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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240806BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G21/00 386
G03G15/20 510
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021050814
(22)【出願日】2021-03-24
(65)【公開番号】P2022148934
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】小林 隆
(72)【発明者】
【氏名】中尾 健人
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-122820(JP,A)
【文献】特開2005-326779(JP,A)
【文献】特開2007-33261(JP,A)
【文献】特開2012-61707(JP,A)
【文献】特開2006-106126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
G03G 13/01
G03G 13/02
G03G 13/08
G03G 13/095
G03G 13/14 -13/16
G03G 13/20
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/01
G03G 15/02
G03G 15/08
G03G 15/095
G03G 15/14 -15/16
G03G 15/20
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/16 -21/18
G03G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に対して着脱可能な着脱部と、
前記着脱部に設けられた着脱部側端子と、
前記着脱部側端子の第1の箇所に接触する、前記本体部に設けられた本体部側第1の端子と、
前記着脱部側端子の第2の箇所に接触する、前記本体部に設けられた本体部側第2の端子と、
前記着脱部側端子と前記本体部側第1の端子、及び前記着脱部側端子と前記本体部側第2の端子のうちの一方の端子間で導通不良が発生したことを検知する導通不良検知部と、
前記導通不良検知部が、前記着脱部側端子と前記本体部側第1の端子、及び前記着脱部側端子と前記本体部側第2の端子のうちの一方の端子間で導通不良が発生したことを検知した場合に、所定の報知を行う報知部と
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記報知部は、
前記導通不良検知部が、前記着脱部側端子と前記本体部側第1の端子、及び前記着脱部側端子と前記本体部側第2の端子のうちの一方の端子間で導通不良が発生したことを検知した場合に、前記着脱部と前記本体部との間で通信しにくくなっている旨を示す報知を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記導通不良検知部は、
前記本体部が前記着脱部から情報を読み出す際に、前記着脱部側端子と、前記本体部側第1の端子及び前記本体部側第2の端子のうちの一方とを介して、前記着脱部と前記本体部との間で通信を行い、当該通信が失敗すると、つづけて、前記着脱部側端子と、前記本体部側第1の端子及び前記本体部側第2の端子の両方とを介して、前記着脱部と前記本体部との間で通信を行い、当該通信が成功した場合に、前記着脱部側端子と前記本体部側第1の端子、及び前記着脱部側端子と前記本体部側第2の端子のうちの一方の端子間で導通不良が発生していると判定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記導通不良検知部は、
前記着脱部側端子と、前記本体部側第1の端子及び前記本体部側第2の端子のうちの一方とを介して、前記着脱部と前記本体部との間で通信を行い、当該通信が失敗すると、つづけて、前記着脱部側端子と、前記本体部側第1の端子及び前記本体部側第2の端子の両方とを介して、前記着脱部と前記本体部との間で通信を行い、当該通信が失敗した場合に、前記着脱部と前記本体部との間で通信エラーが発生していると判定し、
前記報知部は、
前記導通不良検知部が、前記着脱部と前記本体部との間で前記通信エラーが発生したことを検知した場合に、前記着脱部と前記本体部との間で通信できなくなっている旨を示す報知を行う
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記導通不良検知部は、
前記着脱部側端子と、前記本体部側第1の端子及び前記本体部側第2の端子のうちの一方とを介して、前記着脱部と前記本体部との間で通信を行い、当該通信が成功すると、つづけて、前記着脱部側端子と、前記本体部側第1の端子及び前記本体部側第2の端子のうちの他方を介して、前記着脱部と前記本体部との間で通信を行う
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記導通不良検知部は、
前記本体部が前記着脱部に情報を書き込む際には、前記着脱部側端子と、前記本体部側第1の端子及び前記本体部側第2の端子の両方とを介して、前記着脱部と前記本体部との間で通信を行う
ことを特徴とする請求項3~5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記本体部側第1の端子は、第1の信号線と接続され、
前記本体部側第2の端子は、第2の信号線と接続され、
前記第1の信号線には、途中に第1の抵抗が挿入され、
前記第2の信号線には、途中に第2の抵抗が挿入され、
前記導通不良検知部は、
前記第1の信号線の前記本体部側第1の端子と前記第1の抵抗との間の電位と、前記第2の信号線の前記本体部側第2の端子と前記第2の抵抗との間の電位との電位差を検出し、当該電位差に基づいて、前記着脱部側端子と前記本体部側第1の端子、及び前記着脱部側端子と前記本体部側第2の端子のうちの一方の端子間で導通不良が発生しているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタや複合機などの画像形成装置は、着脱可能なユニットとして定着器やトナーカートリッジを有している。このようなユニットには、情報を記憶保持する記憶部が設けられていて、画像形成装置は、ユニットの記憶部に対し、各種情報を読み書きするようになっていた(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような画像形成装置では、例えば、本体部にユニットが装着されると、ユニットに設けられたユニット側端子と、本体部に設けられた本体部側端子とが接触して導通することにより、本体部とユニットとの間で通信できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-106403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の画像形成装置では、ユニットの着脱を繰り返すことによる本体部側及びユニット側の端子の摩耗や、飛散トナーによる端子の汚れなどが原因となって、端子間の導通不良(つまり接点不良)が発生し、本体部とユニットとの間で通信できなくなる場合がある。
【0006】
従来の画像形成装置は、このように本体部とユニットとの間で通信できなくなると、印刷動作などを停止してエラーを表示し、メンテナンスを行うよう促すようになっていた。この為、例えば、画像形成装置を利用していたユーザは、エラーの表示後、メンテナンスが終了するまで待たなければならず、利便性が高いとは言えなかった。
【0007】
本発明は以上の点を考慮したものであり、従来と比較して利便性を向上させた画像形成装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、本体部と、前記本体部に対して着脱可能な着脱部と、前記着脱部に設けられた着脱部側端子と、前記着脱部側端子の第1の箇所に接触する、前記本体部に設けられた本体部側第1の端子と、前記着脱部側端子の第2の箇所に接触する、前記本体部に設けられた本体部側第2の端子と、前記着脱部側端子と前記本体部側第1の端子、及び前記着脱部側端子と前記本体部側第2の端子のうちの一方の端子間で導通不良が発生したことを検知する導通不良検知部と、前記導通不良検知部が、前記着脱部側端子と前記本体部側第1の端子、及び前記着脱部側端子と前記本体部側第2の端子のうちの一方の端子間で導通不良が発生したことを検知した場合に、所定の報知を行う報知部とを備える。
【0009】
