(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】温度測定装置および送電設備物理量測定装置
(51)【国際特許分類】
G01K 7/02 20210101AFI20240806BHJP
G01K 1/024 20210101ALI20240806BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20240806BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G01K7/02 Q
G01K1/024
G01K1/14 L
G01K1/14 E
H02G1/02
(21)【出願番号】P 2021067062
(22)【出願日】2021-04-12
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100187643
【氏名又は名称】白鳥 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】梅村 侑史
(72)【発明者】
【氏名】岩間 成美
(72)【発明者】
【氏名】酒井 治
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 隆一
(72)【発明者】
【氏名】三田 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】東 栄治
(72)【発明者】
【氏名】丸山 剛史
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-053025(JP,A)
【文献】特開2020-150635(JP,A)
【文献】特開2019-184287(JP,A)
【文献】特開2019-138797(JP,A)
【文献】国際公開第02/054029(WO,A1)
【文献】特開平11-108765(JP,A)
【文献】特開2020-145925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
H02G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を圧縮接続する断面多角形
で且つアルミニウムまたはアルミニウム合金を含む接続部における温度を測定する温度測定装置であって、
一対の熱電対素線が露出した露出部を含む熱電対と、
前記熱電対と前記接続部との間に介在し、前記接続部に直接接するように配置される金属製のプレート部と、
を備え、
前記プレート部は、前記一対の熱電対素線のそれぞれの腐食電位よりも
アルミニウムまたはアルミニウム合金の腐食電位に近い腐食電位を有し、
前記プレート部は、前記接続部の外周面に面接触するように平板状に構成されている
温度測定装置。
【請求項2】
前記プレート部とともに前記熱電対を挟持するブロック部と、
前記接続部、前記プレート部、前記熱電対および前記ブロック部をひとまとめに結束する結束部と、
を備え、
前記ブロック部は、前記結束部が係合する係合溝を有する
請求項1に記載の温度測定装置。
【請求項3】
前記ブロック部は、前記プレート部に対向する側に、前記熱電対が挿入される挿入溝を有する
請求項2に記載の温度測定装置。
【請求項4】
前記結束部は、複数設けられ、
前記係合溝は、前記複数の結束部がそれぞれ係合するよう複数設けられ、
前記複数の係合溝のうちの1つは、前記一対の熱電対素線の前記露出部と重なる位置に設けられている
請求項2又は請求項3に記載の温度測定装置。
【請求項5】
前記一対の熱電対素線の前記露出部が前記プレート部に接した状態で、該露出部を覆う樹脂層を備える
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の温度測定装置。
【請求項6】
前記プレート部は、
前記接続部に直接接するよう配置される第1片部と、
前記第1片部とともに、前記一対の熱電対素線の前記露出部を挟持する第2片部と、
を有する
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の温度測定装置。
【請求項7】
前記第2片部は、前記第1片部の沿面方向の一端に接続されている
請求項6に記載の温度測定装置。
【請求項8】
電線を圧縮接続する断面多角形
で且つアルミニウムまたはアルミニウム合金を含む接続部の温度を測定する温度測定部と、
前記電線を囲むように配置され、前記電線に流れる電流に基づいて生じる磁界から電磁誘導により電力を発生させる電源用カレントトランス部と、
前記温度測定部および前記電源用カレントトランス部に接続され、前記温度測定部が測定した前記接続部の温度データを、前記電源用カレントトランス部からの電力により無線で外部に送信する無線部と、
を備え、
前記温度測定部は、
一対の熱電対素線が露出した露出部を含む熱電対と、
前記熱電対と前記接続部との間に介在し、前記接続部に直接接するように配置される金属製のプレート部と、
を備え、
前記プレート部は、前記一対の熱電対素線のそれぞれの腐食電位よりも
アルミニウムまたはアルミニウム合金の腐食電位に近い腐食電位を有し、
前記プレート部は、前記接続部の外周面に面接触するように平板状に構成されている
送電設備物理量測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、温度測定装置および送電設備物理量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電線の温度を測定するため、電線に対して温度測定装置が取り付けられることがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、接続部の温度を安定的に測定することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
電線を圧縮接続する断面多角形の接続部における温度を測定する温度測定装置であって、
一対の熱電対素線が露出した露出部を含む熱電対と、
前記熱電対と前記接続部との間に介在し、前記接続部に直接接するように配置される金属製のプレート部と、
を備え、
前記プレート部は、前記一対の熱電対素線のそれぞれの腐食電位よりも前記接続部の腐食電位に近い腐食電位を有し、
前記プレート部は、前記接続部の外周面に面接触するように平板状に構成されている
温度測定装置が提供される。
【0006】
本開示の他の態様によれば、
電線を圧縮接続する断面多角形の接続部の温度を測定する温度測定部と、
前記電線を囲むように配置され、前記電線に流れる電流に基づいて生じる磁界から電磁誘導により電力を発生させる電源用カレントトランス部と、
前記温度測定部および前記電源用カレントトランス部に接続され、前記温度測定部が測定した前記接続部の温度データを、前記電源用カレントトランス部からの電力により無線で外部に送信する無線部と、
を備え、
前記温度測定部は、
一対の熱電対素線が露出した露出部を含む熱電対と、
前記熱電対と前記接続部との間に介在し、前記接続部に直接接するように配置される金属製のプレート部と、
を備え、
前記プレート部は、前記一対の熱電対素線のそれぞれの腐食電位よりも前記接続部の腐食電位に近い腐食電位を有し、
前記プレート部は、前記接続部の外周面に面接触するように平板状に構成されている
送電設備物理量測定装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、接続部の温度を安定的に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態に係る温度測定装置を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、熱電対の軸方向に沿った温度測定装置の概略断面図である。
【
図3】
図3は、プレート部付近を拡大した断面図である。
【
図4】
図4は、本開示の第2実施形態に係る送電設備物理量測定装置を示す概略斜視図である。
【
図5】
図5は、本開示の第2実施形態に係る送電設備物理量測定装置を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、本開示の第2実施形態に係る送電設備物理量測定装置を示す正面図である。
【
図7】
図7は、本開示の第2実施形態に係る送電設備物理量測定装置を示す左側面図である。
【
図8】
図8は、本開示の第2実施形態に係る送電設備物理量測定装置を示す底面図である。
【
図12】
図12は、電源用カレントトランス部または電流測定用カレントトランス部を示す概略図である。
【
図13】
図13は、本開示の第2実施形態の変形例に係る送電設備物理量測定装置を示す正面図である。
【
図14】
図14は、本開示の第2実施形態の変形例に係る送電設備物理量測定装置を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
<発明者の得た知見>
まず、発明者の得た知見について説明する。
【0010】
送電設備の温度測定を行う場合、電線の温度を測定することに加え、電線を接続する接続部の温度を測定することも重要となる。接続部では、電線と接続部との電接面を介して、電流が流れる。当該電接面が、経年、雨水および塩害などの劣化により正常な状態でなくなると、電気抵抗が上昇し、接続部が異常発熱する場合がある。送電線路のなかに異常発熱する接続部が存在する場合、当該発熱した接続部を起因として、送電線路全体の効率運用が困難となる。そのため、電線の温度を測定することに加え、接続部の温度を測定することも重要となる。
【0011】
ここで、電線およびその接続部などの温度を測定する温度測定装置において、例えば、IC(Integrated Circuit)温度センサが用いられることがあった。
【0012】
しかしながら、IC温度センサの適用温度は、105℃以下であった。電線の金属素線として使用されるアルミ線の連続使用温度は、汎用的には90℃であり、105℃であれば実用的な範囲はカバーできるが、一方で、連続使用温度が230℃となることがあった。このため、電線に流れる電流によっては、IC温度センサによって電線および接続部の温度を測定することが困難となる可能性があった。
【0013】
また、IC温度センサの回路基板は金属製の筐体に収容され、筐体内には防水のため樹脂が充填されていた。このため、IC温度センサの回路基板を収容する筐体の容積が大きく、これらの熱容量が大きくなっていた。その結果、電線および接続部の温度測定精度が低下し、電線および接続部の温度変化に対する追従性が低下する可能性があった。
【0014】
これに対し、本発明者等は、温度測定装置において、熱電対を用いることを検討した。
【0015】
熱電対において、一対の熱電対素線を構成する材料を適切に選択すれることにより、アルミ線の最高使用温度まで、電線および接続部の温度を精度よく測定可能となることが期待される。また、熱電対を用いることで、IC温度センサの回路基板を収容するような大きな筐体を不要とすることができる。これにより、筐体の熱容量に起因した、電線および接続部の温度測定精度の低下と、電線および接続部の温度変化に対する追従性の低下とを抑制可能となることが期待される。
【0016】
しかしながら、本発明者等は、熱電対を用いた場合に以下の新規課題が生じることを見出した。
【0017】
熱電対は、例えば、電線および接続部に対して直接的に接して配置される。このとき、電線および接続部の腐食電位と、一対の熱電対素線のそれぞれの腐食電位との差に起因して、電線および接続部と、一対の熱電対素線との少なくともいずれかにおいて、電食(異種金属接触に起因した腐食:ガルバニック腐食)が生じてしまう可能性があった。これらに電食が発生すると、熱電対による温度測定精度が徐々に低下してしまう可能性があった。また、電線および接続部自体の機械特性および電気特性が低下してしまうおそれがあった。これらの結果、電線および接続部の温度を安定的に測定することが困難となるとともに電線および接続部に害をおよぼす可能性があった。
【0018】
また、電線を接続する接続部の温度を測定する場合、熱電対は、例えば、帯状の結束部により接続部に取り付けられる。しかしながら、断面六角形の接続部に対して、太さが異なる線状の熱電対を取り付けるため、接続部と熱電対とを結束部により締め付けたとしても、接続部と熱電対との間に隙間が生じやすく、これらが容易にずれてしまう。このため、熱電対の測温接点(感温部)の位置を安定的に維持することができない可能性がある。その結果、測温位置の変動に起因した接続部の測定温度の揺らぎが生じてしまうおそれがある。
【0019】
本開示は、発明者等が見出した上記新規課題に基づくものである。
【0020】
<本開示の実施態様>
次に、本開示の実施態様を列記して説明する。
【0021】
[1]本開示の一態様に係る温度測定装置は、
電線を圧縮接続する断面多角形の接続部における温度を測定する温度測定装置であって、
一対の熱電対素線が露出した露出部を含む熱電対と、
前記熱電対と前記接続部との間に介在し、前記接続部に直接接するように配置される金属製のプレート部と、
を備え、
