(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】車両および充電システム
(51)【国際特許分類】
B60L 53/30 20190101AFI20240806BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240806BHJP
H02J 7/00 20060101ALN20240806BHJP
【FI】
B60L53/30
B60L58/12
H02J7/00 P
(21)【出願番号】P 2021087148
(22)【出願日】2021-05-24
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】元平 暉人
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-054442(JP,A)
【文献】特開2012-011896(JP,A)
【文献】特開2016-149872(JP,A)
【文献】特開2020-124033(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112339601(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0070606(US,A1)
【文献】国際公開第2012/004846(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 53/30
B60L 58/12
H01M 10/42
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に設けられた充電装置から電力を受電して搭載された蓄電装置を充電する車両であって、
前記充電装置は、前記車両から送信された第1充電割合が所定値よりも大きくなると、
前記車両への充電を停止しており、
前記車両は、
前記蓄電装置と、
前記蓄電装置の充電割合を示す第2充電割合を算出する処理部と、
前記第1充電割合を前記充電装置に送信する通信部と、
を備え、
前記処理部は、充電段階において、前記第2充電割合が所定の第3充電割合以上となると充電を停止し、
前記処理部は、前記第3充電割合が、前記所定値に関する充電閾値よりも大きい場合においては、
前記第2充電割合が前記充電閾値以下であると前記第1充電割合として前記第2充電割合を前記充電装置に送信し、
前記第2充電割合が前記充電閾値より大きく、前記第3充電割合よりも小さい場合には前記第1充電割合として前記充電閾値以下の値を前記充電装置に送信し、
前記第2充電割合が前記第3充電割合以上の場合には、前記第1充電割合として前記第2充電割合を前記充電装置に送信する、車両。
【請求項2】
前記第3充電割合は、前記蓄電装置が満充電状態における充電割合である、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
ユーザが前記第3充電割合を入力する入力部をさらに備え、
前記第3充電割合は、前記入力部によって設定される、請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記第3充電割合が前記充電閾値以下である場合においては、
前記処理部は、前記第1充電割合として前記第2充電割合を送信する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の車両。
【請求項5】
前記車両は、サーバと通信可能に構成されており、
前記車両は、充電が完了すると充電完了時の充電割合を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記充電完了時の前記充電割合に基づいて前記充電閾値を算出し、
前記車両は、前記充電閾値を要求する要求信号を送信し、
前記サーバは、前記要求信号を受信すると、前記充電閾値を前記車両に送信する、請求項1から請求項4のいずれかに記載の車両。
【請求項6】
前記車両および前記充電装置は、サーバと通信可能に構成されており、
前記充電装置は、前記サーバに前記所定値を送信しており、
前記車両は、前記サーバに要求信号を送信し、
前記サーバは、前記要求信号を受信すると、前記車両に前記所定値を送信し、
前記充電閾値は、前記所定値である、請求項1から請求項4のいずれかに記載の車両。
【請求項7】
前記充電装置は、
外部電源に接続された充電器と、
充電プラグと、
前記充電プラグおよび前記充電器を接続する第1DC(+)配線および第1DC(-)配線と、
前記第1DC(+)配線に設けられた第1接触器と、
前記第1DC(-)配線に設けられた第2接触器と、
前記第1DC(+)配線および前記第1DC(-)配線に接続された絶縁監視装置と、
をさらに備え、
前記車両は、
前記充電プラグが接続される充電インレットと、
前記充電インレットに接続された前記充電プラグをロックする電子ロックと、
前記充電インレットおよび前記蓄電装置を接続する第2DC(+)配線および第2DC(-)配線と、
前記第2DC(+)配線に設けられた第3接触器と、
前記第2DC(-)配線に設けられた第4接触器と、
をさらに備え、
前記充電装置は、前記充電インレットおよび前記充電プラグが前記電子ロックによってロックされた後、充電段階前において、前記第1接触器および前記第2接触器をOFFとした状態で前記第3接触器および前記第4接触器が粘着していないことを確認し、
前記第3接触器および前記第4接触器が粘着していないことを確認した後に前記第1接触器および前記第2接触器をONとして絶縁試験を実施し、
前記絶縁試験を完了した後に、充電準備完了メッセージを車両に送信し、
前記車両は、前記充電準備完了メッセージを受信した後に、前記第1充電割合を前記充電装置に送信する、請求項1から請求項6のいずれかに記載の車両。
【請求項8】
蓄電
装置を有する車両と、充電装置とを備え、
前記充電装置は、前記車両から送信された第1充電割合が所定値よりも大きくなると、
前記車両への充電を停止しており、
前記車両は、
前記蓄電装置の充電割合を示す第2充電割合を算出する処理部と、
前記第1充電割合を前記充電装置に送信する通信部と、
を備え、
前記処理部は、充電段階において、前記第2充電割合が第3充電割合以上となると充電を停止し、
前記処理部は、前記第3充電割合が、前記所定値に関する充電閾値よりも大きい場合においては、
前記第2充電割合が前記充電閾値以下であると前記第1充電割合として前記第2充電割合を前記充電装置に送信し、
前記第2充電割合が前記充電閾値より大きく、前記第3充電割合よりも小さい場合には前記第1充電割合として前記充電閾値以下の値を前記充電装置に送信し、
前記第2充電割合が前記第3充電割合以上の場合には、前記第1充電割合として前記第2充電割合を前記充電装置に送信する、充電システム。
【請求項9】
前記充電装置は、
外部電源に接続された充電器と、
充電プラグと、
前記充電プラグおよび前記充電器を接続する第1DC(+)配線および第1DC(-)配線と、
前記第1DC(+)配線に設けられた第1接触器と、
前記第1DC(-)配線に設けられた第2接触器と、
前記第1DC(+)配線および前記第1DC(-)配線に接続された絶縁監視装置と、
をさらに備え、
前記車両は、
前記充電プラグが接続される充電インレットと、
前記充電インレットに接続された前記充電プラグをロックする電子ロックと、
前記充電インレットおよび前記蓄電装置を接続する第2DC(+)配線および第2DC(-)配線と、
