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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】シール軸受け及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240806BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240806BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240806BHJP
   F16C 17/02 20060101ALI20240806BHJP
   F16C 33/20 20060101ALI20240806BHJP
   F16C 33/74 20060101ALI20240806BHJP
   F16C 13/02 20060101ALI20240806BHJP
   F16J 15/18 20060101ALI20240806BHJP
   F16J 15/3268 20160101ALI20240806BHJP
   F16J 15/3284 20160101ALI20240806BHJP
【FI】
G03G15/08 390B
G03G15/00 550
G03G21/16 176
F16C17/02 Z
F16C33/20 A
F16C33/74 Z
F16C13/02
F16J15/18 C
F16J15/3268
F16J15/3284
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021045134
(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公開番号】P2022144221
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江原 宜伸
(72)【発明者】
【氏名】森 基
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-191452(JP,A)
【文献】特開2009-246209(JP,A)
【文献】特開2002-207365(JP,A)
【文献】特開2010-071443(JP,A)
【文献】特開2001-349326(JP,A)
【文献】特開2009-128433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 13/02
F16C 17/02
F16C 33/20
F16C 33/74
F16J 15/18
F16J 15/3268
F16J 15/3284
G03G 15/00
G03G 15/08
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸を回転可能に軸受け保持する軸受け部にエラストマー製のシール部材を組み合わせたシール軸受けであって、
前記軸受け部の軸受け面に対して軸方向に隣接する2つの軸方向端面のうち一方の軸方向端面に前記シール部材が接合しており、
前記シール部材のSP値は9〔cal/ml〕以下であるシール軸受け。
【請求項2】
軸を回転可能に軸受け保持する軸受け部にエラストマー製のシール部材を組み合わせたシール軸受けであって、
前記軸受け部の軸受け面に対して軸方向に隣接する2つの軸方向端面のうち一方の軸方向端面に前記シール部材が接合しており、
前記軸受け部はポリプロピレンであり、
前記シール部材はポリプロピレンをマトリックス樹脂としたエラストマーであるシール軸受け。
【請求項3】
軸を回転可能に軸受け保持する軸受け部にエラストマー製のシール部材を組み合わせたシール軸受けであって、
前記軸受け部の軸受け面に対して軸方向に隣接する2つの軸方向端面のうち一方の軸方向端面に前記シール部材が接合しており、
前記軸受け部は、内周面を軸受け面とした滑り軸受けであり、
前記軸受け部は、前記軸受け面から当該軸受け面以外の他の面まで連通する空洞を有するシール軸受け。
【請求項4】
前記シール部材は、ポリスチレン系熱可塑性エラエストマー又はオレフィン系熱可塑性エラエストマーである請求項に記載のシール軸受け。
【請求項5】
前記シール部材は、前記一方の軸方向端面に隣接し、前記一方の軸方向端面とは異なる向きの面にも接合している請求項1から請求項4のうちいずれか一に記載のシール軸受け。
【請求項6】
前記軸受け部は樹脂製であり、
前記軸受け部と前記シール部材とのSP値の差は1〔cal/ml〕以下であり、
前記一方の軸方向端面に前記シール部材が溶着している請求項1から請求項5のうちいずれか一に記載のシール軸受け。
【請求項7】
前記シール部材の硬度は、A70以下である請求項1から請求項6のうちいずれか一に記載のシール軸受け。
【請求項8】
