(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B60H 3/00 20060101AFI20240806BHJP
E05B 77/54 20140101ALI20240806BHJP
【FI】
B60H3/00 F
E05B77/54
(21)【出願番号】P 2021039312
(22)【出願日】2021-03-11
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 大和
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-209827(JP,A)
【文献】特開平10-151941(JP,A)
【文献】特開2022-123663(JP,A)
【文献】特開2022-123569(JP,A)
【文献】国際公開第2011/128972(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00-3/06
E05B 77/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアをロック状態とアンロック状態とのいずれかに切り替えるロック装置と、
除菌効果または脱臭効果を有する気体を前記車両の車室内で発生させる気体発生装置と、
前記車室内の空気を換気するように構成された空調装置と、
前記ロック装置、前記気体発生装置、および前記空調装置を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記気体発生装置の作動が要求されると、前記ドアが前記ロック状態である場合に前記気体発生装置の作動を開始し、
前記気体発生装置の停止後に前記空調装置による換気を開始し、
前記気体発生装置の作動開始から前記空調装置による換気終了までの間に、前記ロック状態から前記アンロック状態への切り替えが要求された場合に、前記ドアを前記ロック状態に維持し、
前記空調装置による換気後に前記ロック状態から前記アンロック状態への切り替えを許可し、
前記制御装置は、前記気体発生装置の作動開始から前記空調装置による換気終了までの間に前記ロック状態から前記アンロック状態への切り替えが要求された場合に、当該切り替えが許可される時刻、または当該時刻までの時間をユーザに通知する、車両。
【請求項2】
車両のドアをロック状態とアンロック状態とのいずれかに切り替えるロック装置と、
除菌効果または脱臭効果を有する気体を前記車両の車室内で発生させる気体発生装置と、
前記車室内の空気を換気するように構成された空調装置と、
前記ロック装置、前記気体発生装置、および前記空調装置を制御する制御装置と、
前記車室内の乗員の有無を検知する乗員検知センサ
とを備え、
前記制御装置は、
前記気体発生装置の作動が要求されると、前記ドアが前記ロック状態である場合に前記気体発生装置の作動を開始し、
前記気体発生装置の停止後に前記空調装置による換気を開始し、
前記気体発生装置の作動開始から前記空調装置による換気終了までの間に、前記ロック状態から前記アンロック状態への切り替えが要求された場合に、前記ドアを前記ロック状態に維持し、
前記気体発生装置の作動中に前記乗員検知センサにより前記乗員が検知されると、前記ロック状態から前記アンロック状態へ前記ドアを切り替えるように前記ロック装置を制御する
、車両。
【請求項3】
前記制御装置は、前記空調装置による換気後に前記ロック状態から前記アンロック状態への切り替えを許可する、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記制御装置は、前記気体発生装置の作動開始から前記空調装置による換気終了までの間に前記ロック状態から前記アンロック状態への切り替えが要求された場合に、当該切り替えが許可される時刻、または当該時刻までの時間をユーザに通知する、請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記気体発生装置の作動中に前記ロック状態から前記アンロック状態への切り替えが要求された場合に、前記気体発生装置を停止し、
前記気体発生装置の停止後に前記空調装置による換気を開始する、請求項1~
4のいずれか1項に記載の車両。
【請求項6】
前記車室内の乗員の有無を検知する乗員検知センサをさらに備え、
前記制御装置は、前記乗員検知センサにより前記乗員の不在が検知され、かつ、前記ドアが前記ロック状態である場合に、前記気体発生装置の作動を開始する、請求項
1に記載の車両。
【請求項7】
前記車室内の前記気体の濃度を検出する気体濃度センサをさらに備え、
前記制御装置は、前記空調装置による換気中に、前記気体濃度センサにより検出された前記気体の濃度がしきい値未満に低下すると、前記ロック状態から前記アンロック状態への切り替えを許可する、請求項1~6のいずれか1項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に関し、より特定的には、気体発生装置が搭載された車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2007-022186号公報(特許文献1)は、オゾン発生器を備える車両用脱臭装置を開示する。この車両用脱臭装置は、オゾンを利用して車内の脱臭を行う。車内に乗員がいないことが検出されると、車両用脱臭装置は、強力な脱臭動作を行う。そして、ドアが開かれたことが検出されると、当該装置は強制排気ルーチンに移行する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-022186号公報
【文献】特開2019-209827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オゾンなどの除菌効果を有する気体を気体発生装置が車室内に発生させ、ユーザの乗車時に当該気体の濃度が高濃度である状態で当該気体が車室内に残存している状況は好ましくない。特許文献1に記載のように強制排気ルーチンが実施される場合でも、ユーザがドアを開いた直後に乗車するときに、当該気体が高濃度の状態で車室内に残存している可能性がある。