これにより、前記着脱部側端子と前記本体部側第1の端子、及び前記着脱部側端子と前記本体部側第2の端子のうちの一方の端子間で導通不良が発生した時点(すなわち前記着脱部側端子と前記本体部側第1の端子、及び前記着脱部側端子と前記本体部側第2の端子の両方の端子間で導通不良が発生して、本体部が着脱部にアクセスできなくなる前の時点)で、導通不良により本体部と着脱部とが通信しにくくなっていることを報知できるので、例えば、ユーザが画像形成装置を利用していないときに前もってメンテナンスを実施することができ、ユーザの待ち時間を減らすことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、従来と比較して利便性を向上させた画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態による画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施の形態による画像形成部の構成を示す側断面図である。
図3】第1の実施の形態による定着器と本体部側接続部の外観構成を示す斜視図である。
図4】第1の実施の形態による制御部の構成を示す図である。
図5】第1の実施の形態による制御部の動作全体を示すフローチャートである。
図6】第1の実施の形態によるリード動作を示すフローチャートである。
図7】第1の実施の形態による表示部に表示されるパターンを示す図である。
図8】第1の実施の形態によるライト動作を示すフローチャートである。
図9】第2の実施の形態による制御部の構成を示す図である。
図10】第2の実施の形態による制御信号線を流れる信号の波形を示す図である。
図11】第2の実施の形態による導通不良検知部で扱う情報の真理値表である。
図12】第2の実施の形態による表示部に表示されるパターンを示す図である。
図13】他の実施の形態による表示部に表示されるパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態(以下、これを実施の形態と呼ぶ)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.画像形成装置の構成]
図1に第1の実施の形態による画像形成装置1の機能構成を示す。画像形成装置1は、電子写真方式のプリンタであり、本体部2に、制御部10と、画像形成部11と、装置記憶部12と、表示部13と、通信部14とが設けられている。
【0014】
制御部10は、画像形成装置1全体を制御する部分である。具体的には、制御部10は、通信部14を介して、ホストコンピュータなどの上位装置から受信した印刷データを解析してラスタデータを生成し、当該ラスタデータを用いて印刷するように画像形成部11に指示を出す。
【0015】
画像形成部11は、用紙などの印刷媒体に画像を形成(つまり印刷)する部分である。この画像形成部11は、画像を印刷媒体に定着させる為の定着器20を有している。またこの定着器20は、定着記憶部21を有している。定着記憶部21には、情報として、定着装置番号D1と、印刷枚数D2と、異常フラグD3が記憶される。
【0016】
定着装置番号D1は、定着器20ごとに異なるユニークな番号である。印刷枚数D2は、画像形成装置1で印刷した枚数である。異常フラグD3は、画像形成装置1に、ジャム(紙詰まり)などの、何らかの処置(メンテナンス)が必要なエラーが発生しているか否かを示すフラグである。尚、制御部10は、定着記憶部21に格納されている情報を読み出す際にパリティチェックを行うことで、読み出した情報に誤りがあるか否かを検出することができるようになっている。
【0017】
装置記憶部12にも、定着記憶部21と同様、定着装置番号D4と、印刷枚数D5と、異常フラグD6が記憶される。
【0018】
表示部13は、画像形成装置1に関する各種情報を表示する。例えば、画像形成装置1にエラーが発生した場合には、エラーの内容と解消方法などを表示する。通信部14は、外部のホストコンピュータとLANなどのネットワークを介して通信する。画像形成装置1の機能構成は、以上のようになっている。
【0019】
つづけて、図2を用いて、画像形成部11の構成について説明する。画像形成部11は電子写真方式であり、4つのイメージドラムユニットIdと、イメージドラムユニットIdごとに設けられたLEDヘッド30及び転写器31と、定着器20とを有している。
【0020】
4つのイメージドラムユニットIdは、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に対応していて、それぞれ感光部32と、帯電器33と、現像器34とを有している。
【0021】
感光部32は、ドラム状の感光体である。帯電器33は、感光部32の表面を一様に帯電させる部分である。LEDヘッド30は、複数の発光素子(LED)を主走査方向(感光部32の回転軸方向)に配置したパーツであり、一様に帯電された感光部32の表面を選択的に露光することにより、感光部32の表面に静電潜像を形成する部分である。
【0022】
現像器34は、感光部32の表面に形成された静電潜像に、図示しないトナーカートリッジから供給されるトナーを付着させて現像することにより、感光部32の表面にトナー像を形成する部分である。転写器31は、感光部32の表面に形成されたトナー像を印刷媒体Pに転写する部分である。
【0023】
定着器20は、トナー像が転写された印刷媒体Pを加熱及び加圧することにより、当該印刷媒体Pにトナー像を定着させる部分であり、本体部2に着脱可能に設けられている。この定着器20は、本体部2の図示しない上面カバーを開けるとこで外部に露出するようになっていて、露出した状態で上方に引っ張られることにより、本体部2から取り外すことができるようになっている。また定着器20は、上面カバーを開けた状態で、本体部2の所定箇所に上方から挿入されることにより、本体部2に装着することができるようになっている。
【0024】
この定着器20は、図3に示すように、箱型の筐体40を有していて、当該筐体40の底部に、メモリタグである定着記憶部21が設けられている。定着記憶部21は、底面に2つの定着器側端子41、42が設けられている。2つの定着器側端子41、42は、それぞれ定着記憶部21の基板上に金属メッキを施すことで形成された四角形状の接点パターンである。
【0025】
一方で、画像形成装置1の本体部2側には、装着された定着器20の定着記憶部21と対向する箇所(つまり定着記憶部21の下側となる箇所)に、本体部側接続部50が設けられている。本体部側接続部50は、上面に4つの本体部側端子51A、51B、52A、52Bが設けられている。これら4つの本体部側端子51A、51B、52A、52Bは、それぞれ本体部側接続部50の上面から突出する板バネ状の接点である。
【0026】
図4に示すように、4つの本体部側端子51A、51B、52A、52Bのうち、本体部側端子51A、51Bは、定着器20が本体部2に装着された際に、定着器側端子41と接触する。このとき、本体部側端子51Aは、定着器側端子41の第1の箇所41p1に接触し、本体部側端子51Bは、定着器側端子41の第1の箇所41p1から離れた位置にある第2の箇所41p2に接触する。
【0027】
また4つの本体部側端子51A、51B、52A、52Bのうち、本体部側端子52A、52Bは、定着器20が本体部2に装着された際に、定着器側端子42と接触する。このとき、本体部側端子52Aは、定着器側端子42の第1の箇所42p1に接触し、本体部側端子52Bは、定着器側端子42の第1の箇所42p1から離れた位置にある第2の箇所42p2に接触する。
【0028】
このように定着器20が本体部2に装着されると、定着器側端子41の第1の箇所41p1と第2の箇所41p2に、本体部側端子51Aと本体部側端子51Bが接触し、定着器側端子42の第1の箇所42p1と第2の箇所42p2に、本体部側端子52Aと本体部側端子52Bが接触するようになっている。つまり、本体部側接続部50は、定着器20側の定着器側端子41、42のそれぞれに対して、2つの接点(本体部側端子51A、51B、本体部側端子52A、52B)で接触するようになっている。これにより、本体部2と定着器20とが導通(電気的に接続)されるようになっている。
【0029】
図2に戻り、画像形成部11は、上述した構成に加えて、印刷媒体Pを搬送する図示しない搬送ローラ類、当該搬送ローラ類を駆動させる図示しない機構部などを有している。
【0030】
画像形成部11は、このような構成であり、制御部10(図1)からの指示に従って、印刷媒体Pに画像を形成する(つまり印刷媒体Pに印刷する)ようになっている。具体的には、制御部10は、上位装置から印刷データを受信すると、当該印刷データを解析してラスタデータを生成し、当該ラスタデータをLEDヘッド30に送信するとともに、画像形成部11の機構部を動作させる。LEDヘッド30は、ラスタデータにより指定される発光素子を点滅させることで感光部32に静電潜像を形成する。現像器34は、感光部32に形成された静電潜像をトナーで現像することによりトナー像に変える。感光部32に形成されたトナー像は、転写器31によって印刷媒体Pに転写される。その後、この印刷媒体Pは、定着器20へと搬送される。定着器20は、この印刷媒体Pを加熱及び加圧することにより、印刷媒体Pにトナー像を定着させる。そして、この印刷媒体Pが、画像形成装置1の例えば上面カバーに設けられた図示しないスタッカに排出されるようになっている。
【0031】
