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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/262 20210101AFI20240806BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20240806BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20240806BHJP
   H01M 50/291 20210101ALN20240806BHJP
   H01M 10/613 20140101ALN20240806BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALN20240806BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALN20240806BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALN20240806BHJP
   H01M 10/625 20140101ALN20240806BHJP
【FI】
H01M50/262 E
H01M50/262 S
H01M50/211
H01M50/242
H01M50/291
H01M10/613
H01M10/6568
H01M10/6554
H01M10/6556
H01M10/625
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021060116
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022156429
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真史
(72)【発明者】
【氏名】松本 瑞穂
(72)【発明者】
【氏名】中山 博之
(72)【発明者】
【氏名】前田 大輝
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-054368(JP,A)
【文献】特開2017-033676(JP,A)
【文献】特開2014-157721(JP,A)
【文献】特開2011-040368(JP,A)
【文献】特開2017-126430(JP,A)
【文献】特開2020-077514(JP,A)
【文献】特開2022-156427(JP,A)
【文献】特開2022-156433(JP,A)
【文献】特開2022-156748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/262
H01M 50/211
H01M 50/242
H01M 10/613
H01M 10/6568
H01M 10/6554
H01M 10/6556
H01M 10/625
H01M 50/291
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向に積層された複数の蓄電セルを含む蓄電モジュールと、
前記蓄電モジュールを収容する収容ケースと、
前記蓄電セルの間、または、前記収容ケースおよび前記蓄電セルの間の少なくともいずれかに配置された板部と、
を備え、
前記蓄電セルは、外装体と、前記外装体内に収容された電極体および電解液とを含み、
前記板部は、環状に形成された固定部位と、前記固定部位に接続された複数の接続部位と、前記固定部位に接続された少なくも1つの波板部とを含み、
前記積層方向に前記板部から離れた位置から前記板部を平面視すると、前記波板部は、前記積層方向から押圧力が加えられると、前記電極体の中央に向けて延びるように変形するように形成され、
前記板部には、前記固定部位および前記複数の接続部位によって、第1開口部と、第2開口部と、第3開口部と、第4開口部とが形成されており、
前記板部は、第1波板部と、第2波板部と、第3波板部と、第4波板部とを含み、
前記電極体の中央を通ると共に、前記積層方向に延びる仮想線中央仮想線とすると、前記第1波板部と、前記第2波板部と、前記第3波板部と、前記第4波板部とは、前記中央仮想線の周囲を取り囲むように配置されており、
前記第1波板部と、前記第2波板部と、前記第3波板部と、前記第4波板部は、前記中央仮想線に近づくにつれて、前記中央仮想線に近づく方向と交差する幅方向の長さが小さくなるように形成されており、
前記第1波板部と、前記第2波板部と、前記第3波板部と、前記第4波板部には、前記幅方向に延びる凸部が複数形成されている、蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から複数の蓄電セルが積層された蓄電モジュールを備えた蓄電装置について各種提案されている。特開2013-229266号公報に記載された蓄電装置は、蓄電モジュールと、一対のバスバモジュールと、収容ケースとを備える。
【0003】
