(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】開閉部材制御装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/41 20150101AFI20240806BHJP
B60J 1/17 20060101ALI20240806BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20240806BHJP
H02P 29/028 20160101ALI20240806BHJP
E05F 15/689 20150101ALI20240806BHJP
【FI】
E05F15/41
B60J1/17 A
B60J1/00 C
H02P29/028
E05F15/689
(21)【出願番号】P 2021007812
(22)【出願日】2021-01-21
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 啓太郎
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特許第3740951(JP,B2)
【文献】特許第4063094(JP,B2)
【文献】特許第4485782(JP,B2)
【文献】特許第6776921(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/40-15/79
B60J 1/17
B60J 1/00
H02P 29/028
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉部材(1)を開閉させるモータ(M)を制御するとともに、前記開閉部材を閉動作させる際に負荷情報を取得して当該負荷情報に基づき挟み込みが発生したか否かを判定する制御部(8)を備えた開閉部材制御装置(2)であって、
前記制御部は、
前記開閉部材を閉動作させる際に
、前記開閉部材が一定の移動速度で動作するように予め
設定され記憶した駆動電圧
であって且つ前記開閉部材の位置毎に対応した駆動電圧を前記モータに供給し、
取得した前記負荷情報が変動しても挟み込みが発生したと判定するまでは予め記憶した駆動電圧の供給を維持し、
前記負荷情報は、前記モータの回転速度、前記モータに流れる電流値、及び前記開閉部材の移動速度のいずれかである開閉部材制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、挟み込みが発生したと判定すると、前記開閉部材を開動作させる際の通常の駆動電圧よりも大きい駆動電圧を前記モータに供給して前記開閉部材を開動作させる請求項1に記載の開閉部材制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、取得した外気温度に基づいて前記モータに供給する駆動電圧を補正する請求項1または請求項2に記載の開閉部材制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記開閉部材の駆動時に取得した
前記負荷情報に基づいて、次回以降の駆動時に利用する駆動電圧を記憶する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の開閉部材制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、取得した外気温度に基づいて記憶する駆動電圧を補正する請求項4に記載の開閉部材制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記開閉部材を開動作させる際に巻き込みが発生したか否かを判定するとともに、前記開閉部材を開動作させる際に予め記憶した駆動電圧を前記モータに供給し、取得した
前記負荷情報が変動しても巻き込みが発生したと判定するまでは予め記憶した駆動電圧の供給を維持する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の開閉部材制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉部材制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パワーウィンドウ制御装置等の開閉部材制御装置としては、フィードバック制御によってモータに供給する駆動電圧を変化させることで開閉部材の駆動速度を一定の速度等の目標値に近付けるものがある(例えば、特許文献1参照)。