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特許7533363移動式水素ステーションの運用システム、運用方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】移動式水素ステーションの運用システム、運用方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240806BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021092297
(22)【出願日】2021-06-01
(65)【公開番号】P2022184444
(43)【公開日】2022-12-13
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】則武 和人
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-197869(JP,A)
【文献】特開2017-174153(JP,A)
【文献】特開2006-173068(JP,A)
【文献】特開2016-196367(JP,A)
【文献】特開2017-194745(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0023493(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00- 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動式水素ステーションを運用する運用システムであって、
少なくとも充填日時と充填場所を指定した充填要求を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記充填要求に基づいて、前記複数の移動式水素ステーションの配備計画情報を生成する計画部と、
前記配備計画情報に基づいて前記複数の移動式水素ステーションの配備処理を実行する配備部と、
を含み、
前記受付部は、前記充填要求が指定した前記充填日時において配備予定のない移動式水素ステーションが2台以上ない場合、前記充填要求を拒否し、
前記配備部は、配備済みの又は配備予定のある移動式水素ステーションが故障した場合、前記複数の移動式水素ステーションのうち故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填日時に配備予定のないものが代わりに配備されるように配備処理を実行し、
前記配備部は、配備済みの移動式水素ステーションが故障した場合であって待機中の移動式水素ステーションが複数台ある場合、待機中の複数の移動式水素ステーションのうち故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填場所に最も近いものが代わりに配備されるように配備処理を実行する、
運用システム。
【請求項2】
複数の移動式水素ステーションを運用する運用システムであって、
少なくとも充填日時と充填場所を指定した充填要求を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記充填要求に基づいて、前記複数の移動式水素ステーションの配備計画情報を生成する計画部と、
前記配備計画情報に基づいて前記複数の移動式水素ステーションの配備処理を実行する配備部と、
を含み、
前記受付部は、前記充填要求が指定した前記充填日時において配備予定のない移動式水素ステーションが2台以上ない場合、前記充填要求を拒否し、
前記配備部は、配備済みの又は配備予定のある移動式水素ステーションが故障した場合、前記複数の移動式水素ステーションのうち故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填日時に配備予定のないものが代わりに配備されるように配備処理を実行し、
前記配備部は、配備済みの移動式水素ステーションが故障した場合であって待機中の移動式水素ステーションが複数台ある場合、待機中の複数の移動式水素ステーションのうち最も充填可能量が多いものが代わりに配備されるように配備処理を実行する、
運用システム。
【請求項3】
複数の移動式水素ステーションを運用する運用システムであって、
少なくとも充填日時と充填場所を指定した充填要求を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記充填要求に基づいて、前記複数の移動式水素ステーションの配備計画情報を生成する計画部と、
前記配備計画情報に基づいて前記複数の移動式水素ステーションの配備処理を実行する配備部と、
を含み、
前記受付部は、前記充填要求が指定した前記充填日時において配備予定のない移動式水素ステーションが2台以上ない場合、前記充填要求を拒否し、
前記配備部は、配備済みの又は配備予定のある移動式水素ステーションが故障した場合、前記複数の移動式水素ステーションのうち故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填日時に配備予定のないものが代わりに配備されるように配備処理を実行し、
前記配備部は、配備済みの移動式水素ステーションが故障した場合であって待機中の移動式水素ステーションがない場合は、他の充填場所に配備済みの移動式水素ステーションが故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填場所にも時分割で配備されるように配備処理を実行する、
運用システム。
【請求項4】
複数の移動式水素ステーションを運用する運用システムであって、
