(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】第1コネクタ、第2コネクタ及びコネクタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/453 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
H01R13/453
(21)【出願番号】P 2021059393
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】二戸 彩香
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09608357(US,B1)
【文献】国際公開第2012/067066(WO,A1)
【文献】特開2016-213084(JP,A)
【文献】特開2011-086478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/453
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部が第1方向に向かって延びる第1端子と、
前記第1端子を保持する第1コネクタハウジングと、
前記第1コネクタハウジングに保持されるスライド部材と、を有し、
前記第1コネクタハウジングは、
前記第1端子における前記第1方向と直交する方向の周囲のうちの第2方向を除く部位を覆う保護部と、
前記保護部において前記第1方向に開口する第1開口部と、
前記保護部において前記第2方向に開口する第2開口部と、を有し、
前記スライド部材は、前記第2開口部を塞ぐ閉位置から前記第1方向とは反対方向である第1反対方向の開位置までの間でスライド移動可能であり、
前記スライド部材は、前記閉位置において前記第2開口部を塞ぐスライド本体部と、前記スライド本体部と一体に形成されるとともに前記閉位置において前記第1端子の先端部を保護する先端保護部とを有
し、
前記保護部は、前記第2開口部を構成する一対の側壁に設けられる一対の第1ガイド溝を有し、
前記スライド部材は、一対の前記第1ガイド溝に嵌まる一対の第1ガイド部を有し、
前記スライド部材は、前記第1ガイド部が前記第1ガイド溝にガイドされることにより前記第1方向及び前記第1反対方向にスライド移動可能である第1コネクタ。
【請求項2】
前記先端保護部は、前記開位置において、前記第1コネクタに組み付けられる第2コネクタに設けられる第2端子と前記第1端子との接続部分よりも前記第1反対方向側に設けられる請求項1に記載の第1コネクタ。
【請求項3】
前記保護部は、一対の前記側壁に設けられる一対の第2ガイド溝を有し、
前記第2ガイド溝は、前記第1ガイド溝と前記第2方向において離れて設けられており、
前記スライド部材は、一対の前記第2ガイド溝に嵌まる一対の第2ガイド部を有する請求項
1又は請求項2に記載の第1コネクタ。
【請求項4】
前記スライド部材の前記第1方向から見た平面形状は、前記第1方向と平行に延びる前記スライド部材の中心軸に対して非点対称に形成されており、
一対の前記第1ガイド部のうちの一方の前記第1ガイド部のみが溝部を有しており、
一対の前記第1ガイド溝のうちの一方の前記第1ガイド溝には、前記溝部を有する前記第1ガイド部が嵌まることが可能であり、前記溝部を有さない前記第1ガイド部が嵌まることが不能である請求項
1から請求項3のいずれか1項に記載の第1コネクタ。
【請求項5】
前記スライド部材は、前記第1コネクタに組み付けられる第2コネクタに設けられる押圧部に押圧される被押圧部を有し、
前記スライド部材は、前記第1コネクタに前記第2コネクタが組み付けられる際に、前記被押圧部が前記押圧部に押圧されることにより前記開位置までスライド移動する請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の第1コネクタ。
【請求項6】
前記被押圧部は、前記押圧部と面接触する請求項
5に記載の第1コネクタ。
【請求項7】
前記スライド部材は、前記第2コネクタに設けられる係合部に係合する被係合部を有し、
前記スライド部材は、前記第1コネクタから前記第2コネクタが外される際に、前記被係合部が前記係合部に引っ張られることにより前記閉位置までスライド移動する請求項
5又は請求項
6に記載の第1コネクタ。
【請求項8】
先端部が第1方向に向かって延びる第1端子と、
前記第1端子を保持する第1コネクタハウジングと、
前記第1コネクタハウジングに保持されるスライド部材と、を有
する第1コネクタであって、
前記第1コネクタハウジングは、
前記第1端子における前記第1方向と直交する方向の周囲のうちの第2方向を除く部位を覆う保護部と、
前記保護部において前記第1方向に開口する第1開口部と、
前記保護部において前記第2方向に開口する第2開口部と、を有し、
前記スライド部材は、前記第2開口部を塞ぐ閉位置から前記第1方向とは反対方向である第1反対方向の開位置までの間でスライド移動可能であり、
前記スライド部材は、前記閉位置において前記第2開口部を塞ぐスライド本体部と、前記スライド本体部と一体に形成されるとともに前記閉位置において前記第1端子の先端部を保護する先端保護部とを有
し、
前記スライド部材は、前記第1コネクタに組み付けられる第2コネクタに設けられる押圧部に押圧される被押圧部を有し、
前記スライド部材は、前記第1コネクタに前記第2コネクタが組み付けられる際に、前記被押圧部が前記押圧部に押圧されることにより前記開位置までスライド移動し、
前記スライド部材は、前記第2コネクタに設けられる係合部に係合する被係合部を有し、
前記スライド部材は、前記第1コネクタから前記第2コネクタが外される際に、前記被係合部が前記係合部に引っ張られることにより前記閉位置までスライド移動し、
前記スライド部材は、先端部が前記第1方向に延びて前記第1方向と直交する方向に可撓性を有する可撓片を有し、
前記被係合部は、前記可撓片の先端部に設けられており、
前記被係合部は、前記閉位置において、前記第1端子の先端部よりも前記第1方向に突出する位置に設けられる第1コネクタ。
【請求項9】
前記先端保護部は、前記第1端子の外周を包囲する環状に形成されており、
前記先端保護部の先端部は、前記閉位置において、前記第1端子の先端部よりも前記第1方向に突出して形成されており、
前記被係合部は、前記先端保護部の先端部の一部に設けられる請求項
8に記載の第1コネクタ。
【請求項10】
前記被係合部における前記第1方向の面は、前記先端保護部における前記第1方向の面と同一平面上に設けられる、又は前記先端保護部における前記第1方向の面よりも前記第1反対方向側に設けられる請求項
9に記載の第1コネクタ。
【請求項11】
前記第1端子は、前記第2コネクタに設けられる第2端子と接続される接続面を有し、
前記スライド部材は、前記先端保護部の内周面に設けられる凹部を有し、
前記凹部は、前記接続面と対向する請求項
9又は請求項
10に記載の第1コネクタ。
【請求項12】
前記第1端子は、前記接続面と第3方向において反対側に設けられる非接続面を有し、
前記被係合部は、前記第3方向において、前記第1端子を間にして前記凹部と反対側に設けられる請求項
11に記載の第1コネクタ。
【請求項13】
前記スライド部材は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの組付方向と直交する平面に対して傾斜する第1傾斜面を有し、
前記第1傾斜面は、前記第1コネクタから前記第2コネクタが外される際に、前記スライド部材が前記閉位置にある状態において前記係合部と前記被係合部とを非係合となるように案内する請求項
8から請求項
12のいずれか1項に記載の第1コネクタ。
【請求項14】
前記スライド部材は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの組付方向と直交する平面に対して傾斜する第2傾斜面を有し、
前記第2傾斜面は、前記第1コネクタに前記第2コネクタが組み付けられる際に、前記係合部を前記被係合部と係合可能な位置に案内する請求項
8から請求項
13のいずれか1項に記載の第1コネクタ。
【請求項15】
前記先端保護部は、前記先端保護部の先端部における外周面に設けられる第3傾斜面を有し、
前記第3傾斜面は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの組付方向と直交する平面に対して傾斜しており、
前記第3傾斜面は、前記第1コネクタに前記第2コネクタが組み付けられる際に、前記第2コネクタを前記第1コネクタハウジングの内部に案内する請求項
8から請求項
14のいずれか1項に記載の第1コネクタ。
【請求項16】
前記スライド部材は、複数の前記被係合部を有する請求項
8から請求項
15のいずれか1項に記載の第1コネクタ。
【請求項17】
前記スライド部材は、前記可撓片の先端部に設けられる規制凸部を有し、
前記規制凸部は、前記可撓片の撓む方向であって前記第1端子に向かう方向に突出しており、
前記被係合部は、前記規制凸部の突出する方向とは反対方向に突出する請求項
8から請求項
16のいずれか1項に記載の第1コネクタ。
【請求項18】
前記規制凸部は、前記第1端子に向く頂面を有し、
前記規制凸部の突出量は、前記スライド部材が前記開位置にある状態において、前記規制凸部の前記頂面と前記第1端子との間のクリアランスが、前記被係合部と前記係合部との重なり量よりも小さくなるように設定される請求項
17に記載の第1コネクタ。
【請求項19】
前記規制凸部の前記頂面は、前記第1方向に平行な平面に形成されており、
前記第1端子は、前記規制凸部の前記第1方向及び前記第1反対方向における可動範囲において、平板状に形成される請求項
18に記載の第1コネクタ。
【請求項20】
第1コネクタは、
請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の第1コネクタであり、
前記第1コネクタと着脱可能な第2コネクタであって、
前記第2コネクタは、
前記第1コネクタに組み付けられる際に前記スライド部材に設けられる被押圧部を押圧して前記スライド部材を前記開位置までスライド移動させる押圧部を有する第2コネクタ。
【請求項21】
前記第1コネクタから外される際に前記スライド部材に設けられる被係合部を引っ張ることにより前記スライド部材を前記閉位置までスライド移動させる係合部を有する請求項
20に記載の第2コネクタ。
【請求項22】
第1コネクタと、前記第1コネクタに着脱可能な第2コネクタとを有するコネクタアセンブリであって、
前記第1コネクタは、
請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の第1コネクタであるコネクタアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、第1コネクタ、第2コネクタ及びコネクタアセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド車や電気自動車などの車両に搭載されるワイヤハーネスとしては、電線と、その電線の端部に取り付けられたコネクタとを有するものが知られている。コネクタは、電線の端末に接続された金属製の端子と、その端子を保持するコネクタハウジングとを有している。この種のコネクタハウジングは、一般的に、端子の先端方向以外の周囲を覆う保護部を有するが、端子に接続される相手側コネクタの端子を直交方向に配索するために、保護部の一部が切り欠かれたものがある(例えば、特許文献1参照)。このようなコネクタでは、端子に指等が接触することによる感電を防止するために、端子の先端側だけでなく、端子において端子の延びる方向と直交する側にも樹脂製の保護部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記コネクタにおいて、部品点数を減らすことが望まれている。
本開示の目的は、部品点数を削減できる第1コネクタ、第2コネクタ及びコネクタアセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1コネクタは、先端部が第1方向に向かって延びる第1端子と、前記第1端子を保持する第1コネクタハウジングと、前記第1コネクタハウジングに保持されるスライド部材と、を有し、前記第1コネクタハウジングは、前記第1端子における前記第1方向と直交する方向の周囲のうちの第2方向を除く部位を覆う保護部と、前記保護部において前記第1方向に開口する第1開口部と、前記保護部において前記第2方向に開口する第2開口部と、を有し、前記スライド部材は、前記第2開口部を塞ぐ閉位置から前記第1方向とは反対方向である第1反対方向の開位置までの間でスライド移動可能であり、前記スライド部材は、前記閉位置において前記第2開口部を塞ぐスライド本体部と、前記スライド本体部と一体に形成されるとともに前記閉位置において前記第1端子の先端部を保護する先端保護部とを有する。
【0006】
本開示の第2コネクタは、第1コネクタと着脱可能な第2コネクタであって、第1コネクタは、先端部が第1方向に向かって延びる第1端子と、前記第1端子を保持する第1コネクタハウジングと、前記第1コネクタハウジングに保持されるスライド部材と、を有し、前記第1コネクタハウジングは、前記第1端子における前記第1方向と直交する方向の周囲のうちの第2方向を除く部位を覆う保護部と、前記保護部において前記第1方向に開口する第1開口部と、前記保護部において前記第2方向に開口する第2開口部と、を有し、前記スライド部材は、前記第2開口部を塞ぐ閉位置から前記第1方向とは反対方向である第1反対方向の開位置までの間でスライド移動可能であり、前記スライド部材は、前記閉位置において前記第2開口部を塞ぐスライド本体部と、前記スライド本体部と一体に形成されるとともに前記閉位置において前記第1端子の先端部を保護する先端保護部とを有するものであり、前記第2コネクタは、前記第1コネクタに組み付けられる際に前記スライド部材に設けられる被押圧部を押圧して前記スライド部材を前記開位置までスライド移動させる押圧部を有する。
【0007】