蓄電モジュールは、上下方向に積層された複数の蓄電セルを含む。収容ケースは、蓄電モジュールの両側に配置された側壁と、上下面に配置されたエンドプレートとを含む。
【0004】
蓄電セルは、ラミネートフィルムと、ラミネートフィルム内に収容された電極体および電解液とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-229266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように構成された蓄電装置において、充放電を行うと蓄電モジュールが上下方向に膨らむように変形する。
【0007】
この際、収容ケースに大きな荷重が加えられて、収容ケースが変形するおそれがある。また、蓄電装置が車両に搭載された状態においては、車両が走行することで、蓄電装置が振動する場合がある。
【0008】
発明者等は、上記のような課題を解決するために、波板などの介在物を蓄電モジュールおよび収容ケースの間に配置することなどを検討した。波板には、波板の一端から他端に亘って延びる複数の凹凸部が形成されている。
【0009】
当該構成においては、たとえば、波板の断面二次モーメントは、平板の断面二次モーメントよりも大きいことから撓み変形し難い。このため、蓄電装置に振動が加えられたとしても、蓄電装置が大きく振動することを抑制することができる。
【0010】
波板の上下方向から荷重を受けると、凹凸部の突出高さが小さくなるように変形する。このため、蓄電モジュールが充放電によって上下方向に膨らむように変形した際に、波板の凹凸部が変形して、収容ケースに大きな荷重が加えられることを抑制することができる。
【0011】
しかし、凹凸部の突出高さが小さくなるように変形する際に、凸部は蓄電セルと接触しながら移動する。これにより、蓄電セル内において、電極体内に含侵している電解液が電極体から押し出されることになる。
【0012】
本開示は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、充放電時に蓄電モジュールから収容ケースに加えられる荷重を低減し、蓄電装置の振動を抑制することができると共に、電極体から電解液が押し出されることを抑制することができる蓄電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
蓄電装置は、積層方向に積層された複数の蓄電セルを含む蓄電モジュールと、蓄電モジュールを収容する収容ケースと、蓄電セルの間、または、収容ケースおよび蓄電セルの間の少なくともいずれかに配置された板部と、を備える、上記蓄電セルは、外装体と、外装体内に収容された電極体および電解液とを含み、板部は、固定部位と、固定部位に接続された少なくも1つの波板部とを含み、積層方向に板部から離れた位置から板部を平面視すると、波板部は、積層方向から押圧力が加えられることで、電極体の中央に向けて延びるように変形するように形成されている。上記波板部は、第1波板部と、蓄電セルの中央に対して第1波板部と反対側に配置された第2波板部とを含む。
【0014】
上記波板部を平面視した状態において、波板部が電極体の中央に向けて移動する方向を第1方向とし、第1方向と交差する方向を第2方向とすると、前記波板部には前記第2方向に延びる凸部が形成されている。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係る蓄電装置によれば、放電時に蓄電モジュールから収容ケースに加えられる荷重を低減し、蓄電装置の振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施の形態に係る蓄電装置1などを模式的に示す斜視図である。
図2図1のII-II線における断面図である。
図3】蓄電モジュール20および板部28,29などを模式的に示す斜視図である。
図4】蓄電セル30を示す斜視図である。
図5】蓄電セル30の一部を示す断面図である。
図6】波板部82を示す断面図である。
図7】参考例としての平板16を示す断面図である。
図8】板部28から積層方向Hに離れた位置から板部28および蓄電セル30を平面視したときにおける平面図である。
図9】蓄電装置1Aを示す断面図である。
図10】板部128および蓄電セル30を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1から図10を用いて、本実施の形態に係る蓄電装置について説明する。図1から図10に示す構成のうち、同一または実質的に同一の構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態に係る蓄電装置1などを模式的に示す斜視図である。組電池100は、蓄電装置1と、冷却装置5,6とを備える。蓄電装置1は、収容ケース2と、正極外部端子3と、負極外部端子4とを備える。
【0018】
