(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】親綱の敷設方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/32 20060101AFI20240806BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20240806BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240806BHJP
A62B 35/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
E04G21/32 D
B64C27/08
B64C39/02
A62B35/00 H
(21)【出願番号】P 2021065080
(22)【出願日】2021-04-07
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小西 信
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-063553(JP,A)
【文献】特開平06-276634(JP,A)
【文献】特開2016-208625(JP,A)
【文献】特開2018-127867(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0218076(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G21/32
B64C27/08、39/02
A62B35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
親綱の敷設方法であって、
無人飛行体と、親綱と、前記親綱よりも軽量な誘導紐であって、前記親綱に接続されている誘導紐と、を準備する工程と、
前記誘導紐を、前記無人飛行体により搬送して、第一敷設位置と、前記第一敷設位置とは異なる第二敷設位置とを含む親綱敷設位置に一時的に敷設する工程と、
前記親綱敷設位置に一時的に敷設された前記誘導紐を引っ張ることにより、前記親綱を前記誘導紐と置き換えて前記親綱敷設位置に敷設する工程と、を備
え、
前記誘導紐を敷設する工程において、前記誘導紐を、前記無人飛行体により搬送して前記第二敷設位置の構造体に引っ掛けて、前記誘導紐を前記親綱敷設位置に一時的に敷設する、
親綱の敷設方法。
【請求項2】
親綱の敷設方法であって、
無人飛行体と、親綱と、前記親綱よりも軽量な誘導紐であって、前記親綱に接続されている誘導紐と、を準備する工程と、
前記誘導紐を、前記無人飛行体により搬送して、第一敷設位置と、前記第一敷設位置とは異なる第二敷設位置とを含む親綱敷設位置に一時的に敷設する工程と、
前記親綱敷設位置に一時的に敷設された前記誘導紐を引っ張ることにより、前記親綱を前記誘導紐と置き換えて前記親綱敷設位置に敷設する工程と、を備え、
前記準備する工程において、前記親綱に連結されている前記誘導紐は複数であり、
前記誘導紐を敷設する工程において、複数の前記誘導紐のそれぞれを個別に搬送して前記親綱敷設位置に一時的に敷設し、
前記親綱を敷設する工程において、前記親綱敷設位置に一時的に敷設された複数の前記誘導紐を一緒に引っ張ることによって、前記親綱を複数の前記誘導紐と置き換えて前記親綱敷設位置に敷設する、
親綱の敷設方法。
【請求項3】
請求項1
または請求項2に記載の親綱の敷設方法であって、
前記誘導紐を敷設する工程において、前記誘導紐を、さらに、前記第一敷設位置および前記第二敷設位置とは異なる第三敷設位置を含む前記親綱敷設位置に敷設する、
親綱の敷設方法。
【請求項4】
親綱の敷設方法であって、
無人飛行体と、親綱と、前記親綱よりも軽量な誘導紐であって、前記親綱に接続されている誘導紐と、を準備する工程と、
前記誘導紐を、前記無人飛行体により搬送して、第一敷設位置と、前記第一敷設位置とは異なる第二敷設位置とを含む親綱敷設位置に一時的に敷設する工程と、
前記親綱敷設位置に一時的に敷設された前記誘導紐を引っ張ることにより、前記親綱を前記誘導紐と置き換えて前記親綱敷設位置に敷設する工程と、を備え、
前記準備する工程において、さらに、構造体に固定可能な構造体固定具であって、前記誘導紐および前記親綱を挿通可能な挿通部を有する構造体固定具を準備し、
前記誘導紐を敷設する工程において、前記挿通部に前記誘導紐を挿通された前記構造体固定具を、前記無人飛行体により搬送して前記第二敷設位置の構造体に固定して、前記誘導紐を前記親綱敷設位置に一時的に敷設する、