本開示のコネクタアセンブリは、第1コネクタと、前記第1コネクタに着脱可能な第2コネクタとを有するコネクタアセンブリであって、前記第1コネクタは、先端部が第1方向に向かって延びる第1端子と、前記第1端子を保持する第1コネクタハウジングと、前記第1コネクタハウジングに保持されるスライド部材と、を有し、前記第1コネクタハウジングは、前記第1端子における前記第1方向と直交する方向の周囲のうちの第2方向を除く部位を覆う保護部と、前記保護部において前記第1方向に開口する第1開口部と、前記保護部において前記第2方向に開口する第2開口部と、を有し、前記スライド部材は、前記第2開口部を塞ぐ閉位置から前記第1方向とは反対方向である第1反対方向の開位置までの間でスライド移動可能であり、前記スライド部材は、前記閉位置において前記第2開口部を塞ぐスライド本体部と、前記スライド本体部と一体に形成されるとともに前記閉位置において前記第1端子の先端部を保護する先端保護部とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の第1コネクタ、第2コネクタ及びコネクタアセンブリによれば、部品点数を削減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態のコネクタアセンブリを示す概略分解斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態のコネクタアセンブリを示す概略斜視図である。
【
図3】
図3は、一実施形態の第1コネクタを示す概略斜視図である。
【
図4】
図4は、一実施形態の第1コネクタを示す概略斜視図である。
【
図5】
図5は、一実施形態の第1コネクタを示す概略断面図(
図8における5-5線断面図)である。
【
図6】
図6は、一実施形態の第1コネクタの一部を拡大して示す概略断面図である。
【
図7】
図7は、一実施形態の第1コネクタの一部を拡大して示す概略斜視図である。
【
図8】
図8は、一実施形態の第1コネクタの一部を拡大して示す概略平面図である。
【
図9】
図9は、一実施形態の第1コネクタの一部を拡大して示す概略断面図(
図8における9-9線断面図)である。
【
図10】
図10は、一実施形態の第1コネクタを示す一部断面の概略斜視図である。
【
図11】
図11は、一実施形態のスライド部材を示す概略斜視図である。
【
図12】
図12は、一実施形態のスライド部材を示す概略斜視図である。
【
図13】
図13は、一実施形態のコネクタアセンブリを示す概略断面図である。
【
図14】
図14は、一実施形態のコネクタアセンブリの一部を拡大して示す概略断面図である。
【
図15】
図15は、一実施形態のコネクタアセンブリを示す概略断面図である。
【
図16】
図16は、一実施形態のコネクタアセンブリの一部を拡大して示す概略断面図である。
【
図17】
図17は、一実施形態の第2コネクタの一部を拡大して示す概略斜視図である。
【
図18】
図18は、一実施形態のコネクタアセンブリを示す一部断面の概略斜視図である。
【
図19】
図19は、一実施形態のコネクタアセンブリを示す一部断面の概略斜視図である。
【
図20】
図20は、一実施形態のコネクタアセンブリを示す一部断面の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列挙して説明する。
[1]本開示の第1コネクタは、先端部が第1方向に向かって延びる第1端子と、前記第1端子を保持する第1コネクタハウジングと、前記第1コネクタハウジングに保持されるスライド部材と、を有し、前記第1コネクタハウジングは、前記第1端子における前記第1方向と直交する方向の周囲のうちの第2方向を除く部位を覆う保護部と、前記保護部において前記第1方向に開口する第1開口部と、前記保護部において前記第2方向に開口する第2開口部と、を有し、前記スライド部材は、前記第2開口部を塞ぐ閉位置から前記第1方向とは反対方向である第1反対方向の開位置までの間でスライド移動可能であり、前記スライド部材は、前記閉位置において前記第2開口部を塞ぐスライド本体部と、前記スライド本体部と一体に形成されるとともに前記閉位置において前記第1端子の先端部を保護する先端保護部とを有する。
【0011】
この構成によれば、第2方向に開口する第2開口部を塞ぐ閉位置から開位置までの間でスライド移動可能なスライド部材が設けられる。また、スライド部材では、閉位置において第2開口部を塞ぐスライド本体部と、閉位置において第1端子の先端部を保護する先端保護部とが一体に形成される。これにより、スライド部材が閉位置にある状態では、スライド本体部によって第2開口部が塞がれるため、例えば第2開口部を通じて作業者の指が第1端子に接触することを抑制できる。また、スライド部材が閉位置にある状態では、先端保護部によって第1端子の先端部が保護される。このため、例えば第1開口部を通じて作業者の指が保護部の内部に入り込んだ場合であっても、先端保護部によって作業者の指が第1端子に接触することを抑制できる。さらに、スライド本体部と先端保護部とを一体に形成したため、それらスライド本体部及び先端保護部を別部品とした場合に比べて、部品点数を削減できる。これらにより、感電防止対策をしつつも部品点数を削減できる。
【0012】
[2]前記先端保護部は、前記開位置において、前記第1コネクタに組み付けられる第2コネクタに設けられる第2端子と前記第1端子との接続部分よりも前記第1反対方向側に設けられることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、開位置において、先端保護部が第1端子と第2コネクタの第2端子との接続部分よりも第1反対方向に設けられる。このため、例えば第1コネクタと第2コネクタとの組み付けが完了した状態では、スライド部材が第1端子と第2端子との接続部分の近傍に配置されない。したがって、仮に耐久劣化等に起因して先端保護部が破損した場合であっても、その破損した先端保護部が第1端子と第2端子との電気的接続に悪影響を及ぼすことを抑制できる。すなわち、第1端子と第2端子との電気的接続信頼性の低下を抑制できる。
【0014】
[3]前記保護部は、前記第2開口部を構成する一対の側壁に設けられる一対の第1ガイド溝を有し、前記スライド部材は、一対の前記第1ガイド溝に嵌まる一対の第1ガイド部を有し、前記スライド部材は、前記第1ガイド部が前記第1ガイド溝にガイドされることにより前記第1方向及び前記第1反対方向にスライド移動可能であることが好ましい。この構成によれば、第1ガイド部が第1ガイド溝にガイドされることにより、スライド部材を第1方向及び第1反対方向に円滑にスライド移動させることができる。また、スライド部材がスライド移動する際に、スライド部材が傾くことを抑制できる。
【0015】
[4]前記保護部は、一対の前記側壁に設けられる一対の第2ガイド溝を有し、前記第2ガイド溝は、前記第1ガイド溝と前記第2方向において離れて設けられており、前記スライド部材は、一対の前記第2ガイド溝に嵌まる一対の第2ガイド部を有することが好ましい。この構成によれば、第2ガイド部が第2ガイド溝にガイドされることにより、スライド部材を第1方向及び第1反対方向に円滑にスライド移動させることができる。また、スライド部材がスライド移動する際に、第2方向において互いに離れた第1ガイド溝及び第2ガイド溝に第1ガイド部及び第2ガイド部がそれぞれガイドされるため、スライド部材が傾くことを好適に抑制できる。
【0016】
[5]前記スライド部材の前記第1方向から見た平面形状は、前記第1方向と平行に延びる前記スライド部材の中心軸に対して非点対称に形成されており、一対の前記第1ガイド部のうちの一方の前記第1ガイド部のみが溝部を有しており、一対の前記第1ガイド溝のうちの一方の前記第1ガイド溝には、前記溝部を有する前記第1ガイド部が嵌まることが可能であり、前記溝部を有さない前記第1ガイド部が嵌まることが不能であることが好ましい。この構成によれば、一対の第1ガイド部のうちの一方の第1ガイド部のみに溝部が設けられる。また、一対の第1ガイド溝のうちの一方の第1ガイド溝には、溝部を有する第1ガイド部のみが嵌まることが可能であり、溝部を有さない第1ガイド部が嵌まることが不能である。このため、一方の第1ガイド溝に対して溝部を有する第1ガイド部が嵌まる姿勢でのみスライド部材を第1コネクタハウジングに組み付けることが可能となる。したがって、スライド部材の誤組み付けを抑制できる。
【0017】
[6]前記スライド部材は、前記第1コネクタに組み付けられる第2コネクタに設けられる押圧部に押圧される被押圧部を有し、前記スライド部材は、前記第1コネクタに前記第2コネクタが組み付けられる際に、前記被押圧部が前記押圧部に押圧されることにより前記開位置までスライド移動することが好ましい。この構成によれば、第1コネクタに第2コネクタが組み付けられる際に、被押圧部が第2コネクタの押圧部に押圧されることによりスライド部材が開位置までスライド移動する。このため、例えば治具等によってスライド部材を開位置にスライド移動させる必要がない。すなわち、作業者は、第1コネクタに第2コネクタを組み付けるだけで、別工程を必要とせずに、スライド部材を開位置までスライド移動させることができる。
【0018】
[7]前記被押圧部は、前記押圧部と面接触することが好ましい。この構成によれば、被押圧部が押圧部と面接触するため、被押圧部が押圧部と点接触する場合に比べて、円滑に且つ安定してスライド部材を開位置までスライド移動させることができる。
【0019】
[8]前記スライド部材は、前記第2コネクタに設けられる係合部に係合する被係合部を有し、前記スライド部材は、前記第1コネクタから前記第2コネクタが外される際に、前記被係合部が前記係合部に引っ張られることにより前記閉位置までスライド移動することが好ましい。この構成によれば、第1コネクタから第2コネクタが外される際に、被係合部が第2コネクタの係合部に引っ張られることによりスライド部材が閉位置までスライド移動する。このため、例えば治具等によってスライド部材を閉位置にスライド移動させる必要がない。すなわち、作業者は、第1コネクタから第2コネクタを外すだけで、別工程を必要とせずに、スライド部材を閉位置までスライド移動させることができる。また、例えば、ばね等の付勢部材によってスライド部材を第1方向に付勢しておく構成とすれば、別工程を必要とせずにスライド部材を閉位置までスライド移動させることができるが、この構成に比べて、付勢部材が不要となる。
【0020】
[9]前記スライド部材は、先端部が前記第1方向に延びて前記第1方向と直交する方向に可撓性を有する可撓片を有し、前記被係合部は、前記可撓片の先端部に設けられており、前記被係合部は、前記閉位置において、前記第1端子の先端部よりも前記第1方向に突出する位置に設けられることが好ましい。この構成によれば、第1方向と直交する方向に可撓性を有する可撓片の先端部に被係合部が設けられる。また、スライド部材が閉位置にある状態において、被係合部が第1端子の先端部よりも第1方向に突出する位置に設けられる。このため、可撓片が第1方向と直交する方向に撓む際に、被係合部が第1端子に接触することを抑制でき、可撓片を好適に撓ませることができる。そして、可撓片が撓むことにより、その可撓片の先端部に設けられた被係合部と第2コネクタの係合部とを容易に係合させることができる。すなわち、第1コネクタに第2コネクタが組み付けられる際に、可撓片が撓むことにより係合部と被係合部とを容易に係合させることができる。また、第1コネクタから第2コネクタが外される際に、可撓片が撓むことにより係合部と被係合部との係合を容易に解除することができる。
【0021】
[10]前記先端保護部は、前記第1端子の外周を包囲する環状に形成されており、前記先端保護部の先端部は、前記閉位置において、前記第1端子の先端部よりも前記第1方向に突出して形成されており、前記被係合部は、前記先端保護部の先端部の一部に設けられることが好ましい。この構成によれば、スライド部材が閉位置にある状態において、第1端子の外周を包囲する環状の先端保護部の先端部が第1端子の先端部よりも第1方向に突出して形成される。このため、例えば第1開口部を通じて作業者の指が保護部の内部に入り込んだ場合であっても、先端保護部によって作業者の指が第1端子に接触することを好適に抑制できる。また、被係合部が先端保護部の一部を構成している。このため、被係合部は、第2コネクタの係合部と係合する機能を有するとともに、作業者の指が第1端子に接触することを抑制する機能を有している。
【0022】
ここで、本明細書における「環」は、全体がつながって切れ目がなく輪になっている構造、つまり始点と終点とが一致する無端状の構造を意味する。また、本明細書における「環」は、外縁形状が円形の円環、外縁形状が楕円形や長円形の環、外縁形状が多角形の多角形環、外縁形状が角丸多角形の環を含み、外縁形状が直線又は曲線で結ばれる任意の閉じた形状からなるものを言う。「環」は、平面視において貫通孔を有する形状であり、外縁形状と貫通孔の内周形状とが同じ形状であるものや、外縁形状と貫通孔の内周形状とが異なる形状であるものを含む。「環」は、貫通孔の中心を通る中心軸が延びる軸方向に沿って延びる所定の長さを有するものを含み、その長さの大小は問わない。また、本明細書における「環状」は、全体として環と見做せればよく、C字状のように一部に切り欠きやスリット等を有するものを含む。
【0023】
[11]前記被係合部における前記第1方向の面は、前記先端保護部における前記第1方向の面と同一平面上に設けられる、又は前記先端保護部における前記第1方向の面よりも前記第1反対方向側に設けられることが好ましい。この構成によれば、被係合部における第1方向の面が先端保護部における第1方向の面よりも第1方向に突出されない。このため、第1コネクタに第2コネクタが組み付けられる際に、第2コネクタとの接触により生じる応力が被係合部に集中することを抑制できる。これにより、被係合部が破損することを抑制できる。
【0024】
[12]前記第1端子は、前記第2コネクタに設けられる第2端子と接続される接続面を有し、前記スライド部材は、前記先端保護部の内周面に設けられる凹部を有し、前記凹部は、前記接続面と対向することが好ましい。この構成によれば、先端保護部の内周面に、第1端子の接続面と対向する凹部が設けられる。この凹部を設けることにより、スライド部材がスライド移動する際に、先端保護部の内周面と第1端子の接続面とが接触することを抑制できる。このため、先端保護部の内周面との接触により、第1端子の接続面が摩耗することを抑制できる。この結果、例えば第1端子の接続面の摩耗に起因して第1端子と第2端子との接触面積が減少することを抑制できるため、第1端子と第2端子との接続部分における接触抵抗が増大することを好適に抑制できる。ひいては、第1端子と第2端子との接続部分における発熱を抑制できる。