少なくとも充填日時と充填場所を指定した充填要求を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記充填要求に基づいて、前記複数の移動式水素ステーションの配備計画情報を生成する計画部と、
前記配備計画情報に基づいて前記複数の移動式水素ステーションの配備処理を実行する配備部と、
を含み、
前記受付部は、前記充填要求が指定した前記充填日時において配備予定のない移動式水素ステーションが2台以上ない場合、前記充填要求を拒否し、
前記配備部は、配備済みの又は配備予定のある移動式水素ステーションが故障した場合、前記複数の移動式水素ステーションのうち故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填日時に配備予定のないものが代わりに配備されるように配備処理を実行し、
前記計画部は、配備予定のある移動式水素ステーションが故障した場合であって故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填日時に配備予定のないものが複数台ある場合、配備予定のない複数の移動式水素ステーションのうち故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填日時の前後の時間帯において故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填場所に最も近いものが代わりに配備されるように前記配備計画情報を更新する、
運用システム。
【請求項5】
複数の移動式水素ステーションを運用する運用システムであって、
少なくとも充填日時と充填場所を指定した充填要求を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記充填要求に基づいて、前記複数の移動式水素ステーションの配備計画情報を生成する計画部と、
前記配備計画情報に基づいて前記複数の移動式水素ステーションの配備処理を実行する配備部と、
を含み、
前記受付部は、前記充填要求が指定した前記充填日時において配備予定のない移動式水素ステーションが2台以上ない場合、前記充填要求を拒否し、
前記配備部は、配備済みの又は配備予定のある移動式水素ステーションが故障した場合、前記複数の移動式水素ステーションのうち故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填日時に配備予定のないものが代わりに配備されるように配備処理を実行し、
前記計画部は、配備予定のある移動式水素ステーションが故障した場合であって故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填日時に配備予定のないものがない場合、当該充填日時に他の充填場所に配備予定の移動式水素ステーションが故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填場所にも時分割で配備されるように前記配備計画情報を更新する、
運用システム。
【請求項6】
複数の移動式水素ステーションを運用する運用方法であって、
少なくとも充填日時と充填場所を指定した充填要求を受け付ける受付ステップと、
受け付けた前記充填要求に基づいて、前記複数の移動式水素ステーションの配備計画情報を生成する計画ステップと、
前記配備計画情報に基づいて前記複数の移動式水素ステーションの配備処理を実行する配備ステップと、
を含み、
前記受付ステップでは、前記充填要求が指定した前記充填日時において配備予定のない移動式水素ステーションが2台以上ない場合、前記充填要求を拒否し、
前記配備ステップでは、配備済みの又は配備予定のある移動式水素ステーションが故障した場合、前記複数の移動式水素ステーションのうち故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填日時に配備予定のないものが代わりに配備されるように配備処理を実行し、
前記配備ステップでは、配備済みの移動式水素ステーションが故障した場合であって待機中の移動式水素ステーションが複数台ある場合、待機中の複数の移動式水素ステーションのうち故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填場所に最も近いものが代わりに配備されるように配備処理を実行する、
運用方法。
【請求項7】
コンピュータを請求項1から5までの何れかに記載の運用システムとして機能させ、又は、コンピュータに請求項6に記載の運用方法を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式水素ステーションの運用システム、運用方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、燃料電池自動車(FCV)などの車両の水素燃料タンクに水素を充填するための移動式水素ステーションの配置計画技術を開示している。具体的には、特許文献1は、FCVのユーザからの予約に基づいてユーザによって指定された水素充填所に移動式水素ステーションを配車するものとすると、移動式水素ステーションの効率的な運用が難しいと指摘している。その上で、特許文献1は、複数のエリアを含む地域内での移動式水素ステーションの配置計画方法として、(1)所定時間における各エリアの水素需要予想量を算出し、(2)各エリアの水素需要予想量に基づいて、移動式水素ステーションを配置するエリアと該エリアに移動式水素ステーションを配置する時間帯とを決定するものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-194745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現状、定置式水素ステーションが少ない地域では、数少ない移動式水素ステーションを複数の充填拠点において時分割で共有するようにしている。仮に、移動式水素ステーションの何れかが故障した場合、予定していた充填拠点における充填サービスを提供することができず、ユーザは予定を変更して他の充填拠点に向かわざるを得ず、ユーザに多大な時間的及び経済的な負担を強いることになる。
