(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】電路監視装置、電路監視システム及び電路監視方法
(51)【国際特許分類】
H02H 3/00 20060101AFI20240806BHJP
G01R 31/52 20200101ALI20240806BHJP
【FI】
H02H3/00 N
G01R31/52
(21)【出願番号】P 2021027176
(22)【出願日】2021-02-24
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】米澤 隆仁
(72)【発明者】
【氏名】町田 悟志
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-319077(JP,A)
【文献】特開2007-089277(JP,A)
【文献】特開2000-293201(JP,A)
【文献】特開2008-044304(JP,A)
【文献】特開2011-226782(JP,A)
【文献】特開2013-036884(JP,A)
【文献】特開平01-232270(JP,A)
【文献】特開2002-171662(JP,A)
【文献】特開平09-019046(JP,A)
【文献】実開平02-000668(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H1/00-3/07
G01R31/50-31/74
G01R27/00-27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に変圧器を介して接続された電路の絶縁状態を監視する電路監視装置であって、
前記電力系統の系統周波数とは異なる周波数の監視信号を、変成器を介して前記変圧器又は前記電路の接地線に注入する信号注入回路と、
前記変成器の一次巻線に流れる一次電流を計測する電流計測回路と、
前記一次電流の計測結果から前記監視信号の電圧と同相の抵抗成分電流を検出し、前記抵抗成分電流の大きさに基づいて前記絶縁状態の監視結果を出力する処理装置と、を備え
、
前記電流計測回路は、前記一次電流を電圧に変換して出力する電流/電圧変換増幅器を有し、
前記処理装置は、前記電流/電圧変換増幅器の出力に基づいて、前記抵抗成分電流を検出するものであり、
前記一次巻線に直列に接続される導線は、前記導線を伝送する信号と同電位でシールドされる、電路監視装置。
【請求項2】
前記電流計測回路は、
前記一次巻線に直列に接続される抵抗体と、
前記一次電流が前記抵抗体に流れることにより発生する入力電圧を増幅して出力する増幅器と、を有し、
前記処理装置は、前記増幅器の出力に基づいて、前記抵抗成分電流を検出する、請求項1に記載の電路監視装置。
【請求項3】
前記一次巻線の一端は、前記導線を介して、前記電流/電圧変換増幅器に接続される、請求項
1又は2に記載の電路監視装置。
【請求項4】
前記信号注入回路は、前記一次巻線の他端から前記監視信号を注入する、請求項3に記載の電路監視装置。
【請求項5】
前記導線に接続される入力部と、前記導線をシールドするシールド線に接続される出力部とを有する信号増幅器を更に備える、請求項
1から4のいずれか一項に記載の電路監視装置。
【請求項6】
前記処理装置は、前記監視信号の注入期間に得られた前記計測結果から、前記抵抗成分電流を検出する、請求項1から5のいずれか一項に記載の電路監視装置。
【請求項7】
前記信号注入回路は、前記処理装置の出力信号に基づいて、前記監視信号を前記接地線に注入し、
前記処理装置は、前記出力信号の出力期間に得られた前記計測結果から、前記抵抗成分電流を検出する、請求項1から5のいずれか一項に記載の電路監視装置。
【請求項8】
前記変成器の一次側に発生する一次電圧を検出する電圧検出回路を備え、
前記処理装置は、前記電圧検出回路により検出された前記一次電圧から前記監視信号の電圧を抽出し、前記計測結果から、その抽出した前記監視信号の電圧と同相の前記抵抗成分電流を検出する、請求項1から5のいずれか一項に記載の電路監視装置。
【請求項9】
電力系統に変圧器を介して接続された電路の絶縁状態を監視する電路監視システムであって、
変成器と、