【0025】
ここで、本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方向を含む。
【0026】
[13]前記第1端子は、前記接続面と第3方向において反対側に設けられる非接続面を有し、前記被係合部は、前記第3方向において、前記第1端子を間にして前記凹部と反対側に設けられることが好ましい。この構成によれば、被係合部が、第3方向において、第1端子を間にして凹部と反対側に設けられる。これにより、被係合部が第1端子の非接続面側に設けられるため、被係合部が第1端子の接続面に対向しない。このため、スライド部材がスライド移動する際に、被係合部が第1端子の接続面に接触することを抑制できる。したがって、被係合部との接触により、第1端子の接続面が摩耗することを抑制できる。この結果、第1端子と第2端子との接続部分における接触抵抗が増大することを好適に抑制でき、第1端子と第2端子との接続部分における発熱を抑制できる。
【0027】
[14]前記スライド部材は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの組付方向と直交する平面に対して傾斜する第1傾斜面を有し、前記第1傾斜面は、前記第1コネクタから前記第2コネクタが外される際に、前記スライド部材が前記閉位置にある状態において前記係合部と前記被係合部とを非係合となるように案内することが好ましい。この構成によれば、スライド部材は、第1コネクタから第2コネクタが外される際に、スライド部材が閉位置にある状態において係合部と被係合部とを非係合となるように案内する第1傾斜面を有する。このため、第1コネクタから第2コネクタが外される際に、係合部と被係合部との係合を容易に解除することができる。これにより、第1コネクタから第2コネクタを容易且つ正常に取り外すことができる。
【0028】
[15]前記スライド部材は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの組付方向と直交する平面に対して傾斜する第2傾斜面を有し、前記第2傾斜面は、前記第1コネクタに前記第2コネクタが組み付けられる際に、前記係合部を前記被係合部と係合可能な位置に案内することが好ましい。この構成によれば、スライド部材は、第1コネクタに第2コネクタが組み付けられる際に、係合部を被係合部と係合可能な位置に案内する第2傾斜面を有する。このため、第1コネクタに第2コネクタが組み付けられる際に、係合部と被係合部とを容易に係合させることができる。これにより、第1コネクタに第2コネクタを容易且つ正常に組み付けることができる。
【0029】
[16]前記先端保護部は、前記先端保護部の先端部における外周面に設けられる第3傾斜面を有し、前記第3傾斜面は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの組付方向と直交する平面に対して傾斜しており、前記第3傾斜面は、前記第1コネクタに前記第2コネクタが組み付けられる際に、前記第2コネクタを前記第1コネクタハウジングの内部に案内することが好ましい。この構成によれば、先端保護部が、第1コネクタに第2コネクタが組み付けられる際に、第2コネクタを第1コネクタハウジングの内部に案内する第3傾斜面を有するため、第2コネクタを第1コネクタに容易に嵌合させることができる。これにより、第1コネクタに第2コネクタを容易且つ正常に組み付けることができる。
【0030】
[17]前記スライド部材は、複数の前記被係合部を有することが好ましい。この構成によれば、スライド部材が複数の被係合部を有するため、単一の被係合部を有する構成に比べて、円滑に且つ安定してスライド部材を閉位置までスライド移動させることができる。
【0031】
[18]前記スライド部材は、前記可撓片の先端部に設けられる規制凸部を有し、前記規制凸部は、前記可撓片の撓む方向であって前記第1端子に向かう方向に突出しており、前記被係合部は、前記規制凸部の突出する方向とは反対方向に突出することが好ましい。この構成によれば、可撓片の先端部に、可撓片の撓む方向であって第1端子に向かう方向に突出する規制凸部が設けられる。このため、スライド部材が開位置にある状態では、規制凸部が第1端子に対向する。したがって、第1コネクタから第2コネクタが外される際に、可撓片が第1端子に向かって大きく撓もうとしても規制凸部が第1端子に接触することにより、可撓片が大きく撓むことが抑制される。これにより、例えば可撓片が大きく撓むことによって係合部と被係合部との係合が解除されることを好適に抑制できる。すなわち、第1コネクタから第2コネクタが外される際に、スライド部材が開位置から閉位置までスライド移動する途中において係合部と被係合部との係合が解除されることを好適に抑制できる。このため、第1コネクタから第2コネクタが外される際に、被係合部が係合部に引っ張られることにより、スライド部材を閉位置に好適に復帰させることができる。
【0032】
[19]前記規制凸部は、前記第1端子に向く頂面を有し、前記規制凸部の突出量は、前記スライド部材が前記開位置にある状態において、前記規制凸部の前記頂面と前記第1端子との間のクリアランスが、前記被係合部と前記係合部との重なり量よりも小さくなるように設定されることが好ましい。この構成によれば、規制凸部の突出量は、スライド部材が開位置にある状態において、規制凸部の頂面と第1端子との間のクリアランスが、被係合部と係合部との重なり量よりも小さくなるように設定される。ここで、被係合部と係合部との重なり量は、被係合部と係合部とが第1方向において重なる領域のうち、可撓片が撓む方向に沿う距離である。このように規制凸部の突出量を設定することにより、例えば第1コネクタから第2コネクタが外される際に、可撓片が第1端子に向かって撓んだ場合であっても、被係合部と係合部との係合が解除される前に、規制凸部の頂面を第1端子に接触させることができる。これにより、可撓片がそれ以上撓むことを規制できるため、被係合部と係合部との係合が解除されることを好適に抑制できる。
【0033】
[20]前記規制凸部の前記頂面は、前記第1方向に平行な平面に形成されており、前記第1端子は、前記規制凸部の前記第1方向及び前記第1反対方向における可動範囲において、平板状に形成されることが好ましい。この構成によれば、規制凸部の頂面が第1方向に平行な平面に形成され、規制凸部の可動範囲において第1端子が平板状に形成される。このため、規制凸部の頂面と第1端子とを平面同士で接触させることができる。これにより、例えば第1コネクタから第2コネクタが外される際に、規制凸部の頂面と第1端子とを好適に接触させることができるため、可撓片が撓むことを好適に規制できる。したがって、被係合部と係合部との係合が解除されることを好適に抑制できる。
【0034】
[21]本開示の第2コネクタは、第1コネクタと着脱可能な第2コネクタであって、第1コネクタは、先端部が第1方向に向かって延びる第1端子と、前記第1端子を保持する第1コネクタハウジングと、前記第1コネクタハウジングに保持されるスライド部材と、を有し、前記第1コネクタハウジングは、前記第1端子における前記第1方向と直交する方向の周囲のうちの第2方向を除く部位を覆う保護部と、前記保護部において前記第1方向に開口する第1開口部と、前記保護部において前記第2方向に開口する第2開口部と、を有し、前記スライド部材は、前記第2開口部を塞ぐ閉位置から前記第1方向とは反対方向である第1反対方向の開位置までの間でスライド移動可能であり、前記スライド部材は、前記閉位置において前記第2開口部を塞ぐスライド本体部と、前記スライド本体部と一体に形成されるとともに前記閉位置において前記第1端子の先端部を保護する先端保護部とを有するものであり、前記第2コネクタは、前記第1コネクタに組み付けられる際に前記スライド部材に設けられる被押圧部を押圧して前記スライド部材を前記開位置までスライド移動させる押圧部を有する。
【0035】
この構成によれば、第2コネクタは、第1コネクタに組み付けられる際にスライド部材に設けられる被押圧部を押圧してスライド部材を開位置までスライド移動させる押圧部を有する。このため、例えば治具等によってスライド部材を開位置にスライド移動させる必要がない。すなわち、作業者は、第1コネクタに第2コネクタを組み付けるだけで、別工程を必要とせずに、スライド部材を開位置までスライド移動させることができる。また、スライド部材を開位置に移動させるための部材を第1コネクタに設ける必要がないため、部品点数を削減できる。
【0036】
[22]前記第1コネクタから外される際に前記スライド部材に設けられる被係合部を引っ張ることにより前記スライド部材を前記閉位置までスライド移動させる係合部を有することが好ましい。この構成によれば、第2コネクタは、第1コネクタから外される際にスライド部材に設けられる被係合部を引っ張ることによりスライド部材を閉位置まで移動させる係合部を有する。このため、例えば治具等によってスライド部材を閉位置にスライド移動させる必要がない。すなわち、作業者は、第1コネクタから第2コネクタを外すだけで、別工程を必要とせずに、スライド部材を閉位置までスライド移動させることができる。
【0037】
[23]本開示のコネクタアセンブリは、第1コネクタと、前記第1コネクタに着脱可能な第2コネクタとを有するコネクタアセンブリであって、前記第1コネクタは、先端部が第1方向に向かって延びる第1端子と、前記第1端子を保持する第1コネクタハウジングと、前記第1コネクタハウジングに保持されるスライド部材と、を有し、前記第1コネクタハウジングは、前記第1端子における前記第1方向と直交する方向の周囲のうちの第2方向を除く部位を覆う保護部と、前記保護部において前記第1方向に開口する第1開口部と、前記保護部において前記第2方向に開口する第2開口部と、を有し、前記スライド部材は、前記第2開口部を塞ぐ閉位置から前記第1方向とは反対方向である第1反対方向の開位置までの間でスライド移動可能であり、前記スライド部材は、前記閉位置において前記第2開口部を塞ぐスライド本体部と、前記スライド本体部と一体に形成されるとともに前記閉位置において前記第1端子の先端部を保護する先端保護部とを有する。
【0038】
この構成によれば、第2方向に開口する第2開口部を塞ぐ閉位置から開位置までの間でスライド移動可能なスライド部材が設けられる。また、スライド部材は、閉位置において第2開口部を塞ぐスライド本体部と、閉位置において第1端子の先端部を保護する先端保護部とが一体に形成される。これにより、スライド部材が閉位置にある状態では、スライド本体部によって第2開口部が塞がれるため、例えば第2開口部を通じて作業者の指が第1端子に接触することを抑制できる。また、スライド部材が閉位置にある状態では、先端保護部によって第1端子の先端部が保護される。このため、例えば第1開口部を通じて作業者の指が保護部の内部に入り込んだ場合であっても、先端保護部によって作業者の指が第1端子に接触することを抑制できる。さらに、スライド本体部と先端保護部とを一体に形成したため、それらスライド本体部及び先端保護部を別部品とした場合に比べて、部品点数を削減できる。これらにより、感電防止対策をしつつも部品点数を削減できる。
【0039】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の第1コネクタ、第2コネクタ及びコネクタアセンブリの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「平行」や「直交」は、厳密に平行や直交の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交の場合も含まれる。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0040】
(コネクタアセンブリ10の構成)
図1及び
図2に示すように、コネクタアセンブリ10は、第1コネクタ20と、第1コネクタ20に着脱可能な第2コネクタ100とを有している。コネクタアセンブリ10は、車両に設けられるものである。例えば、車両は、高圧バッテリやインバータ等の複数の車載機器を有している。複数の車載機器同士はワイヤハーネスを介して接続される。そして、コネクタアセンブリ10は、車載機器と接続されるワイヤハーネスの端部に設けられるものである。第1コネクタ20と第2コネクタ100とは、組付方向D1に沿って互いに組み付けられている。第2コネクタ100は、例えば、組付方向D1に沿って第1コネクタ20に嵌合される。第2コネクタ100が第1コネクタ20に対して正規に嵌合されると、第1コネクタ20と第2コネクタ100とが互いに電気的に接続される。なお、組付方向D1は、第1コネクタ20に対する第2コネクタ100の相対的な組付方向を示しているものであって、第1コネクタ20を固定側として限定しているわけではない。また、各図面における上下方向は、必ずしも第1コネクタ20及び第2コネクタ100の使用時の姿勢を表すものではない。
【0041】
(第1コネクタ20の構成)
図3及び
図4に示すように、第1コネクタ20は、1つ又は複数(本実施形態では、2つ)の金属製の第1端子21と、第1端子21を保持する第1コネクタハウジング30と、スライド部材60とを有している。スライド部材60は、第1コネクタハウジング30に保持されている。
【0042】
(第1端子21の構成)
図5に示すように、各第1端子21は、基部22と、基部22から第1方向X1に向かって延びる接続部23とを有している。接続部23の先端部、つまり各第1端子21の先端部は、基部22から第1方向X1に向かって延びている。本実施形態では、第1端子21の先端部が延びる方向を第1方向X1とし、その第1方向X1の反対方向を第1反対方向X2として説明する。なお、本実施形態の第1方向X1及び第1反対方向X2は、組付方向D1と平行な方向である。第1端子21は、例えば、基部22と接続部23とが連続して一体に形成された単一部品である。第1端子21は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金等からなる金属板材をプレス加工することにより形成されている。
