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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】X線透視撮影装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/40 20240101AFI20240806BHJP
   A61B 6/42 20240101ALI20240806BHJP
   A61B 6/46 20240101ALI20240806BHJP
【FI】
A61B6/40 500D
A61B6/42 500X
A61B6/46 502
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021018945
(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公開番号】P2022121942
(43)【公開日】2022-08-22
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】吉田 光毅
(72)【発明者】
【氏名】田中 文哲
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 隆介
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-237678(JP,A)
【文献】特開2015-084937(JP,A)
【文献】特開2012-155779(JP,A)
【文献】特開2016-007422(JP,A)
【文献】特開2002-238888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体にX線を照射するX線管と、
前記X線管と対向して配置され、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記X線管と前記X線検出器とを対向させて支持し、直交する2軸それぞれの軸周りに回動可能な支持機構と、
前記支持機構の位置に関する情報を位置情報として検出する回動位置検出部と、
複数の位置情報を前記支持機構が当該位置へ回動する順番の情報と対応付けてシーケンス情報として記憶させる記憶部と、
前記シーケンス情報に含まれる前記位置情報を、前記支持機構が回動する順番に並列表示する位置情報表示部と、
前記X線管がX線を照射する度に、前記シーケンス情報に含まれる前記位置情報のうち次に前記X線の照射を行う前記支持機構の位置である目的位置に対応する前記位置情報が、前記位置情報表示部のうち予め定められた固定の領域に表示されるように前記位置情報表示部を制御する表示制御部と、
を備えるX線透視撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線透視撮影装置において、
前記固定の領域は、前記位置情報表示部の中央領域であるX線透視撮影装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のX線透視撮影装置において、
前記表示制御部は、
前記固定の領域に表示される前記目的位置に対応する前記位置情報に対して、現時点における前記目的位置の次に前記支持機構が回動して前記X線の照射を行う位置に対応する前記位置情報が隣接して表示されるように前記位置情報表示部を制御するX線透視撮影装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のX線透視撮影装置において、
前記表示制御部は、
前記目的位置の直近に前記支持機構が回動して前記X線の照射を行った位置に対応する前記位置情報と、現時点における前記支持機構の前記目的位置に対応する前記位置情報と、現時点における前記目的位置の次に支持機構が回動してX線の照射を行う位置に対応する前記位置情報とが順に隣接して表示されるように前記位置情報表示部を制御するX線透視撮影装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のX線透視撮影装置において、
前記シーケンス情報に含まれる複数の前記位置情報のうち、現時点における前記支持機構の前記目的位置に対応する位置情報を含む所定数の前記位置情報を選択する位置情報選択部を備え、
前記表示制御部は、前記位置情報選択部によって選択された所定数の前記位置情報を前記位置情報表示部に表示させるX線透視撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線管とX線検出器とを対向させて支持した状態で、被検体の体軸方向および体軸周りに回動させて、X線透視またはX線撮影を多方向から行うX線透視撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場では、一例として心血管系を例とする循環器領域に対して検査またはカテーテル手技を用いた術式などを行う場合、X線透視またはX線撮影を行うX線透視撮影装置が不可欠なものとなっている。当該術式において、被検体の循環器領域に対して任意の方向からX線を照射して透視撮影を行う。透視撮影によって取得されたX線画像データを参照しながら操作者は検査または術式を行う。
【0003】
X線透視撮影装置は、被検体を載置する天板、X線管およびX線検出器からなる撮像系、撮像系を支持するC型のアーム(Cアーム)などを備えている。X線管およびX線検出器はCアームの一端および他端に設けられており、X線管およびX線検出器が被検体を挟んで対向配置されるようにCアームが配設されている。Cアームは、被検体の体軸方向および体軸周り方向(以下、「回動方向」と称する)へ所定の回動角度で回動可能に構成される。Cアームを任意の回動位置(任意の回動方向および回動角度)へ回動させることにより、被検体に対して任意の方向からX線を照射してX線像を取得できる。
【0004】
循環器に対して検査または術式などを行う場合、複数の方向から目的の部位を撮影して診断するので複数の回動位置へCアームを順次回動させる操作を行う必要がある。当該操作の全てを手動で行うと操作者の負担が増大するので、近年ではCアームを回動させる位置と当該位置へ回動させる順番とを予め設定するシーケンスモード機能(順序動作モード機能)を有するX線透視撮影装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
シーケンスモードを実行する場合、操作者は検査を行う前に予め複数の回動位置の情報を登録するとともに、当該回動位置へ移動する順番の情報とを設定する。当該設定操作により、複数の回動位置情報と当該回動位置へ回動する順番の情報と関連付けられた情報であるシーケンス情報がメモリに記憶される。
【0006】
そして検査を行う段階においてシーケンス情報をメモリから読み出し、リスト化されたシーケンス情報をモニタに表示させる。操作者はモニタに表示されたシーケンス情報を参照しつつ、シーケンス情報に沿ってCアームを回動させる動作を開始させる指示を行う。当該指示を行うことにより、Cアームはシーケンス情報に設定されている複数の回動位置へと順番に回動し、各々の回動位置においてX線管から被検体に対してX線が照射される。
【0007】
すなわち、所定の回動位置においてX線を照射した後、次にX線の照射を行うためにCアームが回動する回動位置(目的回動位置)へとCアームは回動する。そして目的回動位置へCアームが移動すると、操作者の指示によりX線管からX線が照射される。このように、予め定められた回動順序に沿って目的回動位置への回動と当該目的回動位置におけるX線照射とを繰り返すシーケンスモード機能により、複数の回動位置へと自動的にCアームを回動させつつ各回動位置におけるX線像を取得できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2000-197621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
【0010】
従来の構成において、シーケンスモード機能の実行中においてモニタに表示されるシーケンス情報は、Cアームの回動位置情報を示す項目が回動する順番に並んだ状態となっている。すなわち、シーケンス情報に含まれている回動位置情報の各々がモニタに一覧表示されている。そしてこの場合、操作者はリスト化されている全ての回動位置の中から、現時点における目的回動位置に相当する回動位置の情報を特定する必要がある。そのため、操作者はモニタに表示されている回動位置情報の全てに対して視線を向ける必要があるので、現時点におけるCアームの目的回動位置を把握することが困難となる。
【0011】
