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特許7533349自動駐車システム及び自動駐車システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】自動駐車システム及び自動駐車システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/14 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
G08G1/14 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021079805
(22)【出願日】2021-05-10
(65)【公開番号】P2022173839
(43)【公開日】2022-11-22
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187311
【弁理士】
【氏名又は名称】小飛山 悟史
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】菅野 達也
(72)【発明者】
【氏名】岡村 竜路
(72)【発明者】
【氏名】森田 孝治
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/020297(WO,A1)
【文献】特開2001-222799(JP,A)
【文献】特開2010-117864(JP,A)
【文献】特開2018-025843(JP,A)
【文献】特開2009-063504(JP,A)
【文献】特開2018-097536(JP,A)
【文献】特開2016-037827(JP,A)
【文献】特表2017-512347(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0117926(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0211071(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 30/00 - 60/00
E04H 6/00 - 6/44
G06Q 10/00 - 10/30
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 50/20
G06Q 50/26 - 99/00
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駐車スペースが少なくとも縦列方向に並設された駐車エリアを複数有する駐車場において自動運転車両に指示を行うことにより自動駐車対象車両を前記駐車スペースに駐車させる駐車場管制サーバを備える自動駐車システムであって、
前記駐車場管制サーバは、
複数の前記駐車エリアのそれぞれについて、前記縦列方向に前記駐車スペースが並ぶ個数である縦個数を取得する縦個数取得部と、
複数の前記駐車エリアのそれぞれについて、空きの前記駐車スペースの個数である空き個数を取得する空き個数取得部と、
前記縦個数に基づいて、前記自動駐車対象車両を駐車させる前記駐車エリアの優先度を算出するための前記空き個数の閾値である空き個数閾値を算出する閾値算出部と、
前記空き個数が前記空き個数閾値よりも小さい前記駐車エリアの前記優先度と比べて、前記空き個数が前記空き個数閾値以上である前記駐車エリアの前記優先度が高くなるように、前記優先度を算出する優先度算出部と、
前記優先度が高い前記駐車エリアの前記駐車スペースに前記自動駐車対象車両を優先的に駐車させる車両指示部と、
を備える、自動駐車システム。
【請求項2】
前記空き個数閾値は、前記縦個数であり、
前記優先度算出部は、前記空き個数が前記縦個数よりも小さい前記駐車エリアの前記優先度と比べて、前記空き個数が前記縦個数以上である前記駐車エリアの前記優先度が高くなるように、前記優先度を算出する、請求項1に記載の自動駐車システム。
【請求項3】
前記空き個数取得部は、複数の前記駐車エリアのそれぞれについて、互いに隣接する空きの前記駐車スペースの個数である隣接個数を取得し、
前記優先度算出部は、前記隣接個数が大きいほど前記優先度が高くなるように、前記優先度を算出する、請求項1又は2に記載の自動駐車システム。
【請求項4】
複数の駐車スペースが少なくとも縦列方向に並設された駐車エリアを複数有する駐車場において自動運転車両に指示を行うことにより自動駐車対象車両を前記駐車スペースに駐車させる駐車場管制サーバを備える自動駐車システムの制御方法であって、
複数の前記駐車エリアのそれぞれについて、前記縦列方向に前記駐車スペースが並ぶ個数である縦個数を取得する縦個数取得ステップと、
複数の前記駐車エリアのそれぞれについて、空いている前記駐車スペースの個数である空き個数を取得する空き個数取得ステップと、
前記縦個数に基づいて、前記自動駐車対象車両を駐車させる前記駐車エリアの優先度を算出するための前記空き個数の閾値である空き個数閾値を算出する閾値算出ステップと、
前記空き個数が前記空き個数閾値よりも小さい前記駐車エリアの前記優先度と比べて、前記空き個数が前記空き個数閾値以上である前記駐車エリアの前記優先度が高くなるように、前記優先度を算出する優先度算出ステップと、
前記優先度が高い前記駐車エリアの前記駐車スペースに前記自動駐車対象車両を優先的に駐車させるように、前記駐車場管制サーバに前記駐車場における前記自動運転車両に対して指示を行わせる車両指示ステップと、
を備える、自動駐車システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動駐車システム及び自動駐車システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2台以上の自動運転車両を縦列に駐車させる自動駐車において、各駐車スペースの長さに対応した駐車スペース長情報と各駐車スペースに駐車している全ての自動運転車両の全長の合計に対応した全長合計情報とに基づいて、入庫する自動運転車両の駐車スペースと駐車位置とが選択される技術が知られている(例えば、特開2017-182230号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-182230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、本技術分野では、駐車エリアの駐車スペースを効率よく利用する観点で、例えば駐車エリアの奥側の駐車スペースから車両を順次詰めて駐車する駐車手法が注目されている。この駐車手法では、出庫の対象となる出庫車両を出庫させる際、出庫車両の出庫方向(例えば車両前方)に他の車両が駐車している場合、当該他の車両を一旦退避させる必要がある。このような他の車両の退避を伴う車両の入れ替えには時間を要するため、1台当たりの駐車(入庫及び出庫)に要する時間の効率を高めるためには、他の車両の退避を考慮した改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、複数の駐車スペースが少なくとも縦列方向に並設された駐車エリアを複数有する駐車場において自動運転車両に指示を行うことにより自動駐車対象車両を駐車スペースに駐車させる駐車場管制サーバを備える自動駐車システムであって、駐車場管制サーバは、複数の駐車エリアのそれぞれについて、縦列方向に駐車スペースが並ぶ個数である縦個数を取得する縦個数取得部と、複数の駐車エリアのそれぞれについて、空きの駐車スペースの個数である空き個数を取得する空き個数取得部と、縦個数に基づいて、自動駐車対象車両を駐車させる駐車エリアの優先度を算出するための空き個数の閾値である空き個数閾値を算出する閾値算出部と、空き個数が空き個数閾値よりも小さい駐車エリアの優先度と比べて、空き個数が空き個数閾値以上である駐車エリアの優先度が高くなるように、優先度を算出する優先度算出部と、優先度が高い駐車エリアの駐車スペースに自動駐車対象車両を優先的に駐車させる車両指示部と、を備える。
【0006】
