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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】回転機
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
H02K9/19 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021049632
(22)【出願日】2021-03-24
(65)【公開番号】P2022148097
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】早川 幸彦
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-027244(JP,A)
【文献】特開2020-089149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/00- 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なシャフトと、自らを軸方向に貫通する前記シャフトとともに回転するロータと、前記ロータを周方向に囲むステータと、前記ステータに向けて冷媒を吐出する吐出孔とを備える回転機であって、
前記ロータ及び前記ステータを収容するハウジングと、前記吐出孔から吐出されて前記ステータに付着した後の冷媒を、前記ステータよりも径方向の内側で受ける冷媒受け部とを備え、
前記ハウジングが、前記ロータ及びステータを収容する収容空間と、前記収容空間を経由した冷媒を流す流路と、前記吐出孔とを備え、
前記吐出孔が、前記流路に連通し、且つ冷媒を径方向に沿って前記ステータに向けて吐出し、
前記冷媒受け部が、前記シャフトとともに回転しながら、前記ステータを経由した冷媒を受けるように構成されており、
前記ステータが、ステータコアと、通電されるコイルとを備え、
前記コイルが、前記ステータコアから軸方向に向けて突出するコイル突出部を備え、
前記吐出孔が、前記ステータにおける前記コイル突出部に向けて冷媒を吐出し、
前記冷媒受け部が、前記コイル突出部を経由した後の冷媒を受けるように構成されており
前記冷媒受け部が、冷媒を受け入れる冷媒受入路と、前記冷媒受入路を経由した冷媒を、回転する前記冷媒受け部の遠心力によって径方向の内側から外側に向けて誘導する誘導路と、前記誘導路に連通し、且つ冷媒を径方向に沿って前記コイル突出部に向けて排出する排出口とを備えており、
前記冷媒受け部が、空気を吸引して前記冷媒受入路の径方向の内側端部に導く空気吸引路を備え、
前記誘導路における前記冷媒受入路との連通部と、前記空気吸引路における前記冷媒受入路との連通部とが、前記内側端部を介して相対向する
ことを特徴とする回転機。
【請求項2】
前記冷媒受け部が、前記冷媒受入路、前記誘導路、前記排出口、及び前記空気吸引路の組み合わせを複数備え、
それぞれの前記組み合わせが、周方向に並ぶ、
ことを特徴とする請求項に記載の回転機。
【請求項3】
前記組み合わせが、周方向に並ぶ複数の前記冷媒受入路を備え、
前記組み合わせにおけるそれぞれの前記冷媒受入路が、周方向に並ぶ、
ことを特徴とする請求項に記載の回転機。
【請求項4】
前記冷媒受け部を複数備え、
前記ステータが、前記コイル突出部として、前記ステータコアの軸方向の一端から突出する一端側突出部と、前記ステータコアの軸方向の他端から突出する他端側突出部とを備え、
前記ハウジングが、前記吐出孔として、冷媒を、前記一端側突出部に向けて冷媒を吐出する一端側吐出孔と、前記他端側突出部に向けて吐出する他端側吐出孔とを備え、
複数の前記冷媒受け部における一つが、前記一端側突出部を経由した冷媒を受け、
複数の前記冷媒受け部における他の一つが、前記他端側突出部を経由した冷媒を受ける、
ことを特徴とする請求項に記載の回転機。
【請求項5】
前記組み合わせが、3つの前記冷媒受入路を備え、
3つの前記冷媒受入路のうち、周方向の真ん中に配置される第2冷媒受入路が、径方向に沿って延び、
前記第2冷媒受入路よりも周方向の一方側に配置される第1冷媒受入路の形状と、前記第2冷媒受入路よりも周方向の他方側に配置される第3冷媒受入路の形状とが、前記第2冷媒受入路の周方向の中心を通って径方向に延びる仮想基準線を基準にした線対称の形状であり、
前記誘導路の形状と、前記空気吸引路の形状とが、前記仮想基準線を基準にした線対称の形状である、
ことを特徴とする請求項に記載の回転機。
【請求項6】
前記冷媒受け部が、非磁性材料からなる、