前記シール部材の前記軸受け部に接合する接合端面に対する逆端に相当する先端部であって、前記軸受け部が軸受け保持する軸に接触する先端部の厚みは、2〔mm〕以下である請求項1から請求項7のうちいずれか一に記載のシール軸受け。
【請求項9】
前記シール部材の前記軸受け部に接合する接合端面における厚みより、当該接合端面に対する逆端に相当する先端部であって、前記軸受け部が軸受け保持する軸に接触する先端部の厚みは薄い請求項1から請求項8のうちいずれか一に記載のシール軸受け。
【請求項10】
前記シール部材の前記軸受け部に接合する接合端面に対する逆端に相当する先端部であって、前記軸受け部が軸受け保持する軸に接触する先端部は、当該軸が前記軸受け部に未軸受け時の前記シール部材に負荷がかかっていない状態において、前記軸受け面の内径の10%以下の割合で当該内径位置より内側に侵入している請求項1から請求項9のうちいずれか一に記載のシール軸受け。
【請求項11】
前記シール部材は、内径が軸方向に沿って変化する形状を有し、当該変化は、前記軸受け部に接合する接合端面から当該接合端面に対する逆端に相当する先端部であって、前記軸受け部が軸受け保持する軸に接触する先端部へ向かって漸減する変化である請求項1から請求項10のうちいずれか一に記載のシール軸受け。
【請求項12】
前記シール部材の前記軸受け部に接合する接合端面に対する逆端に相当する先端部であって、前記軸受け部が軸受け保持する軸に接触する先端部を仮に上とし、当該接合端面を仮に下としたとき、前記シール部材は上下非対称の外径形状を有する請求項11に記載のシール軸受け。
【請求項13】
静電潜像をトナーにより現像する電子写真式の画像形成部と、
請求項1から請求項11のうちいずれか一に記載のシール軸受けと、を備え、
前記シール軸受けがトナー配置空間と外部と貫く軸を保持するように当該トナー配置空間と外部との境界に設置され、かつ、前記シール部材が、トナー配置空間側に設置され、
前記軸の外径をφa、前記軸受け面の内径をφb、前記シール部材の内径をφcとして、φc<φa<φbの関係で構成された画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール軸受け及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザープリンターなどの現像部など、粉体を封止しつつ内部に回転力を伝達す必要のある部位おいて、軸受けとシール部材を組み合わせたシール軸受けがよく使われている(例えば特許文献1)。
【0003】
このシール軸受には、軸を円滑に回転させる摺動性、封止対象物を封止するシール性、封止対象物への熱影響の3点につき良好な特性を有することが求められる。すなわち、必要な機能であるシール性を確保するために、軸部と隙間なく接するとともに、接触面の面圧による軸への負荷で、軸摩耗や熱変形を起こさせないことが求められている。また、摺動熱により封止対象の粉体が溶融しないことも必要となる。
これに対して、特許文献1では、熱可塑性エラストマーをシール部材として使用する手法がとられている。エラストマーはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などに対して弾性率が低いことから、塑性変形させずとも十分なシール代を確保することができ、また最適な形状で設計することで面圧を下げて、軸の摩耗や変形、封止対象物への熱影響などを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-191452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明によれば、封止対象物への摺動熱の影響の抑制とシール部材の組付けを行うために、軸受けのシール側に設けたヒケ対策用の肉盗み形状に対して、エラストマーを充填させることで全体の熱容量を上げるとともに、抜け止め形状により嵌合保持する構成をとっており、形状が複雑化している。このため、金型の複雑化によるコストアップや形状全体の大型化を招くおそれがある。
【0006】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、軸受け部にエラストマー製のシール部材を組み合わせたシール軸受けを、コンパクトで低コストに製作可能にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するための本発明の一形態は、軸を回転可能に軸受け保持する軸受け部にエラストマー製のシール部材を組み合わせたシール軸受けであって、
前記軸受け部の軸受け面に対して軸方向に隣接する2つの軸方向端面のうち一方の軸方向端面に前記シール部材が接合しており、