【0005】
これに対し、特許文献1は、移動式水素ステーションは一切故障しないものと仮定した上で移動式水素ステーションの配置計画を作成しているので、移動式水素ステーションの故障に対応できない。
【0006】
本発明の目的は、移動式水素ステーションの故障に対応可能な運用技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の第1の観点によれば、複数の移動式水素ステーションを運用する運用システムであって、少なくとも充填日時と充填場所を指定した充填要求を受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた前記充填要求に基づいて、前記複数の移動式水素ステーションの配備計画情報を生成する計画部と、前記配備計画情報に基づいて前記複数の移動式水素ステーションの配備処理を実行する配備部と、を含み、前記受付部は、前記充填要求が指定した前記充填日時において配備予定のない移動式水素ステーションが2台以上ない場合、前記充填要求を拒否し、前記配備部は、配備済みの又は配備予定のある移動式水素ステーションが故障した場合、前記複数の移動式水素ステーションのうち故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填日時に配備予定のないものが代わりに配備されるように配備処理を実行する、運用システムが提供される。以上の構成によれば、移動式水素ステーションの故障に対応可能な運用技術が実現される。
好ましくは、前記配備部は、配備済みの移動式水素ステーションが故障した場合であって待機中の移動式水素ステーションが複数台ある場合、待機中の複数の移動式水素ステーションのうち故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填場所に最も近いものが代わりに配備されるように配備処理を実行する。以上の構成によれば、配備コストを低減できる。
好ましくは、前記配備部は、配備済みの移動式水素ステーションが故障した場合であって待機中の移動式水素ステーションが複数台ある場合、待機中の複数の移動式水素ステーションのうち最も充填可能量が多いものが代わりに配備されるように配備処理を実行する。以上の構成によれば、故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填場所に、充填可能量が豊富な移動式水素ステーションが配備される。
好ましくは、前記配備部は、配備済みの移動式水素ステーションが故障した場合であって待機中の移動式水素ステーションがない場合は、他の充填場所に配備済みの移動式水素ステーションが故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填場所にも時分割で配備されるように配備処理を実行する。以上の構成によれば、既に受け付けた充填要求をキャンセルすることなく、上記充填場所における充填サービスを継続することができる。
好ましくは、前記計画部は、配備予定のある移動式水素ステーションが故障した場合であって故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填日時に配備予定のないものが複数台ある場合、配備予定のない複数の移動式水素ステーションのうち故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填日時の前後の時間帯において故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填場所に最も近いものが代わりに配備されるように前記配備計画情報を更新する。以上の構成によれば、配備コストを低減できる。
好ましくは、前記計画部は、配備予定のある移動式水素ステーションが故障した場合であって故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填日時に配備予定のないものがない場合、当該充填日時に他の充填場所に配備予定の移動式水素ステーションが故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填場所にも時分割で配備されるように前記配備計画情報を更新する。以上の構成によれば、既に受け付けた充填要求をキャンセルすることなく、上記充填場所における充填サービスを継続することができる。
好ましくは、前記運用システムは、更に定置式水素ステーションも運用するものとし、前記配備部は、前記定置式水素ステーションが故障した場合、待機中の移動式水素ステーションが前記定置式水素ステーション又はその近傍に配備されるように配備処理を実行する。以上の構成によれば、定置式水素ステーションにおける充填サービスを継続することができる。