ことを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の回転機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ、発電機等の回転機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転可能なシャフトと、自らを軸方向に貫通するシャフトとともに回転するロータと、ロータを周方向に囲むステータと、ステータに向けて冷媒を吐出する吐出孔とを備える回転機が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の回転機は、シャフトたるロータシャフトと、ロータと、ステータと、吐出孔たる排出口とを備える。以下、理解を容易にするために、シャフトの回転軸線方向、及び回転軸線と平行な方向を、単に軸方向と言う。また、回転軸線を中心とする径方向(回転軸に対して径方向)を、単に径方向と言う。また、回転軸線を中心とする周方向(回転軸に対して長手方向)を、単に周方向と言う。
【0004】
特許文献1に記載の回転機におけるロータのロータコアは、ロータコアよりも軸方向の一端側に配置される第1エンドプレートと、ロータコアよりも軸方向の他方側に配置される第2エンドプレートとに挟まれる。ロータシャフトは、回転軸線方向に延びる中空を備える。この中空内には、冷媒が流される。第1エンドプレートは、軸方向の他方側に向けて開口しつつ、径方向に延びる溝を有する。この溝の開口(溝底面に対向する位置にある開口)は、ロータコアによって閉じられて冷媒の流路となる。溝における径方向の内側の端は、ロータシャフトの中空に連通し、溝における径方向の外側の端は、軸方向の一端側に向けて開口して冷媒を排出する排出口として機能する。回転するロータシャフトの中空内の冷媒は、遠心力によって中空内から第1エンドプレートの溝内に流入し、溝内を径方向の内側から外側に向けて移動する。その後、冷媒は、第1エンドプレートの溝の排出口(吐出孔)から排出されて、ロータを囲むステータに供給される。
【0005】
特許文献1によれば、遠心力によって第1エンドプレートの排出口から排出した冷媒をステータに供給して、ステータを適切に冷却することができるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-68536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の回転機においては、ロータシャフトの構造を中空構造にすることで、ロータシャフトの剛性を低下させてしまうという課題があった。
【0008】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、中空構造にすることによるシャフトの剛性低下を回避し、且つステータを効率よく冷却することができる回転機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、回転可能なシャフトと、自らを軸方向に貫通する前記シャフトとともに回転するロータと、前記ロータを周方向に囲むステータと、前記ステータに向けて冷媒を吐出する吐出孔とを備える回転機であって、前記ロータ及び前記ステータを収容するハウジングと、前記吐出孔から吐出されて前記ステータに付着した後の冷媒を、前記ステータよりも径方向の内側で受ける冷媒受け部とを備え、前記ハウジングが、前記ロータ及びステータを収容する収容空間と、前記収容空間を経由した冷媒を流す流路と、前記吐出孔とを備え、前記吐出孔が、前記流路に連通し、且つ冷媒を径方向に沿って前記ステータに向けて吐出し、前記冷媒受け部が、前記シャフトとともに回転しながら、前記ステータを経由した冷媒を受ける、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、中空構造にすることによるシャフトの剛性低下を回避し、且つステータを効率よく冷却することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るモータのステータ及びロータを示す横断面図である。
図2】同モータを部分的に示す分解斜視図である。
図3】同モータを示す縦断面図である。
図4】同モータのリア側オイル受け部を示す斜視図である。
図5】軸方向における所定位置で破断した状態の同リア側オイル受け部を示す分解斜視図である。
図6】前述の所定位置で破断した状態の同リア側オイル受け部示す断面図である。
図7】同リア側オイル受け部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、各図を用いて、本発明を適用した回転機としてのモータの一実施形態について説明する。
【0013】