前記プレート部は、前記一対の熱電対素線のそれぞれの腐食電位よりも前記接続部の腐食電位に近い腐食電位を有し、
前記プレート部は、前記接続部の外周面に面接触するように平板状に構成されている。
この構成によれば、接続部の温度を安定的に測定することが可能となる。
【0022】
[2]上記[1]に記載の温度測定装置において、
前記プレート部とともに前記熱電対を挟持するブロック部と、
前記接続部、前記プレート部、前記熱電対および前記ブロック部をひとまとめに結束する結束部と、
を備え、
前記ブロック部は、前記結束部が係合する係合溝を有する。
この構成によれば、ブロック部から結束部が外れることを抑制することができる。
【0023】
[3]上記[2]に記載の温度測定装置において、
前記ブロック部は、前記プレート部に対向する側に、前記熱電対が挿入される挿入溝を有する。
この構成によれば、熱電対のずれを抑制することができる。
【0024】
[4]上記[2]又は[3]に記載の温度測定装置において、
前記結束部は、複数設けられ、
前記係合溝は、前記複数の結束部がそれぞれ係合するよう複数設けられ、
前記複数の係合溝のうちの1つは、前記一対の熱電対素線の前記露出部と重なる位置に設けられている。
この構成によれば、結束部の固縛により、一対の熱電対素線の露出部を接続部側に押し付けることができる。
【0025】
[5]上記[1]から[4]のいずれか1つに記載の温度測定装置において、
前記一対の熱電対素線の前記露出部が前記プレート部に接した状態で、該露出部を覆う樹脂層を備える。
この構成によれば、熱電対素線とプレート部との電食の発生を抑制することができる。
【0026】
[6]上記[1]から[5]のいずれか1つに記載の温度測定装置において、
前記プレート部は、
前記電線に直接接するよう配置される第1片部と、
前記第1片部とともに、前記一対の熱電対素線の前記露出部を挟持する第2片部と、
を有する。
この構成によれば、プレート部に対する一対の熱電対素線のずれを抑制することができる。
【0027】
[7]上記[6]に記載の温度測定装置において、
前記第2片部は、前記第1片部の沿面方向の一端に接続されている。
この構成によれば、第1片部と第2片部との相互のずれを抑制することができる。
【0028】
[8]本開示の他の態様に係る送電設備物理量測定装置は、
電線を圧縮接続する断面多角形の接続部の温度を測定する温度測定部と、
前記電線を囲むように配置され、前記電線に流れる電流に基づいて生じる磁界から電磁誘導により電力を発生させる電源用カレントトランス部と、
前記温度測定部および前記電源用カレントトランス部に接続され、前記温度測定部が測定した前記接続部の温度データを、前記電源用カレントトランス部からの電力により無線で外部に送信する無線部と、
を備え、
前記温度測定部は、
一対の熱電対素線が露出した露出部を含む熱電対と、
前記熱電対と前記接続部との間に介在し、前記接続部に直接接するように配置される金属製のプレート部と、
を備え、
前記プレート部は、前記一対の熱電対素線のそれぞれの腐食電位よりも前記接続部の腐食電位に近い腐食電位を有し、
前記プレート部は、前記接続部の外周面に面接触するように平板状に構成されている。
この構成によれば、接続部の温度を安定的に測定することが可能となる。
【0029】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の実施形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0030】
<本開示の第1実施形態>
(1)温度測定装置
本開示の第1実施形態に係る温度測定装置200について、
図1~
図3を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る温度測定装置を示す概略斜視図である。
図2は、熱電対の軸方向に沿った温度測定装置の概略断面図である。
図3は、プレート部付近を拡大した断面図である。なお、
図1~
図3は、鉛直方向において実際の取り付け状態と反対の状態を示している。
図1において、接続部180の一部の断面図を示している。
図2および
図3において、接続部180の断面構造を省略している。また、
図2および
図3において、熱電対220は断面ではなく側面図を示している。
【0031】
なお、以下において、熱電対220の「軸方向」とは、熱電対220の中心軸に沿った方向のことをいい、場合によっては熱電対220の長手方向と言い換えることができる。
【0032】
図1~
図3に示すように、本実施形態の温度測定装置200は、例えば、電線100を圧縮接続する断面多角形の接続部180における温度を測定するよう構成されている。具体的には、温度測定装置200は、例えば、熱電対220と、樹脂層230と、プレート部240と、ブロック部260と、結束部280と、を備えている。
【0033】
(電線および接続部)
本実施形態において、電線100は、例えば、いわゆる架空送電線として構成されている。すなわち、電線100は、例えば、複数の金属素線を最外層に有している。
【0034】
具体的には、電線100は、例えば、鋼心アルミ撚線(ACSR)である。電線100は、例えば、架線時の張力を負担する中心部と、中心部の外周を覆うように複数の金属素線が撚り合わせられて設けられ、送電時の電流を流す導体として構成される撚線層と、を有している。中心部を構成する素線は、例えば、アルミ覆鋼線(AC線)である。撚線層を構成する金属素線は、例えば、アルミニウム(Al)またはAl合金を含んでいる。
【0035】
測定対象としての接続部180は、例えば、電線100を圧縮接続するいわゆる圧縮接続管として構成されている。圧縮接続管としては、例えば、圧縮形引留クランプ、直線スリーブなどが挙げられる。圧縮形引留クランプは、電線100を物理的および電気的に接続し、鉄塔などに引留める金具である。直線スリーブは、一対の電線100同士を物理的および電気的に接続する金具である。
【0036】
接続部180は、多角形の断面を有している。具体的には、接続部180の断面形状は、例えば、六角形である。このため、接続部180は、6つの平坦な外周面を有している。
【0037】
また、接続部180は、接続する電線100の金属素線と同様の材料からなっている。具体的には、接続部180は、例えば、AlまたはAl合金を含んでいる。
【0038】
(熱電対)
図2および
図3に示すように、熱電対220は、例えば、いわゆる被覆熱電対として構成されている。具体的には、熱電対220は、例えば、一対の熱電対素線222と、絶縁層224と、シールド部(遮蔽層)226と、を有している。熱電対220は、例えば、その軸方向に先端から反対側に向けて段階的に剥がされている。
【0039】
一対の熱電対素線222は、例えば、互いに異なる金属材料を含んでいる。具体的には、熱電対220は、例えば、K熱電対として構成されている。すなわち、一対の熱電対素線222のうち、+脚の熱電対素線222は、クロム(Cr)を10%含むニッケル(Ni)-Cr合金(クロメル)を含有し、-脚の熱電対素線222は、Alおよびマンガン(Mn)を含むNi合金(アルメル)を含有している。このような構成により、測定温度範囲を、-270℃以上1372℃以下とすることができる。これにより、最高使用温度が230℃である特別耐熱アルミ合金線(XTAl)などのような金属素線を有する電線100を接続する接続部180であっても、温度を精度よく測定することが可能となる。
【0040】
一対の熱電対素線222の先端同士は、例えば、溶接により、互いに接続(接合)されている。互いに接続された先端が、いわゆる測温接点となる。測温接点と反対側の端部には、例えば、温度補償回路を有する計測器(不図示)が接続される。一対の熱電対素線222の間に生じた熱起電力を計測器により測定することで、測温接点における温度を測定(算出)することができる。
【0041】
絶縁層224は、例えば、絶縁材料を含み、一対の熱電対素線222の外周を覆っている。本実施形態では、絶縁層224は、例えば、内側絶縁層224aと、外側絶縁層(外被)224bと、を有している。内側絶縁層224aは、例えば、一対の熱電対素線222のそれぞれの外周を覆っている。外側絶縁層224bは、例えば、内側絶縁層224aの外周を覆っている。内側絶縁層224aおよび外側絶縁層224bのそれぞれを構成する材料としては、例えば、塩化ビニル、ポリエチレン、シリコーンゴム、フッ素樹脂、ガラス繊維、セラミック繊維などが挙げられる。
【0042】
ここで、熱電対220は、例えば、測温接点を構成する先端から所定長さに亘って、上述の一対の熱電対素線222が絶縁層224から露出した露出部EPを含んでいる。本実施形態では、後述するように、一対の熱電対素線222の露出部EPの周辺における態様が、温度測定精度の向上および電食の抑制の観点から重要となる。
【0043】
シールド部226は、例えば、絶縁層224の外周を覆う編組線を含んでいる。本実施形態では、シールド部226は、例えば、絶縁層224が後述のプレート部240よりも外側に延在した部分を覆っている。このような構成により、一対の熱電対素線222をシールド部226により遮蔽することができる。これにより、電線100に流れる電流に基づいて、接続部180の周辺に電磁界が発生したときに、一対の熱電対素線222の熱起電力に対するノイズの発生を抑制することができる。その結果、温度測定精度を向上させることができる。
【0044】
なお、
図1に示すように、シールド部226の外周をアルミテープ228により覆ってもよい。
【0045】
(プレート部および樹脂層)
プレート部240は、例えば、金属製の板状部材として構成されている。プレート部240は、例えば、接続部180と熱電対220との間に介在し、接続部180に直接接するように配置される。また、プレート部240は、例えば、露出部EPを含む熱電対220の少なくとも一部を支持している。このような構成により、接続部180の熱は、プレート部240を介して熱電対220に伝達するようになっている。また、プレート部240を薄い板状とすることで、被測定物としての接続部180から奪う熱を最小限にとどめ、接続部180の温度を精度よく測定することができる。
【0046】
本実施形態では、プレート部240の腐食電位は、例えば、一対の熱電対素線222のそれぞれの腐食電位よりも接続部180の腐食電位に近い。このような構成により、直接接触する接続部180とプレート部240との腐食電位差を小さくすることができる。これにより、接続部180またはプレート部240における電食の発生を抑制することができる。
【0047】
具体的には、例えば、飽和カロメル電極(SCE:Saturated Calomel Electrode)を基準電位としたときに、接続部180が含有するAl又はAl合金の腐食電位は、およそ-1.0以上-0.75(V vs.SCE)であり、熱電対素線222が含有するNiの腐食電位は、およそ-0.2以上-0.1(V vs.SCE)である。したがって、プレート部240の腐食電位は、例えば、-1.0以上-0.2未満、好ましくは-1.0以上-0.4以下、より好ましくは-1.0以上-0.6以下(V vs.SCE)である。
【0048】
さらに、本実施形態では、プレート部240は、例えば、接続部180と同じ金属を含有することが好ましい。すなわち、プレート部240は、例えば、AlまたはAl合金を含むことが好ましい。これにより、プレート部240の腐食電位を接続部180の腐食電位に確実に近づけることができる。
【0049】
また、本実施形態では、プレート部240は、例えば、接続部180の平坦な外周面に面接触するように平板状に構成されている。プレート部240は、例えば、接続部180の外周面に沿って長板状に構成されている。これにより、接続部180に対するプレート部240の接触面積を大きくすることができる。その結果、温度測定精度を向上させることができる。
【0050】
[樹脂層]
図3に示すように、樹脂層230は、例えば、一対の熱電対素線222の露出部EPがプレート部240に接した状態で、該露出部EPを覆っている。これにより、外部からの浸水を抑制し、一対の熱電対素線222の露出部EPを保護することができる。その結果、互いに異なる金属からなる熱電対素線222とプレート部240とが接していても、熱電対素線222とプレート部240との電食の発生を抑制することができる。
【0051】
樹脂層230を構成する樹脂は、例えば、防水性(浸水耐性)と、耐熱性と、耐寒性と、熱電対素線222およびプレート部240のそれぞれに対する接着性と、を有していることが好ましい。具体的には、樹脂層230を構成する樹脂としては、例えば、シリコーンゴム、エポキシ樹脂などが挙げられる。シリコーンゴムとしては、例えば、室温硬化型(RTV:Room Temperature Vulcanizing)であることが好ましい。硬化タイプとしては、一液型であっても、二液型であってもよい。
【0052】
[2片構造]
本実施形態では、プレート部240は、2片構造を有し、例えば、第1片部242と、第2片部244と、を有している。
【0053】