本願発明の第2の観点によれば、複数の移動式水素ステーションを運用する運用方法であって、少なくとも充填日時と充填場所を指定した充填要求を受け付ける受付ステップと、前記受付部が受け付けた前記充填要求に基づいて、前記複数の移動式水素ステーションの配備計画情報を生成する計画ステップと、前記配備計画情報に基づいて前記複数の移動式水素ステーションの配備処理を実行する配備ステップと、を含み、前記受付ステップでは、前記充填要求が指定した前記充填日時において配備予定のない移動式水素ステーションが2台以上ない場合、前記充填要求を拒否し、前記配備ステップでは、配備済みの又は配備予定のある移動式水素ステーションが故障した場合、前記複数の移動式水素ステーションのうち故障した移動式水素ステーションに割り当てられた充填日時に配備予定のないものが代わりに配備されるように配備処理を実行する、運用方法が提供される。以上の方法によれば、移動式水素ステーションの故障に対応可能な運用技術が実現される。
好ましくは、コンピュータを上記の運用システムとして機能させ、又は、コンピュータに上記の運用方法を実行させる、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、移動式水素ステーションの故障にも対応可能な移動式水素ステーションの運用技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】水素供給システムの構成概略図である。
図2】運用サーバの機能ブロック図である。
図3】充填要求の充填日時と充填場所をテーブル形式で示す図である。
図4】配備計画をテーブル形式で示す図である。
図5】移動式水素ステーションの機能ブロック図である。
図6】定置式水素ステーションの機能ブロック図である。
図7】運用サーバの制御フローである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1から図7を参照して、本願発明の実施形態を説明する。
【0011】
図1は、水素供給システム1の構成概略図を示している。図1に示すように、水素供給システム1は、運用サーバ2と、複数のユーザ端末3(以下、UE3と称する)と、複数の移動式水素ステーション4(以下、MST4と称する)と、1つの定置式水素ステーション5(以下、CST5と称する。)と、を含む。
【0012】
複数のUE3は、運用サーバ2と例えばWAN(Wide Area Network)を介して双方向通信可能に構成されている。複数のMST4及びCST5は、同様に、運用サーバ2と例えばWANを介して双方向通信可能に構成されている。
【0013】
UE3は、水素供給システム1を利用するユーザが利用する端末であって、典型的には、ユーザが所有する情報処理端末や、ユーザが所有する燃料電池自動車に搭載されたカーナビゲーションシステムである。情報処理端末は、典型的には、デスクトップ型パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレットPC、PDA、スマートフォンである。
【0014】
MST4は、移動可能なトラックの荷台に水素充填装置を搭載した移動式水素ステーションである。水素充填装置は、典型的には、圧縮機、蓄圧器、ディスペンサーを含む。
【0015】
CST5は、移動不能に設置された水素充填装置を備えた定置式水素ステーションである。CST5は、典型的には、圧縮機、蓄圧器、ディスペンサーを含む。CST5は、オンサイト型定置式水素ステーションであってもよく、オフサイト型定置式水素ステーションであってもよい。オンサイト型定置式水素ステーションとは、水素製造装置を自前で有する定置式水素ステーションである。オフサイト型定置式水素ステーションとは、水素の集中製造基地から水素が陸送で供給される定置式水素ステーションである。
【0016】
複数のMST4とCST5は、マザー・ドーターの関係であってもよい。即ち、複数のMST4の水素充填装置はCST5で水素の供給を受けてもよい。
【0017】
運用サーバ2は、複数のMST4及びCST5を運用する運用システムの一具体例である。運用サーバ2は、UE3から充填要求を受け付け、充填要求に応じてMST4を配備する。
【0018】
水素供給システム1は、典型的には、行政区画毎に設置される。そして、各MST4は、行政区画内における複数の配備場所の何れかに一時的に配備される。複数の配備場所とは、典型的には、既存のガソリンスタンド、市役所などの行政サービス提供施設、スーパーマーケットや家電店などの大型小売施設が挙げられる。各配備場所は、MST4を配備するのに適した場所であって、一般的に関係法規における事前審査及び事前登録が必要とされる。水素供給システム1は、複数のMST4を運用することで、当該行政区画における水素充填の需要に柔軟に対応することができる。
【0019】
次に、図2から図4を参照して、運用サーバ2を説明する。図2は、運用サーバ2の機能ブロック図である。図2に示すように、運用サーバ2は、中央演算処理器としてのCPU2a(Central Processing Unit)と、読み書き自由のRAM2b(Random Access Memory)、読み出し専用のROM2c(Read Only Memory)を備えている。そして、CPU2aがROM2cに記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで、制御プログラムは、CPU2aなどのハードウェアを、受付部10、計画部11、配備部12として機能させる。
【0020】
受付部10は、各UE3から充填要求を受け付ける。充填要求は、少なくとも充填日時と充填場所を指定した情報である。充填要求は、更に充填量を指定した情報であってもよい。
【0021】