【0043】
図4に示すように、接続部23は、平板状に形成されている。接続部23の軸方向は、第1方向X1に沿って延びている。接続部23の幅方向は、第1方向X1と直交する第2方向Y1に沿って延びている。接続部23の厚さ方向は、第1方向X1及び第2方向Y1の双方と直交する第3方向Z1に沿って延びている。接続部23の幅方向の一方の端面が第2方向Y1を向いており、接続部23の幅方向の他方の端面が第2方向Y1の反対方向である第2反対方向Y2を向いている。接続部23の厚さ方向の一方の端面が第3方向Z1を向いており、接続部23の厚さ方向の他方の端面が第3方向Z1の反対方向である第3反対方向Z2を向いている。接続部23の厚さ方向の両端面のうち一方の端面が第2コネクタ100の第2端子101(
図1参照)と接続される接続面23Aであり、接続部23の厚さ方向の両端面のうち他方の端面が第2端子101と接続されない非接続面23Bである。
【0044】
図5及び
図6に示すように、接続面23Aは、第1方向X1に平行に延びる平面に形成されている。非接続面23Bは、第1方向X1に平行に延びる平面に形成されている。なお、
図6は、
図5に示した第1コネクタ20の一部を拡大して示したものである。
【0045】
図5に示すように、2つの第1端子21は、第3方向Z1に沿って並んで設けられている。2つの第1端子21は、例えば、第3方向Z1において、2つの接続面23A同士が互いに対向するように配置されている。
【0046】
(第1コネクタハウジング30の構成)
図3及び
図4に示すように、第1コネクタハウジング30は、例えば、基部31と、基部31から第1方向X1に延びる周壁部32と、周壁部32の内側における基部31から第1方向X1に延びる保護部40とを有している。第1コネクタハウジング30は、例えば、基部31と周壁部32と保護部40とが一体に形成された単一部品である。第1コネクタハウジング30は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料により構成されている。
【0047】
(基部31の構成)
基部31は、第1端子21の基部22(
図5参照)を保持する。基部31は、例えば、周壁部32よりも外側に突出した固定部31Aを有している。固定部31Aは、例えば、図示しない車載機器のケースに固定される。
【0048】
(周壁部32の構成)
周壁部32は、一部が切り欠かれた環状に形成されている。周壁部32は、例えば、全体として第1方向X1に延びる四角環状に形成されている。周壁部32は、例えば、四角環状における第2方向Y1の面において第1方向X1側が切り欠かれた形状に形成されている。周壁部32は、2つの第1端子21の外周を一括して包囲している。
【0049】
(保護部40の構成)
保護部40は、2つの第1端子21を個別に保護する2つの保護部40A,40Bを有している。各保護部40A,40Bは、各第1端子21の外周を包囲している。保護部40Aは、2つの第1端子21のうち第3方向Z1側に配置された第1端子21、つまり図中左側の第1端子21の外周を包囲している。保護部40Bは、2つの第1端子21のうち第3反対方向Z2側に配置された第1端子21、つまり図中右側の第1端子21の外周を包囲している。
【0050】
各保護部40A,40Bは、一部が切り欠かれた環状に形成されている。各保護部40A,40Bは、例えば、全体として第1方向X1に延びる四角環状に形成されている。各保護部40A,40Bは、第1端子21における第1方向X1と直交する方向の周囲のうちの第2方向Y1を除く部位を覆うように形成されている。各保護部40A,40Bは、四角環状における第2方向Y1の面において第1方向X1側が切り欠かれた形状に形成されている。この構成により、各保護部40A,40Bは、第1方向X1に開口する第1開口部41と、第2方向Y1に開口する第2開口部42とを有している。各保護部40A,40Bの先端は、第1端子21の先端よりも第1方向X1に突出している。
【0051】
図7に示すように、各保護部40A,40Bは、一対の側壁43,44と、下壁45と、上壁46とを有している。側壁43と側壁44とは、第3方向Z1において、互いに対向している。側壁43の内面は、接続部23の接続面23Aに対向している。側壁44の内面は、接続部23の非接続面23Bに対向している。下壁45は、四角環状をなす各保護部40A,40Bにおける第2方向Y1の周壁である。上壁46は、四角環状をなす各保護部40A,40Bにおける第2反対方向Y2の周壁である。第2開口部42は、下壁45に設けられている。第2開口部42は、下壁45の第1方向X1側が切り欠かれて形成されている。第2開口部42は、一対の側壁43,44と下壁45とによって囲まれている。
【0052】
2つの保護部40A,40Bは、第3方向Z1に沿って並んで設けられている。本実施形態では、保護部40Aの側壁43と保護部40Bの側壁43とは両方とも、第3方向Z1において、2つの第1端子21の間に設けられている。保護部40Aの側壁43と保護部40Bの側壁43とは、例えば、連結壁47により一体に形成されている。
【0053】
各保護部40A,40Bは、第2開口部42を構成する一対の側壁43,44に設けられた一対のガイド溝48A,48Bを有している。ガイド溝48Aとガイド溝48Bとは、第3方向Z1において互いに対向している。例えば、一方のガイド溝48Aは一対の側壁43,44のうち第3方向Z1側の側壁の内面に設けられ、他方のガイド溝48Bは一対の側壁43,44のうち第3反対方向Z2側の側壁の内面に設けられている。詳述すると、保護部40Aでは、ガイド溝48Aが側壁44の内面に設けられ、ガイド溝48Bが側壁43の内面に設けられている。保護部40Bでは、ガイド溝48Aが側壁43の内面に設けられ、ガイド溝48Bが側壁44の内面に設けられている。ガイド溝48A,48Bは、側壁43,44のうち第2方向Y1側の内面に設けられている。ガイド溝48A,48Bは、各保護部40A,40Bの先端部から第1反対方向X2に沿って延びている。
【0054】
図7及び
図8に示すように、一方のガイド溝48Aと他方のガイド溝48Bとは、互いに異なる形状に形成されている。例えば、ガイド溝48Aは凸部49を有する一方で、ガイド溝48Bは凸部49を有していない。
図7に示すように、凸部49は、例えば、ガイド溝48Aの底面のうち第1反対方向X2側及び第2方向Y1側に設けられている。凸部49は、例えば、基部31から第1方向X1に向かって延びている。凸部49は、例えば、ガイド溝48Aの底面に形成されるとともに、下壁45の内面に形成されている。なお、
図7は、スライド部材60が保持されていない状態の第1コネクタハウジング30の一部を図示している。
【0055】
各保護部40A,40Bは、一対の側壁43,44に設けられた一対のガイド溝50A,50Bを有している。ガイド溝50Aとガイド溝50Bとは、第3方向Z1において互いに対向している。例えば、一方のガイド溝50Aは一対の側壁43,44のうち第3方向Z1側の側壁の内面に設けられ、他方のガイド溝50Bは一対の側壁43,44のうち第3反対方向Z2側の側壁の内面に設けられている。詳述すると、保護部40Aでは、ガイド溝50Aが側壁44の内面に設けられ、ガイド溝50Bが側壁43の内面に設けられている。保護部40Bでは、ガイド溝50Aが側壁43の内面に設けられ、ガイド溝50Bが側壁44の内面に設けられている。ガイド溝50A,50Bは、側壁43,44のうち第2反対方向Y2側の内面に設けられている。ガイド溝50A,50Bは、各保護部40A,40Bの先端部から第1反対方向X2に沿って延びている。
【0056】
図9及び
図10に示すように、各保護部40A,40Bは、例えば、コネクタ側抑制部51とコネクタ側規制部55とを有している。コネクタ側抑制部51及びコネクタ側規制部55は、例えば、各保護部40A,40Bの下壁45の内面に設けられている。
【0057】
(コネクタ側抑制部51の構成)
各下壁45は、下壁45の内面から第2反対方向Y2に突出する抑制凸部52を有している。抑制凸部52における第1方向X1の面は、コネクタ側抑制部51を構成している。コネクタ側抑制部51は、抑制凸部52の頂部に向かって第1反対方向X2に僅かに傾斜した傾斜面に形成されている。抑制凸部52における第1反対方向X2の面は、抑制凸部52の頂部に向かって第1方向X1に傾斜した傾斜面53に形成されている。
【0058】
(コネクタ側規制部55の構成)
図7に示すように、各下壁45は、下壁45の内面から第2反対方向Y2に突出する1つ又は複数(本実施形態では、2つ)の規制凸部56を有している。2つの規制凸部56は、例えば、第3方向Z1において、抑制凸部52を間に挟むように設けられている。
図9及び
図10に示すように、各規制凸部56は、例えば、抑制凸部52よりも第1方向X1側に設けられている。各規制凸部56における第1反対方向X2の面は、コネクタ側規制部55を構成している。コネクタ側規制部55は、例えば、下壁45の内面から垂直に延びるように形成されている。例えば、コネクタ側規制部55は、第1方向X1と直交する平面に形成されている。各規制凸部56における第1方向X1の面は、規制凸部56の頂部に向かって第1反対方向X2に傾斜した傾斜面57に形成されている。
【0059】
図8に示すように、本実施形態の第1コネクタハウジング30では、保護部40Aと保護部40Bとが連結壁47により連結されて一体化されている。保護部40Aと保護部40Bとは、例えば、第1方向X1から見た平面視において、連結壁47を通って第2方向Y1に延びる仮想線E1に対して非線対称に形成されている。例えば、保護部40Aと保護部40Bとでは、凸部49が仮想線E1に対して非線対称な位置に設けられている。各保護部40A,40Bの内部では、例えば、第1端子21の接続部23が第3方向Z1において、側壁43,44のうち側壁44側に片寄って保持されている。
【0060】
(スライド部材60の構成)
スライド部材60は、2つの保護部40A,40Bに個別に取り付けられる2つのスライド部材60A,60Bを有している。スライド部材60Aは、保護部40Aに取り付けられている。スライド部材60Bは、保護部40Bに取り付けられている。
【0061】
図3及び
図4に示すように、各スライド部材60A,60Bは、第2開口部42を塞ぐ閉位置(
図3参照)から第1反対方向X2の開位置(
図4参照)までの間においてスライド移動可能である。ここで、第2開口部42を塞ぐ閉位置とは、第2開口部42を通じて指が第1端子21に到達しない程度に第2開口部42を塞ぐことができる位置であればよく、スライド部材60A,60Bは閉位置においても第2開口部42を密閉するとは限らない。また、開位置とは、第2開口部42を開放する位置である。なお、各スライド部材60A,60Bは、例えば、絶縁性を有する樹脂材料により構成されている。
【0062】
図8に示すように、各スライド部材60A,60Bの第1方向X1から見た平面形状は、第1方向X1と平行に延びる各スライド部材60A,60Bの中心軸に対して非点対称に形成されている。各スライド部材60A,60Bの第1方向X1から見た平面形状は、回転対称軸を有さない形状に形成されている。また、スライド部材60Aとスライド部材60Bとは、互いに異なる形状に形成されている。スライド部材60Aとスライド部材60Bとは、例えば、第1方向X1から見た平面視において、仮想線E1に対して非線対称に形成されている。
【0063】
(スライド部材60Aの構成)
まず、スライド部材60Aの具体的な構成について説明する。
図11及び
図12に示すように、スライド部材60Aは、例えば、スライド本体部61と、第1端子21の先端部を保護する先端保護部80と、被係合部90とを有している。スライド部材60Aは、スライド本体部61と先端保護部80と被係合部90とが一体に形成された単一部品である。以下では、閉位置の状態にあるスライド部材60Aの構造を中心に説明する。
【0064】
(スライド本体部61の構成)
スライド本体部61は、ベース部62と、ベース部62と離れて設けられたベース部63と、ベース部62とベース部63とを連結する連結部64とを有している。スライド本体部61は、例えば、第1方向X1から見た平面形状が、全体としてH字状に形成されている。
【0065】
ベース部62は、板状である。ベース部62の軸方向は、第1方向X1に沿って延びている。ベース部62の幅方向は第3方向Z1に延びており、ベース部62の厚さ方向は第2方向Y1に延びている。
【0066】
図8に示すように、ベース部62は、保護部40Aの一対のガイド溝48A,48Bにそれぞれ嵌まる一対のガイド部62A,62Bを有している。スライド本体部61は、ガイド部62A,62Bがそれぞれガイド溝48A,48Bにガイドされることにより、第1方向X1及び第1反対方向X2にスライド移動可能とされている。ガイド部62A,62Bは、ベース部62の幅方向の両端部に設けられている。ガイド部62Aは、ベース部62の幅方向のうち第3方向Z1側の端部に設けられている。ガイド部62Bは、ベース部62の幅方向のうち第3反対方向Z2側の端部に設けられている。
【0067】
図11に示すように、ガイド部62Aとガイド部62Bとは、互いに異なる形状に形成されている。ガイド部62Aは、例えば、ガイド部62Bよりも薄く形成されている。ガイド部62Aは、例えば、溝部65を有することでガイド部62Bよりも薄く形成されている。溝部65は、ベース部62の厚さ方向の第2方向Y1側の端面から第2反対方向Y2側に凹むように形成されている。溝部65は、第1方向X1に沿って延びている。溝部65は、ベース部62の軸方向の全長にわたって延びている。
図8に示すように、一方のガイド部62Aは溝部65を有することで凸部49を有するガイド溝48Aに嵌ることが可能であり、他方のガイド部62Aはガイド溝48Aに嵌ることが不能とされている。これにより、スライド部材60Aの第1コネクタハウジング30への誤組付けが防止されている。
【0068】