収容ケース2は、略直方体形状に形成されている。収容ケース2は、天板10と、底板11と、側壁12,13と、端壁14,15とを含む。側壁12および側壁13は幅方向Wに配列しており、側壁12および側壁13は長手方向Lに延びるように形成されている。端壁14および端壁15は長手方向Lに配列しており、端壁14および端壁15は幅方向Wに延びるように形成されている。
【0019】
正極外部端子3および負極外部端子4は、天板10の上面に設けられている。正極外部端子3および負極外部端子4は幅方向Wに間隔をあけて配置されている。
【0020】
冷却装置5は側壁12に配置されており、冷却装置6は側壁13に配置されている。冷却装置5および冷却装置6内には冷却液Cが流れている。なお、図1において、冷却装置5および冷却装置6は、その一部を断面視しており、一部が省略されている。
【0021】
図2は、図1のII-II線における断面図である。蓄電装置1は、蓄電モジュール20と、蓄電モジュール20に接続されたバスバ21,22と、絶縁部材25,26と、絶縁膜27と、板部28,29とを含む。
【0022】
板部28は、蓄電モジュール20と、天板10との間に配置されている。板部29は、蓄電モジュール20と、底板11との間に配置されている。
【0023】
図3は、蓄電モジュール20および板部28,29などを模式的に示す斜視図である。蓄電モジュール20は、積層方向Hに積層された複数の蓄電セル30,31,32と、複数の接続部材33,34とを含む。なお、長手方向Lは積層方向Hと交差する方向である。幅方向Wは、長手方向Lと交差すると共に、長手方向Lと交差する方向である。なお、長手方向Lおよび幅方向Wは積層方向Hと直交しており、長手方向Lおよび幅方向Wは直交している。
【0024】
蓄電セル31,32は蓄電セル30と実質的に同一の構成であることから蓄電セル30について説明する。
【0025】
図4は、蓄電セル30を示す斜視図であり、図5は、蓄電セル30の一部を示す断面図である。蓄電セル30は、電極体35と、外装体36と、正極集電板37と、負極集電板38とを含む。
【0026】
外装体36は、アルミラミネートフィルムなどによって形成されている。外装体36は、電極体35と、図示されていない電解液を内部に収容している。
【0027】
外装体36は、上側フィルム39Aおよび下側フィルム39Bを含む。上側フィルム39Aは電極体35を上方から覆うように配置されており、下側フィルム39Bは電極体35を下方から覆うように設けられている。
【0028】
なお、上側フィルム39Aの外周縁部と、下側フィルム39Bの外周縁部とは図示されていない接着剤によって接着されている。
【0029】
電極体35は直方体形状に形成されている。電極体35は、積層方向Hに積層された複数の正極シート42と、複数のセパレータ43と、複数の負極シート44とを含む。なお、正極シート42および負極シート44の間にセパレータ43が配置されている。
【0030】
正極シート42は、アルミニウム箔45と、アルミニウム箔45の表裏面に形成された正極合材層とを含む。負極シート44は、銅箔46と、銅箔46の表裏面に形成された負極合材層とを含む。
【0031】
アルミニウム箔45は、電極体35の一方の側面47側に引き出されており、銅箔46は電極体35の他方の側面48側に引き出されている。なお、側面47および側面48は幅方向Wに配列しており、長手方向Lに延びるように形成されている。
【0032】
正極集電板37はアルミニウムなどによって形成されている。正極集電板37は側面47側に配置されており、正極集電板37には複数のアルミニウム箔45が溶接されている。
【0033】
正極集電板37の上面には接着剤52が形成されており、接着剤52は上側フィルム39Aと正極集電板37とを接着している。正極集電板37の下面には接着剤53が形成されており、接着剤53は下側フィルム39Bと正極集電板37とを接着している。なお、接着剤52,53は幅方向Wにおいて外装体36の外側にまで延び出ている。
【0034】
正極集電板37は幅方向Wにおいて外装体36および接着剤52,53よりも外側に突出している。正極集電板37は、正極集電板37は、外装体36および接着剤52,53から露出する露出部50を含む。
【0035】
負極集電板38は銅などによって形成されている。負極集電板38は側面48側に配置されており、負極集電板38には複数の銅箔46が溶接されている。
【0036】
負極集電板38の上面には接着剤54が形成されており、接着剤54は負極集電板38および上側フィルム39Aを接着している。負極集電板38の下面には接着剤55が形成されており、接着剤55は、負極集電板38および下側フィルム39Bを接着している。なお、接着剤54,55は幅方向Wにおいて外装体36の外側にまで延び出ている。
【0037】
負極集電板38は幅方向Wにおいて外装体36および接着剤54,55から外部に突出しており、負極集電板38は外装体36および接着剤54,55から露出する露出部51を含む。
【0038】
ここで、図4および図5において、仮想線L1は電極体35の中央P1を通り、積層方向Hに延びる仮想線である。
【0039】