充填日時とは、UE3に対応するユーザが所有する燃料電池自動車への水素の充填を希望する日時である。本実施形態において、充填日時は、充填を希望する日付と、充填を希望する時間帯と、を含む。充填を希望する時間帯とは、典型的には、午前又は午後によって表現し得る。しかし、これに代えて、充填を希望する時間帯は、時分によって表現されてもよい。また、本実施形態においてユーザは、燃料電池自動車への水素の充填を希望するものとするが、これに代えて、いわゆる水素自動車への水素の充填を希望してもよい。ここで、燃料電池自動車とは、水素燃料タンク内の水素を利用して発電し、その電力を用いてモータを駆動する自動車である。また、水素自動車とは、水素燃料タンク内の水素をレシプロエンジンやロータリーエンジンなどのエンジンで燃焼させて動力源とする自動車である。
【0022】
充填場所とは、UE3に対応するユーザが所有する燃料電池自動車への水素の充填を希望する場所である。即ち、充填場所とは、水素供給システム1に割り当てられた行政区画内における複数の配備場所の何れかである。
【0023】
充填量とは、UE3に対応するユーザが所有する燃料電池自動車への水素の充填を希望する量である。充填要求は、充填量を指定することに代えて、充填台数を指定する情報であってもよい。即ち、充填要求が充填量に代えて充填台数を指定した情報であるとき、受付部10は、充填台数に既知の1台あたりの充填量を掛けて充填量を算出し得る。
【0024】
本実施形態の充填要求は、充填日時と充填場所のみを指定した情報とする。
【0025】
計画部11は、受付部10が受け付けた充填要求に基づいて、複数のMST4の配備計画情報を生成する。
【0026】
ここで、図3を参照されたい。図3には、受付部10が受け付けた充填要求の充填日時と充填場所をテーブル形式で示している。例えば、図3において、数字「1」は、受付部10が最初に受け付けた充填要求であり、その充填日時は「2021/8/4AM」であり、充填場所は「場所2」としている。同様に、数字「21」は受付部10が21番目に受け付けた充填要求であり、その充填日時は「2021/8/5PM」であり、充填場所は「場所5」である。なお、図3に示すテーブルは、受付部10が順番に受け付けた充填要求の内容を説明するためのテーブルに過ぎず、図3のテーブルをMST4のRAM4bに保存するか否かは任意である。
【0027】
次に、図4を参照されたい。図4は、計画部11が生成した配備計画情報をテーブル形式で示している。配備計画情報は、各MST4毎に、充填日時と充填場所を割り当てた情報である。例えば、No.1のMST4は、「2021/8/4AM」に「場所2」へ配備されるよう計画される。また、No.4のMST4は、「2021/8/5PM」に「場所6」へ配備されるよう計画される。計画部11は、図3に示す充填要求を満足するように複数のMST4の配備計画を立案し、立案結果としての配備計画情報を生成する。
【0028】
なお、図4に示す配備計画情報では、No.1のMST4の稼働率が最も高く、No.5のMST4の稼働率が低くなっている。計画部11は、複数のMST4の稼働率がなるべく均一化するように配備計画情報を生成してもよい。
【0029】
配備部12は、配備計画情報に基づいて複数のMST4の配備処理を実行する。ここで、配備処理とは、複数のMST4が図4に示す配備計画情報に従って配備されるための処理を意味する。
【0030】
配備処理としては、例えば、配備計画情報を複数のMST4に送信することである。この場合、各MST4に設けられたディスプレイに配備計画情報が出力される。各MST4のオペレータは、ディスプレイに出力された配備計画情報を参照して各MST4を配備する。ここで、オペレータとは、典型的には、運転手である。
【0031】
また、配備処理としては、例えば、運用サーバ2のディスプレイに配備計画情報を出力することである。運用サーバ2のオペレータは、運用サーバ2のディスプレイに出力された配備計画情報に基づいて、各MST4のオペレータに配備指令を出す。
【0032】
また、仮に各MST4が自動運転可能なトラックに搭載されている場合、配備処理としては、各MST4の自動運転制御部に、配備計画情報に基づいた走行指令を送信することである。
【0033】
そして、受付部10は、充填要求が指定した充填日時において配備予定のないMST4が2台以上ない場合、その充填要求を拒否する。例えば、図3において、No.21の充填要求は、充填日時が「2021/8/5PM」であり、図4の配備計画情報を参照すると、「2021/8/5PM」においてNo.21の充填要求が指定した「場所5」に新たに配備が可能な、即ち、配備予定のないMST4がNo.5のMST4のみ、即ち1台のみである。従って、受付部10は、図3に示すNo.21の充填要求を拒否する。具体的には、受付部10は、当該充填要求の送信元であるUE3に充填要求を拒否する旨のメッセージを送信する。
【0034】
なお、受付部10は、上記の通り、No.21の充填要求を単に拒否するだけではなく、当該充填要求の送信元であるUE3に、例えば「2021/8/5AM」などの別の充填日時を提案したり、「2021/8/5PM」に配備予定のある充填場所である「場所4」「場所2」「場所3」「場所6」の何れか1つ又は複数を提案したりしてもよい。
【0035】
このように、受付部10は、すべての日時において少なくとも1台は配備予定を入れず、バックアップとして残すようにしている。これにより、配備済みの、又は、配備予定のあるMST4が故障した場合に、当該MST4が提供する予定だった充填サービスを他のMST4で代行することができる。
【0036】
即ち、配備部12は、配備済みの又は配備予定のあるMST4が故障した場合、複数のMST4のうち故障したMST4に割り当てられた充填日時に配備予定のないものが代わりに配備されるように配備処理を実行する。
【0037】
例えば、「2021/8/4AM」に「場所6」へ配備済みのNo.2のMST4が「場所6」において故障した場合、配備部12は、No.5のMST4をNo.2のMST4の代わりに「場所6」に配備する。
【0038】