現時点におけるCアームの目的回動位置の情報を把握しやすくする構成として、全ての回動位置情報のうち現時点における目的回動位置情報のみを他の項目と異なる態様で強調表示させる構成が考えられる。一例として、現時点の目的回動位置情報を表示する領域のみを異なる色で表示する構成が挙げられる。しかし、当該構成では操作者はモニタ全体に視線を動かしつつ、異なる態様で表示されている回動位置情報を全ての回動位置情報の中から探し出す必要がある。よって、現時点における目的回動位置情報を異なる態様で表示する構成であっても、現時点における目的回動位置情報を把握することによって疲労が蓄積するという問題を解決することは困難である。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、シーケンスモード機能を用いてCアームを連続的に回動させる操作をより容易に実行できるX線透視撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち本発明に係るX線透視撮影装置は、被検体にX線を照射するX線管と、前記X線管と対向して配置され、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線管と前記X線検出器とを対向させて支持し、直交する2軸それぞれの軸周りに回動可能な支持機構と、前記支持機構の位置に関する情報を位置情報として検出する回動位置検出部と、複数の位置情報を前記支持機構が当該位置へ回動する順番の情報と対応付けてシーケンス情報として記憶させる記憶部と、前記シーケンス情報に含まれる前記位置情報を、前記支持機構が回動する順番に並列表示する位置情報表示部と、前記X線管がX線を照射する度に、前記シーケンス情報に含まれる前記位置情報のうち次に前記X線の照射を行う前記支持機構の位置である目的位置に対応する前記位置情報が、前記位置情報表示部のうち予め定められた固定の領域に表示されるように前記位置情報表示部を制御する表示制御部と、を備えるものである。
【0014】
当該構成において、記憶部は支持機構の位置に関する位置情報を当該位置へ回動する順番の情報と対応付けてシーケンス情報として記憶する。位置情報表示部は、シーケンス情報に含まれる位置情報の各々を、支持機構が回動する順番に並列表示する。位置情報表示部が位置情報の各々を表示する際に、次に前記X線の照射を行う前記支持機構の位置である目的位置に対応する位置情報が位置情報表示部のうち予め定められた固定の領域に表示されるように、表示制御部は位置情報表示部を制御する。
【0015】
次に前記X線の照射を行う支持機構の位置である目的位置に対応する位置情報が常に固定の領域に表示されることにより、操作者は位置情報表示部のうち当該固定の領域へ視線を向けることによって、現時点における目的位置の位置情報を確実に把握することができる。よって、シーケンス情報に含まれる位置情報が位置情報表示部に多数並列表示されている場合であっても、操作者は多数の位置情報の中から目的位置の位置情報を容易かつ迅速に探し出すことができる。また、シーケンスモードが進行することで支持機構の目的位置が順に変更される場合であっても、操作者は固定の領域から視線を動かす事なく、順に変更される支持機構の目的位置の情報を確認できる。よって、シーケンスモード機能の実行中において、視線を絶えず動かすことに起因する操作者の疲労の蓄積を防止できる。
【0016】
また、上述した発明において、前記固定の領域は、前記位置情報表示部の中央領域であることが好ましい。
【0017】
[作用・効果]本発明に係るX線透視撮影装置によれば、操作者は位置情報表示部の中央領域に視線を向けることによって、支持機構の目的位置の情報を確実に確認できる。位置情報表示部の中央領域は視認が比較的容易な領域であるので、現時点における支持機構の目的位置の情報が表示される領域を中央領域に固定させることによって、操作者はより容易に支持機構の目的位置の情報を把握できる。
【0018】
また、上述した発明において、前記表示制御部は、前記固定の領域に表示される前記目的位置に対応する前記位置情報に対して、現時点における前記目的位置の次に前記支持機構が回動して前記X線の照射を行う位置に対応する前記位置情報が隣接して表示されるように前記位置情報表示部を制御することが好ましい。
【0019】
[作用・効果]本発明に係るX線透視撮影装置によれば、現時点における支持機構の目的位置に対応する位置情報が位置情報表示部における固定の領域に表示されるとともに、次に支持機構が回動する位置に対応する位置情報が隣接して表示される。この場合、操作者は固定の領域からわずかに視線を動かすことによって、現時点における支持機構の目的位置に加えて、支持機構が次に回動してX線の照射が行われる位置すなわち次に目的位置となる位置の情報を把握できる。そのため、操作者は次に目的位置となる位置の情報を迅速に把握し、現時点における目的位置から次に目的位置となる位置へ回動する支持機構の軌跡と支持機構が回動するタイミングとを予測しながら検査または術式を適切に進めることができる。
【0020】
また、上述した発明において、前記表示制御部は、直近に前記支持機構が回動して前記X線の照射を行った位置に対応する前記位置情報と、現時点における前記支持機構の前記目的位置に対応する前記位置情報と、現時点における前記目的位置の次に前記支持機構が回動して前記X線の照射を行う位置に対応する前記位置情報とが順に隣接して表示されるように前記位置情報表示部を制御することが好ましい。
【0021】
[作用・効果]本発明に係るX線透視撮影装置によれば、直近に支持機構が回動してX線の照射を行った位置に対応する位置情報と、固定の領域に表示される目的位置に対応する位置情報と、現時点における目的位置の次に支持機構が回動してX線の照射を行う位置の情報とが順に隣接するように表示される。
【0022】
直近に支持機構が回動してX線の照射を行った位置の情報すなわち直近に目的位置であった位置の情報は、シーケンスモードの実行中において現時点における目的位置の情報および次に目的位置となる位置の情報と並んで重要性が高い情報である。そして、これら3つの位置情報を隣接表示させることにより、操作者は固定の領域からわずかに視線を動かすことによって3つの位置情報を把握できる。すなわち、操作者は疲労することなく支持機構が直近から直後にわたって回動する軌跡を把握できる。従って、操作者は支持機構の回動軌跡および回動タイミングをより精度よく予測できるので、検査または術式をより適切に進めることができる。
【0023】
また、上述した発明において、前記シーケンス情報に含まれる複数の前記位置情報のうち、現時点における前記支持機構の前記目的位置に対応する位置情報を含む所定数の前記位置情報を選択する位置情報選択部を備え、前記表示制御部は、前記位置情報選択部によって選択された所定数の前記位置情報を前記位置情報表示部に表示させることが好ましい。
【0024】
[作用・効果]本発明に係るX線透視撮影装置によれば、位置情報選択部および表示制御部により、シーケンス情報に含まれる複数の位置情報のうち、現時点における支持機構の目的位置に対応する位置情報を含む所定数の位置情報が選択的に位置情報表示部へ表示される。すなわち、シーケンス情報が多数の位置情報を含む場合であっても、位置情報表示部に表示される位置情報の数を所定の数に限定できる。よって、位置情報表示部に表示される位置情報の視認性、特に現時点における支持機構の目的位置に関する情報の視認性を向上できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るX線透視撮影装置によれば、記憶部は支持機構の位置に関する位置情報を当該位置へ回動する順番の情報と対応付けてシーケンス情報として記憶する。位置情報表示部は、シーケンス情報に含まれる位置情報の各々を、支持機構が回動する順番に沿って並列表示する。位置情報表示部が位置情報の各々を表示する際に、次に前記X線の照射を行う前記支持機構の位置である目的位置に対応する位置情報が位置情報表示部のうち予め定められた固定の領域に表示されるように、表示制御部は位置情報表示部を制御する。
【0026】
次に前記X線の照射を行う前記支持機構の位置である目的位置に対応する位置情報が常に固定の領域に表示されることにより、操作者は位置情報表示部のうち当該固定の領域へ視線を向けることによって、現時点における支持機構の位置情報を確実に把握することができる。よって、シーケンス情報に含まれる位置情報が位置情報表示部に多数並列表示されている場合であっても、操作者は多数の位置情報の中から現時点における支持機構の位置情報を容易かつ迅速に探し出すことができる。
【0027】
また、シーケンスモードが進行することで支持機構の位置が順に変更される場合であっても、操作者は固定の領域から視線を動かす事なく、順に変更される支持機構の現在位置の情報を確認できる。よって、シーケンスモード機能の実行中において、視線を絶えず動かすことに起因する操作者の疲労の蓄積を防止できるので、シーケンスモード機能を用いて支持機構を連続的に回動させる操作をより容易に実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】実施例に係るX線透視撮影装置の全体構成を説明する正面図である。
図2】実施例に係るX線透視撮影装置の全体構成を説明する右側面図である。
図3】実施例に係るX線透視撮影装置の概略を説明する機能ブロック図である。
図4】実施例に係るシーケンス情報に含まれる回動位置の情報を示す一覧表である。
図5】実施例に係る入力部の概略を示す斜視図である。
図6】実施例に係るタッチパネルのシーケンスモードにおける表示画面を示す図である。
図7】実施例に係るX線透視撮影装置におけるシーケンスモードの工程を説明するフローチャートである。
図8】実施例において、現時点の目的回動位置が回動位置F1である場合におけるX線透視撮影装置の要部を説明する機能ブロック図である。
