる部分は、車両の高さであってもよいし、車両の長さであってもよい。車両の基準となる部分を車両の高さとする場合、撮像画像に含まれる車両の部分の高さと、車両情報で定められる車両の高さとタイヤの径との比率とから、撮像画像に含まれるタイヤ部分の径が決定される。同様に、撮像画像に含まれる車両の部分の高さと、車両情報で定められる車両の高さとリムの径との比率とから、撮像画像に含まれるリム部分の径が決定される。
【0053】
ここで、楕円の中心は、楕円の長径と短径とが交わる点である。タイヤとカメラ11との位置関係により、撮像画像中のタイヤ部分およびリム部分が円となる場合と、楕円になる場合がある。カメラ11の光軸がタイヤの中心を通る車軸の方向と一致する場合に撮像画像中のタイヤ部分およびリム部分が円になり、カメラ11の光軸がタイヤの中心を通る車軸の方向と交わる場合に撮像画像中のタイヤ部分およびリム部分が楕円になる。カメラ11の光軸をタイヤの中心を通る車軸と同じ高さとなるようにカメラ11が設置される場合、カメラ11の光軸とタイヤの中心を通る車軸とが水平方向で交わる。この場合、撮像画像中のタイヤ部分およびリム部分が楕円になるが、垂直方向の長さは変化しない。このため、楕円の径は長径とすればよい。
【0054】
また、形状抽出部261は、ハフ変換における投票値の閾値を、タイヤ部分の径およびリム部分の径に応じて決定してもよい。ハフ変換で画素ごとに投票される投票値は、円または楕円の半径が大きくなるほど多くなる。このため、円または楕円の径と閾値との関係を予め定めたテーブルまたは演算式を用いて、閾値が決定されてもよい。
【0055】
なお、撮像画像に含まれるタイヤ部分の径およびリム部分の径それぞれに応じて閾値が補正されてもよい。撮像画像中のタイヤ部分にタイヤの外縁のすべてが含まれるとは限られず、同様に、撮像画像中のリム部分にリムの外縁のすべてが含まれるとは限られない。このため、実験等により求められる補正値を用いて閾値が補正されてもよい。補正値は、スムージング処理の程度および2値化処理の閾値に基づいて定めるのが好ましい。
【0056】
組検出部263は、形状抽出部261によりエッジ画像から抽出された複数の円または楕円のうちから中心座標が所定範囲にある2つの円または楕円の組を検出する。タイヤの回転軸とリムの回転軸は一致する。このため、撮像画像中でタイヤ部分の外縁を含む第1の円または楕円の中心とリム部分の外縁を含む第2の円または楕円の中心とは一致するはずである。したがって、中心座標が所定の範囲内にある2つの円または楕円の組が、タイヤ部分の外縁を含む円または楕円とリム部分の外縁を含む円または楕円との組に相当する確率が高い。
【0057】
さらに、組検出部263は、半径比率が所定範囲にある2つの円または楕円の組を決定する。タイヤとリムとの半径比率は車両によって定まる。このため、中心座標の距離が所定範囲にある円または楕円が複数ある場合に、半径比率が所定の範囲にある2つの円または楕円の組を特定することができる。したがって、車両が特定される場合にタイヤ部分の外縁とリム部分の外縁とにそれぞれ対応する2つの円または楕円の組をより正確に抽出することができる。
【0058】
組検出部263は、車両情報で定められるタイヤおよびリムそれぞれの半径に基づいて、半径比率を決定する。このため、半径比率が正確に決定される。
【0059】
図5は、撮像画像に含まれるタイヤ部分とハフ変換により抽出される円または楕円との関係の一例を示す図である。図5を参照して、撮像画像に含まれるタイヤ部分の外縁と、リム部分の外縁とが細い実線で示される。ハフ変換により抽出される円が点線または一点鎖線で示される。ハフ変換により抽出される円として、タイヤ部分の外縁に対して細い点線で示される第1の円とリム部分の外縁に対して太い点線で示される第2の円とに加えて、太い一点鎖線で示す2つの円が含まれる場合を例に示される。これら4つの円のうちで、中心座標が所定の範囲内になる2つの円の組は、細い点線で示されるタイヤ部分の外縁に対応する第1の円と、太い点線で示されるリム部分の外縁に対応する第2の円とである。なお、一点鎖線で示される2つの円は、ハフ変換により誤って検出される円である。
【0060】