前記シール部材のSP値は9〔cal/ml〕以下であるシール軸受けである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、軸受け部にエラストマー製のシール部材を組み合わせたシール軸受けを、コンパクトで低コストに製作可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る樹脂製の滑り軸受けの上面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る樹脂製の滑り軸受けの底面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る樹脂製の滑り軸受けの中心軸を含む断面図(図1,2内A-Aに相当)である。
図4図3の滑り軸受けにシール部材を組み合わせたシール軸受けの断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係り、樹脂製の滑り軸受け及び軸、ホルダーを示した中心軸を含む断面図である。但し、左半身は気道(空洞)が孔状である場合を、右半身は気道(空洞)が溝状である場合を示す。
図6】本発明の一実施形態に係り、樹脂製の滑り軸受け及び軸を示した底面図である。但し、左半身は気道(空洞)が孔状である場合を、右半身は気道(空洞)が溝状である場合を示す。
図7】本発明の滑り軸受けの空気交換による摺動熱の放熱を説明するための模式図である。
図8】本発明の他の一実施形態に係る樹脂製の滑り軸受けの切断斜視図である。
図9】実験例2を説明するための滑り軸受け及び軸の中心軸を含む断面図である。
図10】気道(空洞)を軸受け面側開口で絞った絞りタイプとした滑り軸受けの底面図である。
図11図4及び図14に示したシール軸受けの上面図である。
図12】他の一実施形態に係るシール軸受けの中心軸を含む断面図である。
図13図12及び図15に示したシール軸受けの上面図である。
図14】他の一実施形態に係るシール軸受けの中心軸を含む断面図である。
図15】他の一実施形態に係るシール軸受けの中心軸を含む断面図である。
図16】実験例5を説明するためのシール軸受け及び軸の中心軸を含む断面図である。
図17】実験例5を説明するためのシール軸受け及び軸の中心軸を含む断面図である。
図18】軸受け部とシール部材との接合部の拡大断面図で、他の形態のものを示す。
図19】軸受け部とシール部材との接合部の拡大断面図で、他の形態のものを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0011】
一つの実施形態の樹脂製の滑り軸受け1Aの上面図を図1に底面図を図2に示す。また、樹脂製の滑り軸受け1Aの中心軸Oを含む断面図を図3に示す。なお、フランジ4を有る側を下(底)、反対側を上として説明するが、滑り軸受けが使用される際の設置方向を示すものではない。
【0012】
図1から図3に示すように滑り軸受け1Aは、軸を滑り軸受けする軸受け面2を最内径部内周面に有する。ここに保持対象の軸が挿入され、滑り軸受け1Aにより軸受けされる。
【0013】
また滑り軸受け1Aは、軸受け面2から当該軸受け面2以外の他の面まで連通する空洞3Aを有する。滑り軸受け1Aは、軸受け面2以外の他の面として、下段軸方向端面41、上部内周面42、最上端軸方向端面43、外テーパー面44、外周面45、フランジ上面46、フランジ外周面47、底部軸方向端面48等を有する。
上部内周面42は、軸受け面2と同軸で軸受け面2より大径である。上部内周面42の内側空間5は、図4に示すようにシール部材6を設置する空間として構成されている。但し、シール部材6と組み合わせるか否かは任意である。シール部材6と組み合わせるか否かに拘わらず、内側空間5(上部内周面42)を設けなくてもよい(例えば図5の構造)。
【0014】
本実施形態では、空洞3Aは軸受け面2から底部軸方向端面48まで連通する。空洞3Aは、空洞3Aの軸受け面2に接続する軸受け面側開口部31から、底面側開口部32まで連続する。
空洞3Aには、軸受け面2を含む部分の樹脂成型時のヒケを抑止するための内部空間部(以下「肉盗み部」)33が含まれている。軸受け面2を含む部分の樹脂成型時とは、図1図3に示す滑り軸受け1Aの樹脂成型時を指す。図4のシール部材6のように別途成型される部材が複合する場合は、これに含まれない部分が生じる。
空洞3Aには、肉盗み部33と軸受け面2とを連通させる気道34が含まれる。気道34は、底部軸方向端面48まで切り開かれている。すなわち、軸受け面側開口部31は、底部軸方向端面48まで切り開かれている。
肉盗み部33は、底部軸方向端面48に開口する。
【0015】
例えば以上のような構造により、軸受け面2の軸方向及び周方向について、空洞3Aの軸受け面側開口部31と軸受け面2の一部21,22とが隣接している。
また滑り軸受け1Aは、軸受け面2の周方向に一周繋がっている。これにより、滑り軸受け1Aの剛性を高く保つことができ、軸受け面2が容易に変形せず、軸保持精度が良好である。
【0016】
