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特許7533367車両、充電システム、および、車両の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】車両、充電システム、および、車両の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20240806BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240806BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20240806BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20240806BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20240806BHJP
【FI】
H02J13/00 301K
H02J7/00 P
H02J1/00 306J
H02J3/00 180
B60L53/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021093408
(22)【出願日】2021-06-03
(65)【公開番号】P2022185654
(43)【公開日】2022-12-15
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 大和
(72)【発明者】
【氏名】木野村 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】土屋 慶幸
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0266379(US,A1)
【文献】国際公開第2019/073271(WO,A1)
【文献】特表2017-528852(JP,A)
【文献】特開2012-135135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 7/00
H02J 1/00
H02J 3/00
B60L 53/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電設備との間での電力伝送が可能に構成された車両であって、
前記充電設備は、
前記車両に接続される接続部を有する可動装置と、
前記可動装置が地下に収容された収容状態と、前記可動装置が地上に露出した露出状態との間で前記可動装置を昇降させる昇降装置とを含み、
前記車両は、
表示装置と、
前記充電設備が使用可能な場合に、前記充電設備が使用可能である旨を前記車両から前記充電設備の位置を特定可能な態様で表示するように前記表示装置を制御する制御装置とを備え
前記制御装置は、前記充電設備が使用可能であり、かつ、前記可動装置が前記収容状態である場合には、前記可動装置が前記露出状態で表示されるように前記表示装置を制御する、車両。
【請求項2】
前記制御装置は、前記露出状態である前記可動装置の画像が、前記収容状態である前記可動装置の映像上に重ねられた拡張現実を表示するように、前記表示装置を制御する、請求項に記載の車両。
【請求項3】
前記制御装置は、前記充電設備が使用不可である場合には、前記充電設備が使用不可である旨を表示するように前記表示装置を制御する、請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
前記制御装置は、前記充電設備を介した電力の取引価格をさらに表示するように前記表示装置を制御する、請求項1~のいずれか1項に記載の車両。
【請求項5】
前記表示装置は、ヘッドアップディスプレイを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の車両。
【請求項6】
前記充電設備が使用可能な場合に、前記車両が前記充電設備に接近したことを音により前記車両のユーザに通知するスピーカーをさらに備える、請求項1~のいずれか1項に記載の車両。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の車両と、
前記充電設備とを備える、充電システム。
【請求項8】
表示装置を含み、充電設備との間での電力伝送が可能に構成された車両の制御方法であって、
前記充電設備は、
前記車両に接続される接続部を有する可動装置と、