図4に戻って、特定部255は、取得部251から撮像画像が入力され、組検出部263から2つの円または楕円の組が入力される。特定部255は、撮像画像中でタイヤ部分を特定する。具体的には、特定部255は、組検出部263から入力される組に含まれる径の大きな第1の円または楕円に基づいて、撮像画像中のタイヤ部分の外縁を特定し、組検出部263から入力される組に含まれる径の小さな第2の円または楕円に基づいて、撮像画像中のリム部分の外縁を特定する。特定部255は、撮像画像中で、第1の円または楕円から所定範囲に含まれるエッジをタイヤ部分の外縁の一部に特定する。また、特定部255は、特定されたタイヤ部分の外縁の一部を構成するエッジと連続するエッジを、タイヤ部分の外縁の一部に決定する。タイヤの地面に接地する部分は、撮像画像中で第1の円または楕円から所定範囲に含まれない場合がある。タイヤの地面に接地しない部分が、撮像画像中で第1の円または楕円から所定範囲に含まれるので、タイヤの地面に接地しない部分に対応するエッジと連続するエッジをタイヤ部分の外縁とすることで、タイヤの地面と接地する部分に対するタイヤ部分の外縁が決定される。特定部255は、撮像画像中のタイヤ部分の外縁を判断部257に出力する。なお、第1の円または楕円の内部で、撮像画像中で路面と平行なエッジがタイヤ部分の外縁に決定されてもよい。
【0061】
判断部257は、特定部255から撮像画像中のタイヤ部分の外縁が入力され、車両情報検出部253から車両情報が入力される。判断部257は、タイヤ部分の外縁の形状と、車両情報とに基づいて、車両が過積載か否かを判断する。例えば、判断部257は、タイヤ部分の外縁に基づいて、タイヤ部分の中心、半径および変形判定量を決定し、変形判定量が車両の積載制限重量に対応する判定基準値を超過しているか否かを判別する。判断部257は、変形判定量が判定基準値を超過している場合に、過積載と判断し、出力部259に警告指示を出力する。
【0062】
出力部259は、警告指示が入力されることに応じて、警告情報を出力する。例えば、出力部259は、表示部206に警告メッセージを表示する。また、警告音が発生されてもよい。さらに、車両の通行を妨げるように、ゲートが閉じられてもよい。
【0063】
図6は、タイヤの変形判定量を説明する図である。図6を参照して、タイヤTは、車輪のホイールのリムRに取り付けられている。タイヤTは、正確には、表面に凹部等の構造を有するが、ここでは、当該タイヤTを回転軸方向から見た正面画像からこれら凹部などの構造を無視したタイヤの外縁を含む円が検出されるものとして説明する。また、ここでは、水平方向がx軸方向、垂直方向がy軸方向として示される。また、タイヤが接地する路面は略水平であり、x軸方向に沿って延びているとする。なお、特には限られないが、以降では、カメラ11の撮影範囲を矩形状の領域とし、撮像画像は、縦方向および横方向がそれぞれy軸方向およびx軸方向に沿っているものとして説明する。各軸の原点位置は、例えば、画像の左下端部や画像の中心位置など、任意に定められてよい。
【0064】
タイヤTは、変形していない状態で直径L2tである。タイヤTは、車両の重みによって、外縁Tsのうち路面に接地する接地部分が路面に沿って面状に変形し、圧縮幅dLyだけ垂直方向に圧縮される。正面画像で、タイヤTが路面と接地する部分を接地線という。接地線の両端点間の接地幅Lcxは、タイヤの空気圧や材質、構造が一定であれば、積載重量を含む車両の重量が大きくなるほど長くなる。これに伴って、タイヤTの回転中心である回転軸位置ORから路面までの距離Lcyや、タイヤの縦幅L2cyも短くなる。すなわち、タイヤTの形状は、底面が接地幅Lcxにわたって直線状になる接地線と、接地せずに変形が生じない円弧部分との組み合わせになる。したがって、接地部分を示すパラメータと円弧部分を示すパラメータとが得られれば、タイヤTの形状が特定される。一方、リムRは、車両の重量により真円形状から変形しないので、リム半径Lrは、x軸方向およびy軸方向のそれぞれについて変化しない。
【0065】
ここでは、過積載の有無を判定するために、タイヤTの接地部分を示すパラメータとして接地幅Lcxが変形値とされ、タイヤTの円弧部分を示すパラメータとしてタイヤTの半径Lthがタイヤ基準値とされ、変形値とタイヤ基準値との比が変形判定量とされる。車両の重量が大きくなるほど変形判定量が大きくなる。タイヤTの変形判定量が、車両に対して定められた積載制限重量に対応する判定基準値を超過しているか否かが判別されることで、過積載の有無が判定される。車両に対して定められた積載制限重量は、その車両に対して予め定められた最大の重量である。
【0066】
なお、変形値とタイヤ基準値との組は、車重によって変化する値と、車重によって変化しない値との組が用いられれば、他の値の組み合わせが用いられてもよい。
【0067】
図7は、過積載検知処理の流れの一例を示すフローチャートである。過積載検知処理は、画像処理装置20が備えるCPU201が、ROM202、HDD204またはCD-ROM211に記憶された画像処理プログラムを実行することにより、CPU201により実行される処理である。図7を参照して、画像処理装置20が備えるCPU201は、撮像装置10を制御して、車両を被写体としてカメラ11に車両を撮像させる(ステップS01)。次のステップS02においては、カメラ11が車両を撮像して得られる撮像画像が撮像装置10から取得され、処理はステップS03に進む。そして、車両情報が検出される。撮像画像に含まれる車両のナンバープレートに記載された情報に基づいて、HDD204に記憶された車両情報のうちから車両に対応する車両情報が取得される。
