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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】車両用空調装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/32 20060101AFI20240806BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B60H1/32 626B
B60H1/00 103H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021042658
(22)【出願日】2021-03-16
(65)【公開番号】P2022142480
(43)【公開日】2022-09-30
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 孝介
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-220742(JP,A)
【文献】実開昭63-119103(JP,U)
【文献】特開2016-88292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00-3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)が停止したときに前記車両のエンジン(2)を停止させるアイドルストップを行う前記車両に用いられる車両用空調装置であって、
前記車両の車室内に向かって送風するブロワ(31)と、
前記エンジンのトルクを用いて冷媒を圧縮して、前記冷媒を循環させる圧縮機(41)と、
前記ブロワから送風される空気と前記圧縮機によって循環される前記冷媒とを熱交換させることによって、前記ブロワから送風される空気を冷却および除湿する蒸発器(45)と、
前記車両の車室内の空気である内気を前記ブロワに導入する内気導入口(511)と、前記車両の車室外の空気である外気を前記ブロワに導入する外気導入口(512)とを有する内外気ケース(51)と、
前記内気導入口および前記外気導入口を開閉することによって、前記内気導入口および前記外気導入口の開閉状態である吸込口モードを、前記内気導入口が開いた状態かつ前記外気導入口が閉じた状態であることで前記ブロワから前記車両の車室内に送風される空気を前記内気にする内気モード、および、前記内気導入口が閉じた状態かつ前記外気導入口が開いた状態であることで前記ブロワから前記車両の車室内に送風される空気を前記外気にする外気モードのどちらかにする切替部(52)と、
前記吸込口モードが前記外気モードであるとともに前記車両が前記アイドルストップ中であるとき、前記外気の湿度(Ham)が外気基準値(Ham_th、Hr+ε)よりも高いとき、前記吸込口モードを前記外気モードから前記内気モードに変更させるモード変更部(S140、S150)と、
前記アイドルストップが解除された場合に前記ブロワから前記蒸発器を通過した空気の温度である蒸発器温度(Te)が蒸発器基準値(Te_th2、TEO+ΔTe_th)よりも低いとき、前記モード変更部によって前記外気モードから前記内気モードに変更された前記吸込口モードを前記外気モードに戻すモード戻し部(S270)と、
を備え
前記モード変更部は、前記内気の湿度(Hr)に基づいて、前記外気基準値を算出する車両用空調装置。
【請求項2】
車両(1)が停止したときに前記車両のエンジン(2)を停止させるアイドルストップを行う前記車両に用いられる車両用空調装置であって、
前記車両の車室内に向かって送風するブロワ(31)と、
前記エンジンのトルクを用いて冷媒を圧縮して、前記冷媒を循環させる圧縮機(41)と、
前記ブロワから送風される空気と前記圧縮機によって循環される前記冷媒とを熱交換させることによって、前記ブロワから送風される空気を冷却および除湿する蒸発器(45)と、
前記車両の車室内の空気である内気を前記ブロワに導入する内気導入口(511)と、前記車両の車室外の空気である外気を前記ブロワに導入する外気導入口(512)とを有する内外気ケース(51)と、
前記内気導入口および前記外気導入口を開閉することによって、前記内気導入口および前記外気導入口の開閉状態である吸込口モードを、前記内気導入口が開いた状態かつ前記外気導入口が閉じた状態であることで前記ブロワから前記車両の車室内に送風される空気を前記内気にする内気モード、および、前記内気導入口が閉じた状態かつ前記外気導入口が開いた状態であることで前記ブロワから前記車両の車室内に送風される空気を前記外気にする外気モードのどちらかにする切替部(52)と、
前記吸込口モードが前記外気モードであるとともに前記車両が前記アイドルストップ中であるとき、前記外気の湿度(Ham)が外気基準値(Ham_th、Hr+ε)よりも高いとき、前記吸込口モードを前記外気モードから前記内気モードに変更させるモード変更部(S140、S150)と、
前記アイドルストップが解除された場合に前記ブロワから前記蒸発器を通過した空気の温度である蒸発器温度(Te)が蒸発器基準値(Te_th2、TEO+ΔTe_th)よりも低いとき、前記モード変更部によって前記外気モードから前記内気モードに変更された前記吸込口モードを前記外気モードに戻すモード戻し部(S270)と、
を備え、
前記モード戻し部は、前記車両の乗員によって設定される設定温度(Tset)、前記内気の温度(Tr)および前記外気の温度(Tam)に基づいて、前記蒸発器基準値を算出する車両用空調装置。
【請求項3】
車両(1)が停止したときに前記車両のエンジン(2)を停止させるアイドルストップを行う前記車両に用いられる車両用空調装置であって、
前記車両の車室内に向かって送風するブロワ(31)と、
前記エンジンのトルクを用いて冷媒を圧縮して、前記冷媒を循環させる圧縮機(41)と、
前記ブロワから送風される空気と前記圧縮機によって循環される前記冷媒とを熱交換させることによって、前記ブロワから送風される空気を冷却および除湿する蒸発器(45)と、
前記車両の車室内の空気である内気を前記ブロワに導入する内気導入口(511)と、前記車両の車室外の空気である外気を前記ブロワに導入する外気導入口(512)とを有する内外気ケース(51)と、
前記内気導入口および前記外気導入口を開閉することによって、前記内気導入口および前記外気導入口の開閉状態である吸込口モードを、前記内気導入口が開いた状態かつ前記外気導入口が閉じた状態であることで前記ブロワから前記車両の車室内に送風される空気を前記内気にする内気モード、および、前記内気導入口が閉じた状態かつ前記外気導入口が開いた状態であることで前記ブロワから前記車両の車室内に送風される空気を前記外気にする外気モードのどちらかにする切替部(52)と、
前記吸込口モードが前記外気モードであるとともに前記車両が前記アイドルストップ中であるとき、前記外気の湿度(Ham)が外気基準値(Ham_th、Hr+ε)よりも高いとき、前記吸込口モードを前記外気モードから前記内気モードに変更させるモード変更部(S140、S150)と、
前記アイドルストップが解除された場合に前記ブロワから前記蒸発器を通過した空気の温度である蒸発器温度(Te)が蒸発器基準値(Te_th2、TEO+ΔTe_th)よりも低いとき、前記モード変更部によって前記外気モードから前記内気モードに変更された前記吸込口モードを前記外気モードに戻すモード戻し部(S270)と、
前記車両が走行しているとき、前記車両の乗員によって設定される設定温度(Tset)、前記内気の温度(Tr)および前記外気の温度(Tam)に基づいて、前記吸込口モードを制御する空調制御部(S360)と、
を備え、
前記モード変更部は、前記車両が前記アイドルストップを行う前に前記空調制御部によって前記吸込口モードが制御されたことにより前記吸込口モードが前記外気モードである場合に、前記車両が前記アイドルストップ中であるとき、前記吸込口モードを前記外気モードから前記内気モードに変更させる車両用空調装置。
【請求項4】
前記モード変更部は、前記内気の湿度(Hr)に基づいて、前記外気基準値を算出する請求項2または3に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記車両が前記アイドルストップ中である場合に前記モード変更部によって前記吸込口モードが前記外気モードから前記内気モードに変更された後、前記蒸発器温度に基づいて、前記アイドルストップを解除させる解除部(S240)をさらに備え、
前記モード戻し部は、前記解除部によって前記アイドルストップが解除されたことにより前記エンジンが駆動し、前記圧縮機が前記エンジンのトルクを用いて前記冷媒を圧縮して前記冷媒を循環させ、前記蒸発器によって前記ブロワから前記蒸発器を通過した空気が冷却されている場合に、前記蒸発器温度が前記蒸発器基準値よりも低いとき、前記モード変更部によって前記外気モードから前記内気モードに変更された前記吸込口モードを前記外気モードに戻す請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項6】
車両(1)が停止したときに前記車両のエンジン(2)を停止させるアイドルストップを行う前記車両に用いられる車両用空調装置であって、
前記車両の車室内に向かって送風するブロワ(31)と、
前記エンジンのトルクを用いて冷媒を圧縮して、前記冷媒を循環させる圧縮機(41)と、
前記ブロワから送風される空気と前記圧縮機によって循環される前記冷媒とを熱交換させることによって、前記ブロワから送風される空気を冷却および除湿する蒸発器(45)と、
前記車両の車室内の空気である内気を前記ブロワに導入する内気導入口(511)と、前記車両の車室外の空気である外気を前記ブロワに導入する外気導入口(512)とを有する内外気ケース(51)と、
前記内気導入口および前記外気導入口を開閉することによって、前記内気導入口および前記外気導入口の開閉状態である吸込口モードを、前記内気導入口が開いた状態かつ前記外気導入口が閉じた状態であることで前記ブロワから前記車両の車室内に送風される空気を前記内気にする内気モード、および、前記内気導入口が閉じた状態かつ前記外気導入口が開いた状態であることで前記ブロワから前記車両の車室内に送風される空気を前記外気にする外気モードのどちらかにする切替部(52)と、
前記吸込口モードが前記外気モードであるとともに前記車両が前記アイドルストップ中であるとき、前記外気の湿度(Ham)が外気基準値(Ham_th、Hr+ε)よりも高いとき、前記吸込口モードを前記外気モードから前記内気モードに変更させるモード変更部(S140、S150)と、
前記アイドルストップが解除されたとき、前記内気の湿度(Hr)が内気基準値(Hr_th)よりも低いとき、前記モード変更部によって前記外気モードから前記内気モードに変更された前記吸込口モードを前記外気モードに戻すモード戻し部(S270)と、
を備える車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、車両がアイドルストップ中であるときの吸込口モードが外気モードである場合に、吸込口モードを外気モードから内気モードに変更する車両用空調装置が知られている。この車両用空調装置は、内気の湿球温度に基づく臭い発生開始時間および外気の湿球温度に基づく臭い発生開始時間を算出する。また、車両用空調装置は、これらの算出した内気の湿球温度に基づく臭い発生開始時間が外気の湿球温度に基づく臭い発生開始時間よりも長いとき、吸込口モードを外気モードから内気モードに変更する。なお、内気とは、車両の車室内の空気である。また、外気とは、車両の車室外の空気である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-220742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者の検討によれば、特許文献1に記載された車両用空調装置では、外気モードから内気モードに変更された吸込口モードを外気モードに戻すとき、臭い発生開始時間が早い外気モードに戻すこととなるため、車両の車室内の快適性が低下する。
【0005】