本発明の一態様に係る自動駐車システムによれば、閾値算出部によって、縦個数に基づいて空き個数閾値が算出される。優先度算出部によって、空き個数が空き個数閾値よりも小さい駐車エリアの優先度と比べて、空き個数が空き個数閾値以上である駐車エリアの優先度が高くなるように、駐車エリアの優先度が算出される。出庫車両の位置する列において、出庫方向となる車両前方又は車両後方について最大で縦個数と等しい数の他の車両が位置し得る。このような縦個数に基づいて空き個数閾値が算出されるため、空き個数閾値と空き個数とを比較することで、出庫車両の位置する列の他の車両を退避するための退避先の駐車スペースの数に応じて、駐車エリアの優先度を算出することができる。したがって、このような優先度が高い駐車エリアの駐車スペースに自動駐車対象車両を優先的に駐車することで、出庫車両を出庫させる際、他の車両の退避を伴う車両の入れ替えに要する時間を低減することが可能となる。
【0007】
一実施形態において、空き個数閾値は、縦個数であり、優先度算出部は、空き個数が縦個数よりも小さい駐車エリアの優先度と比べて、空き個数が縦個数以上である駐車エリアの優先度が高くなるように、優先度を算出してもよい。この場合、例えば、出庫車両の出庫方向に位置する他の車両を、出庫車両が駐車する駐車エリアの他の列に退避できるような駐車エリアに、自動駐車対象車両を駐車させることができる。
【0008】
一実施形態において、空き個数取得部は、複数の駐車エリアのそれぞれについて、互いに隣接する空きの駐車スペースの個数である隣接個数を取得し、優先度算出部は、隣接個数が大きいほど優先度が高くなるように、優先度を算出してもよい。この場合、例えば、出庫車両の出庫方向に位置する他の車両を、互いに隣接する空きの駐車スペースに退避できるため、他の車両の移動の手間を低減し易くなる。
【0009】
本発明の他の態様は、複数の駐車スペースが少なくとも縦列方向に並設された駐車エリアを複数有する駐車場において自動運転車両に指示を行うことにより自動駐車対象車両を駐車スペースに駐車させる駐車場管制サーバを備える自動駐車システムの制御方法であって、複数の駐車エリアのそれぞれについて、縦列方向に駐車スペースが並ぶ個数である縦個数を取得する縦個数取得ステップと、複数の駐車エリアのそれぞれについて、空いている駐車スペースの個数である空き個数を取得する空き個数取得ステップと、縦個数に基づいて、自動駐車対象車両を駐車させる駐車エリアの優先度を算出するための空き個数の閾値である空き個数閾値を算出する閾値算出ステップと、空き個数が空き個数閾値よりも小さい駐車エリアの優先度と比べて、空き個数が空き個数閾値以上である駐車エリアの優先度が高くなるように、優先度を算出する優先度算出ステップと、優先度が高い駐車エリアの駐車スペースに自動駐車対象車両を優先的に駐車させる車両指示ステップと、を備える。
【0010】
本発明の他の態様に係る自動駐車システムの制御方法によれば、閾値算出ステップによって、縦個数に基づいて空き個数閾値が算出される。優先度算出ステップによって、空き個数が空き個数閾値よりも小さい駐車エリアの優先度と比べて、空き個数が空き個数閾値以上である駐車エリアの優先度が高くなるように、自動駐車対象車両を駐車させる駐車エリアの優先度が算出される。出庫車両の位置する列においては、出庫方向となる車両前方又は車両後方には、最大で縦個数と等しい数の他の車両が位置し得る。このような縦個数に基づいて空き個数閾値が算出されるため、空き個数閾値と空き個数とを比較することで、出庫車両の位置する列の他の車両を退避するための退避先の駐車スペースの数に応じて優先度を算出することができる。したがって、このような優先度が高い駐車エリアの駐車スペースに自動駐車対象車両を優先的に駐車することで、出庫車両を出庫させる際、他の車両の退避を伴う車両の入れ替えに要する時間を低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る自動駐車システム及び自動駐車システムの制御方法によれば、出庫車両を出庫させる際、他の車両の退避を伴う車両の入れ替えに要する時間を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係る自動駐車システムを説明するための図である。
図2】駐車場管制サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】駐車場管制サーバの機能的構成の一例を示すブロック図である。
図4】駐車エリアの一例を示す図である。
図5】駐車エリアの他の例を示す図である。
図6】自動運転車両の一例を示すブロック図である。
図7】入庫処理の一例を示すフローチャートである。
図8図7の優先度算出処理の一例を示すフローチャートである。
図9図7の駐車エリア決定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、一実施形態に係る自動駐車システムを説明するための図である。図1に示す自動駐車システム[AVPS:Automated Valet Parking System]1は、駐車場[Parking place]における自動バレーパーキング[Automated Valet Parking]を行うためのシステムである。
【0015】
自動バレーパーキングとは、駐車場における降車場でユーザ(乗員)が降りた無人の車両(自動駐車対象車両)を駐車場側からの指示に応じて駐車場内の目標駐車スペースに自動で駐車させるサービスである。自動駐車対象車両は、自動駐車システム1による自動駐車の対象となる車両である。目標駐車スペースとは、自動駐車対象車両の駐車位置となるスペース[Parking space]である。自動バレーパーキングには、自動運転車両が駐車場側からの指示に従って目標ルートを自走で自動走行し、目標駐車スペースに自走で自動駐車する第1の形態が含まれる。目標ルートとは、自動運転車両2が目標駐車スペースに到達するために走行する駐車場内のルートである。第1の形態では、自動運転車両2は、それ自体が自動駐車対象車両となる。以下、本実施形態では、第1の形態の自動運転車両の自動バレーパーキングを例に説明する。
【0016】
自動バレーパーキングでは、自動運転車両2の自動走行と自動運転車両2の自動駐車とが行われる。自動走行とは、駐車場の走行路上を目標ルートに沿って目標駐車スペースに向かって走行させる車両制御である。自動駐車とは、目標駐車スペースに対して自動運転車両2を駐車させる車両制御である。
【0017】
自動駐車システム1は、自動運転車両2を駐車させた後、乗員からの出庫要求[Pick up request]に応じて駐車中の自動運転車両2の出庫を行う。自動駐車システム1は、出庫対象の自動運転車両2を乗車場の駐車枠(待機枠)に設定された乗車用の目標駐車スペースに向かって自動走行させ、乗車用の目標駐車スペースに対して自動駐車させることで、乗員の到着まで待機させる。
【0018】
なお、駐車場は、自動バレーパーキング専用の駐車場であってもよく、自動バレーパーキングの対象外である一般車両用の駐車場を兼ねていてもよい。一般車両用の駐車場の一部を自動バレーパーキング専用のエリアとして用いてもよい。駐車場は、屋内駐車場であってもよく屋外駐車場であってもよい。駐車場は、例えば、レンタカー又はカーシェアといった貸し出しサービス用の車両の駐車場であってもよい。駐車場は、例えば、社用車又は営業車など一定の台数が用意された業務用車両の駐車場であってもよい。駐車場は、例えば、大型ショッピングモールに併設された駐車場であってもよい。
【0019】
本実施形態では、駐車場は、複数の駐車枠(駐車スペース)が少なくとも縦列方向に並設された駐車エリアを複数有している。駐車場は、縦列方向に1つの駐車枠が設けられた駐車エリアを有していてもよい。縦列方向は、駐車エリアにおいて駐車スペースに対して車両が進入又は退出する方向に対応する方向である。縦列方向は、例えば、駐車エリアにおいて駐車枠の長手方向に対応する方向である。並列方向は、駐車エリアにおいて駐車スペースに対して車両が進入又は退出する方向に交差する方向である。並列方向は、例えば、駐車エリアにおいて駐車枠の短手方向に対応する方向である。
【0020】
[自動駐車システムの構成]
以下、自動駐車システム1の構成について図面を参照して説明する。図1に示されるように、自動駐車システム1は駐車場管制サーバ10を備えている。駐車場管制サーバ10は駐車場を管理するためのサーバである。
【0021】
駐車場管制サーバ10は、自動運転車両2と通信可能に構成されている。自動運転車両2について詳しくは後述する。駐車場管制サーバ10は、駐車場に設けられていてもよく、駐車場から離れた施設に設けられていてもよい。駐車場管制サーバ10は、異なる場所に設けられた複数のコンピュータから構成されていてもよい。駐車場管制サーバ10は、駐車場センサ3及び駐車場地図データベース4と接続されている。
【0022】
駐車場センサ3は、駐車場内の状況を認識するためのセンサである。駐車場センサ3には、例えば駐車場内の自動運転車両2の位置を検出するための監視カメラが含まれている。監視カメラは、駐車場の天井や壁に設けられ、駐車場内の自動運転車両2を撮像する。監視カメラは、撮像画像を駐車場管制サーバ10に送信する。