【0068】
ステップS04においては、タイヤ部分抽出処理が実行され、処理はステップS05に進む。タイヤ部分抽出処理の詳細は後述するが、撮像画像に含まれる車両のタイヤに対応する部分をタイヤ部分として、撮像画像から抽出する処理である。
【0069】
ステップS05においては、車両が過積載か否かが判断される。ステップS04にいて抽出されたタイヤ部分の外縁の形状と、車両情報とに基づいて、車両が過積載か否かが判断される。具体的には、タイヤ部分の外縁に基づいて、タイヤ部分の半径Lthおよび接地幅Lcxから変形判定量が決定され、変形判定量が車両の積載制限重量に対応する判定基準値を超過しているか否かが判別される。変形判定量が判定基準値を超過している場合に、過積載と判断され、処理はステップS06に進むが、そうでなければ処理は終了する。
【0070】
ステップS06においては、警告が出力される。例えば、表示部206に、警告メッセージが表示される。また、警告音が発生されてもよい。さらに、車両の通行を妨げるように、ゲートが閉じられてもよい。
【0071】
図8は、タイヤ部分抽出処理の流れの一例を示すフローチャートである。タイヤ部分抽出処理は、過積載検知処理のステップS04において実行される処理である。図8を参照して、CPU201は、エッジ抽出処理を実行し(ステップS11)、処理をステップS12に進める。エッジ抽出処理の詳細は後述するが、スムージング処理、微分画像生成処理、2値化処理を含み、撮像画像をエッジ画像に変換する処理である。
【0072】
ステップS12においては、ハフ変換が実行され、処理はステップS13に進む。ステップS11において生成されたエッジ画像を処理対象として、ハフ変換が実行される。
【0073】
ステップS13においては、第1形状と第2形状との組が決定され、処理はステップS14に進む。ステップS12においてハフ変換が実行されることにより、撮像画像中に含まれるタイヤ部分の外縁を一部に含む円または楕円となる候補と、撮像画像中に含まれるリム部分の外縁を含む円または楕円が特定されるので、中心座標の距離が所定の範囲内の第1の円または楕円と第2の円または楕円の組が決定される。さらに、中心座標の距離が所定範囲にある円または楕円が複数ある場合に、半径比率が所定の範囲にある2つの円または楕円の組が決定される。したがって、車両が特定される場合にタイヤ部分の外縁とリム部分の外縁とにそれぞれ対応する2つの円または楕円の組をより正確に抽出することができる。半径比率は、車両情報で定められるタイヤおよびリムそれぞれの半径に基づいて決定される。中心座標の距離が所定の範囲の2つの円または楕円のうち、径の大きな第1の円または楕円が第1形状に決定され、径の小さな第2の円または楕円が第2形状に決定される。
【0074】
ステップS14においては、撮像画像中のタイヤ部分が特定され、処理は過積載検知処理に戻る。具体的には、撮像画像中で、ステップS13において抽出された第1形状および第2形状とで囲まれる部分がタイヤ部分に特定される。
【0075】
図9は、エッジ抽出処理の流れの一例を示すフローチャートである。エッジ抽出処理は、タイヤ部分抽出処理のステップS11で実行される処理である。図9を参照して、CPU201は、撮像画像にスムージング処理を実行し(ステップS21)、処理をステップS22に進める。ステップS22においては、微分画像生成処理が実行され、処理はステップS23に進む。スムージング処理された撮像画像を処理対象として、微分フィルタを用いて畳み込み演算されることにより微分画像が生成される。ステップS23においては、2値化処理が実行され、処理はタイヤ部分抽出処理に戻る。
【0076】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態における過積載検知システム1において、画像処理装置20は、撮像画像からタイヤ部分を抽出するために撮像画像に実行する第1画像処理と、撮像画像からリム部分を抽出するために撮像画像に実行する第2画像処理と、を異ならせるようにした。以下、第1の実施の形態における過積載検知システム1と異なる点が主に説明される。
【0077】
