(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】充電器
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240806BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240806BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
H02J13/00 B
H01M10/44 Q
(21)【出願番号】P 2020218614
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 広伸
(72)【発明者】
【氏名】村里 健次
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-043636(JP,A)
【文献】国際公開第2018/029902(WO,A1)
【文献】特開2020-108309(JP,A)
【文献】特開2000-004542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 13/00
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体内に設けられた電力変換回路とを備える充電器であって、
前記筐体は、
当該充電器を蓄電装置と電気的に接続するためのDCコネクタへ直流電力を出力するDCポートと、
前記蓄電装置を充電するための交流電力が入力される複数のACポートと、
を備え、
当該充電器は、前記筐体内に、前記複数のACポートのいずれか1つを選択的に前記電力変換回路と接続する切替装置をさらに備え、
前記電力変換回路は、前記切替装置によって接続されたACポートから入力される交流電力を直流電力に変換して前記DCポートへ出力するように構成され、
前記複数のACポートは、
交流電力用コンセントに接続可能なACプラグで受電した交流電力が入力される第1ACポートと、
交流電力用ケーブルのコネクタに接続可能なACインレットで受電した交流電力が入力される第2ACポートと、
を含
み、
当該充電器は、前記筐体内に、前記切替装置を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記ACプラグから前記第1ACポートに交流電力が入力される場合には、前記電力変換回路に対して、前記第1ACポートを接続、かつ、前記第2ACポートを非接続とし、前記ACインレットから前記第2ACポートに交流電力が入力される場合には、前記電力変換回路に対して、前記第2ACポートを接続、かつ、前記第1ACポートを非接続とする、充電器。
【請求項2】
前記電力変換回路は、第1電力線及び第2電力線の各々に接続され、
前記第2電力線は前記DCポートにつながっており、
前記第1電力線は、前記筐体内の分岐点で、前記第1ACポートにつながる第3電力線と、前記第2ACポートにつながる第4電力線とに分岐しており、
前記切替装置は、前記分岐点において前記第3電力線と前記第4電力線とを択一的に前記電力変換回路に接続するC接点リレーを含む、請求項1に記載の充電器。
【請求項3】
前記第2電力線は、前記筐体内の前記電力変換回路から前記DCポートを通って前記筐体外の前記DCコネクタにつながっており、
前記第3電力線は、前記筐体内の前記C接点リレーから前記第1ACポートを通って前記筐体外の前記ACプラグにつながっており、
前記第4電力線は、前記筐体内の前記C接点リレーから前記第2ACポートを通って前記筐体外の前記ACインレットにつながっている、請求項2に記載の充電器。
【請求項4】
前記DCポートは、当該充電器に対して前記DCコネクタを着脱可能にするコネクタであり、
前記第2ACポートは、当該充電器に対して前記ACインレットを着脱可能にするコネクタである、請求項1又は2に記載の充電器。
【請求項5】
前記DCコネクタは、前記蓄電装置を備える車両の直流電力用インレットに接続可能に構成され、
前記交流電力用コンセントは、第1の車両用給電設備のコンセントであり、
前記交流電力用ケーブルは、第2の車両用給電設備のケーブルであり、
当該充電器は、前記車両に対して積み降ろし可能なポータブル充電器である、請求項1~4のいずれか一項に記載の充電器。
【請求項6】
当該充電器は、前記筐体内に、前記ACプラグから前記第1ACポートに入力される交流電力を検出するセンサをさらに備え、
前記制御装置は、
前記電力変換回路に対して、前記第1ACポートが接続され、かつ、前記第2ACポートが非接続とされた第1状態で待機し、
前記待機中に前記ACプラグから前記第1ACポートに入力される交流電力が前記センサによって検出されたときに、当該充電器が前記DCコネクタを通じて前記蓄電装置と電気的に接続されていれば前記第1状態で前記蓄電装置の充電を開始し、
前記待機中に前記ACインレットから前記第2ACポートを通じて所定の信号を受信したときには、前記電力変換回路に対して、前記第2ACポートを接続し、かつ、前記第1ACポートを非接続とした第2状態になるように前記切替装置を制御し、当該充電器が前記DCコネクタを通じて前記蓄電装置と電気的に接続されていれば前記第2状態で前記蓄電装置の充電を開始する、請求項
1~5のいずれか一項に記載の充電器。
【請求項7】
前記所定の信号は、コントロールパイロット信号である、請求項
6に記載の充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置を充電する充電器に関し、特に、交流電力を受けて直流電力を出力する充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2020-078153号公報(特許文献1)には、交流電力を受けて直流電力を出力する充電器が開示されている。特許文献1に記載される充電器の筐体は、車両のDCインレット(直流電力用インレット)に接続可能なDCコネクタと、ACコネクタ(交流電力用ケーブルのコネクタ)に接続可能なACインレット(交流電力用インレット)とを備える。また、この充電器の筐体内には、AC/DC変換(交流から直流への変換)を行なう電力変換回路が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載される充電器は、たとえば車両が備える蓄電装置の充電に使用される。交流電力を供給するEVSE(Electric Vehicle Supply Equipment:車両用給電設備)としては、モード2のEVSEとモード3のEVSEとが普及している。
【0005】
モード2のEVSEはACコンセント(交流電力用コンセント)を備える。ACインレットを備える車両をモード2のEVSEと接続するときには、モード2用の充電ケーブルが使用される。モード2用の充電ケーブルは、ACコンセントに接続可能なACプラグと、車両のACインレットに接続可能なACコネクタと、制御回路を含む制御ボックスとを備える。制御ボックス内の制御回路によってCPLT信号(コントロールパイロット信号)が生成される。