前記第2DC(+)配線に設けられた第3接触器と、
前記第2DC(-)配線に設けられた第4接触器と、
をさらに備え、
前記充電装置は、前記充電インレットおよび前記充電プラグが前記電子ロックによってロックされた後、充電段階前において、前記第1接触器および前記第2接触器をOFFとした状態で前記第3接触器および前記第4接触器が粘着していないことを確認し、
前記第3接触器および前記第4接触器が粘着していないことを確認した後に前記第1接触器および前記第2接触器をONとして絶縁試験を実施し、
前記絶縁試験を完了した後に、充電準備完了メッセージを車両に送信し、
前記車両は、前記充電準備完了メッセージを受信した後に、前記第1充電割合を前記充電装置に送信する、請求項8に記載の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両および充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置を備えた車両と、蓄電装置を充電する充電装置とを備えた充電システムについて各種提案されている。
【0003】
たとえば、特開2020-124033号公報に記載された充電システムにおいては、車両は充電装置に充電電流の指令値を送信し、充電装置は受信した指令値に基づいて充電電流を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、車両に搭載された蓄電装置は、各種の蓄電装置メーカによって提供されている。そのため、車両に搭載された蓄電装置の品質にバラつきがある場合がある。
【0006】
品質にバラつきがある場合、蓄電装置によっては、高SOCまで充電すると、蓄電装置が損傷するおそれがある。そこで、蓄電装置の損傷を抑制するために、SOCが所定値となると充電を停止するように充電装置が設定されている場合がある。
【0007】
その結果、たとえば、ユーザが目標SOCとして満充電または、予定していた目標SOCまで充電されることを予定していた場合においても、満充電または目標SOCとなる前に充電が停止されるおそれがある。
【0008】
本開示は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、SOCが所定値となる充電を停止するような充電装置を用いて、蓄電装置を充電する場合においても、高いSOCまで充電することができる車両および充電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る車両は、外部に設けられた充電装置から電力を受電して搭載された蓄電装置を充電する車両であって、充電装置は、車両から送信された第1充電割合が所定値よりも大きくなると、車両への充電を停止している。上記車両は、蓄電装置と、蓄電装置の充電割合を示す第2充電割合を算出する処理部と、第1充電割合を充電装置に送信する通信部とを備える。上記処理部は、充電段階において、第2充電割合が所定の第3充電割合以上となると充電を停止し、処理部は、第3充電割合が、所定値に関する充電閾値よりも大きい場合においては、第2充電割合が充電閾値以下であると第1充電割合として第2充電割合を充電装置に送信し、第2充電割合が充電閾値より大きく、第3充電割合よりも小さい場合には第1充電割合として充電閾値以下の値を充電装置に送信し、第2充電割合が第3充電割合以上の場合には、第1充電割合として第2充電割合を充電装置に送信する。
【0010】
上記の車両によれば、SOCが所定値となる充電を停止するような充電装置を用いて、蓄電装置を充電する場合においても、高いSOCまで蓄電装置を充電することができる。
【0011】
本開示に係る充電システムは、蓄電車両と、充電装置とを備える。上記充電装置は、車両から送信された第1充電割合が所定値よりも大きくなると、車両への充電を停止する。上記車両は、蓄電装置と、蓄電装置の充電割合を示す第2充電割合を算出する処理部と、第1充電割合を充電装置に送信する通信部とを備える。上記処理部は、充電段階において、第2充電割合が第3充電割合以上となると充電を停止し、処理部は、第3充電割合が、所定値に関する充電閾値よりも大きい場合においては、第2充電割合が充電閾値以下であると第1充電割合として第2充電割合を充電装置に送信し、第2充電割合が充電閾値より大きく、第3充電割合よりも小さい場合には第1充電割合として充電閾値以下の値を充電装置に送信し、第2充電割合が第3充電割合以上の場合には、第1充電割合として第2充電割合を充電装置に送信する。
【0012】
上記の充電システムによれば、SOCが所定値となる充電を停止するような充電装置を用いて、蓄電装置を充電する場合においても、高いSOCまで蓄電装置を充電することができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示に係る車両および充電システムによれば、蓄電装置が満充電となる前に充電を停止する充電装置から車両が受電する場合において、蓄電装置が満充電となるまで充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施の形態1に係る充電システム1を模式的に示す模式図である。
【
図2】サーバ4に格納されている充電装置の充電閾値TH1が格納されたデータベースDB1を模式的に示す模式図である。
【
図3】車両2の充電インレット13にプラグ20が接続された状態におけるブロック図である。
【
図5】充電諸元配置段階(Step50)を示すフロー図である。
【
図6】充電段階(Step60)のフローの一部を示すフロー図である。
【
図8】充電段階のフロー図であって、
図6に示すフロー図の後のフロー図である。
【
図10】本実施の形態2に係る充電システム1Aを模式的に示す模式図である。
【
図11】充電システム1Aの充電諸元配置段階におけるフローを示すフロー図である。
【
図12】実施の形態2に係るサーバ4のデータベースDB2を模式的に示す模式図である。
【
図13】充電段階のフローの一部を示すフロー図である。
【
図15】充電段階を示すフロー図であり、
図13に示すフローの続きを示すフロー図である。
【
図16】充電システム1Bを模式的に示す模式図である。
【
図17】充電過程において、充電システム1Bが出力する充電電力の変化を示すグラフである。
【
図19】充電段階のフローの一部を示すフロー図である。
【
図20】充電閾値TH5を設定するフローを示すフロー図である。
【
図22】充電段階におけるフロー図であり、
図19に示すフローの続きを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1から
図22を用いて、本実施の形態に係る充電システム1について説明する。
図1から
図22を用いて、本実施の形態に係る充電システムについて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係る充電システム1を模式的に示す模式図である。充電システム1は、車両2と、充電装置3と、サーバ4とを備える。
【0016】
車両2は、蓄電装置10と、車両コントローラ37と、外部通信部12と、充電インレット13と、電力配線14と、車両本体15と、入力部17と、位置検出装置18と電子ロック19とを備える。
【0017】
蓄電装置10と車両コントローラ37と入力部17と位置検出装置18と電力配線14とは、車両本体15内に設けられている。
【0018】
蓄電装置10は、たとえば、リチウムイオン電池などの二次電池である。蓄電装置10は、複数の単位電池16を含む。蓄電装置10は、図示されていない回転電機に電力を供給して、回転電機を駆動させる。