前記可動装置が地下に収容された収容状態と、前記可動装置が地上に露出した露出状態との間で前記可動装置を昇降させる昇降装置とを含み、
前記制御方法は、
前記充電設備が使用可能かどうかを取得するステップと、
前記充電設備が使用可能な場合に、前記充電設備が使用可能である旨を前記車両から前記充電設備の位置を特定可能な態様で前記表示装置に表示するステップとを含み、
前記表示するステップは、前記充電設備が使用可能であり、かつ、前記可動装置が前記収容状態である場合には、前記可動装置を前記露出状態で表示するステップを含む、車両の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両、充電システム、および、車両の制御方法に関し、より特定的には、充電設備との間での電力伝送が可能に構成された車両の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両外部から供給される電力による、いわゆるプラグイン充電が可能な車両の普及が進もうとしている。プラグイン充電のための充電設備は、一般に駐車場等に設置されるが、一定程度の設置スペースを占有する。そのため、充電設備を可動式とし、地下に収容する技術が提案されている。たとえば特許第5475407号公報(特許文献1)に開示された充電用ボールは、地面から立ち上がった状態にできるとともに、地下に収容された状態にできるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5475407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使用可能な可動式の充電設備がどこにあるかをユーザが探す状況が考えられる。たとえば、ユーザが充電設備を事前に予約した場合、充電設備の近隣まで到着したユーザは、自身が予約した充電設備を探す。しかしながら、使用されていない充電設備は地下に収容されている。そのため、予約した充電設備を地上から発見することが難しい可能性がある。
【0005】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、使用可能な充電設備をユーザが発見しやすくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示のある局面に係る車両は、充電設備との間での電力伝送が可能に構成されている。充電設備は、車両に接続される接続部を有する可動装置と、可動装置が地下に収容された収容状態と、可動装置が地上に露出した露出状態との間で可動装置を昇降させる昇降装置とを含む。車両は、表示装置と、表示装置を制御する制御装置とを備え、制御装置は、充電設備が使用可能な場合に、充電設備が使用可能である旨を車両から充電設備の位置を特定可能な態様で表示するように表示装置を制御する。
【0007】
上記(1)の構成によれば、充電設備が使用可能である旨が表示装置に表示されるので、使用可能な充電設備をユーザが発見しやすくなる。
【0008】
(2)制御装置は、充電設備が使用可能であり、かつ、可動装置が収容状態である場合には、可動装置が露出状態で表示されるように表示装置を制御する。
【0009】
(3)制御装置は、露出状態である可動装置の画像が、収容状態である可動装置の映像上に重ねられた拡張現実を表示するように表示装置を制御する。
【0010】
上記(2),(3)の構成によれば、可動装置が実際には収容状態であっても露出状態で表示されるので、使用可能な充電設備をユーザが一層発見しやすくなる。
【0011】
(4)制御装置は、充電設備が使用不可である場合には、充電設備が使用不可である旨を表示するように表示装置に制御する。
【0012】
上記(4)の構成によれば、充電設備が使用不可である旨が表示装置に表示されるのでので、使用不可の充電設備を使用可能とユーザが間違える可能性を低減できる。
【0013】
(5)制御装置は、充電設備を介した電力の取引価格をさらに表示するように表示装置を制御する。
【0014】
上記(5)の構成によれば、ユーザが電力の取引価格(充電料金または売電料金)を併せて把握することが可能になる。
【0015】
(6)表示装置は、ヘッドアップディスプレイを含む。
上記(6)の構成によれば、ユーザが運転中であっても、使用可能な充電設備を発見しやすくなる。
【0016】
(7)充電設備が使用可能な場合に、車両が充電設備に近付いたことを音声により通知するスピーカーをさらに備える。
【0017】
上記(7)の構成によれば、視覚に加えて聴覚が用いられるので、使用可能な充電設備をユーザが一層発見しやすくなる。
【0018】
(8)本開示の他の局面に充電システムは、上記の車両と、充電設備とを備える。