前記電力系統の系統周波数とは異なる周波数の監視信号を、前記変成器を介して前記変圧器又は前記電路の接地線に注入する信号注入回路と、
前記変成器の一次巻線に流れる一次電流を計測する電流計測回路と、
前記一次電流の計測結果から前記監視信号の電圧と同相の抵抗成分電流を検出し、前記抵抗成分電流の大きさに基づいて前記絶縁状態の監視結果を出力する処理装置と、を備え
、
前記電流計測回路は、前記一次電流を電圧に変換して出力する電流/電圧変換増幅器を有し、
前記処理装置は、前記電流/電圧変換増幅器の出力に基づいて、前記抵抗成分電流を検出するものであり、
前記一次巻線に直列に接続される導線は、前記導線を伝送する信号と同電位でシールドされる、電路監視システム。
【請求項10】
電力系統に変圧器を介して接続された電路の絶縁状態を監視する電路監視方法であって、
前記電力系統の系統周波数とは異なる周波数の監視信号を、変成器を介して前記変圧器又は前記電路の接地線に注入し、
前記変成器の一次巻線に
直列に接続される導線は、前記導線を伝送する信号と同電位でシールドされており、前記一次巻線に流れる一次電流を
電圧に変換する電流/電圧変換増幅器の出力に基づいて前記監視信号の電圧と同相の抵抗成分電流を検出し、前記抵抗成分電流の大きさに基づいて前記絶縁状態の監視結果を出力する、電路監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電路監視装置、電路監視システム及び電路監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統に変圧器を介して接続された電路の絶縁状態を監視する方式として、いわゆるIgr方式が知られている。Igr方式は、変圧器の接地線に系統周波数とは異なる周波数の監視信号を注入し、対地静電容量又は対地絶縁抵抗を介して還流する漏れ電流から、監視信号の電圧と同位相の抵抗成分電流Igrを検出し、その大きさに基づいて電路の絶縁状態を監視する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、監視信号の注入用の変成器と漏れ電流の計測用の変成器とが別々に存在するため、電路の絶縁状態を監視する構成を小型化することが難しい。
【0005】
本開示は、電路の絶縁状態を監視する構成を小型化できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様では、
電力系統に変圧器を介して接続された電路の絶縁状態を監視する電路監視装置であって、
前記電力系統の系統周波数とは異なる周波数の監視信号を、変成器を介して前記変圧器又は前記電路の接地線に注入する信号注入回路と、
前記変成器の一次巻線に流れる一次電流を計測する電流計測回路と、
前記一次電流の計測結果から前記監視信号の電圧と同相の抵抗成分電流を検出し、前記抵抗成分電流の大きさに基づいて前記絶縁状態の監視結果を出力する処理装置と、を備える、電路監視装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、電路の絶縁状態を監視する構成を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態の電路監視装置及び電路監視システムの構成例を示す図である。
【
図2】第2実施形態の電路監視装置及び電路監視システムの構成例を示す図である。
【
図3】第3実施形態の電路監視装置及び電路監視システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各実施形態の電路監視装置及び電路監視システムについて図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、第1実施形態の電路監視装置及び電路監視システムの構成例を示す図である。
図1に示す電路監視システム301は、電力系統1に変圧器2を介して接続された電路3又は電路4の絶縁状態をI
gr方式で監視する。変圧器2の一次側の電路には、電力系統1が接続され、変圧器2の二次側の電路3,4には、負荷5が接続されている。なお、
図1及び後述の
図2及び
図3では、監視対象の電路は、単相電路であるが、本開示の技術は、三相電路にも適用できる。例えば、監視対象の電路は、変圧器2が組み合わされ、二次側の一相のいずれかが接地されたΔ結線または中性点が接地されたY結線の三相電路でもよい。