図9】実施例において、現時点の目的回動位置が回動位置F1である場合のステップS4におけるタッチパネルの表示画面を示す図である。
図10】実施例において、現時点の目的回動位置が回動位置F1である場合のステップS5におけるタッチパネルの表示画面を示す図である。
図11】実施例において、現時点の目的回動位置が回動位置F2である場合におけるX線透視撮影装置の要部を説明する機能ブロック図である。
図12】実施例において、現時点の目的回動位置が回動位置F2である場合のステップS4におけるタッチパネルの表示画面を示す図である。
図13】実施例において、現時点の目的回動位置が回動位置F9である場合のステップS4におけるタッチパネルの表示画面を示す図である。
図14】従来例に係るタッチパネルの表示画面を示す図である。
図15】比較例において、現時点の目的回動位置が回動位置F6である場合におけるタッチパネルの表示画面を示す図である。
図16】比較例において、現時点の目的回動位置が回動位置F8である場合におけるタッチパネルの表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。
【0030】
<全体構成の説明>
実施例に係るX線透視撮影装置1は、図1および図2に示すように、仰臥姿勢の被検体Mを載置させる天板3を挟んで、X線管5とX線検出器7が対向配置されている。X線管5は被検体Mに対してX線を照射する。X線検出器7はX線管5から被検体Mに照射されて透過したX線を検出して電気信号に変換させ、X線検出信号として出力させる。X線検出器7の一例として、FPD(Flat Panel Detector)が挙げられる。
【0031】
X線管5とX線検出器7は、Cアーム9にそれぞれ設けられている。Cアーム9は湾曲した略C字状となっている。X線管5はCアーム9の一端側に設けられており、X線検出器7はCアーム9の他端側に設けられている。Cアーム9はアーム保持部材11に保持されており、符号RAで示されるCアーム9の円弧経路に沿ってスライド移動するように構成される。符号RAで示す方向にスライド移動することによって、Cアーム9は被検体Mの体軸に直交する軸周り(以下、「体軸方向」ともいう)に回動する。
【0032】
アーム保持部材11は支柱13の側面部に配設されており、x方向(天板3の長手方向)に平行な水平軸RBの軸周り(以下、「体軸周り」ともいう)に回転移動するように構成される。アーム保持部材11に保持されているCアーム9は、アーム保持部材11の回転に従って被検体Mの体軸周りに回動する。
【0033】
以上のように実施例において、Cアーム9は直交する二軸周り(例えば、被検体Mの体軸方向および体軸周り)に各々独立して回動する。なお、被検体Mの体軸方向および体軸周りとなる方向を以下、「回動方向」と称する。Cアーム9が円弧経路RAおよび円弧経路RBの各々に沿って、直交する二軸の周りにそれぞれ回動自在に構成されることにより、被検体Mに対して任意の方向からX線を照射できる。Cアーム9は本発明における支持機構に相当する。
【0034】
なお、図1および図2に示すように、X線管5およびX線検出器7が被検体Mに対して鉛直方向に位置している状態をCアーム9の初期状態とする。そして当該初期状態におけるCアーム9の回動位置を、Cアーム9の初期位置とする。Cアーム9の初期位置について、Cアームの回動角度は体軸方向および体軸周りの各々について0°とする。
【0035】
支柱13は床面に配設された支持基台15に支持されており、y方向(天板3の短手方向)に水平移動が可能となるように構成される。支柱13に支持されているアーム支持部材11およびCアーム9は、支柱13の水平移動に従ってy方向へ移動する。コリメータ17はX線管5の下方に設けられており、X線管5から照射されるX線を所定の形状に制限する。X線を制限する形状の一例として、角錐となっているコーン状が挙げられる。
【0036】
次に、Cアーム9の回動機構について説明する。Cアーム9の被検体Mの体軸方向の回動は、アーム保持部材11の内部の駆動機構によって実現される。アーム保持部材11の内部には、Cアーム9に両端部を固定しているベルト19の一部が収納されており、ベルト19はガイドローラ21を介して駆動ローラ23に架け渡されている。
【0037】
アーム保持部材11の内部には駆動モータM1とロータリーエンコーダR1が付設されている。駆動モータM1は駆動ローラ23を回動させる。ロータリーエンコーダR1は駆動モータM1の回転方向および回転量を検出する。回動モータM1の回転により、ベルト
19を介してCアーム9は被検体Mの体軸方向に回動するように構成される。なお説明の便宜上、図1において駆動モータM1とロータリーエンコーダR1はアーム保持部材11の外部に示されている。
【0038】
Cアーム9の被検体Mの体軸周りの回動は、アーム支持部材11を水平軸RBの軸周り、すなわち被検体Mの体軸周りに回動させることで実現される。アーム保持部材11の基部、すなわちCアーム9を保持している側と反対側の端部は、支柱13の側面部に回動可能に支持されており、その支持面付近にはギヤ25が固定されている。
【0039】
ギヤ25はピニオンギヤ27と噛合され、ピニオンギヤ27は支柱13の内部に設けられている駆動モータM2の出力軸に取り付けられている。Cアーム9は駆動モータM2の回転によって、アーム保持部材11とともに被検体Mの体軸周りに回動する。駆動モータM2の回転方向および回転量はロータリーエンコーダR2によって検出される。
【0040】
また、支持基台15の内部には駆動モータM3とロータリーエンコーダR3が付設されている。駆動モータM3は図示しない駆動機構を回転させることによって、鉛直軸RCの周りに支持基台15を回動させる。鉛直軸RCは一例として、図1に示す初期位置におけるX線管5およびX線検出器7を通って鉛直方向に延びる軸である。ロータリーエンコーダR3は駆動モータM3の回転方向および回転量を検出する。支持基台15が回動することにより、支持基台15に支持されているアーム保持部材11およびCアーム9は鉛直軸RCの周りに旋回移動する。
【0041】
X線透視撮影装置1は図3に示すように、さらにX線照射制御部29、画像生成部30、画像表示部31、モータ制御部MD1、モータ制御部MD2、回転位置検出部33、主制御部35、記憶部37、および操作卓39を備えている。X線照射制御部29はX線管5に高電圧を出力するように構成されている。そして、X線照射制御部29が与えた高電圧出力に基づいて、X線管5が照射するX線量、およびX線を照射するタイミングが制御される。
【0042】
画像生成部30はX線検出器7の後段に設けられており、X線検出器7から出力されたX線検出信号に基づいてX線画像を生成する。画像表示部31は画像生成部30の後段に設けられ、画像生成部30が生成するX線画像を表示する。画像表示部31の一例として、液晶モニタなどが挙げられる。画像表示部31を配設する構成の例として、天井に懸垂配設されている構成、または移動台車に搭載させる構成などが挙げられる。
【0043】
モータ制御部MD1は駆動モータM1の上流に設けられており、駆動モータM1の回転方向および回転量を制御する。モータ制御部MD2は駆動モータM2の上流に設けられており、駆動モータM2の回転方向および回転量を制御する。X線透視撮影装置1は図示しないモータ制御部MD3を備えており、モータ制御部MD3は駆動モータM3の回転方向および回転量を制御する。
【0044】
回動位置検出部33はロータリーエンコーダR1が検出する駆動モータM1の回転方向および回転量と、ロータリーエンコーダR2が検出する駆動モータM2の回転方向および回転量に基づいてCアーム9の回動位置を検出する。Cアーム9の回動位置は、Cアーム9の回動方向および回動角度によって特定される。
【0045】
Cアーム9の回動方向は次のように表されている。図1に示すように、被検体Mの体軸方向のうち、頭部側の方向を以下「CRA」(Cranial)と表し、足部側の方向を以下「CAU」(Caudal)と表す。そして図2に示すように、被検体Mの体軸周り方向のうち、頭部側から見て左側への回転方向を以下「LAO」(Left Anterior Oblique)と表し、頭部側から見て右側への回転方向を以下「RAO」(Right Anterior Oblique)と表す。
【0046】
Cアーム9の回動方向は、被検体Mの体軸方向のうちCアーム9が回動している方向(CRAまたはCAU)と、被検体Mの体軸周り方向のうちCアーム9が回動している方向(LAOまたはRAO)の組み合わせによって表される。そしてCアーム9の回動角度は、被検体Mの体軸方向にCアーム9が回動する角度と、被検体Mの体軸周り方向にCアーム9が回動する角度の組み合わせによって表される。
【0047】
回動位置検出部33はロータリーエンコーダR1が送信する、駆動モータM1の回転方向および回転量の情報に基づいて、被検体Mの体軸方向にCアーム9が回動する方向および回動する角度の情報を算出する。そして回動位置検出部33はロータリーエンコーダR2が送信する、駆動モータM2の回転方向および回転量の情報に基づいて、被検体Mの体軸周りにCアーム9が回動する方向および回動する角度の情報を検出する。そしてこれらの情報に基づいて、Cアーム9の回動方向および回動角度が算出される。