図1は、実施形態に係るモータのステータ5及びロータ7を示す横断面図である。ステータ5は、円筒状のステータコア5aと、ステータコア5aに巻かれた巻線たる平角線コイル5bとを備える。ロータ7は、ステータコア5aの中空内に配置され、ロータコア7aと、ロータ7の回転軸線Lを中心とする周方向に並ぶ態様でロータコア7aに埋め込まれた複数の永久磁石7bとを備える。コイルとしての平角線コイル5bには、交流三相電源が通電される。
【0014】
図2は、実施形態に係るモータ1を部分的に示す分解斜視図である。また、図3は、モータ1を示す縦断面図である。なお、図2においては、モータ1の内部構成を可視化するために、後述のモータカバーの図示が省略されている。また、図3においては、モータ1における周方向における全域のうち、半分の領域だけが示されている。
【0015】
モータ1は、ステータ5及びロータ7の他に、ハウジング3、シャフト6等を備える。モータ1は、IPM(Interior Permanent Magnet)モータからなり、EV(Electric Vehicle)車、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)車などの自動車に搭載されるものである。シャフト6は、図中において一点鎖線で示される回転軸線Lを中心にして回転可能に支持される。ロータ7は、シャフト6と一体的に回転する。
【0016】
ハウジング3は、ステータ5及びロータ7を収容する収容空間(図3の3y)と、回転軸線Lの方向に沿って延びる底面(図2の3z)と、冷媒としてのオイルを貯留するオイル貯留部とを備える。ハウジング3は、円柱状の収容空間(図3の3y)内に、ステータ5、シャフト6、及びロータ7を収容する。
【0017】
以下、回転軸線Lの方向において、シャフト6をモータカバーから突出させる側をフロント側(側)、反対側をリア側(側)という。ハウジング3は、リア側の端に開口を備える。この開口は、不図示のモータカバーによって塞がれる。
【0018】
モータ1は、回転軸線Lを水平方向に沿わせ、且つ底面(図2の3z)を鉛直方向の下方に向ける姿勢で自動車に搭載される。図2図3における矢印Cは、上下方向を示す。モータ1は、ハウジング3の冷媒貯留部としてのオイル貯留部を上下方向における下側に位置させる姿勢(以下、正規姿勢という)で配置されることを前提にした設計がなされている。以下、正規姿勢で配置されたモータ1におけるハウジング3について、上下方向の下側に位置する部分を下部と言い、上側になる部分を上部と言う。
【0019】
ハウジング3内には、一定量のオイルが貯留される。正規姿勢で配置されたモータ1において、ハウジング3内の冷媒としてのオイルは、重力によってオイル貯留部内に流れ込んで貯留される。
【0020】
シャフト6は、ロータコア(図1の7a)の中心に設けられた貫通穴に嵌め込まれる。シャフト6におけるフロント側の端部、及びリア側の端部のそれぞれは、ボールベアリング8によって回転可能に支持される。
【0021】
ステータ5の平角線コイルは、ステータコア5aの軸方向のリア側の端から軸方向のリア側に向けて突出するリア側突出部5b1と、ステータコア5aの軸方向のフロント側の端から軸方向のフロント側に向けて突出するフロント側突出部5b2とを備える。
【0022】
ハウジング3は、オイルを流通させるための流路3bを備える。流路3bは、ハウジング3における上側端部において、回転軸線Lの方向に延びる態様で配置される。なお、本発明において、回転軸線方向に延びる態様は、厳密に回転軸線方向に沿って延びる態様の他、回転軸線方向から45〔°〕未満に傾いた方向に延びる態様も含む。
【0023】
オイル貯留部は、収容空間(図3の3y)よりも径方向の外側且つ下方に位置する。収容空間(図3の3y)内のオイルは、自重によって収容空間内からオイル貯留部内に移動して貯留される。
【0024】
ハウジング3において、ステータ5及びロータ7を収容する収容空間(図3の3y)と、オイル貯留部とは、不図示の中継路を介して連通する。この中継路の途中には、不図示の電動オイルポンプ及びオイルクーラが配置される。オイル貯留部内に貯留されたオイルは、電動オイルポンプによって吸引されて中継路内に吐出される。吐出されたオイルは、中継路の途中でオイルクーラ内を経由して冷却された後、ハウジング3の流路3bに設けられた流入口3cを通じて流路3b内に送られる。
【0025】
ハウジング3は、複数のリア側吐出孔(図3の3d)と、複数のフロント側吐出孔(図3の3e)とを備える。複数のリア側吐出孔(図3の3d)のそれぞれは、流路3bにおける軸方向のリア側の端部に連通する。流入口3cを通じて流路3b内に流入したオイルの一部は、リア側吐出孔(図3の3d)を通じて流路3bの外に吐出される。複数のリア側吐出孔(図3の3d)のそれぞれは、オイルを径方向に沿ってステータ5のコイル突出部としてのリア側突出部5b1に向けて吐出する。吐出されたオイルは、慣性力と重力との作用により、径方向の外側から内側に向けて(図3の矢印a方向)飛翔して平角線コイルのリア側突出部5b1に付着する。付着したオイルは、重力の作用により、リア側突出部5b1の複数のコイルエンド部の表面上を径方向の外側から内側に向けて移動する。このとき、複数のコイルエンド部からオイルへの熱伝導により、平角線コイルが冷却され、ステータコア5aが平角線コイルを介して冷却される。平角線コイルを冷却したオイルは、重力の作用により、リア側突出部5b1の複数のコイルエンド部から離脱し、径方向の外側から内側に向けて飛翔する。その後、オイルは、リア側オイル受け部10に供給される。
