(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B25J 5/00 20060101AFI20240806BHJP
B25J 13/06 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B25J5/00 A
B25J13/06
(21)【出願番号】P 2021015541
(22)【出願日】2021-02-03
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】立澤 茂
(72)【発明者】
【氏名】川畑 尚也
(72)【発明者】
【氏名】菅田 悠平
(72)【発明者】
【氏名】山崎 正人
(72)【発明者】
【氏名】功刀 聡彦
【審査官】樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-056661(JP,A)
【文献】特表2018-504305(JP,A)
【文献】特開2002-254360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 5/00
B25J 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メカナムホイールを含む移動機構を有し、直進方向、及び前記直進方向と直交する平行方向に並進移動が可能な移動体と、
前記移動体から第1方向に延在するブームと、
前記ブームに対して前記第1方向と直交する第2方向に存在する搬送物を搬送し、前記ブームの先端側に設けられた
、可動部を有さず剛直な部材で構成される搬送機構と、
を備え、
前記搬送機構は、
前記第1方向に前記移動体が移動する場合に前記搬送物に当接する第1領域と、
前記第1領域よりも前記第1方向側に設けられ、前記第1方向と反対の第3方向に前記移動体が移動する場合に前記搬送物に当接する第2領域と、
前記第1領域及び前記第2領域の間に設けられ、前記第2方向に前記移動体が移動する場合に前記搬送物に当接する第3領域と、
を含む、搬送装置。
【請求項2】
前記第1領域及び前記第2領域は、前記ブームに対して前記第2方向、及び前記第2方向と反対の第4方向の双方にそれぞれ突出する、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記搬送機構は、
前記搬送物が載置された地面に平行な平面上において前記ブームに沿って延在する直線に対して線対称の平面形状を有する、請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記移動体は、周囲の環境を撮像する撮像装置を備え、
前記撮像装置にて撮像された画像に基づいて、前記移動体を俯瞰する俯瞰画像が生成される、請求項1~
3のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記移動体は、ユーザによって遠隔操作され、
前記ユーザには、前記移動体の前記直進方向と反対側から前記移動体を俯瞰した前記俯瞰画像が提示される、請求項
4に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ロボット技術の進歩に伴って、自律的に又は遠隔操作にて動作するロボットに重量物を搬送させることが検討されている。このようなロボットでは、搬送する重量物の特性、及び搬送経路の特性に応じて、車輪、脚、脚車輪、又はクローラなどの多様な移動機構が用いられる。
【0003】
例えば、下記の非特許文献1には、4輪のメカナムホイールによって任意の方向に並進移動することが可能な移動機構が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Airtrax,“Designer of the incredible SIDEWINDER Omn-Directional Lift Truck”,[online],[令和2年12月21日検索]、インターネット〈URL:http://www.airtrax.com/〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このようなロボットを用いた搬送装置では、搬送物を保持する機構について十分な検討がなされていなかった。