親綱の敷設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、親綱の敷設方法および親綱敷設システムに関する。
【背景技術】
【0002】
親綱を取り付けられた無人飛行体を作業者が操作し、無人飛行体で親綱を運搬することによって、建設現場に備えられる構造体に親綱を敷設する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
親綱の安全性能を高めるためには、親綱の重量は重くなり得る。そのため、無人飛行体で親綱を運搬する場合には、無人飛行体の飛行に必要な揚力は大きくなり、無人飛行体が大型化してしまうといった問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、親綱の敷設方法が提供される。この親綱の敷設方法は、無人飛行体と、親綱と、前記親綱よりも軽量な誘導紐であって、前記親綱に接続されている誘導紐と、を準備する工程と、前記誘導紐を、前記無人飛行体により搬送して、第一敷設位置と、前記第一敷設位置とは異なる第二敷設位置とを含む親綱敷設位置に一時的に敷設する工程と、前記親綱敷設位置に一時的に敷設された前記誘導紐を引っ張ることにより、前記親綱を前記誘導紐と置き換えて前記親綱敷設位置に敷設する工程と、を備える。
この形態の親綱の敷設方法によれば、無人飛行体を用いて一時的に敷設した誘導紐を引っ張ることによって親綱を親綱敷設位置に敷設することができる。無人飛行体に親綱よりも軽量な誘導紐を搬送させることができるので、親綱を搬送する無人飛行体と比較して、無人飛行体を小型化することができる。
(2)上記形態の親綱の敷設方法において、前記誘導紐を敷設する工程において、前記誘導紐を、前記無人飛行体により搬送して前記第二敷設位置の構造体に引っ掛けて、前記誘導紐を前記親綱敷設位置に一時的に敷設してよい。
この形態の親綱の敷設方法によれば、誘導紐を固定するための部材を用いることなく、構造体を利用する簡易な方法により誘導紐を親綱敷設位置に一時的に敷設することができる。
(3)上記形態の親綱の敷設方法において、前記準備する工程において、前記親綱に連結されている前記誘導紐は複数であってよい。前記誘導紐を敷設する工程において、複数の前記誘導紐のそれぞれを個別に搬送して前記親綱敷設位置に一時的に敷設し、前記親綱を敷設する工程において、前記親綱敷設位置に一時的に敷設された複数の前記誘導紐を一緒に引っ張ることによって、前記親綱を複数の前記誘導紐と置き換えて前記親綱敷設位置に敷設してよい。
この形態の親綱の敷設方法によれば、1本の誘導紐を用いて親綱を親綱敷設位置に敷設する形態と比較して、誘導紐1本あたりの重量を低減することができる。したがって、無人飛行体をより小型化することができる。
(4)上記形態の親綱の敷設方法において、前記誘導紐を敷設する工程において、前記誘導紐を、さらに、前記第一敷設位置および前記第二敷設位置とは異なる第三敷設位置を含む前記親綱敷設位置に敷設してよい。
この形態の親綱の敷設方法によれば、親綱が敷設される領域を拡大することができる。
(5)上記形態の親綱の敷設方法において、前記準備する工程において、さらに、構造体に固定可能な構造体固定具であって、前記誘導紐および前記親綱を挿通可能な挿通部を有する構造体固定具を準備してよい。前記誘導紐を敷設する工程において、前記挿通部に前記誘導紐を挿通された前記構造体固定具を、前記無人飛行体により搬送して前記第二敷設位置の構造体に固定して、前記誘導紐を前記親綱敷設位置に一時的に敷設してよい。
この形態の親綱の敷設方法によれば、誘導紐を構造体に引っ掛ける場合と比較して、複雑な構造を有する構造体に誘導紐を敷設することが容易となる。
(6)本開示の他の形態によれば、親綱敷設システムが提供される。この親綱敷設システムは、親綱と、前記親綱よりも軽量な誘導紐であって、前記親綱に接続される誘導紐と、前記誘導紐を搬送可能な無人飛行体と、を備える。
この形態の親綱敷設システムによれば、無人飛行体を用いて誘導紐を敷設し、敷設した誘導紐を引っ張ることによって親綱を親綱敷設位置に敷設することができる。無人飛行体に親綱よりも軽量な誘導紐を搬送させることができるので、親綱を搬送する無人飛行体と比較して、無人飛行体を小型化することができる。
本開示は、親綱の敷設方法や親綱敷設システム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、無人飛行体、親綱敷設装置、誘導紐の敷設方法、誘導紐敷設装置、誘導紐敷設システム、無人飛行体の操縦方法、無人飛行体の制御方法、親綱敷設システムの制御方法、これらの制御方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の第1実施形態としての親綱敷設システムを示す説明図。