図11に示すように、ベース部62は、ベース部62の幅方向の中央部に設けられた溝部66を有している。溝部66は、ベース部62の厚さ方向の第2方向Y1側の端面から第2反対方向Y2側に凹むように形成されている。溝部66は、第1方向X1に沿って延びている。溝部66は、ベース部62の軸方向の全長にわたって延びている。
【0069】
ベース部62は、例えば、溝部66の軸方向の中間部においてベース部62を厚さ方向、つまり第2方向Y1に貫通する貫通部67と、貫通部67の内縁部から延びる係合片68とを有している。貫通部67は、例えば、溝部66の軸方向の中央部よりも第1反対方向X2に片寄った位置に設けられている。係合片68は、基部片69と、2つの両側片70と、連結片71とを有している。基部片69は、貫通部67における第1反対方向X2の内縁部から第1方向X1に延びている。各両側片70は、基部片69の先端部における両側から第2方向Y1に僅かに段差を有しつつ第1方向X1に延びている。連結片71は、2つの両側片70の先端部同士を連結している。
【0070】
図9に示すように、連結片71における第1反対方向X2の面は、コネクタ側抑制部51と係合することにより、スライド部材60Aの第1反対方向X2への移動を抑制するスライド側抑制部72として機能する。スライド側抑制部72は、例えば、第1方向X1と直交する平面に形成されている。スライド側抑制部72は、スライド部材60Aが閉位置にある状態において、コネクタ側抑制部51、つまり抑制凸部52における第1方向X1の面と係合する。スライド側抑制部72がコネクタ側抑制部51に係合することにより、スライド部材60Aの第1反対方向X2への移動が抑制され、スライド部材60Aが閉位置に維持される。スライド部材60Aは、閉位置にある状態から第1反対方向X2に力が加えられてもスライド側抑制部72がコネクタ側抑制部51と係合することにより、設定値以上の力が加えられるまでは、第1反対方向X2への移動が抑制される。そして、スライド部材60Aは、閉位置にある状態から第1反対方向X2に設定値以上の力が加えられると、係合片68が撓んで連結片71が抑制凸部52を乗り越えて、スライド側抑制部72がコネクタ側抑制部51と非係合となり、第1反対方向X2へ移動する。このとき、ベース部62は、基部31に設けられた挿入孔31Xの内部に挿入される。
【0071】
図10に示すように、係合片68の両側片70における第1方向X1の面は、コネクタ側規制部55と係合することにより、スライド部材60Aの第1方向X1への移動を規制するスライド側規制部73として機能する。スライド側規制部73は、例えば、第1方向X1と直交する平面に形成されている。スライド側規制部73は、スライド部材60Aが閉位置にある状態において、コネクタ側規制部55、つまり規制凸部56の第1反対方向X2の面と係合する。スライド側規制部73がコネクタ側規制部55に係合することにより、スライド部材60Aの第1方向X1への移動が規制され、スライド部材60Aが閉位置に維持される。スライド部材60Aは、閉位置にある状態から第1方向X1に力が加えられてもスライド側規制部73がコネクタ側規制部55と係合することにより、第1方向X1への移動が規制される。このとき、スライド側規制部73とコネクタ側規制部55とは、第1方向X1と直交する平面同士により係合するため、係合片68が撓んで両側片70が規制凸部56を乗り越えてしまうことが抑制される。これにより、スライド部材60Aが第1コネクタハウジング30から脱落することが抑制される。
【0072】
図11及び
図12に示すように、ベース部63は、例えば、ベース部62から第2反対方向Y2に離れた位置に設けられている。ベース部63は、板状である。ベース部63は、例えば、ベース部62よりも第1方向X1に短い。ベース部63は、例えば、第2方向Y1において、ベース部6
2と対向している。ベース部63は、例えば、ベース部62と平行に形成されている。以下では、便宜上、ベース部63の軸方向を第1方向X1に延びる方向とし、ベース部63の幅方向を第3方向Z1に延びる方向とし、ベース部63の厚さ方向を第2方向Y1に延びる方向とする。本実施形態のベース部63は、ベース部62の先端部、つまりベース部62における第1方向X1側の端部と対向する位置のみに設けられている。
【0073】
図8に示すように、ベース部63は、保護部40Aの一対のガイド溝50A,50Bにそれぞれ嵌まる一対のガイド部63A,63Bを有している。スライド本体部61は、ガイド部63A,63Bがそれぞれガイド溝50A,50Bにガイドされることにより、第1方向X1及び第1反対方向X2にスライド移動可能とされている。ガイド部63A,63Bは、ベース部63の幅方向の両端部に設けられている。ガイド部63Aは、ベース部63の幅方向のうち第3方向Z1側の端部に設けられている。ガイド部63Bは、ベース部63の幅方向のうち第3反対方向Z2側の端部に設けられている。ガイド部63Aとガイド部63Bとは、互いに同一の形状に形成されている。例えば、ガイド部63Aの厚さ寸法はガイド部63Bの厚さ寸法と等しく、ガイド部63Aの軸方向に沿う長さ寸法はガイド部63Bの軸方向に沿う長さ寸法と等しい。なお、本明細書において「等しい」とは、正確に等しい場合の他、寸法公差等の影響により比較対象同士に多少の相違がある場合も含む。一対のガイド部63A,63Bは、例えば、一対のガイド部62A,62Bと異なる形状に形成されている。
【0074】
図11に示すように、連結部64は、ベース部62から第2反対方向Y2に向かってベース部63まで延びている。連結部64は、ベース部62の先端部とベース部63の先端部とを連結している。連結部64は、第1方向X1に沿って延びる所定の厚さを有している。連結部64の第1方向X1に沿う寸法は、例えば、ベース部63の第1方向X1に沿う寸法と等しい。連結部64は、ベース部62,63の幅方向の中間部に設けられている。連結部64は、例えば、ベース部62,63の幅方向において、その幅方向の中心から僅かにガイド部62A,63A側に、つまり第3方向Z1側に片寄って設けられている。このため、連結部64における第3反対方向Z2の面から第反対3方向Z2に向かって突出するベース部62,63の突出量は、連結部64における第3方向Z1の面から第3方向Z1に向かって突出するベース部62,63の突出量よりも大きい。
【0075】
連結部64は、第1端子21の接続部23を囲む環状に形成されている。連結部64は、接続部23の外周を周方向全周にわたって包囲している。連結部64は、接続部23が貫通する貫通孔64Xを有している。連結部64は、貫通孔64Xを有することにより環状に形成されている。貫通孔64Xは、接続部23の外周面に対応する内周面を有している。連結部64は、例えば、外縁形状及び貫通孔64Xの内周形状が四角形をなす四角環状に形成されている。
【0076】
ここで、
図8に示すように、ベース部62の先端面とベース部63の先端面と連結部64の先端面とは、第1コネクタ20に第2コネクタ100が組み付けられる際に、第2コネクタ100に設けられた押圧部130(
図17参照)に押圧される被押圧部75として機能する。スライド部材60Aは、例えば、被押圧部75が押圧部130に押圧されることにより、開位置までスライド移動する。被押圧部75は、例えば、第1方向X1から見た平面視において、H字状に形成されている。なお、
図8では、被押圧部75として機能する領域を、ドット模様を付して示している。
【0077】
(先端保護部80の構成)
図11及び
図12に示すように、先端保護部80は、スライド本体部61の先端面に一体に形成されている。先端保護部80は、例えば、連結部64の先端面に一体に形成されている。先端保護部80は、例えば、被押圧部75よりも第1方向X1に突出して形成されている。先端保護部80は、連結部64の先端面から第1方向X1に突出している。先端保護部80は、スライド本体部61が第1方向X1及び第1反対方向X2に沿ってスライド移動する際に、スライド本体部61と一緒に第1方向X1及び第1反対方向X2に沿ってスライド移動する。
図3に示すように、先端保護部80は、スライド部材60Aが閉位置にある状態において、接続部23の先端部を保護する保護位置に配置される。
図4に示すように、先端保護部80は、スライド部材60Aが開位置にある状態において、接続部23の先端部及び接続部23の接続面23Aを露出する露出位置に配置される。先端保護部80は、例えば、スライド部材60Aが開位置にある状態において、接続面23Aと第2コネクタ100の第2端子101(
図2参照)との接続部分よりも第1反対方向X2側に配置される。このように、先端保護部80は、スライド本体部61のスライド移動と合わせて、保護位置(
図3参照)から露出位置(
図4参照)までの間においてスライド移動可能である。以下では、保護位置の状態にある先端保護部80の構造、つまりスライド部材60Aが閉位置にある状態における先端保護部80の構造を中心に説明する。
【0078】
図11に示すように、先端保護部80は、接続部23の先端部を囲む環状に形成されている。先端保護部80は、接続部23の先端部の外周を周方向全周にわたって包囲している。先端保護部80は、接続部23が貫通する貫通孔80Xを有している。先端保護部80は、貫通孔80Xを有することにより環状に形成されている。貫通孔80Xは、接続部23の外周面に対応する内周面を有している。先端保護部80は、例えば、外縁形状及び貫通孔80Xの内周形状が四角形をなす四角環状に形成されている。貫通孔80Xは、貫通孔64Xと連通している。貫通孔80Xの内周面は、例えば、貫通孔64Xの内周面と段差無く連続して形成されている。先端保護部80の外周面は、例えば、第1方向X1から見た平面形状が連結部64の外周面よりも一回り小さく形成されている。先端保護部80は、例えば、連結部64の先端面の一部を露出するように形成されている。換言すると、貫通孔80Xを構成する先端保護部80の周壁は、貫通孔64Xを構成する連結部64の周壁よりも第3方向Z1に沿う厚さが薄く形成されている。
【0079】
図6に示すように、先端保護部80は、接続部23の先端面よりも第1方向X1に突出している。すなわち、先端保護部80の先端面は、接続部23の先端面よりも第1方向X1に突出した位置に設けられている。先端保護部80の先端部における外周面は、先端保護部80の基端側(つまり、連結部64側)から先端保護部80の先端面に向かうに連れて、先端保護部80の中心軸に近づくように傾斜する傾斜面81を有している。傾斜面81は、例えば、接続部23の先端面よりも第1方向X1に突出した部分の先端保護部80の外周面に形成されている。
図11及び
図12に示すように、傾斜面81は、例えば、先端保護部80の周方向全周にわたって形成されている。
【0080】
貫通孔80Xの内周面には、凹部82が設けられている。凹部82は、貫通孔80Xの内周面から先端保護部80の径方向外側に凹むように形成されている。凹部82は、貫通孔80Xにおける第3反対方向Z2の内周面、つまり貫通孔80Xの内周面のうち接続部23の接続面23Aと対向する内周面に設けられている。凹部82は、貫通孔80Xにおける第3反対方向Z2の内周面のうち、第2方向Y1の中間部に設けられている。凹部82は、例えば、先端保護部80の先端面から連結部64の第1反対方向X2の面まで延びている。すなわち、凹部82は、貫通孔64Xにおける第3反対方向Z2の内周面、つまり貫通孔64Xの内周面のうち接続面23Aと対向する内周面にも形成されている。
図6に示すように、凹部82の底面は、接続面23Aと対向している。凹部82の底面は、第3方向Z1において接続面23Aと離れて設けられている。凹部82を設けたことにより、貫通孔64X,80Xの内周面と接続面23Aとが接触することを抑制できる。このため、貫通孔64X,80Xの内周面との接触により、接続面23Aが摩耗することを抑制できる。
【0081】
(被係合部90の構成)
図13及び
図14に示すように、被係合部90は、第1コネクタ20から第2コネクタ100が外される際に、第2コネクタ100に設けられた係合部140に引っ張られる部分である。スライド部材60Aは、被係合部90が係合部140に引っ張られることにより閉位置までスライド移動する。なお、
図14は、
図13に示したコネクタアセンブリ10の一部を拡大して示したものである。
【0082】
図11及び
図12に示すように、スライド部材60Aは、1つ又は複数(本実施形態では、2つ)の被係合片91を有している。被係合部90は、2つの被係合片91の各々に設けられている。このため、本実施形態のスライド部材60Aは、2つの被係合部90を有している。
【0083】
各被係合片91は、例えば、連結部64及び先端保護部80に設けられている。各被係合片91は、先端保護部80の周壁のうち接続部23の接続面23Aと対向しない周壁に設けられている。各被係合片91は、例えば、先端保護部80における第3方向Z1の周壁、つまり先端保護部80の周壁のうち接続部23の非接続面23Bと対向する周壁に設けられている。各被係合片91は、例えば、連結部64における第3方向Z1の周壁、つまり連結部64の周壁のうち非接続面23Bと対向する周壁に設けられている。各被係合片91は、例えば、凹部82の反対側に設けられている。各被係合片91は、第3方向Z1において、第1端子21を間にして凹部82の反対側に設けられている。各被係合片91は、凹部82と対向している。2つの被係合片91は、先端保護部80における第3方向Z1の周壁のうち、第2方向Y1の中間部に設けられている。2つの被係合片91は、第2方向Y1において互いに離れて設けられている。
【0084】
各被係合片91は、例えば、基部92と、基部92から第1方向X1に延びる可撓片93と、可撓片93の先端部に設けられた被係合部90と、可撓片93の先端部に設けられた規制凸部94とを有している。基部92は、連結部64の基端部に一体に連結されている。基部92の第3方向Z1に沿う厚さは、連結部64の周壁の第3方向Z1に沿う厚さよりも薄い。基部92の第3方向Z1に沿う厚さは、例えば、先端保護部80の周壁の第3方向Z1に沿う厚さよりも薄い。
【0085】