また、空洞3Aは複数あり、軸受け面2において周方向に分散配置されている。これにより、冷却性能が均質に行き渡るとともに、軸保持性に偏りが無い。したがって、複数の空洞3Aを中心軸O周りに均等に分散配置することがよい。
【0017】
上記滑り軸受け1Aのように空洞3Aが連通する他の面は、軸受け面2に隣接する軸方向端面41,48とする。外周面45は、ベアリングホルダー10(図5)により閉塞されることがしばしばであるからである。
また上記滑り軸受け1Aのように、空洞3Aが連通する他の面は、軸受け面2に隣接する2つの軸方向端面41,48のうち一方(底部軸方向端面48)とする。これにより、空洞が軸方向に貫通せず、滑り軸受け1Aにシール性を持たせることができる。
【0018】
上記気道34に代え、図5の断面図及び図6の底面図の左半身(滑り軸受け1B)に示すように孔状の気道35を有した空洞3Bを適用することも可能である。ただし、空洞3Aの方が成型しやすい。空洞3Aの全体を成型する型は一体であっても型抜きすることができるが、空洞3Bの全体を成型する型は分割しないと型抜きすることができないからである。
【0019】
軸受け面2は、樹脂材料のみで構成されている。図5に示すように滑り軸受け1Aに軸9が挿入され、軸9が回転すると、軸9の外周面と軸受け面2とが滑って滑り軸受け1Aが軸9を回転可能に保持することとなる。このとき、軸9の外周面と軸受け面2とに摺動熱が生じる。
しかし、空洞3A(3B)が軸受け面2から底部軸方向端面48まで連通するので、底面側開口部32を開放しておくことによって(蓋をしないことによって)、軸受け面2付近の空気が交換され、空気を媒体とした摺動熱の放熱が促進される。図7の模式図に示すように軸9へのラジアル荷重が偏って摺動による発熱部位9aが局所に集中することがあるが、樹脂製の滑り軸受け1に空気交換用の空洞3を設けたことにより、空洞3を通して滑り軸受け1の内部の空気が交換され、空気を媒体とした摺動熱の放熱が促進される。
したがって、樹脂製の滑り軸受1の冷却性能が向上し、熱による変形等の不具合が抑えられるので、回転性能を良好に維持することができる。
以上のように軸受け面2は、樹脂材料のみで構成されているが、回転性能を良好に維持することができる。
空洞3の一部を肉盗み部33とすることにより、滑り軸受け1はコンパクトながら、樹脂成型時のヒケ抑止機能と、使用時の空冷機能を有することができる。
なお、図8に示すように上記の肉盗み部33に相当する部分が無い樹脂製の滑り軸受け1Cを実施することもできる。このような樹脂製の滑り軸受け1Cでも同様に冷却性能を得ることができる。
滑り軸受け1を構成する樹脂材料としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのオレフィン系樹脂のほか、ポリアセタール(POM)やポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)等を適用することができる。
【0020】
画像形成装置への適用例としては以下の通りである。
画像形成装置としては、静電潜像をトナーにより現像する電子写真式の画像形成部を有するものを適用する。そして、トナーの漏出を防止すべき部位に、以上説明したいずれかの滑り軸受け1(1A,1B,1C)を適用する。
図5に示すように滑り軸受け1がトナー配置空間TIと外部TOと貫く軸9を保持するように当該トナー配置空間TIと外部TOとの境界に設置され、かつ、滑り軸受け1(1A,1B)の軸方向端面41,48のうち空洞3(3A,3B)と樹脂部1mを介して隔絶された軸方向端面41が、トナー配置空間TI側に設置される。これにより、空洞3(3A,3B)がトナーにより埋まってしまい、空気交換不能に陥ってしまうことが避けられる。トナー配置空間TIは、トナーの搬送や攪拌を行う装置内の空間であり、例えば現像装置やトナー供給装置、トナー排出装置の内部空間に相当する。軸9はトナーの搬送や攪拌を行うためのスクリュー等の軸である。外部TOに設置されたモーターの動力が軸9に伝達される。
また、上述したように底面側開口部32を蓋などせず開放しておく。すなわち、軸受け面側開口部31において軸9に接した空洞3の内空間が、当該空洞3の他の面側の開口部32を介して、当該空洞3の外部空間TOに空気流通可能に連通した状態とされる。これにより、上述した空洞3を介した空気交換による冷却効果が得られる。
なお、トナーのシール性を高めるため、図4に示すようにシール部材6が付けられたものを適用するとよい。
シール部材6が付けられたシール軸受け10(後述)を設置する場合、シール部材6がトナー配置空間TI側に設置される。軸9の外径をφa、軸受け面2の内径をφb、シール部材の内径(変形前)をφcとして、φc<φa<φbの関係で構成される。φbよりφaが小さいため、シール軸受け10に軸9を挿入でき、かつ、φcよりφaが大きいのでシール部材6により軸9を締め付けてシールすることができる。