また、このような開閉部材制御装置では、開閉部材を閉動作させる際に挟み込みが発生したか否かを判定し、挟み込みが発生したと判定すると、例えば、モータを反転駆動させて開閉部材を開動作させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような開閉部材制御装置においては、実際に挟み込まれていないのに挟み込みが発生したと判定される誤検出が生じないように、実際に挟み込みが始まってから挟み込みが発生したと判定されるまで間にある程度の時間が経過することになる。そして、上記のような開閉部材制御装置では、挟み込みが発生したと判定するまで間に負荷の増加による駆動速度の低下を打ち消すように駆動電圧を大きくしてしまい、挟み込みが発生したと判定した際の挟み込み荷重が増大してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、挟み込みが発生したと判定した際の挟み込み荷重を低減可能とした開閉部材制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する開閉部材制御装置(2)は、開閉部材(1)を開閉させるモータ(M)を制御するとともに、前記開閉部材を閉動作させる際に挟み込みが発生したか否かを判定する制御部(8)を備えた開閉部材制御装置(2)であって、前記制御部は、前記開閉部材を閉動作させる際に予め記憶した駆動電圧を前記モータに供給し、取得した負荷情報が変動しても挟み込みが発生したと判定するまでは予め記憶した駆動電圧の供給を維持する。
【0007】
同構成によれば、開閉部材を閉動作させる際、予め記憶された駆動電圧がモータに供給されるため、開閉部材の駆動速度は予め記憶された駆動電圧に基づいた速度となる。そして、取得した負荷情報が変動しても挟み込みが発生したと判定するまでは予め記憶した駆動電圧の供給が維持されるため、挟み込みが発生したと判定するまでの間に負荷の増加による駆動速度の低下を打ち消すように駆動電圧を大きくしてしまうことがない。よって、挟み込みが発生したと判定した際の挟み込み荷重を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態におけるパワーウィンドウ装置に関する模式回路図。
【
図2】一実施形態における制御部の駆動処理を説明するためのフロー図。
【
図3】一実施形態における制御部の記憶処理を説明するためのフロー図。
【
図4】一実施形態におけるモータの温度毎のトルクに対する回転速度の特性図。
【
図5】パワーウィンドウ装置の作用を説明するための波形図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、パワーウィンドウ制御装置の一実施形態を
図1~
図5に従って説明する。
図1に示すように、車両ドアDに設けられる開閉部材としてのウィンドウガラス1には図示しないレギュレータ等を介して開閉部材制御装置としてのパワーウィンドウ装置2におけるモータMが駆動連結されている。モータMは駆動することでウィンドウガラス1を開閉させる。
【0010】
パワーウィンドウ装置2は、モータMの回転速度を検出するホールIC等の回転検出センサ3を備える。また、パワーウィンドウ装置2は、前記回転検出センサ3からの信号、操作スイッチ4からの信号、温度センサ5からの信号、及びバッテリ6の電圧等に基づいて駆動回路7のデューティ比を制御して駆動電圧をモータMに供給する制御部8を備える。制御部8は、メモリ9を有し、ウィンドウガラス1の駆動時に取得した負荷情報に基づいて、ウィンドウガラス1の位置毎に対応した駆動電圧をメモリ9に記憶させ、該メモリ9が記憶した駆動電圧をモータMに供給して該モータMを制御する。すなわち、ウィンドウガラス1は、例えば、開閉範囲の位置毎に負荷が異なるため、モータMに一定の駆動電圧を供給しても駆動速度がばらつくことから、制御部8は、ウィンドウガラス1の位置毎に対応した駆動電圧をモータMに供給する。なお、ここで言う記憶した駆動電圧は、例えば9.0ボルト等の実際の電圧値に限らず、実際の電圧値と対応した数値である場合も含む。また、制御部8は、閉動作時の駆動電圧と開動作時の駆動電圧とをそれぞれメモリ9に記憶させる。また、本実施形態の制御部8は、例えばウィンドウガラス1が一定の駆動速度で動作するような駆動電圧をメモリ9に記憶させる。また、制御部8は、ウィンドウガラス1が全閉位置や全開位置に到達する際に緩やかな駆動速度で停止するような駆動電圧をメモリ9に記憶させていてもよい。
【0011】
