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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】車両用機器制御装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/16 20110101AFI20240806BHJP
【FI】
A01M29/16
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021008055
(22)【出願日】2021-01-21
(65)【公開番号】P2022112287
(43)【公開日】2022-08-02
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 晋
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-143916(JP,A)
【文献】特開2015-119672(JP,A)
【文献】特開2016-140267(JP,A)
【文献】特開2016-086727(JP,A)
【文献】特開平07-059504(JP,A)
【文献】米国特許第05793706(US,A)
【文献】特開2014-177765(JP,A)
【文献】特開2013-106574(JP,A)
【文献】特開2014-117104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 - 99/00
B62D 25/10 - 25/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を走行駆動させるための動力源を収容する動力源ルーム内にて音を出力可能とするように構成される音出力部と、
前記音出力部から音を出力する音出力制御を実行可能に構成される制御部と
を備える車両用機器制御装置であって、
時刻を計測可能に構成される時計計測部と、
前記車両から切り離された端末機器の操作に基づいて前記車両の補機を制御するための補機制御指示、及び前記補機制御指示に基づく補機の制御を開始する制御開始時刻を有し、かつ前記端末機器から送信される遠隔操作指令を含む信号を受信可能に構成される受信部と
を備え、
前記制御部は、前記受信部により受信された前記信号における前記遠隔操作指令の補機制御指示に従って前記補機を制御する補機制御を実行可能とするように構成され、
前記制御部はまた、前記時計計測部により計測された時刻を基準として前記受信部により受信された前記信号における前記遠隔操作指令の制御開始時刻から所定の時間だけ前の制御前時刻にて前記音出力制御を開始するように構成されている、車両用機器制御装置。
【請求項2】
前記動力源ルーム内のルーム温度を検出可能に構成されるルーム温度検出部と、
前記車両の外気温度を検出可能に構成される外気温度検出部と
を備え、
前記制御部は、前記受信部が前記遠隔操作指令を含む前記信号を受信したタイミングにて、前記ルーム温度検出部により検出された前記ルーム温度の受信時検出値から、前記外気温度検出部により検出された外気温度の受信時検出値を引いた温度差の算出値が、所定の温度差閾値以上である場合に、前記制御前時刻にて前記音出力制御を開始するように構成されている、請求項1に記載の車両用機器制御装置。
【請求項3】
前記動力源ルーム内のルーム温度を検出可能に構成されるルーム温度検出部を備え、
前記制御部は、前記受信部が前記遠隔操作指令を含む前記信号を受信した受信タイミングにて前記ルーム温度検出部により検出された前記ルーム温度の受信時検出値から、前記制御前時刻にて前記ルーム温度検出部により検出された前記ルーム温度の制御直前検出値を引いた温度変化の算出値が、所定の温度変化閾値以下である場合に、前記制御前時刻にて前記音出力制御を開始するように構成されている、請求項1又は2に記載の車両用機器制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の動力源ルーム内にて音を出力可能とする音出力部と、この音出力部から音を出力する音出力制御を実行可能とする制御部とを有する車両用機器制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両においては、その動力源を収容する部屋(以下、必要に応じて「動力源ルーム」という)が設けられている。一般的に、動力源がエンジンである場合、動力源ルームはエンジンルームと呼ばれ、かつ動力源がモータである場合、動力源ルームはモータルームと呼ばれる。このような動力源ルームにおいては、動力源と、それ以外の補機との間に隙間が存在しており、この隙間に、猫、ネズミ、リス等のような小動物が侵入することがある。