【0048】
主制御部35は、一例として中央処理演算装置(CPU:Central Processing Unit)などの情報処理手段を備えている。主制御部35は、モータ制御部MD1、モータ制御部MD2、X線照射制御部29、画像生成部30、画像表示部31を例とするX線透視撮影装置1の各種構成を統括制御する。
【0049】
記憶部37は、管電圧および管電流などのX線撮影条件に関する情報、画像生成部30が生成する各種X線画像、画像生成部30による画像処理に関する情報を例とする各種情報を記憶する。記憶部37の一例として、不揮発性メモリが挙げられる。また、記憶部37は、Cアーム9の回動位置に関する情報を記憶するとともに、シーケンス情報を記憶するように構成されている。
【0050】
シーケンス情報は、Cアーム9の回動位置に関する情報を複数含むものであり、複数の回動位置情報の各々はCアーム9が回動する順番の情報と対応付けられている。なお、記憶部37が記憶できるシーケンス情報は1つに限ることはなく、記憶部37は複数のシーケンス情報を個別に記憶できるように構成されてもよい。
【0051】
本実施例において、記憶部37は図4に示されているシーケンス情報SQ1が予め記憶されているものとする。シーケンス情報SQ1は9つの回動位置F1~F9の情報を含んでいる。シーケンス情報SQ1において、Cアーム9が回動する順番に応じて回動位置F1~F9の情報が並べられている。すなわち、最初にCアーム9が回動してX線を照射する位置として回動位置F1が設定されており、2番目にX線を照射するためのCアーム9の回動位置として回動位置F2が設定されている。最後にCアーム9が回動してX線を照射する位置として回動位置F9が設定されている。
【0052】
回動位置F1は図4に示されているように、初期位置からLAO方向へ30°回動するとともにCRA方向へ30°回動した位置である。回動位置F2は、初期位置からLAO方向へ20°回動するとともにCRA方向へ40°回動した位置である。回動位置F3~F9については図4に示す通りであるので説明を省略する。
【0053】
操作卓39はX線透視撮影装置1の操作に関する操作者の指示を入力するものであり、術者が操作卓39に入力する指示に従って主制御部35は統括制御を行う。操作卓39の例として、キーボード入力式のパネル、タッチ入力式のパネル、マウス、ダイヤル、切り換え式スイッチ、押しボタン式スイッチなどが挙げられる。
【0054】
本実施例において、操作卓39は図1に示すように天板3の側部に添設されているものとする。この場合、操作者は天板3の近傍に立った状態で操作卓39を操作する。天板3に操作卓39を添設することにより、操作者は被検体Mに対してカテーテル手技等の術式または検査などを行いつつ、X線透視撮影装置1に対する各種操作を行うことができる。
【0055】
なお、操作卓39は天板3の側部に添設する構成に限ることはなく、移動可能な台車の上面に操作卓39を配設する構成としてもよい。また、操作卓39は天板3の長辺の側部に配置させる構成に限ることはなく、天板3の短辺の側部に操作卓39を添設してもよい。
【0056】
次に、操作卓39に設けられている主要な操作デバイスについて説明する。操作卓39は図5に示すように、アーム操作レバー41と、タッチパネル43と、回動指示スイッチ45と、撮影指示スイッチ47とを備えている。
【0057】
アーム操作レバー41は、前後左右に傾倒可能に構成されており、Cアーム9の回動位置の調整を行うものである。一例として、操作者はアーム操作レバー41を把持して前方へ傾倒させることにより、Cアーム9はLAO方向へ回動する。Cアーム9の回動角度は、アーム操作レバー41を傾倒させる角度または傾倒させる時間に応じて変化する。また、操作者はアーム操作レバー41を把持して左方向へ傾倒させることにより、Cアーム9はCRA方向へ回動する。アーム操作レバー41を用いることによって、操作者は手動でCアームの回動位置を微調整することができる。
【0058】
タッチパネル43は、Cアーム9の回動位置を記憶させる操作またはCアーム9を連続的に回動させるためのシーケンス情報を記憶させる操作などの各種操作を行うものであり、アイコン式のスイッチを多数表示する。また、シーケンスモードによるCアーム9の回動操作を実行する際に、タッチパネル43は実行中のシーケンス情報を表示する。シーケンス情報を表示するタッチパネル43の構成については後述する。タッチパネル43は本発明における位置情報表示部に相当する。
【0059】
回動指示スイッチ45は押しボタン式のスイッチであり、Cアーム9を所定の回動位置へ移動させる。すなわち、特定の回動位置が選択された状態で回動指示スイッチ45を押下することにより、Cアーム9は当該特定の回動位置へ向かって回動する。
【0060】
撮影指示スイッチ47は押しボタン式のスイッチであり、X線像を生成する指示を入力する際に操作される。操作者が撮影指示スイッチ47を押下することにより、被検体Mに対してX線管5からX線が照射される。X線管5から照射されたX線はX線検出器7に検出され、X線検出器7が検出する検出信号に基づいて画像生成部30は各種演算処理(画像処理)を行い、X線像を生成する。
【0061】
なお、ここではCアーム9の回動位置の調整に関係する4つの操作デバイスに限定して説明したが、操作卓39に配設される操作デバイスはこれら4つのデバイスに限ることはない。すなわち、主電源のオン/オフを切り換えるスイッチ、X線撮影条件を設定するスイッチ、天板3の位置を調節するスイッチ、または緊急停止用スイッチなど、X線透視撮影装置1の操作に関する操作デバイスをさらに適宜設けることができる。
【0062】
主制御部35は図3に示すように、さらに目的位置特定部51と、読み出し部53と、表示制御部55と、情報付与部57とを備えている。目的位置特定部51は、シーケンスモードによるCアーム9の回動操作の進行状況に応じて、現時点におけるCアーム9の目的回動位置を特定する。
【0063】
目的回動位置とは、次にX線管5からX線を照射させるべくCアーム9が回動する目標となる回動位置である。一例としてシーケンス情報SQ1に基づくシーケンスモードを開始した時点において、目的回動位置は回動位置F1である。そしてCアーム9が回動位置F1へ回動し、回動位置F1においてX線が照射された時点で目的回動位置は回動位置F1から回動位置F2へと変更される。このように、X線管5からX線が被検体Mに対して照射されるたびに、目的位置特定部51が特定する目的回動位置の情報は変更される。
【0064】
読み出し部53は、記憶部37に記憶されているシーケンス情報に含まれる複数の回動位置情報のうち、予め設定されている所定の数の回動位置情報を選択して読み出す。本実施例では、現時点における目的回動位置の情報を含め、最大で4つの回動位置情報が読み出し部53によって読み出されるように設定されているものとする。読み出し部53が読み出す回動位置情報の内容は、シーケンスモードの進行状況に応じて適宜変更される。読み出し部53は、本発明における位置情報選択部に相当する。
【0065】
表示制御部55は、読み出し部53が読み出した回動位置の情報をタッチパネル43にさせる。なお表示制御部55は、読み出された回動位置の情報のうち、現時点におけるCアーム9の目的回動位置の情報が常にタッチパネル43における予め定められた固定の領域に表示するように、タッチパネル43における表示形態を制御する。本実施例では、現時点におけるCアーム9の目的回動位置の情報が常に第1領域R1に表示されるようタッチパネル43が制御される。
【0066】
情報付加部57は、読み出し部53によって読み出された回動位置情報に関する付加的な情報などをタッチパネル43に表示させる。付加的な情報の一例として、読み出された回動位置情報のうち現時点における目的回動位置の情報を示唆する情報(目的表示情報)、およびCアーム9が目的回動位置へ到達したことを示唆する情報(到達完了情報)などが挙げられる。
【0067】
<タッチパネルの構成>
次に、タッチパネル43の構成について詳細に説明する。図6はシーケンスモードを実行している状態における、タッチパネル43の表示画面を示す図である。
【0068】
タッチパネル43は表示領域Rを備えている。表示領域Rは回動位置の情報を表示する領域であり、本実施例において表示領域Rは4つの領域である表示領域R1~R4を備えているものとする。
【0069】
表示領域R1~R4は、読み出し部53によって読み出された回動位置情報を表示する固定の領域であり、表示領域R4、R1、R2、R3の順にタッチパネル43の上部から下部へと並ぶように配置されている。本実施例において、表示領域R1はタッチパネル43の画面の中央領域に配置されている。よって、表示領域R2は表示領域R1の下方であって、表示領域R1に隣接する領域に配置されている。表示領域R3は表示領域R2の下方であって、表示領域R2に隣接する領域に配置されている。そして表示領域R4は表示領域R1の上方であって、表示領域R1に隣接する領域に配置されている。
【0070】
表示領域R1は、読み出し部53によって読み出された回動位置情報のうち、現時点における目的回動位置に相当する回動位置の情報が常に表示されるように構成されている。そのため、シーケンスモードの実行中において、操作者はタッチパネル43の画面の中央領域に配置される表示領域R1に視線を向けることにより、現時点における目的回動位置の情報を確実に把握できる。