【
図2】親綱敷設システムを用いた親綱の敷設方法を示す工程図。
【
図3】誘導紐を親綱敷設位置に敷設する工程を示す第一の説明図。
【
図4】誘導紐を親綱敷設位置に敷設する工程を示す第二の説明図。
【
図5】誘導紐を親綱敷設位置に敷設する工程を示す第三の説明図。
【
図6】親綱を親綱敷設位置に敷設する工程を示す第一の説明図。
【
図7】親綱を親綱敷設位置に敷設する工程を示す第二の説明図。
【
図8】第2実施形態の親綱敷設システムを示す説明図。
【
図9】第2実施形態における親綱を親綱敷設位置に敷設する工程を示す説明図。
【
図10】第3実施形態としての親綱敷設システムを示す説明図。
【
図13】第三固定具が構造体に固定される状態を示す第一の説明図。
【
図14】第三固定具が構造体に固定される状態を示す第二の説明図。
【
図15】第三固定具が構造体に固定される状態を示す第三の説明図。
【
図16】第3実施形態における親綱を親綱敷設位置に敷設する工程を示す第一の説明図。
【
図17】第3実施形態における親綱を親綱敷設位置に敷設する工程を示す第二の説明図。
【
図18】第4実施形態としての親綱の敷設方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、本開示の第1実施形態としての親綱敷設システム100を示す説明図である。親綱敷設システム100は、無線操縦可能な無人飛行体40と、親綱50と、誘導紐60とを備えている。
図1には、建設現場の梁250の上に組み立てられた作業台210,220でいわゆる高所作業を行う作業者HMが示されている。作業者HMは、親綱敷設システム100を用いて親綱50を構造体に敷設する。「構造体」には、例えば、梁250や柱などの建設物に既設の構造体と、例えば、
図1に示す作業台210,220、作業台210,220に取り付けられた手すり212,222などの建設物とは別途の構造体と、が含まれる。建設物とは別途の構造体には、親綱50を固定するために用いられる親綱支柱などが含まれてもよい。本実施形態では、作業者HMは、親綱敷設システム100を用いて、作業者HM近傍の構造体である手すり212と、作業台210から離れた位置にある構造体である手すり222とを利用して親綱50を敷設する。親綱50が敷設される位置を、親綱敷設位置とも呼ぶ。
【0009】
親綱50は、作業者HMの墜落等を防止するための部材である。親綱50は、構造体を利用した所定の位置に敷設されることによって機能する。作業者HMは、墜落防止用保護具である安全帯を装着しており、敷設された親綱50に、例えば、図示しないランヤードを用いて安全帯を連結する。親綱50は、例えば、日本工業規格に適合した任意の製品を用いることができ、親綱50の材質や重量、サイズなどは任意に設定されてよい。親綱50は、例えば、ナイロン等の合成繊維を用いて形成されている。親綱50の断面における外径は、例えば、12mm、14mm、16mmとすることができる。本実施形態では、親綱50の1メートルあたりの重量は、0.35kgである。無人飛行体40の推力では、親綱敷設位置に対応する長さの親綱50を搬送することはできない。親綱50の重量は、その少なくとも一部が無人飛行体40の推力で搬送可能な重量とされてもよい。親綱50には、親綱敷設位置に敷設後の親綱50に張力を付与するための親綱緊張器が備えられてよい。
【0010】
親綱50は、接続部52と、第一固定具54と、第二固定具56とを備えている。接続部52は、親綱50の一端に設けられている。接続部52は、親綱50と、誘導紐60とを接続するための接続具である。第一固定具54および第二固定具56は、親綱50を構造体に固定するために用いられる環状のフックである。本実施形態では、第一固定具54は、親綱50の他端に備えられ、第二固定具56は、接続部52に備えられている。第一固定具54および第二固定具56は、親綱50の端部には限らず親綱50の任意の位置に設けられてよい。第一固定具54および第二固定具56には、フックに代えてカラビナが用いられてよい。例えば、親綱50が構造体に結び付けられることによって構造体に直接的に固定される場合などには、第一固定具54および第二固定具56は備えられなくともよい。
【0011】
誘導紐60は、親綱50を引っ張るために用いられる糸状部材である。誘導紐60の一端は、接続部52を介して親綱50に接続されている。誘導紐60は、親綱50を構造体に敷設する前に、無人飛行体40によって搬送されて、親綱敷設位置に一時的に配置される。作業者HMは、親綱敷設位置に配置された誘導紐60を引っ張ることによって、誘導紐60に接続された親綱50を引っ張り、誘導紐60と親綱50とを置き換えて、親綱50を親綱敷設位置に配置する。誘導紐60は、接続部52を用いることなく親綱50に直接接続されてもよい。例えば、誘導紐60は、親綱50と結び付けられてもよく、親綱50に縫い込まれることによって親綱50と接続されてもよい。
