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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20240806BHJP
   H02K 5/06 20060101ALI20240806BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H02K3/50 A
H02K5/06
H02K7/116
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020217160
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022102433
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】雫 修通
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 剛
(72)【発明者】
【氏名】姜 永大
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 一弘
(72)【発明者】
【氏名】横塚 孝
【審査官】北川 大地
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-22311(JP,A)
【文献】特開2010-98831(JP,A)
【文献】国際公開第2019/189309(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/065586(WO,A1)
【文献】特開2012-228007(JP,A)
【文献】特開2021-106442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/50
H02K 5/06
H02K 7/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なロータと、
前記ロータと隙間を介して径方向に対向するステータと、
内部に前記ロータおよび前記ステータを収容するハウジングと、
前記ステータに電気的に接続されたバスバーと、
前記バスバーを保持するバスバーホルダと、
を備え、
前記ハウジングは、前記ステータを軸方向一方側から覆う天壁部を有し、
前記天壁部は、前記天壁部の軸方向一方側の面から軸方向他方側に窪み周方向に間隔を空けて配置された複数の凹部を有し、
前記バスバーホルダは、前記複数の凹部にそれぞれ配置された複数の被配置部を有し、
前記複数の凹部は、
第1凹部と、
第2凹部と、
を含み、
前記第2凹部の周方向の寸法と前記第2凹部に配置された前記被配置部の周方向の寸法との差は、前記第1凹部の周方向の寸法と前記第1凹部に配置された前記被配置部の周方向の寸法との差よりも小さい、回転電機。
【請求項2】
前記天壁部は、前記天壁部の軸方向一方側の面から軸方向他方側に窪み前記中心軸を囲む環状凹部を有し、
前記複数の凹部は、前記環状凹部から径方向外側に突出し、
前記バスバーホルダは、前記環状凹部に配置された環状部を有し、
前記被配置部は、前記環状部から径方向外側に突出している、請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記第1凹部に配置された前記被配置部は、前記第1凹部の底面に接触し、
前記第2凹部に配置された前記被配置部は、前記第2凹部の底面から離れて配置されている、請求項1または2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記第2凹部の深さは、前記第1凹部の深さよりも大きい、請求項3に記載の回転電機。
【請求項5】
前記複数の凹部は、前記中心軸を径方向に挟んで設けられた一対の前記第2凹部を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項6】
前記凹部は、3つ以上設けられ、
前記3つ以上の凹部のうち2つの凹部は、前記第2凹部であり、
前記3つ以上の凹部のうち残りの凹部は、前記第1凹部である、請求項1から5のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項7】
前記第2凹部の周方向の寸法は、前記第1凹部の周方向の寸法よりも小さい、請求項1から6のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項8】
前記複数の凹部および前記複数の被配置部のそれぞれは、周方向に沿って等間隔に配置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項9】
前記ステータは、複数のコイルを有し、
前記コイルからは、コイル引出線が軸方向一方側に引き出され、
前記天壁部は、前記凹部に設けられた貫通孔を有し、
前記バスバーは、前記被配置部から径方向外側に突出する接続部を有し、
前記接続部は、軸方向に見て前記貫通孔と重なり、
前記接続部には、前記コイル引出線が接続されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項10】
前記ロータに連結された減速機構と、
前記減速機構を介して前記ロータの回転が伝達される出力部と、
を備える電動アクチュエータである、請求項1から9のいずれか一項に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
バスバーおよびバスバーを保持するバスバーホルダを有する回転電機が知られている。例えば、特許文献1には、位置決めピンが挿し込まれる位置決め孔を有するバスバーホルダを備えるモータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-65711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように位置決めピンを用いてバスバーホルダを位置決めする場合、位置決めピンを設ける分、回転電機の部品点数が増加する問題があった。そのため、回転電機の組立工数が増加する問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、組立工数を低減できる構造を有する回転電機を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の回転電機の一つの態様は、軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なロータと、前記ロータと隙間を介して径方向に対向するステータと、内部に前記ロータおよび前記ステータを収容するハウジングと、前記ステータに電気的に接続されたバスバーと、前記バスバーを保持するバスバーホルダと、を備える。前記ハウジングは、前記ステータを軸方向一方側から覆う天壁部を有する。前記天壁部は、前記天壁部の軸方向一方側の面から軸方向他方側に窪み周方向に間隔を空けて配置された複数の凹部を有する。前記バスバーホルダは、前記複数の凹部にそれぞれ配置された複数の被配置部を有する。前記複数の凹部は、第1凹部と、第2凹部と、を含む。前記第2凹部の周方向の寸法と前記第2凹部に配置された前記被配置部の周方向の寸法との差は、前記第1凹部の周方向の寸法と前記第1凹部に配置された前記被配置部の周方向の寸法との差よりも小さい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、回転電機の組立工数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態の回転電機を示す断面図である。
図2図2は、一実施形態のモータケース部およびバスバーユニットを示す斜視図である。
図3図3は、一実施形態の回転電機の一部を示す断面図であって、図1の部分拡大図である。
図4図4は、一実施形態のモータケース部を示す斜視図である。
図5図5は、一実施形態の回転電機の一部を示す断面図であって、図2におけるV-V断面図である。
図6図6は、一実施形態の回転電機の一部を示す断面図である。