また、例えば、「2021/8/5AM」に「場所3」へ配備済みのNo.2のMST4が故障した場合、配備部12は、No.3からNo.5のMST4の何れかをNo.2のMST4の代わりに「場所3」に配備する。このとき、配備部12は、典型的には、No.3からNo.5のMST4のうち「場所3」に最も近いものをNo.2のMST4に代えて「場所3」に配備する。これにより、故障したMST4のバックアップのために別のMST4が配備される際の総移動距離が最短となるので配備コストを低減することができる。
【0039】
上記の運用サーバ2は、単一の装置によって実現されてもよく、相互にデータ通信可能な複数の装置による分散処理によって実現されてもよい。
【0040】
次に、図5を参照して、各MST4を説明する。図5は、各MST4の機能ブロック図である。図5に示すように、各MST4は、中央演算処理器としてのCPU4a(Central Processing Unit)と、読み書き自由のRAM4b(Random Access Memory)、読み出し専用のROM4c(Read Only Memory)を備えている。そして、CPU4aがROM4bに記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで、制御プログラムは、CPU4aなどのハードウェアを、現在地情報取得部20、水素在庫量情報取得部21、配備計画情報出力部22、故障検出部23として機能させる。各MST4は、更に、GPSモジュール24と、ディスプレイ25と、を備える。
【0041】
現在地情報取得部20は、GPSモジュール24を用いて、MST4の現在地情報を取得する。GPSモジュール24は、GNSSモジュール(Global Navigation Satellite System)の一具体例である。GNSSモジュールの具体例としては、GLONASSモジュール(Global Navigation Satellite System)、Galileoモジュール、BeiDouモジュール、QZSSモジュール(Quasi-Zenith Satellite System)が挙げられる。現在地情報取得部20は、取得した現在地情報を運用サーバ2に定期的に送信する。
【0042】
水素在庫量情報取得部21は、MST4に搭載された水素充填装置における水素の在庫量を示す水素在庫量情報を取得する。具体的には、水素在庫量情報取得部21は、水素充填装置の蓄圧器内の圧力及び温度を測定し、その測定データに基づいて水素の在庫量を算出する。水素在庫量情報取得部21は、取得した水素在庫量情報を運用サーバ2に定期的に送信する。
【0043】
配備計画情報出力部22は、運用サーバ2から受信した配備計画情報をディスプレイ25に出力する。
【0044】
故障検出部23は、MST4の故障を検出する。MST4の故障とは、典型的には、水素充填装置の故障、MST4を搭載したトラックの故障である。故障検出部23は、MST4の故障を検出したら、MST4の識別情報と共にMST4の故障を示す故障情報を運用サーバ2に送信する。故障情報は、MST4の構成要素のうち故障した構成要素を特定する情報を含んでもよい。
【0045】
次に、図6を参照して、CST5を説明する。図6は、CST5の機能ブロック図である。図6に示すように、CST5は、中央演算処理器としてのCPU5a(Central Processing Unit)と、読み書き自由のRAM5b(Random Access Memory)、読み出し専用のROM5c(Read Only Memory)を備えている。そして、CPU5aがROM5bに記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで、制御プログラムは、CPU5aなどのハードウェアを故障検出部30として機能させる。
【0046】
故障検出部30は、CST5の故障を検出する。CST5の故障とは、典型的には、水素充填装置の故障である。故障検出部30は、CST5の故障を検出したら、CST5の識別情報と共にCST5の故障を示す故障情報を運用サーバ2に送信する。故障情報は、CST5の構成要素のうち故障した構成要素を特定する情報を含んでもよい。
【0047】
次に、図7を参照して、水素供給システム1の作動を説明する。
【0048】
S100:
受付部10は、UE3から充填要求を受け付ける。
【0049】
S110:
次に、受付部10は、図4の配備計画情報を参照して、受付部10が受け付けた充填要求が指定した充填日時において配備予定のないMST4(空きのMST4)が2台以上あるか判定する。2台以上ある場合、受付部10は、処理をS120に進める。2台以上ない場合、受付部10は、処理をS130に進める。
【0050】
S120:
計画部11は、受付部10が受け付けた充填要求に基づいて複数のMST4の配備計画情報を生成し、処理をS140に進める。
【0051】
S130:
受付部10は、充填要求を拒否し、当該充填要求の送信元であるUE3に充填要求を拒否する旨のメッセージを送信し、処理をS140に進める。
【0052】
S140:
計画部11は、配備予定があるMST4が故障したか判定する。配備予定があるMST4が故障したと判定した場合、計画部11は、処理をS150に進める。一方、配備予定があるMST4が故障していないと判定した場合、計画部11は、処理をS200に進める。
【0053】
S150:
配備予定があるMST4が故障した場合、計画部11は、複数のMST4の配備を再計画し、配備計画情報を更新する。
【0054】