【0026】
複数のフロント側吐出孔(図3の3e)のそれぞれは、流路3bにおける軸方向のフロント側の端部に連通する。流入口3cを通じて流路3b内に流入したオイルの一部は、フロント側吐出孔(図3の3e)を通じて流路3bの外に吐出される。複数のフロント側吐出孔(図3の3e)のそれぞれは、オイルを径方向に沿ってステータ5のコイル突出部としてのフロント側突出部5b2に向けて吐出する。吐出されたオイルは、慣性力と重力との作用により、径方向の外側から内側に向けて(図3の矢印b方向)飛翔して平角線コイルのフロント側突出部5b2に付着する。付着したオイルは、重力の作用により、フロント側突出部5b2の複数のコイルエンド部の表面上を径方向の外側から内側に向けて移動する。このとき、複数のコイルエンド部からオイルへの熱伝導により、平角線コイルが冷却され、ステータコア5aが平角線コイルを介して冷却される。平角線コイルを冷却したオイルは、重力の作用により、フロント側突出部5b2の複数のコイルエンド部から離脱し、径方向の外側から内側に向けて飛翔する。その後、オイルは、フロント側オイル受け部20に供給される。
【0027】
図4は、冷媒受け部としてのリア側オイル受け部10を示す斜視図である。円盤状のリア側オイル受け部10は、径方向の中心部に貫通孔12を備える。この貫通孔12には、シャフト(図2の6)が貫通する。また、リア側オイル受け部10は、軸方向に貫通する4つのボルト穴13を備える。4つのボルト穴13は、周方向に並ぶ。4つのボルト穴13のそれぞれには、不図示のボルトが通される。それぞれのボルトは、ロータコア(図1の7a)に螺せしめられる。この螺により、リア側オイル受け部10がロータコア(図1の7a)に固定される。シャフト(図2の6)、ロータコア(図1の7a)、及びリア側オイル受け部10は、一体となって回転する。
【0028】
複数のリア側吐出孔(図3の3d)から平角線コイルのリア側突出部(図2の5b1)を経てリア側オイル受け部10に供給されたオイルは、回転するリア側オイル受け部10の遠心力により、リア側オイル受け部10から離脱する。離脱したオイルは、径方向の内側から外側に向けて飛翔した後、平角線コイルのリア側吐出部(図2の5b1)に再付着する。この再付着により、ステータ(図3の5)が効率よく冷却される。その後、オイルは、ハウジング3の収容空間(図3の3y)の内壁を伝わるなどして、オイル貯留部に貯留される。
【0029】
以上のように、モータ1のハウジング(図2の3)は、ロータ(図2の7)及びステータ(図2の5)を収容する収容空間(図3の3y)と、収容空間を経由したオイルを流す流路(図2の3b)と、リア側吐出孔(図3の3d)とを備える。モータ1は、リア側吐出孔(図3の3d)から吐出されてステータ(図2の5)に付着した後のオイルを、ステータよりも径方向の内側で受けるリア側オイル受け部10を備える。
【0030】
かかる構成において、リア側オイル受け部10によって受けられたオイルは、回転するリア側オイル受け部10の遠心力により、リア側オイル受け部10から離脱する。離脱したオイルは、平角線コイルのリア側吐出部(図2の5b1)に再付着することで、ステータ(図3の5)を効率よく冷却することができる。加えて、モータ1においては、シャフト(図2の6)に中空を設けることなく、リア側オイル受け部10の遠心力を利用してオイルをステータに供給することが可能であるので、中空構造にすることによるシャフトの剛性低下を回避することができる。
【0031】
上述のように、コイルとしての平角線コイル(図1の5b)は、ステータコア(図2の5a)から軸方向に向けて突出するコイル突出部(リア側突出部5b1、フロント側突出部5b2を備える。コイル突出部としてのリア側突出部(図2の5b1)は、ステータ(図2の5)におけるリア側突出部5b1に向けてオイルを吐出する。リア側オイル受け部(図3の10)は、ステータ(図2の5)の平角線コイルのリア側突出部(図3の5b1)を経由した後のオイルを受ける。
【0032】
かかる構成によれば、熱伝導率の高い金属(例えば銅)からなる平角線コイルを介してステータコア(図2の5a)からオイルに熱を伝導させることで、ステータ(図2の5)をより効率よく冷却することができる。
【0033】