【0012】
誘導紐60は、親綱50よりも軽量であり、無人飛行体40の推力によって搬送可能な重量で形成されている。本実施形態では、誘導紐60には、PEラインとも呼ばれるポリエチレンの繊維を縒り合わせた釣り糸(Fishing line)が用いられている。誘導紐60の断面における外径は、例えば、0.2mm~0.5mmとすることができる。誘導紐60の重量は、無人飛行体40の推力を低減する観点から小さいほど好ましい。誘導紐60は、誘導紐60に接続された親綱50を引っ張る際に親綱50の荷重に耐え得る強度、ならびに構造体との摩擦に耐え得る強度を備えている。誘導紐60は、例えば、ポリフッ化ビニリデン樹脂を用いたフロロカーボン、ナイロン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン等からなる合成樹脂などを用いた釣り糸を用いてもよい。誘導紐60は、釣り糸には限定されず、例えば、ピアノ鋼線、ステンレス鋼線、タングステン鋼線等からなる金属線を用いてもよい。誘導紐60は、例えば、CFRP、ポリアクリロニトル(PAN)などを用いた糸状の炭素繊維であってよく、糸状のガラス繊維であってもよい。誘導紐60は、これらの材料を複合した複合材料であってもよい。誘導紐60の外径は、0.2mm~0.5mmには限らず、親綱50よりも軽量であることを前提として、誘導紐60の強度に応じて任意に設定されてよい。誘導紐60は、例えば、0.5mmよりも大きくてもよく、親綱50の外径よりも大きくてもよい。誘導紐60の外径は、0.2mmよりも小さくされてもよい。
【0013】
無人飛行体40は、無線操縦によって飛行可能な、いわゆるドローンである。本実施形態では、無人飛行体40は、4つの回転翼および脚部が基台に備えられているクアッドコプタ(quadcopter)である。作業者HMは、無人飛行体40を遠隔操縦するための操縦器RMを用いて無人飛行体40を操作する。無人飛行体40は、クアッドコプタには限定されず、例えば、バイコプタ(bicopter)、トリコプタ(tricopter)、ヘキサコプタ(hexacopter)、オクトコプタ(octocopter)等を含むマルチコプタ(multicopter)、ヘリコプタ、飛行機、飛行ロボット等であってもよい。無人飛行体40は、無線操縦に限らず、自律的に飛行するものであってもよい。
【0014】
本実施形態では、無人飛行体40は、基台の下部に誘導紐固定部68を備えている。誘導紐固定部68には、誘導紐60の他端を着脱可能に固定することができる。無人飛行体40は、誘導紐60を搬送可能であれば足り、誘導紐固定部68を備えなくてもよい。無人飛行体40は、誘導紐固定部68に代えて、例えば、誘導紐60の他端のフックと係合するための係合部を備えてよく、誘導紐60の少なくとも一部を把持するための把持部を備えてよい。無人飛行体40は、その一部に誘導紐60が結び付けられてもよい。無人飛行体40には、誘導紐60が着脱不能に固定されてもよい。
【0015】
図2から
図7を用いて、本実施形態の親綱敷設システム100を用いた親綱50の敷設方法について説明する。
図2は、親綱敷設システム100を用いた親綱50の敷設方法を示す工程図である。
【0016】
ステップS10では、作業者HMは、無人飛行体40と、親綱50と、親綱50に接続された誘導紐60とを準備する。作業者HMは、無人飛行体40の誘導紐固定部68に誘導紐60を固定する。ステップS20では、作業者HMは、操縦器RMを用いて無人飛行体40を操作して、誘導紐60を親綱敷設位置に一時的に敷設する。ステップS30では、作業者HMは、誘導紐60を引っ張って、親綱50を誘導紐60と置き換えることによって、親綱50を親綱敷設位置に敷設する。
【0017】
図3は、誘導紐60を親綱敷設位置PRに敷設する工程を示す第一の説明図である。本実施形態では、親綱50は、作業者HMの水平移動に用いられるいわゆる水平親綱として敷設される。具体的には、
図3に親綱敷設位置PRとして示すように、親綱50は、略同一の水平面上に互いに対向して配置されている手すり212と、手すり222との2つの構造物に引っ掛けられることによって、略水平な状態で固定される。なお、親綱50は、水平面上に敷設される場合には限定されず、水平面に対して傾斜した状態で敷設されてもよく、作業者HMの昇降移動に用いられるいわゆる垂直親綱として、水平面に交差する方向に沿って敷設されてもよい。
【0018】
