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特許7533314レセプタクルコネクタ及びコネクタセット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】レセプタクルコネクタ及びコネクタセット
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6581 20110101AFI20240806BHJP
   H01R 12/91 20110101ALI20240806BHJP
【FI】
H01R13/6581
H01R12/91
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021058372
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022155045
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 能康
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-186056(JP,A)
【文献】特開2010-097759(JP,A)
【文献】特開2019-160492(JP,A)
【文献】特開2019-102285(JP,A)
【文献】特開平11-067364(JP,A)
【文献】特開平07-335327(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103326167(CN,A)
【文献】韓国公開特許第2020-0039556(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R13/56-13/72
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に互いに対向する一対の第1の側壁部と、短手方向に互いに対向する一対の第2の側壁部とを有する箱状の固定側ハウジングと、
前記一対の第1の側壁部と前記一対の第2の側壁部とが形成する開口空間内に挿入されるとともに相手方コネクタと嵌合する嵌合部と、前記嵌合部内に前記長手方向に延在するよう突設された突設部と、前記嵌合部の短手方向外方に水平方向に延在し、前記一対の第2の側壁部の上面に支持される平板状の一対の被支持部と、を有する可動側ハウジングと、
一方の端部が前記第2の側壁部の一方に保持され、他方の端部が前記突設部に保持され、前記相手方コネクタの相手方コンタクトと接触するコンタクトと、
前記固定側ハウジングに固定され、前記一対の第1の側壁部を覆う一対の第1のシールド部と、前記固定側ハウジングに固定され、前記一対の第2の側壁部を覆う一対の第2のシールド部と、前記第1のシールド部及び前記第2のシールド部に連結され、前記被支持部を覆う第3のシールド部と、を有するシールド部材と、
前記可動側ハウジングの前記一対の被支持部に設けられた一対の水平平板部と、前記水平平板部の短手方向の一方の端部に設けられ、一方の前記第2のシールド部を押圧するよう弾性変形する第1の弾性片部と、前記嵌合部の内面を覆い、前記水平平板部の短手方向の他方の端部に対し垂直に連結された垂直平板部と、前記水平平板部の短手方向の他方の端部に設けられ、前記垂直平板部から突出するよう弾性変形する第2の弾性片部と、を有する一対のグランドプレートと、を備え、
前記固定側ハウジングに前記可動側ハウジングが取り付けられた状態で、前記嵌合部が前記開口空間内で前記一対の第1の側壁部及び前記一対の第2の側壁部に対し相対移動するに伴い、前記第1の弾性片部は、前記第2のシールド部からの水平方向の距離に応じた付勢力により前記第2のシールド部を押圧することを特徴とするレセプタクルコネクタ。
【請求項2】
前記グランドプレートは、前記コンタクトを構成するコンタクトピンの個数に応じた数の、複数の前記第1の弾性片部を有することを特徴とする請求項に記載のレセプタクルコネクタ。
【請求項3】
前記可動側ハウジングは、前記コンタクトの前記一方の端部を保持する可動側保持溝を有し、
前記固定側ハウジングは、前記コンタクトの前記他方の端部を保持する固定側保持溝を有することを特徴とする請求項1~2のいずれか1項に記載のレセプタクルコネクタ。
【請求項4】
レセプタクルコネクタと、
前記レセプタクルコネクタと嵌合するプラグコネクタと、を備え、
前記レセプタクルコネクタと前記プラグコネクタとが嵌合してなるコネクタセットであって、
前記レセプタクルコネクタは、
長手方向に互いに対向する一対の第1の側壁部と、短手方向に互いに対向する一対の第2の側壁部とを有する箱状の固定側ハウジングと、
前記一対の第1の側壁部と前記一対の第2の側壁部とが形成する開口空間内に挿入されるとともにプラグコネクタと嵌合する嵌合部と、前記嵌合部内に前記長手方向に延在するよう突設された突設部と、前記嵌合部の短手方向外方に水平方向に延在し、前記一対の第2の側壁部の上面に支持される平板状の一対の被支持部と、を有する可動側ハウジングと、
一方の端部が前記第2の側壁部の一方に保持され、他方の端部が前記突設部に保持され、前記プラグコネクタのプラグコンタクトと接触するレセプタクルコンタクトと、
前記固定側ハウジングに固定され、前記一対の第1の側壁部を覆う一対の第1のシールド部と、前記固定側ハウジングに固定され、前記一対の第2の側壁部を覆う一対の第2のシールド部と、前記第1のシールド部及び前記第2のシールド部に連結され、前記被支持部を覆う第3のシールド部と、を有するシールド部材と、
前記可動側ハウジングの前記一対の被支持部に設けられた一対の水平平板部と、前記水平平板部の短手方向の一方の端部に設けられ、一方の前記第2のシールド部を押圧するよう弾性変形する第1の弾性片部と、前記嵌合部の内面を覆い、前記水平平板部の短手方向の他方の端部に対し垂直に連結された垂直平板部と、前記水平平板部の短手方向の他方の端部に設けられ、前記垂直平板部から突出するよう弾性変形する第2の弾性片部と、を有する一対のグランドプレートと、を備え、
前記固定側ハウジングに前記可動側ハウジングが取り付けられた状態で、前記嵌合部が前記開口空間内で前記一対の第1の側壁部及び前記一対の第2の側壁部に対し相対移動するに伴い、前記第1の弾性片部は、前記第2のシールド部からの水平方向の距離に応じた付勢力により前記第2のシールド部を押圧するよう構成され、
前記プラグコネクタは、
前記可動側ハウジングと嵌合するプラグハウジングと、
前記プラグハウジングに保持され、前記レセプタクルコンタクトと接触するプラグコンタクトと、
前記プラグハウジングに固定され、前記プラグハウジングの所定範囲を覆うプラグシールドと、を備え、
前記グランドプレートは、前記固定側ハウジングに対する前記可動側ハウジングの相対移動の際に、所定方向に弾性変形し前記プラグシールドとの接触を維持するよう構成されたことを特徴とするコネクタセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フローティング構造を備えたレセプタクルコネクタ及びコネクタセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタ同士を対向させ嵌合させる基板対基板コネクタであって、コネクタのハウジングの一部がハウジング本体に対し可動とするフローティング構造を備えるタイプのコネクタがある。このようなタイプのコネクタにおいて、該コネクタから発生する電磁波又は外部からもたらされる電磁波に起因するノイズを抑制するためにコネクタのハウジングの所定範囲を金属製のシールドで覆うことがある。
【0003】
上述したようなフローティング構造を備え、ハウジングの所定範囲をシールドで覆ったコネクタとしては、相手方コネクタと嵌合する嵌合部が形成された可動側ハウジングと、前記可動側ハウジングを相対移動可能に支持する固定側ハウジングと、前記可動側ハウジングと前記固定側ハウジングとに跨って支持されて前記相手方コネクタと嵌合したときに前記相手方コネクタの相手方コンタクトと接触するコンタクトと、前記可動側ハウジングと前記固定側ハウジングとに跨って取り付けられるシールドシェルとを備え、前記コンタクトが前記可動側コネクタと前記固定側ハウジングとに跨って支持された状態で前記嵌合方向と直交する所定方向に弾性変形することにより、前記固定側ハウジングに対して前記可動側ハウジングが前記所定方向に相対移動可能となるように構成されるフローティングコネクタであって、前記シールドシェルは、前記可動側ハウジングに固定されて前記可動側ハウジングの外表面の少なくとも一部を覆う可動側シェル部と、前記固定側ハウジングに固定されて前記固定側ハウジングの外表面の少なくとも一部を覆う固定側シェル部と、前記可動側シェル部と前記固定側シェル部とを連結する弾性シェル部とを有し、前記弾性シェル部は、前記固定側ハウジングに対する前記可動側ハウジングの前記所定方向の相対移動に追従して、前記所定方向に弾性変形可能に構成されるフローティングコネクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示されたコネクタには、シールドとして弾性変形可能なシールドシェルが用いられている。シールドシェルは可動側ハウジングと固定側ハウジングの双方に固定されており、可動側ハウジングが固定側ハウジングに対し相対移動する際に、可動側シェル部と固定側シェル部とを連結する弾性シェル部が弾性変形するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許6785184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のコネクタでは、可動側ハウジングが固定側ハウジングに対し相対移動する際に、シールドシェルにおける弾性シェル部が所定方向に弾性変形する構成とするため、弾性シェル部をシードシェルにおける弾性シェル部の周囲の箇所と比較して細幅に形成する必要がある。その結果、コネクタを覆うシールドシェルの面積が小さくなり、コネクタから発生する電磁波又は外部からもたらされる電磁波に起因するノイズを充分に抑制できず、シールド効果を発揮できない恐れがある。
【0007】
また、上記のコネクタでは、シールドシェルが可動側ハウジングと固定側ハウジングの双方に固定されているので、可動側ハウジングが固定側ハウジングに対し相対移動する際に、シールドシェルも追従して変位するので、シールドシェルがコネクタの周囲を充分に覆うことができなくなり、コネクタから発生する電磁波又は外部からもたらされる電磁波に起因するノイズを充分に抑制できず、シールド効果を発揮できない恐れがある。