なお、特許文献1に記載の回転機においては、ロータからロータシャフトを介して、ロータシャフト内の冷媒に熱を伝導させることで、ロータを冷却すると考えられる。また、上述の排出口から排出した冷媒をステータに供給することで、ステータを冷却する。ステータに対する冷媒の供給は、その一度だけである。一方、モータ1においては、平角線コイルのリア側突出部(図3の5b1)に対し、リア側吐出孔(図3の3d)からのオイル供給、及びリア側オイル受け部(図3の10)からの再供給、という2回のオイル供給により、ステータを2回冷却する。また、平角線コイルのリア側突出部(図3の5b1)からこぼれ落ちたオイルをシャフト(図3の6)及びロータコア(図3の7a)に供給することで、シャフト及びロータを冷却する。かかる構成のモータ1は、特許文献1に記載の回転機に比べて、ステータ及びロータを効率よく冷却することができる。
【0034】
モータ1において、ハウジング3は、収容空間(図2の3y)に連通し、且つオイルを貯留する冷媒貯留部たるオイル貯留部を備える。リア側吐出孔(図3の3d)は、径方向においてシャフト(図2の6)を介してオイル貯留部に対向する。モータ1は、オイル貯留部を重力方向の下側に位置させる姿勢で設置されるため、リア側吐出孔(図3の3d)から収容空間(図2の3y)内に供給されたオイルは、重力の作用によって効率よくオイル貯留部に貯留することができる。また、シャフト(図2の6)を介してオイル貯留部に対向するリア側吐出孔(図3の3d)は、オイルを重力方向下方に向けて吐出する姿勢になる。これにより、モータ1は、リア側吐出孔(図3の3d)から吐出したオイルを、ステータ(図2の5)の平角線コイルのリア側突出部(図2の5b1)に効率よく供給することができる。
【0035】
冷媒受け部としてのリア側オイル受け部10は、オイルを受け入れる第1オイル受入路11a、第2オイル受入路11b、及び第3オイル受入路11cを備える。また、リア側オイル受け部10は、誘導路11d、及び排出口11fを備える。誘導路11dは、前述の3つのオイル受入路(11a~c)のそれぞれに受け入れたオイルを、回転するリア側オイル受け部10の遠心力によって径方向の内側から外側に向けて誘導する。排出口11fは、誘導路11dに連通し、且つオイルを径方向に沿って平角線コイルのリア側コイル突出部(図3の5b1)に向けて排出する。
【0036】
かかる構成によれば、リア側オイル受け部としてパドル形状のものを用いる場合に比べて、収容空間(図3の3y)内における空気の乱流の発生を抑えることができる。より詳しくは、回転軸線Lを中心にして放射状に延びる複数の羽根を有するパドル形状のリア側オイル受け部では、平角線コイルのリア側突出部(図3の5b1)からこぼれ落ちたオイルを、それぞれの羽根で弾き返してリア側突出部に再供給することが可能である。但し、複数の羽根のそれぞれがいわゆる風切りを行うことで、収容空間(図3の3y)内に空気の乱流を発生させてしまう。一方、モータ1における前述の構成のリア側オイル受け部10によれば、風切りを行う羽根が存在しないことから、乱流の発生を抑えることができる。
【0037】
図5は、軸方向における所定位置で破断した状態のリア側オイル受け部10を示す分解斜視図である。また、図6は、前述の所定位置で破断した状態のリア側オイル受け部10を示す断面図である。
【0038】
リア側オイル受け部10は、空気を吸引してオイル受入路(11a~c)の径方向の内側端部に導く空気吸引路11eを備える。誘導路11dにおける3つのオイル受入路(11a~c)のそれぞれは、互いの径方向の内側端部で連通する。誘導路11dにおける3つのオイル受入路(11a~c)との連通部と、空気吸引路11eにおける3つのオイル受入路(11a~c)との連通部とが、3つのオイル受入路の径方向の内側端部を介して相対向する。
【0039】
かかる構成では、空気吸引路11e内に吸引した空気の流れにより、3つのオイル受入路(11a~c)のそれぞれにおいて径方向の外側から内側に向かう受入れ方向のオイルの流れの発生を助長する。これにより、3つのオイル受入路(11a~c)のそれぞれに対してオイルを効率よく受入れさせることができる。
【0040】
図6に示されるように、リア側オイル受け部10は、オイル受入路として、互いに周方向に並ぶ、第1オイル受入路11a、第2オイル受入路11b、及び第3オイル受入路11cの3つを備える。3つのオイル受入路のうち、周方向の真ん中に配置される第2オイル受入路11bは、径方向に沿って延びる。第1オイル受入路11a、及び第3オイル受入路11cのそれぞれは、径方向の外側から内側に向かうにつれて第2オイル受入路11bから離れる態様で直線状に延びる。図中の矢印i方向は、リア側オイル受け部10の回転方向を示す。第1オイル受入路11aは、第2オイル受入路11b及び第3オイル受入路11cのそれぞれよりも回転方向(矢印i方向)の上流側に位置する。