次に、図4を用いて、制御部10の構成について説明する。制御部10は、マイコン60と、タグIC61と、切替器62とを有している。マイコン60は、画像形成装置1全体を制御するハードウェアであり、定着記憶部21に対する情報の読み書きも行う。このマイコン60は、シリアルバスの一種であるI2Cインタフェースを介して制御信号線S1によりタグIC61と接続されている。またマイコン60は、2本の切替信号線Sa、Sbにより切替器62と接続されていて、切替器62の動作を制御するようになっている。
【0032】
タグIC61は、制御信号線S1と、2本の制御信号線S2、S3との間で信号変換を行うICである。タグIC61は、2本の制御信号線S2、S3により切替器62と接続されている。尚、制御信号線S2、S3は、信号の伝達と電力の供給の両方を担う信号線である。
【0033】
切替器62は、AポートとBポートを2つずつ有していて、制御信号線S2を、一方のAポート又は一方のBポート、もしくは一方のAポートと一方のBポートの両方に接続する為の2つのスイッチSw1、Sw2と、制御信号線S3を、他方のAポート又は他方のBポート、もしくは他方のAポートと他方のBポートの両方に接続する為の2つのスイッチSw3、Sw4とを有している。尚、スイッチSw1~Sw4は、例えば、NchFET+PchFETタイプのバススイッチである。
【0034】
この切替器62は、一方(制御信号線S2側)のAポートが、制御信号線S4により本体部側接続部50の本体部側端子51Aと接続され、一方のBポートが、制御信号線S5により本体部側端子51Bと接続されている。また切替器62は、他方(制御信号線S3側)のAポートが、制御信号線S6により本体部側端子52Aと接続され、他方のBポートが、制御信号線S7により本体部側端子52Bと接続されている。
【0035】
この切替器62は、切替信号線Sa、Sbを介してマイコン60から送られてくる制御信号によって、4つのスイッチSw1~Sw4のオンオフを切り替えることで、Aポートのみをオン、Bポートのみをオン、AポートとBポートの両方をオンすることができるようになっている。
【0036】
ここで、本体部2に定着器20が装着されている状態で、切替器62のAポート側のスイッチSw1、Sw3のみをオンすることによりAポートのみをオンした場合、制御信号線S2と、制御信号線S4と、本体部側端子51Aと、定着器側端子41とが導通するとともに、制御信号線S3と、制御信号線S6と、本体部側端子52Aと、定着器側端子42とが導通することになる。よって、この場合、制御部10(マイコン60)は、本体部側端子51Aと定着器側端子41、及び本体部側端子52Aと定着器側端子42を介して、定着記憶部21と通信(情報の読み書き)を行う。別の言い方をすると、制御部10は、Aポート側の接点(本体部側端子51A、52A)を利用して、定着記憶部21と通信を行う。
【0037】
これに対して、切替器62のBポート側のスイッチSw2、Sw4のみをオンすることによりBポートのみをオンした場合、制御信号線S2と、制御信号線S5と、本体部側端子51Bと、定着器側端子41とが導通するとともに、制御信号線S3と、制御信号線S7と、本体部側端子52Bと、定着器側端子42とが導通することになる。よって、この場合、制御部10(マイコン60)は、本体部側端子51Bと定着器側端子41、及び本体部側端子52Bと定着器側端子42を介して、定着記憶部21と通信を行う。別の言い方をすると、制御部10は、Bポート側の接点(本体部側端子51B、52B)を利用して、定着記憶部21と通信を行う。
【0038】
また一方で、切替器62の全てのスイッチSw1~Sw4をオンすることによりAポートとBポートの両方をオンした場合、制御部10(マイコン60)は、本体部側端子51A、51Bと定着器側端子41、及び本体部側端子52A、52Bと定着器側端子42を介して、定着記憶部21と通信を行う。別の言い方をすると、制御部10は、Aポート側の接点とBポート側の接点の両方を利用して、定着記憶部21と通信を行う。
【0039】
このように、制御部10は、2つの本体部側端子51A、51Bのどちらか一方(つまりAポート側の接点とBポート側の接点のどちらか一方)を介して定着記憶部21と通信を行ったり、2つの本体部側端子51A、51Bの両方(つまりAポート側の接点とBポート側の接点の両方)を介して定着記憶部21と通信を行ったりすることができるようになっている。同様に、制御部10は、2つの本体部側端子52A、52Bのどちらか一方(つまりAポート側の接点とBポート側の接点のどちらか一方)を介して定着記憶部21と通信を行ったり、2つの本体部側端子52A、52Bの両方(つまりAポート側の接点とBポート側の接点の両方)を介して定着記憶部21と通信を行ったりすることができるようになっている。
【0040】
尚、当然のことながら、Aポート側の接点とBポート側の接点のどちらか一方を介して定着記憶部21と通信を行う場合よりも、Aポート側の接点とBポート側の接点の両方を介して定着記憶部21と通信を行う場合の方が、安定して通信を行うことができる。制御部10の構成は、以上のようになっている。
【0041】
[1-2.画像形成装置の制御部の動作]
次に、画像形成装置1の制御部10の動作(具体的には制御部10のマイコン60の動作)について、図5図6図8に示すフローチャートを用いて説明する。尚、図5は、制御部10の動作全体を示すフローチャートであり、図6は、制御部10の動作のうちの定着記憶部21から情報を読み出すときのリード動作を示すフローチャートであり、図8は、制御部10の動作のうちの定着記憶部21に情報を書き込むときのライト動作を示すフローチャートである。
【0042】
まず図5に示すフローチャートを用いて、制御部10の動作全体について説明する。ユーザにより画像形成装置1の電源がオンされると、ステップSP1において、制御部10は、定着記憶部21に記憶されている定着装置番号D1、印刷枚数D2、異常フラグD3を読み出して(リードして)、これらを定着装置番号D4、印刷枚数D5、異常フラグD6として装置記憶部12に格納する。
【0043】
つづくステップSP2において、制御部10は、定着記憶部21からのリード時に定着器エラー(詳しくは後述する)が発生しているか否かを判定する。ここで、定着器エラーが発生していない場合(つまり定着記憶部21から情報をリードできている場合)、制御部10は、ステップSP2で否定結果を得て、ステップSP3に移る。ステップSP3において、制御部10は、定着記憶部21から読み出した異常フラグD3のフラグが立っているか否かを判定する。
【0044】
ここで、異常フラグD3が立っている場合、このことは、画像形成装置1にメンテナンスが必要なエラーが発生していることを意味する。この場合、制御部10は、ステップSP3で肯定結果を得て、ステップSP4に移る。
【0045】
ステップSP4において、制御部10は、発生しているエラーの内容と解消方法などを表示部13に表示して、ステップSP5に移る。また上述のステップSP2で肯定結果を得た場合(つまり定着器エラーが発生している場合)も、ステップSP5に移る。
【0046】
ステップSP5において、制御部10は、本体部2のカバー(例えば上面カバー)のオープン/クローズ(開閉)を待ち、オープン/クローズされたことを検知すると、ステップSP1に戻る。尚、画像形成装置1では、メンテナンス時に、本体部2のカバーをオープン/クローズするようになっている。つまり、本体部2のカバーのオープン/クローズを待つということは、メンテナンスの完了を待つことである。
【0047】
一方で、異常フラグD3が立っていない場合、制御部10は、ステップSP3で否定結果を得て、ステップSP6に移る。ステップSP6において、制御部10は、定着記憶部21から読み出した印刷枚数D2が画像形成装置1の寿命として設定されている所定枚数(以下、寿命印刷枚数と呼ぶ)に近づいているか否かを判定する。具体的には、寿命印刷枚数と印刷枚数D2との差が例えば50枚以下となった場合に、制御部10は、印刷枚数D2が寿命印刷枚数に近づいていると判定する。
【0048】
ここで、印刷枚数D2が寿命印刷枚数に近づいていると判定した場合、制御部10は、ステップSP6で肯定結果を得て、ステップSP7に移り、画像形成装置1の寿命が近づいている旨を示す寿命ワーニングを表示部13に表示して、ステップSP8に移る。
【0049】
一方で、印刷枚数D2が寿命印刷枚数に近づいていないと判定した場合、制御部10は、ステップSP6で否定結果を得て、ステップSP8に移る。
【0050】
ステップSP8において、制御部10は、画像形成部11の機構部などのメカの初期動作を行うとともに、定着器20のヒータをONして定着器20の温度を待機温度まで上昇させる。つづくステップSP9において、制御部10は、上位装置から印刷データが送信されてくるのを待ち受ける。印刷データを受信すると、制御部10は、つづくステップSP10において、ラスタライズを行って、画像形成部11に印刷の指示を出す。この指示に従って、画像形成部11は、印刷媒体Pに画像形成する(つまり印刷媒体Pに印刷する)。
【0051】
画像形成部11による印刷が終了すると、つづくステップSP11において、制御部10は、印刷枚数を計算する。具体的には、制御部10は、装置記憶部12に格納されている印刷枚数D5に、今回印刷した枚数を加算することで、現在の印刷枚数を得、これを新たな印刷枚数D5として装置記憶部12に格納する。