本開示は、車両における車室内の快適性の低下を抑制する車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、車両(1)が停止したときに車両のエンジン(2)を停止させるアイドルストップを行う車両に用いられる車両用空調装置であって、車両の車室内に向かって送風するブロワ(31)と、エンジンのトルクを用いて冷媒を圧縮して、冷媒を循環させる圧縮機(41)と、ブロワから送風される空気と圧縮機によって循環される冷媒とを熱交換させることによって、ブロワから送風される空気を冷却および除湿する蒸発器(45)と、車両の車室内の空気である内気をブロワに導入する内気導入口(511)と、車両の車室外の空気である外気をブロワに導入する外気導入口(512)とを有する内外気ケース(51)と、内気導入口および外気導入口を開閉することによって、内気導入口および外気導入口の開閉状態である吸込口モードを、内気導入口が開いた状態かつ外気導入口が閉じた状態であることでブロワから車両の車室内に送風される空気を内気にする内気モード、および、内気導入口が閉じた状態かつ外気導入口が開いた状態であることでブロワから車両の車室内に送風される空気を外気にする外気モードのどちらかにする切替部(52)と、吸込口モードが外気モードであるとともに車両がアイドルストップ中であるとき、外気の湿度(Ham)が外気基準値(Ham_th、Hr+ε)よりも高いとき、吸込口モードを外気モードから内気モードに変更させるモード変更部(S140、S150)と、アイドルストップが解除された場合にブロワから蒸発器を通過した空気の温度である蒸発器温度(Te)が蒸発器基準値(Te_th2、TEO+ΔTe_th)よりも低いとき、モード変更部によって外気モードから内気モードに変更された吸込口モードを外気モードに戻すモード戻し部(S270)と、を備え、モード変更部は、内気の湿度(Hr)に基づいて、外気基準値を算出する車両用空調装置である。
また、請求項2に記載の発明は、車両(1)が停止したときに車両のエンジン(2)を停止させるアイドルストップを行う車両に用いられる車両用空調装置であって、車両の車室内に向かって送風するブロワ(31)と、エンジンのトルクを用いて冷媒を圧縮して、冷媒を循環させる圧縮機(41)と、ブロワから送風される空気と圧縮機によって循環される冷媒とを熱交換させることによって、ブロワから送風される空気を冷却および除湿する蒸発器(45)と、車両の車室内の空気である内気をブロワに導入する内気導入口(511)と、車両の車室外の空気である外気をブロワに導入する外気導入口(512)とを有する内外気ケース(51)と、内気導入口および外気導入口を開閉することによって、内気導入口および外気導入口の開閉状態である吸込口モードを、内気導入口が開いた状態かつ外気導入口が閉じた状態であることでブロワから車両の車室内に送風される空気を内気にする内気モード、および、内気導入口が閉じた状態かつ外気導入口が開いた状態であることでブロワから車両の車室内に送風される空気を外気にする外気モードのどちらかにする切替部(52)と、吸込口モードが外気モードであるとともに車両がアイドルストップ中であるとき、外気の湿度(Ham)が外気基準値(Ham_th、Hr+ε)よりも高いとき、吸込口モードを外気モードから内気モードに変更させるモード変更部(S140、S150)と、アイドルストップが解除された場合にブロワから蒸発器を通過した空気の温度である蒸発器温度(Te)が蒸発器基準値(Te_th2、TEO+ΔTe_th)よりも低いとき、モード変更部によって外気モードから内気モードに変更された吸込口モードを外気モードに戻すモード戻し部(S270)と、を備え、モード戻し部は、車両の乗員によって設定される設定温度(Tset)、内気の温度(Tr)および外気の温度(Tam)に基づいて、蒸発器基準値を算出する車両用空調装置である。
さらに、請求項3に記載の発明は、車両(1)が停止したときに車両のエンジン(2)を停止させるアイドルストップを行う車両に用いられる車両用空調装置であって、車両の車室内に向かって送風するブロワ(31)と、エンジンのトルクを用いて冷媒を圧縮して、冷媒を循環させる圧縮機(41)と、ブロワから送風される空気と圧縮機によって循環される冷媒とを熱交換させることによって、ブロワから送風される空気を冷却および除湿する蒸発器(45)と、車両の車室内の空気である内気をブロワに導入する内気導入口(511)と、車両の車室外の空気である外気をブロワに導入する外気導入口(512)とを有する内外気ケース(51)と、内気導入口および外気導入口を開閉することによって、内気導入口および外気導入口の開閉状態である吸込口モードを、内気導入口が開いた状態かつ外気導入口が閉じた状態であることでブロワから車両の車室内に送風される空気を内気にする内気モード、および、内気導入口が閉じた状態かつ外気導入口が開いた状態であることでブロワから車両の車室内に送風される空気を外気にする外気モードのどちらかにする切替部(52)と、吸込口モードが外気モードであるとともに車両がアイドルストップ中であるとき、外気の湿度(Ham)が外気基準値(Ham_th、Hr+ε)よりも高いとき、吸込口モードを外気モードから内気モードに変更させるモード変更部(S140、S150)と、アイドルストップが解除された場合にブロワから蒸発器を通過した空気の温度である蒸発器温度(Te)が蒸発器基準値(Te_th2、TEO+ΔTe_th)よりも低いとき、モード変更部によって外気モードから内気モードに変更された吸込口モードを外気モードに戻すモード戻し部(S270)と、車両が走行しているとき、車両の乗員によって設定される設定温度(Tset)、内気の温度(Tr)および外気の温度(Tam)に基づいて、吸込口モードを制御する空調制御部(S360)と、を備え、モード変更部は、車両がアイドルストップを行う前に空調制御部によって吸込口モードが制御されたことにより吸込口モードが外気モードである場合に、車両がアイドルストップ中であるとき、吸込口モードを外気モードから内気モードに変更させる車両用空調装置。
【0007】
モード変更部によって吸込口モードが外気モードから内気モードに変更されるため、車両がアイドルストップ中において、車両の車室外からの湿度が高い空気および雨の匂いを含む空気が車室内に流れることによる車室内の快適性の低下が抑制される。また、モード戻し部によって、車両のアイドルストップにより高くなった蒸発器温度が低下した状態で吸込口モードが外気モードに戻すことができる。このため、吸込口モードが外気モードに戻されたとき、ブロワから送風される空気が蒸発器によって十分に冷却および除湿されることから、車両のアイドルストップの解除後における車室内の快適性の低下が抑制される。
【0008】
また、請求項6に記載の発明は、車両(1)が停止したときに車両のエンジン(2)を停止させるアイドルストップを行う車両に用いられる車両用空調装置であって、車両の車室内に向かって送風するブロワ(31)と、エンジンのトルクを用いて冷媒を圧縮して、冷媒を循環させる圧縮機(41)と、ブロワから送風される空気と圧縮機によって循環される冷媒とを熱交換させることによって、ブロワから送風される空気を冷却および除湿する蒸発器(45)と、車両の車室内の空気である内気をブロワに導入する内気導入口(511)と、車両の車室外の空気である外気をブロワに導入する外気導入口(512)とを有する内外気ケース(51)と、内気導入口および外気導入口を開閉することによって、内気導入口および外気導入口の開閉状態である吸込口モードを、内気導入口が開いた状態かつ外気導入口が閉じた状態であることでブロワから車両の車室内に送風される空気を内気にする内気モード、および、内気導入口が閉じた状態かつ外気導入口が開いた状態であることでブロワから車両の車室内に送風される空気を外気にする外気モードのどちらかにする切替部(52)と、吸込口モードが外気モードであるとともに車両がアイドルストップ中であるとき、外気の湿度(Ham)が外気基準値(Ham_th、Hr+ε)よりも高いとき、吸込口モードを外気モードから内気モードに変更させるモード変更部(S140、S150)と、アイドルストップが解除されたとき、内気の湿度(Hr)が内気基準値(Hr_th)よりも低いとき、モード変更部によって外気モードから内気モードに変更された吸込口モードを外気モードに戻すモード戻し部(S270)と、を備える車両用空調装置である。
【0009】
これにより、上記と同様に、車両がアイドルストップ中において、車両の車室外からの湿度が高い空気および雨の匂いを含む空気が車室内に流れることによる車室内の快適性の低下が抑制される。また、モード戻し部によって車室内の快適性が低下しにくい状態で、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すことができるため、車両のアイドルストップの解除後における車室内の快適性の低下が抑制される。
【0010】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の車両用空調装置の構成図。
図2】車両用空調装置のエアコンECUのブロック図。
図3】エアコンECUのモード制御部の処理を示すフローチャート。
図4】モード制御部の処理を示すフローチャート。
図5】エアコンECUの空調制御部の処理を示すフローチャート。
図6】モード制御部および空調制御部の処理を説明するためのタイムチャート。
図7】変形例1のモード制御部の処理を示すフローチャート。
図8】変形例2のモード制御部の処理を示すフローチャート。
図9】変形例3のモード制御部の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0013】
実施形態の車両用空調装置100は、車両1に用いられる。まず、この車両1について説明する。
【0014】
車両1は、図1に示すように、エンジン2、ベルト3、クラッチ4、エンジン制御装置5および車両用空調装置100を備えている。
【0015】
エンジン2は、車両1が走行するための内燃機関である。
【0016】
ベルト3は、エンジン2に接続されている。また、ベルト3は、エンジン2のトルクの一部を後述のクラッチ4に伝達する。
【0017】
クラッチ4は、後述の車両用空調装置100からの信号に基づいて、後述の車両用空調装置100の圧縮機41と接続される。また、クラッチ4は、圧縮機41と接続されたとき、エンジン2からベルト3を介してクラッチ4に伝達されるトルクを圧縮機41に伝達する。
【0018】
エンジン制御装置5は、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、フラッシュメモリ、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、エンジン制御装置5は、車両1のイグニッションがオンされたとき、エンジン制御装置5のROMに記憶されたプログラムを実行する。このとき、エンジン制御装置5は、例えば、車両1が停止したとき、エンジン2を停止させる。これにより、車両1は、アイドルストップを行う。さらに、このとき、エンジン制御装置5は、車両1のアイドルストップがオンされていることを示す信号を、後述のエアコンECU80に出力する。また、エンジン制御装置5は、車両1がアイドルストップ中であって所定の再起動条件が成立するとき、エンジン2を再起動させる。このとき、エンジン制御装置5は、車両1のアイドルストップがオフされていることを示す信号を、後述のエアコンECU80に出力する。
【0019】
車両用空調装置100は、車両1の車室内を快適にする。具体的には、車両用空調装置100は、空調部20、内外気切替部50、空調操作部60、環境取得部70およびエアコンECU80を備えている。
【0020】
空調部20は、車室内を快適にするための空気を車室内に向かって送風する。具体的には、空調部20は、空調ケース21、フェイス切替ドア22、フット切替ドア23、デフロスタ切替ドア24および吹出口モータ25を有する。また、空調部20は、ブロワ31、ブロワモータ311、冷凍サイクル40、ヒータコア33、エアミックスドア34およびエアミックスモータ341を有する。
【0021】
空調ケース21は、ブロワ31、後述の冷凍サイクル40の蒸発器45、ヒータコア33およびエアミックスドア34等を収容している。また、空調ケース21は、車室内を快適にするための空気が流れる空気通路を形成している。さらに、空調ケース21は、車室内に向かって空気が吹き出るように、フェイス吹出口211、フット吹出口212およびデフロスタ吹出口213をこの空気通路の下流側に含む。
【0022】
フェイス吹出口211は、図示しない車室内の座席の背もたれ部またはヘッドレストを向いて開口している。
【0023】
フット吹出口212は、車室内の座席の座部またはこの座部の下側を向いて開口している。
【0024】
デフロスタ吹出口213は、車両1の図示しないフロントウィンドウの内面を向いて開口している。
【0025】
フェイス切替ドア22は、図示しないリンク機構を介して吹出口モータ25によって駆動されることにより、フェイス吹出口211を開閉する。
【0026】
フット切替ドア23は、図示しないリンク機構を介して吹出口モータ25によって駆動されることにより、フット吹出口212を開閉する。
【0027】
デフロスタ切替ドア24は、図示しないリンク機構を介して吹出口モータ25によって駆動されることにより、デフロスタ吹出口213を開閉する。
【0028】
ブロワ31は、フェイス吹出口211、フット吹出口212およびデフロスタ吹出口213とは反対側、すなわち、空調ケース21の空気流路の上流側に配置されている。また、ブロワ31は、ブロワモータ311によって駆動されることにより、車室内に向かって送風する。
【0029】
冷凍サイクル40は、冷媒を循環させることによって、ブロワ31からの送風空気を冷却および除湿させる。具体的には、冷凍サイクル40は、圧縮機41、凝縮器42、受液器43、膨張弁44、蒸発器45および冷媒配管46を有する。