図3に示すように、親綱敷設位置PRには、第一敷設位置LP1と、第二敷設位置LP2とが含まれている。第一敷設位置LP1および第二敷設位置LP2は、構造体によって親綱50が支持される位置である。具体的には、第一敷設位置LP1および第二敷設位置LP2は、親綱敷設位置PRに敷設された親綱50に張力を付与する際に親綱50が支持される位置となる。第一敷設位置LP1および第二敷設位置LP2は、例えば、構造体に親綱50を引っ掛けること、構造体に親綱50を巻き回すこと等によって形成することができる。第一敷設位置LP1および第二敷設位置LP2は、フック等の固定具を構造体に固定することによって形成されてもよい。
【0019】
本実施形態では、第一敷設位置LP1は、作業者HM近傍の構造体としての手すり212である。第一敷設位置LP1は、親綱50に備えられる第一固定具54および第二固定具56を手すり212に引っ掛けられることによって形成される。第二敷設位置LP2は、作業者HMから離れた構造体としての手すり222である。第二敷設位置LP2は、後述するように、親綱50が手すり222の軸周りを回り込むように往復されて手すり222に引っ掛けられることによって形成される。
【0020】
図3に示す飛行経路FRは、作業者HMの操縦によって無人飛行体40が飛行する経路を模式的に示している。
図3に示すように、本実施形態では、飛行経路FRは、手すり212近傍から手すり222に向かい、手すり222の軸周りを回り込んで手すり212に向かって往復する経路である。本実施形態では、親綱敷設位置PRと、飛行経路FRとは略一致しており、作業者HMは、誘導紐60を取り付けられた無人飛行体40を親綱敷設位置PRに沿って飛行させることによって誘導紐60を親綱敷設位置PRに敷設する。飛行経路FRは、必ずしも親綱敷設位置PRと一致させる必要はなく、無人飛行体40の搬送により誘導紐60が親綱敷設位置PRに敷設されれば足りる。
図3の例では、飛行経路FRは、親綱敷設位置PRよりも外側に大きく離間した経路とすることもできる。
【0021】
図3に示すように、作業者HMは、第一固定具54を手すり212に固定した後に、操縦器RMにより無人飛行体40を操縦し、誘導紐固定部68に誘導紐60を取り付けられた無人飛行体40を、飛行経路FRに沿った方向D1に向けて飛行させる。方向D1は、第二敷設位置LP2としての手すり212に向かう方向D1である。第一固定具54は、この時点で手すり212に固定されてもよく、無人飛行体40の操縦を開始してから親綱50を敷設するまでに固定されてもよい。
【0022】
図4は、誘導紐60を親綱敷設位置PRに敷設する工程を示す第二の説明図である。作業者HMは、無人飛行体40を
図3に示した方向D1に向けて飛行させて、手すり222の下側を通り抜けさせたあとに上昇させる。作業者HMは、無人飛行体40を手すり222の上側まで上昇させたあと、
図4に示すように、作業者HMに向かう方向D2に向けて飛行させる。すなわち、無人飛行体40を、手すり222の軸周りを回り込むように往復させることにより、誘導紐60を手すり222に引っ掛ける。この結果、手すり222に第二敷設位置LP2が形成される。
【0023】
図5は、誘導紐60を親綱敷設位置に敷設する工程を示す第三の説明図である。作業者HMは、無人飛行体40を
図4に示した方向D2に向けて飛行させて、回収する。作業者HMは、必ずしも無人飛行体40を回収する必要はなく、誘導紐60を回収すれば足りる。作業者HMは、
図5の方向D3として示すように、回収した誘導紐60の引っ張りを開始する。誘導紐60は、手すり222に支持された状態で引っ張られる。誘導紐60は、無人飛行体40から取り外された状態で引っ張られてよく、無人飛行体40の誘導紐固定部68に取り付けられた状態で引っ張られてもよい。誘導紐60の引っ張りは、作業者HMによる手動であってよく、誘導紐60を引っ張るための装置が用いられてもよい。
【0024】
図6は、親綱50を親綱敷設位置PRに敷設する工程を示す第一の説明図である。作業者HMは、誘導紐60を引っ張り続けると、
図6に方向D4として示すように、誘導紐60の一端に接続された親綱50が引っ張られ、親綱50は、親綱敷設位置PRに一時的に敷設された誘導紐60と置き換えられていく。
【0025】
図7は、親綱50を親綱敷設位置PRに敷設する工程を示す第二の説明図である。作業者HMは、親綱50の一端を回収し、親綱50の一端の接続部52に取り付けられた第二固定具56を、第一敷設位置LP1としての手すり212に固定する。これにより、親綱50は、第一固定具54および第二固定具56によって第一敷設位置LP1としての手すり212に支持され、手すり222に引っ掛けられることによって第二敷設位置LP2としての手すり222に支持された状態となり、親綱50の親綱敷設位置PRへの敷設が完了する。親綱50は、例えば、親綱敷設位置PRに敷設された後に親綱50に取り付けられた親綱緊張器を用いて張力を付与されて用いられる。なお、誘導紐60は、親綱50を親綱敷設位置PRに敷設した後に、親綱50から取り外されてもよく、親綱50に接続されたままでもよい。