【0052】
つづくステップSP12において、制御部10は、ステップSP11で装置記憶部12に格納した印刷枚数D5を、印刷枚数D2として、定着記憶部21に書き込む(ライトする)。制御部10の動作全体は、以上のようになっている。
【0053】
次に、上述したステップSP1の動作、つまり、定着記憶部21から情報を読み出すときのリード動作について、図6に示すフローチャートを用いてより詳しく説明する。
【0054】
制御部10は、リード動作を開始すると、ステップSP20において、切替器62のAポートをオン、Bポートをオフする。この場合、Aポート側の本体部側端子51Aと定着器側端子41とが導通されるとともに、Aポート側の本体部側端子52Aと定着器側端子42とが導通されることになる。
【0055】
つづくステップSP21において、制御部10は、定着記憶部21に対して初期リードを行う。具体的には、制御部10は、定着記憶部21から所定の情報(ここでは定着装置番号D1とする)を読み出す(初期リード)。尚、定着装置番号D1の代わりに、定着記憶部21に格納されている定着記憶部21のデバイスID(図示せず)などを読み出すようにしてもよい。
【0056】
つづくステップSP22において、制御部10は、読み出した情報のパリティチェックを行うことにより、定着記憶部21との通信が成功したか否か(つまり読み出した情報に誤りがないか否か)を判定する。
【0057】
ここで、読み出した情報(つまり定着装置番号D1)に誤りがなく通信が成功した場合、制御部10は、ステップSP22で肯定結果を得て、ステップSP23に移る。一方で、読み出した情報に誤りがあり通信が失敗した場合、制御部10は、ステップSP22で否定結果を得て、ステップSP32に移る。尚、ここで通信が失敗する理由としては、Aポート側の本体部側端子51Aと定着器側端子41との間の導通不良、もしくはAポート側の本体部側端子52Aと定着器側端子42の間の導通不良が考えられる。
【0058】
通信が成功した場合に移るステップSP23において、制御部10は、ステップSP20のときとは反対に、切替器62のAポートをオフ、Bポートをオンする。この場合、Bポート側の本体部側端子51Bと定着器側端子41とが導通されるとともに、Bポート側の本体部側端子52Bと定着器側端子42とが導通されることになる。
【0059】
つづくステップSP24において、制御部10は、定着記憶部21から定着装置番号D1を読み出す(定着装置番号リード)。つづくステップSP25において、制御部10は、読み出した定着装置番号D1のパリティチェックを行うことにより、定着記憶部21との通信が成功したか否か(つまり読み出した定着装置番号D1に誤りがないか否か)を判定する。
【0060】
ここで、読み出した定着装置番号D1に誤りがなく通信が成功した場合、制御部10は、ステップSP25で肯定結果を得て、ステップSP26に移る。一方で、読み出した定着装置番号D1に誤りがあり通信が失敗した場合、制御部10は、ステップSP25で否定結果を得て、ステップSP36に移る。尚、ここで通信が失敗する理由としては、Bポート側の本体部側端子51Bと定着器側端子41との間の導通不良、もしくはBポート側の本体部側端子52Bと定着器側端子42の間の導通不良が考えられる。
【0061】
通信が成功した場合に移るステップSP26において、制御部10は、ステップSP23のときとは反対に、切替器62のAポートをオン、Bポートをオフする。この場合、Aポート側の本体部側端子51Aと定着器側端子41とが導通されるとともに、Aポート側の本体部側端子52Aと定着器側端子42とが導通されることになる。
【0062】
つづくステップSP27において、制御部10は、定着記憶部21から印刷枚数D2を読み出す(印刷枚数リード)。つづくステップSP28において、制御部10は、読み出した印刷枚数D2のパリティチェックを行うことにより、定着記憶部21との通信が成功したか否か(つまり読み出した印刷枚数D2に誤りがないか否か)を判定する。
【0063】
ここで、読み出した印刷枚数D2に誤りがなく通信が成功した場合、制御部10は、ステップSP28で肯定結果を得て、ステップSP29に移る。一方で、読み出した印刷枚数D2に誤りがあり通信が失敗した場合、制御部10は、ステップSP28で否定結果を得て、ステップSP40に移る。尚、ここで通信が失敗する理由としては、Aポート側の本体部側端子51Aと定着器側端子41との間の導通不良、もしくはAポート側の本体部側端子52Aと定着器側端子42の間の導通不良が考えられる。
【0064】
通信が成功した場合に移るステップSP29において、制御部10は、ステップSP26のときとは反対に、切替器62のAポートをオフ、Bポートをオンする。この場合、Bポート側の本体部側端子51Bと定着器側端子41とが導通されるとともに、Bポート側の本体部側端子52Bと定着器側端子42とが導通されることになる。
【0065】
つづくステップSP30において、制御部10は、定着記憶部21から異常フラグD3を読み出す(異常フラグリード)。つづくステップSP31において、制御部10は、読み出した異常フラグD3のパリティチェックを行うことにより、定着記憶部21との通信が成功したか否か(つまり読み出した異常フラグD3に誤りがないか否か)を判定する。
【0066】
ここで、読み出した異常フラグD3に誤りがなく通信が成功した場合、制御部10は、ステップSP31で肯定結果を得る。この時点で、制御部10は、定着装置番号D1、印刷枚数D2、異常フラグD3の全てを正常に読み出せたことになり、一連のリード動作を終了する。一方で、読み出した異常フラグD3に誤りがあり通信が失敗した場合、制御部10は、ステップSP31で否定結果を得て、ステップSP44に移る。尚、ここで通信が失敗する理由としては、Bポート側の本体部側端子51Bと定着器側端子41との間の導通不良、もしくはBポート側の本体部側端子52Bと定着器側端子42の間の導通不良が考えられる。
【0067】
また一方で、上述のステップSP22で否定結果を得た場合(つまり読み出した情報に誤りがあり通信が失敗した場合)に移るステップSP32において、制御部10は、ステップSP20のときとは異なり、切替器62のAポートとBポートの両方をオンする。この場合、Aポート側の本体部側端子51A及びBポート側の本体部側端子51Bと定着器側端子41とが導通されるとともに、Aポート側の本体部側端子52A及びBポート側の本体部側端子52Bと定着器側端子42とが導通されることになる。
【0068】
つづくステップSP33において、制御部10は、再度、初期リード(定着記憶部21から所定の情報を読み出す)を行う。つまり制御部10は、Aポート側の接点(本体部側端子51A、52A)を介して定着記憶部21と通信を行った結果、通信が失敗した場合には、Aポート側の接点(本体部側端子51A、52A)とBポート側の接点(本体部側端子51B、52B)の両方を介して定着記憶部21と通信を行うようになっている。
【0069】
つづくステップSP34において、制御部10は、読み出した情報のパリティチェックを行うことにより、定着記憶部21との通信が成功したか否か(つまり読み出した情報に誤りがないか否か)を判定する。
【0070】
ここで、読み出した情報に誤りがなく通信が成功した場合、制御部10は、ステップSP34で肯定結果を得て、ステップSP35に移る。一方で、読み出した情報に誤りがあり通信が失敗した場合、制御部10は、ステップSP34で否定結果を得て、ステップSP48に移る。
【0071】
通信が成功した場合に移るステップSP35において、制御部10は、定着器20が認識しにくくなっている旨(定着器20と通信しにくくなっている旨)を示す定着器ワーニングを表示部13に表示して、ステップSP36に移る。つまり、Aポート側の接点を介して定着記憶部21と通信を行った結果、通信が失敗したが、Aポート側の接点とBポート側の接点の両方を介して定着記憶部21と通信を行った結果、通信が成功した場合、制御部10は、Aポート側の接点(本体部側端子51A、52A)と定着器側端子42との間に導通不良が発生していると判定し、通信は可能だが、通信しにくくなっていることから、定着器ワーニングを表示部13に表示させて、定着器20が認識しにくくなっている旨(つまり定着器20と通信しにくくなっている旨)を報知するようになっている。
【0072】
このとき表示される定着器ワーニングの例を、図7に示す。このとき表示される定着器ワーニングは、図7に示すパターン2であり、定着器20が認識しにくくなっている旨(つまり定着器20と通信しにくくなっている旨)と、新しい定着器20を準備するよう促す旨とを示すメッセージとなっている。尚、パターン2のメッセージの具体的な内容は、「定着器を認識しにくくなっています。新しいものを準備してください。」であるが、これに限らず、例えば「定着器と通信しにくくなっています。新しいものを準備してください。」などでもよい。また図7に示すパターン1は、定着器ワーニングが表示されない場合であり、ステップSP31で肯定結果を得た場合、このパターン1となる。
【0073】