【0041】
第2オイル受入路11bにおいては、2つの側壁が、径方向の外側から内側に向かうにつれて互いに遠ざかる態様で延びる。
【0042】
リア側オイル受け部10が回転すると、第1オイル受入路11a内において、2つの側壁のうち、回転方向(矢印i方向)の上流側に位置する方の側壁の付近の領域(A2)において負圧が発生する。この負圧により、リア側オイル受け部10の外部から空気吸引路11e内に向かう(図中矢印f方向)吸引力を発生させることが可能である。また、リア側オイル受け部10が回転すると、第2オイル受入路11b内において、2つの側壁のうち、回転方向(矢印i方向)の上流側に位置する方の側壁の付近の領域(A1)において負圧が発生する。この負圧によっても、リア側オイル受け部10の外部から空気吸引路11e内に向かう吸引力を発生させることが可能である。3つのオイル受入路(11a~c)のそれぞれに受け入れられたオイルは、矢印gで示されるように、それぞれのオイル受入路の径方向の内側端部において、空気吸引路11eから送られてくる空気と混ざり合う。その後、オイル及び空気の混合物は、矢印hで示されるように、誘導路11d内に進入する。
【0043】
リア側オイル受け部10は、4つの流路ユニット11を備える。それぞれの流路ユニット11は、第1オイル受入路11a、第2オイル受入路11b、第3オイル受入路11c、誘導路11d、排出口11f、及び空気吸引路11eの組み合わせからなり、互いに周方向に並ぶ。
【0044】
かかる構成によれば、リア側オイル受け部として、流路ユニット11を1つだけ備えるものを用いる場合に比べて、リア側オイル受け部10から平角線コイルのリア側突出部5b1へのオイル再供給効率を向上させることができる。
【0045】
上述のように、流路ユニット11は、オイル受入路として、周方向に並ぶ第1オイル受入路11a、第2オイル受入路11b、及び第3オイル受入路11cを備える。かかる構成によれば、リア側オイル受け部として、流路ユニット11にオイル受入路を1つだけ備えるものを用いる場合に比べて、リア側オイル受け部10へのオイル受入れ効率を高める。これにより、リア側オイル受け部10から平角線コイルのリア側突出部(図3の5b1)へのオイル再供給効率を高めることができる。
【0046】
図4図5、及び図6を用いてリア側オイル受け部10について詳述したが、図2及び図3に示されるフロント側オイル受け部20も、リア側オイル受け部10と同様の構成になっている。フロント側オイル受け部20は、平角線コイルにおけるフロント側突出部5b2に対してオイルを再供給する。
【0047】
かかる構成によれば、平角線コイル(図1の5b)及びステータコア(図2の5a)を軸方向の両側から冷却して、ステータ(図2の5)及びロータ(図2の7)の冷却効率をより高めることができる。
【0048】
図6において、Vという符号は、径方向に延び、且つ第2オイル受入路11bの周方向の中心を通る仮想基準線を示す。第1オイル受入路11aの形状と、第3オイル受入路11cの形状とは、仮想基準線Vを基準にした線対称の形状である。また、誘導路11dの形状と、空気吸引路11eの形状とが、仮想基準線Vを基準にした線対称の形状である。
【0049】
かかる構成によれば、リア側オイル受け部10、及びフロント側オイル受け部20のそれぞれとして、共通仕様のもの(以下、共通仕様部材と言う)を用いることができる。なお、共通仕様部材においては、リア側オイル受け部10とフロント側オイル受け部20とで、誘導路11dと空気吸引路11eとの関係が逆転する。即ち、リア側オイル受け部10において誘導路11dとして機能する流路がフロント側オイル受け部20において空気吸引路11eとして機能し、リア側オイル受け部10において空気吸引路11eとして機能する流路がフロント側オイル受け部20において誘導路11dとして機能する。
【0050】
リア側オイル受け部10、及びフロント側オイル受け部20のぞれぞれは、耐熱性樹脂等の非磁性材料からなる。かかる構成によれば、それぞれのオイル受け部(10、20)として磁性材料からなるものを用いる場合に比べて、渦電流によるエネルギー損失を低減することができる。なお、非磁性材料として、非磁性の樹脂材料を用いる場合には、非磁性の金属材料を用いる場合に比べて、オイル受け部(10、20)を設けることによるロータ(7)の慣性力の増加を低減することができる。
【0051】
図7は、リア側オイル受け部10を示す側面図である。図示のように、第1オイル受入路11a、第2オイル受入路11b、及び第3オイル受入路11cの組と、誘導路11d、及び空気吸引路11eの組とは、軸方向において互いにずれた位置にある。
【0052】
かかる構成では、排出口11fから排出したオイルを、3つのオイル流入路(11a~c)に流入する直前のオイルにぶつけることによるリア側オイル受け部10へのオイル受入れ効率の低下を抑えることができる。