【0003】
このように動力源ルームの隙間に小動物が侵入している状態で、動力源、補機等のような動力源ルーム内の機器の動作が開始されると、動作中の機器が小動物と接触するおそれがあり、このことは好ましくない。そのため、小動物を動力源ルームから追い出すための様々な車両用機器制御装置が提案されている。
【0004】
車両用機器制御装置の一例としては、車両のエンジンルーム内に設置され、かつ所定の周波数の音波を発生する音波発生器と、車両のドアの開閉を監視し、かつエンジン始動前にドアの開放を検知したときに音波発生器によってエンジンルーム内に所定の周波数の音波を放射する制御部とを有する車両の侵入動物追い払い装置が挙げられる。(例えば、特許文献1を参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-140267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、乗員がドアを開放してから、乗員が動力源、補機等のような動力源ルーム内の機器の動作開始を車室内で指示するまでの時間は短い傾向にある。この傾向によれば、上記車両用機器制御装置の一例のように、エンジン等のような動力源の始動前にドアの開放を検知したときに、音波発生器等のような音出力部によって音波を放射する構成においては、小動物を動力源ルームから車両の外部に追い出す前に、機器の動作が開始してしまうおそれがある。そのため、上記車両用機器制御装置の一例においては、依然として、動作中の動力源ルーム内の機器が小動物と接触することを回避できないおそれがある。
【0007】
このような実情を鑑みると、車両用機器制御装置においては、動力源ルーム内の機器の動作開始までに小動物を動力源ルームから確実に追い出すことが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
課題を解決するために、一態様に係る車両用機器制御装置は、車両を走行駆動させるための動力源を収容する動力源ルーム内にて音を出力可能とするように構成される音出力部と、前記音出力部から音を出力する音出力制御を実行可能に構成される制御部とを備える車両用機器制御装置であって、時刻を計測可能に構成される時計計測部と、前記車両から切り離された端末機器の操作に基づいて前記車両の補機を制御するための補機制御指示、及び前記補機制御指示に基づく補機の制御を開始する制御開始時刻を有し、かつ前記端末機器から送信される遠隔操作指令を含む信号を受信可能に構成される受信部とを備え、前記制御部は、前記受信部により受信された前記信号における前記遠隔操作指令の補機制御指示に従って前記補機を制御する補機制御を実行可能とするように構成され、前記制御部はまた、前記時計計測部により計測された時刻を基準として前記受信部により受信された前記信号における前記遠隔操作指令の制御開始時刻から所定の時間だけ前の制御前時刻にて前記音出力制御を開始するように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
一態様に係る車両用機器制御装置においては、動力源ルーム内の機器の動作開始までに小動物を動力源ルームから確実に追い出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係る車両用機器制御システムの構成図である。
図2図2は、一実施形態に係る車両用機器制御システムを含む車両前部のエンジンルームに猫が侵入した様子を、ボンネットの一部を省略しながら模式的に示す平面図である。
図3図3は、一実施形態において、車両用機器制御システムの制御方法の前半を説明するためのフローチャートである。
図4図4は、一実施形態において、車両用機器制御システムの制御方法の後半を説明するためのフローチャートである。