【0071】
表示領域R2は、現時点における目的回動位置の次に目的回動位置となる回動位置の情報が表示されるように構成されている。表示領域R3は、表示領域R2に表示される回動位置の次に目的回動位置となる回動位置の情報が表示されるように構成されている。そのため、操作者は表示領域R1からわずかに視線をタッチパネル43の画面の下方へ向けて表示領域R2などを視認することにより、Cアーム9が現時点における目的回動位置の後に辿る経路を迅速に把握できる。
【0072】
表示領域R4は、現時点における目的回動位置の直近に目的回動位置であった回動位置の情報が表示されるように構成されている。一例として現時点における目的回動位置が回動位置F6である場合、表示領域R2には回動位置F7の情報が表示され、表示領域R3には回動位置F8の情報が表示され、表示領域R4には回動位置F5の情報が表示される。操作者は表示領域R1からわずかに視線をタッチパネル43の画面の上方へ向けて表示領域R4を視認することにより、直近の目的回動位置から現時点における目的回動位置までにCアーム9が辿る経路を迅速に把握できる。
【0073】
タッチパネル43はさらにシークバー58およびスクロールバー59を備えている。シークバー58は、シーケンス情報SQ1の全回動位置のうち、表示領域R1~R4に表示されている回動位置の相対的な順番を示唆する。一例として、操作者はスクロールバー59におけるシークバー58の位置を視認することによって、シーケンス情報SQ1の全回動位置における表示領域R1~R4に表示されている回動位置の大凡の順番を把握できる。
【0074】
スクロールバー59は、表示領域R1~R4に表示される回動位置の情報を手動で変更するための構成である。すなわちスクロールバー59を操作することによって、表示領域R1に表示される回動位置の情報は現時点における目的回動位置の情報から、当該目的回動位置より以前または以後の回動位置の情報へと一時的に変更できる。なお、図示しないリセットボタンを押下することによって、表示領域R1に表示される回動位置の情報を現時点における目的回動位置の情報へと迅速に戻すことができる。
【0075】
<シーケンスモードによる操作の概要>
次に、本発明に係るX線透視撮影装置1において、シーケンスモードを用いて行う操作の概要について説明する。図7は、シーケンスモードによってCアーム9を連続的に回動させ、複数の位置からX線像を取得する操作のフローチャートを示している。
【0076】
ステップS1(シーケンスモードの開始)
まず、操作者は操作卓39のタッチパネル43を起動させ、タッチパネル43などに配置されている図示しない開始ボタンを操作することによって、シーケンスモードを開始する指示を入力する(ステップS1)。本実施例では、操作者は記憶部37に記憶されている複数のシーケンス情報の中からシーケンス情報SQ1を選択し、シーケンス情報SQ1を用いてシーケンスモードを開始させる指示を入力する。
【0077】
ステップS2(目的回動位置の特定)
シーケンスモードを開始させる指示が入力されると、現時点における目的回動位置を特定する動作が目的位置特定部51によって行われる。目的位置特定部51は、次にX線を照射する回動位置を目的回動位置として特定する。なお本実施例において「次にX線を照射する回動位置」とは、現時点を基準として最も近い将来にX線を照射するタイミングにおけるCアーム9の回動位置を意味する。言い換えると、目的回動位置とは現時点を基準として次にX線を照射するためにCアーム9が回動する目的地に相当する位置である。
【0078】
シーケンスモードの開始時点において、次にX線を照射するためにCアーム9が回動する先となる回動位置は回動位置F1である。そのため図8に示すように、目的位置特定部51はシーケンス情報SQ1に含まれている回動位置F1~F9のうち、回動位置F1を現時点における目的回動位置として特定する。なお、目的回動位置は本発明における目的位置に相当する。
【0079】
ステップS3(回動位置情報の読み出し)
目的回動位置が特定されると、シーケンス情報SQ1に含まれている複数の回動位置の情報の中から、所定数の回動位置の情報が記憶部37から読み出される。すなわちステップS3の第1段階として、読み出し部53は目的回動位置の情報に応じて、記憶部37から読み出す対象となる回動位置の情報を特定する。そしてステップS3の第2段階として、読み出し部53は読み出し対象として特定された回動位置の情報を記憶部37から読み出する。
【0080】
読み出し対象となる回動位置の情報は、タッチパネル43の表示領域Rに表示する対象となる回動位置の情報に基づいて特定される。シーケンスモードの開始時点において、Cアーム9が最初に回動する位置である回動位置F1が目的回動位置である。なお目的回動位置が回動位置F1である場合、後述するように表示領域R1~R3に表示する対象となる回動位置は回動位置F1~F3である一方、表示領域R4に表示する対象となる回動位置の情報は存在しない。
【0081】
よって、Cアーム9が最初に回動する位置である回動位置F1が現時点における目的回動位置である場合、タッチパネル43に表示させる対象となる回動位置は、回動位置F1、回動位置F2、および回動位置F3である。そのため図8に示すように、読み出し部53はタッチパネル43に表示する対象となる回動位置の情報として、シーケンス情報SQ1の中から回動位置F1、回動位置F2、および回動位置F3の情報を特定する。そして、読み出し部53は回動位置F1、回動位置F2、および回動位置F3の情報を記憶部37から読み出す。
【0082】
ステップS4(回動位置情報の表示)
表示制御部55は、読み出された回動位置の情報の各々が表示される領域を、目的回動位置との関連性に基づいて決定する。まず、回動位置F1~F3のうち、回動位置F1が目的回動位置として特定されている。そして表示領域R1の表示対象は現時点における目的回動位置である。そのため、表示制御部55は回動位置F1の情報が表示領域R1に表示されるようにタッチパネル43を制御する。
【0083】
次に、表示領域R2には現時点における目的回動位置の次に目的回動位置となる回動位置が表示対象となる。シーケンス情報SQ1において、回動位置F1の次にCアーム9が回動する位置は回動位置F2である。言い換えれば、回動位置F1の次に目的回動位置となる位置は回動位置F2である。そのため、現時点における目的回動位置が回動位置F1である場合、回動位置F2が表示領域R2の表示対象である。よって、表示制御部55は回動位置F2の情報が表示領域R2に表示されるようにタッチパネル43を制御する。
【0084】
そして表示領域R3の表示対象は、表示領域R2の表示対象の次に目的回動位置となる回動位置である。回動位置F2の次に目的回動位置となる回動位置は回動位置F3である。よって、現時点における目的回動位置が回動位置F1である場合、回動位置F3が表示領域R3の表示対象である。そこで表示制御部55は表示領域R3に回動位置F3の情報が表示されるようにタッチパネル43を制御する。
【0085】
表示領域R4の表示対象は、直近における目的回動位置の情報である。目的回動位置が回動位置F1である場合は直近における目的回動位置が存在しないので、表示領域R4の表示対象は存在しない。そこで表示制御部55は表示領域R4が空欄となるようにタッチパネル43を制御する。その結果、ステップS2において特定された目的回動位置が回動位置F1である場合、タッチパネル43の表示画面は図9に示される通りとなる。
【0086】
各々の表示領域R1~R4には、各々の回動位置の情報と対応付けて、当該回動位置へCアーム9が回動する順番を示唆する順番情報Jが表示される。すなわち、回動位置F1の位置情報にはCアーム9の回動順が1番目であることを示唆する順番情報J1が対応付けられる。そして、回動位置F1と順番情報J1とが表示領域R1に表示される。回動位置F2の位置情報には、Cアーム9の回動順が2番目であることを示唆する順番情報J2が対応付けられ、表示領域R2に表示される。回動位置F3の位置情報には、Cアーム9の回動順が3番目であることを示唆する順番情報J3が対応付けられて表示される。
【0087】
表示制御部55がタッチパネル43を制御するとともに、情報付加部57は目的回動位置が表示される表示領域R2に対して付加情報TAを付加する。付加情報TAは、タッチパネル43に表示される回動位置のうち表示領域R2に表示される位置情報が目的回動位置であること、および、Cアーム9は当該目的回動位置に未だ到達していないことを示唆する情報である。本実施例において付加情報TAは、表示領域R2の全体を他の表示領域R1、R3、R4とは異なる色で表示させる情報とする。図9において、表示領域R2の全体を網点で付すことによって付加情報TAを示している。
【0088】
操作者はタッチパネル43の中央部分に相当する表示領域R2に視線を向けて回動位置F1の位置情報と順番情報J1と付加情報TAとを視認することにより、現時点における目的回動位置の情報を確認できる。すなわち、表示領域R2に表示される当該情報を視認することにより、現時点における目的回動位置が1番目にCアーム9が回動する位置である回動位置F1であって、当該回動位置F1にCアーム9が回動していないという情報を把握できる。