【0005】
本開示は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、除菌効果を有する気体を発生させる気体発生装置が搭載された車両において、ユーザの乗車時に当該気体が高濃度の状態で車室内に残存している状況を回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車両は、ロック装置と、気体発生装置と、空調装置と、制御装置とを備える。ロック装置は、車両のドアをロック状態とアンロック状態とのいずれかに切り替える。気体発生装置は、除菌効果または脱臭効果を有する気体を車両の車室内で発生させる。空調装置は、車室内の空気を換気するように構成されている。制御装置は、ロック装置、気体発生装置、および空調装置を制御する。そして、制御装置は、気体発生装置の作動が要求されると、ドアがロック状態である場合に気体発生装置の作動を開始し、気体発生装置の停止後に空調装置による換気を開始し、気体発生装置の作動開始から空調装置による換気終了までの間に、ロック状態からアンロック状態への切り替えが要求された場合に、ドアをロック状態に維持する。
【0007】
このような構成とすることにより、気体発生装置の作動開始から空調装置による換気終了までの間に、ユーザはドアを開けることができない。結果として、ユーザの乗車時に上記気体が高濃度の状態で車室内に残存している状況が回避される。
【0008】
制御装置は、空調装置による換気後にロック状態からアンロック状態への切り替えを許可するようにさらに構成されてもよい。
【0009】
このような構成とすることにより、ユーザが乗車することが可能な時期は、乗員が乗車してもよいほど上記気体の濃度が低いときに限られる。結果として、ユーザの乗車時に上記気体が高濃度の状態で車室内に残存している状況が回避される。
【0010】
制御装置は、気体発生装置の作動開始から空調装置による換気終了までの間にロック状態からアンロック状態への切り替えが要求された場合に、当該切り替えが許可される時刻、または当該時刻までの時間をユーザに通知するようにさらに構成されてもよい。このような構成とすることにより、ユーザの利便性を高めることができる。
【0011】
制御装置は、気体発生装置の作動中にロック状態からアンロック状態への切り替えが要求された場合に、気体発生装置を停止し、気体発生装置の停止後に空調装置による換気を開始するようにさらに構成されてもよい。このような構成とすることにより、ロック状態からアンロック状態への切り替えが許可される時刻を早めることが可能となる。
【0012】
車両は、車室内の乗員の有無を検知する乗員検知センサをさらに備えていてもよい。そして、制御装置は、乗員検知センサにより乗員の不在が検知され、かつ、ドアがロック状態である場合に、気体発生装置の作動を開始するようにさらに構成されてもよい。
【0013】
このような構成とすることにより、車室内での乗員の不在を確実に確認しつつ、上記気体を発生させることが可能となる。
【0014】
車両は、車室内の乗員の有無を検知する乗員検知センサをさらに備えていてもよい。そして、制御装置は、気体発生装置の作動中に乗員検知センサにより乗員が検知されると、ロック状態からアンロック状態へドアを切り替えるようにロック装置を制御するようにさらに構成されてもよい。
【0015】
このような構成とすることにより、車室内で上記気体が発生している状態でユーザが車室内に閉じ込められる事態を回避できる。
【0016】
車両は、車室内の気体の濃度を検出する気体濃度センサをさらに備えていてもよい。そして、制御装置は、空調装置による換気中に、気体濃度センサにより検出された気体の濃度がしきい値未満に低下すると、ロック状態からアンロック状態への切り替えを許可するようにさらに構成されてもよい。
【0017】
このような構成とすることにより、ロック状態からアンロック状態への切り替えが許可されるまでユーザが不必要に待つ事態を回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
除菌効果を有する気体を発生させる気体発生装置が搭載された車両において、ユーザの乗車時に当該気体が高濃度の状態で車室内に残存している状況を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施の形態に従う車両の全体構成を示す図である。
【
図2】本実施の形態に従う車両における除菌に関する主要な構成要素を示す図である。
【
図3】実施の形態1における、車室内の除菌に伴う処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4】ドアアンロック操作の有効/無効、気体発生装置のオン/オフ、車室内の空気の循環機能のオン/オフ、および、車室内の空気の換気機能のオン/オフを示すタイミングチャートである。
【
図5】実施の形態2における、車室内の除菌に伴う処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態3における、車室内の除菌に伴う処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】ユーザ端末の表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明を繰り返さない。
【0021】
以下の実施の形態では、除菌効果を有する気体の例として主にオゾンを用いるが、銀イオンなどのイオン、または、塩素系の気体などのその他の気体がオゾンに代えて用いられてもよい。