【0026】
以上、説明したように、本実施形態の親綱50の敷設方法は、親綱50よりも軽量な誘導紐60を無人飛行体40により搬送して、親綱50が支持されるための第一敷設位置LP1および第二敷設位置LP2を含む親綱敷設位置PRに一時的に敷設し、親綱50に接続された誘導紐60を引っ張ることによって誘導紐60と親綱50とを置き換えて、親綱50を親綱敷設位置PRに敷設する。この形態の親綱50の敷設方法によれば、無人飛行体40を用いて敷設した誘導紐60を引っ張ることによって親綱50を親綱敷設位置PRに敷設することができる。そのため、無人飛行体40に親綱50よりも軽量な誘導紐60を搬送させることができ、無人飛行体40の推力を、誘導紐60を搬送できる程度まで低減することができる。したがって、無人飛行体40が親綱50を搬送する場合と比較して、無人飛行体40を小型化することができる。
【0027】
本実施形態の親綱50の敷設方法によれば、誘導紐60を敷設する工程において、誘導紐60を、無人飛行体40により搬送して第二敷設位置LP2の手すり222に引っ掛けて、誘導紐60を親綱敷設位置PRに敷設する。したがって、誘導紐60を構造体に固定するための部材を用いることなく、構造体を利用する簡易な方法により誘導紐60を親綱敷設位置PRに敷設することができる。誘導紐60を固定するための部材を無人飛行体40に搬送させる必要がなくなり、無人飛行体40の推力を低減し、無人飛行体40を小型化することができる。
【0028】
B.第2実施形態:
図8は、第2実施形態の親綱敷設システム100bを示す説明図である。第2実施形態の親綱敷設システム100bは、親綱50に複数の誘導紐が接続されている点において、第1実施形態の親綱敷設システム100とは相違し、それ以外の構成は、第1実施形態の親綱敷設システム100と同様である。本実施形態では、3本の誘導紐61,62,63が親綱50に接続されている。誘導紐61,62,63それぞれの一本あたりの重量は、上記第1実施形態で例示した誘導紐60よりも軽量である。誘導紐61,62,63それぞれの一本あたりの強度は、誘導紐60よりも低くてもよい。誘導紐61,62,63のそれ以外の構成は、第1実施形態での誘導紐60と同様である。
【0029】
本実施形態では、作業者HMは、誘導紐61の一端を誘導紐固定部68に取り付けられた無人飛行体40を、上記第1実施形態と同様の方法により、飛行経路FR上を飛行させることによって、誘導紐61を親綱敷設位置PRに敷設する。作業者HMは、誘導紐62および誘導紐63に対しても誘導紐61と同様の作業を個別に繰り返し、誘導紐62および誘導紐63を親綱敷設位置PRに敷設する。本実施形態では、一つの無人飛行体40を用いて、誘導紐61,62,63の誘導紐固定部68への着脱を繰り返し、誘導紐61,62,63のそれぞれを個別に親綱敷設位置PRに敷設する。誘導紐61,62,63のそれぞれを接続される複数の無人飛行体40が用いられてもよい。
【0030】
図9は、第2実施形態の親綱敷設システム100bを用いて親綱50を親綱敷設位置PRに敷設する工程を示す説明図である。
図9に示すように、作業者HMは、回収した誘導紐61,62,63を束にして一緒に引っ張ることによって、親綱50を親綱敷設位置PRに敷設する。束にした状態の誘導紐61,62,63の強度は、第1実施形態で示した誘導紐60の強度と同等以上である。
【0031】
本実施形態の親綱敷設システム100bは、複数の誘導紐61,62,63を一緒に引っ張ることによって親綱50を親綱敷設位置PRに敷設する。本実施形態の親綱敷設システム100bによれば、1本の誘導紐を用いて親綱50を親綱敷設位置PRに敷設する形態と比較して、誘導紐1本あたりの重量や耐荷重性を低減することができる。したがって、無人飛行体40で搬送する誘導紐1本あたりの重量を軽量化することができ、無人飛行体40をより小型化することができる。また、誘導紐1本あたりの耐荷重を、1本の誘導紐を用いる形態と同じにすることにより、親綱50の重量を上げることも可能である。
【0032】
C.第3実施形態:
図10は、第3実施形態としての親綱敷設システム100cを示す説明図である。親綱敷設システム100cは、無人飛行体40に代えて無人飛行体40cを備える点において、第1実施形態の親綱敷設システム100とは相違し、その他の構成は第1実施形態の親綱敷設システム100と同様である。無人飛行体40cには、第三固定具58が取り付けられている。本実施形態では、無人飛行体40cは、直線状の飛行経路FR2に沿って飛行する。本実施形態では、無人飛行体40cの飛行経路FR2と、親綱敷設位置PR2とは一致しない。