上述のステップSP25で否定結果を得た場合(つまり読み出した定着装置番号D1に誤りがあり通信が失敗した場合)、及び上述のステップSP35の処理が完了した場合に移るステップSP36において、制御部10は、ステップSP23のときとは異なり、切替器62のAポートとBポートの両方をオンする。
【0074】
つづくステップSP37において、制御部10は、再度、定着装置番号リード(定着記憶部21から定着装置番号D1を読み出す)を行う。つづくステップSP38において、制御部10は、読み出した定着装置番号D1のパリティチェックを行うことにより、定着記憶部21との通信が成功したか否か(つまり読み出した定着装置番号D1に誤りがないか否か)を判定する。
【0075】
ここで、読み出した定着装置番号D1に誤りがなく通信が成功した場合、制御部10は、ステップSP38で肯定結果を得て、ステップSP39に移る。一方で、読み出した定着装置番号D1に誤りがあり通信が失敗した場合、制御部10は、ステップSP38で否定結果を得て、ステップSP48に移る。
【0076】
通信が成功した場合に移るステップSP39において、制御部10は、定着器20が認識しにくくなっている旨を示す定着器ワーニングを表示部13に表示して、ステップSP40に移る。このとき表示される定着器ワーニングは、ステップSP35の場合と同様、図7に示すパターン2である。尚、上述のステップSP35で既に定着器ワーニングを表示部13に表示している場合、そのまま定着器ワーニングが表示されつづけることになる。
【0077】
上述のステップSP28で否定結果を得た場合(つまり読み出した印刷枚数D2に誤りがあり通信が失敗した場合)、及び上述のステップSP39の処理を完了した場合に移るステップSP40において、制御部10は、ステップSP26のときとは異なり、切替器62のAポートとBポートの両方をオンする。
【0078】
つづくステップSP41において、制御部10は、再度、印刷枚数リード(定着記憶部21から印刷枚数D2を読み出す)を行う。つづくステップSP42において、制御部10は、読み出した印刷枚数D2のパリティチェックを行うことにより、定着記憶部21との通信が成功したか否か(つまり読み出した印刷枚数D2に誤りがないか否か)を判定する。
【0079】
ここで、読み出した印刷枚数D2に誤りがなく通信が成功した場合、制御部10は、ステップSP42で肯定結果を得て、ステップSP43に移る。一方で、読み出した印刷枚数D2に誤りがあり通信が失敗した場合、制御部10は、ステップSP42で否定結果を得て、ステップSP48に移る。
【0080】
通信が成功した場合に移るステップSP43において、制御部10は、定着器20が認識しにくくなっている旨を示す定着器ワーニングを表示部13に表示して、ステップSP44に移る。このとき表示される定着器ワーニングは、ステップSP35、SP39の場合と同様、図7に示すパターン2である。尚、上述のステップSP35、SP39などで既に定着器ワーニングを表示部13に表示している場合、そのまま定着器ワーニングが表示されつづけることになる。
【0081】
上述のステップSP31で否定結果を得た場合(つまり読み出した異常フラグD3に誤りがあり通信が失敗した場合)、及び上述のステップSP43の処理を完了した場合に移るステップSP44において、制御部10は、ステップSP29のときとは異なり、切替器62のAポートとBポートの両方をオンする。
【0082】
つづくステップSP45において、制御部10は、再度、異常フラグリード(定着記憶部21から異常フラグD3を読み出す)を行う。つづくステップSP46において、制御部10は、読み出した異常フラグD3のパリティチェックを行うことにより、定着記憶部21との通信が成功したか否か(つまり読み出した異常フラグD3に誤りがないか否か)を判定する。
【0083】
ここで、読み出した異常フラグD3に誤りがなく通信が成功した場合、制御部10は、ステップSP46で肯定結果を得て、ステップSP47に移る。一方で、読み出した異常フラグD3に誤りがあり通信が失敗した場合、制御部10は、ステップSP46で否定結果を得て、ステップSP48に移る。
【0084】
通信が成功した場合に移るステップSP47において、制御部10は、定着器20が認識しにくくなっている旨を示す定着器ワーニングを表示部13に表示して、一連のリード動作を終了する。このとき表示される定着器ワーニングは、ステップSP35、SP39、SP43の場合と同様、図7に示すパターン2である。尚、上述のステップSP35、SP39、SP43などで既に定着器ワーニングを表示部13に表示している場合、そのまま定着器ワーニングが表示されつづけることになる。
【0085】
これに対して、上述のステップSP34、SP38、SP42、SP46のいずれかで否定結果を得た場合(つまりAポート側の接点とBポート側の接点の両方を介して定着記憶部21と通信を行っても通信が失敗した場合)に移るステップSP48において、制御部10は、定着器20を認識できない(定着器20と通信できない)旨を示す定着器エラーを表示部13に表示する。つまり、Aポート側の接点とBポート側の接点の両方を介して定着記憶部21と通信を行っても通信できなかった場合、制御部10は、定着器エラーが発生していると判定し、定着器エラーを表示部13に表示させて、定着器20が認識できなくなっている(定着記憶部21をリードできなくなっている)旨を報知するようになっている。
【0086】
このとき表示される定着器エラーの例を、図7に示す。このとき表示される定着器エラーは、図7に示すパターン3であり、定着器20が認識できない旨(つまり定着器20と通信できない旨)を示すメッセージとなっている。尚、パターン3のメッセージの具体的な内容は、「定着器を認識できません。」であるが、これに限らず、例えば「定着器と通信できません。」などでもよい。このような定着器エラーの表示後、制御部10は、一連のリード動作を終了する。定着記憶部21から情報を読み出すときのリード動作は、以上のようになっている。尚、上述のリード動作で、定着器エラーが発生しなかった場合、制御部10は、以降、図5に示すステップSP2で否定結果を得て、ステップSP3に移る。一方で、定着器エラーが発生した場合、制御部10は、以降、図5に示すステップSP2で肯定結果を得て、ステップSP5に移る。
【0087】
次に、上述したステップSP12の動作、つまり、定着記憶部21に情報を書き込むときのライト動作について。図8に示すフローチャートを用いてより詳しく説明する。
【0088】
制御部10は、ライト動作を開始すると、ステップSP50において、切替器62のAポートをオン、Bポートをオンする。この場合、Aポート側の本体部側端子51A及びBポート側の本体部側端子51Bと定着器側端子41とが導通されるとともに、Aポート側の本体部側端子52A及びBポート側の本体部側端子52Bと定着器側端子42とが導通されることになる。
【0089】
つづくステップSP51において、制御部10は、装置記憶部12に格納されている印刷枚数D5を、印刷枚数D2として定着記憶部21に書きこむ(印刷枚数ライト)。このように、制御部10は、定着記憶部21のライト時には、Aポート側の接点とBポート側の接点の両方を介して定着記憶部21と通信することで、より確実にライトするようになっている。
【0090】
つづくステップSP52において、制御部10は、画像形成装置1にメンテナンスが必要なエラー(ジャムなど)が発生しているか否かを判定する。制御部10は、画像形成装置1にメンテナンスが必要なエラー(ジャムなど)が発生すると、装置記憶部12に格納されている異常フラグD6を立てるようになっている。よって、このとき装置記憶部12に格納されている異常フラグD6が立っていれば、制御部10は、エラーが発生していると判定し、ステップSP52で肯定結果を得て、ステップSP53に移る。一方で、異常フラグD6が立っていなければ、制御部10は、エラーが発生しないと判定し、ステップSP52で否定結果を得て、ステップSP54に移る。
【0091】
エラーが発生している場合に移るステップSP53において、制御部10は、装置記憶部12に格納されている異常フラグD6を、異常フラグD3として定着記憶部21に書き込む(異常フラグライト)。
【0092】
上述のステップSP52で否定結果を得た場合(つまりエラーが発生していない場合)、及び上述のステップSP53の処理が完了した場合に移るステップSP54から、ステップSP68までの処理は、図8に示すリード動作のステップSP26からステップSP31までとステップSP40からステップSP48までの処理と同一の為、詳しい説明は省略する。
【0093】
簡単に説明すると、制御部10は、ステップSP54からステップSP68までの処理により、定着記憶部21から印刷枚数D2と異常フラグD3を正しく読み出すことができるか確認する。つまり、制御部10は、Aポートをオン、Bポートをオフして、定着記憶部21から印刷枚数D2を読み出す。そして制御部10は、読み出した印刷枚数D2に誤りがなく通信が成功した場合には、Aポートをオフ、Bポートをオンして、定着記憶部21から異常フラグD3を読み出す。そして制御部10は、読み出した異常フラグD3に誤りがなく通信が成功した場合には、一連のライト動作を終了する。
【0094】