【0022】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態に従う車両の全体構成を示す図である。車両100は、バッテリからの電力を用いて走行する電動車両である。本実施の形態では、車両100が電気自動車である場合を例として説明するが、車両100は、エンジン(図示せず)をさらに搭載したハイブリッド車両でもよいし、燃料電池(図示せず)をさらに搭載した燃料電池車であってもよい。
【0023】
図1を参照して、車両100は、バッテリパック2と、PCU12と、モータ14と、ECU20と、DC/DCコンバータ86と、補機部品84とを備える。車両100は、外部充電のための構成要素として、インレット54と、充電器42とをさらに備える。車両100は、車室内の除菌のための構成要素として、除菌装置18と、空調装置81と、乗員検知センサ50と、気体濃度センサ52とをさらに備える。車両100は、ドアの開閉およびロックのための構成要素として、ドア16と、ドア開閉センサ63と、ロック装置60と、通信装置65とを備える。
【0024】
バッテリパック2は、バッテリ10と、システムメインリレー(System Main Relay)11とを含む。
【0025】
バッテリ10は、充放電可能に構成された蓄電装置である。バッテリ10は、例えば、リチウムイオン電池、または、ニッケル水素電池もしくは鉛蓄電池などの二次電池である。バッテリ10に代えて、電気二重層キャパシタなどの蓄電素子により構成される蓄電装置が用いられてもよい。
【0026】
バッテリ10は、SMR11および電力線15を介してPCU12に接続される。車両100の走行中にSMR11がオンであるとき、バッテリ10からの電力がPCU12に供給される。なお、車両100の制動時にモータ14が発電する場合、発電された電力は、PCU12に供給された後、バッテリ10に蓄えられる。
【0027】
PCU12は、コンバータと、インバータとを含む(いずれも図示せず)。コンバータは、バッテリ10からの電力の電圧を昇圧する。インバータは、コンバータから供給される直流電力を交流電力に変換してモータ14を駆動する。PCU12は、ECU20からの制御信号に従って制御される。なお、コンバータは、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0028】
モータ14は、交流回転電機であり、例えば、永久磁石が埋設されたロータを備える永久磁石型同期電動機である。モータ14は、PCU12から供給された電力を用いて回転することにより車両100の車輪(図示せず)を駆動する。これにより、車両100が走行する。
【0029】
ECU20は、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを内蔵する(いずれも図示せず)。CPUは、メモリに記憶された情報などに従って車両100の各機器を制御する。メモリは、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを含む。ROMは、CPUにより実行されるプログラムなどを格納する。RAMは、CPUにより参照されるデータなどを一時的に格納する。ECU20の制御は、ソフトウェア処理により実現されるが、ECU20内に作製されたハードウェアにより実現されてもよい。
【0030】
DC/DCコンバータ86は、電力線15と電力線85との間に接続される。DC/DCコンバータ86は、バッテリ10の出力電圧を変換して、変換後の電圧の電力を電力線85へ出力できる。当該電力は、除菌装置18(後述)の作動と、除菌装置18に並列して電力線85に接続される補機部品84の作動とのために用いられる。
【0031】
インレット54は、充電ケーブル55のコネクタ56に接続可能に構成されている。コネクタ56からECU20に出力されるケーブル接続信号PISWは、ECU20がコネクタ56とインレット54との接続の有無を判定するために用いられる。
【0032】
充電ケーブル55は、車両100の外部の電源200に接続されるプラグ210と、リレー332および制御回路334を含むCCID(Charging Circuit Interrupt Device)ボックス330とを含む。
【0033】
プラグ210が電源200に接続され、かつ、コネクタ56がインレット54に接続されると、ECU20および制御回路334は、コントロールパイロット(Control Pilot)信号CPLTを通じて、リレー332のオン/オフ、および充電電流の大きさ等の情報を交換できる。
【0034】
ECU20は、コントロールパイロット信号CPLTを通じて、例えば、リレー332を閉じるように制御回路334に要求を出力する。制御回路334は、当該要求に応答してリレー332を閉じたという情報を、コントロールパイロット信号CPLTを通じてECU20へ伝達する。これにより、ECU20は、車両100の充電を開始できる。
【0035】
充電器42は、その入力端がインレット54に接続されている。充電器42の出力端は、バッテリパック2に接続される。電源200とインレット54とが接続されている場合、充電器42は、ECU20からの充電開始指令を受けると、電源200からの交流電力をバッテリ10用の充電電力(直流電力)に変換する。具体的には、充電器42は、受けた電力の電圧を、バッテリ10の充電に適した直流電圧に変換し、変換後の電圧の電力を電力線45へ出力する。
【0036】
除菌装置18は、車両100の車室内を除菌するための気体を発生させる。ここで、車室とは、車両100において乗員が搭乗する空間をいう。除菌装置18は、ECU20からの制御信号に従って制御される。除菌装置18は、DC/DCコンバータ86から出力される電力を用いて動作する。除菌装置18は、気体発生装置30と、ECU35とを含む。気体発生装置30は、車室に設けられ、除菌効果を有するオゾンを車室内で発生させる。ECU35は、気体発生装置30を制御する。ECU35は、ローカルバス49を介してECU20に接続されている。
【0037】