例えば、搬送物を保持する機構としてクレーン又はロボットアームなどの可動部が多い複雑な機構を用いる場合、搬送装置による搬送の信頼性が低下するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、搬送の信頼性をより高めることが可能な、新規かつ改良された搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、メカナムホイールを含む移動機構を有し、直進方向、及び前記直進方向と直交する平行方向に並進移動が可能な移動体と、前記移動体から第1方向に延在するブームと、前記ブームに対して前記第1方向と直交する第2方向に存在する搬送物を搬送し、前記ブームの先端側に設けられた、可動部を有さず剛直な材料で構成される搬送機構と、を備え、前記搬送機構は、前記第1方向に前記移動体が移動する場合に前記搬送物に当接する第1領域と、前記第1領域よりも前記第1方向側に設けられ、前記第1方向と反対の第3方向に前記移動体が移動する場合に前記搬送物に当接する第2領域と、前記第1領域及び前記第2領域の間に設けられ、前記第2方向に前記移動体が移動する場合に前記搬送物に当接する第3領域と、を含む、搬送装置が提供される。
【0008】
前記第1領域及び前記第2領域は、前記ブームに対して前記第2方向、及び前記第2方向と反対の第4方向の双方にそれぞれ突出してもよい。
【0009】
前記搬送機構は、前記搬送物が載置された地面に平行な平面上において前記ブームに沿って延在する直線に対して線対称の平面形状を有してもよい。
【0011】
前記移動体は、周囲の環境を撮像する撮像装置を備え、前記撮像装置にて撮像された画像に基づいて、前記移動体を俯瞰する俯瞰画像が生成されてもよい。
【0012】
前記移動体は、ユーザによって遠隔操作され、前記ユーザには、前記移動体の前記直進方向と反対側から前記移動体を俯瞰した前記俯瞰画像が提示されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、搬送装置における搬送の信頼性をより高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る搬送装置の外観を示す模式的な斜視図である。
【
図2】撮像装置の各々で撮像された画像から生成される俯瞰画像の一例を示す図である。
【
図3】撮像装置の各々で撮像された画像から生成される俯瞰画像の他の例を示す図である。
【
図4】搬送機構の形状の一例を模式的に示す図である。
【
図5】第1の変形例に係る搬送機構の形状を模式的に示す図である。
【
図6】第2の変形例に係る搬送機構の形状を模式的に示す図である。
【
図7】同実施形態に係る搬送装置の使用例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
<1.搬送装置の構成>
まず、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る搬送装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る搬送装置の外観を示す模式的な斜視図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る搬送装置1は、ロードコーン(パイロンとも称される)などの地面に載置された搬送物2を押したり引いたりすることで搬送する搬送装置である。搬送装置1は、移動体10と、ブーム20と、搬送機構30と、を備える。搬送装置1は、例えば、ユーザからの遠隔操作によって動作を制御される。
【0018】
(移動体10)
移動体10は、移動体本体11と、撮像装置15と、移動機構13と、を備える。
【0019】
移動体本体11は、例えば、制御装置、電源装置、及び通信装置などを含む移動体10の主要部である。制御装置、電源装置、及び通信装置は、例えば、直方体形状の筐体の内部に格納される。
【0020】
制御装置は、演算処理装置として機能し、各種プログラムに従って移動体10の動作全般を制御する。制御装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びマイクロプロセッサ等にて構成されてもよい。また、制御装置は、プログラム及び演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)と、適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)とをさらに含んでもよい。
【0021】
電源装置は、例えば、電力を蓄積可能な二次電池、又は電力を生成可能な発電機で構成され、移動体10の各部に電力を供給する。電源装置は、例えば、リチウムイオン二次電池などの充放電可能な二次電池にて構成されてもよい。
【0022】
通信装置は、移動体10と外部装置との間でデータ等を送受信するための通信インタフェースである。通信装置は、無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)などの有線通信又は無線通信を行う通信インタフェースであってもよい。移動体10は、通信装置を介して、撮像装置15にて撮像した画像データを外部に送信したり、移動体10を遠隔操作する指令データを受信したりすることができる。