【0011】
電路3とD種接地Edとの間には、絶縁抵抗7及び静電容量9が存在し、電路4とD種接地Edとの間には、絶縁抵抗6及び静電容量8が存在する。変圧器2の二次巻線の-端又は電路4は、接地線20によりB種接地Ebに接地されている。変圧器2の二次巻線の中性点が接地線20によりB種接地Ebに接地されてもよい。なお、D種接地Edは、C種接地Ecに置換されてもよい。
【0012】
電路監視システム301は、変成器10及び電路監視装置101を備える。
【0013】
変成器10は、一次巻線11及び二次巻線12を有する。二次巻線12は、接地線20に直列に挿入されている。一次巻線11の-端は、例えば、電路監視装置101のグランド13に接続される。
【0014】
電路監視装置101は、電力系統1に変圧器2を介して接続された電路3,4の絶縁状態を監視する電路監視方法を実行する。電路監視装置101は、電力系統1の系統周波数とは異なる周波数の監視信号を、変成器10を介して接地線20に注入し、接地線20から絶縁抵抗6,7及び静電容量8,9を介して還流する漏れ電流から、当該監視信号の電圧と同位相の抵抗成分電流Igrを検出する。電路監視装置101は、検出された抵抗成分電流Igrの大きさに基づいて電路3,4の絶縁状態を監視する。以下、電力系統1の系統周波数とは異なる周波数の監視信号を"監視信号S"とも称する。
【0015】
電路監視装置101は、例えば、信号注入回路30、電流計測回路40及び処理装置60を備える。
【0016】
信号注入回路30は、監視信号Sを、変成器10を介して変圧器2又は電路4の接地線20に注入する。この例では、処理装置60は、監視信号Sを生成するための監視信号データを信号注入回路30に供給する。信号注入回路30は、処理装置60から供給される監視信号データに基づいて、電力系統1の系統周波数とは異なる周波数(例えば、系統周波数よりも低い周波数)の監視信号Sを生成する。系統周波数は、例えば、商用電源の商用周波数である。
【0017】
信号注入回路30は、例えば、デジタルの監視信号データをアナログ信号に変換するD/A(Digital-to-Analog)変換器31と、D/A変換器31から出力されたアナログ信号を増幅する信号増幅器32とを有する。信号増幅器32により増幅されたアナログ信号は、監視信号Sに相当する。
【0018】
電流計測回路40は、変成器10の一次巻線11に流れる一次電流i1を計測し、一次電流i1の計測結果を処理装置60に供給する。この例では、電流計測回路40は、抵抗体41、差動増幅器42及びA/D(Analog-to-Digital)変換器43を有する。
【0019】
抵抗体41は、一次巻線11に直列に接続され、この例では、信号注入回路30の信号増幅器32と一次巻線11の+端との間の導線に直列に挿入されている。差動増幅器42は、一次電流i1が抵抗体41に流れることにより発生する入力電圧vaを増幅し、増幅された入力電圧vaである出力電圧vbを出力する増幅器の一例である。A/D変換器43は、アナログの出力電圧vbをデジタルの電流計測信号に変換する。A/D変換器43から出力されるデジタルの電流計測信号は、処理装置60に供給される。
【0020】
ここで、一次巻線11に流れる一次電流i1と、二次巻線12に流れる二次電流i2と、一次巻線11の巻数N1と、二次巻線12の巻数N2と、巻数N1と巻数N2との巻数比nとは、理想的には、
n=N1/N2 ・・・式1
i1=(1/n)×i2 ・・・式2
という関係が成立する。この例では、巻数N1は、巻数N2よりも大きく、巻数比nは、1よりも大きい数である。
【0021】
絶縁抵抗6又は絶縁抵抗7が低下し、接地線20から絶縁抵抗6,7を介して還流する漏れ電流が増加すると、二次電流i2も増加する。式1,2によれば、二次電流i2が増加すると、一次電流i1も増加する。
【0022】
この特徴を利用して、処理装置60は、一次電流i1の計測結果から、監視信号Sの電圧と同位相の抵抗成分電流Igrを検出し、その抵抗成分電流Igrの大きさに基づいて電路3,4の絶縁状態を判定する。この例では、処理装置60は、電流計測回路40により得られた計測結果である電流計測信号に基づいて、監視信号Sの電圧と同位相の抵抗成分電流Igrの大きさを検出し、その大きさに基づいて、電路3,4の絶縁状態を判定する。