空調装置81は、ECU20からの制御指令に従って作動することにより、車室内で空気を循環させたり(循環機能)、車室内の空気を換気したりする(換気機能)。空調装置81は、例えば、気体発生装置30がオゾンを発生させた後に、より効率的に車室が除菌されるようにオゾンを車室内で循環させる。これにより、オゾンが車室内で充満する。その後、空調装置81は、車室内の空気を換気する。その結果、換気後、オゾンの濃度が高濃度である状態でオゾンが車室内に残存している状況が回避される。
【0038】
乗員検知センサ50は、車両100の車室内に乗員がいるか否かを検知する。乗員検知センサ50は、例えば、圧力センサであって、車両100の座席における圧力がしきい値以上であるか否かに従って、乗員検知の有無を検知する。検知結果は、ECU20へ出力される。
【0039】
気体濃度センサ52は、気体発生装置30から発生するオゾンの車室内での濃度を検出する。検出された濃度は、ECU20へ出力される。
【0040】
ドア16は、車両100の車室の内外を仕切る。ドア開閉センサ63は、ドア16が、開いた状態または閉じた状態のいずれであるかを検出するように構成される。ドア開閉センサ63は、例えば、リミットスイッチ、近接センサまたは光電センサである。ドア開閉センサ63による検出結果は、ECU20へ出力される。
【0041】
ロック装置60は、ECU20からの指令に従って、ドア16をロック状態とアンロック状態とのいずれかに切り替える。ロック装置60は、例えば、アンロック状態からロック状態への切り替えが要求される指令(ドアロック指令)をECU20から受けた場合、ドア16をアンロック状態からロック状態へ切り替え可能に構成されている。他方、ロック装置60は、ロック状態からアンロック状態への切り替えが要求される指令(ドアアンロック指令)をECU20から受けた場合、ドア16をロック状態からアンロック状態へ切り替え可能に構成されている。
【0042】
ロック装置60は、ドアロック機構62と、アクチュエータ61とを含む。ドアロック機構62は、例えば、閉じた状態のドア16に対する係合状態または非係合状態を切替え可能に構成される係合部材(例えば、ピン又は爪)である。
【0043】
アクチュエータ61は、ドア16に対する係合状態または非係合状態の一方から他方へドアロック機構62を切り替え可能に構成される。ドアロック機構62が係合状態と非係合状態との間で切り替わることにより、ドア16は、ドアロック状態とドアアンロック状態との間で切り替わる。
【0044】
通信装置65は、ECU20が、ユーザ75の電子キー(図示せず)またはユーザ端末70(例えば、スマートフォン、タブレットまたはウェアラブル装置)と無線通信するためのインターフェースである。通信装置65は、ECU20に接続されており、ECU20から電子キーまたはユーザ端末70へ情報を送信したり、電子キーまたはユーザ端末70から受けた情報をECU20に送信したりする。
【0045】
ユーザ75は、電子キーを操作することにより、ドアロック状態またはドアアンロック状態のうち一方から他方へドア16の状態を切替えることができる。
【0046】
例えば、ドア16が閉じており、かつ、アンロック状態であるときに、電子キーのロックボタンをユーザ75が操作すると、当該ボタンが操作されたことを示す信号が、電子キーから通信装置65を介してECU20へ送信される。そして、当該信号を受けたECU20がロック装置60にロック指令を送信することにより、ドア16は、ドアアンロック状態からドアロック状態に切り替わる。
【0047】
一方、ドア16が閉じており、かつ、ロック状態であるときに電子キーのアンロックボタンをユーザ75が操作すると、当該ボタンが操作されたことを示す信号が、電子キーから通信装置65を介してECU20へ送信される。そして、当該信号を受けたECU20がロック装置60にアンロック指令を送信することにより、ドア16の状態は、ドアロック状態からドアアンロック状態に切り替わる。
【0048】
以下、ドアアンロック状態からドアロック状態への切り替えを要求するためのユーザ操作を「ドアロック操作」とも称する。また、ドアロック状態からドアアンロック状態への切り替えのためのユーザ操作を「ドアアンロック操作」とも称する。
【0049】
ECU20は、アクチュエータ61の状態に従って、ドア16がロック状態またはアンロック状態のいずれであるかを判別する。
【0050】
また、ユーザ75がユーザ端末70の入力装置72の除菌開始ボタン(図示せず)を操作することにより、車室内の除菌が開始する。具体的には、当該ボタンが操作されると、ユーザ端末70は、除菌開始のトリガ(即ち、気体発生装置30の作動の要求のトリガ)を示す信号を出力する。ECU20は、通信装置65を介して当該信号を受ける。その後、ECU20は、気体発生装置30を起動する。これにより、オゾンの発生開始に伴い車室内の除菌が開始する。なお、上記除菌開始ボタンが車室に設けられる場合、ECU20は、当該ボタンが車室内のユーザにより操作されると、当該ボタンの操作時刻から予め定められた時間の経過後に気体発生装置30を起動するように構成されてもよい。
【0051】
図2は、本実施の形態に従う車両100における除菌に関する主要な構成要素を示す図である。以下の説明では、説明の簡略化のため、ECU20が、ローカルバス49を介して接続されるECU35を通じて気体発生装置30を制御するものとする。そして、ECU20は、ロック装置60と、気体発生装置30と、空調装置81とを制御する「制御装置」として機能する。
【0052】
気体発生装置30がオゾンを車室内で発生させる場合、オゾンの発生後のユーザ75の乗車時にオゾンが高濃度の状態で車室505内に残存している状況は好ましくない。そこで、本実施形態に従う車両100では、ECU20は、気体発生装置30の作動開始時刻(気体発生装置30がオゾンを発生させ始めた時刻)から空調装置81による換気の終了(完了)時刻までの期間に、ロック状態からアンロック状態への切り替えが要求された(即ち、ドアアンロック操作がされた)場合に、ドア16をロック状態に維持する。ここで、この場合に、ドアロック状態からドアアンロック状態への切り替えがECU20により許可されることなくドア16のロック状態が維持されることを「ドアアンロック操作が無効化される」とも記載する。