図10は、第2の実施の形態における画像処理装置が備えるCPUが有する機能の一例を示す図である。図10に示す機能が図4に示した機能と異なる点は、エッジ画像生成部265、形状抽出部261および組検出部263がそれぞれエッジ画像生成部265A、形状抽出部261Aおよび組検出部263Aに変更された点、エッジ画像から円または楕円を抽出する条件を決定する条件決定部267が追加された点である。その他の機能は、図4に示した機能と同じなので個々では説明を繰り返さない。
【0078】
エッジ画像生成部265Aは、取得部251から入力される撮像画像を画像処理することによりエッジ画像を生成する。エッジ画像は、撮像画像に含まれるエッジを含む画像である。エッジ画像生成部265Aは、撮像画像に第1画像処理を実行することにより第1エッジ画像を生成する第1処理部281と、撮像画像に第2画像処理を実行することにより第2エッジ画像を生成する第2処理部283とを含む。第1処理部281は、第1エッジ画像を形状抽出部261Aに出力し、第2処理部283は、第2エッジ画像を形状抽出部261Aに出力する。
【0079】
第1処理部281が実行する第1画像処理および第2処理部283が実行する第2画像処理それぞれは、撮像画像をスムージングするスムージング処理、スムージング処理された画像を微分した微分画像を生成する微分画像生成処理、微分画像を2値化する2値化処理と、を含む。
【0080】
第1画像処理と第2画像処理とは、異なる処理である。図11は、第1画像処理および第2画像処理で用いられるパラメータの違いを示す図である。図11を参照して第1画像処理におけるスムージング処理と第2画像処理におけるスムージング処理とは、スムージングの程度が異なる。第1画像処理におけるスムージング処理は、第2画像処理におけるスムージング処理よりもスムージングの程度が強い。スムージングは、隣接する画素の画素値の差を小さくする処理なので、スムージングの程度が強いほど撮像画像に含まれるノイズが減少する。逆に、スムージングの程度が低いほど撮像画像に含まれるノイズが減少しない。
【0081】
第1画像処理における2値化処理と第2画像処理における2値化処理とは、2値化の閾値が異なる。第1画像処理における2値化処理の閾値は、第2画像処理における2値化処理の閾値よりも低い。微分画像は、隣接する画素間における画素値の差を示す。このため、2値化処理の閾値を低くするほど、隣接する画素と画素値の差が小さい画素が抽出される。したがって、第1画像処理により、第2画像処理よりも画素値の変化の小さなエッジが検出される。逆に、2値化処理の閾値を高くするほど、隣接する画素と画素値の差が大きな画素が抽出される。したがって、第2画像処理により、第1画像処理よりも画素値の変化の大きなエッジが検出される。
【0082】
第1画像処理におけるスムージングの程度が第2画像処理におけるスムージングの程度よりも強いので、第1画像処理においてスムージング処理後の画像を微分して生成される第1微分画像は第2画像処理においてスムージング処理後の画像を微分して生成される第2微分画像よりもノイズが少なくなる。このため、第1画像処理における2値化の閾値が、第2画像処理における2値化の閾値をより低い値に設定されることが可能となる。その結果、第1画像処理により生成される第1微分画像からは撮像画像中で明度の変化の小さなエッジが抽出される。したがって、第1処理部281により第1微分画像が2値化処理された第1エッジ画像は、第2処理部283により第2微分画像が2値化処理された第2エッジ画像よりも明度の変化の小さなエッジを含む。
【0083】
また、第2画像処理により生成される第2微分画像は第1画像処理により生成される第1微分画像よりもノイズが多くなるが、第2画像処理における2値化の閾値が第1画像処理における2値化の閾値よりも高いので、ノイズが誤ってエッジとして検出されないようにできるとともに、第2画像処理により生成される第1微分画像からは撮像画像中で明度の変化の大きなエッジのみが抽出される。したがって、第2処理部283により生成される第2エッジ画像は、第1処理部281により生成される第1エッジ画像よりも明度の変化の大きなエッジを含む。
【0084】
撮像画像において、車両のタイヤは、タイヤの周辺の領域と明度の差が小さいことが多い。一方、車両のリムは周辺をタイヤで囲まれているので、リムと周辺のタイヤとの明度の差が大きいことが多い。このため、第1画像処理は、撮像画像から車両のタイヤの外縁に対応する部分を抽出するのに適した第1エッジ画像を生成し、第2画像処理は、撮像画像から車両のリムの外縁に対応する部分を抽出するのに適した第2エッジ画像を生成する。
【0085】
図10に戻って、形状抽出部261Aは、条件決定部267により決定された条件に従って、エッジ画像から円または楕円の形状を抽出する。形状抽出部261Aは、第1処理部281から入力される第1エッジ画像から第1の円または楕円の形状を抽出する第1抽出部271と、第2処理部283から入力される第2エッジ画像から第2の円または楕円の形状を抽出する第2抽出部273と、を含む。