【0023】
駐車場センサ3には、駐車枠内に駐車車両が存在するか否か(駐車枠が満車であるか空車であるか)を検出するための空車センサが含まれてもよい。空車センサは、駐車枠ごとに設けられてもよく、天井などに設けられて複数の駐車枠を一台で監視可能に構成されていてもよい。空車センサの構成は特に限定されず、周知の構成を採用することができる。空車センサは、圧力センサであってもよく、電波を用いるレーダセンサ又はソナーセンサであってもよく、カメラであってもよい。空車センサは、駐車枠における空車情報を駐車場管制サーバ10に送信する。
【0024】
駐車場地図データベース4は、駐車場地図情報を記憶するデータベースである。駐車場地図情報には、駐車場における駐車枠の位置情報及び駐車場における走行路の情報が含まれている。駐車場地図情報には、縦列方向に駐車枠が並ぶ個数である縦個数の情報が含まれている。駐車場地図情報には、並列方向に駐車枠が並ぶ個数である横個数の情報が含まれていてもよい。また、駐車場地図情報には、自動運転車両2が位置認識に用いられるランドマークの位置情報が含まれていてもよい。ランドマークには、白線、ポール、セーフティコーン、駐車場の柱などのうち少なくとも一つが含まれる。
【0025】
駐車場管制サーバ10のハードウェア構成について説明する。図2は、駐車場管制サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2に示されるように、駐車場管制サーバ10は、プロセッサ10a、記憶部10b、通信部10c、及びユーザインターフェイス10dを備えた一般的なコンピュータとして構成されている。
【0026】
プロセッサ10aは、各種オペレーティングシステムを動作させて駐車場管制サーバ10を制御する。プロセッサ10aは、制御装置、演算装置、レジスタなどを含むCPU[Central Processing Unit]などの演算器である。プロセッサ10aは、記憶部10b、通信部10c、及びユーザインターフェイス10dを統括する。記憶部10bは、例えばROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]、HDD[Hard Disk Drive]、SSD[Solid State Drive]のうち少なくとも一つを含む記録媒体である。
【0027】
通信部10cは、ネットワークを介した無線通信を行うための通信デバイスである。通信部10cには、ネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカードなどを用いることができる。駐車場管制サーバ10は、通信部10cを用いて自動運転車両2と通信を行う。ユーザインターフェイス10dは、駐車場管制サーバ10の管理者などに対する駐車場管制サーバ10の入出力部である。ユーザインターフェイス10dは、ディスプレイ、スピーカなどの出力器、及び、タッチパネルなどの入力器を含む。
【0028】
次に、駐車場管制サーバ10の機能的構成について説明する。図3は、駐車場管制サーバの機能的構成の一例を示す図である。図3に示されるように、駐車場管制サーバ10は、車両情報取得部11、縦個数取得部12、空き個数取得部13、閾値算出部14、優先度算出部15、駐車エリア決定部16、駐車計画生成部17、及び車両指示部18を有する。
【0029】
車両情報取得部11は、駐車場内の自動運転車両2との通信により自動運転車両2の車両情報を取得する。車両情報には、自動運転車両2の識別情報及び駐車場における自動運転車両2の位置情報が含まれる。識別情報は、個々の自動運転車両2を特定できる情報であればよい。識別情報は、ID番号[Identification Number]であってもよく、車両番号であってもよく、自動バレーパーキングの予約番号などであってもよい。
【0030】
車両情報には、自動運転車両2の車種が含まれていてもよく、識別情報とは別に車両番号が含まれていてもよい。車両情報には、入庫予約時刻などの入庫予約情報が含まれていてもよく、出庫予定時刻が含まれていてもよい。車両情報には、自動運転車両2の旋回半径、大きさ、車幅などの車体情報が含まれていてもよく、自動運転車両2の自動運転機能に関する情報が含まれていてもよい。自動運転機能に関する情報には自動運転機能のバージョン情報が含まれていてもよい。
【0031】
車両情報には、自動運転車両2の走行状態及び外部環境の認識結果が含まれていてもよい。走行状態及び外部環境の認識については後述する。車両情報には、自動運転車両2の残りの走行可能距離又は残燃料の情報が含まれていてもよい。車両情報には、自動運転車両2が自動走行モードであるか自動駐車モードであるかの区別が含まれていてもよい。
【0032】
車両情報取得部11は、自動バレーパーキングの間、自動運転車両2から車両情報を継続的に取得する。車両情報取得部11は、自動運転車両2が駐車中となった場合、車両情報の取得を中断してもよく、定期的に車両情報を取得してもよい。
【0033】
車両情報取得部11は、取得した車両情報に基づいて、自動バレーパーキング中の自動運転車両2の状況を認識する。自動運転車両2の状況には、駐車場内における自動運転車両2の位置が含まれる。自動運転車両2の状況には、自動運転車両2の車速が含まれてもよく、自動運転車両2のヨーレートが含まれてもよく、自動運転車両2と周囲の他車両との距離が含まれてもよい。
【0034】
縦個数取得部12は、複数の駐車エリアのそれぞれについて、縦列方向に駐車枠が並ぶ個数である縦個数を取得する。縦個数取得部12は、例えば、駐車エリアにおいて並列方向に並ぶ列の縦個数が互いに同一であり駐車エリアが長方形状である場合、各駐車エリアにおける縦列方向に駐車枠が並ぶ個数を縦個数として取得する。縦個数取得部12は、例えば、各駐車エリアにおける縦列方向に最も多く駐車枠が並ぶ列の駐車枠の個数を縦個数として取得してもよい。
【0035】
図4は、駐車エリアの一例を示す図である。図4には、複数の駐車エリアA1,A2,A3,A4が示されている。各駐車エリアA1~A4において、縦列方向は、図中の矢印Aが指す方向である。駐車エリアA1,A2,A4では、複数の駐車枠が縦列方向及び並列方向に並設されている。駐車エリアA3では、複数の駐車枠が並列方向に並設されているが、縦列方向には1つの駐車枠が設けられている。
【0036】
各駐車エリアA1~A4において、複数の自動運転車両2は、一例として、矢印Aが指す方向を車両前方として駐車している。各自動運転車両2は、矢印Aが指す方向側から矢印Aが指す方向とは反対方向(奥側)に向かってバックで進入して、奥側から順に詰めて駐車する。このような駐車手法は、いわゆる「すし詰め駐車」とも呼ばれることがある。なお、このような駐車手法は、奥側から順に詰めて自動運転車両2が駐車されればよく、矢印Aが指す方向から奥側に向かって自動運転車両2が前進で進入してもよい。
【0037】
駐車エリアA1では、縦列方向に5個の駐車枠が並ぶ列R1が並列方向に6個並んでいる。駐車エリアA1では、縦列方向に駐車枠が並ぶ最大の個数は、5個である。よって、縦個数取得部12は、駐車エリアA1についての縦個数を5個と取得する。駐車エリアA2では、縦列方向に2個の駐車枠が並ぶ列R2が並列方向に10個並んでいる。駐車エリアA2では、縦列方向に駐車枠が並ぶ最大の個数は、2個である。よって、縦個数取得部12は、駐車エリアA2についての縦個数を2個と取得する。駐車エリアA3では、縦列方向に1個の駐車枠が並ぶ列R3が並列方向に10個並んでいる。駐車エリアA3では、縦列方向に駐車枠が並ぶ最大の個数は、1個である。よって、縦個数取得部12は、駐車エリアA3についての縦個数を1個と取得する。駐車エリアA4では、縦列方向に2個の駐車枠が並ぶ列R4が並列方向に3個並んでいる。駐車エリアA4では、縦列方向に駐車枠が並ぶ最大の個数は、2個である。よって、縦個数取得部12は、駐車エリアA4についての縦個数を2個と取得する。
【0038】
或いは、縦個数取得部12は、駐車エリアが長方形状でない場合(すなわち、全ての列の縦個数が互いに等しいわけではない場合)、駐車エリアにおける空いている駐車枠を含む列で縦列方向に駐車枠が並ぶ個数を縦個数として取得してもよい。
【0039】
図5は、駐車エリアの他の例を示す図である。図5には、複数の駐車エリアA2,A3,A4,A5が示されている。各駐車エリアA2~A5において、縦列方向は、図中の矢印Aが指す方向である。駐車エリアA2,A3,A4の駐車枠は、図4の駐車エリアA2,A3,A4の駐車枠と同様に配置されている。駐車エリアA5では、複数の駐車枠が縦列方向及び並列方向に並設されているが、縦列方向の駐車枠の個数が列ごとに異なっている。