【0053】
ドアアンロック操作が無効化されることにより、少なくとも上記期間中に当該操作によりドア16の状態がドアロック状態からドアアンロック状態に切り替わらない。そのため、ユーザ75が上記期間中にドア16を開けることができないという状況が実現される。そして、上記期間が経過した以降(即ち、車室505内の換気が完了した時刻以降)に、ECU20によりドアアンロック操作が有効化される。ここで、ドアアンロック操作が有効化されることとは、ドアアンロック操作がされた場合に、ドアロック状態からドアアンロック状態への切り替えがECU20により許可されることをいう。
【0054】
ドアアンロック操作が有効化されると、ドアアンロック操作の有効化後の当該操作によりユーザ75がドア16を開けて乗車できる。そして、ユーザ75の乗車時に、車室505内の換気が既に終了しているので、オゾンが高濃度の状態で車室505内に残存している状況が回避される。なお、ECU20が乗員検知センサ50または気体濃度センサ52からの出力を利用する実施の形態については後述する。
【0055】
図3は、実施の形態1における、車室505内の除菌に伴う処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図4は、ドアアンロック操作の有効/無効、気体発生装置30のオン/オフ、車室505内の空気の循環機能のオン/オフ、および、車室505内の空気の換気機能のオン/オフを示すタイミングチャートである。以下、
図3の説明において、
図4を適宜参照する。
【0056】
図3を参照して、ECU20は、気体発生装置30が作動を開始する(起動する)ためのトリガを受ける(ステップS10)。このトリガは、例えば、ユーザ75が上記の除菌開始ボタンを操作したときにユーザ端末70からECU20に出力される信号である。ECU20は、このトリガを受けると(即ち、気体発生装置30の作動が要求されると)、ステップS15へ処理を進める。
【0057】
ステップS15において、ECU20は、ドア16が閉じており、かつ、ロックされているか否かを判断する。ECU20は、例えば、ドア開閉センサ63の出力と、アクチュエータ61の状態とに従って、当該判断を行う。ドア16が閉じており、かつ、ロックされている場合(ステップS15においてYES)、ECU20は、車室505内の除菌を開始するために、ステップS20に処理を進める。そうでない場合(ステップS15においてNO)、ECU20は、ステップS10に処理を戻す。
【0058】
図4の時刻t1において、ECU20は、気体発生装置30がオゾンを発生する時からオゾンが車室外へ十分に排出される時までの間にユーザ75が乗車できないようにするために、ユーザ75によるドアアンロック操作を無効化する(ステップS20)。当該操作の無効化は、ステップS55の処理が実施される時刻t8(後述)までの間(即ち、期間ΔT1の間)保たれる。
【0059】
時刻t2において、ECU20は、気体発生装置30を起動する(ステップS25)。これにより、気体発生装置30からオゾンが発生し始める。オゾンの発生は、時刻t2から期間ΔT2が経過するまで継続する。期間ΔT2は、オゾンの発生が終了する時刻t4において、車室505内の除菌に要する量のオゾンが発生しているように、適宜予め定められる。なお、ステップS20およびステップS25の処理は、同時に実施されてもよい。即ち、ドアアンロック操作が無効化され始める時刻t1と、オゾンの発生開始の時刻t2とが同時刻であってもよい。
【0060】
ECU20は、車室505内が効果的に除菌されるように、車室505内の空気の循環を開始するための指令を空調装置81に出力する(ステップS30)。これにより、オゾンを含む空気の車室505内での循環が時刻t3において開始する。空調装置81による空気の循環は、時刻t3から期間ΔT3が経過するまで継続する。期間ΔT3は、空気の循環が終了する時刻t5において、車室505内でのオゾンが十分に循環(充満)しているように、適宜予め定められる。なお、ステップS25およびステップS30の処理は、同時に実施されてもよい。即ち、オゾンの発生開始の時刻t2と、空気の循環開始の時刻t3とが同時刻であってもよい。
【0061】
次いで、ECU20は、時刻t2から期間ΔT2が経過した時刻t4において、気体発生装置30を停止する(ステップS35)。
【0062】
次いで、ECU20は、時刻t3から期間ΔT3が経過した時刻t5において、空調装置81による車室505内の空気の循環を終了する(ステップS40)。
【0063】
次いで、ECU20は、時刻t6において、空調装置81による車室505内の空気の換気を開始する(ステップS45)。これにより、車室505内で十分に循環(充満)したオゾンが車外に排出され始める。空調装置81による換気は、時刻t6から期間ΔT4が経過するまで継続する。期間ΔT4は、換気終了の時刻t7において、車室505内でのオゾンの濃度がしきい値を下回るのに十分な期間となるように適宜予め定められる。当該しきい値は、乗員が乗車してもよいほど車室505内のオゾンの濃度が低いときの当該濃度であり、適宜予め定められる。なお、ステップS40およびステップS45の処理は、同時に実施されてもよい。即ち、空気の循環終了の時刻t5と、換気開始の時刻t6とが同時刻であってもよい。
【0064】
次いで、ECU20は、時刻t6から期間ΔT4が経過した時刻t7において、空調装置81による換気を終了する(ステップS50)。
【0065】
換気が終了すると、時刻t8において、ECU20は、ユーザ75によるドアアンロック操作を有効化する(ステップS55)。ここで、当該操作が有効化された時刻t8以降の期間において、当該操作が無効化されていた期間ΔT1とは異なり、当該操作がなされるとドア16がアンロックされる(即ち、アンロック状態からロック状態に切り替わる)。そのため、ユーザは、当該操作の後にドア16を開けて乗車することが可能となる。なお、ステップS50およびステップS55の処理は、同時に実施されてもよい。即ち、換気終了の時刻t7と、ドアアンロック操作が有効化される時刻t8とが同時刻であってもよい。ステップS55の後、ECU20は、一連の処理を終了する。