【0023】
例えば、処理装置60は、抵抗成分電流Igrの大きさが所定値を超えたか否かを判定し、抵抗成分電流Igrの大きさが所定値を超えた場合、絶縁抵抗6,7の低下による絶縁不良を知らせる監視結果信号を出力する。これにより、電路3,4の絶縁不良を外部に知らせることができる。
【0024】
電路監視装置101は、出力装置70を備えてもよく、出力装置70は、処理装置60から出力された監視結果に基づいて、絶縁不良を知らせる警報を出力してもよい。警報の出力形式の具体例として、音、光、表示、制御信号、通信又はそれらのいずれかの組み合わせなどがある。
【0025】
処理装置60の具体例として、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが挙げられる。処理装置60の機能は、メモリに記憶されたプログラムによって、プロセッサが動作することにより実現される。処理装置60は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)でもよい。
【0026】
このように、第1実施形態によれば、監視信号の注入と漏れ電流の計測とを共通の変成器10により実現するので、電路3,4の絶縁状態を監視する構成を小型化できる。また、注入用の変成器と計測用の変成器を変成器10に統一できるので、例えば、電路監視装置101及び電路監視システム301の設置に必要な容積の低減や工事工数の削減を期待できる。
【0027】
処理装置60は、監視信号Sの注入期間に得られた一次電流i1の計測結果から、監視信号Sの電圧と同相の抵抗成分電流i1を検出してもよい。これにより、監視信号Sの成分は一次電流i1の計測結果に有意に包含するので、一次電流i1の計測結果から監視信号Sの電圧と同相の抵抗成分電流i1を検出する精度は向上し、電路3,4の絶縁状態を監視する精度も向上する。例えば、処理装置60は、信号注入回路30が監視信号Sを変成器10に注入している期間に電流計測回路40により得られた一次電流i1の計測結果から、監視信号Sの電圧と同相の抵抗成分電流i1を検出すると、電路3,4の絶縁状態を高精度に監視できる。
【0028】
信号注入回路30は、処理装置60の出力信号A(例えば、上述の監視信号データでもよい)に基づいて、変成器10を介して監視信号Sを接地線20に注入してもよい。この場合、処理装置60は、出力信号Aの出力期間に得られた一次電流i1の計測結果から、監視信号Sの電圧と同相の抵抗成分電流i1を検出してもよい。これにより、監視信号Sの成分は一次電流i1の計測結果に有意に包含するので、一次電流i1の計測結果から監視信号Sの電圧と同相の抵抗成分電流i1を検出する精度は向上し、電路3,4の絶縁状態を監視する精度も向上する。
【0029】
電路監視装置101は、変成器10の一次側に発生する一次電圧v1を検出する電圧検出回路50を備えてもよく、処理装置60は、電圧検出回路50により検出された一次電圧v1から監視信号Sの電圧を抽出してもよい。この場合、処理装置60は、一次電流i1の計測結果から、その抽出した監視信号Sの電圧と同相の抵抗成分電流i1を検出してもよい。これにより、処理装置60は、監視信号Sの成分が一次電流i1の計測結果に包含するか不明でも、電圧検出回路50により検出された一次電圧v1から監視信号Sの電圧を抽出できる。よって、一次電流i1の計測結果から監視信号Sの電圧と同相の抵抗成分電流i1を検出する精度は向上し、電路3,4の絶縁状態を監視する精度も向上する。
【0030】
一次電圧v1は、一次巻線11の両端電圧でもよいし、一次巻線11と抵抗体41との直列回路の両端電圧でもよい。
【0031】
電圧検出回路50は、例えば、差動増幅器51及びA/D変換器52を有する。差動増幅器51は、一次電圧v1を増幅し、増幅された一次電圧v1であるアナログ電圧を出力する増幅器の一例である。A/D変換器52は、差動増幅器51から出力されるアナログ電圧をデジタルの電圧検出信号に変換する。A/D変換器52から出力されるデジタルの電圧検出信号は、一次電圧v1の検出結果として、処理装置60に供給される。
【0032】