図7図7は、一実施形態のバスバーユニットの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明においては、各図に適宜示すZ軸と平行な方向を上下方向とする。Z軸の正の側を上側とし、Z軸の負の側を下側とする。各図に適宜示す仮想軸である中心軸J1は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行な方向に延びている。以下の説明においては、中心軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、特に断りのない限り、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。図面に適宜示す矢印θは、周方向を示している。
【0010】
本実施形態において、上側は、軸方向一方側に相当し、下側は、軸方向他方側に相当する。なお、上下方向、上側、および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
図1に示す本実施形態の回転電機10は、車両に取り付けられる電動アクチュエータである。より詳細には、回転電機10は、例えば、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるパーク・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される電動アクチュエータである。回転電機10は、モータ部40と、減速機構50と、出力部60と、ハウジング11と、バスバーユニット90と、回路基板70と、磁気センサ71と、出力部センサ72と、仕切部材80と、を備える。
【0012】
モータ部40の中心軸は、中心軸J1である。モータ部40は、ロータ40aと、第1ベアリング44aと、第2ベアリング44bと、第3ベアリング44cと、第4ベアリング44dと、ステータ43と、マグネットホルダ46と、マグネット45と、ナット48と、を有する。つまり、回転電機10は、ロータ40aと、ステータ43と、を備える。ロータ40aは、軸方向に延びる中心軸J1を中心として回転可能である。ロータ40aは、モータシャフト41と、ロータ本体42と、を有する。
【0013】
モータシャフト41は、軸方向に延びている。モータシャフト41は、中心軸J1を中心として回転可能である。モータシャフト41は、中心軸J1に対して偏心した偏心軸J2を中心とする偏心軸部41aを有する。本実施形態において偏心軸部41aは、モータシャフト41の下側部分の一部である。偏心軸部41aには、第3ベアリング44cが固定されている。偏心軸J2は、中心軸J1と平行である。偏心軸部41aは、偏心軸J2を中心として延びる円柱状である。モータシャフト41のうち偏心軸部41a以外の部分は、中心軸J1を中心として延びる円柱状である。
【0014】
本実施形態において、第1ベアリング44a、第2ベアリング44b、第3ベアリング44c、および第4ベアリング44dは、例えば、ボールベアリングである。第1ベアリング44aと第2ベアリング44bと第3ベアリング44cと第4ベアリング44dとは、モータシャフト41に固定されている。第1ベアリング44aと第2ベアリング44bとは、モータシャフト41を中心軸J1回りに回転可能に支持している。
【0015】
ロータ本体42は、モータシャフト41に固定されている。ロータ本体42は、モータシャフト41に固定されたロータコアと、ロータコアの外周部に固定されたロータマグネットと、を有する。
【0016】
ステータ43は、ロータ40aと隙間を介して径方向に対向している。より詳細には、ステータ43は、ロータ本体42と隙間を介して径方向に対向している。ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側に位置する。ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側を囲む環状である。ステータ43は、例えば、ステータコア43aと、インシュレータ43bと、複数のコイル43cと、を有する。各々のコイル43cは、インシュレータ43bを介してステータコア43aのティースに装着されている。コイル43cは、例えば、12個設けられている。図2に示すように、コイル43cからは、コイル引出線43dが上側に引き出されている。コイル引出線43dは、例えば、各コイル43cのそれぞれから1本ずつ上側に引き出されている。コイル引出線43dは、例えば、コイル43cを構成する導線の端部である。
【0017】
マグネットホルダ46は、例えば、中心軸J1を中心とする円環状である。マグネットホルダ46は、板面が軸方向を向く板状である。マグネットホルダ46は、例えば、金属製の板部材をプレス加工によって成形することで作られている。マグネットホルダ46は、モータシャフト41の上側の端部における外周面に固定されている。マグネットホルダ46は、モータシャフト41から径方向外側に広がっている。本実施形態においてマグネットホルダ46は、モータシャフト41の上端部に締め込まれたナット48によって、モータシャフト41に固定されている。図3に示すように、マグネットホルダ46の径方向内側部分は、マグネットホルダ46の径方向外側部分よりも下側に突出している。
【0018】
図2に示すように、マグネット45は、例えば、中心軸J1を中心とする円環板状である。マグネット45の板面は、例えば、軸方向と直交している。マグネット45は、マグネットホルダ46に固定されている。より詳細には、マグネット45は、マグネットホルダ46の上面のうち径方向外周縁部に固定されている。これにより、マグネット45は、マグネットホルダ46を介してモータシャフト41に取り付けられている。マグネット45は、例えば、接着剤によってマグネットホルダ46に固定されている。図3に示すように、マグネット45の上側の面は、マグネットホルダ46よりも上側に位置する。図1に示すように、本実施形態においてマグネット45は、回路基板70の下側の面と隙間を介して軸方向に対向している。
【0019】
減速機構50は、モータ部40のロータ40aに連結されている。本実施形態において減速機構50は、モータシャフト41の下側に連結されている。減速機構50は、ロータ本体42およびステータ43の下側に配置されている。減速機構50とステータ43との軸方向の間には、仕切部材80が配置されている。減速機構50は、外歯ギア51と、内歯ギア52と、出力ギア53と、複数の凸部54と、を有する。なお、減速機構50は、モータシャフト41の上側に連結されてもよい。
【0020】
外歯ギア51は、偏心軸部41aの偏心軸J2を中心として、偏心軸J2の径方向に広がる円環板状である。外歯ギア51の径方向外側面には、歯車部が設けられている。外歯ギア51の歯車部は、外歯ギア51の外周に沿って並ぶ複数の歯部を有する。
【0021】
外歯ギア51は、モータシャフト41に連結されている。より詳細には、外歯ギア51は、モータシャフト41の偏心軸部41aに第3ベアリング44cを介して連結されている。これにより、減速機構50は、モータシャフト41に連結されている。外歯ギア51は、第3ベアリング44cの外輪に径方向外側から嵌め合わされている。これにより、第3ベアリング44cは、モータシャフト41と外歯ギア51とを、偏心軸J2回りに相対的に回転可能に連結している。
【0022】
本実施形態において外歯ギア51は、複数の穴部51aを有する。本実施形態において穴部51aは、外歯ギア51を軸方向に貫通している。複数の穴部51aは、周方向に沿って配置されている。より詳細には、複数の穴部51aは、偏心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。穴部51aは、軸方向に見て円形状である。穴部51aは、内径が凸部54の外径よりも大きい。なお、穴部51aは、底部を有する穴であってもよい。
【0023】
内歯ギア52は、外歯ギア51の径方向外側に位置し、外歯ギア51を囲む環状である。本実施形態において内歯ギア52は、中心軸J1を中心とする円環状である。内歯ギア52は、ハウジング11に固定されている。内歯ギア52は、外歯ギア51と噛み合っている。内歯ギア52の径方向内側面には、歯車部が設けられている。内歯ギア52の歯車部は、内歯ギア52の内周に沿って並ぶ複数の歯部を有する。本実施形態において内歯ギア52の歯車部は、周方向の一部のみにおいて外歯ギア51の歯車部と噛み合っている。