【0033】
図10に示すように、誘導紐60の一端は、第1実施形態と同様に、接続部52を介して親綱50に接続されている。なお、接続部52には、第二固定具56は装着されていない。本実施形態では、誘導紐60の他端には、フック66が設けられている。誘導紐60の他端は、後述するように、第三固定具58の挿通部586に挿通されたあと、フック66によって手すり212に固定されている。フック66は、誘導紐60が第三固定具58から脱落することを防止するために、誘導紐60の他端を構造体に一時的に固定するために用いられる。誘導紐60が手すり212に結び付けられる場合や作業者HMが誘導紐60を把持する場合などには、フック66は、備えられなくてもよい。
【0034】
図11は、第三固定具58の構成を示す説明図である。第三固定具58は、本体部581と、リング585と、挿通部586とを備えるフックである。第三固定具58は、構造体に固定可能な構造体固定具として機能する。リング585は、ロープ584を介して本体部581に取り付けられている。
【0035】
本体部581は、開閉部582と、板バネ583とを備えている。挿通部586は、誘導紐60および親綱50を挿通することができる大きさの貫通孔である。本実施形態では、挿通部586は、環状の本体部581の中央に形成されている開口である。挿通部586は、例えば、本体部581に取り付けられたリングなど、本体部581とは別体の部材に設けられる貫通孔であってもよい。挿通部586には、
図11に示すように、誘導紐60が挿通されている。
【0036】
開閉部582は、板バネ583によって、本体部581の外側に向かう方向D9に付勢されている。この付勢力により、開閉部582は閉状態となり、本体部581は、
図10に示すように、挿通部586を形成する閉じた状態となる。閉じた状態の開閉部582に、外側から板バネ583の付勢力よりも大きな力が加わると、開閉部582は、方向D9とは逆方向に回動して開状態となり、挿通部586は、本体部581外と連通した状態になる。
【0037】
図12は、無人飛行体40cの構成を示す説明図である。本実施形態において、無人飛行体40cは、基台41の下面にリング着脱機構44が取り付けられている。リング着脱機構44は、リング係止部45と、開閉部46と、弾性体47とを備えている。リング係止部45は、第三固定具58のリング585を係止することができる。開閉部46は、その上端部を回転軸として回動する。開閉部46には、弾性体47が接続されており、弾性体47による付勢力によってリング係止部45の端部に当接して、リング係止部45を外部とは連通しない閉状態としている。
【0038】
図13から
図16を用いて、誘導紐60を親綱敷設位置PR2に敷設する工程について説明する。
図13は、第三固定具58が構造体に固定される状態を示す第一の説明図である。
図14は、第三固定具58が構造体に固定される状態を示す第二の説明図である。
図15は、第三固定具58が構造体に固定される状態を示す第三の説明図である。作業者HMは、親綱50と、誘導紐60と、無人飛行体40cとを準備する工程において、第三固定具58の挿通部586に誘導紐60を挿通し、第三固定具58のリング585を、無人飛行体40cのリング係止部45に係止する。
【0039】
作業者HMは、
図13に示すように、無人飛行体40cを飛行経路FR2に沿った方向D5に飛行させる。方向D5は、
図10に示すように、手すり222に向かう方向である。作業者HMは、無人飛行体40cをさらに方向D5に沿って飛行させて、第三固定具58の開閉部582を手すり222に接触させる。開閉部582には、手すり222との接触により板バネ583の付勢力よりも大きな力が与えられる。その結果、開閉部582は、開状態となり、
図14に示すように、手すり222が第三固定具58の挿通部586に収容される。
【0040】
作業者HMは、無人飛行体40cを方向D5にさらに飛行させると、手すり222によって第三固定具58の移動が規制されることによって、第三固定具58のリング585は、リング着脱機構44の開閉部46に向かう方向に相対的に移動して開閉部46に接触する。無人飛行体40cの飛行による推進力により、リング585は、弾性体47の付勢力を上回る力で開閉部46を方向D6に開く。その結果、