図2は、第2実施形態の電路監視装置及び電路監視システムの構成例を示す図である。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。第2実施形態の電路監視システム302は、変成器10及び電路監視装置102を備える。第2実施形態の電路監視装置102は、第1実施形態と異なる電流計測方式で一次電流i
1を計測する電流計測回路44を備える。
【0033】
電流計測回路44は、一次電流i1を電圧voに変換して出力する電流/電圧変換増幅器45を有し、処理装置60は、電流/電圧変換増幅器45の出力に基づいて、監視信号Sの電圧と同位相の抵抗成分電流Igrを検出する。上記の式2で表されるように、一次電流i1は、二次電流i2に比べて非常に小さい。電流/電圧変換増幅器45を使用することで、微小な一次電流i1を高精度に計測できる。
【0034】
この例では、信号注入回路30は、一次巻線11の+端に接続され、一次巻線11の+端から監視信号を注入する。一次電流i1は、一次巻線11の-端に接続された電流/電圧変換増幅器45に入力される。電流/電圧変換増幅器45は、例えば、オペアンプ47及び帰還抵抗46を有する。帰還抵抗46は、オペアンプ47の反転入力部と出力部との間に接続されている。オペアンプ47の非反転入力部は、グランド13に接続されている。A/D変換器43は、アナログの電圧voをデジタルの電流計測信号に変換する。A/D変換器43から出力されるデジタルの電流計測信号は、処理装置60に供給される。
【0035】
処理装置60は、第1実施形態と同様、一次電流i1の計測結果から、監視信号Sの電圧と同位相の抵抗成分電流Igrを検出し、その抵抗成分電流Igrの大きさに基づいて電路3,4の絶縁状態を判定する。よって、第2実施形態によれば、監視信号の注入と漏れ電流の計測とを共通の変成器10により実現するので、電路3,4の絶縁状態を監視する構成を小型化できる。
【0036】
なお、第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、処理装置60は、監視信号Sの注入期間に得られた一次電流i1の計測結果から、監視信号Sの電圧と同相の抵抗成分電流i1を検出してもよい。信号注入回路30は、処理装置60の出力信号Aに基づいて、変成器10を介して監視信号Sを接地線20に注入してもよい。処理装置60は、電圧検出回路50により検出された一次電圧v1から監視信号Sの電圧を抽出してもよい。
【0037】
図3は、第3実施形態の電路監視装置及び電路監視システムの構成例を示す図である。第3実施形態において、第2実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。第3実施形態の電路監視システム303は、変成器10及び電路監視装置103を備える。
【0038】
第3実施形態は、一次巻線11に直列に接続される導線84が、導線84を伝送する信号と同電位でシールドされる点で、第2実施形態と相違する。これにより、導線84を流れる微小な一次電流i1の計測が外来ノイズから受ける影響を軽減できる。つまり、ガードリングの効果が得られる。
【0039】
この例では、電路監視装置103は、導線84に接続される入力部81と、導線84をシールドするシールド線83に接続される出力部82とを有する信号増幅器80を更に備える。このような構成を採用することで、ガードリングの効果が更に高まる。
【0040】
なお、第3実施形態でも、第1実施形態と同様に、処理装置60は、監視信号Sの注入期間に得られた一次電流i1の計測結果から、監視信号Sの電圧と同相の抵抗成分電流i1を検出してもよい。信号注入回路30は、処理装置60の出力信号Aに基づいて、変成器10を介して監視信号Sを接地線20に注入してもよい。処理装置60は、電圧検出回路50により検出された一次電圧v1から監視信号Sの電圧を抽出してもよい。
【0041】
以上、実施形態を説明したが、本開示の技術は上記実施形態に限定されない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 変成器
11 一次巻線
12 二次巻線
20 接地線
30 信号注入回路
40,44 電流計測回路
41 抵抗体
42 差動増幅器
45 電流/電圧変換増幅器
50 電圧検出回路
60 処理装置
70 出力装置
101,102,103 電路監視装置
301,302,303 電路監視システム