【0008】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、フローティング構造を備えたコネクタにおいて電磁波に対するシールド効果を充分に発揮することができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るレセプタクルコネクタは、上記目的を達成するため、長手方向に互いに対向する一対の第1の側壁部と、短手方向に互いに対向する一対の第2の側壁部とを有する箱状の固定側ハウジングと、前記一対の第1の側壁部と前記一対の第2の側壁部とが形成する開口空間内に挿入されるとともに相手方コネクタと嵌合する嵌合部と、前記嵌合部内に前記長手方向に延在するよう突設された突設部と、前記嵌合部の短手方向外方に水平方向に延在し、前記一対の第2の側壁部の上面に支持される平板状の一対の被支持部と、を有する可動側ハウジングと、一方の端部が前記第2の側壁部の一方に保持され、他方の端部が前記突設部に保持され、前記相手方コネクタの相手方コンタクトと接触するコンタクトと、前記固定側ハウジングに固定され、前記一対の第1の側壁部を覆う一対の第1のシールド部と、前記固定側ハウジングに固定され、前記一対の第2の側壁部を覆う一対の第2のシールド部と、前記第1のシールド部及び前記第2のシールド部に連結され、前記被支持部を覆う第3のシールド部と、を有するシールド部材と、前記可動側ハウジングの前記一対の被支持部に設けられた一対の水平平板部と、前記水平平板部の短手方向の一方の端部に設けられ、一方の前記第2のシールド部を押圧するよう弾性変形する第1の弾性片部と、前記嵌合部の内面を覆い、開口部が形成され、前記水平平板部の短手方向の他方の端部に対し垂直に連結された垂直平板部と、前記水平平板部の短手方向の他方の端部に設けられ、前記開口部から突出するよう弾性変形する第2の弾性片部と、を有する一対のグランドプレートと、を備え、前記固定側ハウジングに前記可動側ハウジングが取り付けられた状態で、前記嵌合部が前記開口空間内で前記一対の第1の側壁部及び前記一対の第2の側壁部に対し相対移動するに伴い、前記第1の弾性片部は、前記第2のシールド部からの水平方向の距離に応じた付勢力により前記第2のシールド部を押圧するよう構成される。
【0010】
可動側ハウジングが固定側ハウジングに対し相対移動する際に、シールド板を弾性変位させる必要がある場合は、弾性変位部が変位しやすくなるよう周辺部位より細長に構成する必要がある。しかし、本発明に係るレセプタクルコネクタは、可動側ハウジングが固定側ハウジングに対し相対移動する際に、グランドプレートが所定方向に弾性変形し、シールド部材との接触が維持されるので、シールド部材自体に可動する弾性変位部を設ける必要が無い。よって、シールド部材に可動する弾性変位部を設け、弾性変位部が変位し、レセプタクルコネクタの周囲を充分に覆うことができなくなる事は発生せず、電磁波に対するシールド効果を発揮することができる。
【0011】
また、本発明に係るレセプタクルコネクタは、シールド部材が固定側ハウジングに固定されているので、可動側ハウジングが可動し、フローティングする際にシールド部材は可動しない。したがって、シールド部材自体が可動することにより、レセプタクルコネクタの周囲をシールド部材で充分に覆うことができなくなる事は発生せず、電磁波に対するシールド効果を発揮することができる。
【0012】
上述した構成のレセプタクルコネクタにおいて、前記グランドプレートは、前記コンタクトを構成するコンタクトピンの個数に応じた数の、複数の前記第1の弾性片部を有するよう構成してもよい。
【0013】
コンタクトを構成するコンタクトピンの個数が多くなる程、コンタクトをシールド部材又はグランドプレートで覆う箇所を増やすことがシールド効果の観点から望ましい。本発明に係るレセプタクルコネクタは、コンタクトを構成するコンタクトピンの個数が多い程、グランドプレートが有する第1の弾性片部を多く有する構成とし、コンタクトをシールド板又はグランドプレートで覆う箇所を増やすことができるので、レセプタクルコネクタの周囲を充分に覆うことができ、電磁波に対するシールド効果を発揮することができる。
【0014】
上述した構成のレセプタクルコネクタにおいて、前記可動側ハウジングは、前記コンタクトの前記一方の端部を保持する可動側保持溝を有し、前記固定側ハウジングは、前記コンタクトの前記他方の端部を保持する固定側保持溝を有するよう構成してもよい。
【0015】
この構成により、本発明に係るレセプタクルコネクタは、可動側ハウジングに可動側保持溝を設け、固定側ハウジングに固定側保持溝を設けたことで、コンタクトの両端部を安定的に保持できるので、レセプタクルコネクタの電気的な接続を安定させることができる。
【0016】
本発明に係るコネクタセットにおいて、レセプタクルコネクタと、前記レセプタクルコネクタと嵌合するプラグコネクタと、を備え、前記レセプタクルコネクタと前記プラグコネクタとが嵌合してなるコネクタセットであって、前記レセプタクルコネクタは、長手方向に互いに対向する一対の第1の側壁部と、短手方向に互いに対向する一対の第2の側壁部とを有する箱状の固定側ハウジングと、前記一対の第1の側壁部と前記一対の第2の側壁部とが形成する開口空間内に挿入されるとともにプラグコネクタと嵌合する嵌合部と、前記嵌合部内に前記長手方向に延在するよう突設された突設部と、前記嵌合部の短手方向外方に水平方向に延在し、前記一対の第2の側壁部の上面に支持される平板状の一対の被支持部と、を有する可動側ハウジングと、一方の端部が前記第2の側壁部の一方に保持され、他方の端部が前記突設部に保持され、前記プラグコネクタのプラグコンタクトと接触するレセプタクルコンタクトと、前記固定側ハウジングに固定され、前記一対の第1の側壁部を覆う一対の第1のシールド部と、前記固定側ハウジングに固定され、前記一対の第2の側壁部を覆う一対の第2のシールド部と、前記第1のシールド部及び前記第2のシールド部に連結され、前記被支持部を覆う第3のシールド部と、を有するシールド部材と、前記可動側ハウジングの前記一対の被支持部に設けられた一対の水平平板部と、前記水平平板部の短手方向の一方の端部に設けられ、一方の前記第2のシールド部を押圧するよう弾性変形する第1の弾性片部と、前記嵌合部の内面を覆い、前記水平平板部の短手方向の他方の端部に対し垂直に連結された垂直平板部と、前記水平平板部の短手方向の他方の端部に設けられ、前記垂直平板部から突出するよう弾性変形する第2の弾性片部と、を有する一対のグランドプレートと、を備え、前記固定側ハウジングに前記可動側ハウジングが取り付けられた状態で、前記嵌合部が前記開口空間内で前記一対の第1の側壁部及び前記一対の第2の側壁部に対し相対移動するに伴い、前記第1の弾性片部は、前記第2のシールド部からの水平方向の距離に応じた付勢力により前記第2のシールド部を押圧するよう構成され、前記プラグコネクタは、前記可動側ハウジングと嵌合するプラグハウジングと、前記プラグハウジングに保持され、前記レセプタクルコンタクトと接触するプラグコンタクトと、前記プラグハウジングに固定され、前記プラグハウジングの所定範囲を覆うプラグシールドと、を備え、前記グランドプレートは、前記固定側ハウジングに対する前記可動側ハウジングの相対移動の際に、所定方向に弾性変形し前記プラグシールドとの接触を維持するよう構成してもよい。
【0017】
可動側ハウジングが固定側ハウジングに対し相対移動する際に、シールド部材を弾性変位させる必要がある場合は、弾性変位部が変位しやすくなるよう周辺部位より細長に構成する必要がある。しかし、本発明に係るコネクタセットは、可動側ハウジングが固定側ハウジングに対し相対移動する際に、グランドプレートが所定方向に弾性変形し、シールド部材およびプラグシールド板との接触が維持されるので、シールド部材およびプラグシールド板自体に可動する弾性変位部を設ける必要が無い。よって、シールド部材およびプラグシールド部材に可動する弾性変位部を設け、弾性変位部が変位し、コネクタセットの周囲を充分に覆うことができなくなる事は発生せず、電磁波に対するシールド効果を発揮することができる。
【0018】
また、本発明に係るコネクタセットは、シールド部材が固定側ハウジングに固定されているので、可動側ハウジングが可動し、フローティングする際にシールド板は可動しない。したがって、シールド部材自体が可動することにより、コネクタセットの周囲をシールド部材で充分に覆うことができなくなる事は発生せず、電磁波に対するシールド効果を発揮することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、フローティング構造を備えたレセプタクルコネクタ及びコネクタセットにおいて電磁波に対するシールド効果を充分に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係るレセプタクルコネクタとプラグコネクタを嵌合させた状態を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係るレセプタクルコネクタの斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係るレセプタクルコネクタを構成する固定側ハウジングの斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係るレセプタクルコネクタの可動側ハウジングの斜視図である。
図5】本発明の実施の形態に係るレセプタクルコネクタの固定側ハウジング上に可動側ハウジングを設けた状態の斜視図である。
図6】本発明の実施の形態に係るレセプタクルコネクタに設けられるレセプタクルコンタクトの斜視図である。
図7】本発明の実施の形態に係るレセプタクルコネクタを覆うシールド部材の斜視図である。
図8】本発明の実施の形態に係るレセプタクルコネクタのグランドプレートの斜視図であり、図8(a)、(d)は図9と同じ視点から視た状態を、図8(b)、(c)は図9とy軸方向の反対側から視た状態を示している。
図9】本実施の形態に係るレセプタクルコネクタのグランドプレートを図5に示す可動側ハウジングに設けた状態の斜視図である。
図10】本発明の実施の形態に係るプラグコネクタの斜視図であり、図10(a)は斜め上面側から、図10(b)は斜め下面側から視た斜視図である。
図11】本発明の実施の形態に係るプラグコネクタを構成するプラグハウジングの斜視図である。
図12】本発明の実施の形態に係るプラグコネクタを覆うシールド部材の斜視図であり、図12(a)は、図10(a)と同じ側から視た斜視図であり、図12(b)は反対側の面から視た斜視図である。