可撓片93は、基部92に接続される基端部と、基端部と第1方向X1において反対側に設けられた先端部とを有する。可撓片93は、基端部を固定端とし、先端部を自由端とする片持ち状に形成されている。可撓片93は、第1方向X1と直交する方向、本実施形態では第3方向Z1及び第3反対方向Z2に可撓性を有している。可撓片93は、弾性変形による第3方向Z1及び第3反対方向Z2への撓みが可能に構成されている。可撓片93は、連結部64の周壁及び先端保護部80の周壁と離れて設けられている。すなわち、可撓片93の外面と、連結部64の周壁及び先端保護部80の周壁との間には、隙間が設けられている。換言すると、可撓片93の第2方向Y1に沿う長さは、基部92の第2方向Y1に沿う長さよりも短い。また、可撓片93の第3方向Z1に沿う厚さは、基部92の第3方向Z1に沿う厚さと等しい。
【0086】
図14に示すように、可撓片93の先端部は、接続部23の先端面よりも第1方向X1に突出している。可撓片93の先端部は、例えば、スライド部材60Aが閉位置にある状態において、可撓片93が第3反対方向Z2に撓んだ場合であっても、規制凸部94が接続部23に接触しない程度に接続部23の先端面よりも第1方向X1に突出している。可撓片93の先端面は、例えば、先端保護部80の先端面よりも第1方向X1に突出していない。すなわち、可撓片93の先端面は、先端保護部80の先端面よりも組付方向D1の手前側、つまり第2コネクタ100に近づく方向に突出していない。換言すると、可撓片93の先端面は、先端保護部80の先端面と同一平面上に形成されている、又は先端保護部80の先端面よりも第1反対方向X2側に凹んだ位置に設けられている。本実施形態の可撓片93の先端面は、先端保護部80の先端面と同一平面上に形成されている。
【0087】
図11及び
図12に示すように、被係合部90は、第3方向Z1に突出している。被係合部90は、可撓片93における第3方向Z1の端面から第3方向Z1に突出している。被係合部90は、先端保護部80における第3方向Z1の周壁の外周面よりも第3方向Z1に突出している。被係合部90は、連結部64における第3方向Z1の周壁の外周面よりも第3方向Z1に突出していない。被係合部90は、例えば、可撓片93の第2方向Y1の全長にわたって延びている。
【0088】
図14に示すように、被係合部90における第1反対方向X2の面は、被係合部90の頂部に向かって第1方向X1に傾斜した傾斜面95に形成されている。傾斜面95は、組付方向D1と直交する平面に対して傾斜している。傾斜面95は、例えば、被係合部90における第1反対方向X2の面の全面に設けられている。第1コネクタ20から第2コネクタ100が外される際には、第2コネクタ100に設けられた係合部140が被係合部90の傾斜面95に係合する。傾斜面95は、第1コネクタ20から第2コネクタ100が外される際に、スライド部材60Aが閉位置にある状態において係合部140と被係合部90とを非係合となるように案内する。
【0089】
被係合部90における第1方向X1の面は、被係合部90の頂部に向かって第1反対方向X2に傾斜した傾斜面96に形成されている。傾斜面96は、組付方向D1と直交する平面に対して傾斜している。傾斜面96は、被係合部90における第1方向X1の面の全面に設けられている。傾斜面96の傾斜角度は、例えば、傾斜面95の傾斜角度よりも大きい。ここで、傾斜面95,96の傾斜角度は、第2方向Y1から見た平面視において、傾斜面95,96が延びる方向と第3方向Z1とがなす角度において、鋭角の角度である。傾斜面96は、第1コネクタ20に第2コネクタ100が組み付けられる際に、係合部140を被係合部90と係合可能な位置に案内する。
【0090】
図15及び
図16に示すように、規制凸部94は、第1コネクタ20から第2コネクタ100が外される際に、スライド部材60Aが開位置から閉位置に戻る前に係合部140と被係合部90との係合が解除されないように、可撓片93の撓み量を規制している。規制凸部94は、第3反対方向Z2に突出している。規制凸部94は、可撓片93における第3反対方向Z2の端面よりも第3反対方向Z2に突出している。
図8に示すように、規制凸部94は、先端保護部80における第3方向Z1の周壁の内周面よりも僅かに第3反対方向Z2に突出している。規制凸部94は、例えば、第1方向X1から見た平面視において、接続部23の一部と重なるように形成されている。規制凸部94は、例えば、可撓片93の第2方向Y1の一部のみに設けられている。本実施形態の規制凸部94は、可撓片93の第2方向Y1の中間部のみに設けられている。規制凸部94の第2方向Y1に沿う長さは、被係合部90の第2方向Y1に沿う長さよりも短い。規制凸部94における第3
反対方向Z
2の面、つまり規制凸部94の頂面97は、組付方向D1と直交する平面に形成されている。
【0091】
図16に示すように、規制凸部94は、スライド部材60Aが開位置から閉位置までの間をスライド移動する際に、接続部23の非接続面23Bと対向している。規制凸部94は、先端保護部80が保護位置から露出位置までの間をスライド移動する際に、頂面97が非接続面23Bに接触しながら、第1方向X1及び第1反対方向X2にスライド移動する。このとき、可撓片93は、頂面97が非接続面23Bに接触することにより、第3方向Z1に撓む。頂面97と非接続面23Bとの接触は、面接触、線接触及び点接触のいずれの形態であってもよい。ここで、非接続面23Bは、規制凸部94の第1方向X1及び第1反対方向X2における可動範囲において、第1方向X1と平行に延びる平面に形成されている。
【0092】
規制凸部94の突出量は、例えば、第2方向Y1から見た平面視において、頂面97が非接続面23Bに対向した際における頂面97と非接続面23Bとの間のクリアランスが、係合部140と被係合部90との重なり量よりも小さくなるように設定されている。規制凸部94の突出量は、スライド部材60Aが開位置にある状態において、頂面97と非接続面23Bとの間のクリアランスが、係合部140と被係合部90との重なり量よりも小さくなるように設定されている。ここで、係合部140と被係合部90との重なり量は、係合部140と被係合部90とが第1方向X1において重なる領域のうち、可撓片93が撓む方向、詳しくは第3方向Z1に沿う距離である。このように規制凸部94の突出量を設定することにより、係合部140と被係合部90との係合が解除される前に、規制凸部94の頂面97が非接続面23Bに接触する。これにより、可撓片93が第3反対方向Z2に撓むことが規制されるため、係合部140と被係合部90との係合が解除されることを抑制できる。
【0093】
(スライド部材60Bの構成)
次に、
図11及び
図12にしたがって、スライド部材60Bの具体的な構成について説明する。ここでは、スライド部材60Aとの相違点について主に説明し、スライド部材60Aと同様の構成には同じ符号を付して、説明の一部又は全部を割愛する場合がある。また、閉位置の状態にあるスライド部材60Bの構造を中心に説明する。
【0094】
スライド部材60Bは、スライド部材60Aと同様に、スライド本体部61と、先端保護部80と、被係合部90とを有している。
(スライド本体部61の構成)
スライド部材60Bのスライド本体部61は、ベース部62と、ベース部63と、連結部64とを有している。ベース部62,63は、スライド部材60Aのベース部62,63と同様の構造を有している。
【0095】
スライド部材60Bの連結部64は、ベース部62から第2反対方向Y2に沿ってベース部63まで延びている。連結部64は、ベース部62,63の幅方向の中間部に設けられている。連結部64は、例えば、ベース部62,63の幅方向において、その幅方向の中心から僅かにガイド部62B,63B側、つまり第3反対方向Z2側に片寄って設けられている。このため、連結部64における第3方向Z1の面から第3方向Z1に向かって突出するベース部62,63の突出量は、連結部64における第3反対方向Z2の面から第3反対方向Z2に向かって突出するベース部62,63の突出量よりも大きい。
【0096】
図8に示すように、スライド部材60Bでは、ベース部62の先端面とベース部63の先端面と連結部64の先端面とは、第1コネクタ20に第2コネクタ100が組み付けられる際に、第2コネクタ100の押圧部130(
図17参照)に押圧される被押圧部75として機能する。スライド部材60Bは、例えば、被押圧部75が押圧部130に押圧されることにより、開位置までスライド移動する。スライド部材60Bの被押圧部75は、スライド部材60Aの被押圧部75と同様に、第1方向X1から見た平面形状がH字状に形成されている。
【0097】
(先端保護部80の構成)
図12に示すように、スライド部材60Bの先端保護部80は、接続部23が貫通する貫通孔80Xを有することにより環状に形成されている。貫通孔80Xにおける第3方向Z1の内周面、つまり貫通孔80Xの内周面のうち接続部23の接続面23Aと対向する内周面に設けられている。凹部82の底面は、接続面23Aと対向している。凹部82の底面は、第3方向Z1において接続面23Aと離れて設けられている。
【0098】
(被係合部90の構成)
図11及び
図12に示すように、スライド部材60Bは、1つ又は複数(本実施形態では、2つ)の被係合片91を有している。被係合部90は、2つの被係合片91の各々に設けられている。このため、本実施形態のスライド部材60Bは、2つの被係合部90を有している。
【0099】
スライド部材60Bの被係合片91は、例えば、先端保護部80における第3反対方向Z2の周壁、つまり先端保護部80の周壁のうち接続部23の非接続面23Bと対向する周壁に設けられている。各被係合片91は、第3方向Z1において、第1端子21を間にして凹部82の反対側に設けられている。各被係合片91は、凹部82と対向している。
【0100】
スライド部材60Bの各被係合片91は、スライド部材60Aの各被係合片91と同様に、基部92と、可撓片93と、可撓片93の先端部に設けられた被係合部90及び規制凸部94とを有している。
【0101】
(第2コネクタ100の構成)
図17に示すように、第2コネクタ100は、1つ又は複数(本実施形態では、2つ)の金属製の第2端子101と、第2端子101を保持する第2コネクタハウジング110とを有している。本実施形態では、2つの第2端子101が第3方向Z1に沿って並んだ状態で第2コネクタハウジング110に保持されている。第2コネクタハウジング110は、第1コネクタハウジング30と着脱可能である。なお、第2コネクタ100における第3方向Z1を含む方向の説明は、第2コネクタ100が第1コネクタ20に組み付けられた態を基準として記載する。
【0102】
各第2端子101の先端部は、第2反対方向Y2に向かって延びている。各第2端子101は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金等からなる金属板材をプレス加工することにより形成されている。
【0103】
図15に示すように、複数の第2端子101は、複数の第1端子21のそれぞれに対応して設けられている。各第2端子101の先端部は、各第1端子21の接続面23Aに接続される接続部102を有している。各接続部102は、第1コネクタ20に第2コネクタ100が組み付けられた状態において、第1端子21の接続面23Aと接触して第1端子21と電気的に接続される。
【0104】
図17に示すように、第2コネクタハウジング110は、第2端子101を収容する1つ又は複数(本実施形態では、2つ)の端子収容部120と、押圧部130と、係合部140とを有している。複数の端子収容部120は、複数の第2端子101のそれぞれに対応して設けられている。各端子収容部120は、各第1端子21(
図16参照)が挿入される挿入孔121を有している。挿入孔121は、組付方向D1と平行な方向、詳しくは第1反対方向X2に開口している。各端子収容部120は、各端子収容部120の内部空間において各第2端子101の接続部102を露出した状態で第2端子101を保持している。
【0105】
押圧部130は、複数の端子収容部120のそれぞれに設けられている。このため、本実施形態の第2コネクタハウジング110は、2つの押圧部130を有している。
図18に示すように、各押圧部130は、第2コネクタハウジング110において各スライド部材60A,60Bの被押圧部75と対応した位置に設けられている。各押圧部130は、例えば、各端子収容部120における第1反対方向X2の面によって構成されている。各押圧部130は、例えば、各端子収容部120のうち第1コネクタ20と対向する面によって構成されている。
図14に示すように、各押圧部130は、各被押圧部75に線接触又は面接触する。すなわち、各押圧部130は、各被押圧部75に多点接触する。本実施形態の各押圧部130は、第2コネクタ100が第1コネクタ20に組み付けられる際に、各被押圧部75に面接触した状態で各被押圧部75を押圧して、各スライド部材60A,60Bを開位置までスライド移動させる。
【0106】
図18に示すように、係合部140は、複数の端子収容部120のそれぞれに設けられている。係合部140は、各端子収容部120において、2つの被係合部90のそれぞれに対応して2つ設けられている。このため、本実施形態の第2コネクタハウジング110は、4つの係合部140を有している。各係合部140は、第2コネクタハウジング110において各スライド部材60A,60Bの被係合部90と対応した位置に設けられている。各係合部140は、第2コネクタ100が第1コネクタ20から外される際に各被係合部90を引っ張ることにより各スライド部材60A,60Bを閉位置までスライド移動させる。
【0107】
図14に示すように、各係合部140は、例えば、押圧部130と同一平面から挿入孔121の中心軸に向かって突出する爪141を有している。爪141は、例えば、保護部40の側壁43,44のうち側壁44の近くに設けられた押圧部130から側壁43に近づく方向、詳しくは第3方向Z1又は第3反対方向Z2に向かって突出している。爪141は、例えば、挿入孔121の内方に突出している。係合部140は、爪141における第1方向X1の面によって構成されている。爪141における第1方向X1の面及び第1反対方向X2の面は、例えば、第1方向X1と直交する平面に形成されている。各係合部140は、第2コネクタ100が第1コネクタ20から外される際に、爪141における第1方向X1の面が被係合部90の傾斜面95に係合した状態で被係合部90を引っ張ることにより、各スライド部材60A,60Bを閉位置までスライド移動させる。
【0108】
次に、コネクタアセンブリ10の作用について説明する。