【0024】
出力ギア53は、外歯ギア51および内歯ギア52の上側に配置されている。すなわち、出力ギア53は、軸方向に見て外歯ギア51と重なって配置されている。出力ギア53は、モータシャフト41に第4ベアリング44dを介して接続されている。図示は省略するが、出力ギア53は、例えば、軸方向に見て、中心軸J1を中心とする円環状である。出力ギア53の径方向外側面には、歯車部が設けられている。出力ギア53の歯車部は、出力ギア53の外周に沿って並ぶ複数の歯部を有する。
【0025】
出力ギア53の内周縁部は、第4ベアリング44dの外輪に取り付けられた止め輪49の下側に対向して配置されている。止め輪49は、第4ベアリング44dよりも径方向外側に突出している。止め輪49によって、出力ギア53が第4ベアリング44dに対して上側に移動することが抑制されている。
【0026】
複数の凸部54は、出力ギア53から外歯ギア51に向かって軸方向に突出している。複数の凸部54は、出力ギア53の下面から下側に突出する円柱状である。本実施形態において複数の凸部54は、出力ギア53と一体成形されている。複数の凸部54は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。
【0027】
凸部54の外径は、穴部51aの内径よりも小さい。複数の凸部54は、複数の穴部51aのそれぞれに上側から挿入されている。凸部54の外周面は、穴部51aの内側面と内接している。複数の凸部54は、穴部51aの内側面を介して、外歯ギア51を中心軸J1回りに揺動可能に支持している。上述したように、本実施形態において出力ギア53は止め輪49によって上側への移動が抑制されているため、出力ギア53に設けられた凸部54が穴部51aから上側に抜け出ることが抑制されている。
【0028】
出力部60は、回転電機10の駆動力を出力する部分である。出力部60は、モータ部40の径方向外側に配置されている。出力部60は、出力シャフト61と、駆動ギア62と、出力部用センサマグネット63と、保持部材64と、を有する。すなわち、回転電機10は、出力シャフト61と、駆動ギア62と、出力部用センサマグネット63と、保持部材64と、を備える。
【0029】
出力シャフト61は、モータシャフト41の軸方向に延びる筒状である。このように、出力シャフト61がモータシャフト41と同じ方向に延びているため、モータシャフト41の回転を出力シャフト61に伝達する減速機構50の構造を簡単化できる。出力シャフト61は、減速機構50を介してモータシャフト41に連結されている。本実施形態において出力シャフト61は、出力中心軸J3を中心とする円筒状である。
【0030】
出力中心軸J3は、中心軸J1と平行であり、中心軸J1から径方向に離れて配置されている。すなわち、モータシャフト41と出力シャフト61とは、モータシャフト41の径方向に互いに離れて配置されている。そのため、モータシャフト41と出力シャフト61とが軸方向に並んで配置される場合に比べて、回転電機10を軸方向に小型化できる。図1において出力中心軸J3は、例えば、中心軸J1の右側に位置する。
【0031】
出力シャフト61は、下側に開口している。出力シャフト61は、内周面に、スプライン溝を有する。出力シャフト61は、モータシャフト41の径方向においてロータ本体42と重なる位置に配置されている。出力シャフト61には、下側から被駆動シャフトDSが挿入されて連結される。より詳細には、被駆動シャフトDSの外周面に設けられたスプライン部が、出力シャフト61の内周面に設けられたスプライン溝に嵌め合わされることで、出力シャフト61と被駆動シャフトDSとが連結される。被駆動シャフトDSには、出力シャフト61を介して回転電機10の駆動力が伝達される。これにより、回転電機10は、被駆動シャフトDSを出力中心軸J3回りに回転させる。
【0032】
駆動ギア62は、出力シャフト61に固定され出力ギア53と噛み合っている。本実施形態において駆動ギア62は、出力シャフト61の外周面に固定されている。駆動ギア62は、出力シャフト61から出力ギア53に向かって延びている。駆動ギア62は、先端部に出力ギア53の歯車部と噛み合う歯車部を有する。
【0033】
保持部材64は、出力中心軸J3を中心として軸方向に延びる略円筒状の部材である。保持部材64は、軸方向両側に開口している。保持部材64は、出力シャフト61の上部に固定されている。本実施形態において保持部材64は、モータ部40の第2ベアリング44bの径方向外側に配置されている。保持部材64は、軸方向に見て、回路基板70と部分的に重なっている。保持部材64は、回路基板70よりも下側に配置されている。出力シャフト61は、保持部材64の内側に圧入されている。
【0034】
出力部用センサマグネット63は、出力中心軸J3を中心とする円環状である。出力部用センサマグネット63は、保持部材64の上端部に嵌め合わされている。出力部用センサマグネット63は、例えば、接着剤によって保持部材64と固定されている。出力シャフト61に保持部材64が固定されることで、出力部用センサマグネット63は、保持部材64を介して出力シャフト61に固定されている。出力部用センサマグネット63の一部は、回路基板70の下側の面と隙間を介して対向している。
【0035】
出力シャフト61の上側の端部は、保持部材64の上側の端部よりも下側に位置する。出力シャフト61の上側の端部には、工具を嵌合可能な操作部66が設けられている。操作部66は、例えば、出力シャフト61の上側の端部から下方に窪む穴部である。操作部66の形状は、例えば、軸方向に見て、出力中心軸J3を中心とする正方形または正六角形である。
【0036】
モータシャフト41が中心軸J1回りに回転されると、偏心軸部41aは、中心軸J1を中心として周方向に公転する。偏心軸部41aの公転は第3ベアリング44cを介して外歯ギア51に伝達され、外歯ギア51は、穴部51aの内周面と凸部54の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア51の歯車部と内歯ギア52の歯車部との噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア52に、外歯ギア51を介してモータシャフト41の回転力が伝達される。
【0037】
ここで、本実施形態では、内歯ギア52はハウジング11に固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア52に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア51が偏心軸J2回りに回転する。このとき外歯ギア51の回転する向きは、モータシャフト41の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア51の偏心軸J2回りの回転は、穴部51aと凸部54とを介して、出力ギア53に伝達される。これにより、出力ギア53が中心軸J1回りに回転する。出力ギア53には、モータシャフト41の回転が減速されて伝達される。
【0038】
出力ギア53が回転すると、出力ギア53に噛み合う駆動ギア62が出力中心軸J3回りに回転する。これにより、駆動ギア62に固定された出力シャフト61が出力中心軸J3回りに回転する。このようにして、出力部60には、減速機構50を介してロータ40aの回転が伝達される。このような減速機構50の構成によれば、モータシャフト41の回転に対して、出力シャフト61の回転を比較的大きく減速できる。そのため、出力シャフト61の回転トルクを比較的大きくできる。したがって、回転電機10を小型化しつつ、回転電機10の出力を確保しやすい。本実施形態の回転電機10において出力シャフト61は、1周しない範囲内で双方向に回転させられる。
【0039】
ハウジング11は、モータ部40、減速機構50、出力部60、回路基板70、およびバスバーユニット90を収容している。つまり、ハウジング11は、内部にロータ40aおよびステータ43を収容している。ハウジング11は、上側に開口するハウジング本体12と、ハウジング本体12の上側の開口部12aに固定された第1蓋部材13と、ハウジング本体12の下側の開口部12bに固定された第2蓋部材14と、を有する。
【0040】