【0019】
充電インレット13は、車両本体15の側面に設けられている。充電インレット13は、充電装置3に設けられたプラグ20が接続可能に構成されている。電子ロック19は充電インレット13に接続されたプラグ20をロックするための装置である。
【0020】
電力配線14は、充電インレット13および蓄電装置10を接続する。電力配線14は、電力線および通信線を含む。電力配線14の電力線は、充電インレット13および蓄電装置10を接続する。そして、充電インレット13から供給される電力は、電力配線14を通して、蓄電装置10に供給される。電力配線14の通信線は、充電インレット13および車両コントローラ37およびBMS38に接続されている。
【0021】
外部通信部12は車両本体15の上面に設けられている。外部通信部12はサーバ4と通信可能に構成されており、車両2はサーバ4と各種情報を授受する。
【0022】
入力部17は、ユーザによって各種情報が入力される。たとえば、ユーザは、蓄電装置10を充電する際に、目標SOC値(第3充電割合)TVを入力することができる。入力部17に入力された目標SOC値TVは車両コントローラ37に格納される。なお、本明細書において、「SOC値」とは、「充電割合」を意味する。なお、SOCとは、蓄電装置10の「State Of Charge」である。
【0023】
位置検出装置18は、車両2の位置を取得する装置である。位置検出装置18としては、たとえば、GPS(Global Positioning System)などを採用することができる。位置検出装置18が取得した車両2の現在位置情報は、車両コントローラ37に格納される。
【0024】
車両コントローラ37はBMS(battery management system)38を含む。BMS38は充電中において、充電器コントローラ73と通信して各種情報を授受する。
【0025】
充電装置3は、プラグ20と、充電コード21と、充電器22と、充電器コントローラ73とを備える。プラグ20は、充電インレット13に接続可能に構成されている。
【0026】
充電器22は、外部に設けられた外部電源23に接続されている。充電器22は、外部電源23から供給される交流電力を直流電力に変換する。
【0027】
充電コード21は充電器22に接続されており、プラグ20は充電コード21の先端に接続されている。充電コード21は、電力線および通信線を含む。充電コード21の電力線は、プラグ20および充電器22を接続し、充電コード21の通信線はプラグ20および充電器コントローラ73を接続する。
【0028】
そして、充電器22から出力される直流電力は、充電コード21の電力線と、プラグ20と、充電インレット13と、電力配線14の電力線とを通して、蓄電装置10に供給される。
【0029】
充電器コントローラ73とBMS38(車両コントローラ37)とは、充電コード21の通信線と、プラグ20と、充電インレット13と、電力配線14の通信線とを通して、各種情報を授受する。
【0030】
充電装置3による蓄電装置10の充電中において、充電器コントローラ73は、充電コード21を通して、BMS38から送信SOC値(第1充電割合)90を受信する。なお、送信SOC値90は蓄電装置10の現状のSOCを示す値として車両2から送信される値であるが、後述するように実測値としてのSOC値とは異なる。
【0031】
そして、充電器コントローラ73は、送信SOC値90が所定値THとなると充電を停止する。所定値THは、たとえば、85%~95%である。
【0032】
このような範囲に所定値THを設定することで、たとえば、蓄電装置10が高SOCにおいて損傷し易い蓄電装置であったとしても、蓄電装置10が損傷することを抑制することができる。
【0033】
車両2は、充電完了時において、完了SOC値91をサーバ4に送信する。なお、完了SOC値91は、充電完了時における蓄電装置10のSOCを実測したSOCである。
【0034】
サーバ4は、充電装置3において充電した複数の車両から充電完了時の完了SOC値91を受信する。そして、サーバ4は、複数の完了SOC値に基づいて、充電装置3の所定値THを予測して、充電閾値TH1を算出している。そして、算出された充電閾値TH1はサーバ4の記憶部に格納されている。
【0035】
そして、充電段階前において、車両2は充電閾値TH1をサーバ4に要求する要求信号を送信し、サーバ4は車両2に充電装置3の充電閾値TH1を送信する。車両2は外部通信部12を通して充電閾値TH1を受信し、受信した充電閾値TH1は、BMS38の記憶部に格納される。
【0036】
図2は、サーバ4に格納されている充電装置の充電閾値TH1が格納されたデータベースDB1を模式的に示す模式図である。
【0037】
データベースDB1は、各充電装置を特定するIDと、充電装置の位置情報と、充電閾値TH1とが格納されている。
【0038】
図3は、車両2の充電インレット13にプラグ20が接続された状態におけるブロック図である。
【0039】
充電インレット13は、DC(+)端子50と、DC(-)端子51と、PE端子52と、S(+)端子53と、S(-)端子54と、CC1端子55と、CC2端子56と、筐体57とを含む。各端子50~56は、筐体57内に収容されており、各端子は絶縁されている。
【0040】
車両2は、蓄電装置10と、車両コントローラ37と、DC(+)配線30と、DC(-)配線31と、PE線32と、S(+)信号線33と、S(-)信号線34と、CC1通信線35と、CC1通信線36と、車両コントローラ37と、接触器K5,K6と、スイッチS2,Svとを含む。
【0041】
DC(+)配線30およびDC(-)配線31は、蓄電装置10に接続されている。DC(+)配線30はDC(+)端子50に接続されており、DC(-)配線31はDC(-)端子51に接続されている。PE線32はアース線であり、PE端子52に接続されている。
【0042】
S(+)信号線33と、S(-)信号線34と、CC1通信線35と、CC1通信線36とは、車両コントローラ37に接続されている。S(+)信号線33は、S(+)端子53に接続されており、S(-)信号線34はS(-)端子54に接続されている。CC1通信線35はCC1端子55に接続されており、CC1通信線36はCC2端子56に接続されている。
【0043】
接触器K5はDC(+)配線30に設けられており、接触器K6はDC(-)配線31に設けられている。CC1通信線35には抵抗R4が接続されており、スイッチS2は、抵抗R4と直列的にCC1通信線35に接続されている。スイッチSvはCC1通信線36に設けられている。車両コントローラ37は、接触器K5,K6と、スイッチS2,SvのON/OFFの切替制御をする。
【0044】
車両コントローラ37には、BMS(battery management system)38が設けられている。
【0045】
充電装置3は、充電器22と、DC(+)配線60と、DC(-)配線61と、PE線62と、S(+)信号線63と、S(-)信号線64と、CC1通信線65と、CC2通信線66と、接触器K1と、接触器K2と、スイッチS1と、電圧測定装置45と、ブリーダ回路46と、IMD(絶縁監視装置:Insulation monitoring device)47と、充電器コントローラ73とを含む。
【0046】
プラグ20は、DC(+)端子80と、DC(-)端子81と、PE端子82と、S(+)端子83と、S(-)端子84と、CC1端子85と、CC2端子86と、筐体87とを含む。各端子は、筐体87内に収容されている。