【0030】
圧縮機41は、エンジン2からベルト3およびクラッチ4を介して伝達されるトルクによって駆動する。このとき、圧縮機41は、蒸発器45側の冷媒配管46から冷媒を吸引する。また、圧縮機41は、この吸引した冷媒を圧縮して、高圧の気相冷媒を凝縮器42に向かって吐出する。
【0031】
凝縮器42は、圧縮機41から吐出された高圧の気相冷媒と外部の空気とを熱交換させる。このとき、凝縮器42を流れる高圧の気相冷媒は、外部の空気に放熱し凝縮する。この凝縮器42によって凝縮された冷媒は、受液器43に流れる。
【0032】
受液器43は、凝縮器42から流れる冷媒の気液を分離するとともに、分離した液相冷媒を貯める。この受液器43にて貯められた液相冷媒は、膨張弁44に流れる。
【0033】
膨張弁44は、受液器43から流れる液相冷媒を減圧する。この減圧された冷媒は、霧状の気液二相状態になる。この膨張弁44によって気液二相状態となった冷媒は、蒸発器45に流れる。
【0034】
蒸発器45は、膨張弁44から流れる気液二相冷媒と、ブロワ31からの送風空気とを熱交換させる。このとき、膨張弁44から流れる気液二相冷媒は、ブロワ31からの送風空気から吸熱することによって、蒸発して気相冷媒になる。この蒸発した気相冷媒は、冷媒配管46を介して圧縮機41に吸引される。また、ブロワ31からの送風空気は、蒸発器45を流れる気液二相冷媒によって吸熱されることによって、冷却および除湿される。
【0035】
ヒータコア33は、ブロワ31から蒸発器45を通過した空気と、図示しないチューブ内を流れる温水とを熱交換させる。このとき、ブロワ31から蒸発器45を通過した送風空気は、ヒータコア33のチューブ内を流れる温水によって加熱される。
【0036】
エアミックスドア34は、蒸発器45よりも空調ケース21の空気通路の下流側であって、ヒータコア33よりも空調ケース21の空気通路の上流側に配置されている。また、エアミックスドア34は、エアミックスモータ341によって駆動されることにより、ヒータコア33に流れる送風空気とヒータコア33を迂回する送風空気との風量比を調整する。これにより、エアミックスドア34は、ブロワ31から車室内に向かって送風される空気の温度を調整する。そして、エアミックスドア34によって調整された送風空気は、フェイス吹出口211、フット吹出口212またはデフロスタ吹出口213を経由して、車室内に送風される。
【0037】
内外気切替部50は、ブロワ31に導入する空気を内気および外気のどちらかに切り替える。具体的には、内外気切替部50は、内外気ケース51、内外気切替ドア52および内外気モータ521を有する。なお、内気とは、車室内の空気である。また、外気とは、車室外の空気である。
【0038】
内外気ケース51は、空調ケース21の空気通路の上流側に配置されている。また、内外気ケース51は、内気および外気のどちらかをブロワ31に導入する。具体的には、内外気ケース51は、内気導入口511および外気導入口512を含む。
【0039】
内気導入口511は、内気をブロワ31に導入する。
【0040】
外気導入口512は、外気をブロワ31に導入する。
【0041】
内外気切替ドア52は、切替部に対応する。内外気切替ドア52は、内外気モータ521によって駆動されることにより、内気導入口511および外気導入口512を開閉する。これにより、内外気切替ドア52は、ブロワ31に導入する空気を内気および外気のどちらかに切り替える。
【0042】
空調操作部60は、車両1の乗員によって操作されることにより、各操作設定を示す信号をエアコンECU80に出力する。具体的には、空調操作部60は、温度設定スイッチ61、AUTOスイッチ62、吹出口モードスイッチ63、ブロワスイッチ64、吸込口モードスイッチ65およびA/Cスイッチ66を有する。
【0043】
温度設定スイッチ61は、車室内の設定温度Tsetに応じた信号を、後述のエアコンECU80に出力する。
【0044】
AUTOスイッチ62は、後述のエアコンECU80の空調制御部82をAUTOモードにさせる信号および空調制御部82をマニュアルモードにさせる信号のどちらかを、エアコンECU80に出力する。なお、AUTOモードは、空調自動制御を自動でエアコンECU80にさせる状態である。また、マニュアルモードは、空調自動制御を空調制御部82にさせないで、車両1の乗員に操作される設定に基づく空調制御を空調制御部82にさせる状態である。
【0045】
吹出口モードスイッチ63は、車両1の乗員により設定された吹出口モードに応じた信号を、後述のエアコンECU80に出力する。なお、吹出口モードは、フェイス吹出口211、フット吹出口212およびデフロスタ吹出口213の開閉状態である。
【0046】
ブロワスイッチ64は、ブロワ31の設定風量Qsetに応じた信号を、後述のエアコンECU80に出力する。
【0047】
吸込口モードスイッチ65は、吸込口モードを内気モードにさせる信号および吸込口モードを外気モードにさせる信号のどちらかを、後述のエアコンECU80に出力する。なお、吸込口モードは、内気導入口511および外気導入口512の開閉状態である。また、内気モードは、内気導入口511が開いており、外気導入口512が閉じている状態である。この内気モードでは、内気導入口511からブロワ31に内気が導入されて、車室内に向かって送風される空気が内気になる。さらに、外気モードは、内気導入口511が閉じており、外気導入口512が開いている状態である。この外気モードでは、外気導入口512からブロワ31に外気が導入されて、車室内に向かって送風される空気が外気になる。
【0048】
A/Cスイッチ66は、圧縮機41を駆動させる信号および圧縮機41を停止させる信号のどちらかを、後述のエアコンECU80に出力する。
【0049】
環境取得部70は、車両1の車室内および車室外についての環境情報を取得する。また、環境取得部70は、これらの取得した環境情報を、後述のエアコンECU80に出力する。具体的には、環境取得部70は、内気温度センサ71、外気温度センサ72、蒸発器温度センサ73、水温センサ74、内気湿度センサ75および外気湿度センサ76を有する。
【0050】
内気温度センサ71は、内気温度Trに応じた信号を、後述のエアコンECU80に出力する。なお、内気温度Trは、車両1の車室内における空気の温度、すなわち、内気の温度である。
【0051】
外気温度センサ72は、外気温度Tamに応じた信号を、後述のエアコンECU80に出力する。なお、外気温度Tamは、車両1の車室外における空気の温度、すなわち、外気の温度である。
【0052】
蒸発器温度センサ73は、蒸発器45の下流側に配置されている。また、蒸発器温度センサ73は、蒸発器温度Teに応じた信号を、後述のエアコンECU80に出力する。なお、蒸発器温度Teは、ブロワ31から蒸発器45を通過した空気の温度である。
【0053】
水温センサ74は、温水温度Twに応じた信号を、後述のエアコンECU80に出力する。なお、温水温度Twは、蒸発器45を通過した空気とヒータコア33によって熱交換される温水の温度である。
【0054】
内気湿度センサ75は、内気湿度Hrに応じた信号を、後述のエアコンECU80に出力する。なお、内気湿度Hrは、車両1の車室内における空気の湿度、すなわち、内気の湿度である。
【0055】
外気湿度センサ76は、外気湿度Hamに応じた信号を、後述のエアコンECU80に出力する。なお、外気湿度Hamは、車両1の車室外における空気の湿度、すなわち、外気の湿度である。
【0056】
エアコンECU80は、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、フラッシュメモリ、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、エアコンECU80は、エアコンECU80のROMに記憶されたプログラムを実行することによって、車室内を快適にする。具体的には、エアコンECU80は、図2に示すように、モード制御部81および空調制御部82を機能ブロックとして含む。
【0057】
モード制御部81は、モード変更部、モード戻し部および解除部に対応しており、車両1がアイドルストップ中であるとき、吸込口モードを制御することによって後述の空調制御部82を制御する。これにより、モード制御部81は、車室内の快適性の低下を抑制する。このモード制御部81についての詳細は、後述する。
【0058】
空調制御部82は、空調操作部60からの信号、環境取得部70からの信号およびモード制御部81からの信号に基づいて、空調制御を行うことによって車室内を快適にする。この空調制御部82についての詳細は、後述する。
【0059】
以上のように、車両1は、構成されている。
【0060】
次に、モード制御部81のプログラムの実行による吸込口モードの制御について、図3および図4のフローチャートを参照して説明する。このモード制御部81のプログラムは、例えば、車両1のイグニッションがオンされたとき、実行される。ここで、モード制御部81のステップS100の処理が開始されてからステップS100の処理に戻るまでの一連の動作の期間を、モード制御部81の制御周期とする。
【0061】
ステップS100において、モード制御部81は、各種情報を取得する。
【0062】
具体的には、モード制御部81は、車両1のアイドルストップのオンオフ信号をエンジン制御装置5から取得する。また、モード制御部81は、空調制御部82をAUTOモードにさせる信号および空調制御部82をマニュアルモードにさせる信号のどちらかを、AUTOスイッチ62から取得する。さらに、モード制御部81は、吸込口モードが内気モードおよび外気モードのどちらであるかを、後述の空調制御部82から取得する。また、モード制御部81は、蒸発器温度Teを、蒸発器温度センサ73から取得する。さらに、モード制御部81は、外気湿度Hamを、外気湿度センサ76から取得する。
【0063】
続いて、ステップS110において、モード制御部81は、ステップS100にて取得したエンジン制御装置5からの信号に基づいて、車両1のアイドルストップのオンオフを判定する。
【0064】
そして、エンジン制御装置5からの信号が車両1のアイドルストップのオン信号であるとき、モード制御部81は、車両1のアイドルストップがオンであると判定する。その後、モード制御部81は、モード制御部81の処理がステップS120に移行する。また、エンジン制御装置5からの信号が車両1のアイドルストップのオフ信号であるとき、モード制御部81は、車両1のアイドルストップがオフであると判定する。その後、モード制御部81の処理は、ステップS250に移行する。
【0065】
ステップS110に続くステップS120において、モード制御部81は、前回制御周期におけるステップS100にてエンジン制御装置5から取得した信号が車両1のアイドルストップのオフ信号であったか否かを判定する。これにより、モード制御部81は、車両1のアイドルストップの開始直後であるか否かを判定する。
【0066】
そして、モード制御部81は、前回制御周期におけるステップS100にてエンジン制御装置5から取得した信号が車両1のアイドルストップのオフ信号であったとき、車両1のアイドルストップの開始直後であると判定する。その後、モード制御部81の処理は、ステップS130に移行する。また、前回制御周期におけるステップS100にてエンジン制御装置5から取得した信号が車両1のアイドルストップのオン信号であったとき、車両1のアイドルストップが継続されている。このため、このとき、モード制御部81は、車両1のアイドルストップの開始直後ではないと判定する。その後、モード制御部81の処理は、ステップS220に移行する。
【0067】
ステップS120に続くステップS130において、モード制御部81は、ステップS100にてAUTOスイッチ62から取得した信号が後述の空調制御部82をAUTOモードにさせる信号であるか否かを判定する。また、モード制御部81は、ステップS100にて後述の空調制御部82から取得した信号が吸込口モードを外気モードにさせている信号であるか否かを判定する。これにより、モード制御部81は、後述の空調制御部82の空調自動制御によって吸込口モードが外気モードになっているか否かを判定する。
【0068】
そして、AUTOスイッチ62からの信号が空調制御部82をAUTOモードにさせる信号であって、かつ、空調制御部82からの信号が吸込口モードを外気モードにさせている信号であるとする。このとき、モード制御部81は、空調制御部82の空調自動制御によって吸込口モードが外気モードになっていると判定する。その後、モード制御部81の処理は、ステップS140に移行する。
【0069】
また、AUTOスイッチ62からの信号が空調制御部82をAUTOモードにさせる信号であって、かつ、空調制御部82からの信号が吸込口モードを内気モードにさせている信号であるとする。このとき、モード制御部81は、空調制御部82の空調自動制御によって吸込口モードが内気モードになっていると判定する。その後、モード制御部81の処理は、ステップS170に移行する。