また、トナーが滑り軸受け1に付着することによる回転性能の不具合等を避けるために、滑り軸受け1を構成する樹脂材料としては、トナー付着性の小さい材料が好ましい。例えば、オレフィン系樹脂(PP,PE)を適用することが好ましい。
【0021】
〈実験例1〉
ここで、冷却効果を確認するための実験例1を開示する。
表Iに示すように実験例1では、ポリプロピレン(PP)又はポリアセタール(POM)により7種のφ6mm用滑り軸受けを製作した。PP及びPOMともに、上述の気道(34,35)を設けない比較例(気道数0)も含み7種の滑り軸受けを製作した。本発明例としては、PPでは気道のタイプが孔状である滑り軸受け1Bにつき気道数1,3,8の3種と、気道のタイプが溝状である滑り軸受け1Aにつき気道数8の1種を、POMでは気道のタイプが溝状である滑り軸受け1Aにつき気道数8の1種を製作した。なお、気道数=空洞数である。気道数が複数の場合、空気交換用の空洞(3A,3B)を周方向に均等分散配置した。
さらに、図8に示すように気道のタイプが溝状であり上記の肉盗み部33に相当する部分が無い樹脂製の滑り軸受け1Cにつき、気道数8は共通で、軸受け面2に対する深さDPが20μm、10μmの2種を製作した。図8に示すように軸受け面2に対する深さDPは、軸受け面側開口部31から底36までの半径方向の寸法となる。
【0022】
φ6mmのポリカーボネート(PC)製の軸(9)を各滑り軸受けに挿入し、ラジアル荷重3Nを負荷した状態で、500rpmの回転を加えた際の軸受け変形量を評価した結果を表I中に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
軸受けの変形は、摺動熱と荷重により生じるもので、摺動熱が大きいほど変形量が増えていき、摺動熱が一定量を超えると表面が溶融するようになる。直接温度を測定することが難しいことから、実験例1では変形量を摺動熱の指標として比較した。
なお、樹脂としては汎用樹脂の中では摩耗性の強いといわれているPP/POMを選定、評価した。
表Iに示すように比較例の変形量に対して、本発明例では変形量を小さく抑えることができた。本実験により、PP/POMともに空気交換用の空洞(3A,3B)を設けたことよる冷却効果があることが分かった。
また、空気交換用の空洞(3A,3B)の数は、数を増やすことで冷却効果が上昇し、3以上で冷却効果が十分発揮されることが分かった。
気道のタイプについては、孔状(気道35)及び溝状(気道34)の違いに影響せず冷却効果があることが分かった。したがって、成型しやすい溝状の気道34を有する滑り軸受け1Aを選択しても、冷却効果にそん色ないことが分かった。
深さDPについては、空洞3の軸受け面2に対する深さDPが20μm以上であることで、冷却効果が十分発揮されることが分かった。深さDPを20μm程度とする場合、空洞3を溝状とし、肉盗み部33を無しとするか、肉盗み部33があってもこれと繋げずに肉盗み部33から独立した構成として実施することがよい。なお、深さDPが20μm程度の空洞3を有する構成は、図8に示したものより大分浅くなる。
【0025】
〈実験例2〉
ここで、回転性能を確認するための実験例2を開示する。
実験例2では、上記実験例1でも製作した溝状の気道34を有する滑り軸受け1Aを、開口長La(図9参照)、開口幅Wa(図6図10参照)、開口部エッジ形状を変えて7種を製作した。開口部エッジ形状としては、図6に示すように気道34を等断面でストレート形状としたストレートタイプと、図10に示すように軸受け面側開口部31で絞った絞りタイプとした。ストレートタイプは、軸受け面側開口部31のエッジを構成する、空洞3内側面と軸受け面2とのなす角は、直角であり、絞りタイプは鋭角である。
共通条件として気道数を8、材質をポリプロピレン(PP)、φ6mm用とし、滑り軸受け1Aの軸受け長さLを3mmとした。
上記実験例1と同様に、気道数=空洞数である。8つの空気交換用の空洞3Aを図2,6,10に示すように周方向に均等分散配置した。
【0026】
φ6mmのポリカーボネート(PC)製の軸(9)を各滑り軸受けに挿入し、ラジアル荷重3Nを負荷した状態で、500rpmの回転を加えた際の軸受け変形量を上記実験例1と同様に評価するとともに、軸ブレを検出した結果を表II中に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
軸受け面2への開口長さLa、開口幅Wa、開口面積については、これらが大きくなることによって軸保持性の低下が予測される。
開口幅Waは、軸受け面2の全周の約40%で、軸ブレが若干際立つことが分かった。そのため、軸受け面2が周方向について、軸受け面側開口部31により欠落する割合は、30%以下である滑り軸受け1を実施することが好ましい。すなわち、軸受け面2への開口幅Waを軸受け面2の全周の30%以下にする設定することで、軸ブレを抑えつつ軸を摺動させて軸受けすることができる。
【0029】