【0047】
DC(+)配線60とDC(-)配線61とは、充電器22に接続されている。DC(+)配線60は、DC(+)端子80に接続されており、DC(-)配線61はDC(-)端子81に接続されている。PE線62は、アース線であり、PE線62はPE端子82に接続されている。
【0048】
S(+)信号線63と、S(-)信号線64と、CC1通信線65とは、充電器コントローラ73に接続されている。S(+)信号線63は、S(+)端子83に接続されており、S(-)信号線64はS(-)端子84に接続されている。
【0049】
CC1通信線65はCC1端子85に接続されている。CC2通信線66は一端がPE線62に接続されており、他端がCC2端子86に接続されている。
【0050】
接触器K1はDC(+)端子80に設けられており、接触器K2はDC(-)端子81に設けられている。CC1通信線65には抵抗R1が設けられており、スイッチS1は抵抗R1と並行になるようにCC1通信線65に接続されている。
【0051】
電圧測定装置45は、DC(+)配線60およびDC(-)配線61を接続するように設けられている。具体的には、DC(+)配線60のうちDC(+)端子80および接触器K1の間と、DC(-)配線61のうちDC(-)端子81および接触器K2の間とに接続されている。
【0052】
IMD47は、充電器22および接触器K1,K2の間であって、DC(+)配線60およびDC(-)配線61を接続するように設けられている。さらに、IMD47はPE線62にも接続されている。ブリーダ回路46は、充電器22および接触器K1,K2の間であって、DC(+)配線60およびDC(-)配線61を接続するように設けられている。
【0053】
プラグ20が充電インレット13に接続された状態においては、DC(+)端子50とDC(+)端子80とが接続され、DC(-)端子51とDC(-)端子81とが接続されている。PE端子52はPE端子82に接続され、S(+)端子53はS(+)端子83に接続される。S(-)端子54はS(-)端子84に接続され、CC1端子55はCC1端子85に接続される。CC2端子56はCC2端子86に接続される。
【0054】
車両コントローラ37は検出ポイントP2,P3を周期的に監視しており、充電器コントローラ73は検出ポイントP1を周期的に監視している。
【0055】
充電器コントローラ73は、充電器22と、スイッチS1のON/OFF切替制御と、接触器K1,K2のON/OFF切替制御とを行う。
【0056】
車両コントローラ37は、スイッチS2およびスイッチSvのON/OFF切替制御と、接触器K5,K6のON/OFF切替制御を行う。
【0057】
上記のように充電インレット13にプラグ20が接続されると、充電を実施するための各種制御が実行される。
【0058】
図4は、充電フローの概要を示すフロー図である。
図4において、充電フローは、接続確認段階(Step10)と、粘着チェック段階(Step20)と、絶縁試験段階(Step30)と、充電ハンドシェーク段階(Step40)と、充電諸元配置段階(Step50)と、充電段階(Step60)と、充電終了段階(Step70)とを含む。
【0059】
ここで、接続確認段階においては、充電インレット13およびプラグ20が接続されているかを確認する。
【0060】
図3において、未接続状態T0(充電インレット13およびプラグ20が接続されていない状態)においては、スイッチS1、S2,Svと、接触器K1、K2と、接触器K5,K6は、開状態である。この際、検出ポイントP1の電圧は、たとえば、12Vである。検出ポイントP2の電圧は0Vである。
【0061】
接続状態T1(プラグ20が充電インレット13に差し込まれた状態)においては、スイッチS1、S2,Svと、接触器K1、K2と、接触器K5,K6は、開状態である。検出ポイントP1は2.95V、検出ポイントP2は2.25V、検出ポイントP3は0Vである。すなわち、プラグ20が充電インレット13に嵌合されることで、検出ポイントP1の電圧は、12Vから2.95Vに変化し、検出ポイントP2の電圧は、0Vから2.25Vになる。
【0062】
そして、充電器コントローラ73は検出ポイントP1の電圧変動を検知することでプラグ20が充電インレット13にはめ込まれたことを検知することができる。車両コントローラ37は、検出ポイントP2の電圧変動を検知することで、プラグ20が充電インレット13にはめ込まれたことを検知することができる。
【0063】
接続状態T1後のウェイクアップT2は、スイッチS1が閉状態となる。そして、充電器コントローラ73は、検出ポイントP1の電圧が8.98Vとなると、充電ハンドシェークメッセージの送信を開始する。なお、各種メッセージは、S(+)信号線63およびS(+)信号線33と、S(-)信号線64およびS(-)信号線34を通して実行される。
【0064】
車両コントローラ37は検出ポイントP2が8.28Vであることを検出し、CC1通信線36とCC1通信線66とが接続されていることを確認する。そして、車両コントローラ37は充電器コントローラ73とメッセージの送受信を開始する。
【0065】
ウェイクアップT2後のウェイクアップT3においては、充電器コントローラ73は、スイッチSvを閉状態にする。その後、車両コントローラ37は検出ポイントP3の電圧を検出して、検出ポイントP3の電圧に基づいて、接続された充電装置のバージョンを判断する。たとえば、検出ポイントP3の電圧が6Vである場合には、車両コントローラ37は、ChaoJi充電器に接続されたと判断する。
【0066】
車両コントローラ37は、充電インレット13に接続された充電装置のバージョンを判断した後、車両コントローラ37はスイッチSvを開状態にする。
【0067】
ウェイクアップT3後のウェイクアップT4において、車両コントローラ37は、
図1に示す電子ロック19をONにして、充電インレット13とプラグ20とをロックする。このようにして、接続確認段階(Step10)が完了する。
【0068】
次に、粘着チェック段階(Step20)について説明する。粘着チェック段階においては、接触器K5,K6が粘着していないかを検出する。具体的には、接触器K5および接触器K6は、開状態(OFF)の状態であり、充電器コントローラ73は接触器K1および接触器K2を開状態(OFF)として、電圧測定装置45が電圧測定する。そして、電圧測定装置45が測定した電圧が、たとえば、10Vを超えていない場合には、充電器コントローラ73は接触器K5および接触器K6が粘着していないと判断する。
【0069】
次に、絶縁試験段階(Step30)について説明する。
【0070】
車両コントローラ37は接触器K1,K2を閉状態(ON)にする。なお、接触器K5および接触器K6は開状態(OFF)である。そして、充電器コントローラ73は、充電器22から電力を出力して、IMD48を用いて絶縁試験を実施する。たとえば、DC(+)配線60およびPE線62の間の絶縁と、DC(-)配線61およびPE線62の間の絶縁とを確認する。
【0071】
そして、充電器コントローラ73は、各絶縁状態が問題ないことを確認すると、充電器コントローラ73は、ブリーダ回路46を駆動させて、その後に、接触器K1および接触器K2を開状態(OFF)にする。このようにして、絶縁試験段階を終了する。
【0072】
図4に戻って、ハンドシェーク段階(Step40)においては、BMS38および充電器コントローラ73はバージョンメッセージ、放電互換性情報、識別メッセージを交換する。