【0006】
モード3のEVSEには、充電ケーブル(より特定的には、交流電力用ケーブル)が付属している。充電ケーブルは、先端にACコネクタを有する。ACインレットを備える車両をモード3のEVSEと接続するときには、EVSEのACコネクタが車両のACインレットに接続される。モード3のEVSEは、制御回路を内蔵し、制御回路によってCPLT信号が生成される。
【0007】
上記特許文献1に記載される充電器とモード2用の充電ケーブルとを用いることで、DCインレットを備える車両をモード2のEVSEと接続し、EVSEから供給される交流電力を用いて車両の蓄電装置を充電することができる。より具体的には、充電ケーブルのACプラグをEVSEのACコンセントに接続し、充電ケーブルのACコネクタを充電器のACインレットに接続し、充電器のDCコネクタを車両のDCインレットに接続することで、モード2のEVSEと車両とが電気的に接続される。また、EVSEから供給される交流電力は、充電器の電力変換回路によって直流電力に変換される。そして、充電器のDCコネクタから車両へ直流電力が出力される。
【0008】
また、上記特許文献1に記載される充電器を用いて、DCインレットを備える車両をモード3のEVSEと接続する場合には、EVSEのACコネクタを充電器のACインレットに接続し、充電器のDCコネクタを車両のDCインレットに接続することで、モード3のEVSEと車両とが電気的に接続される。
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載される充電器は、単独ではモード2のEVSEに対応しておらず、当該充電器を用いて車両をモード2のEVSEに接続する場合には、当該充電器をモード2用の充電ケーブルと組み合わせて使用することが求められる。このため、上記特許文献1に記載される充電器は、ユーザにとって必ずしも利便性が高いとはいえない。
【0010】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ACコンセント及びACコネクタのいずれからも交流電力の供給を受けることができる構成を有し、供給された交流電力を直流電力に変換してDCコネクタへ出力可能な充電器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示に係る充電器は、筐体と、筐体内に設けられた電力変換回路とを備える。筐体は、当該充電器を蓄電装置と電気的に接続するためのDCコネクタへ直流電力を出力するDCポートと、蓄電装置を充電するための交流電力が入力される複数のACポートとを備える。当該充電器は、筐体内に、複数のACポートのいずれか1つを選択的に電力変換回路と接続する切替装置をさらに備える。電力変換回路は、切替装置によって接続されたACポートから入力される交流電力を直流電力に変換してDCポートへ出力するように構成される。複数のACポートは、ACコンセント(交流電力用コンセント)に接続可能なACプラグで受電した交流電力が入力される第1ACポートと、ACコネクタ(交流電力用ケーブルのコネクタ)に接続可能なACインレットで受電した交流電力が入力される第2ACポートとを含む。
【0012】
上記充電器では、切替装置により、複数のACポートのいずれか1つを選択的に電力変換回路と接続することができる。複数のACポートには、少なくとも上記の第1ACポート及び第2ACポートが含まれる。第1ACポートが電力変換回路と接続された場合には、ACプラグで受電した交流電力が電力変換回路によって直流電力に変換される。ACプラグは、ACコンセントに接続可能に構成される。第2ACポートが電力変換回路と接続された場合には、ACインレットで受電した交流電力が電力変換回路によって直流電力に変換される。ACインレットは、ACコネクタに接続可能に構成される。そして、電力変換回路によって生成された直流電力は、DCコネクタへ出力される。このように、上記の充電器は、ACコンセント及びACコネクタのいずれからも交流電力の供給を受けることができる構成を有し、供給された交流電力を直流電力に変換してDCコネクタへ出力することができる。
【0013】
電力変換回路は、第1電力線及び第2電力線の各々に接続されてもよい。第2電力線はDCポートにつながっていてもよい。第1電力線は、筐体内の分岐点で、第1ACポートにつながる第3電力線と、第2ACポートにつながる第4電力線とに分岐してもよい。切替装置は、分岐点において第3電力線と第4電力線とを択一的に電力変換回路に接続するC接点リレーを含んでもよい。
【0014】
上記のC接点リレーは、充電器の内部で分岐された第3電力線及び第4電力線の一方を電力変換回路に接続し、他方を電力変換回路と非接続にすることができる。上記構成によれば、第3電力線及び第4電力線に別々にリレーを設ける構成と比べて、リレーの数を減らすことができる。
【0015】
上記C接点リレーが、第1極性の電力路に設けられた第1C接点リレーであり、第1C接点リレーと対をなす第2C接点リレーが、第1極性とは反対の第2極性の電力路に設けられてもよい。
【0016】
第2電力線は、筐体内の電力変換回路からDCポートを通って筐体外のDCコネクタにつながっていてもよい。第3電力線は、筐体内のC接点リレーから第1ACポートを通って筐体外のACプラグにつながっていてもよい。第4電力線は、筐体内のC接点リレーから第2ACポートを通って筐体外のACインレットにつながっていてもよい。
【0017】
上記の充電器では、筐体に設けられたDCポート(たとえば、配線孔)を第2電力線が通り、筐体に設けられた第1ACポート(たとえば、配線孔)を第3電力線が通り、筐体に設けられた第2ACポート(たとえば、配線孔)を第4電力線が通る。上記構成によれば、電力変換回路とDCコネクタとの間、及び、C接点リレーとACプラグとの間、及び、C接点リレーとACインレットとの間を、それぞれ第2電力線、第3電力線、及び第4電力線によってシームレスでつなげることが可能になる。筐体にACプラグのケーブル(第3電力線)を収容する収容部が設けられてもよい。充電器は、収容部から出たACプラグのケーブルを収容部に巻き取る装置を備えてもよい。
【0018】
DCポートは、充電器に対してDCコネクタを着脱可能にするコネクタであってもよい。第2ACポートは、充電器に対してACインレットを着脱可能にするコネクタであってもよい。
【0019】
上記の充電器では、DCコネクタ及びACインレットの各々が各コネクタ(DCポート及び第2ACポート)で着脱可能に構成されることで、DCコネクタ及びACインレットの各々の交換が容易になる。上記の充電器は、DCポートを通じて、規格が異なる複数種のDCコネクタに接続可能に構成されてもよい。上記の充電器は、第2ACポートを通じて、規格が異なる複数種のACインレットに接続可能に構成されてもよい。
【0020】
第1ACポートは、当該充電器に対してACプラグを着脱可能にするコネクタであってもよい。上記の充電器は、第1ACポートを通じて、規格が異なる複数種のACプラグに接続可能に構成されてもよい。
【0021】