本実施形態においてハウジング本体12は、金属製である。ハウジング本体12は、例えば、ダイカストによって成形されている。図示は省略するが、ハウジング本体12は、例えば、軸方向に見て、多角形状である。ハウジング本体12は、回転電機10の筐体を構成する角筒状の外壁部30と、外壁部30の下側の端部から径方向内側に広がる底壁部31と、底壁部31に設けられたモータケース部32および出力シャフト保持部33と、を有する。これにより、ハウジング11は、モータケース部32を有する。
【0041】
図示は省略するが、本実施形態において外壁部30は、軸方向に見て五角形の角筒状である。外壁部30は、モータケース部32を径方向外側から囲む。外壁部30の上側の開口部が、ハウジング本体12の上側の開口部12aである。底壁部31は、下側に開口する開口部を有する。底壁部31の開口部の周縁に、底壁部31から下側に突出する筒状の筒状壁38が設けられている。筒状壁38に囲まれた開口部が、ハウジング本体12の下側の開口部12bである。
【0042】
モータケース部32および出力シャフト保持部33は、底壁部31の上面に設けられている。モータケース部32は、内部にモータ部40を収容している。モータケース部32は、モータ部40を径方向外側から囲む筒状である。本実施形態においてモータケース部32は、中心軸J1を中心とし、下側に開口する円筒状である。モータケース部32は、モータ部40を内側に保持している。より詳細には、モータケース部32の内周面に、モータ部40のステータ43が固定されている。モータケース部32は、底壁部31から上側に延びる筒状部32bと、筒状部32bの上側の端部から径方向内側に広がる円環板状の天壁部32aと、固定部32dと、を有する。つまり、ハウジング11は、天壁部32aを有する。
【0043】
天壁部32aは、ステータ43を上側から覆っている。天壁部32aは、軸方向に見た中央に、ベアリング保持部32cを有する。ベアリング保持部32cは、軸方向に沿って延びる円筒状である。ベアリング保持部32cは、軸方向両側に開口している。図3に示すように、ベアリング保持部32cの内部によって、天壁部32aを軸方向に貫通する孔部32hが設けられている。
【0044】
孔部32hは、例えば、中心軸J1を中心とする円形状の孔である。孔部32hには、モータシャフト41が通されている。モータシャフト41は、孔部32hを介して、天壁部32aよりも上側に突出している。モータシャフト41に固定されたマグネットホルダ46およびマグネット45は、天壁部32aの上側に位置する。孔部32hは、大径孔部32iと、小径孔部32jと、を有する。大径孔部32iは、孔部32hの下側部分である。大径孔部32iは、下側に開口している。大径孔部32iの内側には、第2ベアリング44bが保持されている。
【0045】
小径孔部32jは、大径孔部32iの上側に繋がっている。小径孔部32jは、孔部32hの上側部分である。小径孔部32jは、上側に開口している。小径孔部32jの内径は、大径孔部32iの内径よりも小さい。大径孔部32iと小径孔部32jとの軸方向の間には、段差が設けられている。この段差によって、第2ベアリング44bの外輪が上側から支持されている。小径孔部32j内には、マグネットホルダ46の径方向内側部分が上側から挿入されている。
【0046】
図4に示すように、天壁部32aは、環状凹部39aと、複数の凹部39bと、を有する。環状凹部39aおよび複数の凹部39bは、天壁部32aの上側の面から下側に窪んでいる。環状凹部39aおよび複数の凹部39bは、例えば、切削加工などの機械加工により作られる。環状凹部39aは、中心軸J1を囲んでいる。本実施形態において環状凹部39aは、中心軸J1を中心とする円環状である。環状凹部39aの外縁は、天壁部32aの径方向外縁よりも径方向内側に離れている。環状凹部39aの内縁は、孔部32hよりも径方向外側に離れている。
【0047】
複数の凹部39bは、周方向に間隔を空けて配置されている。本実施形態において複数の凹部39bは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。本実施形態において凹部39bは、3つ以上設けられている。凹部39bは、例えば、6つ設けられている。本実施形態において複数の凹部39bは、環状凹部39aから径方向外側に突出している。凹部39bは、軸方向に見て、略矩形状である。本実施形態において凹部39bの周方向両側の縁部は、凹部39bが環状凹部39aから突出する径方向に沿って互いに平行に延びている。
【0048】
複数の凹部39bは、第1凹部39cと、第2凹部39dと、を含む。本実施形態では、6つの凹部39bのうち2つの凹部39bは、第2凹部39dである。6つの凹部39bのうち残り4つの凹部39bは、第1凹部39cである。本実施形態において2つの第2凹部39dは、中心軸J1を径方向に挟んで設けられている。本実施形態において第1凹部39cと第2凹部39dとは、深さおよび周方向の寸法が互いに異なる点を除いて、互いに同様の形状である。図5に示すように、第1凹部39cの周方向両側の縁部における下側の角部39p、および第2凹部39dの周方向両側の縁部における下側の角部39qは、丸みを帯びた角となっている。例えば、第1凹部39cおよび第2凹部39dを切削加工で作る場合には、各角部39p,39qがこのような丸みを帯びた形状となる場合がある。
【0049】
第2凹部39dの深さD2は、第1凹部39cの深さD1よりも大きい。第1凹部39cの深さD1は、第1凹部39cの軸方向の最大寸法である。第2凹部39dの深さD2は、第2凹部39dの軸方向の最大寸法である。第1凹部39cの深さD1は、天壁部32aの上側の面のうち後述する第1面34と第1凹部39cの底面39rとの軸方向の距離である。第2凹部39dの深さD2は、第1面34と第2凹部39dの底面39sとの軸方向の距離である。第1凹部39cの底面39rは、第1凹部39cの内面のうち下側に位置し上側を向く面である。第2凹部39dの底面39sは、第2凹部39dの内面のうち下側に位置し上側を向く面である。第2凹部39dの底面39sは、第1凹部39cの底面39rよりも下側に位置する。
【0050】
第2凹部39dの周方向の寸法L2は、第1凹部39cの周方向の寸法L1よりも小さい。第1凹部39cの周方向の寸法L1は、第1凹部39cの周方向縁部同士の間における周方向の距離である。第2凹部39dの周方向の寸法L2は、第2凹部39dの周方向縁部同士の間における周方向の距離である。第1凹部39cの周方向の寸法L1は、第1凹部39cの深さD1よりも大きい。第2凹部39dの周方向の寸法L2は、第2凹部39dの深さD2よりも大きい。
【0051】
図4に示すように、天壁部32aは、延長凹部39eを有する。延長凹部39eは、第2凹部39dを径方向内側に延長したような形状である。延長凹部39eは、環状凹部39aの底面39tから下側に窪んでいる。環状凹部39aの底面39tは、環状凹部39aの内面のうち下側に位置し上側を向く面である。延長凹部39eは、環状凹部39aの底面39tのうち2つの第2凹部39dが繋がる部分のそれぞれに設けられている。各延長凹部39eは、各第2凹部39dの径方向内側に繋がっている。
【0052】
延長凹部39eは、軸方向に見て、略四角形状である。本実施形態において延長凹部39eの周方向両側の縁部は、第2凹部39dが環状凹部39aから突出する径方向に沿って互いに平行に延びている。延長凹部39eの周方向両側の縁部は、第2凹部39dの周方向両側の縁部の径方向内側にそれぞれ繋がっている。延長凹部39eの底面39uは、第2凹部39dの底面39sの径方向内側に段差なく繋がっている。延長凹部39eの径方向内側の端部は、後述する中央凹部39fの内縁に開口している。第2凹部39dと延長凹部39eとによって径方向に延びる溝が構成されている。当該溝は、中心軸J1を径方向に挟んで一対設けられている。例えば、第2凹部39dと延長凹部39eとは、当該溝が切削加工で作られることで、作られる。
【0053】
天壁部32aは、中央凹部39fを有する。中央凹部39fは、天壁部32aの径方向の中央部に設けられている。中央凹部39fは、軸方向に見て、中心軸J1を中心とする円形状である。中央凹部39fは、環状凹部39aの径方向内側に位置する。中央凹部39fの底面は、環状凹部39aの底面39tの径方向内側に後述する段差32fを介して繋がっている。中央凹部39fの底面は、中央凹部39fの内面のうち下側に位置し上側を向く面である。中央凹部39fの底面には、孔部32hが設けられている。