第1片部242は、プレート部240の主な機能を担っており、例えば、接続部180と熱電対220との間に介在し、接続部180に直接接するよう配置される。第1片部242は、例えば、熱電対220の一部を支持している。これにより、接続部180と一対の熱電対素線222との直接接触を抑制することができる。
【0054】
第2片部244は、例えば、樹脂層230で覆われた一対の熱電対素線222の露出部EPを、第1片部242とともに挟持している。言い換えれば、第2片部244は、熱電対220を挟んで第1片部242と反対側に設けられ、一対の熱電対素線222の露出部EPを覆っている。これにより、プレート部240に対する一対の熱電対素線222のずれを抑制することができる。また、一対の熱電対素線222の露出部EPと外気との接触を抑制することができる。
【0055】
熱電対220の軸方向における第1片部242の長さは、例えば、第2片部244の長さよりも長い。第1片部242は、例えば、第2片部244よりも外側に延在し、第2片部244よりも長い範囲に亘って熱電対220の一部を支持している。これにより、第1片部242および第2片部244が一対の熱電対素線222の露出部EPを挟持した部分を、第1片部242の端部と電線100との間の段差部から遠ざけることができる。その結果、当該段差部に起因して、第1片部242および第2片部244から一対の熱電対素線222の露出部EPが抜け出る力が加わることを抑制することができる。
【0056】
本実施形態では、樹脂層230で覆われた一対の熱電対素線222の露出部EPは、第1片部242と第2片部244との間に挿入されている。第1片部242と第2片部244との間において、一対の熱電対素線222の露出部EPを除く間隙内に、上述の樹脂層230が密に充填されている。第1片部242と第2片部244との間への外気の侵入または水分の浸入を抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態では、第2片部244は、例えば、第1片部242の沿面方向の一端に接続されている。具体的には、プレート部240は、一枚の板状部材が折り返されることで、第1片部242および第2片部244を構成している。すなわち、第2片部244は、例えば、第1片部242の沿面方向の一端における辺全体に亘って、第1片部242に接続されている。これにより、第1片部242と第2片部244との相互のずれを抑制することができる。
【0058】
なお、第1片部242と第2片部244とが接続された辺は、例えば、一対の熱電対素線222の露出部EPが挿入される辺に繋がった隣の辺ではなく、該露出部EPが挿入される辺と反対側の辺であることが好ましい。これにより、第1片部242と第2片部244との間に、一対の熱電対素線222の露出部EPを容易に挿入することができる。
【0059】
本実施形態では、第1片部242の短手方向の幅は、例えば、接続部180の1つの外周面における短手方向の幅(断面六角形の一辺の長さ)よりも短い。これにより、第1片部242の下面全体を接続部180の1つの外周面に当接させることができる。なお、第2片部244の短手方向の幅は、当該第1片部242の短手方向の幅と等しい。
【0060】
本実施形態では、プレート部240を構成する第1片部242および第2片部244のそれぞれの厚さは、例えば、0.3mm以上0.5mm以下である。各厚さを0.3mmとすることで、プレート部240の剛性を充分に確保することができる。一方で、各厚さを0.5mm以下とすることで、プレート部240の加工性を向上させることができる。
【0061】
(ブロック部)
ブロック部260は、例えば、プレート部240とともに熱電対220を挟持している。ブロック部260は、例えば、長尺状に構成されている。また、ブロック部260は、熱電対220を挟んでプレート部240の反対側で、熱電対220の軸方向(プレート部240の長手方向)に沿って、熱電対220の一部およびプレート部240を覆っている。
【0062】
ブロック部260は、例えば、直方体の6面のそれぞれの一部に相当する平坦な外周面を有している。熱電対220の軸方向に垂直な断面において、ブロック部260の形状は、四角形である。
【0063】
一方で、ブロック部260は、例えば、複数の溝部(262,264)を有している。
【0064】
ブロック部260は、例えば、プレート部240に対向する側に、熱電対220が挿入される挿入溝264を有している。挿入溝264内には、熱電対220が嵌合するようになっている。これにより、熱電対220のずれを抑制することができる。また、熱電対220をブロック部260内に隠すことができる。これにより、プレート部240とブロック部260との間における間隙の発生を抑制しつつ、挿入溝264を除くブロック部260の下面をプレート部240の上面に当接させることができる。
【0065】
挿入溝264は、例えば、ブロック部260の長手方向に沿ってブロック部260の端部からブロック部260の中央部まで設けられている。ブロック部260の中央部付近における挿入溝264の内周面は、一対の熱電対素線222の露出部EPを覆うように湾曲している。これにより、熱電対220の段剥ぎ形状に合わせて、ブロック部260の挿入溝264内に熱電対220を嵌合させることができる。
【0066】
なお、本実施形態では、挿入溝264のうち、熱電対220およびプレート部240を除く間隙内に、樹脂層234が密に充填されていることが好ましい。樹脂層234は、プレート部240、熱電対220およびブロック部260を互いに接着している。樹脂層234を構成する樹脂は、例えば、樹脂層230を構成する樹脂と同じである。このような構成により、挿入溝264内への外気の侵入および水分の浸入を抑制することができる。また、挿入溝264内の熱電対220のずれ(がたつき)を抑制することができる。
【0067】
さらには、本実施形態では、ブロック部260の下面とプレート部240の上面とは、例えば、樹脂層234を介して接着されていることが好ましい。これにより、ブロック部260とプレート部240との相互のずれを抑制することができる。その結果、一対の熱電対素線222の測温接点の位置を安定的に維持することができる。
【0068】
また、ブロック部260は、後述のように、接続部180、プレート部240、熱電対220およびブロック部260をひとまとめに結束する結束部280が係合する係合溝262を有している。係合溝262は、ブロック部260においてプレート部240と反対側に設けられている。これにより、ブロック部260から結束部280が外れることを抑制することができる。その結果、断面多角形の接続部180に対して温度測定装置200を強固に取り付けることができる。
【0069】
ブロック部260には、例えば、複数の結束部280がそれぞれ係合するよう複数の係合溝262が設けられている。本実施形態では、係合溝262は、例えば、少なくとも3つ設けられている。3つの係合溝262を、第1係合溝262a、第2係合溝262bおよび第3係合溝262cとする。
【0070】
具体的には、第2係合溝262bは、例えば、一対の熱電対素線222の露出部EPと重なる位置に設けられている。すなわち、第2係合溝262bは、例えば、ブロック部260の中央部における挿入溝264の端部と重なる位置に設けられている。当該第2係合溝262bに係合する後述の第2結束部280bの固縛により、一対の熱電対素線222の露出部EPを接続部180側に押し付けることができる。
【0071】
第1係合溝262aおよび第3係合溝262cは、例えば、第2係合溝262bを挟んで互いに反対側に設けられている。すなわち、第1係合溝262aは、ブロック部260の長手方向の第1端部付近に設けられ、第3係合溝262cは、ブロック部260の長手方向の第2端部付近に設けられている。
【0072】
ブロック部260の具体的寸法としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の寸法が挙げられる。
【0073】
ブロック部260の長手方向の長さ(熱電対220の軸方向におけるブロック部260の長さ)は、例えば、プレート部240の長手方向の長さと等しい。ブロック部260の短手方向の幅は、例えば、プレート部240の短手方向の幅以下である。ブロック部260の厚さは、例えば、プレート部240の第1片部242および第2片部244のそれぞれの厚さよりも厚い。このような構成により、結束部280を用いて、断面多角形の接続部180に対してブロック部260を固縛することができる。
【0074】
ブロック部260の長手方向における係合溝262の幅は、例えば、結束部280の短手方向の幅に対して+2mm程度であることが好ましい。これにより、係合溝262内に結束部280を容易に係合させつつ、ブロック部260から結束部280が外れることを抑制することができる。
【0075】
なお、本実施形態では、ブロック部260および上述の第1片部242のうち少なくともいずれか一方に対して、上述した熱電対220のシールド部226が接続されていることが好ましい。これにより、熱電対220のシールド部226を、ブロック部260および第1片部242を介して接続部180と等電位にすることができる。
【0076】
(結束部)
結束部280は、例えば、接続部180、プレート部240、熱電対220およびブロック部260をひとまとめに結束している。これにより、温度測定装置200を接続部180に対して強固に取り付けることができる。
【0077】
結束部280は、例えば、帯状のいわゆる結束バンドとして構成されている。結束部280としては、例えば、ヘラマンタイトン社製のインシュロック(登録商標)などが挙げられる。これにより、温度測定装置200を電線100に対して容易に取り付けることができる。
【0078】
本実施形態では、結束部280は、例えば、ブロック部260の係合溝262の数と同じ数だけ設けられ、すなわち3つ設けられている。3つの結束部280を、第1結束部280a、第2結束部280bおよび第3結束部280cとする。
【0079】
第1結束部280aは、例えば、上述の第1係合溝262aに係合している。第1結束部280aは、例えば、接続部180と、第1片部242および第2片部244が熱電対220を介さずに重なった部分と、ブロック部260と、をひとまとめに結束している。
【0080】
第2結束部280bは、例えば、上述の第2係合溝262bに係合している。第2結束部280bは、例えば、接続部180と、第1片部242および第2片部244が一対の熱電対素線222の露出部EPを挟持した部分と、ブロック部260と、をひとまとめに結束している。
【0081】
第3結束部280cは、例えば、上述の第3係合溝262cに係合している。第3結束部280cは、例えば、接続部180と、第1片部242と、熱電対220と、ブロック部260と、をひとまとめに結束している。
【0082】
第1結束部280a、第2結束部280bおよび第3結束部280cにより、接続部180に対して温度測定装置200を強固に且つバランス良く固定することができる。
【0083】
(温度測定装置の配置)
温度測定装置200は、
図1~
図3では接続部180の鉛直上側に示したが、実際には、接続部180の鉛直下側に配置されることが好ましい。これにより、日射による温度測定装置200自体の温度上昇を抑制することができる。また、電線100および接続部180上で作業する作業者に対する干渉を抑制することができる。
【0084】
(2)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0085】
(a)プレート部240は、接続部180と熱電対220との間に介在し、接続部180に直接接するように配置される。これにより、一対の熱電対素線222と接続部180との直接接触を抑制することができる。
【0086】
また、プレート部240の腐食電位は、例えば、一対の熱電対素線222のそれぞれの腐食電位よりも接続部180の腐食電位に近い。このような構成により、直接接触する接続部180とプレート部240との腐食電位差を小さくすることができる。これにより、接続部180またはプレート部240における電食の発生を抑制することができる。
【0087】
(b)プレート部240は、例えば、接続部180の平坦な外周面に面接触するように平板状に構成されている。これにより、接続部180の平坦な外周面に亘って隙間なくプレート部240を当接させることができる。すなわち、接続部180に対するプレート部240の接触面積を大きくすることができる。プレート部240の接触面積を大きくすることで、接続部180からの熱を、プレート部240を介して熱電対220に向けて効率よく伝達させることができる。その結果、接続部180の温度測定精度を向上させることができる。
【0088】
(a)および(b)の結果、接続部180の温度を安定的に測定することが可能となる。
【0089】
(c)ブロック部260は、接続部180、プレート部240、熱電対220およびブロック部260をひとまとめに結束する結束部280が係合する係合溝262を有している。これにより、ブロック部260から結束部280が外れることを抑制することができる。その結果、断面多角形の接続部180に対して温度測定装置200を強固に取り付けることができる。
【0090】