DCポート、第1ACポート、及び第2ACポートの各々は、上述した配線孔及びコネクタには限られない。たとえば、第2ACポートにACインレットが設けられ、第2ACポートとACインレットとが一体化していてもよい。
【0022】
DCコネクタは、蓄電装置を備える車両のDCインレット(直流電力用インレット)に接続可能に構成されてもよい。ACコンセント(交流電力用コンセント)は、第1の車両用給電設備のコンセントであってもよい。ACケーブル(交流電力用ケーブル)は、第2の車両用給電設備のケーブルであってもよい。上述したいずれかの充電器は、車両に対して積み降ろし可能なポータブル充電器であってもよい。
【0023】
上記車両がAC充電器を備えなくても、当該車両のユーザは、上記ポータブル充電器を使用することで、交流電力を供給するEVSE(たとえば、モード2又は3のEVSE)によって車両の蓄電装置を充電することができる。また、ポータブル充電器は、必要に応じて車両に搭載することができる。AC/DC変換を伴う充電を行なわない場合には、上記ポータブル充電器を車両に搭載しないことで、車両の軽量化を図ることもできる。
【0024】
上記車両は、電動車両であってもよい。電動車両は、蓄電装置に蓄えられた電力を用いて走行するように構成される車両である。電動車両の例としては、EV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド車両)が挙げられる。
【0025】
上述したいずれかの充電器は、筐体内に、切替装置を制御する制御装置をさらに備えてもよい。制御装置は、ACプラグから第1ACポートに交流電力が入力される場合には、電力変換回路に対して、第1ACポートを接続、かつ、第2ACポートを非接続とし、ACインレットから第2ACポートに交流電力が入力される場合には、電力変換回路に対して、第2ACポートを接続、かつ、第1ACポートを非接続としてもよい。
【0026】
充電器が上記のような制御装置を備えることで、交流電力が入力されるACポート(第1ACポート/第2ACポート)に応じて、切替装置の接続切替え(第1ACポート/第2ACポート)が適切に行なわれるようになる。
【0027】
上記の充電器は、筐体内に、ACプラグから第1ACポートに入力される交流電力を検出するセンサをさらに備えてもよい。上記の制御装置は、電力変換回路に対して、第1ACポートが接続され、かつ、第2ACポートが非接続とされた第1状態で待機してもよい。そして、この待機中にACプラグから第1ACポートに入力される交流電力がセンサによって検出されたときに、充電器がDCコネクタを通じて蓄電装置と電気的に接続されていれば、制御装置は第1状態で蓄電装置の充電を開始してもよい。また、制御装置は、上記の待機中にACインレットから第2ACポートを通じて所定の信号を受信したときには、電力変換回路に対して、第2ACポートを接続し、かつ、第1ACポートを非接続とした第2状態になるように切替装置を制御し、充電器がDCコネクタを通じて蓄電装置と電気的に接続されていれば第2状態で蓄電装置の充電を開始してもよい。
【0028】
上記構成では、ACプラグから第1ACポートに交流電力が入力された場合には、第1状態で蓄電装置の充電が開始される。他方、ACプラグから第1ACポートに交流電力が入力される前に、制御装置がACインレットから所定の信号を受信した場合には、第2状態で蓄電装置の充電が開始される。制御装置がACインレットから所定の信号を受信した場合には、ACインレットから第2ACポートに交流電力が入力されると考えられる。上記構成によれば、交流電力が入力されるACポート(第1ACポート/第2ACポート)に応じて、適切な状態で蓄電装置の充電が開始される。
【0029】
なお、上記センサは、交流電力を検出可能なセンサであればよく、電圧センサであってもよいし、電流センサであってもよい。
【0030】
上記所定の信号は、コントロールパイロット信号であってもよい。コントロールパイロット信号(CPLT信号)は、ACインレットから上記制御装置に送信され、ACインレットに対してACコネクタが接続されたことなどを、上記制御装置に知らせる。制御装置は、コントロールパイロット信号に基づいて、ACインレットから第2ACポートに交流電力が入力されるか否かを的確に判断することができる。
【発明の効果】
【0031】
本開示によれば、ACコンセント及びACコネクタのいずれからも交流電力の供給を受けることができる構成を有し、供給された交流電力を直流電力に変換してDCコネクタへ出力可能な充電器を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本開示の実施の形態に係る充電器の構成を示す図である。
【
図2】
図1に示したAC/DC変換回路の回路構成の一例を示す図である。
【
図3】
図1に示した筐体の外観の一例を示す図である。
【
図4】本開示の実施の形態に係る充電器において制御装置が起動するときの処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】変形例に係る充電器において、ケーブル収容部が設けられた筐体を示す図である。
【
図6】
図5に示した充電器が保管されるときの一態様を示す図である。
【
図8】変形例において、第2ACポート、DCポートにそれぞれACインレット、DCコネクタが設けられた充電器を示す図である。
【
図9】
図1に示した切替装置の変形例を示す図である。
【
図10】
図1に示した筐体内の回路構成の変形例を示す図である。
【
図11】
図4に示した処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0034】
図1は、この実施の形態に係る充電器10Aの構成を示す図である。
図1には充電器10Aを拡大して示しているが、充電器10Aは、車両303に対して積み降ろし可能なポータブル充電器である。
【0035】
図1を参照して、充電器10Aは、筐体100Aを備える。充電器10Aは、筐体100A内に、AC/DC変換回路110と、切替装置120と、電圧計130と、制御装置150とを備える。充電器10Aは、筐体100A外に、ACプラグ201と、ACインレット202と、DCコネクタ203とを備える。筐体100Aは、ACプラグ201で受電した交流電力が入力される第1ACポート101Aと、ACインレット202で受電した交流電力が入力される第2ACポート102Aと、DCコネクタ203へ直流電力を出力するDCポート103Aとを備える。ACプラグ201と第1ACポート101Aとはケーブル201aを介してつながっている。ACインレット202と第2ACポート102Aとはケーブル202aを介してつながっている。DCコネクタ203とDCポート103Aとはケーブル203aを介してつながっている。制御装置150は、切替装置120を制御するように構成される。
【0036】
車両303は、DCインレット(直流電力用インレット)303aと、蓄電装置303bとを備える。車両303は、たとえば蓄電装置303bに蓄えられた電力を用いて走行する電気自動車である。蓄電装置303bは、たとえば車両303の走行用モータ(図示せず)に電力を供給する二次電池である。蓄電装置303bは、複数のリチウムイオン二次電池を含む組電池であってもよい。DCコネクタ203は、充電器10Aを蓄電装置303bと電気的に接続するために用いられる。DCコネクタ203は、車両303のDCインレット303aに接続可能に構成される。