図5図5は、一実施形態に係る車両用機器制御装置の制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一実施形態に係る車両用機器制御システムについて説明する。車両用機器制御システムは、車両用機器制御装置を含む。以下においては、必要に応じて、車両用機器制御システムを単に「機器制御システム」といい、かつ車両用機器制御装置を単に「機器制御装置」という。
【0012】
車両用機器制御システムは、機器制御装置を搭載する車両と、機器制御装置の遠隔操作に用いられるサーバ及び端末機器とを含む。なお、車両は、エンジン、モータ等の動力源を収容する動力源ルームを有する自動車等となっている。、また、小動物は、猫、ネズミ、リス等のような動力源ルーム内に侵入可能な大きさの動物であるものとする。
【0013】
「車両用機器制御システムの概略」
図1及び図2を参照して、本実施形態に係る車両用機器制御システムの概略について説明する。すなわち、本実施形態に係る車両用機器制御システムは、概略的には次のように構成される。図1に示すように、車両用機器制御システムは、上述の如く車両10及び車両用機器制御装置20を含む。
【0014】
図1及び図2に示すように、車両10は、これを走行駆動させるための動力源11を有する。車両10はまた、動力源11を収容する動力源ルーム12を有する。本実施形態においては、動力源11はエンジン11となっており、この場合、動力源ルーム12はエンジンルーム12となる。しかしながら、動力源は、エンジン以外の動力源とすることもできる。例えば、動力源は、モータとすることができ、この場合、動力源ルームはモータルームとなる。
【0015】
図1に示すように、機器制御装置20は、エンジンルーム12内にて音を出力可能とするように構成される音出力部21を有する。機器制御装置20は、音出力部21から音を出力する音出力制御を実行可能に構成される制御部22を有する。機器制御装置20は、時刻を計測可能に構成される時計計測部23を有する。
【0016】
車両10は、エンジンルーム12内に配置される補機30を有する。また、機器制御システムは、車両10から切り離された端末機器40を有する。機器制御装置20は、端末機器40から送信される信号の遠隔操作指令を受信可能に構成される受信部24aを有する。遠隔操作指令は、端末機器40の操作に基づいて車両10の補機30を制御するための補機制御指示を含む。遠隔操作指令は、補機制御指示に基づく補機30の制御を開始する制御開始時刻を含む。
【0017】
制御部22は、受信部24aにより受信された信号における遠隔操作指令の補機制御指示に従って補機30を制御する補機制御を実行可能とするように構成されている。制御部22はまた、時計計測部23により計測された時刻を基準として受信部24aにより受信された信号における遠隔操作指令の制御開始時刻から所定の時間だけ前の制御前時刻にて音出力制御を開始するように構成されている。
【0018】
さらに、本実施形態に係る車両用機器制御システムは、概略的には次のように構成することができる。車両用機器制御装置20は、エンジンルーム12内のルーム温度を検出可能に構成されるルーム温度検出部25を有する。車両用機器制御装置20は、車両10の外気温度を検出可能に構成される外気温度検出部26を有する。
【0019】
制御部22は、受信部24aが遠隔操作指令を含む信号を受信したタイミングにて、ルーム温度検出部25により検出されたルーム温度の受信時検出値Aから、外気温度検出部26により検出された外気温度の受信時検出値Bを引いた温度差の算出値C(=A-B)が、所定の温度差閾値C1以上である場合に、制御前時刻にて音出力制御を開始するように構成されている。
【0020】
さらに、制御部22は、ルーム温度の受信時検出値Aから、制御前時刻にてルーム温度検出部25により検出されたルーム温度の制御直前検出値Dを引いた温度変化の算出値E(=A-D)が、所定の温度変化閾値E1以下である場合に、制御前時刻にて音出力制御を開始するように構成されている。
【0021】
「車両用機器制御システムの詳細」
図1を参照すると、本実施形態に係る車両用機器制御システムは、詳細には次のように構成することができる。車両用機器制御システムは、端末機器40から送信された遠隔操作指令を受信し、かつ受信した信号の遠隔操作指令を車両10の機器制御装置20に信号として送信できるように構成されるサーバ50を有する。