また、温度測定装置200が接続部180の鉛直下側に配置される場合に、ブロック部260が係合溝262を有していることで、作業者がブロック部260を目視しなくても、ブロック部260の係合溝262を手で触りながら、結束部280の結束位置を把握することができる。その結果、接続部180に対して温度測定装置200を早く且つ確実に取り付けることが可能となる。
【0091】
(d)ブロック部260には、複数の結束部280がそれぞれ係合するよう複数の係合溝262が設けられている。複数の係合溝262のうち、第2係合溝262bは、一対の熱電対素線222の露出部EPと重なる位置に設けられている。当該第2係合溝262bに係合する第2結束部280bの固縛により、一対の熱電対素線222の露出部EPを接続部180側に押し付けることができる。これにより、接続部180からの熱を熱電対220に向けて効率よく伝達させることができる。その結果、接続部180の温度測定精度を安定的に向上させることができる。
【0092】
(e)ブロック部260は、プレート部240に対向する側に、熱電対220が挿入される挿入溝264を有している。これにより、熱電対220のずれを抑制することができる。また、熱電対220をブロック部260内に隠すことができる。これにより、プレート部240とブロック部260との間における間隙の発生を抑制しつつ、挿入溝264を除くブロック部260の下面をプレート部240の上面に当接させることができる。このように間隙の発生を抑制することで、プレート部240とブロック部260との間における外気の侵入および水分の浸入を抑制することができる。その結果、これらに挟持された一対の熱電対素線222における電食の発生を抑制することができる。
【0093】
(f)樹脂層230は、一対の熱電対素線222の露出部EPがプレート部240に接した状態で、該露出部EPを覆っている。これにより、外部からの浸水を抑制し、一対の熱電対素線222の露出部EPを保護することができる。その結果、互いに異なる金属からなる熱電対素線222とプレート部240とが接していても、熱電対素線222とプレート部240との電食の発生を抑制することができる。すなわち、接続部180の温度を安定的に測定することが可能な状態に、温度測定装置200および接続部180を維持することができる。
【0094】
(g)第1片部242および第2片部244は、樹脂層230で覆われた一対の熱電対素線222の露出部EPを挟持している。これにより、プレート部240に対する一対の熱電対素線222のずれを抑制することができる。一対の熱電対素線222のずれを抑制することで、一対の熱電対素線222の測温接点の位置を安定的に維持することができる。その結果、測温位置の変動に起因した電線100の測定温度の揺らぎを抑制することができる。
【0095】
(h)第2片部244は、第1片部242の沿面方向の一端に接続されている。これにより、第1片部242と第2片部244との相互のずれを抑制することができる。その結果、第1片部242および第2片部244が一対の熱電対素線222の露出部EPを挟持した状態を安定的に維持することができる。
【0096】
また、第1片部242と第2片部244とが接続されていることで、第1片部242と第2片部244との接続部において、これらの間への外気の侵入または水分の浸入を抑制することができる。その結果、プレート部240内において、一対の熱電対素線222およびプレート部240の少なくともいずれかにおける電食の発生を抑制することができる。
【0097】
<本開示の第2実施形態>
(1)送電設備物理量測定装置
本開示の第2実施形態に係る送電設備物理量測定装置10について、
図4~
図12を用いて説明する。
図4~
図8は、それぞれ、本実施形態に係る送電設備物理量測定装置を示す概略斜視図、ブロック図、正面図、左側面図、底面図である。
図9および
図10は、それぞれ、
図6のA-A線断面図、
図6のB-B線断面図である。
図11は、
図7のC-C線断面図である。
図12は、電源用カレントトランス部または電流測定用カレントトランス部を示す概略図である。なお、
図5以外の図においては、各部同士を接続する配線を省略している。また、
図6~
図11において、電線100を省略している。また、
図9および
図10においては、各部を固定する固定部材を省略している。
【0098】
なお、以下において、電線100または送電設備物理量測定装置10の「軸方向」とは、電線100、第1電線挿通孔311、第2電線挿通孔321または電線挿通孔710の中心軸に沿った方向のことをいい、場合によっては電線100または送電設備物理量測定装置10の長手方向と言い換えることができる。なお、電源用コア422または測定用コア522の「軸方向」とは、電源用コア422または測定用コア522が構成する弧の中心軸に沿った方向のことをいう。また、電源用コア422または測定用コア522の「断面中心軸」とは、電源用コア422または測定用コア522を構成する弧の周方向に直交する断面の中心に位置する軸のことをいう。また、電線100または送電設備物理量測定装置10の「径方向」とは、電線100、第1電線挿通孔311、第2電線挿通孔321または電線挿通孔710の軸方向に垂直な方向のことをいい、場合によっては電線100または送電設備物理量測定装置10の短手方向と言い換えることができる。また、電線100または送電設備物理量測定装置10の「周方向」とは、電線100の外周に沿った方向、第1電線挿通孔311、第2電線挿通孔321または電線挿通孔710の内周に沿った方向のことをいう。
【0099】
また、各図において、「X方向」は、電線100の軸方向に垂直な方向かつ水平方向のことを意味し、第1収容部310から第2収容部320に向かう方向に見たときに、右方向を「+X方向」とする。また、「Y方向」は、電線100の軸方向かつ水平方向のことを意味し、第1収容部310から第2収容部320に向かう方向を「+Y方向」とする。また、「Z方向」は、鉛直方向を意味し、鉛直上方向を「+Z方向」とする。
【0100】
図4~
図12に示すように、本実施形態の送電設備物理量測定装置10は、例えば、電線100に取り付けられ、送電設備の物理量を測定するよう構成されている。具体的には、送電設備物理量測定装置10は、例えば、電源用カレントトランス部(電源用CT部、発電用CT部)420と、電源部(電源用回路)440と、電流測定用カレントトランス部(電流測定用CT部)520と、電流測定部(電流測定用回路)540と、温度測定部(温度測定装置)200と、無線部(送受信部、通信部)600と、第1収容部310と、第2収容部320と、クランプ(把持部)700と、を有している。
【0101】
(電源用カレントトランス部)
図5、
図9、
図10および
図12に示すように、電源用CT部420は、例えば、電線100を囲むように環状に配置される。電源用CT部420は、例えば、電線100に流れる電流に基づいて電線100の周囲に生じる磁界から電磁誘導により電力を発生させるように構成されている。
【0102】
具体的には、
図12に示すように、本実施形態の電源用CT部420は、例えば、電源用コア422と、電源用コイル424と、を有している。電源用コア422は、例えば、電線100の外周を囲むように環状(円弧状、楕円弧状)に配置される。また、電源用コア422は、磁性体を含んでいる。電源用コア422を構成する磁性体としては、例えば、フェライトなどである。電源用コイル424は、電源用コア422の少なくとも一部に巻回されている。このような構成により、電線100に流れる電流によって電線100の周囲で電源用コア422に生じる磁束の変化に基づいて、電磁誘導により電源用コイル424に誘導電流を生じさせることができる。
【0103】
本実施形態の電源用コア422は、例えば、軸方向に沿って半割りされている。ここでいう「軸方向に沿って半割りされている」とは、電源用コア422が構成する弧の中心軸を含む平面、または当該中心軸と平行な平面で2つに分断されていることをいう。ここでいう「平面」とは、1つに限らず、2つ以上の平面を組み合わせたものであってもよい。また、ここでいう「軸と平行な平面」は、電源用コア422が構成する弧の中心軸と完全に平行な平面に限らず、所定の誤差で中心軸に対して傾斜した平面であってもよい。以下、他の部材が「軸方向に沿って半割りされている」場合における定義も、上述の定義と同様である。
【0104】
例えば、電源用コア422が軸方向に沿って半割りされた一対の電源用半割コアのうち、鉛直下側に配置される電源用半割コアを「電源用下部半割コア423d」とし、鉛直上側に配置される電源用半割コアを「電源用上部半割コア423u」とする。なお、第1収容部310内での電源用コア422の配置については、詳細を後述する。
【0105】
(電源部)
図5に示すように、電源部440は、例えば、電源用CT部420に接続され、該電源用CT部420で発生した電力を、後述の無線部600に適した電力に変換して該無線部600に供給するよう構成されている。具体的には、電源部440は、例えば、電源用CT部420で発生した交流電力を無線部600に適した直流電力に変換するよう構成されている。また、電源部440は、例えば、電源用CT部420で発生した電圧を無線部600に適した電圧に変圧するよう構成されている。
【0106】
(測定用カレントトランス部)
図5、
図9、
図10および
図12に示すように、電流測定用CT部520は、例えば、電線100を囲むように環状に配置されている。電流測定用CT部520は、例えば、電線100に流れる電流に応じた誘導電圧を出力するよう構成されている。
【0107】
具体的には、
図12に示すように、本実施形態の電流測定用CT部520は、上述の電源用CT部420とほぼ同様に構成され、例えば、測定用コア522と、測定用コイル524と、を有している。このような構成により、電線100に流れる電流によって電線100の周囲で測定用コア522に生じる磁束の変化に基づいて、電磁誘導により測定用コイル524に誘起電圧を生じさせることができる。
【0108】
本実施形態の測定用コア522は、電源用コア422と同様に、例えば、軸方向に沿って半割りされている。例えば、測定用コア522が軸方向に沿って半割りされた一対の測定用半割コアのうち、鉛直下側に配置される測定用半割コアを「測定用下部半割コア523d」とし、鉛直上側に配置される測定用半割コアを「測定用上部半割コア523u」とする。
【0109】
図9および
図10に示すように、本実施形態の測定用コア522は、例えば、大電流の測定が可能となるように、電源用コア422よりも大きい。具体的には、測定用コア522は、例えば、測定用コア522が構成する弧の軸方向に連結された少なくとも2つの単位コア(符号不図示)を有している。測定用コア522のうち1つの単位コアのサイズは、例えば、電源用コア422のサイズ以上である。
【0110】
測定用コア522を構成する2つの単位コアは、例えば、弧の中心軸を互いに一致させて接着層(不図示)を介して接着された後に軸方向に沿って半割りされた痕跡を有している。具体的な痕跡としては、例えば、2つの単位コアおよび接着層は、同一面を構成する切断面(半割面)を有している。上述のような構成により、測定用下部半割コア523dおよび測定用上部半割コア523uを結合させる際に、2つの単位コアのそれぞれにおいて、断面中心軸を同時かつ容易に一致させ、その状態を安定的に維持することができる。
【0111】
なお、第2収容部320内での測定用コア522の配置については、詳細を後述する。
【0112】
(電流測定部)
図5に示すように、電流測定部540は、例えば、電流測定用CT部520に接続され、該電流測定用CT部520が出力した誘導電圧に基づいて電線100に流れる電流を測定するよう構成されている。以下、電流測定部540が測定した電線100の電流に係る情報を「電流データ」という。
【0113】
(温度測定部)
図4および
図5に示すように、温度測定部200は、例えば、上述の第1実施形態の温度測定装置200として構成されている。なお、これらに同一の符号を付している。以下、温度測定部200が測定した接続部180の温度に係る情報を「温度データ」という。
【0114】
(無線部)
無線部600は、例えば、所定の情報を通信するよう構成されている。本実施形態では、無線部600は、例えば、電線100の電流などの送電設備の物理量に係る情報を無線で外部に送信するよう構成されている。
【0115】
具体的には、
図5に示すように、無線部600は、例えば、電流測定部540を介して電流測定用CT部520に接続され、電流測定用CT部520が出力した誘起電圧に基づいて測定された電線100の電流データを取得するよう構成されている。また、無線部600は、例えば、温度測定部200に接続され、温度測定部200が測定した接続部180の温度データを取得するよう構成されている。なお、例えば、無線部600自身が、一対の熱電対素線222の間に生じた熱起電力に基づいて温度を測定する温度補償回路付き計測器を有していてもよいし、無線部600とは別に、温度測定部200の一部として温度補償回路付き計測器が設けられていてもよい。また、無線部600は、例えば、電源部440を介して電源用CT部420に接続され、電源部440から供給される電力により、温度データおよび電流データ等の各種データを無線で外部に送信するよう構成されている。