【0066】
以上のように、この実施の形態1において、気体発生装置30の作動開始時(時刻t2)から空調装置81による換気の終了時(時刻t7)までの期間を含む期間ΔT1の間、ユーザ75によるドアアンロック操作が無効化される。具体的には、ECU20は、期間ΔT1中に、ドアアンロック操作をユーザ75から受けた場合であっても、ドア16をロック状態からアンロックへ切り替えることなくドア16をロック状態に維持する。
【0067】
そして、換気の終了後に、ドアアンロック操作が有効化される(ロック状態からアンロック状態への切り替えが許可される)ので、ユーザ75は、当該操作の後にドア16を開けて乗車することができる。ここで、ユーザ75が乗車することができる時刻(即ち、時刻t8以降の時刻)は、車室505内の換気の終了に伴い車室505内のオゾンの濃度が上記しきい値未満になっている時刻t7以降の時刻である。
【0068】
したがって、この実施の形態1によれば、オゾンを用いて車室505内が除菌された場合であっても、ユーザ75の乗車時にオゾンが高濃度の状態で車室505内に残存している状況が回避される。特に、カーシェアリング等において不特定多数の人間が車両100に搭乗した後に車室505内が除菌される場合、その後に車両100に搭乗する別のユーザに対して本実施の形態は有益である。
【0069】
[実施の形態2]
この実施の形態2では、ECU20は、乗員検知センサ50の検知結果に従って、気体発生装置30の作動を開始するか否かを決定する。以下の説明において、
図4を適宜参照する。
【0070】
この実施の形態2では、ECU20は、ドアアンロック操作が無効化される時刻t1(
図4)以前に、車室505内での乗員の不在を乗員検知センサ50が検知したという条件がさらに満たされた場合に、気体発生装置30の作動を開始する。
【0071】
なお、この実施の形態2における車両の構成は、実施の形態1における車両100(
図1,
図2)の構成と同じである。
【0072】
図5は、実施の形態2における、車室505内の除菌に伴う処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図5のステップS110およびS115~S155の処理は、
図3のステップS10およびS15~S55の処理とそれぞれ同様である。
【0073】
図5を参照して、ECU20は、気体発生装置30が起動するためのトリガを受けると(ステップS110)、乗員検知センサ50の検出結果に従って、車室505内に乗員がいるか否かを判断する(ステップS112)。
【0074】
ステップS112において、車室505内に乗員がいると判断されると(ステップS112においてYES)、ECU20は、ドア16をアンロックする(即ち、ロック状態からアンロック状態へ切り替える)ようにロック装置60を制御する(ステップS113)。これにより、オゾンの発生前に乗員が車室505の外に出ることが可能となる。そして、ドア16が開けられた後、処理はステップS110へ戻される。
【0075】
一方、ステップS112において、乗員が車室505内にいないと判断されると(ステップS112においてNO)、ECU20は、ステップS115へ処理を進める。
【0076】
ステップS115において、ドア16が閉じており、かつ、ロックされていると判断されると(ステップS115においてYES)、ECU20は、ユーザ75によるドアアンロック操作を無効化し(ステップS120)、気体発生装置30を起動する(ステップS125)。以降のステップS130~S155の処理は、
図3のステップS30~S55の処理とそれぞれ同様である。
【0077】
以上のように、この実施の形態2においては、ECU20は、乗員検知センサ50により乗員の不在が検知され(ステップS112においてYES)、かつ、ドア16がロック状態である(ステップS115においてYES)場合に、気体発生装置30の作動を開始する。これにより、気体発生装置30の作動開始前に、車室505内での乗員の不在を確実に確認することが可能である。その結果、車室505内に乗員がいる状況でオゾンが発生し始める事態を回避することが可能となる。
【0078】
[実施の形態2の変形例1]
実施の形態2において、乗員検知センサ50として、圧力センサに代えて、カメラおよび画像処理回路(いずれも図示せず)を含むユニットが用いられてもよい。この場合、当該カメラにより撮像された画像を当該画像処理回路が画像処理することにより、車室505内に乗員がいるか否かが検知される。あるいは、乗員検知センサ50として、近接センサなどが用いられてもよい。
【0079】
[実施の形態2の変形例2]
実施の形態2およびその変形例1では、ドアアンロック操作が無効化される期間ΔT1(
図4)よりも前(
図5のステップS120よりも前)に車室505内に乗員の不在が検知された場合に、ECU20は、気体発生装置30の作動を開始するものとした。これに対して、ドアアンロック操作が無効化されている期間ΔT1の間(
図5のステップS120~ステップS150までの間)に乗員検知センサ50が乗員を検知した場合、ECU20は、ドア16を直ちにアンロックするようにロック装置60を制御してもよい。これにより、車室505内でオゾンが発生(充満)している状態でユーザ75が車室505内に閉じ込められることなく、ドア16が直ちに開けられ得る。その結果、オゾンが発生した時刻t2以降であっても、乗員は、直ちに車室505の外に出ることができる。
【0080】
[実施の形態3]
この実施の形態3では、ECU20が、気体濃度センサ52の検出値に従って、車室505内の換気を終了するか否かを決定する。以下の説明において、
図4を適宜参照する。
【0081】