【0022】
言い換えれば、機器制御システムにおいては、端末機器40から送信された信号の遠隔操作指令が、サーバ50を経由して車両10の機器制御装置20に信号として送られるようになっている。端末機器40及びサーバ50間の通信、並びにサーバ50及び機器制御装置20間の通信は、無線通信となっている。
【0023】
「車両の詳細」
図1を参照すると、車両10は、詳細には次のように構成することができる。車両10は空調装置13を有する。空調装置13は、車室(図示せず)内の温度及び湿度を調節可能とし、かつ車室内に向けて送風可能に構成されている。車両10の補機30は、空調装置13のコンプレッサ31、コンデンサ32、レシーバ33、及びエバポレータ34を含む。コンプレッサ31、コンデンサ32、レシーバ33、及びエバポレータ34は、エンジンルーム12内に配置される。
【0024】
車両10の補機30はまた、オイルポンプ35、ウォーターポンプ36、発電機37、噴射ポンプ38、及びパワーステアリングポンプ39を含む。オイルポンプ35、ウォーターポンプ36、発電機37、噴射ポンプ38、及びパワーステアリングポンプ39もまた、エンジンルーム12内に配置される。
【0025】
「車両用機器制御装置の詳細」
図1及び図2を参照すると、車両用機器制御装置20は、詳細には次のように構成することができる。図1及び図2に示すように、車両用機器制御装置20において、音出部21はスピーカとなっている。図2に示すように、音出力部21及びルーム温度検出部25は、小動物Pが侵入し易いエンジンルーム12の車両上下方向の上方領域に配置することができる。しかしながら、音出力部及びルーム温度検出部の少なくとも一方を、エンジンルームの車両上下方向の下方領域に配置することもできる。
【0026】
図1に示すように、機器制御装置20は、外部との通信を可能とするように構成される通信部24を含む。通信部24は、上記受信部24aと、各種指令等の各種情報を含む信号を送信可能とするように構成される送信部24bとを含む。なお、受信部24aもまた、各種指令等の各種情報を含む信号を受信可能とする。機器制御装置20は、制御部22の演算処理の結果を記憶可能に構成される記憶部27を有する。
【0027】
制御部22は、CPU(中央処理演算装置)とすることができる。記憶部27は、RAM(Random Access Memory)とすることができる。機器制御装置20においては、制御部22が、エンジン11、空調装置13、及び音出力部21に電気的に接続されている。
【0028】
制御部22は、受信部24aが遠隔操作指令を含む信号を受信したか否かを判定する受信判定を実行可能とする。記憶部27は、遠隔操作指令に含まれる制御開始時刻を記憶可能とする。制御部22は、時計計測部23により計測された時刻を取得する時刻取得を実行可能とする。制御部22は、時刻取得にて計測された時刻を基準として、記憶部27にて記憶された制御開始時刻から所定の時間だけ前の制御前時刻を演算する時刻演算を実行可能とする。記憶部27は、時刻演算にて演算された制御前時刻を記憶可能とする。
【0029】
制御部22は、受信部24aが遠隔操作指令を含む信号を受信したタイミングにて、ルーム温度検出部25により検出されたルーム温度の受信時検出値Aを取得する第1ルーム温度取得を実行可能とする。記憶部27は、第1ルーム温度取得にて取得されたルーム温度の受信時検出値Aを記憶可能とする。制御部22は、受信部24aが遠隔操作指令を含む信号を受信したタイミングにて、外気温度検出部26により検出された外気温度の受信時検出値Bを取得する外気温度取得を実行可能とする。記憶部27は、外気温度取得にて取得された外気温度の受信時検出値Bを記憶可能とする。
【0030】
制御部22は、記憶部27にて記憶されたルーム温度の受信時検出値Aから同外気温度の受信時検出値Bを引いた温度差を算出する温度差算出を実行可能とする。記憶部27は、温度差算出にて算出された温度差の算出値C(=A-B)を記憶可能とする。制御部22は、記憶部27にて記憶された温度差の算出値Cが所定の温度差閾値C1以上であるか否かを判定する温度差判定を実行可能とする。
【0031】