【0116】
本実施形態では、無線部600は、例えば、MCU(Micro Controller Unit)(不図示)を有している。無線部600が有するMCUは、例えば、各種データの送受信に係る所定のプログラムを実行するプロセッサと、プログラムおよび各種データを記憶するメモリと、送信周期の基準となる1つ以上のタイマと、上述の各部材に接続するI/Oポートと、を有している。MCUを構成する各部は、全てひとつの集積回路に組み込まれている。なお、無線部600は、MCUが有するメモリとは別に、例えば、FROM(Frash Read-Only Memory)等の外部メモリを有していてもよい。
【0117】
また、
図4~
図11に示すように、無線部600は、例えば、アンテナ620を有し、アンテナ620を介して各種データを送受信するよう構成されている。
【0118】
また、本実施形態では、無線部600は、例えば、いわゆるマルチホップ無線通信(バケツリレー方式)で各種データを伝送するよう構成されている。具体的には、例えば、複数の送電設備物理量測定装置10を有する送電設備監視システム(電力伝送システム)では、複数の送電設備物理量測定装置10が電線100の軸方向に沿って(Y方向に)所定の間隔で配置されている。複数の送電設備物理量測定装置10のうち、所定の送電設備物理量測定装置10の無線部600では、例えば、まず、隣り合う前段側(上流側)の送電設備物理量測定装置10からの各種データを受信する。所定の送電設備物理量測定装置10の無線部600において、前段側の送電設備物理量測定装置10から各種データを受信したら、該前段側の送電設備物理量測定装置10の各種データと、自身の各種データとを集約する。所定の送電設備物理量測定装置10の無線部600において各種データを集約したら、所定の送電設備物理量測定装置10を挟んで前段側の送電設備物理量測定装置10と反対側に隣り合う後段側(下流側)の送電設備物理量測定装置10に向けて、集約した各種データを送信する。このような各種データの集約と送信とを、複数の送電設備物理量測定装置10のそれぞれにおいて順次繰り返していく。集約した各種データが最後段の送電設備物理量測定装置10まで送信されたら、該最後段の送電設備物理量測定装置10は、例えば、集約した各種データをデータ集約伝送装置(不図示)に送信する。データ集約伝送装置は、例えば、電線100へ電力を供給する電力供給源としての電気事業者に向けて、集約した各種データを無線または有線で送信する。電気事業者は、各種データに基づいて、電線100への送電容量を制御する。このようにマルチホップ無線通信で各種データを伝送することで、個々の送電設備物理量測定装置10が有する無線部600に必要な電力を低減しつつ、複数の送電設備物理量測定装置10全体としての伝送距離を長くすることができる。
【0119】
(本実施形態の各部の収容態様および連結態様)
次に、
図4~
図11を用い、本実施形態の各部の収容態様および連結態様について説明する。
【0120】
図4~
図11に示すように、本実施形態では、第1収容部310は、例えば、少なくとも電源用CT部420を電線100の外側に収容している。一方で、第2収容部320は、例えば、電流測定用CT部520を電線100の外側に収容している。ここでいう各部を「電線100の外側に収容している」とは、電線100の外周よりも径方向の外側の領域内に各部を収容していることを意味している。
【0121】
また、クランプ700は、例えば、第1収容部310および第2収容部320のうち少なくともいずれか一方に連結され、電線100を把持している。これにより、第1収容部310および第2収容部320を電線100に固定することができる。
【0122】
ここで、本実施形態では、例えば、第1収容部310の少なくとも一部と、第2収容部320の少なくとも一部とは、互いに分離され、個別に開閉可能に構成されている。これにより、第1収容部310内における電源用CT部420の電源用コア422と、第2収容部320内における電流測定用CT部520の測定用コア522とを、独立して位置調整することができる。
【0123】
以下、第1収容部310、第2収容部320およびクランプ700について、詳細を説明する。
【0124】
[第1収容部]
図4~
図11に示すように、本実施形態の第1収容部310は、例えば、電源用CT部420だけでなく、電源部440、電流測定部540および無線部600も、電線100の外側に収容している。
【0125】
第1収容部310は、例えば、磁性体を含まない金属からなっている。具体的には、本実施形態の第1収容部310は、例えば、AlまたはAl合金を含んでいる。これにより、第1収容部310に起因して電線100の周囲の磁界が遮蔽されることを抑制することができる。また、第1収容部310がAlまたはAl合金を含んでいることで、第1収容部310を軽量化することができる。
【0126】
また、本実施形態の第1収容部310は、例えば、軸方向に沿って半割りされている。第1収容部310が軸方向に沿って半割りされた一対の第1半割部のうち、鉛直下側に配置される第1半割部を「第1下側半割部316」とし、鉛直上側に配置される第1半割部を「第1上側半割部318」とする。
【0127】
図9および
図10に示すように、第1下側半割部316は、例えば、電源用下部半割コア423dを収容している。一方で、第1上側半割部318は、例えば、電源用上部半割コア423uを収容している。第1上側半割部318は、例えば、第1下側半割部316に対して開閉可能に構成されている。第1下側半割部316および第1上側半割部318は、電線100を挟んで互いに対向するように配置される。互いに対向するように配置された第1下側半割部316および第1上側半割部318の内部では、電源用下部半割コア423dおよび電源用上部半割コア423uが断面中心軸を互いに一致させて結合される。
【0128】
図4、
図6~
図8に示すように、本実施形態では、第1下側半割部316および第1上側半割部318は、例えば、少なくとも4点(4箇所)でネジ締結されている。具体的には、第1下側半割部316および第1上側半割部318のそれぞれは、例えば、4つの鍔部317を有している。第1下側半割部316のそれぞれの鍔部317は、第1下側半割部316の周方向の端部に設けられている。第1下側半割部316の4つの鍔部317は、例えば、中心軸に対して対称に配置されている。第1下側半割部316のそれぞれの鍔部317には、例えば、ヒンジボルト(符号不図示)が設けられている。一方で、第1上側半割部318のそれぞれの鍔部317は、第1上側半割部318の周方向の端部に設けられている。第1上側半割部318の4つの鍔部317は、例えば、中心軸に対して対称に配置され、第1下側半割部316の4つの鍔部317に対応する位置に設けられている。第1上側半割部318のそれぞれの鍔部317には、例えば、ナット(符号不図示)が設けられている。第1下側半割部316側のヒンジボルトと、第1上側半割部318側のナットとが締結されることで、第1下側半割部316および第1上側半割部318が開閉可能に連結される。このような構成により、電源用下部半割コア423dおよび電源用上部半割コア423uを精度よく結合させつつ、第1下側半割部316および第1上側半割部318を安定的に連結することができる。
【0129】
図9および
図10に示すように、本実施形態の第1収容部310は、例えば、二重筒構造を有している。具体的には、第1収容部310は、例えば、第1内筒312と、第1外筒314と、第1蓋部315と、を有している。第1内筒312は、例えば、第1電線挿通孔311を有している。第1電線挿通孔311内には、径方向に間隔をあけて、電線100が挿通される。第1外筒314は、第1内筒312の外周を囲むように設けられ、第1内筒312と自身との間に第1収容空間(符号不図示)を形成している。第1蓋部315は、第1外筒314の軸方向の両端部のそれぞれに設けられ(溶接され)、第1収容空間を塞いでいる。なお、本実施形態では、クランプ700側の第1内筒312の軸方向の端部と第1蓋部315とは繋がっているが、後述のように、クランプ700と反対側における第1内筒312の軸方向の端部と第1蓋部315とは繋がっていない。上述の第1収容空間内には、例えば、電源用CT部420、電源部440、電流測定部540および無線部600が収容されている。
【0130】
このように、第1収容部310が二重筒構造を有していることで、第1収容部310内への雨水の浸入を抑制することができる。また、電源部440、電流測定部540および無線部600を、電源用CT部420とともに第1収容部310内に収容することで、これらを接続する配線を短くすることができる。また、第2収容部320内の電流測定用CT部520が比較的重いため、比較的軽い電源用CT部420が収容される第1収容部310内に、電源部440、電流測定部540および無線部600を集約することで、第1収容部310と第2収容部320との重量バランスを向上させることができる。
【0131】
なお、第1収容部310内のうち、電源用CT部420、電源部440、電流測定部540、および無線部600以外の隙間には、充填材(不図示)が充填されている。充填材は、例えば、シリコーンゴムなどである。これにより、第1収容部310内の防水性を向上させることができる。
【0132】
図9および
図10に示すように、本実施形態では、第1収容部310内には、例えば、電源用CT部420がクランプ700寄りに配置されている。具体的には、電源用CT部420は、例えば、第1収容部310内で、電源部440、電流測定部540および無線部600よりもクランプ700に近い位置に配置されている。上述のように、電源用CT部420が有する電源用コア422は、磁性体からなり、他の部材に比較して重くなっている。電源用CT部420をクランプ700に近づけることで、電源用コア422の重力に起因して第1収容部310に加わるトルクを小さくすることができる。
【0133】
図7および
図8に示すように、本実施形態では、第1収容部310の第1外筒314は、例えば、電源用CT部420の径方向の位置を調整する複数の調整ネジ314aを有している。調整ネジ314aは、例えば、複数設けられている。複数の調整ネジ314aは、例えば、第1収容部310の中心軸を中心として対称に配置されている。このような複数の調整ネジ314aを調整することで、電源用CT部420の径方向の位置を精度よく調整することができる。
【0134】
図9に示すように、本実施形態では、第1収容部310の第1上側半割部318内には、電源部440が収容されている。電源部440を構成する回路基板は、例えば、第1上側半割部318の形状に倣って半円弧状に設けられている。
【0135】
一方で、
図9および
図10に示すように、本実施形態では、第1収容部310の第1下側半割部316内には、電流測定部540および無線部600を構成する回路基板が収容されている。電流測定部540および無線部600を構成する回路基板は、例えば、第1下側半割部316の形状に倣って半円弧状に設けられている。
【0136】
このように、第1上側半割部318内に電源部440を集約し、第1下側半割部316内に電流測定部540および無線部600を集約することで、第1上側半割部318および第1下側半割部316の間で(これらを跨いで)接続する配線を少なくすることができる。
【0137】
図4、
図6~
図9に示すように、本実施形態では、第1収容部310の第1下側半割部316から外側に突出するように、無線部600のアンテナ620が設けられている。このように無線部600およびアンテナ620が第1下側半割部316に設けられていることで、地上の受信対象(例えば地上の作業員が所持するリーダ等)に対して各種データを安定的に送信することができる。
【0138】
図9および
図10に示すように、本実施形態では、第1電線挿通孔311のクランプ700と反対側の端部における直径は、例えば、第1電線挿通孔311のクランプ700側の端部における直径よりも大きい。これにより、たとえ電線100が撓んでいたとしても、第1内筒312のクランプ700と反対側の端部(または第1蓋部315)がクランプ700と接触することを抑制することができる。
【0139】
図9および
図10に示すように、本実施形態では、第1内筒312は、例えば、軸方向に分離された第1分離部312aを有している。具体的には、例えば、クランプ700と反対側における第1内筒312の軸方向の端部と第1蓋部315との間に、第1分離部312aが設けられている。第1分離部312aは、例えば、第1内筒312の軸方向の一部において第1内筒312の全周に亘って環状に設けられている。なお、第1分離部312aには、絶縁部材(例えば絶縁性樹脂、不図示)が嵌め込まれていてもよい。このような構造により、第1内筒312の軸方向の一方と他方(第1蓋部315)とは、互いに離間され、絶縁されている。これにより、電源用CT部420による発電効率の低下を抑制することができる。
【0140】
図4、
図6~