【0054】
上述した環状凹部39a、複数の凹部39b、延長凹部39e、および中央凹部39fが設けられることで、天壁部32aのうち上側を向く面には、第1面34と、第2面35と、第3面36と、第4面39mと、が設けられている。第1面34は、中心軸J1を囲んでいる。第1面34は、例えば、中心軸J1を中心とする略円環状である。本実施形態において第1面34は、天壁部32aの上側の面における径方向外周縁部を含んでいる。第1面34は、例えば、軸方向と直交する平坦面である。本実施形態において第1面34は、非加工面である。非加工面とは、切削加工および研削加工等の機械加工が施されていない面を意味する。本実施形態において非加工面である第1面34は、ダイカストによって成形された面である。
【0055】
第2面35は、第1面34の径方向内側に段差32eを介して繋がっている。本実施形態において段差32eは、天壁部32aの上側の面を第1面34から第2面35まで辿る際に下側に下がる段差である。そのため、第2面35は、第1面34よりも下側に位置する。第2面35は、中心軸J1を囲んでいる。第2面35は、例えば、中心軸J1を中心とする略円環状である。第2面35は、例えば、軸方向と直交する平坦面である。本実施形態において第2面35は、加工面である。
【0056】
なお、本明細書において「或る面が加工面である」とは、或る面が、切削加工および研削加工等の機械加工が施されることによって作られていることを意味する。本実施形態において第2面35は、ダイカストによって成形された天壁部32aの上面に対して、切削加工が施されて作られた面である。加工面は、非加工面に対して、表面粗さが小さく、かつ、平面度が高い。
【0057】
本実施形態において第2面35は、円弧面35aと、突出面35bと、を有する。円弧面35aは、中心軸J1を囲んでいる。本実施形態において円弧面35aは、環状凹部39aの底面39tからなる。円弧面35aは、例えば、中心軸J1を中心とする円弧状である。本実施形態において円弧面35aは、中心軸J1を径方向に挟んで一対設けられている。
【0058】
本実施形態において突出面35bは、第1凹部39cの底面39rからなる。突出面35bは、円弧面35aから径方向外側に突出している。本実施形態において突出面35bは、周方向に沿って間隔を空けて複数設けられている。突出面35bは、例えば、4つ設けられている。突出面35bは、第1面34の径方向内周縁よりも径方向外側に突出している。突出面35bの周方向両側には、段差32eを介して第1面34の一部が配置されている。
【0059】
本実施形態において第3面36は、中央凹部39fの底面からなる。第3面36は、第2面35の径方向内側に段差32fを介して繋がっている。本実施形態において段差32fは、天壁部32aの上側の面を第2面35から第3面36まで辿る際に下側に下がる段差である。そのため、第3面36は、第2面35よりも下側に位置する。段差32fの高さは、段差32eの高さよりも大きい。そのため、第2面35と第3面36との間の軸方向距離は、第1面34と第2面35との間の軸方向距離よりも大きい。第3面36は、中心軸J1を囲んでいる。第3面36は、例えば、中心軸J1を中心とする円環状である。第3面36は、例えば、軸方向と直交する平坦面である。本実施形態において第3面36は、加工面である。
【0060】
第3面36には、孔部32hの上側の端部が開口している。すなわち、第3面36には、モータシャフト41が通された孔部32hが設けられている。図3に示すように、第3面36の上側には、マグネットホルダ46およびマグネット45が位置する。すなわち、マグネットホルダ46は、第3面36の上側に位置する。第3面36は、マグネットホルダ46の下側の面と隙間を介して軸方向に対向している。第2面35と第3面36との間の段差32fによって生じた窪みには、マグネットホルダ46の少なくとも一部とマグネット45の少なくとも一部とが収容されている。本実施形態において第2面35と第3面36との間の段差32fによって生じた窪みには、マグネットホルダ46の径方向外側部分とマグネット45の下側部分とが収容されている。
【0061】
図4に示すように、本実施形態において第4面39mは、第2凹部39dの底面39sと延長凹部39eの底面39uとからなる。第4面39mは、第1面34および第2面35よりも下側に位置する。第4面39mは、第3面36よりも上側に位置する。第4面39mは、第2凹部39dと延長凹部39eとによって構成される溝の溝底面である。第4面39mは、中心軸J1を径方向に挟んで一対設けられている。本実施形態において第4面39mは、加工面である。
【0062】
天壁部32aは、天壁部32aの上側の面から下側に窪む基準穴32kを有する。本実施形態において基準穴32kは、第1面34から下側に窪んでいる。基準穴32kには、例えば、ダイカストで作られたハウジング本体12に対して切削加工などの機械加工を施す際に、ピンなどが挿し込まれる。基準穴32kにピンなどが挿し込まれてハウジング本体12が支持された状態において、ハウジング本体12に切削加工などの機械加工が施される。この機械加工によって、上述した環状凹部39a、複数の凹部39b、延長凹部39e、および中央凹部39fなどが作られる。基準穴32kは、中心軸J1を径方向に挟んで一対設けられている。一対の基準穴32kは、一対の第2凹部39dを径方向に挟む位置に配置されている。つまり、各第2凹部39dは、各基準穴32kの径方向内側に設けられている。
【0063】
図4に示すように、天壁部32aは、凹部39bに設けられた貫通孔37を有する。貫通孔37は、天壁部32aを軸方向に貫通している。本実施形態において貫通孔37は、周方向に沿って間隔を空けて複数設けられている。複数の貫通孔37は、例えば、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。各貫通孔37は、各凹部39bの径方向外側部分に設けられている。
【0064】
貫通孔37は、本体部37aと、幅狭部37bと、を有する。本体部37aは、貫通孔37の径方向外側部分である。本体部37aは、軸方向に見て、周方向に長い角丸の略長方形状である。本体部37aの径方向外側の縁部は、第1面34における径方向外側の縁部に位置する。本体部37aの径方向内側の縁部は、突出面35bまたは第2凹部39dの底面39sに位置する。
【0065】
幅狭部37bは、本体部37aの周方向中央部から径方向内側に突出している。幅狭部37bの周方向の幅は、本体部37aの周方向の幅よりも小さい。幅狭部37bの径方向内側の端部は、円弧面35aまたは第4面39mに位置する。幅狭部37bの径方向内側の縁部は、軸方向に見て、径方向内側に凹となる半円弧状である。
【0066】
天壁部32aは、雌ネジ孔35cを有する。雌ネジ孔35cは、第2面35に設けられている。より詳細には、雌ネジ孔35cは、円弧面35aの径方向中央部に設けられている。図6に示すように、雌ネジ孔35cは、天壁部32aを軸方向に貫通している。図4に示すように、雌ネジ孔35cは、周方向に間隔を空けて複数設けられている。複数の雌ネジ孔35cは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。雌ネジ孔35cは、例えば、3つ設けられている。各雌ネジ孔35cの周方向位置は、周方向に隣り合う凹部39b同士の間の周方向中心と同じ周方向位置である。
【0067】
固定部32dは、第1面34から上側に突出している。固定部32dは、円柱状である。固定部32dの上側の端面には、雌ネジ孔32gが設けられている。固定部32dは、周方向に間隔を空けて複数設けられている。複数の固定部32dは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。固定部32dは、例えば、3つ設けられている。各固定部32dの周方向位置は、周方向に隣り合う雌ネジ孔35c同士の間の周方向中心と同じ周方向位置である。各固定部32dは、第1面34のうち周方向に隣り合う凹部39b同士の間に位置する部分に設けられている。図2に示すように、各固定部32dは、周方向に隣り合う後述する被配置部91b同士の間に位置する。
【0068】