図13】本発明の実施の形態に係るレセプタクルコネクタとプラグコネクタを嵌合させた状態を示す上面図である。
図14図13における嵌合状態のレセプタクルコネクタとプラグコネクタのA-A断面に沿った断面図である。
図15図13における嵌合状態のレセプタクルコネクタとプラグコネクタにおいて可動側ハウジングがコネクタ内で移動したときのA-A断面に沿った断面図であり、図15(a)は可動側ハウジングが左側に寄った状態を示し、図15(b)は可動側ハウジングが右側に寄った状態を示している。
図16図13における嵌合状態のレセプタクルコネクタとプラグコネクタのA-A断面の斜視図である。
図17図13における嵌合状態のレセプタクルコネクタとプラグコネクタのB-B断面の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本実施の形態に係るコネクタ1について図1図12を参照して説明する。まず、コネクタ1の構成について説明する。
【0022】
図1はコネクタ1の斜視図である。互いに直交する3次元座標軸x軸、y軸、z軸の各方向は同図中に示す通りであり、以下の他の図面でも同様とする。z軸方向を上下方向、xy平面に平行な方向を水平方向ともいう。コネクタ1はレセプタクルコネクタ10とレセプタクルコネクタ10と嵌合して導通するプラグコネクタ100とを備えている。コネクタ1は、例えば一対の平行な回路基板同士を電気的に接続する基板対基板コネクタとして機能する。
【0023】
(レセプタクルコネクタ)
図2はレセプタクルコネクタ10を示す斜視図である。互いに直交する3次元座標軸x軸、y軸、z軸の各方向は同図中に示す通りである。レセプタクルコネクタ10は、固定側ハウジング20と可動側ハウジング40とコンタクト60とシールド部材70とグランドプレート80、90(図8、9参照)とを備えている。レセプタクルコネクタ10は、コンタクト60が後述するプラグコネクタ100のコンタクトと接触するよう相手方コネクタであるプラグコネクタ100と嵌合してコネクタ1を形成するようになっている。
【0024】
(固定側ハウジング)
図3は、レセプタクルコネクタ10を構成するハウジングの一部である固定側ハウジング20を示す斜視図である。互いに直交する3次元座標軸x軸、y軸、z軸の各方向は同図中に示す通りである。固定側ハウジング20は、x軸方向に互いに対向する短手側側壁21及び短手側側壁22とy軸方向に互いに対向する長手側側壁23及び長手側側壁24を有する箱状のハウジングである。
【0025】
固定側ハウジング20は、コネクタ1のz軸の負方向、すなわち下方側を構成し、外部の基板S(図14参照)に実装されて固定され、後述する可動側ハウジング40を相対移動可能に支持するようになっている。固定側ハウジング20は、例えば、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂製である。
【0026】
固定側ハウジング20の各側壁である短手側側壁21、22及び長手側側壁23、24で囲まれる空間は開口部25を形成している。開口部25は本発明に係る開口空間を構成する。開口部25には、後述するコンタクト60及び可動側ハウジング40が挿入される。開口部25は、可動側ハウジング40の移動範囲を各側壁である短手側側壁21、22及び長手側側壁23、24により規制している。すなわち、可動側ハウジング40の移動範囲は、開口部25の範囲内である。
【0027】
短手側側壁21は、図3中のx軸方向に短手側側壁22と対向し、固定側ハウジング20の壁面の一部を構成している。上面部21aは、短手側側壁21のz軸の正方向、すなわち上方側の面を構成する。上面部21aは、後述するシールド部材70によって覆われる。側面部21eは、短手側側壁21のy軸の負方向、すなわち紙面の手前側の面を構成する。側面部21eは、シールド部材70によって覆われる。側面部21fは、側面部21eとy軸方向の反対側の面を構成する。側面部21fは、シールド部材70によって覆われる。短手側側壁21のz軸の負方向、すなわち下方側の面を構成する下面部21bは、外部の基板S(図14参照)に対向する面となっている。
【0028】
外面部21cは、短手側側壁21のx軸の正方向、すなわち外側の面を構成する。外面部21cは、シールド部材70によって覆われる。外面部21cの中央付近の下側部分にはシールド部材70と係合するシールド係合部21c1が設けられている。短手側側壁21のy軸方向の両端にはシールド部材70と係合するシールド係合部21c2とシールド係合部21c3とが設けられている。
【0029】
本実施の形態では、各シールド係合部21c1、21c2、21c3を上述のように設けたが、シールド係合部を設ける位置及び、個数はこれに限定されるものでなく、他の態様であってもよい。
【0030】
内面部21dは、短手側側壁21のx軸の負方向、すなわち内側の面を構成する。内面部21dは、後述する短手側側壁22、長手側側壁23、長手側側壁24の内面とともに開口部25を区画する。
【0031】
脚部21gは、シールド係合部21c2の下方に設けられており、短手側側壁21の下端の一部を構成している。脚部21gは、基板Sに対向するようになっており固定側ハウジング20を支持している。脚部21hは、シールド係合部21c3の下方に設けられており、短手側側壁21の下端の一部を構成している。脚部21hは、基板Sに対向するようになっており固定側ハウジング20を支持している。
【0032】
短手側側壁22は、図3中のx軸方向に短手側側壁21と対向し、固定側ハウジング20の壁面の一部を構成している。
【0033】
上面部22aは、短手側側壁22のz軸の正方向、すなわち上方側の面を構成する。上面部22aは、後述するシールド部材70によって覆われる。側面部22eは、短手側側壁22のy軸の負方向、すなわち紙面の手前側の面を構成する。側面部22eは、シールド部材70によって覆われる。側面部22fは、側面部22eとy軸方向の反対側の面を構成する。側面部22fは、シールド部材70によって覆われる。短手側側壁22のz軸の負方向、すなわち下方側の面を構成する下面部22bは、外部の基板Sに対向する面となっている。
【0034】
外面部22cは、短手側側壁22のx軸の負方向、すなわち外側の面を構成する。外面部22cは、シールド部材70によって覆われる。外面部22cの中央付近の下側部分であって、シールド係合部21c1とx軸方向に対向する位置にはシールド部材70と係合する不図示のシールド係合部が設けられている。短手側側壁22のy軸方向の両端にはシールド部材70と係合するシールド係合部22c2及びシールド係合部22c3が、それぞれシールド係合部21c2及びシールド係合部21c3とx軸方向に対向する位置に設けられている。
【0035】
本実施の形態では、各シールド係合部22c2、22c3を上述のように設けたが、シールド係合部を設ける位置及び、個数はこれに限定されるものでなく、他の態様であってもよい。
【0036】
内面部22dは、短手側側壁22のx軸の正方向、すなわち内側の面を構成する。内面部22dは、内面部21d、及び後述する長手側側壁23、長手側側壁24の内面とともに開口部25を区画する。
【0037】
脚部22gは、シールド係合部22c2の下方に設けられており、短手側側壁22の下端の一部を構成している。脚部22gは、基板Sに対向するようになっており固定側ハウジング20を支持している。不図示の脚部は、シールド係合部22c3の下方に設けられており、短手側側壁22の下端の一部を構成している。脚部は、基板Sに対向するようになっており固定側ハウジング20を支持している。
【0038】
長手側側壁23は、図3中のy軸方向に長手側側壁24と対向し、固定側ハウジング20の壁面の一部を構成している。長手側側壁23は、両端部26、27及び中央部28とで構成されている。
【0039】
両端部26は短手側側壁22と、両端部27は短手側側壁21とそれぞれ連結されている。中央部28のx軸方向の両側に両端部26及び両端部27がそれぞれ設けられている。本実施の形態では、両端部26と両端部27とは同一の形状であるが異なる形状であってもよい。
【0040】
上面部26aは、両端部26のz軸の正方向、すなわち上方側の面を構成する。上面部26aは、後述する可動側ハウジング40を相対移動可能に支持するようになっている。下面部26bは、両端部26のz軸の負方向、すなわち下方側の面を構成する。下面部26bは、外部の基板Sに実装され固定される部位となっている。両端部26は、略直方体状に形成されており外部の基板Sに固定される脚部26b1を下面部26bに有している。両端部26の下面部26bのうち脚部26b1が基板Sと接触しない部分は基板Sとの間で隙間を形成する。
【0041】
下面部26bは、y軸の負方向、すなわち外方に突出しており、外面部26cとの間にz軸方向、すなわち垂直方向に後述するシールド部材70の一部が挿通し、係合可能なシールド係合部26b2を有する。
【0042】
外面部26cは、両端部26のy軸の負方向、すなわち外側の面を構成する。外面部26cは、後述するシールド部材70によって覆われる。両端部26のy軸の正方向、すなわち内側の面を構成する内面部26dは、後述する内面部27d、28dとともに開口部25を区画する壁面の一部を構成する。
【0043】
上面部27aは、両端部27のz軸の正方向、すなわち上方側の面を構成する。上面部27aは、後述する可動側ハウジング40を相対移動可能に支持するようになっている。下面部27bは、両端部27のz軸の負方向、すなわち下方側の面を構成する。下面部27bは、外部の基板Sに対向する面となっている。両端部27は、略直方体状に形成されており外部の基板Sと接する脚部27b1を下面27bに有している。両端部27の下面部27bのうち脚部27b1が存在しない部分は基板Sとの間で隙間を形成する。
【0044】
下面部27bは、y軸の負方向、すなわち外方に突出しており、外面部27cとの間にz軸方向、すなわち垂直方向に後述するシールド部材70の一部が挿通し、係合可能なシールド係合部27b2を有する。
【0045】
外面部27cは、両端部27のy軸の負方向、すなわち外側の面を構成する。外面部27cは、後述するシールド部材70によって覆われる。両端部27のy軸の正方向、すなわち内側の面を構成する内面部27dは、内面部26d及び後述する内面部28dとともに開口部25を区画する壁面の一部を構成する。
【0046】
中央部28は、両端部26と両端部27との間に設けられている。上面部28aは、中央部28のz軸の正方向、すなわち上方側の面を構成する。上面部28aは、後述する可動側ハウジング40を相対移動可能に支持するようになっている。上面部28aの上面位置は隣り合う両端部26、両端部27の上面位置よりも高くなっているが、必ずしもこのように限定されない。上面部28aの上面位置は、両端部26、両端部27の上面位置より低い位置であってもよく、同じ高さであってもよい。