【0040】
駐車エリアA5では、縦列方向に5個の駐車枠が並ぶ列R5aと、縦列方向に4個の駐車枠が並ぶ列R5bと、縦列方向に3個の駐車枠が並ぶ列R5cと、縦列方向に2個の駐車枠が並ぶ列R5dと、縦列方向に3個の駐車枠が並ぶ列R5eと、縦列方向に4個の駐車枠が並ぶ列R5fと、が並列方向に順に並んでいる。駐車エリアA5では、列R5a~列R5fの縦個数が互いに異なっており、駐車エリアが長方形状でない。図5の例では、駐車エリアA5における空いている駐車枠を含む列R5b,R5c,R5fにおいて、縦列方向に駐車枠が並ぶ最大の個数は、4個である。この場合、縦個数取得部12は、駐車エリアA5についての縦個数を4個と取得してもよい。
【0041】
空き個数取得部13は、複数の駐車エリアのそれぞれについて、空きの駐車枠の個数である空き個数を取得する。空き個数取得部13は、例えば、駐車場センサ3の検出結果から認識した駐車場内の駐車枠の空車状況に基づいて、空き個数を取得する。
【0042】
図4の例では、駐車エリアA1では、空きの駐車枠P1a,P1b,P1c,P1d,P1eが存在している。よって、空き個数取得部13は、駐車エリアA1についての空き個数を5個と取得する。なお、破線で示される自動運転車両(自動駐車対象車両)2Xは、次に入庫してくる自動運転車両2を意味しており、破線で示される自動運転車両2Xが位置する駐車枠は空いているものとする。駐車エリアA2では、空きの駐車枠P2a,P2bが存在している。よって、空き個数取得部13は、駐車エリアA2についての空き個数を2個と取得する。駐車エリアA3では、空きの駐車枠が存在していない。よって、空き個数取得部13は、駐車エリアA3についての空き個数を0個と取得する。駐車エリアA4では、空きの駐車枠P4a,P4bが存在している。よって、空き個数取得部13は、駐車エリアA4についての空き個数を2個と取得する。
【0043】
図5の例では、駐車エリアA2では、空きの駐車枠P2bが存在している。よって、空き個数取得部13は、駐車エリアA2についての空き個数を1個と取得する。駐車エリアA3では、空きの駐車枠が存在していない。よって、空き個数取得部13は、駐車エリアA3についての空き個数を0個と取得する。駐車エリアA4では、空きの駐車枠P4a,P4cが存在している。よって、空き個数取得部13は、駐車エリアA4についての空き個数を2個と取得する。駐車エリアA5では、空きの駐車枠P1f,P1g,P1h,P1iが存在している。空き個数取得部13は、駐車エリアA5についての空き個数を4個と取得する。
【0044】
空き個数取得部13は、複数の駐車エリアのそれぞれについて、互いに隣接する空きの駐車枠の個数である隣接個数を取得してもよい。空き個数取得部13は、例えば、駐車場センサ3の検出結果から認識した駐車場内の駐車枠の空車状況と駐車枠の位置情報とに基づいて、隣接個数を取得する。
【0045】
図4の例では、駐車エリアA1では、空きの駐車枠P1a,P1b、駐車枠P1b,P1c、及び駐車枠P1b,P1dが互いに隣接している。よって、空き個数取得部13は、駐車エリアA1についての隣接個数を4個と取得する。駐車エリアA2では、空きの駐車枠P2a,P2bが存在するが、互いに隣接していない。よって、空き個数取得部13は、駐車エリアA2についての隣接個数を0個と取得する。駐車エリアA3では、空きの駐車枠が存在していない。よって、空き個数取得部13は、駐車エリアA3についての隣接個数を0個と取得する。駐車エリアA4では、空きの駐車枠P4a,P4bが互いに隣接している。よって、空き個数取得部13は、駐車エリアA4についての隣接個数を2個と取得する。
【0046】
図5の例では、駐車エリアA2では、空きの駐車枠P2cが存在するが、駐車枠P2cに隣接する他の空きの駐車枠が存在しない。よって、空き個数取得部13は、駐車エリアA2についての隣接個数を0個と取得する。駐車エリアA3では、空きの駐車枠が存在していない。よって、空き個数取得部13は、駐車エリアA3についての隣接個数を0個と取得する。駐車エリアA4では、空きの駐車枠P4c,P4dが互いに隣接していない。よって、空き個数取得部13は、駐車エリアA4についての隣接個数を0個と取得する。駐車エリアA5では、空きの駐車枠P1f,P1g、駐車枠P1g,P1hが互いに隣接している。空き個数取得部13は、駐車エリアA5についての隣接個数を3個と取得する。
【0047】
閾値算出部14は、縦個数に基づいて、空き個数閾値を算出する。空き個数閾値は、自動駐車対象車両を駐車させる駐車エリアの優先度を算出するための空き個数の閾値である。閾値算出部14は、例えば、縦個数そのものの値を空き個数閾値として算出する。
【0048】
閾値算出部14は、隣接閾値を算出してもよい。隣接閾値は、自動駐車対象車両を駐車させる駐車エリアの優先度を算出するための隣接個数の閾値である。隣接閾値は、予め設定されていてもよい。隣接閾値は、記憶部10bに記憶されていてもよい。閾値算出部14は、予め設定された隣接閾値を記憶部10bから読み出すことで隣接閾値を算出してもよい。隣接閾値は、特に限定されないが、一例として3であってもよい。隣接閾値が3とは、互いに隣接する空きの駐車枠が少なくとも2対存在することに対応する。なお、隣接閾値は、固定値に限定されず、例えば駐車場センサ3の検出結果から認識した駐車場内の駐車枠の空車状況に基づいて、変化するように算出されてもよい。
【0049】
優先度算出部15は、空き個数と空き個数閾値との比較結果に基づいて、優先度を算出する。優先度算出部15は、空き個数が空き個数閾値よりも小さい駐車エリアの優先度と比べて、空き個数が空き個数閾値以上である駐車エリアの優先度が高くなるように、優先度を算出する。
【0050】
ここでの優先度は、自動運転車両2(自動駐車対象車両)を駐車させる駐車エリアを駐車エリア決定部16が決定する際の優先度として用いられる。ここで、各駐車エリアA1~A5において、複数の自動運転車両2は、奥側から順に詰めて駐車している。そのため、同じ列に複数の自動運転車両2が駐車している場合、奥側に位置する自動運転車両2を出庫するためには、当該自動運転車両2よりも矢印A方向側に位置する自動運転車両2を退避させる必要がある。退避とは、奥側の他の自動運転車両2が出庫できるように、駐車中の駐車枠から自動運転車両2を一旦移動させることを意味する。退避は、同じ駐車エリア内で空いている駐車枠がある場合は、その駐車枠に移動させることを含む。退避は、同じ駐車エリア内で空いている駐車枠がない場合、又は退避すべき自動運転車両2の台数に対して不足している場合、その駐車エリア外の車路に自動運転車両2を移動させることを含む。
【0051】
優先度は、このような自動運転車両2の退避を伴う車両の入れ替えに要する時間の低減し易さに応じて算出される。自動運転車両2の退避を伴う車両の入れ替えに要する時間が低減されるほど、自動運転車両2の1台当たりの駐車(入庫及び出庫)に要する時間の効率を高めることができる。
【0052】
優先度算出部15は、例えば、空き個数が縦個数よりも小さい駐車エリアの優先度と比べて、空き個数が縦個数以上である駐車エリアの優先度が高くなるように、優先度を算出する。具体的な一例として、優先度算出部15は、空き個数が縦個数よりも小さい駐車エリアの優先度を3として優先度を算出してもよい。優先度算出部15は、空き個数が縦個数以上である駐車エリアの優先度を1又は2として優先度を算出してもよい。
【0053】
優先度算出部15は、隣接個数が大きいほど優先度が高くなるように、優先度を算出してもよい。優先度算出部15は、例えば、隣接個数が隣接閾値よりも小さい駐車エリアの優先度と比べて、隣接個数が隣接閾値以上である駐車エリアの優先度が高くなるように、優先度を算出してもよい。具体的な一例として、優先度算出部15は、隣接個数が隣接閾値(例えば3)よりも小さい駐車エリアの優先度を2として優先度を算出してもよい。優先度算出部15は、隣接個数が隣接閾値以上である駐車エリアの優先度を1として優先度を算出してもよい。
【0054】