【0089】
ステップS5(目的回動位置への回動)
操作者は現時点における目的回動位置を確認した後、Cアーム9を目的回動位置へと回動させる操作を実行する。すなわち、操作者が回動指示スイッチ45を押下することにより、Cアーム9は初期位置から回動位置F1へ向かって回動を開始する。本実施例では、操作者が回動指示スイッチ45を押下している間、Cアーム9の回動動作が実行される。なお、操作者が回動指示スイッチ45から手を離すとCアーム9の回動動作が中断される。
【0090】
ステップS6(目的回動位置への到達)
操作者が回動指示スイッチ45を押下し続けることにより、Cアーム9は初期位置から回動位置F1へと到達する。Cアーム9が目的回動位置である回動位置F1へ到達すると、回動位置F1へ到達した旨の情報が回動位置検出部33から主制御部35へと送信される。Cアーム9が目的回動位置へ到達した旨の情報を受信することにより、図10に示すように、情報付加部57は表示領域R2に付加する情報を付加情報TAから新たな付加情報TBへと変更する。
【0091】
付加情報TBは、タッチパネル43に表示される回動位置のうち表示領域R2に表示される位置情報が目的回動位置であること、および、Cアーム9は当該目的回動位置に到達したことを示唆する情報である。本実施例において付加情報TBは表示領域R2の外周部を他の表示領域R1、R3、R4とは異なる色で表示させる情報とする。図10に示すように、表示領域R2の外周部を斜線で表示することによって付加情報TBを示している。操作者は、表示領域R2に付加されている情報が付加情報TAから付加情報TBに変更されたことを視認することにより、Cアーム9が目的回動位置へ到達してX線の照射が可能になったことを確認できる。
【0092】
ステップS7(X線の照射)
操作者は現時点における目的回動位置を確認した後、被検体Mに対してX線を照射してX線像を取得する操作を実行する。すなわち、操作卓39に設けられている撮影指示スイッチ47を押下することにより、X線を照射させる指示を入力する。撮影指示スイッチ47が操作されることにより、Cアーム9に配設されているX線管5から被検体MへX線が照射される。X線検出器7はX線を検出してX線検出信号を発信し、画像生成部30は当該X線検出信号に基づいて各種画像処理を行い、X線画像を生成する。
【0093】
X線の照射を行った後、次にCアーム9が回動すべき回動位置の有無に応じて以下の工程を分岐する。次にCアーム9が回動すべき回動位置がある場合、ステップS8に進む。目的回動位置が回動位置F1である場合、次にCアーム9を回動位置F2へ回動する必要があるので、ステップS8に係る動作を行う。
【0094】
ステップS8(目的回動位置の変更)
次にCアーム9が回動すべき回動位置がある場合、すなわち次の目的回動位置が存在する場合、X線の照射を行った後に目的回動位置を変更させる動作を行う。すなわち、目的位置特定部51はX線管5からX線を照射させる動作をトリガとして、目的回動位置として特定する回動位置の情報を変更させる。回動位置F1においてX線の照射が完了することにより、次にX線を照射する回動位置は回動位置F2となる。よって目的位置特定部51は図11に示すように、回動位置F1におけるX線の照射動作をトリガとして、目的回動位置として特定する回動位置を回動位置F1から回動位置F2へと変更する。このように、本実施例に係るX線透視撮影装置1ではX線の照射が完了すると目的回動位置が自動的に変更される。
【0095】
ステップS8の動作が完了して目的回動位置が変更されるとステップS3に戻り、以後上記動作を繰り返す。すなわち、現時点における目的回動位置が回動位置F2となっている状態でステップS3ないしステップS7の動作を行う。現時点における目的回動位置が回動位置F2である場合、直近の目的回動位置は回動位置F1である。そのため、表示領域R4に表示される対象は回動位置F1となる。また、表示領域R2に表示される対象は回動位置F3であり、表示領域R3に表示される対象は回動位置F4である。
【0096】
よって、現時点における目的回動位置が回動位置F2に変更されることにより、ステップS3では4つの回動位置F1~F4の情報が読み出し部53によって記憶部37から読み出される。そしてステップS4では図12に示すように、回動位置F2の情報が順番情報J2とともに表示領域R1に表示されるように、タッチパネル43は表示制御部55による制御を受ける。
【0097】
そして回動位置F3の情報が順番情報J3とともに表示領域R2に表示され、回動位置F4の情報が順番情報J4とともに表示領域R3に表示される。そして回動位置F1の情報が順番情報J1とともに表示領域R4に表示される。ステップS4ではCアーム9が現時点における目的回動位置に到達していないので、情報付加部57は付加情報TAを表示領域R1に付加表示させる。
【0098】
操作者は、表示領域R1と、表示領域R1の上方に隣接配置されている表示領域R4とを視認することにより、ステップS5において回動指示スイッチ45を操作した場合にCアーム9が回動する経路を容易かつ迅速に把握できる。すなわち、表示領域R4には回動位置F1の具体的な情報が表示されており、付加情報TAが付加されている表示領域R1には回動位置F2の具体的な情報が表示されている。
【0099】
そのため、操作者は現時点で回動指示スイッチ45を押下した場合、Cアーム9は回動位置F1から回動位置F2へと回動することを事前に把握できる。よって、回動位置F1から回動位置F2までの経路に障害物がある場合、ステップS5の過程を実行する前に、Cアーム9が回動中に障害物と干渉する事態を直感的に把握できる。従って、事前に障害物を除去してから回動指示スイッチ45を操作することによって、ステップS5におけるCアーム9の回動動作を適切に実行できる。
【0100】
また、操作者は表示領域R1と、表示領域R1の下方に隣接配置されている表示領域R2とを視認することにより、現時点の目的回動位置から次の目的回動位置までにCアーム9が回動する経路および回動に要する時間を把握できる。すなわち回動位置F2および回動位置F3の情報を視認することにより、Cアーム9が今後辿る位置およびタイミングを予測できる。そのため、操作者は自身の手技のスピードとCアーム9が回動する位置とを鑑みて、術式または検査を好適に進行するために必要な手順を予め把握することができる。
【0101】
表示領域R1はタッチパネル43の中央に配置されている固定の領域であり、表示領域R2は表示領域R1に隣接している領域である。そのため、操作者はタッチパネル43の中央へ視線を向けるという単純な動作によって、現時点の目的回動位置の情報と次の目的回動位置の情報とを確実に把握できる。従って、シーケンスモードを適切に進行させるために重要なこれらの情報を確認する際に、タッチパネル43の全域に視線を向けて目的の情報を探し出す必要がない。その結果、情報の確認によって操作者が受ける負担を軽減できるとともに、情報の確認に要する時間を短縮できる。
【0102】
操作者は表示領域Rを目視することにより、目的回動位置である回動位置F2に加え、回動位置F2に隣接表示される回動位置F1およびF3の情報を把握しつつ以降の工程を実行する。すなわち回動指示スイッチ45を操作することによってCアーム9を回動位置F1から回動位置F2へと回動させる(ステップS5)。Cアーム9が回動位置F2に到達すると、図12において表示されている付加情報TAは付加情報TBに変更される(ステップS6)。操作者は付加情報TBを確認し、照射指示スイッチ47を操作してX線を照射させる(ステップS7)。X線を照射する動作をトリガとして、目的位置特定部51は目的回動位置を回動位置F2から回動位置F3へと変更する(ステップS8)。
【0103】
以降、回動位置の数に応じてステップS3からステップS8までの工程を順次繰り返す。最後にCアーム9が回動する位置である回動位置F9においてステップS7に係るX線照射の動作が行われると、図示しない終了スイッチを操作してシーケンスモードを終了させる。
【0104】
本実施例では、シーケンス情報SQ1が9つの回動位置情報を有する場合であっても、全ての回動位置情報がタッチパネル43に表示されない。すなわち読み出し部53によって、タッチパネル43へ同時に表示できる回動位置の数は、予め定められた所定数(本実施例では4つ)に限定される。すなわち、現在の目的回動位置、次の目的回動位置、および直近の目的回動位置を例とする、シーケンスモードの進行に重要な回動位置の情報を含めた限られた量の情報のみをタッチパネル43に表示できる。よって、表示される情報の視認性を向上できるので、現在の目的回動位置情報を例とする重要な情報を迅速かつ容易に確認できる。
【0105】
なお本実施例において、ステップS3において読み出し部53が読み出す回動位置の情報の数は最大4であるが、シーケンスモードの進行状況に応じて読み出す情報の数は変化する。目的回動位置が回動位置F1である場合、表示領域R4に表示される対象となる情報が存在しないので、読み出し部53が読み出す情報の数は3つである。目的回動位置が回動位置F2ないしF7である場合、表示領域R1~R4の全てに回動位置の情報が表示されるので、読み出し部53が読み出す情報の数は4つである。
【0106】