図3に示すように、第1コネクタ20に第2コネクタ100(
図1参照)が組み付けられる前の状態では、スライド部材60が第2開口部42を塞ぐ閉位置に配置される。このため、例えば第2開口部42を通じて作業者の指が第1端子21に接触することが抑制される。また、スライド部材60が閉位置に配置された状態では、スライド部材60の先端保護部80が第1端子21の先端部を包囲する保護位置に配置される。このため、例えば第1開口部41を通じて作業者の指が保護部40の内部に入り込んだ場合であっても、先端保護部80により作業者の指が第1端子21に接触することが抑制される。
【0109】
続いて、
図16、
図18、
図19及び
図20にしたがって、第1コネクタ20と第2コネクタ100との着脱動作について説明する。
図18に示すように、第1コネクタ20に第2コネクタ100が組付方向D1に沿って組み付けられる際には、まず、爪141における第1反対方向X2の面が可撓片93の先端面に接触する。このとき、爪141における第1反対方向X2の面と被係合部90の傾斜面96との作用によって可撓片93が第1端子21に向かって撓むことにより、爪141が被係合部90を乗り越える。これにより、
図19に示すように、係合部140が被係合部90と係合可能な位置、詳しくは爪141における第1方向X1の面が被係合部90の傾斜面95と係合可能な位置に配置される。すなわち、係合部140の爪141は、被係合部90の傾斜面96により、被係合部90の傾斜面95と係合可能な位置に案内される。ここで、スライド部材60が閉位置にある状態では、可撓片93の先端部が第1端子21の先端面よりも第1方向X1に突出しているため、可撓片93が第1端子21に向かって撓んだ際に、規制凸部94が第1端子21に接触することが抑制される。また、可撓片93が第1端子21に向かって撓む際には、スライド側抑制部72とコネクタ側抑制部51との係合により、スライド部材60が閉位置の状態に維持される。
【0110】
続いて、第1コネクタ20と第2コネクタ100との嵌合が進むと、押圧部130が被押圧部75に面接触した状態で被押圧部75を第1反対方向X2に向かって押圧する。このとき、閉位置にある状態のスライド部材60に対して第1反対方向X2に設定値以上の力が加えられることになる。このため、スライド部材60の係合片68が撓んで連結片71が抑制凸部52を乗り越えて、スライド側抑制部72がコネクタ側抑制部51と非係合となり、スライド部材60が第1反対方向X2へ移動する。
【0111】
次いで、
図16及び
図20に示すように、被押圧部75が押圧部130に押圧されることにより、スライド部材60が開位置までスライド移動される。このとき、スライド本体部61と一緒に先端保護部80も第1反対方向X2に移動される。これにより、第1端子21の先端部が先端保護部80から露出される。ここで、先端保護部80の周壁のうち第1端子21の接続面23Aと対向する周壁の内周面に凹部82が設けられているため、スライド部材60がスライド移動する際に、先端保護部80の内周面との接触により接続面23Aが摩耗することを抑制できる。そして、第1コネクタ20と第2コネクタ100との組み付けが完了した状態では、第1端子21の接続面23Aと第2端子101の接続部102とが互いに接触され、第1端子21と第2端子101とが電気的に接続される。また、第1コネクタ20と第2コネクタ100との組み付けが完了した状態では、スライド部材60が開位置に配置される。ここで、スライド部材60が開位置にある状態では、先端保護部80が第1端子21と第2端子101との接続部分よりも第1反対方向X2側に設けられる。また、開位置では、スライド部材60の全体が第1端子21と第2端子101との接続部分よりも第1反対方向X2側に設けられる。このため、第1コネクタ20と第2コネクタ100との組み付けが完了した状態では、スライド部材60は、端子収容部120の内部空間において、第1端子21と第2端子101との接続部分の近傍に入り込んでいない。したがって、仮に耐久劣化等に起因してスライド部材60が破損した場合であっても、その破損したスライド部材60が第1端子21と第2端子101との電気的接続に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
【0112】
次に、第1コネクタ20から第2コネクタ100が外される際には、被係合部90の傾斜面95に係合部140の爪141が係合することにより、被係合部90が係合部140によって第1方向X1に向かって引っ張られる。これにより、スライド部材60は、開位置から閉位置までスライド移動される。このとき、傾斜面95と爪141との係合により、可撓片93が第1端子21に向かって撓む。但し、可撓片93の先端部には、第1端子21に向かって突出する規制凸部94が設けられている。さらに、規制凸部94の頂面97と第1端子21の非接続面23Bとの間のクリアランスが、爪141と被係合部90との重なり量よりも小さく設定されている。このため、可撓片93が第1端子21に向かって撓んだ場合であっても、爪141と被係合部90との係合が外れる前に、規制凸部94の頂面97を非接続面23Bに接触させることができ、可撓片93の撓み量を規制できる。この結果、スライド部材60が開位置から閉位置までスライド移動する途中において、係合部140と被係合部90との係合が解除されることを抑制できる。換言すると、係合部140が被係合部90に係合して被係合部90を引っ張ることにより、スライド部材60を閉位置まで好適にスライド移動させることができる。
【0113】
図19に示すように、スライド部材60が閉位置まで移動すると、スライド側抑制部72とコネクタ側抑制部51とが互いに係合されるとともに、スライド側規制部73とコネクタ側規制部55とが互いに係合される。これにより、スライド部材60の第1方向X1への移動が規制される。続いて、第1コネクタ20から第2コネクタ100を外す動作が更に進むと、爪141における第1方向X1の面と被係合部90の傾斜面95との作用によって可撓片93が第1端子21に向かって撓むことにより、爪141が被係合部90から外れる。これにより、
図18に示すように、係合部140と被係合部90とが非係合となり、第2コネクタ100が第1コネクタ20から取り外される。すなわち、係合部140の爪141は、被係合部90の傾斜面95により、被係合部90の傾斜面95と非係合となる位置に案内される。そして、第2コネクタ100が第1コネクタ20から外された状態では、スライド部材60が第2開口部42を塞ぐ閉位置に復帰している。これにより、例えば第2開口部42を通じて作業者の指が第1端子21に接触することが抑制される。
【0114】
次に、本実施形態の効果を説明する。
(1)第2方向Y1に開口する第2開口部42を塞ぐ閉位置から開位置までの間でスライド移動可能なスライド部材60を有する。スライド部材60では、閉位置において第2開口部42を塞ぐスライド本体部61と、閉位置において第1端子21の先端部を保護する先端保護部80とが一体に形成される。これにより、スライド部材60A,60Bが閉位置にある状態では、スライド本体部61によって第2開口部42が塞がれるため、例えば第2開口部42を通じて作業者の指が第1端子21に接触することを抑制できる。また、スライド部材60が閉位置にある状態では、先端保護部80によって第1端子21の先端部が保護される。このため、例えば第1開口部41を通じて作業者の指が保護部40の内部に入り込んだ場合であっても、先端保護部80によって作業者の指が第1端子21に接触することを抑制できる。さらに、スライド本体部61と先端保護部80とを一体に形成したため、それらスライド本体部61及び先端保護部80を別部品とした場合に比べて、部品点数を削減できる。これらにより、感電防止対策をしつつも部品点数を削減できる。
【0115】
(2)先端保護部80は、スライド部材60が閉位置から開位置にスライド移動する際に、スライド本体部61と一緒に第1反対方向X2にスライド移動する。そして、先端保護部80は、開位置において、第1端子21と第2端子101との接続部分よりも第1反対方向X2側に設けられる。このため、第1コネクタ20と第2コネクタ100との組み付けが完了した状態では、スライド部材60は、端子収容部120の内部空間において、第1端子21と第2端子101との接続部分の近傍に入り込まない。したがって、仮に耐久劣化等に起因して先端保護部80が破損した場合であっても、その破損した先端保護部80が第1端子21と第2端子101との電気的接続に悪影響を及ぼすことを抑制できる。すなわち、第1端子21と第2端子101との電気的接続信頼性の低下を抑制できる。
【0116】
(3)保護部40は一対のガイド溝48A,48Bを有し、スライド部材60は一対のガイド溝48A,48Bに嵌る一対のガイド部62A,62Bを有する。この構成によれば、ガイド部62A,62Bがガイド溝48A,48Bにガイドされることにより、スライド部材60を第1方向X1及び第1反対方向X2に円滑にスライド移動させることができる。また、スライド部材60がスライド移動する際に、スライド部材60が傾くことを抑制できる。
【0117】
(4)保護部40はガイド溝48A,48Bと第2方向Y1において離れて設けられる一対のガイド溝50A,50Bを有し、スライド部材60は一対のガイド溝50A,50Bに嵌る一対のガイド部63A,63Bを有する。この構成によれば、ガイド部63A,63Bがガイド溝50A,50Bにガイドされることにより、スライド部材60を第1方向X1及び第1反対方向X2に円滑にスライド移動させることができる。また、スライド部材60がスライド移動する際に、第2方向Y1において互いに離れたガイド溝48A,48B及びガイド溝50A,50Bにガイド部62A,62B及びガイド部63A,63Bがそれぞれガイドされるため、スライド部材60が傾くことを好適に抑制できる。
【0118】
(5)一対のガイド部62A,62Bのうちの一方のガイド部62Aのみに溝部65が設けられる。また、一対のガイド溝48A,48Bのうちの一方のガイド溝48Aには、溝部65を有するガイド部62Aのみが嵌まることが可能であり、溝部65を有さないガイド部62Bが嵌まることが不能である。このため、一方のガイド溝48Aに対して溝部65を有するガイド部62Aが嵌まる姿勢でのみスライド部材60を第1コネクタハウジング30に組み付けることが可能となる。したがって、スライド部材60の誤組み付けを抑制できる。
【0119】
(6)第1コネクタ20に第2コネクタ100が組み付けられる際に、被押圧部75が第2コネクタ100の押圧部130に押圧されることによりスライド部材60が開位置までスライド移動する。このため、例えば治具等によってスライド部材60を開位置にスライド移動させる必要がない。すなわち、作業者は、第1コネクタ20に第2コネクタ100を組み付けるだけで、別工程を必要とせずに、スライド部材60を開位置までスライド移動させることができる。
【0120】
(7)被押圧部75が押圧部130と面接触するため、被押圧部75が押圧部130と点接触する場合に比べて、円滑に且つ安定してスライド部材60を開位置までスライド移動させることができる。
【0121】
(8)第1コネクタ20から第2コネクタ100が外される際に、被係合部90が第2コネクタ100の係合部140に引っ張られることによりスライド部材60が閉位置までスライド移動する。このため、例えば治具等によってスライド部材60を閉位置にスライド移動させる必要がない。すなわち、作業者は、第1コネクタ20から第2コネクタ100を外すだけで、別工程を必要とせずに、スライド部材60を閉位置までスライド移動させることができる。また、例えば、ばね等の付勢部材によってスライド部材60を第1方向X1に付勢しておく構成とすれば、別工程を必要とせずにスライド部材60を閉位置までスライド移動させることができるが、この構成に比べて、付勢部材が不要となる。
【0122】
(9)第1方向X1と直交する方向(ここでは、第3方向Z1)に可撓性を有する可撓片93の先端部に被係合部90が設けられる。また、スライド部材60が閉位置にある状態において、被係合部90が第1端子21の先端部よりも第1方向X1に突出する位置に設けられる。このため、可撓片93が第1方向X1と直交する第3方向Z1に撓む際に、被係合部90が第1端子21に接触することを抑制でき、可撓片93を好適に撓ませることができる。そして、可撓片93が撓むことにより、その可撓片93の先端部に設けられた被係合部90と第2コネクタ100の係合部140とを容易に係合させることができる。すなわち、第1コネクタ20に第2コネクタ100が組み付けられる際に、可撓片93が撓むことにより係合部140と被係合部90とを容易に係合させることができる。また、第1コネクタ20から第2コネクタ100が外される際に、可撓片93が撓むことにより係合部140と被係合部90との係合を容易に解除することができる。
【0123】
(10)スライド部材60が閉位置にある状態において、第1端子21の外周を包囲する環状の先端保護部80の先端部が第1端子21の先端部よりも第1方向X1に突出して形成される。このため、例えば第1開口部41を通じて作業者の指が保護部40の内部に入り込んだ場合であっても、先端保護部80によって作業者の指が第1端子21に接触することを好適に抑制できる。また、被係合部90が先端保護部80の一部を構成している。このため、被係合部90は、第2コネクタ100の係合部140と係合する機能を有するとともに、作業者の指が第1端子21に接触することを抑制する機能を有している。
【0124】
(11)被係合部90における第1方向X1の面が先端保護部80における第1方向X1の面よりも第1方向X1に突出されない。このため、第1コネクタ20に第2コネクタ100が組み付けられる際に、第2コネクタ100との接触により生じる応力が被係合部90に集中することを抑制できる。これにより、被係合部90が破損することを抑制できる。
【0125】