【0086】
条件決定部267は、第1設定部285と、第2設定部287と、を含む。第1設定部285は、車両情報に基づいて、撮像画像中で車両のタイヤの外縁に対応する部分を、第1抽出部271が第1の円または楕円として抽出するための第1抽出条件を設定する。具体的には、第1設定部285は、第1径情報と、ハフ変換における投票値の閾値と、を決定する。第1径情報は、撮像画像における車両のタイヤ部分の径から所定の範囲の径である。第1設定部285は、車両情報により定められる車両の基準となる部分の長さと車両のタイヤの径との比率から、撮像画像における車両のタイヤ部分の径を決定する。車両の基準となる部分は、撮像画像からの抽出が容易な部分として予め定めておけばよい。例えば、車両の基準となる部分は、車両の高さであってもよいし、車両の長さであってもよい。車両の基準となる部分を車両の高さとする場合、第1設定部285は、撮像画像に含まれる車両の部分の高さと、車両情報で定められる車両の高さとタイヤの径との比率とから、撮像画像に含まれるタイヤ部分の径を決定する。第1設定部285は、第1径情報を、タイヤ部分の外縁に相当する第1の円または楕円を抽出するための条件として設定する。
【0087】
ハフ変換で画素ごとに投票される投票値は、円または楕円の半径が大きくなるほど多くなる。このため、条件決定部267は、第1径情報に応じた閾値を決定する。第1径情報と閾値との関係を予め定めたテーブルまたは演算式を用いて、閾値が決定される。第1設定部285は、第1径情報を、ハフ変換で抽出されるべき第1の円または楕円の径に設定し、径に対して決定される閾値をハフ変換で判定に用いる閾値に設定する。
【0088】
ここで、楕円の中心は、楕円の長径と短径とが交わる点である。タイヤとカメラ11との位置関係により、撮像画像中のタイヤ部分が円となる場合と、楕円になる場合がある。カメラ11の光軸がタイヤの中心を通る車軸の方向と一致する場合に撮像画像中のタイヤ部分が円になり、カメラ11の光軸がタイヤの中心を通る車軸の方向と交わる場合に楕円になる。カメラ11の光軸をタイヤの中心を通る車軸と同じ高さとなるようにカメラ11が設置される場合、カメラ11の光軸とタイヤの中心を通る車軸とが水平方向で交わる。この場合、撮像画像中のタイヤ部分が楕円になるが、垂直方向の長さは変化しない。このため、楕円の径は長径とすればよい。
【0089】
第2設定部287は、車両情報に基づいて、撮像画像中で車両のリムの外縁に対応する部分を、第2抽出部273が第2の円または楕円として抽出するための第2抽出条件を設定する。具体的には、第2設定部287は、第2径情報と、ハフ変換における投票値の閾値と、を決定する。第2径情報は、撮像画像における車両のリム部分の径から所定の範囲の径である。第2設定部287は、車両情報により定められる車両の基準となる部分の長さと車両のリムの径との比率から、撮像画像における車両のリム部分の径を決定する。車両の基準となる部分を車両の高さとする場合、第2設定部287は、撮像画像に含まれる車両の部分の高さと、車両情報で定められる車両の高さとリムの径との比率とから、撮像画像に含まれるリム部分の径を決定する。第2設定部287は、第2径情報を、ハフ変換で抽出されるべき第2の円または楕円の径に設定し、第2径情報に対して決定される閾値をハフ変換で判定に用いる閾値に設定する。第2径情報と閾値との関係を予め定めたテーブルまたは演算式を用いて、閾値が決定される。撮像画像における車両のリム部分の径と閾値との関係を予め定めたテーブルまたは演算式を用いて、閾値が決定されてもよい。
【0090】
なお、第1設定部285が撮像画像に含まれるタイヤ部分の径に応じた閾値を補正し、第2設定部287が撮像画像に含まれるリム部分の径に応じた閾値を補正してもよい。撮像画像中のタイヤ部分にタイヤの外縁のすべてが含まれるとは限られず、同様に、撮像画像中のリム部分にリムの外縁のすべてが含まれるとは限られない。このため、実験等により求められる補正値を用いて閾値が補正されてもよい。補正値は、スムージング処理の程度および2値化処理の閾値に基づいて定めるのが好ましい。
【0091】
図12は、第1抽出条件と第2抽出条件との一例を示す図である。図12を参照して、第1抽出条件は、円または楕円の半径が第2抽出条件よりも大きく、閾値は第2抽出条件よりも小さい。
【0092】