目的回動位置が回動位置F8である場合、表示領域R3に表示される対象となる情報が存在しないので、読み出し部53が読み出す情報の数は3つとなる。目的回動位置が回動位置F9である場合、次ぎに目的回動位置となる位置情報が存在しないので、表示領域R2および表示領域R3に表示される対象となる情報が存在しない。よって、読み出し部53が読み出す情報の数は2つとなる。その結果、タッチパネル43の表示画面は図13に示すようになる。すなわち表示領域R1に現時点の目的回動位置である回動位置F9の情報が表示され、表示領域R4には直近の目的回動位置であった回動位置F8の情報が表示される。
【0107】
<実施形態の構成による効果>
(第1項)本実施形態に係るX線透視撮影装置は、被検体MにX線を照射するX線管5と、X線管5と対向して配置され、被検体Mを透過したX線を検出するX線検出器7と、X線管5とX線検出器7とを対向させて支持し、直交する2軸それぞれの軸周りに回動可能なCアーム9と、Cアーム9の位置に関する情報を位置情報として検出する回動位置検出部33と、複数の位置情報をCアーム9が当該位置へ回動する順番の情報と対応付けてシーケンス情報SQ1として記憶させる記憶部37と、シーケンス情報SQ1に含まれる位置情報を、Cアーム9が回動する順番に沿って並列表示するタッチパネル43と、X線管5がX線を照射する度に、シーケンス情報SQ1に含まれる位置情報のうち次に前記X線の照射を行うCアーム9の位置である目的回動位置に対応する位置情報が、タッチパネル43のうち予め定められた固定の領域R1に表示されるようにタッチパネル43を制御する表示制御部55と、を備える。
【0108】
第1項に記載のX線透視撮影装置1に係る効果について、図14ないし図16を用いて説明する。図14は、シーケンスモードを備える従来のX線透視撮影装置において用いられるタッチパネルTPの表示画面を示している。なお当該従来の装置において用いられるシーケンス情報の内容は、図4に示されるシーケンス情報SQ1と同じものとする。
【0109】
従来の装置では、図14に示すようにシーケンス情報SQ1に含まれている全ての回動位置F1~F9の情報を同時にタッチパネル43に表示させる。このような構成では、シーケンス情報SQ1に含まれる回動位置の数に比例して、タッチパネル43に表示される情報量が多くなる。よって、シーケンスモードを用いてCアームが多数の回動位置を辿る操作を行う場合、操作者はタッチパネル43に表示される膨大な数の回動位置から目的回動位置を探し出す必要がある。その結果、回動位置の中で特に重要な情報である目的回動位置の情報を把握するために、タッチパネル43の全域に対して長時間視線を絶えず動かす必要があるので、操作者の負担が増大するとともに操作が長期化する。
【0110】
このような従来のタッチパネルTPの視認性を向上させる比較例として、目的回動位置を他の目的位置と異なる態様で表示させるとともに、同時にタッチパネルTPに表示させる回動位置の数を所定値以下に制限させることが考えられる。図15は、比較例に係るタッチパネルTPを示している。比較例に係るタッチパネルTPでは、同時にタッチパネルTPに表示させる回動位置の数を4以下に制限させるとともに、目的回動位置に相当する回動位置を異なる色で表示している。図15は、回動位置F5~F8がタッチパネルTPに表示されており、目的回動位置が回動位置F6である状態を示している。
【0111】
しかしながら、このような比較例であってもシーケンスモードにおけるタッチパネルの視認性を十分に向上することが困難である。すなわち、タッチパネルTPに表示された回動位置の各々は、タッチパネルTPの画面上において表示される位置が変更されない。よって、シーケンスモードによる動作が進行して目的回動位置が変更されると、異なる態様で表示される領域の位置も目的回動位置とともに変更されていく。
【0112】
図16は、比較例において目的回動位置が回動位置F8となっている状態のタッチパネルTPを示している。すなわち回動位置F5~F8が表示される位置が固定であるので、目的回動位置が回動位置F6である場合は図15に示すように、回動位置F6が固定表示されているタッチパネルTPの中央領域が異なる色(ここでは網点)で強調表示される。
【0113】
一方、シーケンスモードによる操作の進行によって目的回動位置が回動位置F8に変更されると、図16に示すように、回動位置F8が固定表示されているタッチパネルTPの下端領域が異なる色で強調表示されるようになる。このように、シーケンスモードが進行すると目的回動位置として強調表示される領域が変わっていくので、操作者はタッチパネルTPから視線を外した後にタッチパネルTPへ視線を再び向ける度に、タッチパネルTPの全領域へ視線を動かして目的回動位置として強調表示される領域を探し出す必要がある。その結果、現時点の目的回動位置を確認するために要する時間が長くなるともに、操作者が受ける負担は増大する。
【0114】
本実施形態に係るX線透視撮影装置1では、シーケンス情報SQ1に含まれている回動位置F1~F9のうち、現時点におけるCアーム9の目的回動位置の位置情報が、タッチパネル43のうち予め定められた固定の領域に表示されるように構成されている。言い換えれば、シーケンスモードの進行によって現時点の目的回動位置に相当する回動位置が変更された場合であっても、新たに変更された目的回動位置が当該固定の領域へと新たに表示されるようになる。
【0115】
そのため、操作者はタッチパネル43から一度視線を外した場合であっても、タッチパネル43における当該固定の領域へと視線を向けることによって、現時点における目的回動位置を確実に確認できる。つまり、目的回動位置の位置情報を確認する際にタッチパネル43の全域にわたって視線を動かして目的回動位置を探す必要がない。従って、シーケンスモードにおいて回動位置情報のうち最も重要な情報である、現時点の目的回動位置に関する位置情報を操作者は疲労することなく迅速に確認できる。
【0116】
(第2項)また第1項に記載のX線透視撮影装置において、タッチパネル43において目的回動位置が表示される予め定められた固定の領域は、タッチパネル43の中央領域である。このような構成では、シーケンスモードの進行によって現時点における目的回動位置が変更した場合であっても、現時点における目的回動位置として特定された位置の情報が常にタッチパネル43の中央領域に表示される。タッチパネル43の中央領域は特に視認性が高い領域であり、目視によって情報を把握しやすい領域である。そのため、現時点における目的回動位置の情報を常に中央領域に表示するようにタッチパネル43を制御することにより、操作者はより迅速かつ容易に現時点における目的回動位置の情報を確認することができる。
【0117】
(第3項)また第1項または第2項に記載のX線透視撮影装置において、表示制御部55は、タッチパネル43の固定の領域に表示される、Cアーム9の目的回動位置に対応する位置情報に対して、当該目的回動位置の次にCアーム9が回動する位置に対応する位置情報が隣接して表示されるようにタッチパネル43を制御する。
【0118】
第3項に記載のX線透視撮影装置によれば、タッチパネル43における固定の領域に現時点における目的回動位置が常に表示されるとともに、次に目的回動位置となる回動位置の位置情報が、目的回動位置の情報に隣接する領域に常に表示される。このような構成では、操作者は固定の領域に視線を向けた後、当該固定の領域から隣接する領域へとわずかに視線を動かすことによって現時点の目的回動位置と次に目的回動位置となる回動位置との両方を確実かつ容易に把握できる。
【0119】
発明者は鋭意検討の結果、シーケンスモードによる操作を実行する場合において、シーケンス情報に含まれる複数の回動位置の情報のうち、現時点における目的回動位置の情報と同様に、次に目的回動位置となる回動位置の情報を常時把握することの重要性が高いという知見を得るに至った。また従来の装置では、次に目的回動位置となる回動位置の情報を常時把握することが困難であるという問題点を把握するに至った。
【0120】
図15および図16を用いて、従来の装置における問題点について説明する。従来はシーケンス情報に含まれる回動位置を表示する場合、各々の回動位置が表示される位置が固定となっている。よって、シーケンスモードによる操作の進行によって目的回動位置が変化すると、重要性が高い情報である目的回動位置が表示される位置はタッチパネルTPの画面上において次々と変化することとなる。すなわち操作の進行によって、目的回動位置がタッチパネルTPの中央領域に表示されている状態から(図15)、目的回動位置がタッチパネルTPの下端に表示されている状態となる(図16)。
【0121】
図16では現時点における目的回動位置は回動位置F8であるので、次に目的回動位置となる位置は回動位置F9である。しかし、図16ではタッチパネルTPに表示される回動位置の情報は回動位置F5~F8であるので、操作者はタッチパネルTPに視線を向けても次の目的回動位置に関する位置情報を確認することができない。そのため、現時点の目的回動位置から次の目的回動位置へCアームが回動する際にCアームが辿る経路、および次の目的回動位置へ到達するタイミングを直感的に把握することが困難である。このように、現時点における目的回動位置の表示領域が変化するような従来の構成では次の目的回動位置の情報を確認できない事態が発生しうるので、Cアームの回動位置およびタイミングを予測しながら検査または術式を適切に進めることが困難となる。