例えば、計画部11は、配備予定のあるMST4が故障した場合であって複数のMST4のうち故障したMST4に割り当てられた充填日時に配備予定のないものが複数台ある場合、配備予定のない複数のMST4のうち故障したMST4に割り当てられた充填日時の前後の時間帯において故障したMST4に割り当てられた充填場所に最も近いものが代わりに配備されるように配備計画情報を更新する。
【0055】
図4の例において、「2021/8/6PM」に「場所1」へ配備予定のNo.4のMST4が2021/8/5の深夜に故障したとする。また、No.4のMST4に割り当てられた充填日である「2021/8/6PM」に配備予定のないものとしてNo.2のMST4とNo.3のMST4がある。No.2のMST4とNo.3のMST4は、「2021/8/6PM」の前の時間帯である「2021/8/6AM」において「場所6」及び「場所2」にそれぞれ配備予定とされている。また、「場所6」は、「場所2」よりも「場所1」に近いものとする。この場合、計画部11は、「2021/8/6PM」に「場所1」へ配備予定のNo.4のMST4の代わりに、「2021/8/6PM」に「場所1」へNo.2のMST4が配備されるように配備計画情報を更新する。これにより、No.3のMST4が代わりに配備される場合と比較して、配備コストを低減できる。
【0056】
また、例えば、計画部11は、配備予定のあるMST4が故障した場合であって故障したMST4に割り当てられた充填日時に配備予定のないものがない場合、当該充填日時に他の充填場所に配備予定のMST4が故障したMST4に割り当てられた充填場所にも時分割で配備されるように配備計画情報を更新する。この場合、同じ時間帯(例えば、「2021/8/6PM」)で1つのMST4に複数の充填場所が割り当てられ、当該時間帯において1つのMST4が複数の充填場所間で移動することが求められる。これにより、既に受け付けた充填要求をキャンセルしなければならない事態を回避できる。
【0057】
S200:
配備部12は、配備計画情報に基づいて複数のMST4の当日分の配備処理を実行する。
【0058】
S210:
配備部12は、配備済みのMST4が故障したか判定する。配備済みのMST4が故障したと判定した場合、配備部12は、処理をS220に進める。一方、配備済みのMST4が故障していないと判定した場合、配備部12は、処理をS300に進める。
【0059】
S220:
配備部12は、待機中のMST4があるか判定する。待機中のMST4とは、現在どの充填場所にも配備されておらず、次の配備予定まで待機しているMST4を意味する。待機中のMST4があると判定した場合、配備部12は、処理をS230に進める。一方、待機中のMST4がないと判定した場合、配備部12は、処理をS240に進める。
【0060】
S230:
配備部12は、待機中のMST4が複数台あるか判定する。待機中のMST4が複数台あると判定した場合、配備部12は、処理をS250に進める。一方、待機中のMST4が1台のみであると判定した場合、配備部12は、処理をS260に進める。
【0061】
S240:
配備部12は、他の充填場所に配備済みのMST4が故障したMST4に割り当てられた充填場所にも時分割で配備されるように配備処理を実行する。これにより、既に受け付けた充填要求をキャンセルしなければならない事態を回避できる。そして、配備部12は、処理をS300に進める。
【0062】
S250:
配備部12は、待機中の複数のMST4から、故障したMST4の代わりに配備するMST4を選択する。
【0063】
例えば、配備部12は、待機中の複数のMST4のうち故障したMST4に割り当てられた充填場所に最も近いものを選択する。これによれば、故障したMST4に割り当てられた充填場所に代替のMST4がいち早く到着できるようになる。また、配備コストも低減できる。
【0064】
或いは、配備部12は、待機中の複数のMST4のうち最も充填可能量が多いものを選択する。これによれば、故障したMST4に割り当てられた充填場所に、充填可能量が豊富なMST4を配備できるようになる。
【0065】
その他、配備部12は、待機中の複数のMST4のうち稼働率が最も低いMST4を選択してもよい。これによれば、複数のMST4の稼働率を均一化することができる。
【0066】
S260:
配備部12は、待機中の複数のMST4から選択したMST4が故障したMST4の代わりに配備されるように配備処理を実行する。そして、配備部12は、処理をS300に進める。
【0067】
S300:
次に、配備部12は、CST5が故障したか判定する。CST5が故障したと判定した場合、配備部12は、処理をS310に進める。一方、CST5が故障していないと判定した場合、配備部12は、処理を終了する。
【0068】
S310:
配備部12は、待機中のMST4があるか判定する。待機中のMST4があると判定した場合、配備部12は、処理をS320に進める。一方、待機中のMST4がないと判定した場合、配備部12は、処理をS330に進める。
【0069】
S320:
配備部12は、待機中のMST4がCST5又はその近傍に配備されるように配備処理を実行する。これにより、CST5における充填サービスを継続することができる。そして、配備部12は、処理を終了する。
【0070】
なお、配備部12は、待機中のMST4が複数台ある場合に限り、故障したCST5又はその近傍に、そのうち何れか1台が配備されるように配備処理を実行してもよい。これによれば、CST5よりもMST4の方が頻繁に故障することに鑑み、MST4のバックアップを少なくとも1台は残すことができる。しかしながら、配備部12は、待機中のMST4が1台だけであっても、そのMST4をCST5又はその近傍に配備されるように配備処理を実行してもよい。
【0071】
S330:
配備部12は、他の充填場所に配備済みのMST4がCST5又はその近傍にも時分割で配備されるように配備処理を実行する。これにより、CST5における充填サービスを継続することができる。そして、配備部12は、処理を終了する。
【0072】
以上に、本願発明の好適な実施形態を説明したが、上記実施形態は以下の特徴を有する。
【0073】
運用サーバ2(運用システム)は、複数のMST4(移動式水素ステーション)を運用する。運用サーバ2は、少なくとも充填日時と充填場所を指定した充填要求を受け付ける受付部10と、受付部10が受け付けた充填要求に基づいて、複数のMST4の配備計画情報を生成する計画部11と、配備計画情報に基づいて複数のMST4の配備処理を実行する配備部12と、を含む。受付部10は、充填要求が指定した充填日時において配備予定のないMST4が2台以上ない場合、充填要求を拒否する。配備部12は、配備済みの又は配備予定のあるMST4が故障した場合、複数のMST4のうち故障したMST4に割り当てられた充填日時に配備予定のないものが代わりに配備されるように配備処理を実行する。以上の構成によれば、MST4の故障に対応可能な運用技術が実現される。
【0074】
配備部12は、配備済みのMST4が故障した場合であって待機中のMST4が複数台ある場合、待機中の複数のMST4のうち故障したMST4に割り当てられた充填場所に最も近いものが代わりに配備されるように配備処理を実行する。以上の構成によれば、配備コストを低減できる。
【0075】
配備部12は、配備済みのMST4が故障した場合であって待機中のMST4が複数台ある場合、待機中の複数のMST4のうち最も充填可能量が多いものが代わりに配備されるように配備処理を実行する。以上の構成によれば、故障したMST4に割り当てられた充填場所に、充填可能量が豊富なMST4が配備される。
【0076】
配備部12は、配備済みのMST4が故障した場合であって待機中のMST4がない場合は、他の充填場所に配備済みのMST4が故障したMST4に割り当てられた充填場所にも時分割で配備されるように配備処理を実行する。以上の構成によれば、既に受け付けた充填要求をキャンセルすることなく、上記充填場所における充填サービスを継続することができる。
【0077】
計画部11は、配備予定のあるMST4が故障した場合であって故障したMST4に割り当てられた充填日時に配備予定のないものが複数台ある場合、配備予定のない複数のMST4のうち故障したMST4に割り当てられた充填日時の前後の時間帯において故障したMST4に割り当てられた充填場所に最も近いものが代わりに配備されるように配備計画情報を更新する。以上の構成によれば、配備コストを低減できる。
【0078】
計画部11は、配備予定のあるMST4が故障した場合であって故障したMST4に割り当てられた充填日時に配備予定のないものがない場合、当該充填日時に他の充填場所に配備予定のMST4が故障したMST4に割り当てられた充填場所にも時分割で配備されるように配備計画情報を更新する。以上の構成によれば、既に受け付けた充填要求をキャンセルすることなく、上記充填場所における充填サービスを継続することができる。
【0079】
運用水素供給システム1は、更にCST5(定置式水素ステーション)も運用するものとする。配備部12は、CST5が故障した場合、待機中のMST4がCST5又はその近傍に配備されるように配備処理を実行する。以上の構成によれば、CST5における充填サービスを継続することができる。
【0080】
複数のMST4を運用する運用方法は、少なくとも充填日時と充填場所を指定した充填要求を受け付ける受付ステップ(S100)と、受付部10が受け付けた充填要求に基づいて、複数のMST4の配備計画情報を生成する計画ステップ(S120)と、配備計画情報に基づいて複数のMST4の配備処理を実行する配備ステップ(S200)と、を含む。受付ステップでは、充填要求が指定した充填日時において配備予定のないMST4が2台以上ない場合、充填要求を拒否する(S130)。配備ステップでは、配備済みの又は配備予定のあるMST4が故障した場合、複数のMST4のうち故障したMST4に割り当てられた充填日時に配備予定のないものが代わりに配備されるように配備処理を実行する(S150)。以上の方法によれば、MST4の故障に対応可能な運用技術が実現される。
【0081】
なお、配備部12は、待機中のMST4がない場合、近隣の行政区画に設置された水素供給システムから移動式水素ステーションを一時的に融通してもらうようにしてもよい。
【0082】
また、1台のMST4が充填可能な充填可能量は有限である。従って、同じ充填時刻に同じ充填場所で複数の充填要求があった場合、新たな充填要求の充填量がMST4の残された充填可能量を上回る場合、当該充填要求を拒否するようにしてもよい。
【0083】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、更に、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROMを含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、更に、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0084】
1 水素供給システム
2 運用サーバ
3 UE
4 MST
5 CST
10 受付部
11 計画部
12 配備部
20 現在地情報取得部
21 水素在庫量情報取得部
22 配備計画情報出力部
23 故障検出部
24 GPSモジュール
25 ディスプレイ
30 故障検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7