図15に示すように、リング585は、無人飛行体40cのリング着脱機構44から離脱し、第三固定具58は、手すり222に固定される。開閉部46は無負荷状態となり、弾性体47の付勢力によって方向D7に閉じられる。以上により、誘導紐60の親綱敷設位置PR2への敷設が完了する。このように、誘導紐60の親綱敷設位置PRへの敷設において、第1実施形態のように構造体としての手すり222に誘導紐60が引っ掛けられるなど、誘導紐60が構造体に直接的に固定される方法には限らず、本実施形態のように、第三固定具58が構造体に固定されるなど、誘導紐60が構造体に間接的に固定される方法が用いられてもよい。
【0041】
図16は、第3実施形態における親綱50を親綱敷設位置PR2に敷設する工程を示す第一の説明図である。作業者HMは、誘導紐60の他端のフック66を手すり212から取り外して、
図16の方向D8として示すように、誘導紐60を引っ張る。本実施形態では、誘導紐60は、第三固定具58の挿通部586を通過しながら引っ張られる。
【0042】
図17は、第3実施形態における親綱50を親綱敷設位置PR2に敷設する工程を示す第二の説明図である。作業者HMは、親綱敷設位置PR2への敷設を完了した誘導紐60を引っ張ると、誘導紐60の一端に接続された親綱50が引っ張られる。親綱50の接続部52には第二固定具56が装着されていないので、親綱50は、挿通部586を容易に通過することができる。作業者HMは、親綱50の一端の接続部52を回収して、回収した接続部52に第二固定具56を装着する。作業者HMは、第二固定具56を用いて親綱50を手すり212に固定する。この結果、親綱50は、親綱敷設位置PR2に配置される。
【0043】
本実施形態の親綱敷設システム100cによれば、挿通部586に誘導紐60を挿通した状態の第三固定具58を無人飛行体40cで搬送し、第三固定具58を構造体としての手すり222に固定することにより、誘導紐60を親綱敷設位置PR2に一時的に敷設する。したがって、第二敷設位置LP2としての構造体の近傍での無人飛行体40cの飛行経路FR2を単純化することができ、無人飛行体40の容易な操作により誘導紐60を敷設することができる。また、例えば、複雑な構造を有する構造体に誘導紐60を敷設することが容易となる。
【0044】
D.第4実施形態:
図18は、第4実施形態としての親綱50の敷設方法を示す説明図である。本実施形態の親綱敷設システム100の構成は、第1実施形態の親綱敷設システム100と同様である。本実施形態では、構造体によって親綱50が支持される位置の数が異なる点において、第1実施形態とは相違する。具体的には、親綱50が支持される位置は、第1実施形態で例示した第一敷設位置LP1および第二敷設位置LP2に加え、さらに第三敷設位置LP3を含んでいる。第三敷設位置LP3は、作業台210,220とは異なる作業台230に備えられる手すり232を利用して形成される。
【0045】
作業者HMは、上記第1実施形態と同様に、無人飛行体40を操作して、手すり222に誘導紐60を引っ掛けることにより第二敷設位置LP2を形成した後に、さらに手すり232に誘導紐60を引っ掛けることにより、第三敷設位置LP3を形成する。第三敷設位置LP3に形成した後に、さらに無人飛行体40を手すり212まで移動させることにより、誘導紐60の親綱敷設位置PR3への敷設は完了する。作業者HMは、回収した誘導紐60を引っ張って、親綱50の一端の第二固定具56を手すり212に固定することにより、親綱50の敷設は完了する。このように、親綱敷設位置に敷設された親綱50が構造体によって支持されるための敷設位置は、2つには限らず3以上であってもよい。本実施形態の親綱50の敷設方法によれば、親綱50が敷設される領域を拡大することができる。
【0046】
E.他の実施形態:
(E1)上記第3実施形態では、無人飛行体40cは、弾性体47を利用した開閉部46を備えるリング着脱機構44の例を示した。これに対して、電気的な手段によって開閉するロック機構を備えたリング着脱機構44が用いられてもよい。この場合には、作業者HMは、例えば、操縦器RMの操作によりロック機構を解放する電気信号をリング着脱機構44に送信することにより、開閉部46の開閉を行う。
【0047】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
40,40c…無人飛行体、41…基台、44…リング着脱機構、45…リング係止部、46…開閉部、47…弾性体、50…親綱、52…接続部、54…第一固定具、56…第二固定具、58…第三固定具、60~63…誘導紐、66…フック、68…誘導紐固定部、100,100b,100c…親綱敷設システム、210,220,230…作業台、250…梁、581…本体部、582…開閉部、583…板バネ、584…ロープ、585…リング、586…挿通部、FR,FR2…飛行経路、HM…作業者、LP1…第一敷設位置、LP2…第二敷設位置、LP3…第三敷設位置、PR,PR2,PR3…親綱敷設位置、RM…操縦器