図10に戻って、形状抽出部261Aは、第1抽出部271と、第2抽出部273と、を含む。第1抽出部271は、第1設定部285により設定された第1抽出条件に従って、第1処理部281から入力される第1エッジ画像をハフ変換することにより、第1の円または楕円を抽出する。第1抽出条件は、被写体である車両のタイヤに対応するタイヤ部分を撮像画像から抽出するための値なので、第1の円または楕円は、撮像画像に含まれるタイヤ部分の外縁の候補として抽出される。第1の円または楕円は、複数が抽出される場合がある。第1抽出部271は、第1の円または楕円の中心座標と半径との組を特定部255に出力する。
【0093】
第2抽出部273は、第2設定部287により設定された第2抽出条件に従って、第2処理部283から入力される第2エッジ画像をハフ変換することにより、第2の円または楕円を抽出する。第2抽出条件は、被写体である車両のリムに対応するリム部分を撮像画像から抽出するための値なので、第2の円または楕円は、撮像画像に含まれるリム部分の外縁の候補として抽出される。第2の円または楕円は、複数が抽出される場合がある。第2抽出部273は、第2の円または楕円の中心座標と半径との組を特定部255に出力する。
【0094】
組検出部263Aは、第1抽出部271から1以上の第1の円または楕円が入力され、第2抽出部273から1以上の第2の円または楕円が入力される。組検出部263Aは、1以上の第1の円または楕円と1以上の第2の円または楕円とから中心座標が所定範囲にある第1の円または楕円と第2の円または楕円との組を検出する。タイヤの回転軸とリムの回転軸は一致する。このため、組検出部263によって検出される組に含まれる第1の円または楕円はタイヤ部分の外縁に相当し、第2の円または楕円はリム部分の外縁に相当する。
【0095】
組検出部263Aは、第1抽出部271から第1の円または楕円の中心座標と半径との組の1以上が入力され、第2抽出部273から第2の円または楕円の中心座標と半径との組の1以上が入力される。具体的には、組検出部263Aは、中心座標が所定の範囲内となる第1の円または楕円と、第2の円または楕円との組を対象組に決定する。中心座標が所定の範囲内となる第1の円または楕円と第2の円または楕円との組が複数の場合、組検出部263Aは、半径比率が所定範囲にある2つの円または楕円の組を決定する。タイヤとリムとの半径比率は車両によって定まるので、車両が特定される場合にタイヤ部分の外縁とリム部分の外縁とにそれぞれ対応する2つの円または楕円の組をより正確に抽出することができる。組検出部263Aは、車両情報で定められるタイヤおよびリムそれぞれの半径に基づいて、半径比率を決定する。このため、半径比率が正確に決定される。
【0096】
第2の実施の形態における画像処理装置において、図7に示した過積載検知処理が実行される。図13は、第2の実施の形態におけるタイヤ部分抽出処理の流れの一例を示すフローチャートである。タイヤ部分抽出処理は、過積載検知処理のステップS04において実行される処理である。図13を参照して、CPU201は、第1条件を決定する(ステップS31)。第1条件は、撮像画像中に含まれるタイヤ部分の外縁を検出するために定められる条件である。第1条件は、画像処理のパラメータと、ハフ変換に用いられるパラメータとを含む。画像処理のパラメータは、スムージング処理の程度を定めるパラメータおよび2値化処理の閾値を定めるパラメータを含む。ハフ変換に用いられるパラメータは、円または楕円の径および投票値と比較される閾値を含む。また、閾値を補正するための補正値が決定されてもよい。
【0097】
ステップS32においては、第1エッジ抽出処理が実行され、処理はステップS33に進む。ステップS32においては、ステップS31において第1条件として決定された画像処理のパラメータを用いて、図9に示されるエッジ抽出処理が実行される。エッジ抽出処理は、スムージング処理、微分画像生成処理、2値化処理を含み、撮像画像を第1エッジ画像に変換する処理である。
【0098】
ステップS33においては、第1ハフ変換が実行され、処理はステップS34に進む。ステップS32において生成された第1エッジ画像を処理対象として、ステップS31で第1条件として決定されたハフ変換に用いられるパラメータを用いて、ハフ変換が実行される。
【0099】
ステップS34においては、第1形状が抽出される。ステップS33においてハフ変換が実行されることにより、撮像画像中に含まれるタイヤ部分の外縁を一部に含む円または楕円となる候補が特定されるので、撮像画像中で、特定された円または楕円内の領域に含まれるエッジに基づいて、第1形状が抽出される。タイヤ部分の外縁が抽出の対象となり、タイヤが地面接触する部分は水平方向の直線となるので、撮像画像中のエッジのうち特定された円または楕円と重なるエッジと、特定された円または楕円の最下点近傍で、最下点よりも上方に位置する水平方向のエッジと、で構成される形状が第1形状として抽出される。
【0100】
