(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両の制御システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 20/16 20160101AFI20240806BHJP
B60W 10/30 20060101ALI20240806BHJP
F02D 29/06 20060101ALI20240806BHJP
F01N 3/20 20060101ALI20240806BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20240806BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240806BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240806BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B60W20/16 ZHV
B60W10/30 900
F02D29/06 Z
F01N3/20 B
F01N3/20 K
B60L50/16
B60L50/60
B60L58/12
B60L15/20 J
(21)【出願番号】P 2021053797
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2020109889
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】影浦 義之
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 孝祐
(72)【発明者】
【氏名】若林 秀人
(72)【発明者】
【氏名】林 佳史
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-059363(JP,A)
【文献】特開2003-269208(JP,A)
【文献】特表2018-524715(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0126910(US,A1)
【文献】特開2004-156622(JP,A)
【文献】特開2000-287302(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017126091(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102018127550(DE,A1)
【文献】国際公開第2014/118950(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0334170(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 20/16
B60W 10/30
F02D 29/06
F01N 3/20
B60L 50/16
B60L 50/60
B60L 58/12
B60L 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関及び電気モータを備え、運転モードが、前記内燃機関の運転が停止されつつ前記電気モータが運転されるEVモードと、前記内燃機関及び前記電気モータが運転されるHVモードとの間で切り換えられるハイブリッド車両の制御システムであって、
前記内燃機関の触媒を加熱するように構成された電気ヒータと、
前記内燃機関の運転を制限すべき低エミッション領域のうち前記低エミッション領域の境界に隣接する出口エリア内に前記ハイブリッド車両があるか否かを判別するように構成されている位置判別部と、
前記ハイブリッド車両が前記出口エリア内にあると判別されたときに、前記電気ヒータを作動させるように構成されているヒータ制御部と、
を備え
、
前記ヒータ制御部は、前記ハイブリッド車両が前記低エミッション領域を出るときに前記触媒が活性状態にあるように前記電気ヒータを作動させるように構成されており、
前記ヒータ制御部は、前記ハイブリッド車両が前記出口エリア内にあると判別されたときにおいて、前記ハイブリッド車両のバッテリの充電率に応じて定まる利用可能電気エネルギ量が、前記触媒が活性状態にありつつ前記ハイブリッド車両が前記EVモードでもって前記低エミッション領域を出るのに必要な必要電気エネルギ量よりも少ないと判別されたときには、前記利用可能電気エネルギ量が前記必要電気エネルギ量よりも多いと判別されたときに比べて、前記電気ヒータへの通電量を少なくするように構成されている、
制御システム。
【請求項2】
前記ヒータ制御部は、前記ハイブリッド車両が前記出口エリア内にあると判別されたときにおいて、前記ハイブリッド車両のバッテリの充電率があらかじめ定められたしきい値よりも高いと判別されたときに、前記電気ヒータを作動させず、前記バッテリの充電率が前記しきい値よりも低いと判別されたときに、前記電気ヒータを作動させるように構成されている、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記ハイブリッド車両が前記低エミッション領域外に出るか否かを予測する予測部を更に備え、
前記ヒータ制御部は、前記ハイブリッド車両が前記出口エリア内にあると判別されたときにおいて、前記ハイブリッド車両が前記低エミッション領域外に出ないと予測されたときに、前記電気ヒータを作動させず、前記ハイブリッド車両が前記低エミッション領域外に出ると予測されたときに、前記電気ヒータを作動させるように構成されている、
請求項1又は2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記ヒータ制御部は、前記ハイブリッド車両が前記出口エリア内にあると判別されたときにおいて、前記境界までの前記ハイブリッド車両の距離が長いときには、前記距離が短いときに比べて、前記電気ヒータへの単位時間あたりの通電量を少なくするように構成されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項5】
前記ヒータ制御部は、前記利用可能電気エネルギ量が前記必要電気エネルギ量よりも少ないと判別されたときに、前記電気ヒータへの通電量をゼロにして前記電気ヒータを作動させないように構成されている、請求項
1に記載の制御システム。
【請求項6】
前記ヒータ制御部は、前記利用可能電気エネルギ量が、前記必要電気エネルギ量よりも少なく、かつ、前記電気ヒータを作動させることなく前記ハイブリッド車両が前記EVモードでもって前記低エミッション領域を出るのに必要な領域外必要電気エネルギ量よりも多いと判別されたときに、前記領域外必要電気エネルギ量に対する前記利用可能電気エネルギ量の超過分の一部又は全部を前記電気ヒータに供給するように構成されている、請求項
1から5までのいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項7】
前記利用可能電気エネルギ量が、前記必要電気エネルギ量よりも少なく、かつ、前記電気ヒータを作動させることなく前記ハイブリッド車両が前記EVモードでもって前記低エミッション領域内の充電設備に到達するのに必要な充電必要電気エネルギ量よりも多いと判別されたときに、前記ハイブリッド車両を前記充電設備に案内するように構成されている案内部を更に備える、請求項
1から
6までのいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記利用可能電気エネルギ量が、前記必要電気エネルギ量よりも少なく、かつ、前記電気ヒータを作動させることなく前記ハイブリッド車両が前記EVモードでもって前記低エミッション領域を出るのに必要な領域外必要電気エネルギ量よりも多いと判別されたときに、前記ハイブリッド車両を前記低エミッション領域外に案内するように構成されている案内部を更に備える、請求項