制御部22は、記憶部27にて記憶された制御前時刻にてルーム温度検出部25により検出されたルーム温度の制御直前検出値Dを取得する第2ルーム温度取得を実行可能とする。記憶部27は、第2ルーム温度取得にて取得されたルーム温度の制御直前検出値Dを記憶可能とする。
【0032】
制御部22は、記憶部27にて記憶されたルーム温度の受信時検出値Aから、記憶部27にて記憶されたルーム温度の制御直前検出値Dを引いた温度変化を算出する温度変化算出を実行可能とする。記憶部27は、温度変化算出にて記憶された温度変化の算出値E(=A-D)を記憶可能とする。制御部22は、記憶部27にて記憶された温度変化の算出値Eが所定の温度変化閾値E1以下であるかを判定する温度変化判定を実行可能とする。
【0033】
制御部22は、時計計測部23により計測された現在時刻が、記憶部27にて記憶された制御前時刻に至ったか否かを判定する第1時刻判定を実行可能とする。制御部22は、時計計測部23により計測された現在時刻が、記憶部27にて記憶された制御開始時刻に至ったか否かを判定する第2時刻判定を実行可能とする。
【0034】
制御部22は、所定の条件が満たされた場合に、音出力制御を終了させることができる。制御部22は、所定の条件が満たされた場合に、車室内の空調を調節するように空調装置13を制御する空調制御を開始する。また、制御部は、所定の条件が満たされた場合に、空調制御を終了することができる。送信部24bは、空調制御の開始情報又は終了情報を含む信号を送信することができる。
【0035】
「端末機器の詳細」
図1を参照すると、端末機器40は、詳細には次のように構成することができる。端末機器40は、ユーザが遠隔操作指令の補機操作指示及び制御開始時刻を入力可能とするように構成される入力部41を有する。端末機器40は、外部との通信を可能とするように構成される通信部42を有する。
【0036】
通信部42は、各種指令等の各種情報を含む信号を送信可能とするように構成される送信部42aを有する。送信部42aは、入力部41にて入力された補機操作指示及び制御開始時刻を有する遠隔操作指令を含む信号を、後述するサーバ50の受信部51に向けて送信可能に構成される。
【0037】
通信部42はまた、各種指令等の各種情報を含む信号を受信可能とするように構成される受信部42bを有する。受信部42bはまた、後述するサーバ50の送信部51bから送信された信号を受信可能とするように構成される。サーバ50の送信部51bから送信された信号は、空調制御の開始情報又は終了情報を含む。
【0038】
通信部42は、受信部42bにより受信した信号に含まれる各種情報を出力可能に構成される出力部43を有する。出力部43は、音声出力及び表示出力の少なくとも一方を実施可能に構成される。出力部43は、受信部42bにより受信した信号に含まれる空調制御の開始情報又は終了情報を出力することができる。
【0039】
また、出力部43は、表示出力を実施可能とする場合、入力部41と組み合わされたタッチパネルとすることができる。端末機器40は、上記信号の生成等のために各種演算処理を可能とする制御部44を有する。制御部44は、受信部42bが空調制御の開始情報又は終了情報を含む信号を受信したか否かを判定する受信判定を実行可能とする。
【0040】
端末機器40は、スマートフォンとすることができる。しかしながら、端末機器は、スマートフォンに限定されない。例えば、端末機器は、ウェアラブルコンピュータ、モバイルコンピュータ等とすることもできる。
【0041】
「サーバの詳細」
図1を参照すると、サーバ50は、詳細には次のように構成することができる。サーバ50は、外部との通信を可能とするように構成される通信部51を有する。通信部51は、各種指令等の各種情報を含む信号を受信可能とするように構成される受信部51aを有する。
【0042】
受信部51aは、端末機器40の送信部42aから送信された信号を受信可能とするように構成される。端末機器40の送信部42aから送信された信号は、遠隔操作指令を含む。受信部51aはまた、機器制御装置20の送信部24bから送信された信号を受信可能とするように構成される。機器制御装置20の送信部24bから送信された信号は、空調制御の開始情報又は終了情報を含む。
【0043】