ステップS35においては、第2条件が決定される。第2条件は、撮像画像中に含まれるリム部分の外縁を検出するために定められる条件である。第2条件は、画像処理のパラメータと、ハフ変換に用いられるパラメータとを含む。画像処理のパラメータは、スムージング処理の程度を定めるパラメータおよび2値化処理の閾値を定めるパラメータを含む。第2条件に含まれるスムージング処理のパラメータは、第1条件におけるパラメータよりもスムージングの程度が低いパラメータである。第2条件に含まれる2値化処理のパラメータは、第1条件におけるパラメータよりも2値化の程度が高いパラメータ、換言すれば値が大きなパラメータである。
【0101】
ステップS36においては、第2エッジ抽出処理が実行され、処理はステップS37に進む。ステップS36においては、ステップS35において第2条件として決定された画像処理のパラメータを用いて、図9に示されるエッジ抽出処理が実行される。エッジ抽出処理は、スムージング処理、微分画像生成処理、2値化処理を含み、撮像画像を第2エッジ画像に変換する処理である。
【0102】
ステップS37においては、第2ハフ変換が実行され、処理はステップS38に進む。ステップS36において生成された第2エッジ画像を処理対象として、ステップS35において第2条件として決定されたハフ変換に用いられるパラメータを用いて、ハフ変換が実行される。
【0103】
ステップS38においては、第2形状が抽出され、処理はステップS13に進む。ハフ変換が実行されることにより、撮像画像中に含まれるリム部分の外縁を一部に含む円または楕円となる候補が特定されるので、撮像画像中で、特定された円または楕円内の領域に含まれるエッジに基づいて、第2形状が抽出される。リムの外縁が抽出の対象となるので、特定された円または楕円と重なるエッジで構成される形状が第2形状として抽出される。
【0104】
ステップS13においては、第1形状と第2形状との組が決定され、処理はステップS14に進む。ステップS34において抽出された第1形状と、ステップS38において抽出された第2形状のうち、中心座標の距離が所定の範囲内の第1形状と第2形状の組が決定される。さらに、中心座標の距離が所定範囲にある第1形状と第2形状の組が複数ある場合に、半径比率が所定の範囲にある第1形状と第2形状の組が決定される。したがって、車両が特定される場合にタイヤ部分の外縁とリム部分の外縁とにそれぞれ対応する第1形状と第2形状の組をより正確に抽出することができる。半径比率は、車両情報で定められるタイヤおよびリムそれぞれの半径に基づいて決定される。
【0105】
ステップS14においては、撮像画像中のタイヤ部分が特定され、処理は過積載検知処理に戻る。具体的には、撮像画像中で、ステップS13において抽出された第1形状および第2形状とで囲まれる部分がタイヤ部分に特定される。
【0106】
以上説明したように第1の実施の形態における過積載検知システム1において、画像処理装置20は、車両の側方を撮影して得られる撮像画像を取得する取得部251と、撮像画像に含まれるエッジをハフ変換することにより円または楕円を抽出する形状抽出部261と、抽出された複数の円または楕円のうちから中心座標間の距離の差が閾値以下となる2つの円または楕円の組を決定する組検出部263と、組に決定された2つの円または楕円に基づいて撮像画像における車両のタイヤに対応するタイヤ部分を特定する特定部255と、を備える。タイヤは、車両に装着されるリムに装着される。タイヤとリムとは回転中心が同じなので、タイヤの輪郭とリムの輪郭とは撮像画像中に中心座標間の距離が閾値以下となる2つの円または楕円として表される。このため、車両を撮像して得られる撮像画像から車両のタイヤに対応するタイヤ部分を正確に抽出することができる。
【0107】
また、画像処理装置20は、半径比率が所定範囲にある2つの円または楕円の組を決定する。タイヤとリムとの半径比率は車両によって定まるので、車両が特定される場合にタイヤ部分をより正確に抽出することができる。
【0108】
特に、所定範囲は、車両に装着されたタイヤとリムそれぞれの半径に基づき定められる。このため、タイヤとリムそれぞれの半径は車両によって定まるので、車両が特定される場合にタイヤ部分をより正確に抽出することができる。
【0109】
さらに、画像処理装置20は、撮像画像中で特定されたタイヤ部分に基づいて車両が過積載か否かを判断する。このため、撮像画像から容易に車両の過積載を判断することができる。
【0110】