【0073】
次に、充電諸元配置段階(Step50)について説明する。充電ハンドシェーク段階が完了した後、充電器コントローラ73およびBMS38は、各種の充電諸元メッセージを送受信して、双方に充電可能かを判断する。
【0074】
図5は、充電諸元配置段階(Step50)を示すフロー図である。
【0075】
BMS38は、充電器コントローラ73に動力蓄電池の充電諸元メッセージBCPを送信する(Step31)。
【0076】
充電器コントローラ73は、BMS38に充電器時間同期情報メッセージCTSと、充電器最大出力能力メッセージCMLと、充電器充放電方向請求メッセージCCDとを送信する(Step32)。
【0077】
そして、BMS38は充電実施に問題がないかを判断する(Step33)。BMS38は充電実施に問題ないと判断すると(Step33にてYes)、充電準備完了メッセージBROを充電器コントローラ73に送信する(Step34)。なお、BMS38は充電実施に問題があると判断すると(Step33にてNo)、BMS38はエラーメッセージを送信して(Step37)、充電をしない。
【0078】
充電器コントローラ73は、動力蓄電池の充電諸元メッセージBCPを受信すると充電実施に問題がないかを判断する(Step35)。充電器コントローラ73は充電実施に問題がないと判断する(Step35にてYes)と、充電器出力準備完了メッセージCROをBMS38に送信する(Step36)。その一方で、充電器コントローラ73は充電に問題があると判断すると(Step35にてNo)、エラーメッセージを送信して(Step38)、充電を開始しない。
【0079】
動力蓄電池の充電諸元メッセージBCPには、蓄電装置10の最大許容充電電圧と、最高許容充電電流と、最高許容温度などを示す情報が含まれている。
【0080】
充電器時間同期情報メッセージCTSには、充電器コントローラ73がBMS38に送信する時間同期情報が含まれている。
【0081】
充電器最大出力能力メッセージCMLには、最高出力電圧と、最低出力電圧と、最大出力電流と、最小出力電流とを示す情報が含まれている。
【0082】
充電器充放電方向請求メッセージCCDには、充電装置3からの充放電方向を示す情報が含まれている。たとえば、「00」は充電を示し、「01」は放電を示す。
【0083】
充電準備完了メッセージBROは、BMS38は充電装置3に充電のスタンバイが完了したことを示すメッセージである。BMS38は、スタンバイ状態となると、接触器K5,K6を閉状態(ON)とする(Step39)。
【0084】
充電器出力準備完了メッセージCROは、充電装置3がBMS38に充電のスタンバイが完了したことを示すメッセージである。
【0085】
充電器コントローラ73は、充電器出力準備完了メッセージCROを送信した後、接触器K1,K2を閉状態(ON)にする(Step130)。
【0086】
そして、BMS38は、閾値要求信号RS1をサーバ4に送信する。(Step132)。閾値要求信号RS1はサーバ4に、充電装置3の充電閾値TH1を要求する信号である。閾値要求信号RS1には、車両2の現在位置情報を示す情報が含まれている。
【0087】
サーバ4は、車両2から閾値要求信号RS1を受信すると、閾値要求信号RS1に含まれる車両2の現在位置情報と、データベースDB1とに基づいて、充電装置3および充電装置3の充電閾値TH1を特定する。
【0088】
そして、サーバ4は、応答信号RP1を車両2に送信する(Step134)。応答信号RP1には、特定した充電装置3の充電閾値TH1を含む。
【0089】
次に、充電段階(Step60)について説明する。
【0090】
図3において、充電器コントローラ73は、充電器22を駆動して充電を開始する。この充電段階においては、BMS38は蓄電装置10の充電需要を充電器コントローラ73に送信する。充電装置3は、充電電圧および充電電流を調整する。
【0091】
図6は、充電段階(Step60)のフローの一部を示すフロー図である。
【0092】
BMS38は、充電器出力準備完了メッセージCROを受信すると、サーバ4から充電閾値TH1を受信しているかを判断する(Step140)。
【0093】
BMS38は、充電閾値TH1を受信していると判断した場合には(Step140にてYes)、目標SOC値TVが入力されているかを判断する(Step144)。目標SOC値TVが入力されていないと判断すると(Step144にてNo)、目標SOC値TVとして100(%)を設定する(Step146)。
【0094】
そして、BMS38は、目標SOC値TVが充電閾値TH1よりも大きいかを判断する(Step148)。そして、目標SOC値TVが充電閾値TH1よりも大きい場合には、SOC値調整制御を実施する(Step150)。目標SOC値TVが充電閾値TH1以下である場合には(Step148にてNO)、SOC値調整制御を実施しない。
【0095】
そして、充電閾値TH1を受信していないと判断した場合(Step140にてNo)と、目標SOC値TVが充電閾値TH1以下である場合には(Step148にてNO)とにおいては、BMS38は実測SOC値(第2充電割合)MVを算出する。(Step152)。なお、実測SOC値MVは、蓄電装置10の実測した電圧などに基づいて算出されており、実測SOC値MVは、その時点における実際のSOC値を示す。次に、BMS38は、送信SOC値90として、実測SOC値MVを設定する(Step154)。なお、送信SOC値90は、後述するように、充電器コントローラ73に送信する値である。
【0096】
図7は、SOC値調整制御を示すフロー図である。BMS38は、蓄電装置10の実測SOC値MVを算出する(Step200)。次に、BMS38は、実測SOC値MVが充電閾値TH1以下であるかを判断する(Step202)。そして、実測SOC値MVが充電閾値TH1以下であると判断すると(Step202にて、Yes)、BMS38は、送信SOC値90を実測SOC値MVにする(Step203)。
【0097】
BMS38は、実測SOC値MVが充電閾値TH1より大きいと判断すると(Step202にてNo)、実測SOC値MVが目標SOC値TVよりも小さいか否かを判断する(Step204)。なお、目標SOC値TVが入力されていない場合には、目標SOC値TVは100(%)に設定される。すなわち、蓄電装置10が満充電であるかを判断することになる。
【0098】
BMS38は、実測SOC値MVが目標SOC値TVより小さいと判断すると(Step204にてYes)、BMS38は、充電閾値TH1以下の値を送信SOC値90に設定する(Step206)。たとえば、送信SOC値90として、充電閾値TH1を設定する。
【0099】
ここで、本実施の形態においては、BMS38は、充電装置3が設定している所定値THを取得することができず、サーバ4から取得した充電閾値TH1を所定値THとして推定している。そのため、実測SOC値MVが充電閾値TH1よりも大きくなり、実測SOC値MVが目標SOC値TVよりも小さい場合においては、車両2は充電を継続して、実測SOC値MVが目標SOC値TVとなるようにしたい。
【0100】
その一方で、充電器コントローラ73に送信する送信SOC値90が充電閾値TH1よりも大きいと、充電器コントローラ73によって充電が停止される可能性がある。
【0101】