【0047】
下面部28bは、中央部28のz軸の負方向、すなわち下方側の面を構成する。下面部28bは、上述した隣り合う両端部26、27の脚部26b1、27b1よりもz軸方向高さが高くなっており、基板Sとの間に隙間を形成している。この隙間には後述するコンタクト60のコンタクトピン61が挿通可能である。
【0048】
中央部28のy軸の負方向、すなわち外側の面を構成する外面部28cは、後述するシールド部材70によって覆われる。外面部28cは、両端部26、27の外面部26c、27cからy軸方向に所定の深さhだけ窪むように設けられており、両端部26、27とともに凹部28c1を形成している。凹部28c1には、後述するグランドプレート80の弾性片部83a~83cが入り込み、外面部28cを覆うシールド部材70と、弾性片部83a~83cとが接触するようになっている。
【0049】
中央部28のy軸の正方向、すなわち内側の面を構成する内面部28dには、コンタクト収納凹部28d1(図14参照)及びコンタクト保持溝28d2(図14参照)が設けられている。
【0050】
コンタクト収納凹部28d1は、後述するコンタクト60の形状に合わせてコンタクト60を収容可能とする凹部であり、内面部28dと両端部26、27により囲まれて形成されている。コンタクト収納凹部28d1内には、後述するコンタクト60の各コンタクトピン61を保持するコンタクト保持溝28d2が設けられている。コンタクト保持溝28d2は、コンタクト60の各コンタクトピン61の形状、サイズに合わせて設けられる。また、コンタクト保持溝28d2の溝数、ピッチについてもコンタクト60のコンタクトピン61の個数、間隔に応じて設けられる。
【0051】
本実施の形態では、コンタクト保持溝28d2は、20本分のコンタクトピン61を保持可能な溝が略等間隔で設けられているが、溝の数は必ずしもこれに限定されず、より多数の溝を設けてもよい。
【0052】
長手側側壁24は、図3中のy軸方向に長手側側壁23と対向し、固定側ハウジング20の壁面の一部を構成している。長手側側壁24は、両端部30、31及び中央部32とで構成されている。
【0053】
両端部30は、短手側側壁22と連結されており、両端部31は短手側側壁21と連結されている。中央部32のx軸方向の両側には両端部30及び両端部31がそれぞれ設けられている。本実施の形態では、両端部30と両端部31とは同一の形状であるが異なる形状であってもよい。
【0054】
両端部30のz軸の正方向、すなわち上方側の面を構成する上面部30aは、後述する可動側ハウジング40を相対移動可能に支持するようになっている。両端部30のz軸の負方向、すなわち下方側の面を構成する不図示の下面部は、外部の基板Sに対向する面となっている。両端部30は、略直方体状に形成されており外部の基板Sに固定される不図示の脚部を下面部に有している。両端部30の下面部のうち脚部が基板Sと接触しない部分は基板との間で隙間を形成する。
【0055】
両端部30の下面部は、y軸の正方向、すなわち外方に突出しており、外面30cとの間にz軸方向、すなわち垂直方向に後述するシールド部材70の一部が挿通し、係合可能な不図示のシールド係合部を有する。
【0056】
両端部30のy軸の正方向、すなわち外側の面を構成する外面30cは後述するシールド部材70によって覆われる。両端部30のy軸の負方向、すなわち内側の面を構成する内面30dは、後述する内面31d、32dとともに開口部25を区画する壁面の一部を構成する。
【0057】
両端部31のz軸の正方向、すなわち上方側の面を構成する上面部31aは、後述する可動側ハウジング40を相対移動可能に支持するようになっている。両端部31のz軸の負方向、すなわち下方側の面を構成する不図示の下面部は、外部の基板Sに対向する面となっている。両端部31は、略直方体状に形成されており外部の基板Sと接する不図示の脚部を下面部に有している。両端部31の下面部のうち脚部が存在しない部分は基板Sとの間で隙間を形成する。
【0058】
両端部31の下面部は、y軸の正方向、すなわち外方に突出しており、外面31cとの間にz軸方向、すなわち垂直方向に後述するシールド部材70の一部が挿通し、係合可能な不図示のシールド係合部を有する。
【0059】
両端部31のy軸の正方向、すなわち外側の面を構成する外面31cは後述するシールド部材70によって覆われる。両端部31のy軸の正方向、すなわち内側の面を構成する内面31dは、内面30d及び後述する内面32dとともに開口部25を区画する壁面の一部を構成する。
【0060】
中央部32は、両端部30と両端部31との間に設けられている。中央部32のz軸の正方向、すなわち上方側の面を構成する上面部32aは、後述する可動側ハウジング40を相対移動可能に支持するようになっている。上面部32aの上面位置は隣り合う両端部30、両端部31の上面位置よりも高くなっているが、必ずしもこのように限定されない。上面部32aの上面位置は、両端部30、両端部31の上面位置より低い位置であってもよく、同じ高さであってもよい。
【0061】
中央部32のz軸の負方向、すなわち下方側の面を構成する不図示の下面部は、上述した隣り合う両端部30、31の脚部よりもz軸方向高さが高くなっており、基板Sとの間に隙間を形成している。この隙間には後述するコンタクト60のコンタクトピン61が挿通可能である。
【0062】
中央部32のy軸の正方向、すなわち外側の面を構成する外面部32cは、後述するシールド部材70によって覆われる。外面部32cは、両端部30、31の外面30c、31cからy軸方向に所定の深さhだけ窪むように設けられており、両端部30、31とともに凹部32c1(図14参照)を形成している。凹部32c1には、後述するグランドプレート90の弾性片部93a~93cが入り込み、外面部32cを覆うシールド部材70と、弾性片部93a~93cとが接触するようになっている。
【0063】
中央部32のy軸の負方向、すなわち内側の面を構成する内面部32dにはコンタクト収納凹部32d1及びコンタクト保持溝32d2が設けられている。
【0064】
コンタクト収納凹部32d1は、後述するコンタクト60の形状に合わせてコンタクト60を収容可能とする凹部であり、内面部32dと両端部30、31により囲まれて形成されている。コンタクト収納凹部32d1内には、後述するコンタクト60の各コンタクトピン61を保持するコンタクト保持溝32d2が設けられている。コンタクト保持溝32d2は、コンタクト60の各コンタクトピン61の形状、サイズに合わせて設けられる。また、コンタクト保持溝32d2の溝数、ピッチについてもコンタクト60のコンタクトピン61の個数、間隔に応じて設けられる。
【0065】
本実施の形態では、コンタクト保持溝32d2は、20本分のコンタクトピン61を保持可能な溝が略等間隔で設けられているが、溝の数は必ずしもこれに限定されず、より多数の溝を設けてもよい。
【0066】
(可動側ハウジング)
図4は、レセプタクルコネクタ10の可動側ハウジング40を示す斜視図であり、図5は、レセプタクルコネクタ10を構成する固定側ハウジング20上に可動側ハウジング40を設けた状態を示す斜視図である。互いに直交する3次元座標軸x軸、y軸、z軸の各方向は同図中に示す通りである。可動側ハウジング40は一対の被支持部41、42と、嵌合部43と突設部44と両端部45、46とを有する。可動側ハウジング40は、例えば、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂製である。
【0067】
被支持部41は、後述する嵌合部43の短手方向外方に水平方向に延在し、固定側ハウジング20の長手側側壁の一方である長手側側壁23の上面に支持される板状の部材である。より詳しくは、固定側ハウジング20のy軸の負方向側の長手側側壁23の中央部28の上面部28a上で被支持部41は支持される。
【0068】
被支持部41のy軸の負方向側の端部には、後述するグランドプレート80の弾性片部と係合する弾性片部係合部41a、41b、41cが所定の間隔をもって設けられている。本実施の形態では、弾性片部係合部は3つ設けられているが、弾性片部係合部の数はこれに限定されるものではない。シールド効果を高めるため、より多くの弾性片部を設ける場合、それに応じて弾性片部係合部の数を増やすようにしてもよい。
【0069】
弾性片部係合部41a、41b、41cは、略コの字状の空間を形成しており、長手側側壁23の中央部28の凹部28c1の上部に位置している。弾性片部係合部41a、41b、41cは、x軸の正方向に、この順で略等間隔に配置されている。
【0070】
被支持部42は、被支持部41とy軸方向に対向する位置に設けられ、後述する嵌合部43の短手方向外方に水平方向に延在し、固定側ハウジング20の長手側側壁の一方である長手側側壁24の上面に支持される板状の部材である。より詳しくは、固定側ハウジング20のy軸の負方向側の長手側側壁24の中央部32の上面部32a上で被支持部42は支持される。
【0071】
被支持部42のy軸の正方向側の端部には、後述するグランドプレート80の弾性片部と係合する弾性片部係合部42a、42b、42cが設けられている。本実施の形態では、弾性片部係合部は3つ設けられているが、弾性片部係合部の数はこれに限定されるものではない。シールド効果を高めるため、より多くの弾性片部を設ける場合、それに応じて弾性片部係合部の数を増やすようにしてもよい。
【0072】
弾性片部係合部42a、42b、42cは、略コの字状の空間を形成しており、長手側側壁24の中央部32の凹部32c1の上部に位置している。弾性片部係合部42a、42b、42cは、x軸の正方向に、弾性片部係合部42a、42b、42cの順で略等間隔に配置されている。
【0073】
嵌合部43は、一対の側壁部である長手側側壁23と長手側側壁24、及び一対の側壁部である短手側側壁21と短手側側壁22とが形成する開口部25内に挿入されるとともに、後述するプラグコネクタ100と嵌合するようになっている。
【0074】
嵌合部43は、底面43aと外壁面43bと外壁面43c(図14参照)とで上面が開放されたU字状の空間S1を形成している。嵌合部43は、被支持部41及び被支持部42の上面のz軸方向高さを基準として所定の深さを有しており、プラグコネクタ100と嵌合可能となっている。
【0075】