第2の実施の形態における画像処理装置20は、第1の実施の形態における画像処理装置20に加えて、撮像画像に第1画像処理を実行する第1処理部281と、撮像画像に第1画像処理と異なる第2画像処理を実行する第2処理部283と、をさらに備え、第1画像処理が実行された第1画像に含まれるエッジをハフ変換することにより第1の円または楕円を抽出し、第2画像処理が実行された第2画像に含まれるエッジをハフ変換することにより第2の円または楕円を抽出し、第1の円または楕円と第2の円または楕円との組を決定する。第1画像処理と第2画像処理とは異なるので、撮像画像に第1画像処理が実行された画像から抽出されるエッジと撮像画像に第2画像処理が実行された画像から抽出されるエッジとは、同じエッジもあれば異なるエッジもある。第1画像処理を撮像画像中で車両のタイヤの輪郭に対応する部分がエッジとして現れやすい処理とすれば、タイヤの輪郭に対応する部分を含む第1の円または楕円が抽出され易くなる。また、第2画像処理を撮像画像中で車両のリムの輪郭に対応する部分がエッジとして現れやすい処理とすれば、リムの輪郭に対応する部分を含む第2の円または楕円が抽出され易くなる。このため、車両を撮像して得られる撮像画像から車両のタイヤに対応するタイヤ部分を正確に抽出することができる。
【0111】
また、第2の実施の形態における画像処理装置20が実行する画像処理において、第1画像処理に含まれるスムージング処理におけるスムージングの程度が第2画像処理に含まれるスムージング処理におけるスムージングの程度よりも大きく、第1画像処理に含まれる2値化処理における2値化の閾値が第2画像処理に含まれる2値化処理における2値化の閾値よりも小さい。このため、第1画像処理により生成される微分画像は第2画像処理により生成される微分画像よりもノイズが少なくなり、第1画像処理により生成される微分画像からは撮像画像中で明度の変化の小さなエッジを抽出することができる。この際に、第1画像処理により生成される微分画像は第2画像処理により生成される微分画像よりもノイズが少ないので、ノイズが誤ってエッジとして検出されないようにできる。また、第2画像処理により生成される微分画像は第1画像処理により生成される微分画像よりもノイズが多くなるが、第2画像処理における2値化の閾値が第1画像処理における2値化の閾値よりも大きいので、ノイズが誤ってエッジとして検出されないようにできるとともに、第2画像処理により生成される微分画像からは撮像画像中で明度の変化の大きなエッジのみを抽出することができる。
【0112】
また、第2の実施の形態における画像処理装置20が実行する画像処理において、スムージング処理に代えてまたはそれに加えて縮小処理としてもよい。
【0113】
また、第1および第2の実施の形態における画像処理装置20は、車両に装着されたタイヤのサイズに基づき定められる第1径情報を第1条件として設定し、車両に装着されたリムのサイズに基づき定められる第2径情報を第2条件として設定する。このため、タイヤの外縁に相当する部分が第1の円または楕円として抽出されるようにでき、リムの外縁に相当する部分が第2の円または楕円として抽出されるようにできる。
【0114】
また、第1および第2の実施の形態における画像処理装置20は、ハフ変換における投票結果と比較される閾値として第1径情報により定まる第1閾値を第1条件として設定し、ハフ変換における投票結果と比較される閾値として第2径情報により定まる第2閾値を第2条件として設定する。このため、タイヤの外縁の径に対応する第1の円または楕円と、リムの外縁の径に対応する第2の円または楕円とを、撮像画像から抽出することができる。
【0115】
なお、本実施の形態においては、カメラ11が可視光を光電変換して得られる撮像画像を出力する例を示すが、赤外光を光電変換して得られる撮像画像を出力するようにしてもよい。車両が走行するとタイヤの温度が上昇するので、撮像画像から赤外光が所定値以上検出される部分を抽出することにより、タイヤ部分を特定し易くなる。
【0116】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0117】
1 過積載検知システム、10 撮像装置、11 カメラ、12 制御部、13 記憶部、14 通信部、20 画像処理装置、23 通信部、201 CPU、202 ROM、203 RAM、204 HDD、205 通信部、206 表示部、207 操作部、210 外部記憶装置、211 CD-ROM、251 取得部、253 車両情報検出部、255 特定部、257 判断部、259 出力部、261,261A 形状抽出部、263,263A 組検出部、265,265A エッジ画像生成部、267 条件決定部、271 第1抽出部、273 第2抽出部、281 第1処理部、283 第2処理部、285 第1設定部、287 第2設定部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13