【0037】
EVSE(Electric Vehicle Supply Equipment)301及び302の各々は、蓄電装置303bを充電するための交流電力を供給する。EVSE301は、モード2のEVSEであり、ACコンセント(交流電力用コンセント)301aを備える。EVSE302は、モード3のEVSEである。EVSE302には、ACケーブル(交流電力用ケーブル)302bが付属している。ACケーブル302bは、先端にACコネクタ302aを有する。EVSE302は、制御回路302cを内蔵し、制御回路302cによってCPLT信号(コントロールパイロット信号)が生成される。ACプラグ201は、EVSE301のACコンセント301aに接続可能に構成される。ACインレット202は、EVSE302のACケーブル302bのACコネクタ302aに接続可能に構成される。この実施の形態では、EVSE301、EVSE302が、それぞれ本開示に係る「第1の車両用給電設備」、「第2の車両用給電設備」の一例に相当する。
【0038】
充電器10Aの筐体100A内に設けられた切替装置120は、第1ACポート101Aと第2ACポート102Aとのいずれか一方を選択的にAC/DC変換回路110と接続するように構成される。切替装置120は、C接点リレー121及び122を含む。C接点リレー121及び122は、制御装置150によって制御される。AC/DC変換回路110は、切替装置120によって接続されたACポート(第1ACポート101A又は第2ACポート102A)から入力される交流電力を直流電力に変換してDCポート103Aへ出力するように構成される。この実施の形態に係るAC/DC変換回路110は、本開示に係る「電力変換回路」の一例に相当する。以下、筐体100A内の回路構成について詳述する。
【0039】
AC/DC変換回路110の第1端には、第1極性の電力線PL1aと第2極性の電力線PL1bとが接続される。AC/DC変換回路110の第2端には、第1極性の電力線PL2aと第2極性の電力線PL2bとが接続される。電力線PL2a及びPL2bの各々はDCポート103Aにつながっている。電力線PL1a、電力線PL2aは、それぞれ本開示に係る「第1電力線」、「第2電力線」の一例に相当する。
【0040】
充電時においては、AC/DC変換回路110の第1端に交流電力が入力され、AC/DC変換回路110の第2端から直流電力が出力される。第1極性と第2極性とは逆極性である。電圧計130は、電力線PL1aと電力線PL1bとの間の電圧を検出するように構成される。電力線PL1aと電力線PL1bとの間の電圧は、AC/DC変換回路110の入力電圧に相当する。電圧計130は、本開示に係る「センサ」の一例に相当する。
【0041】
電力線PL1aは、第1分岐点で電力線PL11aと電力線PL12aとに分岐している。C接点リレー121は第1分岐点に配置されている。電力線PL1bは、第2分岐点で電力線PL11bと電力線PL12bとに分岐している。C接点リレー122は第2分岐点に配置されている。電力線PL11a及びPL11bの各々は、第1ACポート101Aにつながっている。電力線PL12a及びPL12bの各々は、第2ACポート102Aにつながっている。電力線PL11a、電力線PL12aは、それぞれ本開示に係る「第3電力線」、「第4電力線」の一例に相当する。
【0042】
C接点リレー121及び122は、対をなしてセットで動作する。C接点リレー121は、第1分岐点において、電力線PL11a(第1ACポート101A側)と電力線PL12a(第2ACポート102A側)とを択一的に電力線PL1a(ひいては、AC/DC変換回路110)に接続するように構成される。C接点リレー122は、第2分岐点において、電力線PL11b(第1ACポート101A側)と電力線PL12b(第2ACポート102A側)とを択一的に電力線PL1b(ひいては、AC/DC変換回路110)に接続するように構成される。以下では、C接点リレー121及び122によって電力線PL11a、PL11bをそれぞれ電力線PL1a、PL1bに接続することを、「ACプラグ接続」とも称する。また、C接点リレー121及び122によって電力線PL12a、PL12bをそれぞれ電力線PL1a、PL1bに接続することを、「ACインレット接続」とも称する。
【0043】
C接点リレー121及び122の各々は、制御装置150によって制御される。C接点リレー121及び122は、制御装置150からの指示がない状態(たとえば、非通電状態)ではACプラグ接続の状態となる。C接点リレー121及び122の各々は、電磁式のメカニカルリレーであってもよい。この実施の形態に係るC接点リレー121、122は、それぞれ「第1C接点リレー」、「第2C接点リレー」の一例に相当する。
【0044】
第1ACポート101A、第2ACポート102A、及びDCポート103Aの各々は、配線孔を有する。電力線PL11a、PL11bは、それぞれ筐体100A内のC接点リレー121、122から第1ACポート101A(配線孔)及びケーブル201aの内部を通って筐体100A外のACプラグ201につながっている。電力線PL12a、PL12bは、それぞれ筐体100A内のC接点リレー121、122から第2ACポート102A(配線孔)及びケーブル202aの内部を通って筐体100A外のACインレット202につながっている。CPLT信号の信号線も第2ACポート102A(配線孔)を通る。電力線PL2a及びPL2bの各々は、筐体100A内のAC/DC変換回路110からDCポート103A(配線孔)及びケーブル203aの内部を通って筐体100A外のDCコネクタ203につながっている。また、制御装置150と車両303との間の信号線(図示せず)もDCポート103A(配線孔)を通る。
【0045】
図2は、AC/DC変換回路110の回路構成の一例を示す図である。
図1とともに
図2を参照して、AC/DC変換回路110は、力率改善(PFC:Power Factor Correction)回路111、絶縁回路112、及び整流回路113を含んで構成される。
【0046】
PFC回路111は、整流回路111a及びインバータ111bを含んで構成される。整流回路111aは、入力される交流電力を整流するとともに昇圧するように構成される。より具体的には、整流回路111aは、2つの上下アームと、2つのリアクトルと、1つの平滑コンデンサとを含んで構成される。各上下アームにおいて、上アームはダイオードを含み、下アームはスイッチング素子を含む。下アームのスイッチング素子は、制御装置150によって制御される。整流回路111aに含まれる各スイッチング素子が制御装置150によって制御されることで、整流回路111aが昇圧チョッパ回路として機能する。
【0047】