そこで、本実施の形態においては、送信SOC値90の値を実測SOC値MVとせずに、充電閾値TH1以下の値に設定している。これにより、送信SOC値90を充電器コントローラ73に送信したとしても、充電器コントローラ73によって充電が停止される可能性を低くすることができる。
【0102】
そして、BMS38は、実測SOC値MVが目標SOC値TV以上であると判断すると(Step204にてNo)、送信SOC値90に実測SOC値MVを設定する(Step208)。
【0103】
すなわち、実測SOC値MVが目標SOC値TVとなると、車両2としては充電を停止させる必要がある。なお、Step148において、目標SOC値TVは充電閾値TH1よりも大きく、実測SOC値MVは目標SOC値TVよりも大きい。そのため、送信SOC値90として、実測SOC値MVを充電器コントローラ73に送信することで、充電器コントローラ73によって充電が停止する可能性が高くなる。
【0104】
なお、目標SOC値TVが入力されていない場合には、上記Step146において、目標SOC値TVは100(%)に設定されており、送信SOC値90として100(%)が設定される。
【0105】
次に、
図6に戻って、BMS38は充電器コントローラ73に電池充電需要メッセージBCLと、電池充電総状態メッセージBCSとを送信する(Step156)。
【0106】
充電器コントローラ73はBMS38に、充電器充電状態メッセージCCSを送信する(Step158)。
【0107】
電池充電需要メッセージBCLは、電圧需要(V)と、電流需要(A)と、充電モードとを示す情報を含む。
【0108】
電池充電総状態メッセージBCSは、送信SOC値90を含む。さらに、電池充電総状態メッセージBCSは、充電電圧(V)の測定値と、充電電流(A)の測定値と、最高単位電池の電圧および当該最高単位電池を特定する番号と、推計される残り充電時間と、最低単位電池の電圧および当該最低単位電池を特定する番号とを示す情報を含む。
【0109】
最高単位電池とは、蓄電装置10に設けられた複数の単位電池16のうち、最も電圧が高い単位電池16を示す。最低単位電池とは、蓄電装置10に設けられた複数の単位電池16のうち、最も電圧が低い単位電池16を示す。
【0110】
充電器充電状態メッセージCCSには、充電装置3が現在出力している電圧出力値(V)と、電流出力値(A)と、累積充電時間とを示す情報が含まれている。
【0111】
図8は、充電段階のフロー図であって、
図6に示すフロー図の後のフロー図である。
図8において、BMS38は、蓄電装置10の実測SOC値MVが目標SOC値TV以上であるかを判断する(Step170)。
【0112】
なお、目標SOC値TVが入力されていない場合には、上記Step146において、目標SOC値TVは100(%)に設定される。この場合、実測SOC値MVが100(%)となり、蓄電装置10が満充電となると、当該条件を満たすことになる。
【0113】
BMS38は、実測SOC値MVが目標SOC値TV以上であると判断すると(Step170にてYes)、充電中止メッセージBSTを充電器コントローラ73に送信して(Step172)、充電を充電終了段階に入る。
【0114】
その一方で、BMS38は、実測SOC値MVが目標SOC値TVよりも小さいと判断すると(Step170にてNo)、BMS38は、後述する充電器の充電中止メッセージCSTを受信しているかを判断する(Step180)。BMS38は、充電器の充電中止メッセージCSTを受信していると判断すると(Step180にてYes)、BMS38は充電中止メッセージBSTを送信する(Step172)。そして、充電器の充電中止メッセージCSTを受信していないと判断すると(Step180にてNo)、BMS38は充電段階の制御を繰り返す。
【0115】
充電器コントローラ73は、送信SOC値90が所定値THより大きいか否かを判断する(Step182)。なお、送信SOC値90は、上記Step156の電池充電総状態メッセージBCSに含まれている。
【0116】
充電器コントローラ73は、送信SOC値90が所定値THより大きいと判断すると(Step182にてYes)、充電器の充電中止メッセージCSTをBMS38に送信する(Step184)。
【0117】
充電器コントローラ73は、送信SOC値90が所定値TH以下であると判断すると(Step182にてNo)、充電器コントローラ73は充電中止メッセージBSTを受信したかを判断する(Step186)。充電器コントローラ73は、充電中止メッセージBSTを受信していると判断すると(Step186にてYes)、充電器の充電中止メッセージCSTを送信する(Step184)。その一方で、充電中止メッセージBSTを受信していないと判断すると(Step186にてNo)、充電段階の制御を繰り返す。
【0118】
次に、充電終了段階(Step70)について説明する。
【0119】
充電を停止すると、充電装置3とBMS38は、充電終了段階に入る。この充電終了段階においては、BMS38は、充電終了時におけるSOCなどの情報を充電器コントローラ73に送信する。充電器コントローラ73は、充電過程における出力電力量などをBMS38に送信する。
【0120】
図9は、充電終了段階を示すフロー図である。BMS38は、充電器コントローラ73に統計データメッセージBSDを送信する(Step190)。充電器コントローラ73は、BMS38に充電器の統計データメッセージCSDを送信する(Step192)。
【0121】
さらに、BMS38は、情報D1を送信する(Step194)。
【0122】
情報D1には、完了SOC値91と、SOC値調整制御を行ったか否かを示す情報と、目標SOC値TVを示す情報を含む。なお、目標SOC値TVの設定がなされていない場合には、目標SOC値TVとして100(%)が送信される。
【0123】
サーバ4は、情報D1に基づいて、充電閾値TH1を更新する。たとえば、SOC値調整制御がなされず、目標SOC値TVが100(%)である事例における完了SOC値91の平均値を充電閾値TH1とする。
【0124】
情報D1は、複数の車両からサーバ4に送信されており、複数の情報D1に基づいて充電閾値TH1を算出する方法としては各種の方法を採用することができる。
(実施の形態2)
図10などを用いて、本実施の形態2に係る充電システム1Aについて説明する。
図10において、充電装置3Aはサーバ4Aと通信可能に構成されている。
【0125】
充電装置3Aは、サーバ4Aに所定値THを送信している。なお、図示されていない他の充電装置も同様にサーバ4Aに所定値THを送信しており、サーバ4Aは複数の充電装置の所定値THに関する情報を取得している。サーバ4は記憶部を含み、この記憶部には、データベースDB2が格納されている。
【0126】
図12は、実施の形態2に係るサーバ4のデータベースDB2を模式的に示す模式図である。データベースDB2は、各充電装置を特定する充電装置IDと、各充電装置の位置情報と、各充電装置の所定値THとを含む。
【0127】
実施の形態2に係る充電システム1Aにおいても、上記実施の形態1に係る充電システム1の充電フローと同様に充電プロトコルが実行される。そこで、充電システム1の充電フローと異なる部分について主に説明する。
【0128】
図11は、充電システム1Aの充電諸元配置段階におけるフローを示すフロー図である。
【0129】
車両2AのBMS38がサーバ4Aに閾値要求信号RS1を送信すると(Step132)、サーバ4Aは車両2Aに応答信号RP1を送信する(Step134A)。閾値要求信号RS1には、充電開始時の車両2Aの位置情報が含まれている。サーバ4Aは閾値要求信号RS1に含まれる車両2Aの位置情報と、データベースDB2とに基づいて、充電装置3Aを特定する。そして、充電装置3Aの所定値THを車両2Aに送信する。