【0122】
一方、本実施形態に係るX線透視撮影装置1によれば、タッチパネル43における固定の領域に現時点の目的回動位置が常に表示されるとともに、次に目的回動位置となる位置の情報が当該現時点の目的回動位置と隣接するように表示される。つまり、シーケンスモードの進行によって目的回動位置が順に変更される一方で、タッチパネル43には現時点における目的回動位置の情報と次の目的回動位置の情報とが常に表示される。そのため、操作者はタッチパネル43へ視線を向けることによって、これら2つの位置情報を確実に把握できる。よって、Cアームの回動位置およびタイミングを予測しながら検査または術式を適切に進めることが可能となる。
【0123】
また、次に目的回動位置となる位置の情報は、常に現時点の目的回動位置と隣接するように表示される。よって操作者は現時点の目的回動位置が表示される固定の領域からわずかに視線を動かすことで現時点の目的回動位置と次の目的回動位置とを確認できる。よって、これら2つの位置情報を把握する際に操作者が疲労することを回避できる。
【0124】
(第4項)また第1項ないし第3項のいずれかに記載のX線透視撮影装置において、表示制御部55は、現時点における目的回動位置の直前にCアーム9が回動した位置に対応する位置情報と、現時点におけるCアーム9の目的回動位置に対応する位置情報と、現時点における目的回動位置の次にCアーム9が回動する位置に対応する位置情報とが順に隣接して表示されるようにタッチパネル43を制御するように構成される。
【0125】
第4項に記載のX線透視撮影装置によれば、タッチパネル43における固定の領域に現時点における目的回動位置が常に表示されるとともに、当該目的回動位置の直前にCアーム9が回動した位置に対応する位置情報が、目的回動位置の情報に隣接する領域に常に表示される。このような構成では、操作者は固定の領域に視線を向けた後、当該固定の領域から隣接する領域へとわずかに視線を動かすことによって現時点の目的回動位置と次に目的回動位置となる回動位置との両方を確実かつ容易に把握できる。
【0126】
発明者はシーケンスモードによる操作を実行する場合において、シーケンス情報に含まれる複数の回動位置の情報のうち、現時点における目的回動位置の情報と同様に、直前に目的回動位置であった回動位置の情報を常時把握することの重要性が高いという知見を得るに至った。そして従来の装置では、直前に目的回動位置であった回動位置の情報を常時把握することが困難であるという問題点も把握するに至った。
【0127】
従来の構成において、図15または図16に示すように、回動位置F5~F8をタッチパネルTPに表示する場合、現時点における目的回動位置が回動位置F5であると仮定すると、直前に目的回動位置であった回動位置とは回動位置F4に相当する。しかしながらタッチパネルTPには回動位置F4は回動位置F5と同時に表示されないので、操作者は回動位置F4から回動位置F5までの経路を把握することが困難である。このように、上端に表示される回動位置F5が現時点における目的回動位置である場合、直近に目的回動位置であった回動位置F4の位置情報をタッチパネルTPから確認することができない。
【0128】
目的回動位置とは次にX線の照射を行うためにCアームが回動する目的位置となる回動位置である。すなわち、X線を照射させた直後からCアームの回動を開始するまでの間において、直近の目的回動位置とはCアームの現在位置に相当する。よって、Cアームの回動を開始する時点において、当該回動操作の結果Cアームが辿る経路を予め把握するという点において、直近の目的回動位置の情報は重要性が高い。
【0129】
本実施形態に係るX線透視撮影装置1では、直近に目的回動位置であった位置の情報と、現時点における目的回動位置の情報と、次に目的回動位置となる位置の情報とを順に隣接して表示されるようにタッチパネル43が制御される。このような構成では、シーケンスモードの進行により目的回動位置として特定される回動位置が変更されたとしても、タッチパネル43には直近に目的回動位置であった位置の情報と、現時点における目的回動位置の情報と次に目的回動位置となる位置の情報とが常に表示される。そのため、操作者はタッチパネル43へ視線を向けることによって、これら3つの位置情報を確実に把握できる。よって、Cアーム9の回動経路および回動のタイミングを予測しながら検査または術式を適切に進めることが可能となる。
【0130】
また、直近における目的回動位置の情報と次に目的回動位置となる位置の情報とは常に現時点の目的回動位置の情報と隣接するように表示される。よって操作者は現時点の目的回動位置が表示される固定の領域からわずかに視線を動かすことで、現時点の目的回動位置と次の目的回動位置と直近における目的回動位置とを確認できる。よって、これら3つの位置情報を把握する際に操作者が疲労することを回避できる。
【0131】
(第5項)また第1項ないし第4項のいずれか1項に記載のX線透視撮影装置において、シーケンス情報SQ1に含まれる複数の回動位置F1~F9の情報のうち、現時点におけるCアーム9の目的回動位置に対応する位置情報を含む所定数の位置情報を選択する読み出し部53を備え、表示制御部55は、読み出し部53によって選択された所定数の回動位置の情報をタッチパネル43に表示させる。
【0132】
第5項に記載のX線透視撮影装置によれば、読み出し部53および表示制御部55により、シーケンス情報SQ1に含まれる複数の回動位置F1~F9の位置情報のうち、現時点における目的回動位置の情報を含む所定数の回動位置の情報が選択的にタッチパネル43に表示される。すなわち、シーケンス情報SQ1が多数の回動位置の情報を含む場合であっても、タッチパネル43に表示される位置情報の数を所定数以下に限定できる。よって、タッチパネル43に表示される位置情報の視認性、特に現時点における目的回動位置に関する情報の視認性を向上できる。
【0133】
<他の実施形態>
なお、今回開示された実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲、並びに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。例として、本発明は下記のように変形実施することができる。
【0134】
(1)上述した実施例において、タッチパネル43は4つの表示領域R1~R4を備える構成を例示したが表示領域の数はこれに限られない。一例として2つの固定された表示領域R1およびR2を備え、現時点における目的回動位置を常に表示領域R1に表示させ、次に目的回動位置となる位置に関する情報を常に表示領域R2に表示させるように構成してもよい。
【0135】
(2)上述した実施例または変形例において、直近に目的回動位置であった回動位置の情報と、現時点における目的回動位置の情報と、次に目的回動位置となる回動位置の情報とを同時にタッチパネル43に表示させる構成を例にとって説明したが、これら3つの情報を全て同時に表示させる構成に限られない。すなわち、直近に目的回動位置であった回動位置の情報と、現時点における目的回動位置の情報との2つを同時にタッチパネル43に表示させる構成であってもよい。また、現時点における目的回動位置の情報と、次に目的回動位置となる回動位置の情報との2つを同時にタッチパネル43に表示させる構成であってもよい。
【0136】
(3)上述した実施例または変形例において、現時点における目的回動位置に関する情報を常に表示させる表示領域R1はタッチパネル43の中央領域である構成を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、現時点における目的回動位置に関する情報が予め定められた固定の領域に常時表示されていれば、タッチパネル43において表示領域R1が配置される固定の領域は、タッチパネル43における任意の位置に設定してよい。
【0137】
(4)上述した実施例または変形例において、Cアーム9の位置情報として被検体Mの体軸方向の回動角度と被検体Mの体軸周りの回動角度とからなる回動位置情報を例にとって説明したがこれに限られない。一例として、ロータリーエンコーダR3によって得られる鉛直軸RCの周りの旋回角度の情報をCアーム9の位置情報としてもよい。また、ロータリーエンコーダR1によって得られる体軸方向の回動角度、ロータリーエンコーダR2によって得られる体軸周りの回動角度、およびロータリーエンコーダR3によって得られる旋回角度の情報を組み合わせた情報をCアーム9の位置情報としてもよい。
【符号の説明】
【0138】
1 …X線透視撮影装置
3 …天板
5 …X線管
7 …X線検出器
9 …Cアーム(支持機構)
17 …コリメータ
29 …X線照射制御部
30 …画像生成部
31 …画像表示部
33 …回動位置検出部
35 …主制御部
37 …記憶部
39 …操作卓
41 …アーム操作レバー
43 …タッチパネル
45 …回動指示スイッチ
47 …撮影指示スイッチ
51 …目的位置特定部
53 …読み出し部
55 …表示制御部
57 …情報付加部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図16