インバータ111bは、4つのスイッチング素子を含むフルブリッジ回路である。各スイッチング素子は、制御装置150によって制御される。インバータ111bに含まれる各スイッチング素子が制御装置150によって制御されることで、整流回路111aからインバータ111bに入力される直流電力が高周波の交流電力に変換される。
【0048】
絶縁回路112は、コイル112a及び112bを含む絶縁トランスである。整流回路113は電線を介してコイル112aに接続されており、PFC回路111は電線を介してコイル112bに接続されている。コイル112aとコイル112bとは互いに電気的に絶縁されている。絶縁回路112は、コイル112bに印加される交流電圧を昇圧してコイル112aに出力する。
【0049】
整流回路113は、4つのダイオードを含むダイオードブリッジ回路である。整流回路113は、絶縁回路112のコイル112aから供給される交流電力を直流電力に変換するように構成される。
【0050】
上記のような構成によって、AC/DC変換回路110は、充電時にACプラグ201又はACインレット202(
図1参照)から電力線PL1a,PL1bに入力される交流電力にAC/DC変換(交流から直流への変換)を行なって電力線PL2a,PL2bに直流電力を出力する。より具体的には、整流回路111aが、電力線PL1a,PL1bに入力される交流電力を整流及び昇圧してインバータ111bへ出力し、インバータ111bは、整流回路111aから受ける直流電力を高周波の交流電力に変換する。絶縁回路112は、インバータ111bの出力(交流電力)を整流回路113に伝達し、整流回路113は、絶縁回路112から受ける交流電力を整流して電力線PL2a,PL2bへ出力する。
【0051】
なお、AC/DC変換回路110の構成は、
図2に示した構成に限定されない。たとえば、AC/DC変換回路110は、絶縁回路を含まない整流回路であってもよい。また、制御装置150が制御で用いる情報を取得するために、
図2に示す回路の適当な位置に各種センサ(たとえば、電流センサ及び電圧センサ)が設けられてもよい。
【0052】
再び
図1を参照して、制御装置150は、プロセッサ151、RAM(Random Access Memory)152、記憶装置153、及び通信I/F(インターフェース)154を含んで構成される。プロセッサ151は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。RAM152は、プロセッサ151によって処理されるデータを一時的に記憶する作業用メモリとして機能する。記憶装置153は、格納された情報を保存可能に構成される。記憶装置153は、たとえばROM(Read Only Memory)及び書き換え可能な不揮発性メモリを含む。通信I/F154は、制御装置150がEVSE302及び車両303と通信するための各種通信I/Fを含む。記憶装置153には、プログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、及び各種パラメータ)が記憶されている。この実施の形態では、記憶装置153に記憶されているプログラムをプロセッサ151が実行することで、制御装置150における各種制御が実行される。
【0053】
図1では省略されているが、筐体100A内には、制御装置150の電源回路が設けられている。制御装置150の電源回路は、所定の電源から供給される電力を用いて制御装置150の駆動電力(すなわち、制御装置150を作動させるための電力)を生成し、生成された駆動電力を制御装置150に供給するように構成される。制御装置150の電源回路は、筐体100A内の電池(図示せず)の電力を用いて制御装置150の駆動電力を生成してもよい。また、制御装置150の電源回路は、第1ACポート101A又は第2ACポート102Aに供給される交流電力を利用して制御装置150の駆動電力を生成してもよい。制御装置150の電源回路は、電力線PL11a,PL11b,PL12a,PL12bに接続されてもよい。
【0054】
充電器10Aの筐体100Aは壁掛け可能に構成されてもよい。
図3は、筐体100Aの外観の一例を示す図である。
図3を参照して、この例では、筐体100Aが吊り具104(たとえば、U字状のワイヤー)を備える。壁に固定された留め具301b(たとえば、フック)に吊り具104を引っかけることにより筐体100Aを壁に吊り下げることができる。筐体100Aを壁に吊り下げた状態で充電器10AのACプラグ201をEVSE301のACコンセント301aに差し込むと、ACプラグ201がACコンセント301aと接続される。こうすることで、充電中にACプラグ201及びケーブル201aに過度な荷重が加わることを抑制できる。
【0055】
再び
図1を参照して、この実施の形態に係る充電器10Aでは、ACプラグ201がEVSE301のACコンセント301aに接続された場合に、切替装置120によって第1ACポート101AがAC/DC変換回路110と接続され、ACプラグ201で受電した交流電力がAC/DC変換回路110によって直流電力に変換される。また、ACインレット202にEVSE302のACコネクタ302aが接続された場合に、切替装置120によって第2ACポート102AがAC/DC変換回路110と接続され、ACインレット202で受電した交流電力がAC/DC変換回路110によって直流電力に変換される。そして、AC/DC変換回路110によって生成された直流電力は電力線PL2a,PL2bを通じてDCコネクタ203へ出力される。
【0056】
図4は、充電器10Aにおいて制御装置150が起動するときの処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理が開始されるときには、制御装置150は停止状態になっている。このため、C接点リレー121及び122はACプラグ接続の状態となっている。
【0057】
図1とともに
図4を参照して、ステップ(以下、単に「S」と表記する)11では、充電器10AがACプラグ接続の状態で待機する。ACプラグ接続の状態は、AC/DC変換回路110に対して、第1ACポート101Aが接続、かつ、第2ACポート102Aが非接続とされた状態であり、本開示に係る「第1状態」の一例に相当する。
【0058】
S12では、上記待機中にACプラグ201から第1ACポート101Aに交流電力が入力されたか否かが判断される。より具体的には、上記待機中において、電圧計130から制御装置150へ出力される信号が交流電力の入力を示すときに、S12においてYESと判断される。
【0059】
電圧計130が交流電力の入力を検出しない場合(S12にてNO)には、処理がS13に進む。S13では、上記待機中に制御装置150がACインレット202から第2ACポート102Aを通じて所定の信号を受信したか否かが判断される。この実施の形態では、上記所定の信号としてCPLT信号が採用される。より具体的には、上記待機中において制御装置150がACインレット202からCPLT信号を受信すると、S13においてYESと判断される。典型的なCPLT信号は、