底面43aは、嵌合部43のz軸の負方向、すなわち図4中の下方の面である。外壁面43b及び外壁面43cは、y軸方向に対向する壁面であり外壁面43bはy軸の負方向側の、外壁面43cはy軸の正方向側の面である。
【0076】
突設部44は、嵌合部43内、すなわち空間S1内に長手方向であるx軸方向に延在するよう突設されている。突設部44は、略直方体状の部材であり内部に後述するコンタクト60を収容し、保持するコンタクト保持溝44aを有している。突設部44のz軸方向の負方向、すなわち図4中の下方は開口しており、下方からコンタクト保持溝44aにコンタクト60を挿入可能となっている。
【0077】
コンタクト保持溝44aは、コンタクト60の各コンタクトピン61の形状、サイズに合わせて設けられる。また、コンタクト保持溝44aの溝数、ピッチについてもコンタクト60のコンタクトピン61の個数、間隔に応じて設けられる。
【0078】
両端部45及び両端部46は、図4中のx軸方向に対向するように嵌合部43及び被支持部41、42の両側に設けられている。両端部45は、x軸の負方向側に設けられ、両端部46はx軸の正方向側に設けられている。
【0079】
両端部45は、不図示の脚部と板部45bと板部45cとコの字状壁部45dとを有している。両端部45の脚部は固定側ハウジング20の開口部25に挿入される略直方体状の部材であり、両端部46とともに可動側ハウジング40全体を支持している。
【0080】
両端部45の脚部は、開口部25内で水平方向に可動であり、その移動範囲は、短手側側壁22の内面部22d、両端部26の内面部26d、両端部30の内面部30dとの接触により規制されるようになっている。
【0081】
板部45b及び板部45cは、y軸方向に対向するよう両端部45の脚部の所定の高さからy軸方向の両側に延びるよう設けられた板状の部材である。板部45bは、y軸の負方向側に設けられており、板部45cはy軸の正方向側に設けられている。
【0082】
板部45bは、両端部26の上面部26a上に載置され、上面部26a上で水平方向に可動である。板部45cも同様に、両端部30の上面部30a上に載置され、上面部30a上で水平方向に可動である。
【0083】
コの字状壁部45dは、両端部45の脚部上に設けられたコの字状の壁面である。コの字状壁部45dは、コの字状の壁面により区画される空間S2を形成している。空間S2は、嵌合部43が形成する空間S1と連なった空間を形成している。空間S2は、空間S1及び後述する空間S3とともに後述するプラグコネクタ100と嵌合するために必要な空間を構成している。
【0084】
両端部46は、脚部46aと板部46bと板部46cとコの字状壁部46dとを有している。脚部46aは固定側ハウジング20の開口部25に挿入される略直方体状の部材であり、両端部45とともに可動側ハウジング40全体を支持している。
【0085】
脚部46aは、開口部25内で水平方向に可動であり、その移動範囲は、短手側側壁21の内面21d、両端部27の内面27d、両端部31の内面31dとの接触により規制されるようになっている。
【0086】
板部46b及び板部46cは、y軸方向に対向するよう脚部46aの所定の高さからy軸方向の両側に延びるよう設けられた板状の部材である。板部46bは、y軸の負方向側に設けられており、板部46cはy軸の正方向側に設けられている。
【0087】
板部46bは、両端部27の上面部27a上に載置され、上面部27a上で水平方向に可動である。板部46cも同様に、両端部31の上面部31a上に載置され、上面部31a上で水平方向に可動である。
【0088】
コの字状壁部46dは、脚部46a上に設けられたコの字状の壁面である。コの字状壁部46dは、コの字状の壁面により区画される空間S3を形成している。空間S3は、嵌合部43が形成する空間S1と連なった空間を形成している。空間S3は、空間S1及びコの字状壁部45dが形成する空間S2とともに後述するプラグコネクタ100と嵌合するために必要な空間を構成している。嵌合部43と両端部45の脚部及び両端部46の脚部46aは、本発明に係る嵌合部を構成する。
【0089】
(レセプタクルコンタクト)
図6は、レセプタクルコネクタ10に設けられるコンタクト60を示す斜視図である。コンタクト60は、一対のコンタクト列60aとコンタクト列60bとで構成されている。
【0090】
コンタクト列60aは、複数のコンタクトピン61を略等間隔にx軸方向に並べて構成されている。コンタクト列60bも同様に、複数のコンタクトピン61を略等間隔にx軸方向に並べて構成されている。コンタクト列60aとコンタクト列60bとは互いに対称となるよう向きを逆にしてy軸方向に対向している。
【0091】
コンタクト列60a及びコンタクト列60bを構成する各コンタクトピン61は、接触部61aと垂直部61bと中間部61cと可撓部61dとリード部61eと、を有している。接触部61aは後述するプラグコンタクト120と接触する部位である。接触部61aは、くの字状の形状でプラグコンタクト120と接触を維持できるよう弾性変形可能となっている。接触部61aは、コンタクト保持溝44aに配置されているが、くの字状の突出部分がコンタクト保持溝44aから突出し、プラグコンタクト120と接触している。
【0092】
垂直部61bは、一端側が接触部61aと繋がり、z軸方向すなわち図6中の垂直方向に、コンタクト保持溝44aに収容され、保持されるよう設けられている。
【0093】
中間部61cは、一端側が垂直部61bと繋がり、可動側ハウジング40の嵌合部43の底面43aの下方で水平方向に延びるよう構成されている。可撓部61dは、一端側が中間部61cと繋がり、逆U字状に屈曲されてコンタクト収納凹部28d1、32d1に収納され、コンタクト保持溝28d2、32d2に配置される。
【0094】
リード部61eは、一端側が可撓部61dと繋がり、可撓部61dの下端から略垂直に水平方向に折曲されて外方に延びるようになっている。リード部61eは、長手側側壁23における中央部28の下面部28b、及び長手側側壁24における中央部32の下面部の下方の基板Sとの間に形成された隙間を挿通するようになっている。以上のように、レセプタクルコンタクト60は一方の端部がコンタクト収納凹部28d1、32d1に保持され、他方の端部がコンタクト保持溝44aに保持されるようになっている。
【0095】
(シールド部材)
図7は、レセプタクルコネクタ10を覆うシールド部材70を示す斜視図である。シールド部材70は、シールド板71とシールド板72とシールド板73とシールド板74とシールド板75と、を有している。シールド部材70は、例えば、圧入により可動側ハウジング40に設けられ固定される。各シールド板は、例えば、銅合金、SUS製である。シールド部材70は、各シールド板により箱状の形状に形成されている。
【0096】
シールド板71及びシールド板72は、x軸方向に対向する一対のシールド板である。シールド板71は、固定側ハウジング20に固定され、短手側側壁21を覆う。シールド板72も同様に固定側ハウジング20に固定され、短手側側壁21と対向する短手側側壁22を覆う。シールド板71及びシールド板72は、本発明に係る第1のシールド部を構成する。
【0097】
シールド板71の中央付近の下側部分には、短手側側壁21のシールド係合部21c1と係合する係合切欠部71aが設けられている。係合切欠部71aは、シールド係合部21c1の形状に合わせて切り欠きされた切り欠き部を有する。
【0098】
シールド板71のy軸負方向側である一端側には、短手側側壁21のシールド係合部21c2と係合する係合切欠部71bが設けられている。係合切欠部71bは、シールド係合部21c2の形状に合わせて切り欠きされた切り欠き部を有する。
【0099】
シールド板71のy軸正方向側である他端側には、短手側側壁21のシールド係合部21c3と係合する係合切欠部71cが設けられている。係合切欠部71cは、シールド係合部21c3の形状に合わせて切り欠きされた切り欠き部を有する。シールド板71の下部は外部に基板Sに半田付け接続されるようになっている。
【0100】
シールド板72の中央付近の下側部分には、短手側側壁22のシールド係合部と係合する係合切欠部72aが設けられている。係合切欠部72aは、シールド係合部の形状に合わせて切り欠きされた切り欠き部を有する。
【0101】
シールド板72のy軸負方向側である一端側には、短手側側壁22のシールド係合部22c2と係合する係合切欠部72bが設けられている。係合切欠部72bは、シールド係合部22c2の形状に合わせて切り欠きされた切り欠き部を有する。
【0102】
シールド板72のy軸正方向側である他端側には、短手側側壁22のシールド係合部22c3と係合する係合切欠部72cが設けられている。係合切欠部72cは、シールド係合部22c3の形状に合わせて切り欠きされた切り欠き部を有する。シールド板72の下部は外部に基板Sに半田付け接続されるようになっている。
【0103】
シールド板73及びシールド板74は、y軸方向に対向する一対のシールド板である。シールド板73は、固定側ハウジング20に固定され、長手側側壁23を覆う。シールド板74も同様に固定側ハウジング20に固定され、長手側側壁23と対向する長手側側壁24を覆う。シールド板73及びシールド板74は、本発明に係る第2のシールド部を構成する。
【0104】
シールド板73のx軸負方向側である一端側の下方部には、長手側側壁23のシールド係合部26b2と係合する係合片73aが設けられている。係合片73aはシールド係合部26b2に挿入可能とするよう下方に突出して設けられている。
【0105】
シールド板73のx軸正方向側である他端側の下方部には、長手側側壁23のシールド係合部27b2と係合する係合片73bが設けられている。係合片73bはシールド係合部27b2に挿入可能とするよう下方に突出して設けられている。
【0106】
シールド板73の係合片73aの上方には矩形状の開口面73cが形成されている。開口面73cは、可動側ハウジング40が水平方向に移動した際に、板部45bがシールド板73と衝突しないよう、y軸方向断面のサイズが、板部45bのy軸方向断面の寸法よりも若干大きい寸法となっている。
【0107】
シールド板73の係合片73bの上方には矩形状の開口面73dが形成されている。開口面73dは、可動側ハウジング40が水平方向に移動した際に、板部46bがシールド板73と衝突しないよう、y軸方向断面のサイズが、板部46bのy軸方向断面の寸法よりも若干大きい寸法となっている。シールド板73の下部は外部に基板Sに半田付け接続されるようになっている。
【0108】
シールド板74のx軸負方向側である左側部分の下方部には、長手側側壁24のシールド係合部と係合する係合片74aが設けられている。係合片74aはシールド係合部に挿入可能とするよう下方に突出して設けられた部位である。