図4の例では、駐車エリアA1について、空き個数が5個であって縦個数が5個であり空き個数が縦個数以上である。また、隣接個数が4で隣接閾値以上であるため、優先度算出部15は、図4の駐車エリアA1の優先度を1として算出する。駐車エリアA2について、空き個数が2個であって縦個数が2個であり空き個数が縦個数以上である。また、隣接個数が0で隣接閾値よりも小さいため、優先度算出部15は、図4の駐車エリアA2の優先度を2として算出する。駐車エリアA3について、空き個数が0個であって縦個数が1個であり空き個数が縦個数よりも小さいため、優先度算出部15は、図4の駐車エリアA3の優先度を3として算出する。駐車エリアA4について、空き個数が2個であって縦個数が2個であり空き個数が縦個数以上である。また、隣接個数が2で隣接閾値よりも小さいため、優先度算出部15は、図4の駐車エリアA4の優先度を2として算出する。
【0055】
図5の例では、駐車エリアA2について、空き個数が1個であって縦個数が2個であり空き個数が縦個数よりも小さいため、優先度算出部15は、図5の駐車エリアA2の優先度を3として算出する。駐車エリアA3について、空き個数が0個であって縦個数が1個であり空き個数が縦個数よりも小さいため、優先度算出部15は、図5の駐車エリアA3の優先度を3として算出する。駐車エリアA4について、空き個数が2個であって縦個数が2個であり空き個数が縦個数以上である。また、隣接個数が0で隣接閾値よりも小さいため、優先度算出部15は、図5の駐車エリアA4の優先度を2として算出する。駐車エリアA5について、空き個数が4個であって縦個数が4個であり空き個数が縦個数以上である。また、隣接個数が3で隣接閾値以上であるため、優先度算出部15は、図5の駐車エリアA5の優先度を1として算出する。
【0056】
なお、図4及び図5の例において、駐車エリアA2,A3は、それぞれ走路RW2,RW3で周囲を取り囲まれている。そのため、例えば同じ駐車エリア内で空いている駐車枠がない場合、又は退避すべき自動運転車両2の台数に対して不足している場合の退避として、駐車エリアA2,A3外の走路RW2,RW3に自動運転車両2を移動させてもよい。退避の対象の自動運転車両2は、走路RW2,RW3を表す破線の何れかに沿って出庫車両が出庫するまで走行することで、一旦退避することができる。
【0057】
ここで、駐車している駐車エリアを取り囲む走路RW2,RW3を走行させるような退避を自動運転車両2にさせることを想定すると、駐車エリアA2よりも駐車エリアA3の方が、退避を伴う車両の入れ替えに要する時間が低減され易い。より詳しくは、駐車エリアA2,A3においては、駐車エリアA2を取り囲む走路RW2よりも、駐車エリアA3を取り囲む走路RW3の方が、周回長が小さい。周回長は、駐車エリアを取り囲む走路の一周の距離である。そこで、優先度算出部15は、例えば、周囲の走路の周回長が小さいほど駐車エリアの優先度が高くなるように、優先度を算出してもよい。
【0058】
駐車エリア決定部16は、算出された優先度に基づいて、入庫する自動運転車両2を駐車させる駐車エリアを決定する。具体的には、駐車エリア決定部16は、例えば、優先度が1の駐車エリアがあるか否かを判定する。駐車エリア決定部16は、優先度が1の駐車エリアがあると判定した場合、入庫する自動運転車両2を優先度が1の駐車エリアに駐車させると決定する。
【0059】
駐車エリア決定部16は、例えば、優先度が1の駐車エリアがないと判定した場合、優先度が2の駐車エリアがあるか否かを判定する。駐車エリア決定部16は、優先度が2の駐車エリアがあると判定した場合、入庫する自動運転車両2を優先度が2の駐車エリアに駐車させると決定する。
【0060】
駐車エリア決定部16は、例えば、優先度が1の駐車エリアも優先度が2の駐車エリアもないと判定した場合、入庫する自動運転車両2を優先度が3の駐車エリアに駐車させると決定する。
【0061】
駐車計画生成部17は、駐車エリア決定部16で決定した駐車エリアと車両情報取得部11の取得した車両情報とに基づいて、自動運転車両2の駐車に関する走行計画である駐車計画を生成する。駐車計画には、駐車エリア決定部16で決定した駐車エリア内の目標駐車スペースと目標駐車スペースまでの目標ルートとが含まれる。駐車計画生成部17は、例えば駐車場に入場した自動運転車両2から入庫要求を受領した場合に、駐車エリア決定部16で決定した駐車エリアに自動運転車両2を駐車させる駐車計画の生成を開始する。入庫要求は自動運転車両2ではなく、乗員のユーザ端末から行われてもよい。
【0062】
駐車計画生成部17は、駐車エリア決定部16で決定した駐車エリアと、当該駐車エリアにおいて駐車場センサ3の検出結果から認識された駐車場内の駐車枠の空車状況とに基づいて、目標駐車スペースを設定する。駐車計画生成部17は、例えば、駐車エリア決定部16で決定した駐車エリア内に予め設定された駐車枠の何れかを選択して目標駐車スペースを設定する。駐車計画生成部17は、駐車エリア決定部16で決定した駐車エリアにおいて空いている駐車枠のうち、奥側に位置する駐車枠を選択して目標駐車スペースを設定してもよい。駐車計画生成部17は、自動運転車両2の車体情報も踏まえて、自動運転車両2の大きさに応じた適切な目標駐車スペースを設定してもよい。
【0063】
駐車計画生成部17は、車両情報取得部11の取得した自動運転車両2の位置情報、駐車エリア決定部16で決定された駐車エリアにおける目標駐車スペースの位置情報、及び駐車場地図データベース4の駐車場地図情報に基づいて、自動運転車両2の現在の位置から目標駐車スペースに向かう目標ルートを設定する。
【0064】
駐車計画生成部17は、駐車場内の走行路上に目標ルートを設定する。目標ルートは必ずしも最短距離である必要はなく、他の自動運転車両2の目標ルートと干渉しない又は干渉の少ないルートが優先的に選択されてもよい。目標ルートの設定方法は特に限定されず、周知の様々な手法を採用することができる。
【0065】
また、駐車計画生成部17は、自動運転車両2の車速計画を生成してもよい。駐車計画生成部17は、目標ルート上(走行路上)に予め設定された設定位置ごとに目標車速を演算し、設定位置の位置情報と目標車速を含む車速計画を伝えることで自動運転車両2の車速をコントロールしてもよい。設定位置は、例えば走行路に対して一定間隔で仮想的に設定される。設定位置は、走行路の交差点に設定されていてもよい。駐車計画生成部17は、他の自動運転車両2や一般車両の走行状況を踏まえて設定位置における目標車速を更新してもよい。
【0066】
或いは、駐車計画生成部17は、車速計画を生成することなく、自動運転車両2の位置の変化に応じた目標車速を適宜指示する態様であってもよい。駐車計画生成部17は、車速上限だけ自動運転車両2に指示して、車速調整を自動運転車両2に任せる態様であってもよい。
【0067】
車両指示部18は、自動バレーパーキングを行う自動運転車両2に対して指示を行う。車両指示部18は、優先度が高い駐車エリアの駐車枠に行う自動運転車両2(自動駐車対象車両)を優先的に駐車させる。車両指示部18は、駐車計画生成部17で生成された駐車計画に従って、自動運転車両2(自動駐車対象車両)が駐車エリア決定部16により決定された駐車エリアの目標駐車スペースに至るための目標ルート及び目標車速等を自動運転車両2に配信する。
【0068】
以上のように構成された自動駐車システム1では、例えば、自動運転車両2を駐車させた後、乗員からの出庫要求に応じて駐車中の自動運転車両2の出庫が行われる。図4の例では、駐車エリアA1の優先度が優先度算出部15によって1として算出されている。駐車エリア決定部16は、入庫する自動運転車両2を駐車エリアA1に駐車させると決定する。図4の破線で示されるように、駐車エリア決定部16は、例えば、駐車エリアA1の空きの駐車枠P1dに自動運転車両2Xを駐車させると決定してもよい。このように駐車枠P1dに自動運転車両2Xを駐車させた場合において、例えば駐車枠P1dと同じ列の一番奥側の駐車枠に駐車する自動運転車両2Zを出庫させる場合、自動運転車両2Zの前方の3台の自動運転車両2を退避させる必要が生じる。優先度が1の駐車エリアA1では、駐車枠P1dと異なる列に、3つの空きの駐車枠P1a,P1c,P1eが存在している。そこで、自動運転車両2Zの前方の3台の自動運転車両2を、駐車枠P1a,P1c,P1eに移動させれば、自動運転車両2Zを出庫させることができる。このように、同じ駐車エリアA1内で退避させることができるため、例えば駐車エリアA1外に退避させる場合と比べて、退避を伴う車両の入れ替えに要する時間が低減される。更に、駐車枠P1dと隣り合う列の空きの駐車枠P1a,P1cに自動運転車両2を退避させることができるため、例えば全ての自動運転車両2を駐車枠P1dと隣り合わない列の空きの駐車枠(例えば一つ一つ点在する空きの駐車枠)に退避させる場合と比べて、退避を伴う車両の入れ替えに要する時間が一層低減される。
【0069】