1から
7までのいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項9】
内燃機関及び電気モータを備え、運転モードが、前記内燃機関の運転が停止されつつ前記電気モータが運転されるEVモードと、前記内燃機関及び前記電気モータが運転されるHVモードとの間で切り換えられるハイブリッド車両の制御方法であって、
前記内燃機関の運転を制限すべき低エミッション領域のうち前記低エミッション領域の境界に隣接する出口エリア内に前記ハイブリッド車両があるか否かを判別することと、
前記ハイブリッド車両が前記出口エリア内にあると判別されたときに、前記内燃機関の触媒を加熱するための電気ヒータを作動させることと、
を含
み、
前記電気ヒータを作動させることは、
前記ハイブリッド車両が前記低エミッション領域を出るときに前記触媒が活性状態にあるように前記電気ヒータを作動させることと、
前記ハイブリッド車両が前記出口エリア内にあると判別されたときにおいて、前記ハイブリッド車両のバッテリの充電率に応じて定まる利用可能電気エネルギ量が、前記触媒が活性状態にありつつ前記ハイブリッド車両が前記EVモードでもって前記低エミッション領域を出るのに必要な必要電気エネルギ量よりも少ないと判別されたときには、前記利用可能電気エネルギ量が前記必要電気エネルギ量よりも多いと判別されたときに比べて、前記電気ヒータへの通電量を少なくすることと、
を含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はハイブリッド車両の制御システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関及び電気モータを備え、運転モードが、内燃機関の運転が停止されつつ電気モータが運転されるEVモードと、内燃機関及び電気モータが運転されるHVモードとの間で切り換えられるハイブリッド車両であって、HVモードにおいて、バッテリの充電率(SOC)があらかじめ定められた第1の設定値を下回ると、発電のために内燃機関が始動され、このとき発生された電力によりバッテリが充電される、ハイブリッド車両が公知である。
【0003】
ところが、バッテリのSOCが第1の設定値を下回ったときに、内燃機関の触媒が不活性状態にあるおそれがある。この場合、内燃機関を始動させると、排気エミッションが増大するおそれがある。そこで、バッテリのSOCが、第1の設定値よりも高い第2の設定値を下回ったときに、触媒を加熱するための電気ヒータを作動させる、ハイブリッド車両が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば都市部に、内燃機関の運転を制限すべき低エミッション領域を設定する技術が知られている(ジオフェンシング)。低エミッション領域内では、ハイブリッド車両は通常、電気モータによる走行、すなわちEVモードで走行する。したがって、回生制御を考慮したとしても、低エミッション領域内ではバッテリのSOCが次第に低下する。このため、ハイブリッド車両が低エミッション領域を出ると直ちに、発電のために内燃機関が始動される可能性がある。しかしながら、このとき触媒が活性状態にないおそれがある。特許文献1にはこの問題点について何ら開示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、以下が提供される。
[構成1]
内燃機関及び電気モータを備え、運転モードが、前記内燃機関の運転が停止されつつ前記電気モータが運転されるEVモードと、前記内燃機関及び前記電気モータが運転されるHVモードとの間で切り換えられるハイブリッド車両の制御システムであって、
前記内燃機関の触媒を加熱するように構成された電気ヒータと、
前記内燃機関の運転を制限すべき低エミッション領域のうち前記低エミッション領域の境界に隣接する出口エリア内に前記ハイブリッド車両があるか否かを判別するように構成されている位置判別部と、
前記ハイブリッド車両が前記出口エリア内にあると判別されたときに、前記電気ヒータを作動させるように構成されているヒータ制御部と、
を備える、制御システム。
[構成2]
前記ヒータ制御部は、前記ハイブリッド車両が前記出口エリア内にあると判別されたときにおいて、前記ハイブリッド車両のバッテリの充電率があらかじめ定められたしきい値よりも高いと判別されたときに、前記電気ヒータを作動させず、前記バッテリの充電率が前記しきい値よりも低いと判別されたときに、前記電気ヒータを作動させるように構成されている、構成1に記載の制御システム。
[構成3]
前記ハイブリッド車両が前記低エミッション領域外に出るか否かを予測する予測部を更に備え、
前記ヒータ制御部は、前記ハイブリッド車両が前記出口エリア内にあると判別されたときにおいて、前記ハイブリッド車両が前記低エミッション領域外に出ないと予測されたときに、前記電気ヒータを作動させず、前記ハイブリッド車両が前記低エミッション領域外に出ると予測されたときに、前記電気ヒータを作動させるように構成されている、
構成1又は2に記載の制御システム。
[構成4]
前記ヒータ制御部は、前記ハイブリッド車両が前記出口エリア内にあると判別されたときにおいて、前記境界までの前記ハイブリッド車両の距離が長いときには、前記距離が短いときに比べて、前記電気ヒータへの単位時間あたりの通電量を少なくするように構成されている、構成1から3までのいずれか1に記載の制御システム。
[構成5]
前記ヒータ制御部は、前記ハイブリッド車両が前記低エミッション領域を出るときに前記触媒が活性状態にあるように前記電気ヒータを作動させるように構成されている、構成1から4までのいずれか1に記載の制御システム。
[構成6]
前記ヒータ制御部は、前記ハイブリッド車両が前記出口エリア内にあると判別されたときにおいて、前記ハイブリッド車両のバッテリの充電率に応じて定まる利用可能電気エネルギ量が、前記触媒が活性状態にありつつ前記ハイブリッド車両が前記EVモードでもって前記低エミッション領域を出るのに必要な必要電気エネルギ量よりも少ないと判別されたときには、前記利用可能電気エネルギ量が前記必要電気エネルギ量よりも多いと判別されたときに比べて、前記電気ヒータへの通電量を少なくするように構成されている、構成5に記載の制御システム。
[構成7]
前記ヒータ制御部は、前記利用可能電気エネルギ量が前記必要電気エネルギ量よりも少ないと判別されたときに、前記電気ヒータへの通電量をゼロにして前記電気ヒータを作動させないように構成されている、構成6に記載の制御システム。
[構成8]
前記ヒータ制御部は、前記利用可能電気エネルギ量が、前記必要電気エネルギ量よりも少なく、かつ、前記電気ヒータを作動させることなく前記ハイブリッド車両が前記EVモードでもって前記低エミッション領域を出るのに必要な領域外必要電気エネルギ量よりも多いと判別されたときに、前記領域外必要電気エネルギ量に対する前記利用可能電気エネルギ量の超過分の一部又は全部を前記電気ヒータに供給するように構成されている、構成6又は7に記載の制御システム。
[構成9]
前記利用可能電気エネルギ量が、前記必要電気エネルギ量よりも少なく、かつ、前記電気ヒータを作動させることなく前記ハイブリッド車両が前記EVモードでもって前記低エミッション領域内の充電設備に到達するのに必要な充電必要電気エネルギ量よりも多いと判別されたときに、前記ハイブリッド車両を前記充電設備に案内するように構成されている案内部を更に備える、構成6から8までのいずれか1項に記載の制御システム。
[構成10]