また、空洞3による冷却効果は開口長や、開口面積(開口長×開口幅)に影響を受けないことがわかった。
一方で、軸受け面2への開口部のエッジを鋭角にした場合、軸受け面2の溶融が発生することが分かった。これは、軸受け面2への開口部の鋭角なエッジにより局所的に高い面圧が生じることで発生したと考えられる。よって、軸受け面側開口部31のエッジを構成する、空洞3内側面と軸受け面2とのなす角は、直角又は鈍角であることが好ましい。
【0030】
以上説明したように本実施形態の樹脂製の滑り軸受けによれば、軸受け面2に連通する空洞3(3A,3B)により空気交換され冷却効果を得ることができ、当該冷却効果により軸受け面2及びその近傍における樹脂の変質、変形を抑えることと、空洞3の軸受け面側開口部31に軸方向及び周方向に隣接して軸受け面の一部21,22を確保することにより回転性能を良好に維持することができる。
また、コンパクトでシール性を有した滑り軸受けを安価に製造することができる。
【0031】
〔シール軸受けの概要〕
次に、シール軸受けの概要につき説明する。
図4に示すシール軸受け10Aは、上記の樹脂製の滑り軸受け1Aを軸受け部とするシール軸受けである。図11に上面図を示す。すなわち、シール軸受け10Aは、軸(9)を回転可能に軸受け保持する軸受け部(1A)にエラストマー製のシール部材6を組み合わせたシール軸受けである。
シール部材6は、軸受け部(1A)の軸受け面2に対して軸方向に隣接する2つの軸方向端面41,48のうち一方の軸方向端面41に接合している。シール部材6が接合する軸方向端面41は、空洞3Aが開口する軸方向端面48と逆側の端面である。
【0032】
シール部材6と軸受け部(1A)との接合は、接着剤による接着のほか、溶着によりなしうる。特に、インサート成形時又は2色成形時にシール部材6と軸受け部(1A)とを溶着接合することで、別途接合工程が不要となるため、生産効率が向上する。また、成型時との同時溶着により接合の信頼性を確保できる。
【0033】
シール部材6は、軸方向端面41のみでの接合によって、軸受け部(1A)に対して一体に固定されている。そのため、シール部材6を軸受け部(1A)に固定するために、軸受け部(1A)を成型する金型が複雑化することもなく、シール軸受け10Aを低コストに製作可能である。また、シール部材6を軸受け部(1A)に固定するために、軸受け部(1A)が複雑化、大型化することもなく、シール軸受け10Aをコンパクトに製作可能である。
【0034】
また、シール部材6の全部は、軸方向端面41を含む平面S1を介して、軸受け面2の反対側に配置されている。したがって、軸受け面2の周囲部にシール部材6を嵌め込む空洞を形成する必要がなく、シール軸受け10Aをコンパクトに構成することができる。なお、シール軸受け10Aに適用する軸受け部は、空気交換用の空洞3を有さない単純な円筒体の滑り軸受けでもよい。この場合さらにシール軸受け10Aをコンパクトに構成することができる。
【0035】
シール部材6は、軸受け面2と同軸に配置された円筒形状をしている。
シール部材6は、接合端面61を軸方向の一端面とする。シール部材6の接合端面61が軸受け部(1A)の軸方向端面41に接合している。シール部材6は、接合端面61から軸方向(図4で上方向)に延在する円筒形状をしており、接合端面61に対する逆端に相当する先端部62を有する。接合端面61と固定端として、先端部62は自由端となる。
軸受け面2の内径をφ1とすると、シール部材6の接合端面61における内径は、同じくφ1であり、軸受け面2とシール部材6の内周面63は段差なく連続する。シール部材6の先端の径をφ2とすると、φ1>φ2である。したがって、先端部62は、軸受け部(1A)が軸受け保持する軸(9)の外周に押圧接触してシールする。シール部材6を構成するエラストマーの弾性によって、先端部62は外側に撓みつつ、軸(9)の外周に押付けられるように密着しシールする。
シール部材6は、内径が軸方向に沿ってφ1からφ2へと漸減するよう変化する形状である。すなわち、当該変化は、接合端面61から先端部62へ向かって漸減する変化である。本実施形態では、シール部材6の内周面63は、接合端面61から先端部62へ向かって絞られるテーパー形状である。シール部材6の外周面64も、接合端面61から先端部62へ向かって絞られるテーパー形状である。但し、接合端面61側にフランジ65を有する。
シール部材6の内径が軸方向に沿ってφ1からφ2へと漸減するよう変化する形状であるため、先端部62で軸(9)の外周面を適度に締め付け、高いシール性を発揮することができるとともに、過大な締め付けがなく軸(9)の回転可能に保持する回転性能を適度に保持できる。
【0036】
先端部62を仮に上とし、接合端面61を仮に下としたとき、シール部材6は上下非対称の外径形状を有する。