一方で、読み出した印刷枚数D2や異常フラグD3に誤りがあり通信が失敗した場合、制御部10は、AポートとBポートの両方をオンして、失敗した印刷枚数D2や異常フラグD3を読み出す。そして制御部10は、読み出した印刷枚数D2や異常フラグD3に誤りがなく通信が成功した場合、図7に示すパターン2の定着器ワーニングを表示部13に表示して、一連のライト動作を終了する。
【0095】
また一方で、AポートとBポートの両方をオンして読み出した印刷枚数D2や異常フラグD3に誤りがあり通信が失敗した場合、制御部10は、図7に示すパターン3の定着器エラーを表示部13に表示して、一連のライト動作を終了する。定着記憶部21に情報を書き込むときのライト動作は、以上のようになっている。
【0096】
[1-3.まとめと効果]
ここまで説明したように、第1の実施の形態の画像形成装置1は、本体部2と、本体部2に対して着脱可能な着脱部としての定着器20と、定着器20に設けられた着脱部側端子としての定着器側端子41と、定着器側端子41の第1の箇所41p1に接触する、本体部2に設けられた本体部側第1の端子としての本体部側端子51Aと、定着器側端子41の第2の箇所41p2に接触する、本体部2に設けられた本体部側第2の端子としての本体部側端子51Bと、定着器側端子41と本体部側端子51A、及び定着器側端子41と本体部側端子51Bのうちの一方の端子間で導通不良が発生したことを検知する導通不良検知部としての制御部10と、制御部10が、定着器側端子41と本体部側端子51A、及び定着器側端子41と本体部側端子51Bのうちの一方の端子間で導通不良が発生したことを検知した場合に所定の報知を行う報知部としての表示部13を備えた。
【0097】
すなわち第1の実施の形態では、制御部10が、定着記憶部21から情報を読み出す際に、切替器62のAポートとBポートの一方をオンして、本体部側端子51A、51Bの一方と定着器側端子41とを介して定着器20と通信を行った結果、通信失敗し、その後、切替器62のAポートとBポートの両方をオンして、本体部側端子51A、51Bの両方と定着器側端子41とを介して定着器20と通信を行った結果、通信成功した場合に、定着器側端子41と本体部側端子51A、及び定着器側端子41と本体部側端子51Bのうちの一方の端子間で導通不良が発生していると判定して、定着器20が認識しにくくなっている旨を示す定着器ワーニングを表示部13に表示するようにした。
【0098】
これにより、画像形成装置1は、定着器側端子41と本体部側端子51A、及び定着器側端子41と本体部側端子51Bのうちの一方の端子間で導通不良が発生した時点(すなわち定着器側端子41と本体部側端子51A、及び定着器側端子41と本体部側端子51Bの両方の端子間で導通不良が発生して、本体部2が定着器20にアクセスできなくなる前の時点)で、導通不良により本体部2と定着器20とが通信しにくく(認識しにくく)なっていることを報知できるので、例えば、ユーザが画像形成装置1を利用していないときに前もってメンテナンスを実施することができ、ユーザの待ち時間を減らすことができる。かくして、第1の実施の形態の画像形成装置1は、従来と比較して利便性を向上させることができる。
【0099】
また第1の実施の形態では、制御部10が、切替器62のAポートとBポートの両方をオンして、本体部側端子51A、51Bの両方と定着器側端子41とを介して定着器20と通信を行った結果、通信失敗した場合には、通信エラーとしての定着器エラーが発生していると判定して、定着器エラーを表示部13に表示するようにした。
【0100】
これにより、本体部側端子51A、51Bの両方と定着器側端子41とを介して定着器20と通信を行っても定着器20と通信できなかった場合には、コールセンターに問い合わせたり修理にだしたりする適切な対応をユーザに取らせることができる。
【0101】
また第1の実施の形態では、制御部10が、切替器62のAポートとBポートの一方をオンして、本体部側端子51A、51Bの一方と定着器側端子41とを介して定着器20と通信を行った結果、通信成功した場合、次の通信時には、切替器62のAポートとBポートの他方をオンして、本体部側端子51A、51Bの他方と定着器側端子41とを介して定着器20と通信を行うようにした。
【0102】
これにより、制御部10は、定着器側端子41と本体部側端子51Aの間、及び定着器側端子41と本体部側端子51Bの間のどちらの端子間に導通不良が発生していても、それを迅速に検知できる。
【0103】
さらに第1の実施の形態では、制御部10が、定着器20に情報を書き込む際には、最初から、切替器62のAポートとBポートの両方をオンして、本体部側端子51A、51Bの両方と定着器側端子41とを介して定着器20と通信を行うようにした。これにより、画像形成装置1は、定着器20に情報を書き込む際に、定着器20との通信が失敗して書き込みエラーが発生してしまう状況を極力回避することができる。
【0104】
[2.第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、画像形成装置1に設けられた制御部10の構成と動作が、第1の実施の形態とは異なる実施の形態である。ゆえにここでは、主に制御部10の構成と動作について説明する。尚、第1の実施の形態と区別する為、第2の実施の形態の制御部10を制御部10xと呼ぶ。
【0105】
[2-1.制御部の構成]
図9に第2の実施の形態による制御部10xの構成を示す。制御部10は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)100と、タグIC101と、導通不良検知回路102とを有している。ASIC100は、画像形成装置1全体を制御するハードウェアであり、定着記憶部21に対する情報の読み書きも行う。このASIC100は、I2Cインタフェースを介して制御信号線S10によりタグIC101と接続されている。
【0106】
タグIC101は、制御信号線S10と、2本の制御信号線S11、S12との間で信号変換を行うICである。制御信号線S11は、途中で2本の制御信号線S11A、S11Bに分かれていて、一方の制御信号線S11Aは、本体部側端子51Aと接続され、他方の制御信号線S11Bは、本体部側端子51Bと接続されている。本体部側端子51Aと本体部側端子51Bは、第1の実施の形態と同様、定着器側端子41と接触する。
【0107】
制御信号線S12も同様に、途中で2本の制御信号線S12A、S12Bに分かれていて、一方の制御信号線S12Aは、本体部側端子52Aと接続され、他方の制御信号線S12Bは、本体部側端子52Bと接続されている。本体部側端子52Aと本体部側端子52Bは、第1の実施の形態と同様、定着器側端子42と接触する。
【0108】
また制御信号線S11A、S11B、S12A、S12Bには、それぞれの途中に抵抗R1、R2、R3、R4が挿入されている。
【0109】
ここで、図10(A)に、制御部10から定着記憶部21に信号を送信するときの制御信号線S11A、S11Bを流れる信号の波形と、制御信号線S12A、S12Bを流れる信号の波形を示す。このように、制御信号線S11A、S11Bを流れる信号の波形がHighのときは、制御信号線S12A、S12Bを流れる信号の波形がLowとなり、制御信号線S12A、S12Bを流れる信号の波形がHighのときは、制御信号線S11A、S11Bを流れる信号の波形がLowとなる。
【0110】
また図10(B)、(C)に、制御部10が定着記憶部21から信号を受信するときの制御信号線S11A、S11Bを流れる信号の波形と、制御信号線S12A、S12Bを流れる信号の波形を示す。この場合も、一部分を除いて、制御信号線S11A、S11Bを流れる信号の波形がHighのときは、制御信号線S12A、S12Bを流れる信号の波形がLowとなり、制御信号線S12A、S12Bを流れる信号の波形がHighのときは、制御信号線S11A、S11Bを流れる信号の波形がLowとなる。
【0111】
また図10(B)、(C)には、短時間でHighからLowに落ち込んでいる部分があるが、この部分が定着記憶部21から読み出されたデータを示している。ここで、図10(B)は、読み出されたデータを示す部分が、HighからLowまで十分に落ち込んでいて、定着記憶部21から正常にデータを読み出すことができた場合の波形を示している。一方で、図10(C)は、読み出されたデータを示す部分が、HighからLowまで十分に落ち込んでなく、正常にデータを読み出すことができなかった場合の波形を示している。
【0112】
図10(C)のような波形となる理由は、図9に示す本体部側端子51A、51Bと、定着器側端子41との間の導通不良や、本体部側端子52A、52Bと、定着器側端子42との間の導通不良が考えられる。
【0113】
ここで、本体部側端子51A、51Bと定着器側端子41との間で導通不良が発生していなければ、制御信号線S11Aの抵抗R1及び本体部側端子51A間の電位V1と、制御信号線S11Bの抵抗R2及び本体部側端子51B間の電位V2とがほぼ等しくなる。これに対して、本体部側端子51A、51Bの一方と定着器側端子41との間で導通不良が発生すると、本体部側端子51A側の電位V1と、本体部側端子51B側の電位V2のうち、導通不良が発生している側の電位が変動することにより、電位V1と電位V2との間に電位差が生じる。