前記利用可能電気エネルギ量が、前記必要電気エネルギ量よりも少なく、かつ、前記電気ヒータを作動させることなく前記ハイブリッド車両が前記EVモードでもって前記低エミッション領域を出るのに必要な領域外必要電気エネルギ量よりも多いと判別されたときに、前記ハイブリッド車両を前記低エミッション領域外に案内するように構成されている案内部を更に備える、構成6から9までのいずれか1項に記載の制御システム。
[構成11]
内燃機関及び電気モータを備え、運転モードが、前記内燃機関の運転が停止されつつ前記電気モータが運転されるEVモードと、前記内燃機関及び前記電気モータが運転されるHVモードとの間で切り換えられるハイブリッド車両の制御方法であって、
前記内燃機関の運転を制限すべき低エミッション領域のうち前記低エミッション領域の境界に隣接する出口エリア内に前記ハイブリッド車両があるか否かを判別することと、
と、
前記ハイブリッド車両が前記出口エリア内にあると判別されたときに、前記内燃機関の触媒を加熱するための電気ヒータを作動させることと、
を含む、制御方法。
【発明の効果】
【0007】
ハイブリッド車両が低エミッション領域から出るときに、確実に触媒を活性状態にすることができ、ハイブリッド車両が低エミッション領域から出た直後に内燃機関を速やかに始動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示による第1実施例の制御システムの概略全体図である。
【
図2】本開示による第1実施例の内燃機関の概略図である。
【
図3】本開示による第1実施例の低エミッション領域の概略図である。
【
図4】本開示による第1実施例における車両の機能ブロック図である。
【
図5】本開示による第1実施例におけるサーバの機能ブロック図である。
【
図6】本開示による第1実施例の低エミッション領域及び出口エリアの概略図である。
【
図7】本開示による第1実施例を説明するためのタイムチャートである。
【
図8】本開示による第1実施例の車両制御ルーチンを実行するためのフローチャートである。
【
図9】本開示による第1実施例のサーバ制御ルーチンを実行するためのフローチャートである。
【
図10】本開示による第2実施例における車両の機能ブロック図である。
【
図11】本開示による第2実施例を説明するためのタイムチャートである。
【
図12】本開示による第2実施例の車両制御ルーチンを実行するためのフローチャートである。
【
図13】本開示による第2実施例のサーバ制御ルーチンを実行するためのフローチャートである。
【
図14】本開示による第3実施例におけるサーバの機能ブロック図である。
【
図15】本開示による第3実施例を説明するための低エミッション領域及び出口エリアの概略図である。
【
図16】本開示による第3実施例のサーバ制御ルーチンを実行するためのフローチャートである。
【
図17】本開示による第4実施例におけるサーバの機能ブロック図である。
【
図18】本開示による第4実施例における通電量QHTのマップを示す線図である。
【
図19】本開示による第4実施例を説明するためのタイムチャートである。
【
図20】本開示による第4実施例の車両制御ルーチンを実行するためのフローチャートである。
【
図21】本開示による第4実施例のサーバ制御ルーチンを実行するためのフローチャートである。
【
図22】本開示による第5実施例における車両の機能ブロック図である。
【
図23】本開示による第5実施例におけるサーバの機能ブロック図である。
【
図24】本開示による第5実施例を説明するための線図である。
【
図25】本開示による第5実施例を説明するための概略図である。
【
図26】本開示による第5実施例のサーバ制御ルーチンを実行するためのフローチャートである。
【
図27】本開示による第5実施例のサーバ制御ルーチンを実行するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から
図9を参照して、本開示による第1実施例を説明する。
図1を参照すると、本開示による第1実施例のハイブリッド車両の制御システム1は、ハイブリッド車両10と、ハイブリッド車両10の外部のサーバ30とを備える。
【0010】
本開示による第1実施例のハイブリッド車両10は、内燃機関11及びモータジェネレータ(M/G)12、バッテリ13、少なくとも1つのセンサ14、GPSレシーバ15、記憶装置16、通信装置17、HMI(ヒューマンマシンインターフェース)18、及び電子制御ユニット20を備える。
【0011】
本開示による第1実施例の内燃機関11は、例えば火花点火機関又は圧縮着火機関から構成される。本開示による第1実施例の内燃機関11は、
図2に示されるように、機関本体11a、機関本体11aに連結された排気管11b、排気管11bに連結されたケーシング11c、ケーシング11cに連結された排気管11d、ケーシング11c内に収容された触媒11e、及び、触媒11eを加熱するための電気ヒータ11f、を備える。
図2に示される例では、電気ヒータ11fは触媒11eの周面に取り付けられる。電気ヒータ11fが作動されると、すなわち電気ヒータ11fに通電されると、触媒11eが加熱され、例えば触媒11eが活性状態にされる。別の例では、電気ヒータ11fは、触媒11eに流入する排気ガスを加熱するように触媒11eの上流に配置される。この場合、触媒11eは、電気ヒータ11fにより加熱された排気ガスによって加熱される。内燃機関11(例えば、燃料噴射弁、点火栓、スロットル弁、など)は電子制御ユニット20からの信号に基づいて制御される。
【0012】
また、本開示による第1実施例のモータジェネレータ12は電気モータ又は発電機として作動する。モータジェネレータ12は電子制御ユニット20からの信号に基づいて制御される。
【0013】
本開示による第1実施例では、ハイブリッド車両10の運転モードをEVモードとHVモードとの間で切り換えることができる。本開示による第1実施例のEVモードでは、内燃機関11が停止されつつモータジェネレータ12が電気モータとして運転される。この場合、モータジェネレータ12の出力が車軸に伝達される。一方、本開示による第1実施例のHVモードでは、内燃機関11が運転されるとともにモータジェネレータ12が電気モータとして運転される。この場合、一例では、内燃機関11の出力及びモータジェネレータ12の出力が車軸に伝達される。別の例では、モータジェネレータ12の出力が車軸に伝達され、内燃機関11の出力は発電機(図示しない)に伝達され、発電機が作動される。発電機で発生された電力はモータジェネレータ12又はバッテリ13に送られる。更に別の例では、内燃機関11の出力の一部とモータジェネレータ12の出力が車軸に伝達され、内燃機関11の出力の残りが発電機に伝達される。発電機で発生された電力はモータジェネレータ12又はバッテリ13に送られる。また、本開示による第1実施例では、EVモード及びHVモードにおいて、例えば減速運転時にモータジェネレータ12を発電機として用いる回生制御が行われる。回生制御で発生された電力はバッテリ13に送られる。
【0014】
本開示による第1実施例のバッテリ13は、発電機として作動するモータジェネレータ12又は発電機(図示しない)からの電力でもって充電される。別の実施例(図示しない)では、バッテリ13は外部電源によっても充電可能である。一方、本開示による第1実施例では、電力がバッテリ13から、内燃機関11の電気ヒータ11f、電気モータとして作動するモータジェネレータ12、電子制御ユニット20、その他の車載機器に供給される。
【0015】