図1に示されるように、ACコネクタ302aの接続前には12Vの電圧を示し、ACコネクタ302aがACインレット202に接続されると電圧が12Vから9Vに降下し、充電が開始されると電圧が9Vから6Vに降下し、充電が終了すると電圧が6Vから9Vに上昇する。充電開始前に制御装置150が12V又は9VのCPLT信号を受信したときに、S13においてYESと判断されてもよい。
【0060】
制御装置150がCPLT信号を受信しない場合(S13にてNO)には、処理がS11に戻る。S12及びS13の両方でNOと判断されている期間においては、S11~S13が繰り返され、上記の待機状態が継続される。
【0061】
電圧計130が交流電力の入力を検出した場合(S12にてYES)には、制御装置150が起動し(S21)、起動した制御装置150は、S22において、DCコネクタ203が蓄電装置303bと電気的に接続されているか否かを判断する。DCコネクタ203の接続/非接続は、DCコネクタ203がDCインレット303aに接続されたときに車両303から制御装置150へ送信される信号によって検出されてもよい。また、DCコネクタ203に設けられた接続センサ(図示せず)によってDCコネクタ203の接続/非接続が検出されてもよい。DCコネクタ203が車両303のDCインレット303aに接続されていれば、S22においてYESと判断され、処理がS23に進む。S23では、制御装置150が、ACプラグ接続の状態で蓄電装置303bの充電を開始する。
【0062】
DCコネクタ203がDCインレット303aに接続されていない期間(S22にてNO)においては、S22の判断が繰り返し行なわれ、DCコネクタ203がDCインレット303aに接続されると(S22にてYES)、S23において蓄電装置303bの充電が開始される。DCコネクタ203がDCインレット303aに接続されていない期間(S22にてNO)において、制御装置150は、ユーザにDCコネクタ203の接続を促す報知処理を行なってもよい。制御装置150は、たとえばスピーカ(図示せず)を制御して音声で上記報知処理を行なってもよいし、DCコネクタ203に設けられたランプ(図示せず)を点灯させてもよい。
【0063】
制御装置150がCPLT信号を受信した場合(S13にてYES)には、制御装置150が起動し(S31)、起動した制御装置150は、S32において、ACプラグ接続からACインレット接続に切り替えるように切替装置120を制御する。ACインレット接続の状態は、AC/DC変換回路110に対して、第2ACポート102Aが接続、かつ、第1ACポート101Aが非接続とされた状態であり、本開示に係る「第2状態」の一例に相当する。
【0064】
S32の処理後、制御装置150は、S33において、DCコネクタ203が蓄電装置303bと電気的に接続されているか否かを判断する。DCコネクタ203が車両303のDCインレット303aに接続されていれば、S33においてYESと判断され、処理がS34に進む。S34では、制御装置150が、ACインレット接続の状態で蓄電装置303bの充電を開始する。なお、S33においてNOと判断された場合の処理は、S22においてNOと判断された場合の処理と同じであるため、説明を割愛する。
【0065】
S23とS34とのいずれかの処理により充電が開始されることにより、
図4に示す一連の処理は終了する。充電制御の詳細については割愛するが、ACプラグ201又はACインレット202から供給される交流電力がAC/DC変換回路110で直流電力に変換され、DCコネクタ203から直流電力が出力されることによって、蓄電装置303bが充電される。制御装置150は、AC/DC変換回路110を制御することにより、DCコネクタ203の出力電力(ひいては、蓄電装置303bの充電電力)を制御する。ACプラグ201から供給される交流電力を用いて蓄電装置303bを充電する場合には、制御装置150は、車両303からの要求に応じて充電電力を制御してもよい。また、ACインレット202から供給される交流電力を用いて蓄電装置303bを充電する場合には、制御装置150は、CPLT信号と、車両303からの要求(たとえば、充電電力を制限するパラメータWinの値)とに基づいて充電電力を制御してもよい。蓄電装置303bの充電は、所定の終了条件が成立するまで継続される。そして、終了条件が成立すると、充電が停止される。たとえば、終了条件は、蓄電装置303bが満充電になったときに成立してもよい。終了条件は、充電中にEVSE301,302と車両303とが非接続になったときに成立してもよい。終了条件は、充電中に車両303又はEVSE301,302に異常が生じたときに成立してもよい。
【0066】
以上説明したように、この実施の形態に係る充電器10Aは、筐体100Aと、筐体100A内に設けられたAC/DC変換回路110とを備える。筐体100Aは、第1ACポート101A、第2ACポート102A、及びDCポート103Aを備える。DCポート103Aは、充電器10Aを蓄電装置303bと電気的に接続するためのDCコネクタ203へ直流電力を出力する。第1ACポート101A及び第2ACポート102Aの各々には、蓄電装置303bを充電するための交流電力が入力される。第1ACポート101Aには、ACコンセント301aに接続可能なACプラグ201で受電した交流電力が入力される。第2ACポート102Aには、ACコネクタ302aに接続可能なACインレット202で受電した交流電力が入力される。充電器10Aは、筐体100A内に、第1ACポート101A及び第2ACポート102Aのいずれか1つを選択的にAC/DC変換回路110と接続する切替装置120をさらに備える。AC/DC変換回路110は、切替装置120によって接続されたACポートから入力される交流電力を直流電力に変換してDCポート103Aへ出力するように構成される。
【0067】
上記充電器10Aでは、第1ACポート101AがAC/DC変換回路110と接続された場合には、ACプラグ201で受電した交流電力がAC/DC変換回路110によって直流電力に変換される。第2ACポート102AがAC/DC変換回路110と接続された場合には、ACインレット202で受電した交流電力がAC/DC変換回路110によって直流電力に変換される。そして、AC/DC変換回路110によって生成された直流電力は、DCコネクタ203へ出力される。上記の充電器10Aは、ACコンセント301a及びACコネクタ302aのいずれからも交流電力の供給を受けることができる構成を有し、供給された交流電力を直流電力に変換してDCコネクタ203へ出力することができる。
【0068】
充電器10Aは、筐体100A内に、切替装置120を制御する制御装置150を備える。制御装置150は、ACプラグ201から第1ACポート101Aに交流電力が入力される場合(
図4のS12にてYES)には切替装置120をACプラグ接続の状態にし、ACインレット202から第2ACポート102Aに交流電力が入力される場合(
図4のS13にてYES)には切替装置120をACインレット接続の状態にする。上記実施の形態では、充電器10Aが、筐体100A内に、ACプラグ201から第1ACポート101Aに入力される交流電力を検出するセンサ(電圧計130)を備える。制御装置150は、ACプラグ接続の状態で待機し(