【0070】
さらに、AUTOスイッチ62からの信号が空調制御部82をマニュアルモードにさせる信号であって、かつ、空調制御部82からの信号が吸込口モードを外気モードにさせている信号であるとする。このとき、モード制御部81は、車両1の乗員に操作される設定に基づく空調制御によって吸込口モードが外気モードになっていると判定する。その後、モード制御部81の処理は、ステップS170に移行する。
【0071】
また、AUTOスイッチ62からの信号が空調制御部82をマニュアルモードにさせる信号であって、かつ、空調制御部82からの信号が吸込口モードを内気モードにさせている信号であるとする。このとき、モード制御部81は、車両1の乗員に操作される設定に基づく空調制御によって吸込口モードが内気モードになっていると判定する。その後、モード制御部81の処理は、ステップS170に移行する。
【0072】
ステップS140において、モード制御部81は、ステップS100にて取得した外気湿度Hamが外気湿度閾値Ham_thよりも高いか否かを判定する。これにより、モード制御部81は、車室内の快適性が低下するか否かを判定する。なお、外気湿度閾値Ham_thは、実験やシミュレーション等によって設定される。
【0073】
そして、外気湿度Hamが外気湿度閾値Ham_thよりも高いとき、このままでは、車室外からの湿度が高い空気が車室内に流れることによって、車室内の快適性が低下する。また、このとき、雨が降っていれば、雨が当たることで大気中に拡散される植物および岩石の油分ならびに土壌細菌等の土壌物質によって発生する雨の匂いが車室内に流れる。これにより、車室内の快適性が低下する。このため、モード制御部81は、吸込口モードを制御するため、モード制御部81の処理がステップS150に移行する。また、外気湿度Hamが外気湿度閾値Ham_th以下であるとき、上記による車室内の快適性が低下しにくい。このため、モード制御部81は、吸込口モードを制御しないで、モード制御部81の処理は、ステップS160に移行する。
【0074】
ステップS140に続くステップS150において、モード制御部81は、吸込口モードを外気モードから内気モードに変更させる。このとき、モード制御部81は、状態フラグINmodeを1にする。なお、状態フラグINmodeは、モード制御部81が空調制御部82および吸込口モードを制御するためのフラグである。
【0075】
具体的には、モード制御部81は、吸込口モードを外気モードから内気モードに変更させるための信号を、空調制御部82に出力する。このとき、空調制御部82は、後述するように、内外気モータ521を駆動させるための信号を、内外気モータ521に出力する。このとき、内外気モータ521が回転することによって、内外気切替ドア52は、内気導入口511を開いて、外気導入口512を閉じる。したがって、吸込口モードが外気モードから内気モードに変更される。これにより、車室内に流れる空気が外気から内気に変更されるため、湿度が外気よりも低い空気および雨の匂い等を含まない空気が車室内に流れる。このため、車室外からの湿度が高い空気および雨の匂いを含む空気が車室内に流れることによる車室内の快適性の低下が抑制される。その後、モード制御部81の処理は、ステップS220に移行する。
【0076】
ステップS140に続くステップS160において、外気湿度Hamが外気湿度閾値Ham_th以下であることから車室内の快適性が低下しにくいため、モード制御部81は、AUTOモードおよび外気モードを継続させる。このとき、モード制御部81は、状態フラグINmodeを2にする。その後、モード制御部81の処理は、ステップS220に移行する。
【0077】
ステップS130に続くステップS170において、以下の3つの場合がある。この1つの場合は、空調制御部82がAUTOモードであって、かつ、吸込口モードが内気モードである場合である。また、もう1つの場合は、空調制御部82がマニュアルモードであって、かつ、吸込口モードが内気モードである場合である。さらに、もう1つの場合は、空調制御部82がマニュアルモードであって、かつ、吸込口モードが外気モードである場合である。これらのうちのどの場合であるかを判定するため、モード制御部81は、ステップS100にてAUTOスイッチ62から取得した信号が後述の空調制御部82をAUTOモードにさせる信号であるか否かを判定する。これにより、モード制御部81は、後述の空調制御部82がAUTOモードであって、かつ、吸込口モードが内気モードであるか否かを判定する。
【0078】
そして、AUTOスイッチ62からの信号が空調制御部82をAUTOモードにさせる信号であるとき、モード制御部81は、空調制御部82がAUTOモードであって、かつ、吸込口モードが内気モードであると判定する。その後、モード制御部81は、この状態を継続させるため、モード制御部81の処理がステップS180に移行する。また、AUTOスイッチ62からの信号が空調制御部82をマニュアルモードにさせる信号であるとき、モード制御部81の処理は、ステップS190に移行する。
【0079】
ステップS170に続くステップS180において、吸込口モードが内気モードであることから車室内の快適性が低下しにくいため、モード制御部81は、AUTOモードおよび内気モードを継続させる。このとき、モード制御部81は、状態フラグINmodeを3にする。その後、モード制御部81の処理は、ステップS220に移行する。
【0080】
ステップS170に続くステップS190において、空調制御部82がマニュアルモードであってかつ吸込口モードが外気モードである場合、および、空調制御部82がマニュアルモードであってかつ吸込口モードが内気モードである場合のどちらかである。どちらの場合であるかを判定するため、モード制御部81は、ステップS100にて空調制御部82から取得した信号が吸込口モードを外気モードにさせている信号であるか否かを判定する。これにより、モード制御部81は、どちらの場合であるかを判定する。
【0081】
そして、空調制御部82からの信号が吸込口モードを外気モードにさせている信号であるとき、モード制御部81は、空調制御部82がマニュアルモードであって、かつ、吸込口モードが外気モードであると判定する。その後、モード制御部81は、この状態を継続させるため、モード制御部81の処理がステップS200に移行する。また、空調制御部82からの信号が吸込口モードを内気モードにさせている信号であるとき、モード制御部81は、空調制御部82がマニュアルモードであって、かつ、吸込口モードが内気モードであると判定する。その後、モード制御部81は、この状態を継続させるため、モード制御部81の処理がステップS210に移行する。
【0082】
ステップS190に続くステップS200において、状態がマニュアルモードおよび外気モードであることから、車両1の乗員の意図によって吸込口モードが外気モードになっている。これにより、モード制御部81は、車両1の乗員の意図を優先するため、吸込口モードを変更しないで、マニュアルモードおよび外気モードを継続させる。このとき、モード制御部81は、状態フラグINmodeを4にする。その後、モード制御部81の処理は、ステップS220に移行する。
【0083】
ステップS190に続くステップS210において、モード制御部81は、車両1の乗員の意図を優先するため、マニュアルモードおよび内気モードを継続させる。このとき、モード制御部81は、状態フラグINmodeを5にする。その後、モード制御部81の処理は、ステップS220に移行する。
【0084】
ステップS220において、車両1がアイドルストップ中であることから圧縮機41が駆動していないため、蒸発器温度Teが高くなる。したがって、モード制御部81は、ステップS100にて取得した蒸発器温度Teが第1温度閾値Te_th1よりも高いか否かを判定する。これにより、モード制御部81は、車両1のアイドルストップをエンジン制御装置5に解除させるか否かを判定する。なお、第1温度閾値Te_th1は、フェイス吹出口211、フット吹出口212およびデフロスタ吹出口213から吹き出す風によって車室内の快適性が低下するときの蒸発器温度Teである。また、第1温度閾値Te_th1は、実験やシミュレーション等によって設定される。
【0085】
そして、蒸発器温度Teが第1温度閾値Te_th1よりも高いとき、フェイス吹出口211、フット吹出口212およびデフロスタ吹出口213から吹き出す風の温度および湿度が高くなるため、車室内の快適性が低下する。このため、このとき、モード制御部81は、車両1のアイドルストップを解除させるため、モード制御部81の処理は、ステップS240に移行する。また、蒸発器温度Teが第1温度閾値Te_th1以下であるとき、蒸発器温度Teが低いことから、フェイス吹出口211、フット吹出口212およびデフロスタ吹出口213から吹き出される風の温度および湿度が高くなりにくい。これにより、車室内の快適性が低下しにくい。このため、このとき、モード制御部81は、車両1のアイドルストップを継続させるため、モード制御部81の処理は、ステップS230に移行する。
【0086】
ステップS220に続くステップS230において、モード制御部81は、車両1のアイドルストップを継続させる。例えば、モード制御部81は、エンジン制御装置5に信号を出力しない。このとき、エンジン制御装置5は、車両1のエンジン2を停止させたままにする。これにより、圧縮機41も停止したままである。その後、モード制御部81の処理は、ステップS100に戻る。
【0087】
ステップS220に続くステップS240において、モード制御部81は、車両1のアイドルストップを解除させるための信号をエンジン制御装置5に出力する。このとき、エンジン制御装置5は、車両1のエンジン2を駆動させる。これにより、エンジン2のトルクの一部がベルト3およびクラッチ4を介して圧縮機41に伝達されるため、圧縮機41が駆動する。この駆動した圧縮機41は、蒸発器45側の冷媒配管46から冷媒を吸引する。また、圧縮機41は、この吸引した冷媒を圧縮して、高圧の気相冷媒を凝縮器42に向かって吐出する。さらに、この凝縮器42によって凝縮された冷媒は、受液器43に流れる。また、この受液器43にて貯められた液相冷媒は、膨張弁44に流れる。この膨張弁44によって気液二相状態となった冷媒は、蒸発器45に流れる。ブロワ31からの送風空気は、蒸発器45を流れる気液二相冷媒によって吸熱されることによって、冷却および除湿される。したがって、車両1のアイドルストップによって高くなっていた蒸発器温度Teが低下する。
【0088】
ステップS240に続くステップS250において、モード制御部81は、状態フラグINmodeが1であるか否かを判定する。これにより、モード制御部81は、吸込口モードを外気モードから内気モードに変更させたか否かを判定する。そして、状態フラグINmodeが1であるとき、吸込口モードを外気モードから内気モードに変更させていたことから、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すため、モード制御部81の処理は、ステップS260に移行する。また、状態フラグINmodeが1でないとき、その状態フラグINmodeに基づく状態を継続させるため、モード制御部81の処理は、ステップS100に戻る。
【0089】
ステップS250に続くステップS260において、モード制御部81は、蒸発器温度Teを蒸発器温度センサ73から改めて取得する。また、モード制御部81は、この取得した蒸発器温度Teが第2温度閾値Te_th2よりも低いか否かを判定する。これにより、モード制御部81は、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すか否かを判定する。なお、第2温度閾値Te_th2は、ブロワ31から蒸発器45を通過した送風空気を十分に冷却および除湿できる蒸発器温度Teである。このため、第2温度閾値Te_th2は、フェイス吹出口211、フット吹出口212、デフロスタ吹出口213から吹き出す風によって車室内の快適性が低下しないときの蒸発器温度Teである。また、第2温度閾値Te_th2は、実験やシミュレーション等によって設定される。
【0090】
そして、蒸発器温度Teが第2温度閾値Te_th2よりも低いとき、車両1のアイドルストップが解除されるとともに圧縮機41が駆動したことによって蒸発器温度Teが低くなっている。これにより、フェイス吹出口211、フット吹出口212およびデフロスタ吹出口213から吹き出す風によって車室内の快適性が低下しにくい。このため、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すため、モード制御部81の処理は、ステップS270に移行する。また、蒸発器温度Teが第2温度閾値Te_th2以上であるとき、蒸発器温度Teが高いことから、ブロワ31から蒸発器45を通過した送風空気を十分に冷却および除湿できない。このため、このまま、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すと、フェイス吹出口211、フット吹出口212およびデフロスタ吹出口213から吹き出す湿度の高い風によって車室内の快適性が低下する。したがって、モード制御部81は、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻さないで、吸込口モードを内気モードのままにさせる。その後、モード制御部81の処理は、ステップS100に戻る。