本開示による第1実施例のセンサ14は種々の生データを検出する。本開示による第1実施例のセンサ14には、例えば、アクセルペダルの踏み込み量により表される要求車両負荷を検出するための負荷センサ、内燃機関11のスロットル開度を検出するためのスロットル開度センサ、内燃機関11の排気ガス中のNOx濃度を検出するためのNOxセンサ、触媒11eの温度を検出するための温度センサ、内燃機関11の回転数を検出するための回転数センサ、バッテリ13の電圧及び電流を検出するための電圧計及び電流計、車両10の速度を検出するための速度センサ、などが含まれる。これらセンサ14の出力信号は電子制御ユニット20に入力される。
【0016】
本開示による第1実施例のGPSレシーバ15は、GPS衛星からの信号を受信し、それにより車両10の絶対位置(例えば、経度及び緯度)を表す情報を検出する。車両10の位置情報は電子制御ユニット20に入力される。
【0017】
本開示による第1実施例の記憶装置16には、種々のデータがあらかじめ記憶されている。本開示による第1実施例の通信装置17は例えばインターネットのような通信網Nに接続可能である。本開示による実施例のHMI18は、車両10の乗員(ドライバを含む。)と制御システム1との間で情報のやりとりを行う。具体的には、HMI18は、車両10の乗員に対し例えば視覚的、聴覚的、触覚的、嗅覚的な通知を行う通知機能と、車両10の乗員からの入力を受け取る入力機能と、を備える。HMI18は、通知機能のために例えばディスプレイ、ランプ、スピーカ、バイブレータなどを含み、入力機能のためにタッチパネル、ボタン、スイッチなどを含む。別の実施例(図示しない)では、HMI18は入力機能を備えることなく通知機能を備える。
【0018】
本開示による第1実施例の車両10の電子制御ユニット20は、双方向性バスによって互いに通信可能に接続された1又は複数のプロセッサ21、1又は複数のメモリ22、及び、入出力(I/O)ポート23を備える。メモリ22は例えばROM、RAMなどを備える。メモリ22には種々のプログラムが記憶されており、これらプログラムがプロセッサ21で実行されることにより種々の機能が実現される。本開示による第1実施例の入出力ポート23には、上述の内燃機関11(電気ヒータ11fを含む。)、モータジェネレータ12、センサ14、GPSレシーバ15、記憶装置16、及び通信装置17が通信可能に接続される。また、本開示による第1実施例のプロセッサ21では、バッテリ13のSOCないし充電率が、例えばバッテリ13の電圧及び電流に基づいて算出される。
【0019】
更に
図1を参照すると、本開示による第1実施例のサーバ30は、記憶装置31、通信装置32、及び電子制御ユニット40を備える。
【0020】
本開示による第1実施例の記憶装置31には、内燃機関11の運転を制限すべき低エミッション領域の位置情報(例えば、緯度及び経度)が記憶されている。
図3には、本開示による第1実施例の低エミッション領域LEZの一例が模式的に示される。本開示による第1実施例の低エミッション領域LEZは閉じた境界又はジオフェンスGFによって囲まれている。低エミッション領域LEZは例えば都市部に設定される。低エミッション領域LEZの外の領域、すなわち一般領域GEZでは、内燃機関11の運転が制限されず又は許容される。
【0021】
本開示による第1実施例の通信装置32は通信網Nに接続可能である。したがって、車両10とサーバ20とは通信網Nを介して互いに接続可能になっている。
【0022】
本開示による第1実施例のサーバ30の電子制御ユニット40は、車両10の電子制御ユニット20と同様に、双方向性バスによって互いに通信可能に接続された1又は複数のプロセッサ41、1又は複数のメモリ42、及び、入出力ポート43を備える。本開示による第1実施例の入出力ポート43には、上述の記憶装置31、及び通信装置32が通信可能に接続される。
【0023】
図4は、本開示による第1実施例の車両10の機能ブロック図を示している。
図4を参照すると、車両10の電子制御ユニット20は、位置情報取得部20a、運転モード制御部20b、及び、ヒータ制御部20cを含む。
【0024】
本開示による第1実施例の位置情報取得部20aは、GPSレシーバ15から車両10の位置情報を取得する。また、位置情報取得部20aは、この位置情報をサーバ30に送信する。
【0025】
更に
図4を参照すると、本開示による第1実施例の運転モード制御部20bは、運転モードを、EVモードとHVモードとの間で変更する。一例では、要求車両負荷があらかじめ定められた設定負荷よりも低いときにEVモードが行われ、要求車両負荷が設定負荷よりも高くなると運転モードがHVモードに切り換えられる。また、バッテリ13のSOCがあらかじめ定められた設定SOCよりも高いときにEVモードが行われ、バッテリ13のSOCが設定SOCよりも低くなると運転モードがHVモードに切り換えられる。
【0026】
本開示による第1実施例のヒータ制御部20cは、内燃機関11の電気ヒータ11f(
図2)の作動又は停止を制御する。一例では、内燃機関11を始動すべきときに触媒11eが不活性状態であると、電気ヒータ11fが作動される、すなわち電気ヒータ11fへ通電される。次いで内燃機関11が始動されると、電気ヒータ11fが作動停止される、すなわち電気ヒータ11fへの通電が停止される。なお、内燃機関11は、触媒11eが活性状態になるまで始動されず、触媒11eが活性状態になると始動される。一方、内燃機関11を始動すべきでないとき、又は、触媒11eが活性状態にあるときには、電気ヒータ11fは停止される。また、ヒータ制御部20cは、後述するように、車両10が受信した指示データに従って、電気ヒータ11fを作動又は停止する。
【0027】
一方、
図5は、本開示による第1実施例のサーバ30の機能ブロック図を示している。
図5を参照すると、サーバ30の電子制御ユニット40は、位置判別部40aを含む。
【0028】
本開示による第1実施例の位置判別部40aは、車両10からサーバ30に送信された車両10の位置情報と、記憶装置31内に記憶されている低エミッション領域LEZの位置情報とから、車両10が低エミッション領域LEZ内にあるか否かを判別する。また、位置判別部40aは、車両10が出口エリアEXA(後述する)内にあるか否かを判別する。更に、位置判別部40aは、これらの判別結果に応じた指示データを作成し、指示データを車両10に送信する。
【0029】
本開示による第1実施例では、
図6に示されるように、低エミッション領域LEZが、低エミッション領域LEZの境界GF又は一般領域GEZに隣接する出口エリアEXAと、出口エリアEXAよりも内側の内側エリアINAとに区分される。したがって、低エミッション領域LEZから低エミッション領域LEZ外、すなわち一般領域GEZに出るために、車両10は出口エリアEXAを通ることになる。なお、本開示による第1実施例では、出口エリアEXAは例えば境界GFからの距離(例えば、走行距離)があらかじめ定められたしきい値Dxよりも短いエリアとして画定される。なお、
図6においてDは、車両10の現在位置から境界GF又は一般領域GEZまでの距離(例えば、走行距離)を表している。
【0030】
本開示による第1実施例では、距離Dがしきい値Dxよりも短いと判別されたときに車両10は出口エリアEXA内にあると判別され、距離Dがしきい値Dxよりも長いと判別されたときに車両10は出口エリアEXA外、すなわち内側エリアINA内にあると判別される。したがって、しきい値Dxは出口エリアEXAの位置情報と考えることができる。
【0031】
さて、本開示による第1実施例では、車両10が車両10の位置情報を取得すると、車両10の位置情報がサーバ30に送信される。サーバ30の位置判別部40aは、車両10の位置情報を受信すると、受信した車両10の位置情報と、記憶装置31に記憶されている低エミッション領域LEZの位置情報とから、車両10が低エミッション領域LEZ内にあるかを判別する。車両10が一般領域GEZ内にあると判別されたときには、位置判別部40aは、維持指示を含むデータを作成し、車両10に送信する。
【0032】