(9)本開示のさらに他の局面に係る車両の制御方法において、車両は、表示装置を含み、充電設備との間での電力伝送が可能に構成されている。充電設備は、車両に接続される接続部を有する可動装置と、可動装置が地下に収容された収容状態と、可動装置が地上に露出した露出状態との間で可動装置を昇降させる昇降装置とを含む。制御方法は、充電設備が使用可能かどうかを取得するステップと、充電設備が使用可能な場合に、充電設備が使用可能である旨を車両から充電設備の位置を特定可能な態様で表示装置に表示するステップとを含む。
【0019】
上記(8)の構成または上記(9)の方法によれば、上記(1)の構成と同様に、使用可能な充電設備をユーザが発見しやすくなる。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、使用可能な充電設備をユーザが容易に発見できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態1に係る充電システムのレイアウトの一例を示す図である。
図2】地下に収容された充電スタンドおよび車両の構成の一例を示す図である。
図3】地上に露出した充電スタンドおよび車両の構成の一例を示す図である。
図4】HMIの構成例を示す図である。
図5】実施の形態1における充電ガイド処理の処理手順を示すフローチャートである。
図6】実施の形態2における給電ガイド処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0023】
[実施の形態1]
<充電システムの構成>
図1は、実施の形態1に係る充電システム10のレイアウトの一例を示す図である。図1には、駐車場に設けられた複数の駐車スペースのうちの2つに1台ずつ車両2が駐車している様子が図示されている。
【0024】
本実施の形態において、充電システム10は複数の充電スタンド1を備える。複数の充電スタンド1の各々は、駐車スペースに隣接するスペース(たとえば歩道)に設置されている。ただし、充電スタンド1の設置数は特に限定されない。充電スタンド1の設置数は1台のみであってもよい。充電スタンド1は、本開示に係る「充電設備」に相当する。
【0025】
各充電スタンド1は、地下に収容された「収容状態」と、地上に露出した「露出状態」との間で昇降可能(上下方向に移動可能)に構成されている。図1では、地上に露出した充電スタンド1を実線で示し、地下に収容された充電スタンド1を破線で示している。
【0026】
図2は、地下に収容された充電スタンド1および車両2の構成の一例を示す図である。図3は、地上に露出した充電スタンド1および車両2の構成の一例を示す図である。収容状態とは図2に示すように、充電スタンド1の上端が地面と略同じ高さとなるまで充電スタンド1が低下した状態である。露出状態とは図3に示すように、充電スタンド1の上端が地上の所定高さまで充電スタンド1が上昇した状態である。
【0027】
充電スタンド1は、たとえば円筒形状の筐体を有する。充電スタンド1は、地面に形成された凹部の底面に設置されている。この凹部は、充電スタンド1の筐体の外周面と所定の間隙を有するように形成されている。凹部の深さは、収容状態の充電スタンド1の鉛直方向の長さと同程度である。
【0028】
充電スタンド1は、車両2のプラグイン充電が可能に構成されている。充電スタンド1は、車両2と通信可能に構成されていてもよい。この場合、充電スタンド1は、ユーザが車両2のHMI(Human Machine Interface)26(後述)に対して行った操作に応じて制御される。また、充電スタンド1は、ユーザの携帯端末(たとえばスマートホン)8と通信可能に構成されてもよい。この場合、充電スタンド1は、ユーザが携帯端末8に対して行った操作に応じて制御され得る。なお、複数の充電スタンドを操作可能な専用の操作端末(図示せず)が別途設けられていてもよい。充電スタンド1は、可動ユニット11と、昇降ユニット12と、コントローラ13とを含む。
【0029】
可動ユニット11は、昇降ユニット12により昇降されるように構成されている。可動ユニット11の昇降方向は、この例では鉛直方向であるが、鉛直方向から所定角度だけ傾いていてもよい。可動ユニット11は、充電コネクタ111および充電ケーブル112を含む。充電コネクタ111および充電ケーブル112は、可動ユニット11の上部に設けられた収容スペースに収容可能である。可動ユニット11は、本開示に係る「可動装置」に相当する。
【0030】