【0091】
ステップS260に続くステップS270において、モード制御部81は、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻す。このとき、モード制御部81は、状態フラグINmodeを0にする。
【0092】
具体的には、モード制御部81は、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すための信号を、空調制御部82に出力する。このとき、空調制御部82は、後述するように、内外気モータ521を駆動させるための信号を、内外気モータ521に出力する。このとき、内外気モータ521が回転することによって、内外気切替ドア52は、外気導入口512を開いて、内気導入口511を閉じる。したがって、吸込口モードが内気モードから外気モードに戻る。これにより、吸込口モードが外気モードに戻されたとき、ブロワ31から送風される空気を蒸発器45によって十分に冷却および除湿できることから、車両1のアイドルストップの解除後における車室内の快適性の低下が抑制される。その後、モード制御部81の処理は、ステップS100に戻る。
【0093】
以上のように、モード制御部81は、吸込口モードを制御する。
【0094】
次に、空調制御部82のプログラムの実行による空調制御について、図5のフローチャートを参照して説明する。この空調制御部82のプログラムは、例えば、車両1のイグニッションがオンされたとき、実行される。
【0095】
ステップS300において、空調制御部82は、次のステップS310の処理を開始してから経過した時間を計るタイマを初期化する。
【0096】
続いて、ステップS310において、空調制御部82は、各種情報を取得する。
【0097】
具体的には、空調制御部82は、車室内の設定温度Tsetを、温度設定スイッチ61から取得する。また、空調制御部82は、空調制御部82をAUTOモードにさせる信号および空調制御部82をマニュアルモードにさせる信号のどちらかを、AUTOスイッチ62から取得する。さらに、空調制御部82は、車両1の乗員によって設定された吹出口モードを、吹出口モードスイッチ63を取得する。また、空調制御部82は、ブロワ31の設定風量Qsetを、ブロワスイッチ64から取得する。さらに、空調制御部82は、吸込口モードを内気モードにさせる信号および吸込口モードを外気モードにさせる信号のどちらかを、吸込口モードスイッチ65から取得する。また、空調制御部82は、圧縮機41を駆動させる信号および圧縮機41を停止させる信号のどちらかを、A/Cスイッチ66から取得する。さらに、空調制御部82は、内気温度Trを、内気温度センサ71から取得する。また、空調制御部82は、外気温度Tamを、外気温度センサ72から取得する。さらに、空調制御部82は、蒸発器温度Teを、蒸発器温度センサ73から取得する。また、空調制御部82は、温水温度Twを、水温センサ74から取得する。さらに、空調制御部82は、内気湿度Hrを、内気湿度センサ75から取得する。また、空調制御部82は、外気湿度Hamを、外気湿度センサ76から取得する。さらに、空調制御部82は、モード制御部81によって算出された状態フラグINmodeを、モード制御部81から取得する。
【0098】
続いて、ステップS320において、空調制御部82は、ステップS310にて取得した設定温度Tset、内気温度Trおよび外気温度Tamに基づいて、車室内の温度を設定温度Tsetに維持するための目標吹出温度TAOを算出する。例えば、空調制御部82は、これらの設定温度Tset、内気温度Trおよび外気温度Tamを、以下関係式(1)に代入する。これにより、空調制御部82は、目標吹出温度TAOを算出する。以下関係式(1)において、Kset、KrおよびKamは、制御ゲインを示す定数である。また、Cは、補正用の定数である。
【0099】
TAO=Kset×Tset-Kr×Tr-Kam×Tam+C ・・・(1)
【0100】
続いて、ステップS330において、空調制御部82は、ステップS310にて取得した蒸発器温度Teおよび温水温度TwならびにステップS320にて算出した目標吹出温度TAOに基づいて、エアミックスドア34の目標開度SWを算出する。例えば、エアコンECU80は、これらの蒸発器温度Te、温水温度Twおよび目標吹出温度TAOを以下関係式(2)に代入する。これにより、空調制御部82は、エアミックスドア34の目標開度SWを算出する。
【0101】
SW=(TAO-Te)/(Tw-Te) ・・・(2)
【0102】
続いて、ステップS340において、空調制御部82は、ステップS310にて取得したAUTOスイッチ62からの信号、吹出口モードスイッチ63からの信号およびステップS320にて算出した目標吹出温度TAOに基づいて、吹出口モードを決定する。
【0103】
具体的には、AUTOスイッチ62からの信号が空調制御部82をAUTOモードにさせる信号である場合、空調制御部82は、ステップS320にて算出した目標吹出温度TAOに基づいて、吹出口モードを決定する。
【0104】
また、AUTOスイッチ62からの信号が空調制御部82をマニュアルモードにさせる信号である場合、空調制御部82は、吹出口モードスイッチ63からの信号に基づいて、吹出口モードを決定する。
【0105】
続いて、ステップS350において、空調制御部82は、ステップS310にて取得したエンジン制御装置5からの信号に基づいて、圧縮機41を制御する。また、空調制御部82は、ステップS310にて取得したAUTOスイッチ62からの信号、A/Cスイッチ66からの信号、外気温度Tam、蒸発器温度TeおよびステップS320にて算出した目標吹出温度TAOに基づいて、圧縮機41を制御する。さらに、空調制御部82は、ステップS310にて取得したA/Cスイッチ66からの信号に基づいて、圧縮機41を制御する。
【0106】
具体的には、空調制御部82がステップS310にて取得したエンジン制御装置5からの信号が車両1のアイドルストップのオン信号である場合、エンジン2が停止している。このため、エンジン2のトルクがベルト3およびクラッチ4を介して、圧縮機41に伝達されないことから、圧縮機41が停止する。
【0107】
また、エンジン制御装置5からの信号が車両1のアイドルストップのオフ信号である場合において、AUTOスイッチ62からの信号が空調制御部82をAUTOモードにさせる信号であるとする。この場合、空調制御部82は、ステップS320にて算出した目標吹出温度TAOと、目標吹出温度TAOおよび目標蒸発器温度TEOのテーブルとを用いて、目標蒸発器温度TEOを算出する。なお、目標吹出温度TAOおよび目標蒸発器温度TEOのテーブルにおいて、例えば、車室内に吹き出される空気の温度を目標吹出温度TAOにするため、目標吹出温度TAOが低下するに伴って、目標蒸発器温度TEOが低下する。さらに、目標蒸発器温度TEOは、蒸発器45の着霜を防止するため、着霜温度、例えば、0度よりも高い値に設定される。
【0108】
また、空調制御部82は、ステップS310にて取得した蒸発器温度Teがこの算出した目標蒸発器温度TEO以下であるとき、ブロワ31からの送風空気を蒸発器45によって十分に冷却および除湿させることができる。このため、このとき、空調制御部82は、クラッチ4と圧縮機41との接続状態を解除するための信号を、クラッチ4に出力する。これにより、クラッチ4と圧縮機41との接続が解除される。したがって、エンジン2からのトルクがベルト3およびクラッチ4を介して圧縮機41に伝達されないため、圧縮機41が停止する。さらに、空調制御部82は、ステップS310にて取得した蒸発器温度Teがこの算出した目標蒸発器温度TEOよりも高いとき、ブロワ31からの送風空気を蒸発器45によって十分に冷却および除湿させることができない。このため、このとき、空調制御部82は、クラッチ4と圧縮機41とを接続させるための信号を、クラッチ4に出力する。これにより、クラッチ4と圧縮機41とが接続される。よって、エンジン2からのトルクがベルト3およびクラッチ4を介して圧縮機41に伝達されるため、圧縮機41が駆動する。
【0109】
また、エンジン制御装置5からの信号が車両1のアイドルストップのオフ信号である場合において、AUTOスイッチ62からの信号が空調制御部82をマニュアルモードにさせる信号であるとする。この場合、空調制御部82は、ステップS310にて取得したA/Cスイッチ66からの信号が圧縮機41を停止させる信号であるとき、クラッチ4と圧縮機41との接続状態を解除するための信号を、クラッチ4に出力する。これにより、クラッチ4と圧縮機41との接続が解除される。したがって、エンジン2からのトルクがベルト3およびクラッチ4を介して圧縮機41に伝達されないため、圧縮機41が停止する。さらに、空調制御部82は、ステップS310にて取得したA/Cスイッチ66からの信号が圧縮機41を駆動させる信号であるとき、クラッチ4と圧縮機41とを接続させるための信号を、クラッチ4に出力する。これにより、クラッチ4と圧縮機41とが接続される。よって、エンジン2からのトルクがベルト3およびクラッチ4を介して圧縮機41に伝達されるため、圧縮機41が駆動する。
【0110】
続いて、ステップS360において、空調制御部82は、ステップS310にて取得したエンジン制御装置5からの信号、AUTOスイッチ62からの信号および吸込口モードスイッチ65からの信号に基づいて、吸込口モードを決定する。また、空調制御部82は、ステップS310にて取得したモード制御部81によって算出された状態フラグINmodeに基づいて、吸込口モードを決定する。
【0111】
具体的には、エンジン制御装置5からの信号が車両1のアイドルストップのオフ信号であって、AUTOスイッチ62からの信号が空調制御部82をAUTOモードにさせる信号であるとする。この場合、空調制御部82は、ステップS320にて算出した目標吹出温度TAOと、目標吹出温度TAOおよび吸込口モードのテーブルとを用いて、吸込口モードを決定する。
【0112】
ここで、このテーブルにおいて、目標吹出温度TAOが上昇過程にある場合、目標吹出温度TAOが第1所定温度T1以上であるとき、車室内の換気をさせるため、吸込口モードが外気モードである。さらに、この場合、目標吹出温度TAOが第1所定温度T1よりも低いとき、冷房能力を向上させるため、吸込口モードが内気モードである。また、目標吹出温度TAOが下降過程にある場合、目標吹出温度TAOが第2所定温度T2以上であるとき、車室内の換気をさせるため、吸込口モードが外気モードである。さらに、この場合、目標吹出温度TAOが第2所定温度T2よりも低いとき、冷房能力を向上させるため、吸込口モードが内気モードである。なお、第1所定温度T1は、第2所定温度T2よりも高い値である。また、第1所定温度T1と第2所定温度T2との差は、制御ハンチング防止のためのヒステリシス幅として設定されている。
【0113】
また、エンジン制御装置5からの信号が車両1のアイドルストップのオフ信号であって、AUTOスイッチ62からの信号が空調制御部82をマニュアルモードにさせる信号であるとする。この場合、空調制御部82は、ステップS310にて取得した吸込口モードスイッチ65からの信号が吸込口モードを外気モードにさせる信号であるとき、吸込口モードを外気モードにさせるための信号を、内外気モータ521に出力する。このとき、内外気モータ521が回転することによって、内外気切替ドア52は、内気導入口511を閉じて、外気導入口512を開く。したがって、吸込口モードが外気モードになる。さらに、空調制御部82は、ステップS310にて取得した吸込口モードスイッチ65からの信号が吸込口モードを内気モードにさせる信号であるとき、吸込口モードを内気モードにさせるための信号を、内外気モータ521に出力する。このとき、内外気モータ521が回転することによって、内外気切替ドア52は、内気導入口511を開いて、外気導入口512を閉じる。よって、吸込口モードが内気モードになる。
【0114】
また、エンジン制御装置5からの信号が車両1のアイドルストップのオン信号であって、状態フラグINmodeが1であるとする。この場合、空調制御部82は、車室外からの湿度が高い空気および雨の匂いを含む空気が車室内に流れることによる車室内の快適性の低下を抑制するため、吸込口モードを外気モードから内気モードに変更する。このため、空調制御部82は、内外気モータ521を駆動させるための信号を、内外気モータ521に出力する。このとき、内外気モータ521が回転することによって、内外気切替ドア52は、内気導入口511を開いて、外気導入口512を閉じる。したがって、吸込口モードが外気モードから内気モードに変更される。