また、制御部8は、ウィンドウガラス1を閉動作させる際に挟み込みが発生したか否かを判定する。具体的には、本実施形態の制御部8は、閉動作させる際、取得した負荷情報である回転検出センサ3からの信号に基づいて、例えば、モータMの回転速度が予め定めた閾値以下となったと判定すると、挟み込みが発生したと判定する。そして、制御部8は、挟み込みが発生したと判定すると、ウィンドウガラス1を開動作させる際の通常の駆動電圧よりも大きい駆動電圧をモータMに供給してウィンドウガラス1を開動作させる。なお、ここで言う開動作させる際の通常の駆動電圧とは、例えば、操作スイッチ4からの信号に基づいて開動作させる際の駆動電圧である。
【0012】
また、制御部8は、ウィンドウガラス1を開動作させる際に巻き込みが発生したか否かを判定する。具体的には、本実施形態の制御部8は、ウィンドウガラス1を開動作させる際、取得した負荷情報である回転検出センサ3からの信号に基づいて、例えば、モータMの回転速度が予め定めた閾値以下となったと判定すると、巻き込みが発生したと判定する。そして、制御部8は、巻き込みが発生したと判定すると、ウィンドウガラス1を閉動作させる際の通常の駆動電圧よりも大きい駆動電圧をモータMに供給してウィンドウガラス1を閉動作させる。なお、ここで言う閉動作させる際の通常の駆動電圧とは、例えば、操作スイッチ4からの信号に基づいて閉動作させる際の駆動電圧である。
【0013】
また、制御部8は、ウィンドウガラス1を閉動作させる際、取得した負荷情報、すなわち回転検出センサ3からの信号が変動しても挟み込みが発生したと判定するまでは予め記憶した駆動電圧の供給を維持する。
【0014】
また、制御部8は、ウィンドウガラス1を開動作させる際、取得した負荷情報、すなわち回転検出センサ3からの信号が変動しても巻き込みが発生したと判定するまでは予め記憶した駆動電圧の供給を維持する。
【0015】
また、制御部8は、ウィンドウガラス1の駆動時に取得した負荷情報、すなわち回転検出センサ3からの信号に基づいて、次回以降の駆動時に利用する駆動電圧をメモリ9に記憶する。具体的には、制御部8は、ウィンドウガラス1の駆動時に取得したモータMの回転速度が目標値に比べて大きい場合や小さい場合に、目標値に近づく駆動電圧をメモリ9に記憶する。なお、本実施形態における目標値は、一定の回転速度である。
【0016】
また、制御部8は、取得した外気温度に基づいて記憶する駆動電圧を補正する。具体的には、本実施形態の制御部8は、取得した外気温度である温度センサ5からの信号に基づいて、例えば、外気温度が基準温度に比べて高い場合や低い場合に、まず取得したモータMの回転速度を基準温度での回転速度に変換する。そして、制御部8は、変換した回転速度が目標値に比べて大きい場合や小さい場合、目標値に近づく駆動電圧をメモリ9に記憶させる。
【0017】
また、制御部8は、取得した外気温度に基づいてモータMに供給する駆動電圧を補正する。具体的には、本実施形態の制御部8は、取得した外気温度である温度センサ5からの信号に基づいて、例えば、外気温度が基準温度に比べて高い場合や低い場合に、モータMの回転速度が目標値に近づくようにモータMに供給する駆動電圧を補正する。
【0018】
例えば、
図4は、温度毎のトルクに対するモータMの回転速度の特性A1~A3を示しており、詳しくは基準温度である20℃の場合の特性A1と、80℃の場合の特性A2と、-30℃の場合の特性A3とを示す。制御部8は、取得した外気温度と
図4に示すような特性とに基づいて、上記したように記憶する駆動電圧、及び供給する駆動電圧を補正する。
【0019】
次に、上記したパワーウィンドウ装置2の具体的な動作を
図2及び
図3に従って説明する。
図2に示すように、制御部8は、ウィンドウガラス1を閉動作させるための操作スイッチ4の操作が行われると、ステップS1以下の駆動処理を行う。
【0020】
ステップS1において、制御部8は、予め記憶した駆動電圧をモータMに供給してステップS2に移行する。具体的には、制御部8は、ウィンドウガラス1の位置毎に対応した駆動電圧をメモリ9から読み出し、駆動回路7のデューティ比を制御してウィンドウガラス1の位置毎に対応した駆動電圧をモータMに供給する。なお、このとき、制御部8は、取得した外気温度が基準温度に比べて高い場合や低い場合、モータMに供給する駆動電圧を補正する。
【0021】
ステップS2において、制御部8は、挟み込みが発生したか否かを判定し、挟み込みが発生したと判定すると、ステップS3に移行する。
ステップS3において、制御部8は、ウィンドウガラス1を一定区間だけ開動作させるための駆動電圧をモータMに供給して処理を終了する。なお、このとき、制御部8は、ウィンドウガラス1を開動作させる際の通常の駆動電圧よりも大きい駆動電圧をモータMに供給してウィンドウガラス1を開動作させる。
【0022】
一方、ステップS2において、制御部8は、挟み込みが発生したか否かを判定し、挟み込みが発生していないと判定すると、ステップS4に移行する。