図2に戻って、蓄電セル31は、正極集電板60と、負極集電板61と、外装体62とを含み、外装体62内には電極体および電解液が収容されている。正極集電板60は正極集電板37と同様に、露出部63を含む。負極集電板61は、負極集電板38と同様に、露出部64を含む。
【0040】
蓄電セル32は、正極集電板70と、負極集電板71と、外装体72とを含み、外装体72内には電極体および電解液が収容されている。正極集電板70は正極集電板37と同様に、露出部73を含む。負極集電板71は、負極集電板38と同様に、露出部74を含む。
【0041】
そして、正極集電板37と、負極集電板61と、正極集電板70とは、積層方向Hに配列しており、負極集電板38と、正極集電板60と、負極集電板71とは、積層方向Hに配列している。
【0042】
接続部材33は、正極集電板37の露出部50と、負極集電板61の露出部64とを接続するように配置されている。接続部材34は、正極集電板60の露出部63と、負極集電板71の露出部74とを接続するように設けられている。
【0043】
バスバ21は、負極集電板38の露出部51の上面に溶接されている。バスバ22は、正極集電板70の露出部73の下面に溶接されている。バスバ21は、図1に示す負極外部端子4に接続されており、バスバ22は正極外部端子3に接続されている。
【0044】
図3において、板部29は板部28と同様に形成されている。そこで、板部28について主に説明する。
【0045】
板部28は、枠部80と、波板部82,83とを含み、枠部80によって開口部81が形成されている。枠部80は環状に形成されている。枠部80は、固定部位84,85と、接続部位86,87とを含む。
【0046】
固定部位84は幅方向Wの一端側に配置されると共に、長手方向Lに延びるように形成されている。固定部位85は、幅方向Wの他端側に配置されると共に、長手方向Lに延びるように形成されている。
【0047】
波板部82は開口部81内に配置されると共に固定部位84に接続されている。波板部83は開口部81内に配置されると共に、固定部位85に接続されている。そして、波板部82および波板部83は、幅方向Wに間隔をあけて配置されている。
【0048】
なお、仮想線L1は、波板部82および波板部83の間を通る。波板部82および波板部83は、仮想線L1を間に挟むように配置されており、波板部83は波板部82に対して仮想線L1と反対側に配置されている。
【0049】
波板部82には、複数の凸部88A,89Aが形成されている。凸部88Aは積層方向Hの一方側に突出するように形成されており、凸部89Aは積層方向Hの他方側に向けて突出するように形成されている。なお、図示する例においては、凸部88Aは上方に突出しており、凸部89Aは下方に向けて突出するように形成されている。
【0050】
凸部88Aは、上方に向けて膨らむような湾曲面状に形成されており、凸部89Aは下方に向けて膨らむように湾曲面状に形成されている。
【0051】
凸部88Aおよび凸部89Aは長手方向Lに延びるように形成されており、凸部88Aおよび凸部88Aは幅方向Wに交互に配置されている。凸部88A,凸部89Aは、長手方向Lにおいて波板部82の一方辺から他方辺に亘って延びるように形成されている。
【0052】
波板部83は、波板部82と同様に形成されている。波板部83には、長手方向Lに延びる複数の凸部88B,89Bが形成されている。凸部88Bは積層方向Hの一方側に向けて突出しており、凸部89Bは積層方向Hの他方側に向けて突出している。凸部88Bおよび凸部89Bは幅方向Wに交互に配列している。凸部88B,89Bは、湾曲面状に形成されている。
【0053】
蓄電装置1は、固定部位84を蓄電セル30に押圧する押圧部材75と、固定部位85を蓄電セル30に押圧する押圧部材76とを含む。押圧部材75,76は、弾性変形可能な樹脂などの絶縁材料によって形成されている。押圧部材75,76は、収容ケース2の天板10と固定部位84,85との間に配置されており、固定部位84,85を蓄電セル30の上面に押圧固定している。
【0054】
板部29は、枠部90と、波板部92,93とを含み、枠部90によって開口部91が形成されている。枠部90は固定部位94,95と、接続部位96,97とを含む。蓄電装置1は、固定部位94を蓄電セル30に押圧固定する押圧部材77と、固定部位95を蓄電セル30に押圧固定する押圧部材78とを含む。押圧部材77,78は、弾性変形可能な樹脂などの絶縁材料によって形成されている。
【0055】
波板部92には長手方向Lに延びる凸部98A,99Aが複数形成されており、凸部98Aおよび凸部99Aは幅方向Wに交互に配置されている。波板部93には長手方向Lに延びる複数の凸部98B,99Bが形成されており、凸部98B,99Bは幅方向Wに交互に配置されている。
【0056】
図6は、波板部82を示す断面図である。図7は、参考例としての平板16を示す断面図である。平板16の板厚と、波板部82の板厚は同じである。平板16は、波板部82を幅方向Wに引き延ばすことで形成されている。
【0057】