サーバ50は、信号の生成等のために各種演算処理を可能とする制御部52を有する。制御部52は、受信部51aが遠隔操作指令を含む信号を受信したか否かを判定する受信判定を実行可能とする。制御部52はまた、受信部51aが空調制御の開始情報又は終了情報を含む信号を受信したか否かを判定する受信判定を実行可能とする。
【0044】
通信部51は、各種指令等の各種情報を含む信号を送信可能とするように構成される送信部51bを有する。送信部51bは、上記遠隔操作指令を含む信号を機器制御装置20の受信部24aに送信可能とするように構成される。送信部51bは、空調制御の開始情報又は終了情報を含む信号を端末機器40の受信部42bに送信可能とするように構成される。
【0045】
「車両用機器制御システムの制御方法」
図3図5を参照して、本実施形態に係る車両用機器制御システムの制御方法について説明する。図3に示すように、最初に、端末機器40において、入力部41に、遠隔操作指令の補機操作指示及び制御開始時刻を入力する(ステップS11)。入力部41にて入力された遠隔操作指令を含む信号を、サーバ50の受信部51bに向けて送信する(ステップS12)。
【0046】
図4に示すように、端末機器40の受信部42bが空調制御の開始情報を含む信号を受信したか否かを判定する(ステップS13)。受信部42bが空調制御の開始情報を含む信号を受信していない場合(NO)、このステップS13を再度実行する。受信部42bが空調制御の開始情報を含む信号を受信した場合(YES)、端末機器40の出力部43が、空調制御の開始情報を出力する(ステップS14)。
【0047】
さらに、端末機器40の受信部42bが空調制御の終了情報を含む信号を受信したか否かを判定する(ステップS15)。受信部42bが空調制御の開始情報を含む信号を受信していない場合(NO)、このステップS15を再度実行する。受信部42bが空調制御の開始情報を含む信号を受信した場合(YES)、端末機器40の出力部43が、空調制御の終了情報を出力する(ステップS16)。
【0048】
図3に示すように、サーバ50において、受信部51aが遠隔操作指令を含む信号を受信したか否かを判定する(ステップS21)。受信部51aが遠隔操作指令を含む信号を受信しない場合(NO)、このステップS21を再度実行する。受信部51aが遠隔操作指令を含む信号を受信した場合(YES)、遠隔操作指令を含む信号を、機器制御装置20の受信部24aに送信する(ステップS22)。
【0049】
図4に示すように、サーバ50の受信部51aが空調制御の開始情報を含む信号を受信したか否かを判定する(ステップS23)。受信部51aが空調制御の開始情報を含む信号を受信していない場合(NO)、このステップS23を再度実行する。受信部51aが空調制御の開始情報を含む信号を受信した場合(YES)、サーバ50の送信部51bが、空調制御の開始情報を含む信号を端末機器40の受信部42bに送信する(ステップS24)。
【0050】
さらに、サーバ50の受信部51aが空調制御の終了情報を含む信号を受信したか否かを判定する(ステップS25)。受信部51aが空調制御の開始情報を含む信号を受信していない場合(NO)、このステップS24を再度実行する。受信部51aが空調制御の開始情報を含む信号を受信した場合(YES)、サーバ50の送信部51bが、空調制御の終了情報を含む信号を端末機器40の受信部42bに送信する(ステップS26)。
【0051】
図3及び図5に示すように、車両用機器制御装置20において、受信部24aが遠隔操作指令を含む信号を受信したか否かを判定する(ステップS31)。受信部24aが遠隔操作指令を含む信号を受信しない場合(NO)、ステップ31を再び実行する。図5に示すように、受信部24aが遠隔操作指令を含む信号を受信した場合(YES)、このタイミングにて、ルーム温度検出部25により検出されたルーム温度の受信時検出値Aを取得する(ステップS32)。さらに、同じタイミングにて、外気温度検出部26により検出された外気温度の受信時検出値Bを取得する(ステップS33)。
【0052】