図1に示すように、出力シャフト保持部33は、出力中心軸J3を中心とする円筒状である。出力シャフト保持部33は、底壁部31よりも下側に突出している。出力シャフト保持部33の側面の一部は、モータケース部32の側面に繋がっている。出力シャフト保持部33は、出力シャフト保持部33を軸方向に貫通する貫通孔33aを有する。貫通孔33aの内側には、円筒状のブッシュ65が嵌め合わされている。
【0069】
ブッシュ65は、下側の端部に出力中心軸J3を中心とする径方向の外側に突出するフランジ部を有する。ブッシュ65のフランジ部は、駆動ギア62の上面によって下側から支持されている。ブッシュ65の内側には、出力シャフト61が嵌め合わされている。ブッシュ65は、出力シャフト61を出力中心軸J3回りに回転可能に支持している。
【0070】
第1蓋部材13は、下側に開口する収容凹部13bを有する容器状の部材である。本実施形態において第1蓋部材13は、金属製である。第1蓋部材13は、例えば、ダイカストによって成形されている。第1蓋部材13とハウジング本体12とは、第1蓋部材13を軸方向に貫通する複数のボルトにより締結されている。図示は省略するが、収容凹部13bには、回路基板70の上面に実装された電子部品が収容されている。収容凹部13bには、例えば、回路基板70に実装されたキャパシタ、トランジスタなどが収容されている。
【0071】
第1蓋部材13は、出力シャフト61の上側に位置する開口部13cを有する。開口部13cには、取り外し可能なキャップ15が取り付けられている。キャップ15は、例えば外周面に設けられた雄ネジ部が開口部13cの内周面に設けられた雌ネジ部に締め込まれることで、開口部13cに取り付けられている。キャップ15を取り外すことにより、開口部13cを介して、回転電機10の外部から操作部66に工具を接続可能である。
【0072】
第2蓋部材14は、減速機構50を下側から覆っている。本実施形態において第2蓋部材14は、金属製である。第2蓋部材14は、例えば、ダイカストによって成形されている。第2蓋部材14は、保持筒部14aと、底壁部14fと、円筒部14bと、フランジ部14cと、を有する。
【0073】
保持筒部14aは、中心軸J1を中心とする円筒状である。保持筒部14aは、上側に開口し、下側に底部14dを有する。保持筒部14aは、円筒部14bよりも内径が小さく、円筒部14bよりも下側に位置する。保持筒部14aの径方向内側には、第1ベアリング44aが保持されている。第1ベアリング44aと底部14dとの軸方向の間には、予圧部材47が配置されている。予圧部材47は、例えば、周方向に沿って延びる円環状のウェーブワッシャである。予圧部材47は、底部14dの上側の面と第1ベアリング44aの外輪の下側の端部とに接触している。予圧部材47は、第1ベアリング44aの外輪に対して上向きの予圧を加えている。
【0074】
底壁部14fは、保持筒部14aの上側の端部から径方向外側に広がっている。底壁部14fは、中心軸J1を中心とする円環状である。円筒部14bは、底壁部14fの外周縁部から上側に延びている。円筒部14bは、保持筒部14aよりも径方向外側に位置する。円筒部14bは、中心軸J1を中心とする円筒状である。円筒部14bは、上側に開口している。円筒部14bの内部には、内歯ギア52が嵌め合わされている。本実施形態において円筒部14bの内部には、内歯ギア52が圧入されている。
【0075】
フランジ部14cは、第2蓋部材14の上端部に設けられている。フランジ部14cは、径方向外側に広がっている。フランジ部14cの上面は、筒状壁38の下端面と接触している。フランジ部14cは、例えば、筒状壁38とネジで固定されている。これにより、第2蓋部材14がハウジング本体12に固定されている。
【0076】
第2蓋部材14は、出力部60と軸方向に重なる開口部14eを有する。出力シャフト61の下側の端部は、第2蓋部材14の開口部14eを通じて下側に露出している。第2蓋部材14は、出力シャフト61の外周面から径方向外側に広がるシャフトフランジ部61bを下側から支持している。
【0077】
バスバーユニット90は、天壁部32aの上側の面に配置されている。図2に示すように、バスバーユニット90は、中心軸J1を囲んでいる。バスバーユニット90は、例えば、中心軸J1を中心とする略円環状である。バスバーユニット90は、バスバーホルダ91と、バスバー92と、を有する。つまり、回転電機10は、バスバーホルダ91と、バスバー92と、を備える。
【0078】
バスバーホルダ91は、バスバー92を保持している。バスバーホルダ91は、樹脂製である。本実施形態においてバスバーホルダ91は、バスバー92をインサート部材とするインサート成形によって作られている。バスバーホルダ91は、中心軸J1を囲んでいる。バスバーホルダ91は、例えば、中心軸J1を中心とする略円環状である。バスバーホルダ91は、板面が軸方向を向く板状である。バスバーホルダ91の板面は、例えば、軸方向と直交している。
【0079】
バスバーホルダ91は、第2面35に配置されている。すなわち、バスバーホルダ91の下側の面は、第2面35と接触している。図6に示すように、バスバーホルダ91の軸方向の寸法は、例えば、段差32eの高さよりも大きい。バスバーホルダ91の上側の面は、例えば、第1面34よりも上側に位置する。なお、バスバーホルダ91の上側の面は、第1面34より下側に位置してもよいし、第1面34と軸方向において同じ位置に位置してもよい。図3に示すように、バスバーホルダ91の上側の面は、マグネット45の上側の面よりも上側に位置する。
【0080】
図2に示すように、バスバーホルダ91は、環状部91aと、複数の被配置部91bと、を有する。環状部91aは、中心軸J1を囲む環状の部分である。環状部91aは、例えば、中心軸J1を中心とする円環状である。環状部91aは、環状凹部39aに配置されている。つまり、環状部91aは、円弧面35aに配置されている。図6に示すように、環状部91aの径方向外周縁部は、段差32eよりも径方向内側に離れて配置されている。
【0081】
図2に示すように、環状部91aは、溝91eを有する。溝91eは、環状部91aの上側の面から下側に窪んでいる。溝91eは、径方向に延びている。溝91eの径方向内側の端部は、環状部91aの径方向内周縁部に位置する。溝91eの径方向内側の端部は、径方向内側に開口している。溝91eは、周方向に沿って間隔を空けて複数設けられている。複数の溝91eは、例えば、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。溝91eは、例えば、3つ設けられている。各溝91eの周方向位置は、周方向に隣り合う被配置部91b同士の間の周方向中心と同じ周方向位置である。
【0082】
図6に示すように、溝91eの溝底面には、固定孔91dが設けられている。固定孔91dは、環状部91aを軸方向に貫通している。固定孔91dは、軸方向に見て、雌ネジ孔35cと重なっている。固定孔91dの内径は、雌ネジ孔35cの内径よりも大きい。固定孔91dには、ボルト95が上側から通されている。ボルト95は、固定孔91dを通り、雌ネジ孔35cに締め込まれている。このようにして、各雌ネジ孔35cにボルト95が締め込まれることで、バスバーホルダ91が天壁部32aに固定されている。ボルト95のネジ頭部は、溝91eの溝底面に接触している。溝91eの溝底面は、上側を向く面である。
【0083】
図2に示すように、被配置部91bは、環状部91aから径方向外側に突出している。被配置部91bは、例えば、軸方向に見て、矩形状である。複数の被配置部91bは、周方向に沿って間隔を空けて設けられている。複数の被配置部91bは、例えば、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。被配置部91bは、例えば、6つ設けられている。本実施形態において各被配置部91bの形状および大きさは、互いに同じである。被配置部91bの周方向の寸法L3は、凹部39bの周方向の寸法よりも小さい。
【0084】
複数の被配置部91bは、複数の凹部39bにそれぞれ配置されている。本実施形態において6つの被配置部91bは、4つの第1凹部39cのそれぞれに配置された4つの被配置部91bと、2つの第2凹部39dのそれぞれに配置された2つの被配置部91bと、を含む。第2凹部39dに配置された被配置部91bは、例えば、第2凹部39d内に隙間嵌めされている。