図11に示すように、本実施形態では、第1外筒314は、例えば、熱電対挿通管(リード線挿通管)319を有している。熱電対挿通管319内には、温度測定部200が有する熱電対220が挿通されている。熱電対挿通管319は、例えば、Alなどの金属を含んでいる。これにより、熱電対挿通管319により熱電対220と第1外筒314との交差部分を保護し、熱電対220の過度な屈曲を抑制することができる。
【0141】
[第2収容部]
図4~
図11に示すように、第2収容部320は、例えば、上述のように、電流測定用CT部520を電線100の外側に収容している。
【0142】
第2収容部320は、例えば、第1収容部310と同様の金属からなっている。これにより、第1収容部310を構成する金属による効果と同様の効果を、第2収容部320においても得ることができる。
【0143】
また、本実施形態の第2収容部320は、例えば、軸方向に沿って半割りされている。第2収容部320が軸方向に沿って半割りされた一対の第2半割部のうち、鉛直下側に配置される第2半割部を「第2下側半割部326」とし、鉛直上側に配置される第2半割部を「第2上側半割部328」とする。
【0144】
図9および
図10に示すように、第2下側半割部326は、例えば、測定用下部半割コア523dを収容している。一方で、第2上側半割部328は、例えば、測定用上部半割コア523uを収容している。第2上側半割部328は、例えば、第2下側半割部326に対して開閉可能に構成されている。第2下側半割部326および第2上側半割部328は、電線100を挟んで互いに対向するように配置される。互いに対向するように配置された第2下側半割部326および第2上側半割部328の内部では、測定用下部半割コア523dおよび測定用上部半割コア523uが断面中心軸を互いに一致させて結合される。
【0145】
図4、
図6~
図8に示すように、本実施形態では、第2下側半割部326および第2上側半割部328は、例えば、少なくとも4点でネジ締結されている。第2収容部320のネジ締結の態様は、第2収容部320の軸方向における鍔部327の位置が鍔部317の位置と若干異なる点を除いて、第1収容部310のネジ締結の態様と同様である。このような構成により、測定用下部半割コア523dおよび測定用上部半割コア523uを精度よく結合させつつ、第2下側半割部326および第2上側半割部328を安定的に連結することができる。
【0146】
図9および
図10に示すように、本実施形態の第2収容部320は、例えば、第1収容部310と同様に、二重筒構造を有している。具体的には、第2収容部320は、例えば、第2内筒322と、第2外筒324と、第2蓋部325と、を有している。第2内筒322は、例えば、第2電線挿通孔321を有している。第2電線挿通孔321内には、径方向に間隔をあけて、電線100が挿通される。第2外筒324は、第2内筒322の外周を囲むように設けられ、第2内筒322と自身との間に第2収容空間(符号不図示)を形成している。第2蓋部325は、第2外筒324の軸方向の両端部のそれぞれに設けられ(溶接され)、第2収容空間を塞いでいる。なお、本実施形態では、クランプ700側の第2内筒322の軸方向の端部と第2蓋部325とは繋がっているが、後述のように、クランプ700と反対側における第2内筒322の軸方向の端部と第2蓋部325とは繋がっていない。上述の第2収容空間内には、例えば、電流測定用CT部520が収容されている。
【0147】
このように、第2収容部320が二重筒構造を有していることで、第2収容部320内への雨水の浸入を抑制することができる。
【0148】
なお、第2収容部320内のうち、電流測定用CT部520以外の隙間には、第1収容部310と同様に、充填材(不図示)が充填されている。
【0149】
図4、
図6~
図11に示すように、本実施形態では、第2収容部320のサイズは、第1収容部310のサイズと異なっている。具体的には、本実施形態の第2収容部320のサイズは、第1収容部310のサイズよりも大きい。すなわち、第2外筒324の直径は、第1外筒314の直径よりも大きい。なお、第2内筒322の直径は、第1内筒312の直径と同等である。これにより、第2収容部320の第2収容空間の容積は、第1収容空間の第1収容空間の容積よりも大きくなっている。その結果、電源用コア422よりも大きい測定用コア522を、第2収容部320内に安定的に収容することができる。
【0150】
図9および
図10に示すように、本実施形態では、第2収容部320内には、例えば、電流測定用CT部520がクランプ700寄りに配置されている。具体的には、電流測定用CT部520は、例えば、第2収容部320内で、配線などの他の部材よりもクランプ700に近い位置に配置されている。電流測定用CT部520をクランプ700に近づけることで、測定用コア522の重力に起因して第2収容部320に加わるトルクを小さくすることができる。
【0151】
図7および
図8に示すように、本実施形態では、第2収容部320の第2外筒324は、例えば、電流測定用CT部520の径方向の位置を調整する複数の調整ネジ324aを有している。第2外筒324における調整ネジ324aの配置は、第2外筒324の軸方向の位置が異なる点を除いて、第1外筒314における調整ネジ314aの配置と同様である。このような複数の調整ネジ324aを調整することで、電流測定用CT部520の径方向の位置を精度よく調整することができる。
【0152】
図9および
図10に示すように、本実施形態では、第2電線挿通孔321のクランプ700と反対側の端部における直径は、例えば、第2電線挿通孔321のクランプ700側の端部における直径よりも大きい。これにより、たとえ電線100が撓んでいたとしても、第2内筒322のクランプ700と反対側の端部(または第2蓋部325)がクランプ700と接触することを抑制することができる。
【0153】
図9および
図10に示すように、本実施形態では、第2内筒322は、例えば、軸方向に分離された第2分離部322aを有している。具体的には、例えば、クランプ700と反対側における第2内筒322の軸方向の端部と第2蓋部325との間に、第2分離部322aが設けられている。第2分離部322aは、例えば、第2内筒322の軸方向の一部において第2内筒322の全周に亘って環状に設けられている。なお、第2分離部322aには、絶縁部材(例えば絶縁性樹脂、不図示)が嵌め込まれていてもよい。このような構造により、第2内筒322の軸方向の一方と他方(第2蓋部325)とは、互いに離間され、絶縁されている。これにより、電流測定用CT部520による電流測定精度の低下を抑制することができる。
【0154】
(クランプ)
図4、
図6~
図11に示すように、本実施形態のクランプ700は、例えば、第1収容部310と第2収容部320との間に設けられ、第1収容部310および第2収容部320のそれぞれに連結されている。クランプ700は、第1収容部310と第2収容部320との間で電線100を把持し、第1収容部310および第2収容部320を電線100に固定している。
【0155】
クランプ700は、例えば、電線100の撚線層を構成する金属と同じ金属からなっている。具体的には、クランプ700は、例えば、AlまたはAl合金を含んでいる。これにより、クランプ700と電線100との接触に起因して、電食が生じることを抑制することができる。
【0156】
クランプ700は、例えば、クランプ下部720と、クランプ上部740と、を有している。クランプ下部720は、例えば、電線100の鉛直下側に配置される。クランプ下部720は、例えば、鉛直上側の中央部に、電線100が嵌合する凹部(符号不図示)を有している。一方で、クランプ上部740は、例えば、電線100の鉛直上側に配置される。クランプ上部740は、例えば、鉛直下側の中央部に、電線100が嵌合する凹部(符号不図示)を有している。クランプ下部720およびクランプ上部740は、例えば、電線100を挟んで互いに対向して配置される。クランプ下部720の凹部と、クランプ上部740の凹部とにより、電線挿通孔710が形成される。クランプ下部720およびクランプ上部740は、例えば、電線挿通孔710内に電線100を挿通させた状態で、互いにネジ締結される。このようにして、クランプ700により電線100を把持することができる。
【0157】
本実施形態では、クランプ下部720に対して、第1収容部310の第1下側半割部316と、第2収容部320の第2下側半割部326とが(例えばネジ締結により)連結されている。これにより、クランプ700により、第1収容部310の第1下側半割部316と、第2収容部320の第2下側半割部326とを電線100に固定することができる。
【0158】
一方で、本実施形態では、クランプ上部740と、第1収容部310の第1上側半割部318と、第2収容部320の第2上側半割部328とは、連結されておらず、互いに分離されている。これにより、第1収容部310の第1上側半割部318と、第2収容部320の第2上側半割部328とは、個別に開閉可能になっている。
【0159】
また、本実施形態では、クランプ700は、例えば、電線100を把持したときに第1内筒312および第2内筒322のそれぞれと電線100との間に所定の間隔があくように、第1収容部310および第2収容部320を連結している。具体的には、クランプ700の電線挿通孔710の直径は、例えば、第1電線挿通孔311の直径および第2電線挿通孔321の直径よりも小さく、電線100の外径に近い。また、クランプ下部720と、第1下側半割部316と、第2下側半割部326とは、電線挿通孔710、第1電線挿通孔311および第2電線挿通孔321が互いの軸を一致させた状態で、連結されている。このような構成により、クランプ700が電線100を把持したときに、第1電線挿通孔311および第2電線挿通孔321のそれぞれの内側と、電線100との間に、所定の間隔を確保することができる。
【0160】
ここで、クランプ700が電線100を把持することで、クランプ700側における、第1内筒312の軸方向の一端および第2内筒322の軸方向の一端は、クランプ700を介して電線100に接する。これにより、第1収容部310および第2収容部320は、クランプ700を介して電線100に対して電気的に接続される。その結果、クランプ700、第1収容部310および第2収容部320は、電線100と等電位となる。
【0161】
一方で、クランプ700と反対側における、第1内筒312の軸方向の他端および第2内筒322の軸方向の他端は、上述の構成により、電線100から径方向に離間し、すなわち絶縁されている。これにより、第1内筒312の軸方向の両端、および第2内筒322の軸方向の両端が電線100に電気的に接続されることを抑制することができる。その結果、電線100を流れる電流の迂回路(閉回路)が形成されることを抑制することができる。
【0162】
また、
図9および
図11に示すように、本実施形態では、クランプ下部720は、例えば、所定の配線(不図示)が挿通される配線挿通孔721を有している。配線挿通孔721は、例えば、クランプ700の電線挿通孔710の軸方向に沿ってクランプ下部720を貫通している。第1収容部310と第2収容部320との間で、クランプ700の配線挿通孔721内に所定の配線を挿通させることで、第2収容部320内の電流測定用CT部520と、第1収容部310内の電流測定部540および無線部600とを、配線を介して安定的に接続することができる。
【0163】
なお、第1収容部310の第1下側半割部316と第2収容部320の第2下側半割部326とに連結されたクランプ下部720が、上述の配線挿通孔721を有していることで、第1上側半割部318または第2上側半割部328のいずれかの開閉時に、第1上側半割部318または第2上側半割部328に対して配線が干渉することを抑制することができる。
【0164】
(2)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0165】
(a)第1収容部310の少なくとも一部と、第2収容部320の少なくとも一部とは、互いに分離され、個別に開閉可能に構成されている。
【0166】
ここで、送電設備物理量測定装置において、電源用CT部の一対の半割コアと、電流測定用CT部の一対の半割コアとは、例えば、1つの共通の収容部に収容される場合について考える。この場合、送電設備物理量測定装置を電線に取り付け、収容部を閉じる際に、電源用CT部の一対の半割コア同士が結合されるとともに、電流測定用CT部の一対の半割コア同士が結合される。
【0167】
しかしながら、電源用CT部と電流測定用CT部とが共通の収容部に収容されていると、電源用CT部の一対の半割コアと、電流測定用CT部の一対の半割コアとを、独立して位置調整することができない。例えば、電源用CT部および電流測定用CT部のうち一方における一対の半割コア同士を基準として結合させると、他方における一対の半割コア同士を精度よく結合させることができない可能性がある。具体的には、他方における一対の半割コアの断面中心軸が互いにずれたり、他方における一対の半割コア同士の間に隙間が生じたりする可能性がある。このように電源用CT部および電流測定用CT部のうちの他方において一対の半割コア同士の結合不良が生じていると、電源用CT部の発電効率が低下したり、電流測定用CT部の電流測定精度が低下したりする可能性がある。
【0168】