充電コネクタ111は、車両2のインレット21(後述)に接続される。充電コネクタ111は、充電ケーブル112の一方端に電気的に接続されている。充電ケーブル112の他方端には電源9が電気的に接続されている。電源9は、たとえば、商用電源などの交流電源である。充電ケーブル112と電源9との間に電力変換装置(図示せず)が設けられていてもよい。充電ケーブル112は、ユーザが充電コネクタ111を収容スペースから取り出すことによってインレット21まで伸縮可能である。なお、充電コネクタ111は、本開示に係る「接続部」に相当する。
【0031】
昇降ユニット12は、地面に形成された凹部の底面に固定されている。昇降ユニット12は、収容状態と露出状態との間で可動ユニット11を昇降させる。昇降ユニット12には様々な機構を採用できる。具体的には、昇降ユニット12は、ラックピニオン式の機構を有していてもよいし、油圧シリンダを用いた機構を有していてもよいし、磁力式の機構を有していてもよい。ラックピニオン式の機構は、可動ユニット11に固定されたラックギヤに噛み合わされたピニオンギヤを電動アクチュエータを用いて回転させることにより可動ユニット11を昇降させる。油圧シリンダを用いた機構は、ピストンに接続されたロッドを可動ユニット11に固定し、シリンダ本体に供給される油圧を増減させることにより可動ユニット11を昇降させる。磁力式の機構は、可動ユニット11と昇降ユニット12との間に磁力による反発力を発生させることにより可動ユニット11を昇降させる。
【0032】
また、昇降ユニット12は、可動ユニット11の上下方向の過度の移動を制限する機構(ストッパなど)を含むことが望ましい。これにより、昇降ユニット12は、可動ユニット11が収容状態に相当する位置を超えて下降しないように構成されているとともに、可動ユニット11が露出状態に相当する位置を超えて上昇しないように構成されている。昇降ユニット12は、本開示に係る「昇降装置」に相当する。
【0033】
コントローラ13は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ131と、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリ132と、充電スタンド1の外部機器との間で有線および/または無線での通信が可能な通信モジュール133とを含む。本実施の形態において、通信モジュール133は、車両2との間で各種情報をやり取りするように構成されている。通信モジュール133は、複数の充電スタンド1を統括して制御可能な管理サーバ(図示せず)と通信可能に構成されていてもよい。
【0034】
コントローラ13は、メモリ132に記憶された情報、通信モジュール133を経由して受信した情報、および/または、図示しないセンサ類から取得された情報に基づいて、充電スタンド1の構成機器(昇降ユニット12等)を制御する。コントローラ13は、可動ユニット11を上昇させる「上昇制御」と、可動ユニット11を下降させる「下降制御」とを実行する。上昇制御は、たとえば、ユーザが車両2のHMI26に表示される上昇ボタン(図示せず)を操作した場合に実行される。下降制御は、ユーザがHMI26に下降ボタン(図示せず)を操作した場合に実行される。
【0035】
車両2は、この例では電気自動車である。車両2は、プラグイン充電が可能な車両であればよく、たとえばプラグインハイブリッド車であってもよい。車両2は、インレット21と、充電器22と、バッテリ23と、インバータ24と、モータジェネレータ25と、HMI26と、ECU(Electronic Control Unit)27とを備える。
【0036】
インレット21は、車両2の外装部分に設けられたリッド等のカバー(図示せず)の内部に配置されている。インレット21は、充電スタンド1の充電コネクタ111を挿入可能に構成されている。充電コネクタ111がインレット21に挿入されると、インレット21と充電コネクタ111とが電気的に接続される。これにより、充電スタンド1から車両2への電力伝送が可能になる。
【0037】
充電器22は、インレット21から交流電力が供給される場合には、その交流電力を直流電力に変換してバッテリ23に供給する。バッテリ23は、ニッケル水素電池またはリチウムイオン電池等の二次電池である。また、充電器22は、バッテリ23からの直流電力を交流電力に変換して充電スタンド1に出力(給電)するように構成されていてもよい。充電スタンド1への給電電力は、モータジェネレータ25による発電電力であってもよい。
【0038】