一方、車両10が低エミッション領域LEZ内にあると判別されたときには、位置判別部40aは、車両10の位置情報と、出口エアリアEXAの位置情報とから、車両10が出口エリアEXA内にあるかを判別する。車両10が出口エリアEXA外、すなわち内側エリアINA内にあると判別されたときには、位置判別部40aは、停止指示を含むデータを作成し、車両10に送信する。これに対し、車両10が出口エリアEXA内にあると判別されたときには、位置判別部40aは、作動指示を含むデータを作成し、車両10に送信する。
【0033】
車両10がサーバ30から指示データを受信すると、車両10のヒータ制御部20cは受信した指示データを判別する。指示データが維持指示を含むと判別されたときには、ヒータ制御部20cは、電気ヒータ11fの作動状態を維持する。すなわち、電気ヒータ11fが作動されているときには電気ヒータ11fを継続して作動し、電気ヒータ11fが作動停止されているときには電気ヒータ11fを継続して作動停止する。これに対し、指示データが停止指示を含むと判別されたときには、ヒータ制御部20cは、電気ヒータ11fを作動停止する。一方、指示データが作動指示を含むと判別されたときには、ヒータ制御部20cは、電気ヒータ11fを作動する。
【0034】
すなわち、
図7に示される例では、時間ta1までは車両10が低エミッション領域LEZの内側エリアINA内にあると判別され、このとき停止指示に従って、電気ヒータ11fの作動が停止される(通電量QHT=0)。次いで、時間ta1において車両10が出口エリアEXA内に入ったと判別されると、作動指示に従って、電気ヒータ11fが作動される(QHT>0)。
図7に示される例では、電気ヒータ11fへの単位時間あたりの通電量QHTが一定量QHT1とされる。その結果、触媒11eの加熱が開始される。次いで、時間tb2において車両10が低エミッション領域LEZを出て一般領域GEZ内に入ったと判別されると、維持指示に従って、電気ヒータ11fの作動状態が維持される。
図7に示される例では、電気ヒータ11fが継続して作動される。
【0035】
本開示による第1実施例では、上述したように、要求車両負荷及びバッテリ13のSOCに基づいて、運転モードがEVモード又はHVモードに制御される。したがって、低エミッション領域LEZ内で運転モードがEVモードに維持されるように又はHVモードに切り換えられないようにするために、車両10には、要求車両負荷(例えば、アクセルペダルの踏み込み量)の調節、バッテリ13のSOCの管理、などが求められる。別の実施例(図示しない)では、車両10が低エミッション領域LEZ内にあると判別されると、運転モード制御部20dにより、運転モードが自動的にEVモードに切り換えられ、維持される。
【0036】
いずれにしても、車両10が低エミッション領域LEZ内にあると、回生制御を考慮したとしても、バッテリ13のSOCが次第に低下する。このため、車両10が低エミッション領域LEZを出ると、すなわち一般領域GEZ内に入ると、直ちに、発電のために内燃機関11が始動される可能性がある。
【0037】
この点、本開示による第1実施例では、車両10が出口エリアEXA内に入ったと判別されると、すなわち低エミッション領域LEZを出る前に、電気ヒータ11fが作動される。したがって、車両10が出口エリアEXA又は低エミッション領域LEZを出るまでに、触媒11eを活性状態にすることが可能となる。このため、車両10が低エミッション領域LEZを出た後、触媒11eの排気浄化能力を確保しつつ、内燃機関11を直ちに始動させることができる。
【0038】
本開示による第1実施例のヒータ制御部20cは、車両10が低エミッション領域LEZを出るときに触媒11eが活性状態にあるように電気ヒータ11fを作動させる。その結果、車両10が低エミッション領域LEZを出た直後の内燃機関11の始動を可能にしつつ、内燃機関11の始動まで触媒11eを活性状態にしておくのに必要な電力が低減される。
【0039】
本開示による第1実施例では、上述したように、車両10から境界GFまでの距離Dがしきい値Dxよりも短くなると、車両10が出口エリアEXA内に入ったと判別され、電気ヒータ11fが作動される。そこで本開示による第1実施例では、車両10が低エミッション領域LEZを出るときに触媒11eが活性状態にあるように、しきい値Dxが設定される。一例では、触媒11eの現在の温度と、触媒11eの活性温度と、電気ヒータ11fへの単位時間あたりの通電量QHT(例えば、上述のQHT1)とから、触媒11eを活性状態にするのに要する時間tRが算出される。次いで、車両10が、時間tRにわたり、予測走行ルートに沿いつつ予測速度で走行したと仮定したときの車両10の移動距離が算出され、この移動距離がしきい値Dxに設定される。予測走行ルートは、一例では車両10又は他車両の走行履歴に基づいて決定される。車両10又は他車両の走行履歴は例えばサーバ30に送信される車両10又は他車両の位置情報に基づいて決定される。別の例では、予測走行ルートは、車両10のナビゲーションシステム(図示しない)が決定した走行ルートが車両10からサーバ30に送信され、走行ルートに基づいて決定される。予測車速は、一例では車両10又は他車両の走行履歴に基づいて決定される。この場合、予測速度は例えば車両10の位置又は時刻の関数として決定される。別の例では、予測車速は法定速度に基づいて決定される。
【0040】
図8は、本開示による第1実施例における、車両10での制御を実行するためのルーチンを示している。このルーチンは例えばあらかじめ定められた設定時間ごとに繰り返される。
図8を参照すると、ステップ100では、車両10の位置情報が取得される。続くステップ101では、車両10の位置情報がサーバ30に送信される。続くステップ102では、サーバ30から指示データを受信したか否かが判別される。サーバ30から指示データを受信したと判別されるまでステップ102が繰り返される。サーバ30から指示データを受信した判別されると、次いでステップ103に進み、指示データが判別される。指示データに停止指示を含むと判別されたときには、次いでステップ104に進み、電気ヒータ11fが作動停止される。指示データに作動指示を含むと判別されたときには、次いでステップ105に進み、電気ヒータ11fが作動される。指示データに維持指示を含むと判別されたときには、次いでステップ106に進み、電気ヒータ11fの作動状態が維持される。
【0041】
図9は、本開示による第1実施例における、サーバ30での制御を実行するためのルーチンを示している。このルーチンは例えばあらかじめ定められた設定時間ごとに繰り返される。
図9を参照すると、ステップ200では、車両10から車両10の位置情報を受信したか否かが判別される。車両10の位置情報を受信していないと判別されたときには処理サイクルを終了する。車両10の位置情報を受信したと判別されると、ステップ201に進み、車両10が低エミッション領域LEZ内にあるか否かが判別される。車両10が低エミッション領域LEZ内にない、すなわち一般領域GEZ内にあると判別されたときには、次いでステップ202に進み、維持指示を含む指示データが作成される。次いでステップ206に進む。一方、車両10が低エミッション領域LEZ内にあると判別されたときには、次いでステップ203に進み、車両10が出口エリアEXA内にあるか否かが判別される。車両10が出口エリアEXA内にあると判別されたときには、次いでステップ204に進み、作動指示を含む指示データが作成される。次いでステップ206に進む。これに対し、車両10が出口エリアEXA内にない、すなわち内側エリアあると判別されたときには、次いでステップ205に進み、停止指示を含む指示データが作成される。次いでステップ206に進む。ステップ206では、指示データが車両10に送信される。