【0115】
さらに、エンジン制御装置5からの信号が車両1のアイドルストップのオン信号であって、状態フラグINmodeが2であるとする。この場合、車室外からの湿度が高い空気および雨の匂いを含む空気が車室内に流れることによる車室内の快適性の低下が生じにくいため、空調制御部82は、吸込口モードを外気モードに継続させる。
【0116】
また、エンジン制御装置5からの信号が車両1のアイドルストップのオン信号であって、状態フラグINmodeが3であるとする。この場合、車室外からの湿度が高い空気および雨の匂いを含む空気が車室内に流れることによる車室内の快適性の低下が生じにくいため、空調制御部82は、吸込口モードを内気モードに継続させる。
【0117】
さらに、エンジン制御装置5からの信号が車両1のアイドルストップのオン信号であって、状態フラグINmodeが4であるとする。この場合、空調制御部82は、車両1の乗員の意図を優先するため、吸込口モードを外気モードに継続させる。
【0118】
また、エンジン制御装置5からの信号が車両1のアイドルストップのオン信号であって、状態フラグINmodeが5であるとする。この場合、空調制御部82は、車両1の乗員の意図を優先するため、吸込口モードを内気モードに継続させる。
【0119】
さらに、エンジン制御装置5からの信号が車両1のアイドルストップのオフ信号であって、状態フラグINmodeが0であるとする。この場合、空調制御部82は、車両1のアイドルストップの解除後における車室内の快適性の低下を抑制するため、外気モードから内気モードに変更していた吸込口モードを外気モードに戻す。このため、空調制御部82は、内外気モータ521を駆動させるための信号を、内外気モータ521に出力する。このとき、内外気モータ521が回転することによって、内外気切替ドア52は、内気導入口511を開いて、外気導入口512を閉じる。よって、吸込口モードが外気モードから内気モードに戻る。
【0120】
続いて、ステップS370において、空調制御部82は、ステップS310にて取得した設定風量Qset、AUTOスイッチ62からの信号およびステップS320にて算出した目標吹出温度TAOに基づいて、ブロワ31を制御する。
【0121】
具体的には、AUTOスイッチ62からの信号が空調制御部82をAUTOモードにさせる信号である場合、空調制御部82は、ステップS320にて算出した目標吹出温度TAOと、目標吹出温度TAOおよびブロワ電圧Veのテーブルとを用いる。これにより、空調制御部82は、ブロワ電圧Veを算出する。
【0122】
ここで、目標吹出温度TAOおよびブロワ電圧Veのテーブルにおいて、目標吹出温度TAOが高温度域または低温度域であるとき、ブロワ電圧Veが高くなっている。このため、このとき、ブロワ風量Qbが大きくなる。また、このテーブルにおいて、目標吹出温度TAOが高温度域と低温度域との間の中間温度域であるとき、ブロワ電圧Veが低くなっている。このため、このとき、ブロワ風量Qbが小さくなる。
【0123】
そして、この算出されたブロワ電圧Veが図示しない電源からブロワ31に印加される。これにより、ブロワ31は、この算出されたブロワ電圧Veに対応するブロワ風量Qbの空気を送風する。なお、ブロワ電圧Veは、ブロワモータ311に印加される電圧である。また、ブロワ風量Qbは、ブロワ31から送風される空気の流量である。
【0124】
また、AUTOスイッチ62からの信号が空調制御部82をマニュアルモードにさせる信号である場合、空調制御部82は、ブロワ風量Qbが設定風量Qsetとなるブロワ電圧Veを算出する。そして、この算出されたブロワ電圧Veが図示しない電源からブロワ31に印加される。これにより、ブロワ31は、この算出されたブロワ電圧Veに対応するブロワ風量Qbの空気を送風する。
【0125】
続いて、ステップS380において、空調制御部82は、ステップS300の処理を開始してから経過した時間を計るためのタイマによって測定された時間が所定時間に到達したか否かを判定する。タイマによって測定された時間が所定時間に到達していないとき、タイマによって測定された時間が所定時間に到達するまで、ステップS380が繰り返される。また、タイマによって測定された時間が所定時間に到達したとき、空調制御部82の処理は、ステップS300に戻る。
【0126】
以上のように、空調制御部82は、空調制御を行う。
【0127】
次に、一事例におけるモード制御部81および空調制御部82の処理について、図6のタイムチャートを参照して説明する。
【0128】
この事例では、車両1は、雨が降っている中で走行している。また、車両1のイグニッションがオンされていることによって、モード制御部81および空調制御部82のプログラムが起動されている。
【0129】
初期時刻X0からX1までの期間において、雨が降っているため、外気湿度Hamは、外気湿度閾値Ham_thよりも高くなっている。また、車両1が走行しているため、エンジン制御装置5からの信号は、車両1のアイドルストップのオフ信号である。
【0130】
したがって、モード制御部81は、ステップS110にて、車両1のアイドルストップがオフであると判定する。また、空調制御部82がAUTOモードであってかつ吸込口モードが外気モードから内気モードに変更されていないため、状態フラグINmodeが1ではない。このため、モード制御部81の処理がステップS100に戻る。
【0131】
また、AUTOスイッチ62からの信号は、空調制御部82を空調自動制御にさせる信号である。よって、エンジン制御装置5からの信号が車両1のアイドルストップのオフ信号であって、AUTOスイッチ62からの信号が空調制御部82をAUTOモードにさせる信号である。このとき、空調制御部82は、ステップS320にて算出した目標吹出温度TAOと、目標吹出温度TAOおよび吸込口モードのテーブルとを用いて、ステップS350にて、吸込口モードを決定する。ここでは、空調制御部82は、吸込口モードを外気モードに決定する。そして、空調制御部82は、吸込口モードを外気モードにさせるための信号を、内外気モータ521に出力する。このとき、内外気モータ521が回転することによって、内外気切替ドア52は、内気導入口511を閉じて、外気導入口512を開く。したがって、吸込口モードは、外気モードである。
【0132】
また、空調制御部82は、ステップS350にて、クラッチ4と圧縮機41とを接続させるための信号を、クラッチ4に出力する。これにより、クラッチ4と圧縮機41とが接続される。よって、エンジン2からのトルクがベルト3およびクラッチ4を介して圧縮機41に伝達されるため、圧縮機41が駆動する。この駆動した圧縮機41は、蒸発器45側の冷媒配管46から冷媒を吸引する。また、圧縮機41は、この吸引した冷媒を圧縮して、高圧の気相冷媒を凝縮器42に向かって吐出する。さらに、この凝縮器42によって凝縮された冷媒は、受液器43に流れる。また、この受液器43にて貯められた液相冷媒は、膨張弁44に流れる。この膨張弁44によって気液二相状態となった冷媒は、蒸発器45に流れる。ブロワ31からの送風空気は、蒸発器45を流れる気液二相冷媒によって吸熱されることによって、冷却および除湿される。したがって、蒸発器温度Teは、第2温度閾値Te_th2よりも低くなっている。
【0133】
そして、この冷却および除湿された空気は、ヒータコア33およびエアミックスドア34によって調整される。また、このヒータコア33およびエアミックスドア34によって調整された空気は、フェイス吹出口211、フット吹出口212またはデフロスタ吹出口213を経由して、車室内に送風される。これにより、車両1の車室内は、快適になる。
【0134】
時刻X1において、車両1が停止したことによって、エンジン制御装置5は、車両1のエンジン2を停止させる。このため、エンジン制御装置5からの信号は、車両1のアイドルストップのオン信号である。
【0135】
したがって、モード制御部81は、ステップS110にて、車両1のアイドルストップがオンであると判定する。また、前回制御周期におけるエンジン制御装置5からの信号が車両1のアイドルストップのオフ信号である。このため、モード制御部81は、ステップS120にて、車両1のアイドルストップの開始直後であると判定する。さらに、空調制御部82がAUTOモードであってかつ吸込口モードが外気モードである。また、雨が降っているため、外気湿度Hamが外気湿度閾値Ham_thよりも高い。よって、このままだと、1点鎖線で示すように、吸込口モードが外気モードであると、車室外からの湿度が高い空気および雨の匂いを含む空気が車室内に流れることによって車室内の快適性が大幅に低下する。
【0136】
したがって、モード制御部81は、ステップS150にて、車室外からの湿度が高い空気および雨の匂いを含む空気が車室内に流れることによる車室内の快適性の低下を抑制するため、吸込口モードを外気モードから内気モードに変更させる。また、モード制御部81は、状態フラグINmodeを1にする。その後、モード制御部81の処理は、ステップS220に移行する。
【0137】
状態フラグINmodeが1であるため、空調制御部82は、ステップS360にて、内外気モータ521を駆動させるための信号を、内外気モータ521に出力する。このとき、内外気モータ521が回転することによって、内外気切替ドア52は、内気導入口511を開いて、外気導入口512を閉じる。よって、吸込口モードが外気モードから内気モードに変更される。これにより、車室内に流れる空気が内気となるため、車室外からの湿度が高い空気および雨の匂いを含む空気が車室内に流れることによる車室内の快適性の低下が抑制される。
【0138】
また、エンジン2が停止しているため、エンジン2のトルクがベルト3およびクラッチ4を介して、圧縮機41に伝達されないことから、圧縮機41が停止する。これにより、圧縮機41からの冷媒が凝縮器42、受液器43および膨張弁44を経由して蒸発器45に流れないため、ブロワ31からの送風空気は、蒸発器45によって冷却および除湿されない。したがって、蒸発器温度Teが上昇する。
【0139】
さらに、蒸発器温度Teが第1温度閾値Te_th1以下であるため、モード制御部81は、ステップS230にて、車両1のアイドルストップを継続させる。このとき、エンジン制御装置5は、車両1のエンジン2を停止させたままにする。これにより、圧縮機41も停止したままである。その後、モード制御部81の処理は、ステップS100に戻る。
【0140】
時刻X1から時刻X2の期間において、車両1は、アイドルストップ中である。このため、エンジン制御装置5からの信号は、車両1のアイドルストップのオン信号である。
【0141】
したがって、モード制御部81は、ステップS110にて、車両1のアイドルストップがオンであると判定する。また、前回制御周期におけるエンジン制御装置5からの信号が車両1のアイドルストップのオン信号である。このため、モード制御部81は、ステップS120にて、車両1のアイドルストップの開始直後でないと判定する。よって、モード制御部81の処理は、ステップS220に移行することから、状態フラグINmodeが1のままである。
【0142】
状態フラグINmodeが1のままであるため、空調制御部82は、吸込口モードを外気モードから内気モードに変更したままである。これにより、車室内に流れる空気が内気のままであるため、車室外からの湿度が高い空気および雨の匂いを含む空気が車室内に流れることによる車室内の快適性の低下が抑制される。
【0143】
また、エンジン2が停止しているため、エンジン2のトルクがベルト3およびクラッチ4を介して、圧縮機41に伝達されないことから、圧縮機41が停止する。これにより、圧縮機41からの冷媒が凝縮器42、受液器43および膨張弁44を経由して蒸発器45に流れないため、ブロワ31からの送風空気は、蒸発器45によって冷却および除湿されない。よって、蒸発器温度Teが上昇する。
【0144】
さらに、蒸発器温度Teが第1温度閾値Te_th1以下であるため、モード制御部81は、ステップS230にて、車両1のアイドルストップを継続させる。このとき、エンジン制御装置5は、車両1のエンジン2を停止させたままにする。これにより、圧縮機41も停止したままである。その後、モード制御部81の処理は、ステップS100に戻る。
【0145】
時刻X2において、蒸発器温度Teが第1温度閾値Te_th1よりも高くなる。このままでは、フェイス吹出口211、フット吹出口212およびデフロスタ吹出口213から吹き出す風の温度および湿度が高くなるため、車室内の快適性が低下する。このため、モード制御部81は、ステップS240にて、車両1のアイドルストップを解除させるための信号をエンジン制御装置5に出力する。このとき、エンジン制御装置5は、車両1のエンジン2を駆動させる。これにより、エンジン2のトルクの一部がベルト3およびクラッチ4を介して圧縮機41に伝達されるため、圧縮機41が駆動する。この駆動した圧縮機41は、蒸発器45側の冷媒配管46から冷媒を吸引する。また、圧縮機41は、この吸引した冷媒を圧縮して、高圧の気相冷媒を凝縮器42に向かって吐出する。さらに、この凝縮器42によって凝縮された冷媒は、受液器43に流れる。また、この受液器43にて貯められた液相冷媒は、膨張弁44に流れる。この膨張弁44によって気液二相状態となった冷媒は、蒸発器45に流れる。ブロワ31からの送風空気は、蒸発器45を流れる気液二相冷媒によって吸熱されることによって、冷却および除湿される。したがって、車両1のアイドルストップによって高くなっていた蒸発器温度Teが低下する。