図5の例では、駐車エリアA5の優先度が優先度算出部15によって1として算出されている。駐車エリア決定部16は、入庫する自動運転車両2を駐車エリアA5に駐車させると決定する。図5の破線で示されるように、駐車エリア決定部16は、例えば、駐車エリアA5の空きの駐車枠P1gに自動運転車両2Xを駐車させると決定してもよい。このように駐車枠P1gに自動運転車両2Xを駐車させた場合において、例えば駐車枠P1gと同じ列の一番奥側の駐車枠に駐車する自動運転車両2Zを出庫させる場合、自動運転車両2Zの前方の2台の自動運転車両2を退避させる必要が生じる。優先度が1の駐車エリアA5では、駐車枠P1gと異なる列に、2つの空きの駐車枠P1h,P1iが存在している。そこで、自動運転車両2Zの前方の2台の自動運転車両2を、駐車枠P1h,P1iに移動させれば、自動運転車両2Zを出庫させることができる。このように、同じ駐車エリアA5内で退避させることができるため、例えば駐車エリアA5外に退避させる場合と比べて、退避を伴う車両の入れ替えに要する時間が低減される。更に、駐車枠P1gと隣り合う列の空きの駐車枠P1hに自動運転車両2を退避させることができるため、例えば全ての自動運転車両2を駐車枠P1gと隣り合わない列の空きの駐車枠に退避させる場合と比べて、退避を伴う車両の入れ替えに要する時間が一層低減される。
【0070】
[自動運転車両の構成]
続いて、本実施形態に係る自動運転車両2(自動駐車システム1から自動駐車に関する指示を受け取る自動運転車両)の構成の一例について説明する。図6は、自動運転車両2の一例を示すブロック図である。なお、本実施形態において自動運転車両2は自動駐車システム1に含まれない。
【0071】
図6に示されるように、自動運転車両2は、一例として、自動運転ECU20を有している。自動運転ECU20は、CPU、ROM、RAMなどを有する電子制御ユニットである。自動運転ECU20では、例えば、ROMに記録されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。自動運転ECU20は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。
【0072】
自動運転ECU20は、GPS受信部21、外部センサ22、内部センサ23、通信部24、及び、アクチュエータ25と接続されている。
【0073】
GPS受信部21は、複数のGPS衛星から信号を受信することにより、自動運転車両2の位置(例えば自動運転車両2の緯度及び経度)を測定する。GPS受信部21は、測定した自動運転車両2の位置情報を自動運転ECU20へ送信する。GPS受信部21に代えてGNSS[Global Navigation Satellite System]受信部を用いてもよい。
【0074】
外部センサ22は、自動運転車両2の外部環境を検出する車載センサである。外部センサ22は、カメラを少なくとも含む。カメラは、自動運転車両2の外部環境を撮像する撮像機器である。カメラは、例えば自動運転車両2のフロントガラスの裏側に設けられ、車両前方を撮像する。カメラは、自動運転車両2の外部環境に関する撮像情報を自動運転ECU20へ送信する。カメラは、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。カメラは、複数台設けられていてもよく、自動運転車両2の前方の他、左右の側方及び後方を撮像してもよい。
【0075】
外部センサ22は、レーダセンサを含んでもよい。レーダセンサは、電波(例えばミリ波)又は光を利用して自動運転車両2の周辺の物体を検出する検出機器である。レーダセンサには、例えば、ミリ波レーダ又はライダー[LiDAR:Light Detection And Ranging]が含まれる。レーダセンサは、電波又は光を自動運転車両2の周辺に送信し、物体で反射された電波又は光を受信することで物体を検出する。レーダセンサは、検出した物体情報を自動運転ECU20へ送信する。また、外部センサ22は、自動運転車両2の外部の音を検出するソナーセンサを含んでもよい。
【0076】
内部センサ23は、自動運転車両2の走行状態を検出する車載センサである。内部センサ23は、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサを含んでいる。車速センサは、自動運転車両2の速度を検出する検出器である。車速センサとしては、自動運転車両2の車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフトなどに対して設けられ、各車輪の回転速度を検出する車輪速センサを用いることができる。車速センサは、検出した車速情報(車輪速情報)を自動運転ECU20に送信する。
【0077】
加速度センサは、自動運転車両2の加速度を検出する検出器である。加速度センサは、例えば、自動運転車両2の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサを含んでいる.加速度センサは、自動運転車両2の横加速度を検出する横加速度センサを含んでいてもよい。加速度センサは、例えば、自動運転車両2の加速度情報を自動運転ECU20に送信する。ヨーレートセンサは、自動運転車両2の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する検出器である。ヨーレートセンサとしては、例えばジャイロセンサを用いることができる。ヨーレートセンサは、検出した自動運転車両2のヨーレート情報を自動運転ECU20へ送信する。
【0078】
通信部24は、自動運転車両2の外部との無線通信を制御する通信デバイスである。通信部24は、駐車場管制サーバ10との通信により各種情報の送信及び受信を行う。通信部24は、例えば、駐車場管制サーバ10に車両情報を送信すると共に、駐車場管制サーバ10から自動バレーパーキングのために必要な情報(例えば目標ルート沿いのランドマークの情報)を取得する。
【0079】
アクチュエータ25は、自動運転車両2の制御に用いられる機器である。アクチュエータ25は、駆動アクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び操舵アクチュエータを少なくとも含む。駆動アクチュエータは、自動運転ECU20からの制御信号に応じてエンジンに対する空気の供給量(例えばスロットル開度)を制御し、自動運転車両2の駆動力を制御する。なお、自動運転車両2がハイブリッド車である場合には、エンジンに対する空気の供給量の他に、動力源としてのモータに自動運転ECU20からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。自動運転車両2が電気自動車である場合には、動力源としてのモータに自動運転ECU20からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。これらの場合における動力源としてのモータは、アクチュエータ25を構成する。
【0080】
ブレーキアクチュエータは、自動運転ECU20からの制御信号に応じてブレーキシステムを制御し、自動運転車両2の車輪へ付与する制動力を制御する。ブレーキシステムとしては、例えば、液圧ブレーキシステムを用いることができる。操舵アクチュエータは、電動パワーステアリングシステムのうち操舵トルクを制御するアシストモータの駆動を自動運転ECU20からの制御信号に応じて制御する。これにより、操舵アクチュエータは自動運転車両2の操舵トルクを制御する。
【0081】
次に、自動運転ECU20の機能的構成の一例について説明する。自動運転ECU20は、外部環境認識部31、走行状態認識部32、車両位置認識部33、車両情報提供部34、及び自動運転制御部35を有している。
【0082】
外部環境認識部31は、外部センサ22(カメラの撮像画像又はレーダセンサの検出した物体情報)の検出結果に基づいて、自動運転車両2の外部環境を認識する。外部環境には、自動運転車両2に対する周囲の物体の相対位置が含まれる。外部環境には、自動運転車両2に対する周囲の物体の相対速度及び移動方向が含まれていてもよい。外部環境認識部31は、パターンマッチングなどにより、他車両及び駐車場の柱などの物体を認識する。外部環境認識部31は、駐車場のゲート、駐車場の壁、ポール、セーフティコーンなどを認識してもよい。また、外部環境認識部31は、白線認識により駐車場における走行境界[driving boundaries]を認識してもよい。
【0083】