【0130】
図13は、充電段階のフローの一部を示すフロー図である。充電段階のフローにおいて、Step140およびStep148が実施の形態1に係る充電段階のフローと異なる。
【0131】
BMS38Aは、充電器出力準備完了メッセージCROを受信すると、サーバ4から所定値THを受信しているかを判断する(Step140A)。
【0132】
そして、BMS38Aは所定値THを受信していると判断すると(Step140AにてYes)、BMS38Aは目標SOC値TVが入力されているかを判断する(Step144)。BMS38Aは目標SOC値TVが入力されていないと判断すると(Step144にてNo)、BMS38Aは、目標SOC値TVが所定値THよりも大きいかを判断する(Step148A)。
【0133】
そして、BMS38Aは、目標SOC値TVが所定値THよりも大きいと判断すると、SOC値調整制御を実行する(Step150)。
【0134】
図14は、SOC値調整制御を示すフロー図である。なお、実施に形態2のフローは、実施の形態1のフローと、Step202、Step206において異なる。
【0135】
BMS38Aは、実測SOC値MVを算出した後(Step200)、BMS38Aは実測SOC値MVが所定値TH以下であるかを判断する(Step202A)。
【0136】
そして、実測SOC値MVが所定値TH以下であると判断すると(Step202AにてYes)、BMS38Aは送信SOC値90に実測SOC値MVを設定する(Step203)。
【0137】
BMS38Aは、実測SOC値MVが所定値THよりも大きいと判断すると(Step202AにてNo)、BMS38Aは実測SOC値MVが目標SOC値TVよりも小さいかを判断する(Step204)。
【0138】
そして、実測SOC値MVが目標SOC値TVよりも小さいと判断すると(Step204にてYes)、BMS38Aは送信SOC値90に所定値TH以下の値を設定する(Step206A)。BMS38Aは実測SOC値MVが目標SOC値TV以上であると判断すると(Step204にてNo)、BMS38Aは送信SOC値90に実測SOC値MVを設定する(Step208)。
【0139】
そして、
図13に戻って、BMS38Aは、電池充電需要メッセージBCLおよび電池充電総状態メッセージBCSを充電器コントローラ73Aに送信する(Step156)。ここで、電池充電総状態メッセージBCSには送信SOC値90が含まれている。そして、充電器コントローラ73Aは充電器充電状態メッセージCCSをBMS38Aに送信する(Step158)。
【0140】
図15は、充電段階を示すフロー図であり、
図13に示すフローの続きを示すフロー図である。なお、実施の形態2のフローは実施の形態1のフローと同じである。
【0141】
そして、充電器コントローラ73Aにおいても、送信SOC値90が所定値THよりも大きいと判断すると(Step182にてYes)、充電器コントローラ73Aは充電器の充電中止メッセージCSTをBMS38Aに送信する(Step184)。そして、制御フローは、充電終了段階へ移行していく。
【0142】
本実施の形態2に係る充電システム1Aにおいては、充電装置3Aはサーバ4Aに所定値THを送信している。そして、充電開始前に、車両2Aは所定値THを受信している。
【0143】
そのため、実施の形態2に係る充電システム1Aにおいては、充電閾値TH1に替えて、所定値THを用いて、送信SOC値90を設定している。
(実施の形態3)
図16などを用いて、実施の形態3に係る車両2Bおよび充電システム1Bについて説明する。
図16は、充電システム1Bを模式的に示す模式図である。充電システム1Bは、車両2Bおよび充電装置3Bを備えており、サーバは設けられていない。
【0144】
充電システム1Bにおいては、充電過程において充電システム1Bは、送信SOC値90を送信する。
【0145】
図17は、充電過程において、充電システム1Bが出力する充電電力の変化を示すグラフである。
【0146】
このグラフにおいて、縦軸は送信SOC値90を示し、横軸は時間を示す。なお、この
図17に示す例においては、送信SOC値90はSOC値調整制御がなされていない状態である。
【0147】
充電装置3Bは、送信SOC値90が所定値TH2以下である場合には、充電電力CP1を出力する。そのため、蓄電装置10のSOCが時間の経過と共に上昇する。これにより、車両2Bから受信する送信SOC値90も上昇する。その後、時間T10において、送信SOC値90が所定値TH2に達する。
【0148】
そして、充電装置3Bは、送信SOC値90が所定値TH2よりも大きいと判断すると、充電装置3Bは充電電力CP2を出力する。ここで、充電電力CP2は充電電力CP1よりも小さい。
【0149】
そのため、時間T10以降において、蓄電装置10のSOCの上昇率は低下する。これに伴い、送信SOC値90の上昇率も低下する。
【0150】
その後、時間T11において、送信SOC値90が所定値THになる。充電装置3Bは、送信SOC値90が所定値TH以上、または、送信SOC値90が所定値THになったと判断すると、充電を停止する。具体的には、充電器コントローラ73は、充電器の充電中止メッセージCSTを送信する。
【0151】
このように、充電装置3Bは、送信SOC値90が所定値TH2よりも大きくなると充電電力を小さくすることで、送信SOC値90が所定値THを大きく超えることを抑制している。
【0152】
なお、後述するように、充電装置3Bは充電段階において、車両2Bに充電器充電状態メッセージCCSを送信している。充電器充電状態メッセージCCSには、充電装置3Bが現在出力している電圧出力値(V)と、電流出力値(A)とが含まれている。
【0153】
そこで、車両2Bは、受信した充電器充電状態メッセージCCSに基づいて、充電装置3Bが出力している充電電力の変化を把握することができる。
【0154】
車両2Bは、充電装置3Bに電池充電需要メッセージBCLを送信しており、電池充電需要メッセージBCLには、電圧需要(V)と、電流需要(A)とが含まれている。そして、車両2Bは電池充電需要メッセージBCLの電圧需要(V)と、電流需要(A)が変動していない場合において、充電電力の低下量が所定値TH3よりも大きい場合には、送信SOC値90が所定値TH2を超えたと判断することができる。
【0155】
そこで、送信SOC値90が所定値TH2を超えたと判断したときにおける送信SOC値90にマージンTH4を足した値を充電閾値TH5として設定する。
【0156】
そして、車両2Bは、実測SOC値MVが充電閾値TH5よりも小さい場合には、送信SOC値90に充電閾値TH5以下の値を設定する。そして、車両2Bは、実測SOC値MVが目標SOC値TV以上となると、送信SOC値90に実測SOC値MVを設定する。
【0157】
図18は、充電諸元配置段階を示すフロー図である。実施の形態3の充電諸元配置段階においては、
図5などに示すStep132およびStep134はない。
【0158】
図19は、充電段階のフローの一部を示すフロー図である。BMS38Bは、充電器充電状態メッセージCCSを複数回、受信したかを判断する(Step140B)。充電開始直後においては、BMS38Bは充電器充電状態メッセージCCSを受信していない。または、充電器充電状態メッセージCCSを1回しか受信していないことがある。