これに対し、本実施形態では、第1収容部310の少なくとも一部と、第2収容部320の少なくとも一部とを、個別に開閉可能とすることで、第1収容部310内における電源用CT部420の電源用コア422と、第2収容部320内における電流測定用CT部520の測定用コア522とを、独立して位置調整することができる。具体的には、電源用CT部420の一対の半割コアの断面中心軸を精度よく互いに一致させることができるとともに、電流測定用CT部520の一対の半割コアの断面中心軸を精度よく互いに一致させることができる。また、電源用CT部420の一対の半割コア同士の間において隙間の発生を抑制することができるとともに、電流測定用CT部520の一対の半割コア同士の間において隙間の発生を抑制することができる。このようにして、電源用CT部420の一対の半割コアを精度よく結合させるとともに、電流測定用CT部520の一対の半割コアを精度よく結合させることができる。その結果、電源用CT部420による発電効率を向上させるとともに、電流測定用CT部520による電流測定精度を向上させることが可能となる。
【0169】
(b)クランプ700は、第1収容部310と第2収容部320との間に設けられ、第1収容部310および第2収容部320の間で電線100を把持している。すなわち、第1収容部310の重心と、第2収容部320の重心との間に、クランプ700の把持点(支持点)を位置させることができる。これにより、クランプ700を介して第1収容部310と第2収容部320とをバランスよく電線100に固定することができる。すなわち、送電設備物理量測定装置10の構造を重量バランスがとれた構造とし、機構的に安定化させることができる。具体的には、例えば、電線100が振動したとしても、送電設備物理量測定装置10の姿勢を過度に傾斜させることなく、安定的に維持することができる。
【0170】
(c)電源用CT部420は、第1収容部310内でクランプ700寄りに配置されている。電源用CT部420が有する電源用コア422は、他の部材に比較して重くなっている。電源用CT部420をクランプ700に近づけることで、電源用コア422の重力に起因して第1収容部310に加わるトルクを小さくすることができる。これにより、第1収容部310により電源用CT部420等を安定的に保持することができる。
【0171】
また、電流測定用CT部520は、第2収容部320内でクランプ700寄りに配置されている。電流測定用CT部520をクランプ700に近づけることで、測定用コア522の重力に起因して第2収容部320に加わるトルクを小さくすることができる。これにより、第2収容部320により電流測定用CT部520等を安定的に保持することができる。
【0172】
(d)第1収容部310の第1外筒314は、電源用CT部420の径方向の位置を調整する複数の調整ネジ314aを有している。このような複数の調整ネジ314aを調整することで、電源用CT部420の径方向の位置を精度よく調整することができる。これにより、電源用CT部420の一対の半割コアを容易かつ精度よく結合させることができる。また、複数の調整ネジ314aを調整することで、電源用CT部420の電源用コア422の弧の中心軸と、電線100の軸とを容易に一致させることができる。これらの結果、電源用CT部420による発電効率を向上させることができる。
【0173】
また、第2収容部320の第2外筒324は、電流測定用CT部520の径方向の位置を調整する複数の調整ネジ324aを有している。このような複数の調整ネジ324aを調整することで、電流測定用CT部520の径方向の位置を精度よく調整することができる。これにより、電流測定用CT部520の一対の半割コアを容易かつ精度よく結合させることができる。また、複数の調整ネジ324aを調整することで、電流測定用CT部520の測定用コア522の弧の中心軸と、電線100の軸とを容易に一致させることができる。これらの結果、電流測定用CT部520による電流測定精度を向上させることができる。
【0174】
(e)第1収容部310の少なくとも一部と第2収容部320の少なくとも一部とを分離することで、第1収容部310のサイズと、第2収容部320のサイズとを互いに異ならせることができる。これにより、電源用CT部420のサイズおよび電流測定用CT部520のサイズに合わせて、第1収容部310のサイズと第2収容部320のサイズとを任意に設定することができる。
【0175】
本実施形態では、例えば、測定用コア522が大電流の測定が可能となるように電源用コア422よりも大きいため、第2収容部320のサイズは、第1収容部310のサイズよりも大きくなっている。これにより、電源用コア422よりも大きい測定用コア522を、第2収容部320内に安定的に収容することができる。
【0176】
(f)クランプ700は、配線挿通孔721を有している。第1収容部310と第2収容部320との間で、クランプ700の配線挿通孔721内に所定の配線を挿通させることで、第2収容部320内の電流測定用CT部520と、第1収容部310内の電流測定部540および無線部600とを、配線を介して安定的に接続することができる。
【0177】
また、磁性体を含まない金属からなるクランプ700によって、配線挿通孔721内に挿通される配線を遮蔽することができる。これにより、配線挿通孔721内に挿通される配線に対する電線100からの電磁界の影響を抑制することができる。
【0178】
これらの結果、第2収容部320内の電流測定用CT部520が出力した誘起電圧に基づく信号を、第1収容部310内の電流測定部540および無線部600に向けて、安定的に伝送することができる。
【0179】
(g)第1電線挿通孔311のクランプ700と反対側の端部における直径は、第1電線挿通孔311のクランプ700側の端部における直径よりも大きい。これにより、たとえ電線100が撓んでいたとしても、第1内筒312のクランプ700と反対側の端部(または第1蓋部315)がクランプ700と接触することを抑制することができる。すなわち、第1内筒312の軸方向の両端が電線100に電気的に接続されることを抑制することができる。その結果、第1収容部310において、電線100を流れる電流の迂回路が形成されることを抑制することができる。
【0180】
また、第2電線挿通孔321のクランプ700と反対側の端部における直径は、第2電線挿通孔321のクランプ700側の端部における直径よりも大きい。これにより、第1収容部310と同様に、第2収容部320においても、電線100を流れる電流の迂回路が形成されることを抑制することができる。
【0181】
(3)本開示の第2実施形態の変形例
上述の実施形態は、必要に応じて、以下に示す変形例のように変更することができる。以下、上述の実施形態と異なる要素についてのみ説明し、上述の実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0182】
図13および
図14を用い、変形例に係る送電設備物理量測定装置12について説明する。
図13および
図14は、それぞれ、本実施形態の変形例に係る送電設備物理量測定装置を示す正面図および左側面図である。
【0183】
変形例の送電設備物理量測定装置12では、第2収容部320に係る連結態様が、上述の実施形態と異なっている。
【0184】
図13および
図14に示すように、変形例の送電設備物理量測定装置12では、通常時のクランプ700には、例えば、電流測定用CT部520を電線100の外側に収容する第2収容部320が連結されていない。その一方で、クランプ700は、例えば、第2収容部320を第1収容部310から独立して連結可能に構成されている。
【0185】
なお、言い換えれば、上述の実施形態におけるクランプ700が第2収容部320を取り外し可能に連結していると考えてもよい。
【0186】
具体的には、クランプ700のクランプ下部720は、例えば、第2収容部320の第2下側半割部326がネジ締結(不図示)により連結可能になっている。一方で、第1収容部310は、第2収容部320に対するネジ締結部を有さず、第2収容部320が連結されないようになっている。これにより、第2収容部320を、第1収容部310から独立してクランプ700に連結することができる。
【0187】
また、クランプ下部720は、例えば、配線挿通孔721を有している。これにより、クランプ700に第2収容部320が連結されたときに、第1収容部310と第2収容部320との間で、クランプ700の配線挿通孔721内に所定の配線を挿通させ、第2収容部320内の電流測定用CT部520と、第1収容部310内の電流測定部540および無線部600とを、配線を介して安定的に接続することができる。
【0188】
(効果)
(a)本変形例によれば、クランプ700は、第2収容部320を第1収容部310から独立して連結可能に構成されている。これにより、第1収容部310の少なくとも一部と、第2収容部320の少なくとも一部とを、互いに分離した状態で、個別に開閉することができる。その結果、電源用CT部420による発電効率を向上させることができるとともに、第2収容部320をクランプ700に連結した場合に、電流測定用CT部520による電流測定精度を向上させることが可能となる。
【0189】
(b)通常時のクランプ700には、電流測定用CT部520を収容する第2収容部320が連結されていない。これにより、電線100の電流を測定することが不要な箇所に、送電設備物理量測定装置12を好適に設置することができる。その結果、最小限の部品で送電設備物理量測定装置12を構成し、送電設備物理量測定装置12のコストを低減することができる。
【0190】
一方で、送電設備物理量測定装置12を設置した後に、電線100の電流を測定することが必要となったときに、電流測定用CT部520を収容する第2収容部320をクランプ700に連結することができる。すなわち、本変形例では、電線物理量測定の必要性に応じて、連結態様を適宜選択することが可能となる。
【0191】
(c)本変形例の送電設備物理量測定装置12は、電流測定可能な上述の実施形態の送電設備物理量測定装置10と共通の部品を有している。これにより、送電設備物理量測定装置10および送電設備物理量測定装置12を含むシステム全体としての製造コストを低減することができる。
【0192】
<本開示の他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について具体的に説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0193】
上述の実施形態では、樹脂層230が一対の熱電対素線222の露出部EPを覆っている場合について説明したが、樹脂層230は、さらに熱電対220の絶縁層224の少なくとも一部まで覆っていてもよい。
【0194】
上述の実施形態では、プレート部240の腐食電位が、一対の熱電対素線222のそれぞれの腐食電位よりも接続部180に近い場合について説明したが、少なくともプレート部240の第1片部242が、上記腐食電位の関係を満たせば、第1片部242が、第2片部244およびブロック部260と異なる金属を含有していてもよい。ただし、第1片部242、第2片部244およびブロック部260が同一の金属を含有しているほうが、これらの間での電食を抑制し、またこれらの熱膨張係数差によるずれを抑制する観点から好ましい。
【0195】
上述の実施形態では、第1片部242と第2片部244とが接続された辺が、第2片部244において一対の熱電対素線222の露出部EPが挿入される辺と反対側である場合について説明したが、一対の熱電対素線222の露出部EPの挿入に干渉しなければ、第1片部242と第2片部244との接続部は、どの位置に設けられていてもよい。
【0196】
上述の第2実施形態では、第1下側半割部316と第2下側半割部326とがクランプ700を介して連結され、第1上側半割部318と第2上側半割部328とが互いに分離されている場合について説明したが、この場合に限られない。第1下側半割部316および第1上側半割部318のうち少なくともいずれかと、第2下側半割部326および第2上側半割部328のうち少なくともいずれかとが、互いに分離され、個別に開閉可能に構成されていればよい。具体的には、例えば、第1上側半割部318と第2上側半割部328とがクランプ700を介して連結され、第1下側半割部316と第2下側半割部326とが互いに分離されていてもよい。ただし、上述の実施形態のように、第1下側半割部316と第2下側半割部326とがクランプ700を介して連結されていたほうが、送電設備物理量測定装置10を電線100に取り付ける作業を容易に行うことができる。
【0197】
上述の第2実施形態では、電源用コア422、測定用コア522、第1収容部310および第2収容部320がそれぞれ軸方向に沿って半割り(2つに分割)されている場合について説明したが、この場合に限られない。電源用コア422、測定用コア522、第1収容部310および第2収容部320がそれぞれ軸方向に沿って3つ以上に分割されていてもよい。ただし、上述の実施形態のように、これらがそれぞれ半割りされていたほうが、送電設備物理量測定装置10を電線100に取り付ける作業を容易に行うことができる。