【0023】
撮像装置15は、移動体10の周囲の環境を撮像するカメラである。具体的には、撮像装置15は、移動体本体11の直方体形状の筐体の各側面にそれぞれ設けられ、移動体本体11の各方向の環境を撮像してもよい。
【0024】
例えば、撮像装置15は、魚眼レンズを備えるカメラであってもよい。このような場合、撮像装置15は、移動体10の周囲のより広い範囲の環境を超広角で撮像することができるため、移動体本体11の各側面に設けられた撮像装置15によって移動体10の周囲ほぼ全周に相当する環境を撮像することが可能となる。
【0025】
また、移動体本体11の各側面に設けられた撮像装置15で撮像された画像は、互いに隙間なくつなぎ合わせられることで、移動体10の周囲を上空から俯瞰したような俯瞰画像を生成することができる。移動体10を遠隔操作するユーザは、このような俯瞰画像を視認することで、より効率的に移動体10を操作することができる。
【0026】
なお、移動体本体11の各側面に設けられた撮像装置15にて撮像された画像には移動体10が映り込まない。そのため、上記の俯瞰画像では、移動体10は、俯瞰画像の中心に仮想的な画像(いわゆるアバター)として配置される。
【0027】
ここで、
図2及び
図3を参照して、撮像装置15の各々で撮像された画像から生成される俯瞰画像についてより具体的に説明する。
図2は、撮像装置15の各々で撮像された画像から生成される俯瞰画像の一例を示す図である。
図3は、撮像装置15の各々で撮像された画像から生成される俯瞰画像の他の例を示す図である。
【0028】
例えば、撮像装置15の各々で撮像された超広角の画像は、移動体10を中心とするボウル形状(いわゆるお椀形状)に互いに隙間なくつなぎ合わせられることで、移動体10の周囲を上空から任意の視点で俯瞰するような俯瞰画像を生成することができる。このような俯瞰画像では、画像の中心に移動体10の画像を仮想的に配置することで、移動体10と移動体10の周囲の環境とを任意の第三者視点から同時に視認させることができる。したがって、移動体10を遠隔操作するユーザは、このような俯瞰画像を視認することで、より高い臨場感を持って移動体10を遠隔操作することができる。
【0029】
図2に示すように、例えば、撮像装置15の各々で撮像された超広角の画像は、移動体10の直進方向と反対側に視点を設定することで、移動体10を後方上空から俯瞰する俯瞰画像100を生成することが可能である。移動体10を遠隔操作するユーザは、俯瞰画像100を視認することで、移動体10の直進方向の環境、及び直進方向と直交する平行方向の環境を立体的に視認することができる。よって、移動体10を遠隔操作するユーザは、より高い臨場感を持って移動体10を移動させることができる。
【0030】
また、撮像装置15の各々で撮像された超広角の画像は、移動体10を中心として平面的に互いに隙間なくつなぎ合わせられることで、移動体10の周囲を真上から平面的に俯瞰するような俯瞰画像を生成することができる。このような俯瞰画像では、画像の中心に移動体10の画像を仮想的に配置することで、移動体10と移動体10の周囲の全方位の環境とを同時に視認させることができる。したがって、移動体10を遠隔操作するユーザは、このような俯瞰画像を視認することで、移動体10をより効率的に遠隔操作することができる。
【0031】
図3に示すように、例えば、撮像装置15の各々で撮像された超広角の画像は、移動体10、及び移動体10の周囲の環境を真上から平面的に俯瞰する俯瞰画像110を生成することが可能である。移動体10を遠隔操作するユーザは、俯瞰画像110を視認することで、移動体10の全方位の環境を平面的に視認することができる。よって、移動体10を遠隔操作するユーザは、障害物に接触しないように移動体10を移動させることがより容易になる。
【0032】
移動機構13は、直進方向、及び直進方向と直交する平行方向に並進移動が可能な移動機構である。具体的には、移動機構13は、移動体本体11の底面の矩形形状の各頂点にそれぞれ設けられた4輪のメカナムホイールを含む移動機構であってもよい。メカナムホイールとは、例えば、本体車輪の円周上に、回転軸が本体車輪の円周方向に対して45°傾いた樽型ローラを全周に亘って取り付けたホイールである。4輪のメカナムホイールを含む移動機構は、メカナムホイールの本体車輪の主動回転と、円周上に取り付けられた樽型ローラの従動回転とによって平面上の任意方向へ並進移動することができる。
【0033】