【0146】
また、状態フラグINmodeが1である、すなわち、車室外からの湿度が高い空気および雨の匂いを含む空気が車室内に流れることによる車室内の快適性の低下を抑制するため、吸込口モードが外気モードから内気モードに変更されている。このため、モード制御部81の処理は、ステップS260に移行する。
【0147】
しかし、蒸発器温度Teが第2温度閾値Te_th2よりも高いため、ブロワ31から送風される空気を蒸発器45によって十分に冷却および除湿することができない。このため、このまま、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すと、1点鎖線で示すように、フェイス吹出口211、フット吹出口212およびデフロスタ吹出口213から吹き出す湿度の高い風によって車室内の快適性が低下する。
【0148】
よって、モード制御部81は、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻さないで、吸込口モードを内気モードのままにさせる。その後、モード制御部81の処理は、ステップS100に戻る。
【0149】
時刻X2から時刻X3の期間において、車両1のアイドルストップが解除されたため、エンジン制御装置5からの信号は、車両1のアイドルストップのオフ信号である。このとき、エンジン制御装置5は、車両1のエンジン2を駆動させる。これにより、エンジン2のトルクの一部がベルト3およびクラッチ4を介して圧縮機41に伝達されるため、圧縮機41が駆動する。この駆動した圧縮機41は、蒸発器45側の冷媒配管46から冷媒を吸引する。また、圧縮機41は、この吸引した冷媒を圧縮して、高圧の気相冷媒を凝縮器42に向かって吐出する。さらに、この凝縮器42によって凝縮された冷媒は、受液器43に流れる。また、この受液器43にて貯められた液相冷媒は、膨張弁44に流れる。この膨張弁44によって気液二相状態となった冷媒は、蒸発器45に流れる。ブロワ31からの送風空気は、蒸発器45を流れる気液二相冷媒によって吸熱されることによって、冷却および除湿される。したがって、車両1のアイドルストップによって高くなっていた蒸発器温度Teが低下する。
【0150】
また、状態フラグINmodeが1である、すなわち、車室外からの湿度が高い空気および雨の匂いを含む空気が車室内に流れることによる車室内の快適性の低下を抑制するため、吸込口モードが外気モードから内気モードに変更されている。このため、モード制御部81の処理は、ステップS260に移行する。
【0151】
しかし、蒸発器温度Teが第2温度閾値Te_th2よりも高いため、ブロワ31から送風される空気を蒸発器45によって十分に冷却および除湿することができない。このため、このまま、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すと、1点鎖線で示すように、フェイス吹出口211、フット吹出口212およびデフロスタ吹出口213から吹き出す湿度の高い風によって車室内の快適性が低下する。
【0152】
よって、モード制御部81は、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻さないで、吸込口モードを内気モードのままにさせる。その後、モード制御部81の処理は、ステップS100に戻る。
【0153】
時刻X3において、車両1のアイドルストップが解除されているため、エンジン制御装置5からの信号は、車両1のアイドルストップのオフ信号である。
【0154】
また、状態フラグINmodeが1である、すなわち、車室外からの湿度が高い空気および雨の匂いを含む空気が車室内に流れることによる車室内の快適性の低下を抑制するため、吸込口モードが外気モードから内気モードに変更されている。このため、モード制御部81の処理は、ステップS260に移行する。
【0155】
ここで、蒸発器温度Teが第2温度閾値Te_th2よりも低くなる。このため、モード制御部81は、ステップS270にて、状態フラグINmodeを0にするとともに、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すための信号を、空調制御部82に出力する。これにより、空調制御部82は、ステップS360にて、内外気モータ521を駆動させるための信号を、内外気モータ521に出力する。このとき、内外気モータ521が回転することによって、内外気切替ドア52は、外気導入口512を開いて、内気導入口511を閉じる。したがって、吸込口モードが内気モードから外気モードに戻る。これにより、吸込口モードが外気モードに戻されたとき、ブロワ31から送風される空気を蒸発器45によって十分に冷却および除湿できることから、車両1のアイドルストップの解除後における車室内の快適性の低下が抑制される。その後、モード制御部81の処理は、ステップS100に戻る。
【0156】
このとき、車両1のエンジン2は、駆動している。これにより、エンジン2のトルクの一部がベルト3およびクラッチ4を介して圧縮機41に伝達されるため、圧縮機41が駆動する。この駆動した圧縮機41は、蒸発器45側の冷媒配管46から冷媒を吸引する。また、圧縮機41は、この吸引した冷媒を圧縮して、高圧の気相冷媒を凝縮器42に向かって吐出する。さらに、この凝縮器42によって凝縮された冷媒は、受液器43に流れる。また、この受液器43にて貯められた液相冷媒は、膨張弁44に流れる。この膨張弁44によって気液二相状態となった冷媒は、蒸発器45に流れる。ブロワ31からの送風空気は、蒸発器45を流れる気液二相冷媒によって吸熱されることによって、冷却および除湿される。したがって、車両1のアイドルストップによって高くなっていた蒸発器温度Teが低下する。
【0157】
そして、この冷却および除湿された空気は、ヒータコア33およびエアミックスドア34によって調整される。また、このヒータコア33およびエアミックスドア34によって調整された空気は、フェイス吹出口211、フット吹出口212またはデフロスタ吹出口213を経由して、車室内に送風される。これにより、車両1の車室内は、快適になる。
【0158】
時刻X3から時刻X4の期間において、車両1のアイドルストップが解除されているため、エンジン制御装置5からの信号は、車両1のアイドルストップのオフ信号である。
【0159】
よって、モード制御部81は、ステップS110にて、車両1のアイドルストップがオフであると判定する。また、外気モードから内気モードに変更されていた吸込口モードが外気モードに戻されているため、状態フラグINmodeが0である。よって、モード制御部81の処理は、ステップS100に戻る。
【0160】
このとき、車両1のエンジン2は、駆動している。これにより、エンジン2のトルクの一部がベルト3およびクラッチ4を介して圧縮機41に伝達されるため、圧縮機41が駆動する。この駆動した圧縮機41は、蒸発器45側の冷媒配管46から冷媒を吸引する。また、圧縮機41は、この吸引した冷媒を圧縮して、高圧の気相冷媒を凝縮器42に向かって吐出する。さらに、この凝縮器42によって凝縮された冷媒は、受液器43に流れる。また、この受液器43にて貯められた液相冷媒は、膨張弁44に流れる。この膨張弁44によって気液二相状態となった冷媒は、蒸発器45に流れる。ブロワ31からの送風空気は、蒸発器45を流れる気液二相冷媒によって吸熱されることによって、冷却および除湿される。したがって、車両1のアイドルストップによって高くなっていた蒸発器温度Teが低下する。また、蒸発器温度Teは、第2温度閾値Te_th2よりも低い値で一定になる。
【0161】
そして、この冷却および除湿された空気は、ヒータコア33およびエアミックスドア34によって調整される。また、このヒータコア33およびエアミックスドア34によって調整された空気は、フェイス吹出口211、フット吹出口212またはデフロスタ吹出口213を経由して、車室内に送風される。これにより、車両1の車室内は、快適になる。
【0162】
以上のように、モード制御部81および空調制御部82は、処理を行う。
【0163】
次に、車両用空調装置100によって、車両1における車室内の快適性の低下が抑制されることについて説明する。
【0164】
車両用空調装置100におけるエアコンECU80のモード制御部81は、吸込口モードが外気モードであるとともに車両1がアイドルストップ中であるとき、外気湿度Hamが外気基準値よりも高いとき、吸込口モードを外気モードから内気モードに変更させる。なお、ここでは、外気基準値は、外気湿度閾値Ham_thに対応する。
【0165】
例えば、上記事例の時刻X1において、車両1がアイドルストップの開始直後であって、雨が降っていることから外気湿度Hamが外気湿度閾値Ham_thよりも高い。このため、モード制御部81は、ステップS150にて、吸込口モードを外気モードから内気モードに変更させる。これにより、車室外からの湿度が高い空気および雨の匂いを含む空気が車室内に流れることによる車室内の快適性の低下が抑制される。また、車室内の快適性の低下が抑制されるため、車両1の乗員によって車両1のアイドルストップを解除する頻度を減らすことができる。よって、車両1の燃費を向上させることができる。
【0166】
また、モード制御部81は、車両1のアイドルストップが解除された場合に蒸発器温度Teが蒸発器基準値よりも低いとき、上記にて外気モードから内気モードに変更した吸込口モードを外気モードに戻す。
【0167】
例えば、上記事例の時刻X3において、車両1のアイドルストップが解除されているとともに、蒸発器温度Teが第2温度閾値Te_th2よりも低い。このため、モード制御部81は、ステップS270にて、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すための信号を、空調制御部82に出力する。これにより、吸込口モードが外気モードに戻されたとき、ブロワ31から送風される空気を蒸発器45によって十分に冷却および除湿できることから、車両1のアイドルストップの解除後における車室内の快適性の低下が抑制される。
【0168】
また、車両用空調装置100によって、以下に記載する効果も奏する。
【0169】
[1-1]空調制御部82は、ステップS360において、車両1が走行しているとき、車両1の乗員によって設定される設定温度Tset、内気温度Trおよび外気温度Tamに基づいて、吸込口モードを制御する。また、モード制御部81は、車両1がアイドルストップを行う前に空調制御部82によって吸込口モードが外気モードである場合に、車両1がアイドルストップ中であるとき、吸込口モードを外気モードから内気モードに変更させる。
【0170】
これにより、空調制御部82が空調自動制御により吸込口モードを外気モードにしている場合に、車両1がアイドルストップ中であるとき、モード制御部81は、吸込口モードを外気モードから内気モードに変更させることができる。
【0171】
[1-2]モード制御部81は、車両1がアイドルストップ中に吸込口モードを外気モードから内気モードに変更したとき、蒸発器温度Teに基づいて、車両1のアイドルストップを解除させる。
【0172】
例えば、上記事例の時刻X1からX2の期間において、車両1のアイドルストップ中であることから、圧縮機41が駆動していないため、蒸発器温度Teが第1温度閾値Te_th1よりも高くなる。このため、このままだと、フェイス吹出口211、フット吹出口212およびデフロスタ吹出口213から吹き出す風の温度および湿度が高くなるため、車室内の快適性が低下する。
【0173】
そして、時刻X2において、蒸発器温度Teが第1温度閾値Te_th1よりも高いとき、モード制御部81は、ステップS240にて、車両1のアイドルストップを解除させるための信号をエンジン制御装置5に出力する。このとき、エンジン制御装置5は、車両1のエンジン2を駆動させる。これにより、エンジン2のトルクの一部がベルト3およびクラッチ4を介して圧縮機41に伝達されるため、圧縮機41が駆動する。このため、車両1のアイドルストップによって高くなっていた蒸発器温度Teが低下する。したがって、フェイス吹出口211、フット吹出口212およびデフロスタ吹出口213から吹き出す風の温度および湿度が低下するため、車室内の快適性の低下が抑制される。
【0174】
(変形例1)
上記実施形態では、モード制御部81は、ステップS140において、ステップS100にて取得した外気湿度Hamが外気湿度閾値Ham_thよりも高いか否かを判定する。これにより、モード制御部81は、車室内の快適性が低下するか否かを判定する。これに対して、モード制御部81は、外気湿度Hamに基づいて、車室内の快適性が低下するか否かを判定することに限定されない。例えば、モード制御部81は、外気湿度Hamおよび内気湿度Hrに基づいて、車室内の快適性が低下するか否かを判定してもよい。