【0085】
図5に示すように、被配置部91bの周方向両側の縁部は、凹部39bの周方向両側の縁部から周方向に離れて配置されている。本実施形態においては、第2凹部39dの周方向の寸法L2と第2凹部39dに配置された被配置部91bの周方向の寸法L3との差は、第1凹部39cの周方向の寸法L1と第1凹部39cに配置された被配置部91bの周方向の寸法L3との差よりも小さい。第1凹部39cに配置された被配置部91bの周方向両側の縁部と第1凹部39cの周方向両側の縁部との周方向の間の隙間は、第2凹部39dに配置された被配置部91bの周方向両側の縁部と第2凹部39dの周方向両側の縁部との周方向の間の隙間よりも大きい。
【0086】
第1凹部39cに配置された被配置部91bは、第1凹部39cの底面39rに接触している。第2凹部39dに配置された被配置部91bは、第2凹部39dの底面39sから上側に離れて配置されている。つまり、第2凹部39dに配置された被配置部91bは、第2凹部39dの底面39sと接触していない。
【0087】
図2に示すように、被配置部91bは、貫通孔37の径方向内側部分を上側から覆っている。より詳細には、被配置部91bは、幅狭部37bと、本体部37aの径方向内側の端部と、を上側から覆っている。図7に示すように、被配置部91bは、下側の面に挿入部91cを有する。挿入部91cは、下側に突出している。挿入部91cは、幅狭部37bに挿入されている。挿入部91cは、径方向に延びている。
【0088】
本実施形態においてバスバー92は、一部がバスバーホルダ91に埋め込まれて保持されている。より詳細には、バスバー92は、被配置部91bに一部が埋め込まれてバスバーホルダ91に保持されている。図2に示すように、バスバー92は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。複数のバスバー92は、例えば、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。バスバー92は、例えば、6つ設けられている。バスバー92は、端子部92aと、接続部92bと、を有する。
【0089】
端子部92aは、被配置部91bから上側に突出している。端子部92aは、回路基板70に接続されている。図3に示すように、端子部92aは、回路基板70を下側から上側に貫通している。端子部92aは、回路基板70を貫通する位置で、はんだ付け、溶接、圧入などの接続方法によって回路基板70と電気的に接続されている。これにより、回路基板70がバスバー92に電気的に接続されている。
【0090】
図7に示すように、接続部92bは、被配置部91bから径方向外側に突出している。より詳細には、接続部92bは、挿入部91cから径方向外側に突出している。接続部92bは、貫通孔37の内部に位置する。すなわち、接続部92bは、軸方向に見て貫通孔37と重なっている。接続部92bは、本体部37aの内部に位置する。図2に示すように、接続部92bは、例えば、軸方向に見て、径方向内側に開口するU字形状である。接続部92bには、コイル引出線43dが接続されている。これにより、バスバー92は、ステータ43に電気的に接続されている。本実施形態においてU字状の接続部92bは、コイル引出線43dを挟んで把持している。接続部92bとコイル引出線43dとは、例えば、半田付けまたは溶接により固定されている。本実施形態において各バスバー92における接続部92bには、例えば、それぞれ2本ずつコイル引出線43dが接続されている。なお、接続部92bには、コイル引出線43dが1本のみ接続されていてもよい。
【0091】
図1に示すように、本実施形態において回路基板70は、モータ部40およびバスバーユニット90の上側に位置する。回路基板70は、板面が軸方向と直交する板状である。図示は省略するが、回路基板70の軸方向に見た形状は、概ね正方形状である。回路基板70は、バスバーユニット90を介して、ステータ43のコイル43cと電気的に接続されている。すなわち、回路基板70は、モータ部40と電気的に接続されている。本実施形態において回路基板70は、ハウジング本体12における開口部12aの内側に収容されている。回路基板70は、第1蓋部材13によって上側から覆われている。
【0092】
回路基板70は、モータケース部32に固定されている。本実施形態において回路基板70は、固定部32dに下側から支持されている。回路基板70は、固定部32dに固定されている。より詳細には、回路基板70は、ボルト96によって固定部32dに固定されている。ボルト96は、回路基板70を上側から軸方向に貫通し、固定部32dの雌ネジ孔32gに締め込まれている。
【0093】
磁気センサ71は、回路基板70の下側の面に取り付けられている。より詳細には、磁気センサ71は、回路基板70の下側の面のうちマグネット45と隙間を介して軸方向に対向する部分に固定されている。すなわち、マグネット45は、磁気センサ71と軸方向に隙間を介して対向している。磁気センサ71は、マグネット45の磁界を検出可能である。磁気センサ71は、例えば、ホールIC等のホール素子である。図示は省略するが、磁気センサ71は、例えば、周方向に沿って3つ設けられている。磁気センサ71は、マグネット45の磁界を検出することでマグネット45の回転位置を検出してモータシャフト41の回転を検出する。
【0094】
出力部センサ72は、回路基板70の下側の面に取り付けられている。より詳細には、出力部センサ72は、回路基板70の下側の面のうち出力部用センサマグネット63と隙間を介して軸方向に対向する部分に固定されている。出力部センサ72は、出力部用センサマグネット63の磁界を検出可能な磁気センサである。出力部センサ72は、例えば、ホールIC等のホール素子である。出力部センサ72は、出力部用センサマグネット63の磁界を検出することで出力部用センサマグネット63の回転位置を検出して出力シャフト61の回転を検出する。
【0095】
本実施形態によれば、第2凹部39dの周方向の寸法L2と第2凹部39dに配置された被配置部91bの周方向の寸法L3との差は、第1凹部39cの周方向の寸法L1と第1凹部39cに配置された被配置部91bの周方向の寸法L3との差よりも小さい。そのため、第2凹部39d内に被配置部91bを配置することで、第2凹部39dの周方向両側の縁部によって被配置部91bの周方向の移動を抑制することができ、被配置部91bを周方向に位置決めできる。これにより、バスバーホルダ91を周方向に位置決めできる。このように本実施形態によれば、複数の凹部39bのうち一部の凹部39bを第2凹部39dとすることで、バスバーホルダ91を周方向に位置決めする部分として凹部39bを利用できる。そのため、例えばピンなどを用いてバスバーホルダ91を周方向に位置決めする場合に比べて、回転電機10の部品点数が増加することを抑制できる。したがって、回転電機10の組立工数を低減できる。また、第2凹部39dに被配置部91bを配置するのみでバスバーホルダ91を周方向に位置決めできるため、バスバーホルダ91を容易に位置決めすることができる。これにより、回転電機10の組立作業性を向上できる。
【0096】
また、本実施形態によれば、バスバーホルダ91は、環状凹部39aに配置された環状部91aを有する。そのため、環状凹部39aの径方向内周縁部によって、バスバーホルダ91を径方向に位置決めできる。これにより、バスバーホルダ91を天壁部32a上により安定して配置できる。
【0097】
また、本実施形態によれば、第1凹部39cに配置された被配置部91bは、第1凹部39cの底面39rに接触している。そのため、バスバーホルダ91を軸方向に位置決めできる。また、第2凹部39dに配置された被配置部91bは、第2凹部39dの底面39sから離れて配置されている。そのため、図5に示すように、第2凹部39dの周方向両側の縁部における下側の角部39qが丸みを帯びた形状となっていても、第2凹部39dに配置された被配置部91bが角部39qに乗り上げることを抑制できる。つまり、第2凹部39dの周方向の寸法L2と第2凹部39dに配置される被配置部91bの周方向の寸法L3とを互いに近づけた結果として被配置部91bの周方向両側の縁部が第2凹部39dの周方向両側の縁部に近づいても、被配置部91bが第2凹部39dにおける丸みを帯びた角部39qに乗り上げることを抑制できる。これにより、第1凹部39cに配置された被配置部91bが第1凹部39cの底面39rから浮き上がることを抑制できる。したがって、第1凹部39cの底面39rによってバスバーホルダ91を軸方向に位置決めした状態を維持できる。