図4のS11)、この待機中にACプラグ201から第1ACポート101Aに入力される交流電力が電圧計130によって検出されたときに(
図4のS12にてYES)、充電器10AがDCコネクタ203を通じて蓄電装置303bと電気的に接続されていれば(
図4のS22にてYES)、制御装置150はACプラグ接続の状態で蓄電装置303bの充電を開始する(
図4のS23)。また、制御装置150は、上記の待機中にACインレット202から第2ACポート102Aを通じて所定の信号(たとえば、CPLT信号)を受信したときには(
図4のS13にてYES)、ACインレット接続の状態になるように切替装置120を制御し(
図4のS32)、充電器10AがDCコネクタ203を通じて蓄電装置303bと電気的に接続されていれば(
図4のS33にてYES)、ACインレット接続の状態で蓄電装置303bの充電を開始する(
図4のS34)。こうした構成によれば、交流電力が入力されるACポート(第1ACポート101A/第2ACポート102A)に応じて、適切な状態で蓄電装置303bの充電が開始される。
【0069】
充電器の筐体に、ACプラグ201のケーブル201aを収容する収容部(ケーブル収容部)が設けられてもよい。DCポートは、充電器に対してDCコネクタ203を着脱可能にするコネクタであってもよい。第2ACポートは、充電器に対してACインレット202を着脱可能にするコネクタであってもよい。
図5は、ケーブル収容部が設けられた筐体の一例を示す図である。
図5においては、筐体内におけるAC/DC変換回路110、切替装置120、電圧計130、及び制御装置150が省略されているが、この例においても、
図1に示した構成の回路が筐体内に設けられている。
【0070】
図5を参照して、充電器10Bの筐体100Bには、ACプラグ201のケーブル201aを収容する収容部810が設けられている。さらに、筐体100Bには、収容部810を開閉するリッド811が設けられている。リッド811は、開閉機構812(たとえば、ヒンジ)を介して筐体100Bと連結されることによって、筐体100Bに形成された収容部810を開閉可能に構成される。充電器10Bは、収容部810から出たACプラグ201のケーブル201aを収容部810に巻き取る巻取り装置201bを備える。
【0071】
巻取り装置201bは、ケーブル201aを巻き付け可能に構成されるケーブルリールと、収容部810から出たACプラグ201のケーブル201aを巻き取ってケーブルリールに巻き付けるアクチュエータと(いずれも図示せず)を含む。巻取り装置201bは、機械式の自動巻取り装置(たとえば、スプリング式ケーブルリール)であってもよい。スプリング式ケーブルリールは、ケーブルが引き出されたときにぜんまいばねが巻き締められるように構成され、ぜんまいばねの反発力を利用してケーブルを巻き取る。ぜんまいばねが、アクチュエータとして機能する。
【0072】
電力線PL11a,PL11bは、第1ACポート101B(配線孔)を通って、巻取り装置201bのケーブルリールに巻き付けられたケーブル201aにつながっている。さらに、電力線PL11a,PL11bは、ケーブル201aの内部を通って、ACプラグ201につながっている。
【0073】
第2ACポート102Bは、充電器10Bに対してACインレット202を着脱可能にするコネクタである。ACインレット202につながるケーブル202aの先端にはコネクタ202bが設けられており、ACインレット202につながるコネクタ202bが第2ACポート102Bに接続されている。
【0074】
DCポート103Bは、充電器10Bに対してDCコネクタ203を着脱可能にするコネクタである。DCコネクタ203につながるケーブル203aの先端にはコネクタ203bが設けられており、DCコネクタ203につながるコネクタ203bがDCポート103Bに接続されている。
【0075】
充電器10Bは、使用後において
図6に示す態様で保管されてもよい。
図6は、
図5に示した充電器10Bが保管されるときの一態様を示す図である。
図6を参照して、巻取り装置201bによりACプラグ201のケーブル201aを収容部810に巻き取って、リッド811を閉めてもよい。これにより、ACプラグ201及びケーブル201aが収容部810に収容される。ACインレット202につながるコネクタ202bは第2ACポート102Bから取り外されてもよい。DCコネクタ203につながるコネクタ203bはDCポート103Bから取り外されてもよい。充電器10Bは、
図6に示すような状態にすることで、持ち運びやすくなる。
【0076】
収容部810に代えて又は加えて、充電器の筐体に、ACプラグ201のケーブル201aを巻き付け可能な留め具を設けてもよい。
図7は、
図5に示した筐体の変形例を示す図である。
図7を参照して、充電器10Cの筐体100Cには、収容部810(
図5)の代わりに留め具821,822(たとえば、フック)が設けられている。留め具821,822は、筐体100Cの外壁に固定されている。ACプラグ201のケーブル201aを留め具821,822に巻き付けることで、ACプラグ201のケーブル201aを筐体100Cの外壁に保持させることができる。
【0077】
充電器10B及び10Cの各々は、DCポート103B(コネクタ)を通じて、規格が異なる複数種のDCコネクタ(たとえば、CHAdeMO、CCS(Combined Charging System)、GB/T、及びTeslaのDCコネクタ)に接続可能に構成されてもよい。充電器10B及び10Cの各々は、第2ACポート102B(コネクタ)を通じて、規格が異なる複数種のACインレット(たとえば、Type1(単相/三相)、Type2(単相/三相)、及びGB/TのACインレット)に接続可能に構成されてもよい。
【0078】
充電器10A~10Cのいずれかにおける第1ACポートが、当該充電器に対してACプラグ201を着脱可能にするコネクタであってもよい。また、当該充電器は、第1ACポート(コネクタ)を通じて、規格が異なる複数種のACプラグに接続可能に構成されてもよい。
【0079】
第2ACポート、DCポートにそれぞれACインレット、DCコネクタが設けられてもよい。
図8は、第2ACポート、DCポートにそれぞれACインレット、DCコネクタが設けられた例を示す図である。
図8には、ACプラグ201及びケーブル201aが示されていないが、ACプラグ201及びケーブル201aは、たとえば
図6に示した状態で収容部810に収容されている。また、この例においても、
図1に示した構成の回路が筐体内に設けられている。
【0080】
図8を参照して、充電器10Dは筐体100Dを備える。筐体100Dの第2ACポート102C、DCポート103CはそれぞれACインレット、DCコネクタとして機能する。すなわち、充電器10Dにおいては、第2ACポート102CとACインレットとが一体化するとともに、DCポート103CとDCコネクタとが一体化している。第2ACポート102Cは、EVSE302(