【0175】
この場合、モード制御部81は、ステップS100において、上記情報を取得することに加えて、内気湿度Hrを内気湿度センサ75から取得する。
【0176】
また、モード制御部81は、図7のフローチャートに示すように、ステップS140において、外気湿度Hamが内気湿度Hrと湿度用所定値εとを加算した値よりも高いか否かを判定する。これにより、モード制御部81は、車室内の快適性が低下するか否かを判定する。なお、この湿度用所定値εは、補正値であって、実験やシミュレーション等によって設定される。
【0177】
そして、外気湿度Hamが内気湿度Hrと湿度用所定値εとを加算した値よりも高いとき、このままでは、車室外からの湿度が高い空気が車室内に流れることによって、車室内の快適性が低下する。また、このとき、雨が降っていれば、雨が当たることで大気中に拡散される植物および岩石の油分ならびに土壌細菌等の土壌物質によって発生する雨の匂いが車室内に流れる。これにより、車室内の快適性が低下する。このため、モード制御部81は、吸込口モードを制御するため、モード制御部81の処理がステップS150に移行する。また、外気湿度Hamが内気湿度Hrと湿度用所定値εとを加算した値以下であるとき、湿度が高い空気が車室内に流れないことから、車室内の快適性が低下しにくい。このため、モード制御部81は、吸込口モードを制御しないで、モード制御部81の処理は、ステップS160に移行する。
【0178】
このように、モード制御部81がステップS140において外気湿度Hamおよび内気湿度Hrに基づいて車室内の快適性が低下するか否かを判定しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。また、変形例1において、以下の効果も奏する。
【0179】
[2]モード制御部81は、内気湿度Hrに基づいて、外気基準値を算出する。また、モード制御部81は、外気湿度Hamがこの算出した外気基準値よりも高いとき、吸込口モードを前記外気モードから前記内気モードに変更させる。なお、この外気基準値は、内気湿度Hrと湿度用所定値εとを加算した値に対応する。
【0180】
これにより、外気基準値を、所定の値に固定しないで、内気湿度Hrに応じた値に変更することができる。
【0181】
(変形例2)
上記実施形態では、モード制御部81は、ステップS260において、蒸発器温度Teが第2温度閾値Te_th2よりも低いか否かを判定する。これにより、モード制御部81は、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すか否かを判定する。これに対して、モード制御部81は、蒸発器温度Teに基づいて、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すか否かを判定することに限定されない。例えば、モード制御部81は、蒸発器温度Te、設定温度Tset、内気温度Trおよび外気温度Tamに基づいて、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すか否かを判定してもよい。
【0182】
この場合、モード制御部81は、ステップS260において、蒸発器温度Teを蒸発器温度センサ73から取得することに加えて、設定温度Tsetを、温度設定スイッチ61から取得する。また、モード制御部81は、内気温度Trを、内気温度センサ71から取得する。さらに、モード制御部81は、外気温度Tamを、外気温度センサ72から取得する。また、モード制御部81は、これらの取得した設定温度Tset、内気温度Tr、外気温度Tamおよび上記関係式(1)を用いて、車室内の温度を設定温度Tsetに維持するための目標吹出温度TAOを算出する。さらに、モード制御部81は、この算出した目標吹出温度TAOと、目標吹出温度TAOおよび目標蒸発器温度TEOのテーブルとを用いて、目標蒸発器温度TEOを算出する。なお、上記したように、目標吹出温度TAOおよび目標蒸発器温度TEOのテーブルにおいて、例えば、車室内に吹き出される空気の温度を目標吹出温度TAOにするため、目標吹出温度TAOが低下するに伴って、目標蒸発器温度TEOが低下する。また、目標蒸発器温度TEOは、蒸発器45の着霜を防止するため、着霜温度、例えば、0度よりも高い値に設定される。
【0183】
また、モード制御部81は、この取得した蒸発器温度Teからこの算出した目標蒸発器温度TEOを減算する。さらに、モード制御部81は、図8のフローチャートに示すように、蒸発器温度Teから目標蒸発器温度TEOを減算した値が温度差閾値ΔTe_thよりも低いか否かを判定する。これにより、モード制御部81は、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すか否かを判定する。なお、温度差閾値ΔTe_thは、実験やシミュレーション等によって設定される。
【0184】
そして、蒸発器温度Teから目標蒸発器温度TEOを減算した値が温度差閾値ΔTe_thよりも低いとき、ブロワ31からの送風空気を蒸発器45によって十分に冷却および除湿させることができる。これにより、フェイス吹出口211、フット吹出口212およびデフロスタ吹出口213から吹き出す風によって車室内の快適性が低下しにくい。このため、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すため、モード制御部81の処理は、ステップS270に移行する。また、蒸発器温度Teから目標蒸発器温度TEOを減算した値が温度差閾値ΔTe_th以上であるとき、ブロワ31からの送風空気を蒸発器45によって十分に冷却および除湿させることができない。このため、このまま、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すと、フェイス吹出口211、フット吹出口212およびデフロスタ吹出口213から吹き出す湿度の高い風によって車室内の快適性が低下する。したがって、モード制御部81は、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻さないで、吸込口モードを内気モードのままにさせる。その後、モード制御部81の処理は、ステップS100に戻る。
【0185】
このように、モード制御部81がステップS260において蒸発器温度Te、設定温度Tset、内気温度Trおよび外気温度Tamに基づいて、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すか否かを判定しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。また、変形例2において、以下の効果も奏する。
【0186】
[3]モード制御部81は、設定温度Tset、内気温度Trおよび外気温度Tamに基づいて、蒸発器基準値を算出する。また、モード制御部81は、蒸発器温度Teがこの算出した蒸発器基準値よりも低いとき、外気モードから内気モードに変更した吸込口モードを外気モードに戻す。なお、この蒸発器基準値は、目標蒸発器温度TEOと温度差閾値ΔTe_thとを加算した値に対応する。また、上記したように、目標蒸発器温度TEOは、設定温度Tset、内気温度Trおよび外気温度Tamに基づいて算出される蒸発器温度Teの目標値である。
【0187】
これにより、蒸発器基準値を、所定の値に固定しないで、設定温度Tset、内気温度Trおよび外気温度Tamに応じた値に変更することができる。
【0188】
(変形例3)
また、モード制御部81は、内気湿度Hrに基づいて、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すか否かを判定してもよい。
【0189】
この場合、モード制御部81は、ステップS260において、内気湿度Hrを、内気湿度センサ75から取得する。
【0190】
また、モード制御部81は、図9のフローチャートに示すように、この取得した内気湿度Hrが内気湿度閾値Hr_thよりも低いか否かを判定する。これにより、モード制御部81は、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すか否かを判定する。なお、内気湿度閾値Hr_thは、実験やシミュレーション等によって設定される。
【0191】
そして、内気湿度Hrが内気湿度閾値Hr_thよりも低いとき、車室内の湿度が低いことから、フェイス吹出口211、フット吹出口212およびデフロスタ吹出口213から吹き出す風によって車室内の快適性が低下しにくい。このため、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すため、モード制御部81の処理は、ステップS270に移行する。また、内気湿度Hrが内気湿度閾値Hr_th以上であるとき、車室内の湿度が高いことから、フェイス吹出口211、フット吹出口212およびデフロスタ吹出口213から吹き出す風によって車室内の快適性が低下する。したがって、モード制御部81は、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻さないで、吸込口モードを内気モードのままにさせる。その後、モード制御部81の処理は、ステップS100に戻る。
【0192】
このように、モード制御部81がステップS260において内気湿度Hrに基づいて、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すか否かを判定しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。また、変形例3において、以下の効果も奏する。
【0193】
[4]モード制御部81は、アイドルストップが解除されたとき、内気湿度Hrが内気基準値よりも低いとき、外気モードから内気モードに変更した吸込口モードを外気モードに戻す。なお、内気基準値は、内気湿度閾値Hr_thに対応する。
【0194】
これにより、内気湿度Hrを考慮して、外気モードから内気モードに変更した吸込口モードを外気モードに戻すことができる。
【0195】
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0196】
本開示に記載の制御部等およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部等およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部等およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0197】
また、上記事例では、時刻X2において、モード制御部81は、モード制御部81は、蒸発器温度Teが第1温度閾値Te_th1よりも高いことから、ステップS240にて、車両1のアイドルストップを解除させる。その後、モード制御部81は、時刻X3において、ステップS270にて、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻している。これに対して、モード制御部81は、自ら車両1のアイドルストップを解除させた後に、蒸発器温度Teに基づいて、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻すことに限定されない。例えば、モード制御部81は、車両1が走行開始することによって車両1のアイドルストップが解除された後、蒸発器温度Teに基づいて、吸込口モードを内気モードから外気モードに戻してもよい。
【0198】
上記実施形態では、モード制御部81は、ステップS140において、ステップS100にて取得した外気湿度Hamが外気湿度閾値Ham_thよりも高いか否かを判定する。これにより、モード制御部81は、車室内の快適性が低下するか否かを判定する。これに対して、モード制御部81は、外気湿度Hamに基づいて、車室内の快適性が低下するか否かを判定することに限定されない。例えば、モード制御部81は、ステップS140において、車両1の図示しないレインセンサによって雨が降っていることが検出されているかを判定してもよい。また、モード制御部81は、ステップS140において、車両1の図示しないワイパーが作動しているか否かを判定してもよい。これらによっても、モード制御部81は、車室内の快適性が低下するか否かを判定してもよい。
【0199】
また、上記実施形態および上記変形例が組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0200】
1 車両
2 エンジン
31 ブロワ
41 圧縮機
45 蒸発器
51 内外気ケース
511 内気導入口
512 外気導入口
52 内外気切替ドア
80 エアコンECU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9