【0109】
シールド板74のx軸正方向側である右側部分の下方部には、長手側側壁24の不図示のシールド係合部と係合する係合片74bが設けられている。係合片74bはシールド係合部に挿入可能とするよう下方に突出して設けられた部位である。
【0110】
シールド板74の係合片74aの上方には矩形状の開口面74cが形成されている。開口面74cは、可動側ハウジング40が水平方向に移動した際に、板部45cがシールド板74と衝突しないよう、板部45cのy軸方向断面の寸法よりも若干大きい寸法となっている。
【0111】
シールド板74の係合片74bの上方には矩形状の開口面74dが形成されている。開口面74dは、可動側ハウジング40が水平方向に移動した際に、板部46cがシールド板74と衝突しないよう、板部46cのy軸方向断面の寸法よりも若干大きい寸法となっている。シールド板74の下部は外部に基板Sに半田付け接続されるようになっている。
【0112】
シールド板75はシールド部材70の上面を構成しており、各シールド板71、72、73、74とそれぞれ垂直に連結され、被支持部41、被支持部42、両端部45及び両端部46を覆うようになっている。但し、シールド板75は、被支持部41、被支持部42については、後述するグランドプレート80、90により覆われた被支持部41、被支持部42を覆うようになっている。シールド板75の中央部分には矩形状の開口面75aが形成されている。開口面75aは、後述するプラグコネクタ100を可動側ハウジング40の嵌合部43と嵌合させるために必要な開口面である。シールド板75は、本発明に係る第3のシールド部を構成する。
【0113】
(グランドプレート)
図8は、グランドプレート80を示す斜視図であり、図8(a)は図9と同じ視点から視たグランドプレート80を示しており、図8(b)は、図9とy軸方向の反対側から視たグランドプレート80を示している。また、図8(c)は図9とy軸方向の反対側から視たグランドプレート90を示しており、図8(d)は、図9と同じ視点から視たグランドプレート90を示している。グランドプレート80と対となるグランドプレート90は、グランドプレート80と同一の寸法、形状である。また、図9は、グランドプレート80及びグランドプレート90を図5に示すレセプタクルコネクタ10の可動側ハウジング40に設けた状態を示す斜視図である。グランドプレート80、90は、例えば、圧入により可動側ハウジング40に設けられ固定される。グランドプレート80、90は、例えば、銅合金、SUS製である。
【0114】
グランドプレート80は、水平平板部81と垂直平板部82と弾性片部83a、83b、83cと弾性片部85a、85b、85c、85dと、を有している。
【0115】
水平平板部81は、図9に示すように、可動側ハウジング40の一対の被支持部の一方である被支持部41の上面に設けられている。弾性片部83a、83b、83cは、図8(a)に示すように水平平板部81の短手方向、すなわちy軸方向の負方向の端部に設けられている。弾性片部83a、83b、83cは、レセプタクルコネクタ10の外方に向けて下方に傾斜するよう設けられている。弾性片部83a、83b、83cは、この順にx軸負方向から正方向側に向けて略等間隔で設けられている。
【0116】
弾性片部83a、83b、83cは、シールド板73を外方へ押圧するよう弾性変形する。弾性片部83a、83b、83cは、可動側ハウジング40をシールド部材70で覆った状態で、凹部28c1内に位置している。弾性片部83a、83b、83cは、本発明に係る第1の弾性片部を構成する。本実施の形態では、水平平板部81に弾性片部を3つ設けたが弾性片部の数はこれに限定されるものではなく、より多い、又は少ない数の弾性片部を設けるようにしてもよい。
【0117】
垂直平板部82は、水平平板部81の短手方向、すなわちy軸方向の正方向の端部に連結しており、水平平板部81の下方に垂直に延びるよう設けられている。垂直平板部82は、嵌合部43の内面を覆うようになっている。垂直平板部82は、図8(b)に示すように、上部側に矩形状の開口部として開口部84a、84b、84c、84dを形成している。開口部84a、84b、84c、84dは、この順にx軸負方向から正方向側に向けて略等間隔で設けられている。
【0118】
弾性片部85a、85b、85c、85dは、水平平板部の短手方向の弾性片部83a、83b、83cが設けられた側と反対側の端部に設けられている。弾性片部85a、85b、85c、85dは、それぞれ開口部84a、84b、84c、84dからレセプタクルコネクタ10の内方に突出するよう弾性変形するようになっている。弾性片部85a、85b、85c、85dはこの弾性変形により後述するプラグシールド130を押圧するようになっている。本実施の形態では、水平平板部81に弾性片部及び開口部を4つ設けたが弾性片部及び開口部の数はこれに限定されるものではなく、より多い、又は少ない数の弾性片部及び開口部を設けるようにしてもよい。
【0119】
グランドプレート90は、水平平板部91と垂直平板部92と弾性片部93a、93b、93cと弾性片部95a、95b、95c、95dと、を有している。
【0120】
水平平板部91は、図9に示すように、可動側ハウジング40の一対の被支持部の他方である被支持部42の上面に設けられている。弾性片部93a、93b、93cは、図8(c)に示すように水平平板部91の短手方向、すなわちy軸方向の正方向の端部に設けられている。弾性片部93a、93b、93cは、レセプタクルコネクタ10の外方に向けて下方に傾斜するよう設けられている。弾性片部93a、93b、93cは、この順にx軸負方向から正方向側に向けて略等間隔で設けられている。
【0121】
弾性片部93a、93b、93cは、シールド板74を外方へ押圧するよう弾性変形する。弾性片部93a、93b、93cは、可動側ハウジング40をシールド部材70で覆った状態で、凹部32c1内に位置している。弾性片部93a、93b、93cは、本発明に係る第1の弾性片部を構成する。本実施の形態では、水平平板部91に弾性片部を3つ設けたが弾性片部の数はこれに限定されるものではなく、より多い、又は少ない数の弾性片部を設けるようにしてもよい。
【0122】
垂直平板部92は、水平平板部91の短手方向、すなわちy軸方向の負方向の端部に連結しており、水平平板部91の下方に垂直に延びるよう設けられている。垂直平板部92は、嵌合部43の内面を覆うようになっている。垂直平板部92は、図8(d)に示すように、上部側に矩形状の開口部として開口部94a、94b、94c、94dを形成している。開口部94a、94b、94c、94dは、この順にx軸負方向から正方向側に向けて略等間隔で設けられている。
【0123】
弾性片部95a、95b、95c、95dは、水平平板部の短手方向の弾性片部93a、93b、93cが設けられた側と反対側の端部に設けられている。弾性片部95a、95b、95c、95dは、それぞれ開口部94a、94b、94c、94dからレセプタクルコネクタ10の内方に突出するよう弾性変形するようになっている。弾性片部95a、95b、95c、95dはこの弾性変形により後述するプラグシールド130を押圧するようになっている。本実施の形態では、水平平板部91に弾性片部及び開口部を4つ設けたが弾性片部及び開口部の数はこれに限定されるものではなく、より多い、又は少ない数の弾性片部及び開口部を設けるようにしてもよい。
【0124】
(プラグコネクタ)
図10はプラグコネクタ100を示す斜視図であり、図10(a)は斜め上面側から、図10(b)は斜め下面側から視た斜視図である。プラグコネクタ100は、プラグハウジング110とプラグコンタクト120とプラグシールド130、140とを備えている。プラグコネクタ100は、プラグコンタクト120がレセプタクルコネクタ10のコンタクトと接触するよう相手方コネクタであるレセプタクルコネクタ10と嵌合してコネクタ1を形成するようになっている。
【0125】
(プラグハウジング)
図11はプラグコネクタ100を構成するハウジングの一部であるプラグハウジング110を示す斜視図である。互いに直交する3次元座標軸x軸、y軸、z軸の各方向は同図中に示す通りである。プラグハウジング110は、x軸方向に互いに対向する短手側側壁111及び短手側側壁112とy軸方向に互いに対向する長手側側壁113及び長手側側壁114とプラグ側嵌合部115を有している。プラグコネクタ100はレセプタクルコネクタ10の可動側ハウジング40と嵌合し、コネクタ1を形成する。プラグハウジング110は、例えば、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂製である。
【0126】
短手側側壁111、短手側側壁112、長手側側壁113及び長手側側壁114の各側壁は後述するプラグシールド130、140により側面及び上面が覆われる。
【0127】
短手側側壁111は、図11中のx軸方向に短手側側壁112と対向し、プラグハウジング110の壁面の一部を構成している。短手側側壁111は、後述するシールド係合片と係合する係合部111a、111bを上面に有している。短手側側壁111の上面のy軸負方向側が係合部111a、y軸正方向側が係合部111bとなっている。係合部111a、111bは所定の深さの穴で形成されている。
【0128】
短手側側壁112は、図11中のx軸方向に短手側側壁111と対向し、プラグハウジング110の壁面の一部を構成している。短手側側壁112は、後述するシールド係合片と係合する係合部112a、112bを上面に有している。短手側側壁112の上面のy軸負方向側が係合部112a、y軸正方向側が係合部112bとなっている。係合部112a、112bは所定の深さの穴で形成されている。
【0129】
長手側側壁113は、図11中のy軸方向に長手側側壁114と対向し、プラグハウジング110の壁面の一部を構成している。長手側側壁113は係合部113a、113bと台座部113cと不図示のコンタクト保持溝とを有している。
【0130】
長手側側壁113は、後述するシールド係合片と係合する係合部113a、113bを上面に有している。長手側側壁113の上面のx軸負方向側が係合部113a、x軸正方向側が係合部113bとなっている。係合部113a、113bは所定の深さの穴で形成されている。長手側側壁113は下部にx軸方向の所定長さに渡り延在し、外方に突出する台座部113cを有している。台座部113cの下方には後述するプラグコンタクト120が挿通可能な隙間が存在している。
【0131】