具体的には、空調装置81による換気中に、気体濃度センサ52により検出される気体濃度が前述のしきい値(即ち、乗員が乗車してもよいほど車室505内のオゾンの濃度が低いときの当該濃度)未満に低下すると、ECU20は、空調装置81による換気を終了し、ドア16のロック状態からアンロック状態への切り替えを許可する(即ち、ドアアンロック操作を有効化する)。
【0082】
なお、この実施の形態3における車両の全体構成は、実施の形態1における車両100(
図1,
図2)と同じである。
【0083】
図6は、実施の形態3における、車室505内の除菌に伴う処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図6を参照して、ステップS210~S245,S250およびS255の処理は、
図3のステップS10~S45,S50およびS55の処理とそれぞれ同様である。以下、
図6の説明において、
図4を適宜参照する。
【0084】
時刻t6(
図4)において空調装置81による換気が開始されると(ステップS245)、ステップS247において、ECU20は、気体濃度センサ52の検出値に従って、車室505内のオゾンの濃度が上記しきい値未満に低下したか否かを判断する。当該判断処理は、適宜定められた時間間隔ごとに実施される。
【0085】
ステップS247において、オゾンの濃度がしきい値以上の場合(ステップS247においてNO)、オゾンの濃度が当該しきい値未満に低下するまで(ステップS247においてYESの分岐に従うまで)、ECU20は、空調装置81による換気を継続する。
【0086】
他方、ステップS247において、オゾンの濃度がしきい値未満に低下したと判断されると(ステップS247においてYES)、ECU20は、空調装置81を停止することにより車室505内の換気を終了する(ステップS250)。以後、ステップS255においてドアアンロック操作が有効化され、その後、ECU20は一連の処理を終了する。
【0087】
以上のように、この実施の形態3においては、空調装置81による換気中に、気体濃度センサ52により検出される気体濃度がしきい値未満に低下した場合に、ECU20は、換気を終了してドアアンロック操作を有効化する(即ち、ロック状態からアンロック状態への切り替えを許可する)。
【0088】
その結果、換気の期間ΔT4の長さが予め定められている場合(実施の形態1)とは異なり、車室505内でのオゾンの濃度が実際には上記しきい値未満に低下しているにも拘わらず、予め定められた期間ΔT4が経過していないことに起因してドアロック状態が不必要に維持されることがない。そして、ドアアンロック操作が有効化される時刻までユーザが不必要に待つ事態を回避することが可能となる。
【0089】
[実施の形態4]
この実施の形態4では、ドアアンロック操作が無効化されている期間(
図4の期間ΔT1に相当)に、ECU20がドアアンロック操作を受けた場合に、ドアアンロック操作が有効化される時刻までの時間がユーザ75へ事前に通知される。
【0090】
なお、この実施の形態4における車両の全体構成は、実施の形態1における車両100(
図1,
図2)と同じである。
【0091】
図7は、ユーザ端末70の表示装置73に表示される画面の一例を示す図である。以下の説明において、
図3および
図4を適宜参照する。
【0092】
ドアアンロック操作が無効化されている期間ΔT1(
図4)の間(即ち、
図3のステップS20~ステップS50までの間)に、ドアアンロック操作がされた場合、ECU20は、ドアアンロック操作が有効化される時刻までの時間をユーザ75に通知する。例えば、ECU20は、当該時間を示す信号を、通信装置65を介してユーザ端末70に出力する。ユーザ端末70は、当該信号に従って、当該時間を示す画面400を表示装置73に表示する。
【0093】
画面400は、メッセージ405および415と、ボタン425とを含む。メッセージ405は、画面400が表示されている時刻(現在時刻)において、ドアアンロック操作が無効化されていることをユーザ75に表示している。そして、メッセージ405は、現在時刻からドアアンロック操作が有効化される予定の時刻t8(
図4)までの時間(
図7の例では、X分)をユーザ75に表示している。これにより、ユーザ75は、ドアアンロック操作の有効化に伴い車室505に入れるようになる時刻を事前に知ることができる。
【0094】
Xの値は、例えば、予め定められた期間ΔT1(
図4)の長さに従って、または、気体濃度センサ52の検出値に従って、ECU20により算出される。例えば、Xの値が期間ΔT1の長さに従って算出される場合、ECU20は、ドアアンロック操作が無効化され始めた時刻t1と現在時刻との時間間隔を、予め定められた期間ΔT1の長さから差し引くことによりXの値を算出する。また、Xの値が気体濃度センサ52の検出値に従って算出される場合、ECU20は、当該検出値と、当該検出値の時間的な変化の履歴とに従って、当該検出値が前述のしきい値まで低下する時刻を予測することによりXの値を算出する。
【0095】
このように、ドアアンロック操作が有効化される時刻までの時間がユーザ75に通知される結果、ユーザ75は、当該時間を事前に知ることができる。
【0096】
ところで、気体発生装置30が作動している期間(即ち、オゾンの発生開始の時刻t2(
図4)から、オゾンの発生の終了予定の時刻t4までの間)に、ユーザ75は、メッセージ405に示されている時間(X分)を知ったときに、現在時刻からX分後の時刻よりも早期に乗車することを希望する場合がある。
【0097】
そこで、メッセージ415は、ユーザ75により上記期間中にボタン425が操作される場合には、ドアアンロック操作が有効化される時刻までの時間を変更することが可能であることを表示している。具体的には、メッセージ415は、ドアアンロック操作が有効化される時刻までの時間を、メッセージ405に表示されている時間(X分)よりも早い時間(Y分)に変更することが可能であることを表示している(Y<X)。