移動機構13は、直進方向、及び直進方向と直交する平行方向に並進移動が可能であれば、上記メカナムホイールを含む移動機構に限定されない。例えば、移動機構13は、地面と平行な三角形の各頂点にそれぞれ設けられた3輪のオムニホイール、又は地面と平行な四角形の各頂点にそれぞれ設けられた4輪のオムニホイールを含む移動機構であってもよい。オムニホイールとは、例えば、本体車輪の円周上に、回転軸が本体車輪の円周方向を向いた複数のローラを全周に亘って取り付けたホイールである。3輪又は4輪のオムニホイールを含む移動機構は、本体車輪の主動回転と、円周上に取り付けられたローラの従動回転とによって平面上の任意方向へ並進移動することができる。
【0034】
(ブーム20)
ブーム20は、移動体10から突出する構造部材である。ブーム20の先端側には、搬送物2を保持可能な搬送機構30が設けられる。ブーム20は、搬送機構30を移動体10に固定する機能を備えていれば、材質又は形状を限定されるものではない。例えば、ブーム20は、エンジニアリングプラスチック又は金属等の剛直な材料で構成されてもよく、実質的に移動体10と一体の部材として構成されてもよい。
【0035】
(搬送機構30)
搬送機構30は、搬送物2を構造的に保持する機構である。具体的には、搬送機構30は、搬送物2が載置された地面に平行な一平面上にて搬送物2の周囲3方向に沿った平面形状を有してもよい。搬送機構30は、該平面形状の内部に搬送物2を包含することによって搬送物2を保持することができる。したがって、搬送機構30は、移動体10の並進移動に伴って、搬送機構30の内部に保持された搬送物2を搬送機構30で押して又は引いて移動させることができる。搬送機構30は、例えば、ブーム20と同様に、エンジニアリングプラスチック又は金属等の剛直な材料で構成されてもよい。
【0036】
<2.搬送機構の構成>
次に、
図4を参照して、搬送機構30の具体的な形状についてより詳細に説明する。
図4は、搬送機構30の形状の一例を模式的に示す図である。
【0037】
図4に示すように、搬送機構30は、移動体10から第1方向(
図4に正対して上方向)に延在するブーム20の先端側に設けられる。搬送機構30は、第1領域31と、第2領域32と、第3領域33と、を含み、第1領域31、第2領域32、及び第3領域33にてブーム20の第1方向と直交する第2方向(
図4に正対して右方向)に存在する搬送物2を保持することができる。
【0038】
第1領域31は、搬送機構30のうち、第1方向に移動体10が移動する場合に搬送物2に当接する領域である。例えば、第1領域31は、ブーム20の第1方向の端部から少なくとも第2方向に延在する直線部を含む領域である。
【0039】
第2領域32は、搬送機構30のうち、第1方向と反対の第3方向(
図4に正対して下方向)に移動体10が移動する場合に搬送物2に当接する領域である。例えば、第2領域32は、ブーム20の第1方向の端部の延長線上から少なくとも第2方向に延在する直線部を含む領域である。
【0040】
第3領域33は、搬送機構30のうち、第2方向に移動体10が移動する場合に搬送物2に当接する領域である。第3領域33は、ブーム20の第1方向の端部に設けられた第1領域31と、第1領域31よりも第1方向側に設けられた第2領域32との間に設けられ、第1領域31及び第2領域32を互いに接続する直線部を含む領域である。
【0041】
なお、搬送機構30は、ブーム20の第2方向側に替えて、第2方向と反対の第4方向(
図4に正対して左方向)側に設けられてもよい。すなわち、搬送機構30は、ブーム20の第1方向の端部から第4方向に延在する第1領域31と、ブーム20の第1方向の端部の延長線上から第4方向に延在する第2領域32と、第1領域31と第2領域32との間に設けられた第3領域33と、を含んでもよい。これによれば、搬送機構30は、ブーム20の第4方向に存在する搬送物2を保持することが可能である。
【0042】
また、搬送機構30は、ブーム20に沿って延在する直線に対して線対称の平面形状で設けられてもよい。例えば、搬送機構30は、ブーム20の第1方向の端部から第2方向及び第4方向の双方に延在する第1領域31と、ブーム20の第1方向の端部の延長線上から第2方向及び第4方向の双方に延在する第2領域32と、ブーム20の第1方向の端部の延長線上で第1領域31と第2領域32とを接続する第3領域33と、を含んでもよい。すなわち、搬送機構30は、第2方向及び第4方向を上下方向とした場合に、アルファベットの「H」と同様の平面形状で設けられてもよい。このような場合、搬送機構30は、ブーム20の第2方向に存在する搬送物2に加えて、ブーム20の第4方向に存在する搬送物2をも同様に保持することができる。
【0043】
続いて、
図5及び
図6を参照して、搬送機構30が採り得る他の形状について説明する。
図5は、第1の変形例に係る搬送機構30Aの形状を模式的に示す図である。
図6は、第2の変形例に係る搬送機構30Bの形状を模式的に示す図である。
【0044】