【0159】
この場合には(Step140BにてNo)、BMS38Bは、実測SOC値MVを算出して(Step152)、送信SOC値90に実測SOC値MVを設定する(Step154)。
【0160】
その一方で、充電時間の経過と共に、BMS38Bは、充電器充電状態メッセージCCSを複数受信することになる。
【0161】
BMS38Bは、複数の充電器充電状態メッセージCCSを受信したと判断すると(Step140BにてYes)。
【0162】
BMS38Bは、充電閾値TH5を設定する(Step142B)。
図20は、充電閾値TH5を設定するフローを示すフロー図である。
【0163】
BMS38Bは、電池充電需要メッセージBCLにおいて、要求電力が変動しているかを判断する(Step300)。電池充電需要メッセージBCLには、電圧需要(V)と、電流需要(A)が含まれており、電圧需要および電流需要から要求電力を算出することができる。
【0164】
BMS38Bは要求電力が変動していないと判断すると(Step300にてNo)、BMS38Bは充電電力を算出する(Step310)。BMS38Bは、周期的に充電器充電状態メッセージCCSを受信している。
【0165】
BMS38Bは、直近で受信した充電器充電状態メッセージCCSに基づいて、充電装置3Bが出力している充電電力を算出する。さらに、BMS38Bは、前回、受信した充電器充電状態メッセージCCSに基づいて、充電装置3Bが出力する充電電力を算出する。
【0166】
BMS38Bは、低下充電量が所定値TH3よりも大きいか否かを判断する(Step320)。低下充電量は、前回の充電器充電状態メッセージCCSに基づいて算出した充電電力から直近の充電器充電状態メッセージCCSに基づいて算出した充電電力を差し引いた値である。
【0167】
たとえば、
図17において、充電電力CP1から充電電力CP2に変動すると、低下電力量は、所定値TH3よりも大きくなる。
【0168】
BMS38Bは、低下電力量が所定値TH3よりも大きいと判断すると(Step320にてYes)、充電閾値TH5を更新する(Step330)。
【0169】
具体的には、直近において、充電器コントローラ73Bに送信した電池充電需要メッセージBCLに含まれる送信SOC値90を抽出する。そして、この送信SOC値90にマージンTH4を加算した値を充電閾値TH5とする。なお、たとえば、マージンTH4は、15%以上25%以下の範囲内で設定される。
【0170】
なお、充電閾値TH5の初期値は、100(%)であり、当該Step300において、新たに算出した充電閾値TH5に更新する。
【0171】
その一方で、BMS38Bは、要求電力が変動していると判断した場合には(Step300にてYes)、BMS38Bは充電閾値TH5を更新しない。
【0172】
図19に戻って、BMS38Bは目標SOC値TVが入力されているかを判断し(Step144)。BMS38Bは、目標SOC値TVが入力されていない場合には目標SOC値TVを100(%)とし(Step146)、入力されている場合には入力された値を目標SOC値TVとする。
【0173】
そして、BMS38Bは目標SOC値TVが充電閾値TH5よりも大きいかを判断する(Step148A)。そして、BMS38Bは、目標SOC値TVが充電閾値TH5よりも大きいと判断すると(Step148A)、BMS38BはSOC値調整制御を実行する(Step150A)。
【0174】
図21は、SOC値調整制御を示すフロー図である。BMS38Bは、実測SOC値MVを算出する(Step200)。そして、BMS38Bは、実測SOC値MVが充電閾値TH5以下であるかを判断する(Step202A)。
【0175】
そして、実測SOC値MVが充電閾値TH5以下であると判断すると(Step202AにてYes)、送信SOC値90として実測SOC値MVを設定する。
【0176】
その一方で、BMS38Bは実測SOC値MVが充電閾値TH5よりも大きいと判断すると、実測SOC値MVが目標SOC値TVよりも小さいかを判断する(Step204)。実測SOC値MVが目標SOC値TVより小さい場合には(Step204にてYes)、BMS38Bは、送信SOC値90に充電閾値TH5以下の値を設定する(Step206A)。その一方で、実測SOC値MVが目標SOC値TV以上である場合には、BMS38Bは、送信SOC値90に実測SOC値MVを設定する(Step208)。
【0177】
図19に戻って、BMS38Bは電池充電需要メッセージBCLおよび電池充電総状態メッセージBCSを送信する(Step156)。
【0178】
充電器コントローラ73Bは、電池充電需要メッセージBCLを受信すると、充電電力を設定する(Step340)。充電器コントローラ73Bは、電池充電需要メッセージBCLに含まれる送信SOC値90に基づいて、充電電力を設定する。
【0179】
具体的には、
図17に示すように、送信SOC値90が所定値TH2以下である場合には、充電電力を充電電力CP1に設定する。そして、送信SOC値90が所定値TH2よりも大きい場合には充電電力を充電電力CP2に設定する。なお、充電電力CP2は、充電電力CP1よりも小さい値である。
【0180】
そして、設定した充電電力となるように、電圧出力値(V)と、電流出力値(A)とを設定し、充電器充電状態メッセージCCSを37Bに送信する(Step158B)。
【0181】
図22は、充電段階におけるフロー図であり、
図19に示すフローの続きを示すフロー図である。
【0182】
そして、充電器コントローラ73Bは、送信SOC値90が所定値THよりも大きいか否かを判断する(Step182B)。
【0183】
そして、充電器コントローラ73Bは、送信SOC値90が所定値THよりも大きくなると、充電器の充電中止メッセージCSTを送信して(Step184)、充電終了段階に移行する。
【0184】
この実施の形態3に係る充電システム1Bにおいては、車両2Bは充電装置3Bの充電状況に基づいて、所定値THを推察している。
【0185】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0186】
1 充電システム、2 車両、3 充電装置、4 サーバ、6,30,31,60,61 配線、10 蓄電装置、12 外部通信部、13 充電インレット、14 電力配線、15 車両本体、16 単位電池、17 入力部、18 位置検出装置、19 電子ロック、20 プラグ、21 充電コード、22 充電器、23 外部電源、32,62 線、33,34,63,64 信号線、35,36,65,66 通信線、37 車両コントローラ、45 電圧測定装置、46 ブリーダ回路、50,51,52,53,54,55,56,80,81,82,83,84,85,86 端子、57,87 筐体、73 充電器コントローラ、BCL 電池充電需要メッセージ、BCP 諸元メッセージ、BCS 総状態メッセージ、BRO 充電準備完了メッセージ、BSD,CSD 統計データメッセージ、BST,CST 充電中止メッセージ、CCD 充電器充放電方向請求メッセージ、CCS 充電器充電状態メッセージ、CML 充電器最大出力能力メッセージ、CRO 充電器出力準備完了メッセージ、CTS 充電器時間同期情報メッセージ、D1 情報、DB1 データベース、K1,K2,K5,K6 接触器、P1,P2,P3 検出ポイント、R1,R4 抵抗、RP1 応答信号、RS1 閾値要求信号、S1,S2,Sv スイッチ。