【0098】
また、本実施形態によれば、第2凹部39dの深さD2は、第1凹部39cの深さD1よりも大きい。そのため、第1凹部39cに配置される被配置部91bと第2凹部39dに配置される被配置部91bとで軸方向の高さを変えなくても、第2凹部39d内において被配置部91bを底面39sから離して配置することができる。これにより、第1凹部39cに配置される被配置部91bと第2凹部39dに配置される被配置部91bとで形状を変えなくても、第1凹部39cに配置された被配置部91bが第1凹部39cの底面39rから浮き上がることを抑制できる。したがって、バスバーホルダ91の形状が複雑化することを抑制しつつ、バスバーホルダ91を軸方向に好適に位置決めすることができる。
【0099】
また、本実施形態によれば、複数の凹部39bは、中心軸J1を径方向に挟んで設けられた一対の第2凹部39dを含む。そのため、2つの第2凹部39dによって、バスバーホルダ91をより好適に周方向に位置決めできる。また、2つの第2凹部39dを、中心軸J1を通る直線上に配置できる。そのため、第2凹部39dを切削加工などの機械加工で作る際に、工具を直線上に移動させることで、2つの第2凹部39dを作ることができる。したがって、第2凹部39dを容易に作ることができる。
【0100】
また、本実施形態によれば、凹部39bは、3つ以上設けられ、3つ以上の凹部39bのうち2つの凹部39bは、第2凹部39dであり、3つ以上の凹部39bのうち残りの凹部39bは、第1凹部39cである。このように、周方向の位置決めを行う第2凹部39dを2つのみとすることで、バスバーホルダ91を好適に周方向に位置決めしつつ、各部に寸法誤差が生じても一部の被配置部91bを第2凹部39dに配置できなくなる不具合が生じることを抑制できる。したがって、バスバーホルダ91をより好適に配置できる。
【0101】
また、本実施形態によれば、第2凹部39dの周方向の寸法L2は、第1凹部39cの周方向の寸法L1よりも小さい。そのため、第1凹部39cに配置される被配置部91bと第2凹部39dに配置される被配置部91bとで周方向の寸法L3を変えなくても、第2凹部39dの周方向の寸法L2と第2凹部39dに配置された被配置部91bの周方向の寸法L3との差を、第1凹部39cの周方向の寸法L1と第1凹部39cに配置された被配置部91bの周方向の寸法L3との差よりも小さくできる。これにより、第1凹部39cに配置される被配置部91bと第2凹部39dに配置される被配置部91bとで形状を変えなくても、第2凹部39dによってバスバーホルダ91を周方向に位置決めできる。したがって、バスバーホルダ91の形状が複雑化することをより抑制しつつ、バスバーホルダ91を周方向に好適に位置決めすることができる。
【0102】
また、本実施形態によれば、複数の凹部39bおよび複数の被配置部91bのそれぞれは、周方向に沿って等間隔に配置されている。そのため、複数の凹部39bと複数の被配置部91bとのそれぞれを中心軸J1回りの回転対称に配置しやすい。これにより、各被配置部91bをいずれの凹部39bに配置することも可能にできる。したがって、バスバーホルダ91を天壁部32aに組み付けやすくできる。そのため、回転電機10の組立作業性をより向上できる。
【0103】
また、本実施形態によれば、バスバー92は、被配置部91bから径方向外側に突出する接続部92bを有する。接続部92bには、コイル引出線43dが接続されている。上述したように、被配置部91bが第2凹部39dに配置されることで、バスバーホルダ91は周方向に位置決めされている。このように、周方向の位置決めに用いられる被配置部91bに接続部92bを設けることで、接続部92bが安定して周方向に位置決めされた状態で、接続部92bとコイル引出線43dとを接続することができる。したがって、バスバー92とステータ43とを電気的に接続しやすい。
【0104】
また、本実施形態によれば、回転電機10は、ロータ40aに連結された減速機構50と、減速機構50を介してロータ40aの回転が伝達される出力部60と、を備える電動アクチュエータである。このような電動アクチュエータにおいては、部品点数が多くなりやすく、組立工数が多くなりやすい。これに対して、本実施形態によれば、上述したように、回転電機10の部品点数が増加することを抑制でき、組立工数を低減できる。つまり、第2凹部39dをバスバーホルダ91の周方向の位置決めに利用して組立工数を低減できる効果は、回転電機10が減速機構50および出力部60を備える電動アクチュエータである場合に、特に有用に得られる。
【0105】
また、本実施形態によれば、第2凹部39dは、基準穴32kの径方向内側に設けられている。そのため、基準穴32kにピンなどを挿し込んでハウジング本体12を支持した状態において各凹部39bを切削加工で作る際に、基準穴32kの径方向内側に位置する凹部39bを第2凹部39dとして作ればよい。これにより、複数の凹部39bのうちいずれかの凹部39bを第2凹部39dとすればよいかを決めやすく、第2凹部39dを作る作業を効率的に行うことができる。
【0106】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成を採用することもできる。第1凹部の数および第2凹部の数は、それぞれ1つ以上であれば、特に限定されない。第2凹部の数は、第1凹部の数と同じであってもよいし、第1凹部の数より多くてもよい。第2凹部が複数設けられる場合、複数の第2凹部の相対的な周方向の位置は、特に限定されない。
【0107】
第2凹部の周方向の寸法と第2凹部に配置された被配置部の周方向の寸法との差が第1凹部の周方向の寸法と第1凹部に配置された被配置部の周方向の寸法との差よりも小さければ、各凹部の寸法および各被配置部の寸法は、特に限定されない。例えば、第1凹部の周方向の寸法および第2凹部の周方向の寸法が互いに同じで、第2凹部に配置される被配置部の周方向の寸法が第1凹部に配置される被配置部の周方向の寸法より大きくてもよい。
【0108】
第2凹部の深さは、第1凹部の深さと同じであってもよい。この場合、例えば、第2凹部に配置される被配置部の軸方向他方側(下側)の面が、第1凹部に配置される被配置部の軸方向他方側の面よりも軸方向一方側に位置してもよい。これにより、各凹部の深さを同じにしつつ、第1凹部の底面に被配置部を接触させ、かつ、第2凹部の底面から被配置部を離すことができる。第1凹部に配置された被配置部は、第1凹部の底面から離れて配置されていてもよい。第2凹部に配置された被配置部は、第2凹部の底面に接触していてもよい。環状凹部は、設けられていなくてもよい。この場合、複数の凹部は、例えば、互いに周方向に分離された状態で配置される。
【0109】
減速機構の構造は、特に限定されない。減速機構の凸部は外歯ギアに設けられ、減速機構の穴部は出力ギアに設けられてもよい。この場合、凸部は、外歯ギアから出力ギアに向かって突出し、穴部に挿入される。
【0110】
本発明が適用される回転電機は、電動アクチュエータに限られず、減速機構を備えないモータであってもよいし、発電機であってもよい。回転電機は、モータ部によって駆動されるポンプ部を備える電動ポンプであってもよい。回転電機の用途は、特に限定されない。回転電機が電動アクチュエータである場合、回転電機は、運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載されてもよい。また、回転電機は、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0111】
10…回転電機(電動アクチュエータ)、11…ハウジング、32a…天壁部、37…貫通孔、39a…環状凹部、39b…凹部、39c…第1凹部、39d…第2凹部、40a…ロータ、43…ステータ、43c…コイル、43d…コイル引出線、50…減速機構、60…出力部、91…バスバーホルダ、91a…環状部、91b…被配置部、92…バスバー、92b…接続部、J1…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7