インバータ24は、バッテリ23に蓄えられた直流電力を交流電力に変換し、その交流電力をモータジェネレータ25に供給する。また、インバータ24は、モータジェネレータ25からの交流電力(回生電力)を直流電力に変換し、その直流電力をバッテリ23に充電する。モータジェネレータ25は、インバータ24からの電力供給を受けて駆動輪に回転力を与えることで車両2を走行させる。
【0039】
HMI26は、ユーザ(ドライバ)の操作を受け付けたり、様々な情報およびデータをユーザに提供したりする。HMI26の構成については図4にて、より詳細に説明する。
【0040】
ECU27は、コントローラ13と同様に、CPUなどのプロセッサ271と、ROMおよびRAMなどのメモリ272と、通信モジュール273とを含む。ECU27は、車載の各種センサ(図示せず)からの信号の入力ならびにメモリ272に記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、車両2を制御する。本実施の形態においてECU27により実行される主要な処理としては、車両2のユーザに対して、使用可能な充電スタンド1を案内する「充電ガイド処理」が挙げられる。ECU27によるガイド処理については後述する。なお、ECU27は、本開示に係る「制御装置」に相当する。
【0041】
図4は、HMI26の構成例を示す図である。本実施の形態において、HMI26は、使用可能な充電スタンド1を車両2のユーザに案内するための「充電ガイド情報」を表示する。具体的には、HMI26は、インストルメントパネル(以下、「インパネ」と記載する)261と、HUD(Head-Up Display)262と、ナビゲーション画面263と、スピーカー(図示せず)を含む。
【0042】
インパネ261は、メータ類が設置された計器盤であり、ECU27による制御に従って車両2の様々な状態を表示する。インパネ261は、スピードメータ、トリップメータ、バッテリ23のSOCおよび警告灯類を表示するのに加えて、充電ガイド情報を表示する。なお、インパネ261に代えてマルチインフォメーションディスプレイ(MID:Multi-Information Display)も採用され得る。
【0043】
HUD262は、ドライバの視界前方に各種情報を虚像として投影する。具体的には、HUD262は、車両2の車速、目的地への進行方向、交通標識などを表示する。HUD262に充電ガイド情報を表示してもよい。
【0044】
ナビゲーション画面263は、ナビゲーションシステム(図示せず)のディスプレイである。ナビゲーションシステムは、人工衛星(図示せず)からの電波に基づいて車両2の位置を特定するためのGPS受信機を含む。ナビゲーションシステムは、車両2のGPSデータと道路地図データとに基づいて、車両2の現在地と車両2の目的地に向けた推奨経路とをナビゲーション画面263に表示する。ナビゲーション画面263は、タッチパネル付きのモニタ(いずれも図示せず)であってもよい。ナビゲーション画面263にも充電ガイド情報を表示できる。
【0045】
スピーカーは、充電スタンド1および/または車両2の状態に関する情報を出力する。これにより、ユーザは、視覚に加えて聴覚によっても様々な情報を取得できる。
【0046】
車両2のインパネ261、HUD262およびナビゲーション画面263のうちの少なくとも1つが本開示に係る「表示装置」に相当する。以下では、充電ガイド情報がHUD262に表示される例について代表的に説明する。ただし、充電ガイド情報の表示先はインパネ261またはナビゲーション画面263であってもよい。
【0047】
<処理フロー>
図5は、実施の形態1における充電ガイド処理の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャート(および後に図6に示すフローチャート)は、たとえば、予め定められた周期毎にメインルーチン(図示せず)から呼び出され、繰り返し実行される。各ステップは、ECU27によるソフトウェア処理により実現されるが、ECU27内に配置されたハードウェア(電気回路)により実現されてもよい。ステップをSと略す。
【0048】
以下の処理は、複数の充電スタンド1の各々に関して実行される。たとえば図1に示した例では、5台の充電スタンド1毎に以下の処理が実行される。しかし、説明の複雑化を避けるため、ここでは任意の1台の充電スタンド1に関して実行される処理について説明する。
【0049】
S101において、ECU27は、車両2が充電スタンド1に接近したかどうかを判定する。たとえば、ECU27は、充電スタンド1の位置情報および車両2のGPS情報に基づいて、車両2と充電スタンド1との間の距離が所定値(たとえば数メートル~数十メートル)以下である場合に、車両2が充電スタンド1に接近したと判定できる。車両2が充電スタンド1に接近していない場合(S101においてNO)、ECU27は、処理をメインルーチンに戻す。車両2が充電スタンド1に接近した場合(S101においてYES)、ECU27は、処理をS102に進める。