図5に示すように、第1の変形例に係る搬送機構30Aは、ブーム20の第1方向の端部から少なくとも第2方向側に形成されたアルファベットの「C」のような円弧状の平面形状で設けられてもよい。
【0045】
具体的には、搬送機構30Aは、移動体10から第1方向に延在するブーム20の先端側に設けられ、第1領域31Aと、第2領域32Aと、第3領域33Aと、を含む。搬送機構30Aは、第1領域31A、第2領域32A、及び第3領域33Aにてブーム20の第2方向に存在する搬送物2を保持することができる。
【0046】
第1領域31Aは、円弧形状の搬送機構30Aのうち、第3方向側の端部を含む領域である。第1領域31Aは、第1方向に移動体10が移動する場合に、
図5に正対して6時方向の当接点p1にて搬送物2と当接することができる。
【0047】
第2領域32Aは、円弧形状の搬送機構30Aのうち、第1方向側の端部を含む領域である。第2領域32Aは、第3方向に移動体10が移動する場合に、
図5に正対して12時方向の当接点p2にて搬送物2と当接することができる。
【0048】
第3領域33Aは、円弧形状の搬送機構30Aのうち、第1領域31A及び第2領域32Aの間に設けられ、第1領域31A及び第2領域32Aを互いに接続する領域である。第3領域33Aは、第2方向に移動体10が移動する場合に、
図5に正対して9時方向の当接点p3にて搬送物2に当接することができる。
【0049】
なお、搬送機構30Aは、ブーム20の第2方向側に替えて、第2方向と反対の第4方向(
図5に正対して左方向)側に設けられてもよい。すなわち、搬送機構30Aは、ブーム20の第1方向の端部から第4方向側に形成されたアルファベットの「C」を反転させた円弧状の平面形状で設けられてもよい。これによれば、搬送機構30は、ブーム20の第4方向に存在する搬送物2を保持することが可能である。
【0050】
また、搬送機構30Aは、ブーム20に沿って延在する直線に対して線対称の平面形状で設けられてもよい。すなわち、搬送機構30Aは、ブーム20の第1方向の端部から第2方向側に形成されたアルファベットの「C」のような円弧形状と、第4方向側に形成されたアルファベットの「C」を反転させた円弧形状とを含む平面形状にて設けられてもよい。このような場合、搬送機構30は、ブーム20の第2方向に存在する搬送物2に加えて、ブーム20の第4方向に存在する搬送物2をも同様に保持することができる。
【0051】
図6に示すように、第2の変形例に係る搬送機構30Bは、ブーム20の第1方向の端部から少なくとも第2方向側に形成された、互いに向かい合う方向に先端が曲がった2本の鉤形状を含む平面形状であってもよい。
【0052】
具体的には、搬送機構30Bは、移動体10から第1方向に延在するブーム20の先端側に設けられ、第1領域31Bと、第2領域32Bと、第3領域33Bと、を含む。搬送機構30Bは、第1領域31B、第2領域32B、及び第3領域33Bにてブーム20の第2方向に存在する搬送物2を保持することができる。
【0053】
第1領域31Bは、搬送機構30Bのうち、第3方向側に突出した鉤形状の曲げられた端部を含む領域である。第1領域31Bは、第1方向に移動体10が移動する場合に、
図6に正対して5時方向及び7時方向の当接点q1にて搬送物2と当接することができる。
【0054】
第2領域32Bは、搬送機構30Bのうち、第1方向側に突出した鉤形状の曲げられた端部を含む領域である。第2領域32Bは、第3方向に移動体10が移動する場合に、
図6に正対して11時方向及び1時方向の当接点q2にて搬送物2と当接することができる。
【0055】
第3領域33Bは、搬送機構30Bのうち、第1領域31B及び第2領域32Bの間に設けられ、第1領域31B及び第2領域32Bを互いに接続する領域である。具体的には、第3領域33Bは、互いに向かい合う方向に先端が曲がった2本の鉤形状の根本側の端部を含む領域である。第3領域33Bは、第2方向に移動体10が移動する場合に、
図6に正対して8時方向及び11方向の当接点q3にて搬送物2に当接することができる。
【0056】
なお、搬送機構30Bは、ブーム20の第2方向側に替えて、第2方向と反対の第4方向(
図6に正対して左方向)側に設けられてもよい。すなわち、搬送機構30Bは、ブーム20の第1方向の端部から第4方向側に形成された、互いに向かい合う方向に先端が曲がった2本の鉤形状を含む平面形状にて設けられてもよい。これによれば、搬送機構30Bは、ブーム20の第4方向に存在する搬送物2を保持することが可能である。
【0057】
また、搬送機構30Bは、ブーム20に沿って延在する直線に対して線対称の平面形状で設けられてもよい。すなわち、搬送機構30Bは、ブーム20の第1方向の端部から第2方向側に形成された2本の鉤形状と、第4方向側に形成された2本の鉤形状とを含む平面形状にて設けられてもよい。このような場合、搬送機構30は、ブーム20の第2方向に存在する搬送物2に加えて、ブーム20の第4方向に存在する搬送物2をも同様に保持することができる。