【0114】
つまり、電位V1と電位V2の電位差がわかれば、本体部側端子51A、51Bの一方と、定着器側端子41との間に導通不良が発生しているか否かがわかる。同様に、電位V3と電位V4の電位差がわかれば、本体部側端子52A、52Bの一方と、定着器側端子42との間に導通不良が発生しているか否かがわかる。
【0115】
そこで、導通不良検知回路102は、電位V1と電位V2の電位差を検出し、当該電位差に基づいて、本体部側端子51A、51Bの一方と定着器側端子41との間に導通不良が発生しているか否かを判定するようになっている。また導通不良検知回路102は、電位V3と電位V4の電位差を検出し、当該電位差に基づいて、本体部側端子52A、52Bの一方と定着器側端子42との間に導通不良が発生しているか否かを判定するようになっている。
【0116】
具体的には、導通不良検知回路102は、電位V1と電位V2の電位差を検出し、当該電位差に基づいて、本体部側端子51A、51Bと定着器側端子41との間に導通不良が発生しているか否かを判定する為の第1の回路110と、電位V3と電位V4の電位差を検出し、当該電位差に基づいて、本体部側端子52A、52Bと定着器側端子42との間に導通不良が発生しているか否かを判定する為の第2の回路120とを有している。
【0117】
第1の回路110は、本体部側端子51A側の電位V1をオペアンプ111の-側に入力するとともに、本体部側端子51B側の電位V2を+側に入力する。尚、制御信号線S11Aとオペアンプ111の間には、バッファとしてボルテージフォロア112が挿入され、制御信号線S11Bとオペアンプ111の間にも、バッファとしてボルテージフォロア113が挿入されている。
【0118】
オペアンプ111は、抵抗R5、R6、R7、R8によって、2倍の差動増幅回路として動作し、本体部側端子51A側の電位V1と、本体部側端子51B側の電位V2との差分を増幅して出力する。つまり、オペアンプ111の出力が、電位V1と電位V2との電位差を示している。尚、オペアンプ111の出力は、オフセット電圧Vofs114によりマイナスとならないように調整されている。具体的には、例えばオフセット電圧Vofs114は2.5Vであり、オペアンプ111の出力は、+2.5Vされている。
【0119】
また第1の回路110は、オペアンプ111の出力を、コンパレータ115の-側と、コンパレータ116の+側に入力する。コンパレータ115の+側には、基準電圧Vref117が入力され、コンパレータ116の-側には、基準電圧Vref118が入力される。基準電圧Vref117は2.8V、基準電圧Vref118は2.2Vである。尚、ここでは、一例として、基準電圧Vref117を、オフセット電圧Vofs114の+0.3V、基準電圧Vref118を、オフセット電圧Vofs114の-0.3Vに設定している。
【0120】
コンパレータ115、116は、それぞれオペアンプ111の出力を、基準電圧Vref117、118と比較して比較結果を出力する。具体的には、コンパレータ115の出力は、オペアンプ111の出力が2.8V以下であれば「Hz」、2.8Vより大きければ「L」となる。一方で、コンパレータ116の出力は、オペアンプ111の出力が2.2V以上であれば「Hz」、2.2Vより小さければ「L」となる。コンパレータ115、116の出力は、プルアップ抵抗R9とともにワイヤードOR接続され、導通不良検知回路102の出力S20として、ASIC100に入力される。具体的には、出力S20は、コンパレータ115の出力とコンパレータ116の出力の両方が「Hz」の場合に「H」となり、どちらか一方が「L」の場合に「L」となる。
【0121】
つまり、オペアンプ111の出力が2.5V±0.3Vの範囲内(つまり電位V1と電位V2の電位差が0V±0.15Vの範囲内)であれば、導通不良検知回路102の出力S20は「H」、オペアンプ111の出力が2.5V±0.3Vの範囲外(つまり電位V1と電位V2の電位差が0V±0.15Vの範囲外)であれば、導通不良検知回路102の出力S20は「L」となる。
【0122】
ここで、本体部側端子51A側の電位V1と、本体部側端子51B側の電位V2と、オペアンプ111の出力と、コンパレータ115の出力と、コンパレータ116の出力と、導通不良検知回路102の出力とを示す真理値表を、図11に示す。
【0123】
真理値表の1行目は、電位V1と電位V2がともに2Vであり、これらの電位差が0Vの場合を示している。この場合、オペアンプ111の出力は0V+2.5V=2.5Vとなる。またコンパレータ115の出力は2.5V≦2.8Vの為に「Hz」となり、コンパレータ116の出力は2.5V≧2.2Vの為に「Hz」となる。よってこの場合、導通不良検知回路102の出力は「H」となる。
【0124】
2行目は、電位V1が2.15V、電位V2が2Vであり、これらの電位差が0.15Vの場合を示している。この場合、オペアンプ111の出力は-0.15V×2+2.5V=2.2Vとなる。またコンパレータ115の出力は2.2V≦2.8Vの為に「Hz」となり、コンパレータ116の出力は2.2V≧2.2Vの為に「Hz」となる。よってこの場合、導通不良検知回路102の出力は「H」となる。
【0125】
3行目は、電位V1が2.16V、電位V2が2Vであり、これらの電位差が0.16Vの場合を示している。この場合、オペアンプ111の出力は-0.16V×2+2.5V=2.18Vとなる。またコンパレータ115の出力は2.18V≦2.8Vの為に「Hz」となり、コンパレータ116の出力は2.18V<2.2Vの為に「L」となる。よってこの場合、導通不良検知回路102の出力は「L」となる。
【0126】
このように、導通不良検知回路102は、第1の回路110を用いて、電位V1と電位V2の電位差が0V±0.15Vの範囲内であり十分に小さい場合には、本体部側端子51A、51Bと定着器側端子41との間に導通不良が発生していない旨を示す「H」を出力するようになっている。一方で、導通不良検知回路102は、電位V1と電位V2の電位差が0V±0.15Vの範囲外であり十分に大きい場合には、本体部側端子51A、51Bの一方と定着器側端子41との間に導通不良が発生している旨を示す「L」を出力するようになっている。
【0127】
第2の回路120は、第1の回路110と同一構成の為、詳しい説明は省略する。つまり、導通不良検知回路102は、第2の回路120を用いて、電位V3と電位V4の電位差が0V±0.15Vの範囲内であり十分に小さい場合には、本体部側端子52A、52Bと定着器側端子42との間に導通不良が発生していない旨を示す「H」を出力するようになっている。一方で、導通不良検知回路102は、電位V3と電位V4の電位差が0V±0.15Vの範囲外であり十分に大きい場合には、本体部側端子52A、52Bの一方と定着器側端子42との間に導通不良が発生している旨を示す「L」を出力するようになっている。
【0128】
尚、本実施の形態では、電位V1と電位V2の電位差、及び電位V3と電位V4の電位差が0V±0.15Vの範囲内であれば、本体部側端子51A、51B、52A、52Bや定着器側端子41、42などの製造誤差の範囲内であるとして、導通不良が発生していないと判断するようになっているが、±0.15Vの部分については、部品の製造誤差などに応じて適宜変更してもよい。
【0129】
ASIC100は、定着記憶部21との通信時(つまりリード時及びライト時)、通信は可能だが、導通不良検知回路102からの出力S20が「L」である場合(つまり本体部側端子51A、51Bの一方と定着器側端子41との間や、本体部側端子52A、52Bの一方と定着器側端子42との間に導通不良が発生している場合)に、定着器20が認識しにくくなっている旨(定着器20と通信しにくくなっている旨)を示す定着器ワーニングを表示部13に表示するようになっている。
【0130】
このとき表示される定着器ワーニングの例を、図13に示す。このとき表示される定着器ワーニングは、図12に示すパターン2であり、定着器20が認識しにくくなっている旨(つまり定着器20と通信しにくくなっている旨)と、新しい定着器20を準備するよう促す旨とを示すメッセージとなっている。尚、パターン2のメッセージの具体的な内容は、「定着器を認識しにくくなっています。新しいものを準備してください。」であるが、これに限らず、例えば「定着器と通信しにくくなっています。新しいものを準備してください。」などでもよい。また、図12に示すパターン1は、定着器ワーニングが表示されない場合であり、定着記憶部21との通信が可能で、且つ導通不良検知回路102からの出力S20が「H」である場合、このパターン1となる。
【0131】
またASIC100は、定着記憶部21との通信時、通信が不可能な場合には、導通不良検知回路102からの出力S20によらず、定着器20が認識できない旨(つまり定着器20と通信できない旨)を示す定着器エラーを表示部13に表示するようになっている。このとき表示される定着器エラーは、図12に示すパターン3であり、定着器20が認識できない旨(つまり定着器20と通信できない旨)を示すメッセージとなっている。尚、パターン3のメッセージの具体的な内容は、「定着器を認識できません。」であるが、これに限らず、例えば「定着器と通信できません。」などでもよい。制御部10xの構成は、以上のようになっている。