インサート成型を採用する場合において、先に成型したシール部材6を、軸受け部(1A)の成型金型に挿入する際に、シール部材6の配向ミス(上下逆の挿入)を防止することができる。本実施形態においては、フランジ65を有することで、縁著な非対称性を出している。また、それにより接合端面61の面積を大きく確保でき、接合の信頼性を向上できる。
【0037】
以上のように、接合端面61の面積を大きくする一方、先端部62の適度な変形性を得るために、接合端面61における厚みより、先端部62の厚みを薄くする。例えば、図12及び図13に示すシール軸受け10Bのように、フランジ65を無くしたシール部材6Bを採用した場合にも、接合端面61における厚みより、先端部62の厚みを薄くするとよい。
【0038】
なお、空気交換用の空洞3を有した滑り軸受け1(1A,1B,1C)との組み合わせも任意であり、図14又は図15に示すように空気交換用の空洞3を有さない樹脂製の滑り軸受け1Zとシール部材6(6B)とを接合したシール軸受け10C,10Dを実施してもよい。図14及び図15では、肉盗み部33を示すが、肉盗み部33も省略し、その分コンパクト化してもよい。
【0039】
〈実験例3〉
ここで、シール部材6と軸受け部(1)との溶着接合性を確認するための実験例3を開示する。
上述したように、軸受け端部(1)の軸方向端面41にシール部材6を直接接合させる手法の一つとして、インサート成形、2色成形による溶着接合があげられる。
本実験例では、インサート成形により、あらかじめ成型したシール部材6を金型に挿入し、軸受け部(1)の材料を射出成型にて流し込むことでシール軸受け10を製作し、型開き後、接合の有無を確認した。
表IIIにシール部材6(エラストマー7種とPTFE)と軸受け部(1)の材料の組み合わせと、これに対応した溶着接合有無の確認結果を示す。また、各組合せにおけるSP値(表示単位はcal/ml)の差を示す。軸受け部(1)の材料としては、汎用樹脂の中では摩耗性が強いといわれているPP,POMを選定し、評価した。
表中「TPE」は、熱可塑性エラエストマーの意である。
【0040】
【表3】
【0041】
表IIIに示すように、SP値の差が約1〔cal/ml〕以下になる材料の組み合わせでは溶着接合できることがわかった。
SP値が近い溶剤と溶液は相溶性が高くなる(溶けやすい)ことが知られており、本実験の結果は成形時に溶融樹脂が溶剤のように機能することで、溶着が促されたと推測される。
【0042】
〈実験例4〉
次に、シール部材6のトナー付着性を確認するための実験例4を開示する。
現像装置等におけるトナー封止に本シール軸受け10を使用する場合は、シール部材6にトナーが付着、蓄積することによりその部分から発熱しないよう、トナーが付着しない材料を選定することが望ましい。
表IVに、代表的なシール部材の材料と、とPP、POMのSP値(表示単位はcal/ml)とトナー付着性の検証結果を示す。試した材料は、表IIIに示したシール部材用の材料及び軸受け部用材料と共通である。
なお、トナー付着性については、各材料に対して、□10mmのテストピースを準備し、10Nの荷重でトナーを押し付けながら100℃まで加熱した際の表面への付着性より評価した。
【0043】
【表4】
【0044】
表IVに示すように、SP値が10〔cal/ml〕前後のサンプルにおいては、トナーが付着しやすいことがわかった。
これはトナーの構成材料のSP値が10.1~10.5〔cal/ml〕程度であるため、上記と同じくSP値が近い物については相溶性が高くなり、トナー付着につながったと考えられる。
以上のことから、シール部材のSP値は9〔cal/ml〕以下であることが好ましい。
また、汎用樹脂として安価、かつ容易に入手可能であり、比較的摩耗性があるといわれるポリプロピレン(PP)、及びPPをマトリックス樹脂としたエラストマー(表中の「ポリスチレン系TPE」及び「オレフィン系TPE」がこれに該当する。)の組み合わせが好ましい。この組み合わせなら、実験3,4の結果に見るように溶着接合性及びトナー付着性に関し問題がない。
【0045】
〈実験例5〉
次に、シール部材6の形状や硬度の違いによる軸摩耗性を確認するための実験例5を開示する。
シール性と、摺動部の熱影響(軸摩耗/熱変形/トナー影響)を両立させるためには、シール部材6の適正な硬度と形状の設計により、シール部材6から軸9への面圧を最適化する必要がある。
本実験の内容は次の通りである。
シール部材6の硬度と形状(シール厚とシール代)を様々に変えてφ6mm用のシール軸受け10を製作した。製作した各サンプルのシール軸受け10にφ6mmのポリカーボネート(PC)製の軸(9)を挿入し、500rpmの回転を加えた際の軸摩耗の有無を評価した。
シール部材6の硬度と形状(シール厚とシール代)の組み合わせ、軸摩耗の有無の評価結果を表Vに示す。