ステップS4において、制御部8は、停止条件を満たすか否かを判定し、停止条件を満たしていないと判定するとステップS1に移行し、停止条件を満たすと判定すると処理を終了する。なお、停止条件は、例えば、ウィンドウガラス1を停止させるための操作スイッチ4の操作が行われた際等に満たされる。
【0023】
図3に示すように、制御部8は、ウィンドウガラス1の閉動作時に、上記した駆動処理とは並列して、ステップS11以下の記憶処理を行う。
ステップS11において、制御部8は、ウィンドウガラス1の現在の位置を認識して、ステップS12に移行する。
【0024】
ステップS12において、制御部8は、ウィンドウガラス1の位置が予め設定された演算位置にあるか否かを判定し、演算位置にないと判定するとステップS11に移行し、演算位置にあると判定するとステップS13に移行する。なお、演算位置は、例えば、ウィンドウガラス1の移動範囲を多数に等間隔に分割した位置に設定されている。
【0025】
ステップS13において、制御部8は、ウィンドウガラス1の駆動時に取得したモータMの回転速度が目標値に比べて大きい場合や小さい場合、目標値に近づく駆動電圧を演算し、その駆動電圧をメモリ9に記憶して、ステップS11に移行する。なお、制御部8は、ウィンドウガラス1が停止するまで上記した記憶処理を繰り返し行い、ウィンドウガラス1が停止する際に記憶処理を終了する。
【0026】
次に、上記したパワーウィンドウ装置2の具体的な作用を
図5に従って説明する。
図5は、本実施形態のパワーウィンドウ装置2においてウィンドウガラス1を閉動作させている際の時間に対するモータMの回転速度B1、モータMに供給する駆動電圧C1、及び挟み込み荷重D1の波形を示す。また、
図5には、フィードバック制御を行う従来のパワーウィンドウ装置における時間に対するモータMの回転速度B2、モータMに供給する駆動電圧C2、及び挟み込み荷重D2の波形を示す。
【0027】
例えば、
図5に示すように、ウィンドウガラス1の閉動作時に異物が挟み込まれると、異物への挟み込み荷重D1が徐々に増加する。そして、本実施形態のパワーウィンドウ装置2では、取得した負荷情報が変動しても、すなわち回転速度B1が低下しても、挟み込みが発生したと判定されるまでは予め記憶した駆動電圧C1の供給が維持される。これに対して、フィードバック制御を行う従来のパワーウィンドウ装置では、回転速度B2が低下し始めると、その回転速度B2の低下を打ち消すように駆動電圧C2が大きくされる。これにより、フィードバック制御を行う従来のパワーウィンドウ装置では、挟み込みが発生したと判定した際の直後のタイミングT1での挟み込み荷重D2が増大してしまうが、本実施形態のパワーウィンドウ装置2では、挟み込み荷重D1が小さく抑えられる。
【0028】
なお、挟み込みが発生したと判定された後は駆動電圧C1が逆向きに供給されてウィンドウガラス1は開動作され、異物が挟み込まれた状態が解消されることになる。また、このとき、ウィンドウガラス1を開動作させる際の通常の駆動電圧よりも大きい駆動電圧がモータMに供給されてウィンドウガラス1が速やかに開動作される。
【0029】
また、ウィンドウガラス1の開動作時に異物が巻き込まれた際も上記した閉動作時と同様の動作が行われる。これにより、フィードバック制御を行う従来のパワーウィンドウ装置では、巻き込みが発生したと判定した際のタイミングでの巻き込み荷重が増大してしまうが、本実施形態のパワーウィンドウ装置2では、巻き込み荷重が小さく抑えられる。
【0030】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)ウィンドウガラス1を閉動作させる際、予め記憶された駆動電圧がモータMに供給されるため、ウィンドウガラス1の駆動速度は予め記憶された駆動電圧に基づいた速度となる。そして、取得した負荷情報が変動しても挟み込みが発生したと判定するまでは予め記憶した駆動電圧の供給が維持されるため、挟み込みが発生したと判定するまでの間に負荷の増加による駆動速度の低下を打ち消すように駆動電圧を大きくしてしまうことがない。よって、挟み込みが発生したと判定した際の挟み込み荷重を低減することができる。
【0031】
(2)挟み込みが発生したと判定されると、ウィンドウガラス1を開動作させる際の通常の駆動電圧よりも大きい駆動電圧がモータMに供給されてウィンドウガラス1が開動作される。よって、挟み込まれた状態が速やかに解消される。
【0032】
(3)取得した外気温度に基づいてモータMに供給される駆動電圧が補正されるため、外気温度によって変化してしまうウィンドウガラス1の駆動速度を目標値であって本実施形態では予め設定された一定の速度に近付けることができる。