【0053】
なお、上述の共通仕様部材における軸方向の外側端面において、軸方向の中央側から外側に向かうテーパーを設けてもよい。かかる構成では、テーパーで受けたオイルをその傾斜によってボールベアリング(図2の8)に導いて、ボールベアリングの冷却効率を高めることができる。
【0054】
本発明を回転機としてのモータ1に適用した例について説明したが、本発明を回転機としての発電機(ダイナモ)に適用してもよい。
【0055】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の構成を適用し得る範囲内で、実施形態とは異なる構成を採用することもできる。本発明は、以下に説明する態様毎に特有の作用効果を奏する。
【0056】
〔第1態様〕
第1態様は、回転可能なシャフト(例えばシャフト6)と、自らを軸方向に貫通する前記シャフトとともに回転するロータ(例えばロータ7)と、前記ロータを周方向に囲むステータ(例えばステータ5)と、前記ステータに向けて冷媒(例えばオイル)を吐出する吐出孔(例えばリア側吐出孔3d、フロント側吐出孔3e)とを備える回転機(例えばモータ1)であって、前記ロータ及び前記ステータを収容するハウジング(例えばハウジング3)と、前記吐出孔から吐出されて前記ステータに付着した後の冷媒を、前記ステータよりも径方向の内側で受ける冷媒受け部(例えばリア側オイル受け部10、フロント側オイル受け部20)とを備え、前記ハウジングが、前記ロータ及びステータを収容する収容空間(例えば収容空間3y)と、前記収容空間を経由した冷媒を流す流路(例えば流路3b)と、前記吐出孔とを備え、前記吐出孔が、前記流路に連通し、且つ冷媒を径方向に沿って前記ステータに向けて吐出し、前記冷媒受け部が、前記シャフトとともに回転しながら、前記ステータを経由した冷媒を受ける、ことを特徴とするものである。
【0057】
かかる構成によれば、冷媒受け部によって受けられた冷媒は、回転する冷媒受け部の遠心力により、冷媒受け部から離脱した後、ステータに再供給されることで、ステータを効率よく冷却することができる。加えて、第1態様によれば、シャフトに中空を設けることなく、冷媒受け部の遠心力を利用して冷媒をステータに再供給することが可能であるので、中空構造にすることによるシャフトの剛性低下を回避することができる。
【0058】
〔第2態様〕
第2態様は、第1態様の構成を備え、且つ、前記ステータが、ステータコア(例えばステータコア5a)と、通電されるコイル(例えば平角線コイル5b)とを備え、前記コイルが、前記ステータコアから軸方向に向けて突出するコイル突出部(例えばリア側突出部5b1、フロント側突出部5b2)を備え、前記吐出孔が、前記ステータにおける前記コイル突出部に向けて冷媒を吐出し、前記冷媒受け部が、前記コイル突出部を経由した後の冷媒を受ける、ことを特徴とする回転機である。
【0059】
第2態様によれば、熱伝導率の高い金属(例えば銅)からなるコイルを介してステータコアから冷媒に熱を伝導させることで、ステータをより効率よく冷却することができる。
【0060】
〔第3態様〕
第3態様は、第2態様の構成を備え、且つ、前記ハウジングが、前記収容空間に連通し、且つ冷媒を貯留する冷媒貯留部(例えばオイル貯留部)を備え、前記吐出孔が、径方向において前記シャフトを介して前記冷媒貯留部に対向する、ことを特徴とする回転機である。
【0061】
回転機は、冷媒貯留部を重力方向の下側に位置させる姿勢で設置される。このため、第3態様によれば、吐出孔から収容空間内に供給された冷媒は、重力の作用によって効率よく冷媒貯留部に貯留することができる。加えて、第3態様によれば、シャフトを介して冷媒貯留部に対向する吐出孔が、冷媒を重力方向下方に向けて吐出することで、冷媒をステータに効率よく供給することができる。
【0062】
〔第4態様〕
第4態様は、第3態様の構成を備え、且つ、前記冷媒受け部が、冷媒を受け入れる冷媒受入路(例えば3つの冷媒受入路11a~c)と、前記冷媒受入路を経由した冷媒を、回転する前記冷媒受け部の遠心力によって径方向の内側から外側に向けて誘導する誘導路(例えば誘導路11d)と、前記誘導路に連通し、且つ冷媒を径方向に沿って前記コイル突出部に向けて排出する排出口(例えば排出口11f)とを備える、ことを特徴とする回転機である。
【0063】
第4態様によれば、冷媒受け部としてパドル形状のものを用いる場合に比べて、ハウジングの収容空間内における空気の乱流の発生を抑えることができる。
【0064】
〔第5態様〕
第5態様は、第4態様の構成を備え、且つ、前記冷媒受け部が、空気を吸引して前記冷媒受入路の径方向の内側端部に導く空気吸引路(例えば空気吸引路11e)を備え、前記誘導路における前記冷媒受入路との連通部と、前記空気吸引路における前記冷媒受入路との連通部とが、前記内側端部を介して相対向する、ことを特徴とする回転機である。