【0132】
[2-2.まとめと効果]
ここまで説明したように、第2の実施の形態の画像形成装置1は、本体部2と、本体部2に対して着脱可能な着脱部としての定着器20と、定着器20に設けられた着脱部側端子としての定着器側端子41と、定着器側端子41の第1の箇所41p1に接触する、本体部2に設けられた本体部側第1の端子としての本体部側端子51Aと、定着器側端子41の第2の箇所41p2に接触する、本体部2に設けられた本体部側第2の端子としての本体部側端子51Bと、定着器側端子41と本体部側端子51A、及び定着器側端子41と本体部側端子51Bのうちの一方の端子間で導通不良が発生したことを検知する導通不良検知部としての制御部10xと、制御部10xが、定着器側端子41と本体部側端子51A、及び定着器側端子41と本体部側端子51Bのうちの一方の端子間で導通不良が発生したことを検知した場合に所定の報知を行う報知部としての表示部13を備えた。
【0133】
すなわち第2の実施の形態では、本体部側端子51Aは、第1の信号線としての制御信号線S11Aに接続され、本体部側端子51Bは、第2の信号線としての制御信号線S11Bに接続され、さらに制御信号線S11Aの途中に第1の抵抗としての抵抗R1を挿入するとともに、制御信号線S11Bの途中に第2の抵抗としての抵抗R2を挿入するようにした。そして制御部10xの導通不良検知回路102が、制御信号線S11Aの抵抗R1及び本体部側端子51A間の電位V1と、制御信号線S11Bの抵抗R2及び本体部側端子51B間の電位V2との電位差に基づいて、本体部側端子51A、51Bのうちの一方と、定着器側端子41との間に導通不良が発生しているか否かを判定し、本体部側端子51A、51Bのうちの一方と、定着器側端子41との間に導通不良が発生していると判定した場合(つまり出力S20が「L」となった場合)に、定着器20が認識しにくくなっている旨を示す定着器ワーニングを表示部13に表示するようにした。
【0134】
これにより、第2の実施の形態の画像形成装置1も、第1の実施の形態の画像形成装置1と同様、定着器側端子41と本体部側端子51A、及び定着器側端子41と本体部側端子51Bのうちの一方の端子間で導通不良が発生した時点(すなわち定着器側端子41と本体部側端子51A、及び定着器側端子41と本体部側端子51Bの両方の端子間で導通不良が発生して、本体部2が定着器20にアクセスできなくなる前の時点)で、導通不良により本体部2と定着器20とが通信しにくく(認識しにくく)なっていることを報知できるので、例えば、ユーザが画像形成装置1を利用していないときに前もってメンテナンスを実施することができ、ユーザの待ち時間を減らすことができる。
【0135】
[3.他の実施の形態]
[3-1.他の実施の形態1]
尚、上述した第1の実施の形態では、制御部10が、定着器側端子41と本体部側端子51Aの間、及び定着器側端子41と本体部側端子51Bの間のどちらか一方の端子間で導通不良が発生したことを検知した場合に、定着器ワーニングとして、定着器20が認識しにくくなっている旨(定着器20と通信しにくくなっている旨)と、新しい定着器20を準備するよう促す旨とを示すメッセージを表示部13に表示するようにした。
【0136】
これに限らず、端子間の導通不良は、端子の汚れを取ることで解消される場合があるので、制御部10が、定着器ワーニングとして、図13に示すように、定着器20が認識しにくくなっている旨(定着器20と通信しにくくなっている旨)と、定着器側端子41と本体部側端子51A、51Bを掃除するよう促す旨とを示すメッセージを表示部13に表示するようにしてもよい。
【0137】
またこれに限らず、定着器ワーニングとして、定着器20が認識しにくくなっている旨(定着器20と通信しにくくなっている旨)と、コールセンターに連絡するよう促す旨とを示すメッセージを表示部13に表示するなどしてもよく、定着器ワーニングとして表示するメッセージについては適宜変更するようにしてもよい。第2の実施の形態についても同様である。
【0138】
[3-2.他の実施の形態2]
また上述した第1の実施の形態と第2の実施の形態とを組み合わせてもよい。この場合、例えば、第2の実施の形態の制御部10xの構成に、第1の実施の形態の制御部10の切替器62を追加して、ASIC100から切替器62を制御できるようにする。尚、切替器62のスイッチSw1~Sw4は、制御信号線S11A、S11B、S12A、S12Bに挿入すればよい。
【0139】
このようにすれば、例えば、図6に示すリード動作を制御部10xに実行させた際に、ステップSP34、SP38、SP42、SP46において、切替器62のAポートとBポートの両方をオンして通信を行った結果、通信成功になった場合に、導通不良検知回路102の出力S20を参照し、当該出力S20が「L」であれば、定着器ワーニングを表示部13に表示させ、当該出力S20が「H」であれば、定着器ワーニングは表示しないといった動作が可能となる。
【0140】
[3-3.他の実施の形態3]
さらに上述した第2の実施の形態では、ASIC100が、定着記憶部21との通信時、通信可能だが、導通不良検知回路102からの出力S20が「L」である場合に、定着器ワーニングを表示部13に表示するようにした。これに限らず、例えば、通信可能な状態で、導通不良検知回路102からの出力S20が「L」になった回数が所定回数に達した場合や、通信可能な状態で、導通不良検知回路102からの出力S20が所定時間「L」であり続けた場合などに、定着器ワーニングを表示部13に表示するようにしてもよい。
【0141】
[3-4.他の実施の形態4]
さらに上述した第1の実施の形態では、切替器62のAポートとBポートのオンオフを切り替える為のスイッチとして、NchFET+PchFETタイプのバススイッチを用いたが、これに限らず、他のスイッチを用いてもよい。
【0142】
さらに上述した第2の実施の形態では、導通不良検知回路102を、図9に示す第1の回路110及び第2の回路120で構成するようにしたが、これに限らず、第1の回路110及び第2の回路120と同様の機能を有する回路であれば、図9に示す第1の回路110及び第2の回路120とは異なる回路で構成するようにしてもよい。
【0143】
さらに上述した第1及び第2の実施の形態では、本体部側端子51A、51Bと定着器側端子41の1系統、及び本体部側端子52A、52Bと定着器側端子42の1系統の、計2系統の端子間接続により、本体部2と定着器20とが通信するようになっていたが、これに限らず、1系統または3系統以上の端子間接続により、本体部2と定着器20とが通信するようになっていてもよい。
【0144】
さらに上述した第1及び第2の実施の形態では、制御部10(10x)が、報知部としての表示部13に、寿命ワーニング、定着器ワーニング、定着器エラーなどを表示するようにしたが、これに限らず、制御部10(10x)が、寿命ワーニング、定着器ワーニング、定着器エラーなどを、報知部としての通信部14により上位装置などに送信するようにしてもよい。
【0145】
[3-5.他の実施の形態5]
さらに上述した第1及び第2の実施の形態では、本体部2に対して着脱可能で且つ通信可能な着脱部としての定着器20に本発明を適用したが、これに限らず、定着器20以外の着脱部に本発明を適用してもよい。例えば、記憶部を備えたトナーカートリッジや、記憶部を備えたイメージドラムユニットIdなどに本発明を適用してもよい。
【0146】
さらに上述した各実施の形態では、電子写真方式のカラープリンタである画像形成装置1に本発明を適用したが、これに限らず、本体部2に対して着脱可能で本体部2と通信可能な着脱部を備える画像形成装置であれば、画像形成装置1とは異なる構成の画像形成装置に適用してもよい。例えば、コピー機、ファクシミリ、複合機などの画像形成装置に適用してもよい。
【0147】
[3-6.他の実施の形態6]
さらに本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した第1及び第2の実施の形態や他の実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明は、例えば、本体部に対して着脱可能で且つ通信可能な着脱部を備える画像形成装置などで広く利用することができる。
【符号の説明】
【0149】
1……画像形成装置、2……本体部、10、10x……制御部、11……画像形成部、12……装置記憶部、13……表示部、20……定着器、21……定着記憶部、41、42……定着器側端子、51A、51B、52A、52B……本体部側端子、60……マイコン、61、101……タグIC、62……切替器、100……ASIC、102……導通不良検知回路、110……第1の回路、120……第2の回路、S1~S7、S10、S11A、S11B、S12A、S12B……制御信号線、Sw1~Sw4……スイッチ、R1~R9……抵抗。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13