走行状態認識部32は、内部センサ23の検出結果に基づいて、自動運転車両2の走行状態を認識する。走行状態には、自動運転車両2の車速、自動運転車両2の加速度、自動運転車両2のヨーレートが含まれる。具体的に、走行状態認識部32は、車速センサの車速情報に基づいて、自動運転車両2の車速を認識する。走行状態認識部32は、加速度センサの車速情報に基づいて、自動運転車両2の加速度を認識する。走行状態認識部32は、ヨーレートセンサのヨーレート情報に基づいて、自動運転車両2の向きを認識する。
【0084】
車両位置認識部33は、通信部24を通じて駐車場管制サーバ10から取得した駐車場地図情報と外部環境認識部31の認識した外部環境とに基づいて、駐車場内における自動運転車両2の位置を認識する。
【0085】
車両位置認識部33は、駐車場地図情報に含まれる駐車場内のランドマークの位置情報と外部環境認識部31の認識した自動運転車両2に対するランドマークの相対位置とに基づいて、駐車場内における自動運転車両2の位置を認識する。ランドマークとしては、駐車場に固定して設けられた物体を用いることができる。
【0086】
その他、車両位置認識部33は、内部センサ23の検出結果に基づいて、デッドレコニングにより自動運転車両2の位置を認識してもよい。また、車両位置認識部33は、駐車場に設けられたビーコンとの通信により自動運転車両2の位置を認識してもよい。
【0087】
車両情報提供部34は、通信部24を通じて駐車場管制サーバ10に車両情報を提供する。車両情報提供部34は、例えば一定時間ごとに車両位置認識部33の認識した駐車場内における自動運転車両2の位置の情報を含む車両情報を駐車場管制サーバ10に提供する。車両情報には、自動運転車両2認識した外部状況及び/又は走行状態が含まれていてもよい。
【0088】
自動運転制御部35は、自動運転車両2の自動運転を実行する。自動運転制御部35は、例えば、目標ルート、自動運転車両2の位置、自動運転車両2の外部環境、及び自動運転車両2の走行状態に基づいて、自動運転車両2の進路[trajectory]を生成する。進路は自動運転の走行計画に相当する。進路には、自動運転で車両が走行する経路[path]と自動運転における車速計画とが含まれる。
【0089】
経路は、自動駐車システムに指示された目標ルート上において自動運転中の車両が走行する予定の軌跡である。経路は、例えば目標ルート上の位置に応じた自動運転車両2の操舵角変化のデータ(操舵角計画)とすることができる。目標ルート上の位置とは、例えば目標ルートの進行方向において所定間隔(例えば1m)毎に設定された設定縦位置である。操舵角計画とは、設定縦位置毎に目標操舵角が関連付けられたデータとなる。自動運転制御部35は、例えば目標ルートに沿って駐車場の走行路の中央を通るように進路を生成する。
【0090】
自動運転制御部35は、自動バレーパーキングにおいて駐車場管制サーバ10の駐車計画生成部17から駐車計画(目標駐車スペース及び目標ルート)を指示された場合は駐車計画に従って自動運転を行う。自動運転制御部35は、駐車計画に位置に応じた操舵角計画や車速計画が含まれていない場合は、自動運転車両2側で操舵角計画及び車速計画を生成して自動走行を実現する。
【0091】
自動運転制御部35は、目標駐車スペース付近の到着した場合、停止して駐車場管制サーバ10からの指示を待つ。自動運転制御部35は、駐車場管制サーバ10に対して目標駐車スペース付近への到着を通知してもよい。
【0092】
或いは、自動運転制御部35は、予め設定された自動駐車開始条件に基づいて、目標駐車スペースに対する自動駐車を開始すること(自動走行モードから自動駐車モードに切り換わること)を駐車場管制サーバ10に通知してもよい。自動駐車開始条件は、目標駐車スペースに対する自動駐車を実行するため条件とすることができる。自動駐車開始条件は、例えば自動運転車両2が目標駐車スペースから一定距離以内に停止したことであってもよく、自動運転車両2の外部センサ22により目標駐車スペースを適切に認識できたことを条件としてもよい。
【0093】
[自動駐車システムの制御方法]
次に、本実施形態に係る自動駐車システム1の制御方法(処理)の一例について説明する。図7は、入庫処理の一例を示すフローチャートである。入庫処理は、例えば自動運転車両2からの要求により自動運転車両2を入庫させるための自動バレーパーキングが開始されたときに行われる。
【0094】
図7に示されるように、自動駐車システム1の駐車場管制サーバ10は、S01として、縦個数取得部12により縦個数の取得を行う(縦個数取得ステップ)。縦個数取得部12は、例えば、図4及び図5のように長方形状の複数の駐車エリアに対して、各駐車エリアにおける縦列方向に駐車枠が並ぶ個数を縦個数として取得する。
【0095】
S02において、駐車場管制サーバ10は、空き個数取得部13により空き個数の取得を行う(空き個数取得ステップ)。空き個数取得部13は、駐車場センサ3の検出結果から認識した駐車場内の駐車枠の空車状況に基づいて、空き個数を取得する。
【0096】
S02において、駐車場管制サーバ10は、空き個数取得部13により隣接個数の取得を行ってもよい(空き個数取得ステップ)。空き個数取得部13は、複数の駐車エリアのそれぞれについて、互いに隣接する空きの駐車枠の個数である隣接個数を取得してもよい。空き個数取得部13は、例えば、駐車場センサ3の検出結果から認識した駐車場内の駐車枠の空車状況と駐車枠の位置情報とに基づいて、隣接個数を取得することができる。なお、S02において隣接個数の取得は省かれてもよい。
【0097】
S03において、駐車場管制サーバ10は、閾値算出部14により空き個数閾値の算出を行う(閾値算出ステップ)。閾値算出部14は、例えば、縦個数そのものの値を空き個数閾値として算出する。
【0098】
S03において、駐車場管制サーバ10は、閾値算出部14により隣接閾値の算出を行ってもよい(閾値算出ステップ)。閾値算出部14は、予め設定された隣接閾値を記憶部10bから読み出すことで隣接閾値を算出してもよい。
【0099】
S04において、駐車場管制サーバ10は、優先度算出部15により優先度の算出を行う(優先度算出ステップ)。駐車場管制サーバ10は、S04の処理の一例として、具体的には図8の処理を実行する。図8は、図7の優先度算出処理の一例を示すフローチャートである。
【0100】
図8に示されるように、駐車場管制サーバ10は、S11として、優先度算出部15により、空き個数が縦個数(空き個数閾値)以上であるか否かを判定する(空き個数比較ステップ)。駐車場管制サーバ10は、空き個数が縦個数以上であると判定した場合(S11:YES)、S12の処理に移行する。駐車場管制サーバ10は、空き個数が縦個数以上であると判定しなかった場合(S11:NO)、S15の処理に移行する。
【0101】
S12において、駐車場管制サーバ10は、優先度算出部15により、隣接個数が隣接閾値以上であるか否かを判定する(隣接個数比較ステップ)。駐車場管制サーバ10は、隣接個数が隣接閾値以上であると判定した場合(S12:YES)、S13の処理に移行する。駐車場管制サーバ10は、隣接個数が隣接閾値以上であると判定しなかった場合(S12:NO)、S14の処理に移行する。
【0102】
S13~S15において、駐車場管制サーバ10は、優先度算出部15により優先度の算出を行う(優先度算出ステップ)。S13において、優先度算出部15は、優先度を1として算出する。S14において、優先度算出部15は、優先度を2として算出する。S15において、優先度算出部15は、優先度を3として算出する。S13~S15のそれぞれの処理の後、駐車場管制サーバ10は、今回の図8の処理を終了し、図7のS05の処理に戻る。
【0103】
図7のS05において、駐車場管制サーバ10は、駐車エリア決定部16により駐車エリアの決定を行う(駐車エリア決定ステップ)。駐車場管制サーバ10は、S05の処理の一例として、具体的には図9の処理を実行する。図9は、図7の駐車エリア決定処理の一例を示すフローチャートである。
【0104】
図9に示されるように、駐車場管制サーバ10は、S21として、駐車エリア決定部16により、優先度が1の駐車エリアがあるか否かを判定する(優先度判定ステップ)。駐車場管制サーバ10は、優先度が1の駐車エリアがあると判定した場合(S21:YES)、S22の処理に移行する。S22において、駐車場管制サーバ10は、駐車エリア決定部16により、優先度が1の駐車エリアに自動運転車両2を駐車させるとの決定を行う(駐車エリア決定ステップ)。S22の処理の後、駐車場管制サーバ10は、今回の図9の処理を終了し、図7のS06の処理に戻る。
【0105】