図6および図7に示す断面は、積層方向Hおよび幅方向Wを通る平面における断面図である。当該断面において、波板部82の断面二次モーメントを断面二次モーメントI1とし、平板16の断面二次モーメントを断面二次モーメントI2とすると、断面二次モーメントI1の方が断面二次モーメントI2よりも大きい。
【0058】
このため、たとえば、波板部82および平板16において、長手方向Lの一端を固定端とし、他端に荷重を加えたとする。この際、波板部82の断面二次モーメントI1は、平板16の断面二次モーメントI2よりも大きいため、波板部82は曲がり難く、剛性が高い。なお、波板部82について説明したが、波板部83も波板部82と同様に形成されているため、波板部83も曲がり難くなっている。
【0059】
このように、波板部82および波板部83が曲がり難いため、板部28も曲がり難くなっている。板部29は、板部28と同様に形成されているため、板部29も同様に曲がり難くなっている。
【0060】
なお、図2において、板部29は板部28と同様に形成されているため、板部29も板部28と同様に曲がり難くなっている。
【0061】
図2において、絶縁部材25は、側壁12から蓄電モジュール20に達するように充填されている。なお、正極集電板37の露出部50と、負極集電板61の露出部64と、接続部材33と、バスバ22の少なくとも一部とは、絶縁部材25内に位置している。
【0062】
絶縁部材26は、側壁13から蓄電モジュール20に達するように充填されている。なお、バスバ21の少なくとも一部と、負極集電板38の露出部51と、正極集電板60の露出部63と、負極集電板71の露出部74とは、絶縁部材25内に位置する。
【0063】
上記のように構成された組電池100は、たとえば、電動車両に搭載される。車両が走行などすることで、蓄電装置1に振動が加えられる場合がある。その一方で、上記のように、板部28および板部29は曲がり難いため、蓄電装置1が振動することを抑制することができる。
【0064】
蓄電装置1が充放電すると、蓄電モジュール20は積層方向Hに膨らむように変形する。この際、波板部82に形成された凸部88A,89Aと、波板部83に形成された凸部88B,89Bとは、突出高さが小さくなるように変形する。
【0065】
同様に、板部29に形成された凸部98A,99A,98B,99Bも、突出高さが低くなるように変形する。
【0066】
このように、各凸部が変形することで、蓄電モジュール20が積層方向Hに膨らむように変形したとしても、収容ケース2に加えられる荷重を低減することができる。そして、収容ケース2の変形を抑制することができる。
【0067】
図8は、板部28から積層方向Hに離れた位置から板部28および蓄電セル30を平面視したときにおける平面図である。
【0068】
上記のように各凸部88A,89Aが変形することで、波板部82は延びるように変形し、波板部82は仮想線L1(電極体35の中央)に近づくように変形する。
【0069】
ここで、凸部89Aは、蓄電セル30の上面と接触しており、外装体36を間に挟んだ状態で、電極体35の上面を押圧する。そして、波板部82が仮想線L1に向けて延びるように変形する際に、各凸部89Aおよび蓄電セル30の接触位置も仮想線L1に向けて移動する。これにより、電極体35内に含侵している電解液も電極体35の中央側に押し戻される。
【0070】
同様に、波板部83が仮想線L1に向けて延びるように変形することで、電極体35内の電解液も電極体35の中央側に押し戻される。
【0071】
これにより、電極体35内において、電解液が電極体35の外周側から中央側に移動することで、電極体35内に電解液が保持された状態を維持することができる。
【0072】
一般に、充放電を繰り返すと、電極体35が積層方向Hに膨らんだり、元の厚さに戻ったりすることを繰り返す。これにより、電極体35内の電解液が電極体35の外周面から漏れだす場合がある。その一方で、蓄電装置1においては、電極体35の外周側に移動した電解液を中央側に戻すことができ、電極体35内に電解液を保持した状態を維持することができる。
【0073】
図2に戻って、板部29は、板部28と同様に構成されているため、蓄電モジュール20が膨らむように変形することで、蓄電セル32内の電極体内の電解液を電極体の中央側に押し戻すことができる。
【0074】
蓄電装置1が充放電する際に、蓄電モジュール20の温度が高くなる。この際、絶縁部材25は、露出部50,64,73と、接続部材33と、バスバ22の少なくとも一部とを覆うように形成されている。露出部50,64,73と接続部材33とバスバ22とは、金属材料によって形成されているため、蓄電モジュール20内の熱は、絶縁部材25に良好に放熱される。絶縁部材25に伝達された熱は、側壁12を通して冷却装置5に放熱される。
【0075】
絶縁部材26は、バスバ21の少なくとも一部と、露出部51,63,74と、接続部材34とを覆うように形成されている。バスバ21と、露出部51,63,74と、接続部材34とは金属材料によって形成されているため、蓄電モジュール20内の熱は、絶縁部材26に良好に放熱される。絶縁部材26に伝達された熱は、側壁13を通して冷却装置6に放熱される。このように、蓄電モジュール20を良好に冷却することができる。