【0098】
ボタン425は、気体発生装置30によるオゾンの発生が中断されたとしても、ユーザ75がより早期に乗車することを可能にするために設けられる。具体的には、気体発生装置30の作動中にボタン425が操作されると、ユーザ端末70は、気体発生装置30を停止するようにECU20へ要求を出力する。ユーザ端末70は、さらに、気体発生装置30の停止後に空調装置81により車室内が換気されるようにECU20へ要求を出力する。ユーザ端末70は、さらに、空調装置81による換気終了以後にアンロック操作を有効化するようにECU20へ要求を出力する。これらの要求は、通信装置65を介してECU20に伝達される。ECU20は、これらの要求に従って、オゾンの発生の終了予定の時刻t4よりも前に(例えば、当該要求を受けた時点で)、気体発生装置30を停止する。次いで、ECU20は、空調装置81による換気の終了後にアンロック操作を有効化する。
【0099】
これにより、気体発生装置30が停止する時刻が、ボタン425が操作されない場合に予定されていた時刻t4よりも早くなる。そのため、気体発生装置30の作動中にボタン425が操作される場合、気体発生装置30からオゾンが発生する期間は、ボタン425が操作されない場合の期間ΔT2よりも短くなる。よって、ボタン425が操作される場合、気体発生装置30から発生するオゾンの総量は、ボタン425が押されない場合における当該総量よりも少なくなる。
【0100】
これに伴い、車室505内の空気の循環に要する期間、および、車室505内の換気に要する期間も、実施の形態1における期間ΔT3および期間ΔT4よりもそれぞれ短く設定されることが可能となる。そのため、ボタン425が操作される場合、換気の終了の時刻を、ボタン425が操作されない場合の時刻t7よりも早めることが可能となる。これにより、当該時刻以後にドアアンロック操作が有効化される時刻を、ボタン425が操作されない場合の時刻t8よりも早くすることが可能となる。その結果、早期の車両の利用を希望するユーザの要望に応えることが可能となる。
【0101】
なお、Yの値は、気体発生装置30の作動開始の時刻t2から、ボタン425が操作された時刻(オゾンの発生が中断する時刻)までの期間の長さに従って決定される。例えば、当該期間の長さに応じて、車室505内の空気の循環の期間ΔT3の開始時刻および終了時刻(時刻t3および時刻t5にそれぞれ相当)と、換気の期間ΔT4の開始時刻および終了時刻(時刻t6および時刻t7にそれぞれ相当)とがより早くなるように適宜予め設定される。ECU20は、これらの時刻に従って、ドアアンロック操作が有効化される時刻(時刻t8に相当)を決定する。そして、ECU20は、当該時刻と、現在時刻とに従ってYの値を決定する。
【0102】
なお、画面400では、ロック状態からアンロック状態への切り替えが許可される時刻までの時間(X分またはY分)がユーザ75に通知されるが、当該時刻までの時間に代えて、当該時刻がユーザ75に通知されてもよい。
【0103】
以上のように、この実施の形態4では、ドアアンロック操作が無効化されている期間中に、ドア16のロック状態からアンロック状態への切り替えが要求された場合、ECU20は、当該切り替えが許可される時刻、または当該時刻までの時間をユーザ75に通知する。これにより、ユーザ75の利便性を向上させることができる。
【0104】
さらに、ユーザ75は、車室505内が十分に除菌されるように、ドアアンロック操作が有効化される時刻(現在時刻からX分後の時刻)まで待つか、または、可能な限り早く車両100を使用するために、当該時刻よりも早い時刻(現在時刻からY分後の時刻)に乗車するかのいずれかを選択できる。その結果、ユーザの利便性をさらに向上させることができる。
【0105】
[その他の変形例]
実施の形態4において、ドアアンロック操作が有効化される時刻までの時間(例えば、X分またはY分)は、ユーザ端末70のマイク(図示せず)を介して音声によってユーザ75へ事前に通知されてもよい。これにより、視力が十分でないユーザの利便性をも向上させることが可能となる。
【0106】
また、上記の実施の形態1~4において、主に除菌効果を有する気体を気体発生装置30が発生させる実施の形態について説明したが、本開示は、脱臭効果を有する気体を気体発生装置30が発生させる実施の形態へも適用できる。この場合、上記の実施の形態において「除菌」を「脱臭」と適宜読み替えることにより、本開示の効果を同様に奏することが可能である。
【0107】
また、実施の形態1~4では、外部充電可能な車両100について説明したが、本開示の車両は、外部充電可能な車両に限定されない。具体的には、
図1のインレット54および充電器42は、必ずしも車両100に設けられていなくてもよい。
【0108】
また、ECU20は、空気の循環が開始する時刻t3(
図4)を、オゾンの発生開始の時刻t2により近くなるように(例えば、時刻t3が時刻t2に等しくなるように)変更してもよい。これにより、オゾンを含む空気が車室505内で十分に循環(充満)している時刻を、時刻t5よりも早くすることが可能となる。その結果、当該空気の循環後の換気開始の時刻、当該時刻から期間ΔT4後の換気終了の時刻、および、当該時刻後にドアアンロック操作が有効化される時刻を、それぞれ、
図4の時刻t6、時刻t7および時刻t8よりも早くすることが可能となる。これに伴い、ユーザ75が乗車可能となる時刻を時刻t8よりも早くすることが可能となる。その結果、ユーザ75の利便性をさらに向上させることが可能である。
【0109】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0110】
16 ドア、18 除菌装置、30 気体発生装置、50 乗員検知センサ、52 気体濃度センサ、60 ロック装置、65 通信装置、70 ユーザ端末、72 入力装置、73 表示装置、75 ユーザ、81 空調装置、100 車両、400 画面、405,415 メッセージ、425 ボタン、505 車室。