図1参照)のACコネクタ302aに接続可能に構成される。DCポート103Cは、車両303のDCインレット303a(
図1参照)に接続可能に構成される。
【0081】
筐体100Dは、第2ACポート102Cの周囲において突出するスカート部830を有する。第2ACポート102Cはスカート部830によって囲まれている。スカート部830は、雨、雪、及び風(ひいては、風で飛ばされた異物)などから第2ACポート102Cを保護するように作用する。
【0082】
上記実施の形態では、第1分岐点、第2分岐点に、それぞれC接点リレー121、C接点リレー122が設けられている。しかしこれに限られず、C接点リレーに代えてA接点リレーが採用されてもよい。
図9は、
図1に示した切替装置120の変形例を示す図である。
【0083】
図9を参照して、充電器10Eは、筐体100A内に切替装置120Aを備える。切替装置120Aは、電力線ごとに設けられたA接点リレー121a,122a,121b,122bを含む。A接点リレー121a,122a,121b,122bは、それぞれ電力線PL11a、PL11b、PL12a、PL12bに配置されている。A接点リレー121a,122a,121b,122bは、制御装置150Aによって制御される。制御装置150Aは、A接点リレー121a及び122aの各々を接続状態(閉状態)にするとともに、A接点リレー121b及び122bの各々を遮断状態(開状態)にすることで、切替装置120AをACプラグ接続の状態にすることができる。また、制御装置150Aは、A接点リレー121a及び122aの各々を遮断状態(開状態)にするとともに、A接点リレー121b及び122bの各々を接続状態(閉状態)にすることで、切替装置120AをACインレット接続の状態にすることができる。
【0084】
充電器が備えるACポートの数は、2つに限られず、3つ以上であってもよい。ACポートの数に応じて電力線を分岐させ、分岐した電力線ごとにA接点リレー(
図9参照)を設けてもよい。
【0085】
充電器の筐体内の回路構成は、
図1に示した回路構成に限られない。上記実施の形態において、電圧計130は、電力線PL11aと電力線PL11bとの間の電圧を検出するように構成されてもよい。また、切替装置120は、制御装置150からの指示がない状態(たとえば、非通電状態)においてACインレット接続の状態となってもよい。
図10は、
図1に示した回路構成の変形例を示す図である。
【0086】
図10を参照して、充電器10Fは、筐体100A内に切替装置120Bを備える。切替装置120Bは、C接点リレー121cとC接点リレー122cとを含む。C接点リレー121c及び122cの各々は、制御装置150Bによって制御される。C接点リレー121c及び122cは、制御装置150Bからの指示がない状態(たとえば、非通電状態)においてACインレット接続の状態となる。ACインレット接続においては、電力線PL12a、PL12bがそれぞれ電力線PL1a、PL1bに接続される。
【0087】
電圧計130は、電力線PL11aと電力線PL11bとの間の電圧を検出するように構成される。電圧計130の検出結果は、制御装置150Bへ出力される。
【0088】
図11は、
図4に示した処理の変形例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理が開始されるときには、制御装置150Bは停止状態になっており、
図11に示す処理が実行されることによって制御装置150Bが起動する。
図11に示す処理では、
図4に示した処理に対して、S24が追加され、S32(
図4)が割愛されている。また、S11(
図4)に代えてS11Aが採用されている。以下、S11A及びS24について説明する。
【0089】
図10とともに
図11を参照して、S11Aでは、充電器10FがACインレット接続の状態で待機する。ACインレット接続の状態は、AC/DC変換回路110に対して、第2ACポート102Aが接続、かつ、第1ACポート101Aが非接続とされた状態である。
【0090】
S24はS21とS22との間に設けられる。電圧計130が交流電力の入力を検出した場合(S12にてYES)には、制御装置150Bが起動し(S21)、起動した制御装置150Bは、S24において、ACインレット接続からACプラグ接続に切り替えるように切替装置120Bを制御する。ACプラグ接続の状態は、AC/DC変換回路110に対して、第1ACポート101Aが接続、かつ、第2ACポート102Aが非接続とされた状態である。その後、S23において、制御装置150Bが、ACプラグ接続の状態で蓄電装置303bの充電を開始する。
【0091】
一方、制御装置150BがCPLT信号を受信した場合(S13にてYES)には、切替装置120Bによる接続切替えは行なわれず、S34において、制御装置150Bが、ACインレット接続の状態で蓄電装置303bの充電を開始する。
【0092】
上記変形例に係る充電器10Fにおいても、交流電力が入力されるACポート(第1ACポート101A/第2ACポート102A)に応じて、適切な状態で蓄電装置303bの充電が開始される。
【0093】
蓄電装置を備える車両は、EV(電気自動車)に限られず、たとえばPHV(プラグインハイブリッド車両)であってもよい。また、充電器が適用される蓄電装置は、車両以外の乗り物(船、飛行機等)に搭載された蓄電装置であってもよいし、無人の移動体(無人搬送車(AGV)、農業機械、移動型ロボット、ドローン等)に搭載された蓄電装置であってもよいし、携帯機器(スマートフォン、ウェアラブルデバイス等)に搭載された蓄電装置であってもよいし、建物(住宅、工場等)に設置された蓄電装置であってもよい。
【0094】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0095】
10A~10F 充電器、100A~100D 筐体、101A,101B 第1ACポート、102A~102C 第2ACポート、103A~103C DCポート、104 吊り具、110 AC/DC変換回路、111 PFC回路、111a,113 整流回路、111b インバータ、112 絶縁回路、112a,112b コイル、120,120A,120B 切替装置、121,121c,122,122c C接点リレー、121a,121b,122a,122b A接点リレー、130 電圧計、150,150A,150B 制御装置、151 プロセッサ、152 RAM、153 記憶装置、154 通信I/F、201 ACプラグ、201a ケーブル、201b 巻取り装置、202 ACインレット、202a ケーブル、202b コネクタ、203 DCコネクタ、203a ケーブル、203b コネクタ、301 EVSE、301a ACコンセント、301b 留め具、302 EVSE、302a ACコネクタ、302b ACケーブル、302c 制御回路、303 車両、303a DCインレット、303b 蓄電装置、810 収容部、811 リッド、812 開閉機構、821,822 留め具、830 スカート部、PL1a,PL1b,PL2a,PL2b,PL11a,PL11b,PL12a,PL12b 電力線。