ルーム温度の受信時検出値Aから外気温度の受信時検出値Bを引いた温度差を算出する(ステップS34)。温度差の算出値Cが所定の温度差閾値C1以上であるか否かを判定する(ステップS35)。温度差の算出値Cが所定の温度差閾値C1以上である場合(YES)、現在時刻が、制御開始時刻から所定の時間だけ前の制御前時刻に至ったか否かを判定する(ステップS36)。現在時刻が制御前時刻に至っていない場合(NO)、ステップ36を再び実行する。現在時刻が制御前時刻に至った場合(YES)、音出力部21から音を出力する音出力制御を開始する(ステップS37)。
【0053】
現在時刻が制御開始時刻に至ったか否かを判定する(ステップS38)。現在時刻が制御開始時刻に至っていない場合(NO)、ステップS38を再び実行する。現在時刻が制御開始時刻に至った場合(YES)、音出力制御を終了する(ステップS39)。図3及び図5に示すように、空調制御を開始する(ステップS40)。図4及び図5に示すように、空調制御の開始情報を含む信号を、サーバ50の受信部51aに送信する(ステップ41)。その後、所定の条件が満たされたならば、空調制御を終了する(ステップ42)。空調制御の終了情報を含む信号を、サーバ50の受信部51aに送信する(ステップ43)。
【0054】
図5に示すように、ステップS34にて、温度差の算出値Cが所定の温度差閾値C1未満である場合(NO)、現在時刻が、制御開始時刻から所定の時間だけ前の制御前時刻に至ったか否かを判定する(ステップS44)。現在時刻が制御前時刻に至っていない場合(NO)、ステップ44を再び実行する。現在時刻が制御前時刻に至った場合(YES)、ルーム温度検出部25により検出されたルーム温度の制御直前検出値Dを取得する(ステップS45)。ルーム温度の受信時検出値Aからルーム温度の制御直前検出値Dを引いた温度変化を算出する(ステップS46)。温度変化の算出値E(=A-D)が温度変化閾値E1以下であるか否かを判定する(ステップS47)。
【0055】
温度変化の算出値Eが温度変化閾値E1以下である場合(YES)、音出力制御を開始すべくステップS37に移行する。温度変化の算出値Eが温度変化閾値E1よりも大きい場合(NO)、現在時刻が制御開始時刻に至ったか否かを判定する(ステップS48)。現在時刻が制御開始時刻に至っていない場合(NO)、ステップS48を再び実行する。現在時刻が制御開始時刻に至った場合(YES)、空調制御を開始すべくステップS40に移行する。
【0056】
以上、本実施形態に係る車両用機器制御装置20は、車両10を走行駆動させるための動力源11を収容する動力源ルーム12内にて音を出力可能とするように構成される音出力部21と、前記音出力部21から音を出力する音出力制御を実行可能に構成される制御部22とを備える車両用機器制御装置20であって、時刻を計測可能に構成される時計計測部23と、前記車両10から切り離された端末機器40の操作に基づいて前記車両10の補機30を制御するための補機制御指示、及び前記補機制御指示に基づく補機30の制御を開始する制御開始時刻を有し、かつ前記端末機器40から送信される遠隔操作指令を含む信号を受信可能に構成される受信部24aとを備え、前記制御部22は、前記受信部22により受信された前記信号における前記遠隔操作指令の補機制御指示に従って前記補機30を制御する補機制御を実行可能とするように構成され、前記制御部22はまた、前記時計計測部23により計測された時刻を基準として前記受信部24aにより受信された前記信号における前記遠隔操作指令の制御開始時刻から所定の時間だけ前の制御前時刻にて前記音出力制御を開始するように構成されている。
【0057】
このような機器制御装置20においては、上記制御前時刻にて音出力部21から音を出力してから、制御開始時刻にて補機30の制御を開始するまでの時間が十分に確保できる。そのため、猫、ネズミ、リス等の小動物Pが動力源ルーム12内に侵入した場合において、音出力部21から音を出力してから補機30の制御を開始するまでの間に、小動物Pを動力源ルーム12から確実に追い出すことができる。すなわち、動力源ルーム12内の機器の動作開始までに小動物Pを動力源ルーム12から確実に追い出すことができる。
【0058】
本実施形態に係る車両用機器制御装置20は、前記動力源ルーム12内のルーム温度を検出可能に構成されるルーム温度検出部25と、前記車両10の外気温度を検出可能に構成される外気温度検出部26とを備え、前記制御部22は、前記受信部24aが前記遠隔操作指令を含む前記信号を受信したタイミングにて、前記ルーム温度検出部25により検出された前記ルーム温度の受信時検出値Aから、前記外気温度検出部26により検出された外気温度の受信時検出値Bを引いた温度差の算出値C(=A-B)が、所定の温度差閾値C1以上である場合に、前記制御前時刻にて前記音出力制御を開始するように構成されている。