【0065】
第5態様によれば、冷媒受入部の空気吸引路内に吸引した空気の流れにより、冷媒受入路において径方向の外側から内側に向かう受入れ方向の冷媒の流れの発生を助長することで、冷媒受入路に対してオイルを効率よく受入れさせることができる。
【0066】
〔第6態様〕
第6態様は、第5態様の構成を備え、且つ、前記冷媒受け部が、前記冷媒受入路、前記誘導路、前記排出口、及び前記空気吸引路の組み合わせ(例えば流路ユニット11)を複数備え、それぞれの前記組み合わせが、周方向に並ぶ、ことを特徴とする回転機である。
【0067】
第6態様によれば、冷媒受け部として、前述の組み合わせを1つだけ備えるものを用いる場合に比べて、冷媒受け部からステータのコイル突出部へのオイル再供給効率を向上させることができる。
【0068】
〔第7態様〕
第7態様は、第6態様の構成を備え、且つ、前記組み合わせが、周方向に並ぶ複数の前記冷媒受入路を備え、前記組み合わせにおけるそれぞれの前記冷媒受入路が、周方向に並ぶ、ことを特徴とする回転機である。
【0069】
第7態様によれば、冷媒受け部として、前記組み合わせに冷媒受入路を1つだけ備えるものを用いる場合に比べて、冷媒受け部への冷媒受入れ効率を高めることで、冷媒受け部からコイル突出部へのオイル再供給効率を高めることができる。
【0070】
〔第8態様〕
第8態様は、第7態様の構成を備え、且つ、前記冷媒受け部を複数備え、前記ステータが、前記コイル突出部として、前記ステータコアの軸方向の一端から突出する一端側突出部(例えばリア側突出部5b1)と、前記ステータコアの軸方向の他端から突出する他端側突出部(例えばフロント側突出部5b2)とを備え、前記ハウジングが、前記吐出孔として、冷媒を、前記一端側突出部に向けて冷媒を吐出する一端側吐出孔(例えばリア側吐出孔3d)と、前記他端側突出部に向けて吐出する他端側吐出孔(例えばフロント側吐出孔3e)とを備え、複数の前記冷媒受け部における一つ(例えばリア側オイル受け部10)が、前記一端側突出部を経由した冷媒を受け、複数の前記冷媒受け部における他の一つ(例えばフロント側オイル受け部20)が、前記他端側突出部を経由した冷媒を受ける、ことを特徴とする回転機である。
【0071】
かかる構成によれば、ステータのコイル及びステータコアを軸方向の両側から冷却して、ステータ及びロータの冷却効率をより高めることができる。
【0072】
〔第9態様〕
第9態様は、第8態様の構成を備え、且つ、前記組み合わせが、3つの前記冷媒受入路を備え、3つの前記冷媒受入路のうち、周方向の真ん中に配置される第2冷媒受入路(例えば第2オイル受入路11b)が、径方向に沿って延び、前記第2冷媒受入路よりも周方向の一方側に配置される第1冷媒受入路(例えば第1オイル受入路11a)の形状と、前記第2冷媒受入路よりも周方向の他方側に配置される第3冷媒受入路(例えば第3オイル受入路11c)の形状とが、前記第2冷媒受入路の周方向の中心を通って径方向に延びる仮想基準線(例えば仮想基準線V)を基準にした線対称の形状であり、前記誘導路の形状と、前記空気吸引路の形状とが、前記仮想基準線を基準にした線対称の形状である、ことを特徴とする回転機である。
【0073】
第9態様によれば、一端側冷媒受け部、及び他端側冷媒受け部のそれぞれとして、共通仕様部材からなるものを用いることができる。
【0074】
〔第10態様〕
第10態様は、第1態様~第9態様における少なくとも何れか1つ構成を備え、且つ、前記冷媒受け部が、非磁性材料からなる、ことを特徴とする回転機である。
【0075】
第10態様によれば、冷媒受け部として磁性材料からなるものを用いる場合に比べて、渦電流によるエネルギー損失を低減することができる。
【符号の説明】
【0076】
1・・・モータ(回転機)、 3・・・ハウジング、 3b・・・流路、 3d・・・リア側吐出孔(一端側吐出孔)、 3e・・・フロント側吐出孔(他端側吐出孔)、 3y・・・収容空間、 5・・・ステータ、 5a・・・ステータコア、 5b・・・平角線コイル、 5b1・・・リア側突出部(一端側突出部)、 5b2・・・フロント側突出部(他端側突出部)、 6・・・シャフト、 7・・・ロータ、 7a・・ロータコア、 7b・・・永久磁石、 10・・・リア側オイル受け部(一端側冷媒受け部)、 11・・・流路ユニット(組み合わせ)、 11a・・・第1オイル受入路(第1冷媒受入路)、 11b・・・第2オイル受入路(第2冷媒受入路)、 11c・・・第3オイル受入路(第3冷媒受入路)、 11d・・・誘導路、 11e・・・空気吸引路、 11f・・・排出路、 20・・・フロント側オイル受け部(他端側冷媒受け部)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7