【0058】
<3.作用効果>
本実施形態に係る搬送装置1は、直進方向、及び直進方向と直交する平行方向に並進移動が可能な移動体10と、可動部を有さず剛直な材料で構成された搬送機構30とを備える。これによれば、搬送装置1は、より単純な構造の搬送機構30にて搬送物2を搬送することができるため、搬送の信頼性をより向上させることができる。また、搬送装置1は、ほぼ全方向に並進移動が可能であるため、搬送物2をより効率的に所望の位置に搬送することができる。
【0059】
また、本実施形態に係る搬送装置1では、移動体10に搭載された撮像装置15にて撮像された画像を用いて、搬送装置1を含む周囲環境を上空から俯瞰する俯瞰画像を生成することができる。これによれば、生成された俯瞰画像を視認したユーザは、搬送物2と搬送装置1との位置関係及び距離感をより確実に把握することができるため、搬送装置1をより的確に遠隔操作することができる。また、生成された俯瞰画像を視認したユーザは、搬送装置1の周囲環境をより高い臨場感を持って視認することができるため、搬送装置1をより高い操作性で遠隔操作することができる。
【0060】
さらに、搬送装置1を含む周囲環境を上空から俯瞰する俯瞰画像では、搬送装置1の周囲に死角が発生しにくいため、生成された俯瞰画像を視認したユーザは、搬送装置1の周囲環境の状況をより効率的に把握することが可能である。
【0061】
<4.使用例>
さらに、
図7を参照して、本実施形態に係る搬送装置1の使用例について説明する。
図7は、本実施形態に係る搬送装置1の使用例を説明する図である。
【0062】
図7に示すように、搬送装置1は、高速道路200における車線規制の際に、走行領域210と規制領域220とを区分けするロードコーン(パイロンとも称される)等の規制材5の搬送に用いられてもよい。規制領域220は、例えば、高速道路200における工事、又は事故等の後処理などのために車両3の走行が規制された領域であり、走行領域210は、車両3の走行が許可された領域である。
【0063】
走行領域210では車両3が高速度で走行するため、走行領域210と規制領域220との間に規制材5を配置する場合、搬送装置1は、走行領域210になるべく入り込まずに規制材5を搬送することが望ましい。本実施形態に係る搬送装置1は、移動体10から延在する搬送機構30で規制材5を搬送することができる。したがって、搬送装置1は、規制材5を搬送する際に搬送機構30のみが走行領域210に入り込むことになるため、搬送装置1と車両3との接触の可能性を抑制することができる。
【0064】
本実施形態に係る搬送装置1は、ほぼ全方向への並進移動が可能であるため、例えば、4輪のステアリング駆動を行う移動機構を備える搬送装置と比較して、より効率的な経路にて規制材5を所望の位置に搬送することが可能である。
【0065】
また、本実施形態に係る搬送装置1では、搬送装置1に搭載された撮像装置15の各々で撮像された画像を用いて、搬送装置1を含む周囲環境を上空から俯瞰する俯瞰画像を生成することができる。これによれば、搬送装置1を遠隔操作するユーザは、搬送装置1を含む周囲環境を俯瞰する俯瞰画像を視認することで、搬送対象である規制材5と搬送装置1との位置関係及び距離感をより確実に把握することができる。したがって、搬送装置1を遠隔操作するユーザは、より高い操作性にて搬送装置1を遠隔操作することができる。
【0066】
さらに、搬送装置1を遠隔操作するユーザは、搬送装置1を含む周囲環境を俯瞰する俯瞰画像を視認することで、搬送装置1の向きを変更せずとも搬送装置1の周囲環境に存在する規制材5の状態を確認することができる。したがって、搬送装置1を遠隔操作するユーザは、搬送した規制材5の状態をより効率的に監視することが可能である。
【0067】
なお、上記実施形態では、搬送装置1は、ユーザに遠隔操作されるものとして説明したが、本発明は上記例示に限定されない。搬送装置1は、搬送装置1内の制御装置、又は遠隔地に配置された遠隔制御装置の指示に基づいて自律動作するものであってもよい。このような場合、撮像装置15が撮像した周囲の環境情報は、制御装置又は遠隔制御装置における操作に利用されることが可能である。
【0068】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0069】
1 搬送装置
2 搬送物
10 移動体
11 移動体本体
13 移動機構
15 撮像装置
20 ブーム
30,30A,30B 搬送機構
31,31A,31B 第1領域
32,32A,32B 第2領域
33,33A,33B 第3領域
100,110 俯瞰画像
3 車両
5 規制材
200 高速道路
210 走行領域
220 規制領域