【0050】
S102において、ECU27は、充電スタンド1が使用可能であるかどうかを判定する。たとえば、ECU27は、充電スタンド1が車両2のユーザによって予約されている場合に、充電スタンド1が使用可能であると判定できる。あるいは、ECU27は、充電スタンド1が誰にも予約されていない場合(空き状態である場合)に充電スタンド1が使用可能と判定してもよい。
【0051】
充電スタンド1が他のユーザにより予約されている場合、現時刻が充電スタンド1の使用が禁止されている時間帯内である場合など(S102においてNO)には、ECU27は、充電スタンド1が使用不可である旨を表示するようにHUD262を制御する(S109)。たとえば、ECU27は、拡張現実(AR:Augmented Reality)技術を用いて、使用不可の充電スタンド1にバツ印を重ねて表示させたり、使用不可の充電スタンド1を薄いグレー色で表示(グレーアウト)させたりすることができる。その後、処理はメインルーチンに戻される。
【0052】
これに対し、充電スタンド1が使用可能である場合(S102においてYES)、ECU27は、スピーカー(図示せず)から出力される音を用いて車両2を充電スタンド1に向けて誘導する(S103)。たとえば、車両2が充電スタンド1に接近するにつれて、スピーカーから出力される電子音が大きくされてもよい。あるいは、車両2から見た充電スタンド1の方向および距離が音声でユーザに伝達されてもよい。
【0053】
S104において、ECU27は、充電スタンド1が露出状態であるかどうかを判定する。ECU27は、充電スタンド1が露出状態か収容状態であるかを、車両2と充電スタンド1との間の通信により取得してもよい。ECU27は、車両2に搭載されたカメラ(図示せず)を用いて撮影された充電スタンド1の画像に基づいて、充電スタンド1が露出状態か収容状態かを判定してもよい。
【0054】
充電スタンド1が露出状態である場合(S104においてYES)、ECU27は、充電スタンド1が使用可能である旨を表示するようにHUD262を制御する(S105)。たとえば、ECU27は、AR技術を用いて、使用可能な充電スタンド1に丸印を重ねて表示させたり、使用可能な充電スタンド1の色を変更したり、使用可能な充電スタンド1に模様を付したり、使用可能な充電スタンド1を点滅させたり、使用可能な充電スタンド1の輪郭を強調したりすることができる。これらの表示によって、車両2(車両2を運転中のユーザ)から使用可能な充電スタンド1の位置を特定できる。
【0055】
S106において、ECU27は、充電スタンド1での充電価格をさらに表示するようにHUD262を制御する。充電価格は、単位時間当たりの料金であってもよいし、単位電力量当たりの料金であってもよいし、バッテリ23を満充電する場合の予測料金であってもよい。
【0056】
一方、充電スタンド1が収容状態である場合(S104においてNO)、ECU27は、S105と同様に、充電スタンド1が使用可能である旨を表示するようにHUD262を制御する(S107)。このとき、ECU27は、AR技術を用いて、露出状態の充電スタンド1の仮想的な画像を収容状態の充電スタンド1の位置に重ねて表示させることが望ましい。ECU27は、露出状態の充電スタンド1の画像を表示する際にも、丸印を付けたり、色を変更したり、模様を付したり、点滅させたり、輪郭を強調したりしてもよい。これらの表示によっても、車両2(車両2を運転中のユーザ)から使用可能な充電スタンド1の位置を特定できる。
【0057】
ただし、AR表示は必須ではない。すなわち、ECU27は、実在する風景(収容状態の充電スタンド1)を表示することなく、露出状態の充電スタンド1を表す画像をHUD262に表示させてもよい。
【0058】
S108において、ECU27は、充電スタンド1での充電価格をさらに表示するようにHUD262を制御する。S106またはS108の処理の実行後、ECU27は、処理をメインルーチンに戻す。
【0059】
以上のように、実施の形態1においては、使用可能な充電スタンド1がHUD262(インパネ261またはナビゲーション画面263であってもよい)に表示される。特に、充電スタンド1が収容状態である場合には、露出状態である充電スタンド1の仮想画像が収容状態である充電スタンド1の映像上に重ねられたAR表示が行われる。これにより、ユーザは、たとえ充電スタンド1が収容状態であっても、使用可能な充電スタンド1を容易に発見し、その位置を特定できる。