コンタクト保持溝は、長手側側壁113の内面側に設けられ、プラグコンタクト120を収容し、保持するようになっている。コンタクト保持溝は、コンタクト保持溝114dとx軸に関し対称となる位置に設けられている。コンタクト保持溝は、プラグコンタクト120の各コンタクトピン61の形状、サイズに合わせて設けられる。また、コンタクト保持溝の溝数、ピッチについてもプラグコンタクト120のコンタクトピン61の個数、間隔に応じて設けられる。
【0132】
長手側側壁114は、図11中のy軸方向に長手側側壁113と対向し、プラグハウジング110の壁面の一部を構成している。長手側側壁114は係合部114a、114bと台座部114c(図16参照)とコンタクト保持溝114dとを有している。
【0133】
長手側側壁114は、後述するシールド係合片と係合する係合部114a、114bを上面に有している。長手側側壁114の上面のx軸負方向側が係合部114a、x軸正方向側が係合部114bとなっている。係合部114a、114bは所定の深さの穴で形成されている。長手側側壁114は下部にx軸方向の所定長さに渡り延在し、外方に突出する台座部114cを有している。台座部114cは台座部113cとx軸に関し対称な箇所に位置している。台座部114cの下方には後述するプラグコンタクト120が挿通可能な隙間が存在している。
【0134】
コンタクト保持溝114dは、長手側側壁114の内面側に設けられ、プラグコンタクト120を収容し、保持するようになっている。コンタクト保持溝114dは、長手側側壁113のコンタクト保持溝とx軸に関し対称となる位置に設けられている。コンタクト保持溝114dは、プラグコンタクト120の各コンタクトピン61の形状、サイズに合わせて設けられる。また、コンタクト保持溝114dの溝数、ピッチについてもプラグコンタクト120のコンタクトピン61の個数、間隔に応じて設けられる。
【0135】
プラグ側嵌合部115は、プラグハウジング110の各側壁である短手側側壁111、112及び長手側側壁113、114で囲まれる空間により形成されている。プラグ側嵌合部115は、プラグコネクタ100がレセプタクルコネクタ10と嵌合するようになっており、プラグ側嵌合部115に形成された上述の空間が、レセプタクルコネクタ10の突設部44を収容するようになっている。
【0136】
(プラグコンタクト)
プラグコンタクト120は、長手側側壁113のコンタクト保持溝及びコンタクト保持溝114dに保持されている。プラグコンタクト120は、後述するようにプラグコンタクト110とレセプタクルコンタクト10とが嵌合する際に、突設部44のコンタクト保持溝44aに保持されたレセプタクルコンタクト60と接触する。
【0137】
(プラグシールド)
図12(a)は、プラグシールド130を図10(a)と同じ側から視た斜視図であり、図12(b)は反対側の面から視た斜視図である。プラグシールド130は、プラグシールド140(図10参照)と同一の形状、サイズを有しており、それぞれプラグハウジング110に対称に設けられる。プラグシールド130及びプラグシールド140は、プラグハウジング110に固定され、プラグハウジング110の側面を覆うようになっている。プラグシールドは、例えば、銅合金、SUS製である。
【0138】
プラグシールド130は平板部131と台座カバー部132と設置片133、134とシールド係合片135~138とを有している。平板部131は長手側側壁113を覆うよう設けられている平板状の部材である。台座カバー部132は、外方に突出する台座部113cを覆うよう設けられたカバー部材であり曲げ加工により形成されている。
【0139】
設置片133、134は、プラグシールド130のx軸方向両端の下部に対となるよう設けられた片部であり、平板部131の下端側で水平方向に曲げられて、外部の基板Sに接触する接触部を形成している。この接触部は、基板対基板コネクタとしてのコネクタ1の導通経路の一部を構成している。設置片133はx軸正方向側に設けられ、設置片134はx軸負方向側に設けられている。
【0140】
シールド係合片135、136、137、138は、プラグシールド130の上部にx軸方向の一端から他端にかけて設けられた片部であり、上述したプラグハウジング110の係合部111a、112a、113a、113bと係合するようになっている。より具体的には、シールド係合片135は係合部111aと、シールド係合片136は係合部113bと、シールド係合片137は係合部113aと、シールド係合片138は係合部112aと係合するようになっている。
【0141】
プラグシールド140は平板部141と台座カバー部142と設置片143、144とシールド係合片145~148と(図10図16参照)を有している。平板部141は長手側側壁114を覆うよう設けられている平板状の部材である。台座カバー部142は、外方に突出する台座部114cを覆うよう設けられた部位であり曲げ加工により形成されている。
【0142】
設置片143、144は、プラグシールド130のx軸方向両端の下部に対となるよう設けられた片部であり、水平方向に曲げられて、外部の基板Sに接する部位である。設置片143はx軸正方向側に設けられ、設置片144はx軸負方向側に設けられている。
【0143】
シールド係合片145、146、147、148は、プラグシールド140の上部にx軸方向の一端から他端にかけて設けられた片部であり、上述したプラグハウジング110の係合部111b、112b、114a、114bと係合するようになっている。より具体的には、シールド係合片145は係合部111bと、シールド係合片146は係合部114bと、シールド係合片147は係合部114aと、シールド係合片148は係合部112bと係合するようになっている。
【0144】
以下、図13~17を参照して本実施の形態に係るコネクタ1の作用について説明する。図13は、図1の状態のコネクタ1の上面図であり、図14は、図13におけるA-A断面に沿ったコネクタ1の断面図である。図13及び図14の状態のコネクタは、図2の状態のレセプタクルコネクタ10と図10(b)の状態のプラグコネクタ100とを嵌合させたものである。
【0145】
コネクタ1は、図14に示す状態において、レセプタクルコネクタ10の固定側ハウジング20と可動側ハウジング40のy軸方向、すなわち水平方向の中心位置が一致している。以下では、この状態の可動側ハウジング40の位置を基準位置という。
【0146】
本実施の形態に係るコネクタ1は、レセプタクルコネクタ10の固定側ハウジング20に対し、可動側ハウジング40が水平方向に相対移動可能となるよう構成されている。このような構成とすることで基板S間のずれや、レセプタクルコネクタ10と相手方コネクタであるプラグコネクタ100との嵌合位置ずれがあったとしても、位置ずれを吸収可能であり、フローティングコネクタとしての機能を発揮できる。
【0147】
コネクタ1における可動側ハウジング40は、可動側ハウジング40の嵌合部43の外壁面43b及び外壁面43cが固定側ハウジング20の長手側側壁23の中央部28の内面部28d及び長手側側壁24の中央部32の内面部32dと接触することで水平方向の移動が規制されるようになっている。
【0148】
図14に示す基準位置において、外壁面43bと内面部28dとの水平方向距離はL1、外壁面43cと内面部32dとの水平方向距離はL2となっており、外壁面43b、外壁面43cと内面部28d、内面部32dとは接触しておらず、所定のクリアランスが設けられている。基準位置においてはL1=L2である。
【0149】
このとき、グランドプレート80の弾性片部83a、83b、83cは、付勢力によりシールド板73を図中左方向に押圧し、接触している。同様に、反対側のグランドプレート90の弾性片部93a、93b、93cは、付勢力によりシールド板74を図中右方向に押圧し、接触している。
【0150】
また、グランドプレート80の弾性片部85a、85b、85cは、付勢力によりプラグコネクタ100のプラグシールド130の平板部131を図中右方向に押圧し、接触している。同様に、反対側のグランドプレート90の弾性片部95a、95b、95cは、付勢力によりプラグコネクタ100のプラグシールド140の平板部141を図中左方向に押圧し、接触している。
【0151】
このように、基準位置においてグランドプレート80とシールド部材70及びプラグシールド130、140との接触は維持されている。
【0152】
レセプタクルコネクタ10は、外部の基板Sに半田付け等により固定されている。プラグコネクタ100は、外部の基板S´に半田付け等により固定されている。レセプタクル側のコンタクトピン61の一端側のリード部61eは基板Sと接触している。コンタクトピン61の他端側の接触部61aはプラグ側のプラグコンタクト120の一端側と接触している。プラグコンタクト120の他端側は、外部の基板S´と接触している。このように、コネクタ1は基板対基板コネクタを構成し、基板Sから基板S´への導通経路を確保している。
【0153】
次に図15を用いて、コネクタ1において、上述した基準位置からのレセプタクルコネクタ10とプラグコネクタ100との位置ずれが発生した状態を説明する。図15(a)は、図13の状態のコネクタ1において、可動側ハウジング40が、基準位置から左方へ移動した状態を示している。このとき、外壁面43bと内面部28dとの間の水平方向距離は、ほぼ0となっている。一方、外壁面43cと内面部32dとの間の水平方向距離はL3であり、基準位置におけるL1と比較するとL3>L1、すなわちL3の方がL1より大きくなっている。
【0154】
このとき、グランドプレート80の弾性片部83a、83b、83cは、付勢力によりシールド板73を図中左方向に押圧し、接触している。同様に、反対側のグランドプレート90の弾性片部93a、93b、93cは、付勢力によりシールド板74を図中右方向に押圧し、接触している。図15(a)の状態は、基準状態と比較して可動側ハウジング40が左方へ移動しているため、弾性片部83a、83b、83cの水平方向の変位量は、基準状態における場合の変位量よりも大きくなっている。一方で、反対側の弾性片部93a、93b、93cの水平方向の変位量は、基準状態における場合の変位量よりも小さくなっている。
【0155】
また、グランドプレート80の弾性片部85a、85b、85c及びグランドプレート90の弾性片部95a、95b、95cの水平方向の変位量については、グランドプレート80及びグランドプレート90とプラグシールド130、140との相対位置は可動側ハウジング40が移動しても変化しないため変わらない。
【0156】