(12)先端保護部80の内周面に、第1端子21の接続面23Aと対向する凹部82が設けられる。この凹部82を設けることにより、スライド部材60がスライド移動する際に、先端保護部80の内周面と第1端子21の接続面23Aとが接触することを抑制できる。このため、先端保護部80の内周面との接触により、第1端子21の接続面23Aが摩耗することを抑制できる。この結果、例えば第1端子21の接続面23Aの摩耗に起因して第1端子21と第2端子101との接触面積が減少することを抑制できるため、第1端子21と第2端子101との接続部分における接触抵抗が増大することを好適に抑制できる。ひいては、第1端子21と第2端子101との接続部分における発熱を抑制できる。
【0126】
(13)被係合部90は、第3方向Z1において、第1端子21を間にして凹部82と反対側に設けられる。これにより、被係合部90が第1端子21の非接続面23B側に設けられるため、被係合部90が第1端子21の接続面23Aに対向しない。このため、スライド部材60がスライド移動する際に、被係合部90が第1端子21の接続面23Aに接触することを抑制できる。したがって、被係合部90との接触により、第1端子21の接続面23Aが摩耗することを抑制できる。この結果、第1端子21と第2端子101との接続部分における接触抵抗が増大することを好適に抑制でき、第1端子21と第2端子101との接続部分における発熱を抑制できる。
【0127】
(14)スライド部材60は、第1コネクタ20から第2コネクタ100が外される際に、スライド部材60が閉位置にある状態において係合部140と被係合部90とを非係合となるように案内する傾斜面95を有する。このため、第1コネクタ20から第2コネクタ100が外される際に、係合部140と被係合部90との係合を容易に解除することができる。これにより、第1コネクタ20から第2コネクタ100を容易且つ正常に取り外すことができる。
【0128】
(15)スライド部材60は、第1コネクタ20に第2コネクタ100が組み付けられる際に、係合部140を被係合部90と係合可能な位置に案内する傾斜面96を有する。このため、第1コネクタ20に第2コネクタ100が組み付けられる際に、係合部140と被係合部90とを容易に係合させることができる。これにより、第1コネクタ20に第2コネクタ100を容易且つ正常に組み付けることができる。
【0129】
(16)先端保護部80は、第1コネクタ20に第2コネクタ100が組み付けられる際に、第2コネクタ100を第1コネクタハウジング30の内部に案内する傾斜面81を有する。このため、第1コネクタ20に第2コネクタ100が組み付けられる際に、第2コネクタ100を第1コネクタ20に容易に嵌合させることができる。
【0130】
(17)スライド部材60が複数の被係合部90を有するため、単一の被係合部90を有する構成に比べて、円滑に且つ安定してスライド部材60を閉位置までスライド移動させることができる。また、例えば1つの被係合部90と係合部140との係合が意図せずに解除された場合であっても、残りの被係合部90が係合部140に引っ張られることにより、スライド部材60を閉位置までスライド移動させることができる。
【0131】
(18)可撓片93の先端部に、可撓片93の撓む方向であって第1端子21に向かう方向に突出する規制凸部94が設けられる。このため、スライド部材60が開位置にある状態では、規制凸部94が第1端子21に対向する。したがって、第1コネクタ20から第2コネクタ100が外される際に、可撓片93が第1端子21に向かって大きく撓もうとしても規制凸部94が第1端子21に接触することにより、可撓片93が大きく撓むことが抑制される。これにより、例えば可撓片93が大きく撓むことによって係合部140と被係合部90との係合が解除されることを好適に抑制できる。すなわち、第1コネクタ20から第2コネクタ100が外される際に、スライド部材60が開位置から閉位置までスライド移動する途中において係合部140と被係合部90との係合が解除されることを好適に抑制できる。このため、第1コネクタ20から第2コネクタ100が外される際に、被係合部90が係合部140に引っ張られることにより、スライド部材60を閉位置に好適に復帰させることができる。
【0132】
(19)規制凸部94の突出量は、スライド部材60が開位置にある状態において、規制凸部94の頂面97と第1端子21との間のクリアランスが、被係合部90と係合部140との重なり量よりも小さくなるように設定される。ここで、被係合部90と係合部140との重なり量は、被係合部90と係合部140とが第1方向X1において重なる領域のうち、可撓片93が撓む方向に沿う距離である。このように規制凸部94の突出量を設定することにより、例えば第1コネクタ20から第2コネクタ100が外される際に、可撓片93が第1端子21に向かって撓んだ場合であっても、被係合部90と係合部140との係合が解除される前に、規制凸部94の頂面97を第1端子21に接触させることができる。これにより、可撓片93がそれ以上撓むことを規制できるため、被係合部90と係合部140との係合が解除されることを好適に抑制できる。
【0133】
(20)規制凸部94の頂面97が第1方向X1に平行な平面に形成され、規制凸部94の可動範囲において第1端子21が平板状に形成される。このため、規制凸部94の頂面97と第1端子21とを平面同士で接触させることができる。これにより、例えば第1コネクタ20から第2コネクタ100が外される際に、規制凸部94の頂面97と第1端子21とを好適に接触させることができるため、可撓片93が撓むことを好適に規制できる。したがって、被係合部90と係合部140との係合が解除されることを好適に抑制できる。
【0134】
(21)第2コネクタ100は、第1コネクタ20に組み付けられる際にスライド部材60に設けられる被押圧部75を押圧してスライド部材60を開位置までスライド移動させる押圧部130を有する。このため、例えば治具等によってスライド部材60を開位置にスライド移動させる必要がない。すなわち、作業者は、第1コネクタ20に第2コネクタ100を組み付けるだけで、別工程を必要とせずに、スライド部材60を開位置までスライド移動させることができる。
【0135】
(22)第2コネクタ100は、第1コネクタ20から外される際にスライド部材60に設けられる被係合部90を引っ張ることによりスライド部材60を閉位置まで移動させる係合部140を有する。このため、例えば治具等によってスライド部材60を閉位置にスライド移動させる必要がない。すなわち、作業者は、第1コネクタ20から第2コネクタ100を外すだけで、別工程を必要とせずに、スライド部材60を閉位置までスライド移動させることができる。
【0136】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0137】
・上記実施形態のスライド部材60は、可撓片93の先端部に設けられた規制凸部94を有する構成としたが、規制凸部94の構成を適宜変更してもよい。例えば、規制凸部94を、可撓片93の長さ方向の中間部に設けてもよい。また、規制凸部94の頂面97を曲面に形成してもよい。あるいは、規制凸部94を省略してもよい。
【0138】
・上記実施形態の先端保護部80の外周面は、傾斜面81を有する構成としたが、これに限らず、傾斜面81を有していない構成としてもよい。
・上記実施形態の先端保護部80の内周面は、凹部82を有する構成としたが、これに限らず、凹部82を有していない構成としてもよい。
【0139】
・上記実施形態のスライド部材60は、第1コネクタ20から第2コネクタ100が外される際に第2コネクタ100の係合部140に引っ張られる被係合部90を有する構成としたが、被係合部90の構成を適宜変更してもよい。例えば、被係合部90は、傾斜面95を有する構成としたが、これに限定されず、傾斜面95を有していない構成としてもよい。例えば、被係合部90は、傾斜面96を有する構成としたが、これに限定されず、傾斜面96を有していない構成としてもよい。
【0140】
・上記実施形態では、被係合部90を可撓片93の先端部に設けるようにしたが、これに限定されず、可撓性を有さない部位に被係合部90を設けてもよい。なお、この場合には、係合部140を、可撓性を有する部位に設けることが好ましい。
【0141】
・上記実施形態では、被係合部90を、第3方向Z1において、第1端子21を間にして凹部82と反対側に設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、被係合部90を、先端保護部80における第2方向Y1又は第2反対方向Y2の周壁に設けるようにしてもよい。
【0142】
・上記実施形態では、被係合部90を、先端保護部80に設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、被係合部90を、ベース部62又はベース部63に設けるようにしてもよい。
【0143】
・上記実施形態の被係合部90の数は、1つや3つ以上に変更してもよい。また、被係合部90を省略してもよい。
・上記実施形態のスライド部材60は、第1コネクタ20に第2コネクタ100が組み付けられる際に第2コネクタ100の押圧部130に押圧される被押圧部75を有する構成としたが、被押圧部75の構成を適宜変更してもよい。例えば被押圧部75を、第1方向X1から見た平面形状がH字状となるように形成したが、これに限定されない。被押圧部75の平面形状は任意の形状とすることができる。また、被押圧部75を2つ以上に分割してもよい。
【0144】
・上記実施形態のスライド部材60は、第1方向X1から見た平面形状が、第1方向X1と平行に延びるスライド部材60の中心軸に対して非点対称となるように形成されているが、これに限定されない。例えば、スライド部材60を、第1方向X1から見た平面形状が、第1方向X1と平行に延びるスライド部材60の中心軸に対して点対称となるように形成してもよい。
【0145】
・上記実施形態のスライド部材60では、一対のガイド部62A,62Bのうち一方のガイド部62Aのみに溝部65を設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、ガイド部62Bにも溝部65を設けるようにしてもよい。また、ガイド部62A,62Bの両方が溝部65を有していない構成としてもよい。
【0146】
・上記実施形態のスライド部材60は、一対のガイド部62A,62Bと一対のガイド部63A,63Bとを有する構成としたが、これに限定されない。例えば、スライド部材60を、一対のガイド部63A,63Bを有していない構成としてもよい。
【0147】
・上記実施形態の第1コネクタ20では、2つの保護部40A,40Bに個別に取り付けられる2つのスライド部材60A,60Bを設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、2つの保護部40A,40Bに対して1つのスライド部材60を取り付けるようにしてもよい。この場合のスライド部材60は、閉位置において、保護部40Aの第2開口部42と保護部40Bの第2開口部42とを塞ぐスライド本体部61と、2つの第1端子21の先端部をそれぞれ保護する2つの先端保護部80とを有する。
【0148】
・上記実施形態の保護部40では、保護部40Aの側壁43と保護部40Bの側壁43とを連結壁47を介して一体に形成したが、これに限定されない。例えば、保護部40から連結壁47を省略し、保護部40Aの側壁43と保護部40Bの側壁43とが一体化されていない構成としてもよい。
【0149】
・上記実施形態の第1コネクタハウジング30は、閉位置にあるスライド部材60の第1反対方向X2への移動を抑制するコネクタ側抑制部51を有する構成としたが、コネクタ側抑制部51の構成を適宜変更してもよい。
【0150】
・上記実施形態の第1コネクタハウジング30は、閉位置にあるスライド部材60の第1方向X1への移動を規制するコネクタ側規制部55を有する構成としたが、コネクタ側規制部55の構成を適宜変更してもよい。
【0151】
・上記実施形態の第2コネクタ100では、第1コネクタ20に組み付けられる際にスライド部材60に設けられた被押圧部75を押圧する押圧部130を有する構成としたが、押圧部130の構成を適宜変更してもよい。例えば、押圧部130は、第2端子101に設けられた構成としてもよい。
【0152】
・上記実施形態の第2コネクタ100では、第1コネクタ20から外される際にスライド部材60に設けられた被係合部90を引っ張る係合部140を有する構成としたが、係合部140の構成を適宜変更してもよい。例えば、係合部140は、第2端子101に設けられた構成としてもよい。
【0153】
・上記実施形態の第1コネクタ20は、2つの第1端子21を有する構成としたが、1つや3つ以上の第1端子21を有する構成としてもよい。
・上記実施形態の第2コネクタ100は、2つの第2端子101を有する構成としたが、1つや3つ以上の第2端子101を有する構成としてもよい。
【0154】
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0155】
10 コネクタアセンブリ
20 第1コネクタ
21 第1端子
22 基部
23 接続部
23A 接続面
23B 非接続面
30 第1コネクタハウジング
31 基部
31A 固定部
31X 挿入孔
32 周壁部
40,40A,40B 保護部
41 第1開口部
42 第2開口部
43,44 側壁
45 下壁
46 上壁
47 連結壁
48A,48B ガイド溝(第1ガイド溝)
49 凸部
50A,50B ガイド溝(第2ガイド溝)
51 コネクタ側抑制部
52 抑制凸部
53 傾斜面
55 コネクタ側規制部
56 規制凸部
57 傾斜面
60,60A,60B スライド部材
61 スライド本体部
62 ベース部
62A,62B ガイド部(第1ガイド部)
63 ベース部
63A,63B ガイド部(第2ガイド部)
64 連結部
64X 貫通孔
65 溝部
66 溝部
67 貫通部
68 係合片
69 基部片
70 両側片
71 連結片
72 スライド側抑制部
73 スライド側規制部
75 被押圧部
80 先端保護部
80X 貫通孔
81 傾斜面(第3傾斜面)
82 凹部
90 被係合部
91 被係合片
92 基部
93 可撓片
94 規制凸部
95 傾斜面(第1傾斜面)
96 傾斜面(第2傾斜面)
97 頂面
100 第2コネクタ
101 第2端子
102 接続部
110 第2コネクタハウジング
120 端子収容部
121 挿入孔
130 押圧部
140 係合部
141 爪
D1 組付方向
E1 仮想線