【0042】
次に、
図10から
図13を参照して、本開示による第2実施例を説明する。本開示による第2実施例は次の点で本開示による第1実施例と相違する。すなわち、
図10に示されるように、本開示による第2実施例の車両10の電子制御ユニット20はSOC取得部20dを備える。SOC取得部20dは、バッテリ13のSOCを、例えばプロセッサ21から取得する。
【0043】
上述の本開示による第1実施例では、車両10が出口エリアEXA内にあると判別されると、電気ヒータ11fが作動される。その結果、車両10が低エミッション領域LEZ外に出た直後に内燃機関11が作動されても、触媒11eの排気浄化機能が期待できる。しかしながら、バッテリ13のSOCが高いときには、車両10が低エミッション領域LEZ外に出た直後に、発電のために内燃機関11が作動される必要性は低い。
【0044】
そこで本開示による第2実施例では、車両10が低エミッション領域LEZ内にあると判別されたときにおいて、バッテリ13のSOCがあらかじめ定められたしきい値SOCxよりも高いときには、電気ヒータ11fが作動されない。これに対し、バッテリ13のSOCがしきい値SOCxよりも低いときには、電気ヒータ11fが作動される。
【0045】
すなわち、
図11に示される例では、時間tb1までは車両10が低エミッション領域LEZの内側エリアINA内にあると判別され、このとき電気ヒータ11fの作動が停止される。次いで、時間tb1において車両10が出口エリアEXA内に入ったと判別され、このときバッテリ13のSOCがしきい値SOCxよりも低いと判別されると、
図11に実線で示されるように、電気ヒータ11fが作動される。これに対し、バッテリ13のSOCがしきい値SOCxよりも高いと判別されると、
図11に破線で示されるように、電気ヒータ11fが作動停止される。
【0046】
図12は、本開示による第2の実施例における、車両10での制御を実行するためのルーチンを示している。
図8に示されるルーチンとの相違点について説明すると、
図12に示されるルーチンでは、ステップ100に続いてステップ100aに進み、バッテリ13のSOCが取得される。続くステップ101aでは、車両10の位置情報及びバッテリ13のSOCがサーバ30に送信される。
【0047】
図13は、本開示による第2実施例における、サーバ30での制御を実行するためのルーチンを示している。
図9に示されるルーチンとの相違点について説明すると、
図13に示されるルーチンでは、まず、ステップ200aにおいて、車両10から車両10の位置情報及びバッテリ13のSOCを受信したか否かが判別される。車両10の位置情報及びSOCを受信していないと判別されたときには処理サイクルを終了する。車両10の位置情報及びSOCを受信したと判別されると、ステップ201に進む。また、ステップ201において車両10が低エミッション領域LEZ内にあると判別されたときに、次いでステップ201aに進み、バッテリ13のSOCがしきい値SOCxよりも低いか否かが判別される。SOC<SOCxのときには次いでステップ203に進む。これに対し、SOC≧SOCxのときには次いでステップ205に進む。
【0048】
上述の本開示による第2実施例では、バッテリ13のSOCがしきい値SOCxよりも高いか否かの判別がサーバ30で行われる。別の実施例(図示しない)では、当該判別が車両10で行われる。この場合、バッテリ13のSOCをサーバ30に送信する必要はない。
【0049】
次に、
図14から
図16を参照して、本開示による第3実施例を説明する。本開示による第3実施例は次の点で本開示による第2実施例と相違する。すなわち、
図14に示されるように、本開示による第3実施例のサーバ30の電子制御ユニット40は、予測部40bを備える。予測部40bは、車両10が低エミッション領域LEZ外に出るか否かを予測する。
【0050】
上述の本開示による第1実施例では、車両10が内側エリアINAから出口エリアEXAに移動したと判別されると、電気ヒータ11fが作動される。その結果、
図15に実線で示されるように車両10が低エミッション領域LEZ外に出たときに、触媒11eを活性状態にしておくことができる。しかしながら、車両10が内側エリアINAから出口エリアEXAに移動したとしても、
図15に破線で示されるように、車両10が低エミッション領域LEZ外に移動せず、低エミッション領域LEZ内に留まるおそれがある。車両10が低エミッション領域LEZ内に留まる場合には、内燃機関11が作動されず、電気ヒータ11fを作動させる必要はない。
【0051】
そこで本開示による第3実施例では、車両10が低エミッション領域LEZ外に出るかが予測され、車両10が低エミッション領域LEZ外に出ないと予測されたときには、電気ヒータ11fが作動されない。これに対し、車両10が低エミッション領域LEZ外に出ると予測されたときには、電気ヒータ11fが作動される。その結果、電力を有効利用することができる。
【0052】
本開示による第3実施例では、車両10が低エミッション領域LEZ外に出るか否かの判別が、車両10(自車両)又は他車両の走行履歴に基づいて行われる。一例では、車両10又は他車両の走行履歴に基づき、車両10が現在位置から低エミッション領域LEZ外に出る確率が算出される。当該確率が基準値よりも高いと判別されたときに車両10が低エミッション領域LEZ外に出ると判別され、当該確率が基準値よりも低いと判別されたときに車両10が低エミッション領域LEZ外に出ないと判別される。別の実施例(図示しない)では、車両10のナビゲーションシステム(図示しない)が決定した走行ルートが車両10からサーバ30に送信され、この走行ルートに基づいて当該判別が行われる。
【0053】
図16は、本開示による第3実施例における、サーバ30での制御を実行するためのルーチンを示している。
図13に示されるルーチンとの相違点について説明すると、
図16に示されるルーチンでは、ステップ201aにおいてSOC<SOCxのときに、次いでステップ201bに進み、車両10が低エミッション領域LEZ外に出るか否かが予測される。車両10が低エミッション領域LEZ外に出ると予測されたときには、次いでステップ203に進む。これに対し、車両10が低エミッション領域LEZ外に出ないと予測されたときには、次いでステップ205に進む。
【0054】
上述の本開示による第3実施例では、車両10が低エミッション領域外に出るか否かの判別がサーバ30で行われる。別の実施例(図示しない)では、当該判別が車両10で行われる。
【0055】
次に、
図17から
図21を参照して、本開示による第4実施例を説明する。本開示による第4実施例は次の点で本開示による第3実施例と相違する。すなわち、本開示による第4実施例では、
図17に示されるように、本開示による第4実施例のサーバ30の電子制御ユニット40は、通電量決定部40cを備える。通電量決定部40cは、電気ヒータ11fを作動させるときに、電気ヒータ11fへの単位時間あたりの通電量QHTの目標値QHTtgtを決定する。電気ヒータ11fを作動させるときに車両10に送信される指示データには、上述の作動指示とともに、この目標値QHTtgtが含まれる。指示データを受信した車両10のヒータ制御部20cは、指示データに含まれる目標値QHTtgtになるように電気ヒータ11fへの通電量QHTを制御する。
【0056】
上述の本開示による第1から第3実施例のヒータ制御部20cは、電気ヒータ11fが作動されるときに、電気ヒータ11fへの単位時間あたりの通電量QHTを一定量QHT1に維持する(
図7,11)。これに対し、本開示による第4実施例のヒータ制御部20cは、車両10から境界GFまでの距離Dに応じて、通電量QHTを変更する。
【0057】