【0198】
上述の第2実施形態では、クランプ700が第1収容部310と第2収容部320との間に設けられている場合について説明したが、この場合に限られない。クランプ700が第1収容部310および第2収容部320のうち少なくともいずれか一方に連結されていれば、クランプ700が第1収容部310と第2収容部320との間に設けられていなくてもよい。具体的には、クランプ700、第1収容部310の一部および第2収容部320の一部がこの順で連結されていたり、クランプ700、第2収容部320の一部および第1収容部310の一部がこの順で連結されていたりしてもよい。なお、これらの場合であっても、第1収容部310の少なくとも一部と第2収容部320の少なくとも一部は互いに分離されている必要がる。
【0199】
上述の第2実施形態では、クランプ700が配線挿通孔721を有している場合について説明したが、この場合に限られない。クランプ700の外側において、第1収容部310と第2収容部320との間で電流測定用CT部520と電流測定部540および無線部600とを接続することができれば、クランプ700は、必ずしも配線挿通孔721を有していなくてもよい。ただし、電磁界からの配線の遮蔽性を得るには、上述の実施形態が好ましい。
【0200】
上述の第2実施形態では、第1収容部310のサイズと第2収容部320のサイズとが互いに異なる場合について説明したが、この場合に限られない。第1収容部310のサイズと第2収容部320のサイズとを互いに等しくしてもよい。これにより、第1収容部310と第2収容部320との重量バランスを向上させることができる。また、第1収容部310と第2収容部320とを共通の部品で構成することができ、これらの製造コストを低減することができる。
【0201】
上述の第2実施形態では、第2収容部320のサイズが第1収容部310のサイズよりも大きい場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、電源用コア422が測定用コア522よりも大きい場合には、第1収容部310のサイズが第2収容部320のサイズよりも大きくなっていてもよい。
【0202】
上述の第2実施形態では、クランプ700が上下2分割されている場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、クランプ700は、断面C字状に構成されていてもよい。
【0203】
上述の第2実施形態では、クランプ700のクランプ下部720が第1下側半割部316および第2下側半割部326にネジ締結により連結されている場合について説明したが、この場合に限られない。クランプ700のクランプ下部720は、第1下側半割部316および第2下側半割部326に溶接により連結されていてもよい(ただし変形例除く)。
【0204】
上述の第2実施形態では、送電設備物理量測定装置10が、送電設備の物理量として電線100に流れる電流および接続部180の温度を測定するよう構成されている場合について説明したが、この場合に限られない。送電設備物理量測定装置10は、電線100に流れる電流および接続部180の温度以外の他の物理量も測定するよう構成されていてもよい。他の物理量としては、例えば、電線100の振動、電線100の弛度などが挙げられる。
【0205】
上述の第2実施形態では、無線部600がバケツリレー方式で各種データを伝送するよう構成されている場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、無線部600が長距離伝送可能に構成されていれば、無線部600は、データ集約伝送装置または電気事業者に対して各種データを直接送信するよう構成されていてもよい。
【実施例】
【0206】
次に、本開示に係る実施例を説明する。これらの実施例は本開示の一例であって、本開示はこれらの実施例により限定されない。
【0207】
(1)温度測定装置
上述の第1実施形態と同様の構成を有し、以下の材質および寸法を有する実施例の温度測定装置を準備した。
【0208】
熱電対:K熱電対
プレート部の材質:Al
プレート部の第1片部および第2片部のそれぞれの厚さ:0.4mm
第1片部の長手方向の長さ:57mm
第2片部の長手方向の長さ:27mm
【0209】
ブロック部の材質:Al
ブロック部の厚さ:5mm
ブロック部の長手方向の長さ:57mm
ブロック部の短手方向の長さ:10mm
係合溝の幅:7mm
第1係合溝および第2係合溝の位置:ブロック部の長手方向の両端からそれぞれ5mm
第2係合溝の位置:ブロック部の長手方向の中央
挿入溝の幅:3mm
挿入溝の端部の位置:第2係合溝と重なる位置
【0210】
樹脂層:シリコーンゴム
結束部:ヘラマンタイトン社製のインシュロック(登録商標)
【0211】
(2)評価
まず、測定対象である接続部として、以下の電線を圧縮接続した圧縮接続管を準備した。
【0212】
電線:鋼心アルミより線ACSR410mm2
圧縮接続管:ACSR410mm2用圧縮形引留クランプ
【0213】
当該圧縮接続管の1つの外周面に対して、リファレンスとしての熱電対を直接取り付けた。一方で、同じ圧縮接続管の他の外周面に対して、結束部により実施例の温度測定装置を取り付けた。
【0214】
取り付け後、電線に電流を流し、電線および圧縮接続管の温度を徐々に上昇させた。このとき、リファレンスとしての熱電対と実施例の温度測定装置との両方により、同時に圧縮接続管のほぼ同じ位置の温度を測定した。
【0215】
(3)結果
図15を用い、実施例の温度測定結果について説明する。
図15は、実施例の温度測定結果を示す図である。
【0216】
図15に示すように、実施例の温度測定装置で測定した温度測定値は、リファレンスとしての熱電対で測定した基準温度測定値に対してほぼ等しかった。また、実施例の温度測定装置で測定した温度測定値は、接続部の温度上昇に対して良好な追従性を満たしていた。
【0217】
これらの結果、実施例の温度測定装置では、接続部の温度を安定的かつ精度よく測定することができることを確認した。
【0218】
なお、実施例の温度測定装置では、ブロック部の熱容量による温度測定精度への影響が考えられた。しかしながら、測定対象としての圧縮接続管の熱容量がある程度大きいため、ブロック部の熱容量による温度測定精度への影響は小さかった。その結果、実施例の温度測定装置により、充分な温度測定精度が得られることを確認した。
【0219】
<本開示の好ましい態様>
以下、本開示の好ましい態様を付記する。
【0220】
(付記1)
電線を圧縮接続する断面多角形の接続部における温度を測定する温度測定装置であって、
一対の熱電対素線が露出した露出部を含む熱電対と、
前記熱電対と前記接続部との間に介在し、前記接続部に直接接するように配置される金属製のプレート部と、
を備え、
前記プレート部は、前記一対の熱電対素線のそれぞれの腐食電位よりも前記接続部の腐食電位に近い腐食電位を有し、
前記プレート部は、前記接続部の外周面に面接触するように平板状に構成されている
温度測定装置。
【0221】
(付記2)
前記プレート部とともに前記熱電対を挟持するブロック部と、
前記接続部、前記プレート部、前記熱電対および前記ブロック部をひとまとめに結束する結束部と、
を備え、
前記ブロック部は、前記結束部が係合する係合溝を有する
付記1に記載の温度測定装置。
【0222】
(付記3)
前記ブロック部は、前記プレート部に対向する側に、前記熱電対が挿入される挿入溝を有する
付記2に記載の温度測定装置。
【0223】
(付記4)
前記結束部は、複数設けられ、
前記係合溝は、前記複数の結束部がそれぞれ係合するよう複数設けられ、
前記複数の係合溝のうちの1つは、前記一対の熱電対素線の前記露出部と重なる位置に設けられている
付記2又は付記3に記載の温度測定装置。
【0224】
(付記5)
前記一対の熱電対素線の前記露出部が前記プレート部に接した状態で、該露出部を覆う樹脂層を備える
付記1から付記4のいずれか1つに記載の温度測定装置。
【0225】
(付記6)
前記プレート部は、
前記接続部に直接接するよう配置される第1片部と、
前記第1片部とともに、前記一対の熱電対素線の前記露出部を挟持する第2片部と、
を有する
付記1から付記5のいずれか1つに記載の温度測定装置。
【0226】
(付記7)
前記第2片部は、前記第1片部の沿面方向の一端に接続されている
付記6に記載の温度測定装置。
【0227】
(付記8)
前記第1片部および前記第2片部は、平板状に構成され、
前記一対の熱電対素線の前記露出部は、前記第1片部および前記第2片部が構成する沿面方向に沿って、前記第1片部および前記第2片部の間に挿入されている
付記6又は付記7に記載の温度測定装置。
【0228】
(付記9)
前記熱電対は、
前記一対の熱電対素線の外周を覆う絶縁層と、
前記絶縁層の外周を覆う編組線を含むシールド部と、
を有し、
前記シールド部は、前記絶縁層が前記プレート部よりも外側に延在した部分を覆っている
付記1から付記8のいずれか1つに記載の温度測定装置。
【0229】
(付記10)
前記接続部の鉛直下側に配置される
付記1から付記9のいずれか1つに記載の温度測定装置。
【0230】
(付記11)
電線を圧縮接続する断面多角形の接続部の温度を測定する温度測定部と、
前記電線を囲むように配置され、前記電線に流れる電流に基づいて生じる磁界から電磁誘導により電力を発生させる電源用カレントトランス部と、
前記温度測定部および前記電源用カレントトランス部に接続され、前記温度測定部が測定した前記接続部の温度データを、前記電源用カレントトランス部からの電力により無線で外部に送信する無線部と、
を備え、
前記温度測定部は、
一対の熱電対素線が露出した露出部を含む熱電対と、
前記熱電対と前記接続部との間に介在し、前記接続部に直接接するように配置される金属製のプレート部と、
を備え、
前記プレート部は、前記一対の熱電対素線のそれぞれの腐食電位よりも前記接続部の腐食電位に近い腐食電位を有し、
前記プレート部は、前記接続部の外周面に面接触するように平板状に構成されている
送電設備物理量測定装置。
【0231】
(付記12)
複数の金属素線を最外周に有し、電力を伝送する電線と、
前記電線へ電力を供給する電力供給源と、
前記電線の軸方向に沿って所定の間隔で配置され、それぞれ送電設備に関する物理量を測定し、測定した前記物理量データをバケツリレー方式で伝送する複数の送電設備物理量測定装置と、
前記複数の送電設備物理量測定装置から伝送された前記物理量データを集約し、集約した前記物理量データを前記電力供給源に伝送するデータ集約伝送装置と、
を有し、
前記電力供給源は、前記物理量データに基づいて前記電線への送電容量を制御し、
前記複数の送電設備物理量測定装置のそれぞれは、
前記電線を圧縮接続する断面多角形の接続部の温度を測定する温度測定部と、
前記電線を囲むように配置され、前記電線に流れる電流に基づいて生じる磁界から電磁誘導により電力を発生させる電源用カレントトランス部と、
前記温度測定部および前記電源用カレントトランス部に接続され、前記温度測定部が測定した前記接続部の温度データを、前記電源用カレントトランス部からの電力により無線で外部に送信する無線部と、
を備え、
前記温度測定部は、
一対の熱電対素線が露出した露出部を含む熱電対と、
前記熱電対と前記接続部との間に介在し、前記接続部に直接接するように配置される金属製のプレート部と、
を備え、
前記プレート部は、前記一対の熱電対素線のそれぞれの腐食電位よりも前記接続部の腐食電位に近い腐食電位を有し、
前記プレート部は、前記接続部の外周面に面接触するように平板状に構成されている
電力伝送システム。
【符号の説明】
【0232】
10、12 送電設備物理量測定装置
100 電線
180 接続部
200 温度測定装置(温度測定部)
220 熱電対
222 熱電対素線
224 絶縁層
224a 内側絶縁層
224b 外側絶縁層
226 シールド部
228 アルミテープ
230、234 樹脂層
240 プレート部
242 第1片部
244 第2片部
260 ブロック部
262 係合溝
262a 第1係合溝
262b 第2係合溝
262c 第3係合溝
280 結束部
280a 第1結束部
280b 第2結束部
280c 第3結束部
310 第1収容部
311 第1電線挿通孔
312 第1内筒
312a 第1分離部
314 第1外筒
314a 調整ネジ
315 第1蓋部
316 第1下側半割部
317 鍔部
318 第1上側半割部
319 熱電対挿通管
320 第2収容部
321 第2電線挿通孔
322 第2内筒
322a 第2分離部
324 第2外筒
324a 調整ネジ
325 第2蓋部
326 第2下側半割部
327 鍔部
328 第2上側半割部
420 電源用CT部
422 電源用コア
423d 電源用下部半割コア
423u 電源用上部半割コア
424 電源用コイル
440 電源部
520 電流測定用CT部
522 測定用コア
523d 測定用下部半割コア
523u 測定用上部半割コア
524 測定用コイル
540 電流測定部
600 無線部
620 アンテナ
700 クランプ
710 電線挿通孔
720 クランプ下部
721 配線挿通孔
740 クランプ上部
EP 露出部