【0059】
ここで、一般的に、小動物が寒いと感じるように外気温度が低く、かつ小動物が温かいと感じるように動力源ルーム内のルーム温度がこの外気温度よりも高い場合、小動物が動力源ルーム内に侵入している可能性が高くなる。その一方で、小動物が寒暖差を感じないように外気温度と動力源ルーム内のルーム温度との温度差が小さい場合は、小動物が動力源ルーム内に侵入している可能性は低くなる。また、小動物を動力源ルームから追い出すことができるに設定される音の出力頻度が増加することは好ましくない。
【0060】
本実施形態に係る車両用機器制御装置20においては、これらの可能性を勘案して温度差閾値C1を設定した上で、受信部24aが遠隔操作指令を含む信号を受信したタイミングにて、ルーム温度の受信時検出値Aから外気温度の受信時検出値Bを引いた温度差の算出値Cが温度差閾値C1以上である場合に、制御前時刻にて音出力制御を開始することができる。そのため、小動物Pが動力源ルーム12内に侵入している可能性が高い場合にのみ、音出力部21から音を出力することができる。よって、不必要な音の出力を抑制しながら、動力源ルーム12内の機器の動作開始までに小動物Pを動力源ルーム12から確実に追い出すことができる。
【0061】
本実施形態に係る車両用機器制御装置20は、前記動力源ルーム12内のルーム温度を検出可能に構成されるルーム温度検出部25を備え、前記制御部22は、前記受信部24aが前記遠隔操作指令を含む前記信号を受信した受信タイミングにて前記ルーム温度検出部25により検出された前記ルーム温度の受信時検出値Aから、前記制御前時刻にて前記ルーム温度検出部25により検出された前記ルーム温度の制御直前検出値Dを引いた温度変化の算出値E(=A-D)が、所定の温度変化閾値E1以下である場合に、前記制御前時刻にて前記音出力制御を開始するように構成されている。
【0062】
このような機器制御装置20において、ルーム温度の受信時検出値Aからルーム温度の制御直前検出値Dを引いた温度変化の算出値Eが小さい場合は、小動物Pが温かいと感じるように動力源ルーム12内のルーム温度が高い状態が維持されている可能性が高いか、又は受信タイミングから制御前時刻までの時間が短い可能性が高い。この場合、小動物Pが動力源ルーム12内に侵入している可能性は高くなる。その一方で、温度変化の算出値Eが大きい場合は、制御前時刻にて、小動物Pが寒いと感じるように動力源ルーム12内のルーム温度が低下している可能性が高いか、又は受信タイミングから制御前時刻までの時間が長い可能性が高い。この場合、小動物Pが動力源ルーム12内に侵入している可能性は低くなる。また、小動物Pを動力源ルーム12から追い出すことができるに設定される音の出力頻度が増加することは好ましくない。
【0063】
本実施形態に係る車両用機器制御装置20においては、これらの可能性を勘案して温度変化閾値E1を設定した上で、温度変化の算出値Eが温度変化閾値E1以下である場合に、制御前時刻にて音出力制御を開始できる。そのため、小動物Pが動力源ルーム12内に侵入している可能性が高い場合にのみ、音出力部21から音を出力することができる。よって、不必要な音の出力を抑制しながら、動力源ルーム12内の機器の動作開始までに小動物Pを動力源ルーム12から確実に追い出すことができる。
【0064】
ここまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、その技術的思想に基づいて変形及び変更可能である。
【符号の説明】
【0065】
10…車両、11…動力源、エンジン、12…動力源ルーム、エンジンルーム
20…車両用機器制御装置(機器制御装置)、21…音出力部、22…制御部、23…時計計測部、24a…受信部、25…ルーム温度検出部、26…外気温度検出部
30…補機
40…端末機器
A…ルーム温度の受信時検出値、B…外気温度の受信時検出値、C…温度差の算出値、C1…温度差閾値、D…ルーム温度の制御直前検出値、E…温度変化の算出値、E1…温度変化閾値
図1
図2
図3
図4
図5