距離Dが長いときには、車両10は境界GFから離れており、車両10が低エミッション領域LEZ外に出る可能性は低い。これに対し、距離Dが短いときには、車両10は境界GFに近く、車両10が低エミッション領域LEZ外に出る可能性は高い。そこで本開示による第4実施例では、
図18に示されるように、距離Dが長いときには距離Dが短いときに比べて、目標通電量QHTtgtが少なくされる。その結果、電力が有効利用される。
【0058】
すなわち、
図19に示される例では、時間tc1までは車両10が低エミッション領域LEZの内側エリアINA内にあると判別され、このとき電気ヒータ11fの作動が停止される(通電量QHT=0)。次いで、時間tc1において車両10が出口エリアEXA内に入ったと判別されると、電気ヒータ11fが作動される(QHT>0)。この場合、通電量QHTは距離Dが短くなるにつれて多くなる。次いで、時間tc2において車両10が低エミッション領域LEZを出たと判別されると、電気ヒータ11fの作動状態が維持される。
【0059】
図20は、本開示による第4の実施例における、車両10での制御を実行するためのルーチンを示している。
図12に示されるルーチンとの相違点について説明すると、
図20に示されるルーチンでは、ステップ103において、車両10が作動指示及び目標通電量QHTtgtを含む指示データを受信すると、次いでステップ105aに進み、通電量QHTが目標通電量QHTtgtになるように電気ヒータ11fが作動される。
【0060】
図21は、本開示による第4実施例における、サーバ30での制御を実行するためのルーチンを示している。
図16に示されるルーチンとの相違点について説明すると、
図21に示されるルーチンでは、ステップ203において車両10が出口エリアEXA内にあると判別されたときには、次いでステップ204aに進み、目標通電量QHTtgtが算出される。続くステップ204bでは作動指示及び目標通電量QHTtgtを含む指示データが作成される。次いでステップ206に進む。
【0061】
本開示による第4実施例では、通電量決定部40cがサーバ30に設けられる。別の実施例では、通電量決定部40cが車両10に設けられ、目標通電量QHTtgtの算出が車両10で行われる。この場合、サーバ30から車両10に、距離Dが送信される。あるいは、サーバ30から車両10に、低エミッション領域LEZ(境界GF)の位置情報が送信され、車両10において距離Dが算出される。
【0062】
次に、
図22から
図27を参照して、本開示による第5実施例を説明する。本開示による第5実施例は次の点で本開示による第4実施例と相違する。すなわち、
図22に示されるように、本開示による第5実施例の車両10の電子制御ユニット20は、案内部20eを備える。案内部20eはHMI18を制御して、車両10の乗員に新たな目的地を提示又は通知する。車両10の乗員が当該目的地に車両10を向かわせることにより、車両10が当該目的地に案内される。車両10が自動運転車両の場合には、車両10の自動運転機能により車両10が当該目的地に向かわされ、それにより当該目的地に案内される。
【0063】
また、本開示による第5実施例では、
図23に示されるように、サーバ30の電子制御ユニット40は、制限部40d及び目的地決定部40eを備える。制限部40dは、車両10のバッテリ13のSOCに応じて定まる利用可能電気エネルギ量QEavlに応じて、電気ヒータ11fの作動を制限する。目的地決定部40eは、利用可能電気エネルギ量QEavlに基づき、車両10の新たな目的地を決定する。
【0064】
本開示による第5実施例の利用可能電気エネルギ量QEavlは、上述の設定SOCに対する現在のSOCの超過分(現在のSOC-設定SOC)により表される。SOCが設定SOCよりも低くなると運転モードがEVモードからHVモードに切り替えられることを考えると、本開示による第5実施例の利用可能電気エネルギ量QEavlは、運転モードをEVモードに維持したままバッテリ13から取り出すことが可能な電気エネルギ量と考えることができる。別の例では、利用可能電気エネルギ量QEavlは、SOCの下限値に対する現在のSOCの超過分により表される。なお、下限値は、SOCが下限値を下回るとSOCの回復が著しく困難になるようなSOCである。
【0065】
触媒11eが活性状態にありつつ車両10がEVモードでもって低エミッション領域LEZを出るのに必要な電気エネルギ量を必要電気エネルギ量QEreqと称すると、利用可能電気エネルギ量QEavlが必要電気エネルギ量QEreqよりも少ないときに、電気ヒータ11fを作動させると、車両10がEVモードでもって低エミッション領域LEZ内を移動するための電気エネルギが不足するおそれがあり、特に低エミッション領域LEZを出ることができないおそれがある。
【0066】
そこで本開示による第5実施例では、車両10が出口エリアEXA内にあると判別されたときにおいて、利用可能電気エネルギ量QEavlが必要電気エネルギ量QEreqよりも少ないと判別されたときには、利用可能電気エネルギ量QEavlが必要電気エネルギ量QEreqよりも多いと判別されたときに比べて、電気ヒータ11fへの通電量が少なくされ、すなわち電気ヒータ11fの作動が制限される。一例では、電気ヒータ11fへの通電量がゼロにされ、電気ヒータ11fが作動停止される。その結果、低エミッション領域LEZ内で車両10がEVモードでもって走行するための電気エネルギが確保される。
【0067】
すなわち、
図24にQE1で示されるように、利用可能電気エネルギ量QEavlが必要電気エネルギ量QEreqよりも多いときには、本開示による第4実施例と同様に、電気ヒータ11fが作動される。
【0068】
これに対し、
図24にQE2,QE3,QE4で示されるように、利用可能電気エネルギ量QEavlが必要電気エネルギ量QEreqよりも少ないときには、制限部40dは、停止指示を含むデータを作成し、車両10に送信する。その結果、電気ヒータ11fが作動停止される。
【0069】
また、本開示による第5実施例の目的地決定部40eは、利用可能電気エネルギ量QEavlが必要電気エネルギ量QEreqよりも少ないときに(QE2,QE3,QE4)、利用可能電気エネルギ量QEavlに応じた新たな目的地を決定し、新たな目的地についてのデータ(新たな目的地の位置、現在地から新たな目的地までのルート、など)を含むを作成して、停止指示とともに車両10に送信する。車両10の案内部20eは、新たな目的地を受信すると、新たな目的地をHMI18により車両10の乗員に通知する。
【0070】
本開示による第5実施例では、まず、電気ヒータ11fを作動させることなく車両10がEVモードでもって低エミッション領域LEZ内の充電設備に到達するのに必要な充電必要電気エネルギ量QEchgが算出される。この充電必要電気エネルギ量QEchgは、例えば、車両10の現在地から充電設備までの距離、車両10の単位走行距離あたりの消費電力エネルギ量、などに基づいて、算出される。次いで、
図24にQE2で示されるように、利用可能電気エネルギ量QEavlが充電必要電気エネルギ量QEchgよりも多いと判別されると、当該充電設備が新たな目的地に設定される。その結果、
図25に破線で示されるように、車両10が充電設備CSに案内される。したがって、充電設備CSで外部充電が行われることにより、車両10がEVモードでもって低エミッション領域LEZ外まで走行することが可能となる。なお、充電設備CSは、例えば、充電必要電気エネルギ量QEchgが最小となる充電設備である。
【0071】
また、本開示による第5実施例では、まず、電気ヒータ11fを作動させることなく車両10がEVモードでもって低エミッション領域LEZを出るのに必要な領域外必要電気エネルギ量QEoutが算出される。この領域外必要電気エネルギ量QEoutは、例えば、車両10の現在地から境界GF又は一般領域GEZまでの距離、車両10の単位走行距離あたりの消費電力エネルギ量、などに基づいて、算出される。次いで、