駐車場管制サーバ10は、優先度が1の駐車エリアがあると判定しなかった場合(S21:NO)、S23の処理に移行する。駐車場管制サーバ10は、S23として、駐車エリア決定部16により、優先度が2の駐車エリアがあるか否かを判定する(優先度判定ステップ)。駐車場管制サーバ10は、優先度が2の駐車エリアがあると判定した場合(S23:YES)、S24の処理に移行する。S24において、駐車場管制サーバ10は、駐車エリア決定部16により、優先度が2の駐車エリアに自動運転車両2を駐車させるとの決定を行う(駐車エリア決定ステップ)。S24の処理の後、駐車場管制サーバ10は、今回の図9の処理を終了し、図7のS06の処理に戻る。
【0106】
駐車場管制サーバ10は、優先度が2の駐車エリアがあると判定しなかった場合(S23:NO)、S25の処理に移行する。駐車場管制サーバ10は、S25において、駐車エリア決定部16により、優先度が3の駐車エリアに自動運転車両2を駐車させるとの決定を行う(駐車エリア決定ステップ)。S25の処理の後、駐車場管制サーバ10は、今回の図9の処理を終了し、図7のS06の処理に戻る。
【0107】
S06において、駐車場管制サーバ10は、駐車計画生成部17により駐車計画の生成を行う(駐車計画生成ステップ)。駐車計画生成部17は、駐車エリア決定部16で決定した駐車エリアと車両情報取得部11の取得した車両情報とに基づいて、自動運転車両2の駐車に関する走行計画である駐車計画を生成する。
【0108】
S07において、駐車場管制サーバ10は、車両指示部18により自動運転車両2への指示を行う(車両指示ステップ)。車両指示部18は、優先度が高い駐車エリアの駐車枠に行う自動運転車両2(自動駐車対象車両)を優先的に駐車させる。車両指示部18は、駐車計画生成部17で生成された駐車計画に従って、自動運転車両2(自動駐車対象車両)が駐車エリア決定部16により決定された駐車エリアの目標駐車スペースに至るための目標ルート及び目標車速等を自動運転車両2に配信する。その後、駐車場管制サーバ10は、図7の処理を終了する。
【0109】
以上説明した自動駐車システム1によれば、閾値算出部14によって、縦個数に基づいて空き個数閾値が算出される。優先度算出部15によって、空き個数が空き個数閾値よりも小さい駐車エリアの優先度と比べて、空き個数が空き個数閾値以上である駐車エリアの優先度が高くなるように、駐車エリアの優先度が算出される。出庫車両の位置する列において、出庫方向(ここでは車両前方)について最大で縦個数と等しい数の他の自動運転車両2が位置し得る。このような縦個数に基づいて空き個数閾値が算出されるため、空き個数閾値と空き個数とを比較することで、出庫車両(自動運転車両2Z)の位置する列の他の車両を退避するための退避先の駐車枠の数に応じて、駐車エリアの優先度を算出することができる。したがって、このような優先度が高い駐車エリアの駐車枠に自動運転車両2Xを優先的に駐車することで、出庫車両(自動運転車両2Z)を出庫させる際、他の車両の退避を伴う車両の入れ替えに要する時間を低減することが可能となる。
【0110】
自動駐車システム1では、空き個数閾値は、縦個数である。優先度算出部15は、空き個数が縦個数よりも小さい駐車エリアの優先度と比べて、空き個数が縦個数以上である駐車エリアの優先度が高くなるように、優先度を算出する。これにより、例えば、出庫車両の出庫方向(自動運転車両2Zの前方)に位置する他の車両を、自動運転車両2Zが駐車する駐車エリアの他の列に退避できるような駐車エリアに、自動運転車両2Xを駐車させることができる。
【0111】
自動駐車システム1では、空き個数取得部13は、複数の駐車エリアのそれぞれについて、互いに隣接する空きの駐車枠の個数である隣接個数を取得する。優先度算出部15は、隣接個数が大きいほど優先度が高くなるように、優先度を算出する。これにより、例えば、出庫車両の出庫方向(自動運転車両2Zの前方)に位置する他の車両を、互いに隣接する空きの駐車枠に退避できるため、他の車両の移動の手間を低減し易くなる。
【0112】
自動駐車システム1の制御方法によれば、閾値算出ステップによって、縦個数に基づいて空き個数閾値が算出される。優先度算出ステップによって、空き個数が空き個数閾値よりも小さい駐車エリアの優先度と比べて、空き個数が空き個数閾値以上である駐車エリアの優先度が高くなるように、自動駐車対象車両を駐車させる駐車エリアの優先度が算出される。出庫車両の位置する列において、出庫方向(ここでは車両前方)には、最大で縦個数と等しい数の他の自動運転車両2が位置し得る。このような縦個数に基づいて空き個数閾値が算出されるため、空き個数閾値と空き個数とを比較することで、出庫車両(自動運転車両2Z)の位置する列の他の車両を退避するための退避先の駐車枠の数に応じて優先度を算出することができる。したがって、このような優先度が高い駐車エリアの駐車枠に自動運転車両2Xを優先的に駐車することで、出庫車両(自動運転車両2Z)を出庫させる際、他の車両の退避を伴う車両の入れ替えに要する時間を低減することが可能となる。
【0113】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。
【0114】
上記実施形態では、閾値算出部14は、縦個数そのものの値を空き個数閾値として算出したが、空き個数閾値は、これに限定されない。閾値算出部14は、例えば、予め設定された所定の調整個数を縦個数に加算又は減算した値を空き個数閾値として算出してもよい。
【0115】
上記実施形態では、空き個数取得部13は隣接個数を取得し、閾値算出部14は隣接閾値を算出したが、隣接個数の取得及び隣接閾値の算出は省略されてもよい。
【0116】
上記実施形態の図4及び図5の例において、破線で示される自動運転車両2Xは、図4及び図5の例とは異なる列に駐車されてもよい。
【0117】
上記実施形態では、自動運転車両が駐車場側からの指示に従って目標ルートを自走で自動走行し、目標駐車スペースに自走で自動駐車するという、第1の形態の自動運転車両の自動バレーパーキングを例に説明したが、この例に限定されない。つまり、自動駐車対象車両そのものに自動運転で自走させることは、必須ではない。より詳しくは、自動運転車両の自動バレーパーキングには、自動運転車両2の自動運転機能を有する運搬ロボットが自動駐車対象車両を自動運転で運ぶように駐車場管制サーバ10が運搬ロボットを制御することで、自動駐車対象車両を目標駐車スペースに運んで駐車させる自動駐車が実現される第2の形態が含まれてもよい。第2の形態では、自動運転車両2以外の車両が自動駐車対象車両となる。つまり、自動運転車両2には、駐車場管制サーバ10による自動運転制御を実行可能に構成され且つ自動駐車対象車両を運搬可能に構成された運搬ロボットが含まれてもよい。この場合、自動駐車対象車両は、自動運転車両2の自動運転機能を有していなくてもよい。このような運搬ロボットは、例えば、自動駐車対象車両を持ち上げて保持できるリフト機構を備えることができる。
【0118】
第2の形態の自動バレーパーキングでは、自動運転車両2としての運搬ロボットの自動走行と自動駐車とが行われる。第2の形態の自動走行では、例えば、自動運転車両2としての運搬ロボットが、自動駐車対象車両を保持した状態で、駐車場の走行路上を目標ルートに沿って目標駐車スペースに向かって走行させられる。第2の形態の自動駐車では、自動運転車両2としての運搬ロボットが、保持していた自動駐車対象車両を、目標駐車スペースに対して駐車させる。
【0119】
第2の形態では、車両情報には、自動駐車対象車両の車種が含まれていてもよく、識別情報とは別に車両番号が含まれていてもよい。車両情報には、自動駐車対象車両の入庫予約時刻などの入庫予約情報が含まれていてもよく、出庫予定時刻が含まれていてもよい。第2の形態では、車両情報取得部11は、自動バレーパーキングの間、自動駐車対象車両から車両情報を必ずしも継続的に取得しなくてもよい。車両情報取得部11は、自動バレーパーキングを開始する際に自動駐車対象車両から車両情報を取得し、この車両情報を記憶して用いてもよい。第2の形態では、駐車計画生成部17は、駐車エリア決定部16で決定した駐車エリアと車両情報取得部11の取得した車両情報とに基づいて、自動駐車対象車両を駐車させる運搬ロボットに対して、自動運転車両2としての自動走行及び自動駐車に関する走行計画である駐車計画を生成してもよい。
【符号の説明】
【0120】
1…自動駐車システム、2,2Z…自動運転車両、2X…自動運転車両(自動駐車対象車両)、10…駐車場管制サーバ、12…縦個数取得部、13…空き個数取得部、14…閾値算出部、15…優先度算出部、18…車両指示部、A1,A2,A3,A4,A5…駐車エリア。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9