図15(b)は、図13の状態のコネクタ1において、可動側ハウジング40が、基準位置から右方へ移動した状態を示している。このとき、外壁面43cと内面部32dとの間の水平方向距離は、ほぼ0となっている。一方、外壁面43bと内面部28dとの間の水平方向距離はL3であり、基準位置におけるL2と比較するとL3>L2、すなわちL3の方がL2より大きくなっている。
【0157】
このとき、グランドプレート80の弾性片部83a、83b、83cは、付勢力によりシールド板73を図中左方向に押圧し、接触している。同様に、反対側のグランドプレート90の弾性片部93a、93b、93cは、付勢力によりシールド板74を図中右方向に押圧し、接触している。図15(b)の状態は、基準状態と比較して可動側ハウジング40が右方へ移動しているため、弾性片部83a、83b、83cの水平方向の変位量は、基準状態における場合の変位量よりも小さくなっている。一方で、反対側の弾性片部93a、93b、93cの水平方向の変位量は、基準状態における場合の変位量よりも大きくなっている。
【0158】
このように、図15(a)、(b)の状態のコネクタ1は、基準位置おける場合と同様グランドプレート80、90とシールド部材70及びプラグシールド130、140との接触は維持されている。また、図は省略したが、基準位置、図15(a)、(b)以外の状態においても(例えば図15(a)におけるL3を半分とした状態。)グランドプレート80、90とシールド部材70及びプラグシールド130、140との接触は維持されている。
【0159】
また、固定側ハウジング20に可動側ハウジング40が取り付けられた状態で、嵌合部43が開口部25内で短手側側壁21、22及び長手側側壁23、24に対し相対移動するに伴い、弾性片部83a、83b、83cは、シールド板73、74からの水平方向の距離に応じた付勢力によりシールド板73、74を押圧するようになっている。また、グランドプレート80、90は、固定側ハウジング20に対する可動側ハウジング40の相対移動の際に、弾性変形しプラグシールド130、140との接触を維持するようになっている。
【0160】
図16及び図17は上述の基準位置におけるグランドプレート80、90とシールド部材70及びプラグシールド130、140との接触状態を説明するための斜視図である。
【0161】
図16は、図13における嵌合状態のレセプタクルコネクタとプラグコネクタのA-A断面の斜視図を示している。この嵌合状態において、弾性片部83aがシールド板73に接触しており、グランドプレート80とシールド部材70が接触している。
【0162】
図17は、図13における嵌合状態のレセプタクルコネクタとプラグコネクタのB-B断面の斜視図を示している。この状態において、弾性片部85aが平板部131に接触しており、グランドプレート80とプラグシールド130が接触していることが見てとれる。
【0163】
このように、本実施の形態に係るコネクタ1は、グランドプレート80の一部が弾性変形することで、シールド部材70、プラグシールド130、140との接触を維持することができ、シールド部材70に変位部を設けることなく十分にコネクタの周囲を覆うことができ、シールド効果を向上させることができる。
【0164】
以上のように、本実施の形態に係るコネクタ1は、レセプタクルコネクタ10と、レセプタクルコネクタ10と嵌合するプラグコネクタ100と、を備え、レセプタクルコネクタ10とプラグコネクタ100とが嵌合してなるコネクタ1であって、レセプタクルコネクタ10は、長手方向に互いに対向する短手側側壁21、22と、短手方向に互いに対向する長手側側壁23、24とを有する箱状の固定側ハウジング20と、短手側側壁21、22と長手側側壁23、24とが形成する開口部25に挿入されるとともにプラグコネクタ100と嵌合する嵌合部43と、嵌合部43内に長手方向に延在するよう突設された突設部44と、嵌合部43の短手方向外方に水平方向に延在し、長手側側壁23、24の上面に支持される平板状の被支持部41、42と、を有する可動側ハウジング40と、一方の端部が長手側側壁23、24の一方に保持され、他方の端部が突設部44に保持され、プラグコネクタ100のプラグコンタクト120と接触するレセプタクルコンタクト60と、固定側ハウジング20に固定され、短手側側壁21、22を覆うシールド板71、72と、固定側ハウジング20に固定され、長手側側壁23、24を覆うシールド板73、74と、シールド板71、72及びシールド板73、74に連結され、被支持部41、42を覆うシールド板75と、を有するシールド部材70と、可動側ハウジング40の被支持部41、42に設けられた水平平板部81、91と、水平平板部81、91の短手方向の一方の端部に設けられ、シールド板73、74を押圧するよう弾性変形する弾性片部83a~83c、93a~93cと、嵌合部43の内面を覆い、開口部84a~84d、94a~94dが形成され、水平平板部81、91の短手方向の他方の端部に対し垂直に連結された垂直平板部82、92と、水平平板部81、91の短手方向の他方の端部に設けられ、開口部84a~84d、94a~94dから突出するよう弾性変形する弾性片部85a~85d、95a~95dと、を有するグランドプレート80,90と、を備える。
【0165】
また、レセプタクルコネクタ10は、固定側ハウジング20に可動側ハウジング40が取り付けられた状態で、嵌合部43が開口部25で短手側側壁21、22及び長手側側壁23、24に対し相対移動するに伴い、弾性片部83a~83c、93a~93cは、シールド板73、74からの水平方向の距離に応じた付勢力によりシールド板73、74を押圧するようになっている。
【0166】
また、プラグコネクタ100は、可動側ハウジング40と嵌合するプラグハウジング110と、プラグハウジング110に保持され、レセプタクルコンタクト60と接触するプラグコンタクト120と、プラグハウジング110に固定され、プラグハウジング110の所定範囲を覆うプラグシールド130,140と、を備え、グランドプレート80、90は、固定側ハウジング20に対する可動側ハウジング40の相対移動の際に、所定方向に弾性変形しプラグシールド130,140との接触を維持するようになっている。
【0167】
可動側ハウジング40が固定側ハウジング20に対し相対移動する際に、シールド部材70を弾性変位させる必要がある場合は、弾性変位部が変位しやすくなるよう周辺部位より細長に構成する必要がある。しかし、本実施の形態に係るコネクタ1は、可動側ハウジング40が固定側ハウジング20に対し相対移動する際に、グランドプレート80、90が水平方向に弾性変形し、シールド部材70との接触が維持されるので、シールド部材70自体に可動する弾性変位部を設ける必要が無い。よって、シールド部材70に可動する弾性変位部を設け、弾性変位部が変位し、コネクタの周囲を充分に覆うことができなくなる事は発生せず、電磁波に対するシールド効果を発揮することができる。
【0168】
また、本実施の形態に係るコネクタ1は、シールド部材70が固定側ハウジング20に固定されているので、可動側ハウジング40が可動し、フローティングする際にシールド部材70は可動しない。したがって、シールド部材70自体が可動することにより、コネクタの周囲をシールド部材70で充分に覆うことができなくなる事は発生せず、電磁波に対するシールド効果を発揮することができる。
【0169】
また、本実施の形態に係るコネクタ1は、グランドプレート80、90は、前記レセプタクルコンタクト60を構成するコンタクトピン61の個数に応じた数の、複数の弾性片部83a~83c、93a~93cを有するようになっている。
【0170】
コンタクトを構成するコンタクトピンの個数が多くなる程、コンタクトをシールド部材又はグランドプレートで覆う箇所を増やすことシールド効果の観点から望ましい。本発実施の形態に係るコネクタ1は、レセプタクルコンタクト60を構成するコンタクトピン61の個数に応じ、グランドプレート80が有する弾性片部83a~83c、93a~93cを多く有する構成としたので、レセプタクルコンタクト60をシールド部材70又はグランドプレート80、90で覆う箇所を増やすことができるので、コネクタ1の周囲を充分に覆うことができ、電磁波に対するシールド効果を発揮することができる。
【0171】
また、本実施の形態に係るコネクタ1は、可動側ハウジング40は、レセプタクルコンタクト60の一方の端部を保持するコンタクト保持溝44aを有し、固定側ハウジング20は、レセプタクルコンタクト60の他方の端部を保持するコンタクト保持溝を有するようになっている。
【0172】
この構成により、本実施の形態に係るコネクタ1は、可動側ハウジング40にコンタクト保持溝44aを設け、固定側ハウジング20にコンタクト保持溝を設けたので、レセプタクルコンタクト60の両端部を安定的に保持できるので、コネクタ1の電気的な接続を安定させることができる。
【0173】
なお、本発明に係るコネクタの技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した各構成要素の種々の変更を含むものである。
【0174】
以上説明したように、本発明に係るレセプタクルコネクタ及びコネクタセットは、フローティング構造を備えたコネクタにおいて電磁波に対するシールド効果を充分に発揮することができるという効果を有し、コネクタ全般に有用である。
【符号の説明】
【0175】
1 コネクタ(コネクタセット)
10 レセプタクルコネクタ
20 固定側ハウジング
21、22 短手側側壁(第1の側壁部)
23、24 長手側側壁(第2の側壁部)
25 開口部
28d2 コンタクト保持溝
40 可動側ハウジング
41、42 被支持部
43 嵌合部
44 突設部
44a コンタクト保持溝
60 レセプタクルコンタクト(コンタクト)
60a、60b コンタクト列
61 コンタクトピン
70 シールド部材
71、72 シールド板(第1のシールド部)
73、74 シールド板(第2のシールド部)
75 シールド板(第3のシールド部)
80 グランドプレート
81、91 水平平板部
82、92 垂直平板部
83a、83b、83c 弾性片部(第1の弾性片部)
84a、84b、84c、84d 開口部
85a、85b、85c、85d 弾性片部(第2の弾性片部)
93a、93b、93c 弾性片部(第1の弾性片部)
94a、94b、94c、94d 開口部
95a、95b、95c、95d 弾性片部(第2の弾性片部)
100 プラグコネクタ
110 プラグハウジング
114d コンタクト保持溝
115 プラグ側嵌合部
120 プラグコンタクト
130、140 プラグシールド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図15
図16
図17