図24にQE3で示されるように、利用可能電気エネルギ量QEavlが領域外必要電気エネルギ量QEoutよりも多いと判別されると、低エミッション領域LEZ外が新たな目的地に設定される。その結果、
図25に実線で示されるように、車両10が低エミッション領域LEZ外に案内される。その結果、低エミッション領域LEZ内において、運転モードをHVモードに切り替える必要性、すなわち内燃機関11の運転の必要性がなくされる。また、本開示による第5実施例では、触媒11eが不活性状態であっても内燃機関11の始動が許容されている。したがって、低エミッション領域LEZ外において運転モードをHVモードに切り替えることとにより、車両10の走行に必要な電気エネルギが確保される。なお、この場合の低エミッション領域LEZ外までのルートは、例えば、領域外必要電気エネルギ量QEoutが最小となるルートが選択される。また、この場合には、内燃機関11を始動すべきときに電気ヒータ11fにより触媒11eを活性状態にすることができない場合があり、その場合には故障警告灯(MIL)が点灯される。
【0072】
図24に示される例では、充電必要電気エネルギ量QEchgが領域外必要電気エネルギ量QEoutよりも多い。しかしながら、領域外必要電気エネルギ量QEoutが充電必要電気エネルギ量QEchgよりも多い場合もある。いずれにしても、本開示による第5実施例では、利用可能電気エネルギ量QEavlが充電必要電気エネルギ量QEchgよりも多いか否かの判断を、利用可能電気エネルギ量QEavlが領域外必要電気エネルギ量QEoutよりも多いか否かの判断よりも先に行われる。このようにすると、触媒11eが不活性状態にありつつ内燃機関11が運転されるおそれが低減される。
【0073】
更に、本開示による第5実施例では、
図24にQE4で示されるように、利用可能電気エネルギ量QEavlが領域外必要電気エネルギ量QEoutよりも少ないと判別されると、低エミッション領域LEZ内の、車両10が安全に停車可能な退避位置EVが新たな目的地に設定される。その結果、
図25に点線で示されるように、車両10が退避位置EVに案内される。したがって、低エミッション領域LEZ内で内燃機関11の運転が制限される。また、本開示による第5実施例では、この場合、車両10がEVモードでもって低エミッション領域LEZ外に出ることができない旨が、例えばHMI18により車両10の乗員に通知される。
【0074】
図26及び
図27は、本開示による第5実施例における、サーバ30での制御を実行するためのルーチンを示している。
図21に示されるルーチンとの相違点について説明すると、
図26及び
図27に示されるルーチンでは、ステップ204aから
図27のステップ210に進み、利用可能電気エネルギ量QEavlが算出される。続くステップ211では、必要電気エネルギ量QEreqが算出される。続くステップ212では、利用可能電気エネルギ量QEavlが必要電気エネルギ量QEreq以上か否かが判別される。QEavl≧QEreqのときには次いでステップ213に進み、ステップ204bと同様に、作動指示及び目標通電量QHTtgtを含む指示データが作成される。次いでステップ206に進む。
【0075】
QEavl<QEreqのときにはステップ212からステップ214に進み、充電必要電気エネルギ量QEchgが算出される。続くステップ215では、利用可能電気エネルギ量QEavlが充電必要電気エネルギ量QEchg以上か否かが判別される。QEavl≧QEchgのときには次いでステップ216に進み、停止指示、及び、新たな目的地としての充電設備CSについてのデータを含む指示データが作成される。次いでステップ206に進む。
【0076】
QEavl<QEchgのときにはステップ215からステップ217に進み、領域外必要電気エネルギ量QEoutが算出される。続くステップ218では、利用可能電気エネルギ量QEavlが領域外必要電気エネルギ量QEout以上か否かが判別される。QEavl≧QEoutのときには次いでステップ219に進み、停止指示、及び、新たな目的地としての低エミッション領域LEZ外についてのデータを含む指示データが作成される。次いでステップ206に進む。
【0077】
QEavl<QEoutのときにはステップ218からステップ220に進み、停止指示、及び、新たな目的地としての低エミッション領域LEZ内の退避位置EVについてのデータを含む指示データが作成される。次いでステップ206に進む。
【0078】
本開示による第5実施例では、QEchg>QEavl≧QEoutのときに、電気ヒータ11fが作動停止されつつ、車両10が低エミッション領域LEZ外に案内される。別の例では、電気ヒータ11fが作動されつつ、車両10が低エミッション領域LEZ外に案内される。この場合、電気ヒータ11fに供給可能な電気エネルギ量は、
図24にdQEでもって示されるように、利用可能電気エネルギ量QE3と領域外必要電気エネルギ量QEoutとの差によって表される。その結果、触媒11fが活性状態にならないとしても、触媒11fの温度が高められる。したがって、その後、内燃機関11が運転されたときに、触媒11fが速やかに活性化される。
【0079】
また、本開示による第5実施例では、制限部40dがサーバ30に設けられる。別の実施例では、制限部40dが車両10に設けられ、電気ヒータ11fの作動を制限すべきか否かが車両10で判別される。また、本開示による第5実施例では、目的地決定部40eがサーバ30に設けられる。別の実施例では、目的地決定部40eが車両10に設けられ、新たな目的地が車両10で決定される。
【0080】
ところで、本開示による第5実施例において、利用可能電気エネルギ量QEavlが充電必要電気エネルギ量QEchgよりも少ないと判別されたときには、車両10が低エミッション領域LEZ外に出ることができないおそれがある(QEavl<QEout)。あるいは、車両10が低エミッション領域LEZを出ることができたとしても、触媒11eが活性状態にないおそれがある(QEavl<QEout)。
【0081】
そこで本開示による第5実施例では、QEavl<QEchgのときに、利用可能電気エネルギ量QEavlの増大制御が行われる。一例では、車両10で消費される電気エネルギ量ができるだけ制限される。例えば、エアコン、インフォテインメントシステムといった、車両走行以外のための電気エネルギ消費量が少なくされ、又は、ゼロにされる。別の例では、車両10のウィンドウを閉じるなどにより、車両10の空気抵抗が低下される。更に別の例では、アクセル感度を低下させることにより、車両10の加減速の頻度又は幅が制限される。その結果、車両10が走行可能な距離が延長される。
【0082】
上述の本開示による種々の実施例では、車両10が低エミッション領域LEZ内にあるか否かの判別がサーバ30で行われる。別の実施例(図示しない)では、車両10の電子制御ユニット20が位置判別部を備え、当該判断が車両10で行われる。この場合、一例では、低エミッション領域LEZの位置情報は車両10内に記憶される。別の例では、低エミッション領域LEZの位置情報はサーバ30内に記憶されており、車両10はサーバ30から低エミッション領域LEZの位置情報を受信して、当該判断を行う。
【0083】
更に別の実施例(図示しない)では、上述の本開示による実施例に含まれる種々の制御が個別に又は組み合わされて実施される。
【符号の説明】
【0084】
1 制御システム
10 ハイブリッド車両
11 内燃機関
11e 触媒
11f 電気ヒータ
12 モータジェネレータ
20 車両の電子制御ユニット
20c ヒータ制御部
30 サーバ
40 サーバの電子制御ユニット
40a 位置判別部