(実施の形態2)
図9などを用いて、蓄電装置1Aについて説明する。なお、蓄電装置1Aは、板部128,129以外の構成は蓄電装置1と実質的に同じである。図9は、蓄電装置1Aを示す断面図である。板部128は、蓄電セル30および天板10の間に配置されており、板部129は、蓄電セル32および底板11の間に配置されている。
【0076】
図10は、板部128および蓄電セル30を示す平面図である。板部128は、枠部110と、波板部111,112,113,114とを含む。
【0077】
枠部110は、環状に形成された固定部位115と、複数の接続部位116,117とが形成されている。枠部110には複数の開口部120,121,122,123が形成されている。
【0078】
各波板部111,112,113,114は、枠部110に接続されており、波板部111,112,113,114は、仮想線L1の周囲を取り囲むように配置されている。なお、波板部111および波板部112は、互いに間隔をあけて配置されており、波板部111および波板部112の間に仮想線L1が位置している。同様に、波板部113および波板部114が互いに間隔をあけて配置されており、波板部113および波板部114の間に仮想線L1が位置している。
【0079】
ここで、波板部111から仮想線L1に向かう方向を方向D1とし、方向D1および積層方向Hと直交する方向を方向D2とする。なお、方向D1も積層方向Hと直交する。
【0080】
波板部111は、仮想線L1に向かうにつれ、幅が小さくなるように形成されている。波板部111には、複数の凸部130,131が形成されている。凸部130は、積層方向Hの一方側に突出するように形成されており、具体的には上方に突出するように形成されている。そして、凸部131は下方側に向けて突出するように形成されている。
【0081】
各凸部130,131は方向D2に延びるように形成されている。凸部130および凸部131は、方向D1に交互に配置されている。なお、波板部112,113,114は波板部111と同様に形成されている。
【0082】
すなわち、波板部112,113,114にも、上方に向けて突出する凸部と、下方に向けて延びる凸部とが交互に形成されている。各波板部111,112,113,114には、複数の凸部が形成されているため、曲がり難い。このため、蓄電装置1Aに振動が加えられた際に、蓄電装置1Aが大きく変形することを抑制することができる。
【0083】
そして、蓄電モジュール20が充放電することで、積層方向Hに膨らむように変形した際に、波板部111の各凸部130,131は、突出高さが低くなるように変形する。これに伴い、波板部111は仮想線L1に向けて延びるように変形する。同様に、波板部112,113,114も仮想線L1に向けて延びるように変形する。
【0084】
これにより、蓄電セル30内の電極体において、電解液を電極体の中央に押し戻すことができる。
【0085】
なお、板部129は、板部128と同様に形成されている。これにより、蓄電装置1Aに振動が加えられた際に、蓄電装置1Aが大きく振動することを抑制することができる。また、蓄電セル32内の電極体内の電解液を電極体の中央に押し戻すことができる。
【0086】
なお、上記の実施の形態1,2においては、蓄電モジュール20および収容ケース2の間に板部を配置する例について説明したが、蓄電セル30,31,32の間に配置するようにしてもよい。
【0087】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0088】
1,1A 蓄電装置、2 収容ケース、3 正極外部端子、4 負極外部端子、5,6 冷却装置、10 天板、11 底板、12,13 側壁、14,15 端壁、16 平板、20 蓄電モジュール、21,22 バスバ、25,26 絶縁部材、27 絶縁膜、28,29,128,129 板部、30,31,32 蓄電セル、33,34 接続部材、35 電極体、36,62,72 外装体、37,60,70 正極集電板、38,61,71 負極集電板、39A 上側フィルム、39B 下側フィルム、42 正極シート、43 セパレータ、44 負極シート、45 アルミニウム箔、46 銅箔、47,48 側面、50,51,63,64,73,74 露出部、52,53,54,55 接着剤、75,76,77,78 押圧部材、80,90,110 枠部、81,91,120,121,122,123 開口部、82,83,92,93,111,112,113,114 波板部、84,85,94,95,115 固定部位、86,87,96,97,116,117 接続部位、88,88A,88B,89,89A,89B,98A,98B,99A,99B,130,131 凸部、100 組電池、C 冷却液、D1,D2 方向、H 積層方向、I1,I2 断面二次モーメント、L 長手方向、L1 仮想線、P1 中央、W 幅方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10