【0033】
(4)ウィンドウガラス1の駆動時に取得した負荷情報である回転速度に基づいて、次回以降の駆動時に利用する駆動電圧が記憶されるため、例えば経年劣化等によって変化してしまうウィンドウガラス1の駆動速度を目標値に近付けることができる。なお、もちろん、記憶した駆動電圧は次回以降の駆動時に利用するため、挟み込みが発生したと判定するまで間に負荷の増加による駆動速度の低下を打ち消すように駆動電圧を大きくしてしまうことがない。よって、挟み込みが発生したと判定した際の挟み込み荷重を低減することができる。
【0034】
(5)取得した外気温度に基づいて記憶する駆動電圧が補正されるため、外気温度によって変化してしまうウィンドウガラス1の駆動速度を考慮に入れた駆動電圧を記憶することができる。
【0035】
(6)ウィンドウガラス1を開動作させる際、予め記憶された駆動電圧がモータMに供給されるため、ウィンドウガラス1の駆動速度は予め記憶された駆動電圧に基づいた速度となる。そして、取得した負荷情報が変動しても巻き込みが発生したと判定するまでは予め記憶した駆動電圧の供給が維持されるため、巻き込みが発生したと判定するまで間に負荷の増加による駆動速度の低下を打ち消すように駆動電圧を大きくしてしまうことがない。よって、巻き込みが発生したと判定した際の巻き込み荷重を低減することができる。
【0036】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、制御部8は、挟み込みが発生したと判定すると、ウィンドウガラス1を開動作させる際の通常の駆動電圧よりも大きい駆動電圧をモータMに供給するとしたが、これに限定されず、通常の駆動電圧をモータMに供給するようにしてもよい。また、上記実施形態では、制御部8は、巻き込みが発生したと判定すると、ウィンドウガラス1を閉動作させる際の通常の駆動電圧よりも大きい駆動電圧をモータMに供給するとしたが、これに限定されず、通常の駆動電圧をモータMに供給するようにしてもよい。
【0037】
・上記実施形態では、制御部8は、取得した外気温度に基づいてモータMに供給する駆動電圧を補正するとしたが、これに限定されず、外気温度に基づいてモータMに供給する駆動電圧を補正しない構成としてもよい。
【0038】
・上記実施形態では、制御部8は、ウィンドウガラス1の駆動時に取得した負荷情報に基づいて、次回以降の駆動時に利用する駆動電圧をメモリ9に記憶するとしたが、これに限定されず、例えば、一度記憶した駆動電圧を書き換えない構成としてもよい。また、上記実施形態では、特に言及していないが、制御部8は、次回以降の駆動時に利用する駆動電圧をメモリ9に記憶する際、それまで記憶していた駆動電圧をも考慮に入れつつ新たな駆動電圧を記憶するようにしてもよい。すなわち、制御部8は、ウィンドウガラス1の駆動時に取得した負荷情報に基づいて算出された駆動電圧と、それまで記憶していた駆動電圧とに基づいて、次回以降の駆動時に利用する位置に対応した駆動電圧をメモリ9に記憶するように補正してもよい。
【0039】
・上記実施形態では、制御部8は、取得した外気温度に基づいて記憶する駆動電圧を補正するとしたが、これに限定されず、外気温度に基づいて記憶する駆動電圧を補正しない構成としてもよい。
【0040】
・上記実施形態では、制御部8は、ウィンドウガラス1を開動作させる際、巻き込みが発生したと判定するまでは予め記憶した駆動電圧の供給を維持するとしたが、これに限定されず、巻き込みが発生したと判定する前に駆動電圧を変更する構成としてもよい。
【0041】
・上記実施形態では、負荷情報をホールIC等の回転検出センサ3からの信号とし、回転検出センサ3からの信号に基づいて、例えば挟み込みが発生したか否かを判定するとしたが、これに限定されず、負荷情報は他の信号を用いてもよい。例えば、モータMに流れる電流値を負荷情報としてもよいし、ウィンドウガラス1の移動速度を直接検出した情報を負荷情報としてもよい。
【0042】
・上記実施形態では、制御部8は、ウィンドウガラス1の位置毎に対応した駆動電圧をモータMに供給するとしたが、これに限定されず、ウィンドウガラス1の全ての位置で同じ駆動電圧をモータMに供給するようにしてもよい。
【0043】
・上記実施形態では、開閉部材がウィンドウガラス1であるパワーウィンドウ装置2に具体化したが、これに限定されず、他の開閉部材を開閉させる開閉部材制御装置に具体化してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…ウィンドウガラス(開閉部材)、2…パワーウィンドウ装置(開閉部材制御装置)、8…制御部、M…モータ。