【0060】
[実施の形態2]
充電スタンド1は、車両2からマイクログリッド等の分散型エネルギーシステムへの給電にも使用され得る。実施の形態2においては、車両2から分散型エネルギーシステムへの給電(売電)を充電スタンド1を介して行う構成について説明する。実施の形態2では、給電可能な充電スタンド1を車両2のユーザに案内する「給電ガイド処理」が実行される。
【0061】
なお、充電スタンド1および車両2の構成は、実施の形態1にて説明した構成(図1図4参照)と基本的に同様であるため、説明は繰り返さない。車両2は、充電スタンド1からの充電に加えて、充電スタンド1への給電(放電)も可能に構成されている。
【0062】
図6は、実施の形態2における給電ガイド処理の処理手順を示すフローチャートである。S201において、ECU27は、車両2が充電スタンド1に接近したかどうかを判定する。車両2が充電スタンド1に接近した場合(S201においてYES)、ECU27は、処理をS202に進める。
【0063】
S202において、ECU27は、充電スタンド1が分散型エネルギーシステムへの給電に使用可能であるかどうかを判定する。たとえば、充電スタンド1は、分散型エネルギーシステムにおける電力の需要が供給よりも大きい場合(あるいは、近い将来に需要が供給よりも大きくなることが予測される場合)、その旨の通知を分散型エネルギーシステムの管理サーバ(図示せず)から受ける。この場合に、充電スタンド1は、分散型エネルギーシステムに給電可能との情報を車両2に提供する。車両2は、当該情報の提供を管理サーバから受けてもよい。
【0064】
現時刻が電力需要が小さい時間帯内である場合など、充電スタンド1が分散型エネルギーシステムへの給電に使用不可である場合(S202においてNO)には、ECU27は、充電スタンド1への給電不可である旨を表示するようにHUD262を制御する(S109)。この表示態様としてはS109の処理(図5参照)と同様の手法を採用できる。
【0065】
これに対し、充電スタンド1への給電が可能である場合(S202においてYES)、ECU27は、スピーカー(図示せず)から出力される音を用いて車両2を充電スタンド1に向けて誘導する(S203)。
【0066】
S204において、ECU27は、充電スタンド1が露出状態であるかどうかを判定する。充電スタンド1が露出状態である場合(S204においてYES)、ECU27は、充電スタンド1への給電が可能である旨を表示するようにHUD262を制御する(S205)。この表示態様としてもは105の処理(図5参照)と同様の手法を採用できる。そして、ECU27は、充電スタンド1での売電価格をさらに表示するようにHUD262を制御する(S206)。売電価格は、たとえば単位電力量当たりの料金である。
【0067】
一方、充電スタンド1が収容状態である場合(S204においてNO)、ECU27は、充電スタンド1への給電が可能である旨を表示するようにHUD262を制御する(S207)。この表示態様としては、AR表示など、S107の処理(図5参照)と同様の手法を採用できる。そして、ECU27は、充電スタンド1での充電価格を表示するようにHUD262を制御する(S208)。
【0068】
以上のように、実施の形態2においては、給電可能な充電スタンド1がHUD262(インパネ261またはナビゲーション画面263であってもよい)に表示される。特に、充電スタンド1が収容状態である場合には、露出状態である充電スタンド1の仮想画像が収容状態である充電スタンド1の映像上に重ねられたAR表示が行われれる。これにより、ユーザは、たとえ充電スタンド1が収容状態であっても、給電可能な充電スタンド1を容易に発見し、その位置を特定できる。
【0069】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
1 充電スタンド、10 充電システム、11 可動装置、111 充電コネクタ、112 充電ケーブル、12 昇降ユニット、13 コントローラ、131 プロセッサ、132 メモリ、133 通信モジュール、2 車両、21 インレット、22 充電器、23 バッテリ、24 インバータ、25 モータジェネレータ、26 HMI、261 インパネ、262 HUD、263 ナビゲーション画面、27 ECU、271 プロセッサ、272 メモリ、273 通信モジュール、8 携帯端末、9 電源。
図1
図2
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図6