図16に示すシール長Lbを3mmとした。また、軸径φ1=6mmに対し、シール内径φ2を5.7mm、5.4mm、4.8mmの3種として、シール代が軸受け面2の内径φ1の5%、10%。20%となるようにした。図16に示すように軸9が軸受け部(1)に未軸受け時のシール部材6に負荷がかかっていない状態において、先端部62は軸受け面2の内径位置(φ1位置)より内側に侵入している。シール代(%)とは、先端部62が軸9のこの内径位置(φ1位置)より内側に侵入している割合(径方向の侵入長さのφ1に対する割合)である。
本実験では、シール部材6の材料をスチレン系エラストマーとした。
シール部材6の硬度をA50,A70,A90の3種とした。
シール部材6の先端部62の厚みTbを1mm。2mm、3mmの3種とした。
図16に示すように接合端面61で厚みTcから、先端部62の厚みTbまで厚みが等しいサンプルを作成した。但し、表Vの最右欄のサンプルは、図17に示すように接合端面61での厚みTc=3mmから、先端部62の厚みTb=2mmまで厚みが次第に減少するサンプルとした。
【0046】
【表5】
【0047】
表Vに示すように、硬度が上昇することで、シール部材6から軸9への面圧が上がり、A90を超えると軸摩耗が発生しだすことが分かった。よって、シール部材6の硬度は、A70以下であることが好ましい。
また、シール厚(Tb)についても、シール厚(Tb)が大きくなるに従い、シール部材6から軸9への面圧が上がり、3mm以上では軸摩耗が発生しだすことがわかった。
軸9に接触する先端部62の厚みTbを2mm以下にすることで軸摩耗が起きない。しかも、表Vの最右欄のサンプルのように接合端面61での厚みTcを3mm以上にしても、先端部62の厚みTbを2mm以下にすることで軸摩耗が起きないことがわかった。これを考慮し、先端部62の厚みTbを2mm以下に設計することが好ましい。
加えてシール部材6の形状は、図17に示すように接合端面61での厚みTcから先端部62の厚みTbまで厚みが次第に減少する形状とすることで、シール部材6と軸受け部(1)との接合面積を増やしつつ、十分なシール代を確保することができる。
また、表Vに示すようにシール代による軸摩耗を抑えるためには、軸径に対するシール代の割合が10%以下になるよう設計することが好ましい。
【0048】
以上説明したように本実施形態のシール軸受けによれば、軸を円滑に回転させる摺動性、封止対象物を封止するシール性、封止対象物への熱影響の3点につき良好な特性を達成しつつ、コンパクトで低コストに製作可能である。
【0049】
以上の実施形態は、発明を説明するための一例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜に要素の変更、追加、削除を行ってもよい。
上記実施形態では、主に溶着による接合につき説明したが、シール部材6と軸受け部(1)との接合は、他の方法であってもよい。接着剤を用いて接着してもよい。成型したシール部材6の接合端面は、シランカップリング剤により処理するか、粗面化処理して溶着性、接着性を向上するとよい。
また、上記実施形態に拘わらず、シール部材6を様々な形状で実施してもよい。シール部材6と軸受け部(1)との接合は、シール部材6の接合端面61と軸受け部(1)の軸方向端面41との接合で十分な接合力を達成できるため、シール部材6の形状自由度は高く、様々な形状に設計することができる。
また、上記実施形態に拘わらず、軸受け部(1)のシール部材6が接合する範囲に、テーパー面(図18)、段差(図19)などを設けてもよい。これにより、シール軸受け10の外径寸法を変えずに、シール部材6と軸受け部(1)との接合面積を増加することができる。
なお、接合端面61は、軸受け部(1)の軸受け面2に対して軸方向に隣接する軸方向端面41に接合する部位である。図18に示すように傾斜していてもよい。また、図18図19に示すようにシール部材6は、軸方向端面41に隣接し、軸方向端面41とは異なる向きの面49a,49b(これに対するシール部材6の接合端面が接合端面66,67である。)にも接合していてもよい。互いに異なる向きの接合端面を設けることができ、省スペースにシール部材6と軸受け部(1)との接合面積を増加することができる。また、シール部材6は、軸方向端面41から離れた端面49c(これに対するシール部材6の接合端面が接合端面68である。)にも接合していてもよい。シール部材6と軸受け部(1)との接合面積を増加することができる。
【符号の説明】
【0050】
1(1A,1B,1C,1Z)滑り軸受け(軸受け部)
2 軸受け面
3(3A,3B) 空洞
4 フランジ
6 シール部材
9 軸
10 ベアリングホルダー
31 軸受け面側開口部
32 底面側開口部
33 肉盗み部
34 気道
35 気道
41,48 軸方向端面
61 接合端面
62 先端部
63 内周面
64 外周面
65 フランジ
La 開口長
Lb シール長
O 中心軸
TI トナー配置空間
TO 外部
Wa 開口幅
φ1 軸径
φ2 シール内径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19